2021年12月30日木曜日

コンビニ見切り品値下げ拡大 本部の妨害退け オーナーの勇気と共産党議員の追及

 コンビニ業界トップのセブン-イレブン本部は、加盟店に24時間営業や過剰仕入れを強要し、期限間近の商品の値下げ(見切り販売を許さず、売れ残りは店側の責任するなどの過酷ないじめで知られています。
 このうち09年に、見切り販売に関する加盟店への妨害に対して公正取引委員会から排除命令を受けたことで値下げが可能になり、現在は9割の店舗が見切り販売を行っている(ローソン本部)ということです。
 日本共産党は早くからコンビニの見切り販売問題を国会で取り上げ07年には塩川鉄也衆院議員が、当時の公正取引委員会委員長に、見切り販売禁止を各店舗に押し付けることは独占禁止法上の問題になるとの見解を引き出し、09年の排除命令につながりました。
 13初当選した たつみコータロー前参院議員は繰り返し参院経済産業委でこの問題を追及し公取委は19年、セブン―イレブンなどの全フランチャイズFC)加盟店(5万7524店)を対象とした実態調査を実施し、今年4月に「フランチャイズ・ガイドライン」を改正し、見切り販売の制限は独禁法違反だと明確にしました。
 しかしローソンはその後も消費期限の1時間前までは見切り販売を許さず、その上見切り販売した分ロイヤリティ(上納金)の割合が結果的に上がるなどの「コンビニ会計」という他に例のない特異な会計方式を採るなどして、優位な立場を利用しての加盟店いじめを継続しています。
 全国FC加盟店協会の植田事務局長は、見切り販売が可能となった前進に対して、不公正なルールをただすため声をあげ続ける大切さを認める一方で、各店舗が自由に販売価格を設定できるようにすることも必要だとし、見切り販売を確実に加盟店の利益につなげていくために、大本の『コンビニ会計』の見直しが重要だ」と指摘しました。そして「巨大な資本力を持った本部とでは、弱小な小売り店が圧倒的に不利だ。根本問題の是正には、法的な整備が欠かせない」として、来年夏の参院選で野党共闘の勝利と共産党の躍進で国会での力関係を変えてほしいと希望を託します。
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コンビニ見切り品値下げ拡大 本部の妨害退け
オーナーの勇気 共産党議員の追及
                       しんぶん赤旗 2021年12月29日
 コンビニエンスストアは、全国6万店近くにのぼり、物販だけでなく、防犯や物流を担うなど生活に不可欠な存在です。そのコンビニで消費期限が迫った総菜など見切り品を値下げして販売する店舗が全国に広がっています。店舗オーナーからは「対等でない本部との関係の是正に向けた重要な一歩だ」との声があがっています。(小村優、清水渡、日隈広志)



 かつては見られなかったコンビニの見切り販売。今ではどこでも日常の風景になっています。
 見切り販売が広がるきっかけは、業界トップのセブン―イレブン本部が2009年、見切り販売に関する加盟店への妨害に対して公正取引委員会から排除命令を受けたことでした。
 本紙の取材に対し、ローソン本部は「9割の店舗で見切り販売を行っている」と認めました。

公取動かす
 日本共産党は早くからコンビニの見切り販売問題を国会で取り上げてきました。2007年には塩川鉄也衆院議員の追及に、当時の公正取引委員会委員長が、見切り販売禁止を各店舗に押し付けることは独占禁止法上の問題になるとの見解を示しました(07年6月6日)。
 13年の参院選挙で初当選したたつみコータロー前議員は共産党の独自調査に基づき、繰り返し参院経済産業委員会で同問題を追及しました。公取委の重い腰をあげさせました。公取委は19年、セブン―イレブンなどの全フランチャイズ(FC)加盟店(5万7524店)を対象とした実態調査を実施。今年4月には、「フランチャイズ・ガイドライン」を改正し、見切り販売の制限は独禁法違反だと明確にしたのです。各社は業務改善を余儀なくされています。
 コンビニの多くは「コンビニ本部」とFC契約を結び、「売り上げ」から「原価」を差し引いた粗利の一部(ロイヤルティー)を支払うことで商標の使用許可などを受けています。しかし、本部側は巨大資本の力関係を背景に、加盟店に24時間営業や仕入れでの過剰発注などを強要してきました。
 ロイヤルティーの計算では、本部は廃棄や万引きなどの欠損分を「原価」から除いて粗利を水増しするという他に例のない特異な会計方式(「コンビニ会計」をとっています。見切り販売の手法をとらずに廃棄するほど本部のもうけが増えるからくりです。

覚悟の実施
 「いかにオーナーが不利な立場に置かれてきたか、一目でわかる仕組みだ」。こう話すのは関東圏でセブン本部とFC契約を結んだコンビニ経営者のAさん。「本部にたてついて契約終了となったオーナーを何人も見てきた。でも経営を続けるために見切り販売は欠かせない。覚悟して踏み切った」。オーナーたちの勇気ある行動が、重い扉をこじあけました。
 全国FC加盟店協会の植田忠義事務局長は「オーナーが声をあげ、その声を国会に届けた日本共産党の役割が決定的だ」と指摘します。

たつみ質問 潮目変えた
 2013年の参院選挙で日本共産党は改選3議席から8議席へと躍進しました。当選したたつみ氏はコンビニ問題を国会で精力的に取り上げました。
 16年5月2日の参院決算委員会では、見切り販売に対する凄惨(せいさん)な妨害実態を告発しました。
 1時間前までは見切り販売をするなと。しかし、店舗オーナーからすれば見切り販売1時間前というのはほとんど売れない。足かせをさせて見切りを事実上制限させている」「見切り販売で値下げしたお弁当、おにぎりを購入してもボーナスポイントが付与されない。つまり差別していることになる」
 19年3月14日の同経済産業委員会での質疑で、たつみ氏は前年に大阪府内4千店舗を対象に実施した党独自のアンケート調査結果を示しました。「『20年で1日しか休みがない』、『親が死んでも休めない』、『お正月や災害時には休ませてほしい』。あるオーナーの1カ月の労働時間は367時間残業は200時間に及び、過労死ラインの80時間の2倍以上です」。実態を示された世耕弘成経済産業相(当時)は「ハッキリ言って持続不可能」「当然コンビニチェーン本部にとっても放置しておける問題ではない」と答弁せざるを得ませんでした。
 続けてたつみ氏は、こうした実態の背景に、不当に本部収益を増大させる「コンビニ会計」のからくりがあると指摘。加盟店舗に見切り販売を許さず、「本部のもうけのためにあえて廃棄させる行為が横行している」と突き付けたのです。
 「普段ヤジを飛ばす自民党議員までも聞き入っていた」といいます。潮目の変化を実感させる瞬間でした。
 日本共産党はこの年の6月、「加盟店の営業と権利を守り、コンビニ業界の健全な発展をはかるため、コンビニ・フランチャイズ法の制定を」と題する緊急提言を発表しました。同提言作成の立役者はたつみ氏でした。見切り販売問題については「オーナーにだけ廃棄負担を押し付けるな」として、見切り販売妨害を生み出す「コンビニ会計」の見直しを迫っています。

態度に変化
 たつみ氏の質問、共産党の提言を受け、コンビニを監視すべき国の機関が動き出します。19年10月には公正取引委員会が実態調査を行いました。
 さらに今年4月には公取委が「フランチャイズ・ガイドライン」を改正。本部に見切り販売の手続きの簡便化・加盟店への周知を求めました。経済産業省の「新たなコンビニの在り方検討会」でも、本部に「改善計画の提出」を求めており、コンビニ各社の対応につながっています。
 セブン―イレブン本部とフランチャイズ契約を結ぶAさんは、ここ数年での本部の加盟店に対する態度の変化を感じています。
 「以前は冷蔵庫に入り切らないのに、焼き鳥を一度に『数百本仕入れろ』と言われたこともある。クリスマスケーキや恵方巻、お歳暮…、過剰発注で無理難題を押し付けられるのは日常茶飯事だった。異常な横暴さが今は見られない」。
 同時に、「見切り販売は最初の一歩だ」とAさん。「お客さんの動向を常に見ているのは、店舗経営者。その意見を踏まえなければ、本部も生き残れない」と語る口調から、固い決意がにじみます。

大本ただせ
 全国FC加盟店協会の植田事務局長は、こうしたコンビニ各社の動きについて、「変化はここまで来たかと感じた」と不公正なルールをただすため、声をあげ続ける大切さを実感しています。
 一方で、植田事務局長は「原材料費の値上げに伴い、本部からの加盟店に対する仕入れ価格も値上がりしている。各店舗が自由に販売価格を設定できるようにすることも必要だ。見切り販売を確実に加盟店の利益につなげていくために、大本の『コンビニ会計』の見直しが重要だ」と指摘します。
 「対等な関係への改善なしには根本的には解決しない。巨大な資本力を持った本部とでは、弱小な小売り店が圧倒的に不利だ。根本問題の是正には、法的な整備が欠かせない」と植田事務局長。来年夏の参院選で市民と野党の共闘の勝利と、日本共産党の躍進で国会での力関係を変えてほしいと希望を託します。
 コンビニオーナーがよりよい環境で働けるよう、営業と権利を守るルールづくりが求められています。

 コンビニ会計 コンビニ本部が高額なロイヤルティー(上納金)を確保するために取られている特異な会計手法のことです。通常の会計では、売上金額から仕入れ金額を引いたものが粗利です。「コンビニ会計」では、仕入れ金額に廃棄分(売れ残り分)を含めない仕組みです。そのため粗利が水増しされ、それをもとにロイヤルティーが計算されるため、加盟店にとって経営上の大きな負担になります。

日本共産党提言 FC法 制定急務
 たつみコータロー前参院議員・参院大阪選挙区予定候補の話 期限が迫った見切り品の値下げ販売が広がっていることは、これまで加盟店に大企業・本部の言いなりを強要してきた関係に変化をもたらすもので重要です。
 見切り販売の制限は独占禁止法違反であり、許されません。コロナ禍で店舗経営は瀬戸際にあり、見切り販売は切実です。食品ロスの低減は気候危機対策にとっても大切です。
 廃棄分を「原価」に含めずロイヤルティーを徴収する「コンビニ会計」は極めて異常で、本部との力関係を端的に象徴する仕組みです。
 こうした大企業の不公正取引を抜本的に是正し、加盟店の営業と権利を守るため、日本共産党が提言してきたFC法の制定は急務です。

大阪は大丈夫なのか/沖縄の感染爆発を招く日本政府の弱腰外交

 全国的にオミクロン株の市中感染が広がりつつあり、特に大阪府では1月中旬には同株が9割を超えると推計されています。

 吉村知事は28日の記者会見で「市中感染が面で起きている。感染拡大は避けられない」「5人以上のクラスター発生は時間の問題」とする一方で、「大阪いらっしゃいキャンペーン」については「いま中断する段階ではない」として、継続・拡大する考えを示しました。
 大阪府では今年の春 全国に先駆けて「大阪モデル」を作ったのですが、実際には楽観論もあって「モデル」からの逸脱を続け、最終的に第5次感染爆発の悲劇を起こしたのでした。
 しんぶん赤旗が「おかしいヨ 吉村知事 1月4日から『大阪いらっしゃいキャンペーン』拡大」とする記事を出しました。

 それとは別に、現在新型コロナの感染状況が最も深刻なのは沖縄で、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は全国最多の855人に上り、県北部の病床ほぼ満床となっています。3週間後に新規感染者が最大832人に達するとの試算も示され「早晩、医療は崩壊する」惧れがあります
 その元凶は在沖米軍で、オミクロン株が大発生している米本国から、日米合意に反して9月から4カ月間もPCR検査せずに出入りしていたことが分かりました。米兵はいまマスクをせず沖縄を動き回り、飲食店を利用し、東京などに出かることもあるといいます。これでは感染拡大は防止できません。
 同じ同盟国でも韓国は大違いで、在韓米軍は軍関係者の感染経路や健康状態など詳細を開示し、出入国時にはPCR検査を実施しています。
「米韓と日米の地位協定はほぼ同じで、日本にできないはずはない。日本政府は常に米軍に弱腰なので、米側は検査や行動規制がルーズになってしまうのです」(半田滋氏)
 この面でも政府の責任は極めて大きいのです。
 日刊ゲンダイの記事を併せて紹介します。
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おかしいヨ 吉村知事 1月4日から「大阪いらっしゃいキャンペーン」拡大
                       しんぶん赤旗 2021年12月30日
 オミクロン株の感染拡大のなか、大阪府が「大阪いらっしゃいキャンペーン2021」の利用対象者を来年1月4日から拡大することに疑問の声があがっています。
 大阪府では28日までに23人のオミクロン株への感染が確認されています。吉村洋文知事は同日の記者会見で「市中感染が面で起きている。感染拡大は避けられない」「5人以上のクラスター(感染者集団)発生は時間の問題」として、年末年始の感染防止対策の徹底を呼びかけました。一方で、「大阪いらっしゃいキャンペーン」については「いま中断する段階ではない」として、継続・拡大する考えを示しました
 「いらっしゃいキャンペーン」は1人1泊(回)につき宿泊・旅行料金の2分の1を割り引く(上限5000円)、最大3000円のクーポンを付与するというもの。ワクチン接種歴(2回)またはPCR検査等で陰性が確認できた人。利用対象者を1月4日から大阪府に隣接する京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県在住者まで拡大します。2月28日まで。
 吉村知事は「(感染拡大の)経過によっては中断の判断もあり得る」としながらも「いまはその状況ではない」と表明。会見する吉村知事のバックのボードには「感染防止対策の徹底」と「期間延長&対象地域拡大 大阪いらっしゃいキャンペーン2021」のステッカーが並んでいました。ツイッターには「ちぐはぐな対応」「おかしさに気づいてね」などの投稿も。


沖縄の感染爆発を招く日本政府の弱腰外交と対米従属…
   在韓米軍とは雲泥の差
                           日刊ゲンダイ 2021/12/28
 新型コロナウイルスの感染状況が最も深刻なのは沖縄だ。直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は全国最多の855人に上る。
 26日の県のコロナ専門家会議では北部の病床がほぼ満床となっていることが報告され、「早晩、医療は崩壊する」との懸念が相次いだ。このペースが続けば3週間後に新規感染者が最大832人に達するとの試算も示された。東京都の人口に換算すれば約8000人に相当する。
 元凶は在沖米軍だ。本島北部にある米海兵隊基地「キャンプ・ハンセン」で発生した巨大クラスターを機に感染が広がったとみられる。

クラスター発生中に海兵隊2人が酒気帯び逮捕
 ところが、クラスター発生中も、米兵はマスクなしで外出。キャンプ・ハンセン所属の海兵隊員が酒気帯び運転で立て続けに2人も逮捕される始末である。
 しかも、今年9月以降、米海兵隊の部隊が出入国した際、PCR検査を行っていなかった。松野官房長官は27日、米側が26日から出国72時間前の検査を始めたと発表したが、9月から4カ月間も検査せずに出入りしていたとは背筋が凍る。
 在日米軍に詳しい防衛ジャーナリストの半田滋氏が言う。
「日米地位協定に基づき、米軍にはいくつも特権がありますが、感染症に関しては、日米が協力することになっています。日米両政府は2013年1月の日米合同委員会で『人の感染症』に関して、早期に通報することで合意。地位協定の壁があるにしても、『13年合意』を盾に米側に要求できるはずです」

米韓と日米の地位協定はほぼ同じ
 同じ同盟国でも韓国の態度は大きく異なる。在韓米軍は軍関係者の感染経路や健康状態など詳細を開示し、出入国時にはPCR検査を実施している
「米韓と日米の地位協定はほぼ同じ。韓国にできることが日本にできないはずはない。韓国政府は国民の健康と命を考えて、当然のことを主張し、米国も対応している。日本政府は常に米軍に弱腰。コロナに関しても、しかるべき対応を求めないので、米側は検査や行動規制がルーズになってしまうのです」(半田滋氏)
 松野は在沖米海兵隊の施設内外でのマスク着用が厳格化されたと説明したが、名護市キャンプ・シュワブの近隣住民をきのう取材すると「今も、出てきた米兵はマスクを着けずにコンビニで買い物をしたり、ジョギングをしていました」と証言するのだ。対米従属のままでは、沖縄の感染拡大は止まらない。

30- 子ども食堂と貧困と軍事大国(本澤二郎氏)

 ジャーナリストの本澤二郎氏によるブログ「子ども食堂と貧困と軍事大国」を紹介します。

 貧困に苦しむ人たちが無数にいる中で、日本は何故、一部の極右政治家の言うがままに、あるいは米国に言われるがままに、軍事大国の路線を歩むのでしょうか。怒りの伝わるブログです。
 最初の中見出しに「田布施」が出てきますが、これは山口県の小さな町「田布施町」のことで、日本を代表する政財官界の大物次々と輩出している町です。わが国を影で操っているという「噂」もあり、マイナス評価で使われることが多いようです。
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子ども食堂と貧困と軍事大国
                 本澤二郎の「日本の風景」2021年12月27日

<安倍晋三・田布施・日本会議の見事な成果に乾杯の極右清和会>
 本格的な冬到来である。朝起きると、吐く息が白い。顔に両手を当てると冷たい。エアコン2台が動いてくれない。この寒さではたとえ故障していなくても無理だろう。夏はしのぎやすいが冬場は厳しい埴生の宿である。言及するまでもないが、軍事超大国のアメリカにはホームレスが沢山いる。軍事大国の日本にもいる。彼らは、この寒さを乗り切ることが出来るのか!貧困家庭の子供たちは?
 何と日米死の商人グループは、ともに台湾有事を声高に叫んでいる。ネット世界は、彼ら右翼に占拠されている。水源地にフクシマ放射能残土を埋設された千葉県袖ヶ浦市林地区の深刻すぎる実情を伝える本ブログは、無念にも原子力ムラによって、拡散を封じ込められている。本当の深刻な情報は、国民に伝えられない。この情報落差をなんと見るか!まともな言論人はいないのか。

<水源地放射能不法投棄に蓋をかけてきた県知事と地元市長と議会>
 同林地区放射能問題の初の住民集会には、繰り返すことになるが、わざわざ埼玉県から自家用車で監視取材に押しかけてくれた、善意の塊であろう市民運動家・仲村正昭さんには、本当に頭が下がる。彼は、群馬の警察正常化協議会の警察監視人・大河原宗平さんと、群馬オンブズマンの小川賢さんも同乗させて、森田健作とやくざ系の地元代議士配下の産廃業者にいたぶられ続けている、房総半島水源地の埋め立て現場を視察してもらった。
 途方に暮れている現地住民の中には、重い病で亡くなった人も、ガンを抱えて泣いている人たちも少なくない。それでいて8年前の不法投棄を、市も県も知っていながら、放置してきた。やくざ業者と当局の担当者、それに市県双方のトップによる、万死に値する重罪の可能性が高い。それでも、言論界も議会も動こうとはしていない。同じことが君津市の水源地の産廃場でも起きている
 房総半島・千葉県は、確かにやくざの巣で知られているが、彼らの犯罪を、正義のはずの警察も、見て見ぬふりをしている。多くの住民も、である。やくざ候補に一票を投じてきたわけだから、いうなれば自業自得であるが。三流国の自治体の腐敗もまた、度が過ぎているであろう。悪代官というと、江戸期に存在したと伝えられてきたが、現在もではないだろうか。
 市民の命を守る県や市の職員がいない。首長も議長も犯罪者の仲間といっていいくらいだ。まともな人間であれば、じっとしていられない。そんな代表が仲村さんなのだ。

<子ども食堂に通う市民運動家・仲村正昭さんの怒りのメール紹介>
本澤先生、いつもありがとうございます
貧困家庭支援の施設が全国で6千箇所以上?
兵器の爆買いを止めその資金を子供食堂に回せです。
 (衣、食、住) まともな国家とはとても思えません。
読みにくい事でしょうがご勘弁下さい。
                      12/25       仲

<母子家庭の貧困は養育義務放棄が大半!>
 子供をつくって、あとは野となれ山となれ、知らぬ存ぜぬの男たちは、まさに不逞の輩である。母子家庭の貧困は、ただ事ではない。
 筆者も貧困ジャーナリストだったため、子供たちには「高校までは面倒を見る」と宣言して、塾にも行かせずに、子育てを妻に任せてきた。妹は正反対で、次男に金をかけて教育、見事数学博士となって、いま人気の私立大学教授になった。彼は二人の息子を、進学校に大金をかけていると聞いた。
 半年前に母子家庭の内情を知る機会があった。彼女は「何としても高校は卒業させたいが、大学は行かせない。鍼灸の資格を取らせたい」と必死である。逃げた男は、養育費を払っていない。本ブログで何度も呼びかけたが、今も逃げている。
 問題の男は、東京都公園協会幹部である。同協会や小池知事に直訴しても成果はない。彼の父親は、日経新聞の有名な記者だった。やむなく日経の元政治部長の知り合いにも、年賀状を出すついでに協力を求めている。

<安倍兄弟と清和会を退治すれば、国と自治体の責任で子ども食堂完璧>
 日本国民が目を覚ませば、まだまだ日本は生き延びることが出来る。どうするか? 安倍兄弟と清和会を退治すれば、ことは簡単である。林真琴検察が正義に目覚めることが出来れば、むろん即座に決着する。
 作られた台湾有事によって、日本の軍事費はぐんぐん増加、6兆円の大台に乗った。財閥のみならず、安倍兄弟の懐は膨らみ続ける。派内に配るモチ代は、かるいものだ。原子力ムラからの裏金も大きい。安倍兄弟に群がる政治屋と言論人を排除すれば、子ども食堂の経営は安泰だろう。 
 仲村さんの活動は、子ども食堂を支えながら、他方で永田町の悪党退治にも専念している。

<軍拡から軍縮・反戦帆船日本丸が国民と人類の希望>
 安倍兄弟と悪しき言論人・財閥によって、「作られる緊張づくり」に翻弄される日本人やアジア諸国民であってはならない。日本は中国を標的にしながら、既に世界では軍事費3位の軍事大国・軍国主義日本なのだ
 防衛費は軍事費のことである。戦前の軍事大国は、明治の田布施で確立した天皇制のもと、アジア侵略で欧米と敵対、昭和天皇の好戦的指揮によって真珠湾攻撃を敢行して、とどのつまりヒロシマとナガサキの原爆投下で敗戦を迎えた。
 「昭和天皇の平和主義」も作られたものだったことが、最近の資料で判明した。天皇制廃止論台頭は、真実で、作られたものではない。何はともあれ、国が衰退すると、真っ先に武器弾薬を海中に捨てる、これが古来からの帝王学の基本である。
 軍縮が日本再生の切り札となる。反戦帆船の日本丸による航海が、唯一の選択肢なのである。これは人類共通の希望でもある。人の命を奪う兵器を放棄して、命を守る政治に舵を切るのである。2022年は、命を守る政党の誕生が不可欠であろう。
 貧困は解決できる。軍縮で子ども食堂は解決可能だ。世界一高給取りの国会議員に奉仕させるだけでも、6000か所の食堂は簡単に解決する。その前に、母子家庭から逃げた、不逞の男たちに責任を取らせる、これは人の道である。小池知事は、いつ行動するか、これからも監視を続けようと思う。
2021年12月27日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)

2021年12月29日水曜日

古くて新しい資本主義の欠陥問題(植草一秀氏)

 植草一秀氏が「古くて新しい資本主義の欠陥問題」と題する記事を発表しました。

 「世界上位1%の超富裕層の資産が世界全体の個人資産の38%を占めた。位50%の資産は全体の2%だった」と書き出されています
 この恐るべき格差は、そもそも「資本」は自己増殖の動機を有するので、市場メカニズムにすべてを委ねる経済運営をすれば当然もたらされるものでした。
 「資本」が最大の利益を得るために際限のない「費用」(=労働コスト)の削減に進めば、結果として労働者は「生存の危機」に瀕します。そのため20世紀になって基本的人権として「生存権」が重視されるようになり、第二次大戦後とりわけ西欧社会において国家による生存権の保障が重視され、「福祉社会」が目指され西側諸国の間で「福祉国家」の保障の厚さを競う動きが広がりました。
 ところが1980年代以降国家による手厚い保障が経済活動への意欲を削ぐとの主張が強まり、国家による保障を切り下げ、「競争原理」を重視すべきする「新自由主義」が登場しました。明らかに歴史の流れに逆行するものでした。しかし資本家にはまたとなく好都合な理論であり、福祉に予算を割きたくない政治家にとっても同様だったのでした。
 植草氏は、「自己増殖を目的とする資本の運動法則が存在する以上、格差の問題は自己解決しない。地球の限界がより明確に認識されるなかで、資本主義に対する根本的な修正が求められる局面が到来している」と述べています
 新自由主義こそは実に大きな回り道だったのでした。
 それなのに日本では小泉政権以降、安倍・菅政権がそれにはまり、岸田首相は「脱却する」とは謳ったものの実行する気はないようで、大阪府に至っては「維新」による新自由主義政策が一貫して強行されています。
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古くて新しい資本主義の欠陥問題
              植草一秀の「知られざる真実」 2021年12月27日
世界上位1%の超富裕層の資産が世界全体の個人資産の37.8%を占めたとの推計が発表された。https://bit.ly/3sD3uxw 
経済学者ら100人超による国際研究の結果。下位50%の資産は全体の2%だった。
資本主義の経済運営を放置すれば格差は際限なく拡大する。格差拡大こそ現代社会の最大の問題。

しかし、この問題は決して新しい問題でない。
基本的人権に自由権、参政権、生存権がある。自由権が18世紀的基本権、参政権が19世紀的基本権、生存権が20世紀的基本権と呼ばれることがある。
1920年代の米国。経済活況がピークに達した時代だ。
その米国経済が1929年の株価暴落を契機に大転落した。世界大恐慌の到来だ。
市場メカニズムにすべてを委ねる経済運営の限界が露呈したものでもあった。

資本主義のメカニズムがもたらす諸問題に修正の手が加えられるようになった。
このなかで確立されたのが「生存権」。1947年に施行された日本国憲法にも「生存権」が明記された。
「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が基本的人権として保障されることになった。
「自由」、「人権」、「民主主義」は私たちが最も大切にする価値である。
将来においても、この三つの価値を守る必要がある。
しかしながら、ここにいう「人権」については、意味が時代の経過とともに広がってきたという歴史を有する。

「自由」な経済活動の結果としての「資本主義経済」の矛盾、問題が明らかになった。
最大の問題は「格差」。「資本」は自己増殖の動機を有する。自己増殖の動機によって経済活動が発展してきたとの側面がある。
「資本」は利益を極大化するために「費用」を限りなく圧縮しようとする。
可変的な「費用」のひとつが「労働賃金」。経済活動の「自由」を認めることにより、「資本」は際限のない労働コスト削減に進み、自分の労働力を売ることによってしか生存し得ない労働者が得る賃金が圧縮される。その結果、労働者が生存の危機に直面する。
こうした事情から20世紀になって基本的人権として「生存権」が重視されるようになった

「自由」に委ねる「資本主義」に修正の手が加えられるようになった。「修正資本主義」の考え方は決して新しいものではない
第二次大戦後の世界において「生存権」が重視され、国家による保障が重視されるようになった。とりわけ、西欧社会において国家による生存権の保障が重視され、自由放任の経済政策運営が見直され、国家による保障を重視する「福祉社会」が目指された。
英国における社会保障制度の拡充は「ゆりかごから墓場まで」と表現され、国家による民衆への保障の厚さを重視する新しい経済政策運営モデルとされた。
自由主義経済体制を採る西側諸国の間で「福祉国家」の保障の厚さを競う動きが広がった。

ところが、この流れに大きな変化が生じることになる。1980年代以降の世界で国家による手厚い保障が経済活動への意欲を削ぐとの主張が強まった。
国家による保障を切り下げ、再び市場メカニズムに基く「競争原理」を重視するべきとの論調が強まった。これが「新自由主義経済政策運営」の背景である
爾来、30年の時間が経過して、再び「新自由主義経済政策運営」に対する見直しの気運が広がっている。
自己増殖を目的とする資本の運動法則が存在する以上、格差の問題は自己解決しない。
地球の限界がより明確に認識されるなかで、資本主義に対する根本的な修正が求められる局面が到来している。

鳩山友紀夫元首相との対談(アジア共同体研究所主宰YouTube動画「UIチャンネル」)
https://bit.ly/39BTgmd 
10月5日発売の鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著『出る杭の世直し白書(ビジネス社)https://amzn.to/3hSer8a のご高覧も賜りたい。
             (以下は有料ブログのため非公開)

29- 2021年 今年最も衝撃を受けた事件(世に倦む日々)

 世に倦む日々氏が「 ~ 2021年今年最も衝撃を受けた事件」と題する記事を出しました。記事は「銀座の風景」から書き出されています。それは今の日本の対照的な一面を映し出していますが、勿論本題ではありません。
 いわば30年前に鳴り物入りで ― 何か価値があるかのようにして ー 登場した「新自由主義」の行きついた果てを示してくれています。
 文中の「下線」はすべて原文に施されたものです。
 また原文の末尾には 文中で紹介された悲惨な事件などの記事が掲載されていますが紙面の関係で割愛しました
 お読みになりたい方は下記から原文にアクセス願います。
   ⇒ 年末の銀座の風景 - 2021年 今年最も衝撃を受けた事件
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年末の銀座の風景 - 2021年 今年最も衝撃を受けた事件
                                                   世に倦む日々 2021-12-28
久しぶりに銀座に出て歩くと、街の風景は一変していた。コロナの影響と不安がすっかり消えたかの如く賑わいが戻り、路上も店内も年末の買い物客で溢れている。コロナ前の銀座に戻ったように見え、また何より驚いたのは、その空間に外国人がいないことだった。中国人観光客の姿がない。ユニクロ銀座店の中に日本人しかいなかった。こんな絵は9年前の開業以来初めてだ。この店の日本人客の比率はいいとこ30%で、30%が中国人、20%が韓国人、20%が(東京在住含めた)欧米の白人というのがコロナ前の相場であり、清水寺と同様、成田空港コンコースの人種民族の構成比が直に反映されているのが常だった。日本人だけで活気を埋めている銀座を見て、10年前に戻ったようで懐かしく思われた。だが、よく見ると、10年前とは違う現実が分かる。歩いている日本人が変わっていて、昔の中間層の風情ではなく、NHKのニュースに「街の人」として登場してくる富裕層ばかりなのだ。着ているものが違う。誰もコロナ前の「制服」の The North Face など着ておらず、Nike の黑の「制靴」を履いていない。

三越の地下食料品売り場では、年末年始を自宅で過ごすための食材を仕入れようとする富裕層でごった返し、まさに足の踏み場もない混雑だった。金を持っている富裕層は鼻息が荒い。コロナ前の中国人観光客そのもので、がめつく我先に人を押しのけて高い商品に手を伸ばす。毛皮のロシア帽をかぶったモデルみたいな女性が、行きつけらしき地下3階の店でブルーチーズを買っていて、いかにも和久田麻由子が報道する「東京の街の人」っぽい感じで、NHKのカメラが撮りに来るのを待っているような趣だった。100グラム1080円。この肴だとワインも廉価なものでは釣り合わないだろう。話が逸れるが、ワインは日本の庶民が日常の食生活で楽しめる嗜好品ではなくなった。EUとのEPAで輸入ワインが安くなると、あれほど和久田麻由子と桑子真帆が宣伝し、安倍晋三の手柄だと持ち上げまくったが、輸入ワインは安くならず逆に高くなっている。円が安くなり、日本の購買力が低下しているからだろう。ボトルのラベルは同じだが、粗悪な樽が日本市場送りになっているでのはないかと邪推するのは私だけだろうか。

その夜のNHKの7時のニュースでは、コロナの影響長期化で生活に困窮する女性の問題が取り上げられていた。シフトが減って手取りが14万円。家賃、光熱費、車のローンとガソリン代を合わせて月10万円かかり、残り4万円を食費と携帯電話代に当てる生活で、どれだけ節約しても赤字になると言う。NHKの記事はこう書いている。

女性は「将来のために貯金をしたくてもできず、何をするにしてもお金のことを考えてしまいます。自分に余裕がなくなっていることがつらく、自分が情けないです」と涙ながらに話していました。今の仕事では生活が厳しいため4か月ほど前から新しい仕事を探しています。しかしハローワークやインターネットなどで企業などの求人をみていますが、求人の多くは収入が今と同じ水準で再就職できたとしても生活を続けることが難しいと感じています。転職の活動を続けることにしていますが、安定した仕事が見つかる見通しはたっていません。


今年、私が最も衝撃を受けたニュースは、愛知県の26歳の男性が母親を殺して逮捕された事件だった。読売の記事が10月25日に上がっただけで、マスコミ他社の報道が全く無く、続報も見当たらない。Yahoo のニュースリストに並び、人々の注意を集めたはずなのだけれど、テレビでは報道されず話題にならなかった。中学生の頃に両親が離婚、母親が病気を患い、長男は弟と一緒に働いて家計を支えていたとある。事件の数日前から母親は自殺未遂を繰り返し、見かねた長男が、弟を外出させ、「殺して」と懇願する母親を手にかけたとある。「こんなつらい役、任せてごめんね」「出来の悪い親でごめんね」と母親は謝ったとあり、警察は嘱託殺人罪の容疑にしている。真実はよく分からないが、記事は、長男が生活保護制度を知らなかったためにこういう悲劇が起きたと説明していて、長男と家族の無知の責任だと総括した。裁判で判決が出た後に事件が公になっていて、裁判所が意図的に読売にこの内容で書かせていることが窺える。この家族のこの10年間はどれほど苛酷で凄絶な生き地獄だっただろう。母親はまだ50歳の若さだった。

埼玉県の男性の事例で、9歳のときから、病気で倒れた祖母と母親の介護と家事に追われ、小中学校に満足に通えなかったという深刻な一件があった。NHKの取材記事がネットに載っている。いわゆるヤングケアラーの問題。マスコミでも多く取り上げられているし、ネットにも情報がたくさん上がっている。厚労省と文科省が実態を調査した報告が今年3月に上がっていて、それによると、「世話をしている家族がいる」と答えた子どもが、中学2年生で5.7%、高校2年生で4.1%いるという結果が出ている。昔見た英国映画『小さな恋のメロディ』で、ジャック・ワイルドが演じた男の子が、やはり事情を抱えて家族のために食事を作っていた。ヤングケアラーという言葉はなかったが、かかる難儀な境遇の中にいた子は、当時すなわち50年前の日本でも確かにいたと記憶する。でも、この種の問題は改善の方向でこの国は時代を進めていたはずだ。ヤングケアラーなどという言葉が出現し、多くの子どもが厳しい環境に置かれる状況になったのは、明らかに貧困(格差社会化)の所産であり、新自由主義(資本主義)の矛盾と弊害が甚だしくなった所為だ。

ちょうどソ連崩壊30年の報道と重なったので、併せてこんなことを考え書いてみたい気分にかられたが、貧しい国だったソ連で、果たしてヤングケアラーはどれだけいただろう。否、現在も社会主義国の体制のまま社会を運営し、米国やEUから「専制主義国」のレッテルを貼られて異端視され、白眼視され、侮辱され貶下されているキューバやベトナムで、病気の親の介護と家事の世話を強いられて、学校に行けない子どもがどれだけ存在するだろうかカストロとゲバラが理想に燃えて建てたキューバ共和国は、長く続く米国の経済制裁のため未だ貧しい貧しい極貧の国だが、そんな理由で義務教育を受けられず自己責任で放置されている子どもが、果たしてキューバにいるだろうか。論理的にはあり得ないことで、国家の原理原則すなわち憲法の理念に即せば、それは絶対に許されないことである。日本では、ヤングケアラーという概念を成立させ、語を世間一般に流通させ、事態を容認し、行政の(素振りと言い訳だけの)ケアで手当てしているように見せかけている。それで済ましている。問題を根治しようとはしない。リベラリズムの国だからだ。システム上是認すべき派生悪だからだ。

2020年度の国の税収は、前年度より2兆3801億円多い60兆8216億円で過去最高となった。この税収増に大きく寄与したのが法人税の増収で、財務省が8兆円と見込んでいた額が、何と1.4倍の11.4兆円に上振れしている。皆さん、あれれと意外に思わないか。2020年度はコロナ禍に経済が直撃された年で、GDPはマイナス4.6%と過去最大の下げ幅を記録した最悪の年だった。法人税収が財務省の見込みより1.4倍も上がったということは、予測を大幅に超えて企業の経常利益が増えた事実を意味している。日経の記事は、大企業が好調で巣ごもり需要と輸出増で増益したのだと言い、もともと赤字経営で法人税を払ってなかった中小企業は、コロナ禍だろうが経営不振だろうが法人税収の数字には影響がないのだと、このマクロ経済の摩訶不思議を解説している。謎解きの一つには違いないが、他にも要因はある。企業の経常黒字が増えたのは、人件費を大幅に削ったからだ。コロナ禍を理由とするところのリストラ。嫌がらせによる追い出し。人員削減と給与カット、時短と残業減。テレワークによる従業員通勤費減と出張交通費減。これらによって企業の経費が減り、利益が著しく増えた点が大きい。

2020年12月の毎月勤労統計によると、日本の実質賃金は前年同月比1.9%減少し、名目賃金にあたる1人当たり現金給与総額は前年同月比3.2%減となっている。世間一般の景況感はこの数字を反映したものだが、企業は経常利益を大幅に増やした。報道によると、2021年度の4-6月期も上場企業の純利益は前年同期の2.8倍となっていて、7-9月期の全産業の経常利益も前年同期比35.1%増となっている。