2026年7月11日土曜日

11- 「女性・女系天皇の実現を求める国民の会」- 声を代弁して動く政治主体の不在

 世に倦む日々氏の掲題の記事を紹介します。
 日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、の地位は主権の存する日本国民の総意に基くとされる象徴天皇の継承者を定める「皇室典範」改定法案が10日、衆院で可決されました。
 高市首相が自身に関する数々の疑惑の追及から逃げ回った結果、円安・インフレ・物価高で苦しむ国民のための政策は何一つ行わず立法もしないまま国会の会期末が17日に迫った中で、荒唐無稽といえる養子案を含むこの法案がロクな審議も経ないままでいとも簡単に可決されるとは実に恐ろしい事態です。
 世に倦む日々氏は、
麻生太郎の外戚権力への野望と皇室支配の醜い執念という要素もあるけれど、何と言っても、成人してカリスマ的魅力を日々増す愛子内親王の即位可能性を潰し、男系皇統の保全をここで固めたいという右翼の動機と欲望が強烈だ。
 徳仁天皇のカリスマ性を親子で受け継ぐところの、純真可憐で聡明なイメージの愛子内親王に期待が寄せられ、いわば愛子天皇ブームが熱狂的に起きている状況にある。
 ここで旧宮家養子制度を固める政治に失敗し、先延ばししてしまうと、愛子天皇待望論の爆発を止められなくなり、一気に女性女系天皇容認へと向かうと(高市政権が)焦っている」ためであるとして、
「養子縁組で新しく皇位継承資格者を出した前例は一度もなく、安定的な皇位継承を逸脱させる変事であり、日本史の天皇制を根本から覆す凶暴なクーデターだ」と述べ、
「強引に押し切って改定を成立させた場合、当然、揺り戻しが来るだろうと予想される。愛子内親王は24歳。公務を通じてますます人気に拍車がかかって行く。その成功と自信が天皇家の家族としての安定を確かにし、そして、女性女系天皇実現に向けての再度の本格的な典範改正を求める政治の動きを媒介する。右翼ゴリ押しの、女性女系天皇の排除が目的の、今回の典範改定が国民に歓迎されるはずがない」と断言します。
 そして
国民は旧宮家男系男子養子案に反対している。愛子内親王を皇太子にすべしという声が圧倒的だ。もしここで例えば、大石晃子なり吉田晴美なりがリーダーとして手を挙げ、『女系女性天皇実現を求める国民の会』を立ち上げて記者会見すれば、どれだけ熱く注目され、多くの支持と賛同が集まることだろう。大石晃子と吉田晴美が『私がやります』と座長格を引き受け、畠山澄子がサブに立って声明を発せば、我も我もと幹事団に名乗りを上げる者が出て来るはずだ」と述べます。

 ここで欧州の王制国家であるスウェーデン、イギリス、ベルギー、ノルウェー、オランダ、デンマークを見ると、いずれも王位者の直系長子(男女を問わず)が王位を継承するとされています(女性の継承者も複数います)。
 今やそれが世界の趨勢であり常識であるのに対して、日本だけが男子に限定するという非常識を維持しようとしているのは奇異に見られています。
 それを主張する勢力はひたすら根拠の乏しい「万世一系」を強調しますが、そうした人たちがかつて上皇に対し非礼な言動をとっていたことは知られています。彼らにその自己矛盾の自覚がないようなのは不思議なことです。

 世に倦む日々氏は、
「今回の皇室典範改定の政治で気になるのは、憲法学者の声がきわめて少なく小さいことだ。今はまさに天皇制を女性女系天皇容認に改造する好機であり、先頭で理論を主導すべきは憲法学者である。なのに、なぜこんなに沈黙しているのだろう」と疑う一方で、
「今が実は戦前ファシズムの荒野の真っ只中で、保身と用心を強いられる大学の憲法学者が、迂闊に政権批判など口走れない「雪も凍てつく極北の夜」(ウェーバー)の厳しい環境なのかもしれないとも思う。10年前にフットワーク軽くできていたことが、今はもう負荷とリスクが重すぎてできないのかもしれない」と諦めの言葉を紡ぎます。自らの体力の減退に重ねたのかも知れません。

 あわせて村上誠一郎氏の記事:「『愛子さまの可能性否定は言語道断』自民・が語った、敬意なき皇室典範改正案への怒り」を紹介します。
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「女性・女系天皇の実現を求める国民の会」- 声を代弁して動く政治主体の不在
                        世に倦む日日 2026年7月7日
6/30 皇室典範改正の政府案が閣議決定され、国会に提出された。改正案のポイントは二点で、①女性皇族の結婚後の身分についてと ②旧宮家の男系男子を養子として迎えることである。①の中身は、結婚後の皇籍離脱を定めた12条を削除し、結婚後も本人の意思で皇族に残れるように措置し、同時に住民基本台帳に載る一般国民の性格も持たせる扱いにした。②は、旧11宮家の15歳以上の男子で配偶者と子がいない場合、養子縁組を可能とした。養子本人は皇位継承者になれないが、養子夫婦から生まれた男子は皇位継承権を持つ。要するに、いま国民の間で人気の高い愛子内親王や佳子内親王にはずっと皇族として公務を続けさせ、皇室の支持を維持する広告塔としてコキ使い、皇位継承権は男性だけが独占を続けようという典範改定だ。趣旨も卑劣で言語道断だが、法文の構成と内容が滅茶苦茶で、とても宮内庁や内閣法制局の手が入った成文とは思えない生煮えどころではなく、政府原案と言えない杜撰な代物だ

今回の典範改定の狙いは、第一に愛子天皇の可能性を排除し、その実現を潰して消すところにある。その意図と思惑だけがギラギラと汚濁した光を放っている。現在19歳の悠仁親王を皇太子に即け、次の天皇とする進行を万全に固め、悠仁親王に結婚相手をあてがい、夫婦に男の子を複数生ませる。その男子長子に皇位継承させる。次子男子を予備代替とする。そのシナリオで今後50年を展望した皇室制度改定であり、すなわち、現天皇の長子である愛子内親王にはそのまま皇族としてとどまらせ、皇室宣伝の役割に精勤させ、結婚するなり独身でいるなり好きにしろと、そう指令している。国民を悦ばせるタレント活動を一生やって、男系皇室に奉仕しろと強制している。一方、皇太子となった悠仁親王に男の子ができるかどうかは不明で、妻となる女性にも重圧がかかって将来を確定できないから、予防保障装置として旧宮家養子に生まれる男子という線を残し、悠仁親王の男系皇統が難しくなった場合に備えるというスキームになっている

その意味で、麻生太郎の外戚権力への野望と皇室支配の醜い執念という要素もあるけれど、何と言っても、成人してカリスマ的魅力を日々増す愛子内親王の即位可能性を潰し、男系皇統の保全をここで固めたいという右翼の動機と欲望が強烈だ。それが現在の政局を作っている。愛子内親王と佳子内親王はアイドルそのもので、凋落の一途で孤独に消沈する日本人に慰めを与える拠り所となっている。そのシンボルと化している。特にその中でも、徳仁天皇の(ジェンダーの時代に適合した)カリスマ性を親子で受け継ぐところの、純真可憐で聡明なイメージの愛子内親王に期待が寄せられ、いわば愛子天皇ブームが熱狂的に起きている状況にある。悠仁親王に好感が集まらないのは、学生の身で公務外という面もあるが、秋篠宮家の5年前の長女の結婚と皇籍離脱があり、醜聞騒動が国民感情を逆撫でし、皇室の信頼を傷つける事態に至った悪影響が大きい。後嗣家への不信が底流で燻り、それが反射効果となって、天皇家への異常なバブル人気を醸成させている

愛子内親王の空前の国民的人気に右翼は深刻な危機感を抱いていて、ここで旧宮家養子制度を固める政治に失敗し、先延ばししてしまうと、愛子天皇待望論の爆発を止められなくなり、一気に女性女系天皇容認へと向かうと焦っている。実際、その見通しどおりだろう。麻生太郎は85歳。櫻井よしこは80歳。百地章は79歳。その後の右翼の世代に女性女系天皇を止められる巨魁がいない。養子縁組で新しく皇位継承資格者を出した前例は一度もなく、安定的な皇位継承を逸脱させる変事であり、日本史の天皇制を根本から覆す凶暴なクーデターだ。強引に押し切って改定を成立させた場合、当然、揺り戻しが来るだろうと予想される。愛子内親王は24歳。公務を通じてますます人気に拍車がかかって行く。その成功と自信が天皇家の家族としての安定を確かにし、そして、女性女系天皇実現に向けての再度の本格的な典範改正を求める政治の動きを媒介する。右翼ゴリ押しの、女性女系天皇の排除が目的の、今回の典範改定が国民に歓迎されるはずがない

ここで指摘したいのは、女性女系天皇の実現を求める国民運動とか、旧宮家男系男子養子案に反対する会とか、そうした政治運動の登場がなく、リアルな動きが不在である点だ。国民は旧宮家男系男子養子案に反対している。少なくとも国論を二分させていて、「立法府の総意」などという欺瞞の形式で正当化できるものではない。実際は、愛子内親王を皇太子にすべしという声が圧倒的だ。が、こうしたX上で溢れかえっている声をマスコミの政治報道で発信する代弁者がいない。マスコミで代弁される場面がない。もしここで例えば、大石晃子なり吉田晴美なりがリーダーとして手を挙げ、「女系女性天皇実現を求める国民の会」を立ち上げて記者会見すれば、どれだけ熱く注目され、多くの支持と賛同が集まることだろう。10万人規模の集会が起きておかしくない。政府や自民党との団体交渉に押しかけたり、経団連を回って説得したり、外国人特派員協会の場で会見したり、等を行えば、全マスコミのカメラが必ず殺到し、一挙一動が夜のニュースの目玉になるだろう

その政治がいま無いのである。欠けているのだ。あるべき政治がないのだ。だから、どれほど多数の国民がこの機会に愛子天皇実現への制度的道筋を強く求めても、それがマスコミ空間で代弁されず、政治の声にならないのである。政治の声としてテレビに映るのは、高市や小林の声だけだ。カウンターの側の政治主体がないから、そこは沈黙の大陸になっている。いま土井たか子や市川房枝が地上にいれば、こんな間抜けた不思議な絵にはならないだろう。大石晃子と吉田晴美が「私がやります」と座長格を引き受け、畠山澄子がサブに立って声明を発せば、我も我もと幹事団に名乗りを上げる者が出て来るはずだ。金魚の糞のように付いて来るだろう。森暢平を参謀として配置すれば理論武装は完璧だ。一週間あれば、今の皇室典範改定の政治は阻止できると確信する。テレビ報道の番組キャスターが全局味方につき、生インタビューを放送し、支持を急拡大する展開になるだろう。彼らはそれを待っているのだ。男系皇統継続の典範改定を支持しているマスコミ関係者はいない。フジを除けば

を見ていると、「日本は本当に女性差別の国なのだと悲しくなった」という声があった。非常に象徴的なコメントで気になった。7/5 にサンデーモーニングに出演した元村由希子も同様の発言をした。こうした感想を垂れ、この問題の総括として諦める。阻止や改善の政治主体になろうとしない。前向きな課題と責任を引き受けようとしない。評論だけ。批判だけ。受動的反発だけ。分断的隔絶的対峙の観照的態度だけ。そして、男が悪い、日本は男社会だ、いつまで経っても変わらない、先進諸外国と違うと愚痴と不満を言い続ける。それを見ながら、この人たちは本気で女性女系天皇の実現をめざしているのだろうかと疑問に思う。さらに深読みに及び、どうやら、これはこれで一つの問題解決の回路なのだという解釈に至る。敢えて言えば、ジェンダー主義の政治の方法なのだ。男権厭悪の永久革命。男女平等ではなくジェンダー主義の視座だから、「とても悲しい」で済ませ、そこで打ち切ってよいのだろう。男性支配の現実のレジームは永遠で所与であり、それを前提とした被差別の主体性だけが構造であるのだ

丸山真男の議論の中に「権利の上に眠る者」という一説があり、我妻栄の民法の講義で聴いた話として紹介されていた。権利を持ちながらそれを行使せず放置する者は法の保護に値しないという法学の原則で、それを思い出す。また、同じ文脈で「疎外のマゾヒズム」という問題提起をしていて、学生時代、読みながら「巧い表現だ」と膝を打って仲間たちと笑い合った。今のジェンダー主義の態度は、「権利の上に眠る者」というより、「権利を幻にして不満と糾弾を言い続けたい者」に映る。そういえば、今回の皇室典範改定の政治で気になるのは、憲法学者の声がきわめて少なく小さいことだ。これも不思議である。私から見て、今はまさに天皇制を女性女系天皇容認に改造する好機であり、力を結集してその革命に動くべきときだ。千載一遇のチャンスだ。先頭で理論を主導すべきは憲法学者である。日本の憲法学はジェンダー論一色の世界に変貌している。なのに、なぜこんなに沈黙しているのだろう。勇気を出して政治運動しないのだろう。年をとって浦島太郎になったのか、何もかもが理解不能で狼狽している

だが、外の世間から見れば、私の不如意と歯噛みこそが、幻想を現実社会に被せた倒錯と空回りで、時代遅れの無名の市井がお気楽に放擲するところの、根拠のない、誰も共感しない妄想なのかもしれない。ジェンダーの層を成す多数一般に対する僻みと的外れな八つ当たりに映るかもしれない。そう自虐あるいは自省する気分にもなる。そしてリアルに正視すれば、今が実は戦前ファシズムの荒野の真っ只中で、保身と用心を強いられる大学の憲法学者が、迂闊に政権批判など口走れない「雪も凍てつく極北の夜」(ウェーバー)の厳しい環境なのかもしれないとも思う10年前にフットワーク軽くできていたことが、今はもう負荷とリスクが重すぎてできないのかもしれない


「愛子さまの可能性否定は言語道断」自民・村上誠一郎氏が語った、敬意なき皇室典範改正案への怒り
                        東京新聞 2026年7月10日
自民党の村上誠一郎前総務相は7日、東京都内で講演し、女性天皇の可能性を事実上排除する政府・与党の皇室典範改正案を厳しく批判した。「愛子さまの可能性を全く否定したということは、言語道断だと私は考えます」と述べた。

皇室制度を巡る議論に対し、自民党内からも異論が公の場で示された形だ。村上氏自身の「国会議員在職40周年を祝う会」での講演でのことだ。
 
村上氏はまず、「私が不思議でしょうがないのは、皇室の皆さん方のお気持ちを全く忖度(そんたく)しないで、国会議員だけで決めるのは、あまりにも敬意を持たなさすぎるのではないかということだ」と述べ、当事者である皇室への配慮を欠いたまま制度改正が進められていることに疑問を呈した。

◆皇室への敬意を欠いた制度改正議論
その上で、与野党間では「女性皇族が結婚後も皇族の身分を維持すること」や「旧宮家の男系男子を養子として迎えること」までは一定の合意が形成されていたと説明した。
一方、政府・与党は、養子本人には皇位継承資格がないものの、その息子には皇位継承資格があるとしている村上氏は「突然出てきた。これはだまし討ち以上のものではないと思います」と強く批判した。
さらに、女性皇族が結婚後も皇室に残る制度そのものについても、「(小室)眞子さまの時の状況を見て、本当にそういう方が出てくるのだろうか。逆に私は心配だ」と述べ、制度の実効性にも疑問を示した。

◆「歴史上、約10人おられた」女性天皇はなぜだめ?
村上氏が特に問題視したのは、女性天皇の可能性を事実上排除する政府・与党の姿勢だ。自民党の中曽根弘文憲法改正実現本部長は6月28日、富山県内の講演で「(独身で)愛子さまが天皇になったら、結婚する人もいない」「男子を産まないといけないという、すごいプレッシャーがある」などと発言した。
「中曽根発言でお分かりのように、愛子さまの可能性を全く否定している」とした上で、「ヨーロッパの王室では長子、つまり一番上の子どもが、男性であれ女性であれ継承権を持っている。日本でも歴史上、女性天皇は約10人おられる。なぜ日本だけが男子でなければならないのか、私には理解できない」と語った。
さらに、「女性として初めて総理になれたのに、それが何のためだったのか、本当に分かっていらっしゃるのか」と述べ、高市政権の姿勢を厳しく批判した。

◆「生煮え法案のゴリ押し。禍根を残さないか」
また、皇室典範改正案だけでなく、今国会で審議が進む国旗損壊罪法案にも言及し、「こういう生煮えの法案をゴリ押しして、禍根を残さないだろうか」と懸念を表明。「国民の総意の象徴である天皇陛下に関わる制度について、国民が納得しないまま進めるべきではない」と訴えた。
講演の最後には、「特に中曽根発言で見られるように、愛子さまの可能性を全く否定したということは、言語道断だと私は考えます」と改めて強調。皇位継承のあり方を巡る議論は、与党内でもなお大きな隔たりがあることを印象づけた。

2026年7月9日木曜日

シリーズ イチからわかる憲法9条 第2部 安保との攻防(6-終)

 シリーズ「イチからわかる憲法9条」の第2 安保との攻防」は本報(6)で終了し、
次回から第3部 「平和国家のルール」に進みます
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
イチからわかる憲法9条 2部 安保との攻防6平和的生存権
恐怖と欠乏からの解放
                        しんぶん赤旗 2026年
「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」―憲法前文にあるこの権利は「平和的生存権」と呼ばれています。
 平和的生存権は、平和を「権利」として位置づけ、平和の保障をより実効的なものにしています。学問的には「全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利」と位置付けられ、高く評価されてきました。まさに平和こそが人権の基礎だという思想です。
 平和的生存権の主体は「全世界の国民」とされています。9条の戦争放棄・戦力不保持とともに、日本の国際平和への貢献の決意と結びついています。
 平和的生存権は、永続的な平和を保障する条件として「恐怖と欠乏」からの解放をうたっています
 「恐怖」とは、自由と民主主義を踏みにじる暴政であり、国家が戦争遂行のために国民の言論や運動を弾圧することを許さないということです。
 「欠乏」とは、文字通り「貧困」を意味し、半封建的地主制度や無権利状態の労働者への搾取のもとでの貧困が、海外侵略の衝動―「満蒙は日本の生命線」論など社会に戦争支持の空気を広げる温床になったことへの反省があります。
 平和的生存権は、市民的自由と社会保障を平和と深く結合させています

 平和的生存権が裁判で争える法的権利なのかを巡っては議論がありました。1973年の長沼訴訟一審判決は、住民の「平和的生存権」を基礎に訴えを認め、自衛隊は憲法9条に違反すると判断しました。(二審では平和的生存権は裁判の基礎にはならないと否定
 2008年4月、自衛隊イラク派兵違憲訴訟での名古屋高裁判決は、憲法学説の成果をも評価し、「平和的生存権は、憲法上の法的な権利として認められるべきである」「裁判所に対してその保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求し得るという意味における具体的権利性が肯定される場合がある」という歴史的判断を示したのです。

銃弾は左斜め前上方から飛来か(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
 安倍氏が殺害されたのは4年前(22年)の7月8日でした。奈良地方裁判所は銃殺犯とされた山上哲哉氏に対し今年1月21日に無期懲役の判決を下し、山上氏側は判決を不服として控訴しました。
 この事件では、路上の山上氏が踏み台の上の安倍氏を銃撃すると水平よりも少し上側に向かう向きで体内に入る筈ですが、解剖を行った福島教授の説明では「銃弾は頸部から体内に入り心臓に向かった」ということでした。
 植草氏は以下の様に推理します。
「安倍氏が立っていた左斜め前に地上7階のサンワシティ西大寺というビルがある。福島教授の説明を踏まえると銃弾はサンワシティ西大寺ビルの上方から飛来したと考えるのが自然だ。そうなると、山上氏は安倍氏殺害の実行犯ではないということになる
 
 誰が考えても山上氏の犯行とするのには無理があります。
 銃撃の実行犯は消音装置を備えたライフル銃?等を所持して同ビルの屋上等に潜み、地上には連絡員等が配置された可能性が想定され、大掛かりな謀略事件の可能性が考えられます。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
銃弾は左斜め前上方から飛来か
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年7月 8日
安倍元首相暗殺から4年の時間が経過した。
銃殺犯とされた山上哲哉氏に対する公判が開かれ、本年1月21日に奈良地方裁判所は無期懲役の判決を示した。山上氏側は判決を不服として控訴した。
控訴審は裁判員裁判ではなく3人の裁判官による合議制で行われる。
年内にも初公判が開かれる可能性がある。

刑事訴訟法には次の定めがある。
第三百三十六条 被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。
山上氏を有罪とするには「犯罪の証明」が必要である。一審で「犯罪の証明」がなされたとは考えられない。山上氏が所持した手製の銃砲によって安倍氏が殺害されたことについて合理的な疑いが存在するからだ。

安倍氏が殺害されたのは2022年7月8日。
事件が発生したのは同日午前11時31分。
奈良市消防局が公開した救急隊員らの活動報告書によると、11時32分に救急車の出動要請があり、11時37分に先発の救急隊が現場に到着した。
救急車が到着した時点で安倍氏は心肺停止の状態であったという。
11時43分に安倍氏を救急車に収容し、救急車は11時54分に現場を出発した。

救急車はドクターヘリの着陸先である平城宮跡歴史公園に向かい、午後零時9分に安倍氏はドクターヘリに収容され、同ヘリは零時13分に離陸。
零時20分に橿原市所在の奈良県立医科大学附属病院高度救命救急センターに搬送された。
輸血ならびに蘇生措置が講じられたが午後5時3分に死亡が確認された。
同日午後6時頃から記者会見が開かれた。説明したのは奈良県立医大病院の福島英賢教授。
会見の模様を撮影した動画は現在も公開されている。
https://www.youtube.com/watch?v=WnFjLFXS8x4 

会見の質疑応答を文字起こしした記事がネット上に公開されていたが、現在は確認できない。公開されていた会見の文字起こし記事から一部を引用する。
福島教授は次のように述べた。
冒頭説明(一部)
「来られた際に頸部2か所銃創がありまして、心臓および大血管の損傷による心肺停止と考えられます。」
質疑(一部)
―――首の傷は大きさやどのあたりとか具体的に教えてください
「場所はですね、真ん中のところと少し右の2か所です。大きさは非常に小さい」
―――銃で撃たれたということだが、傷の深さは?
「深さというのは心臓にまで到達する深さというふうに理解いただいたらと思います」
―――その傷によって出血してお亡くなりに?
「その傷が、先ほどお伝えしたように、胸部に心臓大血管にたどり着いたため、その心臓大血管が損傷したために出血をされたということです」
―――2発のところは胸部ですか?頸部ですか?
「頸部です」
―――頸部に2発?
「頸部に2つの銃創があったということです」
―――心臓が損傷してたと?
「方向がそっち方向に向かっていたんだという」
―――体に2か所銃創があり、心臓と胸部の大血管に損傷があったという言い方で間違いないでしょうか?
「はい、その通りです」

安倍氏は当日、山上氏の前方に前を向いて演説していた。
銃砲の発射音が響き、左回りに後ろを振り返る途上で倒れた。
左回りに体を振り向けて、前方より左に45度程度体を捻じ曲げた時点で倒れている。
福島教授の検死結果が正しければ、銃弾は安倍氏の左斜め前の上方から撃ち込まれたと考えるのが妥当である。
安倍氏が立っていた左斜め前に地上7階のサンワシティ西大寺というビルがある。
福島教授の説明を踏まえると銃弾はサンワシティ西大寺ビルの上方から飛来したと考えるのが自然だ。
そうなると、山上氏は安倍氏殺害の実行犯ではないということになる。

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国会空転の“戦犯”高市首相「トンズラ常習」/「言い訳全開」で反省ゼロ!すべて「人のせい」

 日刊ゲンダイの掲題の2つの記事を紹介します。
 高市政権、かつてこれほど横暴で卑怯な政権はありませんでした。国民に対してはウソの限りを尽くす一方で、トランプの要求に応えてひたすら軍備増強路線を指向し、数々の極右政策や極右の立法に向かって一直線に突き進んでいます。
 当然民生の安定のための円安対策や物価高対策は皆無です。この政権には元々そうした志向がありませんしそれを行う能力も持っていません。
 高市首相は、批判が集中しそうな場面からは常にトンズラしようとし、いよいよそれが出来なくなると、今度は見え透いた「〝他人のせい″という言い訳」が展開されます。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
国会空転の“戦犯”高市首相「トンズラ常習」の履歴書 集中審議そっちのけ、チヤホヤ確実会合には長時間滞在
                         日刊ゲンダイ 2026/07/06
 国会空転打開のキーパーソンは、言わずもがな高市首相だ。野党による一連の疑惑追及から逃げ、衆参両院の予算委員会集中審議や党首討論への出席を拒否。訪印前には「国会から求めがあれば出席して誠実に答弁してきた」とシレッと言っていたが、ウソもトンズラも筋金入りだ。今国会の会期末は17日。皇室典範改正案を含む政府提出法案17本が成立しておらず、会期延長はほぼ不可避。衆院で巨大与党を擁する高市首相は「60日ルール」の悪用で逃げ切る腹だが、そんなデタラメは許されない。

インド訪問では超訳「美しい妹」に大ハシャギ
 6日の参院決算委員会は2024年度決算に関する締めくくり総括質疑を行うため、高市首相と全閣僚が出席。参院は決算を重視することから与野党が例外的に歩み寄った。正常化とは別建てで、立憲民主党は高市陣営の中傷動画拡散疑惑を追及する構え。高市首相の国会答弁は6月26日以来となる。
「事と次第によっては、総理がますますかたくなになり、野党との溝が深まりかねない。ネックは日本維新の会が連立合意に書き込ませた衆院議員定数削減法案と、副首都創設法案。野党の猛攻で維新が定数削減取り下げに傾いてきてはいるものの、どうなるか」(官邸事情通)
 立法府の大混乱をヨソに諸悪の根源はいい気なものだ。仏G7サミットの“ぼっち外交”で赤っ恥をかいたのに、2泊3日の訪印でもやらかした。モディ首相との共同会見で「先ほどワタクシのことを美しい妹と呼んでくださいました」ときゃぴきゃぴスピーチ。波紋を広げている。モディ首相は公用語のヒンディー語で高市首相を「小さな妹」と評したのに、同時通訳が「美しき妹」と超訳。「待ってました」とばかりに食いついた格好だ。
 しかも、これには前段があった。政権寄りの産経新聞(4日付)によると、高市首相は師と仰ぐ安倍元首相がモディ首相を「兄」と呼んでいたと切り出し、「私も安倍氏を兄だと思ってきた。これからは私のことを妹と呼んでください」と求めたという。
「外交の安倍」を誇った故人の舞台裏エピソードを持ち出し、外遊で得点稼ぎを狙うとは厚かましいにもほどがある。

ジュエリーベストドレッサー賞には69分間滞在
「総理としての業務時間が確保できない」「ほとんど睡眠もとっていない」とわめいて、集中審議には1秒たりとも応じようとしない一方、帰国翌日には「日本ジュエリーベストドレッサー賞」の表彰式に出席し、特別賞を受賞。週末は公邸こもりが鉄板なのに、会場に69分間も滞在した。チヤホヤ確実であれば時間を惜しまないのがよく分かる。
 高市首相はトンズラ常習だ。
 真冬の総選挙では、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着追及に直面し、党首討論の場となったNHK「日曜討論」の生放送をドタキャン
 中東情勢の緊迫でエネルギー危機となる中、駐日イスラム諸国大使らを官邸へ招く夕食会「イフタール」(ラマダン=断食月=中の日没後の食事)も欠席した。
「高市氏が初出馬した2021年の自民党総裁選では、支援した安倍元総理が情報番組への出演を打診したところ、〈政策の勉強にあてたい〉とか言って袖にし、不興を買った。後から考えれば、芸人MCのイジり、ほじくりが不安だったんじゃないか」(自民関係者)
 初心に返って「政治評論家」からやり直した方がいい。
  ◇  ◇  ◇


高市首相ようやく国会で答弁も…中身は「言い訳全開」で反省ゼロ! すべて「人のせい」の恐るべき厚顔
                         日刊ゲンダイ 2026/07/07
 衆参揃って1週間以上審議が空転、大混乱の国会で、高市首相が6日、参院決算委員会に出席し、答弁に立った。参院が決算を重視しているため、例外的に空転前から首相の出席が決まっていた。首相の答弁は先月26日以来だ。
 6日は決算委に先立ち、自民の松山参院議員会長が官邸で高市首相に面会。集中審議と党首討論への出席をようやく取り付け、参院はきょうから審議が正常化することになった。そのため、決算委での野党の追及はいつもに比べて穏やか。高市首相も感情的にならず冷静に答弁しているように見えたが、話の中身は相変わらずの「言い訳全開」で「反省ゼロ」だったからア然だ。
 そもそも、国会空転の元凶は、中傷動画などの疑惑追及から逃げる高市首相が、国会答弁を嫌がったからだ。先月22日には突然「秘書の陳述書を出すから答弁に代えて欲しい」と言い出し、「答弁拒否するのか」と野党を激怒させた。1回開催を与野党で合意したはずの党首討論や集中審議については、自民幹部から出席要請されても「なんで出なあかんの」と拒絶。高市首相のそうした態度が国会空転を招いたのだ。
 ところが、本人は当事者意識ゼロ。6日の決算委で野党議員から、「陳述書提出を考えた理由を」と問われると、「読んでもらうことで理解が深まると考えた」とした上で、「国会での質問に対応しないという趣旨ではない」と、まるで野党が誤解していると言いたげな屁理屈。「陳述書を答弁に代えて」のトンデモ答弁を、なかったことにするかのような姑息さだった。
 ずっと拒絶してきた集中審議や党首討論についても、「国会審議の進め方は国会でお決めいただく。要請があれば出席してこれまでも誠実に答弁してきた。今後もその方針だ」と、これまた毎度のセリフで立法府に責任転嫁し、自らを正当化する始末。さっさと出席を了承していれば、こんなに長く国会は空転しなかっただろう。

責任転嫁で自らを正当化
 そして、かつて「米国連邦議会立法調査官」の肩書を使っていたことについては仰天答弁。野党議員が「総理の経歴にあるコングレッショナル・フェローは、立法調査官というより議会の研究員のような立ち位置ではないか」「立法調査官という訳にも疑問が投じられた。肩書に気をつけた方がいい」とただすと、高市首相はこう答弁したのだ。
「ある大手新聞社が発行している出版物に寄稿した時に、コングレッショナル・フェローでは分からない、何か和訳をつけてくれと編集者から言われた。日本に類似の仕事がないと思い、元NHK解説委員長の緒方彰氏と防衛研究所にいらした桃井真氏、英語が堪能な2人に相談し、当時の出版社と2人の有識者が、そのように和訳をされた」
 聞かれてもいないのにわざわざ個人名を挙げて釈明したのだが、両氏は故人のため、事実関係を確かめようもない。
 これも「人のせい」だ。まったく、煮ても焼いても食えない首相である。
 15日に党首討論、17日の会期末までに集中審議が開催される見通し。一方、維新が固執する「衆院定数削減」と「副首都創設」のスジ悪2法案の扱いをめぐって、衆院は不正常なままだ。高市首相の“追及地獄”はまだまだ続く。

イスラエルによる米国との自殺的な決別(賀茂川耕助氏)

 海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りましたので紹介します。
 パレスチナ人(などの他国)に対して、イスラエルほど残虐な行為を行った国家はかつてありませんでした。そうした行為はパレスチナ人民の絶滅を意図しているとしか考えられません。「選民」という思想はそれほど残酷なことにつながるものなのでしょうか。
 そうした戦争行為を可能にして来た背景には、米国による巨額の経済的援助がありました。米国は明らかな共犯者です。
 イスラエルは直近の米国の態度に怒って決別を指向しているということです。そうであれば残虐行為の抑止につながるので大いに喜ばしいことです。
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イスラエルによる米国との自殺的な決別
                  耕助のブログNo.2961 2026年7月9日
      Israel’s Suicidal Rupture with the US
   イスラエルは自滅的な傲慢さで最後の重要な同盟国に牙を剥いている。
                      by Chris Hedges
イスラエルは、レバノンへの攻撃を止めず、南部からの占領を解除しないことでイランとの交渉を妨害し、最後の重要な同盟国(米国)を遠ざけている。イスラエルは、イランがホルムズ海峡を永久に封鎖し、世界経済を世界 恐慌に陥れる可能性のある地域紛争を再燃させようと躍起になっている。そして ガザ地区で の 虐殺も続けている
イスラエルは人種差別とジェノサイド的な暴力にまみれているイスラエルは嫌悪すべき道徳的優越感に目がくらんでいる。また、その富を駆使して外交政策をイスラエルの利益に都合よく歪める、米国のシオニスト系億万長者たちによって腐敗させられている。さらに、イスラエル当局者が繰り返し使用を脅かしてきた核兵器を保有している。それは地域にとって脅威であり、それ自体が脅威である。そして私たちにとっても脅威である。
日曜日にスイスで行われた米国、イラン、パキスタン、カタールの仲介者による4カ国会合の第1ラウンドでは、イラン代表団が米国代表団との握手や記念撮影への参加を拒否したが、米国が覚書MoU)で定められた約束を60日間の暫定期間で履行するかどうかに焦点が当てられた。
しかし、イスラエルによるレバノン攻撃を受けホルムズ海峡が封鎖されたことで、協議は中断された。この封鎖にトランプはいつものように激怒し、 報道によるとフォックスニュースの特派員トレイ・イングストに対し、ホルムズ海峡が封鎖されたままならイランの交渉担当者に「お前たちは自分の国にすら戻れないだろう」と言ったという。
イランのマソウド・ペゼシュキアン大統領が、米国が共同設立した核兵器不拡散条約で保障されているイランのウラン濃縮権を主張し続けていると伝えられた際、 トランプは「(ペゼシュキアン大統領は)口を慎んだ方がいい、態度を改めないと我々が国の残りの部分を乗っ取る」と述べたという。
トランプはTruth Social への投稿で、ヒズボラを指して「イランはレバノンで高額な報酬を受け取っている代理勢力が騒乱を起こすのを直ちに止めなければならない」 と付け加えた。「もし止めなければ米国は先週と同じように、いや、もっと激しくイランを攻撃するだろう!」
トランプの脅迫を受けてイラン代表団はスイスの会場を後にしたが、ガリバフは Xへの投稿 でトランプの暴言を 一蹴しこうツイートした。「もし米国の脅しが効いていたら、今日のような絶望的な状況には陥っていなかったはずだと、彼らは一度も考えたことがないのだろうか?我々は米国の脅しを全く重視していない。」

イラン通信(IRNA)によると、会合は覚書に基づき「最終合意に向けた60日間のロードマップに合意し、技術交渉を進めるためのメカニズムを確立する」ことで終了した。
イスラエルが 中東全域における軍事的優位性を確保するために構想した「大イスラエル」構想は、米国の富と軍事力を活用することでなりたっている
イスラエルが輸入する主要な武器や弾薬の3分の2以上――これらがなければ、パレスチナ人に対するジェノサイドを実行したり、レバノン南部を月面のような荒野に変えたり、イラン、シリア、カタールを爆撃したりすることはできない――は、米国によって製造され、供給されている。そして、イスラエル・ロビーが数十年にわたり議会を掌握し、そのシオニストの同盟者たちがメディアを監視支配し、さらに自らの軍事的冒険主義を維持するために米国納税者の数十億ドルを横流しできるため、イスラエルは自らの限界に気づいていないイスラエルは、自らの利益のためなら、米国を含む同盟国に損害を与えることも厭わないのだ。
そして、今まさに彼らはそれをやろうとしている。イランとの戦争に340億ドル以上を費やし、WarCostsが推計するところによると、より広範な経済的コストを含めると2,140億ドル以上に上るとされるトランプの愚鈍な政権でさえ、このことに気づいている。
水曜日に署名された覚書に対しイスラエルは激怒している 。この覚書は、イランが備蓄している濃縮核物質の処分を今後の交渉に委ね、米国の海上封鎖を解除し、凍結されていたイランの資産を解放し、イランの石油販売を認めるための免除措置を発行する内容となっている。
この覚書は「あらゆる戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な停止」を宣言している。また、最終合意に至るまでの60日間の交渉期間、3000億ドルの復興開発基金の設立、イラン周辺地域からの米軍撤退、そしてすべての国際制裁および一方的制裁の解除を提案している
イスラエルの政治家や評論家が、イスラエルの関与なしに取り決められたとされる覚書をめぐってトランプと政権関係者に対して放ったレトリックは 毒々しい。トランプ政権の誰も例外ではない。トランプの不運な特使であり、シオニストの忠実な協力者であるスティーブ・ウィトコフと義理の息子ジャレッド・クシュナーは、 ベンヤミン・ネタニヤフに近い元国会議員で評論家のイノン・マガルから「二人のちっぽけなユダヤ人」と非難されたトランプは「敗者」。JD・ヴァンス副大統領は「クズ」。トランプの最大の資金提供者の一人である億万長者ミリアム・アデルソンが所有するイスラエルの新聞イスラエル・ハヨム」は、論説でトランプがイスラエルを裏切ったと非難した
「もし私がイスラエル政府の閣僚だったら、世界中で唯一残っている強力な同盟国を攻撃したりはしないだろう」と副大統領のヴァンスは 反論した

賄賂という言葉の価値を貶めるトランプを、イスラエルが自国に敵対するよう仕向けるとは、まさに皮肉の極みである。しかしイスラエルはやり過ぎた。アラブ・イスラム世界やグローバル・サウスは、ジェノサイドを支援しパレスチナ人を裏切ったワシントンを激しく嫌悪している。イスラエルとそのシオニスト支持者たちは、アメリカをイラク、リビア、シリアでの自国のための戦争へと引きずり込み、さらにイランとの新たな戦争へと仕向けた。この同盟関係と軍事的大敗により、イスラエルとアメリカは国際的に嫌悪される国家に転落した。今、イスラエルはその唯一残った同盟国に牙を剥いたのだ。
米国が、たとえ経済的自殺を招くことになっても、自国の利益をイスラエルの利益に従属させ続けなかったことは、特権意識の強いシオニストたちの目には許しがたいことなのだ。イスラエルは、シオニストの億万長者層や米国内のイスラエル・ロビーが、これまでと同様に自らの意志に従うことを期待している。
オバマ政権は2016年、イスラエルとの間で覚書を締結し、 2019年から2028年まで年間38億ドルの軍事援助を約束した。議会は、イスラエルによるジェノサイドを継続させるため、さらに179億ドルの軍事援助を承認した
1946年から2024年の間に、米国は イスラエルにインフレ調整後で3000億ドル以上の軍事・経済援助を提供した推定される
ブラウン大学の推計によると、イラクとアフガニスタンにおける米国の戦争費用だけでも 4兆ドルから6兆ドルに上り、その大部分は今後数十年にわたり、退役軍人とその家族への医療費や障害給付金という形で支払われることになる。

今回の代償は大きすぎる。
イランとの戦争におけるイスラエルとアメリカの敗北は、「大イスラエル」構想とアブラハム合意に致命的な打撃を与えた。それはトランプ政権を弱体化させ、インフレを 加速させトランプ大統領の支持率を悲惨なレベルまで低下させ、湾岸同盟国の経済を麻痺させ  11月の選挙における共和党の下院と上院の支配を脅かしている
イスラエルはトランプに迎合するつもりは全くない。トランプや彼の政権、迫り来る経済危機の影響など、イスラエルにとってはどうでもいいことだ。しかし、常に自分の利益だけを追求してきたトランプも他人の利益や空虚な理想のために自らを犠牲にするつもりはない
イスラエルの指導者たちは現実からかけ離れており、米国抜きでイランと戦争をすると脅迫している。元国防相で極右政党「イスラエル・ベイテイヌ」の現党首であるアヴィグドール・リーベルマンはイスラエルに弾道ミサイル部隊を創設するよう求め もし自分が責任者であれば、モサドにイラン政府を転覆させるよう指示すると述べた
イスラエルは  、レバノン南部、 ゴラン高原 、そしてアサド政権打倒後に占領を開始したシリアの 他の地域(ガザ地区など、国土の70%を占領している) から 撤退する意思も、ヨルダン川西岸での残忍な民族浄化を止める意思もない。イスラエルは事実上の強制収容所となっているガザ地区200万人の囚人を 世界のどこかに移送するつもりだ。ガザ地区のパレスチナ人は今も虐殺されており、昨年10月に停戦が発効して以来、イスラエルによって 1000人以上が殺害されている。 彼らは、十分な食料、清潔な水、医療もないまま、過密状態の テント村 に身を寄せ合っている。
これらの目標は短期的には達成可能かもしれないが、長期的にはシオニスト国家の終焉を告げるものだ。民主党は2020年の大統領選挙結果の承認に反対票を投じた100人以上の共和党員を支持したアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC という重荷を手放しつつある。「アメリカ・ファースト」を掲げる共和党員や右派は、従来の反ユダヤ主義に戻りつつある
ジェノサイド はイスラエルのベールを剥ぎ取り、その暗く残忍な本性を国際社会に露呈させた。ネタニヤフが容易な勝利だと喧伝したイランとの戦争は、 トランプ政権に対し、イスラエルによる米国への冷笑的な策略を暴露する結果となった。

イスラエル人は、自分たちが選ばれた民であるという幻想に酔いしれており、友人も同盟国もない。彼らにあるのは、利用する者と虐殺する者だけなのだ
「条件なしの無謀な援助はもうたくさんだ。ドル一枚一枚、ミサイル一発一発に条件を付けなければならない」と、イスラエルのジャーナリスト、ギデオン・レヴィは 書いている
行いを改めなければ代償を払うことになる。もはや好き勝手に振る舞うことは許されない――暗殺、虐待、国家主権や国際法の侵害を、何の罰も受けずに繰り返すことはできない。こうした状況下では、イスラエルはもはや国際社会を軽んじ続けることはできなくなるだろう。国際社会にとって、占領への反対ほど結束を強める問題はないからだ。
イスラエルは、望もうと望まざるとにかかわらず、この点を考慮せざるを得なくなるだろう。すでに最初の亀裂が生じている。しかも、その様子はまさにこうだ:長年にわたり米国や世界全体を無視し続けてきたイスラエルを完全に無視して、イランと合意が結ばれた。これはほんの始まりに過ぎない:ガザ地区でのイスラエルの行為に戦慄した世界は、責任の追及を求めるだろう。ジェノサイドを行う国家が、もはや西側世界の寵児であり続けることはできない。軍部の協力のもと、市民が日常的にポグロムを繰り広げる国家は、国際社会の一員とはなり得ない。夢が現実になり始めている。それは悪夢となるだろう

 ゲームは終わった。米国の政治システムにおけるイスラエルの支配は終わりを迎えつつある。イスラエルは、米国や世界の世論――あるいは自国民の意見さえも読み取ることができない。自国民の90%以上が、イスラエルはイランとの戦争に敗北したと信じているという事実を無視し、かつての権力行使手段が今も通用するという頑なな信念を抱き続けている。こうした姿勢は、自らを「耳も目も口も塞いだ」状態に追い込んだ指導部の実態を如実に物語っている。それは多大な損害をもたらしうるし、実際にそうなるだろう。さらなる死と苦しみをもたらしうるし、実際にそうなるだろう。しかしそれは自らを食い尽くすのだ。

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