2019年10月31日木曜日

政府 424の公立病院を再編統合せよと 地方は猛反発

 厚労省9月に突然、「再編や統合の議論が必要」とする公立・公的病院など424病院のリストを公表しましリストにあげられたのは、自治体が運営する公立病院と日本赤十字などが運営する公的病院など地域医療の中核を担っている病院ばかりで、新潟県魚沼地方では、町立湯沢病院をはじめ、魚沼市立小出病院、南魚沼市立ゆきぐに大和病院が対象になっています。
 
 これまで安倍政権は、25年時点を見据えてベッド数など医療提供体制を見直す「地域医療構想」の策定を要求する「医療介護総合確保推進法」14成立させるなど、入院ベッド数削減を自治体などに執拗に求めてきました。
 しかし地域医療構想がそのまま実行されれば、25年時点のベッド数が本来必要な数より33万床も不足(共産党の小池晃書記局長参院厚労委17年6月の質問するので、そんな構想が各地で進められる筈がありません。
 そこで安倍政権は、17年の「骨太の方針」で、18年までの2年間を地域医療構想の具体化に向けた集中的な検討期間に指定しましたが同じことです。。
 
 ところが今年の「骨太の方針」が閣議決定される直前に、経済財政諮問会議(議長安倍晋三)の中西宏明経団連会長ら4人の民間議員が連名で病床数削減が地域医療構想通りに進んでいないことを問題視し、「適切な基準を新たに設定した上で、期限を区切って見直しを求めるべき」だとする意見書を出し、それがそのまま「骨太の方針」に反映され見直し期限「遅くとも20年9月」とされました。
 
 全国知事会、全国市長会、全国町村会は3会長連名で、「地域の個別事情を踏まえず、全国一律の基準による分析のみで病院名を公表したことは、国民の命と健康を守る最後の砦である自治体病院が機械的に再編統合されることにつながりかねず、極めて遺憾」と抗議の声をあげました。極めて当然の指摘です。
 しんぶん赤旗が取り上げました。
 
 日刊ゲンダイも「 ~『病院統廃合・病床削減』で地方は壊滅する」の記事を出し、地方自治体などから「地域医療が崩壊する」「住民が生活できなくなる」と反発の声が上がっていることを紹介し、超高齢化が進むなかで病床が足りなくなることは容易に想像がつくのに、増床ではなく削減というのはムチャクチャで、「病院で診てもらえない患者や高齢者が続出するのは間違いない。介護疲れによる自殺や殺人が増える自治体も出てくるだろう。地方創生どころか地方は壊滅」だとしています
 そして「米国の言いなりに数千億円もするポンコツ武器をバンバン買っているのに『限られた財源を賢く活用』なんて、よくも言えたものだ」と述べています。
 
 実際、安倍首相は軍事を10兆円に上げようとしている張本人です。満足な医療が受けられなくなれば、それぞれの家族が介護に追われることになり家庭は破滅に向かいます。
 国民の生活を破綻させてまで軍備に走るのはチャップリンのいう「戦争狂」に他なりません。
 
 しんぶん赤旗と日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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厚労省の424病院再編リスト 地方から猛反発
“住民にとって医療サービス後退”
 しんぶん赤旗 2019年10月30日
 地域医療を担ってきた公立・公的病院の再編・統合を迫る安倍政権の強引な計画に、自治体や医療関係者から猛烈な批判があがっています。発端は、厚生労働省が9月に突然、「再編や統合の議論が必要」とする公立・公的病院など424病院のリストを公表したことです。批判の強さに慌てた同省は全国7カ所で釈明の「意見交換会」を開催する事態となっています。
 「(リストに病院の)名前があがったことで、将来性がないという材料にされ、看護師の引き抜きがもう始まっています。住民もとても不安がり、職員が説明に追われている状況です。今後の職員採用もどうなるのか、不安なことばかりです」
 仙台市で23日開かれた意見交換会で、福島県の公的病院の関係者はリストに病院名が記載された衝撃をそう訴えました。リストにあげられたのは、自治体が運営する公立病院と日本赤十字などが運営する公的病院など地域医療の中核を担っている病院ばかりです。
 
知事会などが抗議
 リスト公表に、全国知事会、全国市長会、全国町村会は3会長連名のコメントで、「地域の個別事情を踏まえず、全国一律の基準による分析のみで病院名を公表したことは、国民の命と健康を守る最後の砦(とりで)である自治体病院が機械的に再編統合されることにつながりかねず、極めて遺憾」と抗議の声をあげました。福岡市での意見交換会でも病院関係者から、「病床(入院ベッド)を削減すれば住民にとって医療サービスが落ちる」(福岡県)、「人口減少に対応すると言うが、周産期医療がなくなった地域ではすでに子育て世代が住まなくなっている」(熊本県)などの声が相次ぎました。
 問題の背景には国の医療費抑制の動きがあります。安倍政権は都道府県に「地域医療構想」を策定させ、同構想に基づいて公立・公的病院ごとにベッド数などを見直すよう求めてきました。
 
協議に水浴びせる
 仙台市での意見交換会で宮城県の公立病院関係者は、病院再編に一定の理解を示しつつも「地域医療構想が始まり、みんなで協議をしているのに水を浴びせたのが厚労省だ」と批判しました。
 鹿児島大学の伊藤周平教授(社会保障法)は、人口減少に合わせた医療提供体制の縮減が必要だとの議論について、「地方では、産婦人科や小児科をはじめ医療はむしろ足りていない。人が減っていくから、ベッドを減らせばいいとは単純にならない。安倍政権は病院再編が思い通りにいかないので焦っているのではないか」と指摘します。
 
安倍政権 病床数削減を執拗に要求
背景に財界のいら立ち
 公立・公的病院など424病院を名指しして、再編・統合の議論を求めた厚生労働省のリスト―。震源は、官邸に設けられた経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)、なかでも民間議員として会議に参加している財界人のいら立ちです。
 
思惑通り進まず
 安倍政権は、人口の多い「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年までに医療や介護にかかる費用を抑える仕組みをつくらなければ社会保障制度が持続不可能になると主張。医療分野では看護師の配置が手厚い急性期病床をはじめとした入院ベッド数削減を、自治体などに執拗(しつよう)に求めてきました。
 14年に成立した「医療介護総合確保推進法」は、都道府県に対し、25年時点を見据えてベッド数など医療提供体制を見直す「地域医療構想」の策定を要求。日本共産党の小池晃書記局長の参院厚生労働委員会(17年6月)での質問によって、地域医療構想がそのまま実行されれば、25年時点のベッド数が本来必要な数より33万床も少なくなることが明らかとなりました。
 
 安倍政権は、17年の「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)で、18年までの2年間を地域医療構想の具体化に向けた集中的な検討期間に指定。18年の「骨太の方針」では、公立・公的病院は、「高度急性期」や「急性期」といった地域の民間病院では担うことのできない機能に重点化するとの方針が決められました。
 財界のいら立ちは、この病床削減が思惑通りに進んでいないことにあります。
 今年の「骨太の方針」が閣議決定される直前の5月31日の経済財政諮問会議に、経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)、サントリーホールディングスの新浪剛史社長ら民間議員4氏が連名で社会保障制度改革に関する意見書を提出。病床数削減が地域医療構想通りに進んでいないことを問題視し、公立・公的病院について「適切な基準を新たに設定した上で、期限を区切って見直しを求めるべき」だと主張したのです。同時に「民間病院についても病床数の削減・再編に向けた具体的な道筋を明らかにすべき」だと求めました。
 民間議員の意見書は「骨太の方針」にそのまま反映され、厚労省は「骨太の方針」に基づいて、424病院の選定作業を進めたのです。見直し期限は「遅くとも20年9月」とされました。
 
 今後の社会保障制度のあり方を議論した28日の諮問会議でも、経団連の中西会長ら民間議員が、医療費抑制の方策として官民合わせて約13万もの病床削減を提言。首相もベッド数の削減などを着実に進めるよう厚労相に指示しました。
 
選定方法も疑問
 医療や自治体の関係者からは、厚労省の選定方法にも疑問や批判があがっています。
 厚労省は今回、各病院の手術件数などの診療実績と、車で20分圏内に代替可能な医療機関があるかという基準で、「高度急性期病棟」などがある全国1455の病院を分析。再編・統合対象を抽出しました。
 札幌市で23日に開かれた厚労省と自治体・病院関係者との意見交換会では、医療関係者から「分析対象に精神科や感染症などの医療行為が入っていないのはなぜか」「車で20分といっても、雪が降ればそれ以上かかる」との声が上がりました。
(この特集は、佐久間亮、藤原直、前野哲朗、松田大地が担当しました)
 
 
安倍政権が推進「病院統廃合・病床削減」で地方は壊滅する
日刊ゲンダイ 2019/10/30
 安倍政権が医療費削減を目的に打ち出している地域医療の再編統合をめぐり、地方自治体などから「地域医療が崩壊する」「住民が生活できなくなる」と反発の声が上がっている。
 
 社会保障制度改革を議題に28日、官邸で開かれた経済財政諮問会議(議長・安倍首相)。経団連の中西宏明会長ら民間議員は、団塊の世代が75歳以上となる2025年度を控え、医療費の抑制策として全国の病床数を官民合わせて約13万床削減することや、在宅医療への転換推進を提言。これを受け、安倍首相は「限られた財源を賢く活用し、国民生活の質の向上を図ることが重要なポイント」などと発言し、提言の実行を加藤厚労相らに指示した。
 病床数の削減をめぐっては、厚労省が9月、自治体や日本赤十字社などが運営する全国424の公立・公的病院について「再編統合の議論が必要」として実名を公表。民間議員の提言はこれを踏まえたものだが、全国知事会などは「地域住民の不信を招く」とカンカン。厚労省が各地で行っている説明会でも、病院などから「病床削減は住民の命に直結する」と反対意見が相次いでいるのだが、そりゃあそうだろう。
 
 日本は超高齢化が進む。今後、病床が足りなくなることは容易に想像がつくのに、増床ではなく、削減というからムチャクチャ。在宅医療への転換推進というが、現在でも、介護離職などが社会問題化している中、さらなる家族負担を求めるというのはどうかしている。「国民生活の質の向上」どころか、真逆の政策だ。とにもかくにもカネの削減ありきで、国民の命を軽く考えているのは明らかだ。
 「元気な地方なくして、日本の再生なし。地方創生は、安倍内閣の最も重要な政策の柱」「令和の時代は地方の時代」――。安倍首相は「地方重視」の発言を繰り返しているが、厚労省の計画通りに地方の病院が統廃合され、病床が削減されたら、病院で診てもらえない患者や高齢者が続出するのは間違いない。介護疲れによる自殺や殺人が増える自治体も出てくるだろう。地方創生どころか地方は「壊滅」だ。
 そもそも、「限られた財源を賢く活用」なんて、よくぞ言えたもの。米国の言いなりに数千億円もするポンコツ武器をバンバン買っているのは一体、どこの誰なのか。「税と社会保障の一体改革」を口実に消費増税を繰り返しながら、なぜ、社会保障費から真っ先に削るのか。それも国会で議論することもなく、自分が議長を務める諮問会議で勝手に指示を出すのだから言語道断だ。
 
 「国が強権的に病院の統廃合、病床削減を進めれば、患者が入院できなかったり、在宅医療の環境が整わないまま病院を追い出されたりするケースも出てくるでしょう。(極論すると)地方には住めなくなってしまいます。病床削減しなくても、保健予防の政策充実などで医療費の軽減は図れるはずです」(全日本民主医療機関連合会の内村幸一事務局次長)
 都市部の大企業や金持ちを優遇する安倍政権にとって、地方はどうでもいいのがホンネなのだ。

災害多発・原油髙・円安進行…この年末は三重苦(日刊ゲンダイ)

 日本はいま株高ですが、円安と投資機関の思惑によるものと思われ経済状況を反映したものではありません。日刊ゲンダイによれば庶民の懐は年末に向けてボロボロになりそうだということです。
 野菜の価格はじわじわと上がり、ホウレンソウは平年比18、里芋は同じく12%高になっているということです。水害・火災・地震に対する損保の掛金も急増を重ね、原油が上がり、円安も進むということです。円安が進み原油価格が上がれば諸々の価格に反映します。それに重ねての消費税アップです。
 
 一方賃金が上がる見込みは皆無です。日本はこの20年世界で唯一賃金を低下させています(毎回紹介しているグラフは主要国との比較となっていますが、開発途上国であれば賃金は一層上がる筈です)が、生活苦を知らない人たちにとってはきっと何の問題でもないのでしょう。
 この頃こそさすがに「アベノミクス」を口にしなくなりましたが別に反省したからではなく、具合が悪くなったからに過ぎません。
 年末の三重苦到来は明らかですが、頭の中が、改憲と軍議増強そしてトランプ氏への迎合だけで占められていてはどうにもなりません。
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。

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<働き方改革の死角>日本、続く賃金低迷 97年比 先進国で唯一減
    東京新聞 19年8月29日
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災害多発・原油髙・円安進行…年末三重苦が庶民を直撃する
日刊ゲンダイ 2019/10/30
 29日の日経平均終値は、7営業日続伸し前日比106円高の2万2974円だった。取引時間中には一時、約1年ぶりに2万3000円台をつけた。消費増税から1カ月近くが経った日本経済について、西村康稔経済財政担当相は「全体として大きな落ち込みはない」と余裕しゃくしゃくだった。しかし、株高を尻目に庶民の懐は年末に向けてボロボロになりそうだ。消費増税の他にも、物価を押し上げる要因がワンサカあるのだ。
 
 9~10月は、台風15、19、21号が関東、東北などを直撃。関東産地の野菜価格がジワジワ上がっている。東京都中央卸売市場の28日の野菜価格によると、群馬、茨城、栃木が主産地のホウレンソウは平年比18%、埼玉、千葉が主産地の里芋は同12%高い
  また、災害多発で保険金の支払いが増えている損保大手は今月1日、火災保険料を引き上げたばかりだが、年明けにも再値上げする予定だ。
 原油価格も上向きだ。
「来年の米大統領選に向けて、景気を上向きにするため、米中緩和に動くとの見方があります。OPECの協調減産もささやかれている。WTI先物は現在、1バレル=55ドル付近ですが、年末に向けて60ドルを突破することも十分あります」(商社関係者)
  原油価格が上がれば、ガソリン、樹脂製品、物流費、燃油サーチャージとあらゆるモノやサービスの価格が底上げされる。
 
■賃上げ要因は見当たらず
 さらに、円安が止まらない。29日の東京市場は、約3カ月ぶりの円安水準となる一時1ドル=109円台前半をつけた。輸出企業はウハウハで、株価も上がるだろうが、輸入品は値上がりだ。経済ジャーナリストの井上学氏が言う。
「物価が下がる要因は見当たらない。この先、物価上昇は濃厚です。一方、給料は上がりそうにない。現在、上期の決算発表のタイミングですが、どこも業績はパッとしません。それでも、円安や米中緩和などで株が上がっています。企業の好業績を反映しての株高なら、賃上げなど従業員への還元もありますが、そうはならない。一部の投資家を除いて、多くの人は賃金が上がらない中、何重もの物価高に見舞われることになるでしょう」
  懐が極寒の年末になりそうだ。





31- アサンジ氏らに拷問を加える米政府・CIA

 米国における報道への介入は早くも冷戦時代の1950年代にCIAがめ、「モッキンバード作戦呼ばれました。それは米国の主要ジャーナリストをCIAに誘い入れ、政治や外交などに関するCIAの見解を自社のものとして広め手助けさせるもので、今ではその体制は完全に仕上がっています。
 
 その反面、真実を伝えるジャーナリストたちは徹底的に排除し迫害しています。現在その渦中にある人がウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジ氏です。
 米国は体面を気遣ってか、いまはイギリスのベルマーシュ刑務所独房監禁させていてそこに米国防総省、FBI、CIAに所属しているメンバーが出向し、BZ(3-キヌクリジニルベンジラート)という薬物を使うなどして、死に至るような拷問を行っているということです
 
 米国はコトあるごとに民主国家の最先端を行くかのように装っていますが、アサンジ氏たちに行っている非人道的で極めて残虐な虐待こそはその本性を示すものです。
 
 マスコミに載らない海外記事と櫻井ジャーナルの二つの記事を紹介します。
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説明責任ある政府の終焉は差し迫っている
マスコミに載らない海外記事 2019年10月29日
Paul Craig Roberts 2019年10月27日
 約70年間、CIAは出版・報道の自由を傷つけている。それは対共産主義の冷戦作戦オペレーション・モッキングバードから始まった。CIAはプロパガンダ・ネットワークに、ジャーナリストをリクルートしている。CIAは、偽記事を書いたり、この諜報機関の狙いに役立つよう、言説を支配するため、CIAが書いた記事を掲載したりするようジャーナリストに金を払っている。学生団体や文化団体やEncounterのような知的雑誌が、CIAのプロパガンダ・ネットワークに買収された。ドイツ人ジャーナリスト、ウド・ウルフコッテのおかげで、あらゆる主要なヨーロッパ人ジャーナリストがCIAの手先なのを我々は知っている。1977年、ウォーターゲートで有名なカール・バーンスタインがローリング・ストーン誌で、CIAが「CIA要員に素晴らしい隠れ蓑を提供した英語、外国語両方の多数の外国報道機関、定期刊行物や新聞に密かに資金を出した」と書いた。他のほとんどの人々同様、欧米ジャーナリスト全員、品位を金と引き換えに進んで売り渡した。そうしない少数の人々は服従するよう脅された。
 
 残ったごく少数の正直なジャーナリストは、「主流」あるいは売女マスコミ媒体からインターネット・ウェブサイトへと追放された。ウィキリークスは現代、遥かに最良の報道機関だ。この組織をワシントンに屈伏させるため、属国のスウェーデン、イギリス、エクアドルを使って、何年もの間ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジを迫害してきた。ニューヨーク・タイムズやガーディアンを含むCIAに隷属するメディアは、いずれもウィキリークスに漏らされた資料を掲載したくせに、世界最良、最も正直なジャーナリストの迫害に全身全霊で参加して、アサンジを破滅させるため利用されている。
 
 現在アサンジは、濡れ衣で、アメリカへの犯人引き渡しを待って、最高警備のイギリス刑務所に独房監禁されて、明らかに死に至るような拷問をうけている。CIAが連邦判事全員に偽証させることが確実ではないので、もしアサンジがイギリス刑務所で死んでも、ワシントンは、現在のアメリカ法の下では、彼に対して有効な論拠がないので、十分満足なのだ。アメリカで、法による支配を見いだすのが非常に困難な中、有効な論拠の欠如は重要ではない。
 アサンジに対する有効な論拠の欠如が、アサンジ迫害を、スターリン主義者の見せしめ裁判だと著名なドキュメンタリー映画作者ジョン・ピルジャーが言っている理由だ。
 
 CIAによるジュリアン・アサンジ破壊で驚くべきことはアメリカの法科大学院や弁護士会の沈黙、大学の沈黙、学生団体や労働組合による抗議の欠如、法廷に対するアサンジの権利のあらゆる保護の欠如、政府に、その犯罪の責任をとらせる気力も能力もあるはずの報道機関が、法科大学院、知識人、弁護士会、裁判所や、印刷・TVメディアに丸見えで公然と破壊されていることだ。
 
 言説に対するCIAの支配はジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984年』中でビッグ・ブラザーが持っている支配力と同じぐらい完全だ。しかも、これをアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、スウェーデン、ヨーロッパ国民は苦にしない。ごく少数の人々だけがアサンジのために率直な意見を述べ、次に彼らが悪者にされる。
 今や専制政治の時代が欧米を襲っている。
 ジュリアン・アサンジの強制送還裁判は見せしめ裁判だ。
 
ジョン・ピルジャー http://www.informationclearinghouse.info/52445.htm 
初出はこちら。
 
 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
 
記事原文のurl:
 
 
権力者にとって都合の悪い情報を伝えることが犯罪になる時代へ入った
櫻井ジャーナル 2019.10.30
 マックス・ブルメンソールというジャーナリストがアメリカで逮捕され、2日間留置された​。ベネズエラの反政府派、つまりアメリカ支配層の手先の訴えによるもので、拘束されていた間、外部との接触が禁止されたという。
 このジャーナリストはベネズエラにおけるアメリカの工作やパレスチナ問題などを調査、結果として有力メディアが偽情報を流していることを明らかにしてきた。アメリカやイスラエルの支配層に嫌われていることは間違いない。有力メディアが言うところの「ファクトチェック」とは、「大本営発表」に反する事実を排除することだが、そのターゲットになる情報を彼は伝えてきた。
 
 4月11日にイギリス警察はエクアドル大使館へ乗り込み、内部告発を支援してきたウィキリークスのジュリアン・アッサンジを逮捕した。アッサンジはイギリス版のグアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されている。
 アッサンジを尋問しているアメリカ人は国防総省、FBI、CIAに所属している人びとで、BZ(3-キヌクリジニルベンジラート)という薬物が使用され、1日に22時間、あるいは23時間は外部との接触が禁止され、友人や親戚との面会はできない。弁護チームも監視下で会うことが要求されているほか、食べ物の差し入れや基本的な医療行為も拒否されているようだ。
 
 彼の逮捕はアメリカ政府の意向だ。支配層にとって都合の悪い情報を入手し、公表したことが「1917年のスパイ活動法」に違反すると主張されている。アメリカ政府の主張が全て認められた場合、最大懲役175年になるという。
 イラクでアメリカ軍のヘリコプターから非武装の人びとを銃撃して死傷させる様子を撮影した映像をウィキリークスは2010年4月に公表しているが、犠牲者の中にはロイターの取材チームが含まれていた。
 この映像を含むイラク戦争の実態を明らかにする情報をウィキリークスへ提供したブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は2010年5月に逮捕され、刑務所で過酷な扱いを受けたと言われている。
 また、2016年の大統領選挙における不正を明らかにする民主党本部とヒラリー・クリントンの電子メールなどを公表し、バーニー・サンダースを負けさせる工作があったことを明らかにした。
 
 権力者にとって都合の悪い情報を伝えるジャーナリストが犯罪者として扱われる時代に入ったと言える。権力者に容認される「スクープ」は情報操作のためのリークだと言えるだろう。欧米の有力メディアに対する信仰を捨てられない人は権力者に操られる。

2019年10月30日水曜日

安倍政権…財界と米国の圧力に屈し対韓軟化するのか

 安倍政権は参院選を控えた7月1日、突如、半導体やディスプレーの材料等3品目フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト)の韓国への輸出を厳しく規制すると発表しました。同時に「ホワイト国」から韓国を除外すること決定しました
 日本政府は、韓国は悲鳴をあげて「徴用工問題」で妥協してくると目論んだのですが、韓国はすぐさま政府の支援のもとでそれらを国産に切り替える方針を固めました。完全に国産に切り替わるまでにはまだ時間を要しますが、韓国向けの年間500億円の市場が再び戻ることはなくなりました。
 韓国民は報復として日本品の不買運動を始め、日本観光を自粛しました。
 人気が高かった日本のビールの売り上げは8月以降数%に落ちたと言われ、訪日も激減しました。九州方面の観光関連業は惨憺たるものです。
 2018年の訪日外国人数は3120万人で、その経済効果(消費額)は45兆円でした。政府は20年には4000万人、8兆円になると見込んでいたのですが、飛んだ皮算用でした。アベノミクスで唯一成功していると揶揄されているインバウンド効果がこの有様では、さすがに経済界も黙ってはいません。
 日韓間の軋轢に米国がイライラを募らせていることもまた明らかです。
 
 日刊ゲンダイが「~ 安倍政権…財界と米国の圧力に屈し対韓軟化」とする記事を出しました。
 早く安倍政権が登場する以前の関係に戻って欲しいものですが、安倍首相は、自らが強調する「国際法」の最新の認識にも欠け、戦前における韓国への加害の認識に欠けているので、簡単ではないようです。
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“カラ威張り”安倍政権…財界と米国の圧力に屈し対韓軟化
日刊ゲンダイ 2019/10/29
 戦後最悪の日韓対立の火種となった韓国最高裁の元徴用工判決から30日で1年。対韓輸出規制を発動し、韓国叩きでブイブイいわせてきた安倍政権が態度を軟化し始めた。文在寅大統領との首脳会談を拒んできた安倍首相は「即位の礼」を機に李洛淵首相と会談。菅官房長官は「話し合いをという雰囲気になってきている」と言い出した。政権の支持基盤である財界の不満噴出、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)をめぐる米国の圧力で膝を折らざるを得なくなってきたようだ。骨の髄まで染み込んだポチ気質。弱い犬ほどよく吠えるとはよく言ったものだ。
◇  ◇  ◇
 菅氏が日韓関係について言及したのは、27日に都内で開かれた「G1経営者会議」での講演。元徴用工判決は日韓請求権協定違反だとの従来の主張を繰り返し、「国際法は大原則だ。ここを崩したらすべてが崩れてしまう」と強調しながらも、「韓国もこのままではダメだと、何らかの話し合いをという雰囲気にはなってきているのかなと思う」と踏み込んだ。安倍・李洛淵会談や文在寅からの親書が影響したと解説されているが、理由はもっと単純だ。
不買運動などのあおりを食らう財界から批判が上がり始めています。9月の貿易統計で対韓輸出額の減少幅は前年同月比15・9%減の4028億円となり、マイナス幅は拡大の一途。経団連の中西宏明会長は会談した李洛淵首相をあふれんばかりの笑顔で出迎え、〈何とかしなければいけないという点では李首相も経済界もまったく同じ考え方だ〉と力を込めていた。官邸も財界の意向を無視できなくなってきています」(与党関係者)
 
国務省高官が日韓まわり最後通牒
 さらに、文在寅政権が報復措置として破棄通告したGSOMIAの更新期限が来月23日に迫り、米国が日韓両国に露骨な圧力を掛けている。
「スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)がGSOMIA延長に向けて動き回っています。26日まで訪日し、来月1~5日はバンコク開催のASEAN首脳会議で日韓当局者と接触。来月5~7日に訪韓するスケジュールで、日韓に協議を強く働きかけている。いわば最後通牒です」(日韓外交事情通)
 
 文在寅政権は対韓輸出規制とGSOMIA延長の一括解決を主張。元徴用工訴訟への対応をまずは求める安倍政権とは平行線をたどってきた。
 
 国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。
「トップ会談で融和を演出したい韓国側はGSOMIA期限前の首脳会談を求めていて、ASEANあるいはAPEC首脳会議(11月16、17日=チリ・サンティアゴ)を利用したいと要望していますが、日本側が難色を示している。韓国側が提案している日韓企業と韓国政府が賠償基金をつくる〈1+1+α〉も、韓国政府が基金を設立して日韓企業が参加する〈α+1+1〉もダメだと言う。と言いつつも、GSOMIAについては米国のプレッシャーに屈するしかない。もはや強気一辺倒ではいられず、GSOMIA延長が現実的なのではないでしょうか」
 
 安倍首相周辺は12月に北京で開催される日中韓サミットでの日韓首脳会談を検討しているようだが、これもホストの中国のメンツを借りて、自分たちの顔を立てるため。空威張りそのものだ。

「表現の自由」危惧 海外の日本研究者ら170人が声明に賛同

 海外の日本研究者たちが、「あいちトリエンナーレ」での企画展「表現の不自由展・その後」の中止や文化庁の支援撤回などの動きを懸念して、このほど「日本の芸術家、ジャーナリスト、学者を支持する声明」を発表しました。声明は日本政府が憲法に基づき芸術家、ジャーナリスト、学者の権利を保護するよう求めるもので、賛同者は約170人(28日現在)に上っています。
 しんぶん赤旗に声明の全文が載りました。
 併せてNHKと毎日新聞の記事を紹介します。
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「表現の自由」危惧
海外の日本研究者ら170人 声明に賛同
 しんぶん赤旗 2019年10月29日
【ベルリン=伊藤寿庸】国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」での企画展「表現の不自由展・その後」の中止や文化庁の支援撤回などの動きを懸念する、欧米などの日本研究者がこのほど共同声明を発表し、日本政府が憲法に基づき芸術家、ジャーナリスト、学者の権利を保護するよう求めました。28日までに賛同者は約170人に上っています。
 
 この「日本の芸術家、ジャーナリスト、学者を支持する声明」は、日本で「表現の自由が脅かされている現状に深い懸念を表明」。文化庁に「あいちトリエンナーレ」への支援中止の撤回を要請しています。
 
 また「政治と行政が表現の自由に敵対する勢力から芸術と学問を守らずに、ポピュリストの要求を受け入れ、テロリストの恫喝(どうかつ)に屈する」のは「到底受け入れられるものではありません」と指摘。日本政府、日本の政治指導者に対し、「ヘイトスピーチその他のあらゆる言語的・非言語的な脅しに立ち向かいたたかうという法的義務を果たす」よう求めています。
 
 声明には、米、英、独、仏、オーストリア、豪、韓国などの日本研究者や美術研究者が名前を連ねています。
 
日本の芸術家、ジャーナリスト、学者を支持する声明(全文)
 
 署名者は、日本において表現の自由が脅かされている現状に深い懸念を表明し、日本政府とそのすべての機関に対して日本の憲法に明記されている芸術家、ジャーナリスト、学者の権利を保護するために必要な措置を講じるよう求めます。特に、文化庁に対して国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への支援中止の決定を撤回するよう要請します。
 
 民主的かつ多元的な社会において、政治と行政が表現の自由に敵対する勢力から芸術と学問を守らずに、ポピュリストの要求を唯々諾々と受け入れ、あまつさえテロリストの恫喝(どうかつ)に屈するなどということは到底受け入れられるものではありません。
 
 私たちは、海外の芸術家や学術関係者および諸機関と日本の政府機関との間の協力関係に支障が生じかねないほどに、日本の公的機関に対する信頼が甚だしく損なわれてしまったことを深く憂慮しています。
 
 私たちはまた、日本政府ならびに日本の政治指導者が、国際協力、和解、平和の精神に敵対するヘイトスピーチその他のあらゆる言語的・非言語的な脅しに立ち向かいたたかうという法的義務を果たすよう切願します。
 
 最後に、私たちは、日本政府とすべての責任ある政治家に対して、表現と意見の自由を追求する日本のすべての芸術家、学者、ジャーナリストに心からの、かつ公的な支援を提供するよう、また平和と国際理解に関する政治問題の自由かつオープンな議論を促し、それによって人間の成長と発展の真の源である自由、多様性、創造性の安全な港としての日本の名声を回復するように強く訴えます。
 (ベルリン=伊藤寿庸)
主な賛同者
 この声明への賛同者には以下の各氏が含まれています。(敬称略)
 米国=アレクシス・ダデン、シェルドン・ガロン、アンドルー・ゴードン、ジェフリー・キングストン、ビクター・コシュマン(いずれも日本史研究者)、ルイーズ・アリソン・コート(スミソニアン博物館、東洋美術史) 英国=ジーナ・バーンズ(考古学)、スティーブン・ドッド(ロンドン大学東洋アフリカ学院、日本文学) ドイツ=イルメラ・日地谷・キルシュネライト(日本文学)、アデーレ・シュウロンブス(ケルン東洋美術館長)、メラニー・トレーデ(日本美術史) オーストラリア=テッサ・モリス=スズキ(日本史)
オーストリア=セップ・リンハルト(日本社会学) フランス=セシール・坂井(日本文学) 韓国=林志弦(イム・ジヒョン、歴史学)
 
 
トリエンナーレ補助金不交付 文化庁内部だけで決定 手続き批判高まる
毎日新聞 2019年10月3日
 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金7820万円を文化庁が交付しないと決めたことに、公的な補助事業の審査に携わってきた専門家らから強い批判が起きている。文化庁が、国際芸術祭を補助事業に採択した外部審査員の意見を聞かず、内部で不交付を決定したためだ。専門家らは不透明な手続きに抗議する声明を発表、2日時点で研究者ら約1000人が署名・賛同したほか、外部審査員の野田邦弘・鳥取大特命教授(文化政策)が文化庁に辞任を申し出る事態に発展した。【大場伸也/統合デジタル取材センター、水戸健一/社会部】 
.(以下は有料記事のため非公開)
 
 
補助金不交付に抗議 文化庁事業の委員 辞任相次ぐ
NHK NEWS WEB 2019年10月18日
愛知県の国際芸術祭への補助金の交付を文化庁が取りやめたことに抗議し、これまで文化庁の事業に関わってきた専門家が、委員のポストを相次いで辞任する事態となっています。辞めた委員の1人は「不交付決定は納得いかず、文化庁の姿勢を問いたい」と話しています。
 
慰安婦を象徴する少女像や、天皇をコラージュした作品などに脅迫や抗議が集まり、一部の展示が中止された愛知県の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」について、文化庁は先月26日、申請の手続きなどが不適切だったとして、すでに採択を決めていたおよそ7800万円の補助金を交付しないことを明らかにしました。
この問題について、文化庁の事業の委員を務める大学教授などの専門家3人が、抗議の意志を示すとして相次いで辞任する事態となっています。
金沢21世紀美術館の元学芸員で今回の国際芸術祭の企画に関わった、鷲田めるろさんもその1人です。
NHKの取材に対して鷲田さんは「文化庁の決定は手続き上の不備を指摘しているが、納得できるような理由は示されておらず、展示の内容に問題があると判断したのではないかという疑念は晴れていない。今回の決定は、美術館で企画をする際に作品の展示などに関して政府の意向を気遣わないといけないような萎縮効果を生むと懸念していて、そうした中で文化庁の仕事はできないと考えた」と話しました。
そのうえで「これまで委員として関わった事業自体はすばらしいもので、辞任は本意ではない。ただし、それ以上に今回の決定には承服できず、文化庁として芸術や文化行政に取り組む姿勢を問いたいと考えている」と訴えました。
 
この問題については、これまでにも芸術家や大学教授などが抗議声明を出すなど、文化庁のとった対応への批判が相次いでいます。