2023年4月29日土曜日

こうして全体主義へと流れていく/こうして凋落と劣化が進んでいく

 26日に開かれた参院本会議岸田首相は昨年末に閣議決定した安保関連3文書の改定について報告したほか、「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直しにも言及しました。これは「殺傷能力を持つ武器」の輸出入に日本も本格参入するということに他なりません。

 「軍需産業支援策(防衛装備品の開発や生産基盤を強化するための法案)」も7日に衆院本会議で審議入りしています。
 岸田政権の「大軍拡」指向はもはや留まるところを知りません。G7でも「世界のリーダー」を気取って対ロ、対中包囲網の先頭に立とうとしています。安倍首相時代にはまだしも対中敵視は「極秘事項」として公言することはなかったのに、岸田首相にそうした気遣いが皆無なのは何故でしょうか。中国は一度も日本を「敵視」などしていないのに「おかしい」というしかありません。
 もしも「アメリカの威光に目がくらんで」その他のことには頭が回らないというのでは、その時点でもはやリーダーの資格はありません。
 残念なのはマスコミがそうした姿勢に対して完全に沈黙していることです。沈黙が是認であるのは言うまでもないことです。これでは国民の間に軍国化反対の機運が生れようもありません。
 日刊ゲンダイが「こうして全体主義へと流れていく この国を覆うエセ民主主義の深刻」という記事を出しました。
 併せて同紙の記事「こうして凋落と劣化が進んでいく こんな政権が無風で続けば静かに沈没」を紹介します。
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こうして全体主義へと流れていく この国を覆うエセ民主主義の深刻
                         日刊ゲンダイ 2023/04/27
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての歩みを変えるものではない」「防衛装備品の海外への移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために望ましい安全保障環境の創出や、侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段だ。与党における検討も踏まえつつ議論を進めていく」
 26日に開かれた参院本会議。岸田首相は昨年末に閣議決定した国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定について報告したほか、防衛装備品の海外移転に向けた議論を促進する考えを表明。自民、公明両党は25日から、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直し協議を始めており、岸田も「重要な政策的手段」として今後、防衛装備品移転の見直し議論を本格化させるとみられる。
 防衛装備品という言葉でごまかしているものの、要するに「殺傷能力を持つ武器」の輸出入に日本も本格参入すると宣言しているに等しく、選挙が終わった途端、待ってましたとばかりに武器の輸出入議論が始まったワケだ。心ある国民は驚き、呆れ果て、怒り心頭に違いない。
 振り返れば安倍政権も同じだった。第2次政権発足後の2014年、武器の輸出や国際共同開発を基本的に認めず、必要に応じて例外規定を設けて運用する──という、それまでの「武器輸出三原則」を転換し、運用ハードルを大幅に緩めた「防衛装備移転三原則」を閣議決定したからだ。

有権者の半数以上が投票しない選挙の正統性
 衆参両院の国会決議で補強された「国是」とも言うべき「武器輸出三原則」を何の議論もなく勝手に閣議決定で変えた安倍と、それをさらに改悪しようと前のめりになっている岸田。どちらもそろって戦後の日本が築き上げてきた「平和国家」の姿を破壊する最悪の首相と言っていいが、岸田がヤケに自信満々で暴走しているのは、先の衆参補選や統一地方選で信任を得たと勘違いしているからだろう。
 「重要政策課題をしっかりやり抜けという叱咤激励をいただいたと受け止めている」
 衆参5補欠選挙が行われた翌24日、岸田は選挙結果に手ごたえを感じたような口ぶりだったが、果たしてそう断言できるのか。総務省によると、9日投開票された統一地方選(前半)の投票率(平均)は、9道府県知事選が46%台、41道府県議選が41%台で、いずれも過去最低。同時に行われた6政令市長選、17政令市議選も50%に届かず、23日投開票の55町村長選や280市議選などでも過去最低だった。
 衆参補選でも衆院千葉5区の投票率が38.25%、参院大分は42.48%。つまり、選挙区の有権者の半数以上が投票していないことになるわけで、これでは正統性を疑う声が出ても不思議ではない。
 ジャーナリストの高野孟氏が27日付の日刊ゲンダイコラム「永田町の裏を読む」で、こうした低投票率を嘆き、「民主主義とは何なのか」と書いていたのも当然だろう。
 ジャーナリストの横田一氏はこう言う。
 「選挙に勝てば何でもできるとばかり、早速、武器輸出に前のめり。対ロ、対中包囲網の必要性を訴えていますが、紛争の当事者でもない日本がやるべきことは本来、仲介役です。欧米に足並みをそろえて戦争準備しているかのようで、国民を危険にさらすだけでしょう」

危険な兆候を見逃さず、思考停止に陥らず、声を上げる
 投票率が低くなるほど、宗教団体など特定勢力の支持に支えられた候補者が当選する可能性が高まる上、その特定勢力の主義や主張が政策に反映されやすくなる。
 自民党との蜜月関係が明らかになった旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が全国の自治体議会に対して積極的に働きかけていた「家庭教育支援条例」の件でも指摘されていただろう。
 こういう偏った政治情勢、状態でマトモな民主主義が育つはずがない。ハッキリ言って、今の状況はエセ民主主義と断じていいだろう。
 つまり、形だけの選挙で信任を得たと胸を張り、勘違いしているエセ政治家が、多数決の原則、少数意見の尊重という民主主義の原則を無視し、やりたい放題。それが今のこの国に突きつけられた現実ではないのか。
 エセ民主主義の例を挙げればキリがない。自分や家族、取り巻きといった、ごく限られた人の懐だけが潤うことだけを考え、そのためには国民の財産である公文書の隠蔽、改ざん、廃棄もお構いなし。国権の最高機関である国会を軽視し、ロクに審議しないまま、時間が経てば閣議決定でハイ一丁上がり。「丁寧な説明」と言うばかりで合理的な説明は何もせず、ひたすら的外れのトンデモ論を繰り返して国民や野党が疲れ果てて気力を失うのを待つ。
 昨夏の安倍銃撃事件以降、暴力による民主主義の破壊は許されない、などと声高に叫びながら、暴力によらない民主主義の破壊を当たり前のように続けているのが今の政権の実態なのだ。

金持ちや政治エリートによる逆さまの全体主義
 「民主主義とは実は、一部の金持ちや政治的エリートが羊飼いとなって従順な羊の群れを思うがままに管理するための『逆さまの全体主義』の道具なのである」
 前出の高野氏はコラムで、ドイツの社会心理学者ライナー・マウスフェルト「羊たちの沈黙は、なぜ続くのか」(日曜社)を引用する形で、こう書いていたが、まさにその通り。
 過去の歴史を振り返っても、一部の政治家が民衆を煽り、先導し、日本を戦争の道に引きずり込んでいったわけで、エセ民主主義によって日本社会が全体主義へと流れていった状況を忘れてはならないだろう。
 そして、そんなエセ民主主義国家が今、G7でも「世界のリーダー」を気取り、対ロ、対中包囲網の先頭に立とうとしているのだから危うい以外の何物でもない。
 本来は国民から異論、反論が出ても不思議ではないが、暴政にならされたのか、あきらめたのか、それとも事なかれ主義となったのか。いずれにしても有権者の鈍感さに対してもクラクラしてしまう。
 元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
 「今回の選挙では、投票率の高い都市部で女性議員が多く当選し、自民党の現職議員の落選が目立ちました。国民の政治不信がかつてないほど高まり、全体的に見て投票率が落ちているとはいえ、それに対する危機意識も確実に強まっている。日本が危うい方向に向かわないよう、こうした動きを連携させていくことが重要でしょう」
 2016年に安全保障関連法が施行されてから7年経った今年3月下旬、東京新聞は社説で、フランス作家の寓話「茶色の朝」を取り上げ、今の日本を取り巻く政治情勢を憂い、こう呼びかけていた。
 危うい兆候があるにもかかわらず、不自由を感じないという『事なかれ主義』で思考停止に陥り、声を上げずにいると自由な言論は封殺され、全体主義の台頭を許すに至る、ということにほかなりません」
「危険な兆候を見逃さず、その影響をとことん考え抜く。思考停止に陥らず、面倒がらずに声を上げる。そうした一人一人の行動の積み重ねこそが、『茶色の朝』を迎えることを阻むはずです」
 いつか来た道とならぬよう、有権者は今こそ、声を上げるべきだ。


こうして凋落と劣化が進んでいく こんな政権が無風で続けば静かに沈没
                         日刊ゲンダイ 2023/04/28
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 「プライム市場上場企業について、2030年までに女性役員比率を30%以上とすることを目指します」
 27日、首相官邸で開かれた男女共同参画会議で、岸田首相はこう宣言した。東京証券取引所の最上位市場「プライム」に上場する企業のうち女性役員の比率が30%以上なのは、昨年7月時点でわずか22%。これを1800社超あるプライム企業の全体に広げるのは並大抵のことではないが、高い目標を掲げることで、企業に女性登用を促す方針だという。6月をメドに策定する「女性版骨太の方針」とやらに盛り込むらしい。
 「女性比率30%」という“数値目標”を聞いて、「あれ、ちょっと前にもあったよな」と思い出した人もいるのではないか。安倍政権の看板政策のひとつ「女性活躍」の目玉として掲げられていたのが、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」だった。
 安倍元首相がダボス会議の演説でもこれを掲げ、“国際公約”していたが、結局、目標年次になっても実現にはほど遠く、「2020年まで」が「2020年代の可能な限りに早期に」と曖昧な形で先送りされた経緯がある。
 岸田の宣言も安倍時代と同じ「口先政治」の類いに聞こえてしまう。というのも、だったら政治の世界はどうなのか、という疑問が湧くからだ。
 現在の第2次岸田改造内閣の19人の閣僚のうち女性はたった2人しかいない。自民党の国会議員に占める女性比率に至っては、わずか9%で1割に満たない。それなのに、「女性役員比率30%以上」とは、よく言うよ、だ。
 自民党内には、男女の役割分担を求め、女性を個人として尊重しない「伝統的家族観」がいまだ根強く染み付いている。1996年の法制審議会の答申から30年近く経っても、いまだ選択的夫婦別姓制度の導入に後ろ向きだ。保守派のイデオロギーや“オッサン政治”が大手を振って跋扈している。
 企業に高い目標を求めるのなら、まずは「隗より始めよ」だろう。政治が率先して女性登用を進め、社会の意識を変えていくべきで、岸田は党内の古くさい体質を変えることが先決じゃないのか。

少子化対策に2つの的外れ
 こんな支持率アップ目的の“やってる感”では、「異次元の少子化対策」も全く期待できない。
 26日に開かれた政府の経済財政諮問会議が公表した試算には目がテンだった。児童手当や住宅支援の拡充など、3月末に「たたき台」としてまとめられた対策にGDP比1%程度(約5兆円)を増やしても、合計特殊出生率(出生率)は0.05~0.1%程度しか上昇しないというのだ。お情けのバラマキ政策では冗談のような効果しかないということだ。
 同じく26日に厚労省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した「将来推計人口」によれば、出生率は5年前の前回推計時の「2065年に1.44」が、今回「2070年に1.36」へと減少ペースが加速した。もっとも、21年の出生率は1.30なので、今後上昇するという推計には首をひねるしかないのだが、いずれにしても、この国の少子化問題は、小手先の弥縫策ではどうにもならないことをハッキリと示している。
 経済評論家の斎藤満氏が言う。
 「岸田政権の少子化対策は2つの面で的外れです。児童手当の拡充など分配政策を進めていますが、そのためには誰かが負担をしなければならない。まずは経済全体のパイを大きくしなければなりません。所得が増えていくという将来への期待が持てなければ、子どもは増えない。経済が成長しなければ問題は解決しません。
 もう1つは、すでに子育てしている層より、非正規雇用などで収入が少なく、子どもが欲しくても持てない、結婚したくてもできないという層を集中的に支援すべき。現状のたたき台では、本当に必要な人たちを支援できていません」

国家の基本は経済力。軍拡優先の政治に未来はない
 国会では防衛費増額に必要な財源を確保するための特別措置法案の審議が進んでいる。
 2023年度からの5年間で43兆円という防衛費大増額のため、税外収入や歳出改革、決算剰余金といったありとあらゆる“余り金”が防衛費に充てられるそれらを貯める「防衛力強化資金」なる“別財布”までつくり、それでも足りないから増税するというのである。
 野党の立憲民主党が、赤字国債を財源とする補助金の剰余金が「防衛力強化資金」に使われるのは、「財源ロンダリングで『隠れ赤字国債』だ」と批判したが、岸田政権は聞く耳持たずだ。剰余金は国庫に返して有効活用すべきだし、事実上の借金まで使って防衛費を増強するのは、どう考えても身の丈を超えている。
 そもそも、1000兆円を超える借金を抱える財政逼迫国家なのだから、貴重な財源の使い道は、あらゆる経費を横に並べて優先度を検討しなきゃおかしい。なぜ防衛費だけが特別扱いされ、社会保障、教育、少子化、経済対策などは後回しにされるのか
 ソフトなイメージで「所得倍増計画」を掲げて自民党総裁選に勝利したため、最初は多くが騙されたが、岸田は「スキャンダルのない安倍」と言われるタカ派がその正体「今日のウクライナは、明日の東アジアかも知れない」と台湾有事を煽り、バイデン米国が望むままに防衛費をGDP比2%という巨額に引き上げ、米軍と自衛隊の一体化を進め、「防衛装備移転三原則」の見直しで殺傷能力のある武器輸出も解禁する。
 米国べったり首相が軍拡一辺倒に舵を切り、増税まで課せば、経済が成長するわけないのである。

国権の最高機関で低レベルの議論
 政治家の劣化も著しい。象徴的なのが、自民党議員のパーティーでの谷国家公安委員長の失言だ。和歌山で岸田の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件をめぐり、視察先で警察庁から連絡を受けた後も「うな丼をしっかり食べた」と挨拶し、問題になった一件である。
 警察庁を管理する組織のトップが緊張感ゼロでは資質に疑問符が付くが、その谷をめぐって参院本会議で野党が「うな丼大臣は即刻更迭を」と求め、岸田が「引き続き職務に当たってもらいたい」と答弁するやりとりを見ていると、国権の最高機関であまりの低レベルな議論が行われていることに情けなくなる。
 岸田が衆院を解散しなければ、あと2年は政権安泰。こんな亡国政権が無風で続けば、この国は静かに沈没していくだろう。
 今月発売されたばかりの著書「分断と凋落の日本」でこの国の劣化をトコトン総括した元経産官僚の古賀茂明氏はこう言う。
「国家の基本は軍事力ではなく、やはり経済力。軍拡優先の逆行した政治がこのまま行われていけば、戦争になろうが、戦争になるまいが、日本は破綻への道まっしぐらです。仮に戦争になれば、財政的にも厳しくなって敗北するだろうし、それ以前に、戦費調達のために国債を発行するような国は信用失墜で破綻する
 運よく戦争にならなかったとしても、あらゆる財源が軍事費優先で投入されていくので経済成長はなく、国民生活も再生しない。つまり、軍拡優先の政治では未来はありません。国が滅びるのかどうかの分かれ道にいるのに、ウナギだサルだの議論をしているこの国の政治は、その時点で終わっていると言うしかない。国民は危機感を持ち、早く目を覚まさないといけない」
 もはや手遅れかもしれないが、座して死を待つぐらいなら、やれることがあるはずだ。

杉並区議選 女性が当選者の半数・自民が大量落選 波乱を起こした「2万票」

 統一地方選の結果は「維新が躍進、立民が凋落、自民が健闘」というもので、意気消沈させられるものでした。

 そんな中で東京都の杉並区議選は議会の勢力図を一変させました。席数48に対し女性当選者が半数を占め現職12人が落選し、新人15人が当選しました
 政党では、自民が改選前の16議席を9議席に減らし、公明は7議席を6議席に減らし、立民6議席倍増し、共産改選前の6議席を維持しました。
 杉並区は昨年7月の区長選でリベラル系勢力が支援した岸本聡子区長48)が初当選しました。今回区長を選挙で支えた住民団体が地盤のない新人を中心に、党派を超えて区長に賛同する立候補予定者を一堂に集めて街頭演説する「合同街宣」を繰り返し開催しました。岸本区長も独自の行動として1人で連日街頭に立ち「投票に行こう」と呼び掛けました。
 その結果、多くの選挙区が投票率を減らした中で、杉並区は前回より約2万票増やし投票率を4.19ポイント上昇させました。
 落選した自民現職は「合同街宣はリベラル系の区民の目に留まりやすく、自民はそれができなかった。2万票は相手にすべていったと思う」と分析しました。それが大きく影響したようです。東京新聞が報じました。
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杉並区議選の波乱を起こした「2万票」…女性が当選者の半数、自民が大量落選
                         東京新聞 2023年4月28日
 統一地方選で、議会の勢力図が激変したのが東京都杉並区だ。女性の当選者が男性を上回り、現職や最大勢力の自民党の候補が大量落選。新陳代謝を印象づけた。変化を引き起こしたものは何か。(原田遼)

◆増えた2万票の行方
 24日開票された杉並区議選(定数48)の当選者は、性別非公表の1人を除く47人のうち女性が24人を占めた現職は12人が落選し、新人は15人が当選。新人候補者の当選率は前回の43%から65%に上昇した。
 政党では、自民が改選前の16議席を9議席に減らし、全員当選が目標だった公明は落選者を出した。一方で立憲民主は倍増の6議席、共産も改選前の6議席を維持した。少数政党の当選者も相次いだ。
 投票率は43.66%。前回と比べて4.19ポイント上昇したことで増えた約2万票の動向が明暗を分けたようだ。

◆「区長は変わった。次は議会」が合言葉
 杉並区は昨年の区長選で立民や共産など、リベラル系勢力が支援した岸本聡子区長が初当選した。だが、議会では最多で4会派に分かれる自民や公明が半数を占めていた。岸本区長が選挙時に公約にした給食費無償化や児童館再整備などは多くが先送りとなっていた。
 今回は、岸本区長を選挙で支えた住民団体が「区長は変わった。次は議会」を合言葉に、地盤のない新人を中心に、党派を超えて区長に賛同する立候補予定者を一堂に集めて街頭演説する「合同街宣」を繰り返し開催した。岸本区長も、独自の行動として1人で連日街頭に立ち「投票に行こう」と呼び掛けた。

◆敗因に「投票率アップ」を挙げた現職
 落選した自民現職は「合同街宣はリベラル系の区民の目に留まりやすく、自民はそういう働き掛けができなかった。2万票は相手にすべていったと思う」と分析した。統一選で同様に女性の当選者が半数を占めた武蔵野市議選でも、投票率は前回より上昇した。
 区長公約に賛同して当選した新人女性は「区長をジャッジする立場として、いい対立関係でいたい」。岸本区長は取材に「議員には私の目に届かない地域の声を拾ってもらい、議会での議論の質を上げたい」と期待した。
 統一地方選後半戦の投票率 総務省によると、全国の議員選は45.02%で過去最低を記録。東京都内はこれを下回る44.98%だったが、前回より1.31ポイント上昇した。上昇率が最も高かったのは豊島区で4.40ポイント。武蔵野市の4.23ポイント、杉並区の4.19ポイントが続いた。

維新躍進の脅威と暗鬱 - 戦争への体制を方向づける統一地方選の民意(世に倦む日々)

 4月の統一地方選では維新の党が躍進しました。軍国主義化を進め、それに反対する声を抑えたい支配者にとっては、改憲を引っ張り、9条を潰し、解雇規制を緩和し、弱肉強食の市場経済を目指す維新が伸びることは喜ばしいことで、特に4年後に台湾有事の戦争が始まると仮定すれば、この上なく好都合である(要旨)と、世に倦む日々氏はブログ記事「維新躍進の脅威と暗鬱 ~ 」(26日付)の冒頭で書いています。
 地方選で減らしたのは共産党と社民党で この結果は忌まわしく呪わしいが、特に不思議な現象でも不自然なことでもなく、マスコミずっとその価値観を宣伝しているからであり、「自由と民主主義」礼賛する一方で反共主義を徹底教育し、憲法9条を無価値化するなど、共産や社民の理念を否定しその逆の価値観説き続けているからであるとしています。
 そもそも維新は自民と政策の対立軸ない同じ思想と路線の政党であり、自民をさらに極右化させ新自由主義化させた政党です。
 そしていまの日本はマスコミによって、アメリカと同じ社会制度に変える方向性だけが正しく、アメリカの価値観に同一化することだけが正義で、アメリカと一緒に中国と戦争して勝つことだけが唯一の選択肢だと刷り込まれそれ以外は、お笑いとグルメとアニメとメジャーリーグの話題だけがすべてで、あとは何も考えなくてもよいという環境になっているとしています。
 マスコミは年がら年中戦争準備の話ばかりで埋め、反中プロパガンダばかり放送し人口減少の深刻な危機は特集しないし、格差と貧困を社会矛盾として問題視することもしません。その結果、若者を筆頭に国民一般維新と自民を選ぶ仕組みになっていて、共産や社民は「社会悪」として除外されたとも述べています
 閣議決定で徴兵制を施行するにも、靖国神社を国営にして天皇参拝を実現させるにも、スパイ防止法(思想犯罪処罰法)を作るにも、すべて憲法9条を潰してからの話だからこそ、岸田政権は憲法を改定しようとしているわけです。
 維新の躍進は日本にとってとても不幸なことですが、それをもたらした国民の大政翼賛会的な在り方はそれ以上に不幸と言えます。痛烈に世情を批判する記事です。
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維新躍進の脅威と暗鬱 - 戦争への体制を方向づける統一地方選の民意
                       世に倦む日日 2023年4月26日
統一地方選挙の後半戦が終わり、維新の大躍進をマスコミが言祝いでいる。自治体首長と地方議員を合わせて774人になり、選挙前に目標に掲げた600人を大きく超えたと賑々しく報道された。この統一地方選には全く興味がなく関心を向けなかったが、衝撃の結果が出てようやく注目するところとなった。24日夜のテレビ番組の主役は維新の幹事長と代表で、地方議員の数を倍増させたこと、次の衆院選で全小選挙区に候補者を立てること、その選挙で立民を抜いて野党第一党になることを生放送で轟然と宣言した。この選挙の前までは、維新というと大阪・関西のローカル政党のイメージだったが、この躍進を機に一気に準全国政党に化け、次の衆院選の台風の目になった感がある。そして、それを松原耕二や反町理や大越健介がエンドース⇒裏書保証している。

維新が大躍進の一方、議席を大きく減らしたのは共産と社民である。26日の毎日の報道によると、共産は前半戦の道府県議選と政令市議選でそれぞれ22議席減、後半戦の市区町村議選でも91議席減、計135議席減らしている。社民については市区町村議席の総数はよく分からないが、朝日の24日記事に市議選の数字が載っていて、前回(現有)の4割以上となる23議席を減らしている。過去からの議席を維持していた区町村でも同様の敗北だっただろう。24日夜のプライムニュースで、共産が減った分だけでは維新の大幅増の計算が合わないが、どこが減ったのだろうと反町理が疑問を投げ、顔を向けられた大串博志が、立民は前回よりも増やしている、自民党さんじゃないですかと振る場面があった。減ったのは共産と社民だ。反町理は、社民の存在を失念していたのだろう。

共産と社民が大敗北で維新が大躍進。イデオロギー的に非常に分かりやすい選挙結果であり、これが無党派層に典型的に示されているところの現在の国民の主流の政治意識に他ならない。一昨年の衆院選、昨年の参院選と日本の政治はこのトレンドにシフトしている。反共極右と新自由主義を是とする認識と思考であり、その政策を積極的に推進しようとする方向性である。特に若年層にこのベクトルへのコミット⇒関りが強い。忌まわしく呪わしい現実だが、敢えて醒めた感想を言えば、特に不思議な現象でもなく不自然な情勢でもない。マスコミ報道がずっとその価値観を宣伝し推挙しているからであり、「自由と民主主義」の高唱礼賛の下で、反共主義を徹底教育し、憲法9条を無価値化し、要するに共産や社民の理念を否定し、その逆の地平の価値観への信奉と尊崇を説き導き続けているからである。

今から4年後に台湾有事の戦争が始まると仮定すれば、その4年前に共産や社民が日本の選挙に勝って議席を伸ばすのは、支配者にとっては具合の悪いアクシデントだろう。支配者にとってベストの政治図は維新が伸びる進行である。安倍政治を過激化した維新こそが支配者のお気に入りの勢力なのに違いない。維新が改憲を引っ張り、9条を潰し、解雇規制を緩和し、弱肉強食の市場経済に変えて行くことが、支配者にとって最も望ましく、対中戦争4年前の日本政治に必要なステップとステイタス⇒状態なのだ。逆に言えば、他の政治行程は許されず、停滞や逆流は許されないのである。日本のマスコミは、年がら年中、戦争準備の話ばかりで埋め、反中プロパガンダばかり放送している。人口減少の深刻な危機は特集して論議しない。格差と貧困を社会矛盾として問題視しなくなった。それを誤った新自由主義政策の結果だと言わなくなった

日本をアメリカと同じ社会制度に変える方向性だけが正しく、アメリカの価値観に同一化することだけが正義で、アメリカと一緒に中国と戦争して勝つことだけが唯一の選択肢だと刷り込まれている。それ以外は、お笑いとグルメとアニメとMLBだけで頭を漬け込んでいればよく、何も考えなくていいという環境だ。だから、若者を筆頭に国民一般が維新と自民を選ぶのは必然なのだ。共産や社民は「社会悪」として規定されている。すでに異端の少数派の位置づけでもなくなり、ネットでは揶揄や侮辱や拒絶のレベルでは終わらず、憎悪と排撃と殲滅が扇動されるフェーズ⇒局面に至っている。その空気は恐怖を感じるものだが、大量死を伴う総力戦が始まる4年前だと考えれば「理解」もできる。成田祐輔が平然とテレビで講釈を垂れ、たかまつななを膳場貴子が推薦する時代なのだから、無党派層が維新に投票するのは当然だ。

維新は5年以内に政権を取ると言っている。だが、それがどこまで本心かは疑問だ。そもそも、維新は自民と政策の対立軸がない。同じ思想と路線の政党であり、自民をさらに極右化させ新自由主義化させた政党である。維新が全国政党の展開を進めるに連れて、その本来的な問題は顕在化するだろう。同じ矛盾と蹉跌は、橋下徹が石原慎太郎と組んで全国政党化をめざしたときも発生した。維新は自民と政権交代する二大政党体制を目指していない。それを核心に据え、党のレゾンデートル⇒存在理由としているのは立民である。維新は違う。だから、維新の組織が全国に伸びるに連れ、維新とはどんな政党で自民とどこが違うのかの自問自答に窮し、関西のローカル政党に戻らざるを得ないだろう。あり得るのは、むしろ大連立であり、それ以上に大政翼賛会である。大政翼賛会となる可能性が最も高く、支配者もそれを歓迎するはずだ。

維新は、政権奪取には貪欲ではないが、政策には貪欲な政党である。それゆえ、まず狙うのは何より改憲発議だと予想される。3月30日には緊急事態条項の改憲条文案を国民民主と共同で纏めて発表した。内容を見るかぎりこれは「お試し改憲」の類で、いわばブラフだが、改憲政党側がきわどく政治を詰めている状況が伝わってくる。4月20日、公明が自民の9条改憲案に反対表明をするニュースが発信され、一瞬安堵を覚えたけれど、よく考えると、これは北側一雄のシグナルであり、公明として9条に手を付けるのは反対だが、別の条項を標的にした「お試し改憲」ならOKという意味なのかもしれない。緊急事態条項をめぐる維新の提案には賛成の態度で、衆院憲法審査会で立民を小突き回している。いずれにせよ、統一地方選での共産と社民の大幅後退を受けて、今年の憲法記念日は護憲側にとって厳しい局面となる。

補選で全敗した立民の泉健太に対して、責任を問う声がネットで猛然と上がっている。昨年来、泉健太はずっと共産を切って維新にすり寄る策動を続け、野党共闘の再編を図る動きに注力してきた。それに対して、従来の「野党共闘」を固守する側から強い批判が上がっていた。また、乃木希典へのコミット⇒関与を公然と示威する復古反動の態度についても非難されてきた。ここへ来て、左派からその不満が爆発した感がある。この間の維新と立民の関係を分析して、泉健太が巧く騙されて利用され、挙句に選挙前に切られたのだという観測が喋々されている。私もその見方に頷く。維新は最初から立民と共闘する気はなく、単に立民を共産から引き剝がす目的で、泉健太のすり寄りを操縦していたのだろう。千葉5区の失敗を受けて、共産との「野党共闘」の回復に舵を切らないと選挙に勝てないという声が高まるのは確実だ。

次の選挙で維新は全小選挙区に候補者を立てると言っていて、野党第一党の座をめぐる争いに注目が集まる。維新と立民の選挙共闘はない。維新と国民民主の選挙協力はある。そして維新に勢いがある。国民民主は、立民右派に対して党を割ってこっちへ戻って来いと誘うはずだ。反共の芳野連合は、泉健太と同じく選挙方針の判断に迷うだろう。と、こんな感じで、永田町政局のミクロをあれこれ雑談するのは容易だが、私の関心はあまりその方面にない。私の関心は、4月18日に米インド太平洋軍司令官アキリーノが放った言葉にある。台湾有事作戦の工程表のど真ん中にいて、戦略を現場で担っている者の緊張感が窺える。アキリーノには絵が見えている。この発言を聞けば、米軍が日本に徴兵制を求めているニーズがよく伝わる。トマホークの配備はサクセスフリー⇒成功裏に done ⇒実行できたが、自衛隊が今の兵員数と動員力では不安なのだ。

9条を置いたまま徴兵制の施行はできない。閣議決定で明日から徴兵制を施行しますとか、靖国神社を国営にして天皇に参拝させますというわけにはいかない。徴兵制施行も、靖国神社国営法も、スパイ防止法(思想犯罪処罰法)も、憲法9条を潰してから立法化し制度化できるものだ。それを具体化するためには、永田町に大政翼賛会を実現しなくてはいけない。それが大きな基本線であり、維新と立民がどうのこうのという永田町政局も、その基本線に沿って動くだろう。最後に解散総選挙についてだが、6月に解散総選挙をやって伸びるのは維新である。無党派層が維新に投票する。その影響は、立民だけでなく自民にも及ぶだろう。自民と維新は基本政策が同じだから、自民に入れていた保守無党派が維新に入れるという図は十分ある。6月解散の計略で動いていた岸田文雄にとっては、今回の維新躍進は相当に脅威ではないか。

自民の議席を減らしてしまうと、弱小派閥の岸田文雄にとっては一気に立場が厳しくなる。今の維新の勢いは、自民の現有議席数263を大幅に減らす瞬間風速の力があり、したがって6月解散の決断は簡単ではないだろう。 

29- ウクライナをあきらめる準備をしているバイデン(マスコミに載らない海外記事)

 マスコミに載らない海外記事に「ウクライナをあきらめる準備をしているバイデン」という記事が載りました。
 西側の記事一色の日本では、こういう記事を紹介することもバランスを取る上で意味があります。
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ウクライナをあきらめる準備をしているバイデン
               マスコミに載らない海外記事 2023年4月27日
                   Moon of Alabama 2023年4月25日
 大いに喧伝されたウクライナ「反攻」はクリミアへのロシア補給線を断ち切り「占領地」を解放する目的が失敗する運命にある。バイデン政権はついにこれを認識し、期待を下げ、自分以外の全員を先制的に非難しようとしている。
 最初に説明を受けたのはポリティコだった。

 バイデン・チームは、ウクライナ反攻失敗の余波を恐れている
 密室で、政権はウクライナが何を達成できるか心配している

 ニューヨークタイムズが加わった。

 ウクライナの春季攻勢は戦争の将来に計り知れない結果をもたらす
 決定的勝利がなければウクライナに対する欧米の支持は弱まる可能性があり、キーウは紛争を終わらせるか凍結するため真剣な和平交渉に入るよう益々圧力を受ける可能性がある。

 ポリティコ記事から。

 公式にはジョー・バイデン大統領チームはウクライナへの揺るぎない支援を提供し「必要な限り」武器と経済援助を送ると約束している。しかしさし迫る戦闘シーズンが限られた結果しかもたらさない場合、タカ派とハト派双から彼等を攻撃する双頭の怪物に直面するのを恐れていると政権当局者は個人的に表明した。
 一方の側は、政権がキーウ要求する全てのもの、つまり長距離ミサイル、戦闘機、およびより多くの防空システムを与えれば、ウクライナの前進は機能したはずだと言うだろう。もう一方の側は、ウクライナの弱みがロシアを領土から完全に追い出せないことを証明していると政権当局者が主張するのを懸念している。
 キーウが勝利が間近に迫っているのを証明できない場合、ウクライナとロシア間の和平交渉をより魅力的な選択肢と見なすかもしれない、主にヨーロッパのアメリカ同盟諸国の反応説明にもなりません

 タイムズ記事はさほど劇的ではない。

 ウクライナ当局は、目標は掘り下げられたロシア防衛線を突破し、ロシア軍の広範な崩壊を引き起こすことだと述べたが、攻撃がウクライナに有利となる勢いの劇的変化をもたらす可能性は低いとアメリカ当局は評価している。
 ウクライナ軍は多くの課題に直面しており、膠着状態が依然最も可能性の高い結果である理由の一つだ。この冬ウクライナ東部のバフムートでの戦闘により弾薬備蓄が枯渇し、一部の経験豊富な部隊で大きな犠牲者が出た。

 全体像を描いているポリティコに戻ろう。もしウクライナがペンタゴンが計画していることを実行できないと分かれば、恒久的解決策になると期待される「停戦」に追いやられるだろう。その後バイデン政権はウクライナ問題を置き去りにし次の大目標である中国に固執するだろう。

 バイデンと彼のトップ補佐官はゼレンスキーは準備ができた時にのみ和平交渉を開始すべきだと公に強調している。しかしワシントンはキーウにいくつかの政治的現実も伝えている。特に共和党が下院を支配しているので、ある時点でアメリカ援助のペースはおそらく落ちる。ワシントン当局者はキーウに圧力をかけていないが、それら会話がどのように見えるか準備を始めており、ゼレンスキーにとって国内で政治的に売りこむのは厳しいことになる可能性があるのを理解している。
 「ウクライナが戦場で劇的勝利を得られなければ交渉による戦闘停止の時が来たかどうかという疑問が必然的に生じる」と外交問題評議会のリチャード・ハース議長が述べた。「それは高価で、弾薬が不足しており、世界には準備すべき他の不測の事態がある。」
 「ウクライナの目標を損なうことなく、これら全ての疑問を問うのは正当だ。それは単に手段の問題だ」とハースは述べた。

 ウクライナも支援しているNATO諸国も戦争を延長する手段がいない。アーカイブされたポリティコ元記事は次のとおりだ。

 戦闘はウクライナ人にも打撃を与えた。紛争の10か月後、ウクライナ人は驚異的な損失(死者約100,000人)を被り、兵士の多くは戦列離脱を強いられる、疲れ果てている。軍隊は歴史的な量の弾薬と武器を消費しており、欧米の驚異的生産量さえゼレンスキーの緊急要求に対応できない

 修正された新版は「死者」を「死傷者」に置き換えた。最初の版はほぼ真実に近かったが数が少なすぎ、新版は実態から遠く離れている。総死傷者は10万人の倍数だ。
 それでもバイデン一団は終わりが来つつあることを知っている。

 野心を過度に拡大し、軍隊を薄くしすぎる危険性について、アメリカ当局はウクライナに説明した。2021年の米軍撤退中にタリバンが国を制覇するため動いた時、バイデンが当時のアフガニスタン大統領アシュラフ・ガニに与えたのと同じ警告だ。

 ゼレンスキーはアシュラフ・ガニ同様戦争で十分金を稼いでおり、静かに退去することが期待されている。しかし今のところ、彼にはそうする気はないようだ。
 諦める代案は、アメリカが現地に軍隊を送り、再びエスカレートすることだ。しかしバイデンは彼の再選の戦いで勝つことを望んでおり、ウクライナでの戦争の更なるエスカレーションを阻止する可能性が高い

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2023/04/biden-prepares-to-give-up-on-ukraine.html#more