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2019年11月26日火曜日

なぜ安倍政権の支持率は下がらないのか ~ (世に倦む日々)

 「世に倦む日々」が、「なぜ安倍政権の支持率は下がらないのか - 電波の独占、皇室利用と韓国叩き」と題する記事を出しました。
 その中で、いまマスコミとネットで行われている「なぜ安倍晋三の支持率が下がらないのか」の議論は不十分であるとして、下がらない要因は、第一に安倍首相のTVへの露出が異常に高いこと、第二に今回は「皇室利用韓国叩き」など、政府は、毎回支持率を高める装置を開発していること、第三に本来政権の批判者であり対抗勢力である左翼リベラル感性らせて、独裁権力への正確な認識をしていないことにあるとして、それぞれの要因について丁寧に説明しました。

 ここで第一と第二の点は、指摘されれば誰しもが納得するところですが、第三の「覚せい剤事案での有名人の逮捕劇」を政権側の「焦点ずらしの話題作り」とする見方を、リベラルの間からも「陰謀論」だとして片付ける主張が出ている点については、問題の性質上一見して明瞭という訳にはいきません。
 それによると沢尻容疑者逮捕は通常の「麻取(麻薬取締官)」によるものではなく、違筋の警視庁「組対5課」(組織暴力対策5課)という、例の山口敬之氏の逮捕を強引に中断させた中村格・警察庁長官官房長のルートが行ったものでした。
 しかしそれは結果的に極めて「拙速」な逮捕で、沢尻氏は当夜そのクラブで覚せい剤を買っておらず、尿検査の結果も陰性でした。結局本人の供述によって以前に買った2錠が自宅から押収されただけというお粗末さでした。
 ようするに事実関係としては微量の覚せい剤を所持していたということだけで、あとは本人が以前に覚せい剤を使ったことがあるという「供述」が検察によって流布されているのみです。果たして逮捕は妥当だったのでしょうか。なぜあの段階で逮捕しなくてはいけなかったのか? それによって当人は世上10億円の負債を背負ったと言われています。
 「陰謀論」だとする人たちは、確実な証拠が見つからない限り「政権が保身のために行ったと主張すべきではない」と批判するのですが、この種の証拠が簡単に見つかる筈はありません。いずれにしても、そうした非現実的な理由を挙げて「陰謀論」だと主張するのは、単に政府を利するものでしかありません。
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なぜ安倍政権の支持率は下がらないのか - 電波の独占、皇室利用と韓国叩き
世に倦む日々 2019-11-25
先週、マスコミとネットで、なぜ安倍晋三の支持率が下がらないのかという議論があった。その議論の中で看過されている点が幾つかあると思われるので、整理して列挙しておきたい。第一は、テレビの露出の問題である。第二は、皇室利用と韓国叩きの問題である。第三は、正常性バイアス(【偏り】)の問題である。管見では、これらの論点について指摘している議論はなかった。テレビの露出の問題は、シンプルだが決定的な問題で、誰もが見落としている根幹の問題だろう。テレビに政治家が出る映像というのは、商品のCMの放送と同じである。企業は自社製品の宣伝と拡販のために巨額の費用を投じて電通にCM制作を依頼する。安倍晋三ほどテレビに出まくり、テレビで活発に広告宣伝を繰り返している政治家はない。毎晩毎晩、見たくもない安倍晋三の顔がテレビに割り込んでくる。安倍晋三の顔ばかりが出て、他の政治家の顔は出ない。枝野幸男の顔などほとんど出ない。

テレビに出れば誰もが人気者になれる。だから誰もが競ってテレビに出演しようとする。けんみんショーで紹介された店は客で埋まる。テレビが人気者を生み出し、売り出していて、露出する頻度と時間量が出演者(タレント・論者)の世間での人気の基準と評価を決めている。夜のNHKのニュースに出てくるのは常に安倍晋三で、安倍晋三のCMが流されているのと同じだ。安倍政権を正面から批判するテレビの人間は、次々と干されて消えて行った。国谷裕子、古館伊知郎、岸井成格。そして、代わってNHKの報道を仕切っているのが岩田明子で、まるで北朝鮮中央テレビの李春姬と同じ役だ。岩田明子の露出はどんどん増えている。テレビの報道は公平中立が原則であり、一般国民にとって価値観のメジャーメントがそこで提供される。テレビは教育機関(洗脳機関)である。そこでどれほど安倍晋三を持ち上げる映像と言説が流れていて、それが増えていることか

テレビが安倍晋三の人気(支持率)を支えている。支持の凋落を防いでいる。テレビが絶えず安倍晋三の宣伝を刷り込んでいる。安倍晋三はテレビを占有している。テレビの放映権を独占し、公共の電波を私物にして利用している。自己への賛美と翼賛以外の報道を許さない。基本的な事実だが、このことを再認識する必要があり、3年前や6年前のテレビの言論環境と比較分析して、変化の実態を確認する必要があるだろう。年を追う毎に程度が甚だしくなり、中国や北朝鮮のテレビ報道のあり方と同じになっていて、われわれは感覚が麻痺して慣れて行ってしまっている。久米宏や筑紫哲也がテレビ報道を担っていた当時を忘れ、現在の独裁国家のテレビに順応してしまっている。マスコミは権力機関である。司法権力と同じように、マスコミ権力が完全に安倍晋三の恣意的支配の道具になっていること、年々歳々それが強化されていることを、支持率の問題を論じる際は前提に置かなくてはいけない。

二番目に注意を促したいのは皇室と韓国という要因である。この点に着目する議論がない。安倍晋三の支持率は、今年になって特に高い状態で推移している。昨年の支持率の動態を見たとき、平均して支持・不支持が40%で拮抗しており、本年とは様相が異なっている。安倍晋三の支持率がなぜ高止まりしているかを現時点で論じるとき、アベノミクスが原因だとか、野党の多弱が原因だとかを言うのは、思考停止の発想と言わざるを得ない。天皇の代替わりを巧妙に利用し、政権支持率に回収したマヌーバー(【策略】)も大きいが、今年は何と言っても韓国問題が大きく影響した。まず、われわれが考えるべきは、今年の安倍支持率が異常に高い現実である。本来なら7年目の政権がこれほど支持率が高くなることはなく、もっと低くなっているのが自然で、この時期に、なぜ支持率が下がらないのかなどと議論しているということはないのだ。昨年と同じ状況で、支持・不支持が拮抗ならば、こんな議論や設問はなかった。

令和の新元号から始まって、1年間の皇室行事をすべて自分の私有物にして支配統制し、テレビで政権宣伝に活用しまくることがなければ、安倍晋三の支持率は、支持と不支持が拮抗する昨年のバランスが今年も継続していただろう。もし、韓国の徴用工問題が昨年末に起きず、マスコミが韓国叩きの熱狂報道にシフトしなければ、内閣支持率は不支持の方が高くなり、安倍晋三の権力は緩やかなレイムダックへと進行したものと推測される。皇室行事の宣伝回収で支持率の下落を食い止め、ファナティック(【熱狂的】)な韓国叩きの扇動で支持率を上げている。勘づくべきことは、安倍晋三の支持率というのは永久不変の構造的な基盤がもたらしているのではないということで、一生懸命にアヒルの水かきをして、毎度毎度、支持率を高める装置を開発しているという真相だ。パーマネントな法則性によるのではなく、テンポラリーな要因の不断の継起が、安倍晋三の高支持率の秘密なのである。

2017年は北朝鮮だった。安倍晋三の側に即して言えば、必死で努力して次々に手を打っているから、何とか長期政権の停滞を食い止め、再活性化させるギアチェンジに成功しているのである。今年の支持率の中身は、何と言っても韓国叩きであり、韓国に対する国民の憎悪感情の高揚と沸騰だった。韓国憎悪で支持率を稼いだ。外に敵を作り、国民の意識を外敵への攻撃に仕向け、国内を一色に染め、敵への憤怒を自己への支持に回収する手法。7月の参院選に勝てた理由も、韓国叩きが大きく寄与している。半導体3品目の輸出規制、ホワイト国リストからの除外、これらの経済制裁は7月の参院選の直前に発動されたものであり、選挙の争点にするべく安倍晋三が狙って打ち上げた政策だった。目論見どおりに国民の反響と支持を得、嫌韓ナショナリズムが燃焼する空気の中で安倍晋三は選挙に勝利する。今年の安倍晋三の高支持率の原因を探るなら、絶対に韓国叩きの要件を外すことはできない。

最後に三番目の正常性バイアスの問題を提起しよう。7年間の安倍長期政権が続く中で、その批判者であり対抗勢力である左翼リベラルは、すっかり感性が鈍ってしまい、独裁権力への正確な認識を見失っている。例えば、具体的な錯誤として、沢尻エリカの逮捕を「桜を見る会」のスピン工作だと見抜けず、正しく指摘できなかった問題がある。それをスピン工作だと看破した者は僅かで、そしてあろうことか、その者たちに対して、右翼だけでなく左翼が「陰謀論」のレッテルを貼って袋叩きにするという光景が現出した。「陰謀論」叩きに夢中になっている左翼は、検察も警察も官僚も、30年前の日本と同じニュートラルな精密機械の歯車だと想定していて、フラットに職務を遂行しているものだと錯覚している。日本の国家権力の内実がどれほど変容し、独裁者に奉仕する機構に作り変えられているかを正視できていない。そのため、安倍晋三の独裁権力に対する監視が緩くなり、危機感が小さくなり、批判の声が弱くなるのである。

政権の支持率を左右するのは、何と言ってもテレビの論調である。朝昼のワイドショーと夜の報道番組の議論に他ならない。安倍晋三は、今後も窮地に陥ったときは、北村滋と中村格が非常時用に準備しているスピン案件を武器に使うだろう。スピンの刑事ローンチを発動して煙幕を張るだろう。そのたびに、左翼リベラル(しばき隊とそのシンパ)は、右翼と連携して「陰謀論」撲滅キャンペーンを展開し、スピン批判の言論を左から封殺する動きに出る。警察も検察も正常なのだと言い、捜査は安倍官邸の権力とは無関係だと強調し、妄想(「陰謀論」)を垂れ流すのはやめろと言う。こうなれば、期せずして左側からガードしてもらえ、安倍晋三の独裁権力は安泰で、謀略が謀略として世論に浮上して強く糾弾されることがない。左翼が反「陰謀論」の言説と立場に拘泥し、思考の病弊にとらわれ、権力の動きに対して鋭敏な観察できなくなっている。そのことが、安倍批判の言論攻勢を弱める要因となっている。

2019年11月24日日曜日

平気で嘘をつく安倍首相 それは驕りではなく・・・(日刊ゲンダイ)

 「ウソは泥棒の始まり」といわれ忌むべきものとされてきました。「あの人はウソ吐(つ)き」というのは勿論「あの人を信用してはいけない」という警告で、普通そう言われてしまえばその人は社会的に「お終い」の烙印を押されたことを意味しました。
 元文科省事務次官の前川喜平氏は、先の参院選で「偽造、捏造、安倍シンゾー」という卓抜した標語を考案しました。それは辛辣ではあるものの、さすがに身に備わった品位を持っていました。

 われわれが以前から聞かされていたものは「息をするようにウソを吐く」というもので身も蓋もないものでした。
 昨年一年間、「モリカケ」問題で見せつけられた安倍氏のウソ・デタラメの数々は、まさに身も蓋もないものでしたが、今年また、「桜を見る会」にまつわる安倍氏(とサポーターの菅氏)のウソ・ゴマカシをこれでもかと見せつけられました。
 この問題は「モリカケ」問題に比べると遥かに真相を直感的に理解できるものなので、その分ウソ・ゴマカシが手に取る様に分かります。

 日刊ゲンダイが「平気で嘘をつく安倍首相 驕りではなくイカれているのだ」という、これ以上はない辛辣な記事を出しました。「いい加減にして欲しい」がリアルに感じられるものです。

 ところで安倍氏は政治家になってからウソつきになったとの理解があるようですが、それは根本的に間違っています。
 安倍首相は子どもころからウソつきで、ウソがバレても常に開き直って決して「ウソ」だと認めませんでした。それは養育係の久保ウメ氏が述懐しているところです。

 夏休みの最終日、晋三氏の兄は宿題の日記ができていないと涙顔になっていたが、当人は「宿題みんな済んだね?」と聞かれると全くできていないのに平然と「うん、済んだ」と答えていました。当然学校ではバレて、罰として1週間でノート1冊を埋めて提出するよう宿題が出るのですが、それでも彼は自分ではやらないので、ウメ氏と母親の洋子氏が代りに(筆跡がバレないように)左手で宿題を仕上げることを繰り返したということです。

 その結果ウソを吐くことに全く罪悪感を持たない人間として成人したのでした。当然自己愛の強い、自己防衛本能に長けた「自己中」の人間になる筈です。あとは推して知るべしです。

追記)親から事実上放任されて成長した人間が陥る可能性のある欠陥については、下記の記事が参考になります。そこでは何故か固有名詞が出ていますが、当然一般論で語られるべき普遍性のあることです。

お知らせ
都合により25日と27日は記事の更新ができません。
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平気で嘘をつく安倍首相 驕りではなくイカれているのだ
日刊ゲンダイ 2019/11/23
「もっと国会で議論すべき大事なことがあるだろう」
「国家予算から見れば5000万円程度の事業で大騒ぎする話じゃない」

 安倍首相主催の「桜を見る会」をめぐり、野党が政権を追及し続け、それをメディアが報じることに対して批判があるが、お門違いだ。
「桜を見る会」疑惑は嘘とペテンにまみれた安倍政権の本質を表す問題である。安倍晋三という政治家が総理大臣としていかにふさわしくないかを見せつけた、これほど分かりやすい事象はない。単なる「長期政権の驕り」ではなく、平気で嘘をつく、イカれた男が首相をやっている、というすべての国民にとっての大問題なのである。

 今月8日の参院予算委員会で安倍が「招待者の取りまとめには関与していない」と答弁してから2週間。次から次へと矛盾が露呈し、安倍本人も官邸も霞が関もボロボロだ。安倍は20日の参院本会議で、事務所が「花見ツアー」への参加を地元支援者に広く募っていたこと、自身も推薦者について事務所に意見を言っていたことを、認めざるを得なくなった。
 当初「関与していない」と言い切った神経には呆れるが、「虚偽答弁だ」と突っ込まれると、「最終的な取りまとめには関与していない」と詭弁を弄して言い逃れ。訂正しても非を認めない感覚は常人の想像を超えている。

■国民をナメている
 菅官房長官もメチャクチャだ。招待者に安倍昭恵夫人の推薦枠があった一件で、発言が二転三転。20日の衆院内閣委員会で、「昭恵夫人の招待枠もあるのか」という質問に、「ありません」と答えたのだが、同じ委員会で内閣官房の役人は「安倍事務所において参加者を募るプロセスで、夫人からのご推薦もあった」と、菅とは異なる答弁。すると菅は「夫人は(事務所の)推薦作業には関与していない」とお茶を濁していた。

 安倍後援会が主催した「前夜祭」の夕食会に関する疑惑でも菅はトンデモ発言。後援会が収支に関与しない「会費制」の場合、首相夫妻が会費未払いなら法律違反になる恐れがある、と21日の記者会見で指摘されると、「首相も夫人も食事をしていない」と屁理屈をこね、開き直ったのだった。
 招待者名簿の廃棄についての内閣府官僚の「シュレッダー」答弁に至っては噴飯モノだ。共産党議員の資料要求と廃棄日が同日だったことで証拠隠滅が疑われると、「シュレッダーの順番待ち」で廃棄が遅れ、たまたま同じ日に重なったと説明。電子データも同日に廃棄しているからシュレッダー答弁は言い訳にすらならないし、シュレッダーが高性能すぎて順番待ちになどならないことはちょっと調べれば、すぐバレる。

 それでも、政府見解を崩さないためにはキテレツ答弁を繰り出すしかない官僚の苦しさ。異常異様としか言いようがない。
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)がこう言う。
不都合なことが起きると毎度、嘘で取り繕う。安倍政権は国民に対しナメてかかっています。『桜を見る会』の問題は安倍首相が公金を使って、自身の関係者に利益供与したこと。どんな言い訳をしようが、公的行事を私物化した事実から逃れられません。『国会ではもっと議論すべきことがある』という批判もナンセンスです。政治倫理の問題であり、公職選挙法(有権者の買収)という法律の問題でもある。当然、国会で議論すべき疑惑です」

自己愛と自己防衛を優先、羞恥心がない
 森友問題でもそうだったが、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」なんて嘘をつくから、閣僚も官僚も安倍を守るため、発言との整合性を取ろうとして、どんどんデタラメになる。その結果、起きたのが公文書改ざんや近畿財務局職員の自殺だった。だが、これほどのことがあっても、安倍には全く反省がない

 国会ですぐバレる嘘をつける首相。その嘘に周囲を従わせ、ツジツマ合わせを強いる首相。それがあからさまになっても恥じない首相――。オツムの検査が必要なのではないか、と心配になるが、精神科医の和田秀樹氏はかつて本紙のインタビューでこう言っていた。
〈普通の家庭に育てば、「ウソをついてはいけない」と親から教えられる。安倍首相の場合は、「ウソをついてでも権力を維持することが大事だ。どうせ大衆はすぐに忘れる」と家庭で教えられてきたんじゃないでしょうか。そうでないと、あそこまで堂々とその場しのぎのウソや言い逃れを連発することはできません。良心や羞恥心の問題ですが、安倍首相にはそれがないのだと思います〉

 恥の感覚がないのは、家庭や育ちの問題なのか。安倍の生い立ちを取材し、その人物像についての著書も出版している政治評論家の野上忠興氏はこう話す。
「安倍晋三研究で50人近い人に会って感じたのは、多感な時期に両親が選挙のため不在で、それが安倍さんの人間形成に大きく影響したのではないかということです。養育係だったウメさんが『宿題を“やったよ”というからノートを見ると真っ白だった』と言ったのが象徴的で、平然と嘘をつく。もっとも、普通は成長とともに『嘘をついてはいけない』ということを学ぶものですが、『自己愛』が強く、『自己防衛』が全てに優先される安倍さんは、そのまま大人になってしまった。その場しのぎのいい加減な答弁を繰り返すのも、恥ずかしいという気持ちより、自分を正当化することの方が大事だからです。安倍さんに付ける薬はありません」

■国会の冒涜を許してはいけない
 何度も何度も見せつけられる嘘に国民も一種の麻痺状態に陥らされるが、元参院議員の平野貞夫氏は、「国会の冒涜を絶対に許してはいけない」と苦言を呈する。国会の冒涜とは、つまり国民に対する冒涜である。平野氏はこう続ける。
「『桜を見る会』の問題には、公職選挙法や政治資金規正法など精査していけばいくつもの違反がありますが、それ以上に重大なのは、安倍首相の度重なる虚言によって、議会の秩序が破壊されていることです。本来なら、衆院議長が職権で『懲罰』を要請するような問題なのです。議長が動かないなら野党は懲罰動議を出し、それが本会議に上程されないようなら、審議を止めてでも、国民に議会のありようを示すべきだと思います」

 映画監督の三谷幸喜の最新作「記憶にございません!」は、中井貴一扮する首相が記憶喪失になったことで、過去に約束していた利権やしがらみから解放され、国民のために働く善良な首相に生まれ変わるというストーリーだ。
 記憶をなくした首相が勝手なことをするため、それまで首相を操っていた邪悪な官房長官が慌てふためく様子などが笑いを誘う喜劇だったが、フィクションだから笑っていられるものの、現実の首相が「記憶にございません」さながら嘘をつきまくるのは悲劇でしかない。イカれた首相には、一日でも早く退場いただくしかない。

政府提出の推薦名簿 6割黒塗り 功績者の名前を隠す理由とは!

 内閣府は「桜を見る会」招待者18000人のうち、各府省庁などに残っていたとする推薦者名簿4000人分を国会に提出しましたが、その6割が黒く塗りつぶされていて、氏名役職が公開されたのは各府省庁の事務次官や局長といった幹部公務員などだけでした。
 立憲民主党の蓮舫参院幹事長は「なぜ『政府推薦枠』だけがきれいに速やかに廃棄されているのか。疑惑は深まった」と述べました。
 また内閣府・内閣官房名簿情報を警備当局と共有していなかったことも判明し、政府会の開催費増加の理由に警備強化を挙げたのも虚偽であったこと明らかになりました。
 国民民主党の原口一博国対委員長は「皇室や各国の大使もお見えになる。警察庁を通して人的なふるい分けをしないのは危険だ」と批判しました。

 この名簿提出にかかわる醜態も、「隠蔽の安倍政権」を象徴するものです。「まるこ姫の独り言」と「くろねこの単語」(太字青字強調は原文のまま)の怒りのブログを紹介します。
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「政府提出の推薦名簿、6割黒塗り」

国に貢献・功労のあった人を隠す変な政権

まるこ姫の独り言 2019.11.23
初めに言って置く。
安倍支持者やネトウヨたちは、「いつまでこの問題を長引かせるのか、大事な重要案件が山積みなのに」を合言葉に「桜を見る会」を追及する野党に誹謗中傷して来たが、税金を使った「桜を見る会」を主宰して来た安倍首相側がすべての名簿を出し、「前夜祭」を主催した安倍事務所がホテルニューオータニとの交渉記録をすべて出し、その内容を事細かく説明すれば、ほとんど解決したも同然だ。
出さないから長引くのであって、長引かせているのは安倍首相側だ。。
苦情を言うのなら安倍首相に行ってくれ。
本当にどうしようもない悪辣な政権だ。
国民の貴重な財産でもある公文書でも平気で改ざん・ねつ造するし、挙句の果ては廃棄・破棄。
こんな事ばかりやっていて後世の歴史に耐えられるのか。
今さえ良ければの人間の集団のやることは、今までの常識、モラルの破壊ばかり。
これが若い人たちの言う「革新」だとしたら、どれだけ日本語を知らないのかがよくわかる。
「桜を見る会」を野党に突っ込まれたら安倍も菅も支離滅裂の言い訳ばかりしてきたが、ようやく名簿を提出する運びとなった。
が、これが本当に驚くような内容だった。

         11/22(金) 18:03配信  共同通信
政府は22日、今年4月に開催された首相主催の「桜を見る会」の招待者に関し、各府省庁が作成した推薦名簿3954人分を参院予算委員会の理事懇談会に提出した。約6割は黒塗りで、氏名や肩書は不明。安倍晋三首相ら政治枠の名簿は、廃棄済みとして公表されなかった。野党は、首相らが関係した名簿だけが廃棄される不自然さが一層際立ったとして、引き続き追及する方針だ。
>人数の内訳は外務省が各国の駐日大使などを含む891人、内閣府584人、文部科学省546人など。「公務員」「功績者」「特別」などに分類され、氏名と役職の記載欄があった。功績者は大半が、特別は全てが伏せられていた。
もう、絶句するしかない。
この名簿の「特別枠」の中身を見たらトンでもない人間が含まれているのだろう。
しかも安倍首相の政治枠は、嘘か本当か知らないが廃棄済みだと。
なんで1年もたっていないのに廃棄するのか、それも共産党議員が情報公開を請求した途端の廃棄だから、公開されたらヤバい、凄い人物ばかりなんだろう
なにもやましいところが無ければ、廃棄する筈がない。
名簿制作だってお金がかかっているし、次年度、重複したら困る事でもあり、大切なデータだ。
それを突如の破棄は、誰が考えても良い想像はしない。
一説によると、反社会の人も混じっていると言われているが、安倍首相の進退を守るために個人情報を守って貰え、お互いにウインウインと言う事か。
しかし、国に貢献・功労があった人を招待したはずなのに、なぜ黒塗りにするのか。
名誉がある事なのに、隠す必要がどこにあるのか。。
全ての元凶は、自民党枠とか安倍首相枠とか、私人の昭恵枠があるからなんだろう。
まるで、税金を使って自民党の大会かもしくは自民党パーティのような事が平然と行われていた。
共産党の質疑が無かったら、安倍政権が続く限り行われていた事だけは確かだ。
しかも年々予算を増やして。


「桜を見る会」の黒塗り名簿が物語るペテン総理の腹黒さ!! 
「功績者」の名前を隠す理由とは・・・!!
くろねこの短語 2019年11月23日
 「桜を見る会」に半グレやヤクザが参加していたことを、顔も頭も貧相な官房長官・ガースが認めたってね。さらに、内閣官房がまとめた招待者名簿を警護当局と共有していなかったことも判明。「桜を見る会」の開催経費がウナギ上りになったのは「警備強化のため」としたこれまでの答弁は虚偽の疑いも出てきちまいました。

 で、警備当局と共有していなかったという招待者名簿が、野党の追及に堪えきれなくなったのか、内閣府から渋々公開されたと思ったら、なんとおよそ4000人分の名簿のうち、6割が黒塗りだったってね。この名簿は、「公務員」「功績者」「特別」などに分類されているそうで、「功績者は大半が、特別は全てが伏せられていた」んだとか。

 そもそも、「桜を見る会」は、各界の功労者をねぎらうためのもので、そのひとたちの氏名や職業を公表して大いに称えこそすれ、けっして個人情報だなんて理由で隠蔽するものではない。さらに、すべて黒塗りの「特別」なんて枠も怪しいものだ。半グレやヤクザなんていうのが紛れ込んでいるのが発覚する危険があるから隠さざるを得ないんじゃないの・・・なんて妄想も湧いてこようというものだ。


 それにしても、こんな黒塗りの名簿提出すれば、それだけ疑惑が深まるだろうということに、なんで官僚は思いが至らないのかねえ。それとも、疑惑が深まることを期待して、わざと怪しげな名簿を出してきたのか。そうだとしたら、官僚の反乱が始まったということになるんだが、果してどうなんでしょう。ただの阿呆だったりして・・・。

 黒塗りとはいえ、ほぼ4000人分の名簿はあったわけで、てことは廃棄されたのは初老の小学生・ペテン総理や自民党などの推薦分だけってことになる。おそらく、後援会のメンバーの名前がズラっと並んでたりするんじゃないのか。どんな理由にせよ、廃棄したってことは、とうてい世間に公開できるような代物ではないということを証明したようなもので、「桜を見る会」にまつわる疑惑は、底なし沼状態に突入したってことだ。



 最後に、ペテン総理と私人の嫁はゲストとして「桜を見る会前夜祭」に出席した、というガースの言い訳なんだが、郷原弁護士が「ゲストであっても支払いがなければ無銭飲食」とツイートしているのには笑えた。「総理大臣夫妻、無銭飲食で逮捕!」の新聞見出しが、一瞬頭をよぎったのだった。

2019年11月23日土曜日

安倍内閣の総辞職はもはや秒読み段階(植草一秀氏)

 安倍首相には本来であれば命とりになる不祥事が次から次へと起きていますが決して退場しません。植草一秀氏は、安倍首相がそうした危機をその都度切り抜けてきたのは次の要因によっているとしています。
 安倍首相自身が嘘を突き通す 刑事司法当局が重大犯罪を摘発しない メディアが共通の反論を多発的にばらまく。
 安倍首相は今後もその手法を行使すれば切り抜けられると高を括っているかも知れませんが、それによって国が乱され、荒みきる悲劇は到底許されるものではありません。

 ①と②はもはや周知の事実ですが、植草氏は、③の実態について具体的に明らかにしています。
 そして国民の対抗手段としては、ⅰ主権者が不正に声を上げること 真実の声を、インターネットを通じて発し、共有すること 信頼できる政治勢力と連帯すること しかないとして、首相の釈明が虚偽であることさえ明らかにすれば「安倍首相は首相辞任に追い込まれる」「安倍首相辞任が秒読み体制に移行したと言って間違いないだろう」と述べています。
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桜散る安倍内閣の総辞職 秒読み態勢移行するなり
植草一秀の「知られざる真実」 2019年11月22日
安倍首相による不祥事があとを絶たない。政治私物化不祥事の専門商社の様相を呈している。これらの不祥事には共通する特徴が観察される。
1.安倍首相自身が嘘を突き通す
2.刑事司法当局が重大犯罪を摘発しない
3.メディアが共通の反論を多発的にばらまく。
この手法で安倍内閣は巨大犯罪事案をすり抜けてきた。これまで成功したから、今後も成功すると高を括っている。このまま進むと日本は朽ち果てる。

「いまだけ、金だけ、自分だけ」の三だけ教信者が朽ち果てる分には、自業自得、因果応報だから構わないが、三だけ教信者ではないまっとうな市民まで巻き添えになることは避ける必要がある。そのために何が必要か。必要なことを明らかにして直ちに対応する必要がある。必要なことは、
1.主権者が不正に声を上げること
2.真実の声を、インターネットを通じて発し、共有すること
3.信頼できる政治勢力と連帯すること
この三つで対抗するしかない。

安倍内閣は反論の主張を用意して、御用軍団を用いて一斉流布を行う。
マスメディアでは、産経、読売、日経グループが中核を担うが、朝日、毎日も枢要部門は政治権力によって掌握、支配されてしまっている。
そして、公共放送であるはずのNHKが、公共放送としての役割を果たさず、単なる御用報道機関=大本営と化して、日本の情報空間を徹底的に歪めている。
インターネット上ではグーグル、ヤフー、マイクロソフトの大手ポータルサイトが政治権力と癒着しており、これらのサイトに情報を無償提供している報道機関が産経系列に偏っているため、産経グループが提供する偏向しきった情報がニュース・ポータルサイトの見出しを占拠する。

新聞・テレビから情報を入手しない者の多数が、インターネット上のニュース・ポータルサイトから時事情報を入手しており、この結果、偏向情報で洗脳されてしまうという歪んだ状況が生じている。
「桜を見る会」に関しては、
・「桜を見る会」問題よりも重要な国政上の重要問題がある
・鳩山内閣下の「桜を見る会」でも首相に近い人物が招かれた
・ニューオータニで安い費用でパーティー、勉強会を開いた議員は野党にもいる
・「何がいけないのか」という声が存在する
などの、「用意された反論」が一斉に各所から流布されている
「いまだけ 金だけ 自分だけ」の三だけ教信者は、自分たちの利権、利得を守るために極めて熱心で、まめである。この人々が国政選挙に必ず足を運んで安倍自公政治を支えて、日本政治を私物化している。

拙著『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)https://amzn.to/2WUhbEK にこのことを書いた。そして、政治を私物化している首領が安倍首相自身なのだ。
鳩山元首相は「桜の見る会」に後援会関係者を招いたことを明らかにしているが招待者の数がまったく違う。安倍首相は政府主催行事を完全に私物化しているのだ。1000人単位で私的な関係者を招いていることが「政治の私物化」と批判されている
安倍首相を退陣に追い込むには、決め手が必要である。その決め手になるのが前夜祭問題だ。安倍首相はホテルニューオータニと口裏を合わせたうえで釈明したと見られるが、その説明は全面的に虚偽である疑いが濃厚である。

重要なことは、この釈明が虚偽であることを証明する証拠を確保することだ。
真実を知る者は複数存在する。
中国に「四知」という言葉がある。
「天知る、地知る、汝知る、我知る」を指す。
必ず安倍首相の嘘を証明する明確な証拠が浮上するはずだ。
「天網恢々(てんもうかいかい)疎(そ)にして漏(も)らさず」ともいう。
そのとき、安倍首相は首相辞任に追い込まれる。
安倍首相辞任が秒読み体制に移行したと言って間違いないだろう。
(以下は有料ブログのため非公開)

アベ政治の食い物にされた教育行政の惨状 (寺脇 研氏)

 文科省の官僚であった寺脇研氏が、日刊ゲンダイに「アベ政治の食い物に 教育行政の惨状」と題した連載記事をこれまで5回に渡り出しています(11/15~11/22)

 今回批判の的になった共通試験への「英語民間試験」導入は、徹頭徹尾、誤った政治主導によって産み出されたものでした。受験生の「共通ID」の発行申し込み手続きが始まる11月1日に、それまで実施すると宣言していた「導入」が一夜にして「延期」になったのは、10月25日の菅原経産相に続き1031日朝河井法相辞任したこと、これ以上萩生田文科相野党や世論の攻撃を浴びては政権そのものが危なくなるという危機感からでした。
 そもそも英語試験民営化は自民党の在野時代から構想されていたものを、安倍首相の私的諮問機関「教育再生実行会議」が1310月に第4次提言」として、TOEFL等の語学検定試験」を入試に活用するようにしたことで具体化しました。しかしその提言は単に「民間試験の活用を唱え」ただけで具体的方策のイメージを備えたものではありませんでした。
 それを下村博文文科相(当時)が天下り的に20年に実施するよう指示を出した結果、文部官僚は以後その具体化に忙殺されることになりました。
 しかしそもそもが検討不足で基本を誤ったものなので、合理的な方策が出来る筈はなく、実施直前の910になって「全国高等学校長協会(全高長)」から「導入を延期した上で制度を見直すよう求める要望書」が提出されるという醜態を演じました。前代未聞のことでした

 寺脇研氏によれば、導入を決定した下村元文科相は、一人一人の「生産性の向上」が教育の目的だと語っているということで、教育という極めて公共性の高い分野にまで、新自由主義を持ち込もうとしたと述べています。

 こんな不都合な民間試験の導入が4年後に復活することはあり得ませんが、果たして何処まで合理的な方策が出せるのか注目されます。 
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アベ政治の食い物に 教育行政の惨状 1
1日でスピード決定 政局の産物だった「英語民間試験」延期
寺脇研 日刊ゲンダイ 2019/11/15
  寺脇  京都造形芸術大学客員教授
1952年、福岡市生まれ。ラ・サール中高、東大法学部を経て、75年に文部省(当時)入省。初等中等教育局職業教育課長、大臣官房審議官、文化庁文化部長などを歴任し、2006年に退官。ゆとり教育の旗振り役を務め、“ミスター文部省”と呼ばれた。「危ない『道徳教科書』」など著書多数。前川喜平元文科次官との共同企画映画「子どもたちをよろしく」が2月公開予定。

 11月1日朝、萩生田文科相が2020年度から実施する大学入学共通テストに英語民間試験を導入する既定路線の変更を突如宣言した。実施を延期し、何と4年後の24年度を目指して再検討するというのである。
 え? 今? 何故? との驚愕が、全国の教育関係者の間に起きる。それもそのはず、この日は、来年度からの導入に伴い民間英語試験の成績を大学側に提供するための「大学入試英語成績提供システム」に使用する「共通ID」の発行申し込み手続き初日だった。
 20年度に受験して21年4月入学を目指すのは、現在の高校2年生だ。彼らは、各自「共通ID」を取得した上で希望する英語民間試験に受験申し込みを行い、3年生になったら4月から12月の間に2回まで試験を受ける。その結果が大学入試に反映されていく。
 つまり、「共通ID」発行申し込みからすべてが始まるわけで、大半の高校では、大学受験を志望する2年生全員の申込書を取りまとめて郵送したところだった。1日朝、職員室に激震が走ったのは言うまでもない。受け付ける側の大学入試センターは、7日になってようやく返送手続きを発表する慌てぶりだ。
 これだけならまだいい。最も多くの受験が予想された「英検S―CBT」は、既に予約段階で3000円の払い込みを受けており、30万人にも及ぶ大量の返金騒動となっている。

 こんな大混乱を招いた決定は、極めて短時間のうちに行われた。10月24日夜の「プライムニュース」(BSフジ)で萩生田文科相が「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえば」と発言。これが教育格差の容認ではないかと批判が集まり、謝罪、撤回に追い込まれたのだが、試験自体は予定通り実施すると言い続けてきた。
 それが、10月31日朝の河井法相辞任劇で一転する。25日の菅原経産相に続き1週間のうちに閣僚2人が不祥事辞職となる中で、「身の丈発言」が尾を引く萩生田文科相に対する野党や世論の攻撃を回避しないと政権そのものが危なくなる――。そんな懸念が政権中枢に湧いてきたのではないか
 その結果が、わずか24時間後の延期発表となった。これほど迅速な対応は、首相官邸など政権内の極めて高いレベルの意向を感じさせる。
 つまり今回の導入延期ドタバタ劇は、教育的見地からのものではなく、政局の産物以外の何ものでもない。 =つづく

アベ政治の食い物に 教育行政の惨状 2
野党時代から構想 英語試験民営化は自民政権復帰で急加速
寺脇研 日刊ゲンダイ 2019/11/16
 閣僚2人の相次ぐ不祥事辞任に続く3人目になりかかっていた萩生田文科相を守り、政権への打撃を最小限に抑えるために画策された大学入学共通テストへの英語民間試験導入延期は、典型的な政治的判断だった。受験生たちは、安倍内閣の延命策に翻弄されてしまったわけだ。
 被害は、導入初年度の受験生になるはずだった現在の高校2年生だけではない。民間試験導入を見越して準備を始めていた1年生や中学生にも及ぶ。また、高校3年生は「浪人すると英語試験制度が変わってしまう」との危惧から、志望校選択を手堅くしている生徒もおり、いまさら変更も難しい。このたびの政治的判断の影響は、それほど大きいのだ。

 しかも、そもそも導入を決めたのも政治の力なのである。最初に提言したのは、政府ではなく自民党だった。2012年12月に政権復帰した半年後の13年5月、「自民党教育再生実行本部」は第2次提言を発表している。この組織は、安倍首相が自民党総裁に返り咲いた直後の12年10月、まだ野党だった時代にいち早く設置したものだ。提言には、「TOEFL等の外部試験の大学入試への活用の促進」が記されている
 その後を追うように、第2次政権をスタートさせた安倍首相の私的諮問機関「教育再生実行会議」が13年10月に出した第4次提言で、「TOEFL等の語学検定試験」を入試に活用するよう大学に促すことを国に対して求めている。こちらも、首相の「お友達」の委員が多数入るなど、政治的要素の強い会議だ。
 どちらの提言も、英語教育や民間試験制度に通じた専門家によるものではなく、思いつきの産物とみられても仕方がない。民間試験の活用を唱えるだけで、具体的方策のイメージが論じられた形跡は見当たらない

 しかし、この2つの提言で流れは決した。前者は自民党文教族議員による直接の政治判断、後者は首相直属会議で文科相がこの会議の担当相でもある。当時の下村博文文科相は、最高諮問機関である中央教育審議会(中教審)に速やかな検討を命じ、14年12月に20年度からの新しい「学力評価テスト」の実施と、その中で民間英語試験を活用する答申を得た。この「学力評価テスト」が大学入学共通テストになっていくのである。
 英語民間試験は、政治的理由で導入延期されただけでなく、導入決定もまた、政治の産物だったのだ。

アベ政治の食い物に 教育行政の惨状 3
五輪開催20年度の改革は下村元文科相「公言」で既定路線化
寺脇研 日刊ゲンダイ 2019/11/19
 英語民間試験導入は、首相直属の「教育再生実行会議」が提言するなど政治の側の決定だったから、教育行政を担当する文科省としてもそれを最重要課題とせざるを得ない。森友・加計問題で忖度が横行したように、首相官邸の内閣人事局に人事権を握られて以来、官僚は与党政治家の忠実な下僕でなければならないからだ。
 現政権は、何よりスピードを重視する。特定秘密保護法も集団的自衛権の閣議決定も、安保法制も外国人労働者受け入れ拡大も、拙速と思えるほどの急ぎ方だった。まして、英語民間試験の導入決定時の文科相は、2012年から15年まで3年近くその座に君臨し、権勢を振るった下村博文氏である。急激な改革を求め、細密な工程表を作って官僚たちを意のままに使おうとしていた。
 その下村元文科相が、最高諮問機関である中央教育審議会(中教審)の答申が出る前の14年秋ごろから東京五輪が開催される20年度には入試改革を実施すると公言していたのだ。20年度実施は既定路線とされ、5年間のうちに準備を完了することが文科省の官僚たちの必須課題となったのは言うまでもない。
 1979年度から実施された共通1次試験は、71年に決定されてから7年間の準備期間があったし、大学入試センターという国がつくった機関が責任を持って運営する仕組みだった。対して今回は、これまで全く国が関与してこなかった英語民間試験を導入する難題を抱えているのである。
 中教審答申に先立つ14年9月に提出された専門家中心の「英語教育の在り方に関する有識者会議」の報告書でも、入試センターが独自の問題作成を行うか、民間試験を導入するかについて結論を出しかね、さらに検討が必要とされていた。報告書は、「受験料など経済格差の解消、受験機会など地域格差の解消等に関する具体的な検討が必要」と問題点を指摘していた。

■議事録は公開されぬまま…
 それらの問題解決のため省内に設置され、16~17年に議論を行った「検討・準備グループ」の議事録は公開されぬままだし、実施直前の18年12月に設置され、最終調整を行ってきたワーキンググループでも異論が出ていたらしいのに、こちらも非公開で議事録も作成していないという。
 こんな乱暴な検討は官僚として不本意なはずだが、既定路線を崩すわけにはいかなかったのだろう。初めから、実施という結論ありきの事前検討だったのである。これでは受験生の不安を払拭できるはずがない。

アベ政治の食い物に 教育行政の惨状 4
新制度開始直前 前代未聞だった「全高長」の導入延期要請
寺脇研 日刊ゲンダイ 2019/11/20
 政治の意向で導入され、今度も政治の意向で導入延期となった英語民間試験だが、導入ありきで強引に進めてきた結果、経済格差、地域格差の問題が解決できていなかったことが明白になってきた。それゆえ、延期を決めた萩生田文科相の「英断」だとヨイショする政権の御用コメンテーターがいたりする。当の文科相自身、導入延期決定後は「9月に文科大臣に就任して早々、これは止めた方がいいなと思った」と発言している。
 しかし、9月11日の就任会見以来、記者からの質問に対して実施の方向で答え続け、10月8日には「当初の予定通り2020年度から導入することとします」と明言していた。「身の丈発言」を撤回して陳謝した同29日も、導入延期したらどうかとの問いに「ぜひ、これは予定通り実施をさせていただきたいと思っています」とはっきり答えていたではないか。

■文教族の抗議は「ガス抜き」
 第一、「身の丈に合わせて頑張って」という発言自体、格差の存在を前提としたものであり、問題があるから止めた方がいいと思っている人間の口から出るはずのないものだ。導入延期は「英断」どころか、自己保身と政権擁護のためだったとしか見えない。
 一方で、柴山昌彦前文科相ら、導入を推進してきた自民党文部科学部会メンバーが萩生田文科相に抗議の決議文を手渡し不満の意を表明。しかし、その模様を伝える写真に部会メンバーと文科相が仲良く並んで納まっているのを見ると、推進派論者や民間企業などに配慮したいわゆる「ガス抜き」のようだ。現政権下では、官邸レベルの決定に彼らも従わざるを得ない。
 本来は、20年度導入を遮二無二に通してきた推進派の責任こそ問われなければならないはずだ。当初から指摘されてきた格差問題をはじめとする多くの問題点にきちんと対応しようとせず、破綻を招いたのだから。特に意思決定に関わった政治家は、森友・加計問題のように官僚に責任をなすりつけてはいけない。
 結果的に見送りになった「共通ID」発行受け付け開始日の11月1日が新制度のスタートだった。そのわずか50日前の9月10日、「全国高等学校長協会(全高長)」が導入を延期した上で制度を見直すよう求める要望書を文科省に提出した。全高長は全国の国公私立高校の校長が集まる団体であり、高校側の総意を代表する。
 その団体から実施段階で異論が出るのは、おそらく前代未聞。それほどひどい準備不足、議論不足だったのである。

アベ政治の食い物に 教育行政の惨状 5
目的は生産性向上 教育にも入り込んだ新自由主義の危うさ
寺脇研 日刊ゲンダイ 2019/11/22
 これほど準備、議論ともに不足していた中で、どうして安倍政権はこんなにも英語民間試験導入にこだわったのだろうか。
 1979年度以来40年にわたって共通1次試験、センター試験と続いてきた全国一斉入試においては、問題作成も試験実施も採点も、全て公的機関である大学入試センターによって行われてきた。2006年度から実施の英語リスニングも、ICプレーヤーを使う方式まで含め入試センターで対応してきている。
 英語4技能のうち「読む」だけだった試験に「聞く」を導入した際は入試センターに任せたのに、「話す」「書く」が入る今回はなぜ民間なのか。民間試験はこの4技能全部を有機的に結びつけて問い、結果を評価するので総合的な英語力を測れる――。これが理由とされている。入試センターが新たに同様の試験問題を開発するには、コストの問題もあるが、何より、時間を要して改革が遅れるのが痛いというのだ

 それなら、いっそ英語試験は全て民間に任せたらいいじゃないかという話になる。「読む」「聞く」だけは入試センター作成のマークシート式試験とダブるからだ。
 実際、文科省での検討過程では、その案も有力だったという。しかし、それでは全体を入試センターの責任で行っている試験の英語部分だけを完全に民間に委ねてしまうことになる。これに関しては、受験生や高校、大学の不安が大きく、こんな変則形になったのである。
 もともと民間試験導入推進派には、コストや時間面で合理性があるなら公的機関でなく営利企業も含めた民間に任せればいい、という発想が根底にある。国鉄などの民営化にはじまり、経済性や自己責任を強調する、いわゆる新自由主義だ。

■下村元文科相「生産性向上」が教育の目的
 文科省の内部検討会で民間試験活用を強力に主張した楽天の三木谷浩史会長は、その考え方を代表する経済人だ。また、導入を決定した下村博文元文科相は、一人一人の「生産性の向上」が教育の目的だと語っている。教育という極めて公共性の高い分野にまで、新自由主義を持ち込もうというのである。
 英語4技能を同時に測り、総合的な英語力を身につけてもらうのが、これから大学で学ぶ者にとって不可欠なまでに重要だというのなら、経済格差、地域格差など多くの懸念を抱える既存の民間試験を使うのではなく、じっくり準備して入試センターによる新しい試験をつくればいいではないか。それが本来の教育的配慮というものだ。