2021年7月31日土曜日

危機感を共有できていない責任は首相にある 根本から姿勢正せ

 共産党の志位委員長は29日、記者会見し、「東京では医療逼迫が現実のものとなり、医療崩壊の危険が差し迫ったものになっている」と強調しました。そして厚労省アドバイザリーボード「危機感を行政と市民が共有できていないのが、現在の最大の問題」と述べたことについて、その責任はあげて首相にある」として (1)五輪開催を強行し、国民に間違ったメッセージを送り続けている (2)首相が説明責任を果たさず、根拠のない楽観論をふりまいている と批判し、「いまからでもオリンピックは中止し、命を守ることに全ての力を集中すべきだ」と主張しました。

 そのうえで、「この局面で一国の首相に一番求められているのは、コロナのリスクに関する情報を行政、専門家、市民などで意思疎通し合って合意形成をすること」なのに、絶望的なまでにそのリスクコミュニケーションの意思がない批判しました。
 そして「“ワクチンの接種が順調にいっているから大丈夫だ”という楽観論は許されない」と述べました(しんぶん赤旗)
 時事通信は、コロナ感染が急拡大するなか菅首相の危機感が見えにくいとして、首相は五輪開幕後、日本勢が金メダルを獲得するたびにツイッターを更新しているが、感染対策の呼び掛けは21以降一度もないと指摘しましたそして「人流も減っている」と発言したことに対してはある専門家が「どのデータか示してほしい」と述べたことや、立民の枝野代表が「首相から真摯なメッセージが発信されない限り効果が出ないのは当然」と指摘したこと、また共産党の田村智子氏参院内閣委で「首相に危機感を感じない」と酷評したことを紹介しました
 しんぶん赤旗(2本)と時事通信の記事を紹介します。
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危機感を共有できていない責任は首相にある 根本から姿勢正せ
                        しんぶん赤旗 2021年7月30日
志位委員長が記者会見
 日本共産党の志位和夫委員長は29日、国会内で記者会見し、「東京を中心とした首都圏で、新型コロナの感染急拡大が止まらず、全国に感染拡大が広がる極めて深刻な事態に陥っている」「東京では医療逼迫(ひっぱく)が現実のものとなり、医療崩壊の危険が差し迫ったものになっている」と強調しました。志位氏は「危機感を行政と市民が共有できていないのが、現在の最大の問題」との厚生労働省アドバイザリーボードの評価を引いて、「危機感を共有できていないのはなぜか。あげて責任は首相にある」とのべ、(1)五輪開催を強行し、国民に間違ったメッセージを送り続けている (2)首相が説明責任を果たさず、根拠のない楽観論をふりまいていると厳しく批判。こうした姿勢を根本からたださなければ、打開の道は開けないと訴えました。
 志位氏は、政府分科会の尾身茂会長が28日の衆院内閣委員会で、東京では六つの指標――入院者数、重症者数、高濃度酸素による治療者数、入院調整者数、宿泊療養者数、自宅療養者数の全てで増加しているとして、「医療の逼迫がすでに起き始めている」との判断を示したことに言及。また同日、厚労省のアドバイザリーボードが出した資料でも、「このままの状況が続けば、通常であれば助かる命も助からない状況になることも強く懸念される」との評価を出したことを指摘。また評価資料では、東京都では夜間滞留人口が前回の緊急事態宣言時よりも「緩やかな減少」にとどまり、千葉県では増加、埼玉・神奈川両県では大きな減少がみられず、「東京を中心に当面は感染拡大の継続が見込まれる」という重大な結論を出したと強調しました。
 また、同評価が、「危機感を行政と市民が共有できていないのが、現在の最大の問題」としていると指摘。「なぜか。私はあげて菅政権、政府の責任だと強く言いたい」と述べ、次の二つの問題を明らかにしました。

 第一は、「五輪開催を強行し、国民に誤ったメッセージを出し続けている」ことです。志位氏は、「菅政権は、オリンピックの開催中止の検討さえせず、“もう始まったことだから”と、あくまでもこの“祭り”を続けるという姿勢だ。ここをあらためずに国民に自粛を要請しても説得力はない」と指摘。「政権が国民に誤ったメッセージを流し続けていることが、『危機感の共有』ができない最大の原因になっている」と強調。「いまからでも、オリンピックは中止し、命を守ることに全ての力を集中すべきだ」と主張しました。
 第二は、菅義偉首相が国民への説明責任を果たさず、根拠のない楽観論を振りまいていることです。志位氏は、28日に新規感染者が東京で3000人を超え、全国で9500人を超えた状況のもとで記者会見を求められた菅首相が、「本日、お答えする内容がない」と言い放ったとして、「あぜんとする。許しがたい無責任な姿勢だ」と批判しました。

 そのうえで、「この局面で一国の首相に一番求められているのは、リスクコミュニケーションリスクに関する情報を行政、専門家、市民などで意思疎通し合意形成をすることを真剣にやることだ」と指摘。「それは意思さえあればできるはずだ。このままいけば感染が広がる一方だという事実をきちんと伝え、“政府も責任を果たすから、国民のみなさんにも協力をお願いします”と言うことが首相の務めではないか。絶望的なまでにリスクコミュニケーションの意思がない。ここに一番の問題がある」と批判しました。
 志位氏は、野党共同の要求として、議院運営委員会などでの閉会中審査に菅首相自身が出席し、「現状の認識と打開の方策について責任をもって説明することを強く求めたい」と述べました。
 志位氏は、五輪開催による感染拡大への懸念について雑誌のインタビューで問われた菅首相が、「ワクチン接種者数が極めて順調に増えているから、その懸念は当たらない」と述べたことへの見解を問われ、「ワクチンの接種のいまの到達点は人口比で1回目が38%、2回目はまだ27%だ。急ぐことはもちろん重要だが、どんなに急いでも、今のデルタ株による『第5波』には間に合わない。この現実を直視すべきだ。ワクチン接種と大規模なPCR検査をセットで行い封じ込めをはかる、自粛要請とセットで十分な補償を行う、疲弊する医療機関に対する減収補てんや医療従事者への支援を行う、そしてオリンピックは中止し、コロナ対策に集中する。こうしてこそ国民と危機感を共有できる体制をつくることができる。“ワクチンの接種が順調にいっているから大丈夫だ”という楽観論は許されない」と述べました。
 また、「共産党は一貫して五輪開催でコロナ陽性者が増えると警鐘乱打してきたが、実際に感染拡大したことへの受け止めは」と問われた志位氏は、「大変残念だ。私たちが1月から主張してきた五輪中止という提唱に早い段階で真剣に耳を傾けてほしかった」と指摘するとともに、「いまからでもオリンピックは中止し、命を守るためにあらゆる力を注ぐべきだ」と重ねて主張しました。


感染急増、見えぬ菅首相の危機感 専門家が警鐘、溝拡大―新型コロナ
                         時事通信 2021年07月30日
 新型コロナウイルス感染が急拡大する中、菅義偉首相の危機感が見えにくくなっている。抑止に向けたメッセージ発信が乏しいためで、「説明と説得が全く足りない」(立憲民主党の枝野幸男代表)との声が上がる。医療崩壊を危惧する専門家との溝は広がっており、苦言も相次いでいる。
 「橋本大輝選手、体操個人総合で日本勢3大会連続となる金メダルおめでとうございます!」。首相は29日、自らのツイッターにこう書き込んだ。五輪開幕後、日本勢が金メダルを獲得するたびにツイッターを更新しているが、感染対策の呼び掛けは21日に投稿して以降、一度もない。
 28日に全国の新規感染者が過去最多を更新しても首相は内閣記者会の取材要請を拒否。その理由を要請に応じた29日に記者団から詰められると、「(緊急事態宣言などの)一定の方向性を示す中で対応している」と述べるにとどまった。
 29日は記者団に対し「危機感」を口にしたものの、むしろワクチン接種で重症化リスクの高い高齢者の割合は減っていると強調する場面もあった。首相にはいたずらに不安をあおりたくないとの思いがあるとみられるが、首相周辺は「感染減少の対策は何でもやる」と焦りを隠さない。
 専門家は危機感を募らせている。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は29日の参院内閣委員会で「今の最大の危機は社会一般の中で危機感が共有されてないことだ」と警鐘を鳴らした上で、政府に強いメッセージの発信を求めた。
 ある専門家は、首相の「人流も減っている」との発言に関し、「人流が減っているから大丈夫だと言うが、どのデータか示してほしい」と不満を示した。ワクチン効果を訴える姿勢については「接種していない重症者の発生は続く。首相も危機意識を持ってほしい」と訴えた。
 別の専門家は「東京の医療が崩壊するような状況で選手がメダルを取っても心から喜べない」と語り、感染対策の徹底を求めた。
 野党は批判を強めている。立民の枝野氏は記者会見で「首相から真摯(しんし)なメッセージが発信されない限り、(対策の)効果が出ないのは当然だ」と指摘。共産党の田村智子氏は参院内閣委で「首相に危機感を感じない」と酷評した。


命守る責任投げ出し 田村智子議員 五輪中止 政府に迫る
                       しんぶん赤旗 2021年7月30日
参院内閣委
 日本共産党の田村智子議員は29日の参院内閣委員会で、新型コロナの感染者が急増しているにもかかわらず、菅義偉首相が危機感を共有していないことを厳しく批判し、「政府の対策本部で五輪中止を含めた議論を行い、菅首相出席のもと国会できちんと質疑を行うべきだ」と迫りました。
 田村氏は、五輪の開会式に合わせ、航空自衛隊の曲技飛行チーム「ブルーインパルス」のテスト飛行・展示飛行を強行し、長時間の密集・密接状態をつくったことをあげ、政府は人流を抑えるつもりがあるのかと追及。さらに、東京で救急搬送困難事例が既に増加しているにもかかわらず、菅首相は27日の記者会見で医療逼迫(ひっぱく)に一言も触れず、人流は減っているなど楽観的な言葉を並べ、またも誤ったメッセージを発信していると菅首相の姿勢を批判。「新規感染者を懸命に抑える努力が今すぐ必要だと危機感をもって発信する最も有効なメッセージは、五輪中止を表明することだ」と強調しました。
 しかし、西村康稔経済再生担当相は「不要不急の外出自粛、自宅でテレビ観戦してもらうなど、さまざまな呼びかけを行い、危機感を共有していきたい」と、まともに答えませんでした。
 田村氏は、五輪の開催によって、アスリートやボランティアらの感染リスクが高まり、コロナ感染実態を伝えるニュース報道は十分流されなくなっているとして、「いったい新規感染者がどういう規模に達したら五輪中止を議論するつもりなのか」と迫りましたが、西村担当相は答弁する意思さえ示しませんでした。田村氏は「命を守ることへの責任を投げ出している」と厳しく批判しました。

尾身会長「五輪も感染拡大の要素」/ 岡部信彦座長「大会中止も検討」

 五輪・パラ大会組織委は五輪を開催するにあたり医療スタッフ7000人、約30カ所の病院を五輪用に割り当てました。そこに来てこの感染爆発なので、一般医療に大きな影響が出ない筈がありません。

 政府分科会の尾身会長は29日、参院内閣委で大変な危機感を持っている。感染者数を下げる要素はないが、上げる要素はたくさんある」として、市民のコロナ慣れや自粛疲れ、デルタ株の増加、夏休み・お盆期間を列挙した上で「さらに五輪がある」と述べました。
 また「感染拡大や医療逼迫を防ぐため、するべきこと全力でやることが政府・組織委の当然の責務」、ワクチンによる集団免疫獲得については「仮に70%にワクチンを接種しても、残りの30%が防護されることにはならない」と語りました(東京新聞)。
 尾身会長ら専門家は30日、菅首相の記者会見前に首相と面談し「人々に寄り添うメッセージ」の発出を求めましたそして専門家らは、五輪が市民感情に影響し緊急事態宣言下でも人出の減少につながらない可能性を指摘しましたが、菅首相は「五輪と関係はないと思う」と発言しました(東京新聞)
 また五輪・パラ組織委コロナ対策を検討する専門家会議の岡部信彦座長取材に応じ、質問に答える形で「今はまだその段階ではないが、一般医療にしわ寄せがいくような状況になれば大会の中止も検討するべき」、「感染拡大が続けば来月のパラリンピックも中止を検討するべき述べました(テレビ朝日)
 3つの記事を紹介します。
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尾身会長、「五輪も感染拡大の要素」 変異株や夏休み・お盆と並び
                         東京新聞 2021年7月30日
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は29日、参院内閣委員会で、全国的な新規感染者急増に関して「大変な危機感を感じている。感染(者数)を下げる要素はないが、上げる要素はたくさんある」と強調した。市民のコロナ慣れや自粛疲れ、感染力が強いデルタ株の増加、夏休み・お盆期間を列挙した上で「さらに五輪がある」と語った。
 尾身氏は、五輪中止論に関しては「さまざまな意見が社会にある中で、政府・組織委員会は五輪をやると決定した。感染拡大や医療逼迫ひっぱくを防ぐため、するべきことはすべて全力でやることが政府・組織委の当然の責務だ」と語った。
 東京都の緊急事態宣言発令後も、人出が期待通りには減っていないとの認識を重ねて示した上で「最大の危機は、社会で危機感が共有されていないことだ」と強調。このまま感染拡大が続けば「医療の逼迫がさらに深刻になる」と危機感を示した。
 政府が進めるワクチン接種に関しては、人口の一定程度が免疫を持つと、感染症が流行しなくなる状態を意味する「集団免疫」獲得は当面は難しいとの考えを示した。「仮に70%にワクチンを接種しても、残りの30%がプロテクト(防護)されることにはならない」と語り、接種率の向上を求めた。(大野暢子)


「人々に寄り添うメッセージを」 尾身氏ら菅首相へ会見前に直談判
 コロナ感染急拡大で
                         東京新聞 2021年7月30日
 政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら専門家は30日、菅義偉首相と面談し「人々に寄り添うメッセージ」の発出を求めた。面談は同日夜の菅首相の記者会見前に実施された。
 感染拡大の中、専門家らは東京五輪が市民感情に影響し、緊急事態宣言下でも人出の減少につながらない可能性を指摘したが、菅首相は「(五輪と関係は)ないと思う」と発言。厚生労働省に助言する専門家組織は「危機感を行政と市民が共有できていないのが最大の問題」と指摘していた。
 面談は尾身氏ら専門家が打診した。脇田隆字・国立感染症研究所長、岡部信彦・川崎市健康安全研究所長のほか、田村憲久厚労相、西村康稔経済再生担当相も同席し30分間行われた。

◆「これまでで最も厳しい危機的な状況」
 終了後、尾身氏は「今の感染状況、医療状況は、これまでの1年半以上の取り組みの中で、最も難しい危機的な状況」と発言。五輪開催などについて「人々が複雑な気持ちを持っている」とし、「気持ちに寄り添うメッセージがこの局面に今まで以上に求められる。そのことを伝え、総理も分かっていただいたと感じている」と話した。
 面談に先立って開かれた基本的対処方針分科会では、メンバーから「総理がなぜ五輪を開いたか誠実に説明し、五輪が人々のいろんな気持ちに影響を与えたことを認めてほしい。認めた上で協力のお願いをするべきだ」との意見が出ていた。
 菅首相は面談後の30日夜、記者会見したが、同席した尾身氏による対応が目立った。「危機感共有のため自身の発信力が必要では」という問い掛けに、菅首相は「若者へのメッセージは極めて大事だと思っています」と答えるにとどまった。(沢田千秋、村上一樹)


「大会中止も検討を」組織委専門家会議座長が懸念
                           テレビ朝日 2021/7/30(
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会でコロナ対策を検討する専門家会議の岡部信彦座長が取材に応じ、「一般医療にしわ寄せがいくような状況になれば大会の中止も検討するべき」という考えを示しました。
 コロナ対策専門家会議・岡部信彦座長:「一般の医療そのものに、しわ寄せがくるっていうのは、これはタイミングとしては、その継続をどうするか本当に考えなきゃいけない」「(Q.中止についても検討すべきだと?)そうですね」
 組織委員会でコロナ対策を検討する専門家会議の座長・岡部氏は一般医療に大きな影響が出る状況になれば、オリンピックの中止も考えなければならないとしています。
 今はまだその段階ではないとしながらも、感染拡大が続けば来月のパラリンピックも中止を検討するべきとしています。
 コロナ対策専門家会議・岡部信彦座長:「選手の人と一般の人が同時に、例えば入院しなくちゃいけない時に選手を優先というよりも重症度を優先すべきだと思う。亡くなるような人をやっぱり一人でも救いたいし、重症になる人も救いたい」

31- 検察審査会「不起訴不当」は安倍前首相も寝耳に水!

「桜を見る会」前夜祭の費用の一部を負担した問題で安倍・前首相を不起訴とした東京地検の決定について、検察審査会が「不起訴不当」とする議決を出しました。この議決15日に出ていましたが内容は秘密だったので、ういう結果だったとは司法記者も想像していなかったということです。

 検察審査会は、安倍氏が会計責任者の選任監督を怠った政治資金規正法違反容疑に加えて、前夜祭の費用負担が公職選挙法違反にあたると告発を受けた件も『不起訴不当』としたわけです
 この決定は安倍前首相にとっても寝耳に水だったようで、安倍前首相はこの間、東京五輪組織委員会の名誉最高顧問なのに開会式にも出席せず、いつもなら五輪では大はしゃぎするツイッターなどでもダンマリを決め込んでいたのですが、30日そろそろ頃合いは良しとばかりに読売新聞に登場し東京五輪について「陸上男子リレーが非常に楽しみ」などとお気楽に語っていたのでした。
 もともと検察が公職選挙法違反についてはろくに捜査もせず、秘書の略式起訴だけで幕引きしたのは、裏で検察と安倍サイドの間ですべてを秘書の責任にするという手打ちがあったのではないかともいわれていました
 そういう意味では検察審査会がこうした議決をし、検察に再捜査させるのは当然のことですが、今回の議決が「起訴相当」より弱く、特捜部が再び不起訴にすれば2回目の審査はおこなわれない「不起訴不当」だったため、結局、検察は再捜査を形だけやったことにして、終結させるだろうという見方も濃厚です。
 LITERAが取り上げました。
 同紙は、安倍前首相の不起訴が決まった直後、前夜祭の損失補填が秘書の独断などではなく安倍前首相が深く関わっていること、そして安倍前首相が国会の説明でついた嘘を検証した記事を配信していて、それをこの度再編集再録しました。
 全文は8500字余りの長文のため、ここでは書き出しの第1節だけを紹介し、以降は省略しますので、全文には下記から原文にアクセスしてください。

 ⇒ 検察審査会「不起訴不当」は安倍前首相も寝耳に水! 今度こそ逃すな、桜前夜祭問題で安倍がついた嘘、本人関与の証拠を徹底検証LITERA 7月30日)
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検察審査会「不起訴不当」は安倍前首相も寝耳に水! 今度こそ逃すな、桜前夜祭問題で安倍がついた嘘、本人関与の証拠を徹底検証
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「桜を見る会」前夜祭の費用の一部を負担した問題で安倍晋三・前首相を不起訴とした東京地検の決定について、検察審査会が「不起訴不当」という議決を出した。この議決を受けて東京地検が再捜査することになるが、「不起訴不当」の議決は司法担当記者にとっても意外だったようだ。
「議決が出たのは15日で、月内に発表があるだろうとはいわれていましたが、内容は完全秘密でしたから、こんな結果になっているとは、司法記者も想像していなかった。しかも、今回、検察審査会は、安倍氏が会計責任者の選任監督を怠った政治資金規正法違反容疑に加えて、前夜祭の費用負担が公職選挙法違反にあたると告発を受けた件も『不起訴不当』としたわけですから。秘書さえ政治資金規正法違反の略式起訴だけで、公職選挙法違反は不起訴だったのに……忖度的な結論になることの多い検察審査会としては異例といっていい」(全国紙司法担当記者)
 この決定は安倍前首相にとっても寝耳に水だったようだ。というのも、安倍前首相はきょう、読売新聞に登場し、東京五輪について「陸上男子リレーが非常に楽しみ」などとお気楽に語っていたからだ。
 安倍前首相はこの間、東京五輪組織委員会の名誉最高顧問なのに、開会式にも出席せず、いつもなら五輪では大はしゃぎするツイッターなどでもダンマリを決め込んでいた。
 おそらく安倍前首相のこと。五輪前は開催に批判が集中して、安倍首相の責任論も噴出していたためトンズラしたものの、五輪が開会して金メダルラッシュで盛り上がり始めたので、御用新聞に出てきたのだろう。しかし、そのインタビューが掲載された当日に、検察審査会から「不起訴不当」の議決を公表されというわけだ。
 もっとも、マスコミや安倍前首相の驚きはともかく、この検察審査会の議決自体は当たり前の結論と言っていい。
 本サイトでは、「桜を見る会」前夜祭について安倍氏サイドが費用補填をおこない、しかもポケットマネーでおこなわれていたことから、後援団体による選挙区民への寄附の禁止を規定した公選法199条の5の1項違反、さらには、公職の候補者による選挙区民への寄附の禁止を規定した公選法199条の2の1項違反にあたると指摘してきた。
 しかし、今回、検察審査会が議決のなかで「一部の参加者の供述だけで参加者全体について寄付を受けた認識がないと判断したのは不十分と言わざるをえない。安倍氏や秘書らの供述だけでなくメールなどの客観資料も入手したうえで犯意を認定するべきで、不起訴の判断には納得がいかない」と指摘していたように、検察は公職選挙法違反についてはろくに捜査もせず、秘書の略式起訴だけで幕引きしてしまったのだ。このときは、裏で検察と安倍サイドの間で、すべてを秘書の責任にするという手打ちがあったのではないかともいわれている。
 そういう意味では、検察審査会がこうした議決をし、検察に再捜査させるのは当然のことと言っていいだろう。
 今回の議決が、強制起訴まであり得る「起訴相当」ではなく、特捜部が再び不起訴にすれば2回目の審査はおこなわれない「不起訴不当」だったため、結局、検察は再捜査を形だけやったことにして、終結させるだろうという見方も濃厚だ。
 しかし、そうさせないためにも、この機会に国民が再び声を上げ、メディアや検察に安倍前首相の嘘を徹底的に暴かせる必要がある。本サイトは、安倍前首相の不起訴が決まった直後、前夜祭の損失補填が秘書の独断などではなく安倍前首相が深く関わっていること、そして安倍前首相が国会の説明でついた嘘を検証した記事を配信している。その記事を再編集・再録するので、ぜひ読んでほしい。(編集部)

 全文は8500字余りの長文のため以降は省略します。全文には下記から原文にアクセスしてください。
 ⇒ 検察審査会「不起訴不当」は安倍前首相も寝耳に水! 今度こそ逃すな、桜前夜祭問題で安倍がついた嘘、本人関与の証拠を徹底検証LITERA 7月30日)

2021年7月30日金曜日

特報 命危ない 医療現場悲鳴(しんぶん赤旗)

 29日、全国のコロナ新規感染者は1万699人と初めて1万人を超えました。累計では90万4036人となっています。

 東京都では過去最多となる3865人で、28日よりさらに688人増えました。これで3日連続で過去最多を更新し1週間前の木曜日の倍近くに増えました。
 神奈川埼玉千葉の3もほぼ同様で、過去最多かそれに次ぐものとなっています。
 大阪府932人で、一日の感染者数が900人を超えるのは5月11日以来で、やはり先週の木曜日の倍以上に上っています。
 ここにきてコロナの感染拡大は急激な勢いに転じました。28日夜の厚労省の専門家会合は現在の感染状況について「これまでに経験のない急速な感染拡大になっている」分析しました。そして緊急事態宣言などによる人出の減少限定的で、感染力が強い「デルタ株」への置き換わりも進んでいるとして、東京ではすでに一般医療への影響が起きているにもかかわらず、「こうした危機感を行政と市民が共有できていないことが最大の課題だ」と指摘しました。
 政府は緊急事態宣言新たに埼玉千葉神奈川大阪に出し、まん延防止等重点措置を新に北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県に適用することを30日に決めるようですが、政府自身が危機感を持っているのかが分かりにくい中では、それによる効果は殆ど期待できません。
 特に菅首相は五輪に執着するあまり、絶えず感染拡大の惧れを無根拠なまま強く否定してきました。こんな風に自分の希望的観測と真実(実態)とが自分の中で混然としている人が采配を振るった結果がこの有様です。いまはひたすら大手メディアの協力を得て、五輪の「興奮」を演出しコロナの実態を覆い隠したいのでしょうが、もはやそれが許される段階ではありません。
 しんぶん赤旗が医療崩壊寸前にある医療現場の悲鳴を伝えました。
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特報 命危ない 医療現場悲鳴
                       しんぶん赤旗 2021年7月29日
 東京都の新型コロナ感染症の新規感染者数が28日、3177人と過去最多を記録、首都圏3県も神奈川県が同日1051人と過去最多を記録するなど新規感染者が爆発的に増えるなか首都圏の保健所や医療機関は逼迫(ひっぱく)、危機的な状況に直面しています。
一番強い感染の波
 「区内の医療機関のコロナ病床は満床となり、都の広域調整でも入院待機者が出始めている」。東京都北区の保健所は26日、区議会にこう報告しました。
 「これまでで一番強い感染力の大きな波が来る」
 保健所は土日祝日も夜間まで対応しているが患者数増加に追い付かない状況で感染経路の調査より在宅患者への支援を優先としています。また感染と診断された人には、保健所から連絡が来る前に呼吸苦や激しい倦怠(けんたい)感がある場合で緊急の場合は119番するよう区のホームページに告知しました。
 東京都心から約30分の私鉄駅前にある千葉県流山市の東葛病院(330床)
 「先週から急激に患者さんが増えました。感染拡大のスピードと規模は第3波をはるかに超える。危ない状況です」。濱砂一光副院長の冷静な声に緊張がにじみます。
 発熱外来の陽性率は先週末から3割を超え。今年から12床に拡大したコロナ病床は満床状態が続いています。
 同病院など東京民医連加盟病院が検査検体を出す病体生理研究所(東京都板橋区)の同病院への報告では27日までの10日間で180検体の4割がデルタ株でした。同病院でも検査できたうちの半分がデルタ株。高齢者へのワクチン接種と感染力の強いデルタ株への置き換わりで若年層の患者が増えています。7月は入院患者の6割が50代以下。20~30代で3分の1を占めました。
中等症から重症化
 患者が若年化しても入院患者の状態は悪化しています。28日現在の11人の入院患者は全員が肺炎を発症した中等症以上です。うち4人は酸素投与が必要で重症化の危険と隣り合わせの中等症II。さらに「人工呼吸器装着の一歩手前」(濱砂医師)と言われ、一般の酸素療法の数倍の高流量の酸素を送り込むネーザルハイフローを装着した患者が2人います。
 実際、これまで同装置を装着した患者14人の状態が悪化、人工呼吸器の必要な重症となり重症者対応病院へ転送しました。
 28日も同様にネーザルハイフロー装着者から重症化する人が出て保健所に転送を要請しました。しかし返ってきた返事は「重症病床は満床。県全体で優先順位は5番目です」。
 「これではいつ送れるか分からない。自院で人工呼吸器管理までやらざるをえないかもしれない」と濱砂医師は決意しました。
 同病院は集中治療室でコロナ対応をしていません。一般のコロナ病床での人工呼吸器管理は病院全体に重い負荷をかけます。
 千葉県の重症病床使用率は22・8%ですが、実態を反映しているとは言えません。さらに重症化の危険と隣り合わせの中等症IIの患者が増えています。「重症者という氷山の下に、予備軍の中等症IIの患者が大勢います。重症化しても重症病床に送れない悲劇が増加する危険がある」と濱砂医師は語ります。
「このままでは搬送先なくなる…」
 保健所がひっ迫する東京都北区の王子生協病院(159床)の発熱外来には先週末以降、連日30人近くが受診しています。陽性率は直近の1週間で19・2%を記録しました。陽性者の多くが20代から50代。患者が出た区内の保育園で濃厚接触者になった園児15人のうち2人が陽性でした。「陽性の子どもが出たのは初めて」。東京ほくと医療生協の高橋朋子看護部長は話します。
 東京都中野区にある二次救急医療機関の中野共立病院(110床)。発熱外来のほか、開業医などから感染が疑わしいと診断された人に、PCR検査を実施するPCRセンターを設置し、新型コロナ感染症対応にあたっています。
 山本英司院長は「以前は1日2~3人だったPCRセンターに来る人が、28日は8人。確実に増えています」と、疑い症例の増加を指摘します。発熱外来の対応でもこの間、予約なしで来る人や救急車で搬送されてくるケースが増えていると話します。
陽性率が急上昇
 同病院では1~26日にPCR検査などを133件実施。そのうち陽性だった割合は30を超えました。さらに23~26日に限れば陽性率は43・5%に跳ね上がっています。
 以前は、同病院でPCR検査を始めた昨年8月以降、陽性率が最も高かった時期でも、10%台だったといいます。山本院長は「この1カ月ぐらい急に陽性率が上がってきた感じです」と語ります。
 同病院では、発熱のほか呼吸苦の症状がある患者の場合、中等症以上が疑われるため、迅速に結果が分かる抗原検査を実施。陽性であればCT(コンピューター断層撮影)で、肺炎の有無を調べることになっています。
 「症状から明らかに中等症ではないかという人が結構います。抗原検査をして当日中に診断をつけたほうがいいケースも増えています」(山本院長)
 同病院は、数百床を抱える大病院と異なり、コロナ入院患者の受け入れ可能な病床を現在の3床以上に増やすのは不可能です。しかし、病床不足は中規模以上の病院の問題にとどまりません。感染者急増に伴い、全体のコロナ病床が不足すれば通常の医療が制限される事態になるため、山本院長は救急医療自体が回らなくなると強調します。「昨年の夏は、救急車が30、40病院に断られて救急搬送先が見つからず、当院が受けたこともありました。いまはまだそういうケースはありませんが、深夜を含む夜間帯の発熱対応する病院が少ない。このまま行けば、搬送先が決まらない患者が増えるんじゃないか」
五輪固執の首相
 都内で過去最多の新規感染者2848人が確認された27日、記者団から五輪中止の選択肢について問われた菅義偉首相は「人流も減っているので、そこはない」と強弁しました。
 山本院長は、政府があくまで五輪を優先し、命の軽視を続けるのはおかしいと語ります。「莫大(ばくだい)な費用をかけ五輪を続ける一方、医療分野は物心両面のサポートも十分ないまま、感染爆発の厳しい局面に対応させられようとしている。医療従事者はいずれ疲れ果て、現場から多くの人が立ち去るようになるかもしれない。そうなれば、本当の医療崩壊が起き、現在の医療さえできなくなるでしょう」
 東葛病院の濱砂医師も語ります。
 「オリンピックはこれから本番。人流は減っていない。オリンピックをやっておきながらテレビの前で観戦してといってもそれは通らない。直ちに中止が必要です」

東京の感染者 2週間後に一日5000人超、8月末には1万人超に

 東京都のコロナ新規感染者は29日は3865人3日連続で過去最多を更新し、急激な拡大に向かっています。東京都では今後の感染状況はどうなるのか?・・・NHKが特集記事を出しました。

 京都大学の西浦博教授らのグループがシミュレーションを行った結果、今のペースで感染が拡大し続けた場合、都内の一日の新規感染者の数は8月中旬には5000人を超え8月26日には1日1万643人に上る計算になったということです。厚生労働省の専門家会合で示されました。
 また東京都のモニタリング会議のあと、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は記者団に対し「新規陽性者数の7日間平均2000人これまで見たことがなく、経験したことがないような尋常ではない増え方だ」と述べ「これだけ多くの患者が出ると自宅で療養する人もすごい数が出てくる。すぐに入院できない人や診断がついていない人が急に苦しくなったときに入院できないといったことにもなりかねない。そうならないように、とにかく増加比が伸びていくことをすぐに抑えなければいけない」と述べました。
 やや長文ですがNHKの特集記事を紹介します。
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このままだと東京の感染者 2週間後に一日5000人超か 
    来月末には1万人超も…
                     NHK NEWS WEB 2021年7月29日
29日は3865人の感染が確認され、3日連続で過去最多を更新した東京都。今後の感染状況はどうなるのか…?
専門家がシミュレーションしたところ、今のペースで感染が拡大し続けた場合、新規感染者の数は約2週間後の来月中旬には一日5000人を超えるという結果となりました
東京都では29日、過去最多となる3865人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。
27日は2848人、28日は3177人の感染が確認されましたが29日はさらに多く、3日連続で過去最多を更新しました。また、3865人は1週間前の木曜日の倍近くに増えていて、これまでにないスピードで感染が拡大しています。
東京 今後の感染状況は…?
東京都の感染状況は今後どうなるのか。京都大学の西浦博教授らのグループがシミュレーションを行い、今のペースで感染が拡大し続けた場合、都内の一日の新規感染者の数は来月中旬には5000人を超えるという結果となりました。
試算. <新規感染者数>来月11日に5000人超 
これは西浦教授が28日、厚生労働省の専門家会合で示したものです。
試算では、東京都の一日の新規感染者数を前の週の同じ曜日と比較して現状の水準を参考に1.4倍のペースで増え続けると仮定したところ、東京都では来月11日には5000人を超える一日5027人という結果になりました。その後も同じペースが続くと来月26日には1日1万643人に上る計算になったということです。
試算. <入院患者数>来月9日に6000人超 
また、今月21日までのデータをもとに東京都の入院患者などの今後の推移についても試算を行いました。
試算では、1人が何人に感染を広げるかを示す実効再生産数を変異ウイルスの感染力の強さなどを考慮して今の時点で1.5と仮定し、今後、実効再生産数が10%しか減らなかったとすると東京都の入院患者数は来月9日の時点で6000人を上回るという計算になりました。
さらに、今後の実効再生産数がことし4月に出された緊急事態宣言の際と同じ程度の効果を想定して30%減少したとしても、入院患者数は減少傾向にまではならず来月10日には4000人を超える結果になったということです。
グループでは今の感染拡大のペースが続くと40代や50代の人たちの入院が増えて重症者病床より先に一般病床がひっ迫し、新型コロナ以外の医療との両立が難しくなるおそれがあると指摘しています。
西浦教授は「感染者数の増え方はデルタ株の影響で加速していて今までにない厳しさとなっている。現状、緊急事態宣言の効果も見えておらず早急に対策が必要な状況だ。ワクチンを接種していてもふだん会わない人とは会わないようにするなど、一人一人が協力してほしい」と話しています。
「経験ない爆発的感染拡大に向かう」東京都モニタリング会議
東京都のモニタリング会議が開かれ、専門家は「経験したことのない爆発的な感染拡大に向かっている」と指摘したうえで「入院患者はおよそ1か月で倍増しており、医療提供体制のひっ迫が始まっている」として強い危機感を示しました。
会議の中で専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。
新規陽性者の7日間平均は28日時点でおよそ1936人とこの1か月たらずで4倍となり、専門家は「これまで経験したことのない爆発的な感染拡大に向かっている」と指摘しました。
そして今の増加比が継続した場合、7日間平均は
▽1週間後の来月4日には今の1.53倍のおよそ2962人にのぼると予測しました。
さらに
▽2週間後の来月11日には今の2.34倍のおよそ4532人にのぼると予測し「医療提供体制が危機にひんするので、早急に回避しなければならない」と述べ、強い危機感を示しました。
専門家「尋常ではない増え方だ」 
モニタリング会議のあと、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は記者団に対し「新規陽性者数の7日間平均は2000人でこれまで見たことがなく、経験したことがないような尋常ではない増え方だ」と述べました。
そのうえで「これだけの多くの患者が出ると自宅で療養する人もすごい数が出てくる。その中で医療がまわらなくなってくると、すぐに入院できない人や診断がついていない人が急に苦しくなったときに入院できないといったことにもなりかねない。そうならないように、とにかく増加比が伸びていくことをすぐに抑えなければいけない」と述べました。
小池知事「ワクチン行き渡るまでが勝負」 
小池知事は記者団に対し「ワクチン接種は道半ばという状況で特に若い方々にはまだ行きわたっていない。無防備でたたかうにはデルタ株は手ごわいという危機意識を共有したい」と述べました。
そのうえで「引き続き、人の流れの抑制と基本的な対策の徹底をお願いしたい。ワクチンが行き渡るまでが勝負だ」と述べました。
さらに小池知事は「対策の的はだんだん絞られてきている。50代の方にはワクチン接種をできるだけ早くしていただくと同時に、若い方々にはマスク着用の徹底など基本的な部分を守っていただくとともに、ワクチンを打っていただけるような体制を整えていく。これまでのいろいろな経験や知見などを重ねながらコロナ対策を進めていく最後の夏にしたいので、しっかり受け止めていただきたい」と呼びかけました。
一方、記者団が「開催中のオリンピックが『人の流れを減らさなければならない』と理解してもらうことの妨げになっていないか」と質問したのに対し、小池知事は「オリンピックは逆だと思う。ステイホームの率をとても上げている。テレビの視聴率が如実に示している。人流も下がっており、さらに協力いただきたい」と述べました。
分析. 繁華街 人出減少も前回“宣言”時より幅小さい 
モニタリング会議では緊急事態宣言が出されてから都内の繁華街では人出が減少しているものの、前回・3回目の宣言の時より減少の幅は小さいとして、さらに人出を抑える必要があると報告されました。
東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は、自宅や職場以外で都内7か所の繁華街に15分以上とどまっていた人の数を「滞留人口」として分析しました。
それによりますと今回・4回目の緊急事態宣言が出されて2週目の今月18日からの1週間では、宣言に入る前の週と比べて昼間は13.7%、夜間は18.9%、それぞれ減少しました。
しかし減少の幅は昼間、夜間ともに、ことし4月から先月までの前回・3回目の宣言の時の40%程度にとどまっています。
特に、西田センター長が「感染リスクが高まる」としている午後10時から午前0時までの深夜の時間帯の減少幅は前回の宣言時が48.5%だったのに対し、今回は12.7%でした。
西田センター長は「感染力の強いデルタ株の影響を考慮すると、少なくとも前回の宣言の時と同じ程度の水準を目指してさらに人流を抑制していく必要がある」と指摘しました。
分析. 感染状況
このほか、モニタリング会議で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。
新たな感染の確認は28日時点で7日間平均が1936.4人となり、前回・今月20日時点の1170.0人よりおよそ766人増加しました。
専門家は「大きく増加し予測を超える感染状況だ。先月30日のおよそ503人から、わずか4週間足らずで2000人近くに及んだ」と指摘しました。増加比は前の週のおよそ153%で前回よりも4ポイント上昇しました。
専門家は「2週間後の来月11日の予測値のおよそ4532人は医療提供体制が危機にひんするので早急に回避しなければならない」と述べ、強い危機感を示しました。
今月26日までの1週間に感染が確認された人の年代別の割合(%)

10歳下

10代

20代

30代

40代

50代

60代

70代

80代

90代超

4・7

8・1

33・3

21・3

16

11・5

3

1・3

0・6

0・2

先月中旬以降50代以下で全体の90%以上を占めいて、専門家は「新規陽性者の年齢構成は若年・中年層中心へと変化した。あらゆる世代が感染リスクがあるという意識をより一層強く持つよう啓発する必要がある」と指摘しています。
一方、65歳以上の高齢者は今週は309人で前の週より23人増えていて増加傾向にあります。
分析. 感染経路がわかっている人
感染経路がわかっている人では
▽同居する人からの感染が55.8%と最も多く
▽職場が15.4%
▽保育園や学校それに高齢者施設や病院といった施設での感染が9.3%
▽会食は6.1%でした。
今週は施設での感染が前の週から1.5ポイント増え、保育園や幼稚園、大学などでの感染が多く報告されていて、年代別では
▽10歳未満が前の週から0.5ポイント減って26.9%
▽10代では0.4ポイント減って19.3%でした。
また、会食での感染は10歳未満を除くすべての世代で発生しています。
専門家は「会食による感染は職場や家庭内での感染のきっかけとなることがある。夏休みやオリンピック観戦などでの飲み会はオンラインを活用するなどの工夫が求められる。家や借りた会場に集まっての飲み会やテレビ観戦はマスクを外す機会が多く、感染のリスクが高いことを繰り返し啓発する必要がある」と述べました。
分析. 感染経路がわからない人
「感染の広がりを反映する指標」とされる感染経路がわからない人の7日間平均は28日時点で1246人で、前の週からおよそ525人増え7週連続して増加しています。また、増加比は28日時点で157.4%と前回から7.7ポイント上昇し8週連続で増加しました。
専門家は「第3波のピーク直前と同じ速度で感染が拡大している。さらなる拡大を防ぐためには人流を十分に減少させ、これまで以上に徹底的に感染防止対策を実行する必要がある」と警戒を呼びかけました。
感染経路がわからない人の割合はおよそ63%で前の週と比べて横ばいでした。
20代から60代の中では感染経路がわからない人の割合は60%を超えていて、特に行動が活発な20代と30代では70%前後と高い割合になっています
専門家は「保健所の積極的疫学調査でいつ、どこで感染したのかわからないとする陽性者が増加していて、保健所業務への多大な負荷を軽減する支援策が必要だ」と指摘しています。
分析. 入院患者
検査の陽性率の7日間平均は28日時点で16.9%となり、前の週の今月20日時点の10.2%から大きく上昇しました。すでに年明けの第3波の時の最も高かった値を超えていて、さらに上昇しています。
入院患者は28日時点で2995人でした。今月20日の時点より607人増加しました。また、先月下旬からのおよそ1か月で倍増しています。
専門家は「医療機関はおよそ1年半にわたり新型コロナの患者の治療に追われるとともに ワクチン接種にも多くの人材を充てていて、疲弊している」と訴えました。
入院患者を年代別にみると、60代以下が全体のおよそ88%と継続して上昇傾向にあるとしています。
年代別にみると
▽40代と50代があわせておよそ42%
▽30代以下も全体のおよそ36%を占めています。
専門家は「若年、中年層を中心とした入院患者が急増していて、遅れてこの年齢層の重症患者が増加することが予測される」と指摘しました。
分析. 入院調整
また、保健所から都の入院調整本部への依頼は28日時点で270件で、新規陽性者数の急増に伴い非常に高い水準で推移しています。
先週の4連休中は入院の調整が極めて厳しく翌日以降に繰り越し自宅待機を余儀なくされる事例が多数生じたとして、専門家は「今後さらに難航することが予想される」としています。
分析. 重症患者 
また、都の基準で集計した28日時点の重症患者は今月20日時点より20人増えて80人で、専門家は「大きく増加した」と指摘しました。男女別では男性65人、女性15人です。年代別では50代が30人と最も多く次いで40代が17人、60代が15人、70代が14人、30代が3人、20代が1人でした。
専門家は「重症患者のおよそ83%は60代以下だ。今週は20代と30代でも新たな重症例が発生している。肥満や喫煙歴がある人は若年であっても重症化リスクが高い」と指摘しました。
このほか、人工呼吸器かECMOの治療がまもなく必要になる可能性が高い状態の人は28日時点で260人で今月20日時点より57人増えました。
分析. 療養状況 
28日時点で陽性となった人の療養状況を今月20日時点と比べると
自宅で療養している人は3691人多い7348人と倍以上増えたほか
都が確保したホテルなどで療養している人は60人増えて1829人でした。
また
▽医療機関に入院するかホテルや自宅で療養するか調整中の人は2501人多い4172人と、およそ2.5倍に増えました。
療養状況を示す4つすべての項目が増加していて、入院患者を含めた「療養が必要な人」全体の数は1万6344人となりました。これは今月20日時点の9485人の1.7倍余りの増加です。
専門家は「著しく増加し、極めて高い水準にある」と指摘しました。
一方、今月26日までの1週間で新型コロナウイルスに感染した7人が亡くなりました。このうち4人は70代以上でした。