2022年12月31日土曜日

徹底追及 統一協会 被害者の解散請求活動に対抗 反対嘆願書呼びかけ

 旧統一協会の元会長ら最古参の幹部が「全ての教会員の皆さん」に対して、協会への解散命令請求に反対する嘆願書を政府に提出するよう要請していたことが30日、分かりました。
 解散を求め活動している被害者や信者2世らに、統一協会が対抗した形です。ただ実際に出された嘆願書の数は公称の信者よりはるかに少ない2万3486通で、それが現在組織が動かせる「信者」の数ということになります。
 統一協会は記者会見で信者数を約10万人と説明し、関係者によると日常的に活動参加しているのは約4万人としていますが、それらに比べても少ない数です。
 いずれにしても今回の教団側の対応は解散命令が出されることを非常に恐れているということの顕われです。10日に成立した救済法は殆ど実効性のないものになってしまいましたが、文科省宗務課に急遽増員されたメンバーは解散命令の実現に向けて注力しているようです。
 すでに全国弁連が獲得した数十例の判決で、統一協会の反社会性・憲法違反の実態は十分に証明されているので、是非解散にこぎつけて欲しいものです。
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徹底追及 統一協会 被害者の解散請求活動に対抗 反対嘆願書呼びかけ
元会長ら最古参幹部 信者に
                      しんぶん赤旗 2022年12月31日
 統一協会(世界平和統一家庭連合)の元会長ら最古参の幹部が、協会への解散命令請求に反対する嘆願書を政府に提出するよう信者に要請していたことが30日、分かりました。解散を求め活動している被害者や信者2世らに、統一協会が対抗した形です。ただ嘆願書の提出数は信者よりはるかに少なく、協会が内部固めのためにしているという見方も出ています。(統一協会取材班)
 嘆願書提出の呼びかけ人代表は、統一協会の小山田秀生元会長と特別巡回師の柴沼邦彦氏です。両氏は11月4日付で信者らに解散請求反対の嘆願書を提出するよう呼びかけ文を公表しています。

政府へ提出求め
 本紙が入手した呼びかけ文は、統一協会を「社会悪」とするような報道があふれていると強調。宗教法人解散の請求が行われないよう政府へ嘆願書を提出することを求めています。
 統一協会系の「世界日報」のウェブサイトによると、同協会は21日に監督官庁の文化庁に2万3486通の嘆願書を郵送したとしています。統一協会は記者会見で信者数を約10万人と説明しています。また関係者によると日常的に活動参加しているのは約4万人で、それらに比べても少ない数です。
 小山田元会長は最古参の幹部で、統一協会が霊感商法を盛んにしていた2001年に会長に就任。柴沼氏は協会関連サイトによると1970年に集団結婚し、15年には特別巡回師に任命された古参幹部です。

上司に絶対服従
 統一協会は正体を隠して信者を獲得し、マインドコントロールで違法な霊感商法や高額献金をさせるなど社会的被害を広げてきました。また上司の指示には絶対に従うように求めています。
 他方、統一協会の信者2世らが始めた解散を求めるネット署名は20万6千人を超えており、社会的に大きな影響を与えています

          (写真)統一協会元会長らによる嘆願書提出の呼びかけ



1日の死者数・クラスター・搬送困難 軒並み過去最悪 第8波 医療逼迫

 コロナの第8波は死者数・クラスター規模・搬送困難事例数で軒並み過去最悪を更新し、医療の逼迫は極めて深刻です

 「救急搬送困難事案」は25日までの1週間で6800に達し、11月以降、50床規模の各病棟でコロナ患者が連続して発生し、すでにコロナ受け入れ病床は超過入院状態です
 コロナ病床使用率は全国的に上昇傾向で全都道府県の4分の3弱で5割を上回り、神奈川、滋賀両県では8割を超えています。東京都のコロナ病床使用率は表向き50%程度ですが、過去の実績の最多は4459床で、その限界に近づいています。
 すでに医療崩壊し、それによってコロナ患者だけでなく、一般の疾患やケガした人が救急医療を受けられず命を失ったり縮めたりしています。
 第7波以降も政府必要な対策をしないままで推移しました。その結果がこの有様で言うまでもなくその責任は重大です。
 何よりもこうなった以上、政府はコロナだけでなく一般の救急医療も逼迫し医療崩壊が起きている現状を国民に正確に伝え、感染防止を徹底するよう繰り返し呼びかけるべきです。
 そして病床確保や発熱外来の拡充、高齢患者に特化した療養施設の設置に取り組むべきことは言うまでもありません。
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1日の死者数・クラスター・搬送困難 軒並み過去最悪 コロナ第8波 医療逼迫
                      しんぶん赤旗 2022年12月30日
 新型コロナウイルス感染症の第8波は、政府が患者の全数把握を放棄して新規感染者数こそ第7波を下回るものの、1日当たり死者数、高齢者施設のクラスター(感染者集団)発生件数、「救急搬送困難事案」が軒並み過去最多を記録、医療の逼迫(ひっぱく)は極めて深刻です。危機的状況を国民に発信することすらしない無為無策の岸田政権に医療現場から怒りの声が上がっています。(内藤真己子)
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 救急車の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」は25日までの1週間で6800件と過去最多になりました。
 「コロナも一般救急も、最近はインフルエンザの患者さんも増え、一晩中救急要請の電話が鳴り続けています」。そう語るのは埼玉県川口市にある埼玉協同病院(399床)の守谷能和内科部長です。同病院は内科や外科の2次救急病院で、年間約3500件の救急患者を受け入れる地域の中核病院です。
 守谷さんが当直だった24~25日には24時間で46台の救急車から受け入れ要請がありました。通常のおよそ2倍以上です。しかし受け入れられたのは15件。31件は断らざるを得ませんでした。「ベッドが満床で、外来処置で帰せる患者さんしか受けられませんでした」と守谷さん。軽症より重症者を断らざるを得ない異常な事態です。

 28日も介護施設で発熱した高齢者が搬送されコロナと分かりましたが、点滴治療をして施設に帰しました。11月以降、50床規模の各病棟でコロナ患者が連続して発生し、入院を制限せざるを得なくなっているのです。コロナ受け入れ病床は超過入院状態です。
 近隣の中規模救急病院でも大規模クラスターが発生。「おそらくどこも似たり寄ったりではないでしょうか。コロナ前はこんなことが1件あれば大問題だったのに医療崩壊が日常になってしまった」と守谷さん。岸田政権は、3年ぶりに季節性インフルエンザの流行期に入ったと発表しましたが、医療逼迫の現状を積極的に国民に伝えていません。
 「第8波ほど医療現場と社会の乖離(かいり)を感じたことはありません医療崩壊でコロナ患者だけでなく、一般の疾患やケガした人が救急医療を受けられず命を失ったり縮めたりしている。政府が必要な対策をしないと失われる命が増えていく」。危機感を募らせます。

患者42%が救急搬送されず
看護師休業 ベッド減に
 コロナ病床使用率は全国的に上昇傾向で全都道府県の4分の3弱で5割を上回り、神奈川、滋賀両県では8割を超えています。東京都ではコロナ陽性者が119番通報で救急要請しても42%が搬送されず不救護になっています。
 東京都北区の王子生協病院(159床)もクラスターが複数の病棟で発生しコロナ病床(12床)の定員を上回る陽性者が入院しています。佐藤未智子総看護師長は「救急で受け入れても外科や専門科の受け皿がない」と訴えます。介護施設で転倒し搬送されてきた患者は骨折していましたが整形外科の受け入れ病院がなく施設へ腹痛で外科処置が必要な患者も受け入れ先が見つかりません
 千葉県北部の流山市にある東葛病院(許可病床366床)は内科や外科の2次救急病院です。15床のコロナ病床には千葉県全域からの要請があります。
 大きなクラスターは起きていませんが、家庭内で感染したり濃厚接触者になって休業する看護師が常時1割前後います。そのためベッドの25%が稼働できていません。救急搬送の受け入れ率は通常8~9割のところ6割に低下しています。「かかりつけか、受診歴のある患者さんしか受け入れられないときもある」と阿部純一副事務長。1日30人枠の発熱外来はネット予約に切り替えましたがすぐに埋まり、「連日、倍以上のキャンセル待ちが出ている」と言います。

都の病床使用率 限界近く
首都圏の複数の病院で働く日本共産党東京都委員会コロナ対策本部長の谷川智行医師の話
 医療崩壊は深刻です。12月中旬に都内の救急病院で当直した時には、一晩で7件の救急車を受け入れました。激しいがん性疼痛(とうつう)の患者さんは化学療法中の大病院が対応できず、別の病院で鎮痛剤を注射。それでも痛みがとれず当院で入院を受け入れましたが、翌朝亡くなりました。手術の傷口が開き大量出血している方も、外科の受け入れ病院がなく搬送困難例として受け入れ、内科の私が縫合しました。かかりつけ患者さんさえ受け入れられない救急医療の現状は異常です。
 コロナ死者数の増え方を見ると、実際の感染者数は第7波を超えているでしょう。東京都のコロナ病床使用率は表向き50%程度ですが、過去の実績の最多は4459床で、限界に近づいています

 政府はコロナだけでなく一般の救急医療も逼迫(ひっぱく)し医療崩壊が起きている現状を国民に正確に伝え、感染防止を徹底するよう繰り返し呼びかけるべきです。病床確保や発熱外来の拡充、高齢患者に特化した療養施設設置へ、大軍拡をただちにやめ財政支援を強めることが欠かせません。

戦慄の令和の粛軍事件-失脚させられた「元海将」の謎を解く(世に倦む日々)

 26日に突然、海上自衛隊の井上高志氏が「特定秘密」漏洩の疑いで摘発され、懲戒処分を受け書類送検されたことが報じられました。漏洩先は井上氏の先輩にあたる「元海将」とされ具体的な氏名は明らかにされていませんが、ネットでは香田洋二氏の名前があがっているということです。

 漏洩された内容は、海自が収集した情報といった特定秘密のほか、自衛隊の運用状況、自衛隊の訓練に関する情報といった秘密で、その中には米国に関連するものもあるということです。
 注目すべきことはこの事案は20年3月に起きていて、3月中には防衛省に通報があったにもかかわらず2年半の期間放置された後に、この度処分が行われ公表されたという点です。
 世に倦む日々氏がこの問題について彼一流の推理力を発揮して考察しました。
 同氏は今回の事案を背後で操ったのは米国であり、海自を退職後も隠然たる影響力を有している香田洋二氏を排除することで、米国が海自を自由自在にコントロールできるようになり、台湾有事の手足として誰からも妨害されず使うことができるようにすることが目的だったと見ています説得力のある興味深い記事です。
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戦慄の令和の粛軍事件 - 失脚させられた「元海将」の謎を解く
                      世に倦む日日 2022年12月29日
12月26日、海自の情報業務群司令だった一佐の井上高志が、「特定秘密」漏洩の疑いで摘発され、懲戒処分の上で書類送検されるという事件が発生した。特定秘密保護法違反が初めて適用された衝撃のニュースである。漏洩先の相手は海自OBの「元海将」とだけ伝えられていて、海自とマスコミは名前を公表していない。ネットでは香田洋二ではないかという噂が広まっている。「元海将」の経歴情報や「講演のために必要だった」という説明から、香田洋二ではないかと憶測するのは自然なところだ。私も同じ見方である。「元海将」と井上一佐は元の上司部下の関係で、「元海将」の依頼に応じて、横須賀の艦隊司令部庁舎内で安保情勢のブリ―フィングをした際、「特定秘密」を漏洩した。

マスコミ報道は、「元海将」には「特定秘密」を聴き出そうという意図はなく、特定秘密保護法に抵触するという意識はなかったように報じているが、私は、それは嘘だと考える。井上一佐の方にはそれが「特定秘密」だという自覚があった。自覚はあったが、相手が「元海将」であり、元上司へのブリーフィングであり、海自艦隊司令部から依頼された任務(面談)であったため、問題にはなるまいと思って機密情報を伝えたのである。井上一佐本人にとっては、漏洩ではなく報告の意識だっただろう。マスコミは、井上一佐と「元海将」の関係が日本的な親分子分の間柄で、だから法令順守を逸脱する不覚をとったという俗っぽい「解説」をしている。だが、それは違うだろう。真実の正確な説明ではない。

「元海将」が香田洋二であった場合、その存在は、海自の現役隊員にとって事実上のオーナー格であり、海幕長や統幕長よりも「偉い」指導的立場の棟梁だ。読売新聞社の幹部にとっての渡辺恒雄とか、京セラ社幹部にとっての稲盛和男のような超越的存在で、たとえ組織の現役の上官でなくても、要求や依頼があれば、積極的に応じてサービスを提供するのは当然の義務なのである。憲法9条と自衛隊法の海自から日米同盟の攻撃型の海自へ、その転換と改造と拡張を果たし、中国との戦争で主力となる強大な艦隊と戦力を作ったのは、他ならぬこのオレだという自負が香田洋二にはある。海自の現役幹部たちはみな香田洋二に育てられた元部下で、香田洋二の指導と監督の下でネイバル・オフィサーに育った者たちだ。

そしてまた実際に、香田洋二の地位と実力というのは、海自にとって領導者の存在であり、装備や編成や作戦の構想計画も、人事も、香田洋二に負うところが大きい(大きかった)のである。海自の頭脳だったのだ。海自OBで大物は何人かいる。伊藤俊幸とか河野克俊がいる。階級的には河野克俊の方が上だ。だが、河野克俊は軍人というより政治家で、安倍晋三とアメリカに気に入られている評論家に過ぎない。現場に実務的に影響力がある香田洋二とは比較にならない。香田洋二は軍人であり、海軍の中身を知っている。人脈的心情的に、現役士官のコミットは、香田洋二に対しての方が河野克俊に対してよりもはるかに強いだろう。頭脳であり事実上のトップだったから、香田洋二には「特定秘密」化された情報が必要だったのだ。作戦の立案設計のために。

だから、「元海将」の側にそれが「特定秘密」だという認識はなかったという説明は作り話である。艦隊司令部の情報司令からブリーフィングを受ける者が、何が「特定秘密」で何が「特定秘密」でないかを知らないわけがない。どういう情報の分類になっているか、機密の整理箱を知らないわけがない。現場を知っているから香田洋二にはディレクターとしての力があるのである。香田洋二は、横須賀に「特定秘密」を聴き出しに来たのだ。そして元部下の井上高志は、リスクを認識しつつその要求に応じたのだ。相手が事実上の「軍令部長」だから。井上高志も、香田洋二に育てられた弟子の一人だろう。中日ドラゴンズの星野仙一と中村武志の関係だろう。井上高志は、海自に初めて作られた情報業務群の初代司令で、おそらく香田洋二が差配した人事だと思われる。

井上高志は、防衛大ではなく東北学院大の出身だ。防衛大閥で固められそうな幹部クラスの構成の中で、この初代司令への抜擢は異例の人事と言える。香田洋二が目をかけた優秀な逸材だったからと考えられ、また、その抜擢の恩義もあり、井上高志の香田洋二への忠誠心は特に強かったと推測される。以下は想像だが、今回の3文書で新設されることになった「統合司令部」に、おそらく、井上高志は海自の中心将校の一人として入る予定だったのではないか。すなわち、現在は艦隊情報群と名称を変えた海自の司令中枢のエースであり、海自「参謀」のリーダー格である。そしてまた、事実上の海自トップである香田洋二から指示を受け、薫陶を受け、次の戦争で海自艦隊を具体的に動かす意思決定役の重職だ。秋山真之とか島村速雄の立場である。

だから、私は今回の出来事を粛軍事件と見る。目的は香田洋二と井上高志の排除である。それでは、誰が香田洋二を失脚させたのか。考えるまでもなく米軍CIAという答えになる。27日付の朝日新聞1面記事に重大な事実が書かれている。

発表によると、井上1佐は2020年3月19日、神奈川県横須賀市の司令部庁舎で、自衛艦隊司令官を務めた海自OBの元将校に、周辺情報について海自が収集した情報といった特定秘密のほか、自衛隊の運用状況、自衛隊の訓練に関する情報といった秘密を故意に伝えた疑いがある。(略)元海将は「講演する機会があ正確な情報を把握するためだった。秘密の提供は求めていない」と話しているという。防衛省関係者によると、漏洩した特定秘密は装備品の性能や部隊の能力に関するものではないが、米国に関連するものだった。

この最後の部分、要するに米軍の配備や展開、作戦計画に関する情報が「特定秘密」で、これを井上高志が漏らし、香田洋二が得ていたことになる。確かに、これは自衛隊の実務中枢にアクセスしないと、香田洋二の顔だけでは外からは取れない情報だ。そしてまた、「陰の軍令部長」たる香田洋二には喉から手が出るほど欲しい情報。問題は、3月19日にこの漏洩が行われた直後、3月中に防衛省に通報があり、事案が発覚している点である。すぐに露顕してしまっている。そして、今回、井上高志が捜査で自供し書類送検までされたということは、その時点で漏洩の証拠を誰かに掴まれたことを意味する。おそらく、香田洋二が誰か(複数)にペラペラ喋ったのだろう。で、聞いた者が「それは特定秘密のはずなのに」となり、防衛省に密告したのだろう。

密告から今回の書類送検まで、約2年の時間が経っている。何があったのかを松本清張な思考回路と分析視角で推理しないといけない。上にも書いたとおり、香田洋二は海自のオーナー格で、現場組織に絶大な影響力があり、この程度の問題を誰かに密告されたところで、普通は握り潰されて済まされるところだ。香田洋二もそう考えていて、まさかこんな事件に発展するとは思ってなかったに違いない。また防衛省と官邸は、2年間も机の引き出しに溜めていたわけで、その気になればいつでも摘発できたのである。この謎解きは、やはり、ネットで喋々されているとおり、最近の香田洋二の発言に関わっていると思われる。「43兆円の防衛費は身の丈を超えている」とか、「砂糖の山にたかるアリ」という政府批判の発言が、黙過・容認されざるところとなったのだろう。

長い間、自衛隊の予算を増やせと言い、軍備拡張を唱えてきた右翼の香田洋二にも、現在の防衛政策の内容は不満なのであり、構想と計画が違うのだ。異議を唱えているのであり、オレの提言方向にしろと文句を言っているのである。今、台湾有事に向けての具体的計画が着々と決められている。武器の配備、艦隊の展開、部隊の運用が工程表に落とし込まれている。たぶん、その中身が香田洋二の考え方と違うのであり、香田洋二にすれば、オレの海自を勝手に動かすな、間違った作戦を組むなと言いたいのだろう。もっと言えば、オレを外すなと言いたいのかもしれない。香田洋二を外して誰が作戦を立案しているかと言えば、その主体は米軍CIAしかない。つまり、海自の戦力をフリーハンドで使いたい米軍にとって、外からあれこれ指図して口を出す香田洋二が邪魔になったのではないか

もともと、特定秘密保護法の制定はアメリカが日本に要求してきたもので、米軍の情報が日本から外に漏れることを防ぐことが目的の第一だった。平和憲法体制下にあった日本にはこの制度はなかった。アメリカはそれを心配し、マスコミでの世論工作の絨毯爆撃の末に安倍晋三の政権下で強行成立させたのだが、その定着にずっとナーバスでいたのだろう。日本の場合、こんな感じで、組織の実権者・最高実力者が組織の外にいて「うしろみ」(=丸山真男の『政事の構造』)の機能を果たす。リモートコントロールする。権力の根源は情報だから、外から「うしろみ」が情報にアクセスに来る。「うしろみ」がアメリカの方針に忠実に従う者ならよいが、独立に意思を持ち、別の戦略を口出しするようになると、アメリカはそれを排除しなくてはいけない

今回、こうして香田洋二を排除することで、アメリカは海自を自由自在にコントロールでき、台湾有事の手足として誰からも妨害されず使うことができるようになった。今回の事件は、アメリカによる自衛隊の粛軍であり見せしめだ。台湾有事を前にしての軍の粛清と権力の統制一元化だ。無論、それに手を貸した日本の軍国指導者たちがいる。

31- 裁量労働制の拡大 「定額働かせ放題」の規制こそ(しんぶん赤旗)

 裁量労働制の対象業務の「専門業務型」デザイナーなど)に新に金融機関での企業合併・買収を助言する業務が加わりました(他には事業運営に関する企画立案などの「企画業務型」があります)。
 裁量労働制は実際に働いた時間と関係なく事前に定めた時間だけ賃金しか支払われない制度で、その致命的な欠点は、当初の見積もり時間から大幅に超過してもその分は補償されないことです。それを避けるためにはそうしたリスクを見込んだ所要時間に設定する必要がありますが、使用者(発注者)と労働者(受注者)の力関係からそうはならず、結果的に当初から懸念されていた通り「定額働かせ放題」になっています。
 そもそも安倍政権がこの制度を導入しようとした際に、労働者の利益に合致するというデータを捏造したという経緯がありました。こうした労働者泣かせで労基法の精神に反する制度は、対象を拡大するのではなく規制を強化するべきです。しんぶん赤旗の「主張」を紹介します。
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主張裁量労働制の拡大 「定額働かせ放題」の規制こそ
                      しんぶん赤旗 2022年12月30日
 裁量労働制の適用対象拡大の動きに懸念の声が上がっています。裁量労働制では、実際に働いた時間と関係なく事前に定めた時間だけ働いたものとみなし、その時間しか賃金が払われません。デザイナーなどの「専門業務型」と事業運営に関する企画立案などの「企画業務型」があります。厚生労働省の労働政策審議会は27日、金融機関での企業合併・買収を助言する業務を専門業務型に加える案を了承しました。「定額働かせ放題」と批判される裁量労働制は、長時間労働が広がるなど問題が浮き彫りになっています。対象拡大ではなく規制強化が必要です。

過労死ライン労働者増加
 労働時間は1日原則8時間です。通常の労働者はタイムカードなどで時間を測り、延長分は、使用者が残業代を払う義務があります。一方、裁量労働制を適用された労働者は12時間など長時間働いても、労使合意で8時間働いたと「みなす」とされれば、超過分の残業代は払われません。時間管理も労働者の裁量に委ねるとしていますが、実態は、使用者に業務量を決められるケースが多く長時間労働をまん延させる温床になっています。
 2018年、安倍晋三政権は裁量労働制を「営業」などに広げる案を「働き方一括法案」に盛り込みました。しかし、「裁量労働制の労働時間は一般労働者より短い」などとした調査データのねつ造が発覚し、世論の批判で削除されました。岸田文雄政権は6月の骨太方針に速やかな見直しの方針を打ち出し、議論を進めようとしています。厚労省が労政審に出し直した「裁量労働制実態調査」(21年6月公表)では裁量労働制の適用者の労働時間はそうでない労働者より1日平均で21分長くなっています。1カ月に換算すると過労死ラインとなる週60時間以上働く裁量労働制の労働者は8・4%で、そうでない労働者4・6%の1・8倍です。
 裁量労働制の労働者は、午後10時~午前5時に仕事をすることが「よくある」(9・4%)、「ときどきある」(24・9%)で計34・3%を占めました。そうでない労働者の「よくある」、「ときどきある」の合計は17・8%です。
 裁量労働制の労働者が、自分で決めた時間内に終わらなかった仕事を自宅などに持ち帰ったことが「よくある」、「ときどきある」は合計39・1%で、そうでない労働者の合計18・2%の2・1倍でした。過酷な労働実態は明らかです。
 日本労働弁護団の裁量労働制アンケート(22年10月)には、「在職死亡が増え、精神疾患が激増した」(記者・編集者)、「業務量が多すぎて自由に働けない」(デザイナー)、「ただの長時間労働使い放題、メリットなんかない」(システムエンジニア)など労働者の切実な声が寄せられています。

対象拡大は命にかかわる
 裁量労働制の対象拡大は、残業代なしで労働者を働かせたいという財界の要求です。野村不動産が営業担当の労働者に企画業務型を違法に適用し、過労自殺に追い込んだ悲劇などを繰り返してはなりません。
 ホワイトカラーを際限のない長時間労働に追いやる企画業務型を廃止し、専門業務型も真に専門的な業務に限り、要件と運用の厳格化こそ急ぐべきです。

2022年12月30日金曜日

コロナ感染死415人/日 過去最多 高齢者施設クラスターも2週連続最多

  厚労省が28日に発表した新型コロナ感染による1日の死者数は415人で過去最多を更新しました。これまでの最多は第7波の9月2日で347/日でした。

 第7波ではその後20日余りで100人/日 のレベルまで下がりましたが、今回は死者数はまだ増加の一途を辿っているのでこの先どこまで増加するのか、どこにピークが来るのか見当がつきません。
 高齢者福祉施設でのクラスターは954件で、2週連続で過去最多を更新しています。
 感染者数に関して専門家は、「現状では十分なスクリーニングが行われていない(⇒捕捉率が低い)」ので実態は第7波を超える感染状況ではないかと述べています。正月を目前にして既に容易ならない状態になっています。
 しんぶん赤旗は、全く学習せず無為無策を続けている岸田政権の責任は重大と述べています。
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コロナ 感染死415人 1日最多 高齢者施設クラスターも2週連続
                      しんぶん赤旗 2022年12月29日
 厚生労働省が28日に発表した新型コロナ感染による1日の死者数は415人で過去最多を更新しました。これまでの最多は第7波の9月2日で347人でした
 また、同省が同日発表した直近1週間のクラスター発生状況によると、高齢者福祉施設でのクラスターは954件で、2週連続で過去最多を更新しました。先週は885件でした。
 高齢者は基礎疾患を抱えるなど重症化・死亡リスクが高く、高齢者施設でのクラスターは死者数増加の大きな要因となります。先週22日の死者数は339人で過去最多レベルに達していました。
 高齢者施設でのクラスターはウイルスの侵入が原因で起こります。検査体制の拡充をはじめ、高齢者を保護する対策が急がれます。同時に、感染者を迅速かつ適切に医療につなぐことが不可欠で、入院を保障する体制の確保が急務です。

 28日に公表された新たな新規感染者は21万6219人で、第7波に匹敵する水準になっています。専門家からはこの間、「現状では十分なスクリーニングが行われておらず、実態は第7波を超える感染状況で、致死率は第7波より低いが、死者の絶対数は多くなっている可能性がある」との指摘も出されていました。
 オミクロン株の特性やワクチンの普及、感染による免疫獲得などから重症化のリスクは全体として低下しつつも、感染が拡大すれば、重症者、死者の絶対数が増えてくるのはすでに経験してきたことです。全く学習せず、無為無策を続けている岸田政権の責任は重大です。

政府の介入方針批判 学術会議が国民に説明文書(しんぶん赤旗)

 岸田政権(内閣府)は12月6日、「内閣府「日本学術会議の在り方についての方針」なるものを発表しました。その中には日本学術会議の「会員選考過程に関与する第三者委員会」の設置を含む法改正を、次期通常国会に提出する予定であることも記載されているということです。他者がある組織の人事に介入することは、そのまま組織そのものに介入することに他なりません。
 菅政権時代に、学術会議委員の半数交代に当たり、学術会議が提出した候補者名簿から6名を除外したことで、学術会議への不当な介入としてあれだけ批判されたにもかかわらず、今度は法制度上(最終的に)政府が介入できるようにするわけですから、開いた口が塞がりません。
 日本学術会議は声明:「内閣府『日本学術会議の在り方についての方針(12月6日)』について再考を求めます」を12月21日に出しました。そして27日には、国民に対して声明の趣旨についての説明文書を発表しました。
 声明が抗議の趣旨を簡潔に示しているのに対して、説明文書はより丁寧にその趣旨を説明しています。文書は国民が対象なのですが、政府に対して噛んで含めるように説いているとも理解できます。
 しんぶん赤旗が解説と説明文書について記事を出しました。
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政府の介入方針批判 学術会議が国民に説明文書
                      しんぶん赤旗 2022年12月29日
 日本学術会議の運営や会員選考に介入しようとする政府方針に対し、「強い決意をもって」再考を求めている同会議は27日、梶田隆章会長名で、広く国民に向けて学術会議の考えに理解を求めるための説明文書を公表しました。政府の方針には、学術会議の性格を根本的に変え、独立性を侵害しかねない深刻な問題があると指摘し、「方針」を批判しています。
 「方針」は、来年の通常国会への改正法案提出を予定。会員選考への第三者委員会の関与など新たな仕組みを提起しています。
 これに対して説明文書は、法改正を必要とする具体的な理由(立法事実)が示されないまま既定路線とされていることに強い危惧を表明。
 第三者委員会の権限や委員の構成などが示されておらず、
 ▽学問の独立性を保つために世界のアカデミーが採用する現行の会員選考方式を放棄することになりかねない
 ▽首相による透明性を欠いた任命拒否に道が開かれ、繰り返されかねない
 ▽すでに進んでいる、現行法のもとでの会員選考が覆されることになり、それ自体、会員選考への重大な介入となる
―と指摘しています。
 政府と「問題意識や時間軸」を共有することを強く求める「方針」に対し、学術には政治や経済とは異なる役割があることを強調し、「方針」を批判しています。
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学術会議の説明文書 要旨

 日本学術会議が27日に公表した説明文書の要旨は以下の通り。(全文は日本学術会議のホームページで読めます)
 本会議は政府方針について6点の懸念事項を指摘しており、それについて詳しく説明する。
 ①「方針」も内開府の説明も、法改正を必要とする具体的な理由(立法事実)に触れていない。法改正を行う場合、合理的根拠となる立法事実の提示が必要で政府は説明責任を負う。立法事実が示されないまま、法改正が既定とされることに強い危惧をいだく。
 ②現在の会員が主体となって、「優れた研究または業績のある科学者」の中から新会員を選ぶ選考方法(コオプテーション方式)は世界のアカデミーに共通したもので、本会議が独立して職務を行う大前提である。「方針」で示された会員選考に関する第三者委員会の設置は、その権限や拘束力によっては会員選考における本会議の独立性を損なう
 独立性が重要なのは、学術が政治や経済などと異なる学術固有の価値基準で行動することで、政策決定や学術の発展、人類の福祉に貢献することを目的とするからである。独立性が損なわれれば結果的に国民や人類の福利に影響する
 コオプテーションの本旨に立ち返り第者委員会の設置方針自体が見直されるべきだ。内閣府は「方針」策定にあたり国費で各国のナショナル・アカデミーのあり方を調査している。調査結果を公表し、諸外国の事例が参照されるべきである。
 ③政府は理由も示さ6人の会員の任命拒否を続けている。透明性を欠いた任命拒否が繰り返されないことは、本会議の独立性にとり幹となる条件である。「方針」では会員選考過程で第三者委員会の意見の尊重義務が想定されている。そうなれば、それを理由に任命権者(首相)が任命を拒否する道が開かれ任命拒否が「正統化」され繰り返されることに強い危惧を抱く。
 仮に会員定数を上回る候補者から首相が任命することになれば、首相の政治的判断で選別することとなる。
 ④本会議がすでに、現行法の下で説明責任を果たしつつ、新たな方式による会員選考を進めているにもかかわらず、「方針」が現会員の任期を延長し改定法の下で新会員選考を行うとしていることに驚きを禁じ得ない
 本会議は現行の下で会員選考を行う責務を負っているが、法改正されれば、避考結果が覆されることになる。それ自体が、会員選考への重大な介入になりうるもので、本会議の職務の遂行に深刻な影響を与える。
 政府の判断で一方的に任期を変更することはご都合主義との非難を免れない
 ⑤現行の3部制に代えて4部制が唐突に提案された。これは学問体系に即した内発的論理によらない政治的・行政的判断による組織編成の提案ある。本会議の構成を変える可能性自体は否定されないが、学術コミュニティーを代表する機関として、どのような組織構をとるかは自律的に判断するもので政府や外部諸団体が決めることではない。本議の独立性の根幹にかかわり、政治や行政側から一方的に組織改変を行うような法改正は独立性を大きく損なう
 ⑥「方針」では、「政府等と問題意識や時間軸を共用」することが再三言及されているが、それには建設的な対話ができる環境が必要である。
 学術には一国に限定されない普遍的な価値と真理の追求という独自の役割があり、一国の利害に左右されず知の探究を通じて人類全体に奉仕する意味が含まれ

 政策決定における重要な学術的知見は、政府と問題意識を共有しないところからも得られる。中長期的観点から物事を考える学術と短期的な判断を迫られる政治的意思決定の間で時間軸を共有できない場面があるのは当然である政府とは異なる「問題意識や時間軸」で課題を提起し社会に問うことも学術の役割であると強調したい。 

30- 統一教会最古参元幹部が安倍晋三と教団の深い関係をテレビで激白(LITERA)

 28日放送の『報道1930』(BS-TBS)であらためて安倍三代と統一教会の関係について検証が行われ、統一教会の最古参元幹部である阿部正寿氏が初めてカメラの前で証言しました。

 同氏は協会発足時の有力者「12双」の一人で、文鮮明の信頼が厚く、信者の獲得を命じられイギリスやイスラエルで布教活動をおこなって、日本に戻ってきたのが安倍晋三氏が下野していた2010年でした。
 阿部氏は、失意の安倍氏を自身が会長を務める統一教会系の「世界戦略総合研究所」に招いて講演会を開催したほか、「安倍元首相を励ますため」高尾山の登山を企画し、12年4月30日に総数300人に上る登山のイベントを実行しました。そこで多くの人たちから激励されたことから再度首相を目指す気持ちになったということです(登山を企画したのは後に首相補佐官を務めた長谷川榮一氏という説もあるようですが、統一教会が300人を集めたという方に信憑性があります)。
 祖父の岸信介や父の安倍晋太郎氏は目的意識的に統一教会に近づきましたが、晋三氏は母洋子氏の制止もあってそれまでは統一教会とは一定の距離を置いていました。
 それがこのイベントを機に教団に近づきました。統一教会は自信を喪失している人に近づいて自家薬籠中のものとする能力に長けているようです。
 LITERAの記事を紹介します。
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統一教会最古参元幹部が安倍晋三と教団の深い関係をテレビで激白! 総理復帰を決意させた「高尾山登山」にも深く関与
                            LITERA 2022.12.29
 今年国内で起こった最大の事件は、何と言っても安倍晋三・元首相の銃撃事件、そして銃撃事件をきっかけにし、安倍元首相を中心とする自民党と統一教会の癒着関係が暴かれたことだろう。
 しかし、自民党および岸田政権は、癒着の根幹にかかわる安倍元首相と統一教会の関係について調査することすら拒絶したまま。当初は一部メディアでは追及の姿勢を見せていたものの、いつの間にか尻すぼみとなり、いまではまるで終わったことのように扱われている。
 だが、そんななかにあって、28日放送の『報道1930』(BS-TBS)では、あらためて安倍三代と統一教会の関係について検証。しかも、統一教会の最古参元幹部である阿部正寿氏が、なんと初めてカメラの前で証言をおこなったのだ。
 阿部氏は、文鮮明氏が1969年に初めて日本でおこなった合同結婚式に参加した「12双」のひとりで、統一教会草創期からの信者。国際勝共連合の事務総長のほか、1970年に岸信介元首相が大会推進委員長を務めた世界反共連盟の世界大会では責任者を務めるなど、日本の統一教会を語る上で外すことのできない最重要人物のひとりだ。
 今回、阿部氏は“統一教会による多額の献金で苦しむ信者たちのためにインタビューに応じた”とし、実権を握る韓国本部が日本の教団に多額の献金を求めていることに対して怒りを見せ、「日本人をコケにしている。私は許せない」「日本の超党派で調査団を韓国に派遣すべき。献金の実態を調査すべき」と提言。文鮮明氏についても「教祖として尊敬はしている」としながらも「心の中ではこの人は相当反日だと思っていました」と語った。
 しかし、今回成功した阿部氏の独占インタビューでもっとも注目すべき点は、安倍元首相と統一教会の接点について語られた部分だ。
 というのも今回、阿部氏は、いかに統一教会が安倍元首相とのパイプを重要視していたのか、さらに阿部氏が安倍元首相を再び総理に返り咲かせるために尽力したかを、赤裸々に語ったからだ。
 統一教会が安倍晋三氏に接近した理由。それは「安倍晋太郎と文鮮明に約束があったから」だと阿部氏は言う。
「安倍総理のお父さんの安倍晋太郎さんとうちの久保木(修己・統一教会初代)会長は仲良かったんです。文先生は安倍晋太郎さんに言った。あなたがもし自民党総裁、首相になったら、まずは韓国に来たときは、大統領官邸に行くんじゃなくて、文先生の自宅がある漢南洞に挨拶に行きなさい。それと日韓トンネルを応援しなさい。約束したんです」
 統一教会初代会長と仲を深め、総理になったら日韓トンネルを支援するなどといった約束を文鮮明教祖と交わしたという晋太郎氏。だが、晋太郎氏は総理大臣の座に就くことなく病死。そこで、約束の遂行のために後継者である晋三氏を応援したというのだ。阿部氏はこう語る。
「安倍晋三個人は全然知らないんだから。でも、文先生と約束した安倍晋太郎の息子だったら、その使命は残っているはずだから、絶対に(総裁を)安倍晋三にすべきである」

安倍晋三に総理復帰を決意させた「高尾山登山」にも統一教会関係者がこぞって…
 阿部氏は文鮮明氏に信者の獲得を命じられイギリスやイスラエルで布教活動をおこない、日本に戻ってきたのは2010年だったという。そう、まさに安倍晋三氏が下野していたときだった。
 絶対に安倍晋三を総裁・総理にしなければならない。そこで阿部氏は、自身が会長を務める統一教会系の政策シンクタンク「世界戦略総合研究所」で安倍元首相を招いて講演会を開催したほか、「気落ちする安倍元首相を励ますため」に高尾山の登山を企画したという。
 この阿部氏が企画したと言う「高尾山の登山」というのは、2012年4月30日におこなわれたものだ。「安倍元首相にもっとも近いジャーナリストのひとり」と呼ばれてきた元TBS記者の山口敬之氏は、安倍ヨイショ本『総理』(幻冬舎)のなかで、この2012年4月の高尾山登山を〈重要な変化を与えたイベント〉〈5カ月後の総裁選に向けて一つの転機となった〉と記している。
 しかし、山口氏はこの登山について、企画したのは第二次安倍政権で首相補佐官と内閣広報官を務めた長谷川榮一氏であり、〈フェイスブック上で、「安倍元総理と一緒に登りませんか」と一般国民に呼びかけた〉と記述。〈フェイスブックの呼びかけを見てやってきた300人はいようかという登山者が、安倍の周りで大きな塊を作った〉〈安倍に掛けられる声はどれも温かった〉〈安倍と昭恵は、満面の笑みで記念撮影の求めに応じ、握手をし、言葉を交わした〉としている。
 だが、この安倍元首相に総理復帰を決意させた高尾山登山について、阿部氏はこう語ったのだ。
私たちが若者たちを300人ぐらい集めてですね、『安倍先生、もう一度立ってください。私たちは応援しますよ』と。そのときね、安倍さんは『自分は日本国民に迷惑をかけたから、それはできないんだ』と言ったんだけど、いや、そんなことなくて、やっぱり安倍先生あなたしかいないんですよね。(安倍氏は)自分を支えてくれる人がすごいいるんだったら、自分ももっとやっていいと思えて、もう一度ね、選挙出て、それで彼は立ったんだ
 よほど思い出深いのか、ときに声を震わせ、涙ぐみながらこのエピソードを語る阿部氏。つまり、阿部氏の主張では、安倍元首相を励ますために駆けつけた300人というのは、文鮮明との約束を遂行させるために是が非でも安倍氏を総理に返り咲かせようとしていた統一教会の力によって集められた、というのである。
 実際、この日の登山には統一教会系の人脈が参加していたことが確認されている。たとえば、「世界戦略総合研究所」の事務局次長である小林幸司氏や筆頭理事の加藤幸彦氏も参加。小林氏はその後、2013年〜2016年の「桜を見る会」に4回連続で招待されている人物だ。さらに、安倍応援団のひとりである小川榮太郎氏も参加していたが、小川氏と阿部氏は「1年に何度か会う」仲であることを小川氏自身が認めている。また、高尾山がある八王子の統一教会とのズブズブの関係が明らかになっている萩生田光一氏も、安倍元首相一行と下山後に合流したことをブログに写真付きで記している。
 小川氏は「高尾山登山は私が仕切ったもの」と主張しているが、誰が仕切ったのかどうかは別として、少なくともこの登山に統一教会系人脈が流れていたことは事実だ。さらにいえば、安倍元首相を励ますための登山には、前述した長谷川榮一氏や首相秘書官を務めた今井尚哉氏、内閣情報官や国家安全保障局長を歴任した北村滋氏といった第二次安倍政権を支えた官邸中枢の人物がかかわっていた。もし、本当に阿部氏が300人もの若者を集めたのが事実であれば、その後の側近たちは皆、安倍氏と統一教会の関係や、その関係の重要性を理解していたことになるだろう。

自民党本部と統一教会の深い関係を追及するスクープが潰されたとの情報も…
 このように、安倍元首相と統一教会の関係を追及する上で重要な証言が飛び出した、今回の『報道1930』。自民党と統一教会の関係を清算する上で、安倍元首相と統一教会がいかに関係を結んできたのかという事実の解明は欠かせないものだ。そして、継続した取材がいかに重要か、今回の『報道1930』は示したともいえる。追及すべき人物や事柄はまだまだある。追及をつづけることで、新たな証言を得て事実を明らかにすることはできるからだ。
 だが、残念ながらどうやら大手メディアは相当、及び腰になっているようだ。
 というのも、27日に配信されたYouTube番組「Arc Times The News」では、ゲスト出演していた有田芳生氏が「ある新聞社が、自民党本部にかなり統一教会が入り込んでいたというスクープを記者が書こうとしたら、ストップがかかったというのですよ」と発言。有田氏は「1月1日に大スクープで出るんじゃないか」と期待を寄せていたが、司会を務める元朝日新聞記者・尾形聡彦氏は「僕が聞いている範囲では逆ベクトル」と言い、このままスクープが潰されてしまうのではないかという見方を示していた。
 有田氏は「そこ(新聞)で出なかったら(別媒体で)必ず出る」とも述べていたが、これは先日最終回を迎えたドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』(フジテレビ系)で描かれていたのとまったく同じ、政権にダメージを与えかねないスクープを自社では報じられず、「後追いならできる」という理由で週刊誌などにネタが持ち込まれるというパターンなのではないのか。
 安倍元首相銃撃事件に端を発した「統一教会と自民党の関係」という重大事を、このまま闇に葬るなんてことは許されない。統一教会の問題点をメディアが放置し、安倍元首相のビデオメッセージ問題もスルーしたことで「空白の30年」は生まれたとされているが、来年こそメディアは「追及すること、報道すること」でその責任をとってほしい。(編集部)