2019年11月30日土曜日

「桜を見る会」審議拒否に国民が怒り 「国会で堂々説明を」

 安倍首相は疑惑に包まれた事案を次から次へと引き起こしていますが、記者から説明責任を問われると 常に「国会から求められればいつでも応じる」と述べています。
 それは勿論「多数を握っている国会が、国会で説明を求めるというような決定をする筈がない」ことを見越した上のもので、一方で絶対に自ら説明しようとしないのは「狡猾」の一語に尽きます。

 安倍首相はローマ教皇との対談のあと、「日本は唯一の戦争被爆国として国際社会の取り組みを主導していく使命を有している。 核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、『核兵器のない世界』の実現に向け粘り強く尽力していく」と述べました
 よくそんな綺麗ごとを堂々と語れるものです。これまで一体どんな橋渡しをしたというのでしょうか
 目立ちたがり屋の安倍首相は 9月の「気候行動サミット」(国連本部開催)での演説を希望しましたが、国連側から断られていたことが分かりました。グテレス国連事務総長は「美しい演説ではなく具体的な計画」を用意するよう求めていました。

 彼は何を思ったか先の国会では「李下に冠を正さず」の格言を得意げに語っていましたが、それこそは安倍首相の実体と対極をなすものです。彼の戒めとすべき格言は「巧言令色鮮し仁」の方ではないでしょうか。

 東京新聞が「桜を見る会」問題で逃げ回っている安倍首相に対する国民の声を報じました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
桜を見る会 審議拒否に国民怒り 
「長期政権のおごり」「国会で堂々説明を」
東京新聞 2019年11月29日
 安倍晋三首相が公費で主催する「桜を見る会」を巡る疑惑で、与党は野党が求める首相出席の衆参両院予算委員会の集中審議開催に応じていない。安倍政権下では、加計(かけ)学園問題や「老後2000万円問題」などの追及を逃れようと、与党による「安倍隠し」が繰り返されており、国会軽視が際立つ。市民や識者からは「首相や与党は国民に説明責任を果たしていない」との声が強まっている。(安藤淳)

 八日の参院予算委で問題が表面化して以降、首相は官邸で記者団の質問に何度か答えているが、国会では二十日の参院本会議で答弁したのみだ。その後も、政府が招待者名簿を廃棄した後に文書保存基準の内規を変更したことや、「反社会的勢力」とみられる人物が出席していたことが問題視されている。
 首相は「国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然」と強調する。しかし、現時点で国会で答弁に立つ予定や集中審議に応じる気配はなく、与党も来月九日が会期末の臨時国会を延長する考えは今のところない。さらに、首相は九日の国会閉会後にインドや中国への外遊予定があり、「年を越えれば、疑惑自体が沈静化する」との与党側の思惑も透けて見える。

 これに対し、市民が向ける目は厳しい。新橋駅前で友人とポケモンGO(ゴー)をしていた埼玉県朝霞市の大学生揚村遼さん(22)は「国会答弁に応じない理由を、根拠を持って説明してほしい。そうしないと野党も国民も納得しない」と話す。
 埼玉県内の元地方公務員の男性(73)は「森友・加計の時は逃げられたけど、今回は公選法違反などの疑いや、本人が直接関わる問題なので簡単ではない」と指摘。以前、山口県の郷土料理店で働いていたという男性は「やましいことがなければ国会に出てきて堂々と説明すべきだ。税金を私物化している」と憤った。
 一方「政治家はいつも非常識。長期政権のおごりだ。それを取り繕う役人に同情する」(東京都多摩市の男性)、「野党も攻めきれないので、内部からのリークやマスコミの追及に期待する」(横浜市の男性)といった声もあった。
 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「『総理から呼ばれた』という選民意識をくすぐる会に税金を使っているという構図があり、これまでよりも国民の怒りは根強い」と批判、「疑惑は与党全体に広がっており、年を越えれば忘れるものではない。総理は早く説明責任を果たすべきだ」と強調した。

◆加計、老後2000万円、関電問題…続く逃げ腰
 野党が安倍首相出席の集中審議開催を求めても、与党が拒否するということが繰り返されてきた。
 2017年5月17日に学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関する「総理のご意向」と書かれた文書の存在が表面化したのを受け、野党が開催を求めたのに対し、与党は1カ月近く拒否。国会閉会2日前の6月16日にようやく、加計問題に関する参院予算委での集中審議に応じたものの、わずか3時間だった。
 その後も、与党は野党が求める予算委の閉会中審査を拒否し続けた。しかし、東京都議選の自民党大敗や内閣支持率急落を受け、同年7月24、25日に衆参両院の予算委を開催した。
 また、今年3月に毎月勤労統計の不正に関する集中審議が行われてから7カ月以上、首相が出席する集中審議は行われなかった。この間、野党は日米貿易交渉や老後2000万円問題などに関する集中審議を求めたが、与党は拒否を続け、参院選に突入。10月4日に召集された秋の臨時国会では、関西電力役員らの金品受領問題の集中審議にも応じなかった。10月下旬に閣僚辞任が相次いだのを受け、11月6日の衆院予算委と8日の参院予算委でようやく集中審議に応じた。

戦地で「慰安所作り 現地女性を集めた」と 中曽根康弘氏が手記で

 中曽根康弘氏が101歳で亡くなりました。彼は紛れもない右翼の政治家でした。
 首相在任中、レーガン米大統領とは「ロン」「ヤス」と呼び合関係を作り、後の日米首脳外交の原型となりました。それは安倍首相のように、単に「大金を献上して媚びへつらう」ことで良好な関係を偽装するものではなく、「対米依存の外務省主導の色合いが強過ぎることに対して、日本の自主性、独自性、換言すれば自主防衛の確立と、対米発言権の確保と、アジア政策の展開とを主軸に考えていた」(本人の述懐)のでした。
 実際に「首脳外交とは両者の人格・識見の触れあいに他ならない」との趣旨のことを明言し、外務官僚も彼を相手の心に入り込む外交を目指した」と評価しています。

 外務省は首相最初の訪問国に米国を勧めましたが、アジア重視の観点から敢えて当時関係が上手く行っていなかった韓国を選ぶという気骨を持っていました。
 そして全斗煥大統領主催の晩餐会でのスピーチで4割近くを韓国語で話し、深い感銘を与えました。その結果 対韓経済協力の合意が成立し、善隣友好関係を謳った共同声明を発表することが出来ました。

 イラン・イラク戦争終結に当たり、海上自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣するが浮上した際には、後藤田正晴官房長官(当時)が「私は閣議でサインしない」と猛烈に反対したことを受け入れて派遣を断念しました。しかし決してそれを根に持つようなことはせずに、中曽根政権の5年間一貫して後藤田氏を重用するという雅量を見せました。 

 LITERAがネトウヨにとってはまことに耳の痛い記事を出しました。
 中曽根氏は、戦時中、陸軍主計官(中尉)としてインドネシアに駐留し、兵士3000人の総指揮官を務めた時に、自らが発案し、現地人女性を集めて兵士相手の慰安所を作ったということを、1978年発行の『終りなき海軍』(松浦敬紀・編/文化放送開発センター)に手記として載せています。
 それは期せずして「従軍慰安婦」施設を陸軍が主導して作ったことの証明でした。
 LITERAが、中曽根氏の逝去に当たり過去の記事を再録したものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中曽根康弘死去であらためて振り返る従軍慰安婦 
中曽根の「慰安所つくった」証言と「土人女を集め慰安所開設」防衛省文書
LITERA 2019.11.29
 中曽根康弘元首相が、101歳で死去した。メディアでは、国鉄民営化や日米安保体制強化などを功績として振り返っているが、負の側面も非常に大きい政治家ある。
 たとえば、現在の日本社会にもつながる右傾化・歴史修正主義の台頭や新自由主義路線の端緒となり、日本の戦後民主主義政治を歪めた張本人だ。こうした功罪の罪の部分も検証されるべきだが、なかでも本人が一度は告白しながら途中からダンマリを貫いたこの問題はきっちり検証するべきだろう。
 そう、日本軍の従軍慰安婦問題だ。
 中曽根元首相が戦時中、海軍主計士官(将校)の地位にあったことは有名だが、その当時、自ら慰安所の設置に積極的に関わり、慰安婦の調達までしていたことを、戦後に自分の“手記”の中で自ら書いているのだ。
 しかも、これは中曽根元首相の思い違いでも妄想でもない。防衛省にも中曽根元首相の“慰安所づくり”証言を裏付ける戦時資料が存在している。

 本サイトでは、2014年夏、朝日新聞の慰安婦記事バッシングが盛り上がり勢いづいた右派の、慰安婦の存在や日本軍の関与までなかったことにしようという歴史修正主義の動きに抵抗するため、この中曽根“慰安所づくり”証言とそれを裏付ける戦時資料について詳しく報じた。(ちなみに、フジ産経グループの総帥だった鹿内信隆にも中曽根元首相と同様に、慰安所づくりへの関与発言があり、やはり本サイトが記事にしている(https://lite-ra.com/2014/09/post-440.html)。
 中曽根元首相の証言は、従軍慰安婦に日本軍が組織的に関与していたことを物語る重大な証言だったが、手記出版から30年ほど経ってからこの記述がクローズアップされると、中曽根元首相は一転否定、その後ダンマリを通してきた。
 中曽根元首相には、従軍慰安婦問題とりわけ日本軍の関与について、自らの口で明らかにする歴史的責任があったはずだが、それはかなわなくなってしまった。
 中曽根“慰安所づくり”証言とそれを裏付ける戦時資料から、従軍慰安婦の存在と日本軍関与が事実であることを報じた記事を再録する。「慰安婦は存在しなかった」というデマが大手を振って罷り通るいま、あらためてご一読いただきたい。(編集部)
************
中曽根元首相が「土人女を集め慰安所開設」! 防衛省に戦時記録が
 朝日新聞の慰安婦訂正記事で右派陣営が勢いづいている。「朝日は責任をとれ!」と気勢をあげているのはもちろん、自民党の政務調査会議は河野談話も朝日報道が前提だとして「河野談話を撤回し、新たな官房長官談話を!」とぶちあげた。また、同党の議連では朝日新聞関係者、さらに当時の河野洋平元官房長を国会に招致して聴取すべき、という意見までとび出している。
 だが、朝日や河野洋平氏を聴取するなら、もっと先に国会に呼ぶべき人物がいる。それは第71代日本国内閣総理大臣の中曽根康弘だ。
 大勲位まで受章した元首相をなぜ従軍慰安婦問題で審訊しなければならないのか。それは先の大戦で海軍主計士官(将校)の地位にあった中曽根元首相が、自ら慰安所の設置に積極的に関わり、慰安婦の調達までしていたからだ。

中曽根が手記で「原住民の女を襲う」部下のために「苦心して、慰安所をつくってやった」と自慢
 何かというと左翼のでっちあげとわめきたてて自分たちを正当化しようとする保守派やネトウヨのみなさんには申し訳ないが、これは捏造でも推測でもない。中曽根元首相は自分の“手記”の中で自らこの事実を書いており、しかも、防衛省にそれを裏付ける戦時資料が存在していたのだ。そこには、部隊の隊員によるこんな文言が書かれていた。
「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設」
 まず、“手記”の話からいこう。中曽根が慰安所設立の事実を書いたのは『終りなき海軍』(松浦敬紀・編/文化放送開発センター/1978)。同書は戦中海軍に所属し、戦後各界で活躍した成功者たちが思い出話を語った本だが、その中で、海軍主計士官だった中曽根も文章を寄稿していた。
 タイトルは「二十三歳で三千人の総指揮官」。当時、インドネシアの設営部隊の主計長だった中曽根が、荒ぶる部下たちを引き連れながら、いかに人心掌握し戦場を乗り切ったかという自慢話だが、その中にこんな一文があったのだ。
「三千人からの大部隊だ。やがて、原住民の女を襲うものやバクチにふけるものも出てきた。そんなかれらのために、私は苦心して、慰安所をつくってやったこともある。かれらは、ちょうど、たらいのなかにひしめくイモであった。卑屈なところもあるし、ずるい面もあった。そして、私自身、そのイモの一つとして、ゴシゴシともまれてきたのである」
 おそらく当時、中曽根は後に慰安婦が問題になるなんてまったく想像していなかったのだろう。その重大性に気づかず、自慢話として得々と「原住民の女を襲う」部下のために「苦心して、慰安所をつくってやった」と書いていたのだ。
 ところが、それから30年たって、この記述が問題になる。2007年3月23日、中曽根が日本外国特派員協会で会見をした際、アメリカの新聞社の特派員からこの記載を追及されたのだ。

防衛省に、中曽根「慰安所づくり」証言を裏付ける客観的証拠が!
 このとき、中曽根元首相は「旧海軍時代に慰安所をつくった記憶はない」「事実と違う。海軍の工員の休憩と娯楽の施設をつくってほしいということだったので作ってやった」「具体的なことは知らない」と完全否定している。
 だが、これは明らかに嘘、ごまかしである。そもそもたんなる休憩や娯楽のための施設なら、「苦心」する必要があるとは思えないし、中曽根元首相の弁明通りなら、『終りなき海軍』の“手記”のほうがデタラメということになってしまう。だが、同書の編者である松浦敬紀はその10年ほど前、「フライデー」の取材に「中曽根さん本人が原稿を2本かいてきて、どちらかを採用してくれと送ってきた」「本にする段階で本人もゲラのチェックをしている」と明言しているのだ。
 いや、そんなことよりなにより、中曽根元首相の慰安所開設には、冒頭に書いたように、客観的な証拠が存在する。 
 国家機関である防衛省のシンクタンク・防衛研究所の戦史研究センター。戦史資料の編纂・管理や、調査研究を行っている研究機関だが、そこにその証拠資料があった。
 資料名は「海軍航空基地第2設営班資料」(以下、「2設営班資料」)。第2設営班とは、中曽根が当時、主計長を務めていた海軍設営班矢部班のことで、飛行場設営を目的にダバオ(フィリピン)、タラカン(インドネシア)を経てバリクパパン(インドネシア)に転戦した部隊だが、この資料は同部隊の工営長だった宮地米三氏がそれを記録し、寄贈。同センターが歴史的価値のある資料として保存していたものだ。
 
 本サイトは今回、同センターでその「第2設営班資料」を閲覧し、コピーを入手した。
 宮地氏の自筆で書かれたと思われるその資料にはまず、「第二設営班 矢部部隊」という表題の後、「一 編制」という項目があり、幹部の名前が列挙されていた。すると、そこには「主計長 海軍主計中尉 中曽根康弘」という記載。そして、資料を読み進めていくと、「5、設営後の状況」という項目にこんな記録が載っていたのだ。
「バリクパパンでは◯(判読不可)場の整備一応完了して、攻撃機による蘭印作戦が始まると工員連中ゆるみが出た風で又日本出港の際約二ヶ月の旨申し渡しありし為皈(ママ)心矢の如く気荒くなり日本人同志けんか等起る様になる
 主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設気持の緩和に非常に効果ありたり
 さらに「第2設営班資料」のなかには、慰安所設置を指し示す証拠となる、宮地氏の残したものと思われる手書きの地図も存在していた

インドネシアで民家だった場所を、日本軍が接収し慰安所に作り変え!
 それはバリクパパン「上陸時」の様子(昭和17年1月24日)と、設営「完了時」の様子(17年1月24日〜同年3月24日)を表す2点の地図資料だ。バリクパパン市街から約20km地点のこの地図から、中曽根たちが設営したと思われるマンガル飛行場滑走路のそばを流れるマンガル河を中心に民家が点在し、またマンガル河から離れた場所に民家が一軒だけポツリと孤立していることがわかる。
 そして2つの地図を見比べてみると、“ある変化”があることに気づく。「上陸時」から「完了時」の地図の変化のひとつとして、その孤立した民家の周辺に、設営班が便所をおいたことが記されている。さらにその場所には「上陸時」にはなかった「設営班慰安所」との記載が書き加えられている。
 つまり、上陸時に民家だった場所を日本軍が接収し、「設営班慰安所」に変えてしまったと思われるのだ。

 もはや言い逃れのしようはないだろう。「主計長 海軍主計中尉 中曽根康弘」「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設」という記載。それを裏付ける地図。中曽根元首相が自分で手記に書いたこととぴったり符号するではないか。
 しかも、「土人女を集め」という表現を読む限り、中曽根主計長が命じて、現地で女性を調達したとしか考えられないのである。
 実際、インドネシアでは多くの女性が慰安婦として働かされており、彼女たちは日本軍に命じられた村の役人の方針で、どんなことをさせられるのかもしらないまま日本兵の引率のもと連れ去られたことを証言している。そして、年端も行かない女性達がいきなり慰安所で複数の日本兵に犯されたという悲惨な体験が語られ、その中にはこのパリクパパンの慰安所に連れてこられたという女性もいる。
 
 つまり、中曽根首相がこうした“強制連行”に関与していた可能性も十分あるのだ。
 朝日新聞の訂正で勢いづいた保守・右派勢力は銃剣を突きつけて連行したという吉田証言が虚偽だったという一事をもって、強制連行そのものを否定しようとしている。さらには従軍慰安婦への軍の関与そのものを否定するかのような虚偽を平気でふりまいている。
 しかし、もし、強制連行はない、軍の関与もないといいはるならここはやはり、「土人女を集め」たという元主計長・中曽根康弘を国会に喚問して、どう「集め」たのか、「苦心」とはなんだったのか証言させるべきではないのか。一メディアの誤報をあげつらうより、そのほうがはるかに「歴史の検証」になると思うのだが、いかがだろう。
(エンジョウトオル)

30- 安倍首相が朝食会で“6千4百万円荒稼ぎ” 大臣規範破り

 18年度の政治資金収支報告書で、安倍首相が3回の朝食会で6430万円もの荒稼ぎしていたことが分かりました。会費の92%が儲け(実質収入)というわけで実にアコギなものです。首相という地位に伴う特権というべきでしょう。
 勿論犯罪ではありませんが、「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(それらの職務に就く者は国民の疑惑を招きかねないような大規模な政治資金パーティーを自粛すると規定2001年に閣議決定)には明らかに違反しています。
 まあそうした紳士協定は破っても一向に構わないという考え方なのでしょう。まことに人格(品格?)の程度が知れる話です。

 上がそうであれば麻生副総理以下の閣僚も勿論そうです。
 LITERAがその概要を伝えました。
 因みに政治資金規正法に係わる「桜を見る会・前夜祭」に関しては記載がなかったということです。その辺はさすがに用意周到なのですが ・・・ (^○^)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安倍首相が政治資金収支報告書に規則破りパーティで“7千万円荒稼ぎ”を堂々記載!  一方、「桜を見る会」前夜祭は…
LITERA 2019.11.29
「桜を見る会」問題追及によって、安倍首相が税金を使った公的イベントを地元有権者の接待の場にし、安倍自民党全体で選挙活動のため利用していたことが明るみに出た。一体、国民の血税を何だと思っているのかという話だが、さらに安倍首相をはじめとする安倍政権の大臣たちの舐めた態度が浮き彫りになった。
 本日、2018年分の政治資金収支報告書が公表されたのだが、そこに記されていたのは、規則破りのパーティ開催の数々だったからだ。

 まず、最初に挙げなければならないのは、安倍首相の政治資金パーティにおける“ボロ儲け”ぶりである。
 安倍首相の資金管理団体「晋和会」の政治資金収支報告書によると、安倍首相は2018年に「安倍晋三後援会朝食会」と題した政治資金パーティを東京の高級ホテル・ANAインターコンチネンタルホテル東京で計3回開催。5月28日に2537万9784円、11月2日に2424万円、12月20日に2018万円を集め、たった3回でじつに6979万9784円も集金している。
 他方、支出に目を移すと、会場費郵便料金など3回の朝食会にかかった費用は548万3375円で、経費は収入の10分の1も満たない。つまり、安倍首相は朝食会だけで6431万6409円を収入として得ているのである。
 安倍首相に対しては例年、「よりにもよって総理大臣が大臣規範を破るとは」と批判の声が上がっている。大臣規範とは2001年に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」のことで、国務大臣や副大臣、大臣政務官といった職務に就く者は「国民の疑惑を招きかねないような大規模な政治資金パーティーを自粛する」と規定している。
 だが、この規定など完全無視。安倍首相は総理大臣でありながら、収入が1回で1000万円を超える大規模パーティを開催しつづけ、この大臣規範を毎年、平気で破っている。ようするに、襟を正す気などまったくないのだ。

 しかも、これは安倍首相に限った話ではない。現在の閣僚で、今回収支報告書が公開された2018年時も大臣や大臣政務官だった人物でいうと、麻生太郎副総理兼財務相の資金管理団体「素淮会」の報告書によると、たった1回のパーティ開催で6165万5244円河野太郎防衛相(当時は外相)の資金管理団体「河野太郎事務所」の報告書では1回のパーティ開催で3432万円茂木敏充外相(当時は経済再生担当相)の資金管理団体「茂木敏充政策研究会」の報告書では収入がすべて1500万円以上のパーティを計4回開いて計8467万16円加藤勝信厚労相(2017年8月〜2018年10月まで厚労相)が代表を務める政党支部「自由民主党岡山第五選挙区支部」の報告書では1回のパーティで1937万9474円、資金管理団体「勝会」の報告書では1回約1800万円の収入を得たパーティをはじめ計5回のパーティで5150万円梶山弘志経産相(2017年8月〜2018年10月まで地方創生担当相)の資金管理団体「益習会」の報告書では1回2769万円の収入を得たパーティを含む計2回のパーティで3717万円の収入を得ている。
 また、菅義偉官房長官も、菅氏が代表を務める「自由民主党神奈川県第二選挙区支部」の報告書によると、1回1000万円近い収入のパーティを4回開催して3872万円、さらに菅氏の資金管理団体「横浜政経懇談会」の報告書でも5回のパーティで3772万円西村康稔経済再生担当相(当時は官房副長官)の資金管理団体「総合政経研究会」の報告書でも1回1000万円近いパーティを含む17回のパーティで1億177万2136円もの収入を計上している。

 大臣規範を破りまくりの大臣が、現役閣僚として在任している──。これだけでも唖然とさせられるが、政治資金パーティが問題なのは、その不透明性だ。というのも、パーティ券の購入が事実上の献金になっているにもかかわらず、購入額が20万円を超えなければ購入者の情報は報告書へ記載する必要はない
 実際、政治資金パーティの“闇”の一端があきらかになったこともある。昨年11月に公表された2017年の政治資金報告書では、稲田朋美・元防衛相が政治資金パーティの開催を中止したことから、パーティ券を購入した団体・個人に返金をおこない、その内訳が記載されていた。前述のとおりパーティ券の場合は購入額が20万円を超えなければ名前などを記載する必要はないが、返金したために1万円以上の購入者の名前などが政治資金収支報告書に記載される結果になったのだ。そして、それによって電力会社8社をはじめ、日本原子力発電や電気事業連合会、関西電力のグループ会社や全額出資子会社などから計112万円もパーティ券を購入してもらっていたことが判明。期せずして“原発マネー”の流れが浮かび上がったのだ。電力会社は「地域独占で公共性が強いのに献金はおかしい」といった批判が高まったことから、1974年以降、会社としての政治献金を中止しているにもかかわらず、だ。

「政治とカネ」という重要な問題にかかわるのに、国民の監視の目が届かない──。当然、仕組み自体をさらにオープンにすべきだが、しかし、大臣規範を平気で破り、政治資金パーティを隠れ献金の温床にしている安倍政権の面々には、モラルもへったくれもない。それを象徴する出来事が、いま問題となっている安倍首相の「桜を見る会」の「前夜祭」であることは、言うまでもない。

やはりなかった「前夜祭」の記述! 安倍事務所は公選法、政治資金規正法違反を自覚していたのか
 やはり本日公開された「山口県報」に掲載された「政治団体の収支に関する報告書の要旨[平成30年分]」を確認しても、安倍首相の政治団体「安倍晋三後援会」に「前夜祭」にかんする収支の報告はなされていない模様だ(ちなみに、山口県は政治資金収支報告書をネット上で公開していない数少ない都道府県のひとつで、情報公開が進まない理由に安倍首相への“配慮”があると見られても仕方がないだろう)。

 だが、これまで何度も言及してきたように、「前夜祭」の収支報告がないことは、あきらかにおかしい。安倍首相が強弁しても、当日欠席した人の存在や実費計算と参加者による1人5000円の会費=ホテル側への支払いとはならないはずだからだ。
 たとえば、いくら前もって参加者を募っていても、これほど大規模なパーティなら事情があってドタキャンする人は必ず出てくるものだ。その当日キャンセル分の補填は誰がおこなったというのだろうか。あるいは万が一多すぎた場合の余剰分は誰の懐に入るのか。さらに言うと、食事代や会場設営・音響費用などは当日変更さえなければ事前に金額を確定できるが、飲み物代はそうではない。本サイトがホテルニューオータニに問い合わせをした際にも、飲み物代はおおよそ1人4000円程度としながらも、基本的には「実数計上」になると説明を受けている。つまり、事前に飲み物代は確定することはできず、通常でいえば宴会終了後に精算作業がおこなわれるはずなのだ。そして、その精算主体は「安倍晋三後援会」であり、何らかの収支が発生していると考えるのが当然だ。
 にもかかわらず、収支報告書に「前夜祭」の記載はない。つまり、パー券で儲ける政治資金パーティとは違い、「前夜祭」は地元後援会関係者をもてなす会であり、その差額を補填していたとしたら供応接待の事実がバレてしまう。だから記載していないのではないか。

 しかも、実際にホテルニューオータニが5000円で引き受けていたとしても、本来は参加者1人につき1万1000円以上の費用にもかかわらず大幅な値引きをおこなっていたことになれば、それは「安倍晋三後援会」への寄附にあたり、政治資金規正法で禁じられた政治団体への企業献金となる可能性がある。
 つまり、「前夜祭」の収支報告がないことは、政治資金収支報告書への未記載にとどまらない違法行為が隠されている可能性が濃厚だ。しかし、安倍首相はいまだにシラを切り、まともな説明をおこなっていない。

 開催を自粛すべきと規定されているのに大規模政治資金パーティを平然と開き、都合の悪いパーティの存在は国民の監視から覆い隠す──。大臣規範を平然と破りつづけていることと、今回の「前夜祭」問題の根幹は、安倍首相にはモラルなどまるでなしという意味で、まったく同じなのである。(編集部)

2019年11月29日金曜日

安倍首相は4選を目指す 党則改正のため来年早期に解散総選挙(世に倦む日々)

「世に倦む日々」氏が、安倍首相が4選を目指さなくてはならない理由を次のように述べています。

安倍晋三は2年後に首相を降りる意思など毛頭ない。なぜか。権力から滑り落ちた瞬間、安倍晋三と昭恵は後ろに手が回る身だからである。首相の座に居て彼は無数刑事罰規定のある違法行為を重ねており、かつてのチャウシェスク夫妻のスケールを小さくしたのが安倍晋三夫妻であり、権力を手放しようにも手放しようがないのだ」、「今の日本の国家権力は、安倍晋三の独裁モデル仕様になっていて、法の支配が機能していない。人の支配で動いていて、中国や北朝鮮と類似の権力体制になっている」、「国会は全く機能していないし、裁判所と検察も全く機能していない。安倍晋三とその手下がどれほど卑劣な犯罪を犯しても、検察は捜査に動かず、告発しても不起訴処分にする」、「安倍晋三に不利な行政文書は次々と焼かれ棄てられ咎められることはない」、そして「マスコミも安倍晋三を批判したり追及したりせず、逆に賛美のみを毎日繰り返し、プロパガンダで埋め、国民に安倍晋三を崇拝させるように刷り込んでいる」としています
   ※ ルーマニアで24年間独裁体制を築き1989年に人民が蜂起するなかで死亡

 ここまで国を歪め切っては「首相の地位から離れた瞬間に権力を失う。転げ落ちる」ことになるので首相の座に居続けるしかなく、4選するためには少なくとも総裁選の1年前の来年9月までに党則改正を行う必要があるので、「どうしても来年前半に衆院選を打ち、圧勝し党内から4選に異論を唱える声を消さないといけない」としています。

 迫力に満ちた驚くべき指摘です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ポスト安倍と安倍4選 - 党則改正のタイムリミットと来年早期の解散総選挙
世に倦む日々 2019-11-27
最新の日経新聞の世論調査で、次の総理に相応しい政治家として、石破茂がトップに選ばれる結果が出た。読売新聞の世論調査でも、1位が石破茂で21%、2位が小泉進次郎で18%、3位が安倍晋三で15%という数字になっている。久しぶりに石破茂の存在がマスコミの前面に出た。同時に日経から発表された内閣支持率は、前回より7ポイント下落していて、併載のポスト安倍の人気投票で石破茂が首位に躍り出た事実は、永田町界隈に小さな動揺を与えたに違いない。「桜を見る会」の疑惑の衝撃が大きい。ポスト安倍と安倍4選の政局について論じよう。論点は三つ。第一に安倍晋三が4選をめざす必至性について。第二に自民党の党則改正と総選挙のタイミングについて。第三にポスト安倍の諸プレイヤーの思惑について。ポスト安倍をめぐる議論はマスコミやネットに多いが、第一と第二の問題が見落とされている点が気になる。

第一に4選をめざす動機と必至性について。この点は重要なので念を押しておきたい。安倍晋三は2年後に首相を降りる意思など毛頭ない。なぜか。権力から滑り落ちた瞬間、安倍晋三と昭恵は後ろに手が回る身だからである。いったいどれほどの犯罪に手を染めているのか、どれほどの犯罪が隠れているのか、想像もできないほどこの権力者は法を犯している。刑事罰規定のある違法行為を無数に重ねている。チャウシェスク夫妻のスケールを小さくしたのが安倍晋三夫妻であり、権力を手放しようにも手放しようがないのだ。これまでの日本の首相とは違うし、権力の構造と性格が変わってしまっている。今の日本の国家権力は、安倍晋三の独裁モデルで仕様が構成され、構造が固まって動いていて、憲法と実定法のシステム、すなわち法の支配が機能していない。人の支配で動いていて、中国や北朝鮮と類似の権力体制になっている。

国会は全く機能していないし、裁判所と検察も全く機能していない安倍晋三とその手下がどれほど卑劣な犯罪を犯しても、検察は捜査に動かず、告発しても不起訴処分にする。準強姦の山口敬之は不逮捕となり、告訴されたが不起訴となった。経産省の大物OBは二人を轢き殺して逮捕されず、「上級国民」という概念を作り出してしまった。池袋の現場で警察による事故処理を指揮していたのが中村格だったという情報が出ていた。行政文書は次々と焼かれ棄てられる。安倍晋三に不利な記録は廃棄され、咎められることはない。ルールはすべて安倍晋三とその配下によって恣意的に運用され、原義は紙上の空文になっている。マスコミも安倍晋三の手下で固められ、安倍晋三を批判したり追及したりしない。逆に賛美のみを毎日繰り返し、プロパガンダで埋め、国民に安倍晋三を崇拝させるように刷り込んでいる。それがマスコミの仕事だ。

この独裁体制が崩れるということは、まさに革命的事態である。ポスト安倍などと簡単に言うけれど、この権力の実態を考えれば、問題はそれほど容易ではないのだ。ポスト小泉やポスト中曽根とは全く違う。安倍晋三は、4選、5選と、終身権力にどこまでも突っ走るしかない。安倍晋三が口先で言っている「4選は全く考えていない」を信用するのはナンセンスだ。安倍晋三の場合、院政だの闇将軍だのキングメーカーだのという最高権力者のあり方は難しいのである。現役でバイタル(【活気のある】)な状態でしか権力を保持できない。それは、金正恩がそれができないのと同じだ。操り人形を裏で操るということができない。安倍晋三は、地位から離れた瞬間に権力を失う。転げ落ちる。安倍晋三の場合、権力の維持はテレビに依存していて、テレビに出続けて礼賛を得続けることで人気(支持率)を維持している。首相という地位を失うとテレビに出られない。

第二の党則改正の問題について。本来、安倍4選やポスト安倍を論議するに当たっては、党則改正の問題に焦点を絞って検討する必要があり、ここに関心を向ける必要があると思うが、そうした議論は非常に少ない。安倍晋三にとって、4選を実現する上で関門となるのが党則改正なのである。党則を変えて任期を延長しなければならない党則改正は、少なくとも総裁選の1年前の来年9月までには行う必要があり、それを過ぎると改正は難しくなる。来年9月を過ぎると、総裁選まで1年となり、ポスト安倍の関心がマスコミを埋め、候補者が競争を始める。前回、2018年の3選時も、党則改正は総裁選の1年以上前の2017年3月の党大会ですでに終えていて、用意周到に詰めていた。このときは、副総裁の高村正彦が動いて党内を固めた。2015年9月の2選のとき、ちょうど安保法制の政局と重なり、野田聖子降ろしの熾烈な暗闘で冷や汗をかいたため、3選目は早め早めに手を打ち、高村正彦に工作させて既成事実を固めた。

選時と同じ日程でいけば、党則改正は来年3月に行わなくてはいけない想定になる。少なくとも東京五輪前には4選を既成事実化する必要があり、五輪花道論を打ち消す必要がある。五輪前には、1年後の総裁選でも安倍晋三が選出され、2024年まで任期が続くことを確定させておく必要がある。そのためには、どうしても来年前半に衆院選を打ち、圧勝しなければならず、党内から4選に異論を唱える声を消さないといけない。自民党が選挙に勝ち続け政権を保持し続けるためには、安倍晋三以外の総裁ではだめなのだという空気を充満させ、ポスト安倍の諸候補を事前に降ろさないといけない。出馬断念へ追い込まないといけない。もし安倍晋三が衆院選で圧勝して、自民党が300議席取れば、4選支持の声が再び党内と保守マスコミから起こり、党則改正の流れへと進むだろう。これが、安倍晋三が考えている4選のロードマップである。解散総選挙は間違いなくある

第三のポスト安倍の諸プレイヤーの思惑について。この政局でカギを握っているのは、石破茂でもなく、小泉進次郎でもなく、岸田文雄でもない。ポスト安倍の政局、ポスト安倍の党内権力闘争のキープレイヤーは、菅義偉と麻生太郎の二人である。この二人の確執如何、抗争の顛末次第でポスト安倍の行方が決まる。二人は仲が悪い。70歳の菅義偉の基本構想は、安倍晋三を3選で引退に導き、小泉進次郎か河野太郎に後継させることである。菅義偉はゴッドファーザーの位置に座り、派閥と霞ヶ関に睨みを利かせ、維新や公明と連携を図る。つまり、五輪花道が菅義偉の思惑であり、残り1年でどうやって安倍政権をスムーズに終端させるか、チェウシェスク的なショックなしに無難に着地させるかが関心だろう。4選へと頑なに猛進する安倍晋三とは当然齟齬があり、どこかで暗闘か馘首という場面が出来するかもしれない。その場合は、菅義偉を欠く安倍政権はバランスが崩れて弱体化せざるを得ない。

79歳の麻生太郎の思惑は二つある。どちらに転んでもいいよう二股で動いている。基本構想は、安倍晋三が4選を断念した場合、岸田文雄を神輿に立てて、裏でゴッドファーザーに収まり、事実上の麻生政権として終身支配する方向性である。もう一つは、安倍晋三が4選に突っ走った場合は、そのまま政権No.2の副総理・財務相として君臨し続けるという路線である。官房長官は世耕弘成だろう。このとき、麻生太郎にとって目障りで邪魔だった菅義偉は消えている。79歳の麻生太郎は、安倍晋三の4選をどうしても止めたいという意思はない。安倍永久政権でもよく、2024年には84歳になるが、年齢は一向に気にしていない。麻生太郎の場合も、失脚したら後ろに手が回るリスクがあるのであり、権力を手放せない事情と論理は安倍晋三と同じなのだ。例えば、日銀の異次元緩和と出口戦略はどうなるのか。明石順平が告発しているところの、経済指標の改竄は麻生太郎が主犯だ。まさに、政権終端はチャウシェスク的な阿鼻叫喚の図になる。

アベ政治の食い物にされた教育行政の惨状 その2 (寺脇 研氏)

 寺脇 研氏によるシリーズ「アベ政治の食い物にされた教育行政の惨状」の6と7を紹介します。このシリーズは今回で終了します。

 これまでの「共通1次試験」~「センター試験」は700の会場で行われましたが、それでも離島や山間部に住む者にとっては宿泊の必要があるなど地域格差があったし、受験料も国公立を目指す場合1万8000円と決して安くはなかったのですが、それらは不可避的なものとして大きな問題とされたことはありませんでした。試験の公平性に疑いがなかったからと考えられます。
 しかし民間試験はそうではなく、(700よりはるかに少ない)会場数も受験料も民間の試験実施者の都合で決められた上に採点の公平性は全く期し得ないものなので、大反対が起きたのは当然でした。実施企業のベネッセコーポレーション唯一の営利企業他は公益法人など)下村博文元文科相や文科省とのズブズブの関係が周知されたことも勿論影響しました。
 しかも国語、数学の記述試験の採点にベネッセの子会社を選定した理由は競争入札で、教育的見地と無縁のものでした。
 萩生田文科相2024年度実施を目指し「今後1年をめどに結論を出す」と述べましたが、5年以上議論し導入準備が全く評価できない結果だったのに、それをたった1年で納得できる結論を出せるかは大いに疑問です20年度実施と初めから時限を切ったのが拙速を招いた愚を、再び犯してしまう可能性高いと見られています

 寺脇氏は、いずれにしても共通テストを民間に委託するのは無理で、各大学が行う2次試験との役割分担を時間をかけて改めて議論すべきであるとしています。英語4技能とか記述式とか、民間の手を借りなければならない種類のものは、各大学がその責任において2次試験に導入すればよく、受験生も、志望する大学からの要求であれば納得しやすいだろうとしています

 シリーズとは別に27日の日刊ゲンダイに「文科省やはりベネッセありき数学記述式死守に躍起の愚」とする記事が載りました。
 何としてもベネッセを除外したくない文科省は、数学の記述問題は実施したい意向のようなのですが、ではどんな問題になるのか ・・・「お笑いの記事」です。併せて紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アベ政治の食い物に 教育行政の惨状 6
共通1次から40年 なぜ「地域・経済格差」は問題視されず?
寺脇研 日刊ゲンダイ 2019/11/23
  寺脇  京都造形芸術大学客員教授
1952年、福岡市生まれ。ラ・サール中高、東大法学部を経て、75年に文部省(当時)入省。初等中等教育局職業教育課長、大臣官房審議官、文化庁文化部長などを歴任し、2006年に退官。ゆとり教育の旗振り役を務め、“ミスター文部省”と呼ばれた。「危ない『道徳教科書』」など著書多数。前川喜平元文科次官との共同企画映画「子どもたちをよろしく」が2月公開予定。

 従来のセンター試験では全国約700カ所の会場を使い、受験生の便宜を図ってきた。それでも、離島や山間部に住む者にとっては、宿泊の必要があるなど地域格差がなかったわけではない。受験料も、国公立を目指す場合1万8000円と決して安くはない。それでも、前身の共通1次試験以来40年間にわたり、地域格差や経済格差が大きな問題とされたことはなかった。
 それは、公が行う試験だからだろう。国会で決めた法律に基づいて行われるということは、いわば国民的合意によるというわけであり、いくぶんの格差があったとしても受容する範囲内と感じられる。民間試験はそうではない。会場数も受験料も試験実施者の都合で決められ、大学入試センターも文科省も口出しできない仕組みだ。事実、今回明らかになったように会場数ははるかに少ないし、受験料も高額だったりする上、大学入学共通テストの受験料にさらに上乗せされる。

 どう考えても、入試センターで新しい英語試験を行う方が受験生にとっては安心ではないか。予算がかかるとしても、それは必要なコストだ。時間がかかって英語力向上が遅れてしまうというのなら、それが完成するまでの期間は、2次試験において各大学がそれぞれの判断で独自試験を行うなり民間試験を活用するなりすればいい。
 にもかかわらず、準備も議論も不十分なまま導入を実施しようとしていたのである。その過程では、入試センターが選定した試験実施7団体のうちTOEICが参加を辞退するなどの一幕もあった。また、唯一の営利企業(他は公益法人など)であるベネッセコーポレーションは、下村博文元文科相や文科省との利害関係の深さが週刊誌報道などで指摘されている。そうした疑念が起きないよう「李下に冠を正さず」の姿勢も必要だった。

 ベネッセに関しては英語だけでなく、2020年度から新しく実施予定の国語や数学の記述問題の採点を子会社に全面委託することも問題視されている。採点に大量のアルバイトを使うというのが受験生を不安にさせた。採点基準は当然、出題する入試センターが決めるものの、そのすり合わせのために問題を事前にベネッセ側に示す点には、漏洩の心配が生ずる
 このため、記述問題についても導入中止を求める声が高まってきている。共通テスト初実施まで1年余りに迫った現時点でこれほどの問題続出は、異例の極みとしか言いようがない。


アベ政治の食い物に 教育行政の惨状 7
経済原理の政治主導…「24年度実施」は再び同じ愚を犯す
寺脇研 日刊ゲンダイ 2019/11/24
 国語、数学の記述問題には、民間企業に採点を丸投げすることだけでなく、受験生を混乱させる要素がある。個別大学への出願の目安となる「自己採点」が難しいというのだ。大学入学共通テストの成績は、大学側には2次試験前に届くのだが、受験生本人には4月に通知されるので、自己採点してそれに見合う出願先を考えなければならない。成績によっては2次試験を「門前払い」されてしまうからだ。
 こうした不安を解消するために、文科省は国公立大学に対し、国語記述問題の成績を「門前払い」の判断材料に使わないよう要請すると報道されるなど、にわか対応策に追われているようだ。ドタバタ劇はまだまだ続きそうである。記述問題の採点にベネッセコーポレーションの子会社を選定した根拠は、なんと競争入札。教育的見地と無縁の経済競争原理に基づいて政治主導で拙速導入しようとしたことのツケは大きい

 英語民間試験に関しては、導入延期を決めた萩生田文科相が、2024年度実施を目指し「今後1年をめどに結論を出す」と述べている。5年以上議論した導入準備が、問題噴出で延期せざるを得ないほどズサンだったというのに、たった1年で結論を出せるのか。20年度実施と初めから時限を切ったのが拙速を招いた愚を、再び犯してしまう可能性は高い
 この際、共通テストと各大学が行う2次試験との役割分担を、時間をかけて改めて議論してみてはどうか。これまでの大学入試センター試験は、マークシートを採用して公平公正に採点できる方式を使い、受験生全員の5教科の基礎基本学力を測り、大学側に提供してきた。その上で各大学は、自らの開設する学部学科の専門性に沿って必要な学力を2次試験で測る。
 民間試験を導入すれば、センター試験に比べ地域格差、経済格差が大きくなるのは当然だ。英語4技能とか記述式とか、民間の手を借りなければならない種類のものは、各大学がその責任において2次試験に導入すればいい。受験生も、志望する大学からの要求であれば納得しやすいだろう。
 そして新しい共通テストは、出題を工夫してセンター試験の弊害といわれてきた暗記に頼る受験対策では対応できないような問題を用意し、これからの高校教育に求められる「主体的・対話的で深い学び」によって得られる学力を測れるようにすることにこそ全力を注ぐべきだと思う。 (おわり)


文科省やはりベネッセありき「数学記述式」死守に躍起の愚
日刊ゲンダイ 2019/11/27
 問題山積で来年度からの実施が疑問視されている「大学入試共通テスト」の国語と数学の記述式。臨時国会最終盤の大きな争点になっているが「国語は引っ込め、数学は残す」との落としどころが浮上している。
「国語は言葉の解釈の幅が広いこともあり、採点は、複数の採点者が議論しながら時間をかけて行います。50万人規模の採点を短期間で公平に行うのは物理的、技術的に不可能です。加えて、自己採点も難しい」(高校の国語教師)
 文科省は、国公立大学に共通テストの国語記述式試験を合否の判断材料としないよう要請する検討をしている。オススメできる代物ではないことは文科省も分かっているのだ。中止を求める声を抑えつけるのは簡単ではなく、実施見送りが現実味を帯びる。

 英語民間試験に続いて、国語記述式まで頓挫すれば、共通テストがらみの民間委託は数学記述式だけになってしまう。
数学まで見送ると、ベネッセに顔向けできない。文科省は何が何でも、数学記述式だけは死守しようと躍起になっている。記述式導入ありきで、いっそう採点しやすい問題になるとみられています」(文科省関係者)
 採点しやすい問題――。18年度に行われた共通テストの試行調査「数学I・数学A」の記述式問題を見て驚いた。例えば、第1問[1](あ)では、<「1のみを要素にもつ集合は集合Aの部分集合である」という命題を、記号を用いて「記述せよ」>という問題が出されている。答えは、{1}⊂Aなのだが、思考力や表現力が必要な論述からは程遠く、知っていて、書ければ解ける。選択肢から選ぶ「マークシート式」で問うのとほとんど変わりはない。思考力や表現力を問うという記述式の趣旨は完全に破綻している

■マークシートと変わらず無意味
「入試改革を考える会」の予備校講師・吉田弘幸氏が言う。
「文科省は、数学の記述式について“採点の精度”を強調して、実施しようとするでしょう。しかし、採点しやすさを追求するあまり、マークシートと変わらない問題になってしまっています。多額の費用をかけて記述式を導入する意味はもはやありません」
 国・数の記述式の採点業務は、ベネッセの100%子会社「学力評価研究機構」が、来年度から23年度まで約61億円で請け負っているが、今年度の契約費用は約1億900万円だ。文科省が優先すべきはベネッセのビジネスより受験生だろう。傷が浅いうちに国・数両方の見送りを決めるべきだ。