2020年11月29日日曜日

「Go To」首相が見直しの障害に/政府は危機感をもって対策を

 安倍前首相8月28日の辞任会見で、コロナ対策について要旨次のように述べました。
「冬に向けてはコロナに加え、インフルエンザなどの流行で発熱患者の増加が予想されます。まずは検査能力を抜本的に拡充することです。冬までに1日20万件の検査体制を目指します。特に高齢者施設や病院では、地域の感染状況などを考慮し、職員の皆さんに対して定期的に一斉検査を行うようにし、高齢者や基礎疾患のある方々への集団感染を防止します」
 それはコロナ対策で安倍氏から初めて聞く真っ当な発言でした。

 しかし安倍政治を引き継ぐとして登場した菅政権はこれらを何も行っていません。それどころか菅首相と二階幹事長が進めたのは利権絡みといわれるGo Toキャンペーンでした。それがコロナ感染拡大の原因になるという指摘に対しては、そうした「エビデンス(証拠)はまだ上がっていない」と否定し、逆に、Go Toトラベル4000万人が動いたが、それによる感染は180人にとどまった」という発言を国会で繰り返すありさまです。
 もしもそうであるなら日本におけるコロナ禍は、Go Toトラベル」を普及させれば解決するということになってしまいます。あまりにも馬鹿らしくて海外紙は言うまでもなく、国内の忖度紙でさえも取り上げません。

 菅首相は27日になってようやく北海道や大阪府などの感染拡大地域からの「Go Toトラベル出発分について「利用を控えるよう呼ぴかける」と述べましたが、Go To事業は「停止」ではなく 東京「除外」もありません。
 欧州各国は今月から相次いで都市封鎖を敷きましたが、その期間は12月の3日前後までに限定している国が多く、それまでにできる限り抑え込んで12月のクリスマス商戦とクリスマスホリデーで経済を活性化させよう」というメリハリのある構想といわれます。
「コロナ・マナー」を訴える以外には何もしないままGo Toを走らせた挙句に、分科会から警告が発せられても殆ど抑制もしない菅政権に、本当に第3波の感染拡大を抑える気持ちがあるのでしょうか。

 しんぶん赤旗が「  首相が見直しの障害に」とする記事を出しました。
 また共産党の田村政策委員長は27日夜、「政府は、感染爆発をいかに防ぐかが問われている切迫したときにあまりに中途半端だ。人口からいっても感染状況からいっても東京を除外することは無責任だ。全国一律の『Go To』事業は中止を決断し、直接支援を組み合わせた支援に切り替えるべきだ」とコメントしました。
 しんぶん赤旗の二つの記事を紹介します。
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o出発“自粛”のみ 東京除外せず 首相が見直しの障害に
                       しんぶん赤旗 2020年11月28日
 菅義偉首相は26日、新型コロナウイルスの感染急拡大への対策として政府の新型コロナ対策分鈴会から提言(25日)を受けたとして、札幌、東京など感染拡大地域での飲食店の営業時間短縮要請を行うことなどを表明しました。ところが、同分科会が提言していたGo Toトラベル」事業における「(感染拡大)地域からの出発分についても検討すること}については何も語らず、継続の姿勢を示しました。厳しい批判が続く中、、菅首相は27日に感染拡大地域からの出発分について「利用を控えるよう呼ぴかける」と述べましたが、事業は「停止」ではなく東京「除外」もありません。

 政府の分科会は「Go To」事業について当初「人の移動自体が感染を広げるわけではない」などとして容認してきましたが、感染急拡大の中で感染拡大の要因は「人の移動の増加」にあることを認め、ステージ3(感染者の急増)相当の対策が必要となっている地域では「営業時間の短縮及び人の往来や接触の機会を減らすことが必要」(25日提言)としています。

 分科会のメンバーでもある国立感染研の脇田隆字所長は北海道新聞17日付で、「Go Toトラベル」の対象に10月1日から東京発着の旅行が追加されたことで「道内の感染状況を加速させた可能性がある」と述べています。札幌発で東京と往復する場合だけでなく、東京から札幌への人の流入が感染拡大を加速させるという認識であり、当然のことです。
「東京発の事業の制限は経済的に大きなマイナスという認識もある」(自民党関係者)という声も漏れます。「Go To」事業の旗振りをしてきたのが菅茸相であり、事業の見直しの最大の障害となっているのが首相自身です。科的見識を無視した菅政権による感染拡大の責任は重大です。
              厚労省アドバイザリーボード
              政府分科会の提言と政府の対応

19日

厚労省

感染拡大の要因は、基本的な感染予防対策がしっかり行われていない

 

 

ことや、そうした中での人の移動の増加

20日

分科会

一般的には人々の移動が感染拡大に影響する。一部区域の除外を含め

 

 

国として「Go Toトラベル」事業の運用の在り方について早急に検討

 

 

していただきたい

21日

菅首相

菅首相が「Go To」事業の見直しに言及。感染拡大地域を目的地とす

 

 

るトラベルを制限

25日

分科会

「Go Toトラベル」事業の一時停止を行うこと。その際、今後の状況

 

 

に応じて当該地域からの出発分についても検討

26日

菅首相

菅首相、営業時間短縮など打ち出すも「Go To」に触れず

 

新型コロナ 政府は危機感もって対策を 田村政策委員長が主張
                      しんぶん赤旗 2020年11月28日
 日本共産党の田村智子政策委員長は27日、国会内で記者会見し、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会による政府への提言に対して、政府が翌26日に対策本部を開かず、菅義偉首相もコメントするだけだったことについて、「政府の対応に大きな危機感を抱いている。国会に政府の対策を報告し、時間もとった予算委員会などでの質疑を求めたい」と表明しました。

 田村氏は、菅首相がコメントで「Go Toキャンペーン」について一言も触れなかったと批判。国立感染症研究所の脇田隆字所長が「感染の低いところから高いところに行けば、感染して戻ってくる可能性がある。感染の高いところを出発点にして、低いところに行けば感染を持ち出す可能性がある。両方を止めることが有効だ」と発言した報道や、分科会の尾身茂会長が「個人の努力に頼るステージは過ぎた」と述べたことに言及。「行政から一定の強制力をもった行動変容がなければ、感染爆発に至ってしまうという危機感が、専門家の中から次々と示されている」と述べました。
 田村氏は、「感染爆発を止めるかどうかという危機感をもって、対策を示すべきだ」と強調しました。
                   ◇
 田村智子政策委員長は27日夜、菅首相が新型コロナウイルス感染症対策本部で「Go Toトラベル」について、札幌、大阪両市を出発地とする旅行について利用を控えるよう呼びかけたことをうけて、「感染爆発をいかに防ぐかが問われている切迫したときにあまりに中途半端だ。人口からいっても感染状況からいっても東京を除外することは無責任だ。全国一律の『Go To』事業は中止を決断し、直接支援を組み合わせた支援に切り替えるべきだ」とコメントしました。

菅首相にも疑惑 「桜」と酷似 大規模集会も収支不記載

 菅首相にも大規模集会での収支について政治資金報告書に記載しなかったなどの疑惑については、28日の当ブログでLITERAの記事を紹介しました。
 ⇒ 菅首相が1年間8千万円のパーティ収入 「桜」と同じ政治資金報告書不記載、補填疑惑も
 しんぶん赤旗も28日、この疑惑を取り上げました。
 同紙が 会場となったホテルに問い合わせたところ、大宴会場は「時間で貸すことはしておらず、1日貸し出しということになる。室料の定価は700万円」と答えたということです。仮に参加者が2500人とすると会費の合計額375万円となりとても賄えません。不足分を菅氏側が補填した疑いも浮上します。
 菅氏の事務所に問い合わせたところ「その質問には答えない。担当者が不在なので答えられない」と言われた由です何やらかつて官房長官時代に東京新聞の望月衣塑子記者に対して「貴女の質問には答えません」と拒否したときの言い方を思い出させます。

 高級ホテルで「1500円でできるのか」の問いに菅首相は答える必要があります。
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菅首相にも疑惑 「桜」と酷似 大規模集会も収支不記載 1415
高級ホテルで会費1500円は可能? 答える責任
                      しんぶん赤旗 2020年11月28日
 菅義偉首相側が自身の選挙区内である横浜市内の高級ホテルで2014、15年に会費制の大規模な集会を開きながら、その収支を政治資金収支報告書に記載していない疑いがあることが27日、わかりました。その中身は、いま東京地検特捜部が捜査している安倍晋三前首相の「桜を見る会」前夜祭の疑惑とそっくりです。(矢野昌弘)
「広い会場に2000人程の方々が参集され、時局の講演会がありました」
 14年4月にインターネットのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)へのある投稿は、写真とともに集会の盛況ぶりを伝えていました。

参加者2000人超す
 当日の様子を神奈川新聞(同年4月20日付)は「自身の政治資金パーティーで講演し、約2400人の地元支援者らを前に…」と報じています。地域情報紙「タウンニュース」も「支持者ら約2500人(主催者発表)が集まった」と書きました。
 菅氏の元秘書である遊佐大輔横浜市議は「会費:お一人様1500円」とブログで告知していました。会場は、横浜市の観光スポット、みなとみらいにあるホテルです。問い合わせ先の電話番号は、菅氏の事務所と同じ。集いは14年だけでなく、15年にも開いたと書いています。しかし集いの収支についての記載は、菅氏が代表の自民党支部や資金管理団体のいずれの収支報告書にも、書かれていません。
 このことを最初に報じた『週刊ポスト』(今年12月11日号)によると17年以降は収支を党支部で報告したといいます。
 2000人を超える参加者から1500円ずつ集めると、300万円を超える収入がでるはずです。

会費では足りず
 しかも、会場となったホテルは本紙の取材に対して「集まりの内容や状況によって見積もりはかわるが」と前置きした上で、大宴会場は「時間で貸すことはしておらず、1日貸し出しということになる。室料の定価は700万円」と答えました。300万円超の会費収入では、とてもまかなえない室料です
 安倍前首相の「桜を見る会」の前夜祭のように、会費だけでは不足する費用を菅氏側が補填(ほてん)した疑いも浮上します。
 菅氏の事務所は本紙に「その質問には答えない。担当者が不在なので答えられない」とのべました。
 菅首相は、安倍氏の前夜祭の補填疑惑を一貫してかばってきました。東京都内の高級ホテルの夕食会の会費5000円は安すぎるとの記者の指摘に「5000円でできないこと、ないんじゃないでしょうか。私どもはいろいろやっています。本当に聞かれたんでしょうか、責任ある人に」(昨年11月)と、強気に反論をしていました。
 高級ホテルで「1500円でできるのでしょうか」。この問いに菅氏は答える必要があります。

29- 会見は就任以来一度だけ 発進力問われる菅首相

  東京新聞が、菅首相が記者会見したのは就任後1度だけで、あとは「ぶら下がり取材」新型コロナ対策をテーマに今月はこれまでに計4回応じたものの、事前に用意された質問に1問答えるだけ(で、追加の問には一切答えず立ち去る)と報じました。

 上手く政治が行われていても普通それでは済みません。それが日本学術会議やコロナで問題山積の中ではあり得ないことです。首相失格というべきです。
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新型コロナ急拡大も一方的に発信 会見は就任以来一度だけ
発進力問われる菅首相
                        東京新聞 2020年11月28日
 菅義偉首相は27日、新型コロナウイルス感染症対策本部で、重症者数の急増など深刻化する感染拡大について「国民の命と暮らしを守り抜く」と強調した。コロナ対策で国民の協力は不可欠。安倍晋三前首相は節目ごとに記者会見して、国民に直接呼びかける機会が比較的多かったが、菅首相は一方的に呼びかける形の発信ばかりで、多くの記者から質問を受ける形の官邸での記者会見の開催に応じていない。(村上一樹)
 首相は、感染拡大の「第三波」の到来が指摘されるようになった今月、対策本部をこれまでに計四回開催。今後の方針や国民の協力を呼びかけているが、報道各社に公開される発言は終了前のあいさつにとどまる
 また、官邸に出入りする際、立ち止まって記者団の質問に答える「ぶら下がり取材」については、新型コロナ対策をテーマに今月はこれまでに計4回応じているが、事前に用意された質問に一問答えるだけだ。
 26日は、観光支援事業「Go Toトラベル」で感染拡大地域から出発する旅行を対象外とするかどうかなどが問われた。首相は営業時間を短縮する飲食店支援などについて答えたが、「トラベル」については何も答えずに終了。記者団が「なぜ、触れないのか」などと追加の質問を投げかけたが、立ち止まることはなかった
 安倍前首相は今春の「第1波」の時期、2月末に会見を開いたのを皮切りに、官邸での会見を、3月は2回、5月は緊急事態宣言が解除されるまで3回、合わせて8回行った。
 一方、菅首相の会見は9月の就任時の一回だけ。内閣記者会加盟の数社が質問できるグループインタビューにはこれまで2回応じたが、多くの記者が質問できる官邸での会見は2カ月以上開いていない。
 
 加藤勝信官房長官は27日の会見で、首相が記者の質問に答える対応をするべきではないかと問われ、「対策本部で今後の対応の方向性を示し、ぶら下がりで(国民に)呼びかけている。必要な発信がなされてきていいるし、引き続きしていく」と話した。

2020年11月28日土曜日

「感染防止と経済活動の両立」論の破綻と本質 - 第3波の原因はGo To政策(世に倦む日々)

 コロナ第3波が到来しました。この先どこまで拡大するのか見当がつきません。

 政府は常に「感染防止と経済活動の両立」が大事だと口にしますが、その実、これまで感染対策は何もしないままできました。PCR検査はいまだに保健所が関門として立ちふさがり、旅行に出かけるため念のため受けたいといっても認められません。熱があるからと訴えても数日間は待たされた挙句、検査してからも数日経たないと結果が分からないという具合です。これでは毎日働かなくてはならない人たちはPCR検査など受けられないというのが実情です。「感染防止と経済活動の両立」など出来る筈がありません。
 そうした問題を何も解決しない一方でGo Toに走り出しのですから、たちまち頓挫するのは当然のことです。それでも政府はごく一部を撤退に向かわせただけです。

 日本は論外として、PCR検査を拡充させてきた欧米でも現実に感染爆発が起きています。「世に倦む日々」氏は、「両立」論や「ウィズコロナ」とは原理的に異なる方式でコロナ封じに取り組んでいる国が中国であり、コロナ封じに成功したとしています。
 そして「感染防止と経済活動の両立」はそもそも両者を並行させるものではなく、「感染防止によって経済活動の前提を作る」というものでなければならないと述べています。「感染防止と経済活動の両立」の「バランス点を求める」というようなものではなく、まず「感染防止」が行われて初めて「経済活動が可能になる」ということです。
 そうでなければ結局のところハンマー&ダンスの不毛な繰り返しとなり、医療崩壊にも向かうとしています。説得力があります。

 幸いにして日本を含む東南アジアには例の「ファクターX」があって、政府の不作為のなかでもこれまでは何とか大破綻を示さないできました。しかし第3波ではこれまでのようなわけにはいきません。まだごく入口の段階で既に医療崩壊の危機が叫ばれています。それなのに政府からは必死さが伝わらないのは異常なことです。
 ブログ「世に倦む日々」を紹介します。
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「感染防止と経済活動の両立」論の破綻と本質 - 第3波の原因はGoTo政策
                          世に倦む日々 2020-11-27
26日の報道を見ると、大阪で感染爆発の段階であるステージ4が目前となっている。判断指標となる6項目のうちすでに5項目で基準を超えており、残る1項目の病床使用率も間もなく50%超えとなり、ステージ4突入が確実な状況となっている。これに対して、政府の方はすでに姑息に先手を打っていて、加藤勝信が会見で「都道府県が『ステージ4』と判断しても、機械的に緊急事態宣言を発出することはなく、政府が総合的に判断して最終的に決定していく」と言い、緊急事態宣言は絶対に出さないという意思を明確にした。これは、吉村洋文と腹を合わせての方針発表であり、両者の間で対応姿勢は一致している。経済を重視して無策を貫くという意味だ。おそらく、大阪はかなり厳しい医療崩壊の事態に直面するだろう。今回の第3波では、北海道と大阪の感染拡大が先行して深刻化している点が注目される。いずれも菅義偉とべったり昵懇の首長がいて、新自由主義の性格と体質が際立った自治体である。経済優先至上主義で立ち回ってきた自治体だ。偶然だとは思えない

言われている「経済優先」とは、実際には「資本優先」の意味であり、すなわち「資本主義」の態度のことである。感染拡大はある程度は仕方ないと容認して、リスクを顧みず観光産業を振興させ、人を過剰に集めて飲食消費させ、経済活動を回そうという発想様式である。テレビ報道では、焼き鳥屋とか居酒屋の経営者が出て来て、時短は困るとか、稼ぎ時の商機に客足を止められると困るとか言っている。政府の意図を受けたテレビ局がその類の映像を放送し、飲食店や宿泊業者に同情する国民世論を掻き立てている。店主に菅義偉の政策を代弁させ、彼らに世論工作させ、Go Toを始めとする菅義偉の経済優先路線を正当化させている。そんなもの、単に政府が直接に支援金を注入すればいいだけではないか。1兆円でも2兆円でも、飲食業や観光業の関係者が仕事を中断しても生活を維持できるように、政府がミニマムの手当を施せばいいだけの話だ。玉川徹が言っているような半徳政的な貸付措置も一案だし、小林慶一郎が言っているような特例の窮乏者救援金も一案である。

それはお金で解決できる。飲食店と宿泊業を救済することはお金で解決できる問題であり、国民の税金である予算の拠出で解決できることだ。一方、コロナはお金では解決できない。コロナにお金をあげるから感染拡大をやめてくれと頼んでも、コロナは言うことを聞いてくれない。医療体制の方は、今、政府が現金を10兆円積んでも、20兆円積んでも、問題解決できない。看護師はお金を出せばすぐにそこに創出できるものではない。医療のマンパワーはお金で買えないもので、その資源は即座に出現・充当させられないものだ。飲食店と医療体制は同レベルの問題ではない。お金で解決できるものと解決できないものがある。だから、政府の公共政策のプライオリティでは、医療体制を崩壊から守る方が優先になるのであり、飲食業と観光業に自由に市場活動させることが後回しになるのである。命を守るということが第一義だ。どれほど個人がお金を持っていても、医者と看護師が消えたら自分の命を守れないではないか。病院あっての国民の生存であり、生存あっての経済活動である。

春以降、ずっと「感染防止と経済活動の両立」のフレーズが言われ、不動の命題として確立している。NHKと民放がこの常套句を刷り込み続け、無謬の定理として常識化させてきた。まともなコロナ対策の要求や主張が出されるたびに、「両立」論が説かれて反論されてきた。経済活動は止めていいのか、自殺者が増えてもいいのか、飲食業に潰れろと言うのかという脅しが入れられ、「両立」論と「バランス」論に回収される。回収されることによって、GoTo政策が正当化され、3連休で見たようにグロテスクに推進されて行った。GoTo利用者が模範国民化されるという倒錯現象が起きた。「両立」だの「バランス」だの言いつつテレビに出るのは居酒屋の主人とか、京都観光を愉しむ自由主義の旅行者ばかりであり、コロナに罹った患者とか家族はニュースに登場しない。「両立」の片側にいる庶民の姿を映さない。医師会の幹部だけだ。クラスターが全国で発生していると言いつつ、NHKはクラスターの現場を取材せず、施設の所在さえ報道しない。感染者数が第1波の4倍もあるのだから、クラスターも4倍あるに違いないが、マスコミが報道しないので実感がわかない。

「両立」論・「バランス」論というのは、社会政策の観点から厳密に検討すれば誤った理屈で、そもそも論理矛盾があり、政策として破綻が必然的なものだ。感染防止と経済活動は、独立する二つを天秤にかけて均衡の調整を図る性質のものではなく、感染防止によって経済活動の前提を作るものである。つまり、この二つは左右に対立的・二律背反的に等置される政策命題ではなく、上下の関係に位置されるもので、自由な市場活動の基礎となるのが感染防止の医療体制である。感染防止が土台であり、経済活動が上部構造だ。それが社会政策の真理であり、政府行政の基本認識である。土台とすべきものを上部構造と並立に構図化し、上下の関係を左右の関係に転換して概念づけているところに、この「両立」論・「バランス」論の虚偽と詐術があり、言説のトリックがある。すなわちイデオロギー性がある。その裏の真実は、JTBだの楽天トラベルだの電通だのの政商資本が税金をぼったくって大儲けしているだけだ。コロナ禍の政府行政に便乗し寄生する彼ら資本を大儲けさせる詐術の言説工作が、「両立」論であり「バランス」論に他ならない。

両立」論・「バランス」論を基軸にコロナ政策を進めている国は多い。ヨーロッパの主要国がそうである(スウェーデンを除く)。だから、日本人はこの方針を普遍的なものとして疑わない。けれども、考えないといけないのは、これら主要先進国がすべて対策に失敗している事実である。IMFは2020年のEUのGDPをマイナス7.6%と予測している。日本はマイナス5.3%。「両立」論・「バランス」論で対策を行うと、結局のところハンマー&ダンスの不毛な繰り返しとなり、感染爆発とロックダウンの往復循環をだらしなく進行させるだけで、医療崩壊と大量失業のジレンマに苦悩し続けるという帰結になる。社会も疲弊し、経済も医療もセーフティネットが崩壊する。ここに、「両立」論や「ウィズコロナ」とは原理的に異なる方式でコロナ封じに取り組んでいる国があり、それは中国である。IMF予測の2020年の中国のGDPはプラス1.9%。日本人は中国のコロナ対策を強権的と悪罵し、悪の見本として侮蔑し嫌忌するだけだが、中国は堂々の「ゼロコロナ」社会であり、玉川徹が理想郷として唱える「感染者を隔離した健常な市民社会」を実現させている。中国が「両立」論の立場に与さないのは、中国が「資本主義」ではないからではないのか。

中国の対策方式は、西側諸国のように感染防止と経済活動の二つを並立させていない。二つを天秤にかけてバランスの調節をしていない。アクセルとブレーキの関係に比喩し構図化していない。経済活動のために感染防止をしている。優先順位が厳然としてあり、上下の関係で位置づけが決まっている。防疫医療の社会的土台の上に市場経済活動を置いている。なぜ中国がそういう原理と図式になるかというと、社会主義の考え方で行政の選択と判断が秩序づけられるからだ。資本・私企業の論理・個人の自由が中心ではなく、社会全体の利益を中心とした公共政策の組み立てと方向づけだからだ。ベトナムも同じである。キューバもそうだ。韓国は中国と日本の中間にある。中国で、感染が収束してないのに国民を観光と飲食に誘導するインセンティブ政策はあり得ない図だろう。中国でなくても、普通に考えて狂気の沙汰だ。狂気の沙汰なのに、この政策が容認され、正当化され、マスコミで宣伝されて全体主義的に推進される。医療体制を人為的に崩壊させる自滅政策が採られ、マスコミが積極的に後押しする。日本はまさに市場原理主義の国であり、極端で凄絶な資本主義の国だと言うしかない

第3波の原因となったのは、明らかに10月からのGoToトラベルの東京発着の解禁である。東京を対象に含める強引な決定が第3波を惹き起こしている。資本主義の政策が元凶だ。気の緩みを(意図的に)促したのは政府であり、菅義偉に忖度し隷従するしか能がないマスコミである。政府と御用学者とマスコミに責任がある

建設的でないGo To停止判断なき都知事批判(植草一秀氏)

  小池都知事が「国の事業としてGo Toトラベルキャンペーンを実施しているのだから、中止や変更等は国の責任で判断するべき」と主張し、国と対立しています。

 これについて、ネット上には小池都知事を批難する主張の見出しが意図的に選択して並べられているということで、植草一秀氏は、菅内閣によメディアコントロールによるものと見ています
 政府が電通のスタッフなどを雇い入れて、ネットの検索欄などを意図的に操作していることはこれまで言われてきました。

 植草氏は、Go Toトラルキャンペーンについて国が責任をもって対応するのが筋との小池都知事の主張は正論そのものとして、Go Toトラルキャンペーンを強引に始動させた際に東京都を除外したのは政府で、その後、東京都をGo Toに組み込んだのも政府今回、東京都を除外することについてのみ、東京都知事に判断させるのは「汚れ役」だけ都知事に押し付けるもので筋が通らないと述べています。

 政府がこれまでやってきたことは利権絡みのGo Toだけ、それがコロナの感染拡大に悪影響があるとされても、明確に撤退しようとせず責任も負おうとしないのでは話になりません。
 植草氏のブログを紹介します。
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建設的でないGo To停止判断なき都知事批判
                植草一秀の「知られざる真実」 2020年11月27日
小池百合子東京都知事をまったく支持しないが、Go Toトラブルキャンペーンについて国が責任をもって対応するのが筋との小池都知事の主張は正論そのもの
Go Toトラブルキャンペーンを強引に始動させた際に、東京都を除外したのは政府だ。
菅義偉氏は官房長官としてこの意思決定に中核的関与をしたはずだ。
その後、東京都をGo Toトラブルキャンペーンに組み込んだのも政府。
政府の判断で除外、適用を決めている。
今回、東京都を除外することについてのみ、東京都知事に判断させるのは筋が通らない。
Go Toトラブルキャンペーンを適用除外すれば、制度を利用していた事業者、制度利用を予定していた個人にはマイナスに作用する。
その「汚れ役」だけ都知事に押し付けるのは筋が通らない。
国の事業としてGo Toトラブルキャンペーンを実施しているのだから、国の責任で判断するのは当然のこと。

ネット上には小池都知事を批難する主張の見出しが意図的に選択して並べられている。
菅内閣によるメディアコントロールの一断面だ。
コロナ感染者数急増の主因のひとつがGo Toトラブルキャンペーン全面展開。
コロナウイルスの特徴は無症状の陽性者が多数存在していること。
陽性確認されていないが、感染している人は多数存在する。
最大の人口を要する東京都からGo Toトラブルキャンペーンによって人が全国各地に移動させられている。
これに連動して感染が拡大している。

菅義偉氏が感染抑止を第一に位置付けて、
「この3週間が、極めて重要な時期だ」
と考えるなら、Go Toトラブルキャンペーンを一時停止するのが先決だ。
ぶら下がりでこのように発言しながら、記者から
なぜGo Toトラベルだけ触れられないんでしょうか? 理由を教えて頂けませんか?
総理、除外はしないんですか?
と質問されても、背を向けて無言で立ち去る。説明責任をまったく果たさない。
自分の言葉で相手に説明することもできない。
説明できないことがらを問われると逆ギレする。
こんな人物に日本の舵取りを任せるわけにはいかない。

コロナ分科会が定めた基準で、東京都はすでにステージ3に相当する状況に移行している。
ステージ3に該当する場合、Go Toトラベルの発着地から除外することを分科会が提言している。
これを無視してGo Toトラブルキャンペーンを強行している主体が菅義偉氏である。

菅内閣はコロナ感染症を第2分類相当+αに区分している。
極めて重篤性の高い感染症と位置付けている。
この区分が妥当なら、Go Toトラブルキャンペーン自体があり得ない存在だ。
Go Toトラブルキャンペーンが容認されるのは、コロナ感染症がインフルエンザ相当、つまり第5類感染症区分である場合ということになる。
11月27日の東京都新規陽性者数が570人となって過去最大を更新した。
検査の陽性率のみがステージ3の基準以下だが、これ以外の指標はすべてがステージ3の基準を超えている。
この指定区分、コロナ分科会の専門家の知見を是とする限り、Go Toトラブルキャンペーンから東京都を除外するのは当然ということになる。
実際には、第2類相当指定が過大であって、この区分を変更することが適正であると判断されるが、菅内閣が第2類相当を維持するなら、この区分に見合う対応を取る必要がある。
Go Toトラブルキャンペーンを全面推進しながら
「この3週間が、極めて重要な時期だ」
と発言して、Go Toトラブルキャンペーンの見直しを行わないのは支離滅裂。
頭の中が支離滅裂なのだと推察される。
国の責任において適切に判断する必要がある。
小池都知事が国の責任で判断するべきと述べていることに反発すること自体が建設的でない。
           (以下は有料ブログのため非公開)