2019年3月20日水曜日

平成は大転落の時代 日本経済をダメにした首相は誰か

 新元号の発表まで10日あまりとなりました
 平成元年には日本経済は頂点を極め、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称され、世界の時価総額ランキング上位10社のうち7社が日本企業でした
 それが平成30年には、日本で時価総額トップのトヨタ自動車が、ようやく44位にランクインするありさまで、平成30年の国際競争力は25となりました。
 
 日刊ゲンダイが、「平成は大転落の時代 日本経済をダメにした戦犯首相は誰か」という記事を掲げました。
 
 日本経済の低迷を決定づけたのは、平成13年(01年)に登場した小泉竹中政権の構造改革でした。小泉氏は「郵政民営化」を叫んで登場しましたが、それ以外の政策は不明で、政策の実務面は主に特命担当大臣(経済財政金融担当)の竹中氏に任せていました。
 アメリカで新自由主義を学んだ竹中氏は「規制緩和」・「構造改革」を行いました。日本経済の中堅を担っていた中産階級はそれによって切り崩され、一方で派遣社員が大々的に増やされました。こうして良かれ悪しかれ、終身雇用制をベースにした労働者経営側株主三位一体という日本の企業風土は破壊され、短期的な利益を重視する米国式企業経営が是とされるようになりました。格差拡大する一方でした。
 
 規制緩和によって外資が次々と主要な会社の株主におさまると、社員のいだお金の大半は配当に回され、労働者には分配されなくなりました。そして非正規路労働者が増え、中産階級が少数となって雇用面での不安定さが現実化すると、国民はカネを使わなくなりデフレに陥りました。
 経済アナリスト菊池英博氏「小泉・竹中構造改革路線を端緒に、新自由主義が日本の社会基盤を壊してしまった。それが平成という時代の核心」と述べています。
 
 小泉氏はいまは政界を去って、原発推進政策が誤りだったという反省の下に「脱原発」を主張していますが、竹中氏に行わせた「構造改革」への反省の言はまったく聞かれません。その辺が小泉氏の限界なのでしょう。
 一方、人材派遣会社の会長におさまった竹中氏は、現在も政府委員の要職に就いて、労働者からの搾取を中心とする企業本位の政策の推進に腐心しています。
 
 その後国民は、小沢一郎氏が実質的なリーダーとなっていた民主党政権誕生させましたが、メディアと司法を巻き込んだ体制側の策動で、たちまち鳩山・小沢内閣は瓦解させられました。そのあとに出来た菅政権と野田政権は共に財務省の傀儡であって、消費税増税を言い出した結果国民の信頼を失い、再び自民・公明政権に振り子を戻してしまいました。
 
 さて安倍政権ですが、アベノミクスは当初から収拾させるための出口政策(の立てよう)がないと批判されていましたが、いよいよ破綻の気配が濃厚になりました。これこそは平成最大の問題とされるべきことです。
 それにもかかわらず安倍首相はいまもひたすら米国のご機嫌伺いに徹し、戦争法の成立に引き続いて軍事費をいずれ10兆円に増やす方針を決め、いまはまったく無用の米兵器の爆買いに励んでいます。
 
 アベノミクスの破綻に関しては別の記事に譲ります。 
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平成は大転落の時代 日本経済をダメにした戦犯首相は誰か
日刊ゲンダイ 2019年3月19日
(阿修羅 文字起こしより転載)
 新元号の発表まで10日あまり。終わりつつある平成という時代を振り返った時に、この30年での国民生活の変わりよう、その疲弊には愕然としてしまう。
「24時間戦えますか」のキャッチフレーズに世のビジネスマンが鼓舞された平成元年はバブルの真っただ中。日本には活気があふれていた。会社のため、家族のため、寸暇を惜しんで働けたのは、未来を信じられたからだ。リストラの不安に怯えることもない。今年より来年は確実に給料が上がる。高級品が飛ぶように売れ、消費も盛んだった。
 日本経済は頂点を極め、企業も「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を疑う余地はなかった。平成元年の世界の時価総額ランキングを見ると、上位10社のうち7社が日本企業だ。それが平成30年には、日本で時価総額トップのトヨタ自動車が、ようやく44位にランクインするありさまである。
 平成とは災害の時代だったという見方がある。同時に、平成は日本経済没落の歴史ではなかったか。
 
 安倍首相は空前の好景気を喧伝するが、庶民の給料は上がらず、消費を控え、ひたすら老後の生活の心配をしなければならない。低賃金で結婚できない若者が増え、少子化にも拍車がかかる一方だ。平成の年を重ねるにつれ、未来に希望が持てなくなった。まったく、何という時代にしてくれたのだと絶望的な気分になってくる。
 
■日本経済のシェアは3分の1に
 経済評論家の森永卓郎氏は、NHKのインタビューで「平成は『転落と格差』の30年だった」と、こう語っていた。
「日本の世界に対するGDPのシェア、日本経済が世界のどれだけの割合を占めているのかっていうのは、例えば1995年は18%だったんです。それが直近では6%まで落ちた。つまり日本経済の世界でのシェアが20年余りで3分の1に転落したんです」
「ジワジワ来たので、みんなあんまり感じてないかもしれないんですけれども、その世界シェアっていう面で見ると、とてつもない大転落を日本経済が起こしてしまったっていうこの30年の歴史なんだと思います」
日本の会社が海外あるいはハゲタカのものになって、しかもそこで稼ぐお金を全部ハゲタカが持っていって労働者に分配しない。この構造の中で一気に大転落が起きて、その結果、なにが起こったかっていうと、とてつもない格差の拡大っていうのがこの平成の間に起こったんだと私は見ています」
 
 日本経済の没落を如実に表すのが、国際競争力の低下だ。日本は平成元年からの数年間、世界1位の競争力を誇っていた。山一証券が破綻し、金融危機に襲われた平成9年、前年の4位から17位に急落すると、そのままズルズルと低迷を続け、再浮上はかなわなかった。平成30年の国際競争力は25位だ。
「平成のはじめにバブルが崩壊し、銀行の不良債権処理に手間取ったことで、苦しい状況がしばらく続いた。その後、適切な経済・雇用政策を取っていれば、日本経済が再浮上する可能性もあったのですが、小泉政権の構造改革が日本経済の低迷を決定づけました。派遣社員を増やすなど、雇用のあり方を根本的に変えてしまったのです。雇用面でのセキュリティーが脅かされた国民はカネを使わなくなり、デフレマインドが蔓延していきます」(経済アナリスト・斎藤満氏)
 構造改革で中産階級は切り崩され、その結果が格差の拡大だ。日本で貧困が社会問題になるとは、平成元年に誰が予想しただろうか。 
 
新自由主義が日本の社会基盤を破壊し格差を広げた 
「平成の途中まで、日本企業は従業員を大切にし、働く側も会社に対するロイヤルティーがあった。それが小泉構造改革で短期的な利益を重視する米国式の経営に変えられ、企業を儲けさせることが第一で、人件費もコスト扱いされるようになって、労働者と経営側、株主の三位一体のバランスが壊れてしまったのです。ソニーのウォークマンのような画期的な技術が生まれなくなったのも、こうした雇用環境の変化と無縁ではありません」(斎藤満氏=前出)
 そのソニーの出井伸之元CEOは、朝日新聞のインタビューで平成をこう振り返っていた。
「日本が凍りつくぐらいの北風が吹いた時代でした」
「サッカーに例えれば、『バブル崩壊でオウンゴールをしている間にIT革命が起き、米国や中国にどんどん点を入れられ、気付いたら4対0で負けていた』という状況でした」
 
 平成初頭には庶民にも海外旅行が広がった。強い日本の「円」の力で、東南アジアの発展途上国に行けばお大尽気分を味わえたものだ。いま、日本は外国人観光客が増えているが、それは格安で楽しめる国になっているからだ。すっかり逆転現象が起きている。
小泉・竹中構造改革路線を端緒に、日本の富がどんどん米国に吸い上げられる仕組みができ、日本国民は収奪されて貧しくなる一方です。かつては労働者に分配されていた企業の利益が、株主配当と経営者の高額報酬に回される。外資ファンドは企業や従業員がどうなろうと知ったことじゃない。新自由主義が日本の社会基盤を壊してしまったことが、平成という時代の核心だと思います」(経済アナリスト・菊池英博氏) 
 
■経済も気分も沈下した「鬱の時代」
 先月亡くなった作家の堺屋太一氏は、平成9年から新聞連載を開始した小説「平成三十年」で、年間出生数100万人割れや年金支給年齢の引き上げ、地方の衰退などの現状を“予言”していたことが話題になった。それらの課題に向き合わず、まやかしの改革で、その場だけごまかして先送りしてきたのが歴代政権だ。そのツケを次代が負わされる。
米国追従で、小泉政権に輪をかけてひどい新自由主義で庶民を痛めつけ、貧富の差を拡大させている安倍首相が政権を維持していられるのも、野党が弱すぎるからです。小泉構造改革に代表される自民党のデタラメに国民が気づいて、民主党政権が誕生したのに、菅政権と野田政権が消費税増税を言い出して、国民の信頼を失った。それが今も尾を引いて、野党は支持されず、安倍1強を許しているのです。それで平成の終わりに、暮らし向きがよくならない鬱憤や先行き不安のはけ口として、排他的ナショナリズムが台頭してきた。殺伐として危うい社会になっていると感じます」(菊池英博氏=前出)
 
 ノンフィクション作家の梯久美子氏は日経新聞のインタビューで、「平成は経済的な落ち込みが続いただけでなく、人々の気分が沈下し、停滞し続けた『鬱の時代』でもあった」と語っていた。
平成の大転落は、自民党清和会の森政権から小泉、安倍政権という流れで決まった日本を外資に売り渡し、国民生活をめちゃくちゃにした彼らの責任は重大です。それを明確にし、糾弾しないと次の時代も同じ低迷を続けることになる。極悪人首相がのうのうと居座っていられることがおかしいのです。国民の立場から政策を遂行する内閣を樹立しなければならない。時代の区切りとして粛清が必要です」(政治評論家・本澤二郎氏)
 
 新しい時代に希望を持てるかどうかは、国民がどういう政治を選ぶのかにかかっている。

“玉砕”なのにひた隠し 大本営発表と化した日銀の国民騙し

 景気が急速に悪化し、経済指標は少なくとも6カ月~9カ月先まで、さらに悪化することを示しているということです。経済指標だけでな輸出も、消費も、急速に落ち込みはじめ訪日客鈍化し、春闘も低調でした
 景気後退局面に入った可能性が高く、もはやアベノミクスが失敗に終わったことは明らかです。政権側のメディアである日経新聞までアベノミクスに懐疑的な論調を載せはじめました。
 それなのに政府も日銀も、いまだに「景気の拡大基調はつづいている」と言い張っていて、日銀の黒田総裁15日、「設備投資は順調」「消費も堅調に推移している」「所得と支出の好循環がつづくシナリオは変わっていない」と述べました。正に戦前の大本営発表そのものです。
 
 日刊ゲンダイが「“玉砕”なのにひた隠し 大本営発表と化した日銀の国民騙し」とする記事を掲げました。
 
 アベノミクス失敗に終わ景気急速に悪化していることを、政府も日銀も分からない筈がありません。アベノミクスの失敗を認めて異次元緩和をやめれば、国債も株価も暴落し日銀は債務超過に陥るので動きが取れないのでしょうが、このままアベノミクスを続ければどんどん傷を広げるだけで、いずれ破綻して未曽有の経済危機を引き起こすことになります。
 もともと異次元緩和が最終段階でそうした事態に至ることは、当初から識者たちが指摘していたことです。安倍政権はそれを覚悟の上で踏み込んだ筈であり、そうでないのであれば驚くべき無能集団です。
 いずれにしても今更それが怖くて動きが取れないなどとは許されないことです。
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“玉砕”なのにひた隠し 大本営発表と化した日銀の国民騙し
 日刊ゲンダイ 2019年3月18日
 (阿修羅文字起こしより転載)
 予想されたことだが、足元の景気が急速に悪化している。先週発表された経済指標は軒並み落ち込んでいた。
 大企業の1~3月期の景況判断指数は、マイナス1.7と3四半期ぶりのマイナス。前回調査の10~12月期はプラス4.3だったのに、いきなり6ポイントのダウンである。
 
 1月の機械受注も、前月比5.4%のダウンだった。マイナスは3カ月連続。減少幅は市場の事前予測(1.7%ダウン)を大幅に上回ってしまった。景気の牽引役だった設備投資がガクンと落ち込んでいる形である。機械受注は、6カ月~9カ月先を示す先行指標とされるだけに、これから景気はさらに悪化する恐れが強い
 7日に発表された1月の景気動向指数も3カ月連続で悪化し、基調判断も「足踏み」から「下方への局面変化」へ下方修正されている。景気は後退局面に入った可能性が高いということだ。
 
 もはや、アベノミクスが失敗に終わったことは明らかだ。とうとう、日経新聞までアベノミクスに懐疑的な論調を載せはじめている。16日の1面トップ記事は衝撃的だった。「マイナス金利 経済冷やす?」の見出しをつけ、日銀の異次元緩和に疑問符をつけているのである。
<中央銀行が経済を刺激するために政策金利を0%未満にする「マイナス金利政策」に世界の有力な学者やエコノミストが疑問を投げかけている。導入した欧州と日本で経済の回復が弱いうえに、金融緩和として物価を上げる効果すら疑う説が出てきたためだ>と、異次元緩和を切り捨てているのだ。
 さらに、マイナス金利を導入したスウェーデンの例を挙げ、<預金の多い銀行ほど貸し出しが鈍ったという。金利がマイナス0.5%になると貸出金利は0.15%上昇し、国内総生産(GDP)は0.07%押し下げられるとした>と、日銀が導入しているマイナス金利にケチをつけている。
 
 アベノミクスの応援団である日経新聞が、ここまで批判するのはよほどのことだ。経済評論家の斎藤満氏が言う。
「マイナス金利は景気に悪影響という認識は正しいと思います。マイナス金利は銀行の経営を直撃しますからね。経営が悪化した銀行は、収益を上げるために貸出金利を上げざるを得ない。実際、ヨーロッパの銀行は上げています。結果的に引き締め政策になってしまう。日本の銀行は当局を恐れて貸出金利を上げていませんが、体力を消耗し、貸し出し余力を失っています」
 さすがに、日経新聞も景気の現状をみて、不況の元凶となるマイナス金利を放置できなくなったのではないか。 
 
アベノミクスを拡大することもやめることもできない 
 悪化しているのは、前述の経済指標だけではない。輸出も、消費も、急速に落ち込みはじめている訪日客需要も鈍化し、春闘も低調だった。いますぐアベノミクスを見直し、急いで手を打たないと日本経済は大変なことになる。
 ところが、政府も日銀も、景気悪化を認めず、いまだに「景気の拡大基調はつづいている」と言い張っているのだから、どうかしている。
 なかでもヒドイのが、日銀の黒田総裁だ。日銀の政策決定会合が開かれた15日、記者会見を聞いた国民は耳を疑ったに違いない。
「設備投資は順調だ」「消費も堅調に推移している」「所得と支出の好循環がつづくシナリオは変わっていない」「マイナス金利は効果を上げている」
 日経新聞まで「マイナス金利 経済冷やす?」と、疑問符をつけているのに、よくもヌケヌケと「マイナス金利は効果を上げている」などと口にできたものだ。経済指標が軒並み悪化しているのに、どうして「設備投資は順調」「消費も堅調」などと胸を張れるのか。
 
 政府と日銀の景気見通しは、本当は玉砕なのに「勝った」「勝った」と国民をだましつづけた戦前の大本営発表と同じだ。統計を偽装してまでアベノミクスが成功しているように見せているのも、戦前と変わらない。
 しかし「景気悪化」という事実を認めないと、正しい対策を打つこともできない。不況をこじらせるだけだ。どうして、安倍政権も黒田日銀も「景気悪化」を認めないのか。
 
「戦前、軍部の上層部が『この戦争には勝てない』と覚悟していたように、政府も日銀も『アベノミクスは失敗に終わった』『景気は急速に悪化している』と分かっているはずです。でも、戦前と同じように、いまさら間違いを認められないのでしょう。景気悪化を認めても、政府日銀には打つ手がない、という事情もあります。これ以上、異次元緩和を拡大したら副作用が大きすぎて、もっと景気を悪化させてしまう。かといって、アベノミクスの失敗を認めて異次元緩和をやめたら、国債も株価も暴落してしまう。前にも後にも進めない。だから『好循環はつづいている』と、現状を肯定するしかないのだと思います」(斎藤満氏=前出)
 戦前、日本は「勝った」「勝った」と大本営が嘘を発表しつづけ、焼け野原となった。このままでは、また同じ過ちを犯してしまう。
 
6年続けても庶民に恩恵はなかった 
 総裁もアベノミクスの失敗を認めるべきだ。ここまで経済指標が悪化しているのに、「景気拡大はつづいている」などと口にするのは許されない。そもそも、異次元緩和は2年の短期決戦だったはずである。6年もつづけているのは、失敗した証拠だろう。あの戦争も1年という短期決戦の予定ではじめたが、やめ時を見失い、ずるずると4年もつづけたため、原爆を2発も投下され、国土は焦土となってしまった。アベノミクスも、つづければつづけるほど傷を大きくするだけだ。いずれ、異次元緩和は限界に達し、ハイパーインフレなど、未曽有の経済危機を引き起こすのは目に見えている。
 なにより、6年もアベノミクスをつづけたのに、庶民の暮らしは少しもよくなっていない。「トリクルダウン」など、最初からなかったのだ。結局、儲かったのは、大企業と富裕層だけである。
 
 安倍首相は二言目には「雇用が改善した」と成果を誇っているが、求人が増えたのはアベノミクスの効果ではなく、急速な少子高齢化で働き手が減ったためだ。株高にしたって、公的資金で爆買いしているだけのことだろう。
 
 筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)がこう言う。
「アベノミクスの結果は、国民の85%が『景気回復を実感していない』と答えていることに表れています。ポイントは労働者の実質賃金が減っているということです。アベノミクスが失敗した原因は、6年たっても第3の矢である“成長戦略”を打ち出せなかったことと、国民の将来不安を解消できなかったことです。成長戦略が“原発輸出”なのだから話になりません。将来不安さえ解消できれば、国民は安心して消費するのに、安倍政権は福祉を削り、格差を拡大させ、逆に将来不安を強めているのだから最悪。消費性向は69%までダウンしています。失敗が分かっているのに、『アベノミクス、この道しかない』と突き進む安倍首相は、勝てない戦争に突き進んだ戦前の軍部と同じです」
 
 中国の景気が冷え込んだため、ボロ儲けしてきた大企業の収益も悪化しはじめている。庶民はアベノミクスの恩恵を受けないまま、深刻な不況に直面する可能性が高い。 

20- 天文学と安全保障との関わりについて 日本天文学会が声明

 日本天文学会が15日付で、安全保障と天文学の関係をめぐって「人類の安全や平和を脅かすことにつながる研究や活動は行わない」「天文学の研究・教育・普及、さらには国際共同研究・交流などを通じて、人類の安全や平和に貢献する」とする声明を発表しました。
 
 その背景等に関して、しんぶん赤旗とNHKが記事を出していますので併せて紹介します。
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 天文学と安全保障との関わりについて
日本天文学会
2019 年3 月15 日
 
 
• 日本天文学会は、宇宙・天文に関する真理の探究を目的として設立されたものであり、人類の安全や平和を脅かすことにつながる研究や活動は行わない。
 
• 日本天文学会は、科学に携わる者としての社会的責任を自覚し、天文学の研究・教育・普及、さらには国際共同研究・交流などを通じて、人類の安全や平和に貢献する。
 
 
 
平和脅かす研究しない  天文学会が声明
 しんぶん赤旗 2019年3月18日
 日本天文学会(会長・柴田一成京都大学教授)は16日、安全保障と天文学の関係をめぐって「人類の安全や平和を脅かすことにつながる研究や活動は行わない」「科学に携わる者としての社会的責任を自覚し、天文学の研究・教育・普及、さらには国際共同研究・交流などを通じて、人類の安全や平和に貢献する」とする声明を発表しました。
 
 2015年に始まった防衛省「安全保障技術研究推進制度」に一部の大学・研究機関の研究者が参加するなど軍学共同が進み、学問の自由や健全な発展を脅かすと懸念されています。天文衛星や望遠鏡など最先端の宇宙技術には軍事転用可能なものが多くあります。
 今回の声明は、日本学術会議が「軍事目的のための科学研究を行わない声明」などを17年3月に継承し、各分野の学協会に真摯(しんし)な議論を呼びかけたことに応えたもの。年会での特別会合、学会誌での特集、会員アンケートなどに取り組み、臨時会員全体集会などの議論を経て今月15日に代議員総会で声明を決定しました。
 会員アンケートの結果は、防衛省の研究制度への賛否は「反対」がやや優勢でしたが、20~30代では「賛成」の方が上回るなど、幅広い意見がありました
 
 柴田会長は記者会見で「こういう問題では議論を忌避する雰囲気もあるが、全体として議論することに前向きだったのはうれしい結果だ」と述べました。
 関係者からは「天文学会は会員全体を巻き込んだ議論をし、誇るべき対応をした」という声がありました。
 
 同学会は1908年に設立。個人会員は現在、大学・研究機関の研究者のほかアマチュア天文家など3200人あまり。
 
 
“天文学は軍事利用せず” 学会が声明も世代間で意見の違い
NHK NEWS WEB 2019年3月16日
  (前 略)
日本天文学会は、防衛省が装備品の開発につなげるため大学などに研究資金を出す「安全保障技術研究推進制度」を4年前に導入したことをきっかけに、軍事利用につながる研究について議論をしてきました。
  (中 略)
日本天文学会の柴田一成会長は「戦争への怖さや嫌悪感などのバックグラウンドが世代間で違いがあることが分かった。平和を脅かすことにつながる研究かどうか、科学者はこれからも慎重に考えていく責任がある」と述べました。
 
「防衛省が研究資金」反対54%も若い世代は逆転も
日本天文学会は、防衛省が装備品の開発につなげるため大学などに研究資金を出す「安全保障技術研究推進制度」について、去年秋、学会に所属する研究者など2829人にアンケート調査を行い、結果の一部を公表しました。
このうち、この制度について賛成か反対かを問う質問に対して、全体のおよそ28%にあたる800人が回答し、反対が54%、賛成が46%で反対が上回りました。
一方、年代別に見ますと、70代以上は反対が81%賛成が19%、60代は反対が72%賛成が28%、50代は反対が68%賛成が32%、40代は反対が54%賛成が46%、30代は反対が48%賛成が52%、20代は反対が32%賛成が68%でした。
若い世代ほど防衛省の制度への賛成が増え、20代と30代では賛成が反対を上回りました。
 
賛成の理由については「昨今、基礎研究のための資金が減る中、趣旨を問わず、制度に応募できるようにすべきだ」という意見や、「世界情勢を考えると防衛省が基礎研究を推奨することは当然だ」といった意見などがあったということです。
  (後 略)

2019年3月19日火曜日

李柄輝氏が語る朝鮮の原則「米国が提案蹴れば行動に移る」

 第2回米朝首脳会談の結果は世界の期待を裏切るものでした。
 米朝会談はトランプ大統領の一種の気まぐれに端を発しましたが、1回目がそれなりに成功したことから世界は2回目に大いに期待しました。
 今回、実務者協議を行って来たビーガン特別代表ではなく、強硬派ボルトン補佐官を首脳会談のテーブルに座らせたことは、米国が最初から決裂を考えていた可能性を示しています。第1回目の経過に警戒を強めた米の体制派の要求をトランプ氏が抑えきれなくなっていたのでしょうか。
 
 ボルトンに代表される米体制側や西側の北朝鮮に対する要求「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」は かつてリビアに対して行われたもので、それに応じたカダフィーの悲惨な末路を世界は見せつけられました。北が簡単に応じられる筈がありません。あるかどうかわからない生物化学兵器の全リスト提出の要求もまた然りです。
 会談決裂後に控えめなコメントを出した崔善姫外務次官の落胆した表情が印象的でした。
 
 北朝鮮には核実験や長距離弾道ミサイルの開発などにかかわって、2009年以降11の制裁が課せられていて、日本もそれに主導的にかかわってきました。
 一方の米国はその間 戦術核兵器開発実験を続け、昨年もICBMの発射試験を行っています。この絶対的な非対称に西側が完全に目を瞑っているのは不思議な話です。
 金正恩氏の内政における暴虐を評価する人は勿論いませんが、それは北朝鮮の国民が酷寒に苦しみ、飢えで命を失っていることに対して「思考停止」する言い訳にはなりません。
 
 日刊ゲンダイが、17回以上の訪朝経験を持つ識者(在日朝鮮人3世朝鮮国の論理を聞きました。
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注目の人 直撃インタビュー  
李柄輝氏が語る朝鮮の原則「米国が提案蹴れば行動に移る」
日刊ゲンダイ 2019年3月18日
 先月末にベトナム・ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談では、一定の合意がなされるとの予想を裏切り破談に至った。背景に何があったのか、今後どうなるのか。長期滞在も含め、17回以上の訪朝経験を持つ専門家に朝鮮民主主義人民共和国の論理を聞いた。
 
 リ・ビョンフィ 1972年大阪生まれ。在日朝鮮人3世。朝鮮大学校研究院社会科学研究科前期課程修了。専攻は朝鮮現代史。著書に「平和と共生をめざす東アジア共通教材―歴史教科書・アジア共同体・平和的共存」(共著、明石書店)など。
 
◇  ◇  ◇
 
  ――米朝会談が再び実施される見込みは。
 朝米関係は首脳会談中止の発表があった昨年5月ごろに戻った印象です。崔善姫外務次官は会談後の記者会見で、金正恩国務委員長が「米国式計算方法に対して少し理解に苦しんでいるのではないか」「今後このような朝米交渉に対して、少し意欲をなくしたのではないかという印象を受けた」「今後、このようなチャンスが再び米国側に訪れるのか、これについて私は確信をもって言えません」と発言しています。
 
  ――この次官発言は金委員長の意向を反映したものと理解してもいいでしょうね。
 外交戦術的に不快感を表明したのでしょう。米国は強気に出るかと思いましたが、米韓合同軍事演習を大幅に縮小し、対話継続の姿勢を表明しました。ただ軍事演習は再開が可能な行動です。
 
  ――一方で北朝鮮でミサイル発射場の改修が進められていると報じられました。
 報道が事実であれば、米国が朝鮮の提案を蹴ったから、行動に移ったと考えられます。行動に対して行動で応えるのが朝鮮の行動原理です。
 
  ――そもそも、会談はなぜ決裂したのでしょうか。
 朝鮮が国連制裁の全面解除を望んだからだとトランプ大統領が会見で話しましたが、朝鮮側は求めたのは制裁の一部解除だと反論しています。朝鮮は2009年以降に科せられた11ある制裁のすべてではなく、16年から17年にかけて核やミサイル開発を理由に科せられた5件、民需経済と国民生活に支障を与える経済制裁だけを先に解除するよう求めていましたから。
 
  ――経済制裁の全面解除こそが米朝協議の核心だという見方もあります。
 むしろ核心部分は平和協定など安全保障問題です。朝鮮はその点は米国に重荷になると考え、制裁の部分的な解除を求めつつ、完全非核化を段階的に進めることを提案しました。「行動対行動」を原則とする朝鮮はまず昨年4月に核・ミサイル実験を中止。地下実験施設を爆破、55人の米兵遺骨を返還しました。先行措置をとったのだから、リスクの少ない政治的宣言である終戦宣言をまずやろうと米国に提案しましたが、すべての核物質や核兵器のリストを出せと言われて今年1月まで平行線が続いてきました。
 
  ――その後、ビーガン北朝鮮政策特別代表がシンガポール宣言の非核化以外の項目も動かそうと前向きに提案しました。
 ですので、ハノイでの朝米合意を世界は期待したのです。朝鮮は5件の経済制裁が解除されれば、寧辺の核団地の廃棄、ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射の永久中止など不可逆的な相当大きなカードを切る用意がありました。崔善姫次官も会見で寧辺団地について「トンチェロ」と言った。朝鮮語で「すべてひっくるめて」という意味です。しかし、トランプ大統領は高い球を投げた。
 
 ――高い球とは?
 すべての核兵器、大量破壊兵器、そしてあるかどうかわからない生物化学兵器の全リストの提出です。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が昨年5月に言い出したリビア方式と同水準です。ハノイでは朝鮮が織り込んでいた以上にトランプ大統領のリーダーシップが弱まっていた。ビーガン特別代表ではなく、強硬派代表格のボルトン補佐官を首脳会談拡大会合のテーブルの前面に着席させたことが象徴です。ハノイでの朝米会談が決まってから下院でコーエン公聴会(ロシア疑惑)も決まった。このインパクトでハノイ会談は米国内で完全にかすみました。 
 
ボトムアップの失敗を教訓にしたトップダウン
  ――実務者協議レベルでのツメが甘く、トップダウンでの着地に期待した交渉が失敗の原因との見方もあります。
 1993年に始まる朝鮮半島の非核化プロセスでは、信頼が醸成されない中で実務協議を積み上げて決裂を繰り返してきた。ボトムアップの失敗です。だから特にビーガン特別代表はトップダウンが必要だと言っていました。実務者協議である程度積み上げ、肝心な点はトップに任せようというのが過去の教訓なのです。しかし、西側諸国からすればトランプは何をするか分からず、朝鮮のペースにのみ込まれかねないトップダウン方式を批判する。
 
■求めているのは体制保障ではなく安全保障
  ――非核化という行動に対して朝鮮側が米国に望む行動は、“金王朝”の維持との指摘もあります。
 朝鮮が求めているのは社会主義体制の維持です。米国に求めているのは体制保証ではなく安全保障。侵略してくるなということです。社会主義体制を担保するのは人民の意思だというのが、金委員長の考えなのです。朝鮮は60年以上、国防・経済並進路線をとってきました。一時は国防費が国家予算の30%にもなりましたが、18年4月の朝鮮労働党中央委員会で金委員長は並進路線の終了を宣言しました。経済集中への方針転換は半世紀ぶりの党の路線変更です。
 
  ――経済集中とは?
 人民を満足させる社会主義国家をつくるためには、経済発展が必要だということです。社会主義に対する「人民の同意」は金委員長が演説でよく使う言葉です。13年に経済開発区法が制定されて特区が13カ所つくられ、今では60カ所に広がっています。特区では外国資本の直接投資を認め、特にインフラ分野と先端技術を奨励しています。投資家のジム・ロジャーズ氏も指摘していますが、朝鮮には経済的潜在力があります。外国資本が入れば米国も軍事行動を起こしづらくなります。経済再生こそが核兵器以上に国を守るための安全保障になるでしょう。
 
  ――それは自由貿易が生むメリットのひとつですね。
 しかし、門戸を開いたのに経済制裁を科せられたままです。金委員長が文在寅大統領に「早く非核化プロセスを終えて経済に集中したい」と言ったのは本音だと思います。世界のコンセンサスを破ってまで核保有をする意味が今の朝鮮では失われています
 
  ――米国は北朝鮮の人たちにとってどのような存在なのでしょうか。
「米国帝国主義こそが戦争の放火者」だとよく言われてきました。米国を打倒してこその平和であり、朝鮮統一につながるという論理です。それがシンガポール会談後、反米スローガンは公の場から消え、米国と対話して平和を築くと大転換しました。
 
■朝鮮は意見が合えば昨日の敵でも「白紙化」する
  ――日朝関係の展望はどうですか。「蚊帳の外」といわれる安倍首相との日朝首脳会談は実現するのでしょうか。
 日韓関係は戦後最悪といわれるほど悪化しています。これまでは、日韓関係が悪化すれば朝・日はお互いに接近を図ってきました。しかし今、朝鮮は韓国との関係を強化しています。南北和解が進み朝鮮半島は質的に変化し、日本は孤立しています。真に対話をする相手ならば朝鮮は一転して手を握ると思います。しかし、安倍首相は口では向き合うと言いつつ、どの国よりも経済制裁を訴え、圧力をかけてきた。そもそも朝・日貿易は、朝中に比べると微々たるもので、日本の独自制裁の効果は限定的です。渡航制限や朝鮮学校への補助金停止などの措置は、在日朝鮮人をイジメているだけ。韓国人も「ボルトンと安倍は同じ」とよく言います。
 
  ――東京五輪で北朝鮮選手を入国させない動きも出ています。日本が入り込む余地はありませんか
 安倍政権に対する警戒心は強いですが、昨日の敵でも意見が合えば過去を「白紙化」する一面が朝鮮にはある。朝米協議の最悪の展開は、米国にとって朝鮮のプライオリティーが下がり、核凍結で協議がフェードアウトする事態です。17年に核弾頭を搭載できるICBMを開発した現実は変わっていません。東アジアを17年のような状況に後退させず、朝米協議を前進させるためには周辺国の協力的な介入が必要です。朝米が決裂して喜ぶ国はこの世界的核危機の打開を望まない国だけでしょう。
(聞き手=平井康嗣/日刊ゲンダイ)