2026年7月18日土曜日

18- 社説「皇室典範改正をめぐる暴走 このままの成立は許されない」ほか

 17日、皇室典範改定案が参院で可決成立しました。議会は一体何を考えているのでしょうか。高市内閣並みに劣化しているというしかありません。
 私たちは平成天皇方と近上天皇方二代にわたって、象徴天皇としての至上の在り方に接することが出来ました。それは質素な生活に甘んじながら常に国民に寄り添うという真の帝王学の具現の姿でした。
 今般の改定案は強引にそれに終止符を打たせるというもので、衆参両議員が審議してきた原案とは異るものでした。そこではひたすら今上天皇の代で終止符を打つことが目指されていて、次代の天皇がどの様に国民から評価され、海外からどう評価されているかについて何の関心も持たないものでした(漏れ聞くところによると色々問題があるようです)。
 明確なことは、これまで国民から敬愛されてきた象徴天皇像を 愛子様を含めたご三方で終焉させるというもので、まことに恐るべき法案です。

 参院予算委員会集中審議で蓮舫議員38親等も離れた、遠い遠い親戚の男子を見つけて養子にして、その子に皇位継承権を渡すのであれば、陛下の一親等、直系長子であられる内親王殿下への皇位継承も認めることこそ、憲法に規定する世襲の原則に沿うものではない」と指摘したことに対して、高市首相は「たとえば過去に122代明治天皇の御代に、32親等の隔たりのある皇族男系男子が養子になられた例がある」と、得意げに述べたようですが、それは改定法の本質を偽る的外れの回答でした。

 朝日新聞は7月9日、「皇室典範改正をめぐる暴走 このままの成立は許されない」とする異例に長い社説を掲げました。また日経新聞は、6月27日、6月30日、7月10日と立て続けに3回に渡り、抑えきれない怒りの社説を掲げました。
 これらは高市内閣の邪悪な改定案の問題点を明確にしているので、記録を残す意味で掲載します。
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【社説】皇室典範改正をめぐる暴走 このままの成立は許されない
                          朝日新聞 2026年7月9日
この社説のポイント
●旧宮家の養子案などを含む皇室典範改正案は、男尊女卑をいびつに反映する内容だ
●立法府や国民の「総意」からも逸脱しており、合意形成とはほど遠い
●このままでは歴史に汚点を、将来に禍根を残す。撤回し、議論をやり直すべきだ

 「立法府の総意」でも「国民の総意」でもない皇室典範改正に向け、高市早苗政権が遮二無二突き進んでいる。わきおこる異論や批判を顧みない姿は、極めて異常である。
 皇室典範改正案について、与野党は10日の衆院議院運営委員会で審議することで合意した。ところが与党はわずか3時間の審議で採決して本会議に緊急上程し、即日衆院通過させることを急いでいる。国のかたちに関わる重大テーマであるにもかかわらず、力ずくで押し切る構えだ。必要と主張してきた「静謐(せいひつ)な環境」を自ら壊す暴挙である。
 このまま成立させれば、歴史に汚点を、将来に禍根を残す。政府は法案を撤回し、一から議論をやり直すべきだ。

皇室典範改正案のポイント
 皇室典範改正の議論は、通常の法案とは性格が異なる。憲法1条は天皇の地位を「国民の総意に基づく」と定める。だからこそ歴代政権は、皇位継承や皇室制度をめぐる問題で慎重な対応を重ねてきた。特に、この改正案は重大な欠陥を抱えている。結論ありきで進めてはならない

にじむ男尊女卑
 当初、「皇族数の確保」策を議論することが目的だったはずだ。「安定的な皇位継承」という大きな目標は、その先に位置付けられる。
 そうした観点からは、改正案で女性皇族が結婚後も皇室に残れるようにすることには一定の意味はある。一方、結婚した際の配偶者や子を皇族にするかどうかは、今後の議論に委ねるはずだった
 ところが、結婚した女性皇族に住民基本台帳法を適用するなど、女性皇族の配偶者や子を皇族としないことを前提とした仕組みが、突如として政府案に盛り込まれた
 さらに問題なのが、戦後間もなく皇籍を離れた旧11宮家の男性子孫を養子として迎えることができ、その養子の男性子孫は皇位継承資格を持つと明示したことだ。
 女性・女系天皇への道をできる限りふさいでおこうという思惑が前面に出た形だ。
 天皇制に埋め込まれた男性第一主義を見直す好機だったのが、これではかえって男尊女卑を歪(いびつ)に反映する制度になってしまう。養子推進派の論理は、女性は決して皇位継承にはかかわらせないが、補佐的な役割としてはとどまってほしいという身勝手なものに映る。6月25日の与野党の全体会議でもこういった批判が相次いだのは当然だ。

二つの総意から逸脱
 改正案が「国民の総意」を得たとは到底言えない世論調査では女性天皇や女系天皇を容認する意見が多数を占める一方、旧宮家からの養子縁組については賛否が割れる。朝日、読売、毎日、日経の全国4紙と多くの地方紙が、そろって社説で反対を表明している。歴史学や法学など各学界からも批判が相次ぐ
 改正案は、与野党協議で事前に取りまとめられた「立法府の総意」も逸脱している。一部野党だけでなく自民党内からも、「国会の総意にも基づかない内容であれば、憲法の精神に反することになりはしないだろうか」(船田元・衆院議員)などの声が上がる。国会内の十分な合意はまったく形成されていない
 天皇陛下も6月11日の記者会見で「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と述べた。求められているのは、幅広い理解と納得を得られるよう議論を尽くすことであろう。
 野党の対応は割れる。国民民主党や参政党などは賛成、立憲民主党や共産党などは反対の方向だ。そして、態度を決めかねているのが中道改革連合だ。

野党の対応も焦点
 中道がまとめた付帯決議案には「女性天皇の是非や女性宮家創設の検討」などが新たに加えられたが、仮に認められても法的拘束力はない。そんな付帯決議と引き換えに、十分な審議なしに賛成するのが妥当といえるのか。中道には良識ある判断を求めたい
 逆に衆院と参院でそれぞれ野党第1党の中道と立憲が反対すれば、改正案が可決されても「立法府の総意」は崩れ去る。野党の対応も焦点だ。
 国民や立法府の総意から乖離(かいり)した改正案を政権が押し通せば、むしろ天皇制への国民の信頼を失いかねない
 歴代天皇や皇族は戦後、被災地や福祉施設などを訪ねてひざをついて対話し、戦争をめぐる慰霊の旅を繰り返してきた。象徴天皇制は、国民とともに築き上げてきた信頼関係の上に成り立っている
 象徴天皇制と、法の下の平等や個人の尊重など「人類普遍の原理」という、異質なものが憲法には同居しており、完全に整合させることは難しい。ただ、憲法的価値をはじめ国民が象徴として求めるものをさまざまに体現する努力が重ねられてきた。そこに歪な制度が無理やり導入されれば、不整合をかえって広げてしまわないか
 与党は成立ありきの姿勢を改めるべきだ。野党も安易な妥協に流されてはならない。必要なのは採決を急ぐことではなく、国民的な理解と納得を得る丁寧な議論である。このままの成立は許されない


[社説]強引な皇室典範改正は禍根を残す
                      日本経済新聞 2026年6月27日
政府による皇室典範改正案の内容が明らかになった。与野党協議でまとめた「立法府の総意」の枠を越え、男系による皇位継承を固めたい意向が鮮明だ。幅広い合意形成が必要な皇室を巡る議論の進め方として、乱暴と言わざるを得ない。丁寧な対応を求めたい。
先に公表された「立法府の総意」は、意見が割れる論点の多くで結論を出していない。皇室の養子となる旧皇族の子孫の子に皇位継承権を与えるかや、結婚する女性皇族の配偶者や子を皇族とするかどうかなどだ。
ところが政府が検討する具体的な皇室典範の改正案には、「総意」にはなかった内容がいくつも盛り込まれている
養子に男子が生まれれば、皇位継承権を持つことが明確にされた。生まれた時から一般人だった人の子が天皇になりうるということだ。現在の天皇家に取って代わるということでもある。これほど大きな方針転換を十分な議論もなく行うのは、民主主義の軽視にほかならない。国民の理解が得られるか極めて疑問だ
養子は配偶者と子のいない15歳以上の男子で、いったん皇族になれば自らの意思でその身分を離れられないという。養子選びに政治的な思惑が入り込む余地もあり、人権上も問題があろう。
結婚した女性皇族には住民基本台帳法が適用される。皇族は通常「皇統譜」と呼ばれる皇室の特別な戸籍に記載されるが、それとは異なる扱いになる。女系継承の可能性を排除する方策ではないか。
全体を通して男系継承にこだわる意図が明確だ。報道機関の世論調査では女性・女系天皇への高い支持が目立つ。養子案は賛否が割れるうえ「分からない」との声も多い。改正案は国民の意見を十分に反映しているとは言えまい
皇室問題は国民統合の根幹に関わる特殊なテーマだ。だからこそ与党の「数の力」によらない議論が求められ、歴代政権も慎重に対処してきた。それを無視すべきではない。強引な改正は禍根を残す。


[社説]皇室典範の改正案は再考を
                      日本経済新聞 2026年6月30日
政府が皇室典範の改正案を閣議決定した。皇室の養子となる旧皇族の子孫の子に皇位継承権を与えるなど、先の与野党協議では議論されていなかった項目が唐突に盛り込まれる異例の展開であるあまりに拙速で、政府・与党には強く再考を求める。
改正案では養子に男子が生まれた場合、皇位継承権を持つことが明確になった。近現代だけ見ても明治から令和まで連綿と続く今の天皇家に代わり、一般人の養子の子孫が天皇になり得る仕組みだ。皇室と国民の間の長年の信頼と敬慕の念が、ないがしろにされたと感じる人は多いのでないか。
一般人である旧皇族の家系が特別な「養子の出し手」として扱われれば、門地による差別を禁じた憲法に抵触する恐れがある。違憲訴訟が起きる可能性が高い。国民統合の象徴である天皇や皇室を巡り、法的地位に疑義が生じるような制度を持ち込むべきではない
明治期の旧皇室典範も「皇統が乱れる」などの理由で養子を禁じていた2005年に自民党政権下の有識者会議がまとめた報告書も、第三者の介入が起きかねない、国民の理解を得るのが難しいといった事情から、養子案の採用は極めて困難としている。
にもかかわらず一方的に制度改正を急ぐのは理解できない。新たな仕組みを盛り込むなら、立法府の協議をやり直すのが筋だ。

自民党の中曽根弘文憲法改正実現本部長が、天皇陛下の長女愛子さまによる皇位継承を「あり得ない」と発言するなど、与党で男系への固執を示す言動が相次ぐ。皇室問題は世論に耳を傾けた柔軟な検討が不可欠なのに、それに背を向けていると言わざるを得ない。

天皇陛下は記者会見で「国民の理解が得られるものとなることを望む」と述べられた。現在の改正案は、広く理解を得られる内容とは到底言えまい。政府は強引な姿勢を改め、静謐(せいひつ)な議論の環境を早急に整えるべきだ。国民に支持されない皇室制度を作っては元も子もない


[社説]結論ありきの皇室典範改正は理解得られぬ
                       日本経済新聞 2026年7月10日
皇室典範改正案を巡る国会論戦が始まり、衆院は1日だけの審議で可決され参院に送られた。
内容、経緯ともに疑問や異論が出ている法案にもかかわらず、短時間の審議で成立を急ぐ姿勢には問題がある。合意形成に向けた政府の努力は十分とは言えない。結論ありきで強引に進めても、国民の理解は得られまい。丁寧に議論を積み重ねるべきだ。
与党が衆院議員の定数削減法案の今国会での成立を見送ったことなどから、空転してきた国会は正常化が進み、皇室典範改正案も審議入りした。
改正案では、皇室の養子となった旧皇族の子孫に男児が生まれた場合、皇位継承権を持つことが明確にされた。事前の与野党協議による「立法府の総意」には含まれていなかった内容である。
政府側は10日の審議で、養子の子の皇位継承権に関する記述が「総意」にないことから、現行の皇室典範に基づいて判断することになり、養子の子は継承権を有すると説明した。だが与野党協議は継承権には踏み込まない前提だったのであり、唐突との指摘はやはり免れまい
政府側は今回の改正案について、立法府での将来の検討を縛る趣旨ではないとし、付帯決議によって制度の再検討の余地があるとの趣旨の説明もしている。中道改革連合はそうした点も踏まえて改正案に賛成した。
もっとも付帯決議には法的拘束力がない2017年の上皇さまの退位特例法の付帯決議では、女性宮家の創設が検討課題に挙げられたが、その後具体的な議論は進んでいない。重要な論点は議論を尽くして法律本体に反映させるのが筋ではないか。
改正案は約3時間の質疑などを経て、衆院本会議で可決された。象徴天皇制のあり方に大きく影響する可能性があり、異論もある中、1日で衆院の審議を終えるのは拙速と言わざるを得ない。
今後は参院での審議に移る。立憲民主党などは反対の意向を示している。十分に議論を行い、課題点を洗い出す必要がある。
皇室を巡る問題は、できる限り幅広い合意形成と国民の理解が欠かせない。にもかかわらず、政権は国会での熟議や国民への説明責任を軽んじていないだろうか。「数の力」をたのんで改正案を押し通すべきではない。慎重な国会運営を改めて求めたい。

2026年7月17日金曜日

内閣支持49%に急落 発足後最低 時事世論調査

 時事通信が1013日に実施した7月の世論調査によると、高市内閣の支持率は49.0%で過去最低を更新しました。昨年10月の政権発足以来、半年以上6割前後の高水準を維持してきましたが、前月から5.3ポイント下落し、初めて5割を下回ました。不支持率は25.2%、「分からない」は25.7でした
 支持率は2カ月連続で大幅に低下し、年代別には60歳代が激減し、支持政党別では全体の6割近くを占める無党派層の内閣支持率が39.6%と「高市離れ」を加速させました。

 これまで高市内閣の支持率が高いにもかかわらず、地方選では自民(推薦)候補が連戦連敗したので高支持率の実態が疑問視されてきました。今国会では首相自らに関する多くの疑惑が明らかになったのですが、高市氏は「国会への出席を極力避け」ることで「ひたすら追及から逃げ回る」という前代未聞の醜態を見せました。それが不評を買ったことは言うまでもありません。諸物価高騰の中での〝民生 無策″も当然支持を失う理由です。
 とは言え50%弱はまだまだ高いレベルですが、月ごとに支持率が低下する傾向は他の世論調査でも等しく見られるので、今後どこまで下がるのか注目されます。
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内閣支持49%、発足後最低 60歳代で激減 時事世論調査
                        時事通信 2026年7月16日
 時事通信が10~13日に実施した7月の世論調査によると、高市内閣の支持率は49.0%で過去最低を更新した。昨年10月の政権発足以来、半年以上6割前後の高水準を維持してきたが、前月から5.3ポイント下落し、初めて5割を下回った。不支持率は25.2%、「分からない」は25.7%だった。
 与党は終盤国会で「副首都」創設法案などの審議を強行し、野党は一時審議を拒否した。こうした政権・与党の国会運営が支持率低下の一因となった可能性もありそうだ。
 年代別では60歳代で最も支持率が減少した。39.9%(前月63.7%)に落ち込み、不支持率は33.3%(同15.1%)に上がった
 内閣を支持する理由(複数回答可)は「リーダーシップがある」21.3%、「首相を信頼する」14.4%、「他に適当な人がいない」14.2%など。不支持理由(同)では「期待が持てない」と「政策が駄目」がともに10.8%、「首相を信頼できない」が10.6%で続いた。

 政党支持率は自民党が20.8%(前月比2.0ポイント減)でトップ。野党では公明党が3.0%(同0.7ポイント増)で最も高かった。参政党2.5%(同0.4ポイント減)、日本維新の会2.3%(同0.2ポイント増)、中道改革連合1.7%(同0.4ポイント減)と続いた。
 以下、国民民主党1.6%、共産党1.4%、チームみらい1.2%、立憲民主党1.1%、れいわ新選組0.4%、社民党0.4%、日本保守党0.4%。「支持政党なし」は59.5%だった。

 調査は全国の18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は57.1%。小数点第2位を四捨五入したことで、合計が100%にならない場合がある。  

憲法の精神・条項に反する 皇室典範改定案 小池氏が撤回要求 参院特別委

 参院17皇室典範改定案を採択するということです。
 15日、参院皇室典範特別委員会に出席した日本共産党の小池晃書記局長は、「男系男子による継承に固執し、強化する皇室典範の改定は、日本社会における女性差別を助長することとなる」と強調し、「改定案は憲法の精神と条項に反する」と批判し撤回を求めました。
 特に養子皇族の男子に天皇になる資格を認める改定案は、今の天皇とは36~38親等の隔たりがあり「ほとんど他人」の人物が皇位に就くもので、「国民の理解と支持、安定性、伝統いずれの視点から見ても問題がある」とした2005年の政府有識者会議報告書で否定されたものです。
 何よりもこの部分は与野党議員協議会では審議されなかったものなのに、それが閣議案の決定段階で突如盛り込まれたのでした。こうした不正・デタラメは「人格」の対極にある高市内閣ならではのもので、それがそのまま成立するかも知れないことこそがまさに異常事態です。
 併せてしんぶん赤旗の「主張 男系男子の強化 女性差別助長の法案は撤回を」を紹介します。
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憲法の精神・条項に反する 皇室典範改定案 小池氏が撤回要求 参院特別委
                      しんぶん赤旗 2026年7月16日
 参院皇室典範特別委員会は15日、皇室典範改定案の審議を行い、日本共産党の小池晃書記局長は「男系男子による継承に固執し、強化する皇室典範の改定は、日本社会における女性差別を助長することとなる」と強調。木原稔官房長官が「法案は女性差別とは関係ない」と答弁したのに対し、小池氏は「改定案は憲法の精神と条項に反する」と批判し、撤回を求めました。

 小池氏は、養子皇族の男子に天皇になる資格を認める改定案は大問題だと指摘。衆院の審議で宮内庁が養子の対象となる旧11宮家と今の天皇には男系で36~38親等の隔たりがあると答弁したが、6親等離れれば民法上の親族ではなく、38親等となれば「ほとんど他人だ」と指摘。だからこそ2005年の政府有識者会議報告書でも養子縁組案は「国民の理解と支持、安定性、伝統いずれの視点から見ても問題がある」として否定されたと強調しました。
 小池氏は、皇室典範の大原則である「養子の禁止」を覆しながら、皇室典範を根拠に女性・女系天皇を認めないのは「苦し紛れの詭弁(きべん)だ」と批判しました。

 多様な性をもつ国民の「統合の象徴」と憲法で規定されている天皇を男性に限定する合理的な理由はなく、憲法の条項と精神に照らせば女性・女系天皇も当然認められるべきだと主張。「皇室典範では皇位は皇統に属する男系男子が継承するとしている」という木原氏に、小池氏は日本国憲法からは大日本帝国憲法にあった「皇男子孫」継承が除かれ、皇位については世襲としか書かれていないと反論しました。
 さらに、男系男子継承が明文化されたのは1889年の旧典範だと指摘し、万世一系の天皇が統治するとした大日本帝国憲法の世界を否定した日本国憲法の精神に基づいて議論すべきだと主張しました。国民主権、基本的人権の尊重の憲法のもと日本社会が大きく変化し、女性・女系天皇も認めることが国民の率直な思いだとし、女性であることを理由にしかるべき地位につくことを妨げるのは「男尊女卑」そのもので、男系男子継承に固執・強化する改定案は、日本における女性差別を助長させるものだと批判しました。


主張 男系男子の強化 女性差別助長の法案は撤回を
                      しんぶん赤旗 2026年7月16日
 高市早苗政権は、今国会で皇室典範改定案を強行に成立させる構えです。国民的議論が必要な法案にもかかわらず、委員会質疑は衆参あわせ6時間余りにとどまります。国民の理解は得られておらず採決強行は許されません

 憲法は、天皇は日本国民統合の象徴であり、天皇の地位は主権の存する国民の総意に基づくとしています。多様な性を持つ国民の象徴を男性に限る合理的理由はなく、国民の多くが女性・女系天皇を認めています憲法に照らせば当然、女性・女系天皇が認められるべきです
 ところが改定案は、高市首相の持論を強く反映し、現在の典範以上に男系男子による皇位継承を強化します。日本社会に残る女性差別を助長するもので重大です。

■“二級皇族”の扱い
 皇室典範は、皇族が養子をとることを禁じています。2005年の政府有識者会議の報告書も、養子縁組は国民の理解と支持の点などから問題があり、採用は「極めて困難」としていました。改定案はそれらを覆し、現在の天皇家から遠い、親戚とも言い難い旧宮家の男系男子を養子にするとします。
 皇室典範は一般人が皇族になるのは男性皇族と結婚した女性だけと規定しています。
 改定案は一般人の男性を養子として皇族にします。一般女性と結婚すれば、その女性や子も皇族となり、男の子なら皇位継承資格を持ちます
 それに対し、女性皇族の場合、改定案で結婚後も皇族としますが、夫や子どもについて皇族になる規定を設けず一般人の身分とします。
 男性皇族と異なる差別的扱いです。さらに、結婚した女性皇族は新たに一般市民のように自治体の住民基本台帳に登録されます。まるで“二級皇族”かのような扱いです。
 女性皇族には姓がなく、夫と子どもは姓を持つことにもなります。それを、家族で姓が違うと一体感が失われるとして選択的夫婦別姓に反対する勢力が推進するのは、別姓反対論のでたらめさを示しています。

■男尊女卑と家制度
 国民の総意に反し、なぜ男系男子に固執するのか。背景にあるのは家父長制と男尊女卑の考え方です。
 皇位継承を男系男子と定めたのは、神話に基づく「万世一系」の天皇が主権者だった明治の皇室典範です
 当時、女性天皇容認論もある中で、否定する有力な論だったのは、日本では女性より男性が尊く、女性天皇が結婚すれば夫が「尊位」を占め天皇の尊厳を損ない、日本古来の夫婦観念にもなじまない、女性皇族の子が夫の姓を継いで天皇になれば、皇統が他に移り「万世一系」でなくなる、というものだったとされます。
 高市政権が狙う改定案の底流にはこうした考え方があります。男系男子への固執は、家制度の下で男の子を産むことを強制し、女性を苦しめた日本社会のこれまでの姿と重なります。家父長制的な意識を残存させ、女性差別を助長します。ジェンダー平等を求める国民の声に反します。

 国民主権の憲法となった下で、国民の総意に基づかない法案は撤回すべきです。

17- シリーズ イチからわかる憲法9条 第3部 平和国家のルール(1)~(4)

 シリーズ「イチからわかる憲法9条」の第部 平和国家のルール(1)~(4)
を紹介します。
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イチからわかる憲法9条 第3部 平和国家のルール1「専守防衛」
 自衛隊と〝併存″のため
                        しんぶん赤旗 2026年
 1960年1月の日米安保条約改定で、日米共同作戦条項(第5条)が加わり、78年の日米軍事協力の指針(ガイドライン)策定などを通じて、自衛隊の増強と日米の軍事一体化が加速します。
 一方、50年代に企てられた明文改憲が挫折に追い込まれたことで、①戦争放棄 ②戦力不保持 ③交戦権否認-を掲げた憲法9条と日米安保、自衛隊の矛盾も激化していきます。60年代に入ると相次ぐ憲裁判や、国会での共産党や社会党の厳しい追及がありました。
 政府はこの矛盾を覆い隠し、憲法9条と安保、自衛隊を並存″させるために、戦
後日本を「平和国家」とするルールを形作ってきました。
 外務省が2005年に公表した「平和国家としての60年の歩み(ファクト・シート)」では「専守防衛」がその実績つとされ、「自衛のための必要最小限度の防衛力しか保持せず、攻撃的兵器を保有しない」と明記しました。
「専守防衛」という言葉は、1955年に当時の杉原荒太防衛庁長官が国会答弁で初めて言及したもの。「もっぱら守る、これはあくまでも守る、こういう考え方だ」との基本的性格を示しました。
 70年に刊行された最初の防衛白書『日本の防衛』には、「専守防衛」という表現が初めて正式用語として登場します。さらに、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や長距離爆撃機、攻撃型空母などの攻撃的兵器は保有できないとの見解が示されました。72年10月31日の衆院本会議での答弁で田中角栄首相は、「専守防衛ないし専守防御というのは、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行うこと」と、より明確な見解を示しました。
 いま、集団的自衛権の行使容認や敵基地攻撃能力の保有など、「専守防衛」を逸脱する大転換が起こっています。それでも政府は「専守防衛」の旗を降ろすことはできず、矛盾はいっそう深刻になっています。


イチからわかる憲法9条 第3部 平和国家のルール2「武器輸出禁止」
 国会決議による「国是」
                       しんぶん赤旗 2026年10
 憲法9条のもとでつくられた「平和国家」の実績として、外務省が「専守防衛」と共に掲げていたのが「国際紛争助長の回避」で、そのつが「武器輸出三原則」でした。
 戦後当初、日本の軍需産業は連合国軍総司令部(GHQ)の非軍事化占領政策のもとで解体されていたため、そもそも武器禁輸の原則は存在しませんでした。ところが米国は、占領政策を再軍備化と憲法改定へと転換。軍需産業が復活し、国産兵器の輸出が国会で
問題になり、論戦を通じて武器禁輸の原則が確立していきました
 国会論戦を振り返ると、960年代には、米国の中国封じ込め政策のもとで中国への輸出が問題となり、佐藤栄作首相が67年、共産圏諸国や紛争当事国などへの武器輸出禁止を表明。国産CI輸送機の輸出解禁を求める動きが問題となった76年の国会では、野党が、佐藤首相が示した原則の曖昧さを追及しました。
 これを受け76年には三木武夫首相が、共産圏や紛争当事国以外に対しても「武器輸出
を慎む」とする「政府統一見解」を表明武器の全面禁輸が政府の方針となりました。70年代には革新自治体が9都府県で誕生するなど政治革新の波が高まっていたことも、全面禁輸への流れを後押ししました。
 さらに大阪府内の商社による禁輸方針違反が問題となった81年、衆参両院で武器輸出の全面禁止原則決議を全会一致で議決し、「国是」として国内外に宣言しました。
 こうした経過を踏まえ、政府は国会答弁で、全面禁止は日本の「国是」であることを認めてきました。
 その一方で、83年には中曽根康弘内閣が「武器技術」の対米輸出を認めたのを皮切りに、自民党政権は次々と輸出禁止原則の例外を設けていきます。2014年には安倍晋三政権が、救護や輸送などを目的とする「5類型」の限定付きで「原則禁止」から「原則容認」へと大転換。高市早苗内閣は今年4月、この限定さえ撤廃して戦闘機や護衛艦など殺傷兵器の輸出まで可能にし、憲法9条を掲げる平和国家の国是を完全に投げ捨てたのです。


イチからわかる憲法9条 第3部 平和国家のルール3「非核三原則」
 核ノー 世論と運動実る
                       しんぶん赤旗 2026年12
 前回(10日付)紹介した「武器輸出三原則」と並んで、憲法9条が政府の政策に大きな影響を与え、確立されたのが「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」とする「非核三原則」です。
 広島、長崎への原爆投下に続き、1954年3月1日、米国の水爆実験で第五福竜丸をはじめ日本の多くの漁船が被ばくする「ビキニ事件」が起きました。これが契機となって、原水爆禁止を求める署名運動が全国に広がり、55年8月、第1回原水爆禁止世界大会が広島で開催されました。その後、日本を核戦争の拠点にしないという国民の世論と運動が、非核三原則に結実していきました。
 67年12月11日、佐藤栄作首相(当時)が「核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まないというこの核に対する三原則」(衆院予算委)と発言。71年には「政府は、核兵器を持たず、つくらず、持ち込まさずの非核三原則を遵守(じゅんしゅ)するとともに、沖縄返還時に適切なる手段をもって、核が沖縄に存在しないこと、ならびに返還後も核を持ち込ませないことを明らかにする措置をとるべきである」という国会決議が採択されます。その後、非核三原則を一国是」とする決議が、国会の全会一致で5回にわたって採択され、「国是」として確立しました。
 核固執勢力から繰り返し「核武装論」が持ち出されましたが、いずれもとん挫しています。非核三原則が大きな力を発揮していると言えます。また、原子力基本法には原子力の平和利用」が盛り込まれ、「原子力潜水艦保有」論を制約しています。
 一方、日米両政府は60年の日米安保条約改定の際、米軍の核持ち込みを認める「核密約」をかわし、国民をあざむいてきました。
 さらに、高市早苗首相は「非核三原則」のうち、「持ち込ませず」は、「日米同盟の邪魔」だと公言。安保3文書改定で、三原則見直しが議題になっています。米軍の核戦略に公然と参加するのか、非核三原則を維持、法制化し、核兵器禁止条約に参加するのか。大きな岐路に立っています


イチからわかる憲法9条 第3部 平和国家のルール4「非核三原則」
 海外で戦わない歯止め
                       しんぶん赤旗 2026年14
 自衛隊は1954年の創設以来、海外での武力行使に踏み込む危険に繰り返し直面してきました。それでも、外国人の命を奪うことも、自衛隊員が戦死することもありませんでした。その歯止めとして機能してきたのが憲法9条です。
 政府は、「戦力不保持」を明記した9条との矛盾を取り繕うため、自衛隊を「戦力」ではなく「自衛のための必要最小限度の実力」と位置づけてきました。これに伴い、「必要最小限度」を超える(1)海外での武力行使=いわゆる海外派兵(2)多国籍軍への参加や他国軍の指揮下に入る行為(武力行使との一体化)(3)集団的自衛権の行使―などを禁止。政府答弁(工藤敦夫内閣法制局長官、90年10月24日、国連平和協力特別委員会)でも明確にしました。
 50年代、米国は日本を含むアジアで、北大西洋条約機構(NATO)のような多国間軍事同盟を構想し、58年には日米安保条約の適用範囲を「西太平洋」まで拡大するよう要求。ベトナム戦争を含むアジアでの軍事行動に日本を組み込む狙いでしたが、当時の藤山愛一郎外相は「憲法上の制約がある」と拒否しました。9条がなければ、自衛隊がベトナム戦争に動員され、多くの犠牲を生んでいたかもしれないのです。

 90年代以降、日米同盟の地球規模化が進み、自衛隊の海外派兵が拡大していきます。92年の国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく派兵、2001年以降のインド洋派兵、03年以降のイラク派兵と続きます。
 しかし政府は、「武力行使はしない」「海外派兵ではなく派遣である」などの詭弁(きべん)で合理化。このような説明を成り立たせるために、(1)活動は「非戦闘地域」に限定する(2)他国軍の指揮下には入らない(3)後方支援活動も他国の武力行使と一体化しない―という制約を設け、武器使用も基本的には「自己防衛」に限定しました
 戦後初の「戦地」派兵となったイラク派兵では、結果として自衛隊は1発の実弾も撃たず、1人の戦死者も出しませんでした。後の報道では、現地武装勢力の内部で、自衛隊の駐留には反対するが、攻撃はしないとの合意があったことが明らかになっています。ここでも9条の制約が自衛隊員の命を守ったのです。

2026年7月16日木曜日

物価高騰・暮らしの危機打開を 共産党が緊急経済要求(しんぶん赤旗)

 日本共産党は14日、「物価高騰、暮らしの危機打開へ―経済政策を転換する緊急要求」を発表しました。
 高市首相は「戦争狂」のトランプを最高の政治家であるかの如くに評価して、彼が言うがままに巨額を投じて「大軍拡(5年後の軍事費が年間24兆円)」に奔るとともに、戦前の悪法を思わせる国民統制的な法案違憲法案国民合意のない悪法の制定を目指しています。
 経済政策では大企業優遇の政策(14年間で官民合わせて370兆円投資するなど)を優先させる一方で、軍事費を捻出すために医療関連費を大幅にアップすることなどを狙っています。いま国民が苦しんでいるのは円安・物価高が際限なく続いていることですが、高市氏には何の関心もなくそれへの対策案も持っていません。
 今国会では高市氏は、自分に纏わる数々の疑惑への追及から逃げ回ることが精一杯で、国民の生活などは念頭にありませんでした。虚言・虚偽・虚飾・虚栄に塗れた人物が首相では国が良くなるはずがありません。
 以下にしんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
 (「経済政策を転換する緊急要求」の文中の太字強調個所は原文に拠っています)
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
物価高騰・暮らしの危機打開を 共産党が緊急経済要求 山添政策委員長「国民の怒り臨界点」
                       しんぶん赤旗 2026年7月15日
 日本共産党は14日、「物価高騰、暮らしの危機打開へ―経済政策を転換する緊急要求」を発表しました。山添拓政策委員長が国会内で会見し、高市早苗政権が国民合意のない法案や違憲法案、悪法、大軍拡を押し切る一方、暮らしの困難は置き去りで国民の怒りは臨界点だと指摘。「暮らしの要求に根ざした政策こそすすめるべきだ」と述べました。(要求全文下掲

 緊急要求は、高市政権がつくった「社会保障国民会議」で浮上している消費税の「2年間だけ、食料品1%」案では、2年後は1%が8%に増税となることなどを批判。大企業や大資産家への減税・優遇をただして財源を確保し、ただちに消費税を一律5%にする恒久的減税やインボイス制度廃止などを求めています。
 高市政権が最低賃金時給を1500円にする国民との約束をほごにし、2030年代以降に先延ばしにしたと批判。最賃を1500円にし、さらに1700円を目指すことや、大企業の内部留保の一部への時限的課税を財源に、中小企業に5年間で10兆円規模の直接支援など政府の責任での賃上げを提案しています。
 高市政権の社会保障改悪に対しOTC類似薬や高額療養費の負担増中止、国費投入による国民健康保険料(税)引き下げ、資材価格高騰に苦しむ医療機関・介護事業所の緊急支援、物価上昇に見合う年金の抜本的引き上げも求めています。

 イラン情勢などの影響による円安・物価高・資材不足で倒産・廃業を起こさないよう、燃料や光熱費、家賃など固定費の補助や税・社会保険料の支払猶予措置、無担保・無利子で業績が回復しない場合の債務減免を含む「特別融資制度」創設などを盛り込んでいます。
 「安保3文書」改定で軍事費が毎年3兆円増え5年後の軍事費が24兆円となる危険や「防衛産業」など17分野に14年間で370兆円の投資を行う大企業へのバラマキなど、物価高騰に拍車をかけ暮らしも経済も押しつぶす無責任な「放漫財政」の行き着く先は国債増発=大借金と国民への大増税・大幅負担増押しつけだとして中止すべきだと要求。「タックス・ザ・リッチ(富める者への課税)」で、大軍拡や大企業バラマキでなく、社会保障や教育予算の増額を求めています。


物価高騰、暮らしの危機打開へ-経済政策を転換する緊急要求
                   2026年7月14日 日本共産党
                       しんぶん赤旗 2026年7月15日
 日本共産党が14日、発表した「物価高騰、暮らしの危機打開へ-経済政策を転換する緊急要求」は次のとおりです。

 物価高騰がとまりません。円安やイラン戦争の影響で、さらなる物価上昇への不安も大きくなっています。

 国民生活は物価高にあえぎ、賃上げが追いつかず、中小企業の倒産も増えています。一方、株価は史上最高値、大企業の利益も史上最高です。大企業の内部留保は560兆円に上り、「日本の大富豪」の資産は、上位50人で47兆円にもなり、3年間で2倍に膨れ上がっています。“富の一極集中”がすすみ、国民全体の所得は増えず、日本経済全体も低迷から抜け出せない、悪循環がひどくなっています。

 ところが高市政権は、憲法を変え日本を「戦争する国」にすることに執着し、議会制民主主義を踏みにじる暴走を加速しています。世論や暮らしは二の次、三の次という政治姿勢には、自民党内からも「国民生活や経済に政治資源を使うことも大事だ」という声があがるほどです。

 高市政権は「強い経済」と言いますが、やろうとしているのは、巨額の内部留保を抱える大企業に何兆円も補助金を出し、「防衛と経済の好循環」と言って大幅に増やした軍事費で兵器の調達を増やし、武器輸出を解禁し、軍需産業をもり立てることです。軍需産業だけが栄えても、暮らしが豊かになるわけではありません。平和こそ経済成長の最大の土台であることは、世界の歴史からも戦後日本の歩みからも明らかです。さらに、高市政権が「積極財政」を掲げ赤字国債をさらに大増発しようとしていることが、円安と長期金利の上昇を招き、物価高騰に拍車をかけていることも重大です。

 いま、いちばん弱いのは国民の所得と暮らしです。“富の一極集中”がどんどんすすむ、大きなゆがみをただし、国民の所得が増え、暮らしが安定することこそ、「強い経済」をつくる力です。そのための緊急策として、以下を提案します。

1、物価高騰から暮らしと営業を守る緊急要求
(1)ただちに消費税を一律5%、恒久的減税に
 高市政権がつくった「社会保障国民会議」では、「2年間だけ、食料品1%」という案が浮上していますが、「減税」などと呼べる代物ではありません。イラン戦争の影響に加え、異常な円安がすすみ、さらに物価が上昇する懸念が大きい2年後に、消費税を1%から8%に引き上げれば、暮らしや景気はどうなるのでしょうか。また、生活必需品を含めすべての物価があがっているなか、減税の対象を食料品だけに限定する道理もありません。
 「その後は給付付き税額控除」といいますが、対象になるのは「現役世代の働く中低所得者」とされ、せいぜい国民の1割程度であり、大多数の国民は消費税増税だけです。

 -食料品に限定せず、すべての品目で消費税を5%に引き下げる恒久的な減税を急いで実施する。財源は、大企業や大資産家への減税・優遇をただして確保する。
 -フリーランスや小規模事業者を苦しめているインボイスを廃止する。

(2)賃上げの流れを止めず、最低賃金の大幅引き上げを
 高市政権は、「2020年代に最低賃金時給1500円」という閣議決定に基づく国民への約束を反故(ほご)にし、2030年代以降に先延ばし、引き上げをペースダウンさせようとしています。経済界を含めて物価高騰に負けない賃上げが求められているときに、政府が賃上げに水を差し、流れを止めることは許されません。

 -最低賃金をただちに時給1500円に。さらに1700円を目指す。地域間格差がない全国一律最賃制を確立する。
 -中小企業の賃上げへの分厚い直接支援を行う。大企業の内部留保の一部に時限的に課税し、5年間で10兆円規模の直接支援を提案する。
 -診療報酬をはじめとする公定価格を見直し、ケア労働の賃上げを政治の責任ですすめる。

(3)国民生活を苦しめ、生活不安を広げる社会保障改悪を中止する
 社会保障は、憲法25条にもとづく国民の権利です。同時に、社会保障は国民の暮らしを支え、経済を安定的に発展させる力です。医療の負担増や年金削減など、社会保障の連続改悪が、暮らしを守る土台を崩し、家計の所得と消費を減らし、経済の長期低迷をもたらす大きな要因ともなってきました。医療・介護・年金など社会保障の改悪をやめ、物価高騰に対応した緊急の改善を求めます。
 わずかばかりの「保険料軽減」を口実にした負担増押しつけをやめる……高市政権が決めたOTC類似薬の負担増、高額療養費の負担増による保険料軽減は、1人当たり「月150円」にすぎません。「現役世代の負担軽減」と言いますが、実態は、医療・介護にかかる国の支出を減らすための国民への大負担増の押しつけです。

 -OTC類似薬と高額療養費の負担増を中止する。政府が検討する高齢者の医療費の大負担増をやめる。
 -全国の7割以上の自治体で今年度の値上げが決まっている国民健康保険料(税)を、国費投入によって引き下げる。
 -資材の価格高騰などで経営危機に苦しむ医療機関・介護事業所を緊急に支援し、診療報酬・介護報酬・障害福祉報酬の臨時改定と公的補助により、基盤崩壊をくいとめる。

 物価上昇に見合う年金の抜本的引き上げを……物価高騰が年金生活者の暮らしを直撃しています。自民党政権が、物価の伸びより年金額を低く抑える制度にしたからです。現役世代のためではありません。実質削減の制度を続けると、いまの現役世代が将来受け取る年金額はさらに削減され、より大きな被害を受けることになります。

 -マクロ経済スライドなど「年金実質減額」の仕組みを凍結・撤廃し、年金を物価の値上がりや賃金の上昇に追いつかせる引き上げを行う
 -生活保護基準、児童扶養手当などの福祉給付についても、物価高騰に対応した緊急の引き上げをはかる

(4)“円安・物価高・資材不足”倒産、廃業を起こさない対策を
 イラン戦争や円安による原油・原材料の価格高騰と資材不足、金利上昇が中小企業の経営を直撃しています。今年上半期の「円安」を要因とする倒産は前年同期比32・3%も増えました(東京商工リサーチ)。価格転嫁をすすめ、過去最高益を更新し続ける大企業との格差は拡大する一方です。中小企業は雇用の7割を支える日本経済の背骨です。イラン戦争も円安も中小企業の経営責任ではありません。にもかかわらず倒産・廃業が広がるようでは、日本経済そのものが深刻な打撃を受けてしまいます。

 --コストの上昇や、借入金利の上昇に苦しむ中小企業に対する資金繰り支援として、燃料、光熱費、家賃やリース料など固定費への補助、借入金利子や税・社会保険料の支払猶予措置を取る。
 -無担保・無利子かつ、業績が回復しない場合の債務減免を含む「特別融資制度」を創設する。
 -原材料不足や価格高騰、人手不足などにより休業を余儀なくされた中小企業に対し、十分な休業補償を行う。
 -中小企業の雇用を守るために、雇用調整助成金の助成率や上限額の引き上げ、支給日数の延長などの特別措置を実施する。
 -農業、漁業における燃油や肥料、資材の高騰に対する支援を速やかに行う。

物価高騰に拍車をかけ、暮らしも経済もおしつぶす、無責任な放漫財政の中止を-“タックス・ザ・リッチ”=富める者への課税で財源を確保する。大軍拡と大企業へのバラマキをやめ、社会保障と教育に
 高市政権は、「責任ある積極財政」と称して、放漫財政というべき、財源の裏付けのない巨額のバラマキを行おうとしています。
 一つは、今年中に実施するという「安保3文書」改定による大軍拡、軍事費の大増額です。トランプ政権の要求に沿って「GDP比3・5%」にすると、現在年間9兆円の軍事費を5年後に24兆円、毎年3兆円ものペースで増やすことになります。
 もう一つは、大企業へのバラマキ支援です。「AI・半導体」や「防衛産業」など17分野に、今後14年間で官民合わせて370兆円の投資を行うとしています。
 高市政権は、「骨太の方針」で、「基礎的財政収支の黒字化」という、従来の「財政健全化目標」をやめ、「債務残高対GDP比の低下」に代えるとしています。その狙いは、目標の変更によって、さらに10兆円以上の国債増発を可能にして、大軍拡と大企業へのバラマキに充てようというものです。
 しかし、こうした放漫財政の方向性が鮮明になる中で、長期金利が29年ぶりの高さに上昇するとともに、円安がさらにすすんでいます。物価高騰に拍車をかけ、財政への不安が拡大しています。高市放漫財政の行き着く先は、大軍拡と大企業へのバラマキ支援のための大借金の増大と、そのツケを国民に押しつける大増税、大幅負担増です。国債増発による大軍拡と大企業へのバラマキを中止するべきです。
 大企業への減税は年間12兆円にも及び、所得が1億円を超えると逆に負担率が下がる高額所得者優遇の税制も続いています。“タックス・ザ・リッチ”=富める者への課税によって消費税減税や暮らしのための予算確保を実現し、税の不公正を正していくことこそ求められます。平和国家から戦争国家への危険な道をすすむ憲法違反の大軍拡のための軍事費増大や、巨額の内部留保をもつ大企業へのバラマキではなく、社会保障や教育の予算こそ増やすべきです。