2024年4月27日土曜日

自民は「政治とカネ」解決の意思なし/政治資金法改正 お粗末な自民党案/自民改正案は“抜け穴”だらけ

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて26日、衆院政治改革特別委員会が初めて開かれました。野党が政策活動費や企業・団体献金見直しを含めた幅広い政治改革の必要性を主張する一方で、自民案は議員の責任明確化に偏ったもので、それでさえも議員の処罰を巡って「言い逃れができる」と指摘されるなど、お粗末を極めたものでした(東京新聞)。
 植草一秀氏が24日に「自民は『政治とカネ』解決の意思なし」という記事を出しました。
 同氏は早くから政治資金規正法の改正が必須であるとして、最低限改正されるべき要点を繰り返し明確にして来ました。
 関連記事(下記他多数)
    4月3日) 7月総選挙目論む 断末魔 岸田首相(植草一秀氏)
    (3月16日)やってる感すら希薄政倫審プロレスー政治資金規正法改正の具体的提案
 議員であればその至当性を分からない筈はないのに、今なおまともな改正案を出せないのは、裏金の甘みと議員の身分の保証を何とか残したいという願望があるからに他ならず、解決の意志を持っていないと断じるのが当然です。
 まるこ姫が「身内の公明党に突き上げられ出してきた政治資金法改正お粗末な自民党案」という記事を出しました。
 日刊ゲンダイは「岸田自民『政治資金規正法』改正案は“抜け穴”だらけのザル…専門家『悪質な論点ずらし』とバッサリ」という記事を出しました。
 3つの記事を紹介します。
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自民は「政治とカネ」解決の意思なし
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年4月24日
自民党の裏金・脱税疑惑事件。表面化したのは昨年秋。組織ぐるみの巨大犯罪。
政治資金の入りと出は収支報告書に記載しなければならない。

政治資金規正法が定めている。この法律は議員立法で制定された。
国会議員が自らの行動を規制するために定めた法律。
その法律を自民党が組織ぐるみで踏みにじった。

しかし、検察は自民党の組織ぐるみ犯罪を適正に摘発しない。権力者の犯罪は無罪放免にし、権力者にとって邪魔な者は無実であるのに犯罪者に仕立て上げる
こうした刑事司法不正が繰り返されている。

しかし、政治とカネの問題の核心は顕在化した巨大犯罪にあるのではない。
政治資金規正法にポッカリと大きな穴が開いている。議員が政治資金規正法の実効性を失わせるために意図的に開けた大穴。この大穴を塞がなければ法改正の意味はない
この点を踏まえて、私は必要最小限の法改正事項を提示してきた。

三つの事項を盛り込むことが必要不可欠。
第一は21条の2の2項削除。
規正法の大穴を塞ぐこと。
第二は連座制の適用。
政治資金の不正が表面化したときに最終責任を負うのは政治家自身である。
会計責任者に罪をなすりつけて政治家本人の責任を問わないことはあり得ない。
第三は総括収支報告義務を課すこと。
政治家に関わる政治団体、資金管理団体は多数存在する場合が多い。
政治家が不正に資金を受領しても、その資金の帰属を特定できないと不正を摘発することが難しいと言われる。
この問題を解消するために、政治家に総括収支報告の提出を義務付ける。
政治家が受領した資金は必ず総括収支報告に記載されねばならなくなる。
このことによって資金の帰属が不明という問題を解消できる。
この三点を政治資金規正法改正に盛り込むことが必要不可欠。

最大の問題は21条の2の2項削除。
規正法は政治家個人への寄附を禁じているが、現行法21条の2の2項で政党が行う寄附を除外している。
この条文に基づき、巨額の政治資金が政党や政党支部から政治家個人に寄附され、その使途が明らかにされていない。
50億円もの政治資金がどのように使われたのかが完全に不明なのだ。これでは規正法が存在する意味がない。
したがって、21条の2の2項を削除することが絶対に必要

連座制の適用がなければ犯罪が繰り返される。連座制の適用によって政治家の行動が規制される。
政治家が「政治とカネ」で不正を行わないのは当然のこと。
したがって、不正があった場合に政治家の責任を問うことは当然のことだ。

これ以外に、企業団体献金の全面禁止を定めるべきだ。
政党交付金制度を構築した際の大前提は企業団体献金を廃止することだった。この点も明確にすべきだ。
野党は本来、予算審議の際に岸田首相から法改正の具体的内容について確約を取り付けるべきだった。
岸田首相が確約しなければ予算審議に応じない。この強い姿勢が必要だったが、野党は予算の年度内成立に全面的に協力した。野党が本気で法改正を断行する意思を有しているのかどうか。疑問符が付く。

ただ、一方で自民党は、後半国会においても抜本法改正の方針を示さない。
この自民党の対応をまずは断罪しなければならない。
4月28日に衆院3補選がある。主権者はこの選挙で自民党に明確なNOを突きつける必要がある。

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身内の公明党に突き上げられ出してきた政治資金法改正お粗末な自民党案
                     まるこ姫の独り言 2024.04.24
政治資金規正法の改正案は、野党は軒並み出してきているのに、裏金の本家本元自民党、本来は自民党が率先して案を出してこなければいけないのにいつまでたってもグダグダグダグダ・・・・・

野党案はどの党もすでに出してきている。

そもそも「岸田総理」が信頼回復のために火の玉となって取り組むと言っていたのに、「自民党案」が出てこないのはその場さえしのげれば国民は忘れてくれるという、従来の考えが強いからではないか。

私は、自民党は本格的な「政治刷新」をやるわけがないと思って来たから、全く期待はしていなかったが案の定、その場しのぎの「政治刷新本部」だった。

業を煮やした身内の公明党が国会で、政治資金規正法の改正案、「自民党」はどうなっているのか、やる気はあるのかと問われて慌てて出してきた「自民党案」のお粗末な事は!

自民、規正法「小手先」見直し 政活費、企業献金に踏み込まず 野党「改革に値せず」
                        4/24(水) 7:04配信 時事通信
>自民党は23日の党会合で、派閥裏金事件を受けた政治資金規正法改正の独自案をまとめた。
>焦点の一つだった政策活動費や企業・団体献金の扱いなどにはほぼ触れず、見直しが「小手先」にとどまった印象は拭えない。党内で議論を尽くした形跡もなく、野党は「改革案と呼ぶに値しない」(立憲民主党の泉健太代表)などと批判を強めた。

やっぱり、自民党にとって「裏金」は無くてはならないもので、これを断ち切られたら自民党じゃなくなってしまうという恐れがあったのではないか。

だから最後まで「自民党案」をまとめようとしなかった。

国会で身内の公明党から厳しく言われたことで慌てて出してきた案は、想像はしていたが自民党に甘くて抜け道だらけ。

しかも裏金の温床である「企業団体献金の禁止」「政治活動費」にも踏み込まず、連座制導入も明確にせず、小手先の改革案で国民を騙そうとしている。

この案だと、裏金のほとぼりが冷めたら、自民党は必ず法の抜け道を駆使して必ず裏金作りに邁進する。
企業も、この先も自民党政権が続くと思っているのだろうから自民党に「袖の下」を渡してくる。

そしていつまで経っても金権政治がまかり通る国になって、政治はもとより、経済、教育、少子化問題等々、世界からますます取り残されていくのではないか。

やはり政権政党が自民党一択ではこの国の発展はない。


岸田自民「政治資金規正法」改正案は“抜け穴”だらけのザル…専門家「悪質な論点ずらし」とバッサリ
                          日刊ゲンダイ 2024/04/24
 自民党は組織的な裏金事件をみじんも反省していない。26日に初開催される衆院政治改革特別委員会が迫る中、「ザル法」と呼ばれる政治資金規正法改正をめぐる独自案を23日、ようやく取りまとめた。これで主要各党の案が出そろった形だが、自民案は抜け穴たっぷり。
 岸田首相はこのところ「規正法改正をこの国会会期中に実現する」と力んでいるが、フタを開けてみればやっぱりハリボテだ。これで政治改革なんてふざけるにもほどがある。
 自民案はこうだ。政治資金収支報告書の提出時に国会議員による「確認書」添付を義務付け、不記載・虚偽記載への監督責任を明記。会計責任者が収支報告書への不記載などで処罰された場合の罰則規定は、議員が必要事項をチェックせずに確認書を交付したケースに限定した。厳罰化からはほど遠く、大甘だ。一方、不記載の相当額を没収し、国に納付させる規定を設けた。
 法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)はこう指摘する。
法的責任を最大限回避し、金銭的責任を取るポーズでお茶を濁す。自民党案は盗品に色を付けて返せばいいだろう、と言っているようなもので、議論のたたき台にもなりません。悪質な論点ずらしです。会計責任者が有罪になった場合、議員が自動失職する連座制を導入しなければ、再発防止策にはなり得ない。岸田首相は会長を務めていた宏池会の元会計責任者が有罪になったにもかかわらず、自身にはおとがめなし。規正法改正案も“抜け道”だらけ。ここまで世論の怒りに鈍感なのは、国民を代表する首相ではなく、自民党員の首相だからなのでしょう」

自民作業部会の座長は“骨抜き”の自覚をポロリ
 白鳥氏は国会から独立した第三者機関による外部監査の導入、収支報告書のデジタル化のほか、政党交付金の減額や不交付などのペナルティーも必須だとする。調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明化もしかりだ。連座制導入も含め、このあたりは野党も要求していて、政治資金パーティーや企業・団体献金、政治活動費の禁止も求めている。
 規正法改正をめぐる自民の作業部会座長の鈴木馨祐衆院議員はきのうの会合後、「厳密な『連座制』ではないが、『連座制』といわれるものには近いと思う」と発言。骨抜きの自覚をポロリした。
 自民の裏金問題は、派閥の政治資金パーティーの販売ノルマ超過分の還流にとどまらず、政治団体間で資金を移動させて使途公開率を引き下げるマネロン疑惑もくすぶっている。金権腐敗のド真ん中にいる連中が政治改革なんて片腹痛い。どだい無理な話なのだ。

水俣病終わってない 進む高齢化 救済早く 2次訴訟原告 官邸前で訴え

 全ての水俣病被害者の救済を目指し、熊本、大阪、東京、新潟で裁判をたたかっている「ノーモア・ミナマタ第2次訴訟」の原告・弁護団ら約30人は25日、首相官邸前などで「水俣病問題はまだ終わっていない」などと訴え被害者の高齢化が進む中、政治的に問題を解決して早期に救済するよう求めました原告約1700人の平均年齢は75歳以上で、すでに約300人が亡くなりました
 水俣病はいち早く熊本大学が有機水銀が原因と解明したのですが、化学工業の重要な基材であるアセトアルデヒドの生産体制を維持するために、政府や化学工業会が異論を差しはさみ原因を確定させなかったために、結果的に大量の患者を発生させました。
 政府や化学工業会の結果責任は重大です。
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水俣病終わってない 進む高齢化、救済早く 2次訴訟原告 官邸前で訴え
                       しんぶん赤旗 2024年4月26日
 全ての水俣病被害者の救済を目指し、各地で裁判をたたかっている「ノーモア・ミナマタ第2次訴訟」の原告・弁護団ら約30人は25日、首相官邸前などで「水俣病問題はまだ終わっていない」などと訴えました。被害者の高齢化が進む中、政治的に問題を解決して早期に救済するよう求めました。




首相官邸前で、「政治的解決で早期救済を」と訴える「ノーモア・ミナマタ第2次訴訟」の原告ら=25日、東京都千代田区



 「ノーモア・ミナマタ第2次訴訟」は、熊本、大阪、東京、新潟の各地裁に提訴されました。原告約1700人の平均年齢は75歳以上で、すでに約300人が亡くなりました
 マイクを握った原告らは、昨年9月から続く大阪、熊本、新潟の各地裁判決で、多くの原告を水俣病患者だと認定したと指摘。いまだに救済されていない被害者がいると述べ、「生きているうちに救済を」と訴えました。

 熊本訴訟の原告の﨑代(さきしろ)義治さん(69)は、熊本県の旧龍ケ岳町(現上天草市)に生まれました。子どもの頃からメチル水銀に汚染された魚を毎日食べていたといいます。同級生は、わずか2年で申請受け付けが締め切られた特措法(2009年施行)で救済されました。他府県で仕事をしていた﨑代さんは同法の存在を知りませんでした。現行の補償制度では救済されません。
 提訴から約10年。各地裁判決が出たのは、まだ一部の原告です。﨑代さんもまだ判決が出ていません。今後、地裁判決が出た原告は高裁でのたたかいが控えており、裁判が長期化することは避けられません。
 官邸前で﨑代さんは、「もうすぐ70歳になり、もう後がない。(岸田)首相の力で政治解決してほしい」と訴えました。
 各地の原告・弁護団らはほかに、衆院第2議員会館や環境省の前でも訴えました。

21世紀に甦るウェーバー その社会科学の慧眼と普遍的説得力に圧倒される

 世に倦む日日氏が掲題の記事を出しました。
 同氏は最近X(マックス・)ウェーバーが現代世界をグリップしている」呟き続けているということで、それがどういう着想なのか具体的に説明したいとして、ウェーバーの「職業としての政治」(1919年)の一節「 ~ 自分の魂の救済を願う者は、これを政治という方法によって求めしない。政治には、それとはまったく別の課題、つまり暴力によってのみ解決できるような課題がある」という主張が、ハンナ・アーレント以降大バッシングを受け続けてきたことから書き起こしています。
 それは理想主義から逸脱しているので受け入れがたかったのでしょうが、目下繰り広げられている、双方で50万人の死者を出している「ウクライナ戦争」やとめどな残虐凄惨なガザでの大虐殺を見ると、それは正しく政治が生み出したものであり、「私は何も言えず、ただ一世紀前のウェーバーの古典の言葉の前にうなだれ畏まるだけだ。真の正義の神が現れてパレスチナを救う奇跡を祈るだけだ」と述べます。
 そして自分をうなだれさせるのは資本主義という根本問題についての観想と諦念が原因で、どれほど時間が経っても、まだ当面は、マルクスとウェーバーの時代が続くことを直観するとして、「21世紀も20世紀と同様に、マルクスとウェーバーの二本立ての世界が続いてゆく。人の心の中に宿り続け、教えを授け続ける。マルクスとウェーバーは不滅である」と結んでいます
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21世紀に甦るウェーバー - その社会科学の慧眼と普遍的説得力に圧倒される
                       世に倦む日日 2024年4月25日
最近、で「ウェーバーが現代世界をグリップしている」と呟き続けている。どういう着想なのか具体的に説明したい。それは、ウェーバーの理論と命題が、否定できない真理として、目の前の現代世界を貫徹し支配しているという率直な認識と判断である。だが、その中身は、決してポジティブでハッピーな意味で言っているのではない。逆だ。実相としてはきわめてネガティブで厭わしい、理想とは全く逆の、野蛮と地獄と絶望の世界が出現していて、狂気のまま果てしない破壊と暴虐を拡大させている。そのカオスでカタストロフな世界を、知性と思念の力で解読し意味づけようとするとき、ウェーバーの言葉が屹立した啓示としてわれわれに迫ってくるという感覚だ。ウェーバーの学問的意義が明らかに大きくなっている。再びウェーバーを読み学んで考えないといけないときだ。そう確信を覚えて興奮する。

政治学がウェーバーの下に還っている。順番に論じよう。まず、暴力の問題がある。ウクライナ戦争が始まる前、開戦前夜の軍事的緊張が高まっていた2021年12月下旬、プーチンの行動を解説する論理として『職業としての政治』の一節が思い浮かび、ブログ記事の冒頭に提示した。

『およそ政治をおこなおうとする者、とくに職業としておこなおうとする者は(中略)すべての暴力の中に身を潜めている悪魔の力と関係を結ぶのである。無差別の人間愛と慈悲の心に溢れた偉大な達人たち(キリストやブッダ)は、暴力という政治の手段を用いしなかった。自分の魂の救済を願う者は、これを政治という方法によって求めしない。政治には、それとはまったく別の課題、つまり暴力によってのみ解決できるような課題がある。(中略)悪魔の力は情け容赦のないものである」(岩波文塵P。99-101)。

暴力と政治の関係を語ったウェーバーの有名な一般論だが、この古典的で非情な性格の学説に対して世間の評判は概してよくない。国連憲章が制定されて国際秩序が平和主義の原理の下で維持されてきた20世紀後半以降は、この理論は19世紀的な前時代の遺物という見方がされてきた。3年前に中公新書から出版された野口雅弘の『マックス・ウェーバー』を読むと、第四章の中に(P.107)「暴力をめぐるロールズとアーレント」と小見出しが付されて論述された部分があり、そこでアーレントによるウェーバー批判が短く紹介されている。
曰く、

政治における暴力の契機を押し出すウェーバーの議論に、最も厳しい批判をしたのが、ハンナ・アーレントだった。政治的権力を暴力に還元するウェーバー的思考に対して彼女は (中略) 他者と一致して行為するところで生じるのがパワーであり、それは暴力と異なるというだけでなく、むしろ暴力の対極にあるという。(中略) アーレントだけでなく、ウェーバー以降、多くの政治理論家が暴力を中心に据える彼の理論を批判してきた。なかでもフェミニズムの理論家がこうした立場を明確にしているのは偶然ではない。

                   野口雅弘『マックス・ウェーバー』P.109-110
こうしたウェーバー暴力論への批判的視角が、戦後から現在までの支配的な空気であり、ウェーバー政治学を「時代遅れ」として排斥する論点だったように思われる。特に80年代以降、脱構築アカデミーの隆盛に拠って群れ、ウェーバーを「近代主義」の権化として無価値化するサラリーマン学者たちの常套句だった。だが、見よ。2024年4月の今日、ウクライナ戦争は2年を越えて続き、双方で死傷者は50万人以上に達している。ロシアとNATOが事実上激突する熾烈な戦争がウクライナの地で行われ、第三次世界大戦の入り口だと言われているにもかかわらず、交渉で解決せよという声は出ない。EUや西側の政府指導者からだけでなく、西側のアカデミーの学者から出ない。皆、口を揃えて「戦闘でロシア軍を撃退せよ」「ウクライナに武器を送れ」と咆えている

アーレント大好きな日本のリベラル諸学者が、「戦争継続」「撃ちてし止まん」「ロシア打倒」を絶叫して旗を振っている。「ウクライナ疲れ」の大衆気分を払拭し、戦争支援の声を鼓舞し高揚させるべく、血眼で戦争プロパガンダを吠え、世論を扇動しているのが、ロールズやアーレントを祀る神殿で奉職する神官(親米俗流学者)たちに他ならない。そこには、アーレントの暴力忌避論の契機などどこにもない。暴力と攻撃あるのみであり、停戦や和平交渉の意義は完全に否定されている。ウクライナとNATOが正義だとする無謬のドグマが信奉され、正義の勝利のために無限の暴力の行使が正当化されている。そして、少しでもこの戦争の本質に社会科学的な懐疑のメスを入れ、価値判断を相対化し、停戦を呼びかける者には、「陰謀論者」のレッテルが貼られ、口汚い罵倒と侮辱が浴びせられる

さらに進めよう。ウェーバーを復活させた決定的な現実は、イスラエルによるパレスチナの大量虐殺だ。暴力。暴力。暴力。とめどない残虐で苛烈な暴力。しばき隊的な粗暴で野蛮で凄惨な暴力。殺戮は半年に及び、現在なお続いていて、ガザの人々は3万4000人殺害され、子どもの犠牲者が1万3000人に上っている(24.4.22時点)。イスラエルによるガザ大虐殺の前には、ただ精神が凍りつくのみで、何の言葉も発せられない。どんな理屈も口舌も出てこない。毎日毎日、無残に子どもが殺されている。これほど苛烈で残酷な悲劇をわれわれは目にしたことがあるだろうか。これまで経験したことがあるだろうか。逃げ場もなく母親や子どもたちが殺戮される映像が配信され拡散されながら、国連で何やら陳腐で空疎な討議がされている。私は何も言えず、ただ一世紀前のウェーバーの古典の言葉の前にうなだれ畏まるだけだ。真の正義の神が現れてパレスチナを救う奇跡を祈るだけだ。

エマニュエル・トッドは、ウクライナ戦争については正論を述べている。公平な知識人の態度を示している。だが、トッドからガザ大虐殺を非難する言説は聞こえない。誰からも聞こえない。誰も何も言わず、イスラエルの残虐な殺戮を許容し黙認している。リベラルだのデモクラシーだの、ロールズだのアーレントだの、他者への寛容だの、凡庸の悪の注視だの、レイシズム撲滅だの言ってアカデミーの司祭にのさばっている連中が、イスラエル批判の言挙げをしない。陣頭に立とうとしない。反ユダヤの差別がどうのと筋違いの欺瞞論法を持ち出し、イスラエルの蛮行を正当化している。イスラエル批判の声を狡猾に封殺している。ガザで昨年から起きている恐怖の出来事は、暴力の規模といい、残忍さといい、まさに広島・長崎への原爆投下に匹敵する。しかも、それがリアルタイムに中継されている。「きのこ雲の下」の惨劇は目の前にある。その現実に、一体、どんな言葉を与えればよいのか。

関連して、ウェーバーの学問の説得力が(私の中で)大きく張り出した理由は、ユダヤ教という問題である。ユダヤ教とキリスト教という問題であり、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教という宗教の問題の台頭である。ウェーバーは、否、ウェーバーこそが、宗教の問題をせっせと研究して大系的労作を残していた。宗教を理解できないと世界は理解できない。イスラエルという悪魔を科学的に考察するに当たっては、ユダヤ教とは何かの基本的知識を持たないといけない。それは、旧約聖書を読んで内容を理解することを意味する。けれども、それはきわめて困難な作業が予想され、普通の日本人には難解すぎて歯が立たず到底無理だろう。然らば、何か定評ある学問的作品はないかと探すと、ウェーバーの『古代ユダヤ教』に行き当たるという次第になる。ヨーロッパ近代の知性からの、したがって、無論、そこにはバイアスの罠はあるのだけれど、宗教社会学の方法による旧約聖書の解読の所産だ。

他に誰がいて、どんな社会科学の著作があるだろうか。イスラエルとアメリカの悪魔的暴力の実体を把握し、批判的に了解しようと思えば、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読み、『古代ユダヤ教』を読むのが早道で、そこから思考を巡らせることが日本の知識人の標準的通路だと思われる。参考になる日本語の研究書が多く見つかると期待される。ジャーナリズム的なレベルのイスラエル批判なら、あるいは国際政治上の知見なら、岡真理や伊勢崎賢治で十分に違いない。が、黙示録的な悪魔の本質を掌握する力業を得るには、もっと思想的に深淵な領域に踏み込む必要がありそうだ。ここで、いきなり飛躍した議論に脱線して恐縮だが、ユダヤ教も、そしてカルヴィニズムに特徴的な初期プロテスタンティズムの原理主義も、凡俗な東アジア人の私の目には、ある種の精神病理を抱えた現象のように見えてならない。つまり狂気と総括できるのではないか。

それはともかく、ウェーバーは世界宗教の経済倫理に着目し、ヨーロッパ近代の独自性と普遍性を弁証するべく、儒教と道教、ヒンズー教と仏教、古代ユダヤ教と、次々と研究して成果を出して行った。単騎、無人の野を行く如く。今日、社会科学で現代世界を理解しようとする者は、同じ追跡を試みないといけない。例えば、インドという巨大な現実がある。インドは日毎に存在の影を大きくし、インドに無関心な者は現代世界を語れない。インドを理解しようと思えば、その思想と歴史を知る必要があり、ヒンズー教を理解しないといけない。どうやってヒンズー教に接近するか。いろいろな方法と通路があるが、ウェーバーの宗教社会学を参考にするという勉強も有効だろう。インドも中国と同様、いずれ欧米の世界支配に挑戦する勢力となるに違いない。その近未来の緊張感と関係性を想像するとき、近代ヨーロッパの知性がインドの思想性をどう捉えていたか知ることは意味がある。

そう考えると、ウェーバーの残した学問的遺産の意義と価値はとても大きい。誰もかなう者はいない。以上、ここまで、暴力の問題とユダヤ教(イスラエル)の問題とインドを例に挙げ、ウェーバーの説得力が極端に大きくなり、理論的関心対象の中でウェーバーに焦点を当てる度が高くなった事実を指摘した。それは決して、人類の希望の曙光を見い出し楽観的展望を導く認識ではない。繰り返すが、逆である。絶望と断念と怨怒を伴う身震いする確信のみが立ち上がる。だが、何より、私がウェーバーの前にうなだれて絶句してしまうのは、資本主義という根本問題についての観想と諦念が原因だ。それについては次に書きたい。どれほど、どれほど時間が経っても、まだ当面は、マルクスとウェーバーの時代が続くことを直観する。21世紀も、20世紀と同様に、マルクスとウェーバーの二本立ての世界が続いてゆく。人の心の中に宿り続け、教えを授け続ける。マルクスとウェーバーは不滅である。

還暦もとっくに過ぎ、健康寿命の年まであとわずかとなったが、そのことは断言したい。もっとウェーバーを熱心に読んで学問を習得しておけばよかったと後悔する。まるで、ウェーバーはヤハウェ旧約聖書におけるイスラエル民族の神のようだ。岩波文庫のページを開く私にウェーバーが冷酷に言う。「おまえはいつまで経っても無知で甘ちゃんだな。ナイーブなボーイだな。勉強が足りないんだよ」。

27- 中近東における強力かつ責任ある大国であることを示したイラン

 「マスコミに載らない海外記事」に掲題の記事が載りました。
 記事は、4月13日にイランがイスラエルの軍事施設に向けて300機以上の無人機とミサイルで直接反撃したのは史上初めてで、これはこれまでイスラエルとアメリカに対する直接攻撃を回避する「戦略的忍耐の概念」に導かれていたイラン政府にとって、本質的に新たな政策路線の始まりだと評価しています。
 ダマスカスのイラン総領事館に対するイスラエルの攻撃を非難しなかった欧米諸国は、イランの反撃をすぐさま最も強い言葉で批判しましたが、それは「偽善と二重基準のオンパレード」(ロシアの国連代表)に他なりません。この欧米諸国の立場は「うんざりするほど身勝手」に見えるとアルジャジーラ・ウェブサイトは指摘しました。

 その一方で、米国大統領は「イランと戦争をしないし、イランに反撃するテルアビブ(イスラエルの首都)の軍事攻撃を支持しない」と直ぐさま宣言しました。それには「イスラエルはイランに損害を与えることは可能だが、イランを打ち負かすことはできない」という確固とした大前提の認識がありました。
 中東で起きていることは全て、アメリカの立場が深刻に弱まっていることの顕れで、近い将来、中東情勢がどのように発展しようとも、アメリカの影響力が低下し、イランの重要性が増大する傾向は極めて明白になりつつあると記事は結んでいます。
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中近東における強力かつ責任ある大国であることを示したイラン
                マスコミに載らない海外記事 2024年4月26日
                     Veniamin Popov 2024年4月21日
                        New Eastern Outlook
 2023年10月7日と2024年4月13日は新たな勢力バランスを定義した節目として中東史に残るだろう。イスラエルの軍事的優位と無敵の軍という神話は永遠に失われるだろう。
 膨大な人命の損失と破壊をもたらしたガザ虐殺はネタニヤフ政権を国際社会で事実上孤立させた。彼の軍事挑発を外交的に擁護したのはアメリカと他の西側諸国数か国だけだった
 4月1日にイスラエルがダマスカスのイラン総領事館を襲撃し、イスラム革命防衛隊(IRGC)幹部らを殺害した際、この明らかな国際法違反を非難するのを欧米諸国は拒否し、このテロ行為に関する国連安全保障理事会の議論を妨害した

 この凶悪な犯罪への反撃を、多くの政治勢力がテヘラン(⇒イランの首都)で要求しており、国連安全保障理事会がこの攻撃を非難する明確な決定を下した場合、イラン当局は武力行使を控える用意があるとイラン国連代表は明言した。
 4月13日、イランはイスラエルの軍事施設に向けて300機以上の無人機とミサイルを発射した。イランが自国領からイスラエルを直接攻撃したのは史上初めてだ。これは、それまでイスラエルとアメリカに対する直接攻撃を回避する「戦略的忍耐の概念」に導かれていたイラン政府にとって、本質的に新たな政策路線の始まりだ。
 イランはミサイル兵器のごく一部のみを使用し、イスラエル攻撃の場合には新型巡航ミサイルと極超音速ミサイルを使用する準備ができていると警告した。4月13日には軍事目標のみを標的にし、民間人死傷者を避ける方法で作戦全体が実施された。
 イラン無人機とミサイルのほぼ99パーセントが、アイアンドーム防空システムとアメリカ、イギリス、フランスの対空システムにより迎撃されたとテルアビブは発表した。
 重要なのは、ダマスカスのイラン総領事館に対するイスラエル攻撃を非難するのをためらった欧米諸国が、イスラエルに対するイラン攻撃を、すぐさま最も強い言葉で批判したことだ。こうした行為を「偽善と二重基準のオンパレード」とロシアの国連代表は呼び、この攻撃が欧米諸国の外交公館を襲っていたら、抗議活動の混乱と波は未曾有のものになっていたはずだと強調した。この事件における欧米諸国の立場は「うんざりするほど身勝手」に見えるとアルジャジーラ・ウェブサイトは指摘した。

 12月初旬から3月下旬にかけてイラン・イスラム革命防衛隊の司令官や顧問ら約12人をイスラエルが殺害し、最終的にダマスカスのイラン外交使節団攻撃に至ったとアメリカ・マスコミさえ書いた。「我が国の総領事館への攻撃は我が国への攻撃に等しい」とイランの最高指導者アリ・ハメネイ師は述べた。アメリカや地域の多くの国々に対し、限定的かつ相応の方法で報復するとイランは警告している。
 4月13日のイスラエル軍事目標攻撃は、イスラエル領への直接攻撃の前例を作るイランの能力を明確に想起させた。ワシントンはイランと戦争をしないし、イランの攻撃に反撃するテルアビブの軍事攻撃を支持しないとアメリカ大統領は、直ぐさま宣言した。
 紛争が地域戦争に拡大するのを防ぐために、ロシアや中国やグローバル・サウスの多くの国々は自制を求めた

 イスラエル国内で、イランに対する即時報復攻撃をタカ派は要求している。「イスラエルにはイラン空爆を命令するあらゆる道義的権利があるが、それは戦略的に賢明ではない」とワシントン・ポスト紙は書いた。イランの人口は8,850万人だが、イスラエルの人口はわずか950万人だ。イランには50万人以上の現役軍人がおり、高度な兵器産業があり、地域全体に強力な代理人の広大なネットワークがある。イスラエルはイランに損害を与えることは可能だが、イランを打ち負かすことはできない」(イランの面積は1,648,000平方キロ、イスラエルの面積は22,145平方キロだ)。
 バイデン政権がイスラム共和国との戦争に巻き込まれることに消極的なのは当然で、そうなれば原油価格高騰と世界経済低迷につながる可能性が高いと記事の著者で政権寄りのコラムニスト、マックス・ブートは指摘している。バイデンはネタニヤフ首相に自制を促しているが、問題はイスラエル首相が聞く耳を持つかどうかだ。

 一般に、中東で起きていることは全て、アメリカの立場が深刻に弱まっている証拠だ(イスラエルがダマスカスのイラン総領事館襲撃について警告しなかったことにアメリカ人は不満を抱いている)。ガザでのパレスチナ人虐殺を阻止できないワシントンは、最も近い同盟国にさえ、無謀な行動を止められないのだ。これらの全てを、この地域の国々は注意深く監視しており、適切な結論を導き出している。サウジアラビアの新聞アシャルク・アルアウサットの編集長によると、最近の出来事により、イスラム世界におけるイランのソフトパワーが著しく増大しているという
 近い将来、中東情勢がどのように発展しようとも、アメリカの影響力が低下し、イランの重要性が増大する傾向は極めて明白になりつつある

 ヴェニアミン・ポポフは特命全権大使、歴史学博士候補者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/04/21/iran-shows-itself-as-a-powerful-and-responsible-power-in-the-near-and-middle-east/ 

2024年4月24日水曜日

学術会議は平和の要石/学術会議法人化に異議 総会で批判次々

 岸田政権は昨年12月、学術会議を国の機関から切り離し法人化する方針を決定し、外部者らが学術会議の会員選考や運営に関与する「助言委員会」、大臣が任命する「監事」「評価委員会」などを新設するとして、415日には、同会議の在り方を検討する有識者懇談会に、組織体制と会員選考のワーキンググループを設置し具体的な検討を進めています。
 こうした動きが学術会議「法人」の独立性を担保するものではなく、逆に政府が合理的に干渉できるようにするためのものであるのは明らかです。
 しんぶん赤旗のシリーズ「こんな政治でいいのか」における栗田禎子千葉大教授インタビュー記事と「学術会議法人化に異議 総会で政府方針に批判次々」の記事を紹介します。
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こんな政治でいいのか 私も言いたい 学術会 平和の要石
    千葉大挙教授 前日本学術会議会員 粟田禎子さん
                        しんぶん赤旗 2024年4月21日
 日本学術会議「法人化」の企てが急速に進んでいます。これは2020年秋の「任命拒否」事件以来の、政府による学術会議への介入、学術会議つぶしの動の最終段階です
 「任命拒否」事件直後から、政府は学薯会議の「あり方」自に問題があると言いだしました。そして22年12月に。設置形態は変えないものの国の機関であるからには学術会議は政府と「問題意識を共有」すべきだとし、会員選考等に対しても統制を強める方針を示したのです。しかし学術会議の独立性を侵害するものだとして国内外から批判の声上がり、学術会議も改悪法案提出を思いとどまるよう求める「勧告」を発した(23年4月)結果、政府は法案提出断念に追い込まれました。

 これを受けて政府が出してきたのが今回の「法人化」計画です。今度は一転して「学述会議の独立性の担保が重だ」とし、「そのために国から切り難し法人化する}としているのですが、「財政基盤の多様化」(財界等から資金獲得)を求めると共に、運営や会員選考方針等についても「外部」の目を入れる必要性を強調し、大臣が任命する監事や評価委員会を置くなどむしを介入統制を一層強め、学術会議の活動の自由を奪おうとする意図が鮮明です
 学術会議は1949年、戦前の日本で「学問の自由」が保障されず、学術が軍国主義に奉仕ざせられた反省の上に設立された、日本の科学者の代表機関です。科学が文化国家・平和国家の基礎だとの信念に基づき、国の機関であると時に時の政権からは独立した立場で、行政や産業、国民生活に関する科学的提言を行ってきました。今「学術会議つぷし」の動きが進んでいるのは、このような学術会議の性格が現政権にとって不都合だからだと考えられます。
 「安保法制」制定以来、政府は米国と一体化して戦争できる体制づくりに邁進し、国等と共同の武器開発・武器輸出にも乗り出しています。学術をはじめ社会全体を戦争に動員しようとしており、科学者の独立性を体現する学術会議が邪魔になっているのでしょう。学術会議への攻撃を市民と科学者の共闘ではね返すことは、日本が戦争に向かう流れを食い止める上で重要です   (聞き手 田中佐知子)


学術会議法人化に異議 総会で政府方針に批判次々
                      しんぶん赤旗 2024年4月23日



日本学術会議の第191回総会=22日、東京都港区



 政府が日本学術会議の独立性を損なう法人化を狙うなか、同会議は22日、東京都内で総会を開きました。会員からは、政府案への批判とともに学術会議として積極的に対案を示していくべきだとの訴えが相次ぎました。
 岸田文雄政権は2023年12月、学術会議を国の機関から切り離し法人化する方針を決定。外部者らが学術会議の会員選考や運営に関与する「助言委員会」、大臣が任命する「監事」「評価委員会」などを新設するとしています。今月15日には、同会議の在り方を検討する有識者懇談会に、組織体制と会員選考のワーキンググループを設置し、具体的な検討を進めています
 総会の議論では「政府には法人化の必要性と合理性を明示的に説明する責任があるのに、一切示していない」「学術会議が国の機関であることは、政府が学術の意見に耳を傾ける姿勢をもっていることを国内外に示すものだ」など、法人化への反対意見が次々表明されました。

 学問が国に弾圧された戦前の歴史と、学術会議の会員任命拒否問題に言及した上で、学術会議が法人化された後の日本の将来を危惧する声もあがりました。光石衛会長は、「(政府側で)学術の活動が理解されないまま議論が進んでいる」と指摘。1949年に設立された学術会議の「75年の歴史が途切れる状況に陥りつつある」と危機感を示し、「途切れさせない任務をわれわれは負っている」「ここ3カ月が勝負だ」と述べました。
 同日、学術会議前では、軍学共同反対連絡会が宣伝行動し、政府の狙いは、軍事研究に反対してきた同会議の弱体化だとし、学術会議に市民との対話を求めました。