2023年3月31日金曜日

南シナ海での米軍の中国威嚇軍事作戦はすでに色褪せている

 米国が世界中の海で行っている公海航行自由原則 維持のための作戦(FONOP)」として行っている軍艦の巡航は一応正当な行為かも知れませんが、決して穏やかなものとは言えず、特に西沙諸島周辺は中国が領海と主張しているところなので当然軍事的威圧ということになります。

 南沙諸島、西沙諸島周辺を含む幅広い区域が中国の領海であるという主張には無理がありますが、14年に中国が南沙諸島の近傍に建設を始めた人工島は既に7島に達しました。さすがの米国も拱手傍観するしかなかったという実態があります。
 軍事社会学者の北村 淳氏が、「茶番劇の対中威嚇軍事作戦、すでに色褪せている南シナ海での米軍『FONOP』」というやや辛辣な記事を出しました。
 事ごとに中国に因縁をつけて批判の対象にしている米国ですが、開き直った中国は別に脅威を感じることもなく、南沙諸島人工島や西沙諸島の軍備を増強し続けています
 それは国際法違反であるにしても、国際法違反という点では米国も決して引けを取らないので、絶対的基準であるとも言えません。まして片方の不正には目を瞑り、他方の不正をひたすら責めるというのは通用しません。
 岸田首相も「米国に従ってさえいれば間違いない」という狭い考えに拘るのは国を誤る道であることに早く気付くべきです。
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茶番劇の対中威嚇軍事作戦、すでに色褪せている南シナ海での米軍「FONOP」
                          北村 淳 JBpress 2023.3.30
                             軍事社会学者
 2023年3月23日(中国時間)、中国軍当局は「西沙諸島周辺の中国領海に違法に侵入し周辺海域の安全と安定を脅かした米海軍駆逐艦を中国海軍艦艇と航空機が追跡し、警告を発し追い払った」と発表した。
 これに対して米軍当局は「米海軍艦艇と航空機は常に国際法を遵守しており、今回の事案に関しても通常の任務を遂行していたに過ぎず、中国軍に追い払われた事実などない」と反論した。

FONOPを世界中の海で実施
 中国側が西沙諸島海域から追い払ったと主張しているアメリカ軍艦は、横須賀を本拠地にしているアメリカ海軍第7艦隊所属のミサイル駆逐艦ミリアスである。
 米海軍当局によると、ミリアスは海上自衛隊ミサイル駆逐艦と訓練を実施した後、南シナ海での「FONOP」(「公海航行自由原則維持のための作戦」)に向かい、まずは西沙諸島に向かった。西沙諸島は中国とベトナムと台湾が領有権紛争中であるが、現在は完全に中国が実効支配を続けている。ミリアスは西沙諸島周辺海域で中国側との接触があった後、予定通りに西沙諸島を離れ(中国側によると追い払われ)、現在、南シナ海でのFONOPを継続中という状況だ。
 アメリカが軍艦(まれに航空機)を派遣して実施しているFONOPは、南シナ海においてだけではなく、中国に対してだけでもない。世界中の海で、海洋法の原則に著しく反する主張に対して警告を発するために実施している。
 例えば日本に対しても、対馬周辺海域の領海基線の設定方法に関して警告を発するため毎年1回、アメリカ軍艦によるFONOPが実施されている。この他にも多くの国々に対して、国際海洋法上疑義(あくまでアメリカによる)のある状態に警告を発するために実施し続けている外交的示威活動がFONOPである。

中国に対する軍事的威嚇が目的
 ただし、オバマ政権以来南シナ海で実施しているFONOPは、数多くの国々に対して実施しているFONOPと類似した名目を表面的には掲げているものの、実質的には中国に対する軍事的威嚇を目的とした軍事作戦ということができる。
 例えば今回の西沙諸島におけるFONOPでも、米海軍当局によると「西沙諸島における中国による領海基線の策定方法は国際海洋法の原則を逸脱するものである」という名目を掲げている。しかし、西沙諸島を長年にわたって実効支配している中国が西沙諸島の軍備をますます強化し、ほぼ完全に周辺海域の軍事的支配権を手中に収めている状況に対する威嚇という姿勢は誰の眼にも明らかである。
 そもそも、中国の南シナ海や東シナ海への海洋侵出政策の進展と中国海洋戦力の著しい強化状況に警戒感を強くしたアメリカ海軍の対中強硬派などは、「中国の覇権主義的海洋拡大に具体的な警告と牽制を加えなければ、これまで長年にわたってアメリカが南シナ海や東シナ海そして西太平洋で維持してきた軍事的優勢が中国の手に移ってしまう」との危機感をオバマ政権に対して発し続けてきた。ところが、対中融和路線を維持していたオバマ政権は、海軍などの対中警戒論には耳を貸そうとはしなかった
 すると、中国は2014年春ごろから南沙諸島で人工島を建設し始め(本コラム2014年6月26日)、あっという間に7つもの人工島を誕生させ(本コラム2015年3月12日)、2015年4月には軍用機の発着が可能な本格的航空施設まで姿を表し始めた(本コラム2015年4月23日)。
 さすがのオバマ政権も対中強硬派の警告を完全に無視するわけにはいかなくなり、2015年10月から南沙諸島と西沙諸島でのFONOPを開始した(本コラム2015年11月5日)。
 つまり、南シナ海でのFONOPは、明らかに中国による軍事的覇権の確立を牽制するための軍事的対抗措置としてスタートしたのである。

バイデン政権の強硬姿勢はポーズだけ
 米海軍対中強硬派によると、FONOPは執拗なほど繰り返して実施しなければ警告や威嚇の効果は望めず、少なくとも月に2回以上は展開する必要があるという。だがオバマ政権下においては、そうした主張は顧みられることなく、申し訳程度に実施されただけであった(本コラム2016年5月19日、同9月29日、同10月27日など)。
 トランプ政権も当初は北朝鮮の核開発を中国の力によって抑制しようと考えたため、中国に対して強硬姿勢を取らなかったが、やがて対中強硬路線をアメリカの国防政策の筆頭に掲げるようになってからは、南シナ海でのFONOPをオバマ時代よりも頻繁に実施するようになった。とはいっても、月2回にははるかに及ばず、年に10回ほどのペースで実施されたのであった(本コラム2017年2月23日、2018年3月29日、同5月10日など)。
 バイデン政権になると、中国による対米強硬姿勢が露骨になってきたのに加えて、バイデン大統領自身も身内の中国マネーとの関わりを有耶無耶(うやむや)にするために対中強硬姿勢をますます強化した。しかしながら、強硬姿勢はあくまで姿勢だけに留まっており、海軍などの対中強硬派から見れば口先のポーズに過ぎないということになる。
 実際に、極めて効果が薄いものの、最低限の対中牽制姿勢と“アメリカのやる気”を示すためにオバマ政権、トランプ政権が断続的に続けてきた南シナ海でのFONOPも、“より一層の対中強硬姿勢”を掲げるバイデン政権下では年に5回のペースでしか実施されていないのが現状である(本コラム2020年5月7日、同8月20日など)。

南シナ海における軍事バランスの現状
 このように米海軍による南シナ海でのFONOPは、中国側もアメリカ側も“茶番劇にすぎない”ということを百も承知のうえで続けられている。
 中国当局は、アメリカのFONOPに対して中国の主権に脅威を加えているとお決まりの抗議を繰り返しているものの、実際のところは何らの脅威も感じておらず、誰に気兼ねすることなく南沙諸島人工島や西沙諸島の軍備をますます増強し続けている
 要するに、アメリカによる対中FONOPは、第2次世界大戦で日本を打ち破って以降、東シナ海、南シナ海、西太平洋の軍事的覇権をアメリカが手にしてきたという、すでに過去のものとなりつつある“栄光の歴史”を維持し続けたいというアメリカの願望の表明のようなものにすぎない。
 中国海洋戦力とアメリカ海洋戦力の現状を冷静に比較分析すれば、南沙諸島や西沙諸島から中国軍事施設を撤去させて“更地”に戻させることなど、アメリカ自身も可能であるとは思っていない。そのような状態に戻させるには、核戦争への発展の恐れが高い米中戦争に勝利するしか手はない状態に立ち至っているというのが、南シナ海における軍事バランスの現状である。

パイプライン破壊工作の真相を調べる必要はないと判断した国連安保理

 櫻井ジャーナルが、ロシアとドイツがバルト海に敷設した2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が22年9月26日から27日にかけて破壊された経過を明らかにしました。
 この事件について調査するようにロシアと中国は安保理に提起しましたが、賛成がロシア、中国、ブラジルの3カ国で、日本を含めた他の国々は棄権しました。
 民間ベースでは明らかな犯罪行為ですが、ロシアのウクライナ侵攻との関連でどう判断すべきは議論が分かれるところなのでしょう。大半が棄権したのはその顕れですが、単に米国への忖度なのかも知れません。
 とはいえロシアからの天然ガスの供給が停止されてからNLGに切り替えたことで俄かにコストが高騰したことで困窮している独国民は、ウクライナ戦争終結後も同ラインからの供給が望めなくなったことへの怒りは大きいことでしょう。
 フランスでは年金給付開始年齢が2年延びたことに対し、350万人の国民が反対行動に立ち上がりました。当然、対ロシア経済制裁に伴う仏国民の生活苦がその背景にあります。
 生れも良く欧州のエリート層である政治家たちは生活苦とは無縁で、意気軒昂に米国の意向に沿おうとしていますが、その陰で政治家と国民との分断は深まっています。
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パイプラインに対する破壊工作の真相を調べる必要はないと判断した国連安保理
                          櫻井ジャーナル 2023.03.30
 ロシアとドイツがバルト海に建設した2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が2022年9月26日から27日にかけての間に破壊され、天然ガスが流出した
 瞬間的に大きな穴が空いたと見られ、1カ所あたりの爆発エネルギーはTNTに換算して100キログラム以上だとされている。パイプの構造から考えて事故でそうしたことが起こる可能性は小さく、当初から爆破工作だと推測されていた。
 この天然ガス流出について調査するように求める決議をロシアと中国は国連の安全保障理事会に求めたが、賛成したのはロシア、中国、ブラジルの3カ国にすぎず、アルバニア、イギリス、ガボン、ガーナ、マルタ、モザンビーク、アラブ首長国連邦、アメリカ、フランス、スイス、エクアドル、日本は棄権した。
 国際的に大きな影響を及ぼした破壊工作が行われた可能性が高いにもかかわらず、真相を明らかにする必要はないと12カ国は考えたわけである。状況から考え、実行国はアメリカ、あるいはその従属国だと考えられているが、棄権した国々もそう判断したのだろう
 破壊直後、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーは「ありがとう、アメリカ」と書き込み、その後、ノードストリームの破壊はプーチンの策略の余地を狭めるとも書いた。ロシアはバルブを締めれば天然ガスを止められるが、緩めれば再稼働できる。そうした状況ではロシアがEUへプレッシャーをかけられるわけで、そのことをシコルスキーは理解していた。

 ロシアとヨーロッパは天然ガスを通じて関係を深めていた。輸送はパイプラインで行われ、その多くはウクライナを経由していたことから、アメリカの支配層はロシアとヨーロッパを分断するためにウクライナを完全な属国にしようとする。そこでバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでネオ・ナチを使い、クーデターを実行したわけだ。
 しかし、ウクライナを迂回するため、ロシアとドイツはバルト海を経由する2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」を建設した。
 NS1は2010年4月に建設が始まり、11年11月から天然ガスの供給が始められる。ウクライナの体制がクーデターで変わった後の2015年6月にガスプロムとロイヤル・ダッチ・シェルは共同でNS2の建設を開始、18年1月にドイツはNS2の建設を承認、21年9月にパイプラインは完成した。
 アメリカやポーランドはNS1やNS2の建設や稼働に強く反対し、ドナルド・トランプ政権下の2020年7月には国務長官のマイク・ポンペオがNS2を止めるためにあらゆることを実行すると発言。2021年1月に大統領がジョー・バイデンに交代しても状況に変化はなく、22年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官はロシアがウクライナを侵略したらNS2を止めると発言している。2月7日にはジョー・バイデン大統領がNS2を終わらせると主張し、アメリカはそうしたことができると記者に約束した。

 2022年2月24日にロシア軍はウクライナに対する軍事作戦を開始、アメリカ政府の圧力でEUは新パイプラインの稼働を断念。アメリカはさらにNS1も止めさせようとした。
 パイプラインが爆破された1分後にイギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送ったと伝えられている。携帯電話がハッキングされたようだ。
 その当時、イギリスの閣僚が使っていた電話がハッキングされていたことを疑わせるできごとがあった。イギリスの​ベン・ウォレス国防相は10月18日、アメリカの国務省や情報機関の高官と会うために同国を秘密裏に訪問しているのだ。
 閣僚が使う通信手段はセキュリティーの信頼度が高いはずで、通常なら電話で済ませるはずなのだが、本人が出向いた。そこで通信のセキュリティーに不安があったと考える人もいたが、その推測は正しかったようだ。その直後、「ジョーカーDPR」と名乗るハッカー・チームがウクライナ軍の指揮統制プログラムにハッキングしたと主張している。

 そして今年2月8日、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはアメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表した。
 ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。
 2022年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官は、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2を止めると発言、2月7日にはバイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束した。こうした発言の背後には爆破計画があったわけだ。
 爆破計画の拠点として選ばれたのはノルウェー。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった
 プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのがNATO軍の軍事演習「BALTOPS22」だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。
 ハーシュの記事が発表される4日前、ジョー・バイデン大統領の命令で中国から飛来した気球をF-22戦闘機が高度1万8000メートルで破壊した。アメリカ政府はその時点でハーシュの取材内容を知っていただろう。西側の有力メディアはバルーンの破壊に熱狂することになる。

31- 統一教会の内部資料で判明。投票してはいけない800名の地方議員

 永岡桂子文科相は「統一協会の解散命令請求のため」と称してひたすら同協会への「質問権の行使」を繰り返しましたが、地方選前には何ごとも起こりませんでした。あたかも「地方選前には解散請求はしない」ことを予め決めていたかのようです。

 元統一協会信者の多田文明氏の記事が「まぐまぐニュース」に載りました。
 それによると地方選・地方議員への統一協会の食い込みは旺盛で、正月前後の同協会バッシング騒ぎでも微動だにしていないということです。
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統一教会の内部資料で判明。投票してはいけない800名の地方議員 多田文明
                      多田文明  2023.03.28
『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』 まぐまぐニュース
3月23日に9道府県の知事選が告示され、熱戦の火蓋が切られた統一地方選挙。しかしその投票先選びには細心の注意が必要なようです。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さんが、800名もの地方議員が旧統一教会と連携しているという、教団の内部資料で判明した驚愕の事実を紹介。その上で、今回の選挙の結果如何では「教団の国教化」がさらに進む懸念があるとして、有権者に対して候補者の見極めを訴えています。

地方統一選挙がスタート。教団と関係を持つ多数の地方議員の存在が内部資料から明らかに
地方統一選挙に先立ち、3月18日に全国霊感商法対策弁護士連絡会の集会にて「政治家の皆様へ統一教会と関係断絶を求める声明」が発表されました。
声明では「国会議員、地方議員を問わず、政治家(首長を含む)には統一教会との関係断絶」を改めて願うとともに「関係断絶を明らかにするため、その所属する各議会において統一教会との関係を断絶する決議」などを求めています。
今も地方議員のなかには、旧統一教会の関連団体にかかわっている者も多くいると考えられていますので、大事な声明といえます。

教団と連携している国会議員150名、地方議員800名、食口議員44名の内部資料も
同日に行われた集会では報道特集(TBS)の編集長により、教団の内部資料が明らかされました。
それによると「2020年議員渉外拡大と教育目標」にて、現在、連携している国会議員は150名、連携している地方議員は800名いることになっています。しかも、現在44名の食口議員(統一教会の信者議員)がいるとの数字も出ています。
特に食口議員は今回のような旧統一教会の批判くらいでは、びくともしないと思いますので、これらの議員はしっかりと有権者に信者を名乗って出馬すべきです。
「教団との関係を持っていたが、今後一切、選挙運動の支援を受けていない」という声を、800名を超える議員一人ひとりからは、ほとんど聞こえてきませんので、教団の関係が継続している恐れがあります。今後の高額献金、霊感商法などの旧統一教会の被害を再び引き起こさないためにも、有権者に対してしっかりと、その声をあげるべきだと思います。
旧統一教会の元2世信者が、過去に関係のあった首長のリストを作って下さっています。今後、地方議員もアップする予定とのことです。ぜひとも、投票の際の参考にしてください。

議員データベース

国際勝共連合から今に至るまで、旧統一教会による国教化が着々と進められている
旧統一教会の目標は、日本人すべてを教団の思想で染めて、国教にすることです。その第一歩として、これまで政治の世界に多くの国民に知られないように深く食い込んできました。
25日に放送された「報道特集」(TBS)でも、親子で旧統一教会の関連団体にかかわってきた国会議員の存在や、まず地方議員として教団の後押しで当選させて、その後、国会議員を送り出していく思惑についても、内部資料から明らかにされています。
教団の信者として、何より優先させなければならないのは、神の摂理です。
神様の願う国にするためには、個人の事情はすべて投げ捨ててでも、国のため、世界のために尽くさなければなりません。神の摂理とは、この世の堕落した人間(サタンの人間)を救い、旧統一教会の教祖を中心に宗教、政治の統一をすることです。
教祖夫妻(真の父母)のためなら、信者らは命さえも投げ出すこともあります。すべては旧統一教会の教えを国教にして、地上に天国を作るためです。私自身も信者時代として、神様の摂理のため、旧統一教会が目指す世界を実現するために、布教活動など睡眠時間を削り、邁進しました。

現在の摂理機関は?
元信者時代、希望に映っていたのは「国際勝共連合」の存在でした。多くの自民党の議員が教団の教えに賛同して、文鮮明教祖を褒めたたえる言葉を発していたからです。死ぬ気で伝道をする原動力の一つになっていました。
「国際勝共連合」は、神の摂理を成し遂げるために必須な機関でした。初代会長は久保木修己氏でしたが、その後、梶栗正義氏の父である梶栗玄太郎氏も会長になっています。
統一教会の教えを広く知らしめて、政治、宗教などを教団の教えを中心に一つにしていくために「摂理機関」(教団の関連団体)が存在します。
「摂理機関統合本部組織図」の内部資料では、トップである「理事長」の横には「梶栗雅義本部長」の名前があり、その下には、事務局や戦略企画会議があります。その下には、「摂理機関」と「平和大使協議会中央会」(この中には、地域別平和大使協議会もあり)が位置しています。
摂理機関には、どのようなものがあるのでしょうか。
資料には「国際釣り友好連盟」「世界平和青年連合」「真の家庭運動推進協議会」「世界平和島嶼国家連合」「統一思想研究院」「世界平和女性連合」「平和統一聯合」「国際ハイウェイ財団」「天宙平和連合」「世界平和連合」「世界平和教授アカデミー」「世界平和女性連合」「ワールド・カープ・ジャパン」「世界日報」「一心病院」があります。
もちろんすべて信者たちによって組織されている団体です。以前に仙台教会の青年部にいたころ、私の上のアベル(教団の上司にあたる人)が「急に世界平和青年連合の責任者もやることになったよ」と、これ以上やることを増やさないでほしいというような困った口調で話してきたことを覚えています。この種の関連団体の人事に関する指示は、教団の上からきます。

八岐大蛇(やまたのおろち)とは、言い得て妙
同編集長によると、教団内では「摂理機関は『やまたのおろち』といわれている」ということです。
八岐大蛇(やまたのおろち)とは、日本の神話に出てくる伝説上の蛇で、一つの体に頭が8つあり、娘たちを食べていたといわれます。信者からなる組織が様々な顔を出して、様々な人たちとの結びつきを強めて、旧統一教会の教えに導いていこうとする団体を作っている点において、言い得て妙といえます。
最終的に、この蛇はスサノオノミコトによって退治されます。その時、尾から草薙剣(くさなぎのつるぎ)が出てきたといわれます。これは天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)とも呼ばれて、三種の神器の一つになっています。
実は、言い得て妙といったのは、ここにも理由があります。
旧統一教会の問題が社会問題化してクローズアップされていくなかで、高額献金や霊感商法による被害、ならびに宗教2世の問題が白日のもとにさらされました。
世論に後押しされるように国が解決に向けて動き出します。そして高額献金を規制する被害救済法が施行されて、宗教2世問題の解決のために、厚生労働省から「宗教的虐待」の通知が出されました。最近では、エホバの証人のムチ打ち、忌避の問題も出てきています。
これらの被害が起きた背景には「信教の自由」があるから、何をしても良いという風潮がありました。「信教の自由」の言葉を出されると、人々の思考は停止していました
しかし今、宗教2世らは「信仰を強制されない権利」を訴えています。
1世信者においても、路上などから、教団の名前を隠されて勧誘されるという、正体隠しの伝道を受けて「宗教を選ぶ自由を奪われた」という主張を行い、伝道の違法性が認められる民事訴訟の判決も多く出ています
信教の自由だから、何をしても許されるわけではない。そのことに多くの方々が目を向けてくれ始めてくれた結果だと思います。
ある意味、旧統一教会問題が退治されることで、本当の意味での「信教の自由とは何か」を考える風潮が出てきたように思っています。これは永遠に子孫に残せる真実の剣になるはずです。

最後に
同番組からの内部資料には「国会復帰基盤造成のためのロードマップ」があり、2015年までに(旧統一教会は)市民権を得て「普通の宗教」となり、2020年以降には王権を復帰(取り戻す)し「国民の宗教」(国教)にするとなっています。
今回の地方選挙の結果しだいでは、教団の国教化への思惑がさらに進む懸念があります。
二度と深刻な被害を引き起こさないためにも、どの候補者に投票するべきなのか。教団との関係を見極めてからしっかりと足を運んでいただければと思います。

2023年3月30日木曜日

敵基地攻撃は憲法違反 地方選の大争点に メディアが報道

 安倍首相はかつて鳩山一郎首相の答弁(1956年)を念頭に「敵のミサイル基地を叩くことは、法理的には自衛の範囲に含まれる」と解釈されているとして、敵基地攻撃能力の保有が合憲であるという言い方をしました。

 しかしそれは論理の一つの枝を都合よく取り出したもので、伊能繁次郎防衛庁長官1959年、ミサイル攻撃を防御するのに他に全然方法がないと認められる限り、法理的には自衛の範囲に含まれており、また可能である」が、「こういう仮定の事態を想定して、その危険があるからといって平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っていることは、憲法の趣旨とするところではない」、と補足説明をして敵基地攻撃能力の保有は憲法に違反すると明言しました。
 この件については1月26日の衆院本会議で、共産党の志位委員長が岸田首相に対して「政府は伊能防衛庁長官の解釈を変更したのか」と追及し、「変更していない」との言質を得ています。   ⇒ 米と一体 先制攻撃に 憲法と「専守防衛」覆す

 敵基地攻撃能力の保有は憲法上許されるのか」という基本的な問題が、目前に迫る地方選の大争点に浮かび上がってきました
 28日付の「朝日」と「東京」は、敵基地攻撃能力保有をめぐる憲法問題について、「敵基地攻撃 違憲の指摘」「元法制局長官『日米安保あれば認められず』」(「朝日」)、「72年国会答弁 敵基地攻撃は逸脱」「専守防衛 政府が新解釈」(「東京」)と大きく取り上げました。
 両紙が取り上げたのは、岸田内閣が進める敵基地攻撃能力保有をめぐる従来の政府の憲法解釈や「専守防衛」の定義との整合性で、敵基地攻撃能力の保有が合憲であるか否かという根本問題がようやくクローズアップされました。
 岸田雄首相は、共産党などの追及に対していつものように、「安全保障環境の変化」をあげ、「米国の打撃力に完全に依存するのではなく、自ら守る努力が不可欠になっている」などと上滑りの憲法軽視の発言に終始しています。
 それにしてもメディアがこれまで「違憲性」を問題にしなかったのは何故なのでしょうか。もしも米国の意向だから仕方がないと考えているのであれば、それは米国の意向を憲法の上位に置くもので、法治国家にあるまじきことです。
 しんぶん赤旗が大きく取り上げました。
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敵基地攻撃は憲法違反 地方選の大争点に メディアが報道
志位委員長質問紹介、首相答弁を批判
                       しんぶん赤旗 2023年3月29日
 岸田内閣が進める敵基地攻撃能力の保有は憲法上許されるのか―この大問題が目前に迫る地方選の大争点に浮かび上がってきました
 28日付の「朝日」と「東京」は、敵基地攻撃能力保有をめぐる憲法問題について、「敵基地攻撃 違憲の指摘」「元法制局長官『日米安保あれば認められず』」(「朝日」)、「72年国会答弁 敵基地攻撃は逸脱」「専守防衛 政府が新解釈」(「東京」)と大きく取り上げています。
 両紙とも、今国会で最初にこの問題を取り上げた日本共産党の志位和夫委員長の質問(1月31日)や、その後の立憲民主党の小西洋之参院議員の質問などにも触れ、岸田文雄首相の答弁を批判し疑問を提起しています。
 両紙が取り上げたのは、岸田内閣が進める敵基地攻撃能力保有をめぐる従来の政府の憲法解釈や「専守防衛」の定義との整合性です。
 政府はこれまで「誘導弾等による攻撃を防御するのに他に全然方法がない…このような事態は今日において現実に起こりがたい」とした上で、そのような仮定の事態を想定して「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っていることは憲法の趣旨とするところではない」としてきました。
 また、「専守防衛」について「防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく」とし、「もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行うこと」としていました。
 岸田首相は、こうした従来の立場との整合性を志位氏に追及され、まともに答弁できず「解釈変更はない」「専守防衛の範囲内」と繰り返しましたが、破綻とごまかしは明白でした。
 両紙は、その後の野党議員の追及や憲法学者、元内閣法制局長官の指摘も織り交ぜ問題を指摘しています。

敵基地攻撃 「朝日」「東京」も政府答弁との矛盾指摘 
9条破壊許さぬ世論さらに
「他に方法がない場合に限る」はずが 日米安保あるのに保有
 敵基地攻撃能力の保有が憲法の範囲内かどうかをめぐっては、1959年の伊能繁次郎防衛庁長官の国会答弁(表①)がカギとなります。
 伊能答弁では敵基地を直接たたく以外に「他に方法が全然ない」といえるかがポイントとされています。「他に方法がある」といえる状況では、敵基地攻撃能力の保有は憲法違反だとしているのです。
 「朝日」は、1999年の野呂田芳成防衛庁長官の答弁でも伊能答弁を再確認したという経緯をふまえ、志位氏が「(政府は)敵基地攻撃能力の保有は『必要最小限度』を超えてしまう憲法違反だと言ってきた。整合性をきっちり説明してほしい」と迫ったことを紹介しました。
 これに対し、岸田文雄首相は「安全保障環境の変化」をあげ、「米国の打撃力に完全に依存するのではなく、自ら守る努力が不可欠になっている」と答弁。しかし、日米安保体制が維持されているのに「他に方法がない」場合に限るとした政府解釈との整合性は示せませんでした。
 「朝日」は、阪田雅裕元内閣法制局長官の「日米安保条約がある状況では、憲法上、敵基地攻撃能力の保有も認められないという趣旨だ」とのコメントを紹介しています。「米国の打撃力」という「他の方法」の存在を認めながら、敵基地攻撃能力の保有を認めるのは明らかな矛盾です。
集団的自衛権のもとで行使
日本への攻撃なくても
 また、政府が集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うとしていることについて青井未帆学習院大学教授(憲法学)のコメントを紹介しました。
 青井氏は集団的自衛権の行使が容認されるもとで「『自衛権』の意味が(敵基地攻撃の理論的可能性を認めた)鳩山元首相の答弁の時代とはまったく変わった」と指摘。「鳩山元首相の答弁を根拠に敵基地攻撃を合憲とするだけでは説明不足」としています。鳩山答弁とは伊能答弁に先行して政府が56年に敵基地攻撃の可能性について行った答弁で「他に手段がない場合、誘導弾等の基地を叩(たた)くことは、法理的には自衛の範囲に含まれ(る)」とのべたものでした。
 従来の敵基地攻撃をめぐる憲法解釈は、自衛隊の武力行使が個別的自衛権に限定された時代のものです。日本に対する攻撃のない集団的自衛権の文脈で、敵基地攻撃を行うとすれば、従来の説明の延長では全く不十分となります。
専守防衛の定義では― 
相手の基地を攻撃せず
 志位氏が示した田中角栄首相(当時)の専守防衛の定義(表②)では、「防衛上必要からも相手の基地を攻撃することなく」と明示しています。
 「東京」は、岸田首相が「田中答弁は、海外派兵は一般的に憲法上許されないということを述べたものだ。反撃能力(敵基地攻撃能力)は専守防衛の範囲を超えるものではなく」などと発言したことを紹介。志位氏は「『防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することはない』―これでどうして敵基地攻撃できるのか」と明らかな矛盾を批判しました。
 「東京」は、志位氏が示した田中元首相の答弁が、その後も21世紀に至るまで引き継がれてきた経緯を紹介。他方で、岸田首相が示した見解は、安倍晋三元首相が20年9月に敵基地攻撃能力保有の検討を求める談話を残して退任した後、岸信夫防衛相(当時、安倍氏の実弟)が示したものだとし、「(敵基地攻撃能力の)保有を見据えて説明を準備した可能性がある」と指摘しています。
 「朝日」もこの論点について「論議置き去り」との見出しのもと、阪田元長官の「敵基地攻撃能力を保有するなら、9条改正が必要なのに、国会での議論が極めて乏しい」「憲法の規範性を回復する作業が必要だ」とのコメントを紹介。「東京」も阪田氏が、田中角栄元首相の答弁は「憲法九条の下の『必要最小限度の実力行使』を担保するものだった」と述べたと紹介しています。
 集団的自衛権の行使が許されないという従来の憲法解釈も、「専守防衛」・敵基地攻撃の否定も、自衛隊が憲法が禁じる「戦力」にあたらないという合憲性を担保するためのものでした。
 安保法制で集団的自衛権の行使を容認したうえ、敵基地攻撃能力の保有に踏み切り、「専守防衛」を投げ捨てれば、自衛隊の合憲性を担保するものはなくなります。まさに憲法9条の全面破壊です。
 目前に迫る地方選で、岸田大軍拡に審判を下し、さらに草の根からの運動で、憲法破壊を許さない世論を広げるときです。

表①
 1959年3月19日 伊能繁次郎防衛庁長官答弁
「誘導弾等による攻撃を防御するのに他に全然方法がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれており、また可能である」「しかしこのような事態は今日においては現実の問題として起こりがたいのであり、こういう仮定の事態を想定して、その危険があるからといって平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っていることは、憲法の趣旨とするところではない。かようにこの二つの観念は別個の問題で、決して矛盾するものではない」

表②
 1972年10月31日 田中角栄首相答弁
専守防衛ないし専守防御とは、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行うということであり、これはわが国防衛の基本的な方針だ」

 

キシダノミクスで格差拡大加速(植草一秀氏)

 植草一秀氏が「キシダノミクスで格差拡大加速」とする記事を出しました。
 円安・物価高騰・インフレが進行し、一部の潤沢な大企業は大幅な賃上げを決定していますが、中小企業の状況はまったく異なり大半が賃上げが出来ません。大企業に勤める非正規労働者も同様です。
 その結果生じるのが格差の一段の拡大です。そもそも大幅賃上げが実現する大企業でもその率は(長期的に)インフレ率には及ばないのですからなお更のことです。
 植草氏は常に「インフレが進行すると実質賃金は減少する。逆に、デフレが進行すると実質賃金は増加する」と述べており、現在起きている物価上昇と賃金レベルの推移をグラフ化するとそれが明瞭に読み取れるとしています。
 そして岸田内閣も、黒田日銀が追求した「インフレ誘導」を肯定しているように見えますが、それは根本的な誤りであるとして、インフレ誘導は労働者の実質賃金減少の元凶なの企業に賃上げを求めるのではなく、インフレを完全に遮断することが最重要の実質賃金引き上げ策であることを岸田内閣に認識させなければならないと述べています
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キシダノミクスで格差拡大加速
              植草一秀の「知られざる真実」 2023年3月29日
インフレが進行し、政府は企業に賃上げを求める。
一部の大企業は大幅な賃金引き上げ決定を公表している。
この結果生じている現実は何か。格差の一段拡大である。

自動車総連のメーカー部会に属する11メーカー労組のうち、トヨタ、日産、ホンダなど7つの組合は賃上げ要求に対する満額回答を獲得した。
大手電機メーカーも労組の要求どおりの月額700円の賃上げ満額回答を示した。
一部の大企業は高水準の賃上げを決定している。しかし、中小企業の状況はまったく異なる。
城南信用金庫が1月10~13日に東京都や神奈川県の顧客企業738社に対象に行った調査では、
「賃上げを予定している」と回答した企業は全体の26.8%。
「賃上げを予定していない」と回答した企業が全体の72.8%だった。
賃上げを予定している26.8%の企業でも賃上げ率は1~2%未満が35.4%で、大半が3%未満。

インフレ進行で企業は原材料費や水道、エネルギー価格の高騰に直面している。
本来は、中小企業でもコスト上昇分を商品やサービス価格に転嫁しなければ利益を確保できないが、上記城南信金調査では、
「価格転嫁ができていない」と回答した企業が80%を超えた。
日本に存在する360万社の企業のうち大企業は1万1000社強。
企業の99.7%が中小企業で大企業は0.3%に過ぎない。
労働者の数でも大企業は全体の約3割。7割が中小企業で働く労働者だ。
また、大企業で働いていても非正規従業員は企業内組合の賃上げ交渉の恩恵を受けることができない。

日本の労働者の賃金状況は悲惨な道筋を歩んできた。
労働者一人当たりの実質賃金指数は2021年5月に前年同月比3.1%増加を示した。
2020年5月のコロナ禍に伴う生産活動減退の反動もあり、記録的に高い伸びを示した。
ところが、本年1月の実質賃金は前年同月比4.1%減少を記録した。
2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた。
物価が上昇すればインフレ率を差し引いた実質賃金伸び率は低下する。
このとき以来の激しい賃金減少が観測された。
2021年5月から実質賃金伸び率はつるべ落としに下落し続けたのである。











この状況下で一部の大企業の賃金だけが増加する。
中小企業は賃上げしたくてもできない状況に置かれ続けている。
日本の労働者の実質賃金は1996年から2022年までの26年間に14.4%も減少した。世界最悪の賃金減少国。これが日本の実態だ。
OECDが公表する購買力平価ベースの労働者賃金水準で日本はG7のなかの最下位。
韓国にも追い抜かれている。
過去26年間の実質賃金推移を見ると、長期減少傾向のなかで5年だけ実質賃金がわずかに増えた年がある。
これと消費者物価指数上昇率推移を突き合わせると重要な事実が浮かび上がる。




















それは、
物価上昇加速に連動して実質賃金が減少し、
物価上昇減速=物価下落に連動して実質賃金が増える、
というもの。
中小企業では賃上げが実行されないという現実がある。
名目賃金が変動しないなかで実質賃金を変動させる主因に躍り出ているのが物価上昇率=インフレ率なのだ。
インフレが進行すると実質賃金は減少する。
逆に、デフレが進行すると実質賃金は増加する。

2021年春から2023年1月まで、日本でもインフレが進行した。
これに連動して労働者一人当たりの実質賃金が激減してしまった。
岸田内閣も黒田日銀が追求した「インフレ誘導」を肯定しているように見えるが、根本的な誤りがここにある。
インフレ誘導は労働者の実質賃金減少の元凶なのだ。
企業に賃上げを求めるのではなく、インフレを完全に遮断することが最重要の実質賃金引き上げ策であることを岸田内閣に認識させなければならない。

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