2026年3月12日木曜日

反戦叫ぶ 国会前8000人 国際法違反のイラン攻撃 トランプ大義示せず

 米国がイスラエルと共に始めたイラン攻撃に関するしんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。

 市民団体「WE WANT OUR FUTURE」と憲法9条を壊すな!実行委員会は10日夜、国会正門前で、平和憲法を守るための緊急アクションを行いました。冷え込むなか8000人が参加しました。

 衆院予算委は10日、26年度予算案に関する公聴会を開きました。中東問題を専門とする田中浩一郎・慶大教授は、米国とイスラエルによる対イラン攻撃は「国際法上の観点から違法な軍事攻撃だ」と明言しました。

 28日にイラン南部ミナブの女子小学校が攻撃を受け、少なくとも児童ら175人が殺害された事件について、イランの「メフル通信」が8日公開した攻撃時の映像を専門家らが分析した結果、米軍の長距離巡航ミサイル「トマホーク」によるものと認定されました。米海軍横須賀基地を母港とする2隻を含む6隻のイージス艦が28日の攻撃以降、アラビア海に展開し、トマホークを発射していることがすでにわかっています

 米国がイスラエルと共に始めたイラン攻撃を巡ってトランプの発言が迷走していて、10日目になってもトランプは「大義」をまともに説明できていません。戦争は中東各地に広がり、米軍やイスラエル軍の連日の攻撃で罪のないイラン市民が犠牲になっています。
 攻撃を開始した2月28日には「4週聞かそれ以下」で終わると語っていたトランプはその直後には「4~5週間だ」と変更し、3月1~2日には「目標達成まで続く」と終了期限を区切らなくなるなど、先の見通しについては「支離滅裂」の状態です。
 米政府の情報機関が2月にまとめた報告書では、米軍がイランを大規模に攻撃しても体制転換にはつながらないという見通しを示していました。トランプ政権はこうした警告を一切無視して、何の見通しも持たないまま戦争に突っ走ったことになります。
 ロイター通信の世論調査では、イラン攻撃を支持する米国民はわずか29%で、64%がトランプ氏は軍事作戦の目的を明確に説明していないと回答。米国の軍事関与が長期化すると懸念する人は60%に上りました。
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反戦叫ぶ 国会前8000 平和憲法守るための緊急アクション
                       しんぶん赤旗 2026年3月11日 




平和憲法を守れと声をあげる人たち=10日、国会正門前








 「憲法改悪反対の意思を示したい」「平和憲法を持つ国としてイラン攻撃非難を」―。市民団体「WE WANT OUR FUTURE」と憲法9条を壊すな!実行委員会は10日夜、国会正門前で、平和憲法を守るための緊急アクションを行いました。冷え込むなか8000人(主催者発表)が参加し、ドラムのリズムに合わせて「高市(早苗)首相は憲法守れ」とコール。学者、アーティストらがスピーチしました。

 参加者は色や形がさまざまなペンライト、「今はまだギリ平和だから反戦を叫ぶよ」という光るボードを掲げてアピール。SNSで行動を知った若い人や初めて声を上げる人たちが集まり、国会周辺は熱気に包まれました。
 9条壊すな!実行委の高田健さんは「イラン・中東、ウクライナ、ガザに思いを寄せ、高市首相が戦争に加担することのないようにさせよう」と訴えました。
 X(旧ツイッター)を見て初めて参加した栃木県那須塩原市の会社員(45)は「改憲反対の意思を表明したくて来ました。憲法は戦争放棄のよりどころです。私たちの誇りとして守りたい」と話しました。
 緑に光るペンライトを持って参加した埼玉県川口市の学生(23)は「米・イスラエルを擁護したり憲法9条を変えると言ったり、高市さんは暴走していると感じます。オタクのアカウントでも政治の発言が当たり前になるよう発信したい」と語りました。
 日本共産党の小池晃書記局長、吉良よし子、山添拓両参院議員が参加しました。


国際法上違法なイラン攻撃 衆院予算委公聴会 公述人が主張
                       しんぶん赤旗 2026年3月11日
 衆院予算委員会は10日、2026年度予算案に関する公聴会を開きました。中東問題を専門とする田中浩一郎慶応義塾大学大学院教授は、米国とイスラエルによる対イラン攻撃は「国際法上の観点から違法な軍事攻撃だ」と主張しました。
 田中氏は、昨年6月イスラエルが単独でイランへの軍事攻撃を始めた際は、日本政府がイスラエルを厳しく非難した一方、今回の攻撃には一切批判していないとして、「この不整合は日本の信用を損なうことになる」と指摘。一方、イランによる周辺国への報復攻撃には自制を求めました。
 日本共産党の塩川鉄也議員は、昨年6月と今回の攻撃に対する日本政府の対応の違いと問題点について質問。田中氏は「アメリカによる攻撃が加わっていることが、法的な評価を差し控える、非難をしないことにつながっている」と分析。「日米同盟が最重要であるという一極に集中しているがゆえに、少しでもそれを危うくする環境をつくりたくないということだろう」と指摘しました。


イラン学校爆撃 児童ら大量殺害 米トマホーク濃厚 横須賀米艦関与か
                       しんぶん赤旗 2026年3月11日
 先月28日にイラン南部ミナブの女子小学校が攻撃を受け、少なくとも児童ら175人が殺害された事件を巡り、イランの準国営メディア「メフル通信」が8日公開した攻撃時の映像を専門家らが分析した結果、攻撃が米軍の長距離巡航ミサイル「トマホーク」によるものだった可能性が濃厚となっています。

 爆発物処理技術者で元米陸軍兵のトレバー・ボール氏は8日、所属する調査報道機関「ベリングキャット」のホームページで、小学校が空爆されている映像に映るミサイルと実際のトマホークの映像を比較した結果、大きな主翼を持つなどの特徴からトマホークだと認定。イランもイスラエルもトマホークを所有していないことから、同攻撃は「イラン側が行ったもの」とのトランプ米大統領の主張は矛盾するものだと否定しています。
 さらに、英BBC放送は10日、米空軍に所属していたアナリストなど3人の専門家らが映像にあるミサイルはトマホークだと結論づけたと報道。その中で、トマホークは原子力潜水艦上などから発射し、標的に正確に命中することが可能なことから、米軍が何十年にわたり展開してきた長射程ミサイルで、米軍トップのケイン統合参謀本部議長も2日、米海軍による(イラン)南部一帯攻撃として最初に空爆を行ったのはアラビア海に展開中のトマホークだと明らかにしていると伝えました。また、同小学校がイスラム革命防衛隊の海軍基地に隣接していることから、米軍が意図的に小学校を狙ったのではなく、誤射した可能性があるとも指摘しています。

 米・イスラエルによるイランへの先制攻撃には米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とする2隻を含む6隻のイージス艦が2月28日の攻撃以降、アラビア海に展開し、トマホークを発射していることがすでにわかっています。同基地所属の2隻が何らかの形で小学校攻撃に関与した可能性も排除されません。日本を拠点に子どもの大量殺戮(さつりく)という国際人道法違反の行為が行われたとすれば、許されるものではありません。


イラン攻撃 トランプ氏迷走 示せぬ大義 広がる犠牲 米国 支持3割 長期化懸念6割
                       しんぶん赤旗 2026年3月11日
 米国がイスラエルと共に始めたイラン攻撃を巡ってトランプ米大統領の発言が迷走しています。攻撃開始から10日目となる9日になってもトランプ氏は「大義」をまともに説明できていません。その一方で戦争は中東各地に広がり、米軍やイスラエル軍の連日の攻撃で罪のないイラン市民が犠牲に なっています。                 (島田峰隆)

 トランプ氏は9日、米CBSテレビで「戦争はほぼ終わったと思う。予定よりもかなり早い」と語りました。米国民の間で戦争が長期化するのではと懸念が広がっていることを受けた発言とみられます。
 ところがトランプ氏は、その後にフロリダ州で開かれた会合では、一転して戦争継続を宣言。「多くの点で勝利したが、十分ではない。最終的な勝利を達成する決意をかつてなく固めて前進する」と述べました。自身のSNSでは「もしイランがホルムズ海峡で石油の流通を妨げる行為に出たら、これまでの20倍の力で報復する」と威嚇しました。

「勝利」とは
 攻撃を開始した2月28日には「4週聞かそれ以下」で終わると語っていたトランプ氏。その直後には「4~5週間だ」と変更し、3月~2日には「目標達成まで続く」と終了期限を区切らなくなりました。ここにきて「勝利を達成するまで」と言い始めましたが、何どうなれば「勝利」なのかは詳述していません
 トランプ氏は攻撃開始直後、目的について、イランの核開発計画の阻止、ミサイル能力の破壊、体制転換などを挙げ、イラン国民に蜂起を促しました。しかし2日には「体制転換」に触れませんでした。それどころか6日になると米CNNテレビで「(イランの統治者が)宗教指
導者でも構わない」と発言するなど支離滅裂です。
 米メディアによると、イラン攻撃については、米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長や国防総省幹部らが2月下旬までに慎重な姿勢を示していました。軍需物資が不足し、同盟国の支援が期待できないことから、「米兵に重大な危険を及ぼす」と警告したといいます。
 またニューヨーク・タイムズ紙によると、米政府の情報機関が2月にまとめた報告書で、たとえ米軍がイランを大規模に攻撃しても体制転換にはつながらないという見通しを示していました。トランプ政権はこうした警告を一切無視して、何の見通しも持たないまま戦争に突っ走ったことになります。
 米国とイスラエルの攻撃でイランでは9日までに1300以上が死亡しました。170人以上の子どもが亡くなった同国南部の学校に対するミサイル攻撃は、米軍によるものだった可能性が濃厚になっています。

公約と逆行
 米国側ではこれまでに米兵7が死亡。米民間団体によると、国内のガソリン価格は攻撃開始直後と比べて約17%上昇し、今後は原油や輸入肥料の高騰で食料品価格も上がる見込みです。「物価高を終わらせる」とするトランプ氏の公約と逆行する事態です。
 ロイター通信が10日に伝えた世論調査では、イラン攻撃を支持する米国民はわずか29%です。64%がトランプ氏は軍事作戦の目的を明確に説明していないと回答。米国の軍事関与が長期化すると懸念する人は60%に上りました。

イランで米国はどうなっているのか?(賀茂川耕助氏)

 海外記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。長文の記事です。
 冒頭で「ダニング・クルーガー効果」(これは能力や知識の低い人ほど、自分の能力や判断力を過大評価するという心理現象)に触れ、「トランプ政権はその典型例で、トランプからヴァンス、ルビオ、ヘグセスに至るまで、イランとの戦争を遂行する責任を担う米国の政治指導者は無知なオレンジ色の詐欺師とその無能な取り巻きで構成されている」と書き出します。
 そして対イラン戦争では「中国はイランの勝利を支援している」として、「イランは勝つ必要はなく負けないだけでよいので、イランが勝つだろう」と述べます。
 米国とイスラエルについては「米国とユダヤ人にとって、卑劣すぎる行為など存在しない」とこき下ろします。「ガザ事件」以降、両国に対しては、そんな言い方以外には浮かびません。
 中ほどでは、キッシンジャーの警句:「アメリカの敵であることは危険だ。その友人であることは致命的」が紹介されています。
 そして結びでは、「今や米国はすでに弱体化している。これまでの介入(イラクやアフガニスタン、リビア、シリアへの)などは 米国を待ち受ける新たな災厄の前では取るに足らないものだ。最も強大な国家でさえ、戦略的に過度に拡大すれば資源枯渇と国家衰退に直面する。トランプ政権は軍事的優位性が戦略的成功に等しくないことを理解できていない」「イランが即座に湾岸全域のUSraelの資産を攻撃して報復したという事実は、指導部が死亡してもイラン国家が崩壊しないことを示している。我々が目撃しているのは、たとえ傷つき不安定化しても、一時的な軍事優位という〝偽り″に依存する侵入国家よりも、5000年の歴史を持つ文明の方がはるかに強靭だという現実なのだ」と述べます。
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イランで米国はどうなっているのか?
                  耕助のブログNo.2835 2026年3月10日
         How is going for the US in Iran?
    戦争から得た初期の教訓―米国の背信行為とユダヤ人の暴虐は敗北するだろう。
    そして中国はイランの勝利を支援している        by Hua Bin
心理学にダニング・クルーガー効果というものがある。これは能力や知識の低い人ほど、自分の能力や判断力を過大評価するという心理現象だ。トランプ政権はその典型例である。トランプからヴァンス、ルビオ、ヘグセスに至るまで、イランとの戦争を遂行する責任を担う米国の政治指導者は無知なオレンジ色の詐欺師とその無能な取り巻きで構成されている
ダニング・クルーガー効果で説明されるように、この最も愚かで最も無能な人々はイランへの奇襲攻撃を仕掛け、簡単に勝利できると思っていた。しかし、事態は彼らが望んだようには進まなかった。
進行中の軍事紛争の結果を予測することは、戦争の霧や絶え間ないプロパガンダ、誤情報の提供などによりトリッキーだ。しかし、米国とイスラエル(略してUSrael)が、主要な戦争目的であった政権交代を達成できなかったと結論づけるのは妥当だろう。
トランプとそのユダヤ人の操り手たちは偽りの交渉を隠れ蓑にした卑劣な首脳暗殺作戦がイラン国内で反乱を引き起こし、政権を転覆させると賭けていた。こうすれば短期間(トランプの当初予測では4~5日)で勝利を収め、深刻な報復を回避できるはずだった。
しかし現実の展開は、この不動産王兼「リアリティ」スターの期待とは程遠いものとなっている。イラン人は降伏しなかった。反撃したのだ。分裂して政権に反旗を翻すこともなかった。団結し、国旗のもとに結束した。
要するに、USraelはスズメバチの巣を蹴飛ばしたにすぎなかった。
USraelの支持者たちは、アヤトラ・アリ・ハメネイの暗殺とイラン都市への大規模爆撃を成功の証として祝っている。しかし、まともな観察者たちは問う:
交渉を装って86歳の癌患者を殺害することがどうしてイランの能力を低下させ、USraelの戦争目的を前進させたというのか?
―初日の「成功」以降、USraelにとって戦争はどのように進展しているのか?
―イスラエルと湾岸の手先たちにとって、これはどう機能しているのか?
―イラン人は政府打倒のために蜂起したのか、それとも復讐を求めて団結したのか?
―米国とイスラエルは、ガザで失敗したようにイランを爆撃で屈服させられるのか?

確かにイランは激しい攻撃を受けており、おそらくUSraelとその地域の従属国よりも大きな損害を被るだろう。
しかし軍事作戦の成功は、投下した爆弾の数や殺害した人数で測られるものではない。そのような尺度なら、米国はベトナム戦争に勝利したことになる。
真の勝利は政治的目標の達成度で測られる。今回のUSraelによる対イラン戦争の究極的な政治目標は政権転覆だ。イランが生き残り、USraelの戦争目的を阻む限り、イランが勝つだろう。つまり、イランは勝つ必要はなく、負けないだけでよいのだ。
戦争が湾岸諸国全体に拡大するにつれ、長期化しつつある。こうした紛争では勝利は単に痛めつける能力だけでなく、痛みを耐え抜く持久力も問われる。イランは敵に自らの破壊をもたらしつつ、攻撃を吸収する能力を示している。
この戦争から世界が学べる教訓を見てみよう。特に中国がこれまでに学んだことと、USraelが仕掛ける存亡の危機をイランが生き延びるために中国がどう支援できるかだ。
教訓
– 米国とユダヤ人にとって、卑劣すぎる行為など存在しない。
USraelは「交渉」を装い、イスラム教の聖なる月であるラマダン期間中に卑劣な攻撃を仕掛けた。昨年6月にも同様の卑劣な手段を用いた。これはUSraelが数多繰り返してきたテロリスト的「斬首」戦術の再現である。ハマスやヒズボラの交渉担当者、イラン人科学者、ベネズエラのマドゥロ大統領、そして2024年5月にヘリコプター「事故」で死亡した前イラン大統領エブラヒム・ライシに対しても同様の手口が使われた。USraelの傀儡であるウクライナが、ロシアの将軍たちに対して繰り返し用いてきた戦術と同じだ。
つい最近まで、交戦国はここまで卑劣な行為をすることはなかった。人類史上最も血なまぐさい紛争である第二次世界大戦においてさえ、これほどの規模と偽善をもって政治・軍事指導者を暗殺する重大な行為は行われなかった。しかしユダヤ国家イスラエルとその属国アメリカは、冷戦以来この卑劣な行為のパイオニアとなった。今や彼らは新たな低さに沈んだ
USraelはまた、女子校、病院、地元のカフェなど民間人を無差別に攻撃している。これはイスラエルの「ダヒヤ戦略」の大規模な実演であり、民間人に対して過剰な武力を行使し、住民に圧力をかけることを求めるものだ。
USraelの思惑に反し、ハメネイ師の暗殺や民間人虐殺は政権への反乱を煽るどころかむしろ国家を結束させ、イランを全面戦争へ動員する結果となった
―交渉は時間稼ぎと奇襲攻撃を目的とした見せかけのものだった。
トランプ政権の首席「交渉担当者」スティーブン・ウィトコフはフォックスニュースに対し、米国が「交渉」中にイランに突きつけた四つの要求を明かした――完全な非核化、弾道ミサイルの全廃、地域同盟国への支援停止、そしてイラン海軍の解体だ。
こうした最大限の要求は、イランに武装解除を強いる降伏条件に他ならない。妥協を目的としたものではなく、攻撃準備のための時間稼ぎに過ぎない。スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナー(スタッフからは親しみを込めて「シットコフ」と「ジャーヘッド」と呼ばれている)は米国の主要「交渉担当者」であり、二人とも筋金入りのシオニスト系ユダヤ人だ。彼らなら、ユダヤ人の利益ではなく米国の利益を代表するだろう。(目くばせ)。
トランプが誰をその交渉の先頭に立たせるかを見れば、米国に誠実な交渉の意思などないことは分かるはずだ。
– アメリカの裏切り:その前の帝国だった英国と同様、米国は信頼できない不誠実なならず者国家である。
「不誠実なアルビオン」のように、米国は外交において常習的な不誠実さと裏切りを見せてきた。1年も経たぬうちに、交渉を装ってイランに二度も奇襲攻撃を仕掛けた。
裏切り者の英国同様、米国は「民主主義」「人権」「地域の安定」「ルールに基づく国際秩序」「保護する権利」といった高尚な道徳的偽装の下に、陰険な外交政策を隠している。こうした高尚なプロパガンダで、イラン国民に自国政府や自国の利益に対する不安を煽っているのだ。USraelは普通のイラン人の命など全く気にかけていない。
米国はユダヤ人の駒にすぎない。尾が犬を振っているのではない。イスラエルこそが犬の頭なのだ
トランプ一味はまたもや無知なアメリカ有権者を騙す「おとり商法」を仕掛けた。MAGAはいつもMIGAなのだ。開戦から5日目にして、アメリカは既に(同盟国である)湾岸の首長国に対し防衛しないことを通告した。アメリカの防空迎撃機を投入する価値があるのはイスラエルだけだというのだ。アラブ諸国が米軍に提供している軍事基地はイランにとって格好の標的だ。いかなる巻き添え被害も、アラブ諸国自身が負わねばならない。
キッシンジャーは正しかった。アメリカの敵であることは危険だ。その「友人」であることは、もちろんイスラエルとユダヤ人を除いて、致命的
ピート・ヘグセスが要求したように、アメリカの軍人は、イスラエルが「再臨」をもたらすために喜んで死ななければならないのだ。西洋のほとんどは、米国とイスラエルの恥知らずな家臣だ。彼らの独善的な態度は、加害者ではなく、犠牲者に向けられている。予想通り、ドイツ、フランス、英国、NATO、EU、オーストラリア、カナダは再び侵略者側に立ち、被害者を非難する道を選んだ。ガザにおけるイスラエルの虐殺の時と全く同じ手口だ。
西側諸国の中でスペインだけがUSraelに反対した。スペインはガザの時も同様だった。スペインとその指導者、偉大な国民に敬意を表する。
西側諸国がUSraelを支持する姿勢と、ロシアの「理由のない」ウクライナ侵攻を非難する姿勢とを対比してみよ。西側諸国の大半は、「ルールに基づく国際秩序」においてマフィアのボスの腰巾着になることを望んでいる。イランが誇り高く死ぬ覚悟があるのに、彼らはひざまずいて生きることを選んだのだ。
西側諸国が米国に対して憤慨するのは、グリーンランド併合のように自分たちに銃口を向けられた時だけだ。
もちろん、そうした暴挙さえもすぐに忘れ去られ、許されてしまう。世界の他の地域は今や、その獣の真の性質を知った
– 西側の支配階級は、混乱し無知な国民を国内のスキャンダルや腐敗した統治からそらすため、外国での戦争に頼る。そしてそれは毎回成功する。

戦争が始まって以来、エプスタイン文書は忘れられた。ミネソタ州での移民税関捜査局(ICE)による殺害事件も、トランプの違法関税に関する最高裁判決も、誰も話題にしない。羊のような大衆は支配しやすい。ただ新しい光る物を見せればいい。
– 何より重要なのは、米イスラエルの軍事力は幻影だということだ。
ハメネイ師の陰険な暗殺や、200人近い女子生徒の虐殺という犯罪を除けばUSraelの攻撃は明らかな勝利をほとんど収めていない。イランはミサイルとドローンで報復している。イスラエルと地域の全ての傀儡国家が攻撃を受けた。イランはホルムズ海峡を封鎖した。
3月2日の朝だけでF-15E戦闘機3機が撃墜された。米国は「味方による誤射」と主張しているが、それが恥辱を和らげるかどうかは疑問だ。前回こうした「味方による誤射」が起きたのは、2024年12月にイエメンでUSSゲティスバーグF/A-18Fスーパーホーネットを撃墜した時だ。当時「世界最強の軍隊」はフーシ派と互角の戦いを繰り広げていた。たった一朝のうちに数百万ドルのジェット機3機を「味方による誤射」で撃墜するとは、金メダル級の記録だろう。
世界中の軍隊が使用する敵味方識別装置(IFF)の存在を知っている者にとって、この嘘はますます説得力を失っている。カタールのアルウデイド空軍基地に配備されていた11億ドルのAN/FPS-132改良型早期警戒レーダー(UEWR)が、1万ドルのイラン製自爆ドローンによって粉々に破壊された。アルジャジーラによれば、同地域でパトリオットとTHAADの防空システム3基が破壊された。米空母と軍艦は攻撃を受け、イランのミサイル射程圏外に数百マイル後退せざるを得なかった。
イランはクラスター爆弾搭載の弾道ミサイルを配備し、イスラエルの標的を攻撃している。ヒズボラはイスラエルに向けて複数回 ロケット弾を発射した。ソーシャルメディアの動画は、イランのミサイルとドローンの大半が防空網を突破し、テルアビブ、ドバイ、ドーハ、バーレーンの目標に命中していることを明確に示している。
有名なアイアンドーム、パトリオット、デイビッドスリング、THAADシステムは、見事に失敗した。おそらく迎撃ミサイルが不足しており、より価値のある標的のために弾薬を温存しているのだろう。地域の米軍基地の大半は閉鎖され、兵士たちは他の場所に隠れるために撤退した。米国大使館、CIA拠点、イスラエル軍・政府施設、そして米国イスラエル関係者が宿泊するホテルが攻撃を受けた。
さらに、コスト面での交換比率はUSraelにとって悲惨である。彼らは1発のイラン製ミサイルやドローンを撃墜するために、1発あたり200万~400万ドルもする迎撃ミサイルを2~3発も発射している。一方、イランのミサイルやドローンの単価は、その迎撃ミサイルの5~10%にも満たない。イランの軍事予算と戦力を比較すれば、これまでの戦況は明らかにイランに有利だ。
イランの2025年軍事予算は79億ドルで、シンガポールの170億ドルの半分以下だ。一方イスラエルは米国の援助に加え、年間470億ドルを支出している。サウジアラビアの軍事費は800億ドル、米国は9000億ドルを超える。湾岸アラブ諸国のほとんどがイランを上回る支出をしている
しかしイランは、USraelによる攻撃に耐えただけでなく、地域全体と対峙している。USraelの誇られる軍事力は、弱い相手に対して決定的な一撃を与えられていない。むしろイランは激しく反撃しているのだ。
どちらが優勢かはまだ判断できないが、この戦争が4、5日以上続くと見られるのは明らかだ。一昨日、トランプは期間を4、5週間に修正した。
昨日、トランプはUSraelが弾薬不足に陥っているという報道を激怒して否定し、米国には「永遠に戦い続けられる」武器があると主張した。今度は新たな「永遠の戦争」になるのか?こうした状況にぴったりの中国の古い諺がある。「此地无银三百两」(見ないでくれ、ここに銀は埋まっていない)だ。
中国のイラン支援の在り方
昨年6月、イランが12日間戦争で攻撃された際、私は中東紛争に対する中国の視座について論じた。(No. 2588 イラン・イスラエル戦争において中国が果たすべき役割)
私よりはるかに賢く情報通な多くの中国戦略家が、今まさにこの問題に取り組んでいる。私は彼らが、進行中の危機において中国の国益を守る正しい行動方針を見出すと確信している。
北京の立場はほぼ変わらないが、今回は中国がイランを支援し、USraelに抵抗させ、彼らの戦争目的を挫く必要性が高まっている。主な違いは、12日戦争が主にイランの核能力をめぐるものだったのに対し、現在のUSraelによる侵略の目的は政権交代にある点だ。
イランは中国が描く多極化世界秩序における重要な拠点である。同時に、世界のエネルギー安全保障が依存する地政学的に重要な地域に位置している。公式声明、シンクタンク分析、ソーシャルメディア上の論評を総合すると、北京の戦争に対する立場はいくつかの柱で固まりつつあるようだ。
第一に中国はイランに対し継続的な外交的・経済的支援を提供する。イラン経済の約20%は中国との貿易に依存しており、中国は西側諸国による制裁やドル規制を回避する手段もイランに提供している。
第二に中国はイランとの情報共有を深化させ、重要技術の供給を進めている。ミザールビジョンなどの中国企業は、中東における米軍展開の高解像度衛星画像を提供・公開してきた。北京はイランに北斗衛星測位システムを提供した。米国がGPSシステムのように北斗信号を遮断・妨害できないため、イランのミサイル攻撃精度は大幅に向上した。
宇宙空間からの情報収集はハイテク戦争における重要な拠点であり、大半の国家には手の届かない領域だ。こうした支援はイランの攻撃能力に飛躍的な向上をもたらしうる。中国はイランのミサイル及びドローン生産向け部品供給を加速しており、弾道ミサイル用推進燃料も含まれる。中国はさらにAI搭載監視技術を供与し、イラン治安部隊が国内の潜入工作員を特定・拘束するのを支援している。
北京は従来、戦争中の国(ロシアを含む)に実戦兵器を供給しない姿勢を取ってきたが、イランとの軍事協力を加速させており、将来的には防御・攻撃両方の兵器を移転する可能性が高い。
第三に米国は「張り子の虎」だ。威圧的な姿勢とは裏腹に、大規模な犠牲を伴う長期戦を物理的に遂行できない。米国の軍事産業複合体は、金融化された経済の他の部分と同様の問題を抱えている。戦争に勝利するための規模とコストで兵器を供給するよう最適化されていない。利益最大化のために最適化されているのだ。
米軍産複合体(MIC)は、大規模紛争への耐性を達成するためではなく、資本利益率を最大化するために、ジャストインタイムの効率性とゼロの増強余力によって駆動されている。米国の兵器庫にあるハイテクで過剰設計された兵器は容易に枯渇し、一度消耗すれば補充はほぼ不可能だ。イランとのわずか5日間の高強度紛争で、その脆弱性が露呈している。
米国は、尽きることのない産業能力(「過剰生産能力」と西側が呼ぶもの)と国家的な回復力を備えた中国との消耗戦を、単純に遂行できないのだ。米国に対する優位性を拡大し続ける中国は、米国の力の必然的な衰退と崩壊を待つための長期戦略と戦略的忍耐力を、余裕を持って実行できる
第四に、北京は中東政治の泥沼を航行する際に慎重さが必要であることを痛感している。この戦争は、湾岸諸国の君主たちが依然として米国とイスラエルの従属国であることを示した。ワシントン・ポスト紙によれば、モハメッド・ビン・サルマンはトランプにイラン攻撃を強く働きかけていた。これは、2023年に北京が仲介したイランとサウジアラビアの和解にもかかわらずのことである。明らかに、シェイクたちは信頼できない。
トルコのエルドアン大統領は、ガザにおけるイスラエルの虐殺を公に非難しながら、イスラエルに石油という生命線を供給している、二面性のある人物だ。彼は、シリアでユダヤ人と密かに結託してバッシャール・アサド大統領を転覆させ、ロシアを裏切った。中東は、石油とガスが枯渇するか、中国が推進するグリーンエネルギー革命の結果として重要性を失うと、再びラクダの土地に戻るだろう。
現時点で中国は、戦略的備蓄と中東依存からの脱却(ロシア・ブラジル・アンゴラなどへの供給源多様化)によってエネルギー脆弱性を管理している。
第五に、イラン戦争はペルシャ湾の米軍基地が戦略的資産ではなく、負債であり格好の標的であることを証明した。もしイランがミサイルとドローンの集中攻撃でこれらの基地防衛を突破できるなら、中国は第一列島線にある米軍基地をはるかに大規模な集中攻撃で打撃できる。米国の防空戦略は、高速飽和攻撃に対して技術的にも財政的にも持続不可能だ。
日本、韓国、フィリピンなど米軍を駐留させている国々は、背中に的を背負った標的だ。米軍基地を置く湾岸諸国と同じ運命を辿るだろう。
最後に、北京は米国の背信行為を完全に認識している。米国は信頼に値しないならず者国家である。イランに対する無挑発戦争を開始した米国は、空軍力の行使によって5000年の歴史を持つ文明の文化的・政治的軌道を根本的に変えられると信じる、干渉者として行動している。しかも「交渉」を口実に戦争を開始した――これは「野蛮」国家の所業である。
明らかに米国は、覇権的支配を追求するためなら地域全体の不安定化をも厭わない。権力が正当性の代わりになると信じている国だ。米国の行動は中小国への明白な警告となる。国際法さえも無視してイラン(中東最大の人口を抱える国)のような重要国家の指導部を排除できるなら、いかなる国家の主権も真に安全ではないと。米国を超えて西側諸国全体が批判的で不誠実な役者である。USraelによるイランへの違法な戦争を支持しながら、ロシアのウクライナ侵攻を「理由のない戦争」と非難する西側の姿勢は、醜い二重基準とUSraelへの完全な従属を露呈している。
中国の古い諺に「国は大きくとも好戦を好めば必ず滅びる。天下は平穏でも戦いを忘れれば必ず危うくなる」とある。西欧にも同様の諺がある。「剣で生きる者は剣で死ぬ」「風を蒔く者は旋風を刈り取る」といったものだ。
米国の好戦的姿勢は、結局はブーメランのように跳ね返って自国を傷つけるだろう。
北京は、戦争は始めやすいが止めるのは難しいことを理解している。米国が自ら仕掛けた熊の罠にまたもや足を踏み入れるのを見て、北京は満足している。戦略的忍耐を発揮することで、北京はワシントンの避けられない崩壊を待っているのだ。
我々が今日目撃しているもの
世界的な権力の絶頂期にあった米国は、過去20年間の軍事介入で数兆ドルを費やし、数百万の民間人犠牲者を出した。これらの介入は意図した地政学的目標を全く達成できず、米国の強さと正当性を著しく弱体化させた。
今や米国はすでに弱体化している。これまでの介入など、イランがイラクやアフガニスタン、リビア、シリアよりもはるかに強力であることから、米国を待ち受ける新たな災厄の前では取るに足らないものだ。
諺が警告するように、最も強大な国家でさえ、戦略的に過度に拡大すれば資源枯渇と国家衰退に直面する
トランプ政権は前任者たちと同様、軍事的優位性が戦略的成功に等しくないことを理解できていない。
「エピック・フューリー作戦」により、米国は「ルールに基づく秩序」という見せかけを捨てた。今や公然と覇権国家として、シオニスト系ユダヤ人のために武力を行使し、古い文明を再構築しようとしている。
イランが即座に湾岸全域のUSraelの資産を攻撃して報復したという事実は、指導部が死亡してもイラン国家が崩壊しないことを示している。
我々が目撃しているのは、たとえ傷つき不安定化しても、一時的な軍事優位という「偽り」に依存する侵入国家よりも、5000年の歴史を持つ文明の方がはるかに強靭だという現実なのだ。
 速報:トランプ大統領はイランに対し、自らが「アメリカ最強の兵器」と呼ぶものを解き放つと脅した。イランが降伏を拒めば、次期大統領として就任し、その国を完全に破壊すると述べた。

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https://huabinoliver.substack.com/p/how-is-going-for-the-us-in-iran

サンデーモーニングでイラン攻撃に至る事実経緯を歪めて伝えた小谷哲男の解説

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 同氏は、対イラン戦争ではトランプが期待した展開になっていないとするとともに、あれだけ拙速に国際法違反の攻撃を始めたのは、当面の「エプスタイン文書の醜聞」から世間の関心をそらすためだったと見ていますが、戦争自体はいずれは米国陸軍による地上作戦か、イラン現体制に対する白旗(攻撃中止撤退)かのどちらかを選ばなくてはいけなくなると見ています。既に中間選挙の予備選も始まっているというのにどうするのでしょうか。
 そしてイランの体制を転覆して液状化させたは、ネタニヤフは間髪を入れずにトルコ攻略に動くだろうと予想し、相変わらずネタニヤフにべったりトランプも、イスラエルのトルコ攻略に手を貸すはずだと見ています

 そんな無法のコンビをあたかも是認している日本の学者やコメンテータは情けない存在というしかありません。世に倦む日々は、TVのコメンテーター役を演じている「小谷哲男の説明は〝アメリカ側から″の攻撃開始に至る経緯の説明であり、アメリカの情報戦を含む虚偽を交えた分析と総括である。小谷哲男はそういう役割と立場を持った〝専門家″なので、公平中立が前提的に期待されるサンデーモーニングの方で、小谷哲男の説明に対して何のチェックもなく素通りさせてしまうと、それが客観的真実に化け、イラン攻撃の経緯・内幕の正しい認識として情報提供されてしまう」と批判します。
 それはその通りなのですが、かつて同番組は安倍政権時代に政府の圧力を受けて、強引なメンバーチェンジを行った歴史を持っているので、その責めを司会者(膳場貴子)一人に負わせるのは酷なことに思われます。
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サンデーモーニングでイラン攻撃に至る事実経緯を歪めて伝えた小谷哲男の解説
                       世に倦む日日 2026年3月10日
アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃の開始から10日が経った。一週間後の 3/7 の時点で、イラン側の死者は1332人に上っている。トランプが4-5週間と言っていた作戦は2週目に入り、ホルムズ海峡は事実上封鎖され、NYの原油先物は一時100ドルを突破した。アメリカの最新の世論調査(PBS)では、54%がイラン攻撃に反対、36%が支持の結果になっている。トランプが期待したところの、イラン民衆による体制転覆の蜂起は起きてない。3/9、暗殺されたハメネイの次男のモジタバがイランの新指導者に選出された。戦況は、騙し討ちの攻撃を受けたイランが、さらに一方的・継続的な猛空爆を受け、ミサイルや海空軍の戦力を失い続けていて、表面上はアメリカ・イスラエルの作戦計画が思いどおりに遂行されている。米似⇒似はイスラエルの略称)が目論見どおりの戦果を挙げている。だが戦局を俯瞰して見ると、事態はそうではなく、むしろトランプの方に不利に展開している

3/8、アメリカの国家情報会議がイラン攻撃の一週間前に、米軍の大規模攻撃ではイランの体制を打倒するのは困難だという報告書を纏めていたという報道が出た。無論、報告書は大統領の指示で作成するもので、トランプの目に入ってないはずがない。トランプとネタニヤフの間で斬首作戦の計画が煮詰まっていたため、CIAと軍の方にも分析をさせたのだろう。体制転覆は困難だと報告が上がっていたにもかかわらず、トランプはネタニヤフの要請に応じてイラン攻撃を決定した。トランプにはそうせざるを得ない理由と動機があったからであり、それはエプスタイン文書の醜聞だ。トランプが当時10代前半だった少女を性的暴行した疑惑があり、その資料の公開に迫られていたため、世間の関心を逸らす目的でネタニヤフの誘いに乗ったのである。つまり、トランプは安保上の明確な目標があってイラン攻撃に出たのではなく、主導者のネタニヤフに追随し、尻馬に乗って作戦を決行させたのだ

アメリカが侵略戦争を始めると、通常は国内で大統領の支持率が上がる。トランプはその一石二鳥の効果も狙ったのだろう。イランの体制転覆は求めないと従来から言っていたトランプが、急に開戦を告げる演説で体制転覆が戦争の目的だと言い、イラン民衆に呼応と蜂起を求めたのは意外だったが、その口上はネタニヤフの口移しに他ならない。今回の戦争の参謀本部はイスラエルにあり、米軍(統参本部・国防総省)にはない。CIAは二股をかけていて、この報告書の件をマスコミに出したのも、アメリカ世論に対するエクスキューズ⇒弁明)の意味で、イスラエルに責任転嫁する意図からだろう。戦争継続中の現在も参謀本部はイスラエルにあり、ネタニヤフとモサド・CIAが情報分析と戦略立案の核になっている。トランプはそこから奏上を受けて指令を下しているだけだ。トランプには軍事の知識がまるでなく、イランの内情や政治構造も理解できてない。無知だからネタニヤフが操るままに踊っている

イスラエルの思惑は、そのままアメリカに地上軍派遣に踏み込ませることであり、イラク戦争と同じパターンで首都に進撃させ、テヘランを陥落させて傀儡政権樹立へ運ぶことだ。イラク戦争を再現させ、米軍を駐留させ、イラクのコピーをイランに作ることだ。親米親欧親似の自由民主体制の新イランなどどうでもよく、イラン辺境部を少数民族が蚕食的に支配し、内部が絶えず内戦で消耗するところの、シリア的なアモルフ⇒流動的な)な液状国家にすることが理想ある。イランから民族的国家的主体性を失わせ、無秩序で無抵抗で極貧の混沌世界に変えることが目標だ。トランプには戦略がなく、ただ中間選挙の体面だけが目的で、それを得るべくずるずると攻撃と挑発を続けているだけだから、一か月後には戦争から抜け出せなくなり、ネタニヤフの計略どおり地上部隊投入を決断せざるを得なくなるだろう。地上作戦か、イラン現体制に対する白旗(攻撃中止撤退)か、トランプはどちらかを選ばなくてはいけなくなる

関連して、テレビに出ずっぱりの田中浩一郎が、イスラエルへの言及で、イランを潰して液状化に成功した後は、次はトルコを標的にして潰しにかかるだろうと指摘した点に注意を向ける必要がある。イスラエルの政権内では公然と論じられているらしい。実際、イスラエル側がそうした野心を隠してない兆候を裏付ける報道も昨年散見されていた。イランが潰されると、中東地域でイスラエルに正論の批判を言う(実力のある)国はトルコ以外になくなる。現在のところ、及び腰ながらもエルドアンが国際社会の秩序の原理原則を言い、イスラエルに対して勇気を出して立ちはだかる砦になっている。NATO加盟国だからそれが可能という条件もあるかもしれない。イスラエルにとっては邪魔で目の上のたん瘤に違いなく、早くイランのように屠って廃墟化したいだろう。イスラエルは中東に自らと対立的な国の生存を許さず、国際社会のルールの遵守を求めて対峙する国の存在を許さないのである。イスラエルのルールは旧約聖書以外にない

おそらく、イランの体制を転覆して液状化に成功した後は、ネタニヤフは間髪を置かずトルコ攻略に動くだろう。エルドアン暗殺を狙い、モサドがCIAと連携してカラー革命の工作を敷き、西側のマスコミでトルコを権威主義国家だと悪罵するプロパガンダを撒くだろう。エルドアンを悪の独裁者に仕立て、ハマス(テロリスト)を庇護したと難癖をつけ、偽旗を仕掛けて軍事攻撃の口実を作るだろう。EU側はそれに反対する姿勢で臨むだろうが、特に強い態度で制止に出るわけでもなく、アメリカ(トランプ)は相変わらずネタニヤフにべったりで、イスラエルのトルコ攻略に手を貸すはずだ。何か新しい理屈を言い立て、米軍をトルコ攻撃に参加させるだろう。おそらく、モサドはトルコのクルド人勢力の調略を進めていて、軍事攻撃と同時にトルコ西部で蜂起騒擾という計画を準備しているに違いない。突拍子もない想像に見えるが、イスラエルにとっては真剣で当然の国家安保戦略であり、必須の将来構想であり、トルコをこのまま放置する図はないのだ

イスラエルがイランの次にトルコを攻撃して潰しにかかる絵は見えている。そして、今の世界情勢と米トランプ政権の実情を見たとき、それがきわめて容易で、可視的な近未来だという懸念も分かる。が、実はこれでは終わらない。誰も未だ言挙げせず、誰も想像に及んでないが、トルコを破壊し蹂躙した後は、次はイスラエルはサウジアラビアを狙うのである。まさかと誰もが仰天するだろうし、アメリカとサウジの結びつきを考えれば、現在は荒唐無稽な空想だろう。だが、イランが潰れて液状化し、トルコが潰れて液状化した中東の地平に残るのは、イスラエル帝国とサウジアラビア王国の二つだけだ。イスラエルには大イスラエルの思想がある。サウジが軍事的に強大化し、ITなど先端技術の経済立国で成長する前途はイスラエルにとって脅威だ。イランやトルコよりも近い場所で、そのようなアラブの大国が出現して大きな影響力を持つ図を容認するはずがない。当然、イランと同様、国際社会から孤立化させる道に導き最後には軍事攻撃で崩壊させる手に出るだろう

さて、日本のマスコミとそこに出演する親米専門家たちは、事実を不当に捻じ曲げて伝えていて、アメリカがイラン攻撃を正当化する論理をば、恰も正確で中立な認識のように仕立てて言説を撒いている3/8 のサンデーモーニングで解説に出た小谷哲男は、アメリカがなぜ軍事攻撃に踏み切ったかという理由説明の部分で、アメリカとイランの核協議が「事実上イランに全面降伏しろという内容だったので、実際には交渉と呼べるものではなかった」と述べた。両国の核交渉が決裂したように説明し、軍事衝突は必然だったという理解と印象に視聴者を導いた。実際の経過は全く違う軍事攻撃の圧力の下、戦争を回避するべくイランはアメリカの要求に柔軟に応じ、濃縮ウランの備蓄をゼロにする妥協案を返している。これはオバマでさえ獲得できなかった満額回答で、トランプにとって成果として米国世論にアピールできる外交結果だった。その提案が来たから、ウィトコフとクシュナーも交渉を決裂させず(形の上では)、3/2 に次回交渉という日程の合意ができていたのである

普通に考えて、濃縮ウランの備蓄ゼロというイラン側の妥協を決断できるのは、最高指導者のハメネイ以外にいない。ところが小谷哲男は、その続きの説明で「ハメネイ師というイランの核開発放棄における最大の障害を取り除いた」と言い、ハメネイ暗殺作戦の正当性を根拠づけた。日本のマスコミ報道では、イランが濃縮ウランの備蓄ゼロを最終提案したという、オマーン外相が証言している交渉事実が全く紹介されない。日本と西側諸国では、ハメネイはイラン核開発に妄執する黒幕という悪評で固まっている。だが、長くイラン情勢を見てきて観想し確信するのは、ハメネイは一貫して核武装に否定的で、アフマディネジャドなど強硬派を抑える位置に立っていたという指導者像だ。穏健派というより聖職頂点の国家元首としてバランスをとってきたと言うべきだろうか。青年期からの哲学思想がヒロシマ・ナガサキを忌む(その意味では素朴な)反核平和主義だったのだろう。ハメネイはホメイニとは対照的な個性の弱い、押し出しの弱い、神輿に最適なイラン体制の指導者だった

小谷哲男の説明は、アメリカ側からの攻撃開始に至る経緯説明であり、すなわち、アメリカの情報戦(ウソを塗したこじつけ)を含む分析と総括である。小谷哲男はそういう役割と立場を持った”専門家”なので、本人はそのエクスキューズができるし、その意味では、本人の責任は半分は阻却可能だろう。問題は、公平中立が前提的に期待されるサンデーモーニングの方である。TBSの看板として信頼性の高い報道番組の放送で、小谷哲男がかく説明し、それに対して何のチェックもなく素通りさせてしまうと、小谷哲男のナラティブが客観的真実に化け、イラン攻撃の経緯・内幕の正しい認識として情報提供されてしまう。イランとアメリカの核協議が決裂していたという認識になり、ハメネイが核開発に執着する悪魔軍団の頭目だったという認識になる。どちらも誤りだ。誤りだが、番組のブランド力で通念化してしまう。サンデーモーニングでこの問題をどう解説するか、視聴者は関心を持って注目していた。NHK以上に信頼度が高く、この番組での整理と言説が日本の標準になる

最高指導者がハメネイでなければ、イランはとっくに核実験まで進んでいただろう。ミアシャイマーも同意見を言っている。今回の小谷哲男の件はデマゴギーだと批判されて当然だが、責任はサンデーモーニングの番組側にある。率直に責任者を指さすなら、膳場貴子が最初からこの小谷哲男のストーリーで頷いて経緯概要を纏め、差配がされ、スタッフの手で構成と編集がされたのだろうと推測する。膳場貴子の頭の中に、ハメネイはイラン核武装を主導した悪の巨魁であり、核に固執したから暗殺と攻撃という因果応報を受けたのだと短絡する思考回路の基礎があるのではないか。アメリカと対立するイランは、自由と民主主義を否定する悪しき権威主義国家だと決めつけるナイーブな固定観念があり、国際社会から排斥されてもやむを得ないとつき離す視線があるように窺われる。長い時間かけてCIAの工作で醸成されてきたイランとハメネイの悪性表象を、膳場貴子も鵜呑みにしており、アメリカを絶対視するリベラリズムの正義に依り、価値判断自由なジャーナリズムの立地を得られないのだろう

そこにはまた、ジェンダー主義の問題が介在しているに違いないが、紙幅もないのでその考察は次回以降にしたい。誰もその急所に触れないのは、公共空間に禁忌と思想拘束の掟があり、迂闊に言論の自由を行使して糾弾の目に遭うのが恐怖だからだろう