2024年3月30日土曜日

ガザ停戦 安保理決議 戦闘開始以来初、米国は棄権

 国連安全保障理事会は25日、ガザ地区を巡って、ラマダン期間中の即時停戦を求める決議を全15理事国中14カ国の賛成多数で採択しました。米国は米国内外からの批判に包囲されて国際的な孤立を深めるなか、今回は拒否権を行使することはできず、棄権しました。
 決議は日本を含む非常任理事国10カ国が共同提案しました。

 しかしイスラエル軍は国連安保理が25日に即時停戦を求める決議を採択した後もれを無視して連日軍事攻撃を続け住民を殺害しました。

 国連人権理事会特別報告者フランチェスカ・アルバネーゼ氏はジュネーブで開かれた人権理事会で「ジェノサイドの分析」と題する報告書を発表し、昨年10月7日以降のイスラエルによるパレスチナ・ガザでの軍事作戦はジェノサイドに相当するとの合理的な証拠があると述べ、各国に対しイスラエルへの制裁と武器禁輸の実施を求めました。

 「ジェノサイド分析」報告書は、イスラエルは、パレスチナ人武装勢力が民間人を「人間の盾」として使っていると非難するが、イスラエルがそれを□実に「パレスチナの民間人の広範かつ組織的な殺害を正当化している」と指摘し「イスラエルはガザを『民間人のいない世界』へと変容させた。そこでは病院に避難することから安全を求めて逃げることまで、すべてが人間の盾の一形態だと宣言される」「イスラエルは事実上、民間目標と軍事目標の区別を廃止」し、「ガザ全域を『軍事目標』」にしたとし「ジノサイドの意図」があると発しています。

 アイルランドのマーティン副首相兼外相は27、イスラエルによるガザヘの攻撃がジェノサイド条約違反だとして南アフリカが昨年末、国際司法裁判所ICJ)に訴えた裁判に参加すると表明しました。ジェノサイドがあったかどうか、ガザの住民全体の状況を見て判断するようICJに要請するとしています。

 ジャンピエール米大統領報道官は27日の記者会見で、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ最南部ラファヘの地上参戦に関し、米国との協議開催に向けた再調整に同意したと明らかにしました。

 米国務省の職員が27日、パレスチナのガザ地区を軍事侵攻するイスラエルを擁護するパイデン政権に抗議して辞職しました。民主主義を強化するとして中東諸国で現地の活動家や民団体と協力する仕事に携わっていましたが、イスラエルヘバイデン政権が武器供与を続けるなかで、中東地域で怒りが広がり、米政府関係者との対話をやめる団体が出るなどし、任務遂行がほとんど不可能になっていると明らかにしました

 しんぶん赤旗の7つの記事を紹介します。
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ガザ停戦 安保理決議 戦闘開始以来初、米国は棄権
                       しんぶん赤旗 2024年3月27日
【ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会は25日、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナのガザ地区を巡って、ラマダン(イスラム教の断食月)期間中の即時停戦を求める決議を全15理事国中14カ国の賛成多数で採択しました。米国は棄権しました
 決議は日本を含む非常任理事国10カ国が共同提案しました。国連安保理が即時停戦を求める決議を採択したのは、昨年10月にイスラム組織ハマスとイスラエルの間で戦闘が始まって以来、初めてです。
 イスラエルを擁護する米政府は、即時停戦を求める決議案が出されるたびに拒否権を行使して採択を阻んできました。しかし米国内外からの批判に包囲されて国際的な孤立を深めるなか、今回は拒否権を行使することはできませんでした
 決議は▽長期的で持続的な停戦につながるラマダン期間中の即時停戦▽すべての人質の即時かつ無条件の解放▽人道支援アクセスの確保▽拘束中のすべての人々にかかわる国際法上の義務の順守―を全当事者に要求しています。安保理決議は国連加盟国に対して拘束力があります。
 非常任理事国10カ国を代表して発言したモザンビークは「決議案の採択はガザの危機に対応する重要な一歩になる」「非常任理事国10カ国は基本的な一歩として即時停戦を求める声を常に支持してきた」と述べ、拒否権を持つ常任理事国に賛成するよう訴えました。
 採択後の討論では「(ガザ住民への)“集団懲罰”の苦しみを終わらせねばならない。全当事者に決議の実践を促す」(シエラレオネ)などの発言が相次ぎました。
 パレスチナのマンスール国連代表は「決議の採択が転換点にならねばならない」と指摘して、決議の実践を求めました。
 イスラエルのエルダン国連大使は「ハマスに希望を与える決議だ」などと反発し、軍事作戦を継続する姿勢を示しました。


イスラエル軍 ガザ空爆 安保理決議を無視 連日攻撃 病院包囲も続く
                        しんぶん赤旗 2024年3月29日
 イスラエル軍は27日、パレスチナのガザを複数回にわたって空爆し、住民を殺害しました。ロイター通信などが報じました。国連安保理が25日に即時停戦を求める決議を採択した後も、イスラエルはそれを無視して連日軍事攻撃を続けています
 ガザ最南端ラファでは少なくとも住宅4軒を爆撃しました。ガザ保健当局によれば、この日の空爆の一つにより1家族の11人が殺害されました。
 空爆現場で遺体の収容作業を見守っていたムサ・ダヒールさんは、爆撃で75歳の父親と62歳の母親を亡くしました。北部ガザ市から避難していた父の友人らと両親が「一緒にいたのに突然、塵(ちり)のように消えてしまった」と悲しみをロイター通信に語りました。
 また別の現場にいたジャミル・アブホウリさんは、「空爆が増えており、やつら(イスラエル軍)はラファに侵攻すると脅している。国連安保理は何をしているのか」と訴えました。
 同日の別の空爆では女性や子どもを含む4人が殺害され、負傷者も出ました。北部ガザ市の西方でも同日、イスラエル軍による空爆で7人が殺害されました。
 南部ハンユニス近郊で26日、避難民キャンプへの空爆で複数の子どもを含む12人が死亡しています。ハンユニスと北部ガザ市の大規模病院への攻撃や包囲も続いてます。


ガザ攻撃はジェノサイド 国連人権理に報告書 制裁求める
                       しんぶん赤旗 2024年3月28日
 国連人権理事会からパレスチナ占領地の特別報告者に任命されているフランチェスカ・アルバネーゼ氏は26日、ジュネーブで開かれた人権理事会で、昨年10月7日以降のイスラエルによるパレスチナ・ガザでの軍事作戦はジェノサイド(集団殺害)に相当するとの見解を示し、各国に対しイスラエルへの制裁と武器禁輸の実施を求めました

 アルバネーゼ氏は、「ジェノサイドの分析」と題する報告書を発表し、その内容について説明。「ガザでのパレスチナ住民に対する、ジェノサイドという犯罪が実行されたと信じるに足る合理的な証拠がある」と強調しました。
 報告書では、イスラエルの軍や政府の高官がジェノサイドの意図を表明し、それが承認され、ジェノサイド行為が実行されたと結論付けています。
 また、イスラエルがガザでの軍事行動で国際人道法を順守していると主張しながら、保護すべき多くの民間人を「テロリスト」、民間人の生命維持のためのインフラ施設を「テロリストが利用」と見なして「殺傷や破壊の対象にしている」と指摘しています。
 イスラエルのネタニヤフ首相や他の閣僚がガザから他国へのパレスチナ人の「民族移送」「追放」に言及していることにも触れ、ガザにイスラエル人を住まわせる「入植者植民地主義的な住民置き換えを提唱している」と批判しています。

 報告書は、イスラエルのジェノサイド行為は、パレスチナ人に対する70年以上にわたる、「入植者植民地主義による抹殺の過程が激化した段階」だと厳しく指摘しました。
 イスラエルとイスラエルを擁護する米国の代表は欠席しました。


イスラエル軍を批判 人道法を歪曲し 無差別攻撃正当化
                       しんぶん赤旗 2024年3月28日
 25日付で発表されたパレスチナ占領地の人権状況に関する特別報告者フランチェスカ・アルネーゼ氏の報告書は、イスラエルが戦争行為に対して適用される国際法,(国際人法)を歪曲(わいきょく)して、パレスチナ人に対するジェノサイド(集団殺害)を行っていることを告発しています。

国連「ジェノサイド分析」報告書
 イスラエルは、パレスチナ人武装勢力が民間人を「人間の盾」として使っていると非難。「人間の盾」自体は国際人道法違反ですが、報告書は、イスラエルがそれを□実に「パレスチナの民間人の広範かつ組織的な殺害を正当化している」と指摘します。
 イスラエルは、教会、モスク、学校、国連施設、大学、病院、救急車についても、ハマスと関係があると決めつけて標的とし、その近くにいる住民を「共犯者」であり殺害可能」だとみなしています。
 報告書は、「イスラエルはガザを『民間人のいない世界』へと変容させた。そこでは病院に避難することから安全を求めて逃げることまで、すべてが人間の盾の一形態だと宣言される」と述べています。
 またハマスの戦闘員が使用しているという口実で、イスラエル軍は、国際人違法で保護の対象となる民間施設を大規模に攻撃。「イスラエルは事実上、民間目標と軍事目標の区別を廃止」し、「ガザ全域を『軍事目標』」にしたとしています。
 報告書は、イスラエルが、軍事攻撃にあたって民間人が巻き添えとなる「二次的被脊」の概念を「法的な隠れみの」にしていると指摘。高層住宅への予告なしの攻撃や、人口の密集する難民キャンプヘの攻撃などを含めた無差別攻撃について、イスラエルが’「大量殺害を容認」していることを示唆していると述べています。
 報書はイスラエルがガザの医療施設を攻撃し、医療体制の崩壊をもたらしていることについて、「ジノサイドの意図」があるとしています。


アイルランド参加へ ガザ国際司法裁 ジェノサイド裁判
                       しんぶん赤旗 2024年3月29日
 アイルランドのマーティン副首相兼外相は27、声明を出し、イスラエルによるガザヘの攻撃がジェノサイド(集団殺害)条約違反だとして南アフリカが昨年末、国際司法裁判所ICJ)に訴えた裁判に参加すると表明しました。昨年10月7日のイスラム組織ハマスの襲撃以降のイスラエル軍によるガザ住民への攻撃と人道支援の妨害は「国際法の大規模な違反だ」として「止めなければならない」と強調しました。

国際法違反止める
 マーティン氏は声明で、▽人員の拘束▽人道支援の意図的な制限▽民間人や民間インフラヘの攻撃▽住民全体に対する集団的懲罰など、国際法違反の事例を列挙。国運安全保障理理事会が25日、即時停戦を求める決議案を採択したことや、欧州連合(EU)首脳会議が戦闘中止を求めたことに言及し、「国際社会の見解は明確だ。もうたくさんだ」と強調しました。
 ICJは1月11~12日に最初の審理を行ったあと、南アの要請を受けてイスラエルに対しジェノサイド行為を防ぐあらゆる手だてを取るよう暫定措置命令を出しました。ICJの最終的な判決までには数年かかると見られます。
 マーティン氏はICJの命令以降、ガザヘの人道支援の妨害で「人口の半分が飢饉ききん)に直面し、100が食料不足に陥っている」と警告ジェノサイドがあったかどうか、ガザの住民全体の状況を見て判断するようICJに要請するとしています。 マーティン氏は、アイルランドが具体的にどのような主張を行うかは明らかにしていません。裁判への参加は、法的・政策的検討と、アフリカを含む複数の国との協議を行った上で決めたといいます。
 ダブリン大学トリニティ・カレッジのマイケル・ベッカー教授(国際人道法)は、アイルランド政府は「故意に飢饉を発生させる政策決定を(イスラエルが)行ったことから、ジェノサイドの意図が導き出される」と主張するのではないかと、英紙ガーディアン(電子版外日付で解説しました。


ラファ作戦再調整 イスラエルと米が同意
                       しんぶん赤旗 2024年3月29日
【ワシントン=時事」ャンピエール米大統領報道官は27日の記者会見で、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ最南部ラファヘの地上参戦に関し、米国との協議開催に向けた再調整に同意したと明らかにしました。ロイター通信によると、イスラエル代表団が早ければ来週にも訪米する見通し。
 ジャンピエール氏は「イスラエル首相府が同意した。(双方に)都合の良い日程を調整している」と語りました。協議実施の見込みとなったことについて「良いことだ」と評価し、ガザでの戦闘休止や人質解放に向けて取り組んでいくと強調しました
 ラファヘの大規模な軍事作戦を巡っては、避難民に多大な犠牲を強いるとして、米側が反対を表明。「代替策」を協議するため、イスラエル政府が代表団を米国に派週することで一致していました。
 しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は、米国がラマダン(断食月)期間中の即時停戦を求める国連安保理決議の採択を棄権し、拒否権を行使しなかったことに反発。25日の採択デルメル戦略問題相とハネグビ国家安全保障顧問らで構成する代表団の派遣見送りを発表しました。
 米政府高官は棄権について、「政策変更を意味していない」と説明。派遣見送りに「当惑している」と失望感を示していました。


米国務省職員2人目辞職 イスラエル擁護に抗議
                        しんぶん赤旗 2024年3月29日
【ワシントン=島田峰
米国務省の職員が27日、パレスチナのガザ地区を軍事侵攻するイスラエルを擁護するパイデン政権に抗議して辞職しました。国務省の職員がバイデ政権のイスラエル寄り政策を理由に辞職するのは昨年10月に続いて2人目です。
 辞職したのは国務省で人権や民主主義を扱う部門で働いていた中東専門家のアネル・,シーライン氏(38)です。ワシントン・・ポスト紙に対して、中東諸国で米国への見方が厳しくなるなか,「もはや仕事を遂行できなくなった」と述べました。
 シーライン氏は米外交政策のシンクタンク「クインシー研究所」の研究員などを経て昨年春から国務省で働き始めました。民主主義を強化するとして中東諸国で現地の活動家や民団体と協力する仕事に携わっていました。
 しかしイスラエルヘバイデン政権が武器供与を続けるなかで、中東地域で怒りが広がり、米政府関係者との対話をやめる団体が出るなどし、任務遂行がほとんど不可能になっていると明らかにしました
 シーライン氏は国務省内部で懸念の声を上げてきたものの「米国がイスラエルへ継続的に武聯る限りもう無駄だと結論付けた」と話しました。
 同じような理由で昨年10月に国務省を辞めたジョシュ・ポール氏は同紙に対しシーライン氏の辞職に関して「バイデン政権が外交において法律や基本的な人間性を無視していることを雄弁に物語っている」と指摘しました。
 今年1月には教育省でも高官1人が対イスラエル政策に抗議して辞職しました。

日米合同委員会 廃止要求抗議 街宣(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 日本は1951年9月に第二次世界大戦・太平洋戦争後に関連して、連合国諸国との間でサンフランシスコ平和条約を結ぶことで、一応連合軍の占領下から独立しました。
 日米地位協定は1960年に結ばれましたが、その内容は1952年に結ばれた日米行政協定変わりのないものでその日米行政協定こそは米軍日本占領時代の力関係を文書化しただけのものでした。
 要するに日米地位協定は、米軍による日本の被占領時代の力関係をそっくりそのまま反映したものということです。そしてその日米地位協定に謳われた日米合同委員会(月2回開催)は旧占領時代の形態をそのまま温存するためのものでした。
 かつて、米国務省の高官(部長)が来日したときにたまたま日米合同委員会に出席したところ、あまりにも時代錯誤的なものであったので「廃止すべき」であると提起したのですが、在日米軍は「日本からはそうした申し出は一度もない」として拒否したのでした。在日米軍にとっては占領時代と同等な権限が維持されるものなので絶対に手放せない既得権なのでした。
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日米合同委員会廃止要求抗議街宣
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年3月28日
3月28日木曜日の午前10時半から東京・広尾駅に近い「ニュー山王ホテル=米軍センター」前において街宣抗議行動が実施された。
私も参加させていただいた。
街宣の目的は
  1.日米合同委員会の廃止
  2.これまでの日米合同委員会のすべての議事録公開
  3.日米合同委員会で決定された日米密約の全面廃棄
である。

日米合同委員会は1960年に締結された日米地位協定に基づいて設立された協議機関。
日米両国の代表者によって組織される。
日本側代表は外務省北米局長、米国側代表は在日米軍司令部副司令官。
日本側の代表代理は法務省大臣官房長、農林水産省経営局長、防衛省地方協力局長、外務省北米参事官、財務省大臣官房審議官で、その下に10省庁の代表から25委員会が作られている。
アメリカ側の代表代理は駐日アメリカ合衆国大使館公使、在日米軍司令部第五部長、在日米陸軍司令部参謀長、在日米空軍司令部副司令官、在日米海兵隊基地司令部参謀長。

日本は1952年発効のサンフランシスコ講和条約によって独立を回復したことになっているが、実態上は真の独立を獲得できていない。
現時点においても日本は米軍の指揮、支配下に置かれている現実が存在する。
日本の真の独立を確保するためには根本的な対応が求められるが、米国=米軍による日本支配の象徴として日米合同委員会が取り上げられている。

日本は主権国家であるとされる。
ところが、主権国家としては不自然、不可思議な状況が多くの面で残されている。
駐留米軍兵士による日本国内における犯罪を日本の警察権、裁判権によって措置できない。
日本の警察権、裁判権が米軍兵士に及ばない。

2004年8月13日、在日米軍輸送用大型ヘリが沖縄県に所在する沖縄国際大学敷地内に墜落、炎上する事故が発生した。
沖縄国際大学敷地は日本国領土であり、事故に対する現場検証、原因究明の責務は本来、日本政府が負うべきものである。
ところが、米軍は日米地位協定を盾に日本の警察等の検証等を一切認めなかった
日本領土内における米軍ヘリ墜落事件であるにも関わらず、日本の警察権が及ばない。
米軍ヘリに核物質を含む危険物が搭載されていたとしても、日本の警察・検察当局の捜査県は及ばない

2017年11月、米国のトランプ大統領が訪日に際して使用した玄関口は東京に所在する米軍横田基地だった。
爾来、米国要人は横田や岩国などの米軍基地から日本に入国することを通例とするようになった。
米軍基地から日本に出入国するということは日本の出入国管理体制の外側で米国人が出入国することを意味する。

米国は日本を独立国と見なしていない。日本の出入国管理を超えて日本に出入りしている。
これは要人の公式訪問に限らない。
米軍ベース(基地)を利用して出入国する場合、日本の出入国管理データに米国人の出入国が記録されない。
誰が来日して日本で何をしたのかがまったく分からない状況が放置されている。
また、日本の空を日本の航空会社機が飛行する自由すらない。
他方、米軍は航空法が定める基準に反する超低空飛行を日本全国で行っている。
サンフランシスコ講和条約によって日本は名目上、独立を回復したとされるが、実態として日本が独立を回復できていない状況が放置されてきた。

そもそもの原因がどこにあるか。1952年サンフランシスコ講和条約にさかのぼる。
このときに、日本政府は重大な過ちを犯した。
その過ちを是正するチャンスが1960年にあったが、このときも、結局は問題の根幹に一切手が入れられることはなかった。
日本敗戦から79年の時間が過ぎる。しかし、1952年に構築された日本植民地状態は放置されたまま現在に至っている
「大国の横暴」で日本の主権を抑止する日本植民地化の諸制度を埋め込んだのは米国。
この意味で私たちは主権を侵害する米国の横暴に批判の目を向けねばならない。

しかし、同時に見落としてならないことは、日本政府自身が日本の植民地状態を70年以上の長期にわたり放置してきたこと、さらに、その政府の怠慢を日本の主権者が消極的にではあっても放置、容認してきたことだ。
真実を知り、主権者である国民が、日本の植民地状態を是正し、日本が真の独立を回復するべく行動しなければならない。

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人権侵害・憲法違反の経済秘密保護法案は廃案に

 共産党の田村智子委員長は27記者会見し、経済秘密保護法案は特定秘密保護法で防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野に関して導入された機密情報を扱うために必要とされている「適性評価」の対象を経済分野、民間に拡大するものだと指摘し、「適性評価」として秘密を扱う人に行う身辺調査の中身は、病歴や借金の有無、交友関係や国籍など幅広く、その情報を政府が持ち続けることになるが、企業で働く人が身辺調査の情報によって不利益を被ることを防止する法的措置はなく、「重大な人権侵害を引き起こす憲法違反の法案だ」と強調し、「廃案にするしかない」と述べました。

 日本弁護士連合会は27日、岸田政権が今国会に提出した経済秘密保護法案(重要経済安保情報保護法案)の危険性を告発する国会内集会を開きました。
 日弁連副会長の斎藤裕弁護士は、人権侵害の恐れが極めて高い法案を政府・与党が拙速に進めようとしていると批判し、同秘密保護法・共謀罪法対策本部の三宅弘本部長代行は、適性評価のための調査で「公安調査庁や内閣情報調査室が諸外国の例にならえば数十万人の情報を取りまとめることにもなる」とし、監視社会につながる危険が高いとして反対を表明しました。

 また28日の内閣委員会における法案に関する参考人質疑では、法案は英仏ではコンフィデンシャル(極秘・国家秘密)級の秘密指定は廃止され、それを受けて米の情報監察局もコンフィデンシャル級の秘密指定の廃止を政府に勧告しているなかで、それに逆行するものであることが明らかにされたのに対して、「有識者会議」座長渡部俊也東大学副学長はそういう認識を持っていなかったことが分かりました。
 3つの記事を紹介します。
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人権侵害・憲法違反の経済秘密保護法案は廃案に
田村委員長が会見
                       しんぶん赤旗 2024年3月28日
 日本共産党の田村智子委員長は27日、国会内で記者会見し、経済秘密保護法案は「重大な人権侵害を引き起こす憲法違反の法案だ。廃案にするしかない」と主張しました

 田村氏は同法案について、特定秘密保護法で防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野に関して導入された機密情報を扱うために必要とされている「適性評価」(セキュリティークリアランス)の対象を経済分野、民間に拡大するものだと指摘。「民主主義の根幹にもかかわる重大な問題になる」と強調しました。
 さらに、「適性評価」として秘密を扱う人に行う身辺調査の中身は、病歴や借金の有無、交友関係や国籍など幅広く、その情報を政府が持ち続けることになると指摘。企業で働く人が身辺調査の情報によって不利益を被ることを防止する法的措置はなく、「重大な人権侵害を引き起こす憲法違反の法案だ」と強調しました。
 田村氏は、法案提出の背景に、岸田政権が長射程ミサイルの開発・量産や、共同開発した次期戦闘機を輸出する方針を決めるなど、武器開発や軍事研究を成長戦略に据えようとしている問題があると指摘。同日の日本弁護士連合会のシンポジウムでは、経済活動の国際標準への対応が必要だという同法案提出の口実について“人権保障がない法律を国際標準というのは詭弁(きべん)だ”と指摘されたことも紹介し、「何としても廃案にするために幅広い国民と連帯を広げていきたい」と表明しました。


経済秘密保護法案 日弁連が院内集会で告発 数十万人が調査対象
                       しんぶん赤旗 2024年3月28日
 日本弁護士連合会は27日、岸田政権が今国会に提出した経済秘密保護法案(重要経済安保情報保護法案)の危険性を告発する国会内集会を開き、日本共産党をはじめ多くの国会議員が参加しました。数十万人規模の市民が安全保障の名でプライバシーを侵害される危険性が語られました。

 法案は、2013年に成立した秘密保護法を経済分野に拡大するもの。政府が経済安全保障上重要だとした情報を秘密指定し、その情報に接触できる人物を「適性評価」で選別します。情報漏えいには5年以下の拘禁刑などの罰則が科されます。
 日弁連副会長の斎藤裕弁護士は、人権侵害の恐れが極めて高い法案を政府・与党が拙速に進めようとしていると批判。同秘密保護法・共謀罪法対策本部の三宅弘本部長代行は、適性評価のための調査で「公安調査庁や内閣情報調査室が諸外国の例にならえば数十万人の情報を取りまとめることにもなる」とし、監視社会につながる危険が高いとして反対を表明しました。
 京都大学の高山佳奈子教授は「研究機関を防衛産業の道具にしようとするもの」だと指摘。日本学術会議の任命拒否の当事者の一人でもある立命館大学の松宮孝明教授は、適性評価のための調査が首相名で行われることに触れ「学術会議法を守らなかったのが当時の内閣総理大臣だ。法を守らない政権に本法を与えてはならない」と訴えました。
 日本共産党の塩川鉄也衆院議員、井上哲士、仁比聡平、山添拓の各参院議員が出席しました。


参考人質疑 : 経済秘密保護法案、時代錯誤的なものと指摘される
                       レイバーネット日本 2024-03-28
 経済秘密保護法案を巡って、3月28日の参考人質疑で大きな動きがありました。法案の根本的な問題点が明らかになりました。コンフィデンシャル級の秘密指定は英仏で廃止され、米の情報監察局もコンフィデンシャル級の秘密指定の廃止を政府に勧告している。したがって、経済秘密保護法は英仏米の動向と整合しない。(海渡雄一)

参考人質疑 : 経済秘密保護法案、時代錯誤的なものと指摘される
 本日、3月28日の内閣委員会における、経済秘密保護法案に関する参考人質疑において、重要なことが明らかになりました。本日の午前、衆議院の内閣委員会で参考人質疑が行われ、日弁連からは、斎藤裕副会長と三宅弘秘密保護法・共謀罪対策本部本部長代行のお二人も出席しました。
 今回の経済秘密保護法案は重要経済安保関連情報であって漏洩によって著しい支障がある場合は特定秘密として扱い拘禁10年、支障がある場合には拘禁5年という二段階化し、秘密レベルを複層化する制度をとっています。

 そして、欧米の制度と比較して、この著しい支障がある場合がトップシークレットとシークレット、支障がある場合がコンフィデンシャル⇒極秘、国家機密級であると説明されてきました。 ところが、斎藤裕日弁連副会長の参考人公述の中で、すでにイギリスとフランスでは、confidentialという秘密レベルは廃止されており、日本の同盟国であるアメリカにおいても、イギリスとフランスの決定を受けて、2022年の情報保全監察局(ISOO)レポートにおける大統領あての提言において、confidentialという秘密レベルの廃止を提言していること、政府の提案は、英仏米の動向とも整合しない、時代錯誤的なものではないかとの重大な指摘がなされました。ISOOのレポートは以下からダウンロードできます。 
   https://www.archives.gov/.../isoo-2022-annual-report-to 

 この指摘を受けて、共産党の塩川議員、れいわ新選組の大石議員から、斎藤委員の指摘を踏まえて、「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議」の座長を務められた渡部俊也東京大学副学長は、政府の対応が英仏米の動向と整合しているかについて問われ、法制度の合理性について説明ができませんでした。法案の根幹にかかわる問題点が明らかになったといえます。

 以下、勧告の該当部分を翻訳して掲載することとします。
「2023年度以降のISOO主要提言
1. 2022年6月2日、国家安全保障会議(NSC)スタッフは、各省庁に対して次のような覚書を発表した。
この覚書は、行政府が機密情報を作成・管理する多くの方法を見直し、更新し、合理化することを目的としたものである。 この覚書は、行政府が機密情報および管理された非機密情報を作成、管理するためのさまざまな方法を見直し、更新し、合理化することを目的としている。
この覚書は、行政府が機密情報や非機密情報を作成・管理する多くの方法を見直し、合理化することを目的としている。国家安全保障にとって、この覚書は絶対に不可欠である。 この覚書の目標が達成されることは、われわれの国家安全保障にとって絶対に不可欠である。

2. この覚書の最も重要な改革の中心は、E.O. 13526である。
このE.O.13526は、行政府が国家安全保障情報をどのように分類・機密解除するかを規定するものである。 私は昨年、年次報告書でこの大統領令にいくつかの変更を勧告したが、今年の報告書でも同じ変更を勧告する。 これらには以下が含まれる: a. confidentialレベルの分類を廃止することで、サイバーセキュリティ領域に対する我々のアプローチや、最も親密な同盟国の多くが採用している2段階の分類システムと、分類レベルをより密接に整合させる

 この勧告は大統領に対する最重要の勧告として位置づけられているものです。日本政府の策定した法案が、周回遅れの時代錯誤的なものであることが明らかになりました。法案の根本的な見直しが必須となったと言えます。広くこの事実を広めていただきたいと思います。野党の中にも、国会の関与を定める微修正だけで法案に賛成しようとする動きがあります。心あるみなさんから、お知り合いの国会議員に、慎重に審議してほしいという一言でよいので、お声掛けいただくようお願いします。