2016年8月31日水曜日

ヒラリー・クリントンが大統領になれば数年で核戦争が勃発する

 あいば達也氏がブログ「世相を斬る」で、ヒラリー・クリントンは超過激な好戦女性であるとして、「ヒラリーがホワイトハウスの主になった時には、数年以内に、EUとロシアの国境周辺で、NATO軍とロシア軍の戦争の火ぶたを切ると確信している」、「プーチンは、アメリカ傀儡のNATO軍と足元で戦い続ける愚は犯さないだろう。一定のつき合い交戦はしても、敵は本能寺にありと、米国本土に交戦の舞台を移すことは想像がつく」、「そうなれば大陸間弾道弾(ICBM)による核戦争になり、地球上は放射能で汚染される」、と述べました。
 
 そうなって欲しくないのは言うまでもありませんが、近未来に起きる最大限の不幸を予測したブログです。
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世界を震撼させる米露のいがみ合い ヒラリー対プーチンと云う悪夢 
世相を斬る あいば達也 2016年08月31日
久々に、ロシアはどうなっているのか、色々と覗いてみた。その発端は、アメリカ大統領選における、トランプ追い落としの“メディア・スクラム”が成立している現実だ。このあからさまなメディア戦略が功を奏す保証はないが、現状分析では、ヒラリークリントンが第45代米大統領になる確率が高いのだろう。ロイター/イプソスの調査では、現時点(8月24日)に“米大統領選挙”が実施された場合、民主党候補のヒラリー・クリントン氏が激戦州のフロリダ州、オハイオ州、バージニア州などを制し、共和党候補のドナルド・トランプ氏を95%の確率で破り当選すると調査結果が示しているそうだ。まあ、削除された、ヒラリーの問題メール“失われた3万通”が、ウィキリークス、乃至はロシア在住のスノーデン氏などから公開されれば、一気に形勢逆転というか、候補辞退まで視野に入る。 
 
 正直、クリントン夫婦が、ウオール街、銀行、軍産複合体、イスラエル・ロビー、モンサント等々、米国、否、世界の権力を欲しい儘にする連中の代理人であり、且つ、戦争好きなのだから、相当に怖い話だ。結果的に、国民よりもマネーに貢献する政治経済を行っているのが、ビル・クリントン以降の、ホワイトハウスの住民の不文律になっている。このことは、半ば公然と理解されている事実だが、アメリカの支配層の人々すべて、及びマスメディアが黙して語らない。それどころか、ヒラリーに敵対するトランプを真昼の公然わいせつのように虐待するのだから、凄い民主主義国家だ。 
 
 ヒラリーは、プーチンロシア大統領を名指しして、「新たなヒトラーだ」とまで公言した。冷戦時代の「キューバ危機」以来の、核戦争の危機を煽ることを平気で口走る超過激な好戦女性だ。民主党でありながら、ネオコンとの結びつきが強く、中国とロシアは、アメリカの覇権維持において、邪魔以外の何者でもないと思い込んでいる。筆者などは、ヒラリーがホワイトハウスの主になった時には、数年以内に、EUとロシアの国境周辺で、NATO軍とロシア軍の戦争の火ぶたを切ると確信している。この時、ロシアは、まだプーチン政権下にあるだろうから、プーチンが白旗をあげることは想像しがたい。 
 
 プーチンは、アメリカ傀儡のNATO軍と足元で戦い続ける愚は犯さないだろう。一定のつき合い交戦はしても、「敵は本能寺にあり」と、米国本土に交戦の舞台を移すことは想像がつく。この時、ロシア国民とアメリカ国民のどちらが失うものが多いのか、そこがポイントだ。日本と中国が交戦した場合にも言えることだが、どちらの国民がより大きな悲鳴を上げるかと云うことだ。米ロの交戦になった場合、互いに核爆弾と大陸間弾道弾(ICBM)保持しているので、互いに発射した数発が、双方で撃ち落とすとしても、幾つかは必ず着弾し、双方に被害をもたらすことは必至だ。 
 
 つまりは、世界核戦争となるリスクは、相当の確であると思っておた方がいい。無論、そんな確率論で覚悟しろと言われても、何を覚悟して良いのかは、実際問題、坐して死を待つのみだろう。しかし、今の米大統領選の成り行きは、アメリカの権力構造が悉く、ヒラリー大統領を希求している。その目的は、アメリカの、世界のエスタブリッシュメントの総論なのだろうが、そのエスタブリッシュメントの存在も、持続可能な地球があってこそであり、地球上が放射能塗れになっても、マネーを握って離さないと云うのは、笑い話の落ちにもならない。 
 
 以上、筆者の推論から妄想までを記述したが、現実はどうなるのだろう。まあ、筆者も、60年近く生きてきているので、それほどこの世に未練はないのだが、地球上の半分が放射能汚染すれば、最終的には、人類が滅びることになるのかもしれない。個人的には、そのような地球最大の滅亡ショーを目撃するのも悪くないかな?と思う面もある。好んで、そうなるとは思わないが……。それで思い出したのが、以下のトム・クランシーによる『米露開戦』だ。以下は、新潮社のサイトからの著作紹介である。ひと言つけ加えておけば、クランシーの傾向は、マッチョで正義のアメリカンなので、好感は持てないが、専門的視点も多いので、実戦の真実の一部に触れることは出来る。 
 
『米露開戦』(トム・クランシー他)
【ソ連のような大ロシア帝国の建国なるか。ロシアのウクライナ侵攻を予言した巨匠の遺作。 米露開戦1 トム・クランシー/著、マーク・グリーニー/著、田村源二/訳】 
ロシア政府はシロヴィキといわれる治安・国防機関の出身者に牛耳られていた。彼らは、特権により私腹を肥やし、メディアを操り、体制批判者の暗殺さえ厭わない。ヴォローディン大統領がその筆頭で、彼はかつてのソ連のような、大ロシア帝国を築こうとしていた。その突破口として目をつけたのが、ウクライナだった――。ロシア軍のウクライナ侵攻を、見事に的中させた巨匠の遺作! 
   (後 略

31- 今、憲法を考える (1)、(2) (東京新聞)

 東京新聞が社説で、「今、憲法を考える」を連載しています。
 第1回目は、当時の首相幣原喜重郎が、憲法9条をマッカーサーに提案したことを取り上げています。
 日本の平和憲法を忌避する人たちは「憲法はアメリカが押し付けたもの」という主張を繰り返しますが、当時の事情を詳しく見ればそれは成立しません。その中でも後に明らかにされた「憲法9条をマッカーサーに提案したのは幣原喜重郎」という事実は、とりわけ雄弁にそのことを否定しています。
 
 この幣原提案説に対しては根強い反対論もあって、幣原の提案が閣議を経たものではないこと、46年28日にGHQに提出された日本政府の「憲法改正要綱」に全く反映されていないこと、幣原のその前後の言動には「戦争放棄の提案」と矛盾するものがあること などが根拠になっていますが、それについては幣原自身が、その提案は、「天皇の人間化」と一対で行われたものなので、国体に触れる内容を口外することはできず、マッカーサーに直に伝えるしかなかったと述べているので、否定の根拠にしているのは「的外れ」です。
 
 第2回目は、日本国憲法の究極の原理ともいうべき「基本的人権」は、どんなことがあっても奪われることはないものであって、「世界人権宣言」と整合するとともに、「戦争犠牲者から常に問い掛けられている」ものだと述べています。
 
 そして憲法97 <基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託された>
を全文削除しようとする自民党の憲法改正草案は、権利を奪う権利はない」という、過去から受け継いできた真理に反するものだとしています
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社説今、憲法を考える(1)平和の道しるべたれ 
東京新聞2016年8月29日
 マッカーサーの執務室が今も残っている。皇居堀端の第一生命本社ビルの六階。連合国軍総司令部(GHQ)が一九四五年の終戦後、そこに置かれた。執務室は広さ約五十四平方メートル。引き出しのない机と革製の椅子…。背もたれのばねが弱り、今は座ることを許されない。
 
 四六年一月二十四日。当時の首相幣原喜重郎は正午にGHQを訪れた。年末から年始にかけ肺炎で伏せっていたが、米国から新薬のペニシリンをもらい全快した。そのお礼という口実をもって、一人で訪問したのである。
 お礼を述べた後、幣原は当惑顔をし、何かをためらっている様子だった。最高司令官のマッカーサーが「意見を述べるのに少しも遠慮する必要はない」と促すと、幣原は口を開いた。
 何と「戦争放棄」の条項を新憲法に入れる提案をし始めたのだ。日本が軍隊を持たないということも…。「マッカーサー回想記」の記述だ。こう続く。
 
 <私は腰が抜けるほどおどろいた。(中略)この時ばかりは息もとまらんばかりだった。戦争を国際間の紛争解決には時代遅れの手段として廃止することは、私が長年情熱を傾けてきた夢だった>
 二人の会談は三時間に及んだ。マッカーサーは後に米国議会上院でも同じ趣旨の証言をした。
 
 また五七年につくられた憲法調査会会長の高柳賢三がマッカーサーに書簡を出したことがある。戦争放棄はどちら側から出た考えなのかと-。
 五八年十二月に返信があった。その書簡でもマッカーサーはやはり幣原による提案だと書いていた。今年になって、堀尾輝久東大名誉教授が見つけた新史料である。こう綴(つづ)られている。
 <提案に驚きましたが、心から賛成であると言うと、首相は、明らかに安どの表情を示され、わたくしを感動させました>
 
 幣原側にも史料がある。五一年に亡くなる十日ほど前に秘書官だった元岐阜県知事平野三郎に東京・世田谷の自宅で語った文書である。その「平野文書」が国会図書館憲政資料室に残る。
 <風邪をひいて寝込んだ。僕が決心をしたのはその時である。それに僕には天皇制を維持するという重大な使命があった>
 <天皇の人間化と戦争放棄を同時に提案することを僕は考えた>
 
◆天皇制存続と絡み合う
 オーストラリアなどは日本の再軍備を恐れるのであって、天皇制を問題にしているのではない、という幣原の計算があった。戦争放棄をすれば、天皇制を存続できると考えたのだ。この二つは密接に絡み合っていた。そして、マッカーサーと三時間かけて語り合ったのである。
 <第九条の永久的な規定ということには彼も驚いていたようであった。(中略)賢明な元帥は最後には非常に理解して感激した面持ちで僕に握手した程であった>
 <憲法は押しつけられたという形をとった訳であるが、当時の実情としてそういう形でなかったら実際に出来(でき)ることではなかった>
 
 「平野文書」は九条誕生のいきさつを生々しく書き取っている。
 むろん、この幣原提案説を否定する見方もある。GHQに示した当初の政府の改正案には「戦争放棄」などひと言もなかったからだ。大日本帝国憲法をわずかに手直しした程度の内容だった。かつ、二人の会談は録音がないから、明白な証拠は存在しない。ただ、会談から十日後に示されたマッカーサー・ノートと呼ばれる憲法改正の三原則には、戦争放棄が入っている。
 ドイツの哲学者カントは十八世紀末に「永遠平和のために」で常備軍の全廃を説いた。第一次大戦後の二八年にはパリで戦争放棄をうたう不戦条約が結ばれた。実は大正から昭和初期は平和思想の世界的ブームでもあった。軍縮や対英米協調外交をすすめた幣原もまた平和主義者だった。
 
◆戦後国民の願いでも
 憲法公布七十年を迎える今年、永田町では「改憲」の言葉が公然と飛び交う。だが、戦争はもうごめんだという国民の気持ちが、この憲法を支え続けたのだ。多くの戦争犠牲者の願いでもあろう。行く末が危ういとき、この憲法はいつでも平和への道しるべとなる。
 私たちは憲法精神を守る言論に立つ。戦後の平和な社会は、この高い理想があってこそ築かれたからだ。一度、失えば平和憲法は二度と国民の手に戻らない。
 読者のみなさんとともに、今、あらためて憲法を考えたい。
 
 
(社説)今、憲法を考える(2) 過去幾多の試練に堪へ  
東京新聞 2016年8月30日
 詩人の谷川俊太郎さんが世界人権宣言を訳している。一九四八年、国連で満場一致で採択された宣言である。
 
 第一条は-「わたしたちはみな、生まれながらにして自由です。ひとりひとりがかけがえのない人間であり、その値打ちも同じです」。
 第三〇条は「権利を奪う『権利』はない」。真理である。例えば基本的人権はどんなことがあっても奪われない。たとえ国民が選んだ国家権力であれ、その力を乱用する恐れがあるため、憲法という鎖で縛ってある。その目的は人権保障であり、個人の尊重である。
 
 日本国憲法九七条はこう記す。
 <基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託された
 
 信託とは信頼して管理や処分を任せることである。憲法学者の石川健治東大教授によれば、信託者、受託者、受益者の三者からなる。この九七条では過去の国民が現在・将来の国民に信託している。受託者は受益者のために厳粛な責任を負うという意味である。受益者は将来の国民でもある。
 そうして過去・現在・未来をつないでいるわけだ。そもそも戦争の犠牲の上にある憲法だ。
 「戦争犠牲者から常に問い掛けられている部分で、この憲法の深みにつながっています。見えない原動力です」と石川氏は語る。
 国民への信託は憲法一二条とも響き合う。自由と権利のために国民に「不断の努力」を求める条文である。憲法は権力を縛る鎖であるから、憲法を尊重し、擁護する義務に国民は含まれない。だが、信託によって、国民は道徳的に、そして道義的に「不断の努力」が求められる。
 人間とはある政治勢力の熱狂に浮かれたり、しらけた状態で世の中に流されがちだ。移ろいやすさゆえに、過去の人々が憲法でわれわれの内なる愚かさをも拘束しているのである。
 
 「信託」の言葉は、憲法前文にも「国政は、国民の厳粛な信託による」と記されている。この受託者は代表者であり、やはり道徳的な重い責任を負う。未来の国民のために信託を受け努力する。それが憲法に流れる精神である。
 自民党の憲法改正草案は、その重要な九七条を全文削除する。権利を奪う「権利」はない-、それが過去から受け継ぐ真理だ。

2016年8月30日火曜日

核の先制不使用で 抑止力は下がるのか?(美根 慶樹 氏)

 ワシントン・ポスト紙15日、「安倍首相は、もしオバマ大統領が先制不使用宣言をすると北朝鮮などへの核抑止力が損なわれ、紛争の危険が増大するという考えを米国太平洋艦隊のハリス司令官に伝えた」と報じたことに対して、安倍首相はそんな発言はしていないと必死に否定しました。
 ハリス氏にそう伝えたかどうかはともかく、安倍氏を含む日本側の関係者が米国に対して、核の先制不使用宣言をするなどはとんでもないことだと必死に反対したことは事実です。
 
 一体「核の先制不使用宣言」をすれば、本当に核抑止力は失われるものなのでしょうか。多くの人が安倍氏らの感覚に違和感を持った筈です。
 その問題について元外交官の美根慶樹氏が、簡潔で明快な回答をTHE PAGE紙に寄せていますので紹介します(美根氏のプロフィールについては記事の末尾を参照ください)。
 同氏の論文はこれまで2回紹介しましたが、いつの場合でも簡潔で明快な表現がされているので十分に納得することができます。
 
2016年5月6日 日本は法的に核兵器の使用は勿論保有も認められない 
2016年1月13日 永世中立国スイスと日本の平和憲法(美根慶樹 氏) 
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オバマ大統領が検討する「核の先制不使用」 抑止力は下がるのか?
美根 慶樹 THE PAGE 2016年8月28日
 米国が検討しているという核兵器の「先制不使用」宣言。「抑止力」の問題などが取り沙汰されていますが、どう見るか。元外交官で国連軍縮大使を務めた美根慶樹氏に寄稿してもらいました。
 
広島訪問を踏まえて検討か
 最近、米国のオバマ大統領が核兵器の先制不使用宣言を行うことを検討しているということが判明し、日本政府は米国政府に対し、そのような宣言を行うことについての懸念を伝えたという趣旨の報道がありました。
 「核の先制不使用」とは、核兵器を相手国より先に使用しないとする政策です。相手国と言うのは、通常、紛争の相手国という意味です。
 オバマ大統領はさる5月末、米国の大統領として初めて被爆地、広島を訪問しました。その際の演説では、罪のない人々が犠牲になったことに触れつつ、「広島と長崎は道徳的に目覚めることの始まり」と述べ、「核のない世界」を追求していく考えを示しました。
 核の先制不使用宣言は広島訪問を踏まえて検討されるようになったと思います。オバマ大統領は来る国連総会でその考えを表明することを考えていたようです。
 
安倍首相は米紙報道を否定
 先制不使用宣言の構想に関し、米国のワシントン・ポスト紙は8月15日、「安倍晋三首相は、もしオバマ大統領が先制不使用宣言をすると北朝鮮などへの核抑止力が損なわれ、紛争の危険が増大するという考えを米国太平洋艦隊のハリス司令官に伝えた」という趣旨を報道しました。
 しかし、その後安倍首相は、ハリス司令官との間で「核先制不使用についてのやり取りはまったくなかった。どうしてこんな報道になるのかわからない」と記者団に述べ、ワシントン・ポスト紙の記事を真っ向から否定しました。
 なお、安倍首相が7月26日、ハリス司令官に会ったことは公表されており、その会談内容の発表には先制不使用宣言に関する言及は含まれていませんでした。真相はどうだったのか、検証していけばさらに詳しい事情が見えてくるかもしれませんが、残念ながらこの種の会談においては必ずしも全貌が見えないままになることがあります
 
核を「使わない宣言」ではない
 核兵器の先制不使用宣言は過去に若干の例があります。中国は1964年に初めて核実験を行った時からこの宣言を行い、その後、一貫してこの方針を維持しています。ロシアも一時期先制不使用宣言をしていましたが、現在はそのような政策ではありません。いずれも防御的姿勢を強調するための宣伝でした。
 
 米国は、核についていつ、どのような状態で使用するかなど明確にしなことを基本方針としており、先制不使用の考えはとっていません。
 しかし、先制不使用宣言にどれほどの意義があるか、多くの専門家、研究家の間では疑問視されています。たとえば、宣言をするのとしないのではどのくらい違うでしょうか。先制不使用は相手が核攻撃を開始しない限りこちらからは核攻撃しないということで、言葉の上では明確かもしれませんが、宣言でいう「開始」といっても簡単でありません。「開始」は「発射」と考えてよいでしょうが、核搭載ミサイルの発射か、発射命令か、発射準備かで発射時点は違ってきます。超高速度のミサイルにとってこの差は大きな違いです。また、実際に核戦争になったとしてもどの国も決して「先に核攻撃した」とは認めないでしょう。
 
 米国が先制不使用宣言をすれば抑止力が低下するというのは物事を過度に単純化しており、思い込みに過ぎません。宣言をしてもしなくても重要なことは米国が核を使うかもしれないということであり、このことが変わらない限り、抑止力に変化はありません。先制不使用宣言をすると抑止力が低下するのであれば、中国の核抑止力は他の核保有国に比べて低くなりますが、そんなことはないでしょう。
 
 日本は核兵器に世界で最も敏感な国です。核の先制不使用宣言をするべきでないということにこだわると、日本は核兵器の使用に最も積極的だと誤解されて伝えられる恐れがあり、核軍縮に積極的に取り組んでいる日本の立場は損なわれるでしょう。本来それは不正確な報道だったかもしれませんが、そのような危険は現実に起こっています。その観点からも先制不使用宣言を抑止力の低下に安易に結び付けるのは問題です。
  
■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹

30- ヒラリー・クリントンは極め付きの好戦派 +

 安倍内閣の女性閣僚の面々を見れば、いまや「女性は平和の使徒」などと見る人はいません。
 オバマ大統領府にはビクトリア・ヌーランドという女性の国務次官補がいて、欧州・ユーラシアを担当していますが、彼女も極め付きの好戦派で、先のウクライナにおけるクーデターの際には実際に現地に赴いて親米派の連中とその段取りを打合せしました。彼女はヒラリー・クリントンと極めて親しい間柄だと言われています。
 
 ロナルド・レーガン大統領時代に経済政策担当の財務次官補を務めた著名なコラムニスト:ポール・クレイグ・ロバーツ氏も、ヒラリー・クリントン大統領候補を「最右翼の好戦派」と批判してやみません。
 「マスコミに載らない海外記事」で取り上げた彼の記事だけでも、8月だけで実に8本の記事でヒラリー・クリントンを取り上げています。
 下にその一覧を示しますが、このうち茶色文字で表示した記事では、ヒラリーのことを「ヒトラリー」と呼んでいます。かつてのナチスドイツのヒトラーと重ね合わせた呼び名であるのは言うまでもありません。
 
8月29日 トランプ 対 ヒラリー:最終弁論
8月20日 ロシア人を殺す-元CIA副長官、アメリカの二枚舌を明確化
8月19日 先細りの環太平洋協定:アメリカ選挙と自由貿易の政治的駆け引き
8月18日 ヒラリー・クリントンン-歴史は繰り返すだろうか
8月13日 冷戦と新冷戦再考
8月6日  帝国の亀裂
8月5日  民主党:マッカーシーとリンドン・ジョンソンの党
8月3日  アメリカ政府が子供を拷問というヒューマンライツウォッチ報告書
 
 29日の記事は「トランプ 対 ヒラリー:最終弁論」と題しています。
 これが彼女を取り上げる最後の記事になるとはとても思えませんが、これまでの批判を一旦総括するという意思のもとに題したものと思われます。
 櫻井ジャーナルの記事も併せて紹介します。
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トランプ 対 ヒラリー最終弁論
マスコミに載らない海外記事 2016年8月29日
Paul Craig Roberts 2016年8月25日
今年11月のアメリカ大統領選挙で、アメリカ国民の大多数が、救いようのないほど愚かなのかどうかが分かる。もし有権者がヒラリーを選べば、アメリカ国民は救い難いほど愚かであることを我々は知ることになる。
トランプについて我々は良く知らず、事実ではなく、反トランプ・プロパガンダが支配している。
だが我々はヒラリーに関しては多くの事実を知っている。彼女が機密種別分けの法律に違反したこと、民主党政権が、それについて何をするのも拒否したことを我々は知っている。民主党は、法律を実行するよりも、ホワイト・ハウスの支配を優先して、アメリカにおける法の支配が横たわっている柩に、とどめの釘を打ち込もうとしている。
彼らの言動、そして物質的成功から、クリントン夫妻が、ウオール街、巨大銀行、軍安保複合体、イスラエル、アグリビジネスや、採取業界の代理人であることを我々は知っている。二人の膨大な個人的財産、約1億2000万ドルと、夫妻財団の16億ドルの大半が、政治的便宜を計らう見返りに、海外から得たものであることが、クリントン夫妻は、アメリカを支配している、実際、オーストラリアから、日本、北アメリカや、ヨーロッバや、東欧、そしてロシア国境に到るアメリカ帝国を支配しているひと握りの集団の代理人なのだという疑いようのない事実を証明している。
 
ヒラリーが、夫のビル同様、ウソつきなのを我々は知っている。
ヒラリーが、戦争屋なのを我々は知っている。
ヒラリーが、これまでの大統領候補によるものの中で、最も無責任な発言で、ロシア大統領は、“新たなヒトラー”だと宣言して、核大国間の緊張を、冷戦時代の緊張よりも高いものにしたことを我々は知っている。
ヒラリーがネオコンと手を組んでおり、アメリカの世界覇権というネオコン・イデオロギーに対する彼女の思い込み ロシアと中国との戦争をもたらす結果になる可能性が高いことを我々は知っている
 
我々が、トランプについて知っていることと言えば、巨大な政治力持ったひと握りの支配集団、アメリカの雇用を外国に送り出した連中、アメリカを、なかなか同化しない移民だらけにした連中、公教育を破壊した連中、ウオール街や“大き過ぎて潰せない銀行”を救った連中、アメリカの自宅所有者や、固定した収入で暮らす退職者を犠牲にした連中、社会保障もメディケアも、民営化するのを狙っている連中、市民を殺害する警官や、容赦ないプライバシー侵害や、世界最多の刑務所収容者を生み出し、アメリカ国民に対する行政権力を強化する為、アメリカ憲法を破壊した連中が、トランプに猛烈に反対しているということだけだ。この反対が、トランプこそ、我々が大統領執務室にいて欲しいと思う人物であることを語っている。
 
全ては茶番で、トランプは、ヒラリーを選出するための役を演じていると主張する人々もいる。アメリカ政治は、実に腐敗しているので、どんなこともあり得る。だが、支配層エリートと連中の傀儡は、自分たちの支配に対する、トランプの挑戦を本気で懸念しているように見えるし、連中は、トランプ反対で団結している。連中は大金を使って、“進歩派”ウェブサイトを買収し、印刷媒体とTVに金を出して、反トランプ・プロパガンダをインターネットに進出させ、インターネットの売女マスコミと、印刷媒体、TVと、NPRの売女残業させて、トランプを悪魔化し、ヒラリーを選ばせようとしている
 
アメリカの権力構造丸ごと、ヒラリー支持だ。既存政治勢力の民主党も共和党も、ネオリベラルと、ネオコン双方のイデオロギーも、ヒラリー支持だ。
ヒラリーへの投票が自らの無力化への賛成投票であることを悟るのに、アメリカ国民は、これ以上どれだけ証拠が必要なのだろう?
どうやら、アメリカ人は、その無頓着さの虜になったままのようだ。ニュース報道によれば、有権者の大多数は、ヒラリーに投票した結果がどうなるのか、いまだに分かっていない。世論調査はヒラリーが大差でリードしていると報じている。こうした報道は本当の世論調査なのだろうか、それともトランプ支持者を落胆させるための売女マスコミによる、もう一つのウソなのだろうか? もう負けているのだから、投票に行っても無駄だよと。
 
トランプに対するプロパガンダ攻撃は実に激しかったが、共和党予備選挙では成功しなかった。マスコミによるトランプ非難にもかかわらず、他の共和党候補者連中を、彼は易々と一掃した。
現在のマスコミによるトランプの悪魔化も失敗する可能性がある。実際、あまりにあからさまなので、彼が選ばれそうなくらいだ。
 
もっぱら必要なのは、十分な人数のアメリカ国民を無頓着さから目覚めさせ、トランプに激しく反対している連中は、自分自身の生活、自分自身の生活水準や、自身の自由に対する敵であると認識させることだ。
もしアメリカ国民がこの理解に至れなければ、彼らに未来はなく、地球にとっても、未来はない。
ひと握りの支配集団は、彼がロシアとの戦争を否定し、NATOの目的に疑問を投じ、アメリカ人の雇用の海外移転に反対し、アメリカ合州国を、まとまりの欠けた多文化組織へと変えつつある野放しの移民に反対しているがゆえに、トランプを憎悪しているのだ。巨大な政治力持ったひと握りの支配集団は、アメリカ合州国をバベルの塔に変えようとしている。まとまりのない多様性の中では、ひと握りの支配集団の力が指数関数的に増大する。
言い換えれば、トランプは、アメリカのため、アメリカ人のためを思っているのだ。
ひと握りの支配集団と、連中のたいこもちが、トランプを憎悪するのはこれが理由だ
 
ヒラリーに投票する大間抜けなアメリカ人は、戦争と自分自身の貧困化に投票しているのだ。
トランプに投票しても、同じ結果になる可能性もある。しかしトランプの場合は、それが確実かどうかは分からない。ヒラリーの場合、我々はまず確実にそうと分かっている
もちろん、アメリカ人の投票だけが問題ではない可能性もある。電子投票装置をプログラムする連中が、投票結果を決定し、二大既存政治政党の支配層は、全面的に、トランプに反対なので、そのようにプログラムされた装置がヒラリーを選ぶ可能性はある。わが国の選挙の実績から、我々はそれを知っている。アメリカは、既に、出口調査でわかる勝利候補者が、投票用紙の証拠を残さず、票を確認する方法がない電子投票装置によって選ばれた候補者と異なる選挙を経験している
 
もしヒラリーが大統領執務室入りすれば、一期目の任期終了前に、核戦争になる可能性がある。ヒラリーへの投票は、核戦争への投票だ。
来る選挙を、現実的な目で見れば、売女マスコミ丸ごとと、アメリカ支配体制は、有権者によって、政府に対する支配を失うリスクより、核戦争のリスクを好んでいると結論する以外の道はないことがわかる。
アメリカ人が、責任を負わない権力の勃興を許してしまった事実から、我々が知るべきなのは、国民による職務怠慢のかどで、アメリカ合州国民が有罪だということだ。アメリカ人は、責任を負う政府を必要とする民主主義を維持しそこねたのだ。アメリカ政府は、自ら、アメリカ憲法にも、アメリカ法にも、国際法にも、有権者にも、説明責任を負わないことを証明している。
もし、アメリカ国民の職務怠慢の結果が、核戦争なのであれば、アメリカ国民は、地球の死にも責任があることになる。これだけ重い責任を背負えば、アメリカ国民とて、疑う余地のない戦争候補者を拒否し、彼の発言に責任を取らせるべく、トランプに賭けてみても良いではないかと思いたくなる。
 
Paul Craig  Roberts
  元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
 
ヒラリーが親しいリン・フォレスター・ド・ロスチャイルドが結婚する直前にビル政権が好戦的に    
櫻井ジャーナル 2016年8月30日
 自分自身の電子メールを大量に消去したヒラリー・クリントンだが、消したはずのメールがWikiLeaksなどによって公表されている。彼女が頻繁に連絡している人物のひとりがリン・フォレスター・ド・ロスチャイルドだ。
 この女性は1998年に開かれたビルダーバーグ・グループの会合で知り合った23歳年上のエベリン・ド・ロスチャイルドと2000年にロンドンで結婚している。ふたりを結びつけた人物はヘンリー・キッシンジャー。このタイミングは興味深い。
 
 本ブログでは何度か書いているが、戦争に消極的だったビル・クリントン大統領を戦争へと導いたのはヒラリー。彼女は親しくしている好戦派のマデリーン・オルブライト(国連大使から国務長官)やビクトリア・ヌランド(国務副長官の首席補佐官)を夫の政権へ引き込んでいた。ヒラリーは上院議員になって間もない頃、イラクへの軍事侵攻にも賛成していた。
 オルブライトは1997年1月から国務長官を務め、99年3月のNATO軍によるユーゴスラビアへの先制攻撃につながっている。言うまでもなく、ヌランドは選挙で選ばれたウクライナの政権をネオ・ナチのクーデターで破壊した人物だ。以前にも書いたが、オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの弟子。
 
 1997年当時、クリントン夫妻はスキャンダル攻勢で経済的にも厳しい状況だったと言われている。その攻勢で黒幕的な役割を果たしていたのがメロン財閥のリチャード・メロン・スケイフ。情報機関やネオコンと近い人物だ。ネオコンのニュート・ギングリッチ下院議長(当時)の後ろ盾だったシカゴの富豪、ピーター・スミスもビル・クリントン攻撃に資金を提供していた。現在、クリントン夫妻は大金持ちである。 

2016年8月29日月曜日

「新潟県9条の会 会報 8月25日号」より

  「新潟県9条の会 会報 8月25日号」から一部を転載します。
 1面に、各地の「憲法カフェ」のチューターをやっておられる田中津哉弁護士のことが載っていますが、同弁護士は「湯沢平和の輪」が10月1日(土)に開く「憲法カフェ in 湯沢(仮称)」にもお出でいただく予定です。
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憲法は私たちの生活と深くかかわっている」
多くの人が憲法が自分たちの周りのひとにとってどのような意味を持っているか知り、憲法を国民の命・くらし・平和を守る力として自分の言葉で語れる国民を多数派に!
 
 上越9条のは、7月23日、田中津哉弁護士を講師に「憲法カフエから見えてきたこと」というテーマで学習講演会を開催しました。この講演会の後、田中さんは、この講演会をどのように準備をされ、どんなお話をされたか、大切に思ったこと等、感想を含めてブロクで紹介しています。若手弁護士として全県各地で「憲法カフエ」のチューターを務められている田中さんのこの内容は、広範な人々改憲阻止の運動を広げていくうえで私たちが大切にすべきことを示しているように思います。
 田中弁護士の承諾を得て、田中さんのプログから記事の一部を以下に引用し、紹介たします。
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 上越は私の地元なのですが、上越9条の会からお声がけいただいたのは、実は今回がはじめてです。「遂に地元の9条の会で憲法カフェをすることになるのか!」と思ったのですが、憲法カフェそのものの依頼ではなく、憲法カフェをするうえで工夫していること、参加者の反応、得られた成果などについて話して欲しいという変化球の依頼でした(笑)。
 
  ( 以下略 全文は田中氏のブログ:「憲法カフエから見えてきたこと」 を参照下さい。
            http://j-c-law.com/kenpoukafekaramieta/ 
      
     文中に「私のレジュメを見た篤子弁護士が 云々」と突然固有名詞が登場しますが、正しくは田中篤子弁護士です。・・・ということは(^○^) 
 
【各組織からの報告】
 
憲法9条を守る阿賀野の会
 憲法9条を守る阿賀野の会は、7月31結成11周年記念集会を開き、100人の市民が集まりました。
 伊藤道秋代表(元新潟大学教授)は、森ゆうこ野党統一候補が激戦を制して勝利した参院選について、「市民連合が後押しをして新潟で野党統一が勝利したことは新たな希望だ」と述べ、改憲勢力が衆参両院で3分2を占める中で9条の会の重要性が今こそ高まっていると強調しました。
 集会では、前新潟県沖縄県人会会長の上池源光さんが「沖縄・奪われた土地、歴史を踏みにじる政府」と題し記念講演。本土の権力から差別と貧困を押し付けられた歴史、沖縄戦とそれに続く過酷な米軍占領支配と沖縄県民のだたかいを解明しました。
 集会2部は「皆で歌おう」の企画で、沖縄、平和の歌を全員で合唱しました。
 
憲法を守る黒埼の会
 「憲法を守る黒埼の会」は、新日本婦人の会黒埼支部と協力して毎月19日に「憲法改悪反対」のスタンディング行動を継続しています。ひところと比べやや参加人数が減り15、6名ではありますが、「継続することこそが大事」「安倍政権の暴走は許さない」との思いで暑くても、風が強くてもスーパーの前などで訴えをしています。
 一昨年に始まった「黒埼憲法まつり」は今年第3回目となります。日本国憲法の下、平和であるからこそ文化をみんなで享受しようとの思いで始まりました。内容は1・2回と大きく変わりませんが、ステージ企画では地元のメジカラというグープをじめとして「新潟のうたい手たち」の歌声を楽しみ、またマジックや紙芝居、さらには「憲法カフェ」、フロアーで健康チェックやハンドマッサージ、レイラ化粧品の簡単メイクや折り紙、遊びコーナーなど子どもも大人も参加できる企画を準備中です。11月に「映画を見る会」を計画中です。
 
怒りの19日行動猛暑の中、県内各地で
 新潟市古町十字路に県憲法センター100名近く、秋葉区では4団体共同のスタンディング宣伝に約50名、東区プラザ前には17名、黒埼でも16名が参加、加茂市、上越市など全県各地で猛暑の中、「19日行動」が行われました。
 「アベ政治を許さない!」「戦争法NO!」などのプラスターを掲げ、戦争法に基づく自衛隊の南スーダン派遣の危険性が迫っていると、戦争法廃止のために町から村から運動を大きく広げようと呼びかけました。
 
 考えてみませんか
海外「戦争する国づくり」の攻撃兵器の予算をやし私たち国民の医療・介護・くらしの予算は大幅削減・・逆さまではありませんか??
 
 安倍政権の戦争法の具体化、海外に出て戦争できる軍備体制作りが強まっています2016年度の軍事予算には攻撃兵器の拡充とその体制づくりが目につきます。とりわけ新日米ガイドラインに基づいた米軍との一体に向け、米国制兵器の調達の予算が多くなっています。その一方で、参院選後、医療・介護・社会保障制度の大改悪が進められ、あらゆる世代に負担と給付減が押し付けられようとしています。「公平」の名による大負担増で高齢者や生活弱者を直撃する内容が目白押しです。軍備費の増大は社会保障予算の削減に直結しています。
 
 「2016年度軍事費における主な米国製兵器とその関連経費(表)」(添付省略
 「医療・介護分野での国民負担増等、改悪メニュー(表)」(添付省略
 
 島や熊本の多くの被災者が住宅再建の目途も立たない苦しい状況に置かれている一方で、在日米軍には、標準的家族住宅で約150㎡、6千万円を超える住宅が、「思いやり予算」で建設されています。思いやるところが間違っていませんか。???

テロ対策口実の市民弾圧法(続報)

 自民党政権はこれまで3度にわたって廃案となった共謀罪を、「テロ等組織犯罪準備罪」と名称を変えて秋の臨時国会に提出しようとしていますが、その実態は最悪の市民弾圧法です。
 条文をみると処罰対象は「4年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている罪を実行」することとされていて従来と同様に「テロ」とは関係なく広範に罰することができる内容になっています。
 また市民団体や労働組合対象になるのではという批判があったので、今回は「組織的犯罪集団」が対象としていますが、その認定は結局捜査当局が行うのでいくらでも対象を拡大することが可能です
 今回は共謀に加えて、犯罪を実行するために資金や物品を取得する「準備行為」が行われていることが犯罪の構成要件となっていますが、これも条文には「その他」という文言が盛り込まれているので、何が準備行為に当たるかも捜査当局の考え一つということになります。
 
 共謀罪の導入は、政府が2000年に署名した「国際組織犯罪防止条約」の締結に向け必要だと宣伝してきましたが、それも偽りで、ほとんどの国は現行の法制度のままで批准しているということです
 
 政府は既に盗聴法を改悪し盗聴できる対象や手段を拡大しています。最近も大分県警による盗撮が発覚しましたが、共謀罪によって市民監視が一層強まるのは明らかです。
 しんぶん赤旗と日刊ゲンダイの記事を紹介します
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テロ対策口実の市民弾圧法 共謀罪 名前変えても本質変わらず
しんぶん赤旗 2016年8月28日
 自民党政権が過去3度にわたり国会に提出しながら世論の強い批判をあびて廃案となった共謀罪。安倍政権は、名称を変えて秋の臨時国会に提出しようとしています。「テロ対策」のための法案と強調していますが、実態は最悪の市民弾圧法です。(森近茂樹)
 
解釈次第で対象拡大
 今回の罪名は「テロ等組織犯罪準備罪」。「テロ」という言葉を冠しています。しかし、条文をみると処罰対象は、「4年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている罪を実行」する「組織的犯罪集団」とされており、「テロ」とは関係なく広範に罰することができる内容になっています。
 2005年に国会に出された共謀罪でも対象は、4年以上の刑が課された犯罪とされていましたが、政府側の答弁によると罪種は600を超えます。そのなかには万引きやキセル乗車のような凶悪とはいえないものも含まれます。しかも刑法の量刑は厳しくなる傾向にある現在では、さらに該当範囲が広がっているとみられます。
 これまでの共謀罪では犯罪を実行する「団体」が取り締まり対象とされ、市民団体や労働組合も対象になるのではと強い批判があがりました。そこで今回は「組織的犯罪集団」が対象としています。しかし、その認定は捜査当局が行うので、解釈次第でいくらでも対象を拡大することが可能です。
 今回の政府案では、共謀に加えて、犯罪を実行するために資金や物品を取得する「準備行為」が行われていることが犯罪の構成要件となっています。
 しかし、条文には「その他」という文言が盛り込まれており、これも捜査当局の考え一つで拡大することができます。
 
条約批准に必要なし
 共謀罪の導入は、政府が2000年に署名した国際テロや麻薬対策のための「国際組織犯罪防止条約」の締結に向けた国内法整備の一環として必要だと宣伝されています。
 しかし日本弁護士連合会(日弁連)の調査によると、共謀罪の制定は締結の絶対条件ではありません。その国の法制度のままで批准している国がほとんどです。
 日本には、重大犯罪に限って例外的に陰謀罪が8、共謀罪が15、予備罪が40、準備罪が9も制定されています。
 テロ防止に必要な銃器の規制でも、銃砲刀剣類所持等取締法で銃や刀の所持が厳しく制限されています。
 これらの点からみても条約批准は現行でも十分に可能です。共謀罪成立を条約批准の絶対条件であるかのように主張して、国民をごまかす態度は許されません。
 
いっそう強まる監視
 共謀罪は、人と人の意思疎通そのものが犯罪となるという「内心の自由」を脅かす悪法です。
 検挙し立証するために盗聴(通信傍受)が多用されることは間違いありません。共謀罪に先んじて先の国会で改悪された盗聴法は、盗聴できる対象や手段を拡大しています。
 最近、大分県警による野党統一候補陣営への盗撮が発覚しましたが、共謀罪によって盗撮や会話盗聴(室内盗聴)などあらゆる手段を用いた市民監視が強まる危険性が大です。
 
 安倍政権は、戦争法に続いて憲法9条を改憲して、「戦争のできる国」へとさらに突き進もうとしています。共謀罪は、これに反対する市民や団体を弾圧して物言えぬようにするため、四たび持ちだされたものです。絶対に通すわけにはいきません。

 

暴走止まらぬ安倍政権 “共謀罪”圧倒多数で強行成立の恐怖
日刊ゲンダイ 2016年8月27日
 予想通り、7月の参院選で大勝した安倍政権が暴走を始めている。過去、3回廃案になった「共謀罪」を、秋の臨時国会で強行成立させるつもりなのだ。
 
 「サラリーマンが居酒屋で『上司を殺してやろう』と同僚と意気投合しただけで罰せられる」――と批判された「共謀罪」は、実際に犯罪を犯していなくても相談をしただけで罰することができるシロモノ。2003、04、05年と関連法案が国会に提出されたが、さすがに廃案になっている。
 
  国民の批判をかわすために、臨時国会に提出する法案では適用対象を単なる「団体」から「組織的犯罪集団」に限定するなど、一見ソフト化しているが、「組織的犯罪集団」は定義が曖昧で警察がいくらでも拡大解釈できるようになっている。安倍政権の誕生後、大分県警が隠しカメラで市民を盗撮するなど、ただでさえ警察組織は違法行為に手を染めているだけに「共謀罪」が成立したら、気に入らない組織を片っ端から摘発する危険がある。対象になる犯罪は、法定刑が4年以上の懲役・禁錮の罪としている。その数は600を超え、道交法違反にも適用される
 もし、臨時国会に提出されたら国会が大モメになるのは間違いない。それでも、安倍政権はなにがなんでも成立させるつもりらしい。
 
 「安倍首相は来年、もう一度、衆院を“解散”するつもりではないか、とみられています。解散総選挙となったら、自民党は議席を減らす可能性が高い。だから、圧倒的多数を握っている間に評判の悪い“共謀罪”を成立させるつもりなのでしょう。衆参とも3分の2を確保し、改憲の発議が可能なのだから解散するはずがないという声もありますが、安倍首相は改憲する時は、野党第1党の賛成を得る必要があると腹を固めたフシがある。与党単独での3分の2を失っても仕方ないと思っているのでしょう。もうひとつ、支持層である右翼を喜ばす狙いもあると思う。共謀罪は、右翼が嫌いな“市民”や“左翼”を取り締まる武器になるからです」(政界関係者)
 
  安倍首相にどんな思惑があるにせよ、「共謀罪」は成立してしまえば、政権や警察が市民の監視や思想の取り締まりに都合よく運用するのは目に見ている。絶対に成立を阻止しないとダメだ。