2012年6月28日木曜日

志賀原発の運転差し止め訴訟が出されました


 26日に北陸電力志賀原発(石川県)12号機の運転差し止めを求める請求(訴訟)が出されました。今年423日の柏崎・刈羽原発運転差し止め訴訟に続くものです。
志賀原発では、1999年に第2号機の建設差し止め請求が出され、2006年に「稼働中の2号機を止めるべし」とする画期的な1審判決が下されました。しかし控訴審で逆転され、最高裁でそれが確定しました。 

今回の提訴では、
「原発の周辺には複数の活断層があるのに、耐震設計においてそれらが連動することを想定していない。従って装置の耐震性は最新の知見に立脚していない不十分なものであって、原発の安全性は確保されていない。
一方住民には、事故や被害発生の不安のない、安全で平穏な環境を享受する権利がある。それゆえ北陸電力には、前審の確定後に起きた福島の事故を踏まえて、志賀原発では同様の事故が起きないという、『安全性』を証明する義務がある」
としています。 

この訴訟に関連して日刊ゲンダイ27日号に、浜岡原発訴訟などこれまで10年に渡って各地の原発訴訟に関与してきた河合弘之弁護士の談話が載っています。同弁護士は、別のインタビューではもっと明確に、「裁判官に権力へのすり寄り志向がある」ことを指摘しています。

そうであれば、福島原発事故という一大惨事を経験した今こそ、大いに改めて欲しいものです。「すり寄りの自由」であっては、『自由心証主義』が泣くというものです。
以下にその記事を紹介します。

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原発訴訟はこうして潰される
日刊ゲンダイ2012/6/27 

志賀原発も住民らが提訴したが…

"安全神話"崩壊で司法の意識変わるか
「現行の原発の耐震指針には深刻な瑕疵がある」――。 

きのう(26)、石川、富山の両県の住民ら120人が北陸電力を相手取り、志賀原発の運転差し止めを求めて提訴した。地震発生時に原発周辺の複数の活断層が連動して揺れを大きくする危険性を想定していないことなどが理由だ。 

日本の原発訴訟は、1973年の「愛媛の伊方原発1号機の設置許可取り消し訴訟」から始まり、住民側はことごとく敗訴している。勝訴したのは、85年の「もんじゅ」2審判決、99年の「志賀原発」1審判決の2回だけ。そのどちらも上級審で敗訴している。 

「原発の安全神話が信じられてきたのは、裁判官も同じ」と言うのは、脱原発弁護団全国連絡会代表の河合弘之弁護士。浜岡、玄海原発をはじめ全国の原発で差し止め訴訟を起こしてきた。

「原告の敗訴が続いたのは、3つの理由があります。(1)ありもしないことを大げさに言う人たちだという原告・住民への偏見。(2)カッコつきの権威のある御用学者が安全だと言っている。(3)監督官庁が言うから確かだという行政に対する過度の信頼――が要因だったのです」 

実際、過去の判例をみると、「反対ばかりしないで落ち着いて考える必要がある」(903月福島第2原発1号機訴訟の2審の仙台高裁判決)と原告を批判している。055月もんじゅ訴訟最高裁判決では、「安全審査の調査審議および判断過程に看過し難い過誤、欠落があるとは言えず、安全審査に依拠した処分が違法といえない」と、専門家の意見を丸のみ。0710月浜岡原発訴訟の静岡地裁判決では、安政東海地震、宝永東海地震について、「このような抽象的な可能性の域を出ない巨大地震を国の施策上むやみに考慮することは避けなければならない」と行政をアシストした。 

だが、福島第1原発事故により、“安全神話″は崩壊した。前出の河合氏はこう言う。

「これまで負け続けた理由はすべて打ち砕かれました。いまこそ、原発差し止め裁判が有効です。政府は原発を全て止めるのに年間3兆円かかるとして再稼働を認めました。
でも、日本の国富は3000兆円もある。後世に負担を残さないために増税したいというのなら、最終処理に10万年もかかる原発を止めるのが先でしょう」 

司法の意識は変わったのか。



2012年6月26日火曜日

「柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働を認めない意見書」が採択されました


 6月の湯沢町議会で、議員発議の「柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働を認めない意見書」(注1)が採択されました。すでに3月議会で柏刈原発の再稼働に反対する議決はなされていたのですが、同主旨の意見書を、あらためて町議会議長名で政府の各機関と県知事に送付することになりました。

原発再稼働の問題では、上村・湯沢町町長も議員からの一般質問に答えて、「福島原発事故のきちんとした検証と原因究明もなされないまま、再稼働だけが議論されていることに対し、私は柏崎・刈羽原発も含めて再嫁働には賛同できない。また原発に依存しない脱原発社会を目指して、段階的に再生可能エネルギー政策を実現すべきであると思っている」、と述べたということです。

また新潟県の泉田知事も、昨年11月に国当局に「被曝限度は、内部被曝と外部被曝の合計で論じるべきではないか」という質問書を出した(注2)のを皮切りに、国のガレキ処分の方針に対しても、大飯原発再稼働に対しても厳しい批判(注3、4)をし、その論旨の正当性は元原子力安全委員など識者からも高く評価されています。

意見書の送付を機に、これら町議会・町長・知事が反原発のトライアングルを組むことになるわけで、これによって柏崎・刈羽原発の再稼働に対する反対世論がますます高まることが期待されます。

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(注1) 湯沢町議会で採択された意見書 

柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働を認めない意見書

 平成23年3月11日発生した大地震により、福島県をはじめ東北地方を中心に10メートルを越える大津波が襲来しました。これは東日本大震災と命名され、福島第1原子力発電所の事故となり、未曽有の大惨事として世界中が驚愕しました。日本の国難と言われ、国を挙げて対応しましたが、被災地は元より近隣の県、市町村も対策に苦慮している現状です。

 新潟県も柏崎・刈羽に発電機7基の原子力発電所を有し(平成24年3月26日に6号機が定期検査のため停止)、全国54基ある中で全国一の規模となっています。また、新潟県は全国有数の長い海岸線を有し、更に地震王国と言われる日本の中で、この発電所が地震の破砕帯の上に建つとも言われ、危険この上ないと注目されている原発です。

 万一の危険地帯を示す圏内として、湯沢町は50キロメートル圏内から外れているとはいえ、冬期間の風は間違いなく湯沢方面に吹いてきます。

2000メートル級の山が壁となり、雪と一緒に放射性物質が降れば、スキーと温泉が基幹産業の湯沢町が受ける損害は量りしれません。さらに、雪解け水が下流に流れれば、米どころ新潟県の受ける損失は農業県として成り立たなくなる位甚大で、大問題です。

 以上の問題が予測され、湯沢町のため、そして新潟県のためにも柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働を容認することはできません。湯沢町の安心、安全を守るため強く要望します。

以上地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成24年6月13

新潟県湯沢町議会議長  田 村 正 幸

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(注2) 2011.11.2付「新たな食品中の放射性物質の規制値について国に要望します」で、泉田知事は、国が食品による被曝限度を1ミリシーベルトとしたことに対して、いち早く「1ミリシーベルトは外部被ばくと内部被ばくの合計の限度」の筈なのでおかしいという指摘をして、元原子力安全委員の武田邦彦氏等の識者から高く評価されました。

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(注3) 東日本大震災の被災地のガレキの広域処理問題で、細野豪志環境相が「(被災地以外の地域が)受け入れられない理屈は通らない」などと述べていることに対し、泉田裕彦知事は19日、『どこに市町村ごとに核廃棄物場を持っている国があるのか』と批判し、『国が環境整備をしないといけない。国際原子力機関(IAEA)の基本原則で言えば、放射性物質は集中管理をするべきだ』と訴えました。

これも識者から極めて正しいと評価され、あるブログは「正し過ぎる」と激賞しています。

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(注4) 6.10原子力発電に関する野田総理の発言に係るコメント(全文) 

泉田裕彦新潟県知事20120610

 本日、野田総理が、大飯原子力発電所について「安全性を確認した」と表明しました。

 現在、福島原発事故はいまだ収束しておらず、事故の検証も進行中であり、換言すれば、意思決定過程や組織のあり方なども含めた事故原因の特定も行われていません。

事故原因が特定されなければ、対策を講じることができないことは自明の理であり、専門家である原子力安全委員会も班目委員長が安全を確認していないことを明言しています。

 このような状況下で専門家でもない総理が安全性を確認できるはずもありません。

 実際、「福島を襲ったような地震や津波が起きても事故を起こさない。」と限定付きでの「安全宣言」であり、福島を襲ったものとは異なる直下型の地震等の場合は再び「想定外」という言い訳が通る説明になっています。

 「電源が失われるような事態が起きても炉心損傷に至らないことが確認されている。」との発言についても、現実には、「電源が失われなくても、炉心冷却に失敗すれば、大惨事になる」ということが福島の教訓であることを無視した説明です。

 さらに、政府の安全性の基準は暫定的なものであるとまで説明し、責任回避が可能な内容となっています。

 この他にも指摘しなければならない事項が含まれていますが、新たな安全規制機関も未設置であり、万が一の事態が生じた場合の対策も固まっていない中で、「安全を確認した」と表明することは、新たな「安全神話」を創造することとなり、極めて無責任であります。

 米国NRCでは、爆発や火災によってプラントの重要な部分が失われるようなシビアアクシデントに備えて対応(B.5.b[※])を準備しています。

 国民生活を人質にして、安全を軽視した宣言となっていることは極めて遺憾であります。

※ 米政府の原子力規制委員会(NRC)が9.11テロの翌年に米国内の原発に対し策定命令を出した「原子力施設に対する攻撃の可能性に備えた特別対策」


2012年6月25日月曜日

原子力の憲法がこっそり変更されました


621日付けの東京新聞に、「『原子力の憲法』こっそり変更」と題する記事が載りました。それによると原子力の憲法=原子力基本法の2条(基本方針)に、第2項 「原子力利用の安全確保は国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として行う」が追加されました。これは、付則の12条に上記の条文を盛り込むことで実質的に本則の2条を変更する、という変則的な手法で行われ、殆ど議論もなかったということです。

18日の衆院通過を見て、「世界平和アピール7人委員会」は19日に、「実質的な軍事利用に道を開く可能性を否定できない」「国益を損ない、禍根を残す」とする緊急アピールを発表しましたが、同法案は20日に成立しました。

以下にその記事を紹介します。 

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「原子力の憲法」こっそり変更
東京新聞2012621日 朝刊 

 20日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法の基本方針が変更された。基本方針の変更は34年ぶり。法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた。
 設置法案は、民主党と自民、公明両党の修正協議を経て今月十五日、衆院環境委員長名で提出された。

 基本法の変更は、末尾にある付則の12条に盛り込まれた。原子力の研究や利用を「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に」とした基本法2条に1項を追加。原子力利用の「安全確保」は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びにが国の安全保障に資することを目的として」行うとした。
 追加された「安全保障に資する」の部分は閣議決定された政府の法案にはなかったが、修正協議で自民党が入れるように主張。民主党が受け入れた。各党関係者によると、異論はなかったという。

 修正協議前に衆院に提出された自公案にも同様の表現があり、先月末の本会議で公明の江田康幸議員は「原子炉等規制法には、輸送時の核物質の防護に関する規定がある。核燃料の技術は軍事転用が可能で、(国際原子力機関=IAEAの)保障措置(査察)に関する規定もある。これらはわが国の安全保障にかかわるものなので、究極の目的として(基本法に)明記した」と答弁。あくまでも核防護の観点から追加したと説明している。

 一方、自公案作成の中心となった塩崎恭久衆院議員は「核の技術を持っているという安全保障上の意味はある」と指摘。「日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない。(反対は)見たくないものを見ない人たちの議論だ」と話した。

 日本初のノーベル賞受賞者となった湯川秀樹らが創設した知識人の集まり「世界平和アピール7人委員会」は19日、「実質的な軍事利用に道を開く可能性を否定できない」「国益を損ない、禍根を残す」とする緊急アピールを発表した。 

◆手続きやり直しを

 原子力規制委員会設置法の付則で原子力基本法が変更されたことは、二つの点で大きな問題がある。

 一つは手続きの問題だ。平和主義や「公開・民主・自主」の3原則を定めた基本法2条は、原子力開発の指針となる重要な条項だ。もし正面から改めることになれば、2006年に教育基本法が改定された時のように、国民の間で議論が起きることは間違いない。
 ましてや福島原発事故の後である。
 ところが、設置法の付則という形で、より上位にある基本法があっさりと変更されてしまった。設置法案の概要や要綱のどこを読んでも、基本法の変更は記されていない。
 法案は衆院通過後の今月18日の時点でも国会のホームページに掲載されなかった。これでは国民はチェックのしようがない。

 もう一つの問題は、「安全確保」は「安全保障に資する」ことを目的とするという文言を挿入したことだ。
 ここで言う「安全保障」は、定義について明確な説明がなく、核の軍事利用につながる懸念がぬぐえない。

 この日は改正宇宙航空研究開発機構法も成立した。「平和目的」に限定された条項が変更され、防衛利用への参加を可能にした。
 これでは、どさくさに紛れ、政府が核や宇宙の軍事利用を進めようとしていると疑念を持たれるのも当然だ。

 今回のような手法は公正さに欠け、許されるべきではない。政府は付則を早急に撤廃し、手続きをやり直すべきだ。(加古陽治、宮尾幹成) 

<原子力基本法> 原子力の研究と開発、利用の基本方針を掲げた法律。中曽根康弘元首相らが中心となって法案を作成し、1955(昭和30)年12月、自民、社会両党の共同提案で成立した。科学者の国会といわれる日本学術会議が主張した「公開・民主・自主」の3原則が盛り込まれている。原子力船むつの放射線漏れ事故(74年)を受け、原子力安全委員会を創設した78年の改正で、基本方針に「安全の確保を旨として」の文言が追加された。 

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HP事務局追記:

【原子力基本法】
2条  原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。

【付則により追加された条項】
2 原子力利用の安全確保は国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として行う。


2012年6月21日木曜日

町の非核平和に関する取り組みについて町長、教育長と懇談しました


6199時から、湯沢町役場2階会議室で、町の非核平和に関する取り組みについて、町長、教育長と1時間あまりにわたり懇談しました。
当会からは9名参加し、61日付けで要請した3項目を中心に、町長、教育長の考えを聞き、意見交換を行いました。
この懇談会には、総務課長と総務課の担当班長も同席しました。
要請事項についての町長、教育長の回答の要旨は次のとおりです。 

【要請事項1】
今年度湯沢中学校で開催される予定になっている講演会を、生徒だけでなく父兄や一般町民も参加できるかたちで実施していただきたい。

◎教育長回答
 ・ 2学期に実施することとし、現在校長と日程の調整を行っている。
 ・ 生徒だけでなく、父母や一般町民のみなさんにも聞いてもらえるようにしたい。
 ・ 父母には学校からお便りを生徒に持たせるかたちで、また一般町民のみなさんには『広報湯沢』でお知らせするつもりでいる。 

【要請事項2】
  本年1月に開催された平和市長会議に出席されての感想や決意を、何らかの方法で広く町民に知らせていただきたい。

◎町長回答
 ・ 長年の念願であった被爆地広島を訪れ、そこで開かれた平和市長会議に出席するとともに、被曝者の話を直接聞く機会も得られた。ヒロシマ、ナガサキを知ることは、平和や核について考える原点だと改めて思った。機会があれば長崎にも行ってみたいと考えている。しかし、感想文や手記といったものを書く考えはない。 

【要請事項3】
  8月に行われる町の成人式が、「非核平和都市宣言のまち」にふさわしいものになるよう、町として特別に配意をしていただきたい。

◎教育長回答
 ・ 成人式には記念品を贈ったり、いろいろと配布する物もあるので、その一つとして何か考えていけるのではないかと思っている。
1成人式の実行委員会と話し合いながら具体化を図って行く考えでいる。 

 以上のとおり、要請事項の1と3については、私たちの要請の方向で実施される見通しとなりましたが、要請事項の2については、深い内容の感想を持たれながら、それをものに書いて私たちに知らせる考えはないという、残念な回答でした。

 そのため、参加した多くの会員から「今聞かせていただいたような町長の感想や思いをものに書いて、広く町民に伝えることはとても意義のあること」「原爆忌があり、終戦記念日があって戦争と平和、原爆と核の問題などに関心が向く8月を目途に是非一文を」などなど、町長に再考を求める発言が相次ぎました。
 きっと町長には私たちの気持ちを受け止めてもらえたものと期待しているところです。 

 3項目の要請のほか、①819日に私たちが計画している『1枚のハガキ』(新藤兼人監督の遺作映画)の鑑賞会には、多くの町職員の方にも参加していただきたいこと、②日本被団協が新たに作成したパネル「ヒロシマ・ナガサキ 原爆と人間」(30枚組29,500円)の購入と活用について考えていただきたいことなどを要請し、10時過ぎに懇談を終わりました。 

懇談のなかで町長から、湯沢町の小学生と沖縄・恩納村の小学生の交流会を考えている旨の嬉しい紹介もありました。これは、小さいときの体験がその後の生き方に大きな影響を持つという自身の経験と、“沖縄”がヒロシマ・ナガサキとともに平和について考える上で大切だ、との町長の考えに基く発案企画ということで、大きな成果が期待されるところです。


2012年6月19日火曜日

6月例会が開かれました

  当日はあいにくの曇り空で、事後には小雨もぱらつきましたが、6月17日(日)13:30から湯沢公民館で6月例会が開かれ、熱心な討議が行われました。

会議は定刻の15:30に終わりました。 

【連続学習―「『18人の発言』に学ぶ」(10回目)】
(テキスト:「憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための
18人の発言」(岩波ブックレットNo.657  2005.8.2発行)
テーマ:「井筒和幸さん、辛酸なめ子さんの文章(テキスト3639頁)」 

井筒さんの文章で、「どんどん日本の軍備が拡張され、今は憲法との整合性がなくなっている」 「日本はアメリカの51番目の州」などと語られている点については、アメリカの財政上の都合もあって戦闘機などの高価な武器を大量に買わされていることや、戦後一貫してアメリカに従属している日本の姿が話題になりました。

また「自立した大人主義」の意味については、同氏が最初のところで述べている「憲法で海外派兵は禁止されているのだから・・・と言いながら、軍事予算を減らしていけばいい」という辺りのことを言っているのではないか、ということになりました。

辛酸さんの短い文章では、「日本人の内に眠っている残虐性や攻撃性」が話題になり、その中で、映画「泥にまみれた靴で」の中に登場した、かつて戦場で自分が行った残虐な行為について、許されることのない蛮行として、家族にも告白出来ないできたという老人の話が出されました。

そして戦争の中で正常な人間としての感覚を失うことの恐ろしさ、それが新兵の訓練の中で意識的に行われたことなどが話題になりました。また古くは坂上田村麻呂による東北征伐の実態も出されて、戦争の持つ非人間性・残虐性が改めて認識されました。 

【検討・意見交換】
(1)町の非核平和取り組に関する要請活動について
  先にお知らせしましたとおり、19日(火)900~役場で町長・教育長と面談します。面談参加者は世話役を含めて約7名になります。

(2)8月特別企画の内容について
    先日亡くなった新藤兼人監督の遺作「一枚のハガキ」を鑑賞することになりました。詳しいことは次回7月の例会で決定します。
なお「パネル版原爆写真30枚セット」を購入して活用する案も出されましたが、町に購入をお願いする余地があるので、その結果をみてから検討しようということになりました。 

【意見交換】
(1) 「平和の輪」のホームページをどう活かすか
  当面、通信「平和の輪」に毎回ホームページへのアクセス方法を記載することで、ホーページへの訪問者を増やそうということになりました。

(2) 原発問題への係わり方はどうあるべきか
       世話人会から、参考資料として、福島県9条の会と(東京)9条の会・医療者の会の各事例と、湯沢町議会議長の「柏崎・刈羽原発の再稼働を認めない意見書」が紹介されました。
   最後の議題で時間が足りなくなったので、係わり方をどうするかは、次回引き続き討議することになりました。



「平和に関する記事」のコーナーもご利用ください


ホームページの最下段に「平和に関するニュース」のコーナーがあり、メディアに掲載されたその時々の記事がピックアップされています。 

(ここに掲載されているニュースは、「平和」「9条」「憲法」をキーワードとしてgoogleの検索機構にヒットした最新の記事から自動的に選択されたものであって、当事務局が何らかの判断基準に基いて選定したものではありません。)の注記がしてあります。念のため。 

 それぞれ、青字(下線付)1行でタイトルが示され、その下に内容の一部が記載されているので、青字のところをクリックすると元の記事が開きます。 

例えば618日には、ピックアップ記事の一つに、
[ライフ]【書評】『憲法が教えてくれたこと その女子高生の日々が輝き
がありましたので、それをクリックすると下記の元記事が開きました。

憲法に触れた興味深い書評なので、どうぞご一読ください。
19日には別の新しい記事で埋まり、上記の記事はなくなっています) 

【書評】
『憲法が教えてくれたこと その女子高生の日々が輝きだした理由』
2012.6.17 08:48

自分らしく生きるお守り 

 伊藤真(まこと)という人物は多才である。まず、弁護士として国政選挙での一票の格差是正のための憲法訴訟で判例を前進させて、政治状況を一変させた。また、司法試験の受験指導では「カリスマ」と呼ばれる名講師で、すでに何万人もの法曹の輩出に貢献している。 

 しかし、伊藤はそれらのこと以上に熱心な憲法研究者で、それを前提に、自ら「日本国憲法の伝道師」と任ずるほど、憲法と立憲主義の啓蒙(けいもう)に精励している。 

 今回は、体育会系の女子高生の日常生活を題材にした「小説」の形で、誰にでも分かる筆致で、日本国憲法の神髄を教えてくれている。それは、憲法こそが私たちの幸福を直接支えてくれており、それを私たちがきちんと理解して日々主体的に生きていくことが大切だ、ということである。 

 「日本国憲法は、ダイコンにとっての畑、日本国民にとっては大地みたいなもの。だから、もっと自分らしく自由に楽しく生きたいと思ったときのお守り」と伊藤はいう。 

 ともすると私たちは、本書でいうような「憲法は自分たちを縛る『法律の親玉』というようなイメージ」をもっているだろう。だが実は、「憲法は普通の法律とは違い、弱い立場の人を守るために、強い人たち、政治に携わる人や公務員に向けられているもの」で、これが「立憲主義」なのだということを明快に教えてくれる。 

 そして、憲法の神髄は「個人の尊重、個人の尊厳」とし、こう続ける。「『みんなと同じじゃなくちゃいけない』ではなく、『人と違うことはすばらしいことなんだよ』『もっと自分に自信をもって自分らしく堂々と生きていいんだよ』と、憲法はあらゆるところで一貫してそれを言って(いる)」 

 私たちが真の主体性を持てば、自分の住んでいる社会や国や世界も、自分が参加して自分の意志で変えていくことができる。本書を通じ、伊藤はそんな激励のメッセージを読者に送っている。 

 一読して、生きていることが楽しくなる本である。
   (伊藤真著/幻冬舎ルネッサンス・1260円)  

評・小林節(慶応大学教授)

    http://sankei.jp.msn.com/life/news/120617/bks12061708480012-n1.htm  

   HP事務局追記 元の記事は上記のURLをクリックするとご覧になれます。


2012年6月11日月曜日

非核平和の取り組みに関しての町長・教育長との面談にご参加ください


通信 平和の輪 第77号でお知らせしました町長・教育長との面談の日時が、下記の通り決まりました。
ご都合のつく方は是非ご参加ください。

    と き : 619日(火) 9:00~
    ところ : 湯沢町役場

 当日は、9時前に役場1階ロビー(ベンチがある辺り)に集合してから懇談会場に移動します。面談に参加される方は事務局 笛木 壌 (TEL 025-785-5062)までご連絡ください。 

通信でお知らせしましたとおり、61日に町に提出した「非核平和の取り組みについての要請書」は、下記の3項目を骨子とするものです。 

①今年度湯沢中学校で開催される予定の平和講演会は、生徒だけでなく父兄や一般町民も参加できるかたちで行って欲しい
②町長から1月に開催された「平和市長会議」に参加しての感想や決意などを何らかの方法で広く町民に知らせて欲しい
8月に行われる町の成人式が、「非核平和都市宣言のまち」にふさわしいものになるよう、特別の配慮をして欲しい


2012年6月10日日曜日

6月例会のお知らせ


通信「平和の輪」77号でお知らせしましたとおり、下記により6月の例会を行います。
皆様どうぞお出でください。
会員外の方でもご関心・ご興味がありましたら、どうぞお出でください。


と き  6月17日(日) 13:3015:30
ところ  湯沢公民館 3階 「会議室2 

 1 連続学習 「『18人の発言』に学ぶ」(10回目)
    (テキスト:「憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言」(岩波ブックレットNo.657  2005.8.2発行)

    今回は井筒和幸さん、辛酸なめ子さんの文章(テキスト3639頁)を読んで、話し合います。

 2 検討・意見交換
  (1) 町の非核平和取り組に関する要請活動について
  (2) 8月特別企画の内容について

 3 意見交換
  (1)  「平和の輪」のホームページをどう活かすか
  (2)  原発問題への係わり方はどうあるべきか


2012年6月8日金曜日

通信 平和の輪 第77号 及び 第74~76号を掲示します

  
69日付「通信 平和の輪 第77号」を掲示します。

既刊第74号以降もいずれはバックナンバー集に統合しますが、しばらくの間は個別に閲覧できるようにこの形式にしておきます。

下のタイトルをクリックすると、まず画面の下側に選択肢:「ファイルを開く」・「保存」が表示されるので、どちらかを選択してください。


通信 平和の輪 第77号
戦争体験33
通信 平和の輪 第76号
戦争体験32
通信 平和の輪 第75号
戦争体験31
通信 平和の輪 第74号
戦争体験30-4


「通信 平和の輪 第73号」以前及び「戦争体験30-3」以前の記事は、バックナンバー集に収録してありますので、そちらをご覧ください。


通信「平和の輪」 及び 「私の戦争体験」 バックナンバー集

(下記のタイトルをクリックするとPDFが開きます。クリックするとまず画面の下側に選択肢:「ファイルを開く」・「保存」が表示されるので、どちらかを選択してください。)


  • 通信「平和の輸」 バックナンバー第1集(PDF形式)
  • 通信「平和の輸」 バックナンバー第2集(PDF形式)
  • 通信「平和の輸」 バックナンバー第3集(PDF形式)
  • 通信「平和の輸」 バックナンバー第4集(PDF形式)
  • 通信「平和の輸」 バックナンバー第5集(PDF形式)
  • 「私の戦争体験」 バックナンバー第1集(PDF形式)
  • 「私の戦争体験」 バックナンバー第2集(PDF形式)

  • 7日、衆院憲法審査会が開かれました (第3章国民の義務と権利)


    衆院憲法審査会は7日、憲法第3章「国民の権利及び義務」について審査しました。

    3章は国民の幸福追求権、公共の福祉、勤労や納税の義務などを規定したもので、基本的人権、個人の尊重、思想・良心・信教・学問の自由、集会・結社・表現の自由、生存権、教育を受ける権利と義務、勤労の権利と義務などがうたわれています。 

    この中で民主党の大谷信盛氏が「国民や国が環境を良好に維持するため、その責務を共同で果たす社会の実現をめざすべきだ」と「環境権」の明記を主張し、自民党の近藤三津枝氏も「環境権を国家と国民の責務のかたちで規定すべきだ」と同調しました。
    また公明党の赤松正雄氏も「国家による環境保全の義務を明確にするのは大きな意義がある」と述べました。 

     それに対して社会党の服部良一氏は、「自由競争主義、弱肉強食の社会でいいのか。憲法に規定された権利が侵害されていることこそが問題だ」と指摘し、共産党の笠井亮氏も「非正規労働者の大量解雇など、現行憲法の下ではあってはならない重大な事態がある」と訴え、護憲の立場から改正の必要はないと強調しました。
    みんなの党も改正は不要と主張しました。 

     新党きづなの渡辺浩一郎氏は憲法に「投票と国を守る義務」を明記することを求めましたが、みんなの党の柿沢未途氏は「国民の義務規定は最小限度に留めるべきだ」と主張しました。 

     憲法審査会は引き続き、第4章「国会」や第5章「内閣」などをテーマとして取り上げる予定です。 

    産経新聞その他の報道によると、各党の代表者から表明された意見は概略下記のとおりです。(敬称略) 

    民主党(大谷信盛)
     人間の尊厳に基づき、人権や環境を守るための連帯やコミュニティーの実現が重要。環境権については、環境を良好に維持する責務を共同で果たす社会を目指すべきだ。政教分離原則は維持し、人権保障のための第三者機関の設置を明記すべきだ。国民の知る権利やプライバシー権なども明記すべきだ。 

    自民党(近藤三津枝)
     基本的人権は、公益が優先され制約されることもある。環境権は国家と国民の責務の形で規定すべきだ。選挙権は国籍条項を設け、外国人の地方参政権は憲法上認めないと明確にすべきだ。 

    公明党(赤松正雄)
    環境権を、幸福追求権などの条文から導き出すことには無理があり、明記が必要だ。今日的な生命軽視の風潮の中で、個人の尊重を超えた生命の尊厳という概念を明記することも重要。それ以外の条文については改憲の必要性はない。 

    共産党(笠井 亮)
     第3章の中心的な意義は基本的人権の尊重だ。この内容は世界の最先端をいくと国際的に高く評価されており、今はこの基本的人権の全面的な実践こそ求められている。 

    新党きづな(渡辺浩一郎)
     公共の福祉や国民の義務は広く定着し、これまでに国民が疑問視したものはない。投票の義務、国防の義務を何らかの形で明記する必要がある。 

    社民党(服部良一)
     明文改憲の必要はない。現行憲法の権利や自由に関する規定は先駆的だ。権利が十分に保護、保障されずに侵害されていることが問題。 

    みんなの党(柿沢未途)
     国家権力が国民に課す義務の規定は必要最小限にとどめることが重要。党として3章について特に改正すべき点はない。


    2012年6月1日金曜日

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    31日、衆院憲法審査会が開かれました


    衆院憲法審査会は31日、現行憲法を章ごとに論点整理する作業を行いました。この日は憲法第2章「戦争の放棄」(第9条)についてで、7党の代表者が意見を表明しました。
    そのなかで自民党は、自衛隊を国防軍として集団自衛権の行使を認める改正を主張し、みんなの党も、自衛権のあり方を明確化するために、何らかの立法措置が必要と同調しましたが、公明・共産・社民の3党は9条の堅持を主張しました。
    自民党は前回に引き続き、同党の改憲草案の対照表を用意していましたが、幹事会で「現行憲法の『検証』が会議の目的であって改憲案を出す場ではない」との批判が相次ぎ、審査会での配布は認められませんでした。 

    審査会設置の趣旨は、「衆議院憲法審査会規程(平成21611日議決)」によれば、「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、日本国憲法の改正案の原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査する(第1条)」ことなので、現状では改憲に対する歯止めが掛っていますが、幹事会の構成が変わるなどすれば憲法改正の舞台になる惧れは十分にあります。
    因みに審査会の委員数は50人で、各会派の所属議員数の比率により割り振られ、委員の互選により数人の幹事が選ばれます。(第6条) 

     朝日新聞その他の報道によると、 各党の代表者から表明された意見は概略下記のとおりです。

    民主党(逢坂誠二) 
    自衛権に関するご都合主義的な憲法解釈を認めず、国際法の枠組みに対応したより厳格な制約された自衛権を明確にすべきだ。平和主義の考え方に徹し、民主的統制の考え方を明確にすることが安全保障に関わる憲法上の原則で、自衛力の行使や国際協力について歯止めの枠をはめることが憲法の役割。 

    自民党(中谷元)
    国家の自衛権は国連憲章で認められている。軍隊の保有は世界の常識で、自衛隊を「国防軍」と位置づけ、集団的自衛権の行使を認めるべきだ。武力行使を伴う国際平和活動に参加できるよう憲法に規定を置くことも必要。在日米軍基地は地元の負担軽減を着実に進めるべきだ。 

    公明党(赤松正雄)
    9条は明文改憲も加憲も不要で、今のままでよい。日本には平和憲法の理念を世界に広める責任がある。9条は主権国家に固有の自衛権までも否定する趣旨ではなく、自衛のための必要最小限の実力保持は認められる。米軍基地や日米地位協定の存在は独立国家として歯がゆい現状だ。 

    共産党(笠井亮)
    9条は前文とともに憲法の神髄だが、それが日米安保条約と在日米軍基地によって蹂躙されている。自衛隊は9条に反して創設され、米軍と一体となった海外派兵態勢がつくられている。9条を踏みにじる現状を徹底検証すべきである。平和憲法はアジア諸国の共通財産だ。 

    新党きづな(渡辺浩一郎) 
    国際社会の厳しい現実を直視し、変化に対応するためには憲法解釈をその時々で変更していくことが必要だ。個別的自衛権、集団的自衛権は明記せず、自衛や国際貢献のために軍を置くことだけを明記すればよい。 

    社民党(照屋寛徳) 
    9条の条文はいささかも変更してはいけない。明らかに違憲状態にある自衛隊は国境警備、災害救助、国際協力などの任務別組織に改編し、非武装の日本を目指す。米軍基地を撤去し、平和外交と非軍事を基本とする国際貢献で平和国家を目指すべきだ。現実を9条に近づける努力が国会議員の使命である。 

    みんなの党(柿沢未途)
    自衛権のあり方を明確化するため、9条の改正か安全保障基本法の制定か、何らかの立法措置が必要だ。防衛に関する根幹的国家方針の法的正当性の有無が内閣法制局の憲法解釈に基づいているのは好ましいことではない。