2019年3月31日日曜日

戦争法施行3年 日米の軍事一体化 加速

 憲法違反の安保法制=戦争法が施行されてから29日で3年を迎えました(制定は15年9月19日)
 
 自衛隊が米軍の艦船などを「防護」する武器等防護」は2018年には16件に達しました。これは米軍の防護を口実にいつでも攻撃国と戦火を交えるもので、直ちに「平時」から「戦時」に移行することになります。
 政府が先に打ちだした長距離巡航ミサイルの導入は、国是とされている専守防衛を逸脱するものです。
 岩屋毅防衛相は「いずも」型護衛艦「空母」改修するに当たり、戦闘作戦行動に発進準備中の米軍のF35Bが「いずも」で給油や整備を受けることも「排除されない」としました。戦争への実質的な参加です。
 危険な南スーダンから撤退して以降PKO派兵ゼロになったことにった政府は「シナイ半島多国籍軍・監視団(MFO)」への司令部要員の派遣を決定しました。
 
 こうした姿勢は、トランプ大統領が経費節減のため、イラクやアフガニスタンなどからの撤退や縮小を模索しているのと対照的す。
 19年度予算案では、トランプの求めに応じて米国製兵器の購入に過去最高の7千億円超を計上しました。安倍首相はトランプ氏の経費節減志向をこそ見習うべきです。
 
 安保法制は憲法9条で禁じられている集団的自衛権の行使を容認する最悪の違憲立法でしたが、政府はそれをテコに米軍との完全な一体化を進め、まっしぐらに軍事国家への道を歩んでいます。
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日米の軍事一体化 加速 昨年米軍防護16件 
   見えぬ実態 戦争法施行3年
 しんぶん赤旗 2019年3月30日
 違憲の安保法制=戦争法が施行されてから29日で3年を迎えました。自衛隊が米軍を「防護」する武器等防護の実施が2018年には16件に達し、17年の2件から8倍になるなど、日米の軍事一体化が加速しています。
 防衛省によると、18年は初めて弾道ミサイル警戒を含む情報収集・警戒監視活動中の米艦艇に対する防護が3回行われました。このほかは共同訓練中の防護で、航空機に対して10回、艦艇に対して3回でした。
 
 米軍などの「武器等防護」を規定した自衛隊法95条の2では、自衛隊と連携して訓練や警戒監視を行っている米軍が攻撃を受けたときは、武器を使用して反撃できます。状況によっては、一気に「平時」から「戦時」に移行する危険があります。武器使用の判断は現場の自衛官が行うため、文民統制の観点からも検証が不可欠です。
 しかし、武器等防護に関する運用指針では、防衛相は前年の活動実績を国家安全保障会議(NSC)に報告し、公開すると規定していますが、具体的な日時・場所は非公開となっています。
 
 また、「戦争司令部」とされる「同盟調整メカニズム」もすでに運用されていますが、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験を受けての日米局長級テレビ会議(16年9月、17年8月)が公表された以外、開催状況は「米軍との関係や事柄の性質上、答えを差し控える」(防衛省)との立場。国民の監視を逃れて、日米の一体化が加速しています。
 
問われる9条改憲 「空母」化改修
 安倍政権が新防衛大綱に基づいて決定した「いずも」型護衛艦の「空母」化改修が、安保法制=戦争法に基づく日米一体化をさらに加速させる危険があります。
 政府は米国から、垂直着陸・短距離離陸が可能なF35Bステルス戦闘機42機を購入し、「いずも」甲板での運用を狙っています。同時に、「いずも」から米軍F35Bの出撃も狙われています。
 
 岩屋毅防衛相は8日の衆院安保委員会で、日本共産党の宮本徹議員に対して、安保法制に基づく「重要影響事態」や「国際平和共同対処事態」(=いずれも米軍主導の海外での戦争)で、戦闘作戦行動に発進準備中の米軍のF35Bが「いずも」で給油や整備を受けることも「排除されない」と認めました。
 そうした事態を想定し、米海兵隊岩国基地(山口県)に配備されているF35Bが、共同訓練で「いずも」からの離着陸訓練を繰り返す危険もあります。
 
“派兵先”探し
 安保法制の核心部分は、自衛隊がイラク・アフガニスタンのような米軍主導の先制攻撃戦争に参加することにあります。しかし、海外での武力行使を禁じた憲法9条が“制約”となり、海外派兵路線は深刻な矛盾に直面しています。
 日本政府は米軍主導の多国籍軍参加への突破口として、92年から国連平和維持活動(PKО)への派兵を開始。南スーダンでは、安保法制に基づき、海外での武器使用要件を大幅に拡大した「駆け付け警護」任務を付与しました。自衛隊が海外で「殺し・殺される」危険が高まりましたが、自衛隊の宿営地をはさんで戦闘が発生。「紛争当事者間の停戦合意」など、憲法9条に基づいて設定された「PKO参加5原則」が崩壊し、撤退を余儀なくされました。
 
 その結果、PKO派兵は初めてゼロになりました。焦る政府は新たな派兵先を模索し、「シナイ半島多国籍軍・監視団(MFO)」への派遣を決定。安保法制に基づく「国際連携平和安全活動」の初適用となります。国連が統括しない多国籍軍へ派遣する形で、米軍主導の多国籍軍参加への突破口とする狙いですが、現時点で司令部要員のみです。
 また、米軍はイラクやアフガニスタンで「対テロ」作戦を継続していますが、縮少・撤退を模索しています。
 
 安保法制は憲法9条で禁じられている集団的自衛権の行使を容認する最悪の違憲立法ですが、それでも9条の制約は残っています。だからこそ、自らの“原点”である「血の同盟」を実現するためには、9条を変え、海外に送り込む自衛官を確保しなければならない―。それが、安倍晋三首相が改憲に執念を燃やす最大の動機です。
 9条改憲で海外での無制限の武力行使を可能にし、自衛官の戦地派兵を許すのかどうか。統一地方選と参院選の重大争点です。(竹下岳)
 
 
社説 安保法施行3年/専守防衛の逸脱どこまで  
神戸新聞 2019年3月30日
 自衛隊の任務を大幅に拡大した安全保障関連法の施行から、きのうで3年となった。
 情報公開が不十分なまま、国の基本姿勢である「専守防衛」からの逸脱が進む。国民の懸念をよそに既成事実を積み上げる動きは、加速する一方だ。
 説明に後ろ向きな安倍政権の姿勢は不誠実というしかない。
 端的な例が、自衛隊が米軍の艦船などを守る「武器等防護」である。2017年に米海軍の補給艦に初めて実施された。
 その年は2件にとどまったが、18年度は16件に急増した。
 なのに防衛省は「日本防衛のための共同訓練に参加した米艦艇、米航空機」などと示すのみで、具体的な状況は明らかにしていない。「米軍の運用に直結する内容」との理由からだ。
 安倍晋三首相は当初、「可能な限り最大限開示し丁寧に説明する」と語っていた。実際は、国民の知らないところで米軍との一体化が強まっている
 自衛隊活動が際限なく拡大する懸念が募る。政府は説明責任をきちんと果たすべきだ。
 
 「武器等防護」の他にも政府はこの3年間、南スーダン国連平和維持活動の「駆け付け警護」など、安保法の新任務を相次いで自衛隊に付与してきた。
 4月にはエジプト・シナイ半島に自衛隊員2人を派遣する。これも「国際連携平和安全活動」という新任務で、停戦監視に当たる「多国籍軍・監視団」の司令部要員を務める。さらなる実績作りが狙いだろう。
 
 これらと並行して、政府はヘリコプター搭載型自衛艦「いずも」の事実上の空母化や、敵基地攻撃能力の保有につながる長距離巡航ミサイルの導入を打ち出した。いずれも憲法の制約を逸脱する恐れがあり、歴代政権が踏み込まなかった領域だ。
 
 一方、政府はトランプ米大統領の求めに応じて米国製装備品を大量購入する。19年度予算案では過去最高の7千億円超を計上したが、米側の要請はさらに増える可能性がある。
 主権者の国民には語らず、米国には大盤振る舞いする。そうでないと言うのなら、いったん動きを止めて、国民の納得が得られるまで徹底的に議論すべきだ。このままでは「平和主義」までが形骸化しかねない。

教員への「日の丸・君が代」の強制で I LOが政府に是正を勧告

 一高の教員で敬虔なキリスト教徒であった内村鑑三氏は、1891年(明治24年)1月、教育勅語奉読式において自らの思想信条に基づいて明治天皇の「御名」に対して最敬礼をしませんでした。そのため「不敬事件」として周囲から非難され、職場を追われました。
 絶対主義的天皇制のもとで生じた不幸な出来事でした。
 
 日本国憲法では「思想・良心の自由」(第19条)や「信教の自由」(同20条)が謳われています。この憲法のもとで「君が代」の意味が信条と合わないから歌いたくないという人や、自分の価値観と合わないという人に斉唱を強制することは、あってはならないことです。政府も「国旗・国歌法」の審議で「子どもたちの内心にまで立ち入って強制しようという趣旨のものではなと述べています。
 
 ところが教育が右傾化する中で、東京都教育委員会は2003年10月、卒業・入学式などで「日の丸・君が代」を強制する通達を出しました。通達後の10年間で延べ450人の教職員が「君が代」斉唱時の不起立などを理由に処分されました。憲法違反の処分行為は、大部分が訴訟によって取り消されましたが、定年退職後の再就職を認めないケースが例外的に存在しています。
 また大阪では橋本府知事時代に大阪維新の会主導して2011年、大阪府と大阪市で公立小中高校の教職員に国歌斉唱時に起立することを義務付ける国旗国歌条例を制定しました。驚くべきことで、橋本氏の強引な性格がそのまま反映されています。
 
 この度、学校現場での「日の丸掲揚、君が代斉唱」に従わない教職員らに対する懲戒処分を巡り、国際労働機関(I LO)が初めて是正を求める勧告を出しました。
 勧告は「愛国的な式典に関する規則に関して、教員団体と対話する機会を設け国旗掲揚や国歌斉唱に参加したくない教員にも対応できるものとする」、「消極的で混乱をもたらさない不服従の行為に対する懲罰を避けるため、懲戒の仕組みについて教員団体と対話する機会を設け懲戒審査機関に教員の立場にある者をかかわらせる」ことなど求めています
 日本への通知は4月にも行われる見通しです。勧告に強制力はないものの、掲揚斉唱に従わない教職員らを処分する教育行政への歯止めが期待されます
 
 東京新聞の記事と併せて2013年のしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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「日の丸・君が代」教員らに強制 I LO、政府に是正勧告
東京新聞 2019年3月30日
 学校現場での「日の丸掲揚、君が代斉唱」に従わない教職員らに対する懲戒処分を巡り、国際労働機関(ILO)が初めて是正を求める勧告を出したことが分かった。日本への通知は四月にも行われる見通し。勧告に強制力はないものの、掲揚斉唱に従わない教職員らを処分する教育行政への歯止めが期待される。
 
 ILO理事会は、独立系教職員組合「アイム89東京教育労働者組合」が行った申し立てを審査した、ILO・ユネスコ教職員勧告適用合同専門家委員会(セアート)の決定を認め、日本政府に対する勧告を採択。今月二十日の承認を経て、文書が公表された。
 
 勧告は「愛国的な式典に関する規則に関して、教員団体と対話する機会を設ける。規則は国旗掲揚や国歌斉唱に参加したくない教員にも対応できるものとする」「消極的で混乱をもたらさない不服従の行為に対する懲罰を避ける目的で、懲戒の仕組みについて教員団体と対話する機会を設ける」「懲戒審査機関に教員の立場にある者をかかわらせる」ことなどと求めた。
 
 一九八九年の学習指導要領の改定で、入学式や卒業式での日の丸掲揚と君が代斉唱が義務付けられて以来、学校現場では混乱が続いていた。アイム89メンバーの元特別支援学校教諭渡辺厚子さんは「教員の思想良心の自由と教育の自由は保障されることを示した。国旗掲揚や国歌斉唱を強制する職務命令も否定された」と勧告を評価している。
 
 これまで教育方針や歴史教科書の扱いなどを巡る勧告の例はあったが、ILO駐日事務所の広報担当者は「『日の丸・君が代』のように内心の自由にかかわる勧告は初めてだ」と話している。 (佐藤直子)
 
 
都教委「日の丸・君が代」強制通達10年
自由と人権 学校に 撤回求めて集会
しんぶん赤旗 2013年10月21日
 東京都教育委員会が卒業・入学式などで「日の丸・君が代」を強制する通達(10・23通達)を出してから23日で10年になるのを前に、通達の撤回を求め、憲法改悪を許さず、学校に自由と人権を求める集会が19日、東京都内で開かれ、190人が参加しました。「日の丸・君が代」関連の裁判の原告団ら13団体でつくる実行委員会が主催しました。
 10・23通達が出されてから都内では、のべ450人の教職員が「君が代」斉唱時の不起立などを理由に処分されました。処分取り消しなどを求める提訴が相次ぎ、これまでに32件の処分取り消しが確定しています。
(中 略)
 
 10・23通達 2003年10月23日に都教委が出しました。「教職員は指定された席で国旗に向かって起立し国歌を斉唱する」「児童生徒の席は正面を向いて座るよう設営する」など細部まで規定した「実施指針」通りの式を強制、従わない教職員を処分することを明確にしました。通達後、現場への管理が強まり、卒業生と在校生が向かい合う形の式や「君が代」斉唱の前に「内心の自由」について説明することなどが禁じられました

31- 種子条例制定へ 共産党議員団 住民や農民・他党派と協力

 の政府与党は184、ロクな説明も行わず「主要農作物種子法」を廃止しました。
 戦中・戦後の食糧難の時代の反省から1952年に制定され国産の安くて美味い米などの安定供給実現に貢献してきた法律を、何故突然廃止したのでしょうか。
 それはグローバル種子企業(多国籍企業)が開発した一代限りの種F1品種)を普及させて、日本の農産品を支配したい外資に取って邪魔だったからに他なりません。
 確かにF1品種は収穫率が高く、品質の均一性にも優れますが、もしも法的にそれによる独占が可能になれば、以後は農民は毎年その種子を購入することになり、農家の費用が増す半面、外資は毎年莫大な収益を挙げることができます。
 種子法の廃止だけでなく、水道の民営化もしかりです。そんな売国の所業が何故平然とできるのか本当に不思議ですが、それが安倍政権の特性であって売国政権と呼ばれる所以です。
 グローバル種子企業の進出を抑えるためには、本来は種子法の廃止を取り消して復活させるべきですが、そんなことを安倍政権が認めるはずがありません
 それでそれに代わる対抗策として、都道府県でコメや麦などについて種子の生産、品質の管理、供給などを定めた条例を新たに制定する方法が採られています。3月議会までの時点で、北海道、山形、新潟、埼玉、福井、富山、岐阜、兵庫、宮崎の各道県が条例を制定したということです。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
 
  (関係記事 下記他多数)
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種子条例制定へ奮闘 住民や農民・他党派と協力 各地で共産党議員団
しんぶん赤旗 2019年3月30日
 国民に安心・安全な食料を供給するために品質の良い種子の安定供給は不可欠です。ところが自民、公明両党などの賛成で「主要農作物種子法」を18年4月に廃止。生産者や消費者の不安が広がるなか、各地の日本共産党議員(団)が住民や農民、他党派と協力し、種子法に代わる種子条例の実現へ奮闘しています。
 3月議会までの時点で、北海道、山形、新潟、埼玉、福井、富山、岐阜、兵庫、宮崎の各道県が、コメや麦などについて種子の生産、品質の管理、供給などを定めた条例を制定。宮城県では、党議員の質問に知事が制定を検討すると答弁しています。
 
 山形県では、18年6月議会で、日本共産党の渡辺ゆり子県議が「種子法廃止に伴って制定された『山形県主要農産物優良種子制度基本要領』の条例化を積極的にすすめてほしい」と質問。県が「条例制定を視野に必要な検討をする」と答弁、条例案を9月議会に提出、全会一致で可決されました。
 
政府などに対策求め
 これに先立って、県農民連と食健連が連名、または農民連単独で県内35市町村のうち17市町に、「政府及び関係機関に種子法廃止に伴う万全の対策を求める意見書」の提出を求める請願を提出。山形市議会などで採択されました。山形県農協中央会が会長と農政対策本部長の連名で、条例の制定や優良品種の種子確保に向けた政策の実施を求める要請書を吉村美栄子知事と県議会議長に提出していました。
 
 埼玉県では、県農民連が、国に対して種子法復活を求めるよう県に要請してきました。
 埼玉県議会は、種子法廃止目前の18年3月27日、「埼玉県主要農産物種子条例」を全会一致で可決。同条例は、原種・原原種の生産、在来種の維持、財政上の措置を規定しています。
 
 日本共産党県議団は、種子の安定的な開発・供給を求めてきました。3月14日の予算特別委員会では、秋山文和議員が質問に立ち、種子の多国籍企業による支配や価格高騰などを招くとの声が広がっていると告発し、条例制定を主張。県の農業関係機関の統廃合で研究員などが減少している問題も指摘し、増員を求めました。
 
遺伝子組み換え懸念
 日本最大の農業地帯・北海道では今年3月、「北海道主要農作物等の種子の生産に関する条例」が成立。道が種子生産に関する政策をつくり、種子生産者、関係機関と連携して進めるよう求めています。
 党道議団は、廃止法案が審議されていた17年3月、宮川潤議員が道議会本会議で、「法制度の廃止は行うべきではない」と主張。廃止後も、公的機関が安心、安全な種子の供給を行うことが重要だと強調し、条例の制定を要求してきました。18年12月議会でも、宮川議員が、多国籍企業の参入や遺伝子組み換え食品への懸念があることに触れ、道として対策を要求。農政部長は民間事業者の種子計画や種子審査を道として行うこと、遺伝子組み換え食品については、許可のない栽培を禁止する道条例に沿って対応すると答弁しました。

2019年3月30日土曜日

増税前の一斉値上げ 安倍政権が音頭

 この春業界団体ごとに主要企業が横並びで牛乳や即席麺、清涼飲料、冷凍食品などの値上げを発表しています(値上げは3月1日、4月1日、6月1日等)。この一斉値上げの音頭を取っているの安倍政権であることが20日の共産党・山下芳生参院議員の追及でかにされました
 消費税増税前の駆け込み購入は、消費者の知恵というよりは止むを得ない自己防衛なのですが、消費税増税前の「駆け込み需要を防ぐため」に、事前に値上げしておくことを政府自身が推奨していたのでした。安倍首相が認めました。
 
 いわば業界カルテル的な値上げを、政府自身が自分たちの都合から業界に推奨したもので違法行為です。しかもその値上げ率は220%にも及び消費税のアップ分2%をはるかに上回ります。仮に税率アップ実施時に2%値下げしたにしても、その実態は政府主導の大幅値上げです。
 それをこともあろうに倹約するには限度がある飲食料品で行うというのは、なによりも庶民を苦しめるもので、重ね重ね許されないことです。物価上昇をめざすアベノミクスが最悪の形で暮らしを破壊しようとしています。
 
 逆進性が強く弱者をいじめる消費税は廃止されるべきもので、その税率をアップすることは許されません。政府は消費税率をアップさせる口実に、増税分は全額社会保障に回すという言い方をしますが、それは全くのデタラメです。
 
 経済学者・植草一秀氏の指摘によれば、消費税が初めて導入された1989年度と2016年度の税収構造を比較すると、所得税収、法人税収、諸費税収の推移は下記の通りです。
所得税 21.4兆円 → 17.6兆円  ( 3.8兆円  
法人税 19.0兆円 → 10.3兆円  ( 8.7兆円 減 
消費税  3.3兆円 → 17.2兆円  (13.9兆円  
 法人税と所得税は合計で12.5兆円減り、消費税だけが14兆円近く増えています。つまりこの27年間、消費税率がアップして税収が増えた分、法人税と所得税を減税してきたということで、それこそが消費税を創設し、その税率を定期的にアップしようとする目的なのです。
 
 本来、政治には経済の奔流を堰き止める機能が託されている以上、庶民への思いが欠如し庶民生活について無知な人間は政治家になるべきではありません。安倍内閣にこれ以上政権を委ねることは出来ません。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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増税前の一斉値上げ 安倍政権が音頭 欧州企業の値上げ絶賛
首相、推進認める
しんぶん赤旗 2019年3月29日
 安倍晋三首相が消費税率10%への増税前の商品値上げを推奨していることを国会で認めました。「駆け込み需要を防ぐため」に増税前に商品の価格を引き上げておくという欧州企業の「工夫」を絶賛した上で、「わが国でもそういう対応をとっている」と答弁したのです(20日、参院総務委員会)。この春、業界団体ごとに主要企業が横並びで飲食料品を値上げする事態となっています。この異常な一斉値上げの音頭を取っているのは安倍政権であることが明白になりました。(清水渡、杉本恒如)
 
政府と財界一体
 首相の見解をただしたのは日本共産党の山下芳生参院議員です。牛乳や即席麺、清涼飲料、冷凍食品などの値上げ発表が相次いでいると指摘。政府が昨年11月に「消費税率の引上げに伴う価格設定」についてのガイドライン(指針=別項)を出して増税前の値上げを推奨しているのは「消費者に大打撃」になると批判しました。安倍首相は次のように答え、「国」が増税前値上げの旗振り役を務めてきたことを全面的に認めました。
 「(欧州では増税前の)駆け込み需要を防ぐためにある意味価格を引き上げ、そして消費税が上がった後もその価格を維持することによって消費が落ちないような、そういう工夫をそれぞれ(企業が)自主的な判断で行っているということに鑑み、わが国でもそういう対応をとっている」
 
 本紙の調べでは ▽日本乳業協会8社が4月1日に牛乳などを値上げ ▽日本アイスクリーム協会5社が3月1日に値上げ ▽日本即席食品工業協会10社が6月1日に即席麺などを値上げ ▽全国清涼飲料連合会4社が5月1日にペットボトル飲料を値上げ ▽日本冷凍食品協会2社が3月1日に値上げ  という業界横並びの一斉値上げが発表されています。各業界団体は会員企業に対して政府の価格改定指針を周知したことを認めています。
 
 経団連は昨年12月、会員企業に「お知らせ」を出し、政府指針の「趣旨を踏まえた対応」を求めました。その際、関係省庁からの「協力依頼」文書も公表しました。文書は「駆込み需要・反動減といった経済変動を可能な限り抑制する観点から」政府指針を周知するよう「格別の」協力を求めています。
 政府・財界が一体になって消費税増税前の一斉値上げを推進しているのです。
 
消費税増税と二重負担
 値上げが発表されている飲食料品は、消費税増税が強行されても、税率が8%に据え置かれる可能性が高いものばかりです。値上げ幅は2~20%にも及びます。政府指針が便乗値上げを促した疑いがあります。
 飲食料品の大幅値上げと、それ以外の商品の消費税増税という、二重の負担増が消費者に襲いかかります。
 
 内閣府の景気ウオッチャー調査(2月調査)によると、多くの事業者が値上げの影響を不安視しています。
 「今春より各食品メーカーが値上げを発表する。閉塞(へいそく)感は強まるばかりである」(コンビニ店舗管理)
 「食料品等の値上げが報道されており、商店街の客層である高齢年金生活者の消費が一段と落ち込むことを危惧している」(商店街代表者)
 「生活必需品の値上げが止まらない。収入は増えないのに、物価だけが上がっていく」(スーパー開発担当)
 「いろいろな商品で値上げがあり、サービス業にも影響が出るとみている。特に、宴会等は客が若干控え気味になるのではないか」(都市型ホテル営業)
 
 物価上昇をめざすアベノミクスが最悪の形で暮らしと営業を壊そうとしています。
 
連続選挙 審判必ず
消費税をなくす全国の会事務局長 木口力さん
 安倍首相がヨーロッパの例をあげて値上げを推進しているのはとんでもない話です。政府の役割は物価を安定させて国民生活を守ることです。物価上昇を政府の目標にすること自体が許されません
 飲食料品の値上げと消費税率10%への増税で国民には二重の負担増になります。統一地方選と参院選で増税勢力に厳しい審判をくださなければなりません。かつて5%の売上税を掲げた中曽根内閣は地方選で惨敗し、売上税を断念して退陣に追い込まれました。地方選にもそれだけの力があります。
 
 内閣官房、公正取引委員会、消費者庁、財務省、経済産業省、中小企業庁が連名で2018年11月28日に公表した「消費税率の引上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」(抜粋)は以下の通り。
 
■消費税率の引上げに伴う価格設定について
 ○1960年代から1970年代前半に付加価値税が導入され、税率引上げの経験を積み重ねてきている欧州諸国では、税率引上げに当たり、どのようなタイミングでどのように価格を設定するかは、事業者がそれぞれ自由に判断しています。このため、税率引上げの日に一律一斉に税込価格の引上げが行われることはなく、税率引上げ前後に大きな駆け込み需要・反動減も発生していません。
 ○消費税転嫁対策特別措置法により、「消費税はいただいていません」「消費税還元セール」など、消費税と直接関連した形で宣伝・広告を行うことは禁止されていますが、これは事業者の価格設定のタイミングや値引きセールなどの宣伝・広告自体を規制するものではありません。例えば、「10月1日以降○%値下げ」「10月1日以降○%ポイント付与」などと表示することは問題ありません
 ○従来、消費税率の引上げを理由として、それ以上の値上げを行うことは「便乗値上げ」として抑制を求めてきましたが、これは消費税率引上げ前に需要に応じて値上げを行うなど経営判断に基づく自由な価格設定を行うことを何ら妨げるものではありません
 
庶民生活わかってない 首相訪問の商店街怒る
 キャッシュレスをアピールするために安倍晋三首相が2月2日に訪問した戸越銀座商店街(東京・品川区)。労働組合や民主商工会などでつくる品川の消費税廃止各界連絡会は25日、同商店街で宣伝・署名に取り組みました。
 安倍首相が訪問した日は政府関係者や警備員、報道陣でごった返しました。買い物客からは「安倍、帰れ!」の声がかかりました。
 
 安倍内閣が旗を振る食品値上げは、家計を直撃します。各界連の署名に応じた女性(83)は医者にかかった帰りに商店街によりました。「毎日、安いものを探してお店を回っている。テレビでサバ缶が体にいいと聞きました。値段もお手頃なのでよく使っています。今回値上がりすると聞いてがっかり。消費税を上げておいて、トランプ米大統領の言いなりに、ノーベル平和賞の推薦だとか武器の購入とかしている。太鼓持ちね」
 70歳の男性は署名を書きながら、安倍首相は「庶民の暮らしがわかっていない」と怒ります。「毎日の生活をやりくりするので必死です。消費税増税されたらどうすればいいのか」
 女性は(82)は「いまは詐欺みたいな政治が横行している。消費税は福祉などに使うといってきたのに、年金が減っているのはおかしい。増税はやめてほしい」と怒り顔でした。
 
「増税対策」 混乱が心配
東京・品川 戸越銀座商栄会商店街振興組合理事長 小谷野敬子さん
 日本共産党・おくの晋治品川区議会議員は25日、地元の戸越銀座商店街で商栄会商店街振興組合の小谷野敬子理事長(電器店経営)と懇談。おくの区議が前回消費税増税時の影響について尋ねると、「増税前に電池や電球を多めに買う人が目立った。増税後は売り上げに影響した」と話します。
 10%への増税については「増税対策で混乱するのではないか」と不安が広がります。「ポイント還元がいわれていますが、年配の利用者が中心の当店ではほとんど現金での支払い。周りのお店も対応していないところが多い。軽減税率も店内飲食と持ち帰りで変わるのでは、計算がややこしくなるのではないか」と話しました。