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2019年11月26日火曜日

ローマ教皇 「焼き場に立つ少年」の写真家の息子にあいさつ

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、2017年末、「焼き場に立つ少年」の写真をカードに印刷し、「戦争がもたらすもの」との言葉を添えて関係者に配布しました。 2018年夏にその日本語版が出来上がりました。
 それによるとカードの裏面には「戦争がもたらすもの」との教皇のことばと署名があり、さらに写真について、「  この少年は、血がにじむほど唇を噛み締めて、やり場のない悲しみをあらわしています」といった説明文がついていました。
 教皇は、長崎市の爆心地公園でスピーチを行ったあと、原爆が落とされたあとの長崎で「焼き場に立つ少年」の写真を撮影した、アメリカ軍の従軍カメラマン、ジョー・オダネル氏の息子と会話を交わしました。
 息子のタイグ・オダネル氏(50)は「フランシスコ教皇に父親が使っていたメダルを見せると、スペイン語で『ありがとう。あなたと父親に祝福を』とおっしゃった」と語りました
 NHKの記事を紹介します。
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ローマ教皇 「焼き場に立つ少年」の写真家の家族にあいさつ
NHK NEWS WEB 2019年11月24日
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、長崎市の爆心地公園でスピーチを行ったあと、原爆が落とされたあとの長崎で「焼き場に立つ少年」の写真を撮影した、アメリカ軍の従軍カメラマン、ジョー・オダネル氏の息子と会話を交わしました。

焼き場に立つ少年とは
「焼き場に立つ少年」は、アメリカ軍の従軍カメラマンだった、ジョー・オダネル氏が、原爆投下後の長崎で撮影したとしている写真です。
この写真には、目を閉じた幼い子を背負いながら、唇をかみしめて直立不動で立ち、まっすぐ前を見つめる10歳ぐらいの少年の姿が写されています。
オダネル氏は、すでに亡くなった弟を背負った少年を写したものだとし、このあと少年が見つめる中で弟は屋外で火葬されたと伝えています。

オダネル氏が長崎や広島など日本各地を回り、私用のカメラで撮影したフィルムは、アメリカに帰国したあとも悲惨な記憶とともにトランクの中にしまわれていました。
しかし、オダネル氏は過去と向き合うことを決意し、帰国から40年余りが経過した1989年にトランクを開き、翌1990年には地元・テネシー州で原爆の悲惨さを訴える写真展を開催。
アメリカ国内では反発を招いたものの、その後、日本各地でも写真展が開催され、平成19年、2007年には長崎市にある長崎県美術館で「焼き場に立つ少年」が特別公開されました。

長崎市に寄贈された「焼き場に立つ少年」は、いまも長崎市の原爆資料館に展示され、戦争の悲惨さを訴え続けています。そして、おととし、平成29年の年末、フランシスコ教皇がこの写真に、みずからの署名と「戦争がもたらすもの」というメッセージを添えて、教会関係者に配布するよう指示したことから再び注目を集めました。
カードの裏には、教皇のメッセージとともに「この少年は血がにじむほど唇をかみしめて、やり場のない悲しみをあらわしています」という説明も添えられました。

一方、オダネル氏みずからも来日し、長崎市で少年の行方を探したほか、長崎平和推進協会の写真資料調査部会なども調査を続けていますが、この少年は誰なのか、また撮影された場所はどこなのか、特定には至っていません。

撮影者の息子「誇りに思います」
「焼き場に立つ少年」の写真を撮影した、ジョー・オダネル氏の息子のタイグ・オダネル氏(50)は「フランシスコ教皇に父親が使っていたメダルを見せると、スペイン語で『ありがとう。あなたと父親に祝福を』とおっしゃった。父親が撮影した『焼き場に立つ少年』の写真がきょう、爆心地に掲げられていたことを誇りに思います。世界中の人がこの写真を見て、『長崎の悲惨な経験を繰り返してはならない』と思いを寄せた瞬間になったのではないかと思う」と話していました。

ローマ教皇 「焼き場に立つ少年」の写真家の家族にあいさつ

2019年11月3日日曜日

核廃絶決議、賛成減で採択 国連委 「日本案、後退」と批判も

 1日、国連総会第一委員会(軍縮)は日本主導の核兵器廃絶決議案を148カ国の賛成多数で採択しました。賛成は昨年より12カ国減り、米国など26カ国が棄権しました。12月の本会議であらためて採決されます
 一方、核兵器禁止条約の制定を歓迎し、未署名・未批准国に早期参加、推進を呼びかける決議案も賛成多数で可決されましたが、日本は昨年に続き反対しました。
 
 ICAN国際運営委員の川崎哲氏は、日本の決議案は、今年も核兵器禁止条約に言及すらせず、最優先すべき米ロの核削減に触れず、国際人道法の順守や中東の非核化構想も書かれていないとし、「未来志向の対話」、核保有国が核軍縮をしないことの手助けになる恐れもあり、これまでの核軍縮に向けた積み上げを台無しにする危険性があると酷評しました
     関係記事
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核廃絶決議、賛成減で採択 国連委 「日本案、後退」と批判も
東京新聞 2019年11月2日
【ニューヨーク=赤川肇】国連総会第一委員会(軍縮)は一日、日本主導の核兵器廃絶決議案を百四十八カ国の賛成多数で採択した。一方、核兵器禁止条約の制定を歓迎し、未署名・未批准国に早期参加、推進を呼びかける決議案も賛成多数で可決されたが、日本は昨年に続き反対した。
 核兵器廃絶決議案の採択は二十六年連続。二〇二〇年春に迫った核拡散防止条約(NPT)の再検討会議を念頭に、「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」を主題に従前の決議を再構成した。十二月の本会議であらためて採決される。
 
 賛成は昨年より十二カ国減り、米国など二十六カ国が棄権、昨年と同じ中国とロシア、北朝鮮、シリアの四カ国が反対した。高見沢将林軍縮大使は「複数の核保有国を含む圧倒的多数の賛成を得られたのは成果だ」と述べた。
 決議は従来同様、既に三十三カ国・地域が批准した核禁条約には言及せず、オーストリアなど一部の核禁条約推進国は棄権した。また、核兵器使用による「壊滅的な人道的影響」について、昨年は「重大な懸念」を示していたが、今年は「認識する」に変わり、「後退」との見方も出ている。また、核保有国と非保有国で認識の隔たりが大きい軍縮と安全保障の関係を「未来志向の対話」の対象としており、「核軍縮義務に条件を付けるのは受け入れがたい」(アイルランド)との批判も出た。
 
 一方、核兵器の開発から使用までを法的に禁じる核禁条約の決議案には百十九カ国が賛成、全核保有国を含む四十一カ国が反対、十五カ国が棄権した。核禁条約の発効には五十カ国・地域が批准する必要がある。
 
◆核禁条約触れず
「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)国際運営委員の川崎哲(あきら)氏の話>
 日本の決議案は、今年も核兵器禁止条約に言及すらしなかった。そればかりか過去の日本の決議と比べても大きく後退している。最優先すべき米ロの核削減に触れていない。国際人道法の順守や中東の非核化構想も書かれていない
 そうした過去の約束を取り上げずに「未来志向の対話」というと、核保有国が核軍縮をしないことの手助けになる恐れもある。来春のNPT再検討会議にもマイナスの影響を与える内容で、これまでの核軍縮に向けた積み上げを台無しにする危険性がある。
 

写真

2019年10月29日火曜日

[核廃絶決議案]被爆国の理念は一層骨抜きに

 日本政府今月、国連総会第1委員会(軍縮)に核廃絶決議案提出しました。その内容を見ると、昨年よりさらに「後ずさり」したものになっているということです。沖縄タイムスが社説で明らかにしました。
 それによると、昨年までは「核使用による壊滅的な人道上の結末への深い懸念」との表現がありましたが、今年は決議案から「深い懸念」という核心的な言葉を削りました。核保有国を意識してということです。
 核保有国が非保有国核攻撃しないことを約束する「消極的安全保障」に関する表現も削除されました。
 そして「どこにも核削減の言葉は見当たらない」ということです。
 
 ここで「核保有国」と言っているのはとはズバリ「米国」に他なりません。
 昨年2月に 参院の国際経済・外交に関する調査会に招聘されたICANの川崎哲氏は、米国の「核抑止力」を根幹とする安全保障政策を再検討するよう日本政府に求めましたが、外務省は米国の「核の傘」に入っている以上「核兵器禁止条約」には賛成できないとして、「核の傘」の有効性を主張して譲らなかったそうです。
 
 そうした判断を含めて核廃絶決議案を作成する部署が外務省であることには違和感を覚えますが、職務分掌的にはそうなってしまうのでしょうか。そうであれば外務省はそれこそ安倍首相と並んで米国第一主義なので、核兵器禁止条約に取り組む姿勢は今後も後退する一方と思われます。
 
 併せてサーロー節子さんが都内の講演会で核兵器廃絶を訴えた記事を紹介します。
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社説 [核廃絶決議案]被爆国の理念、骨抜きに
沖縄タイムス 2019年10月27日
 核大国の軍拡と核の拡散・不安定化が同時に進行する厳しい国際環境の中で、日本の非核政策が、ずるずる「後ずさり」し始めている。
 日本政府が今月、国連総会第1委員会(軍縮)に提出した核廃絶決議案の内容が明らかになった。
 
 核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任する日本政府は1994年以来、毎年、その時々の核軍縮に関する課題を織り込んだ決議案を国連総会に提出してきた。
 決議案が幅広い支持を得て採択されてきたのは確かだ。問題はその中身である。
 昨年までは「核使用による壊滅的な人道上の結末への深い懸念」との表現があったが、今年は決議案から「深い懸念」という文言が削られた
 「深い懸念」は被爆体験に根差した核心的な表現である。そのような被爆者の思いが世界の人々に共有され、核兵器禁止条約の採択につながった。
 
 ところが、今年は核兵器禁止条約に反対する核保有国を意識して「深い懸念」との表現を削ったのだという。
 核保有国が非保有国に核攻撃しないことを約束する「消極的安全保障」に関する表現も削除された
 決議案の「どこにも核削減の言葉は見当たらない」(阿部信泰元国連事務次長)。これでは被爆国としての非核理念が骨抜きにされかねない。
 核を巡る米ロ中の利害の対立が表面化し、それぞれの国が軍拡の動きを加速させている。核のリスクが高まりつつある危険な状況だからこそ、日本は核軍縮に向け、もっと存在感を示すべきだ。
■    ■
 米国と旧ソ連の間で結ばれた中距離核戦力(INF)廃棄条約が8月に失効した。核軍拡の歯止めを一つ失ったのである。
 米ロの新戦略兵器削減条約(新START)は2021年2月、期限切れを迎える。米国はロシアとの条約延長に消極的で、トランプ政権は条約を延長するか否か、まだ態度を決めていない。
 その背景にあるのは中国の核軍拡である。だが、中国は米ロに比べ核弾頭数が圧倒的に少ないことを理由に、核軍縮には消極的だ。
 米ロ中がせめぎ合い、北朝鮮が核開発を継続する中で、米国は「使いやすい核兵器」の開発に乗り出した
 核以外の攻撃に対しても核による報復を排除しない政策を取り始めたともいわれる。
 「核のない世界」をめざしたオバマ前政権とは真逆の、核使用のハードルを低くするような政策に転換したのである。
■    ■
 中国の中距離ミサイルの開発によって在日米軍が攻撃の対象となり、抑止力が弱体化するのを恐れる米軍は、日本への新型ミサイルの配備を検討し始めた
 地上発射型中距離ミサイルの配備先候補に伊江島補助飛行場も含まれているというから驚きだ。
 ただでさえ基地の過重負担に苦しむ沖縄を復帰前のような状態に逆戻りさせてはならない。
 軍拡にストップをかける新たな取り組みが必要だ。
 
 
核「子ども 老人 女性 無差別に殺す」 サーローさん 都内で講演
東京新聞 2019年10月28日
 二〇一七年のノーベル平和賞授賞式で被爆者として初めて演説したカナダ在住のサーロー節子さん(87)が、東京都内で講演し、核兵器は「子どもも老人も女性も、武装していない人たちも無差別に殺す」として、改めて廃絶を訴えた。
 
 講演会は絵本の専門店「クレヨンハウス」(東京)が主催。サーローさんは十三歳の時に広島市で被爆した体験を証言した。建物の下敷きとなり「光へ向かって、はって出ろ」という声に突き動かされて脱出したが、親族九人が犠牲になった。「姉と四歳のおいは焼けただれた肉という形で命を失った。あんなことが二度と人間に起きてはいけない」と力を込めた。
 核兵器がどういうことを人間にもたらすか、自分の目で見た。なかったことにはできない」と強調。一七年にノーベル平和賞を受賞した非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が国連での採択に尽力した核兵器禁止条約に、米国の「核の傘」に依存する日本政府は参加しておらず、サーローさんは「裏切られた、見捨てられたという思いでいっぱいだ」と批判した。サーローさんは二十二日、天皇陛下が即位を内外に宣言する「即位礼正殿の儀」にも参列した。

2019年9月29日日曜日

核兵器禁止条約批准書提出 32カ国 発効へあと18

 「核兵器廃絶国際デー」の26日、日本政府が核保有国と非核保有国間のギャップを埋めるためにとかという不可解な理由で、17年7月に国連で採択された核兵器禁止条約に参加しない中で、ニューヨークの国連本部で核兵器禁止条約の新たな署名・批准書提出式が行われ、9カ国が署名、5カ国が批准書を提出しました
 これで署名は79カ国、批准は32カ国となります。同条約の発効に必要な批准まであと18に迫りました
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核兵器禁止条約批准書提出 32カ国 発効へあと18
 しんぶん赤旗 2019年9月28日
【ニューヨーク=遠藤誠二】「核兵器廃絶国際デー」の26日、ニューヨークの国連本部では、2017年7月に採択された核兵器禁止条約の新たな署名・批准書提出式が行われ、9カ国が署名、5カ国が批准書を提出しました(うち署名と批准書提出を同時に行ったのは2カ国)。これで署名は79カ国、批准は32カ国となります。同条約の発効に必要な批准まであと18と迫りました。
 
 式にはムハンマドバンデ国連総会議長、中満泉(なかみついずみ)国連軍縮担当上級代表(事務次長)、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のフィン事務局長らが出席しました。
 フィン事務局長は、批准書提出や署名を行った諸国代表に、「おめでとう。あなた方は歴史をつくっている」と祝意を伝えるとともに、「道はまだ半ば」だと述べ、各国にいっそうの批准を促進し、遠くない日に核兵器禁止条約を発効させ核兵器廃絶の道に進むことを訴えました。
 
 同日の署名国はレソト、モルディブ、セントクリストファー・ネビス、トリニダード・トバゴ、タンザニア、ザンビア、ボツワナ、ドミニカ、グレナダ。批准書提出国はラオス、モルディブ、トリニダード・トバゴ、キリバス、バングラデシュ。前日には、エクアドルも批准書を提出しました。
 
 
核兵器廃絶国際デー“禁止条約発効早く”国連ハイレベル会合 各国代表ら訴え
 しんぶん赤旗 2019年9月28日
【ニューヨーク=遠藤誠二】ニューヨークの国連本部で26日、「核兵器廃絶国際デー」を記念する「ハイレベル会合」が開かれました。グテレス国連事務総長、各国の首相・閣僚、市民社会代表が演説し、核兵器のない世界にむけ核兵器禁止条約の早期発効を呼びかけました。
 
 グテレス事務総長は、「核兵器廃絶は、国連発足の初日から軍縮分野で最も高い優先課題だ」と指摘し、「核兵器の存在は人類にとって受け入れがたい危険だ。核兵器の脅威を無くす真の方策は、核兵器そのものの廃絶だ」と訴えました。
 キューバのロドリゲス外相は、「広島と長崎への犯罪的な原爆投下から74年たつが、人類は、約1万4000発の核兵器の存在によって依然として脅威にさらされている」「核兵器の保有は、どのような安全保障上の概念やドクトリンをもってしても正当化されるものではない」と主張。「核兵器のない世界の促進と多国間主義の強化にむけ国際社会とともに取り組む。核兵器禁止条約の発効に向けた批准を(各国に)呼びかける」と発言しました。
 オーストリアのシャレンベルク欧州・統合・外相は、「オーストリアは禁止条約をいち早く批准した国の一つだ。2年前、122カ国の賛成で核兵器禁止条約が採択されたことは(世界にむけた)強力なシグナルであり、批准を促進することで核兵器廃絶への取り組みを続けよう」と強調しました。
 
 他の国の代表からも、「核兵器禁止条約は重要であり、核保有国や核の傘のもとにある諸国も署名、批准すべきだ」(ウガンダ)、「核兵器禁止条約は核兵器廃絶にむけた重要なステップだ。一刻も早い発効を」(バチカン)、「批准を促すことで条約発効にむけたスピードを速めよう」(コスタリカ)などの意見が相次ぎました。

2019年8月10日土曜日

長崎平和祈念式典が行われました

 9日、長崎市平和公園で行われた平和祈念式典には、被爆者や遺族、それに66か国の代表を含むおよそ5900人が参列し、この1年間に亡くなった被爆者など3402人の名前が書き加えられた18万2601人の原爆死没者名簿が納められました。
 
 田上富久市長は平和宣言で、米露の中距離核戦力全廃条約失効などに触れ「核兵器が使われる可能性が高まっている」と危機感を表明したうえで、「日本政府核兵器禁止条約背を向けている」として、「唯一の戦争被爆国の責任として、一刻も早く核兵器禁止条約に批准・署名し、『戦争をしない』という平和の理念を世界に広げるリーダーシップを発揮するべきだ」と訴えました
 また何よりも『戦争をしない』という決意を込めた日本国憲法の平和の理念の堅持と、それを世界に広げるリーダーシップを発揮することを求めると、政府に対して「9条の堅持」を訴えました、
 
 安倍首相のスピーチは、広島でのスピーチわずかに構成を入れ替えたものを読み上げただけで、広島のときと同様、唯一の戦争被爆国でありながらいまだに署名・批准していない核兵器禁止条約にふれることはありませんでした。
 
 毎日新聞とLITERAの記事を紹介します。
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原爆投下から74年 長崎で平和祈念式典 
首相、今年も核兵器禁止条約に触れず
毎日新聞 2019年8月9日
 長崎は9日、米国による原爆の投下から74年となる「原爆の日」を迎え、長崎市の平和公園で平和祈念式典があった。田上(たうえ)富久市長は平和宣言で、米露の中距離核戦力(INF)全廃条約失効などに触れ「核兵器が使われる可能性が高まっている」と危機感を表明。核廃絶を訴えてきた市民社会の役割を強調して連帯を呼びかけ、日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を迫った。一方、安倍晋三首相は3年連続、あいさつで条約に言及しなかった。 
 
 式典は午前10時45分に始まり、被爆者や遺族ら約5900人が参列。原爆投下時刻の午前11時2分には黙とうをささげ、原爆犠牲者の冥福を祈った。 
 平和宣言に立った田上市長は「核兵器は役に立つと公言する風潮が再びはびこり始めている」などとし、米露による新たな核兵器開発の動きや、2日に失効したINF全廃条約後の核軍縮の行方に危機感を表明。そのうえで、来年、発効50年を迎える核拡散防止条約(NPT)を踏まえ、核廃絶に向けた核軍縮の着実な履行を核保有国に求めた。 
 
 2017年に国連で採択された核兵器禁止条約は、いまだ発効していない。田上市長は、条約に批准していない日本政府の姿勢を「条約に背を向けている」と批判。早期の署名・批准を求めるとともに、唯一の戦争被爆国として世界におけるリーダーシップを発揮するよう政府に促した。 
 宣言の冒頭では、17歳で被爆し家族を失った山口カズ子さん(91)=長崎県長与(ながよ)町=の詩を引いて被爆の惨状と非核の願いを表現。「人の手」によって「人の上」に落とされる核兵器は「人の意志」で無くすことができるとし「私たちは、無力ではない」と市民社会に連帯を呼びかけた。 
 安倍首相はあいさつで、核軍縮について「核兵器国と非核兵器国との橋渡しに努め、国際社会の取り組みを主導する」と述べたが、条約には言及しなかった。 
 
 被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた山脇佳朗(よしろう)さん(85)は、全ての核保有国に核廃絶を働きかけるよう安倍首相に求め「それが、原爆で失われた命、後遺症に苦しむ被爆者に報いる道」だと訴えた。 
 
 式典には、核兵器保有国の8カ国のうちインド、パキスタンを除く6カ国を含めた66カ国の代表も参列。この日奉安された原爆死没者名簿には、この1年間で死亡が確認された3402人の名前が記され、総数は18万2601人になった。【今野悠貴】
 
 
「原爆の記憶」が破壊される! 安倍首相は長崎式典でまたコピペ、
佐世保市は「核廃絶は政治的中立侵す」と原爆写真展を拒否
LITERA 2019.08.09
 本日、長崎市でおこなわれた長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典。安倍首相は広島でおこなわれた式典で昨年とほとんど変わらない“心ない”スピーチをおこなったが、きょうの長崎でのスピーチは、その広島でのスピーチからわずかに構成を入れ替えた“ほぼコピペ”文章をただ読み上げただけ。無論、広島のときと同様、唯一の戦争被爆国でありながらいまだに署名・批准していない核兵器禁止条約にふれることはなかった
 
 だが、そんな安倍首相に対し、長崎市の田上富久市長が直球を投げた。田上市長は平和宣言で、安倍首相にこう訴えたのだ。
「日本政府に訴えます。日本はいま、核兵器禁止条約に背を向けています。唯一の戦争被爆国の責任として、一刻も早く核兵器禁止条約に署名、批准してください
 一刻も早く核兵器禁止条約に署名、批准して──。昨年の平和宣言で田上市長は「日本政府には、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすことを求めます」と述べたが、今年は「一刻も早く署名・批准を」と真正面から強く要求したのだ。
 
 しかも、その後も田上市長はかなり踏み込んだ。
「何よりも『戦争をしない』という決意を込めた日本国憲法の平和の理念の堅持と、それを世界に広げるリーダーシップを発揮することを求めます
 これは事実上、9条に自衛隊を明記する改憲案を進めようとしている安倍首相に対する牽制だ。
 じつは、平和宣言の内容を議論する起草委員会では、今年、〈憲法9条を守るよう政府に訴えていくべきだとの意見が出ていた〉(朝日新聞7月29日付)という。平和宣言で9条に直接言及することは見送られたが、その思いが「『戦争をしない』という決意を込めた日本国憲法の平和の理念の堅持」というメッセージとなったというわけだ。
「核兵器禁止条約への署名、批准」はもちろんのこと、多大な戦争犠牲者を生んだ長崎からなされた事実上の「9条堅持」という要求は、あまりに当然のものだ。しかし、この平和宣言を突きつけられているあいだも、安倍首相はむっつりとした表情を浮かべていただけだった。
 
 核兵器廃絶と平和憲法の堅持の訴えから背を向け、むしろ「戦争ができる国」へと舵を切る安倍政権──。そして、こうした政権の姿勢は、確実にこの国を蝕みつづけている。
 実際、それを象徴するような出来事が起こっている。8月4日、長崎佐世保市では「原爆写真展」が開催されたのだが、その後援を市教育委員会が断ったのだ。
 そして、その断った理由が驚愕のものだった。この写真展では「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(ヒバクシャ国際署名)の活動も実施されたのだが、市教育委員会はそれが「政治的中立を侵す恐れがある」として問題視したのである。
「ヒバクシャ国際署名」は「後世の人びとが生き地獄を体験しないように、生きているうちに何としても核兵器のない世界を実現したい」という思いから、2016年4月に広島と長崎の被爆者たちがはじめた署名活動で、すべての国が核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを求めている。どう考えても、被爆者や市民が「核兵器のない世界を」「核兵器禁止条約に署名を」と求めることは当然の訴えだが、その活動を「政治的中立を侵す恐れがある」と言うのである。しかも、被爆地である長崎県の市教育委員会が、だ。
 
安倍政権になって「9条護憲」も政治的中立侵す、と公共施設から締め出し
 じつは佐世保市と市教育委員会は、2017年にもこの写真展の後援を依頼されたのだが、このときも署名活動と、写真展のチラシにあった「歓迎! 核兵器禁止条約」という表現に対し「政治的または宗教的中立性を侵すおそれがあるものに該当する」として後援を拒否していた(毎日新聞8月4日付)。「政治的または宗教的中立性を侵す」とは、さっぱり意味がわからないだろう。一体、核廃絶を訴えることの、どこが政治的だと言うのか。
 核廃絶を訴えることに対して、被爆地の教育委員会が「政治的中立性を侵す」と主張する異常──。だが、これこそがいま、この国を覆い尽くそうとしている考え方なのだ。
 
 実際、第二次安倍政権になって以降、9条護憲にかんする集会が公共施設の使用を拒否されたり、使用許可が取り消されたりするケースが相次いでいる。それどころか、さいたま市では「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ女性の俳句が秀句に選ばれたのに公民館だよりに掲載されなかったという問題まで発生。公民館側は「『九条守れ』というフレーズは、公民館の考えであると誤解を招く可能性がある」「公平中立であるべきとの観点から、掲載は好ましくないと判断した」などと主張した。この問題は裁判となり、一審・二審とも「句が掲載されると期待した女性の権利を侵害した」「人格的利益の侵害にあたる」とし、女性への慰謝料を認めている。
 
 行政側は「政治的中立性」「公平中立」などというが、公務員には憲法遵守が憲法によって義務づけられているというのに、それはまるで無視され、「憲法守れ」「平和を守れ」という主張は「政治的」だと判断されているのだ。
 それだけではない。ラジオDJなどの活動で知られるピーター・バラカン氏は、9条関連のTシャツを着て街を歩いていただけで警察官に職務質問されたといい、一方、自民党はホームページで「子どもたちを戦争に送るな」という教員らを「偏向教育」として密告させるフォームを設置したことも大問題になった。
 つまり、安倍政権は9条と憲法の平和主義を“危険”扱いして排除する流れをつくり出し、行政もそれに右に倣えで従うというかたちができあがってしまった。そして、その流れは「核廃絶」というメッセージにまで波及しているのである。
 
 そんな恐ろしい空気が流れる社会のなかで、安倍首相を前に、はっきりと「核兵器禁止条約への署名、批准」「平和憲法の堅持」を訴えた田上市長。この言葉を安倍首相が受け止めるとは思えないが、しかし、平和を訴えることをタブーにしようとする流れに、市民が「おかしい」と声をあげつづけていくしかないだろう。(編集部)

長崎平和宣言(全文)

 長崎平和祈念式典で田上富久市長が行った「長埼平和宣言」の全文は下記の通りです。
 時事通信の記事より引用しました。
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長崎平和宣言(全文)
2019年08月09日
 目を閉じて聴いてください。
 
 幾千の人の手足がふきとび
 腸わたが流れ出て
 人の体にうじ虫がわいた
 息ある者は肉親をさがしもとめて
 死がいを見つけ そして焼いた
 人間を焼く煙が立ちのぼり
 罪なき人の血が流れて浦上川を赤くそめた
 
 ケロイドだけを残してやっと戦争が終わった
 
 だけど……
 父も母も もういない
 兄も妹ももどってはこない
 
 人は忘れやすく弱いものだから
 あやまちをくり返す
 だけど……
 このことだけは忘れてはならない
 このことだけはくり返してはならない
 どんなことがあっても……
 
 これは、1945年8月9日午前11時2分、17歳の時に原子爆弾により家族を失い、自らも大けがを負った女性がつづった詩です。自分だけではなく、世界の誰にも、二度とこの経験をさせてはならない、という強い思いが、そこにはあります。
 原爆は「人の手」によってつくられ、「人の上」に落とされました。だからこそ「人の意志」によって、無くすことができます。そして、その意志が生まれる場所は、間違いなく、私たち一人ひとりの心の中です。
 今、核兵器を巡る世界情勢はとても危険な状況です。核兵器は役に立つと平然と公言する風潮が再びはびこり始め、アメリカは小型でより使いやすい核兵器の開発を打ち出しました。ロシアは、新型核兵器の開発と配備を表明しました。そのうえ、冷戦時代の軍拡競争を終わらせた中距離核戦力(INF)全廃条約は否定され、戦略核兵器を削減する条約(新START)の継続も危機にひんしています。世界から核兵器をなくそうと積み重ねてきた人類の努力の成果が次々と壊され、核兵器が使われる危険性が高まっています。
 核兵器がもたらす生き地獄を「繰り返してはならない」という被爆者の必死の思いが世界に届くことはないのでしょうか。
 そうではありません。国連にも、多くの国の政府や自治体にも、何よりも被爆者をはじめとする市民社会にも、同じ思いを持ち、声を上げている人たちは大勢います。
 そして、小さな声の集まりである市民社会の力は、これまでにも、世界を動かしてきました。1954年のビキニ環礁での水爆実験を機に世界中に広がった反核運動は、やがて核実験の禁止条約を生み出しました。一昨年の核兵器禁止条約の成立にも市民社会の力が大きな役割を果たしました。私たち一人ひとりの力は、微力ではあっても、決して無力ではないのです。
 世界の市民社会の皆さんに呼びかけます。
 戦争体験や被爆体験を語り継ぎましょう。戦争が何をもたらしたのかを知ることは、平和をつくる大切な第一歩です。
 国を超えて人と人との間に信頼関係をつくり続けましょう。小さな信頼を積み重ねることは、国同士の不信感による戦争を防ぐ力にもなります。
 人の痛みがわかることの大切さを子どもたちに伝え続けましょう。それは子どもたちの心に平和の種を植えることになります。
 平和のためにできることはたくさんあります。あきらめずに、そして無関心にならずに、地道に「平和の文化」を育て続けましょう。そして、核兵器はいらない、と声を上げましょう。それは、小さな私たち一人ひとりにできる大きな役割だと思います。
 すべての国のリーダーの皆さん。被爆地を訪れ、原子雲の下で何が起こったのかを見て、聴いて、感じてください。そして、核兵器がいかに非人道的な兵器なのか、心に焼き付けてください。
 核保有国のリーダーの皆さん。核拡散防止条約(NPT)は、来年、成立からちょうど50年を迎えます。核兵器をなくすことを約束し、その義務を負ったこの条約の意味を、すべての核保有国はもう一度思い出すべきです。特にアメリカとロシアには、核超大国の責任として、核兵器を大幅に削減する具体的道筋を、世界に示すことを求めます。
 日本政府に訴えます。日本は今、核兵器禁止条約に背を向けています。唯一の戦争被爆国の責任として、一刻も早く核兵器禁止条約に署名、批准してください。そのためにも朝鮮半島非核化の動きを捉え、「核の傘」ではなく、「非核の傘」となる北東アジア非核兵器地帯の検討を始めてください。そして何よりも「戦争をしない」という決意を込めた日本国憲法の平和の理念の堅持と、それを世界に広げるリーダーシップを発揮することを求めます。
 被爆者の平均年齢は既に82歳を超えています。日本政府には、高齢化する被爆者のさらなる援護の充実と、今も被爆者と認定されていない被爆体験者の救済を求めます。
 長崎は、核の被害を体験したまちとして、原発事故から8年が経過した今も放射能汚染の影響で苦しんでいる福島の皆さんを変わらず応援していきます。
 原子爆弾で亡くなられた方々に心から哀悼の意をささげ、長崎は広島とともに、そして平和を築く力になりたいと思うすべての人たちと力を合わせて、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に力を尽くし続けることをここに宣言します。