2017年10月31日火曜日

内閣不支持がまた支持を上回る 日テレ調査

 日本テレビ(NNN)がこの週末に行った世論調査で、安倍内閣の支持率は417%、不支持は442%となり、2か月ぶりに不支持が支持を上回りました。
支持しない」理由のトップは「安倍総理の人柄が信頼できないから」で435%でした。

 また秋の国会で与野党の論戦が行われるべきかをたずねたところ、「行うべき」と答えた人が649%にのぼりました
 自民党が公示前と同じ284議席を獲得したことに「良かったと思う」は432%で、「思わない」は449%でした。
 最も優先して取り組んで欲しい政策は年金や医療・介護 377%でした。

 末尾に「世論調査詳細」のURLを記載しましたので、そちらもご覧ください。
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内閣不支持2か月ぶり支持上回る~NNN
日本テレビ(NNN) 2017年10月29日
 NNNがこの週末に行った世論調査で、安倍内閣の支持率は417%、不支持は442%となり、2か月ぶりに不支持が支持を上回った
 安倍内閣を「支持する」と答えた人は前の月より04ポイント下がり、417%だった。一方、「支持しない」は32ポイント上がり442%で、2か月ぶりに不支持が支持を上回った。

 また、先の衆議院選挙を受けて、秋の国会で与野党の論戦が行われるべきかをたずねたところ、「行うべき」と答えた人が649%にのぼった。

 野党第一党だった民進党が立憲民主党と希望の党などに分裂したことを受けて、野党がどのように再編されるのが望ましいかをたずねたところ、「立憲民主党を中心に再編する」が最も多く399%だった。
 続いて、「今のままでよい」が318%、「希望の党中心の再編」は6%、「民進党を再び結集する」は75%だった。

 先の衆議院選挙で野党第一党に躍進した立憲民主党に期待することについては、「安倍内閣の政策や行動をチェックすること」が511%だった一方、「政権を担当する政党になること」は114%にとどまった。

10月世論調査詳細 ⇒ http://www.ntv.co.jp/yoron/201710/soku-index.html

政策基軸・超党派・主権者主導で政権奪還は可能(植草一秀氏)

 今度の総選挙では、新潟5区で急遽立候補した大平えつこ氏は大健闘したものの、前知事の知名度の高さに惜敗しました。しかし県全体では野党共闘側が6区中4区で当選を果たし勝利しました。黒岩氏や菊田氏が希望の党に流れなかったのが大きな勝因でした。北海道と沖縄でも同様に勝利しました。

 政治評論家の植草一秀氏は、この3道県の戦いを、勝利の「北海道・新潟・沖縄メソッド(方式)」と呼び、新潟知事選で政策を機軸に、党派を超えて、主権者が主導して、統一候補を立てて勝利した経験が基礎になっているとしました。
 そしてこのときの新潟メソッドが「オール新潟平和と共生」方式だったのであり、この「新潟メソッド」=「北海道・新潟・沖縄メソッドを全国展開すれば、必ず政権交代が実現すると述べました。

 ブログ「植草一秀の知られざる真実」は、この選挙でも自民党は33%の得票率で61%の議席を獲得するという小選挙区の不合理性が確認されたと述べ、そうした不合理の中で戦うには、与党に対峙する勢力の立候補者一本化するしかないものの、今回もそうであったように、必ず「第三極」政党が現れ、野党共闘妨害されるため結果的に自公が勝利するという現実があるとし、それを踏み越える戦略と戦術としてはこの「新潟メソッド」=「北海道・新潟・沖縄メソッド」しかないと述べています。

 NHKの記事も併せて紹介します。
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政策基軸・超党派・主権者主導で政権奪還は可能だ
植草一秀の「知られざる真実」 2017年10月30日
今回の総選挙比例代表選挙における各党得票率は以下のとおりだ。
自民   33
公明   12
維新    6
希望   17
立憲   19
共産    7
社民    1
自公の合計が458%、 希望、立憲、共産、社民の合計が469% だった。
野党4党の得票率は自公の得票率を上回った。しかし議席占有率は以下のとおりである。

自民   61
公明    6
維新    2
希望   10
立憲   11
共産    2
社民    0
自公が議席数全体の673%を占有。 野党4党の議席占有率は256%にとどまった。投票率では5対5だったのに、獲得議席占有率では7対3になった。
 (「表」 添付省略 アドレスは下記)

自民党の投票率は333%。主権者全体に占める比率は179%だった。
2014年12月の前回総選挙での自民党投票率が331%で 絶対投票率が174%であったのと比較して、今回の得票率がほとんど一致しているのは興味深い。
絶対投票率179%というのは、主権者全体の6人に1人しか自民党には投票していないことを意味する。
しかし、自民党の獲得議席占有率は611%である。国会議席数の6割を占拠したのである。

このような、いびつな状況が生じたのは次の二つの理由に依っている。
第一は、小選挙区制で死票が多数発生して、議席に反映されない民意が大量に出現すること。
第二は、自公勢力に対抗する野党が小選挙区で候補者を一本化しないと、自公が有利になりやすいこと。
この点を踏まえると、当然のことながら、選挙制度そのものを見直すべきだとの声が生じる。
政党支持率別の主権者の意思をもっとも正確に反映する方式は、すべての議席を比例代表選挙で決定することである
こうすれば、得票率の配分と議席配分が同一になる。十分に検討に値する方式である。
しかし、選挙制度を変更するには議会の決定が必要になる。自公の与党勢力がこれに反対すれば、実現はしない。

もう一つの方法は、小選挙区制を前提に、与党に対峙する勢力の立候補者一本化を実現することである。前回も今回も、この点で十分な対応が取られなかった。その理由は、いわゆる「第三極」政党に野党共闘を妨害されたからである。
つまり、日本の支配勢力は、小選挙区制度の下で、自公が多数議席を占有することを目的に、人為的に「第三極」勢力を構築してきたのだと言える。
「第三極」は、この意味で常に小選挙区の反自公票を割る目的をもって創設されてきた可能性、疑いが濃いのである。
この意味では、今回の小池国政新党は、実は十分に所期の目的を達成した意味を有しているのかも知れない。小池百合子氏は与えられた任務を最大にこなした疑いがある。

「踏み絵」でこけたのも、計算通りの策謀であった疑いは残る。重要なことは、こうした、人為的な「第三極」創設による、反自公票分散の策謀が行われることを前提に、これを踏み越える戦略と戦術を提示して、それを確実に実行することだ。
この答えはすでに、かなりはっきりと出てきている。
それが、北海道・新潟・沖縄メソッドの活用だ。ポイントは、政策を機軸に、党派を超えて、主権者が主導して、一選挙区一候補者の体制を構築することである。

これを「オールジャパン平和と共生」方式と呼んでいるが、北海道、新潟、沖縄で実行されたのが、まさにこれである。
新潟では知事選でこの方式が採用されて、見事な成功が収められた。このときの新潟メソッドが「オール新潟平和と共生」方式だったのだ。これを全国展開すれば、必ず政権交代が実現する
大きな連帯の力で、これを全国に広げてゆくことが必要である。
(以下は有料ブログのため非公開)


野党共闘なら60余りの選挙区で逆転 NHK試算
NHK NEWS WEB 2017年10月28日
NHKの試算によりますと、今回の衆議院選挙で、289ある小選挙区で立憲民主党、希望の党、共産党などの候補者一本化が実現できたと仮定し、その得票を単純に足し合わせると、与党の候補者が当選した60余りの選挙区で勝敗が逆転する結果となりました。野党の複数の候補者による競合で安倍政権に対する批判票が分散し、与党側が圧勝する要因の1つになったとは言えそうです。
今回の衆議院選挙で、自民・公明両党は、衆議院全体の3分の2を上回る、313議席を獲得し、289ある小選挙区では、8割近い226の選挙区で勝利しました。

NHKの試算によりますと、小選挙区で、立憲民主党、希望の党、共産党、社民党、民進党出身者など野党系無所属の候補者一本化が実現できたと仮定し、その得票を単純に足し合わせると、与党の候補者が当選した60余りの選挙区で勝敗が逆転する結果となりました。
例えば、東京都内の25の小選挙区では、20の選挙区で与党の候補者が当選しましたが、野党系の候補者の得票を足し合わせると、14選挙区で逆転します。

候補者の一本化で、単純に足し合わせた票を獲得できたとは限りませんが、立憲民主党や希望の党など野党の複数の候補者による競合で安倍政権に対する批判票が分散し、与党側が圧勝する要因の1つになったとは言えそうです。

31- 小池氏独裁のための恐るべき希望の党規約(郷原信郎氏)

 弁護士の郷原信郎氏が、最近発表された希望の党の規約について、「凡そ民主主義政党の規約とは言えない」と酷評しました。
 郷原氏は規約の特徴を次のように断じています。

 党の「最高機関」または「最高議決機関」の規定がなく、「党の上位議決機関を両院議員総会とする」となっているだけある。
「結党時の代表(=小池百合子氏)」は、国会議員の選挙による選任の対象から除外されているうえ、代表の任期は3年で「重ねて就任することができる」とされているので、医学的問題(認知症、がん、脳卒中等)により代表を続けるのが困難であると認識されるとき」以外には解職されることはないので、まず6年代表の地位を継続できる仕組みになっている。

「幹事長」「政調会長」等の党執行部の役員人事の権限も、すべて「代表」に帰属しているほか、「共同代表」「代表」と対当な立場ではなく、「代表を補佐する役割を担う」とされている。

 さらに「代表」が指名する「ガバナンス長」という不可解な役職があり、国会議員の候補者の公認、推薦や、現役国会議員及び国政選挙の候補者となろうとする者の実力及び人物評価を所管するほか、「党員の倫理遵守」の問題についても権限を持つので、これは「希望の党」の国会議員らを小池氏の「統制」に従わせる存在となる。

 郷原氏は、「小池氏は、自分が立ち上げた政党だから、すべて自分のもの。その権利は絶対に手放さないという考え方があるのだろう。しかし、このように党内民主主義が全く働かない小池私党が、政党助成金という公金の交付の対象としての政党と言えるのか、重大な疑問がある」と述べています
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“小池氏独裁”のための、恐るべき「希望の党」規約
郷原信郎が斬る  2017年10月30日
希望の党の共同代表に関して、「選出方法などを定める規約の見直しのための規約検討委員会が設置された」と報じられていたので、希望の党のホームページを見てみたところ、【党規約】が掲載されていた。衆議院選挙公示直前に「都民ファーストの会」を離党した音喜多駿都議が、選挙期間中に出したブログ記事【投票先の選定に当たっては、「公約」だけでなく「規約」も参考になる】で、「『規約』は政党における憲法のようなもの。憲法を読み解けば、その国の性格が一定程度わかるように、規約によってその政党がどのような組織なのかを判断できる。」とした上で、立憲民主党ですら規約が公開されているのに、「希望の党」の規約は一般公開されていないことを指摘していた。

現在は公開されているその「希望の党の規約」を読んでみて大変驚いた。それは、「小池氏独裁」を根拠づけるものでしかなく、凡そ民主主義政党の規約とは言えないものである。選挙中に、公開することができなかったのも当然だったと言える。

他の党の規約を見ると、「自民党」でも、「民進党」でも、「日本維新の会」でも、今回の選挙で消滅することになった「日本のこころを守る会」のような小規模政党でも、「党大会」が党の「最高機関」又は「最高議決機関」とされている。
ところが、希望の党の規約には、「党員」の規定はあるものの、「党大会」も「党員による機関」も規定されていない。「本党の上位議決機関を両院議員総会とする」と規定されているだけだ(6条1項)。あくまで「上位」に過ぎない。規約上、「最高機関」は存在しない

現行の「希望の党」の規約によれば、「結党時の代表」である小池氏は、病気にならない限り、6年間は絶対に解職できないことになっている。
というのは、「代表」の選出は、所属国会議員の選挙で行うことにはなっているが、「結党時の代表」は、国会議員の選挙による選任の対象から除外されている。代表の任期は3年で「重ねて就任することができる」とされているので、「結党時の代表」は、選挙によらず、その意思により6年まで代表の地位を継続できることになる。しかも、政党では、代表を解職する事由として「代表が所属国会議員の信任を失った場合」が規定され、党所属の国会議員の発議による解職が規定されているのが一般的だが、「希望の党」の場合、代表の解職事由は「医学的問題(認知症、がん、脳卒中等)により代表を続けるのが困難であると認識されるとき」に限定されているのだ(8条10項)。

そして、「共同代表」「幹事長」「政調会長」等の党執行部の役員人事の権限も、すべて「代表」に帰属している。「共同代表」といっても、「代表」と対当な立場ではなく、「代表を補佐する役割を担う」とされている。あくまで代表の下で国会議員の活動を総括する立場に過ぎず、「共同代表」と言っても名ばかりだ。

もう一つの特徴は、「ガバナンス長」などという不可解な役職の存在だ。この「ガバナンス長」は、「代表」が指名し、国会議員の候補者の公認、推薦や、現役国会議員及び国政選挙の候補者となろうとする者の実力及び人物評価を所管する。そして、この「ガバナンス長」は、「コンプライアンス委員会」と「コンプライアンス室」を所管し、「党員の倫理遵守」の問題についても権限を持つ。つまり、「代表」に指名された「ガバナンス長」が、党所属国会議員の生殺与奪に関わる広範な権限を持つということだ。
「ガバナンス」というのは、日本語では「統治」という意味であり、「組織をまとめて治める」、「支配し治める」という意味で用いられる。その根本には、その組織の主権者の存在がなくてはならない。株式会社であれば主権者は株主であり、国であれば国民である。主権者の意向に沿い、その利益を損なうことがないように組織を運営することが、ガバナンスである。

そういう意味で、一般的に、政党のガバナンスにおいて、「党員」や「サポーター」等の政党の構成員の存在が意識されているからこそ、「党大会」等が最高意思決定機関とされるのである。この場合の「ガバナンス」は、「党の運営が、党員やサポーターの意向に反しないようにすること」である。ところが、「希望の党」の場合、現行規約を前提とすると、「主権者」に当たるのは、「結党時の代表」である小池氏であり、「ガバナンス」というのは、結局のところ、「党運営を小池氏の意向に従わせること」に他ならない。小池氏の指名で選任される「ガバナンス長」は、「希望の党」の国会議員らを小池氏の「統制」に従わせる存在ということだ。

小池氏は、衆議院選挙での惨敗後も、「創業者としての責任」を強調し、代表を辞任しない意向を明らかにしている。その根本には、「希望の党は、今年2月に、商標登録までして、自分が立ち上げた政党だから、すべて自分のもの。その権利は絶対に手放さない。」という考え方があるのだろう。
しかし、このように党内民主主義が全く働かない「小池私党」が、政党助成金という公金の交付の対象としての「政党」と言えるのか、重大な疑問がある。

政党助成法4条2項は、政党助成の対象となる「政党」の義務として、「政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとする」ことを求めている。
「希望の党」の現行の規約のままでは、政党助成の対象となる「公党」としての政党とは到底言えないことは明らかだ。「希望の党」が、今後も国政政党として、政党助成を受けて政治活動を行っていくのであれば、「小池私党」としての現規約を、根本から改めるべきだ。

「希望の党」の規約に関して、「共同代表の選出方法を定める規約の見直し」が検討されているようだが、創業者の小池氏の独裁を前提とする規約の基本構造を維持し、「共同代表」を「代表が指名する」としている現規約を変更しないまま、単に、「共同代表」の選出のプロセスとして「所属国会議員による共同代表選挙」を規定しただけでは全く意味がない。政党としてのガバナンス、コンプライアンスを考えるのであれば、その前提として、株式会社であれば株主総会に当たる「組織の最高機関」の存在が明確になっていなければならない。そして、党の最高責任者としての「代表」は、その最高機関、それがないのであれば、選挙で国民の負託を受け、党が行う政治活動を行う所属国会議員によって「信任」されていなければならない。結党後初めての国政選挙で所属国会議員の構成が決まった以上、党組織を運営する「代表」は、党大会によるのでない限り、所属国会議員らによる選挙によって選出されるべきである。

もし、「結党時の代表」である小池氏が「創業者」であることを根拠に、党内での選挙を経ることなく「代表」の地位にとどまるというのであれば、その「代表」としての地位は「象徴的なもの」に過ぎず、人事権や、党の公認、推薦等についての権限、政党助成金や政治資金の支出等の党運営についての権限は「結党時の代表」にはないことを明確にすべきだ。

なお、このような「小池氏独裁」の党規約は、今回の選挙における「希望の党」に対する有権者の支持の前提だとする理屈も通用しない。音喜多駿都議が【前記ブログ記事】で指摘しているように、少なくとも、選挙戦の最中には、「希望の党」の規約は公開されていない。選挙後、しかも最近になって公開されたものであり、「希望の党」に投票した有権者が、このような恐るべき「小池独裁」の規約を前提に投票したのではないことは明らかだ。

「希望の党」の現行の規約は、組織のガバナンス、コンプライアンスについての基本的理解を欠いた人間が作ったとしか思えないが、その作成に関わったのは、元検事の弁護士で、2016年8月の都知事選挙以降、小池氏の腹心となってきた若狭勝氏だろう。同氏は、小池氏の選挙区だった東京10区を引き継いで、今回の衆院選に立候補し、比例復活もできず惨敗し、政界を引退すると報じられているが、その敗戦の弁の中で、「党規約の作成等に忙殺され、公示まで選挙区に入れなかった」ことを敗因として挙げている。
(以下若狭氏との関係に関する部分は省略)

   註. 下記をクリックすると原文にジャンプします。

2017年10月30日月曜日

国連 日本の核廃絶決議への支持も減る

 国連総会の第1委員会(軍縮)に日本が毎年提案している核兵器廃絶決議案の共同提案国は、昨年の109カ国から70カ国程度に減りましたが、27日に行われた採決でも賛成は昨年の167カ国から144カ国へと23カ国も減りました。

 日本はいつも国連の核兵器禁止決議案には反対の立場を取りながら、その申し訳に毎年核兵器廃絶決議案を提出してきましたが、今年に限って大幅に共同提案国を失い、賛成国も失ったのには理由がありました。
 今年は国連ではじめて核兵器禁止条約が採択されました。日本はそれにも賛成しなかったのでそれとの整合性は当然問題になりますが、それだけではなく今年の決議案は、昨年は「核兵器のあらゆる使用による壊滅的な人道的結末についての深い懸念」としていたのから、今年は「あらゆる」を削除して「核兵器の使用による壊滅的な人道的結末についての深い懸念」としました。
「あらゆる」という言葉がないと核使用を完全に禁じることにはならず、自衛のためや報復の場合には核使用を容認するというような解釈を生む  というのが専門家の共通見解です。
 また昨年の「核兵器の完全な廃絶を達成」という文言の「達成」を削除して、今年は「核不拡散条約(NPT)の完全履行」に後退させました。NPTは核の使用を禁じていないという見方が一般的です。

 要するに多くの国の賛成を失ったのは、核保有国の支持を得るために文案をここまで後退させた結果である(朝日新聞)ということで、日本はこの問題でも、絶えずアメリカの顔色を窺いながら身を処していくつもりのようです。情けないことです。

 NHKと日経新聞の記事を紹介します。

  (朝日新聞の記事は転載できないので以下にURLを紹介します。
10月29日 核廃絶決議、問われる整合性 核禁条約に賛同しない日本
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国連 日本の核廃絶決議への支持減る
NHK NEWS WEB 2017年10月28日
国連総会の委員会に日本が毎年提出している核兵器の廃絶を呼びかける決議案が採決にかけられましたが、核軍縮に取り組む表現がこれまでより後退したとして支持する国が減り、唯一の戦争被爆国として核軍縮を主導するとしてきた日本の姿勢が改めて問われることになります。
ニューヨークの国連本部で開かれている軍縮問題を扱う第1委員会では、27日、核軍縮に関して各国が提案した決議案の採決が行われました。

日本は24年連続で核兵器の廃絶を呼びかける決議案を提出していますが、ことしの決議案は北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威を繰り返し指摘し、「国際的な緊張関係の緩和を通じ核廃絶を目指す」として、安全保障の重要性を強調しています。

一方で、NPT=核拡散防止条約への言及が減り、日本がアメリカなどとともに反対している核兵器禁止条約にも直接触れられていません

採決の結果、144か国の賛成多数で決議は採択されましたが、167か国が賛成した去年の決議と比べ、核軍縮に取り組む表現が後退したとして、20か国以上が反対や棄権に回ったものと見られます。

日本はこれまで唯一の戦争被爆国として、核兵器の保有国と非保有国の橋渡し役を務め核軍縮を主導するとしてきましたが、決議への支持が減ったことでその姿勢が改めて問われることになります。
日本はことし提出した核兵器の廃絶を呼びかける決議案について、去年の決議から内容をどう変更したかを示す草案を、事前に各国に配布していました。

それによりますと、ことしの決議案では北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威を繰り返し強調し、「核兵器の役割について安全保障上の状況に配慮する」という表現が新たに加えられ、核軍縮にあたっては安全保障の現実を踏まえる必要があるという立場をにじませています。
また去年の決議で「あらゆる核兵器の使用は人道上の被害をもたらす」としていた箇所では、「あらゆる」という部分が削除されていて、核兵器を非難する表現が弱められているとも指摘されています。

一方で、日本がアメリカなどとともに反対している「核兵器禁止条約」への直接の言及はなく、「効果的な核軍縮が必要だ」と強調していて、核兵器を一律に禁止するのではなく、あくまで保有国の同意に基づいた現実的な核軍縮を進めるべきだという立場を示しています。
さらに各国の指導者による広島や長崎の被爆地への訪問を歓迎しながらも、去年の決議では高く評価していたアメリカのオバマ前大統領の広島訪問には触れておらず、オバマ前政権に反発する現在のトランプ政権に配慮したものではないか、という見方も出ています。

軍縮大使 ”決議への意見 謙虚に受け止める”
決議の採択を受け、日本の高見澤軍縮大使は記者団に対し、「ことしは核保有国と非保有国の間で核廃絶という共通の目標にどう向かっていくかについてギャップが広がっていた。今回の決議はそれを反映してこれまでと違う形で調整していたが、核保有国のアメリカ、イギリス、フランスに加え、核兵器禁止条約を推進してきた国も含め144か国の幅広い賛成が得られたのは非常に心強いことではないか」と述べ、採決の結果を歓迎しました。

そのうえで、「ことしの決議は去年とどうして違うのかという声など決議に対していろんな意見が出されたことも事実なので、謙虚に受け止めながら、具体的な措置を進めていきたい」と述べ、核廃絶に向けて核兵器の保有国と非保有国の共通の基盤作りを目指したいという考えを示しました。


日本の核廃絶決議、国連で採択 棄権国増える
日経新聞 2017年10月28日
【ニューヨーク=高橋里奈】国連総会第1委員会(軍縮)は27日、日本が提出した核兵器廃絶決議を賛成多数で採択した。決議は24年連続で採択されたが、2016年から賛成が23カ国減って144カ国となった。国連総会が7月に採択した核兵器禁止条約に日本が反対したことが条約推進国の不信を招き、棄権が増えた。投票国の総数も前年から13カ国減の175カ国にとどまった。
 日本は唯一の戦争被爆国だが、「核の傘」の下にあり、核禁条約に反対している。このためオーストリアやブラジル、南アフリカなど条約推進派は棄権した。棄権は昨年より10カ国多い27カ国となった。反対は16年と同じ中国とロシア、北朝鮮、シリアの4カ国。

 オーストリアのハイノツィ駐ジュネーブ国際機関代表部大使は26日の委員会で日本案に「今年も賛成したかったが、多くの変更点があるため棄権せざるを得ない」と意見表明した。核兵器の非人道性を巡る表現が弱まったことが理由だという。南アフリカなどからも批判が相次いだ。
 採択後、高見沢将林軍縮大使は記者団に対し「幅広く賛成が得られた一方でいろいろな意見が出たことも事実。謙虚に受け止めたい」と語った。

 日本の決議案は核禁条約には一切触れず、核兵器の廃絶には「様々なアプローチがある」とするにとどめた。「すべての国が現実的で効果的なステップをとることを求める」と現実路線を強調し、核兵器保有国と非保有国双方の理解を求めた。

 オーストリアなどが出した核禁条約の早期署名を求める決議118カ国が賛成し採択された。日本は核保有国とともに反対した。反対は39カ国、棄権は11カ国だった。
 核禁条約を巡っては、国際非政府組織(NGO)の「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞が決まり、授賞式には被爆者も出席する予定。国際社会で核軍縮を求める機運が高まっている。

前原氏 日米安保は日本の基盤だと明言

「天木直人のブログ」によれば、29のTBS時事放談に出演した前原誠司氏は、
自分日米安保は日本の基盤と思って来た、この考えに反して安保反対の立場をとる政党、政治家とは一緒になれないのは当然と語ったということで、天木氏はこれが前原氏の本音であり、確信的発言だと述べました
 そう言ったからといって、踏絵があることを隠して全員が希望の党に合流できるかのように欺いたことの弁明にはなりませんが、30日には民進党代表を事実上解任されるので、もはや躊躇する必要はないと本性を現したのでしょうか。

 前原氏が所謂『安保で喰う人たち』の一人で、米国のチャード・アーミテージジョセフ・ナイなどのジャパン ハンドラーズ(日本操縦グループ)と親交があるのは有名なことで、民主党政権時代の2012年10月に帝国ホテルで開かれた日経新聞社と米戦略国際問題研究所(CSIS)の共催によるシンポジウムに、チャード・アーミテージジョセフ・ナイ石破茂氏、玄葉光一郎氏など共に講師として出席しています

 それとは別に、日刊ゲンダイは「~野党を潰すユダたちの正体」で、小池百合子氏と前原氏それに野田佳彦氏を裏切り者としました。まさに自民党に大勝利を進呈した犯人です。

 天木直人のブログと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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日米安保は日本の基盤だと言い切った前原民進党代表の衝撃
天木直人のブログ 2017年10月29日
 今朝(10月29日)のTBS時事放談を見て驚いた。
 前原誠司民進党代表が自民党の石破茂氏と並んで出演し、衆院選の敗因について語っていた。
 敗北を認め、責任を痛感するという言葉は、何度も聞かされてきたから驚かない。

 私が驚いたのは、外交・安保政策で考えの違う政治家を選別する事自体は当然のことだと、今でも言い切った事だ。
 そして、その後で次のように語ったのには驚いた。
 自分の政治家としての使命は日本の外交・政策を担う事である。
 そう言った後で、日米安保は日本の基盤と思って来た、この考えに反して安保反対の立場をとる政党、政治家とは一緒になれないのは当然だ、と語ったのだ。
 これは、まさしく前原氏の本音であり、確信的発言だ。
 そして、この発言は、とりもなおさずこれまでの民主党や民進党の最大の弱点を突いた言葉であり、選挙後に続くであろう民進党や立憲民主党の混迷を言い当てた言葉だ。

 そしてご丁寧に、次のようにつけ足している。
 私が安保法制に反対するのは、日米安保反対の立場から反対している者たちとは違って、日米安保のために出来の悪い安保法制になっているからである、と。
 このような政治家を、民進党は先の民進党代表選で多数決で選んだのである。
 そして希望の党との合流についての前原代表の提案を、民進党議員たちは全会一致で認めていたのである。

 ここまで正体がばれた民進党である。
 これから繰り広げられる民進党の再編成は出口が見えないだろう(了)


バカの一言では済まされない 野党を潰すユダたちの正体
日刊ゲンダイ 2017年10月28日
(阿修羅 赤かぶ 投稿 から転載)
「こんなに勝つとは思わなかった」――衆院選の開票当日、安倍首相は周囲にそう漏らしたそうだ。これって実感なのではないか。
 なにしろ、国民はまったく安倍首相を支持していないからだ。安倍首相に今後も総理を「続けて欲しい」が37%なのに対し、「そうは思わない」は47%に達している。自民党が小選挙区で獲得した票も、全有権者の25%に過ぎず、比例区はわずか17%である。

 それでも、自民党が281議席と圧勝した理由はハッキリしている。野党が「立憲」「希望」「共産」「無所属」などに分裂し、バラバラに戦ったからだ。1人しか当選できない小選挙区制では、野党が乱立したら絶対に勝てない。1対1の戦いに持ち込まない限り勝ち目はない。逆にいうと、野党が結束して戦っていたら、自公に3分の2の議席を渡すこともなかったはずである。
 実際、共同通信の試算によると、もし野党がタッグを組んで戦っていたら62の選挙区で逆転し、比例の獲得議席は変化しなかったと仮定しても、自民党は219議席と単独過半数を割り込んでいたという。過半数を割ったら、安倍首相は即刻、辞任表明に追い込まれていたはずである。政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「もともと、民進、自由、社民、共産の野党4党は、解散の直前まで選挙協力をして自公と戦う予定でした。野党が結束したら、いい勝負になることは昨年の参院選で証明されていた。32ある1人区で11勝している。10・22総選挙も、野党がまとまっていたら互角の戦いになったでしょう。選挙協力が成立した新潟は、野党の4勝2敗でした。比例区の得票数も、自民1855万に対し、立憲1108万、希望967万と合計すると自民を上回っている。野党の分裂が自民圧勝をもたらしたのは明らかです」

 なぜ、予定通り野党4党で選挙協力をして戦わなかったのか。せっかくのチャンスを潰してしまったのか。つくづく愚かというしかない

■百も承知で自民党を利した
 それだけに、選挙の直前に野党をバラバラにした“A級戦犯”の小池百合子と前原誠司の罪は本当に重い。
 2人だって、野党候補が乱立したら自民党を利することは、百も承知だったはずである。なのに、野党第1党だった民進党を解体し、「共産党とは組めない」と野党4党が合意した選挙協力をブチ壊し、その揚げ句、小池知事の「排除発言」によって野党を分断させたのだから度し難い。これでは、自民党に「どうぞ勝ってください」と塩を送ったも同然である。

 いったいこの20年間、小池と前原はなにを学んできたのか。小選挙区制が導入されてから20年、バラバラの野党は、自民党にまんまとやられてきた。2009年の総選挙で政権交代が実現したのは、<民主、社民、大地、国民新党>などの野党が選挙協力し、共産党が半数以上の選挙区で候補者を擁立しなかったからである。

「この10年、日本の有権者の色分けは、ほとんど変わっていません。自公支持者が30%、野党支持者が20%、無党派が50%です。野党が選挙で勝利するためには、野党がまとまったうえ、投票率をアップさせて無党派層を動かすしかない。投票率が69%まで上昇した09年がまさにそうでした。今回、最悪だったのは、民進や希望のドタバタによって、“野党はなにをやっているのか”と有権者の失望を招いたことです。無党派が動かず投票率も53%でした。これでは勝てませんよ」(本澤二郎氏=前出)

 野党4党の選挙協力が整ったことで、10月22日の総選挙は久しぶりに激戦となり、結果的に有権者の関心が高まり、無党派層が投票所に足を運ぶと期待された。なのに、小池と前原がすべて台無しにしてしまった。

初めから野党を分裂させるつもり
 野党が自滅しているようでは、政権交代など夢のまた夢だ。
 どうして、小池と前原は野党を潰すようなことをしたのか。ひょっとして、安倍自民党と裏でつながっていたのではないか。そう疑われても仕方がない。自分たちの行動が自民党を利することは分かっていたはずである。

 そもそも前原代表は、本当に小池知事に騙されたのだろうか。民進党丸ごと希望の党に行けると信じていたが騙された、と流布されているが、本当なのか。
 実際は、右翼思想の自分とは相いれないリベラル勢力は、最初から排除するつもりだったのではないか。その証拠に、排除発言があった後も「すべて想定内だ」「私の判断は正しかった」と胸を張っていた。「共産党とは組めない」とも繰り返し口にしていた。初めから野党結集を潰そうとしていたとしか思えない

 小池知事にしたって、根っこは自民党である。思想信条は安倍首相と変わらない。野党議員や支持者にはシンパシーのカケラもないに違いない。政治評論家の森田実氏がこう言う。
「前原さんと小池さんに対して、騙されたとか、策に溺れたなどと批判する声がありますが、失敗したどころか、“確信犯”だった可能性があります。少なくても、2人が理想とする政治状況が生まれたことは確かでしょう。2人ともガチガチの“改憲派”です。もし、野党4党の選挙協力が行われていたら、自公は3分の2を失っていた可能性が高いが、野党が分裂したために、自公が3分の2を確保し、ひきつづき改憲発議が可能となっています」
 小池百合子と前原誠司は、野党を潰すユダだったのではないか。小池知事は、いざとなったら安倍首相と手を結び、改憲の旗を振る恐れがある。

■裏切り者3人の共通点は「改憲」と「従米軍国」
 もう1人、怪しいのが野田佳彦だ。そもそも、政権を奪った民主党が、あのまま大きな塊として残っていたら、野党転落後も自民党と十分、対峙できたはずだ。なのに、小沢グループを民主党から追放してしまった。
 その揚げ句、最悪のタイミングで「消費税増税」を公約に掲げて解散したのだから、自殺行為もいいところだ。
 野田首相が解散した2012年12月の総選挙は、野党候補が、民主、未来、共産、みんな、社民、維新、大地、国民、新党改革、新党日本……と乱立。自民党は294議席を奪い、政権に復帰している。まさに、自民党に「どうぞ勝って下さい」と権力を譲ったようなものだった。
 この国は野党が力を持って大きくなると、アメリカの力が働くのか、それとも政権が裏工作をしかけるのか、安保闘争の頃から野党が分裂している。

 小池百合子、前原誠司、野田佳彦の3人の共通点は、「改憲派」であり、「従米軍国主義」だということだ。野党を潰したこの3人は、よくも知事や議員をつづけていられるものだ。

「安倍首相はモリカケ疑惑で追い詰められ、大義なき解散と批判されていただけに、野党4党が予定通りに選挙協力をして戦っていれば、退陣に追い込まれていた可能性が高かった。最悪なのは、自民党を勝たせたために確実に改憲に動いてくることです。早くも日本最大の右翼組織“日本会議”は、蠢動(しゅんどう)している。小池百合子と前原誠司が野党潰しに動いた裏になにがあったのか、徹底的に検証する必要があります」(森田実氏=前出)
 この国では本当の政権交代は起きないのか。絶望的である。