世に倦む日々氏の掲題の記事を紹介します。
同氏は、10年前に熊本地震がありその2年後に真備町の水害が起きた後、段ボールのベッドやプライバシーを守る間仕切りがマスコミで喧伝され、改善に向けての取り組みに期待感を持てる気配が漂うようになったのに、実際は何も改善されず、避難所はテントなし、間仕切りなし、簡易ベッドなしのいつもの雑魚寝スタイルという実態は今回も不変であったことに怒っています。何よりも10年前の熊本地震で災害関連死が特に大きく注目された熊本で、自治体行政や県議市議たちが体育館へのエアコン設置予算を却下してきた事実は理解不能の事態でした。
避難所の環境が最悪で雑魚寝が継続されるままになっているのには政治的な理由があるとして、新自由主義の「自助・共助」のイデオロギーが政策路線として定着し、防災行政の基本と全般を規定し拘束しているためだとしています。
いまや新自由主義の自己責任の原理が政府省庁から自治体まで一貫していて、災害時の被災者支援について、政府は面倒を見ない。生存確保と健康維持と生活再建は、政府に甘えず自前でやれという前提になっている。それが故に日本の防災政策は外国の災害対応と差が出るのであり、差が開くのだと述べます。
エアコンのない避難所で雑魚寝し、日中は炎天下、被災家具の片づけや罹災証明の入手に追われ、どうやって高齢者が熱中症から身を守ることができるのでしょうか。本来、気温40度という酷暑自体が災害であり、そこに高齢者を水なしエアコンなしの環境条件で置いておくことが異常なことです。命は地球よりも重いという名言を思い出すべきです。
世に倦む日々氏は、熊本の旅館・ホテルは6.5万泊(9億円)分のキャンセルを受けているという実態に鑑み、国がそれを借り上げて、高齢者や基礎疾患を持つ者から優先して一時的に移動避難させればよいのであり、その措置を果断に行えば災害関連死を防ぐことができるので、政府は発災2日目か3日目に決定して公表し、希望者を車両送迎すればよかったと述べます。実に簡単なことで卓見です。
また、本来 公立小中学校の体育館のエアコン設置が地方では20%以下という現実は間違っていて放置してはいけない。防災拠点たる指定避難所には一律でエアコンが必須だし、間仕切りも簡易ベッドも必須で、水や食料の備蓄も必須である。そうなっていない現状は放置すべきではなく一刻も早く法律を整備し、全国避難所へのエアコン設置を義務付けるべきで、予算を箇所付けし、履行状況を厳しくチェックするべきだと述べます。
そして、「今誰も、災害時の非人道的で国際水準に甚だしく劣る日本の対応を見て、そこに憲法25条の人権保障を根拠とした批判を当てなくなった。『健康で文化的な最低限度の生活』の防衛陣地からの要求や異議を聞かなくなった。憲法25条の概念は、9条と並んで憲法の二本柱に等しい崇高な宝物なのに」と嘆きます。
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令和8年熊本地震と酷暑の中の棄民行政禍 ー ナショナル・ミニマムの防災対策を
世に倦む日日 2026年8月4日
7/28、熊本で震度7の地震が発生。大きな被害を出し、一週間が経過した時点にある。発災以降、被災地は気温35度を超える猛暑日が続き、現在もその熱波と炎暑の禍が続いている。7/28 から 7/31 まで4日間、地震の影響で停電となり、被災地ではエアコンが使えなかった。九電による復旧作業は完了したという報告になっているが、それは道路上の電柱の配電線までの復旧工事であり、各住戸への引込線すべてが回復したわけではなく、8/2 時点でも停電状態にある家庭の存在がテレビで紹介されていた。気温35度でエアコンなし水なしで4日、5日、6日、、それがどれほど過酷な生存環境だろう。テレビでは通常「一日中一晩中エアコンをつけっぱなしにして下さい」と言っている。そうしないと熱中症になるからだ。東京では(23区内のみの集計だが)猛暑日が続いた 7/21 から 7/25 までの間に55人が熱中症で死亡している。現時点では表面に浮かび上がってないが、被災地で人々がどれほど深刻な健康被害の危機に直面していることだろうか。
7/28 に一報を聞いたときから、避難所がどうなるのかが気になった。が、マスコミはそこから3日間、ずっとイオンモールのガス爆発事故にのみ報道の関心と資源を集中させ、八代などの被災地にカメラを向けなかった。避難所を取材しようとしなかった。意図的に報道から捨象している方針が透けて見えた。翌朝 7/29 のXに、Xが避難所関連の情報をタイムラインから排除していると疑念を抱くポストが上がっていた。それを陰謀論と一蹴できないほど、今回のXには被災者系の発信が少なく、いつもの災害時のX(Twitter)と様子が違っていた。マスコミと同期するようにやたらイオンモール関連の意見や反応が多く、宇城や八代に無関心だった。いつもならマスコミ報道とは異なる情報の世界がXに出現し、話題となり、マスコミの隠蔽体質を暴露しつつSNSの真価を発揮する。東日本大震災時の原発事故情報が典型だった。今回、Xに政府から指示が下りていたのか、真相は不明だが、もうそこまで情報統制が来ているのかと恐怖を覚える。戦争が近いのだ。
送電が止まり、被災地の人々は車のエアコンで命を守るべく、ガソリンスタンドに殺到していた。一日以上経ってようやく避難所が開設されたが、冷房設備がなく、テントもパーティションも簡易ベッドもなく、トイレに不安があり、そんな劣悪な環境よりも車の中や自宅の方を被災者は選択したようだった。2日目から3日目にかけて、ようやくXでも避難所に視線を向ける議論が活発になり、熊本の公立小中学校の体育館のエアコン設置率が20.9%という数字に反響が集まった。と同時に、共産党だけが議会で懸命に体育館のエアコン設置を要求した経緯とか、自民などがエアコン設置を不要としてきた政治の歪な真実が明らかとなった。10年前に大きな地震を経験し、何より、災害関連死の問題で特に大きく注目された熊本で、自治体行政や県議市議たちが体育館へのエアコン設置予算を却下してきた事実には衝撃を受ける。熊本は全国でも暑い土地だ。もし真夏に次の地震に襲われたらという想定を、なぜ首長や議員らは考えなかったのだろう。信じられない。
7/30 あたりから、ようやく新聞社が避難所を撮った写真を配信し始め、テントなし、間仕切りなし、簡易ベッドなしの、いつもの雑魚寝スタイルで被災者が体育館に詰め込まれている様子が分かってきた。相変わらずのジャパニーズ・フォーマット。唖然とする。避難所の雑魚寝については、何度も何度も、災害の度に不備が指摘され、人権上衛生上の問題が言われて非難され、改善が必要だと槍玉に上げられてきた。今回はどうだろう、まさかと思っていたが、やはり雑魚寝様式が踏襲されていた。改善されてない。10年前に熊本地震があり、その2年後に真備町の水害が起きた後、段ボールのベッドやプライバシーを守る間仕切りがマスコミで喧伝され、改善に向けての取り組みに期待感を持てる気配が漂うようになった。が、2年前の2024年元旦に能登半島地震が起きたとき、避難所環境はむしろ劣悪になっている状況が分かって暗澹とさせられた。実際は何も改善されてなかった。そして、マスコミが取材を避け、避難所をなるべく映さないように変わっていた。
なぜ日本は避難所の環境が最悪で、雑魚寝が継続されるままなのか。それには政治的な理由がある。意図的に政権と政府がそうしてきたのだ。菅義偉が首相就任前に堂々と宣言した図を想起すべきだが、「自助・共助」のイデオロギーが政策路線として厳然と定着し、防災行政の基本と全般を規定し拘束しているのである。新自由主義の自己責任の原理が政府省庁から自治体まで一貫しているのだ。災害時の被災者支援について、政府は面倒を見ない。生存確保と健康維持と生活再建は、政府に甘えず自前でやれという前提になっている。高齢者医療含めた社会保障政策の全領域にわたって、弱者は保護せずの鉄則が正義化され、その主張を前面に掲げた政党が選挙で支持され政権を運営している。なので、災害時に政府は前面に出ない。自衛隊も真面目に救助に動かない。救援に前向きなフリだけ狡賢く演出して、マスコミと国民の前で点数稼ぎするだけだ。要するに、日本の防災政策は棄民政策が実態であり本質なのだ。だから外国の災害対応と差が出るのであり、差が開くのだ。
NHKの夜のニュースは、被災地の人々に対して、熱中症にならないよう注意して下さいとか、周囲を見守って下さいと何度も何度も呼びかけている。こうすれば熱中症を防げると言い、濡れタオルで首の両側を拭けとか、日陰で休めとか、トイレを心配して水飲みを控えるなと言っている。専門家を登場させ、気休め同然の一般論を講釈している。トイレを心配するなと言っても、断水で流す水がなければどうしようもないではないか。そもそも、NHKが垂れているような方法で熱中症を防止できるのなら、日本で熱中症患者の発生はゼロだろう。「日中は外出するな、エアコンはつけっぱなしで、こまめに水分補給を」と繰り返しテレビで警戒警報を鳴らし、国民が厳重注意してその勧告に従っている中、東京都23区だけで一日に15人も20人も熱中症の死亡者が出るのである。それだけ日本の夏の気温と湿度は高く、熱中症になりやすい過酷な環境だ。被災地は断水で、給水車の順番を待つ長い行列に並ばないといけない。高齢者だけの世帯は自ら水汲みする必要がある。
エアコンのない避難所で雑魚寝し、日中は炎天下、被災家具の片づけや罹災証明の入手に追われ、どうやって高齢者が熱中症から身を守ることができるのだろう。NHKを含めた被災者向けのテレビ報道(政府からのメッセージ)はあまりに欺瞞的で、聞いていて噴飯で堪えられない。私自身も、今年7月初めから軽い熱中症の後遺症が出て、体調不良に悩まされている。熱中症と自律神経の異常は大きな関係があるらしく、年をとると体温調節が難しくなり、熱を体外に逃がしにくい身体生理になるようだ。そして睡眠不足という厄介な症状に襲われる。環境を変えてPCを見ずに何日か生活を送ると、睡眠が元に戻って頭痛も消える。が、再びPCに集中して一日中Xタイムラインを追いかける日常に戻ると、元の木阿弥で悪化する。気温が下がることで一息つける。高齢者の夏は多くがこんな感じだろう。スマホに隷属して視神経と脳を侵され続けている若年層は、高齢者になったとき、さらに熱中症に罹りやすい体質になるのではないか。気温も今より高い環境だろうから。
という個人的事情もあり、宇城市や八代市の高齢者を見て、いたたまれない気持ちになる。本来、気温40度という酷暑自体が災害であり、そこに高齢者を水なしエアコンなしの環境条件で置いておくことが異常なことだ。「健康で文化的な最低限度の生活」を大きく逸脱した、地獄の環境に放置して責め苦を与え続けているのと同じである。まるで人体実験と同じだ。虐待と陵辱だ。いじめ加害を幇助する教室の教師と同じだ。NHKの夜9時のニュースで、熱中症にならないよう気をつけて下さいと言っている広内仁と野口葵衣を見て、731部隊の医者と看護婦の悪魔の冷酷を想像してしまった。厚労省の医系技官は、現時点から1週間後にどれだけ災害関連死者が出るか、シミュレーションして推計を出しているだろう。国家情報局は、そのデータを中国との戦争時の避難住民政策に活用して、戦場となった沖縄や各地での対策のマニュアルの資料にするのだろう。水がない、食料がない、電気がない、ガソリンがない。熊本の被災地は、まさに1945年8月の戦禍の地そのものだ。
地震の影響で、熊本の旅館・ホテルは6.5万泊(9億円)分のキャンセルを受けている。国がそれを買い上げて、被災地の高齢者を、基礎疾患を持つ者から優先して一時的に移動避難させればよいのである。その措置を果断に行えば災害関連死を防ぐことができた。発災2日目か3日目に決定して公表し、希望者を車両送迎すればよかった。簡単なことではないか。それから、断水の問題については給水車を増やせばいい。ネットで調べると、全国の水道事業体が保有する給水車は1330台存在する。このうち3分の1の400台を動員すれば、自衛隊が出している49台の8倍の規模を展開できる。つまり、給水車に並ぶ被災者の人数と時間を8分の1に減らせる。首相権限で即刻指示を出せば済む措置だ。熊本には地下水の湧き水が豊富にある。九州には日田天領水や財宝など飲料水のビッグビジネスがあり、水資源には事欠かない。不足しているのは給水ビークルだけだ。なぜ給水車を増やさないのか。被災地に集中させないのか。自衛隊の宣伝プロモーションに活動を独占させているのか。
NHKのニュースを見ていたら、7/31 だったか、世田谷にある熊本料理店の店内が取材され、富裕層っぽい女性がいかにも高そうな馬刺しを賞味し「食べて応援」を言っていた。その隣の男が「熊本にしょっちゅう行かなきゃ」と軽薄な口調で言っていた。草津や登別の予定を黒川に切り替えるのだろう。NHKが用意した台本で短い映像を制作している。NHKが富裕層に向けて、被災地を応援する貴族の温情の消費行動を促している。日本はこんな国になった。被災地の被災者は切り捨てられ、高齢者は熱中症で災害関連死する予備軍の枠に入れられ、人体実験のビッグデータのサンプルとされ、「お気の毒でした」の言葉だけが送られる。富裕層はそれをテレビで見て「食べて応援、旅して応援」の勘違いな自己満足の消費に精を出す。被災者の不幸を肴にして消費欲を満たす。自助と共助の災害対応。ボランティアばかりをクローズアップし、国の責任は問わない。国の責務の所在は消し隠し、高市と自衛隊の宣伝だけを放送する。そのことについて批判も糾弾もない。欺瞞と逸脱への怒りがない。
本来、公立小中学校の体育館のエアコン設置が、東京が92%で、大阪が50%で、地方が20%以下で、全国平均が23%という現実は間違っているのだ。放置してはいけない問題だ。公立小中学校の体育館は9割以上が地域の指定避難所になっている。災害の襲来は季節を選ばない。場所も選ばない。だから、防災拠点たる指定避難所には一律でエアコンが必須だし、間仕切りも簡易ベッドも必須で、水や食料の備蓄も必須である。一刻も早く法律を整備し、全国避難所へのエアコン設置を義務付けるべきで、予算を箇所付けし、履行状況を厳しくチェックするべきだ。その防災設備の性能や備品の品質には差をつけてはいけない。憲法の日本国民は平等で、権利に差はないのだから。等しく税金を払って日本国を支えているのだから。防災行政で享受する国民の福利は、全国等しくナショナル・ミニマムが貫徹されなくてはいけない。これは当然の常識だが、新自由主義が標準的な思想として人々に内面化された今では、社会主義の理念に聞こえることだろう。
憲法25条の生存権はどこへ行ったのか。今、誰も、災害時の非人道的で国際水準に甚だしく劣る日本の対応を見て、そこに憲法25条の人権保障を根拠とした批判を当てなくなった。「健康で文化的な最低限度の生活」の防衛陣地からの要求や異議を聞かなくなった。憲法25条の概念が日本人から消えている。9条と並んで憲法の二本柱に等しい崇高な宝物なのに。
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年8月6日木曜日
令和8年熊本地震と酷暑の中の棄民行政禍-ナショナル・ミニマムの防災対策を(世に倦む日々)
「風説の流布」への注意喚起/消費税美化する者を信用するな(植草一秀氏)
植草一秀氏の掲題の2つのブログ記事を紹介します。
「『風説の流布』への注意喚起」の記事では、「消費税減税の財源が不明確なのは無責任である」との論説が流布されているが、「財源が不明確」(=国債依存)な政策はこれまでも無数にあるとして、「糸を引いているのは財務省で消費税減税は死ぬほど嫌う。目指すのは大企業と富裕層の減税と庶民課税である消費税の増税で、大企業と富裕層の減税は同省の天下り拡大につながるから実施するが、減税の財源を消費税に求めるため」と明言します。
また「円安是正に向けて日米政府の意向が一致し、日米が協調介入した」も間違った論説であると述べ、その根拠について公開した範囲では示していませんが、メルマガでは「(強欲の)米国は日本に米国債を売らせたくないからでは」と示唆しています。
「消費税美化する者を信用するな」の記事では、「消費税を減税して社会保障制度が崩壊していいのか」という「美談」に騙されてはいけないとして、消費税が社会保障制度の財源という極めつけは無根拠であり、消費税が取り入れられた1990年~2020年の30年間に所得税が7兆円減り、法人税が7兆円減り 合計14兆円減っのに対して、消費税が16兆円増えたことを示し、消費税が所得・法人の「2税の軽減分の穴埋めに使われた」ことを明らかにしました。
要するに消費税が社会保障費の財源になっているというのはマヤカシで、社会保障費の財源は所得税であろうが法人税であろうが全く構わないと述べます。
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「風説の流布」への注意喚起
植草一秀の「知られざる真実」 2026年8月 4日
二つの重要な経済問題について、偏った論説が流布されているので注意喚起したい。
二つの重要な経済問題とは 消費税減税問題 と 協調介入問題 である。
偏った論説とは 「消費税減税は無責任である」 との主張。
介入については 「円安是正に向けて日米政府の意向が一致した」 というもの。
いずれも間違った論説だ。
消費税減税は悪徳高市内閣における唯一の正しい方向の施策である。
「正しい方向の」としたのは、本来は 「消費税率の5%への引き下げ」が取られるべき政策であるからだ。それでもやらないよりはまし。
また、食品税率を実質的にゼロに引き下げれば29年4月に元の水準に戻すのは極めて困難になると考えられる。恒久措置が望ましく、再増税が困難であることは望ましい。
食品税率をゼロにする場合、2年間の減税で必要になる金額は10兆円。
このことについて「財源論」がかまびすしいが、10兆円の財政支出について、常に財源が論じられてきたのかをまったく踏まえていない。
代表事例として20年度から23年度までの4年間の補正予算の事例を提示してきた。
4年間に補正予算で154兆円の財政支出追加が計上された。そのすべてが国債の発行で賄われた。
コロナの2020年度だけで73兆円の財政支出追加が補正予算に計上された。その全額が国債発行で賄われた。
このなかにはGO TO TRAVELに3兆円、デジタル・グリーンに3兆円、防災国土強靭化に3兆円、構造改革・イノベーションに2兆円など、コロナとはおよそ関係の薄い対象に巨額がばらまかれた。予備費だけで10兆円の予算が計上された。
極め付きは財務省天下り先の公的金融機関に19兆円が投下されたこと。
73兆円のばらまき予算の財源は100%赤字国債発行だった。
利権バラマキ予算では150兆円のバラマキでも財源論がまったく浮上しない。
ところが、消費税になると目くじらを立てて財源論が叫ばれる。このことに素朴な疑問を持つべきだ。
糸を引いているのは財務省。財務省は利権バラマキ財政を実は歓迎している。しかし、消費税減税は死ぬほど嫌う。
財務省が目指すのは大企業と富裕層の減税と庶民課税である消費税の増税なのだ。
大企業と富裕層の減税は財務省の天下り拡大につながる。富裕層が大企業の経営者であり、彼らを優遇することで天下りという見返りが生じるのである。
減税するにはその財源をどこかに求めなければならない。その向かう先が消費税である。
庶民に負担をかぶせるのだ。
したがって消費税減税だけは絶対に阻止しなければならない対象なのである。
米国の為替政策の転換と財務省の基本路線である「ザイム真理教」について新著に記述している。
8月3日に上梓した『日本経済の終宴 絶頂株価後の最強投資戦略』(ビジネス社)
https://x.gd/yNOSpf をぜひご高覧賜りたい。
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続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4489号
「消費税減税と円買い介入の本質」 でご高読下さい。
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『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)https://x.gd/LM7XK
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消費税美化する者を信用するな
植草一秀の「知られざる真実」 2026年8月5日
消費税を美化する者を信用してはいけない。
「政治は支持率のためにあるのではない。
不人気な政策であっても国の未来のためにやらねばならないことがある。
社会保障制度を維持するには消費税が必要不可欠。
消費税を減税して社会保障制度が崩壊していいのか。」
こんな「美談」に騙されてはいけない。
2024年10月の衆院総選挙、2025年7月の参院選で自民大敗をもたらした石破茂元首相が消費税減税批判を展開している。
「消費税減税を実行すれば財政不安が広がり為替は円安に進む。
円安になれば金利は上がり、物価も上がり、消費税減税の効果は打ち消される。」
こんな話がまことしやかに流布されている。しかし、この主張は「一つの説」でしかない。確定していないことについて「一つの主張」が提示されているに過ぎない。
上記の説明には多くの「ウソ」、あるいは「真偽不明の判断」が含まれている。
三つの誤りを指摘しておこう。
第一は社会保障の財源が消費税でなければならないという大ウソ。
第二は消費税減税を実行するときに円安になると限らないこと。
通常のマクロ経済理論の枠組みでは財政拡張は通貨上昇要因。
財政赤字拡大は円高をもたらすというのが標準的な経済理論の結論。
真逆の「風説」が流布されている。
第三は消費税減税の財源がないと騒がれるが財源があること。
巨大な自然増収がある。その自然増収を減税で国民に返還しないと「税の取り過ぎ」になる。
2001年に小泉政権が超緊縮財政を強行した。
私は超緊縮財政が日本経済を危機に陥れると警告した。実際に警告したとおりの惨状が現実化した。
私は積極財政を主張したのではない。行き過ぎた緊縮を批判した。
行き過ぎた緊縮が経済を悪化させ、資産価格を再暴落させ、その結果、日本は第二次金融危機に突入した。
このときの政策論議は次のものだった。
財政拡張を行うと金利が上がり、その金利上昇が円高をもたらす。
その円高が財政拡張の景気支持効果を消す。
「マンデル・フレミング効果」という言葉が使われて、財政拡張は「円高」をもたらすと喧伝された。
つまり、消費税減税が円安をもたらすとはまったく言えない。
過去の経済政策論議では財政拡張は円高をもたらすとされていた。それが、今回は財政拡張が円安をもたらすとされている。いい加減なものなのだ。
食品の消費税率を2年限りで1%に引き下げたところで、財政破綻が生じる可能性はゼロだ。したがって、この政策を実施して日本円が暴落することはあり得ない。
また、社会保障の財源が消費税でなければならないということはない。そんな規定は日本のどこにも存在しない。
社会保障の財源は所得税でも法人税でも構わない。国債発行でも問題はまったくない。
社会保障の財源として消費税と所得税・法人税のいずれが適切かとの設問があれば、答えは明白だ。所得税・法人税の方が適切である。
日本の税制は1990年度と2020年度で大逆転した。
1990年度 2020年度
所得税 26兆円 19兆円
法人税 18兆円 11兆円
消費税 5兆円 21兆円
税収合計 60兆円 61兆円
税収規模は約60兆円で同水準。しかし、構成が真逆。格差拡大の時代に、どちらの税収構造が望ましいか。消費税が小さく、所得税と法人税が大きいことが望ましい。消費税減税が正しい政策対応である。
新著 『日本経済の終宴』(ビジネス社)https://x.gd/yNOSpf を上梓しました。
サブタイトルは「絶頂株価後の最強投資戦略」
第1章タイトルは「高市持率工作(こうしじりつこうさく)」
高市暴政の真実を明らかにするとともに株価絶頂を予測し、絶頂株価後の投資戦略を提案する新著。
夏休みにぜひご高読をお願いします。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 第4489号
「消費税減税の風説を粉砕!」 でご高読下さい。
(後 略)
2026年 広島平和宣言
6日に開催された広島市の平和記念式典には、過去最多の123カ国・地域と欧州連合(EU)代表部が参列を予定しているということです。広島市が日本に大使館がある国の招待を始めた2006年以降の20年で、約3・5倍に増加しました。
専門家は、世界情勢が緊迫して核使用への危機感が高まっていることが、被爆地で開かれる式典への参列につながっているとみているということです。(毎日新聞より)
広島市のホームページに掲載された広島平和宣言を紹介します。
(はじめに毎日新聞のAM8:01付の記事を紹介します)
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広島で平和記念式典始まる 原爆投下から81年、核廃絶求め宣言
毎日新聞 2026/8/6(木) 8:01配信
米国による広島への原爆投下から81年の「原爆の日」となった6日、広島市の平和記念公園(広島市中区)で平和記念式典が始まった。松井一実市長は平和宣言で、多くの為政者が核抑止力に依存し続け、核兵器のない世界は遠のいていると指摘。被爆地を訪れ、核兵器廃絶のための政策を実行するよう求める。
平和宣言は、国際法をないがしろにする大国の横暴な振る舞いが繰り返されていることや、核拡散防止条約(NPT)再検討会議で成果文書が不採択となったことに言及。核兵器の非人道性を軽視することは「第三のヒロシマ・ナガサキを作り出すことになりかねない」と警告する。
また日本政府には、核兵器禁止条約の再検討会議にオブザーバー参加し、一刻も早く締約国になるよう求める。在外被爆者を含む被爆者援護の充実も要望する。
式典では、高市早苗首相があいさつに臨むほか、グテレス国連事務総長のメッセージを国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)が代読する。【井村陸】
令和8年(2026年)平和宣言
平 和 宣 言 2026年8月6日
被爆から81年が経過した今、私たちが暮らすこの地球上では、核を脅しの道具に使った軍事侵攻や国際法をないがしろにする大国の横暴な振る舞いが繰り返されています。また、今年開催されたNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議では、過去2回に続き成果文書が不採択となりました。その原因は、他国に責任を転嫁し自国の行動を正当化する為政者の言動にあります。また、こうした為政者の言動は、NPTが定める義務を無視するに等しく、世界の平和と安定を根底から揺るがすものです。
このままでは世界中で不信の連鎖が進み、欲望がむき出しになっていた第二次世界大戦の時代に回帰してしまいます。核兵器の非人道性を軽視し、自国の繁栄のための武力行使を認めることは、暴力を伴う報復の連鎖を許容し、第三のヒロシマ・ナガサキを作り出すことになりかねません。
皆さん、ここで再度、あの惨禍を生き抜いた被爆者の体験に耳を傾けてください。当時16歳だった女性は優しかった姉のことを振り返ります。まるで骸骨のように皮膚が崩れてなくなり、唇のない口から歯がむき出しになっていた姉の顔は、悪夢のようで信じられなかった。また、3歳で被爆した後に次々と病に襲われ、55歳で白血病を発症し原爆症と診断された女性は、いつも次にどんな病気がくるのかという恐怖と隣り合わせの日々だったといいます。また、別の当時9歳だった男性は、多くの一般人が犠牲になっているロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにし、争いが起きない世界を創るため、自分の中の争いの心を乗り越え、相手の考えを受け入れる気持ちを持ってほしい、とりわけ若い世代には、そのために身近なことから考えてほしいと訴えます。
市民社会は、こうした被爆者の声や被爆者の思いを伝承する活動に鼓舞され、核兵器廃絶と平和を願う行動の輪を、国境を越え世代を超えて広げてきました。しかし、多くの為政者は現実的な対応として核抑止力に依存し続け、暴力を肯定する国際社会が出現し、核兵器のない世界は遠のくばかりです。戦争の記憶が薄れることで核兵器の使用が容認されかねない時代を生きる私たちは、今改めて、国連を創設し核兵器廃絶を決意した過去の教訓を学び直す必要があります。そして、一人一人があらゆる暴力を否定し、核兵器廃絶という理想を理想で終わらせない国際社会を創り上げるための行動を起こす必要があります。
そこで、若い世代の皆さんに提案があります。価値観の異なる人々との国境を越えた交流を深めてください。そうすることで、嬉しさや楽しさ、夢や希望を共有することができます。既に世界の多くの若者が、広島を始め様々な場で被爆の実相を学び、交流を深めています。皆さんも平和のために日常生活の中でできることを実践し、自らの思いを発信することで、その行動の輪を広げていってください。こうした取組は、お互いを認め合う平和文化を世界中に根付かせ、核兵器廃絶を国際社会の常識にすることにより、為政者が核抑止力に依存することを認めない環境づくりにつながります。広島市は、平和首長会議の8,589の加盟都市と連帯し、平和文化を世界中に広め、次の世代に伝える活動を後押しするとともに、「ヒロシマの心」を世界に訴え続けます。
世界の為政者の皆さん。市民社会は一日も早い核兵器廃絶を願っています。いったい、いつまで失望させ続けるのですか。核兵器の使用が人類に壊滅的な被害をもたらすこと、そして核軍縮・不拡散は、多国間で取り組むべき課題であることを十分理解されているはずです。また、核保有国の為政者の皆さんは、核軍縮に大きな責任を有しているのですから、自ら範を示す必要があることを十分認識されているはずです。世界の為政者の皆さん。自ら被爆地を訪れ、ヒロシマ・ナガサキの悲劇と真剣に向き合い、被爆者の平和への思いを受け止めてください。私たち市民社会は、為政者の皆さんが被爆地から核兵器廃絶への決意を世界に発信し、そのための政策を実行することを心から待ち望んでいます。
日本政府には、日本国憲法が掲げる崇高な理想を深く自覚し、国際社会において名誉ある地位を占めるための歩みを止めないでいただきたい。とりわけ、各国との分断や対立が生じかねない厳しい安全保障環境にあるからこそ、国民に犠牲を強いることのないよう、したたかで粘り強い外交に徹する中で、国際社会の平和と安定に向けて貢献し続けることを表明し、実行していただきたい。そのためにも、まずは今年11月から開催される核兵器禁止条約の再検討会議にオブザーバー参加し、そして、一刻も早く締約国となっていただきたい。また、平均年齢が86歳を超えた被爆者の支援策については、今なお抱えている様々な苦しみや苦悩に寄り添い、在外被爆者を含めた被爆者援護のあり方を踏まえた上で、その充実を図ることを強く求めます。
本日、被爆81周年の平和記念式典に当たり、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、力を尽くすことを誓います。そして、改めて市民社会に呼び掛けます。世界中の皆さん、被爆者の切実な思いが込められた「ヒロシマの心」を胸に、共に行動することで世界を変えていきましょう。
令和8年(2026年)8月6日
広島市長 松井 一實
高市首相の熊本地震避難所視察は「至れり尽くせり」の選ばれた避難所1カ所のみ
熊本地震発生から7日目の8月3日、高市首相が被災地の熊本を訪れました。しかしそれは単なるパフォーマンスとしか思えないもので、現地滞在時間は50分程度(現地での移動を含む)で到底「被災地の視察」と呼べるようなものではありませんでした。
高市首相が視察したのは、最も無難と判断された熊本県氷川町の避難所になっている氷川中学校で、そこでは真夜中までかけて段ボールベッドなどが整備されたようです。
高市首相はクーラーの利いた校長室で5名の被災者と面会しました。そこでの僅か数分間の面談がほぼ現地視察の全容で、あとは各教室に避難している人たちに数秒程度の言葉がけの挨拶をして回ったようです。
同行した内閣の広報担当官が翌4日に動画を公開したのはいいのですが、それにはピアノ演奏のバックミュージックが入っていたそうで、不自由を極めた避難生活の実態にそぐわないものだと 批判の大炎上に見舞われたということです。
高市政権発足からかなりの間はそうした動画が公表されると 岩盤支持層から絶賛されたのでしょうが、国会での無様なありようから高市氏の実像がようやく国民に分かり 支持率が急速に落ちた7月以降はいわば「冬の時代」を迎えました。
高市氏の熊本地震避難所視察を報じたLITERAの記事を紹介します。
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高市首相の熊本地震避難所視察は北朝鮮並みのプロパガンダだった!「至れり尽くせり」の選ばれた避難所の一方で実態は…
LITERA 2026.08.04
これで本当に「被災地の視察」といえるのか。熊本地震発生から7日目の8月3日、高市早苗首相が被災地の熊本を訪れたが、その模様は、まさに成果アピールのためのパフォーマンスとしか思えないものだった。
高市首相が視察したのは、熊本県氷川町の避難所になっている氷川中学校だが、とくに懐疑的な目が向けられているのが、映像が公開された5名の被災者との別室での意見交換の模様だ。
冒頭、高市首相が「お困りごととか、不安に思ってらっしゃることをお聞かせください。もう国でできることは全部やるつもりで参りました」と口火を切るのだが、不満を述べる被災者はおらず、逆に、高齢の男性がこう答える。
「避難所の生活については、特に不満等はないです。本当にもう至れり尽くせりで、ベッドも全員、段ボールベッド、最初は床に寝てたんですけども、やっぱどうしても足腰が悪い人はあの立ち上がったりなんかするのに不便なもんですから、大変助かりました」
これに高市首相が「昨日あたりに全部届きましたか」と満足げに応じたあと、こうアピールする。
「お配りできなかったところがあったんですが、土曜日の夜遅くそれを聞きまして、で、日曜日、昨日ね、あの、津島副大臣がものすごく頑張って、段ボールベッドの組み立てがなかなかやり方わからないとかいろんなことがありましたが、職員も入れて、一斉に間仕切りと段ボールベッドの展開。今日までかかってるところもありますが、昨日すごく動いたんです」
すると、今度は高齢の女性がこう感謝の意を示したのだ。
「段ボールベッドは来るし、支援物資は来るし。こんな快適な生活はないと思いまして、本当に涙が出るほどありがたかったです」
日本人は災害の苦境にあってわずかな支援しか提供されていなくても、感謝の意を示す傾向があるが、ここまで手放しで政府や自治体の対応をほめちぎっている映像は見たことがない。そのためか、SNSでは「被災者は支持者か、仕込みではないのか」「北朝鮮並みのプロパガンダ」というツッコミが殺到している。
出席者が仕込みというのはさすがに考えづらいし、善意の被災者にはなんの責任もないが、しかし、今回の高市首相の視察に「演出」があるのは明らかだ。というのも高市首相は、約200カ所(3日時点)ある避難所のなかで明らかに支援が行き届いたところを用意し、視察に行っていたからだ。
被災者が「至れり尽くせり」と語った理由は、視察用に行き届いた避難所を選んだから
高市首相が今回、訪れた氷川中学校の避難所は教室使用でクーラーを完備しているのはもちろん、段ボールのベッドも全員分を用意。プライバシーを確保するためのパーテーションもあった。
しかし、ここは取材陣の間でももともと「特別に力を入れている」といわれていた避難所らしい。読売テレビの報道によれば、女性が利用しやすい避難所を念頭に、航空自衛隊によって大きなお風呂やシャワーなどの入浴設備が設置され、女性自衛官が数多く配置されていたという。
一方では、3日時点でもまだエアコンが設置されてない避難所が残っていたし、ダンボールベッドはおろか、囲いの段ボールさえないまま雑魚寝を強いられる避難所がかなりの割合を占めていた。
3日の読売新聞によれば、宇城市の避難所では、間仕切りもなく雑魚寝の状態が続くなか、コロナ感染者まで出ているという。
避難所に指定されている学校体育館のほとんどにエアコンが設置されていないことから、文科省は地震発生翌日の7月29日に、エアコンの整った普通教室を避難所として活用するよう通知を出したが、発生直後の混乱や人手不足のせいか、通知後も多くの被災者がエアコンのない体育館で雑魚寝を強いられていた。
たとえば、8月1日の「NEWSポストセブン」はその悲惨な状況をこうレポートしている。
〈避難所に指定されている鏡町小学校の体育館。鏡町は八代市の中でも特に被害が大きい地域だ。うだるような暑さのなか、被災者たちが身を寄せ合っていた。空調設備はなく、頼りは扇風機のみという状況。火曜日から体育館に身を寄せているという女性は環境への不満をこぼした。
「暑い、暑いですね、ここは。扇風機しかないから。だからちょこちょこ水分を飲んでいます」〉
エアコン未設置問題では、小泉進次郎防衛相が29日にスポットクーラー約300台を熊本に輸送したことをアピールしていたが、そもそも避難所は当時400カ所以上に及び、9000人近い住民が避難していて、全然足りない。しかも、同じく「NEWSポストセブン」によると、宇城市の小野部田小学校では、このクーラーが搬入されたものの、電源がないため使われていなかったという。
エアコンが使えるようになった後も、まったく解決されていないのが雑魚寝状態だ。2日付の熊本日日新聞は、約100人が避難する八代市西松江城町の代陽コミュニティセンターでは、横になれるスペースは1人1畳ほどで、「荷物を置くと足を伸ばせない。雑魚寝で物音がして眠れない」という被災者の声を紹介している。
また、市内最多の約1000人が避難する宇城市小川町の小川防災拠点センターでは、床に雑魚寝状態という環境下で体調管理が難しいためか、数人が救急搬送されたという。
そして、2日には、雑魚寝を強いられる避難所を避けたのか、車中泊をしていた70代女性が熱中症で亡くなっている。
問題は、エアコンや雑魚寝だけではない。トイレにしても、災害発生から48時間経った7月30日になっても届かず、その後も十分な数は揃わない。早朝から数十人の行列ができていた避難所が続出し、悲惨な状況になっていた。
たとえば、前掲の熊本日日新聞は、代陽コミュニティセンターの5基のトイレのうち洋式が1基のみで、足腰が悪くて和式を使えないという高齢の被災者の声や、八代市鏡町の鏡コミュニティセンターではトイレに入るのをためらうほど、臭いがひどいという被災者の声を紹介している。
短かった視察時間 内閣広報は51分滞在と反論も、地方紙で避難者が「首相は10秒しかいなかった」
災害時に首相が避難所を視察する意義は、被災者が置かれた困難や窮状を肌で知ることにあるはずで、過酷な環境を強いられている避難所にこそ足を運び、被災者の不満に耳を傾けるべきだろう。
にもかかわらず、高市首相は数多ある避難所のなかでも、わざわざエアコン、段ボールベッド、パーテーション、大きなお風呂が揃った場所を訪ね、被災者から「本当にもう至れり尽くせり」「こんな快適な生活はない」と言ってもらって、悦に入っていたのだ。
これでは、「パフォーマンス」「プロパガンダ」のための視察、と言われても仕方がない。
実際、そのパフォーマンスを差し引いて客観的なデータだけを検証してみると、高市首相の震災への関心が実は非常に低いことが浮き彫りになる。
そのひとつが、実際に視察に費やした労力だ。高市首相の視察については、現地の氷川中学校に入って取材したジャーナリストの田中龍作氏が〈クーラー付き、段ボールベッド完備の別格避難所を高市総理が視察したのは、たったの3分間。 電光石火だった。避難生活の辛さが理解できるはずがない。〉とXに投稿。
対して、佐伯耕三内閣広報官のXアカウントが、〈一部SNSで事実と全く異なる情報が流れていますが、高市総理が氷川町の避難所に到着し視察を開始したのは、午後3時13分。視察を終えて避難所を出発したのは、午後4時4分です。避難所視察は51分間ですので、お伝えします〉と反論した。
しかし、内閣広報官の言う「51分間」というのは、あくまで氷川中学校に滞在した時間にすぎない。
官邸が公開した動画や各紙の首相動静をチェックすると、3時21分から13分間は別室で氷川町町長らとの会談に費やし、そのあとすぐ冒頭で紹介した別室での被災者との意見交換が19分間、3時54分まで行われている。
避難所の教室を視察していたのは、中学校に到着した3時13分から20分までの間か、3時54分から氷川中学校を出発する4時4分までに間のどちらかしかなく、そこから官邸の動画に映っている移動や物資の視察を差し引くと、「3分間」かどうかはともかく、避難所になっている教室にいた時間が数分程度なのは、間違いない。
いや、避難者からみると、もっと早く切り上げたという印象もあったようだ。高知新聞が4日付で掲載した「高知新聞の記者現地取材」の記事において、高市首相が視察した氷川中学校の避難者を取材し、こうレポートをしているのだ。
〈避難者の男性(80)は「私のいる教室に首相が来て何かあいさつしていたが、耳が遠くて聞こえんかった。10秒もいなかったと思う。自民党の宣伝でしょ」と冷めた声を漏らした。〉
岸田元首相も安倍元首相も複数の避難所を視察していたのに、高市首相は1箇所のみ
視察時間よりもっと気になるのは、高市首相が、今回、その整った避難所である氷川中学校ただ1カ所しか避難所を訪問しなかったことだ。
たとえば、岸田首相は2024年の能登半島地震の際、輪島市立輪島中学校、珠洲市立緑丘中学校の2カ所の避難所を視察している。
また、災害への関心の薄さや被災者への冷たさを再三指摘されてきた安倍晋三元首相も、2016年の熊本地震では、本震発生から1週間後の4月23日、早朝6時3分に公邸を出発し、南阿蘇村の総合福祉センターと益城町の保育所、老人ホームの計3カ所の避難所を視察している。
対して、今回、高市首相が公邸を出たのは午前9時45分で、避難所の視察は繰り返してきたように氷川中学校一カ所のみ。もう少しだけ早く出かければ、そう遠くないのだから、避難者数が多く、避難所も混雑していると言われる八代市や宇城市の避難所に足を運べたと思うのだが、高市首相はそれをしなかった。
この震災への積極性のなさは、前日の日曜日の行動からもうかがえる。
8月1日、2日は、高市首相が地震発生後に迎えた最初の週末であり、どう過ごしているかを首相動静でチェックしたところ、土曜日は、さすがに官邸で熊本地震非常災害対策本部会議などに出席していたが、日曜日はなんと、いつものごとく終日、公邸にこもりきりだったのである。
本震発生から1週間足らずで大きな余震が来る可能性もある上、しかも翌日に視察を控えているわけだから、官邸に詰めて、関係閣僚や震災、被災者支援担当部署との打ち合わせやブリーフィングを受けるのが普通だろう。
実際、岸田元首相は能登半島地震の発生から初めての週末、1月6日(土)はもちろん、7日(日)にも、官邸で林芳正、村井英樹、森屋宏、栗生俊一正副官房長官、松村祥史防災担当相、村田隆内閣危機管理監、森昌文首相補佐官、高橋謙司内閣府政策統括官、森光敬子厚生労働省危機管理・医務技術総括審議官、茂木正経済産業省商務・サービス審議官、松山泰浩資源エネルギー庁次長、国土交通省の広瀬昌由水管理・国土保全局長、丹羽克彦道路局長、石坂聡住宅局長(肩書はすべて当時のもの)と、ものすごい数の関係閣僚、担当官僚からブリーフィングを受けている。
対して公邸にこもりきりだった高市首相は誰にも会っていない。現場の担当者やそれぞれの専門家に会って、いままさに起きている地震被害の対策を考えなければならないのに、寝てないアピールの時のように「資料読み込みをしていた」とでもいうのだろうか。
いずれにしても、こういう姿を見ていると、カメラの前では「できることは全部やるつもりで参りました」と言っていた高市首相が本気で、被災者支援に取り組むつもりがあるのか、甚だ怪しくなる。
実際、高市首相のかつての言動を見ていると、安倍元首相同様、右派の特徴なのか、災害支援や救助にとんと関心がないことがよくわかる。
その点については、別稿で詳しく記事にするつもりだが、問題は、こうした空疎な実態があるにもかかわらず、高市首相や官邸はSNSなどで露骨なプロパガンダを堂々と垂れ流し続け、それが応援団の手によって拡散されていることだ。
SNSでは、こうした欺瞞について、冒頭で紹介したような「北朝鮮並み」どころか、2024年に発生した大規模災害の際の金正恩主席による視察画像を紹介した上で、「金正恩の被災地訪問の方が、高市早苗よりもはるかにマシ」と指摘するポストまで広がっている。
さすがにそこまでとは思わないが、この国が相当ヤバいことになっているのは、事実である。 (編集部)