2019年5月31日金曜日

参院選1人区 30選挙区で一本化 5野党・会派の党首合意

 立民党国民党共産党社民党などの党首が29日、国会内で会談し、参院選1人区のうち19選挙区で野党統一候補を擁立することで合意しました。これで既に合意済みの分を合わせると、全国32の1人区のうち30選挙区で統一候補が決まりました。
 野党共闘に熱心であった共産党からは統一候補に3人が選ばれました(3年前は1人)。
さらに「共通政策」についても、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」から安保法制=戦争法などの廃止をはじめ13項目の政策の要望を受けて、各党首らが署名しました。
 
 トランプフィーバーの中で、逆に、参院選が終われば、農産品・牛肉の対米関税の大幅引き下げや日本車の輸出規制などに応じる密約がなされた可能性が浮かび上がりました。そんな売国の政権には選挙で大打撃を与えるしかありません。
 日刊ゲンダイは、「野党が安倍政権はトランプ大統領と農産品で密約』『TPP水準は守られないと声をそろえれば勝機は十分あるとしています。
 しんぶん赤旗の記事と併せて紹介します。
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参院選1人区 30選挙区で一本化 市民連合と13項目「共通政策」
  5野党・会派の党首合意
しんぶん赤旗 2019年5月30日
 安倍政権打倒をめざし、日本共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、社民党の福島瑞穂副党首、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の野田佳彦代表は29日、国会内で会談し、全国32ある参院選1人区のうち19選挙区で野党統一候補を擁立することで合意しました。さらに「共通政策」についても、国会内で同日、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」から安保法制=戦争法などの廃止をはじめ13項目の政策の要望を受けて、各党首らが署名。統一候補と共通政策という二つの合意を受けて、志位委員長は記者会見で、「参院選をたたかう上で重要なスタートを切る画期的な合意となった。どの選挙区でも、みんなで応援して勝利をめざす選挙にしていく必要がある。全ての1人区での勝利へあらゆる力を注ぎ頑張りたい」と表明しました。
 
鳥取・島根 中林よし子氏 徳島・高知 松本けんじ氏
 この日の合意を受けて、統一候補は合意済みをあわせ30選挙区となりました。残る鹿児島、宮崎両選挙区でも早期合意をめざすとともに、各選挙区で与党候補に勝てるよう「最大限の協力」を図ることで一致しました。党首会談には、日本共産党の小池晃書記局長と各野党・会派の幹事長が同席しました。
 立憲民主党の枝野代表は会談後、「安倍政権打倒の参院選にしていくため良い形でスタートラインにつけた」と記者団に語りました。
 
 志位氏は党首会談で、「わが党は候補者一本化にあたっては、お互いに譲るべくは譲り、一方的な対応を求めないことが大事だと主張し協議してきた。今回の合意を心から歓迎する」と表明。日本共産党公認の統一候補として、今回の党首会談で鳥取・島根選挙区で中林よし子氏、徳島・高知選挙区で松本けんじ氏の擁立を決め、合意済みの福井とあわせ3選挙区となったことについて、「3年前の参院選は香川1県だったが、今回はたいへん大きな前進となった。努力していただいたすべての方々に感謝を表明する」と述べました
 
 市民連合と合意した「共通政策」では、安保法制の廃止、立憲主義の回復に加えて、安倍9条改憲・発議の阻止、沖縄辺野古米軍新基地建設の中止と普天間基地の早期返還、いまの状況下の原発再稼働は認めず原発ゼロをめざすこと、消費税10%の中止と税制の公平化などの一致点が確認されました。
 市民連合の山口二郎法政大教授は「野党と市民は、もう一つの日本、別の選択肢があることを人々に訴え、もう一回、希望を取り戻そう」と訴えました。
 
■参院選1人区野党統一予定候補
   (名簿省略
 
 
野党が参院選候補の一本化合意 トランプ密約暴露が追い風
日刊ゲンダイ 2019/05/30
 いよいよ反転攻勢だ。立憲民主、国民民主、共産、社民各党は29日、党首会談を開き、夏の参院選で32ある改選数1の1人区のうち、決定済みを含む計30選挙区での候補一本化で合意。これで与野党一騎打ちの構図がほぼ固まった
 
「候補者一本化はスタートラインだ。安倍政権打倒の参院選にしていくため、大事な一歩を踏み出せた」
 立民の枝野代表は会談後の記者会見でこう強調。30選挙区の内訳は立民7、国民5、共産3、無所属14。残る宮崎、鹿児島両選挙区についても調整を急ぐ。
 全ての1人区で野党候補一本化が実現した前回(2016年)の参院選では、野党が11勝と善戦。今回はさらなる上積みを狙う。
 
■訴えるべきは2つ
 “追い風”は吹いている。与党は国賓として来日したトランプ米大統領と安倍首相の日米首脳会談などを参院選に向けた弾みの一つに位置づけようとしていたが、トランプ大統領がツイッターで〈日本との貿易交渉は大きく進展している。特に農業や牛肉の分野だ〉などと投稿。参院選後の“密約”を暴露した。日米共同声明でも「米国はTPPに縛られない」と、日本側が求めている農産品のTPP水準は無視する、と断言。参院選で与党が大勝すれば、農家が大打撃を受けるのは確実となった。
 自民党の二階幹事長は1人区の秋田県で開かれた会合に吉川農相と出席。農業団体の票固めに必死だが、野党が「安倍政権はトランプ大統領と農産品で密約」「TPP水準は守られない」と声をそろえれば勝機は十分ある

安倍首相がいまイランを訪れてどうするつもりなのか

 日刊ゲンダイに「永田町の裏を読む」を連載しているジャーナリストの高野孟氏が「日本の首相がいまイランを訪れてどうするつもりなのか」という記事を出しました。
 
 安倍首相はトランプとのゴルフの最中に「日本はイランとよい関係を保っているので、近くイランを訪れて米国との間の橋渡しをしたい」と申し出て、賛同を取り付けたということです
 しかし米国とイランの対立は一方的に米国に非があるわけなので、一体イランに向かって何を言うつもりなのでしょうか。
 高野孟氏は、トランプ氏がイラン経済封鎖の挙に出た背景について分かりやすく解説しています。
 安倍首相はそうした基礎知識の上で喋っているのでしょうか。
 
 そもそもイランのザリフ外相が16日に来日し、首相首相に米国との衝突回避に向けた仲介を頼んだ時に、首相は単にトランプの代弁者のような発言を繰り返し、同外相を大いに失望させました。
「半歩前へ」氏は17日のブログに次のように書いています。
 
 米国寄りの発言に終始した安倍晋三に、イラン外相は強い不満を示した。
 中東戦争を仕掛ける構えを見せるトランプに対し、戦争を避けたいイランは安倍に衝突回避に向けた仲介役を期待した。日本とイランは伝統的に深い友好関係にあるからだ。
 ところが、安倍はトランプの代弁者のような発言を繰り返した。
 こう言う時こそ「日本の出番」ではないのか
 安倍は国益を損ねることはあっても、高めることが出来ない無能者だ。
 これではイラン外相がトランプ訪日に先駆けて、わざわざ日本までやって来た意味がない。
 安倍晋三は政治家ではない。ただのバカだ。
 
 安倍首相が説得すべきはイランではなくトランプ氏の方です。それをトランプ氏の了解を得たからと言って、どの面を下げてイランに行き、何を話そうというのでしょうか。
 得意の『やってる振り』をしたいというのは論外で、トランプ氏が正しいという前提で話をしに行くのでは相手に軽蔑されるだけのことです。
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永田町の裏を読む  
日本の首相がいまイランを訪れてどうするつもりなのか
高野孟 日刊ゲンダイ 2019/05/30 06:00
 安倍晋三首相はトランプ米大統領とのゴルフ遊びの最中に「日本はイランとよい関係を保っているので、近くイランを訪れて米国との間の橋渡しをしたい」と申し出て、トランプから「ぜひ行ってもらいたい」と賛同を取り付けたという。しかし、米イラン間の一触即発的な危機が深まる中で日本の首相が出て行って、イランに向かって一体何を言うつもりなのだろうか。
 
 そもそも、この危機をわざとつくり出したのは、他ならぬトランプ政権と、その中東政策を陰で操るイスラエルのネタニヤフ政権である。国連安保常任理事国の5カ国にドイツが加わって15年7月に達成された「イラン核合意」は、それなりの成果を上げてきた。ところがイスラエルはそれに不満で、18年4月にはネタニヤフがイランの秘密核兵器計画「プロジェクト・アマド」の機密文書10万ページを入手したと大々的に発表。それを真に受けたトランプは、すぐに核合意からの一方的な離脱と経済制裁再開に踏み切った。
 
 反発したイランが核合意の義務履行の一部停止を表明すると、イスラエル情報機関はボルトン米大統領安保担当補佐官に「イランが中東地域の米軍を標的に攻撃を準備している」という偽情報を流し、それをまた真に受けたトランプが空母艦隊などの派遣を命令したのである。
 
 これは、イスラエルがこれまでしばしば用いてきた情報操作の常套手段で、9・11事件後には「イラクが大量破壊兵器を隠し持っている」という偽情報でブッシュ政権をたぶらかしてイラク戦争に引きずり込んだ。その時に国務省にあって、この偽情報をパウエル国務長官に吹き込んで国連の大舞台で演説させたのは、ネオコン一派のリーダー格のボルトン国務次官だった。
 
 ネオコン一派は、全世界の独裁者を陰謀・クーデター・戦争などいかなる手段を用いても抹殺しようとする超過激派集団で、それを通じてイスラエルは米国のイスラムへの憎悪をあおり立てているのである。
 
 そういうわけなので、イランをめぐる現下の危機を鎮静するためにまずしなければならないのは、トランプが陰謀好きなネタニヤフや、“戦争屋”とか“悪魔の使い”とか呼ばれているボルトンなどの言いなりになって暴走しないよう歯止めをかけることであって、イランへ行くのはその後でもいいのではないか。
 
 高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。 

31- 消費税を凍結・減税すべし! (11) (藤井聡教授)

 藤井聡・京大教授によるシリーズ「消費税を凍結・減税すべし!」の「<11> GDP速報値は『激しい経済低迷』を示している」を紹介します。
 
 政府は20日、GDP速報値年率プラス21%と報じ、茂木経財相などは「日本の内需の増加傾向は崩れていない」10月の消費増税率引き上げは予定通り実施すると明言しました。しかし事実は「内需の増加傾向」などではなく、1029兆円もあった輸入が内需が冷え込んだ結果947兆円へと82兆円も急落したため見かけ上GDPを押し上げたのでした。この輸入減が無ければ、GDPは年率マイナス27%になっていました。
 
 そうした実態を無視して消費増税に踏み切れば日本の経済は沈没します。
 文中の太字強調はすべて原文に拠っています。
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<11> GDP速報値は「激しい経済低迷」を示している

日刊ゲンダイ 2019/05/24
 5月20日午前、GDP(国内総生産)速報値が政府から公表された。1-3月期のGDPは、経済の冷え込みからマイナス成長になるのでは、との観測が支配的だったところ、フタを開けてみればなんと、年率プラス2.1%という、良好な数字となっていた。
 この「意外」な結果を受けて早速、茂木経済財政相などは<「日本の内需の増加傾向は崩れていないと述べ、10月の消費増税率引き上げは予定通り実施する(5月20日付「朝日新聞」デジタル)と明言している。

■単なる「見かけ」のGDP成長
 しかし、今回のGDPプラス成長は、「統計マジック」による「単なる見かけ上」の数字に過ぎない。その内容を詳しく見てみれば、成長どころかむしろ、激しく日本経済が低迷しているという真実が見えてくる。
 そもそも、今回の成長に最も寄与したのが、内需の拡大でも輸出の拡大でもなく、「輸入の減少」だった。

 具体的に言うなら、名目値で言えば、102.9兆円もあった輸入が94.7兆円へと8.2兆円も一気に急落。この8.2兆円の急落が、見かけ上、GDPを押し上げたのである。そもそも統計上、輸入はGDPから「差し引く」項目だ。だから「差し引く分が減った」ことで、GDPが見かけ上「プラス成長」したように見えたにすぎないのだ。
 実際、もしもこの輸入減が無ければ、GDPはプラス成長どころか、名目で年率マイナス2.7%になっていたのである。

■「激しい経済停滞」が導いた「見せかけ成長」
 なぜ、輸入がここまで急落したのかと言えば、内需が冷え込み、日本人の購買力が下落したからにほかならない。事実、「消費」も「投資」も下落している。年率で言えば、消費は0.3%減、投資は1.2%も減少している。
 つまり今回のGDP成長は、内需が冷え込み過ぎたことの帰結だったわけだ。
 だから今の日本は、茂木大臣がいうような「日本の内需の増加傾向は崩れていない」という言葉がイメージさせる「成長」とは正反対の状況にあるわけだ。だからその発言は、「悪質な印象操作」の類とすら言うことができよう。
 ちなみに、今回の急激な輸入の減少は、(内閣府が公表している統計表に掲載されている)1994年以降のデータ(実質値)をみれば、リーマンショック時の激しい輸入減少をのぞけば、ほかに類例なき最高値だった。
 いわばこの急激な輸入減少は、リーマンショック級、あるいはリーマンショックに準ずる水準の激しいものだったのである。

■自民党内からも異論
 だからこそ、今回のGDP公表値はむしろ、消費税増税を「凍結」しなければならない状況にあることを明らかに示している。それはたとえば、自民党の西田昌司参院国対委員長代行が21日の党役員連絡会で、「衝撃的な数字だ。縮小均衡で数値がプラスになったにすぎない」>(消費増税について)<「もう一度、党で議論すべきではないか」>(5月21日配信「時事ドットコムニュース」)と発言した通りだ。
 増税推進派はこれから間違いなく、「GDPが成長しているのだから、増税凍結なんて必要ない」という論調の発言を繰り返すだろう。そうしたプロパガンダに対抗するためにも、一人でも多くの国民に、ここで指摘した「GDP統計の適切な読み方」をしっかりとご理解いただきたいと思う。

 消費増税の延期問題はもはや政策論争ですらない。デマと事実の対立問題となっているのである。 

2019年5月30日木曜日

安倍首相が大量購入約束のF35に深刻な欠陥

 トランプ大統領の歓心を買うためには金に糸目をつけずに米国の兵器を爆買いし、購入する兵器の性能などは全くお構いなし、というのが安倍首相の本心です。
 先にはイージスアショア2基(総工費は計8000億円)を買い付けましたが、イージスアショアにはもともと日本に向かうにミサイルを迎撃する能力はなく、ハワイ乃至はグアムに向かう弾道ミサイルの航路や速度等を正確に把握できるレーダーが取り柄で、それこそが米国が必要とするデータなのです。
 しかも肝心のレーダーの仕様が未定とかで、完成するのは5年先と言われています。何のことはない日本には無用の兵器であるうえにまだ未完成の兵器というわけです。
 
 来日したトランプ氏はF35A戦闘機105機の購入に言及して「日本は米国の防衛装備の最大の買い手となった。米国の同盟国のなかで日本がもっともF35を保有することになる」と持ち上げました。実はその他にF35B戦闘機42機を購入するので、総額は2兆円近くになります。トランプ氏が大満足するのは当然です。
 この戦闘機も欠点だらけの実に酷いもので、まずその寿命が当初想定の4分の1しかないことが分かりました。ということは通常のライフを持つ戦闘機が1機で済むところを4機買い替える必要があるので実際の価格は4倍ということになります。
 タイヤの耐久性も不十分で着陸回数10回以内でダメになるということです。
 次にその安全性と完成度ですが、米政府監査院(GAO)は4月にF35について深刻な欠陥を抱えているの報告書を出しています。「危機的で安全性や重要な性能を危険にさらす」という範疇に分類される欠陥が17件もあるということです。
 その内容には、操縦士に酸素欠乏など身体に問題が起きた事例が実に35件に及ぶほか、コックピットの画面がフリーズしたり、明かりの少ない夜間飛行でヘルメット装着型のディスプレーが不鮮明になるなどの致命的なものが沢山あります。欠陥の総数は、昨年4月の開発試験終了時点で900以上あり、いまも800以上欠陥が残っているということです。
 
 まさに使用に耐えない欠陥戦闘機です。トランプ氏の歓心を買うために、国民の血税をこんな無駄遣いで空費するのは許されません。LITERAが取り上げました。
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安倍首相がトランプに1兆2千億円で大量購入約束「F35戦闘機」に欠陥か!
日本でも米でも墜落、米監査院が問題視
LITERA 2019.05.29 12:04
  世界に嘲笑されるような過剰接待を繰り広げたトランプ来日。しかも、その成果とやらは、トランプ自身が明かしたように“農産物の関税大幅引き下げ交渉を参院選後まで引き延ばす”というシロモノで、いかに安倍首相が国民を舐めきっているかが露呈させるかたちとなった。
 だが、安倍首相がトランプ大統領に媚びへつらう一方、国民の生活を苦境に追い込もうとしているのは、貿易問題だけではない。それは、武器の大量購入問題だ。
 27日の首脳会談後、トランプ大統領は満足げにこう語った。
日本は米国の防衛装備の最大の買い手となった。新たなF35ステルス戦闘機を105機購入すると発表した。米国の同盟国のなかで日本がもっともF35を保有することになる
 日本がアメリカから105機もの“爆買い”を約束しているF35Aの価格は、一機あたり100億円以上。このお買い上げにより、約1兆2000億円を超える予算を注ぎ込むのだという。また、F35Bも42機を取得予定だ。
 
 さらに、トランプ大統領にセールスされるがまま導入を決めたイージス・アショアは関連費用含め2基で2350億円と発表されているが、実際には〈基地建設費なども含めれば8000億円近くに達する見込み〉(「週刊朝日」2018年11月9日号/朝日新聞出版)という。
 
 こうした爆買いによって、アメリカからの有償軍事援助(FMS)による兵器購入契約の額は2012年度が1381億円だったのに対し、安倍政権下でどんどんと膨らみつづけ、2018年度は5倍もの6917億円にまで増加。昨年末に閣議決定された「中期防衛力整備計画」では、2019から2023年度に調達する防衛装備品などの総額は、なんと約27兆4700億円程度と過去最高水準に達した。
 昨年9月の国連総会出席後の締めくくり記者会見で、トランプ大統領は「私が『日本は我々の思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と得意気に語ったが、武器の大量買いの原資は言うまでもなく国民の血税である。
 さらに問題なのは、購入した武器のローンだ。2019年度の防衛費は過去最大5兆2574億円だが、アメリカから買い上げた兵器と国産装備品を合わせると、そのローン残高は2019年度で5兆3000億円を超える。つまり、過去最大を更新しつづけている年間の防衛予算よりも、ローン残高のほうが大きくなっているのだ。
 
 貿易問題を交渉力によって打開するのではなく武器の大量購入でお茶を濁す──。しかも、これで農産物や自動車の関税問題を解決できているわけではなく、トランプ大統領が今回の来日で述べたように、参院選が終わればトランプが喜ぶ結果を出さざるを得なくなってしまった。結局、過剰接待の成果とは、参院選後に関税大幅引き下げという先延ばし工作でしかなく、党利党略のために国民の税金を使い、借金を増やしてまで大量の武器購入がなされるのだ。
 まったくふざけるな、という話だが、もうひとつ、忘れてはならない問題がある。それは、F35の安全性の問題だ。
 今年4月9日、航空自衛隊三沢基地に配備されていたF35Aが、青森県沖で墜落した。F35の墜落事故は、B型機が昨年9月にアメリカで起こっており、今回の日本での事故は2例目。搭乗していた細見彰里3佐は依然行方不明のままだ。
 
アメリカの政府機関も「F35は深刻な欠陥を抱えている」と危険を指摘
 これまでもF35をめぐっては安全性に疑問が投げかけられてきたが、そんななか、米政府監査院(GAO)は4月にF35についての報告書を公表。そこでは“F35は深刻な欠陥を抱えている”と指摘されているのだ。
 東京新聞5月23日付け記事によると、報告書では「危機的で安全性や重要な性能を危険にさらす」というカテゴリーに分類される欠陥が、昨年版の報告書で指摘された111件のうち13件が未解決だとし、運用試験がはじまった昨年12月以降も新たに4件が判明。〈コックピットの画面がフリーズし、ソフトウエア修正のため運用試験開始が遅れた〉や〈明かりの少ない夜間飛行でヘルメット装着型のディスプレーが不鮮明になる〉などと具体例が報告されており、記事では〈パイロットの生命維持装置(LSS)の問題も、未解決の欠陥だ〉と指摘。酸素欠乏など身体に問題が起きた事例がじつに35件も発生しているというが、〈政府やメーカー、医師による調査チームが発足したが、原因を特定できていない〉としている。GAOは「今後数年解決しない問題もある」というのだ。
 
 また、5月に公表された昨年9月の米海兵隊F35Bの墜落事故についての報告書では、さらに昨年4月の開発試験終了時点で900以上の欠陥があり、いまも800以上も欠陥が残っていると指摘されている(しんぶん赤旗5月15日付)
 
 しばらく解決しない深刻な欠陥を抱えているとアメリカの政府機関が公表しているものを、1兆円以上も注ぎ込んで計147機も取得する──。しかも、安倍首相は墜落事故直後におこなわれた4月の首脳会談でも、事故の問題を取り上げることなく、むしろF35Aの105機購入をトランプ大統領にあらためて約束したのである。
 国民の税金投入と自衛隊員の身の安全の確保など、まるでお構いなし。だが、それも安倍首相にとっては当然の話だ。
 
安全性おかまいなし、先制攻撃できるおもちゃがほしい安倍首相
 先日、安倍首相は「サイバー攻撃を受けただけで武力行使可能」と、とんでもない答弁をおこなったばかりだが、安倍首相の本音は、とにかくどんな口実を使ってもいいから先制攻撃ができるようにしたい、ということだ。
 そして、その象徴が、防衛大綱と中期防衛力整備計画で明記された、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を改修して事実上「空母化」する問題だ。この「空母化」の話は、そもそも「F35Bの導入が始まりだった」と防衛省幹部が証言をおこなっている(東京新聞1月4日付)。なし崩しに専守防衛の否定、先制攻撃の容認を進めたい安倍首相には、トランプ大統領による「バイ・アメリカン」のセールスは、貿易赤字の問題以前に、まさに意に適ったものでもあるのだ。
 
 そんなに武器を買う金があるなら、安倍首相自身が「国難」と呼ぶ少子高齢化問題などに投じるべきところはいくらでもあるが、メディアに跋扈する安倍応援団は「安倍外交の成功」などと喧伝している。しかし、その外交の実態は、交渉によって国益を守るどころか、「選挙後」への先延ばしと引き換えにまんまと売り渡し、国民の税金を使って「戦争のできる国づくり」に着々と歩みを進めているだけ。一体、これのどこが「安倍外交の成功」だというのだろうか。 (編集部)
 
 
F35B墜落 米、燃料管の欠陥認定 政府監査院 117機で交換必要
しんぶん赤旗 2019年5月15日
 昨年9月に米国内で発生した米海兵隊F35Bステルス戦闘機の墜落事故について、米政府監査院(GAO)は7日付の報告書で、「製造上の欠陥」によって燃料管が破裂し、エンジンの出力を失ったことが原因だと認定しました。
 米国防総省はGAOに、全世界に配備されている機体の約40%にあたる117機で同じタイプの燃料管を使用していたと明らかにした上で、昨年末までに大部分の交換を終えたとしています。
 
 同事故はF35戦闘機の実戦配備開始以来、最初の墜落事故です。今年4月に発生した航空自衛隊F35Aの墜落が2件目となります。
 米海兵隊は事故原因についていまだに「調査中」として明らかにしていません。しかし、岩国基地(山口県岩国市)にも16機のF35Bが配備されており、同様の事故が発生する危険がありました。日米両政府には説明責任があります。
 
 報告書はさらに、F35は昨年4月28日の開発試験終了時点で900以上の欠陥を抱えており、今なお800以上の欠陥が残っていると指摘しています。
 
 米軍当局は在日米軍を含む航空機の墜落事故が発生するたびに「人為的なミス」だと結論づけ、日本政府もオウム返しにしていますが、GAOはF35について、これまでも繰り返し同機の機械的な欠陥を指摘してきました。安倍政権はF35Bの42機購入など、147機もの“爆買い”を計画していますが、少なくとも空自F35Aの事故原因が判明するまで、購入は白紙にすべきです。

米軍関係者の犯罪、8割以上が不起訴 背景に日米の「密約」

 2018年に国内で発生した米軍関係者(米兵、軍属、家族)による一般刑法犯(刑法犯から自動車による過失致死傷などや業務上重過失致死傷を除く)の起訴率が145%だったことが日本平和委員会の調べで分かりました。
 起訴件数が9件だったのに対し、不起訴件数は53件でした。沖縄に限定すると起訴件数が6件に対し不起訴件数は26件で、起訴率は188でした。
 同委員会によると17年までの5年間の国内全起訴率は374%で米軍関係者による犯罪起訴率はその半分以下ということになります。
 米軍関係者による18年の一般刑法犯総数は全国ベースで62件のうち、沖縄県だけで32件と半数近くが沖縄で起きています。
 
 日本平和委員会は、起訴率が低くなる背景として、1953年に日米間で結ばれた「特に重要と考えられる事件以外は(日本側が)裁判権を行使しない」とする「密約」があるからと指摘し、「低い起訴率は、この『密約』を日本政府が現在も忠実に実行している証左だ」と分析しています
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米軍関係者の犯罪、8割以上が不起訴 背景に日米の「密約」か
沖縄タイムス 2019年5月29日06:00
 2018年に国内で発生した米兵や軍属など米軍関係者による一般刑法犯の起訴率は14・5%にとどまり、8割以上は不起訴となっていることが27日、日本平和委員会(東京)の調べで分かった。全国の一般刑法犯の起訴率37・4%の半分以下で、同会は背景に日米両政府の「密約」があるとしている。県内の起訴率は18・8%だった。
 
 一般刑法犯は刑法犯全体から交通関係の過失運転致死傷罪などを除いたもの。法務省が開示した「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」に基づき、同会が集計した。米軍関係者による一般刑法犯の起訴は9件で、不起訴は53件だった。(沖縄)県内は起訴6件、不起訴26件。
 米軍関係者と全国の起訴率に差がある背景として、同会は1953年の日米合同委員会の『密約』にあると分析。「日本側が特に重要と考えられる事件以外は第1次裁判権を行使しないという約束を、日本政府が忠実に実行しているからだ」と指摘している。
 
 沖縄の起訴率が全国より高い理由として「米軍犯罪に厳しい目を向ける県民世論があり、捜査機関も意識しているのではないか」と話した。

30- 30日の憲法審開催見送り 国民投票法改正、今国会困難に

 与党は24日、一旦、憲法改正手続きに絡む国民投票法改正案の今国会での成立を見送る方針を固めました。これから成立に向けて動いても参院選の前に成立させられなければ、慣例で廃案となるからです。
 
 ところが自民党の二階俊博、公明党の斉藤鉄夫両幹事長らは29日午前、都内で会談し、国民投票法改正案について今国会での成立を目指すことを確認しました。投票法改正案の成立にこだわるのはそれが改憲を進める前提になるからですが、何故公明党が絡むのか不明です。しかもCM規制が全く抜けて、駅や商業施設などに「共通投票所」を設けられるようにするという利便性だけを高める改正案ではお粗末すぎます。
 
 安倍首相の側近である萩生田氏はかつて『真相深入り! 虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)に出演して、「ここまで丁寧に我慢してきた。令和になったらキャンペーンを張るしかない。~ 少し『ワイルドな憲法審査』を自民党は進めていかなければならない」と発言しています。それは安倍首相が「20年に新憲法を施行したい」と述べたことと符牒が合うもので、いつか数の力で強行突破しようとしていることは明らかです。いまは彼らにその口実を与えないことが重要で、安易に投票法改正案を成立させるべきではありません。
 
 その後紆余曲折はありましたが、最終的に30日の憲法審開催見送られたので、与党側が目指す5月中の改正案の衆院通過は事実上不可能となり今国会での改正案成立は一層困難な情勢となりました
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国民投票法改正案の成立目指す 与党幹部が確認
産経新聞 2019.5.29 09:51
 自民党の二階俊博、公明党の斉藤鉄夫両幹事長らは29日午前、東京都内で会談し、憲法改正手続きに絡む国民投票法改正案について、今国会での成立を目指すことを確認した。
 衆院憲法審査会は会期末の6月26日までに定例日が4日しか残っておらず、改正案の会期内成立は厳しい状況。だが、自民党の森山裕国対委員長は記者団に対し「与野党がしっかり協議をしていくという基本を大事にしながら、何としても成立を目指す」と強調した。
 会期延長に関しては「参院に送らなければならない法案は、来週までにめどがつく。必要性は感じていない」と否定的な考えを示した。
 
 
国民投票法改正案、今国会中の成立困難に 与野党対立深まる
毎日新聞  2019年5月28日 21:09 
 与野党は28日、衆院憲法審査会の幹事懇談会で、国民投票法改正案の審議を巡って協議したが折り合わず、改正案の今国会中の成立は困難な状況となった。来月26日までの会期内の成立を目指す与党に対し、野党は参院選で改憲の争点化を掲げた安倍晋三首相の発言で態度を硬化。衆参同日選もささやかれる中、対立は深まっている。
 
 与党は幹事懇で30日に憲法審を開き、改正案の質疑と採決を行うよう提案した。だが、立憲民主党は枝野幸男代表がCM規制の議論を優先するよう求めており、山花郁夫・野党筆頭幹事は「党内の決裁が得られていない」と拒否。自民の新藤義孝・与党筆頭幹事が「(枝野)代表の鶴の一声でできないというのはおかしい」といら立つ場面もあった。新藤氏は記者団に「審査会を動かさず、議論しないことに強い憤りを感じる」とぶちまけた。
 当初、与党は5月中に同改正案を衆院通過させ、会期内に成立させるシナリオを描いていた。ところが首相は「2020年新憲法施行」を目指す考えを改めて示し、17日に「憲法を議論する政党か、議論しない政党か、参院選で訴える」と述べた。首相の強気の姿勢は野党の反発を招き、立憲は同法策定にかかわった枝野氏らの参考人招致を求めるなど抵抗を強めている。野党幹部の一人は「首相が安倍氏で、衆参両院で改憲勢力が3分の2以上を占める中、一角でも崩れない限りは協力できない」と強調した。
 
 与党幹部は採決を拒否する野党の姿勢を「理屈になっていない」と批判したが、「数の力」で採決を強行すれば、選挙戦で「逆風」を招きかねない。与党は29日も野党と協議を続ける姿勢だが、見通しは立っていない。会期末まで1カ月を切り、自民党内で「今国会中の成立は厳しい」との声が広がった。
 もともと与党が昨年6月に同改正案を提出したのは、本格的な改憲議論につなげるためだった。ところが野党はCM規制の問題などに焦点を当てており、審議の先延ばしの「材料」となっている。自民党内では「首相が言う『20年新憲法施行』なんて無理だとみんな思っている。丁寧に議論するから、野党も応じてほしい」(ベテラン)との声も漏れる。【遠藤修平】
 
 
30日の憲法審開催見送り 国民投票法改正、今国会困難に
毎日新聞2019年5月29日 17時31分
 衆院憲法審査会は29日、幹事懇談会を開いた。与党が30日に国民投票法改正案の質疑・採決を行うよう求めたのに対し、立憲民主党はCM規制を巡って枝野幸男代表らの参考人招致を要求してまとまらず、30日の憲法審開催は見送られた。与党側が目指す5月中の改正案の衆院通過は事実上不可能となり、今国会での改正案成立は一層困難な情勢となった。