2016年9月30日金曜日

安倍官邸が天皇“お気持ち表明”に報復人事!

 天皇陛下は2010年頃から「生前退位」の意向を口にされ、宮内庁も2014年頃に官邸に対して非公式で生前退位の検討を要請していました。しかし安倍官邸はその要請を握り潰しました。
 2014年頃には風岡宮内庁長官から天皇生前退位の意向をもち、かなり意思が固いこと、15年の誕生日記者会見でその「お気持ち」を表明する希望があることを、官邸は伝えられましたが、やはり官邸はその要請を一蹴15年末のお気持ち表明の計画されました。
 
 そうした経過を踏まえて、宮内庁のトップを含む3人が官邸には内緒で相談して、「陛下が生前退位のお気持ち」であることを、NHkに『特ダネ』の形で報道させるという方法を考え出したと言われています。
 このようにして天皇の「お気持ちの表明」は実現されましたが、面白くないのはこれまで一貫して天皇陛下の生前退位のご希望を握りつぶしてきた官邸です。
 官邸からは、「(宮内庁は)陛下が思いとどまるよう動くべきだった」というような上から目線のクレームが流布されるなどしましたが、それだけでは収まらずに26日付の官邸による宮内庁幹部人事への異例の介入となりました。
9月27日 官邸、宮内庁にてこ入れ お気持ち表明で同庁に不満
 
 そこでは宮内庁長官の風岡典之氏が来年春を待たずに26日付で退任させられ、山本信一郎次長が長官に昇格し、その後任の次長にはナント警察官僚出身の西村泰彦内閣危機管理監が押し込まれることになりました。
 
 安倍氏ほど側近に公安警察出身者を配置し、公安情報を使って謀略政治を展開している首相はこれまでにいませんでしたが、それがついに宮内庁に対しても及ぶことになりました。西村泰彦宮内庁新次長の役目は天皇サイドからの情報リークの動きをあらかじめ潰そうというもので、ズバリ言えば天皇陛下のご意向潰し」だと見られています。
 
 日本会議は「皇室への尊崇の念」を掲げてはいますが、そんなのはご都合主義もいいところで、自分たちの意向に沿わないものについては皇室に対してさえも「そこまでやるのか」ということを平気でする訳です。
 恐るべきことです。
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安倍官邸が天皇“お気持ち表明”に報復人事! 
宮内庁に子飼いの公安警察人脈を送り込み天皇を監視、封じ込め
LITERA 2016年9月28日
「まるで安倍官邸が『天皇封じ込め』のために、刺客を送り込んだような人事だ……」
 こうつぶやいたのは、元宮内庁詰めのベテラン記者。宮内庁は9月23日、風岡典之長官が26日付で退任し、山本信一郎次長が長官に昇格、後任の次長に内閣危機管理監だった西村泰彦氏(第90代警視総監)を充てる人事を発表した。宮内庁長官は通常、70歳の節目に交代し、次長が昇格する。風岡氏は今月70歳を迎えたのでその意味では通例通りのようにも見えるが、先のベテラン記者はそうではないと言う。
 
「通例という意味では、宮内庁幹部の異動は春に行われるというのが通例です。風岡さんも来年3月までは長官を務められると誰もが思っていた。この人事はどう見ても異常です。西村さんの次長就任も極めて異例で、警察官僚が就くのは22年ぶり。次長はまさしく『次』の宮内庁長官ですから、事務次官経験者がどこかの省の顧問などを務めてから就任するのが普通です。官邸のバリバリの危機管理監から直に宮内庁入りというのは聞いたことがない。生臭すぎる」
 
 生臭いどころではない。これは明らかに安倍官邸による「生前退位」問題への“報復人事”だった。その辺の事情をズバリ書いたのは、9月25日付の時事通信だ。風岡長官の退任が早まった理由について、「お気持ち表明に関し、誰かが落とし前をつけないと駄目だ」という政府関係者のコメントを紹介していた。
 たしかに、今年7月、NHKが天皇の「生前退位の意向」をスッパ抜いた際、官邸はこの動きを事前にまったく知らされておらず、「宮内庁の幹部のリーク以外にありえない、いきなり報道でぶつけてくるとは何事か」と激怒していた。その後、天皇自身による「お気持ち」の表明があった後も、官邸周辺からは「(宮内庁は)陛下が思いとどまるよう動くべきだった」(時事通信)、「宮内庁が政府の一員として動いているかどうか分からないところがある」(朝日新聞)といった声が上がるようになっていた。
 
 しかし、この間の生前退位をめぐる官邸と宮内庁の舞台裏を取材してみると、これは完全に八つ当たりとしか思えない。怠慢なのはむしろ安倍官邸のほうだからだ。
 実は、天皇は2010年頃から生前退位の意向を口にしており、宮内庁も2014年頃に官邸に非公式で生前退位の検討を要請していた。しかし、安倍官邸はこのとき要請に取り合わず、握り潰してしまっていたのだ。
 当時、要請を握り潰したのは、風岡長官の官邸サイドのカウンターパートで、“官邸の情報将校”の異名をもつ杉田和博官房副長官(元内閣危機管理監)だったと言われる。
 
 杉田氏は1966年東大法学部卒業後、警察庁に入庁。ほぼ一貫して警備・公安畑を歩み、警察庁警備局長を務めた公安のエリートだ。1997年から内閣情報調査室長を務め、2001年1月に初代内閣情報官、同年4月に内閣危機管理監になるのだが、この時の官房副長官(政務担当)が安倍晋三だった。そして、2012年の第2次安倍内閣誕生とともに杉田氏は官房副長官(事務担当)として官邸入り。以後、日本のインテリジェンスの中枢を牛耳る存在として、官邸に君臨している人物だ。
 
「安倍首相が側近に公安警察出身者を配置し、公安情報を使って謀略政治を展開しているのは有名な話ですが、その元締め的存在が杉田さんです。外交のための情報収集からマスコミ対策、野党対策、反政府活動の封じ込めまで一手に仕切る一方で、官邸に優秀な公安人脈をどんどん集めてきた。首相の右腕と言われる北村滋内閣情報官も元々は杉田さんの部下で、杉田さんの強い推薦があったと言われています。官邸では菅官房長官も一目置く存在で、政権の最大の要ともいう声もあるほどです」(全国紙政治部デスク)
 
 その杉田官房副長官は、2014年頃、風岡宮内庁長官から天皇が生前退位の意向をもち、かなり意思が固いこと、15年の誕生日記者会見でその「お気持ち」を表明する希望があることを伝えられていた。ところが、杉田官房副長官は憲法上、退位の自由が認められていないことを盾にこの要請を一蹴。風岡宮内庁長官に対して公務負担の軽減などで乗り切れ、と突き放し、15年末のお気持ち表明の計画潰してしまったのだという。
「もちろん、杉田官房副長官は事前に安倍首相、菅官房長官に相談もしていたはず。検討拒否は、その意向を受けてのことです。ようするに、官邸は天皇陛下を甘く見ていたんですよ」(前出・元宮内庁ベテラン記者)
 実際、天皇の意思の固さは想像以上だった。この官邸の冷たい姿勢に、天皇の周辺は逆に「もう時間がない」「このままでは陛下の意向が官邸によってなきものにされてしまう」と危機感を募らせ、その結果、NHKのスクープとお気持ち表明という強硬手段に出ざるをえなくなったのだ。
 
 ところが、官邸はこの天皇の身を賭した訴えに対して、逆に激怒し、報復に出た。菅官房長官と杉田官房副長官は、天皇の意向を尊重し、安倍官邸の思惑に反する行動をとったとして、風岡宮内庁長官のクビをすげ替える人事を断行。時事通信に「お気持ち表明に関して、誰かが落とし前をつけないと駄目だ」とコメントした「政府関係者」も杉田官房副長官だと言われている。
 しかも、連中が考えているのは、たんなる報復だけではなかった。それがよくわかるのが、冒頭で紹介した内閣危機管理監の西村泰彦氏の宮内庁次長抜擢だ。
 西村氏は東大法学部卒、1979年に警察庁に入庁した。2013年1月には警察官僚としては警察庁長官に次ぐナンバー2の警視総監に就任するが、わずか1年弱で退官し、14年2月から内閣危機管理監に就任する。これまた、杉田副長官の推薦で安倍首相が「一本釣り」したと言われている。
 
「今回の人事も杉田官房副長官主導で進められた。西村氏はもともと警視庁の広報課長もやっており、マスコミにも太いパイプをもっている。この間も杉田官房副長官の手足となって、官邸でマスコミ対策も担っていた。その人脈を使って、マスコミをコントロール。天皇サイドからの情報リークの動きをあらかじめ潰そうという意図もあるのでしょう」(全国紙政治部デスク)
 さらに、西村氏の最大のミッションはズバリ「陛下のご意向潰し」だ。安倍政権にとって皇室典範の改正によって天皇の「生前退位」を認めることはもってのほかだ。なぜなら、安倍政権の支持母体である日本会議はじめとする右派の皇室観に反するからである。天皇の意向が表面化してからというもの、安倍応援団である日本会議系の学者が入れ替わり立ち替わり天皇批判を繰り返しているのは周知のとおりだ。
 
 政権維持のためには、天皇自身の意思を踏みにじってでも、右派勢力の意志には従わなければならない。そこで、安倍首相が着々と進めているのが、特別措置法によっていまの天皇に限って「生前退位」を認める方針だ。宮内庁人事が発表されたのと同じ23日、政府はこの問題を検討する有識者会議のメンバーを発表した。議論をまとめる座長には今井敬・経団連名誉会長が就く見通しだという。今井氏は、首相の側近中の側近といわれる今井尚哉政務秘書官の叔父で、安倍首相とも頻繁に会食を重ねている。
 
有識者会議のメンバーを見ても、安倍首相に近い人脈ばかりで、皇室問題の専門家はひとりもいない。明らかに官邸の思惑通りの提言を出させようというのがみえみえです」(前出・全国紙政治部デスク)
 
 そしてこの有識者会議の事務局には、前述の西村氏が宮内庁を代表して参加する。つまり、有識者会議の議論もすべて官邸のコントロール下に置き、特措法での対応を既成事実化しようという魂胆なのだ。しかし、これは明らかに天皇の意思にも反する行為だ。国民世論にも逆行している。例えば、朝日新聞が9月に実施した世論調査では、91%の人が「生前退位」に賛成し、そのうち76%が「今後もすべての天皇が退位できるようにするのがよい」と答えている。
 
 実は、こうした天皇と安倍首相の暗闘はいまに始まったことではない。安倍は過去にも警察官僚を使って天皇の意向を握り潰そうとしたことがある。小泉純一郎政権末期の2005年、首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が「女系天皇」も認める報告書を取りまとめた。将来にわたる天皇制の維持を心配する天皇自身の意思を当時の小泉首相がくみ取ったものだと言われ、小泉首相は本気で皇室典範改正を考えていた。しかし、当時官房長官だった安倍氏は「男系男子」にこだわり、なんとか小泉首相を翻意させようと躍起だった。そのとき安倍氏の手足となって暗躍したのが、当時警察庁長官だった漆間巌氏だったと言われる。
 
 漆間氏は、第1次安倍政権発足後も安倍に乞われて警察庁長官として居座った。安倍政権の下で漆間氏は「北朝鮮への圧力を担うのが警察の役割」などと公言し、朝鮮総連関連など「北朝鮮が嫌がる捜査」に血道をあげた。『日本の公安警察』(講談社現代新書)の著書があるジャーナリストの青木理氏は一連の漆間氏の振る舞いを、かつての特高警察を彷彿とさせる“政治警察宣言”にも等しいと喝破している。
 
 そして、安倍もこの時、警察を使って政治を動かす不健全な権力運営に目覚めたのではないか。事実、これ以降、政敵や野党幹部のスキャンダルを内閣情報調査室や公安警察を使ってかき集め、メディアにリークするというのが、政権の常套手段となった。最近では、民進党代表選で浮上した蓮舫議員の二重国籍問題なども内調のリークだといわれている。
 いずれにせよ、安倍政権にとっての警察は国民の命と安全を守る組織ではなく、国民を監視・支配するための道具なのだ。
 
 そう考えると、今回の宮内庁人事もその一環、とみたほうがいいかもしれない。安倍政権に逆らう者をひとくくりに「敵」とみなし公安警察を使って監視する、その対象を天皇周辺にまで広げたということではないか。
 これは決してオーバーな話ではない。安倍はおそらく、憲法遵守の姿勢を鮮明にする天皇を、自分の野望を阻む最大の「敵」だと考えているはずだ。これから先、天皇は生前退位にとどまらず、公安警察出身の新しい宮内庁次長によってあらゆる民主主義的な発言を封印されてしまうことになるかもしれない。(エンジョウトオル)

30- 日本が米軍の兵站線を担う ACSAに署名

 戦争における兵站は最重要ともいえるもので、そのことは安保法制の審議の時にも十分に指摘されました。
 26日、いわば米軍の兵站を日本の自衛隊が担うという「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」が取り決められたということです。物品や役務を融通するというわけで、物品には燃料や弾薬が含まれるし役務には当然兵站線の確保も含まれます
 
 いまシリアなどの情勢を見ると、アメリカにはロシアとの戦争を避けようとする姿勢が見らないどころか、それを挑発しているかのようです。
 アメリカはいずれ東アジアでも軍事的な緊張を高めようとしており、安倍政権もそれを待っているかのようですもしも米軍(集団的自衛権によって日本も)が中国と武力衝突を起こせば当然ロシア軍も出てきます。その時に兵站線を担う自衛隊はアメリカ軍の軍事拠点と同じように攻撃されることになります。
 
 安倍首相はそれを望んでいるようなのですがそんなことは絶対にあってはならないことです。
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日米両政府は26日、ACSAに署名し、米国の侵略戦争で
日本が兵站線を担う態勢が整備されてきた    
櫻井ジャーナル 2016.09.29 
 日米両政府は9月26日、外務省で「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」の署名式を行ったようだ。安倍晋三政権は「集団的自衛権」という名目でアメリカの侵略戦争に協力する態勢を整えつつあり、その一貫と言えるだろう。このACSAは自衛隊とアメリカ軍が物品や役務を融通する際の取り決めで、物品には燃料や弾薬が含まれる。有り体に言えば、アメリカ軍の兵站線を自衛隊が担うということだ。
 
  兵站は戦争の勝敗を大きく左右する。アメリカ軍が行ってきた「テロとの戦い」の間に「テロリスト」が勢力を拡大できたのは、アメリカ軍が「テロリスト」の兵站線を叩かなかったことが大きい物資を「テロリスト」に「誤投下」してきただけでなく、高性能兵器をアメリカやその同盟国はアル・カイダ系武装集団へ供給している。最近ではそうした事実を隠していない。隠す必要がないほど知られているとも言える。
 
  2012年8月にDIA(国防情報局)の作成した文書がシリアにおける反乱の主力をサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・カイダ系武装集団)だとし、西側、湾岸諸国、そしてトルコからの支援を受けているとホワイトハウスに報告、「穏健派」を支援するというバラク・オバマ政権の政策が危険だと警告している。そうした警告を知った上でオバマ大統領は「穏健派」、その実態は「過激派」を支援してきた。目的は、言うまでもなく、バシャール・アル・アサド体制の打倒だ。
 
  最近ではアメリカ軍も開き直り、例えば8月16日に広報担当のクリストファー・ガーバー大佐は記者会見で、自分たちが戦っている相手はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)だけであり、アル・ヌスラ(アル・カイダ系武装集団)ではないと明言している。そのダーイッシュとアル・ヌスラの実態に大差はなく、違いはタグの種類だけ。
 
  本ブログでは何度も書いてきたが、シリアでの戦闘が「独裁政権に対する民主主義を求める人民の蜂起」でないことは、2011年春に戦闘が始まった直後から少なからぬ人が指摘してきた。アサド体制を倒すためにアメリカの好戦派はリビアと同じようにアル・カイダ系武装集団を使い、そうした集団とNATOとの関係が広く知られるようになると、新たなタグとしてダーイッシュをつけただけだ。
 
  9月17日には、そのダーイッシュを守り、シリア政府軍への攻撃を支援するため、アメリカ軍が主導する連合軍のF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機がシリア北東部の都市デリゾールで政府軍の部隊を攻撃、当初の発表では62名が殺された。その後でシリア政府軍は死者の数を80名以上としている。
 
  ロシア軍との戦争が勃発する可能性が高まることを承知の上でアメリカ軍が前面に出て来たのは、手先の「テロリスト」が劣勢になったから。「停戦」で時間を稼ぎながら態勢を整えるためだ。「テロリスト」でアサド政権を倒すことが困難になった一因は、アメリカ軍と違い、ロシア軍が本当に侵略軍の兵站線を攻撃したからだ。ロシア軍が出てくる前、アメリカ軍が兵站線を放置しているのは「テロリスト」を叩く意思がないからだと言われていた。それほど兵站線は重要だ。
 
  アメリカ軍は東アジアでも軍事的な緊張を高め、安倍政権はそれに同調している。アメリカ軍が日本を従えて中国と戦争を始めたならロシア軍が出てくる可能性は高く、日米と中露の戦争になる兵站線を担う自衛隊はアメリカ軍の軍事拠点と同じように攻撃されるだろう。そうした役割を安倍政権はACSAによって、アメリカ政府に約束したわけだ。

2016年9月29日木曜日

憲法カフェのお知らせ

  『 憲法カフェ in 湯沢 』のご案内
 
 「通信平和の輪」や「案内ビラ」でお知らせしましたとおり、10月1日(土)に「憲法カフェ in 湯沢」を開きます。
 講師の田中淳哉弁護士は「明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)」のメンバーで、これまで県内各地の憲法カフェに参加してこられた大ベテランです。
 
 当日は茶菓を準備して家庭的な集まりにしたいと考えております。
 沢山の方々のお出でをお待ちしています。
 
   憲法カフェ in 湯沢
 
  月 日: 10月1日(土)
  時 刻: 13:30~15:30
  場 所: 湯沢公民館3階 会議室2

曽野綾子が夫の認知症で豹変

 曽野綾子は、安倍首相などから見ると立派な人であるらしく、2014年の道徳教科書には『誠実の人』として登場していますが、その評判は決して芳しくはありません。
 現にその翌2015年2月には「労働力不足と移民」の問題で、労働力不足を緩和するため移民受け入れるとしても、「居住区だけは白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、という国際的な舌禍事件を引き起こしました。
2014年10月31日 曽野綾子が新版の道徳教科書に載る
2015年2月15日 曽野綾子氏の人種隔離容認に非難が集中
 
 彼女は2014年1月には『年寄りをどう始末するか』をテーマにしたという小説「二〇五〇年」を発表し、今年の2月には、週刊ポストに「高齢者は適当な時に死ぬ義務とするインタビュー記事を載せました。
 「二〇五〇年」の概要については以下に紹介するLITERAの記事を読んでいただくとして、インタビュー記事では高齢者が『いくらでも生きたい』というの傲慢で、『適当な時に死ぬ義務』があるとしています。
 そしてインタビュー記事と前後して、「ある年になったら人間は死ぬのだ、という教育を、日本では改めてすべき」主張しまし(産経新聞)。 まことに恐るべき徳の高さです。
 御年84歳曽野綾子のこの発言に対しては、インターネット上で「あなたからどうぞ」と返されたのは当然のことでした。
 
 ところが昨年秋頃に曽野夫・三浦朱門初期の認知症になり、検査入院した時に『日々刻々と夫の精神活動が衰えるのを感じ』たために夫を自宅に連れ戻り、介護をする生活に入ったということです。
 そして以前に発表した「二〇五〇年」について、ナント「この危険で破壊的な小説の内容は、当時あくまで空想上のことであった。むしろ現在だったら、私はこの作品を書けなかっただろう」と述べたということです。
 
 ふつう思想とかが本物であるというのは、自分を取り巻く状況が変わっても不変であることによってはじめて成り立つものです。それが夫については例外であるとか、自分たち夫婦の場合は例外だというのであれば、はじめからそんな主張はすべきではありません。なんという徳の低さなのでしょうか。
 
 曽野綾子はこれまでも数限りなく人を、場合によっては個人名も挙げて口汚く罵り続けてきました。
 LITERAの記者水井氏は決してそんなことはせずに、「・・・しかし、ならば自分の夫を愛おしく思い自宅で介護したいと願い、サービスを受けているように、ほかの誰かも同じような思いから社会保障を受けているのだという想像力をもつべきではないか」と、いつものように実に丁寧に文章を折りたたんでいます。
 同じく文筆に生きる人間として少しは見習うべきでしょう。
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曽野綾子が夫の認知症で豹変?
「老人を長生きさせるな」と老人抹殺小説まで発表したのに「もう書けない」
LITERA 2016年9月26日
 元フジテレビアナウンサーの長谷川豊による「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」と題したブログが、いまも波紋を呼んでいる。その後も長谷川は撤回することも謝罪することもなく、むしろ批判が強まっていることを「悪質な言論弾圧以外なにものでもありません」などと呆れた主張を繰り返している。
 
 本サイトでは、この長谷川のような自己責任論を振りかざしてきた代表的論客として作家の曽野綾子の名を挙げ、“高齢者や自己責任の病気で保険を使う人間のせいで、この国はそのうち医療費で破綻する” との主張で人々の不安と怒りを煽ってきたことを先日紹介した。
 だが、当の曽野自身が、いま、高齢者の問題に直面しているのだという。曽野は「週刊現代」(講談社)9月24日・10月1日号に「「夫・三浦朱門」を自宅で介護することになって」という独占手記を発表。翌週号から「自宅で、夫を介護する」という連載をスタートさせたのだ
 
 曽野はまず、自身が現在〈多くの日本人が直面している典型的なケースを生きている〉とし、昨年から夫の三浦に機能障害が表れはじめ、初期の認知症であることを公表。同年秋には検査入院をしたそうだが、曽野は〈日々刻々と夫の精神活動が衰えるのを感じ〉夫を連れて自宅に戻ったといい、夫の〈喜びようは、信じられないくらいだった〉ことから〈覚悟を決めた〉という。
〈夫にはできれば死ぬまで自宅で普通の暮らしをしてもらう。そのために私が介護人になる、ということだった〉
 
 曽野の独占手記を読むと、自宅にケアマネージャーが訪れるなどしていることが窺えるが、そのように夫の介護を決意したいま、曽野は以前に発表した“ある小説”について、こう振り返るのだ。
〈この危険で破壊的な小説の内容は、当時あくまで空想上のことであった。むしろ現在だったら、私はこの作品を書けなかっただろう
 その小説とは、曽野が「小説新潮」(新潮社)2014年1月号に発表した二〇五〇年」という短編のこと。「いまなら書けない」というこの小説、じつは高齢者の自己責任を煎じ詰めた内容なのだ。
 
 物語の舞台は2025年。人口減から日本は荒廃し、ついでにマンガやコスプレなどのサブカル文化やネット依存によって若者たちの精神も荒れ果て、その結果、高齢者は〈物言わない生きた死体同様〉の存在として扱われるようになる。
 そして、寝たきりの老人が生きることには「なぜ、そんなに生かすのだ」「眠り続けているだけの老人を生かす費用は一体誰が出したのだ」と否定的意見が出るこの社会では、高齢者のジェノサイドが当然のように起こる。〈老人を抹殺することには、一種の社会的必然ができている。或いはそれは暗黙の社会的正義だと感じる層さえ出るようになった〉のだ。
 
 しかし、75歳の男性主人公は、それを当然のことだと受け止めている。
〈「一人の人の命は地球よりも重い」というような言葉が流行し、疑いもなく受け入れられたのは、二十世紀後半のことだろうが、当時の人の心は実に甘いものだったのだ。私は曲がりなりにも二十世紀というものを知っているから言えるのだが、理想論を口にした連中はすべて詐欺師に近い。医者も同じだ。彼らは人の命を延ばすことには成功したが、それに腹を立てた人々も増えたのだ〉
 
 〈今世紀の初め、私はまだ若かったのだが、人々は今ほど立派ではなかった。すべて現世の不備は政治のせいであり、すべての病気は医師が治すもので、治せないのは保健省の怠慢か、医師の無能のせいだと考えている人もいた。地震や津波で被害を受けた人全員に国家が損害賠償を支払うなどということはもともと出来えないことだったのだが、それを要求する人もいた。
 今人々は少し、人間を取り戻している。運命を受け入れるようになったのだ〉
 
 無論、このディストピア(絶望的)小説は、高齢者福祉の思想が停止した世界をアンチテーゼとして書いたものなどではない。曽野は一貫して高齢者を金食い虫として批判してきたが、この小説でもそれを主張しているのだ。
 現に、2014年5月に発売された近藤誠医師との共著『野垂れ死にの覚悟』(KKベストセラーズ)のなかで曽野は、この「二〇五〇年」という短編についてふれ、こう語っていた。
「これから一番大切なのは、いやな話ですけど『年寄りをどう始末するかっていう問題ですね。どうしたら穏やかに、比較的幸福に、不当な長生きをしないようにするか。もう始めなきゃいけないことですけど、国も医学界も何もやっていらっしゃいません。国だけじゃなくて、長寿に奔走したドクターたちにも責任がありますよ(笑)」
 金がかかる不当な長生きをさせてはいけない。老人を抹殺することは〈人間を取り戻している〉証拠だ──。そんな恐ろしい考えを正当化する小説を、曽野は何のためらいもなく発表していたのだ。
 
 しかし、いざ自分の夫に健康上の不安が見え、介護が必要となると、「いまなら書けない」と言い出す。作家なのにその程度の想像力ももちあわせていなかったのか、と驚くしかないだろう。
 だが、今回の告白で過去の作品を「書けない」と振り返る一方で、夫の介護をスタートさせていた今年1月にも、曽野はやはり「何が何でも生きようとする利己的な年寄りが増えた」などと高齢者が生きるための正当な権利を主張すること自体を猛批判している(産経新聞1月24日付)。
 
 以前、本サイトでは、曽野が日本のハロウィーンを“タダで子どもたちにお菓子をもらわせようとする卑しい魂胆の見える親たち”などと批判しながら、自分の息子がマンガのただ読みをしたことを「相当なもの」と賞賛していたことを紹介した。介護の問題といい、他人のことは利己的だと攻撃するが、じつのところ利己的なのは曽野自身ではないか。
 
 もちろん、御年85歳である曽野自身も後期高齢者であり、彼女が90歳の夫の介護を行うのは老老介護だ。そのような状況では、保険を利用して治療を受けながら、公的な介護支援サービスを利用し、さまざまな人の手を借りながら要介護者と介護者が孤立しない状態をつくることが望まれる。いくら曽野がそうした社会保障のあり方を批判し、自己責任でどうにかしろとがなり立ててきたといっても、それを受ける権利が曽野にはあるし、適切な保護を受けてほしいと思う。
 しかし、ならば自分の夫を愛おしく思い自宅で介護したいと願い、サービスを受けているように、ほかの誰かも同じような思いから社会保障を受けているのだという想像力をもつべきではないか。今後、「何が何でも生きようとする利己的な年寄りが増えた」などと口にするようであれば、それは自身の夫にはね返ってくるということを自覚するべきだろう。(水井多賀子)

29- アル・カイダの司令官が米国は味方だと述べた(櫻井ジャーナル)

アル・カイダ系武装集団の司令官が米国を味方だと
話したと伝えた独雑誌は独国の米国離れを示唆    
櫻井ジャーナル 2016年9月28日
 アル・カイダ系武装集団にしろ、そこから派生したダーイッシュにしろ、自由シリア軍(FSA)にしろ、新しいタグのファテー・アル・シャム(レバント征服戦線)にしろ、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とする侵略勢力の傭兵にすぎない。アメリカ軍の元幹部、情報機関、副大統領も認めている事実だ。
 アル・カイダ系のアル・ヌスラの幹部は武器をアメリカから入手、アメリカは自分たちの味方だと認めたとドイツの雑誌が伝えている。雑誌の記事に目新しい事実が含まれているわけではないが、これまでアメリカの好戦派が主張することを宣伝するだけだったメディアが事実を伝えているのは興味深い。
 
 戦争に消極的だったビル・クリントン政権を戦争へと導いたのがヒラリー・クリントンの人脈だということは本ブログですでに指摘した。その転換点は1997年1月。国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリン・オルブライトに交代した時だ。オルブライトは大学時代にズビグネフ・ブレジンスキーから教えを受けた人物で、ヒラリーと親しい。オルブライトがユーゴスラビアへの先制攻撃を先導した。
 ビル・クリントン政権には国務副長官の首席補佐官として、好戦的なネオコン/シオニストのビクトリア・ヌランドもいた。なぜ彼女がこの政権に入っているのかいぶかる人もいたが、その謎を解く鍵もヒラリー。ヌランドとヒラリーは親しい間柄だ。
 つまり、ヒラリーは筋金入りの好戦派で、ネオコンだけでなく、戦争ビジネスや巨大金融資本を後ろ盾にしている。共和党の大統領候補であるドナルド・トランプが立派な人物だとは言わないが、危険度ではヒラリーが高い。
 
 アメリカの好戦派はNATOをロシアとの国境へ近づけて挑発、ウクライナでは選挙で民主的に選ばれた政権を倒すためにネオ・ナチの暴力を使い、リビアやシリアではアル・カイダ系武装集団など「テロリスト」を利用している。
 ユーゴスラビアではNATO軍を利用、イラクは2003年にアメリカ軍が率いる連合軍が戦争攻撃してサダム・フセイン体制を倒し、その後も破壊と殺戮を続けている。正規軍を使っての侵略だが、2008年に流れが変わる。
 
 ジョージア(グルジア)では2001年からイスラエルの会社がロシアとの戦争に備えてグルジアに武器を提供、同時に軍事訓練を実施して戦争準備を進めていた。軍事訓練の責任者はイスラエル軍の退役したふたりの将軍、ガル・ヒルシュとイースラエル・ジブで、イスラエルからは無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどが提供されていた。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008)
 
 また、ロシア軍のアナトリー・ノゴビチン将軍もイスラエルがグルジアを武装させていると非難している。2007年からイスラエルの専門家がグルジアの特殊部隊を訓練し、重火器、電子兵器、戦車などを供給する計画を立てていたというのだ。(Jerusalem Post, August 19, 2008)
 当時、ジョージアにはヘブライ語を流暢に話せるふたりの閣僚がいた。ひとりは国防大臣で、もうひとりは南オセチア問題の担当大臣。それほどイスラエルとグルジアとの関係は深かった。
 
 2008年7月10日にアメリカのコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問、それから1カ月足らずの8月7日にサーカシビリ大統領は南オセチアの分離独立派に対して対話を訴え、その約8時間後に深夜に奇襲攻撃を開始したが、ロシア軍がすぐに南オセチアへ援軍を派遣、軍事侵攻していたジョージア軍を粉砕してしまった。そして8月15日、再びライス国務長官がジョージアを訪れている。
 約6年に渡って準備しての軍事侵攻であり、ロシア軍に粉砕されたことはショックだったろう。その2年前、フォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)はロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できるようになる日は近いとするキール・リーバーとダリル・プレスの論文を掲載していた。南オセチアの一件で、アメリカの支配層がロシアの軍事力を過小評価していたことが明確になった
 
 2011年春にリビアやシリアに対して始まった侵略戦争は傭兵を使ったゲリラ戦。リビアではNATOの空爆も絡めて破綻国家を作り上げたが、シリアではロシアが空爆を許さない。しかも2015年9月30日にはロシア軍が空爆を開始、戦闘部隊が叩かれ、兵站線も攻撃されて侵略は目論見通りに進んでいない。
 そこでロシアに停戦を認めさせ、その間に攻撃態勢を整えた。タグを付け替えて空爆させないような演出を試み、自国の特殊部隊を増派していくつもの拠点を作り、国境線から100キロメートル程度の地域はアメリカ側が支配しているようだ。しかも、60名とも80名とも言われるシリア政府軍の兵士を空爆で殺している。
 
 シリア北部の要衝アレッポの山岳地帯にある外国軍の司令部を、シリア沖にいるロシア軍の艦船から発射された3発の超音速巡航ミサイルが9月20日に攻撃、約30名が殺されたとロシア系アラビア語メディアが伝えている。その外国人とはアメリカ、イギリス、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、カタールから派遣された軍人や情報機関の人間で、シリア政府軍に対する攻撃を指揮していたのはここだとも言われている。
 
 こうした情報が正しいなら、すでにアメリカとロシアの戦争は始まっていると言えるだろう。危機感を持つ人が増えるのは当然で、EUではそうした動きが見られる。 

2016年9月28日水曜日

もはや北朝鮮 安倍首相の所信表明で自民党議員が起立・拍手

 26日の首相の所信表明演説中に、突如自民党議員が総立ちになって約10秒間拍手し続けるというシーンが登場しました。
 
 小沢一郎氏はツイッターで、「本当に異様な光景であった。本当に気持ち悪いものを見た。一強多弱で、いま日本の政治は完全に壊れつつある」、と述べました。
 
 植草一秀氏はより辛らつに、「米国議会では、大統領が年初に行う一般教書演説で、議員が儀礼的にスタンディングオベイションすることが通例となっている。それを猿まねしただけの演出だが、アメリカのポチによる猿まねで、品格なき政権、品格なき国会を象徴する出来事になった」として、安倍ジョンイル所信表明演説と名付けました。
 
 総立ちで拍手したシーンが北朝鮮の議会を連想させたという評論は他にもいくつも聞かれます。
 LITERAは、スタンディングオベイションの対象が、「海保や警察のこともふれていたものの、真の目的が自衛隊にあったことは明白で、これから先自衛隊に命をかけさせる事態が起きるのは確実なので、そのための地ならしをした」という見方を紹介しています。
 つまり、自民党議員たちは彼らなりに安保法制を成立させた負い目を感じているということで、それが安倍首相と一体化した拍手となったのでした。
 
 しかし本来の祖国防衛の大儀に殉じるという名誉も奪われて、死地に追いやられようとしている自衛隊員のことを思えば、それを制度化した安倍首相と自民党議員たちの罪の意識は拍手などで贖えるものではありません。そうではあるものの、いまは北朝鮮的な儀式をすることしか選択肢は残されていないという訳です。
 彼らが真の安寧を得たいというのであれば、安保法制を廃止するしかありません。
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もはや北朝鮮、安倍首相の所信表明「自民党議員の起立・拍手」の裏側! 
見た目の異様さ以上に恐ろしい事態が
LITERA 2016年9月27日
 こいつはヒトラーか、金正恩にでもなったつもりなのか。昨日、衆院本会議で行われた安倍首相による所信表明演説をみて恐怖で鳥肌がたった。それくらい、あの光景は不気味なものだった。
 国会中継を見ていない人のために、改めて経緯を振り返っておこう。それは、安倍首相が演説で北朝鮮の核実験問題を取り上げた後のことだった。いきなり陶酔的な口調で「我が国の領土、領海、領空は、断固として守り抜く。強い決意を持って守り抜くことを、お誓い申し上げます」と宣言した後、こう続けた。
「現場では夜を徹して、そして、いまこの瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務に当たっています。極度の緊張感に耐えながら強い責任感と誇りをもって任務を全うする。その彼らに対し、いまこの場所から、心からの敬意を表そうではありませんか
 
 安倍首相がそう言うと、自民党議員らが次々に立ち上がり、拍手を始めたのである。途中で安倍首相自身も拍手をはじめ、じつに10秒近く、拍手は続いた。途中で大島理森衆議院議長が「ご着席下さい」と注意しても、拍手は鳴り止まなかった。
 首相の所信表明演説でこんなパフォーマンスが繰り広げられたのは、おそらく戦後の日本でははじめてだろう。ファシズムを想起させるこの異様な光景には、野党や一部メディアからもさすがに「まるで北朝鮮や中国共産党の党大会だ」「言論の府にふさわしくない」という批判の声が上がった。
 
 しかし、このパフォーマンスには見た目の異様さ以上にもっと恐ろしい問題が隠されている。
 そのひとつが、安倍首相が今回、“起立して拍手”を促す際、「海上保安庁、警察、自衛隊に敬意を表す」という大義名分を掲げていたことだ。これは明らかに、今後、起きる事態を想定したものだと考えられる。
「海保や警察のこともふれていましたが、安倍首相の演説の目的が自衛隊にあったことは明白です。これから先、自衛隊に『命をかけさせる』事態が起きるのは確実ですから、そのための地ならしをしたということでしょう」(全国紙政治部デスク)
 
「命をかけさせる」事態というのはもちろん、安保関連法に基づく「駆けつけ警護」の開始だ。自衛隊は、PKO派遣先の南スーダンでその新任務に初めてつく可能性が高いが、南スーダンは今、武力紛争状態にあり、自衛隊宿営地の目と鼻の先でも銃撃戦が繰り返されている。今月17日、稲田朋美防衛相はマラリア薬のアレルギー症状が出たという理由で直前になって南スーダン視察を“ドタキャン”したが、これも戦闘に巻き込まれる懸念があったためではないかとも言われているほどだ。当然、そのような場所で駆けつけ警護を行うことは、自衛隊員の命を奪う可能性が非常に高くなる。
 
 安倍首相は今回の演説で、駆けつけ警護については一言も語らなかった。つまり、実際の危機が間近に迫っていることを巧妙に隠しながら、あらかじめ自衛隊員の“英雄化”をはかっておくことで、殉職者が出た場合の反発を最小限に押さえ込もうとしたのではないか、というのだ。
「他にも、安倍首相は将来、尖閣諸島をめぐる武力衝突や朝鮮半島への派兵なども念頭に入れているはずです。そのために、自衛隊員に敬意を表するポーズをとりながら、『国のために命を捧げるのは当然』という空気をつくりだそうとしているのでしょう」(前出・全国紙政治部デスク)
 いずれにしても、今国会の所信表明演説で繰り広げられた事態は、まさに安倍政権による「戦争のできる国」「国民が国家のために命を投げ出す国」づくりの一環だった、そう考えるべきだろう。
 
 さらにもうひとつ、今回のパフォーマンスで露わになったヤバいことがある。それは、安倍首相の呼びかけにほとんどの自民党議員が立ち上がり、一斉に拍手を送ったことだ。
「今回のパフォーマンスは、安倍さんの側近幹部や閣僚が手下の若手議員に事前に指令を出し、リードさせたものらしいですが、最終的にはほぼ自民党議員全員が立ち上がって拍手を送っていた。これは、今の自民党の状況をそのまま物語っているといえるでしょう。安倍首相の独裁体制が完全にできあがっていて、誰も逆らえない。若手議員はむしろ、政権中枢に取り入るために、率先してタカ派的姿勢、歴史修正主義的姿勢をアピールしている状態です」(政治評論家)
 
 日本が戦後、ずっと自民党政権による一党支配が続いていたにもかかわらず、民主主義をかろうじて守れてきたのは、自民党内に保守からリベラルまで多様な意見があり、それがある種のバランス装置として機能してきたからだった。ところが、安倍政権下でそのバランス機能は完全に失われ、いまや自民党は“安倍サマの党”になってしまったのだという。
 
「この流れは、小選挙区比例代表制によって総裁が人事と金を握ることになったことから始まったもので、小泉政権時代にもあった。しかし、安倍首相はその流れをさらに陰湿なかたちでエスカレートさせています。とにかく自分たちに逆らう非主流を徹底的に干し上げ、ときには謀略で陥れ、党内の抵抗勢力を一掃してしまった。一方で、選挙では、自分たちに逆らわない議員、同じ極右的思想をもつ新人に率先して公認を出していった。こうした結果、二階(俊博)幹事長はじめ、かつては“面従腹背”といわれていた幹部も次々に安倍さんの軍門に下って、独裁体制ができあがったというわけです」(前出・政治評論家)
 ようするに、いまの自民党は、安倍が自衛隊を戦地に送れと言えば、すぐに戦地に送る、憲法改正とをやると言えば、党を挙げてやる、そんな体制ができあがってしまっているということらしい。
 
 しかも、恐ろしいのは、自民党でいま、この独裁状況を「総裁任期延長」によってさらに固めようという動きがあることだ。自民党の総裁任期は、連続2期6年までとなっているが、二階幹事長を中心に、それを連続3期9年あるいは無期限に変更する議論が始まっているのだ。
 もちろん、この総裁任期延長も安倍首相の意向によるものだ。安倍は2013年、五輪の東京招致が決まった直後、側近記者に「東京五輪はオレが呼んだんだから、オレがやるのが当然だろう」と語っていたというが(「週刊ポスト」2016年9月16・23日号/小学館)、リオデジャネイロ五輪の閉会式では「東京で会いましょう」と堂々と宣言し、任期延長の野望を隠さなかった。
 
 しかし、総裁任期が長期に及ぶことは、必ず党の私物化や専横、腐敗をうむ。だからこそ、多くの民主主義国家では、政権を担う政党の総裁任期に制限をもうけてきたし、自民党でもこの任期だけは厳格に守られてきた。支持率の高かった中曽根首相や小泉首相の時代ですら、任期延長は実現しなかった。ところが、安倍首相はそのタブーを破って、本当の独裁体制を築こうとしているのだ。
 しかも、いまの自民党をみていると、これに反対している有力議員は石破茂、小泉進次郞、岸田文雄外相くらいしかおらず、延長は確実な情勢だ。「任期無期限」になりそうな気配さえ漂っている。
 
 ヒトラーというのはさすがにオーバーかもしれないが、このままいけば、安倍首相がロシアのプーチン大統領並みの独裁者になる可能性は極めて高い。その意味でも、昨日国会で繰り広げられたものは、たんなるパフォーマンスではない。明日の日本の政治を先取りした光景なのだ。(編集部)

稲田防衛相が夫名義で大量の軍需関連会社株を所有

 稲田朋美防衛相、夫名義で軍需関連企業5社の株を合計2万2000株所有していることが分かりました。これは201212月発足第2次安倍内閣で行政改革担当相として初入閣した以降に購入したものと見られます。
 閣僚の株保有について法的な規制はありませんが、「大臣規範」(01年1月)では、在任中の株取引の自粛を定めています。
 防衛省トップが親族名義の軍需企業株を保有することの是非が問われています。
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稲田防衛相 夫名義で軍需株 5社で計2万2000株
初入閣後に取得か
しんぶん赤旗 2016年9月27日
 第3次安倍再改造内閣の新任閣僚の資産公開で、家族分を含めた総資産が最多だった稲田朋美防衛相(衆院福井1区)が、夫名義で防衛装備品を受注する軍需企業5社の株を保有していたことがわかりました。いずれも2012年12月に発足した第2次安倍内閣で行政改革担当相として初入閣したときの資産公開では保有しておらず、それ以降に購入したとみられます。防衛省トップが親族名義の軍需企業株を保有することの是非が問われています。(藤沢忠明)
 今回の資産公開によると、稲田氏は夫名義で、神戸製鋼所4万株、みずほフィナンシャルグループ2万株、オリックス1万7000株、東レ6000株など、41銘柄26万株を保有していました。前回、行革担当相時の資産公開では、41銘柄22万1935株でしたが、保有株式の変動がかなりありました。
 
活発な株売買
 これによると、日本電気、昭和電工、日本金銭機械各5000株、大林道路4000株など、10銘柄2万9671株を売却、神戸製鋼所4万株、大日本印刷1000株など、10銘柄6万6000株を新たに購入しています。保有を続けた株31銘柄のうち、みずほフィナンシャルグループ1万株2万株、浜松ホトニクス6200株1万400株、丸紅8000株6000株など、半数を超える19銘柄に増減があり、ひんぱんな株取引をしている実態が浮かび上がってきます。
 とりわけ重大なのは、あらたに取得した10銘柄のうち、5銘柄が防衛装備品を受注する軍需企業だということ。内訳は、三菱重工業3000株、川崎重工業6000株、三菱電機2000株、IHI8000株、日立製作所3000株の計2万2000株。いずれも防衛装備品を調達する防衛装備庁によると、14年度の企業別契約金額の上位企業です。(表参照)
 
 安倍自公政権は、稲田氏が行革担当相として在任中の14年4月に新たな防衛装備移転3原則を設け、それまで禁じていた武器輸出を事実上解禁しました。
 閣僚の株保有については法的な規制はなく、「大臣規範」(01年1月)で在任中の株取引の自粛を定めています。しかし、国会議員には、国政に関する重要な情報が集中するだけに、国民の疑念をもたれるような株取引をしないことが求められています。
 
 防衛省トップが親族名義で軍需企業株を保有することの是非をどう考えるのか、購入の経緯は―。稲田氏の事務所は本紙の問い合わせに「政党機関紙の質問には回答していません」としました。
 
稲田防衛相が夫名義で保有する軍需
企業株とその企業の防衛省との契約金額
銘  柄
持ち株数
契約金額
順 位
三菱重工業
3000株
2632億円
(1位)
川崎重工業
6000株
1913億円
(2位)
三菱電機
2000株
862億円
(5位)
I H I
8000株
619億円
(6位)
日立製作所
3000株
219億円
(13位)