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2016年10月10日月曜日

シリアにおける米露の対立が先鋭化

 シリアの政府軍反体制派の内戦は米露の和平協定により9月12日から「停戦」に入りました。その間に政府軍は道路を開放し、反体制派は武装を補充し絶対的な劣勢を盛り返しました。そして米側は19日に、ロシア側の停戦協定違反を理由に停戦の終了を宣告しました。
 結局、停戦は反体制派に息を吹き返す結果をもたらしただけでした。そうなることは当初から分かっていたのに、なぜロシアはそれを受け入れたのか不思議な話です。
 
 このところシリアにおける米露の対立は先鋭化の度を深めつつあります。
 ワシントンポストが5日、米政府はシリアのアサド政権への軍事攻撃を検討している旨を報じたのに応じて、ロシア国防省は6日、シリアに配備されている防空システムを作動させると発表しました。
 
 アメリカによるアサド政権に対するプロパガンダは2012年以前から始まっていて、それらはその都度アメリカの謀略であることが明らかにされてきました。最近、アレッポからアメリカへ帰ったジャーナリストも西側で語られているシリア政府を悪玉にする話嘘だと報告しているということです。 
 櫻井ジャーナルの記事を紹介します。
 アレッポ シリアの北部トルコ国境近くに位置する古代都市。
アメリカが率いる有志連合の司令部がある。         
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米政府がシリア政府や露軍を攻撃すると判断、
露政府はこれまで眠らせていた防空システムを使用へ    
櫻井ジャーナル 2016年10月9日
 10月4日付けのワシントン・ポスト紙は、5日にアメリカ政府はシリアのバシャール・アル・アサド政権に対する軍事攻撃を検討する報じた。バラク・オバマ政権はロシア政府に対して軍事行動の可能性を通告、その反応を見ようとしたのだろう。
 それに対し、ロシア国防省はアメリカ側のリークを重く受け取り、シリアに配備されている防空システムのS-300やS-400は侵入してきた航空機やミサイルを撃墜すると6日に発表している。ロシア海軍の基地があるタルタスへS-300を移動させたともいう。
 
 アメリカ軍が主導する連合軍は9月17日、シリア北東部の都市デリゾールでダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)に対する大規模な攻勢の準備をしていたシリア政府軍をF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機で空爆、80名とも言われる兵士を殺し、多くを負傷させた。
 アメリカ側はミスだと強弁しているが、現在の戦闘システムや現場の状況から考えて計画的な攻撃だった可能性はきわめて高い。今後もシリア政府の承認を受けずに軍事作戦をシリア領内で展開している、つまり侵略している連合軍がシリア政府軍を攻撃することは十分にありえる。S-300やS-400を使うと宣言された中、パイロットが乗った戦闘機や爆撃機が侵入してくる可能性は小さいが、巡航ミサイルによる攻撃はあると見られている。
 これまでもS-300やS-400は配備されていたのだが、使用されていない。9月17日もそうだが、イスラエル軍はシリアに対する空爆を繰り返しているわけで、使う局面はあったはず。当然、シリアやイラン側には不満があっただろう。
 
 ジョン・マケイン上院議員のようなネオコン/シオニストはリビアの時と同じように飛行禁止空域を設定して地上の手先の武装集団(アル・カイダ系にしろ、そこから派生したグループにしろ、タグを付け替えただけで基本的には同じ傭兵集団)を守り、アメリカ主導の連合軍がシリア政府軍を攻撃するという戦術を繰り返そうとしている。
 それに対し、好戦派のジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長でさえ、ロシアやシリアと戦争になると警告しているが、ワシントン・ポスト紙のリーク記事を見ると、ネオコンはリビアの制限に執着しているようだ。
 
 2013年には3月と8月に化学兵器が使われたと見られる攻撃があり、それをシリア政府軍の責任にしてアメリカ政府は軍事侵略を狙った。いずれもアメリカ側の主張は嘘で、自分たちが手先として使っている武装勢力が使った可能性が高いことが判明している。(これは本ブログで何度も指摘しているので、今回は詳細を割愛する。)
 アメリカ側の主張が嘘だということは判明しつつある中、9月3日に地中海からシリアへ向かって2発のミサイルが発射されている。このミサイル発射はロシアの早期警戒システムがすぐに探知、明らかにされるが、ミサイルは途中で海へ落下してしまった。イスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表しているが、事前に警告はなく、攻撃を始めたとも見られている。ミサイルはジャミング電波妨害)など何らかの手段で落とされたのではないかと推測する人もいる。
 
 この当時、アメリカの国防長官はチャック・ヘーゲル、統合参謀本部議長はマーティン・デンプシー。ふたりともアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを危険だと考え、シリアへの軍事侵略には消極的だった。それに対し、今はアシュトン・カーターとジョセフ・ダンフォードで、いずれも好戦派だ。
 その前年、2012年にはシリア政府軍がホムスでの住民を虐殺したと西側の政府やメディアは宣伝、軍事侵略の口実にしようとしていたが、これも嘘がばれてしまう。当時、現地を調査した東方カトリックの修道院長はそうした宣伝を否定、住民を殺したのは反政府軍のサラフ主義者や外国人傭兵だと報告している。
 
 そして、その修道院長は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」と書いた。また、現地で宗教活動を続けてきたキリスト教の聖職者、マザー・アグネス・マリアムも外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。
 最近、アレッポからアメリカへ帰ったジャーナリストも西側で語られているシリア政府を悪玉にする話が嘘だと報告している。 

2014年3月5日水曜日

新聞労連が安倍政権の報道に対する弾圧行為に抗議

 琉球新報が石垣市長選告示日と同じ2月23日付で(、また沖縄タイムスは24日付で)、日本の南西諸島地域の防衛体制を強化するため、石垣市の2カ所が陸上自衛隊の部隊配備先として絞り込まれていると報じたことに関し小野寺防衛相は「報道の自由があるが、事実と違う内容で2日に投開票される石垣市長選に影響を及ぼすことは適当ではないして、琉球新報社と日本新聞協会に文書で抗議したことを28日の記者会見で明らかにしました。政府が新聞協会抗議するのは異例なことです
 
 それに対して、新聞労連は3月4日、「安倍政権と防衛省は報道に対する弾圧行為を撤回し謝罪せよ」とする声明を出しました。
 そのなかで、「琉球新報は独自の取材で現状を報じたのであり、それが事実と異なるならば政府として配備計画の現状や詳細を明らかにすればいいだけ」、「政府は弱者ではない。情報と決定権を握り、常日頃から情報を選択して公表している、さらに「政府が新聞協会へ抗議したことも許しがたい」、「政府が業界団体に申し入れれば、そこに参加している会社は言うことを聞くという発想の裏には、戦前のように政府が新聞業界を管理しようとする意図が読み取れる」、「新聞協会は政府の抗議を突き返すべきだ」、としています。
 
 そして反ナチズム運動を率い、ナチスによって1937年に拘束され、ドイツが敗戦するまで強制収容所に収容されていたルター派のマルチ・ニーメラー牧師の有名な言葉
 「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声を上げなかった。私は共産主義者ではなかったから。社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、・・・・ 。 彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、・・・・  そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声を上げる者は、誰一人残っていなかった」
 を引用して、もしも今回の事態を他人事として放置するならばいずれ新聞業界全体が弾圧の対象になるだろう」、と警告しています。そして年内にも予定されている特定秘密保護法の施行後であれば記者が逮捕され、新聞社が捜索を受けたのではないかとも述べています。
 
 それとは別に、3月4日付の北海道新聞は、安倍首相が特定秘密保護法へ反対する世論が高まった昨年12月以降、またもや全国紙や在京民放キー局幹部たちと夜に会食することが増えて、12月は5回、今年に入ってからも5回を数えるに至っていることを報じています
 勿論マスコミを懐柔しようという目的に他ならないのですが、それに安々と応じている幹部たちの態度は何んとも不明朗です。2月の国際ジャーナリスト組織の報告書で、日本における報道の自由度(政権との距離)が世界で59位と酷評される所以です。 
 
 以下に新聞労連の抗議声明と、関係の新聞記事を紹介します。
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安倍政権と防衛省は報道に対する弾圧行為を撤回し謝罪せよ
2014年3月4日
 日本新聞労働組合連合(新聞労連)
 中央執行委員長  日比野 敏陽 
 防衛省は琉球新報の記事について事実と異なるとして2月24日、琉球新報社と日本新聞協会に文書で抗議した。これは防衛省と安倍政権による報道への弾圧であるとともに、新聞業界を政府の管理下に置こうとする意図が明らかな行為である。極めて不当であり許しがたい。新聞労連は防衛省と安倍政権の不当な行為に対し断固抗議する。安倍政権と防衛省は琉球新報社および新聞協会への抗議を撤回し、愚かな行いについて深く反省し謝罪せよ。
 
 琉球新報は2月23日付紙面で陸上自衛隊の警備部隊配備先として石垣市の2カ所が候補地に挙がっていると報じた。防衛省は「事実と異なる」として琉球新報社と日本新聞協会に文書で抗議した。琉球新報には訂正も求めた。菅義偉官房長官は28日の記者会見で、23日が石垣市長選の告示日と重なっていたことから「選挙の公正性に影響を及ぼしかねない」と批判した。防衛省の報道官は会見で新聞協会に抗議したことについて「(他紙で)同種の報道が続き、地元でも大きな懸念が広がりかねないということもあった」と話した。
 
  政府が昨年、南西諸島の防衛体制強化として警備部隊新設の方針を明らかにして以来、配備先として石垣や宮古、奄美が有力視されている。これはすでにメディア各社が報じ、賛否両論の議論が起きている。部隊がどこに配備されるのか、政府は明らかにしないままだが各地元では切実な関心事になっている。こうした中、琉球新報は独自の取材で現状を報じたのであり、それが「事実と異なる」ならば政府として配備計画の現状や詳細を明らかにすればいいだけだ。
 
  菅官房長官や防衛省報道官の発言は、都合が悪い報道がなされたときに政府関係者が必ず口にしてきた言葉だ。「公正性」とは政府にとって都合の良いことであり、「地元でも大きな懸念が広がりかねない」というのは、情報コントロールができなくなることを恐れているだけである。政府は弱者ではない。情報と決定権を握り、常日頃から情報を選択して公表しているのにもかかわらず、自らの意に沿わない報道に対して被害者面することは犯罪的ですらある。
 
  政府が新聞協会へ抗議したことも許しがたい。新聞協会と各新聞社の関係に上下関係はない。政府が業界団体に申し入れれば、そこに参加している会社は言うことを聞くという発想の裏には、戦前のように政府が新聞業界を管理しようとする意図が読み取れる。私たち新聞労働者は今回の琉球新報に対する政府の対応を厳しく糾弾する。同時に、新聞協会と全国の新聞経営者にもこの事態を看過してはならないと訴える。新聞協会は政府の抗議を突き返すべきだ。
 
  「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声を上げなかった。私は共産主義者ではなかったから。社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声を上げなかった。私は社会民主主義ではなかったから。彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声を上げなかった。私は労働組合員ではなかったから。そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声を上げる者は、誰一人残っていなかった」
 
  反ナチズム運動を率いたニーメラー牧師はこのように訴えた。今回、私たちが抗議するのは、この事件が琉球新報だけの問題ではないと考えるからだ。新聞協会や新聞経営者が今回の事態を前にして「うちは琉球新報ではないから」「沖縄ではないから」と放置すれば、いずれ新聞業界全体が弾圧の対象になるだろう。
 
  年内にも特定秘密保護法が施行されようとしている。施行後ならば記者が逮捕され、新聞社が捜索を受けたのではないか。そのような事態を招いてはならない。だからこそ、私たちはいま、声を上げなければならない。        
以上 
 
防衛省、琉球新報に抗議 陸自石垣配備記事
沖縄タイムス 2014年3月1日
【東京】小野寺五典防衛相は28日の記者会見で、石垣市の2カ所が陸上自衛隊の部隊配備先として絞り込まれていると県内で報じられたことに関し「報道の自由があるが、事実と違う内容なので抗議する」と述べ、琉球新報社と日本新聞協会に文書で抗議したことを明らかにした。防衛省によると文書は24日付で、琉球新報社には訂正も求めた。新聞協会への抗議は異例。
 防衛省が抗議した報道は、琉球新報が石垣市長選告示日と同じ2月23日付の1面トップ。沖縄タイムスは24日付1面で報じた。防衛省は南西諸島地域の防衛体制を強化するため、離島防衛を担当する部隊の配備先を選定中。
 
 小野寺氏は「石垣への陸上自衛隊部隊の配備についての報道がされたと承知をしているが、これは事実とは違う内容だ」と強調。2日に投開票される石垣市長選に触れた上で「間違った報道が選挙に影響を及ぼすことは適当ではないということで抗議した」と説明した。
 防衛省の辰己昌良報道官は新聞協会に送付した理由を「同種の報道が続き、地元でも大きな懸念が広がりかねないということもあった」と説明。防衛省は2紙の報道とも「事実と異なる」と主張し、「最初に報じた琉球新報社だけに抗議した」と回答した。
 琉球新報社の松元剛編集局次長は「十分な取材に基づいた報道であり、訂正の求めには応じられない。石垣市長選に関連付けたものでは全くなく、内容も特定の候補者を利するものになっていない」とコメント。防衛省が新聞協会に申し入れたことについては「釈然としない」とした。
 新聞協会の会長宛てには西正典事務次官名の申し入れが内容証明郵便で届いた。「今後適切な報道を強く要望する」との内容。担当者は「加盟社の報道にどうこう言う立場になく、協会に何を求めているのかが分からない。返信を含め、対応の予定はない」と話した。
 
 
新聞労連「報道への弾圧」と抗議 琉球新報社の報道めぐり、政府に
東京新聞 2014年3月4日
 沖縄県の琉球新報社の報道をめぐり、同社と日本新聞協会に防衛省が文書で抗議したことに対し、新聞労連は4日「報道への弾圧であり、極めて不当で許しがたい」とする声明を発表、安倍政権と防衛省に抗議の撤回と謝罪を求めた。
 琉球新報社は2月23日付朝刊で、同県石垣市の2カ所が陸上自衛隊の部隊配備先として絞り込まれていると報道。防衛省は事実と異なるとして翌24日に抗議した。琉球新報社には訂正も求めた。
 新聞労連は声明で「琉球新報社は独自の取材で現状を報じた。『事実と異なる』ならば政府として配備計画の現状や詳細を明らかにすればいいだけだ」と指摘した。(共同)
 
 
首相、報道関係者と会食盛ん 安全保障政策で懐柔? 公邸宿泊も増加
北海道新聞3月4日
 安倍晋三首相が全国紙や在京民放キー局幹部といった報道関係者と夜に会食することが増えてきた。首相官邸隣の公邸に自民党議員を招いたり、宿泊したりすることも急増。集団的自衛権の行使容認など肝いりの政策実現に向け、世論や党内の理解を得る狙いがあるようだ。 
 
 報道関係者との会合が増えたのは、国民の「知る権利」の侵害が懸念されるとして特定秘密保護法への世論の反対が高まり、国会審議が最終盤を迎えた昨年12月以降。それまでは月1、2回程度だったが、昨年12月は5回、今年に入ってからも5回を数える。 
 昨年は経済再生を最重点に掲げ、秋に消費税増税の決断を控えていたこともあり、夜の会食は財界人が中心。8月に5回、9月に3回だったが、今年に入ってからはまだ2回だ。 
 政府関係者は「集団的自衛権の行使容認など首相が目指す安全保障政策は、世論を二分する問題。首相はマスコミを懐柔しようと必死なのだろう」とみる。 
 
 首相が公邸に宿泊する日数も増えた。昨年8~9月は月1日だったが、いまは月10日を超えることも珍しくない。集団的自衛権を含めた安保政策などの国会答弁の勉強会を深夜まで行い、そのまま宿泊することも多い。
 
 

2014年2月26日水曜日

籾井NHK会長は明らかに不適任

 籾井会長の就任会見での発言:
 「政府が右ということを左というわけにはいかない」、 (特定秘密保護法) 「通っちゃったんで、言ってもしょうがない。あまりカッカする必要はない」、 (慰安婦問題)「戦時だからどこの国にもあったことですよね?韓国は日本だけが強制連行したみたいなことを言っている。補償は日韓条約ですべて解決されている」
などは、同氏の政治的中立性と歴史認識を疑わせるもので問題になりました。
 
 国会では結局発言のすべてを撤回したようですが、12日に開かれたNHK経営委員会で、何んと「私は大変な失言をしたのでしょうか」と述べて、発言自体には問題がないとの認識を示していました。
 
 25日には、衆院総務委福田昭夫氏(民主)の質問NHKの理事10からの辞表を、籾井会長が着任の日に要求して預かっていることが明らかにされました。
 福田氏は「人事権を振りかざす行為」と批判し辞任を要求しましたが、籾井氏は「公共放送の使命を果たし、引き続き会長の責任を全うしたい」と述べ、辞任する考えがないことを強調しまし
 
 朝日新聞は26日の社説で、「あらかじめ辞表を書かせる。それは、自分に従わなければいつでもクビにできると宣言し、異議を唱えられないように理事らを縛ることを意味する。メディアのトップとして、最も慎むべき行いだろう」と述べました。そしてあからさまには罷免を要求しませんでしたが、「その責任をどう考えるのか。公共放送を率いる資質はあるのか。籾井氏は胸に手を当てて考えるべきだ」と結んでいます
 つくづくと籾井氏はNHK会長には欠格の人間に思われますが、首相筋の意向だからとして無批判に彼を会長に選んだ経営委員会にも責任があります。
 
 以下に朝日新聞の社説、時事通信、FNNの記事を紹介します。
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(社説)NHK会長―報道トップの資質疑う
朝日新聞 2014年2月26日  
 報道機関の長が、現場を上から黙らせようとすることが、どれほど致命的なことか。
 報道人としてのイロハのイの認識が、NHKの籾井勝人会長には欠けているのではないか。
 そう疑わざるをえない。
 籾井氏は就任直後に、理事10人全員に日付を空欄にした辞表を提出させていた。理事全員が国会でその事実を認めた。
 あらかじめ辞表を書かせる。それは、自分に従わなければいつでもクビにできると宣言し、異議を唱えられないように理事らを縛ることを意味する。
 メディアのトップとして、最も慎むべき行いだろう。
 
 放送法は「放送の不偏不党」と「健全な民主主義の発達に資する」ことを目的に掲げる。その実現に一番大切なのは、異論を封じないことである。
 まして視聴者の受信料で営む公共放送には、多様な声を尊重する姿勢がとりわけ求められよう。組織内の異論に耳を傾けられない人が、世の中の少数意見に目配りなどできまい。
 NHKの理事会は、番組内容が放送法や番組基準に照らして適切かどうか報告を受け、検討を行う。理事は報道や制作、経営企画などに携わってきた生え抜き幹部で、一般企業の執行役員のような存在だ。
 その首を会長が好き勝手にすげ替えられるとなれば、報道や番組作りの現場をどれだけ萎縮させるか。計り知れない。
 
 だからこそ放送法は、会長による理事の罷免(ひめん)は「職務上の義務違反その他」の非行があるときなどと制約を課している。
 籾井氏は自分への絶対服従が理事の義務と考えているのか。理事が自ら辞めた形にすれば、法の制約は受けないと考えたのか。どのみち見すごせない。
 籾井氏は就任会見で、特定秘密保護法や領土問題、靖国神社参拝などについて政府に寄り添うような発言をし、のちに撤回した。ところが経営委員会でただされると「私は大変な失言をしたのか」と開き直った。
 批判をかわすためだけに撤回し、真意と違うことを報道されたと責任転嫁する。見事なまでに失言政治家そっくりだ。
 経営委員会はきのう籾井氏に言動を慎むよう求めて2度目の注意に踏み切った。強い危機感の表れだろう。
 籾井氏や経営委員ら、外部から登用された上層部の言動が、現場の築いてきた信頼を危うくしている。職員らには迷惑このうえあるまい。その責任をどう考えるのか。公共放送を率いる資質はあるのか。籾井氏は胸に手を当てて考えるべきだ。
 
 
会長、全理事の辞表集める=理由は明言せず―NHK
時事通信 2月25日
 NHKの全理事10人が、籾井勝人会長に日付の入っていない辞表を提出していることが25日、分かった。同日の衆院総務委員会で福田昭夫氏(民主)の質問に対し、塚田祐之専務理事ら10人の理事が明らかにした。辞表は籾井会長が預かっているとみられる。
 
 放送法では、NHKの副会長と理事は経営委員会(浜田健一郎委員長)の同意の下、会長が任免できると規定している。福田氏は辞表を提出させた理由を尋ねたが、籾井会長は「人事上の問題。コメントは控えたい」と明言を避けた。
 
 籾井会長は各理事の答弁後、「各理事は事実をそのまま述べたと思う。それはそれで結構ではないか」と話し、理事全員の辞表提出を認めた。福田氏は「人事権を振りかざす行為」と批判し、辞任を要求。これに対し、同会長は「公共放送の使命を果たし、引き続き会長の責任を全うしたい」と述べ、辞任する考えがないことを改めて強調した。
 今月12日付で就任した堂元光副会長は「辞表は出していない」と語った。 
 
 
NHK理事全員が日付空欄の辞表を籾井会長に提出 衆院総務委
FNN(フジ)2014年2月25日 
言動が波紋を呼んでいるNHKの籾井勝人会長をめぐり、驚きの事実が新たに発覚した。籾井会長の就任直後、NHKの理事10人全員が辞表を提出していたという。
 
民主党の福田昭夫議員は、衆院総務委員会で「1月25日の就任初日、臨時役員会を開いて、理事全員に辞表を求めたと報道にありますが、本当ですか、会長」とただした。
これに対し、籾井会長は「人事のことでございますので、私としては、コメントを控えさせていただきたい」と語った。
 
当初、籾井会長は、人事に関することでコメントを控えるとしたが、委員会に出席したNHKの塚田祐之専務理事は、「わたしは、辞任届には日付を空欄のまま、記入せずに、署名なつ印し、提出いたしました」と、辞表を提出したと明言した。
するとその後、発言する理事たちもそろって「日付が空欄の辞任届を提出した」などと、結局、10人の理事全員が日付を空欄にした辞表を籾井会長に提出していたことが判明した。
 
福田議員は「辞表を提出させて、人事権を行使するということは、おれの考えに従った放送をしろと(いうこと)。いつでも、お前を首にできるんだぞと」と述べた。
これに対し籾井会長は、「各理事は、事実をそのまま述べたと思います。それはそれで、結構ではないかというふうに思います。わたしがどう思うかについては、これはまた別問題でございまして」と語った。
籾井会長をめぐっては、就任直後の会見での「慰安婦」や「特定秘密保護法」をめぐる発言が私見にあたるとして、後に撤回をしている。
 
 

2014年2月22日土曜日

籾井NHK会長に反省は見られない

 籾井NHK会長の言動は国会でも問題として取り上げられて、何回にも渡って参考人として招致されていますが、2月12日の経営委員会では自分の問題発言について、「取り消しているし、どこが悪いのか。素直に読めば理解できるだ」という趣旨の発言をしていたことが18日わかりました。
 これでは当事者として何も反省していないことは明らかで、経営委内部で「反省していない」との声が上がっているということです
 
 直近の国会でも、この12日の経営委員会での会長の問題発言が取り上げられましたが、籾井氏は「まだ(経営委の)議事録は公表されていない」「答えを差し控える」とのらりくらりの答弁に終始したということです。
 自分の発言の真意についての説明と議事録の公表とは無関係の筈なのに、議事録がまだ公表されていない(2月末ごろ公表の予定)ことを理由に答弁を回避するというのは理解しがたいことです。
 事実と異なる議事録の作成を目論んでいるのでしょうか。
 
 そうしたところ今度は、籾井会長が1月25日の就任初日にNHKの理事ら対して「あなた方は前の会長が選んだ。今後の人事は私のやり方でやる」という趣旨の発言をし辞表を提出させていたことが、複数のNHK関係者への取材で確認されました。
 就任の初日に理事の生殺与奪の権限を掌握しようとしたとは、NHK内で恐怖政治的な統制を行おうとでもしているのでしょうか。 
 
 あの低劣な発言からは想像もできない人間性ですが、もしも就任記者会見で見せたようないびつな感覚でNHKを統制するのであれば、一体どういうことになるのでしょうか。
 「安倍首相の周りにはもう少しマシな人間はいないのか」と嘆いたという、与党幹部の言葉が改めて思い出されます。
 
  京都新聞の社説と朝日新聞、共同通信の記事を紹介します。
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(社説)NHK会長質疑  反省と自覚が見えない 
京都新聞 2014年02月22日
 「コメントは差し控えたい」の一点張りで、視聴者の信頼を取り戻せると思っているのだろうか。答弁の場は国会である。横柄で誠実さを欠く態度が、見る側のいらだちを一層募らせる。
 籾井勝人NHK会長の失言や他の経営委員の言動をめぐり、衆院予算委員会が集中審議を開いた。このこと自体、NHKという巨大組織が正常に機能していない証左と言える。報道や番組制作の現場の士気が上がろうはずがない。
 
 発端は、籾井氏が先月の就任会見で「(従軍慰安婦は)どこの国にもあった」などと発言したことだ。今月上旬には、経営委員の百田尚樹氏が東京都知事選の応援演説で、対立候補を「人間のくず」と中傷し、「東京裁判は東京大空襲や原爆をごまかすため」などと持論を展開した。長谷川三千子氏も、新聞社で拳銃自殺した右翼幹部を「神に死をささげた」と礼賛する追悼文を寄せていた。
 3氏は昨年から経営委メンバーに加わった安倍晋三首相の「お気に入り」。それだけに、首相も同様の歴史認識を共有しているのではないのかと、米国を含む海外から厳しい目が向けられた。視聴者からも批判が殺到している。
 一連の問題を受け、経営委員長が「容易ならざる事態。経営委員も自ら律する必要がある」と異例のコメントを出したほどだ。
 
 にもかかわらず、肝心の当事者に反省の色が見えない。籾井氏は「すでに発言は取り消した」と、今更何の問題があるのかと言わんばかりの開き直りよう。百田、長谷川両氏は「個人の活動」で逃げ切る構えだが、偏った歴史認識が中立公正であるべき番組に反映されては視聴者はたまらない。
 予算委での野党の追及に、籾井会長は「まだ(経営委の)議事録は公表されていない」「答えを差し控える」と、のらりくらり。これでは「国会軽視だ」「罷免すべき」との野党の怒りももっともだ。安倍首相の任命責任も重い。
 
 NHKは4月の消費税増税に合わせて受信料を値上げするが、国会による事業計画と予算の承認が必要だ。問題が長期化すれば、経営だけでなく取材現場にも影響が及ぶ恐れがある。
 「信頼されるNHKのために全力を尽くす」と籾井氏は意欲を示した。ならば真摯(しんし)に反省し、公共放送トップとして発言の重みを自覚するとともに、歴史を深く学び直すべきだ。
 放送法は、会長を含むNHK経営委員は「公共の福祉に関し、公正な判断ができ、広い経験と知識を有する者」から選ぶと定める。非常識な言動が今後も続くなら、資格なしと断じざるをえまい。
 
 
籾井NHK会長「発言、どこが悪いのか」 経営委で
朝日新聞 2014年2月19日
 就任会見での従軍慰安婦問題や特定秘密保護法などをめぐる発言が問題になった籾井勝人NHK会長が今月12日の経営委員会で、「取り消しているし、どこが悪いのか。素直に読めば理解できるはずだ」という趣旨の発言をしていたことが18日わかった。経営委内部では「反省していない」との声があがっている。
 
 12日の経営委では作家の百田尚樹氏、埼玉大名誉教授の長谷川三千子氏の両委員の言動などを審議し、経営委員は「一定の節度を持って行動していく」とする見解をまとめた。
 
 複数の関係者によると、委員会の最後に、ある女性委員が会長発言の影響について「受信料不払いなどのリスクにどう対処するのか」と質問。籾井会長は「営業が頑張る」と答えたのに対し、具体案を尋ねられた後、「(発言の)どこがおかしいのか」「会見の記録全体を見てもらえればわかる」という旨の持論を述べた。別の委員から「そういう物言いはおかしい」と反発する声があがり、浜田健一郎委員長がぶぜんとして「終わります」と委員会を打ち切ったという。
 
 会議終了後、委員からは「浜田委員長が注意した意味がない」と懸念する声が出た。1月28日の経営委で籾井会長は「個人的な見解を発言したのは不適切だった」と反省を表明、委員長が「自身の立場を理解いただきたい」と会長に注意していた。
 
 今回の発言について、NHK上層部の幹部は「就任会見では記者がしつこく聞くので致し方なかったと言いたいのだろうが、自分は悪くないという趣旨に受け止められても仕方ない」と指摘した。
 
 約半月後に公開される経営委の議事録の表現については調整中という。(編集委員・川本裕司)
 
 
NHK会長、理事らの辞表預かる 就任初日に要求、人事権を強調か
共同通信 2014年2月22日
 NHKの籾井勝人会長が1月25日の就任初日に理事らに辞表を預けるよう求め、会長の人事権を強調していたことが21日、複数のNHK関係者への取材で分かった。現在までに任期途中で辞任した理事はおらず、辞表は籾井氏が預かっているとみられる。
 
 関係者によると、1月25日午前、臨時役員会が開催され、籾井会長は就任のあいさつなどとともに「あなた方は前の会長が選んだ。今後の人事は私のやり方でやる」という趣旨の発言をし、辞表を預けるよう出席者に求めた。
 
 

2014年2月13日木曜日

日本のメディアは海外から酷評 世界順位59位

 12日に発表された国際ジャーナリスト組織の報告書で、日本における報道の自由度(政権との距離)は昨年の世界53位からさらに59位に後退しました。この一年間で日本には評価すべき改善は何もなかったということです。
 また5段階に分けた分類では、上から2番目の「満足できる状況」から3番目の「顕著な問題」のある国に転落しました。そういう評価を受けたのは主要先進国では日本だけで、台湾や韓国を下回るレベルです。
 
 日本では、メディアに対する権力からの弾圧や「目に見える干渉」はありません。逆にメディアの幹部たち官邸から度々食事会などの「もてなし」を受けています。それ以下のレベルでも、それぞれの分に応じた政府側との交流があるといわれています。
 その結果が、メディアの方から権力に擦り寄る報道姿勢になっています。世界に類例のない「記者クラブ」制度も、メディアと権力との癒着を促す仕組みになっています。
 自由主義社会にいながらにしてこの体たらくでは、もはや北朝鮮の報道を批判する資格などありません。
 
 では海外からも批判されている原発事故における報道姿勢はどうだったのでしょうか。
 福島第一原発の事故の後、政府や御用学者たち盛んに放射能は心配ない。大丈夫だ」と繰り返しました。そのときもメディア側はいち早く福島支社や支所から記者たちを引き揚げさせたにもかかわらず、国民に向かっては政府言う通りに、ひたすら「安全だ。大丈夫だ」と伝え続けました
 また自分たちは「年間被曝限度1ミリシーベルト」を安全基準にしていたからこそ、記者たちを福島から退避させたにもかかわらず、国民には年間被曝限度が1ミリシーベルトであることも碌に報じませんでした。
 そして何から何まで政府や東電の言うとおりに報道しました。
 
 それはメディアが立脚すべき社会正義とは無縁のもので、そうしたことが海外からも見透かされていたのでした。
 日本のマスメディアは大いに愧じるべきです。もういい加減に権力との癒着を解消して、もう一度ジャーナリズムの本分に立ち帰るべきです。
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報道の自由、日本後退59位 福島事故と秘密法響く
東京新聞 2014年2月12日
【パリ共同】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)が12日発表した、世界各国の報道の自由度を順位付けした報告書で日本は昨年の53位から59位に後退した。東京電力福島第1原発事故の影響を取材しようとするとさまざまな圧力を受けるとされたほか、特定秘密保護法の成立が響いた。
 
 日本は、各国を5段階に分けた分類で上から2番目の「満足できる状況」から、主要先進国で唯一、3番目の「顕著な問題」のある国に転落。東アジアでは台湾や韓国を下回る自由度とされた。
 日本は昨年も福島の事故について情報の透明性が欠けるとして大きく順位を落としていた。