2017年10月22日日曜日

皇后陛下お誕生日に際し 記者会質問に文書回答

皇后陛下お誕生日に際し(平成29年)   宮内庁 2017年10月20日
宮内記者会の質問に対する文書ご回答
 この1年も九州北部豪雨をはじめとする自然災害などさまざまな出来事がありました。6月には「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立し、9月には眞子さまのご婚約が内定しました。この1年を振り返って感じられたことをお聞かせください。

皇后陛下

 熊本地震から1年半が経ちましたが、この1年間にも、各地で時には震度6弱にも及ぶ地震、激しい集中豪雨による川の氾濫や土砂崩れなどがあり、こうしている今も、九州では新燃岳の噴火が間断なく続いています。
 昨年の熊本地震に始まり、豪雨により大きな被害を受けた九州北部では、今も大勢の人たちが仮設住宅で生活を続けていること、更に地震や津波の災害から既に6年以上経た岩手、宮城、福島の3県でも、今なお1万8000人を超す人々が仮設住宅で暮らしていることを深く案じています。
 また、北九州には、地震で被災した後に、再び豪雨災害に見舞われた所もあり、そうした地区の人たちの深い悲しみを思い、どうか希望を失わず、これから来る寒い季節を、体を大切にして過ごして下さるよう心から願っています。

 本年は年明け後、陛下と御一緒にベトナムを訪問いたしました。これまでアジアの各地を訪問して参りましたが、子どもの頃「仏印」という呼び名でなじんでいたこの地域の国を訪れるのは初めてで、たしか国民学校の教科書に「安南シャムはまだはるか」という詩の一節があったことなどを思い出しつつ、参りました。
 今回訪問したことにより、ベトナム独立運動の先駆者と呼ばれるファン・ボイ・チャウと日本の一医師との間にあった深い友情のことや、第二次大戦後の一時期、ベトナムで営まれていた日本の残留兵とベトナム人の家族のことなど、これまであまり触れられることのなかった、この国と日本との間の深いつながりを知ることができ、印象深く、忘れ難い旅になりました。

 今年は国内各地への旅も、もしかすると、これが公的に陛下にお供してこれらの府県を訪れる最後の機会かもしれないと思うと、感慨もひとしお深く、いつにも増して日本のそれぞれの土地の美しさを深く感じつつ、旅をいたしました。こうした旅のいずれの土地においても感じられる人々の意識の高さ、真面目さ、勤勉さは、この国の古来から変わらぬ国民性と思いますが、それが各時代を生き抜いてきた人々の知恵と経験の蓄積により、時に地域の文化と言えるまでに高められていると感じることがあります。
 昨年12月に糸魚川で大規模な火災が起こった時、過去の大火の経験から、住民間に強風への危機意識が定着しており、更に様々な危機対応の準備が整っていて、あれほどの大火であったにもかかわらず1名の死者も出さなかったことなど、不幸な出来事ではありましたが、そうした一例として挙げられるのではないかと思います。

 米国、フランスでの政権の交代、英国のEU脱退通告、各地でのテロの頻発など、世界にも事多いこの1年でしたが、こうした中、中満泉さんが国連軍縮担当の上級代表になられたことは、印象深いことでした。「軍縮」という言葉が、最初随分遠い所のものに感じられたのですが、就任以来中満さんが語られていることから、軍縮とは予防のことでもあり、軍縮を狭い意味に閉じ込めず、経済、社会、環境など、もっと統合的視野のうちに捉え、例えば地域の持続的経済発展を助けることで、そこで起こり得る紛争を回避することも「軍縮」の業務の一部であることを教えられ、今後この分野にも関心を寄せていく上での助けになると嬉しく思いました。
 国連難民高等弁務官であった緒方貞子さんの下で、既に多くの現場経験を積まれている中満さんが、これからのお仕事を元気に務めていかれるよう祈っております。

 この1年を振り返り、心に懸かることの第一は、やはり自然災害や原発事故による被災地の災害からの復興ですが、その他、奨学金制度の将来、日本で育つ海外からの移住者の子どもたちのため必要とされる配慮のことなどがあります。
 また環境のこととして、プラスチックごみが激増し、既に広い範囲で微細プラスチックを体内に取り込んだ魚が見つかっていること、また、最近とみに増えている、小さいけれど害をなすセアカゴケグモを始めとする外来生物の生息圏が徐々に広がって来ていることを心配しています。こうした虫の中でも、特に強い毒性を持つヒアリは怖く、港湾で積荷を扱う人々が刺されることのないよう願っています。

 カンボジアがまだ国際社会から孤立していた頃から50年以上、アンコール・ワットの遺跡の研究を続け、その保存修復と、それに関わる現地の人材の育成に力をつくしてこられた石澤良昭博士が、8月、「マグサイサイ賞」を受賞されたことは、最近の嬉しいニュースの1つでした。博士が「カンボジア人によるカンボジア人のための遺跡修復」を常に念頭に活動され、日本のアジアへの貢献をなさったことに深い敬意を覚えます。
 医学の世界、とりわけiPS細胞の発見に始まるこの分野の着実な発展にも期待をもって注目しており、これにより苦しむ多くの病者に快復の希望がもたらされる日を待ち望んでいます。

 スポーツの世界でも、様々な良い報せがありました。特に女子スピードスケートの世界スプリント選手権で、日本女子が初めて総合優勝に輝いたこと、陸上競技100メートル走で、遂に10秒を切る記録が出、続いて10秒00の好記録がこれを追う等、素晴しい収穫の1年でした。現役を引退するフィギュアスケートの浅田真央さん、ゴルフの宮里藍さん、テニスの伊達公子さんの、いずれも清すがしい引退会見も強く印象に残っています。
 将棋も今年大勢の人を楽しませてくれました。若く初々しい棋士の誕生もさることながら、その出現をしっかりと受け止め、愛情をもって育てようとするこの世界の先輩棋士の対応にも心を打たれました。
 宗像・沖ノ島と関連遺産群がユネスコの世界遺産に登録されることも喜ばしく、今月、宗像大社を訪れることを楽しみにしています。

 今年もノーベル賞の季節となり、日本も関わる2つの賞の発表がありました。文学賞は日系の英国人作家イシグロ・カズオさんが受賞され、私がこれまでに読んでいるのは一作のみですが、今も深く記憶に残っているその一作「日の名残り」の作者の受賞を心からお祝いいたします。
 平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン「ICAN」が受賞しました。核兵器の問題に関し、日本の立場は複雑ですが、本当に長いながい年月にわたる広島、長崎の被爆者たちの努力により、核兵器の非人道性、ひと度使用された場合の恐るべき結果等にようやく世界の目が向けられたことには大きな意義があったと思います。そして、それと共に、日本の被爆者の心が、決して戦いの連鎖を作る「報復」にではなく、常に将来の平和の希求へと向けられてきたことに、世界の目が注がれることを願っています。

 今年も大勢の懐かしい方たちとのお別れがありました。
 犬養道子さん、医師の日野原重明先生、三浦朱門さん、大岡信さん、元横綱の佐田の山さん、新潟県中越地震の時に山古志村の村長でいらした長島忠美さん、宮内庁参与として皇室を支えて下さった原田明夫さんなど。
 また、この1年は「うさこちゃん」のディック・ブルーナさん、「くまのパディントン」のマイケル・ボンドさん、「コロボックル物語」の佐藤さとるさん、絵本作家の杉田豊さんなど、長く子どもたちの友であって下さった内外の作家や画家を失った年でもありました。
 今から25年前、アルベールビル冬季五輪のスピードスケート1000メートルで3位になった宮部行範さんの、48歳というあまりにも若い逝去も惜しまれます。入賞者をお招きした赤坂御所で、「掛けてみます?」と銅メダルを掛けて下さったことを、ついこの間のことのように思い出します。

 昨年の10月には、三笠宮様が100歳の長寿を全うされ、薨去になりました。寂しいことですが、大妃殿下が御高齢ながら、今も次世代の皇室を優しく見守っていて下さることを本当に有り難く、心強く思っております。
 身内では9月に、初孫としてその成長を大切に見守ってきた秋篠宮家の長女眞子と小室圭さんとの婚約が内定し、その発表後程なく、妹の佳子が留学先のリーズ大学に発っていきました。また、この6月からは、私どもの長女の清子が池田厚子様のおあとを継ぎ、神宮祭主のお役に就いております。
 陛下の御譲位については、多くの人々の議論を経て、この6月9日、国会で特例法が成立しました。長い年月、ひたすら象徴のあるべき姿を求めてここまで歩まれた陛下が、御高齢となられた今、しばらくの安息の日々をお持ちになれるということに計りしれぬ大きな安らぎを覚え、これを可能にして下さった多くの方々に深く感謝しております。

長谷部恭男教授「目的が分からない安倍首相は不気味」

 憲法学界の重鎮である長谷部恭男元東大教授に日刊ゲンダイがインタビューしました。
 長谷部氏は、小池新党の改憲への姿勢は自民党と同じ、首相の解散権に合理的な根拠はない、憲法に自衛隊を明記するのは、集団的自衛権を行使出来る自衛隊が憲法に書き込まれ固定化されるので認められない、安倍首相の場合は改憲が自己目的化していて、改憲で何をしたいのかが見えない、などと述べました。
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 注目の人 直撃インタビュー
長谷部恭男教授が指摘 目的が分からない安倍首相は不気味
日刊ゲンダイ 2017年10月20日
小池希望と安倍自民はよく似ている
 安倍自民も小池希望も憲法を破壊した安保法を認め、さらなる改憲まで突き進もうとする政党だ。モリカケ疑惑によって、ようやく醜悪政権が追い詰められたのに、目くらましの選挙で改憲大政翼賛会ができつつある。憲法学界の重鎮、早大法学学術院の長谷部恭男教授に問題点を浮き彫りにしてもらった。

  ――まず、小池新党の希望の党についてはどういう印象をお持ちですか?なんだか、白紙委任状を取って、とにかく改憲を目的とする乱暴な政党のように見えますが。
 一方で安倍政権打倒を掲げてはいますが、自民党との連携は否定していない。国政全体を右に持っていこうとする点は、安倍政権と共通する。今現にある安保法制のみが「現実的」だという偽りの現実主義を掲げて違憲状態を固定化しようとする点も同じです。改憲に前向きで、しかもその内容が茫漠としていることも、安倍さんとよく似ています

  ――有権者は惑わされてはいけないと思いますが、とにかく、安倍政権は打倒しなければいけませんね。今回も憲法53条による野党の臨時国会召集要求を無視して、内閣改造後の代表質問すら受けずに解散した。みんな小池新党の騒動で忘れていますが、驚きました。
 憲法53条後段には「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とあります。現憲法の草案が議論されていた当時は、国会の召集は内閣ではなく国会自身の判断によって決めるという「国会常設制」という理念が有力だったんです。でも、政府の事情もあるので、4分の1の少数の要求で開けるようにした。担当だった金森徳次郎国務大臣がそう答えています。

  ――そうした理念は押しやられて、安倍政権は召集時期が明記されていないことをいいことに開かなかった。
「諸般の条件」を勘案して合理的な時期に開くというのは安倍さんだけでなく、過去の内閣も示してきた考え方ですが、準備に必要な期間はせいぜい2、3週間でしょう。それ以上に引き延ばすのは憲法違反だというのが、憲法学界の通説です。

解散の理由はとってつけたようなものばかり
  ――モリカケ疑惑を追及されたくないから臨時国会を開かない。そんなふうに見えますが、この解散の大義についてはどうでしょうか。
 解散の理由として提示されているものは、とってつけたようなものばかりです。消費税の使途を変えるというのは、見ようによっては、民進党の公約を単に横取りしたような話です。選挙における争点を潰そうとしたのではないか。北朝鮮危機は国難だと言っているが、焦眉の急だというのであれば、総選挙なんてやっている場合ではないでしょう。与党が有利なときにやりたいという動機があからさまです。

  ――安倍政権の場合、大義なき解散はこれが初めてではありません。アベノミクスの信を問うとか、消費増税先送りとか、そうやって、国会が紛糾しているわけでもないのに解散権を乱用し、野党を疲弊させ、小選挙区制を上手に使って、一党独裁体制を築いてきたように見えます。
 その結果、有権者の政治不信を深めることになっていると思います。政治のプロセス自体が信用できないと多くの有権者は棄権をしてしまうからです。

  ――憲法上、首相の解散権についても議論がありますね。
 従来の憲法慣習として、内閣に解散の権限があって運用されてきたのはその通りです。ただ、それにどれほど合理的な根拠があるのかということが今問われているところでしょう。内閣に自由な解散権を認めれば、政府与党にとって有利、もしくは不利ではない時期に解散・総選挙を打てる。そういうことがあってよいのかという問題があります。与党に特権を認めることになるので、公平な競争の場にならない。競技場が与党に有利になるように傾いているわけです。
 諸外国の例を見ると、日本が手本にしてきたイギリスでは、従来、内閣の首相に自由な解散権があるとされてきましたが、キャメロン連立政権が成立した後、立法期固定法というものができて、解散は原則認めないことになりました。

  ――日本も導入すべしという議論があります。
 メイ首相はブレグジットの結果を受けて解散・総選挙をやりました。野党の労働党も受けて立とうということで議会の3分の2の賛成多数で総選挙になったのです。日本においても、解散には衆院議員の3分の2の賛成が必要だという規定を設けても、何も困らないのではないかと思います。そうすれば、今回のように、どうみても正当な理由のない、あるとすれば与党の都合のためだけにやる総選挙はできなくなります。

改憲で北朝鮮はミサイルをやめますか?
  ――安倍首相が今年5月、唐突に行った9条見直しについてはどうですか。自民党は公約に入れたし、小池新党も中身を明らかにしないまま、改憲支持を公認の条件にして、総選挙に突入しています。
 不思議な話ですね。まず自衛隊の現状を書き込むと言うが、現状は自衛隊に集団的自衛権の行使を認めています。それを追認するかのように憲法に書き込まれ、固定化されるのは困ります。自衛隊の現状を書き込むというのであれば、2014年の閣議決定で曖昧な解釈変更をした前の状態に戻してもらわなければならない。その書きぶりもどうなるのか分かりませんね。具体的な条文案が何も出てこない。ぼんやりしたまま、とにかく賛成ですか反対ですかと言われても有権者は判断しようがありません。
 私自身は、自衛隊は現在の9条のもとでも認められるという立場です。自衛隊を憲法にあえて明記しないということに重要な意味がある。政府は自衛隊に何ができて何ができないのかを国民に説明する責任が課されることになる。自衛隊が憲法に書き込まれてしまうと、いまの政権は説明する必要はないと言い出しかねない。

  ――そもそも政治家は憲法にどう向き合うべきなのでしょうか。
 憲法は中長期的に守っていくべき基本原則を定める文書なので、よほどのことがない限りむやみに触ってはいけない。むしろ、政治は目の前の課題に注力すべきだ。だからこそ、憲法は変えにくくなっているのです。そのことをまず政治家は頭に入れないといけません。さらに、憲法を変えることで何とかなる問題と、何とかならない問題がある。
 例えば、仮に9条を全て削れば、北朝鮮はミサイルを撃つのをやめますか? 核実験もやめないでしょう。日本が憲法をどうこうしたって、北朝鮮問題が解決するわけではない。高等教育無償化にしても、予算措置を講じなければ無償化はできないし、予算措置ができるなら、憲法に書き込む必要はない。憲法を変えようとする前に、憲法を変えることにどういう意味があるのかを考えていただきたい。改憲が自己目的化しているなかで、何かと理由をつけて変えようというのはよろしくない

  ――自己目的化どころか、安倍首相は自らの野望実現のために北朝鮮危機をやみくもに煽っている印象すら受けます。そうやって危機をつくり出しておいて、国難だから自分に強いリーダーシップを与えてくれと、選挙をやる。こういう手口はどうですか。
 きわめて危ない手口です。北朝鮮の暴発を招きかねません。安倍政権は日本の過去の歴史をきちんと学んでいないのではないでしょうか。1941年8月1日にアメリカは日本に対して石油を全面禁輸にしたことで、それまで戦争に慎重だった海軍まで、燃料があるうちにという気にさせて太平洋戦争の開戦に至った。北朝鮮を「何を考えているか分からない国」というのであれば、そんな危ないことはするべきではないと思います。

  ――今度の選挙後に安倍首相が何を企んでいるのか。小池新党と大連立で、国をつくり替えてしまうのではないか。そんな危惧はありませんか。
 安倍首相は目的が分からないだけ不気味です。言うことがころころ変わる。96条を変えると言って、すぐ引っ込めたり。場当たり的に言うことが変わるので、予測不能です。外国でスピーチするときは、人権の保障、民主主義、法の支配などの普遍的な価値を尊重しますと言うが、本気で言っているとは思えない。むしろ、本当に考えていることがあるのか心配です。

 いやしくも首相という職に就いているのであれば、何か実現したいことがあってしかるべきでしょう。そのために改憲がひとつの手段であれば分かるが、安倍さんは改憲そのものが自己目的化している。改憲で何をしたいのかが見えないのです。
(聞き手=本紙・高月太樹)

▽はせべ・やすお 1956年10月22日生まれ。東大卒。学習院大、東大で教授を務めた後、早大大学院教授。「安保法制から考える憲法と立憲主義・民主主義」(有斐閣)など著書多数。

22- 安倍首相の秋葉原打上げ演説はまるで極右集会

 選挙戦最終日の昨夕、安倍首相“因縁の場所”である秋葉原で打上げの演説を行いました。
 北朝鮮の脅威を煽り野党を批判するたびに、聴衆から「そうだー!」声援が沸き起こったということです。聴衆はその筋から動員されたのでしょう。現場には沢山の「日の丸がはためき、まるで戦前に帰ったかのような異常な雰囲気だったということです。
 
 安倍首相は選挙戦の初めのころは聴衆からの反撃を恐れて、演説会場を事前に明らかにしないステルス作戦をとっていましたが、後半ではそれは止め、街頭演説会場の前面にいわゆる「安倍親衛隊」を配置して、「お前が国難だ」などのプラカードを持った人たちを徹底的に排除するようになったと言われています。
 それは新潟5区でも同様で、長岡市の主婦が安倍首相の街頭演説会場で「お前が国難だ」のプラカードを持っていたところ、自民党職員とSPにプラカードを無理矢理下ろさせられました。

 昨夕の秋葉原での安倍首相の打上げ演説は、そうした威圧と強制による「表現の自由の抑圧」の集大成版でした。

 LITERAの記事と田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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安倍首相の秋葉原街頭演説が極右集会そのもの!
「こんな人たち」を排除し、日の丸はためくなか「安倍総理がんばれ」コール
LITERA 2017年10月21日
 日の丸がはためくなか、響き渡る「安倍晋三!」のコール──。
 選挙戦最終日の本日、安倍首相が“因縁の場所”である秋葉原で街頭演説に立ち、北朝鮮の脅威を煽りまくり、立憲民主党を筆頭に他党批判に精を出した。そして、そのたびに沸き起こる「そうだー!」という熱烈な声援……。2014年の衆院選最終日と同様、多くの日の丸がはためき、まるで戦前に帰ったかのような異常な空気に包まれたのだ。

 安倍首相にとって秋葉原は、今年7月、都議選で「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と声を荒げた因縁の場所。今回の選挙戦でも公示前は街頭演説の日程を一般告知せず突然現れるという“ステルス”演説をおこなうなど、安倍首相は政権に批判的な市民から逃亡するというみっともない作戦を恥ずかしげもなく展開。だが、昨日、急遽おこなった下北沢での“練り歩き”では、ステルス作戦むなしく「安倍やめろ!」コールに包まれた。
 しかし、こうした市民からの抗議をシャットアウトするべく、安倍首相の遊説では多数の「安倍親衛隊」が出現。批判する市民を恫喝する一方、「おい、テレ朝 選挙妨害は犯罪なんだよ」「おい、TBS偏向報道は犯罪なんだよ」なるプラカードが多数掲げられた。さらに、大阪でおこなわれた街頭演説では、街宣車の上で「君が代」がバイオリン演奏され、聴衆の一部が大合唱するという恐ろしい光景が

 そしてきょうも、街頭演説の場では巨大な「頑張れ安倍総理!」などの横断幕が立ち並んだ。日本中をドン引きさせたあの森友学園が運営する塚本幼稚園の「安倍首相がんばれ!」「安倍首相がんばれ!」を彷彿とさせるが、これは、「こういうのは初めて」と安倍首相が感激したという極右団体「頑張れ日本!全国行動委員会」が2015年7月24日には首相官邸前でおこなった安保法制賛成デモの際に掲げられていたものとそっくりだ。

 今月6日には自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)の緊急総会を開き、そこにサプライズゲストとして安倍首相が登場、参加者たちと「がんばろー!」と掛け声をあげて記念撮影をおこなったばかりだが、選挙戦では、極右団体の動員のほか、こうしたネット右翼の信者たちも詰めかけさせ、応援の声で批判を掻き消すことで、安倍首相は「リベンジ」を果たしたつもりなのだろう。
 だが、支持者の声しか聞かず、こんな方法で市民からの批判を塞ぐ人物が、総理大臣にふさわしいと言えるのか。そして、もっと恐ろしいのは、安倍首相自身が「こんな人たち」と分断し、信者たちに敵対心を向けさせていることだ。
 安倍政権が継続すれば、このような戦前のようなムード、批判者を徹底して排除する空気はさらに増幅していくだろう。体制に反発する者は「非国民」と石を投げつけられる──この男が総理でいるかぎり、その未来はけっして遠くはない。(編集部)



戒厳令下のアキバ 「安倍辞めろ」を完全封殺 
田中龍作ジャーナル 2017年10月21日
(【写真説明】警察官とネトウヨに排除される男性。この後、駅まで持って行かれた。池袋では腕をつかまれ引きずられたという。=21日、秋葉原 撮影:筆者
 大型選挙・最終日恒例となった自民党総裁の秋葉原演説が21日夕、雨の降りしきるなか、あった。
 独裁者の意を汲んだ自民党と警察が「反安倍」をほぼ完ぺきに封じ込めた。警備は蟻の這い出る隙間もないほどびっしりと敷かれていた。警官を兵士に置き換えれば、戒厳令の予行演習となるだろうか。
 7月の都議選最終日に同じ場所で沸き起こった「アベ辞めろ」コールは、「アベシンゾー、安倍総理ガンバレ」にかき消された。

「こんな人たち」や「普通の聴衆」がいたスペースは、自民党が警察権力を動員して占拠した。柵の入り口を固めた自民党スタッフが、お身内しか入場させなかった。日の丸の小旗を手にしたネトウヨたちの指定席となった。
 メディアは息が詰まるほど狭い空間に押し込められた。記者クラブが仕切っているのかと思っていたら、そうではなかった。自民党機関誌のカメラマンである。

(【写真説明】「頑張れ安倍総理」の横断幕と警官隊。力で「アベバンザイ」を唱えさせる社会が到来する予感がした。=21日、秋葉原 撮影:筆者
「それでも声を上げなくては」という人が、極々少数だが会場に現れた。世田谷区から訪れた男性(60代・会社員)は、池袋(18日)と三軒茶屋(20日)の安倍演説でもプラカードを手に抗議した。プラカードには「森友疑惑徹底究明を」と書かれていた。男性は警察とネトウヨに囲まれた。ネトウヨは男性に激しい罵声を浴びせた。
 私服刑事は「●●さん行きますよ」と男性の名前を呼んで肩と腕を持ち、駅に向けて押し出そうとした。
 男性は「どうして俺の名前を知ってるんだ?
 刑事「(名前を)知ってますよ」
 男性「調べたな」

 安倍首相を批判すれば警察に連行される・・・戦前・戦中の特高警察が復活したのだろうか。背筋が寒くなった。
 男性は9月28日、冒頭解散の国会を傍聴した。
「憲法53条に基づいて野党議員が要求した臨時国会は開かなかった。開いたと思ったら何の議論もせずに解散した。違憲なことをやっている。(国民は)納得がいかなかったら声をあげるべきだ」。男性は憤った。

 駅の改札口で同志を待っていた男性(60代・台東区)は「安倍さんに届く所で声をあげたい。そのためにもバラバラじゃダメ。かたまりになる必要がある」。
 横浜から足を運んだ男性(70代)は私服刑事に制止されながらも「私は安倍晋三が大嫌いです」と赤く染め抜いたノボリ旗を立てた。安倍首相が会場に到着すると自民党スタッフが傘で旗を隠そうとした。
 ネトウヨたちが寄ってたかってノボリを倒そうとしたが、「反安倍」の同志3~4人で守った。
 日の丸の小旗を打ち振る数千人に対して、安倍批判のプラカードはわずか数枚。田中はこれまで幾度も幾度も秋葉原の自民党総裁演説を経験しているが、今回のような異論封殺は初めてだ。
 アベノミクスの成果を強調した演説が終わると、会場は「アベシンゾー」コールに包まれた。首相のリベンジが叶った瞬間だった。

~終わり~

2017年10月21日土曜日

安倍政権に「NO」を突きつける芸能人の言葉を聞け

星田英利(ほっしゃん。)、ウーマン村本、松尾貴史、吉田照美
…安倍政権に「NO」を突きつける芸能人の言葉を聞け
LITERA 2017年10月21日
 いよいよ衆院選の投開票日が明日に迫った。結局のところいまにいたるまで、なんのための解散なのか、なにを国民に問いたい選挙なのかがさっぱりわからないが、この間に繰り返されたのは、権力に対して疑義の声をあげた人に対し、安倍応援団たるネトウヨが集団で絡み付いていくという醜悪な光景だった。

 10月2日放送『5時に夢中!』(TOKYO MX)で「無神経、馬鹿じゃないと総理大臣ってできないと思うのよ。安倍ちゃんなんて馬鹿の象徴じゃない?」と語ったマツコ・デラックスや、安倍首相がゲストで登場した10月8日放送『徹の部屋』(AbemaTV)で「ずーっと安倍さんのファン」「日本の国は安倍さんじゃなきゃダメだ」「ほんとにメディアは報道すべきことを報道しない」などとおべっかを使いまくる幻冬舎社長・見城徹氏をツイッターで〈是非、若者に見て欲しい。これが将来勝ち組になるオトナの会話だ。これくらい「飲み屋でやれ!」と思う映像も珍しい〉と皮肉った水道橋博士に対し、ネット上で罵詈雑言が飛び交い炎上した件は、それぞれ本サイトでも記事にしている。

 ただでさえ権力者を批判するような言説をネトウヨが集中攻撃する傾向が強くなっているなか、知名度の高い芸能人であれば政権を批判した際のリスクは飛躍的に高くなる。
 しかし、それでも、口をつぐむことを良しとせず、勇気ある発言をする芸能人は確実に存在する。
 星田英利(ほっしゃん)は大阪民主新報2017年10月22日号のインタビューに応えているのだが、そこでは安倍政権に対しこのように憤りを表明している。
「選挙権を取って26年、いろんな政権を見てきましたが、今の政権にはこれまで感じたことのない違和感を覚えます。いろんなことに説明責任を果たしていない」

 まさしくその通りだろう。今回の冒頭解散だって森友・加計学園問題を攻められたくないがための保身の解散なのは明白である。
 そして、安倍政権に対し、星田が危機感を覚えるのは、首相の戦争への欲望だ。北朝鮮に対して国際的に対話路線が敷かれるなか、首相はドナルド・トランプ米大統領と並んでその道を塞ぎ、ひたすらに圧力をかけ続けている。このような行動に対し、星田は「戦争に行かされるのは国民。戦争をさせる人を絶対に許してはならないと思います」と怒りをあらわにした。

松尾貴史「いつから安倍さんが国民統合の象徴になったんだ?」
 しかし、なぜ彼は、ここまで政権へ疑問の声を投げかけるのか。北朝鮮問題などをあげてこのように語れば、官邸とメディアの煽りを真に受けたネトウヨから「いい年した大人がそんなお花畑思想でどうする」などという言葉が投げつけられるのは目に見えている。それは、本業である芸人としての活動を考えれば、マイナスな面しかないだろう。
 ただそれでも、星田が為政者に対し疑問の声をあげるのは、それこそが「大人」だからである。どう考えてもおかしいと思うことを唯々諾々と受け入れて、奴隷のようになっている姿を子どもたちに見せるのは、あるべき大人の態度ではない。星田は前掲インタビューでこのように語る。
「僕らに何ができるかというと、大人として思っていることをちゃんと言う姿を子どもたちに見せんとあかんと思うんです」

 本稿冒頭であげたマツコ・デラックスや水道橋博士の例をあげるまでもなく、こういった発言をすればネット、特にツイッターのアカウントには口にするのもはばかられるような罵詈雑言が雪崩のように押し寄せる。
 そんな炎上に日常的にさらされているタレントが松尾貴史だ。彼は先日も自身のツイッターに〈「金持ち喧嘩せず」という諺があるが、近隣の国が狼藉を働きそうだというときに、「対話は不要、圧力あるのみ」と、あわよくば争いを誘引しようという言動は、憲法を変えるための下地作りかと勘繰りたくなる。なぜ、「まぁまぁ」となだめる手間を惜しむのか。惜しんでいるのではなく煽っているのだが〉と書き込み、例のごとくネトウヨから「お花畑思考」などの中傷を受けていたが、そんな彼は「炎上」と日常的に接して感じてきたことを、ウェブサイト「政経電論」でのインタビューでこのように語っている。
〈「レイシズムはダメですよ」って書いたら“在日”だと言われるし、安倍首相に反対すると“反日”って言われる。いやいや、いつから安倍さんが国民統合の象徴になったんだって、本当に不思議でしょうがないですよ〉

 安倍=日本などというネトウヨたちが描く図式は明らかに意味不明だが、それはともかくとして、これだけ米軍基地に傷つけられている沖縄をあっさりと見捨ててアメリカに隷属する首相の姿勢こそ日本を貶めていると思うが、なぜ安倍信者はそのように考えないのだろうか
 星田や松尾らベテランから中堅の芸人・タレントの姿勢に、星田の事務所の後輩であるウーマンラッシュアワー村本大輔も負けてはいない。村本といえば、8月11日放送『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)に出演。「国民には国を守る義務があると思う」と発言した田原総一朗に対し、「絶対に戦争に行くことがない年寄りに言われてもピンともこないわけですよ。絶対行かないじゃないですか」と反論したことが話題となり、ネトウヨから大炎上させられたのは記憶に新しいが、彼はそんなもので怖じ気づくような人間ではない。村本は、「週刊女性」(主婦と生活社)2017年10月31日号に掲載されたインタビューで引き続き踏み込んだ発言をしている。

自衛隊員の命をカードのように扱う首相にウーマンラッシュアワー村本大輔は怒る
 村本の弟が現役の自衛隊員であることはよく知られているが、その立場から現在の状況を見て彼は「安保法制や憲法改正の議論を聞いていると、隊員の命をカードのように扱っている気がして」と憤る。
 その象徴が、前述した北朝鮮問題に対する安倍首相の態度だろう。彼はひたすら圧力をかけることだけに終始しているが、そもそも政治家の仕事とは、対立が武力衝突に発展しないようあの手この手で交渉することである。ただ単純に相手を侮蔑して威勢のいいことを言うだけなら幼稚園児でもできる仕事だ。

 村本は、安倍首相が自衛隊員の命を「カード」としか思っていない象徴として、京都の海上自衛隊舞鶴基地で隊員に対し「国民の安全確保のため万全の態勢をとってくれました」とスピーチしたことを挙げる。
「あれは安倍さん、「みなさんの命を落とすことがないよう一生懸命に努力します」と言うのが筋でしょう。「私の誇りであります」なんて言ってる場合じゃない」
 また村本は、金を釣り餌にひどい目にあわされている人々として、原発周辺に住む人たちについて語る。村本は福井県おおい町の出身で、近くに大飯原発がある。そして村本自身、売れなかった時代に、実家から原発で働くよう電話がかかってきたこともあるという。
「夢のエネルギーだ、出稼ぎに行かなくてすむんだとうまいこと言われて、貧しい地域に原発が置かれてきた。それで町の基盤もできた。だけど生活するのに必死だから、原発がどれだけ危ないか、事故でどんな被害をもたらすか、考える余裕がないんです。依存させておいて、依存から抜け出すにはリハビリが必要という視点がいまの議論にはないし、生活している人の姿が見えているのかなと思う」

 今回の選挙戦では安倍首相の口から「こんな人たち」級の失言は飛び出さなかったものの、遊説先を告知しないステルス演説をしていたことが象徴的なように「丁寧な説明」はどこへやら、自分とは違う意見の人とはまともに議論しようともせず嘘とはぐらかしですべてをごまかそうとする態度はなんら変わることがなかった。

吉田照美「安倍政権の何が良くて何が悪かったか考えれば簡単に結論が出る」
 これは有権者が投票先を決める際、重要な評価ポイントになるだろう。小島慶子はこのようにツイートしている。
〈政権の座についたら、政治家は自分を支持した人々だけでなく、しなかった人々の暮らしにも責任を負うことになる。だから選挙活動中の候補者が、自分を支持していない人たちに対してどんな態度をとるのか、嫌な質問をされたときにどんな回答をするのかをよーく見ておくことが大事だと思う〉

 森友・加計学園問題を隠したい安倍首相自らの保身のためにすべてが始まった今回の衆院選。これにより600億円の税金がドブに捨てられるのだが、それと引き換えに国民は、これから先も為政者による政治の私有化を進めていいのか、富める者だけがますます富んでいくような社会でいいのか、弱者や少数派に属する人々は見捨てられ迫害される世の中にしていいのか、「戦争」への欲求を抑えられないことが誰の目にも明らかな人物をこれ以上この国のトップに置いて大丈夫なのか、といった問題について審判をくだすことができる機会を手にしたことになる。吉田照美17年10月17日付け日刊スポーツのインタビューでこのように語っている。
「今こそ、僕ら国民1人1人が、安倍政権の何が我々にとって良かったのか悪かったのか、もう1回、解散を宣誓したあたりに戻って考える時だと思うんです。そうすれば、非常に分かりやすく結論が出ると思うんですよ」
 これ以上、独裁的で強権的な政治をさせないためにも、ここで安倍政権にNOを叩き付けなければならない

 ちなみに、ミュージシャンでタレントのうじきつよしは、10月15日、ツイッターでこんな激烈な投稿をしていた。
〈『なにが“国難”だよ!私利私欲でルール無視、暗躍しまくりウソつきまくりのおめぇらこそ、最大・最悪ノータリンの"国難"じゃねぇか!もうガマンも限界、気持ち悪くてゲロ吐きそう!』を必死でこらえ、エブリボディ、選挙へゴ、ゴ、ゴ〜〜ッ!!〉
 そう、安倍政権を止めるために、選挙へ行くしかない! (編集部)

この選挙は日本の決定的な岐路になる 作家の中村文則氏が警鐘

 芥川賞作家(27歳で受賞)の中村文則氏はこれまでも安倍政権に対する危機感を表明してきましたが、新著のR帝国』で全体主義国家への警鐘鳴らしました。
 そして、総理大臣としての安倍晋三という存在、「安倍現象」と呼ぶべき社会の変化についての鋭い論考「総選挙、日本の岐路」を、10月6日朝日新聞に寄稿しました。
 それは安倍首相によって唐突に招来されたこの度の訳の分からない選挙について様々に論じたのち、次の言葉で結んでいます。
この選挙は、日本の決定的な岐路になる。歴史には後戻りの効かなくなるポイントがあると言われるが、恐らく、それは今だと僕は思っている

 LITERAが中村氏のこの論文を取り上げました。
 論文中、日本社会の中にある「非論理的性」に関して「論というよりは感情によって支える人達」、「論というより感情の世界に入り込んでいる」、「論が感情にかき消されていく」と、似た言葉が3回繰り返されているのが印象的です。
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中村文則が警鐘「この選挙は日本の決定的な岐路になる」
このまま自公が圧勝すれば、安倍政権の横暴をすべて認めたことになってしまう
LITERA 2017年10月17日
 中村文則の新著『R帝国』(中央公論新社)でも全体主義国家への警鐘が鳴らされている。
「ぜひ、あなたの声を聞かせてください」──テレビをつけると大量にオンエアされている自民党のCMでは、最後に安倍首相がこんな台詞を吐いている。よりにもよって自分に批判的な市民を「こんな人たち」と呼ぶあなたが言うか?と呆れ果ててしまうが、今回の選挙の争点は、とどのつまり「この男が総理大臣でいいのか」に尽きるだろう。

 そんななか、総理大臣としての安倍晋三という存在、そして「安倍現象」と呼ぶべき社会の変化についての鋭い論考が朝日新聞(10月6日朝刊)に掲載された。寄稿者は、『土の中の子供』で芥川賞を受賞し、今年8月発売で全体主義社会を描いた最新作『R帝国』(中央公論新社)も評判となっている作家の中村文則だ。

 中村はこれまでも安倍政権に対する危機感を表明してきた作家だが、今回も、冒頭解散を疑問視する声が高まってもそれを無視し、筋の通った説明もしない安倍首相について、中村は〈今回の解散は、ある意味首相らしいとも言える〉という。
〈首相はそもそも様々なことに対し、もう国民を納得させる必要をそれほど感じていないように見える。本当の説明をせず、押し通すことに、もう「慣れて」しまっているように見える。これは、とても危険なことだ〉
 そもそも安倍首相は「こんな人たち」発言からも顕著なように、自分を批判する層のことはハナから相手にしていない。しかし中村は、現在の安倍首相は「中間層」に対しても説明なく押し通しても大丈夫だと高を括っているのではないかと見る。それは、あれだけ多くの国民が反対していた安保法制を強行的に可決した翌年の参院選で自民党が勝利した、あの成功体験がもとになっているのではないか、というのだ。

 しかし、そうやって見くびられた結果、今回の選挙で安倍自民党がまた勝てば、どうなってしまうのか。中村はこう綴る。
現政権が勝利すれば、私達はこれまでの政権の全ての政治手法を認めたことになる。政権は何でもできるようになる。あれほどのことをしても、倒れなかった政権ならすさまじい。友人を優遇しても何をしても、関係者が「記憶にない」を連発し証拠を破棄し続ければよい。国民はその手法を「よし」としたのだから。私達は安倍政権をというより、このような「政治手法」を信任したことを歴史に刻むことになる

もし「蓮舫首相の森友・加計問題」だったとしても、安倍応援団は「全く問題ない」と言うのか
 内閣不支持率が支持率を上回っていながら、その要因であるさまざまな疑惑、強行政治、情報の隠蔽を、選挙によって是認してしまうことになる──。こんな馬鹿な話はないが、もうひとつ、重要なことを中村は指摘する。選挙の結果によって安倍首相が増長するという恐れだけが待っているわけではない、ということだ。
〈国会を見ていると、事実より隠蔽の、説明より突破の、共生より排他の強引な政治のように感じる。そしてそれらを、論というよりは感情によって支える人達が様々に擁護していく〉

 論より感情の人たちが安倍政権を支えている──それはどういうことなのか。たとえば中村は、森友・加計問題について「問題ない」と声高に叫ぶ安倍支持者は〈蓮舫議員の二重国籍問題を批判した人達はかなり被る〉と分析した上で、〈もしこれらが全て「蓮舫首相」がやったことだったらどうだろうか〉と問いかける。
蓮舫首相が獣医学部の規制に「ドリルで穴を開けた」結果、蓮舫首相の長年の親友の大学のみがその対象に選ばれたとしたら。果たして彼らは同じように「全く問題ない」と言うだろうか。少なくとも、ネット配信が盛んなあの保守系の新聞が、打って変わって「蓮舫首相の加計学園問題」を喜々として叩く様子が目に浮かぶ。ちなみに僕は無党派というのもあるが、もし「蓮舫首相」が同じことをしても絶対批判する。逆に安倍首相に蓮舫氏のような「二重国籍問題」があっても絶対批判しない。強い安倍政権支持は、もう論というより感情の世界に入り込んでいる危険がある〉

 こうした「論より感情」を安倍首相自身も煽っていることは周知の通りだ。事実、安倍首相がフェイクニュースやヘイトスピーチの温床となっているまとめサイトの記事にリンクを貼ったり、先日も『NEWS23』(TBS)での党首討論では、そうしたネット上で書き込まれていたネット右翼によるメディアへの言いがかりをそのまま司会の星浩キャスターにぶつけた(詳しくはhttp://lite-ra.com/2017/10/post-3502.html)。
 また、安倍首相の街頭演説の場では、批判的な人が掲げるプラカードは自民党関係者に取り囲まれて覆い隠される事例が起こる一方、「おい!TBS 偏向報道は犯罪なんだよ」「モリカケ疑惑は朝日のでっちあげ」などというプラカードは堂々と掲げられている。さらに、自民党ネットサポーターズクラブの総会でも、「従軍慰安婦像の辻元清美」のコラ画像を投稿してもいいか?という問いに、自民党ネットメディア局長・平将明衆院議員は「個人のご判断」などと回答。下劣な他党叩きの活動を、安倍自民党は暗に推奨しているのだ。ここに「論」などは見当たらない。

 しかし、こうして安倍首相の崇拝や排外的な思想から過激な言動に出る人間は全体からすると少ないだろうと思う人も多いはずだ。だが、問題は、日常の場面でも、この「論より感情」が広まりつつある、ということだろう。

「この選挙は日本の決定的な岐路になる」「いまを逃せば後戻りできなくなる」
 その一例に、中村は自身の体験を振り返っている。知人との会話のなかで憲法に話題が及んだ際、個別的自衛権と集団的自衛権の違いについてなどを語る中村に対し、その知人は〈面倒そうに説明を遮〉り、こう言ったのだという。「でもまあ色々あるんだろうけど、(憲法を変えないと戦争できないから)舐められるじゃん」。
〈「舐められるじゃん」。説明より、シンプルな感情が先に出てしまう空気。卵が先か鶏が先かじゃないけれど、これらの不穏な世相と今の政治はどこかリンクしているように思えてならない。時代の空気と政治は、往々にしてリンクしてしまうことがある。論が感情にかき消されていく

 このような考え方は、選挙で自民党が勝利し安倍政権が存続となれば、さらに加速していくだろうことは想像に難くない。独裁状態をつくり出すには、危機を演出して敵愾心を煽ることが重要だ。そうしたなかでは恐怖や不安が優先され、冷静で慎重な議論は求められない。
 そして中村は、こうした状況下での恐ろしい「近い将来」を予測する。
〈明治というより昭和の戦前・戦中の時代空気に対する懐古趣味もさらに現れてくるように思う。そもそも教育勅語を暗唱させていた幼稚園を、首相夫人は素晴らしい教育方針ともうすでに言っている〉
改憲のための様々な政治工作が溢れ、政府からの使者のようなコメンテーター達が今よりも乱立しテレビを席巻し、危機を煽る印象操作の中に私達の日常がおかれるように思えてならない。現状がさらに加速するのだとしたら、ネットの一部はより過激になり、さらにメディアは情けない者達から順番に委縮していき、多数の人々がそんな空気にうんざりし半径5メートルの幸福だけを見るようになって政治から距離を置けば、この国を動かすうねりは一部の熱狂的な者達に委ねられ、日本の社会の空気は未曽有の事態を迎える可能性がある〉

 この中村の予測は、確実に現実のものになるだろう。なぜなら実際にわたしたちは、もうすでにそのレールの上に安倍首相によって立たされているからだ。だが、中村はただ悲観するのではなく、だからこそわたしたちに訴えかける。選挙に行かなくてはならない、と。
この選挙は、日本の決定的な岐路になる。歴史には後戻りの効かなくなるポイントがあると言われるが、恐らく、それは今だと僕は思っている

 社会に蔓延る排外主義・全体主義の空気を嗅ぎわけ、的確な時評と極めて現実的な分析をおこなう中村のような作家の論考を、いまはまだ読むことができる。しかし、そうした自由さえも奪われかねない世界が、扉を開けて待っている。そうした世界を信任するのか、拒否するのか。それがこの選挙では問われている。(編集部)

株高も求人増もアベノミクスの成果ではない 実質賃金は5%も低下

 安倍首相選挙演説で盛んにアベノミクスの「成果」と称し細かな経済指標を並べています。
 とりわけ強調する株価の21年ぶりの高値について、経済学者の高橋乗宣氏は、株高は世界の株式市場が活況となり、米、独、韓など各国の主要株式指標が相次ぎ過去最高値を更新していることの反映で、むしろ官製株高の日本は出遅れていると指摘しています。
 また有効求人倍率の高水準は、若者の人口が減り、定年後嘱託などで働いていた「団塊の世代」65歳を越え続々リタイアし、1565歳の「生産年齢人口」急減した結果であって、いずれもアベノミクスの成果などではないとしています。

 同じく経済学者である植草一秀氏は、安倍首相が強調する
 ・雇用が増えた ・企業収益が増えた ・株価が上がった ・名目GDPが増えた
はウソではないが、それらの数値は「日本経済が全体として良くなった」ことを意味するものではなく、景気回復という事実」は存在しないと述べています。
 経済全体を評価する最も重要な指標である実質経済成長率の実績は、民主党政権時代の実質GDP成長率(四半期毎、前期比年率)平均値+18%だったのに対して、第2次安倍政権発足後の成長率平均値は+14%と落ちていることを指摘し、この比較を示さないで、細かな部分で「良くなったと言える部分」だを強調するのは「イカサマ」であるとしています。

 労働者にとっての最重要の経済指標である「実質賃金指数」は、厚生労働省が発表している従業人5人以上の企業すべてについての現金給与総額統計を見るのが一番公正であり、その推移を見ると、民主党政権時代にはほぼ横ばいで推移したものが、第2次安倍政権発足後は5%も落ちていることを指摘しています。要するに雇用者は増えたが、それ以上に一人当たりの実質賃金が落ちているということです。
(植草一秀氏のブログには詳しいグラフが添えられているので、詳細は原文をご覧ください)

 そして経済全体が悪くなるなかで、日本の法人企業数400万社の01%にも満たない大企業の利益だけが史上最高を更新していることは、それ以外のところの所得、労働者の所得と中小企業の所得が悪化していることを意味しているにすぎないとしています

 高橋乗宣氏と植草一秀氏の二つの記事を紹介します。
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 日本経済一歩先の真相
自画自賛の笑止 株高も求人増もアベノミクス成果にあらず
高橋乗宣 日刊ゲンダイ 2017年10月20日
 安倍首相が連日、選挙の応援演説でアベノミクスの「成果」と称し、細かな経済統計を並べている。とりわけ強調したがるのは、株価の21年ぶりの高値圏と有効求人倍率のバブル期超の高水準だ。はたして、これらが「成果」と言えるのか。

 まず株高は日本に限った現象ではない。世界の株式市場が活況に沸き、米、独、韓など各国の主要株式指標が相次ぎ過去最高値を更新。先進国で更新していないのは、日本ぐらいなものだ。
 米MSCI算出の世界株価指数が今年に入って2割上昇したのに対し、日本株の上昇率は11%にとどまる。むしろ、日本は世界同時株高に出遅れているのだし、日銀や年金資金などに支えられた「官製株高」であることも忘れてはいけない。とても、アベノミクスの「成果」と胸を張れる状況ではない。

 8月の有効求人倍率は1・52倍。43年ぶりの高水準は少子高齢化が招いた深刻な人手不足を反映している。若者の人口が減り、定年後も嘱託などで働いていた「団塊の世代」も65歳を越え、続々リタイア。15~65歳の「生産年齢人口」は急減している。それこそ安倍首相が解散表明で語った「国難」の一つが表面化した数字で、自慢して回っている場合ではない。

 毎月の現金給与総額は横ばいで、賞与は減っている。正社員の求人倍率が1倍を超えても、非正規雇用は安倍政権の5年弱で250万人近く増えた。安倍首相は「経済成長の流れを中小企業に広げる」と力説するが、中小企業の収益力はマイナス続きだ。

 どこにも自画自賛できる材料はないのに、街頭演説で安倍首相はこれ見よがしの態度だ。本来なら「頑張っているけど、効果はまだ」と言うべきところを、「民主党政権時代には成し得なかった」と誇らしげである。アベノミクスの幻の成果という煙幕を張り、もり・かけ疑惑から逃げ回る。安倍首相の嫌な本性が表れているが、自民が大勝すれば「みそぎ」ムードになりそうで、つくづく腹立たしい。

 かような経済状況では消費税率を上げる前に、国債依存度を減らすべきだが、安倍政権は日銀に国債を買わせまくり。国債発行残高は政権発足直後から来年度末には160兆円も増える見込みだ。そのうえ、首相は消費税アップの増収分の使途を借金返済から子育て支援に変えるというから、日銀の異次元緩和も財政健全化も出口は遠のくばかりである。

 今年4~6月期のGDPの成長率は、速報値の年率換算4%から改定値で2・5%へと大幅に下方修正された。まさか、選挙前に役人が政権側におもねり、数字をごまかしたわけではあるまい。ただ、アベノミクスが総括されず自民が大勝すれば、必ず今以上に「忖度の嵐」が吹き荒れるのは間違いない。

 高橋乗宣  エコノミスト
  1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。


植草一秀の「知られざる真実」 2017年10月19日
今回の総選挙の争点の一つとしてアベノミクスの評価が挙げられており、テレビでも取り上げられている。しかし、客観公正な報道がまったくなされていない。
専門家とされる人物がVTR出演するが、複数の人物が登場するのに、そのどちらもが政権にすり寄ったコメントを示す。テレビ局もこれを認識しながら放送していると思われる。
明らかな偏向報道であり、主権者を誤導するものだ。極めて許しがたい現実が広がっている。

「日本経済は数字の上では良くなっているが景気回復の実感がない」との表現が用いられているが、これは完全な間違いである。
「日本経済に数字の上で良くなっているように見える部分があるが、実は良くはなっておらず、景気回復の実感がないのではなく、景気回復という事実が存在しない」というのが客観公正な評価である。
このことを以下に示す。野党はこの事実を正確に主権者に知らせるべきである。

安倍首相が述べている、日本経済が良くなったという「部分」は以下の4点である。
雇用が増えた。
企業収益が増えた。
株価が上がった。
名目GDPが増えた。
これらはすべて事実である。安倍首相がウソを言っているわけではない。
しかし、これらの数値は、「日本経済が全体として良くなった」ことを意味していない。日本経済の「良くなった一部」を取り出して、これを強調しているだけだ。
雇用が増えたのは事実で、このことを悪いことだとは言わないが、重要なのは労働者の全体としての所得の推移なのだ。
経済全体を評価する、一番重要な指標は経済成長率である。その経済成長率が名目でなく、実質であることは当然のことだ。
インフレ率が100%、実質経済成長率が-50%の経済を考えればよく分かる。このとき、名目GDPは+50%だが、実質GDP成長率は-50%だ。
実質的に経済活動は50%ダウンで、これを自慢する馬や鹿はいない。100万円の所得が150万円になっても、物価が2倍になれば、実質所得は50%もダウンなのだ。

大企業の収益は史上最高を更新している。そして、株価も大幅に上昇している。これも事実だ。しかし、一番重要な経済指標は実質経済成長率であり、実質経済成長率の実績を見ると、民主党政権時代の実質GDP成長率(四半期毎、前期比年率)平均値は+18%だったが、第2次安倍政権発足後の成長率平均値は+14%である。
(グラフあり 添付省略)

民主党時代も経済はあまり良くなかったが、2012年の第2次安倍政権発足後の5年間の平均は、民主党政権時代よりかなり悪い。
これが、日本経済が良くなったか悪くなったかの、一番基礎の、基準になるデータだ。
この比較を示さないで、細かな部分で、「良くなったと言える部分」だを強調するのは「イカサマ」そのものだ。
安倍首相の行動は、学校受験に失敗してしまった学生が、「計算問題の第3問は解けた、漢字の書き取りの第5問は解けた」と負け惜しみを言っているようなものだ。

経済全体が悪くなるなかで、大企業の利益だけが史上最高を更新していることは、それ以外の所得、つまり、労働者の所得と中小企業の所得が悪化していることを意味しているにすぎない。株価が上がっているのは事実だが、日本の上場企業数は4000社弱。日本の法人企業数400万社の01%にも満たない
その01%の企業収益が史上最高を更新して、01%の企業の株価が上がっているだけなのだ。

労働者にとっての最重要の経済指標は、実質賃金指数だ。
アベノミクスを全体として評価する場合に取り上げるべき第一と第二の指標は実質GDP成長率労働者の実質賃金指数である。
厚生労働省が発表している実質賃金指数のなかで、従業人5人以上の企業すべて、固定給だけでなく時間外賃金、ボーナスを含めた現金給与総額統計を見るのが一番公正である。
(グラフあり 添付省略)

この推移を見ると、民主党政権時代にはほぼ横ばいで推移したものが、第2次安倍政権発足後は5%も落ちている。雇用者は増えたが、それ以上に一人当たりの実質賃金が落ちているのだ。
労働者全体の所得が減ったなかで、それを分け合う人数だけが増えた。これをアベノミクスの成果だとする感覚は正常とは言えない。
全体として、日本経済は安倍政権下で悪くなった。良くなったのは01%の大企業だけだ。一般労働者の賃金は減り、いままで労働しないで済んでいた人たちが労働に駆り出されただけである。
生産年齢のすべての国民を低賃金労働に駆り出す。これが安倍政権の「一億総活躍社会」であるが、その実態は「一億総低賃金強制労働」なのである
以下は有料ブログのため非公開