2018年2月28日水曜日

裁量労働制データ捏造の主犯は安倍首相

 安倍首相が、経済界から要求されている「残業代ゼロ」への執念の歴史は長く、第1次安倍政権時代に唐突に「ホワイトカラーエグゼンプション」という聞きなれないものを提起しました。当時は年収900万円以上の労働者には残業代を払わなくするというものでした。一旦導入されれば年収による区分は早晩なくなるだろうということは当時も言われていました。
 さすがにそうした身も蓋もないことは口に出来ないので横文字で誤魔化すしかなかったのでしょうが、それがどんなに労働者を抑圧するものであろうとも、経済界の要求には真っ先に従うという習性は当時から健在でした。

 そのときは、小泉政権がもたらした競争社会の弊害を是正すべく「セーフティ―ネットの構築」を旗印に登場しました。しかし所詮は新聞の見出し程度の認識しか持っていないので、今がそうであるように、単なるスローガンで終わって実際には何一つ実行されませんでした。

 日刊ゲンダイが「過労死法案のデータ“ねつ造” 主犯は紛れもなく安倍首相」という記事を出しました。

 この捏造問題のスタート2013年6月「日本再興戦略」で、そこで労働時間法制について早急に実態把握をし、秋から労政審で検討を開始することになりました。再興戦略の経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議の所管はいずれも内閣府で、経済財政諮問、産業競争力の両議長は安倍首相でした。
 安倍首相のやり方は、そうした経済財政諮問会議産業競争力会議など労働政策の方針を決め、それを閣議決定することにより労政審の機能を事実上骨抜きにするというものです。まず厚労大臣も労働者も入ってない産業競争力会議裁量労働制の拡大を決め、それを閣議決定して厚労省に下ろして来ました。
 しかし政策を進めるのに必要な「裁量労働制の労働時間の方が短い」というようなデータがあり得ないことは、事実上の裁量労働制下にある官僚自身が誰よりも熟知していることです。そのため、彼らとしてはどういう(デタラメな)調査方法にすればそれが得られるかを考え、実行した結果がいま国民の批判に晒されているシロモノというわけです。
 
 安倍首相が自分の意思を貫くために、官僚や会議に有形無形の圧力を与える構図は、国家戦略特区諮問会議を経て閣議決定された加計学園の獣医学部新設問題とソックリだと日刊ゲンダイは述べています

 ところでこの意志の伝達は 首相  厚労相  厚労省局長 の間ではさすがに「こういうデータが欲しい」と述べて「忖度」させたのでしょうが、厚労省内部では勿論率直に議論されるわけです。その辺のところを、元経産官僚の古賀茂明氏が下記の記事中の「寸劇風『歴史的捏造データの作られ方』」のところで鮮やかに描写しています。
働き方改革の捏造データの作られ方、教えます 古賀茂明 AERA dot.
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過労死法案のデータ“ねつ造” 主犯は紛れもなく安倍首相
日刊ゲンダイ 2018年2月26日
 (阿修羅文字起こし版より転載)
 裁量労働制をめぐる厚労省のデータ“捏造”問題の疑惑は拡大する一方だ。もはや、安倍政権が今国会の目玉と位置付ける「働き方改革」は空中分解寸前。一刻も早く法案提出を断念するべきなのに、安倍首相や加藤厚労相は「準備をしっかり進めていきたい」などと突っぱね、法案提出に固執しているから、正気の沙汰じゃないだろう。

 そもそも今回の問題は、裁量労働制の適用拡大で長時間労働や過労死が増える――という野党側の懸念に対し、安倍が反論答弁に使ったデータがインチキだったことがバレたのが始まりだ。安倍も、それを認めて謝罪、撤回したのに〈データを撤回すると申し上げたのではなく、精査が必要なデータに基づいて行った答弁を撤回した〉なんて意味不明な答弁をした揚げ句、オレは説明された資料を読んだだけ―――と、開き直りとも受け取れる説明を続ける姿は見苦しい限りだ。きのう(25日)のNHK日曜討論に出演した自民党の岸田政調会長も、「厚労省が悪い」みたいな口ぶりだったが、そうじゃない。今回の問題をめぐる“主犯”は紛れもなく安倍なのである。

■労政審の議論を形骸化させた安倍政権
 裁量労働制の適用拡大を含む労働法制関連の議論は、経済財政諮問会議や産業競争力会議などを踏まえ、安倍政権が2013年6月14日に閣議決定した「日本再興戦略」がスタートだ。そこには〈企画業務型裁量労働法制をはじめ、労働時間法制について、早急に実態把握調査・分析を実施し、本年秋から労働政策審議会で検討を開始する〉とあり、同時期に閣議決定された規制改革会議の規制改革実施計画でも〈企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制等労働時間法制の見直し〉が盛り込まれた。

 経済財政諮問会議、産業競争力会議(16年9月廃止)、規制改革会議の所管はいずれも内閣府で、経済財政諮問、産業競争力の両議長は安倍だ。3会議とも財界関係者が委員に名を連ね、労働者団体の代表はほぼ皆無。何のことはない。最初から官邸と財界主導で結論ありきの議論が進められてきたワケで、安倍本人も“捏造”データの答弁直前に〈岩盤規制に穴をあけるには、やはり内閣総理大臣が先頭に立たなければ〉と威張っていた。だが、こうしたむちゃくちゃな形で進む労働法制議論に対し、猛反発していたのが日本労働弁護団だ。すでに17年3月には幹事長声明で、こう怒りの声を上げていた。

〈安倍政権は、これまで労政審(労働政策審議会)を事実上骨抜きにする方策をとってきた。経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議などにおいて、労働政策の方針を決め、それを閣議決定することにより、労政審の外堀を埋めてしまうというやり方である。閣議決定の段階で、いつまでにどのような内容の改革を実施するかが決まっているため、労政審では、これらの閣議決定の枠内で議論せざるをえない。安倍政権は、労働者不在のままで労働政策を決定し、労政審の議論を形骸化することで、矢継ぎ早に様々な労働規制改革を実施しようとしてきた〉

 きのうのNHKの日曜討論でも、立憲民主党の長妻昭議員は〈最大の問題は、首相官邸に設置した、産業競争力会議という厚労大臣も労働者も入ってないところでドーンと裁量労働制の拡大を決めて閣議決定でおろしてきた。そのひずみがデータ問題などの現実無視のものとして噴出している〉と指摘していたが、その通りだろう。労働問題に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言う。
「安保法など独断専行の安倍政権はこれまでも散々、国民を騙すような手法を繰り返してきましたが、今回もそれが表れた。最も責任があるのは安倍首相なのに、ウソがばれても何の反省もなく、押し通そうとしているから言語道断です。今回の問題は働く人の命にかかわる。こんな強権的で非民主的なやり方を認めてはいけません」

データ偽装問題とモリカケ問題の背景に横たわる構図は同じだ
 有識者と称する官邸直属の御用学者会議が「岩盤規制に穴をあける」「規制改革」の名の下に結論ありきで議論をまとめて閣議決定し、所管官庁でおざなりに審議する――。どこかで見た経過だと思ったら、安倍が議長を務める国家戦略特区諮問会議を経て閣議決定された加計学園(岡山理科大)の獣医学部新設問題とソックリだ。加計問題では、官邸サイドが文科省に執拗に設置認可を迫り、前川喜平前文科次官が「行政が歪められた」と批判したが、厚労省のデータ問題にも同じ構図が透けて見えるのだ。

 つまり、官邸主導で裁量労働制の適用拡大が決まり、厚労省が労政審にアリバイ的に諮ったら、労働団体の委員から反対の声が続出。労働時間の細かなデータ提示を求められ、独法の労働政策研究・研修機構(JILPT)に調査を委託すると、裁量労働制の労働時間の方が一般労働者よりも長い結果に。しかし、厚労省は官邸の意向を酌んで、JILPTの調査結果を労政審に報告せずにインチキデータを使い続けた――という流れだ。

 JILPTが調査報告書をまとめた2014年5月は、官邸が各府省の幹部人事を決める内閣人事局が発足した時期と重なる。厚労省が官邸の意向を“忖度”して政策立案を「歪めた」可能性は十分あり得るのだ。そして、その弊害は今も続いている。データ問題で矢面に立っている厚労省労働基準局の山越敬一局長は、JILPTが裁量労働制の労働時間を調査した時のJILPT理事で、同局ナンバー2の村山誠総務課長は、労政審にJILPTの調査結果をマトモに報告しなかった当時の労働条件政策課長だ。2人ともデータ問題の真相が分かっているのにダンマリ。森友問題でシラを切り続けた佐川国税庁長官と同じ。やはり、元凶は安倍なのだ。

■「労働は商品ではない」と国民も認識すべき
 それにしても、なぜ、安倍政権は裁量労働制の適用拡大を景気対策のごとく宣伝し、一時は連合に擦り寄るという“禁じ手”を使ってまでも導入したいのかといえば、答えは決まっている。何が何でも労働コストを削減したい財界から猛烈な突き上げを食らっているからだろう。

 23日付の日経新聞電子版は、今回のデータ問題を取り上げ、〈最悪のシナリオは06~07年の第1次安倍政権の労働改革の再来だ。経団連は脱時間給制創設を要望したが頓挫。一方で残業が一定時間を超えた社員に割増金を多く支払う内容が盛り込まれ、企業の負担増になった苦い経緯がある〉と報じていたが、これが大企業の“本音”なのだ。「働き方改革」なんて言っているが、あくまで大企業本位の「働かせ方改悪」。かつて年収400万円以上のホワイトカラーの残業代をなくすよう提言していた経団連の理想は、労働者全員を非正規にして残業代ゼロにしろ――なのだろうが、さすがにムチばかりではマズイからと安倍政権は「残業時間の上限規制」などのアメを抱き合わせしてゴマカしているだけ。法案さえ通せばこっちのもの、後は省令でやりたい放題になると踏んでいるのだ。

 労働者保護の法律は、1802年の英国の工場法が最初とされる。産業革命期、資本家が労働者を低賃金で長時間酷使したため、劣悪な労働環境が社会問題化。資本家も労働者保護の観点が必要――と判断するに至ったのだが、安倍政権の時計の針は産業革命時代に逆戻りしているのだ。

 埼玉大名誉教授の鎌倉孝夫氏(経済学)がこう言う。
裁量労働制というのは簡単に言うと、すべてを労働者の自己責任でやってください、ということ。極論すると、労働者一人一人が独立した請負業のような形になり、(最悪の場合)企業は社会保険料も何も負担しないで済むかもしれません。企業にとって極めて使い勝手のいい雇用切り捨て策なのです。『同一労働同一賃金』も聞こえはいいが、年配であろうが扶養家族がいようが、一切無視して『同じ仕事だから賃金もこれだけ』という目的がミエミエです。まさに産業革命時代の資本家の思想と同じ。労働は商品ではありません。国民も労働とは何か、賃金とは何かを改めて考え直すべきでしょう」

 労働者を奴隷に追い込む改悪制度が成長戦略の柱なんて、冗談ではない。

北朝鮮に非核を求めるより米国の核戦略批判が先

 天木直人氏が、「北朝鮮に非核を求めるより米国の核戦略批判をするのが先だ」とする尤もなブログを発表しました。

 関連して「世に倦む日々」氏の「金与正を侮辱し悪罵し人格否定する日本のマスコミ 右翼の焦り」を併せて紹介します。
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北朝鮮に非核を求めるより米国の核戦略批判をするのが先だ
天木直人のブログ 2018年2月27日
 北朝鮮と韓国の南北対話の気運が出て来たというのに、それを歓迎するどころか、どの報道を見ても、否定的、警戒的なのは異常だ。
 産経や読売が北朝鮮のほほえみ外交に騙されるなと書き、それに屈する文在寅韓国大統領を批判するのはわかる。
 しかし、朝日や毎日や、東京新聞までも、北朝鮮の非核化が米朝対話の前提だと社説で掲げているのには絶望させられる。
 北朝鮮や韓国嫌いに世論を仕向けたメディアが、その世論に迎合して北朝鮮や韓国を叩く。
 見事なマッチポンプだ。
 いいだろう。
 唯一の被爆国である日本のメディアが核を放棄しようとしない北朝鮮を批判するのはわかる。
 しかし、日本のメディアが真っ先に批判すべきは、核戦略を見直して核攻撃で北朝鮮を脅かす米国だ。
 そんな米国に100%追随して、米国の核戦略見直しを受け入れた安倍・河野政権だ。
 非核三原則を破ってまで米国の核戦略見直しを支持した安倍・河野政権を批判することなく、非核化という言葉で北朝鮮に核放棄を迫る大合唱をくり返す。
 朝日や毎日や東京新聞までも、安倍首相を助けているのである(了)


金与正を侮辱し悪罵し人格否定する日本のマスコミ 右翼の焦り
世に倦む日々 2018年2月16日
日本のマスコミ報道の金与正バッシングが凄まじい。無理やり悪女に仕立てて口汚く叩いている。昨夜(15日)のプライムニュースでは櫻井よしこが出演し、金与正を「死臭の漂う女」と言って貶めていた。ある程度の罵倒は予想していたが、そこまでの悪口は非常識に過ぎるのではないか。三浦瑠麗の「スリーパーセル」の発言もそうだが、日本のマスコミ空間で、北朝鮮に対する誹謗中傷なら何を言っても構わないという風潮が蔓延している。北朝鮮に関わる存在を全否定して攻撃するための粗探しや虐待の言説に拍車がかかっている。まさにリンチそのものだ。若い女性が国際政治の大舞台で孤独に頑張っている姿を見て、個人として、もう少し内在的な視線を送ることはできないものか。少し視点を変えて公正に金与正を見てやれば、彼女はいつ金正恩に殺されてもおかしくない人物だ。この重要な外交でヘマをやった場合、韓国側との交渉過程で、あるいは宿舎での挙動で、少しでも兄に不信を買う態度を疑われて怪しまれた場合、即、告発され粛清されておかしくない立場にある。事実上のNo.2で白頭の血統という地位と身分であるからこそ、平壌での本人は常に危険な境遇に置かれているのであり、その緊張と精神的重圧は想像を絶するものがある 

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28- 非正規・公務員の待遇は劣悪 格差解消を

 しんぶん赤旗が所謂「非正規・地方公務員」の待遇の悪さを取り上げました。
 民間と同様に極めて劣悪です。国家公務員についても同様と思われます・
 安倍政権が「同一労働・同一賃金」を謳うのであれば、まずは真っ先にこれを是正すべきです。
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地方公務員 非正規の7割女性 本村氏「待遇・格差解消を」
しんぶん赤旗 2018年2月27日
 日本共産党の本村伸子衆院議員は20日の衆院総務委員会で、地方公務員の男女賃金格差に関連して、女性が全体の7割を超える非正規雇用地方公務員の待遇改善による格差解消を求めました。

 本村氏は、総務省の2016年4月の地方公務員の臨時・非常勤職員の実態調査結果を示し、「もっとも任用団体数の多い臨時的任用職員の平均時給は事務職員で845円、政府が長年目指してきた年間総実労働時間(1800時間)で働いても年間152万1000円保育士の場合でも平均時給1004円で年間180万7200円。年収200万円以下のワーキングプアだ」と指摘。臨時・非常勤職員の74・9%を占める女性職員が低賃金・不安定雇用におかれている実態を突き付け、非正規職員を含む地方公務員の男女賃金格差の実態を調査・公表すべきだと迫りました。

 野田聖子総務相は、今後の同省の臨時・非常勤職員についての調査では「男女別の給与についても把握できるような調査内容とする予定だ」と答弁。本村氏は「女性の管理職が増えても、低賃金の非正規を増やしては女性の平均賃金は低く抑えられてしまう」として、恒常的な業務には正規採用の職員を充てるなどの抜本的改善を求めました。

2018年2月27日火曜日

改憲の国民投票56%が実施賛成 テレビ朝日世論調査

 テレビ朝日(ANN)が24日25日に行った世論調査で、憲法改正について、改正案を国会で発議して国民投票を行うことに賛成と答えた人が56%で、反対と答えた人が31%でした。
 9条については「変えずにその理念を守る」と答えた人が22%、9条は「変えずに解釈で可能な範囲の対応をすることで良い」と答えた人が21%でした

「国民投票に賛成」が直ちに「憲法改正に賛成」を意味するものではありませんが、改憲の国会発議・国民投票に警戒感を持たない人たちの方が多数であることが分かります。

 3月の党大会までには自民党の具体的な改憲案が固まると言われているので、まずはそれをまつにしても、いずれキチンとした批判を展開し周知する必要があります。
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改憲の国民投票56%が実施賛成 ANN世論調査
テレビ朝日 2018年2月26日
 憲法改正について、国会で発議して国民投票を行うことに賛成と答えた人が56%だったことがANNの世論調査で分かりました。

 調査は24日と25日に行いました。憲法改正について、改正案を国会で発議して国民投票を行うことに賛成と答えた人が56%で、反対と答えた人が31%でした。
 9条については「変えずにその理念を守る」と答えた人が22%、9条は「変えずに解釈で可能な範囲の対応をすることで良い」と答えた人が21%でした。
 また、安倍総理大臣が目指している「9条は維持したうえで、自衛隊を作ることを定めた方が良い」と答えた人が31%、自民党の石破元幹事長が考える「戦力を持たないと定めた第2項を削り、自衛隊を軍隊として定めた方が良い」と答えた人は14%でした。
 また、裁量労働制で働く職種を広げる法案について、今の国会で成立させることに賛成と答えた人は21%、反対と答えた人は59%でした。

労働時間調査の誤りは350か所以上 それでも法案提出!? とは

 厚労省が行った労働時間調査では、先に誤記入等が117件あったと公表されましたが、その後の精査で新たに誤りが233確認されました。合計350件という驚くべき数字です。

 こうしたことが明らかになっても、安倍首相はこの調査データを撤回しないと述べ、関連法案を国会に提出する方針に変わりがないことを強調しました。しかし誤ったデータをベースに政審委が審議したことに変わりはないわけで、精査中だということが法案を撤回しない理由にはなりません。

 当初は政府と歩調を合わせていた連合の神津会長も、「裁量労働制の運用実態はおかしい。『長時間労働の是正』とは全く向きの違う裁量労働制の拡大などは必要ない。働き方改革関連法案から、裁量労働制の適用業務の拡大をやめ、高度プロフェッショナル制度の規定を削除すべきだ」と述べています。
 
 27日の予算案の衆院通過は先送りになりましたが、通過の先送りや実施を1年間延長すること自体には何の意味もありません。あらゆる前提が崩れている中では、法案を撤回するしかありません。
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新たに233件のデータ誤りか 厚労省の労働時間調査
NHK NEWS WEB 2018年2月26日
働き方改革をめぐる厚生労働省の労働時間の調査について、データをさらに精査した結果、誤りと見られる一般労働者の労働時間のデータが、新たに233件確認されたことを加藤厚生労働大臣が明らかにしました。

働き方改革をめぐって、厚生労働省はこれまで、一般労働者と裁量労働制で働く人の労働時間の調査データを調べた結果、誤った記入や入力ミスと見られる例が117件、確認されたとしていました。

これに関連して、加藤厚生労働大臣は26日の衆議院予算委員会で、さらにデータを精査した結果、一般労働者の中に1日当たりの時間外労働がゼロなのに、1か月や1週間単位では時間外労働が記載されているケースが、合わせて233件、確認されたことを明らかにしました。

そのうえで、加藤大臣は「常識的に考えて、月や週当たりの時間が記載されているのに、1日当たりの時間がゼロなのはありえないし、合理的ではないと思う」と述べました。

また、加藤大臣は企業の中枢部門で経営に関わる企画などに当たる人を対象にした、「企画業務型」の裁量労働制の労働時間の調査で、1日の労働時間が2時間以下となっているケースが合わせて42件あったと説明したうえで、「あまりにも短いので違和感を感じるのは事実だ」として、精査して国会に報告する考えを示しました。


「裁量労働制の拡大 あってはならない」 連合会長
NHK NEWS WEB 2018年2月26日
「あいまいで危険な裁量労働制をさらに広げることは、あってはならない」 連合の神津会長は、与党が審査を続けている働き方改革関連法案から裁量労働制の適用業務の拡大などの規定を削除すべきだという考えを重ねて示しました

この中で、神津会長は、厚生労働省が行った、一般労働者と裁量労働制で働く人の労働時間の調査に誤りと見られる例が見つかったことについて、「連日、芋づる式に労働時間のデータの不備が明るみになっているが、連合が長年、言い続けてきたように、裁量労働制の運用実態はおかしいということだ」と述べました。

そのうえで、神津会長は、「あいまいで危険な裁量労働制をさらに広げることは、あってはならない。『長時間労働の是正』とは全然、向きの違う、裁量労働制の拡大などは必要ない」と述べ、与党が審査を続けている働き方改革関連法案から、裁量労働制の適用業務の拡大や、高収入の一部専門職を対象に、働いた時間ではなく成果で評価するとして労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の規定を削除すべきだという考えを重ねて示しました。


首相 厚労省の調査データ撤回せず 法案も提出の方針
NHK NEWS WEB 2018年2月26日
働き方改革をめぐり、誤りと見られる例が相次いで見つかっている厚生労働省の調査データについて、安倍総理大臣は現時点では撤回しない考えを示したうえで、関連法案を国会に提出する方針に変わりがないことを強調しました。

衆議院予算委員会で安倍総理大臣は、「今、まさに精査している中で、データ自体を撤回するのは適切ではない。まずは、しっかりと精査することが大切だ」と述べ、現時点では調査データを撤回しない考えを示しました。

そのうえで、与党が審査を続けている働き方改革関連法案の取り扱いについて、「法案は、まさに働く人たちの目線に立っている。自由な働き方をしたいという人がいるのは事実であり、そういう要請に応えることも大切だ。しっかりとデータの精査も行いながら、加藤厚生労働大臣のもとで法案を準備している」と述べ、国会に提出する方針に変わりがないことを強調しました。

また、厚生労働省がデータの精査を終える前に法案を提出することがあるのかと質問されたのに対し、安倍総理大臣は、「与党での事前の審査があるので、確定的なことは控える」と述べるにとどめました。


予算案、27日採決先送り 与党のデータ再調査拒否に野党反発
日経新聞 2018年2月26日
 政府・与党が目指していた27日の2018年度予算案の衆院通過が先送りとなった。野党が要求した裁量労働制をめぐる厚生労働省のデータの再調査などに与党側が応じず、野党が反発。与野党の幹事長・書記局長が26日夜から27日未明にかけて断続的に会談したが、協議は物別れとなった。政府・与党は28日の衆院通過を目指す。

 自民党の森山裕国会対策委員長は26日、立憲民主党の辻元清美国対委員長と会談。裁量労働制をめぐる厚労省の不適切なデータに関し「(政府に)引き続き説明責任を果たすよう申し入れていく」との方針を伝えた。野党側が求めるデータの再調査や、働き方改革関連法案の提出見送りに応じなかった

 これを受け、立憲民主党や希望の党など野党6党の幹事長・書記局長は国会内で会談。「回答として認めるわけにはいかない」として、明確な回答が出るまで予算案などの国会審議に応じない方針を確認した。立憲民主党の福山哲郎幹事長は記者団に「国民の生活と命に関わる裁量労働制について再調査を求めることは当然のことで(与党側から)なんの言及もなかったことは遺憾だ」と語った。

27- 自民党の改憲志向に公明党はどう対処するのか

 週刊実話ニュースに、公明党とその支援団体である創価学会に関する観測記事が載りました。
 その中で、自民党の改憲志向に対する公明党(と創価学会)の対応について触れていますので紹介します。
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創価学会・池田大作名誉会長の鶴の一声で始まる公明党連立離脱
週刊実話ニュース 2018年2月14日
週刊実話 2018年2月22日号
 先頃、創価学会インタナショナル(SGI)の池田大作会長(創価学会名誉会長)が発表した「平和提言」が、永田町に激震をもたらしている。場合によっては、これを境に、公明党が連立与党から離脱へ向かう可能性が指摘され始めているからだ。

 米トランプ政権が中国、ロシア、北朝鮮に対抗する姿勢を鮮明にする戦略を打ち出している最中、1月26日の「SGIの日」に合わせ、池田会長の提言が発表された。そこでは、昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約に参加していない日本政府に対し、唯一の戦争被爆国として参加に向けた意思表示を行うように、強く呼びかけている。
 これは1月、創価学会と交流があり、ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の事務局長との面会を拒否した安倍首相を、強くけん制しているとの見方もある。
「平和提言には、核廃絶への政権の積極姿勢を促すと同時に、安倍政権が掲げる改憲に対する強いアンチテーゼの意味がある。これは一方で、学会が池田会長の提言として公にせざるを得ないほど、公明党、学会内に反核、反改憲論が強くなっている証とも取れます」(学会ウオッチャー)

 公明党の支持母体である創価学会内では、次期会長人事を巡り勢力争いが繰り広げられていたという。しかし、2015年の人事で主任副会長に谷川佳樹氏が就いたことで、今後は安倍首相・菅義偉官房長官に近いとされる同氏による体制が敷かれると思われていた。
 ところが、その風向きが昨秋の衆院選で変わり始めたのだという。

 '14年に施行された特定機密保護法に始まり、安保法案での集団的自衛権や共謀罪の容認と、公明党は事あるごとに分裂寸前に陥りながら安倍政権を支えてきたが、結果、その衆院選では6議席減の29議席。比例区での獲得票は'05年衆院選の約898万票から比べ200万票も落ち込み、697万票に終わった
「比例票の数は、学会の広宣流布のバロメーターとも言われている。それが激減してしまった理由は何か。一つは、無党派層や護憲派の間で、自民党の下駄の雪的な存在の公明党に対し魅力が薄れたこと。二つ目は、学会内で集票に最も力を持つとされる婦人部に反安保、反改憲派が多いことにある。その向きが無言の抵抗によりブレーキをかけたため、大減票につながったとも見られています」(全国紙政治部記者)

 その選挙結果を踏まえ、創価学会員などの間では公明党、学会への反発が輪をかけて強くなり始めているという。
「しかも、安倍首相は衆院選で大勝したことをいいことに一方的に改憲論を強め、揺らぐ公明党を完全に無視した態度に出ている。そのため、山口那津男公明党代表などは、改憲について『国民の3分2以上の支持がある状況が望ましい』と発言して内部のガス抜きを強いられる始末。昨今の公明党は、森友学園問題のキーマンで、自民党が一貫して拒否する佐川宣寿国税庁長官の国会への参考人招致を認める動きを見せ始めている」(同)

 そんな動きがあっても、安倍首相は改憲へまっしぐらなのだが…。
「安倍首相は'20年に改正憲法を施行させたいと打ち出している。それに沿ったスケジュールで行けば、今年3月の党大会までに自民党改憲案をまとめ上げるということ。そこでは九条一項と二項、つまり戦力不保持を残し、自衛隊の存在を明記する安倍私案で押し進めることになる」(自民党関係者)

 とはいえ、いかにハードルが高いかは、今後の予定を見れば分かる。
 来年4月は統一地方選、夏には参院選が待ち構え、4月末と5月頭は天皇陛下の退位と新天皇の即位がある
「改憲発議に必要な国会議員3分2以上を集めるには、自民党は来年夏の参院選で60議席半ばを獲得しないと難しい。現状では最大60議席前後が関の山とも言われ、そうなると発議は数が足りている参院選前が必至となる。また夏前でも、公明党、学会の準備に配慮すれば、統一地方選前と新天皇即位前後はない。国会発議から国民投票までの周知期間は60~180日。これらを考慮すると、'18年内に発議し、'19年3月あたりまでに国民投票に持ち込まなければならない(前出・記者)

 つまり安倍首相としては、今秋の自民党総裁選までに異論が多い公明党を説得し、その上で日本維新の会や希望の党などの協力も得て国会発議にこぎつけるということだ。
 しかし、公明党関係者はこう言うのだ。
「逆を言えば、公明党や学会内の反改憲派勢力が自民党総裁選までに合意をしなければ、安倍政権下での改憲は泡と消える可能性が高くなる。それは、これまで綱引きの材料に使ってきた“改憲”がなくなることを意味し、自民党にとって公明党の存在意義が薄れるということ。公明党としては、そうなる前に手を打たなければならず、今後は早期の連立解消の声が高まるだろう。後押しするかのような池田会長の提言は、その動きをいよいよ加速させるかもしれません」

 いざ連立解消となれば、改憲はおろか、総裁選も腑抜け状態になる安倍首相。公明党は一世一代の岐路に立たされているのかもしれない。

2018年2月26日月曜日

新潟県9条の会 会報No.70のPDF版を掲示します

一面のタイトルは
 「安倍9条改憲NO! 3000万人統署名を成功させよう
 市民と野党の共同の輪が全県各地で広がる
です。

中見出しは
 「長岡市で6万人の3000万署名をやり抜き
 安倍9条改憲をみんなの力で阻止しよう!」 
 「3000万署名を進める魚沼の会が結成
   魚沼市で1万筆の署名をめざして」
で、
 128に開かれた「安倍9条改憲NO!全国市民アクション@新潟キックオフ集会」900名が参加)の様子や、それを受けた長岡市と魚沼市の活動が紹介されています。

二面の見出しは
 「それぞれの多彩な結びつき、得手を活かし
   様々な切り口で憲法を語り、9条改憲阻止を
                   新潟市江南区」

 「改憲派に負けないで3000万人署名を進め
   私たちの憲法をみんなで守ろう …  柏崎・刈羽

 「週1回の署名行動
   事前に署名・チラシを届けて
                青山・真砂9条の会」

 「辛かた戦争体験戦争め悲惨さ平和への思い
   一人ひとりの市民と対話し思いを受けとめ
  平和で生きることの大切さを共有する署名運動に
            十日町9条の会 安保サイ」
で、
 前の2件は各地の活動を要約して紹介したもので、後の2件は各地から寄稿された活動報告です。
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    県会報 No.70 (1面・2面)

自衛隊の最高指揮権者は首相だと明記する改憲案は「悪い冗談」

 軍隊の「文民統制」は、文民の方が軍事行動に抑制的なので軍の暴走が防げるという理念に基づいています。では具体的に文民の代表は誰になるかですが、一般的にはやはり総理大臣ということになるでしょう。
 でも、その人物が自衛隊とは逆に、並はずれて好戦的であったとしたらどうでしょうか。
 いわゆる「文民統制」とは正反対のものになることは間違いありません。いちいち好戦的な方向に口出しをする総理に対して、部下たる「参謀長」辺りが理を説いてそれを止めさせる手間だけでも大変なことになるでしょう。(^○^)

 そもそも憲法に自衛隊を明記すること自体が矛盾なのですが、その矛盾に満ちたものの文案がまとまりつつあります。
 自民党憲法改正推進本部は、憲法改正で自衛隊の存在を書き込む場合、総理大臣が自衛隊の最高指揮権を持つことを明記する方向のようですが、天木直人氏はそれは「悪い冗談」だと述べました。現状に照らせばそう言うしかありません。「悪い冗談というしかない」というのが日本の現実です。

 天木直人氏のブログと毎日新聞の記事を紹介します。
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自衛隊の最高指揮権者は首相だと明記する改憲案の悪い冗談
天木直人のブログ 2018年2月25日
 自衛隊を明記する事だけが目的の矛盾に満ちた改憲案を果たして自民党はまとめる事が出来るか。
 野党はお手並み拝見で見ているだけでいい。そして、そんな矛盾に満ちた改憲案が出てくれば、それを一蹴するだけでいい。
 決して野党のほうから議論に巻き込まれるような愚をおかしてはいけない。議論に巻き込まれてしまったら、議論は尽くした、あとは国民投票だという事になる。
 そうなれば国民投票で押し切られるおそれが出てくる。安倍首相の思うつぼだ。

 そんな見え透いた手に乗ることなく、安倍改憲案など一蹴すればいいのだ。
 そう私は繰り返して来た。その考えは、いささかも揺らぐことはない。
 それどころか、きょう2月25日の毎日新聞を見て、ますます強くなった。毎日新聞が何と報じたか。
 いわく、自民党憲法改正推進本部は、憲法改正で自衛隊の存在を書き込む場合、首相が自衛隊の最高指揮権を持つことを明記する調整に入ったと。
 シビリアンコントロール(文民統制)を明確にするためだと。ここまでくると、もはや悪い冗談だ。
 安倍首相の存在自体がシビリアンコントロール逸脱の安倍首相に、自衛隊の最高指揮権を与えると憲法に明記してどうする。もちろん、憲法案には首相と明記されるだけで、安倍首相とはどこにも書かれないだろう。
 しかし、自衛隊明記の改憲案を強行するのは安倍首相であり、改憲案が国民投票で承認されれば、その改正憲法の下で自衛隊を指揮する初代最高指揮官は安倍首相となるのだ。
 とんでもない事である。このままでは、我々は、そんなとんでもない安倍改憲成立の共犯者になる。
 そうならないためにも、我々は安倍首相の改憲案についての一切の議論を拒否し、一蹴するしかないのだ。
 その思いをあらためて強めてくれた毎日新聞の記事である(了)


自民党 首相の指揮権明記へ 文民統制明確化 改憲本部
毎日新聞 2018年2月25日
 自民党憲法改正推進本部は、憲法改正で自衛隊の存在を書き込む場合、首相が自衛隊の最高指揮権を持つと明記する調整に入った。シビリアンコントロール(文民統制)を明確にするためで、自衛隊を国会の統制下に置くことも明示する方向だ。

 自衛隊明記の条文案は、現在の憲法9条とは法的に別条となる「9条の2」を新設して追記する案が有力だ。「9条堅持」の姿勢を強調する狙いがある。「9条の2」の第1項に自衛隊の定義、第2項に文民統制を盛り込む案が浮上している。

 首相と自衛隊との関係については、首相を「最高指揮官とする」、首相が「最高の指揮監督権を有する」などと明記する方向だ。この際、首相について「内閣の首長たる」などとあえて内閣の代表であることに触れ、自衛隊が内閣から独立した「軍」ではなく、内閣に属する組織であることを明確にする。
 国会との関係では、「国会の統制に服する」と記す案や自衛隊が武力行使する場合などに「国会の承認を得るものとする」などと書き込む案を検討している。

 また、自衛隊が、9条第2項が禁じている「陸海空軍その他の戦力」には該当しないことを明確にするため、「必要最小限度の実力組織としての自衛隊」と明記する方針。「憲法上保持できる自衛力は、自衛のための必要最小限度でなければならない」との従来の政府解釈を踏まえた表現だ。

 自衛隊を明記する改憲に関しては「憲法に書けば、法律に根拠のある防衛省より上位の存在になり、文民統制上の問題が生じる」との指摘があった。推進本部は、自衛隊と内閣・国会との関係を明確にすることでこうした懸念を払拭(ふっしょく)したい考えだ。
 安倍晋三首相は昨年5月、9条第1項(戦争放棄)と第2項(戦力不保持)を維持して自衛隊を明記する改憲案を提起した。10月には「シビリアンコントロールをしっかり明記していく」と説明。推進本部は首相方針に沿った条文案を検討している。

 推進本部は党所属の全国会議員に「自衛隊」明記に関する条文案を公募し、100件を超える提案が集まった。これらも精査し、首相方針に沿った案に集約したい考えだ。3月25日の党大会までに、党改憲案の策定を目指す。【田中裕之、小田中大】