2023年9月30日土曜日

原告全員 水俣病と認定 近畿2次訴訟 患者切り捨て断罪 大阪地裁

 水俣病特措法水俣病被害者救済特別措置法)は、一時金の申請を3年以内に限定し、対象者を (1)水俣湾周辺に1年以上居住、(2)排水停止後の196911月末まで生まれたことなどとする線引きによって患者を切り捨ててきました。
 救済を拒まれた近畿地方などの被害者ら128人が、国、熊本県、加害企業のチッソに損害賠償などを求め「ノーモア・ミナマタ近畿第2次訴訟」の判決が27 大阪地裁であり達野ゆき裁判長は、上記の諸制限を無効として原告全員を水俣病と認定し、計3億5200万円(275万円/人)の支払いを国、熊本県、チッソに命じました。これは大阪のほか熊本、東京、新潟地裁で約1760人の原告がたたかう集団訴訟の、全国で最初の判決です。
 判決は水俣病救済策の根本的転換を迫るもので、徳井義幸弁護団長は「救済問題を大きく前進させる画期的な判決だ」と話しました。

 )水俣病は、水銀を触媒としてアセトアルデヒドを合成する過程で生成するメチル水銀が、工場排水として排出されそれが水中の生物体内で濃縮されたのち、人間に摂取されることによって起きる極めて深刻な病気です。
 九州大学は早い段階でチッソ水俣工場から排出されるメチル水銀が原因物質であることを解明したのですが、政府は重化学工業を発展させるために必要不可欠なアセトアルデヒドの生産を止めたくないために、九大の見解を否定して、延々とチッソを操業させた結果 膨大な数の患者が生れました。官製の公害というべきものです。
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原告全員 水俣病と認定 近畿2次訴訟 患者切り捨て断罪 大阪地裁
                        しんぶん赤旗 2023年9月28日
 国が2012年7月末で申請を締め切った水俣病特措法で「非該当」として救済を拒まれた近畿地方などの被害者ら128人が、国、熊本県、加害企業のチッソに損害賠償などを求めている「ノーモア・ミナマタ近畿第2次訴訟」の判決が27日、大阪地裁でありました。達野ゆき裁判長は、原告全員を水俣病と認定し、計3億5200万円(1人当たり275万円)の支払いを、国、熊本県、チッソに命じました。
 判決は、特措法の対象外地域の原告、年代外の原告、特措法未申請原告の全員を水俣病と認定。不法行為から20年以上が経過すれば損害賠償請求ができなくなるという「除斥期間」の被告側の主張を退け、「除斥期間」の起算点を、共通診断書検診に基づいて水俣病と診断された時としました

 鹿児島県阿久根市出身の原告(74)は「(提訴から)9年余り、この日を指折り数えて待っていた。(全面救済への)道しるべができた」と声を震わせ弁護団、支援者らに感謝。原告らは、水俣病の情報から遮断され、症状に苦しみながら医療機関を受診しても原因不明とされ、自分が被害者であることさえ知ることができなかった苦しみを語り、命を最優先にする施策への転換を訴えました。
 弁護団は声明で、原告の主張がほぼ認められた「全面勝訴」だと評価し、早期救済を訴え。徳井義幸弁護団長は「(有毒な排水規制を怠った)国も県もチッソと同罪だとした、救済問題を大きく前進させる画期的な判決だ」と話しました。
 大阪のほか熊本、東京、新潟地裁で約1760人の原告がたたかう集団訴訟の、全国で最初の判決。熊本訴訟原告団団長の森正直さんも駆け付け、涙ながらに喜び、来年3月の熊本判決への決意を語りました。

原告全面勝訴 画期的判断 全ての被害者救済求める
小池書記局長が談話
 日本共産党の小池晃書記局長は27日、「ノーモア・ミナマタ第2次近畿国賠訴訟」の大阪地裁判決について、次の談話を発表しました。

 27日、大阪地裁は「ノーモア・ミナマタ第2次近畿国賠訴訟」で、「本件患者ら128人全員について、水俣病に罹患(りかん)している」とし、国・熊本県・原因企業のチッソが連帯して損害賠償を行うよう命じる原告全面勝訴の画期的判決となりました。原告団、弁護団、支援者のみなさんによる命がけのたたかいに心からの敬意を表し、ともに喜び合いたいと思います。国・県・チッソが本判決を厳粛に受け止めて、原告の早期救済に向けた対応をすることを強く求めるものです。
 判決では、「水俣病被害者救済特別措置法」(「特措法」)による一時金の申請を3年以内に限定したこと、また、「特措法」が対象とした、(1)チッソ水俣工場がメチル水銀を含む排水をした水俣湾周辺に1年以上居住、(2)排水が止まった翌年の1969年11月末までの生まれなどの線引きによって、患者を切り捨ててきたことの誤りを厳しく断罪するものとなりました。
 本判決は、従来の国など被告による水俣病救済策の根本的転換を迫るものであり、国が拒んできた不知火海沿岸全域の健康調査を行ってこそ、全ての被害者を救済できることを示したものと言えます。
 日本共産党は、すべての被害者が救済されるまで引き続き奮闘する決意です

虚偽情報 心証刷り込む朝日印象操作(植草一秀氏)

 立民党の原口一博議員は9月12日に配信したウクライナ政権に関するユーチューブ動画、「日本はネオナチ政権の後ろにいる」と述べるとともに、日本が世界銀行を通じてウクライナの復興支援に関わっていることについて「アメリカから武器をたくさん買わせて、その請求書はうち(日本)にくる」と語りました。

 朝日新聞はウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使にインタビューを行い、同大使が「我々がナチズムと関係があると主張するのは非常に不愉快だ」と述べたと28日に報道し「原口議員がネット上に配信した動画でネオナチとの言葉を使いながらウクライナに関する虚偽情報を発信した」と表現しました。

 この朝日新聞の対応について植草一秀氏は、「『虚偽情報でなく真実の情報発信と言うべきもの、『知られざる真実を語ったものと高く評価される」と述べました。
 そしてキャノングローバル戦略研究所研究主幹の古手川大介氏が2014年2月22ウクライナで暴力革命の直後に出した、革命後の新政府の大臣ポストにいわゆる「ネオナチ」として知られていた極右の党の幹部が次々に任命されたことを紹介したレポート を紹介しました
 革命の直後から新政権が東部ドンバス地方への攻撃(内戦)を始めたことからもそれは明らかです。
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虚偽情報心証刷り込む朝日印象操作
               植草一秀の『知られざる真実』 2023年9月29日
在日ウクライナ大使館は9月13日、立憲民主党の原口一博衆議院議員の発言に「強い懸念」を表明し、「絶対に受け入れない」と抗議する文章をX(旧ツイッター)に投稿。
さらに、朝日新聞はウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使にインタビューを行い、同大使が「我々がナチズムと関係があると主張するのは非常に不愉快だ」と述べたと9月28日に報道した。

朝日新聞記事は事案を「立憲民主党の原口一博衆院議員がネット上に配信した動画で「ネオナチ」との言葉を使いながらウクライナに関する虚偽情報を発信したとされる問題」と表現。
原口議員の発言が「ウクライナに関する虚偽情報」であるかのような印象を刷り込む報道を展開している。
「ウクライナ=正義・ロシア=悪」の図式しか報道しない点で朝日新聞は産経、読売と差異がまったくない。

1960年にCIA資金支援で創設された民社党。その支援母体になった同盟。
この流れを汲むのが現在の国民民主党、立憲民主党、連合六産別で、すべての目的は「左の防波堤」であると考えられる。
左派勢力を分断し、右派勢力による日本支配を側面援助することだ。
ここでいう「右派」とは「対米隷属派」のこと。米国の指令に絶対服従する勢力のことだ。
立憲民主党は対米隷属勢力である国民民主党と一線を画し、革新勢力が分離・独立した新政党であると期待されたが、党を創設した枝野幸男氏が転向し、対米隷属政党に回帰しつつある。
しかしながら、立憲民主党内に革新派=改革派が残存しており、立憲民主党の分離・分割が強く求められている

朝日新聞も表面は「革新派」を装うが、実態は米国指令下にある革新派=改革派分断のための「左の防波堤」ということが真相なのだろう。
原口一博議員は9月12日に配信したユーチューブ動画で「日本はネオナチ政権の後ろにいる」と述べるとともに、日本が世界銀行を通じてウクライナの復興支援に関わっていることについて「アメリカから武器をたくさん買わせて、その請求書はうち(日本)にくる」と語った。「虚偽情報」でなく真実の情報発信と言うべきもの。
「知られざる真実」を語ったものと高く評価される。

ウクライナでは2014年に政権転覆が挙行された。その延長線上に現在のゼレンスキー政権が存在する。2014年の政権転覆は米国が工作して引き起こした暴力革命による政権転覆である。

当時の状況をリアルタイムで克明に解説した貴重な記事がネット上に残されている。
執筆者はキャノングローバル戦略研究所研究主幹の古手川大介氏。
小手川氏の略歴は以下の通り。
1975年大蔵省(現財務省)入省
1984年世界銀行シニアファイナンシャルエコノミスト
大臣官房、主計局、主税局、理財局、国際局の要職を歴任
2005年関東財務局長
2006年理財局次長
2007年7月-2010年8月IMF日本代表理事
2011年2月-2021年5月キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

ウクライナで暴力革命による政権転覆が挙行されたのは2014年2月22日。
古手川氏はその直後の3月20日にキヤノングローバル戦略研究所HP上にシリーズコラム『小手川大助通信』の記事として「ウクライナ問題について」と題する解説記事を公表されている。https://x.gd/DeAf9 

古手川氏は2014年2月22日の暴力革命による政権転覆のプロセスを詳細に解説されているが、このなかで次の記述を示している。
ロシア当局を震撼させたのは、新政府の大臣ポストにいわゆる「ネオナチ」として知られていた「スボボダ」などの極右の党の幹部が次々に任命されたことである。副首相、農業大臣、環境大臣、教育大臣、スポーツ大臣、国家安全保障及び国防会議議長がそれである。更に2月23日に新政府の代表者たちは「ウクライナ民族社会」の設立を発表した。その内容は、ロシア語を使用する者は全て、ウクライナ民族社会の正当な権利を有するメンバーという地位を剥奪され、市民権及び政治上の権利が差別されるべきであるとするものである。」
暴力革命によって創設されたウクライナ非合法政府にネオナチ勢力が関与していたことは紛れもない事実=真実なのである。

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~ 杉田水脈が環境部会長代理に国民神経逆なで人事(まるこ姫)

 まるこ姫が掲題の記事を出し、岸田氏が首相になってからは特に滅茶苦茶で、私たち国民は唖然とする人事しかしなくなったと批判しました。
 岸田氏は人事には自信を持っていると言われていますが、松川るい議員を副幹事長にしたことといい、一体何を考えての人事なのか皆目理解できません。
 これでは内閣支持率など上がりようがありません。
 併せて高野孟氏の記事:「解散・総選挙のきっかけもつかめない岸田首相に起死回生策はあるのか」を紹介します。
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「松川るいが副幹事長、杉田水脈が環境部会長代理」国民神経逆なで人事
                        まるこ姫の独り言 2023.09.29
もはや、かつての一応は保守と名乗っていた政党とは思えないほどひどい人事をする政党になってしまった。

岸田が総理になってからは特に滅茶苦茶で、私たち国民は唖然とする人事しかしなくなった。

夏休みともなれば親子観光旅行をしたくなるのか、フランスの視察と称して観光にいそしんでいた松川るいだったが、普通ならこれだけ税金を私物化した観光旅行がバレ、国民を不愉快にさせたら、左遷か役職なしにするのが政権与党の矜持だろうに、よりによって副幹事長職を与えた岸田。

本当に頭おかしいとしか言いようがない。

こういう、国民の感情逆なでしかしない岸田が,ボロクソに言われるのも頷ける。

自民、杉田水脈氏を環境部会長代理に 松川るい氏は副幹事長起用
                         9/29(金) 14:12配信 毎日新聞
>自民党は29日の総務会で、ブログでアイヌ民族などに対して差別的投稿をしたとして、札幌法務局から「人権侵犯」の事実があったと認定された杉田水脈衆院議員を環境部会長代理に充てた。また、党女性局のフランス研修中に撮影した写真が「観光旅行のようだ」と批判を浴びた松川るい参院議員を副幹事長に起用した。

副大臣や政務官に女性が一人も入っていなくて顰蹙を浴びたからか、あの松川るいを要職に置くというのはいかにも世論を知らない。

不謹慎にもほどがある。

女性だからよいとは限らないのが自民党の女性議員の特徴で、どの女性議員もまともな議員がいない。

自立している野党の女性議員とは大違いだ。

男性議員に媚びて出世したとしか思えない、中身がスッカラカンで権力欲や金銭欲だけは誰にも負けないほどあるのが自民党の女性議員で、国会論戦ができる議員など見たことがない。

維新同様、みんな自己中心的な議員ばかりだ。

エッフェル議員として相当批判を浴びてきた松川るいが副幹事長職なら、あの箸にも棒にもかからない、煮ても焼いても食えない差別主義者の杉田水脈が環境部会長代理にした自民党。

本当に国民をなめているとしか思えない。

どの女性議員も自分がやった不始末の説明も全くせず、党として注意も叱責もせず、横滑りで要職に付ける自民党は反社集団といっても過言ではないほど、常識はずれのことしかしない。

なんでそこまで国民の声を無視し、傲慢になれるのか・・・

岸田は、内閣改造後「女性ならではの感性や共感力」云々で批判を浴びてきたが、何でもかんでも女性を登用すればいいというものではない。

この素晴らしい(皮肉)メンバーを見たら自民党がいかに人材がいないかよくわかる。
●小渕優子  選挙対策委員長
●稲田朋美  幹事長代理
●牧島かれん 副幹事長
●鈴木貴子  副幹事長
●森まさこ  人事局長
●高橋はるみ 女性局長


永田町の裏を読む 高野 
解散・総選挙のきっかけもつかめない岸田首相に起死回生策はあるのか
                          日刊ゲンダイ 2023/09/27
                        (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 岸田文雄首相は今なお、できるだけ早く解散・総選挙を打って政局の流れを上向きにしたいと思っているらしいが、どうなのか。自民党中堅議員に問うと、「無理でしょうね」と冷ややかである。
「ご本人が8月の夏休みの頃にじっくり練っていたつもりの構想では、9月半ばに内閣・党人事の改造をやって清新感を醸し出し、その直後に訪米し国連総会で演説するなどして“外交の岸田”を演出した上で、帰国後には景気打開の経済政策とそのための大型補正予算の大盤振る舞いを打ち上げれば、内閣支持率も盛り返し、10月16日臨時国会冒頭の解散・総選挙も可能ではないか、ということだったらしい。が、全部外れましたね」と。
 確かに、人事は骨格をいじると全部が壊れそうで怖くてマイナーチェンジのみ。せめて女性閣僚を最多タイの5人にして売り物にしようとしたが、かえってそこが週刊誌の集中攻撃の対象となるありさま。訪米もほとんど話題にならず支持率はほぼ横ばいのままで、これでは解散・総選挙のきっかけはつかめない。
「次のタイミングは、11月に物価高に対処するバラマキ型の補正予算を通し『さすが!』と評価された時だろうが、日銀が金融緩和策を解除しない(ということは物価高を助長する姿勢を崩さない)というチグハグさの下では、大したことにはならないのではないか」(同議員)
 しかも、そこまで待った場合は、その前に10月5日告示の参院徳島・高知区の補選、同10日告示の衆院長崎4区の補選が挟まってくる
「どちらも自民が持っていた議席なので、2勝して当たり前。1つでも落とせば、これが初仕事の小渕優子選対委員長には早くも赤の点滅信号だし、岸田にとっても黄信号で、もう解散どころではなくなる」と、同議員は言う。となると、最も早くて来年1月末の通常国会冒頭解散ということになるのだろうか。
「それにしたって大義名分が必要で、ただ単に、この機会を逃すと来春以降はますますタイミングが難しくなるからという岸田の“自己都合”だけでは、いくら何でも解散はできないでしょう」と同議員は言う。
 この行き詰まりを打開するウルトラCの秘策は岸田に残されているのだろうか。

高野  ジャーナリスト

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。 

30- 米政府がウクライナ軍に強制した「反転攻勢」は失敗

 米国とNATOが計画したウクライナにおける6月からの反転攻勢は、9月だけでウクライナ兵が1万7千人戦死し、6月からでは7万5500人に達するということです。
 それは、米国NATOウクライナ軍に「バンザイ突撃」を繰り返させ、ウクライナ人全体に「総玉砕」を命じている結果と言われています
 西側は「悪いのはロシアで、ウクライナは正義の戦いをしている」という見方なのですが、それは兎も角として、開戦以来ウクライナ軍の死者数が50万人に上ることを米国も認めているということです。

 ウクライナのトップであるゼレンスキーは米国の主張に異を唱えませんが、一方は日々自国民の膨大な尊い命を失っているのに対して、他方はひたすら武器を供給して督戦するのみなのにです。
 おかしくはないでしょうか。なぜ誰も「停戦」を提案しないのでしょうか。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
米政府がウクライナ軍に強制した「反転攻勢」は失敗、露軍は大攻勢を準備の噂
                          櫻井ジャーナル 2023.09.30
 すでにウクライナ軍は武器弾薬も兵士も不足、ロシア軍に勝てないことを西側の有力メディアも認めている。そうした中、ウクライナ軍はアメリカ軍のP-8ポセイドンと連携、セバストポリを「スカルプ(イギリス版の名称はストーム・シャドウ)」とS-200でロシア黒海艦隊の「司令部」を攻撃したのだが、本ブログでも繰り返し書いているように、そこには保守要員と警備員しかいない。指揮、統制、通信、コンピュータに関する部門は全てZKP(予備司令部)の地下にあり、その場所を特定するのも攻撃するのも難しいとされている。
 ところが、ウクライナ軍の特殊部隊は9月25日、ロシア黒海艦隊のビクトル・ソコロフ司令官と33名の将校を殺害したと発表した。そのソコロフ司令官は発表の翌日、ロシア軍のリモート会議に登場し、ウクライナ側の情報が間違っていることを示した。その情報は西側の情報機関が提供していたはずで、その西側情報機関も赤っ恥をかいた形だ。

 その会議でロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、9月だけで戦死したウクライナ兵は1万7000人に達すると発表した。6月4日にウクライナ軍がアメリカ/NATOの命令で始めた「反転攻勢」は破滅的な失敗に終わり、ロシア政府の推計によると、ウクライナ軍の戦死者数は7万5500人に達する。アメリカ側の推計でも、昨年2月24日にロシア軍がウクライナに対するミサイル攻撃を始めてから約50万人のウクライナ兵が戦死したという。ちなみに、ロシア側の戦死者はその1割、つまり5万人程度だと考えられている。
 これだけの犠牲を払っているにもかかわらず、ウクライナ軍は前に進めていない。ロシアが構築した「スロビキン防衛線」を突破できていないのだ。
 すでにアメリカ/NATOの兵器庫は空で、生産力はロシアの半分だとも言われている。アメリカやイギリスがウクライナへ劣化ウラン弾やクラスター爆弾といった問題のある兵器を供給した理由のひとつはそこにあるともいう。
 アメリカ/NATOはウクライナ軍に「バンザイ突撃」を繰り返させ、ウクライナ人全体に「総玉砕」を命じている。そこで必死に兵員を集めているのだが、必要な人数の約半数しか集められず、訓練もできていないという。ウクライナ国内で訓練できないため複数の国に分けられているという問題もある。強引に兵士を集めても社会が機能しなくなる。
 ここにきてロシア政府は旧ソ連圏諸国を除く国々にガソリンやディーゼルを輸出することを禁止、注目されている。国内で不足しているとされているのだが、元CIA分析官のラリー・ジョンソンはロシア軍が大規模な軍事作戦を計画、その準備を進めている可能性があるとしている。


ウクライナでの代理戦争の中、厳しい現実に目覚めるワシントン
              マスコミに載らない海外記事 2023年9月28日
                ブライアン・バーレティック 2023年9月25日
                       New Eastern Outlook
 今年6月掲載された記事で元イギリス陸軍大佐ハミッシュ・デ・ブレットン・ゴードンが主張したように、NATO訓練を受け、装備したウクライナ軍が「プーチンの徴兵を一掃」できる可能性を告げる欧米見出しの時代は、とうの昔に過ぎ去った
 ウクライナの攻撃部隊がザポリージャからハリコフまでの戦線に沿った強力なロシア防衛を突破した時、ワシントン、ロンドン、ブリュッセルが、ロシア連邦を、経済的、政治的、外交的に、そして最も重要なことに軍事的、産業的に過小評価しているという認識が定着し始めた。

ロシアの軍事生産は成長し、欧米の備蓄は枯渇する
 今日、様々な見出しが欧米諸国のメディア中に現れている。ニューヨーク・タイムズ紙は最近「ミサイル生産を拡大するためロシアは制裁を克服したと当局者」という題名の記事で、ロシアの弾薬生産は欧米諸国の少なくとも7倍だと報じた
 同じ記事は、ロシアが戦車生産を2倍に増やし、年間200万発の砲弾を生産していると認めており、これは2025年から2027年のアメリカと欧州連合の砲弾生産計画合計より多い数だ。ロシアは欧米を出し抜いているだけでなく、欧米の武器や軍需品の数分の一のコストで武器や弾薬を生産している
 ロシアの軍事工業生産が拡大し、ウクライナで進行中の特別軍事作戦のため、より多くの戦車、大砲、巡航ミサイル、弾薬を生産するにつれ、ウクライナ軍は武器と弾薬の供給源が枯渇しているのに気づいている。
 最近の記事で「穀物論争の中、もはやポーランドはウクライナに武器を供給していない」とBBCは報じている

 ウクライナに最も忠実な同盟国の一つポーランドは、キーウの穀物輸出をめぐる外交紛争の中、もはや隣国には武器を供給しないと述べた。
 ポーランドの焦点は、むしろ近代的兵器で自国を守ることにあるとマテウシュ・モラヴィエツキ首相は述べた。

 ポーランドとBBC両方が、ポーランドとウクライナの間の緊張の高まりに動機付けられた決定を描こうとしているが、現実にはポーランドはウクライナに送れる武器と弾薬の量が限られており在庫を使い果たしている。これにより、ポーランドが自国防衛のために得たより近代的兵器が遙かに少なくなる。ポーランドも外国の武器供給国も、戦場でウクライナ軍を維持するのに必要な量の武器や弾薬を生産していないため、ポーランドがこの時点からウクライナに供給を続ければ最終的に「武装解除」されてしまう
 他の国々も待望される兵器システムを提供できていない。これにはウクライナが何ヶ月もアメリカに要求しているATACMS弾道ミサイルが含まれ、到着が差し迫っているという主張にもかかわらず、最近の記事で、ロイターは国防総省の次の支援パッケージに先立ち、それらを再び除外した。
 ドイツの空中発射巡航ミサイル「トーラス」も追加支援パッケージに入っていない。ブルームバーグ記事「ドイツはウクライナへの軍事援助で更に4億2800万ドルを計画」でベルリンは最終的に送る前に「多数の政治的、法的、軍事的、技術的側面」を依然検討中だと指摘した。
 どちらのミサイルも他の様々ないわゆる「驚異の兵器」同様ウクライナの戦況を変える可能性がないのに注意が必要だ。これらミサイルが納入されればキーウの戦術的勝利はもたらすだろうが、戦略的には、戦闘にはほとんど、または全く影響を与えるまい
 ウクライナに対する欧米軍事援助で残っているのは、不十分な量の弾薬、レオパルト1主力戦車のような冷戦の遺物を含む古い、および/または益々不適切な装甲車両、および圧縮日程で実施された「訓練」で、戦場に到着して数日以内に死ぬのがほぼ確実なウクライナ兵だ。
 ウクライナにおけるアメリカ主導の対ロシア代理戦争は持続不可能で、欧米諸国全ての権力の殿堂にいる多くの連中がそれを把握し始めているようだ。

持続する妄想
 ところが欧米マスコミはウクライナの失敗を認めているにもかかわらず、他の場所では、明らかに「長期戦争」に変わりつつあるものに勝つため、ウクライナ軍事戦略の「再考」が役に立つと信じる記事で、依然深い妄想を反映している。
 たとえばエコノミスト誌記事は「ウクライナは長い戦争に直面している。もちろん変化が必要だ」と長い間期待されていた反攻が「機能していない」のを認めているが、追加の防空システムや「信頼できる大砲供給」を含む、ウクライナへのより多くの攻撃と防御能力を要求し続けている。
 記事の中で、ヨーロッパは「防衛産業を強化しつつある」とエコノミストは主張しているが、そうするための所要期間が年単位なことには明らかに気づいていない。
 すぐにも連中に有利に戦争を終わらせる計画が失敗していることに、欧米諸国は明らかに気づいてはいるが、今連中を待っていると分かっている「長い戦争」が代理や他の方法でも連中が戦う能力を超えることには気づいていないようだ。「ロシアに力の限り頑張らせる」のを目的とした代理戦争は、今やロシアを軍事的、産業的に強くしている。同時に、紛争と欧米がロシアに課した経済制裁は、最終的に欧米が同様方法で自分たちを標的にするのではないかと恐れて、他の国々がアメリカ主導の一極世界から離れて、代わりに多極の代替案に向かうきっかけになっている。
 欧米諸国がウクライナを交渉の席でより優位な立場に置こうとすればするほど、ウクライナと欧米スポンサーが弱くなるのは明らかだ。この紛争が長引けば長引くほど、ウクライナとそのスポンサーにとって事態は悪化するだろう。欧米諸国にとって、代理戦争に勝つのは軍事的にも産業的にも不可能だが、欧米諸国指導者にとって、同様にこの現実を受け入れるのは心理的に不可能に見える。

 ブライアン・バーレティックはバンコクを拠点とする地政学研究者、作家。オンライン誌New Eastern Outlook寄稿者。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2023/09/25/washington-wakes-up-to-harsh-reality-amid-ukraine-proxy-war/

2023年9月27日水曜日

インボイス反対署名52万 官邸前行動 首相は国民の声聞け

 インボイスは、事業者間の取引で売り手が消費税の適用税率や税額などを記載した請求書を買い手に発行する制度ですが、この発行には税務署への登録が必要なため、売上高が年1千万円以下の「免税事業者」が登録した場合、新たな税負担が生じることになります
 このため、小規模事業者やフリーランスなどから反対の声が強く出ており、オンライン署名では25日に目標の50万筆を超える52万3986筆が集まりました。国内最多です。

 岸田首相は、登場時には「聞く力、私はこれを大切にする政治家でありたいと思っています。国民の協力を引き出すため、リーダーには必須と心得ているからです」と繰り返し訴えましたが、国民の声を聞くどころか何とこの反対署名の受け取りすら拒否しました。
 岸田氏には政治家の資質において様々なものが欠落していますが、政治家の言葉はどうあねばならないのかという点においても決定的に欠如していることが明らかになりました。
 聞くべきは米国と財界の声だけとでも思っているようです。
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インボイス反対署名52万 官邸前行動 首相は国民の声聞け
                       しんぶん赤旗 2023年9月26日




(写真)インボイス制度反対と官邸前に詰めかけた人たち=25日、首相官邸前




 岸田文雄首相が10月1日からの強行をねらう消費税のインボイス(適格請求書)制度に対し、反対署名を提出し、中止を求めて、官邸前アクションが25日、行われました。オンライン署名数が国内最多の52万3986人分を集めたことを受け、会場の首相官邸前、衆院第2議員会館前に集まった1000人超(主催者発表)が「私たちの声を聞け」とアピールしました。

志位委員長も訴え
 主催は、オンライン署名を呼びかけてきた「インボイス制度を考えるフリーランスの会」(STOP!インボイス)です。
「STOP!インボイス」メンバーでライターの阿部伸さんは開会あいさつで、50万余の署名を集めたにもかかわらず自民党は交渉も訪問も断ったと指摘。「僕らは自民党から大きな固まりを見せろと言われて応えてきた」と指摘。1000人以上の集会を開いてきたとして「次は政府が僕らのいうことを聞く番だ。岸田総理がインボイス中止を決断する番だ」と強調しました。
 日本共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の泉健太代表、社民党の福島瑞穂党首のほか、国民民主党、れいわ新選組、インボイス問題検討・超党派議連から多くの国会議員が参加し、あいさつ。

 共産党から志位氏のほか、小池晃書記局長ら多くの国会議員が参加しました。あいさつした志位氏は、免税業者には、インボイス登録か消費税相当分の値引きかの「地獄の二者択一」が迫られていると指摘。廃業を決めた事業者も広がっているとして、「いまからでもインボイス中止の政治決断を強く求めたい」と訴え。岸田政権がインボイス導入にしがみつくのは、消費税増税のレールを敷くためであり、全国民の問題だとして、「ストップ・インボイスと訴えよう」とよびかけました。

 さまざまな業界の当事者や著名人がスピーチしました。
 静岡市から参加したコメ、野菜農家の男性(38)は「免税事業者、課税事業者、消費者の誰も得しない制度。この経済情勢を考えても消費税とインボイスはなくなってほしい」と話しました。


恐怖の2択迫るインボイス 「生活できなくなる」or「仕事が来なくなる」
                     田中龍作ジャーナル 2023年9月25日

 これほど過酷な重税があるだろうか。年商1千万円以下の個人事業者に課税する「インボイス制度」である。
 酷税の実施が1週間後(10月1日)に迫ったきょう25日、首相官邸周辺でインボイスに反対する集会があった。参加者は官邸前だけで収まりきれず衆院会館前、参院会館前まで一杯になった。
 インボイスは零細で食うや食わずの個人事業主に恐怖の二択を突き付ける。取引している会社に「課税事業者登録」をしなければ、仕事が来なくなる。
 かといって登録すれば本来のギャラから10%さっ引かれる
 年収約200万円のフリーライター(女性)に話を聞いた。彼女は取引相手と契約(課税事業者登録)すれば年収は180万円になる。
 「収入がこれ以上減ったら生活していけなくなるので登録はしない」「(政府は私たちを)殺しに来ている」。彼女はまなじりを決しながら語った。

 ウーバーイーツの配達員(男性)も登録していない。マイクを握った男性は「インボイスはガチで死活問題。必死なんですよ岸田首相」と訴えた。血を吐くような叫びにも聞こえた。
 52万筆のインボイス反対署名が集まったが、岸田首相は受け取りを拒否したと伝えられる。政府は予定通りインボイスを実施する構えだ。
 個人事業主登録せずに仕事が来なくなるか、それとも安いギャラから10%さっ引かれるか。 
 どちらにしても地獄が待つ。
 家賃を払えなくなって路上に出たり、食えなくなって餓死したりする個人事業者が出ないことを祈るのみだ。

                 ~終わり~
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