自民党は22日、衆院比例31議席を削減する案を衆院選挙制度に関する政党間協議で提示し、国民民主党を巻き込んで早ければ11月上旬にも削減法案を提出する構えです。4割の得票で7割の議席を得られるという小選挙区制の欠点を緩和するために設けられた「比例代表」部分は、現行の176議席から145議席に一気に2割近く削減されます。
代表制民主主義は国民が選挙で選んだ議員に政治的意思決定を委ねる形態であり、国民の意思が議員の構成に反映されていることが必要条件ですが、比例代表議員の削減はこの根幹部分を破壊するもので、全国で阻止するたたかいを起こすことが求められています。
しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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衆院比例31削減案 高市独裁に道 民主主義の危機 来月初め法案提出狙う 阻止のたたかい急務
しんぶん赤旗 2026年10月25日
自民党は22日、衆院比例31議席を削減する案を衆院選挙制度に関する政党間協議で提示しました。国民民主党を巻き込んで今月中にも合意することを狙い、早ければ11月上旬にも削減法案を提出する構えです。民意を最も正確に反映する比例代表は現行の176議席から145議席へと一気に2割近く削減され、衆院議員定数は憲政史上最少の434議席まで落ち込むことになります。日本の民主主義は重大な危機を迎えており、全国で阻止するたたかいを起こすことが求められます。
「高市暴走政治を止めよう」「議員定数削減反対」などとアピールする人たち=5日、衆院第2議員会館前
議員定数削減策動の発端は、自民党と日本維新の会が昨年10月に交わした「連立政権合意書」にあります。「合意書」には衆院議員定数を1割削減するため臨時国会に議員立法を提出し、成立を目指すとされました。
自民と維新は、この「合意書」に基づいて昨年の臨時国会に小選挙区25、比例代表20を自動的に削減する衆院議員定数削減法案を提出。今年の特別国会には、比例代表だけを45削減する衆院比例定数削減法案が持ち込まれました。
しかし、議会制民主主義の根幹となる選挙のルールを、権力を持つ与党側が一方的に押しつけるのはあまりに乱暴です。新聞各紙も社説で反対を表明。野党も法案阻止の一点で共同しました。国民世論と国会内外のたたかいが自民・維新による議員定数削減策動を許さない力となってきました。
このため自民が持ち出したのが今回の比例31議席削減案です。国民民主党を取り込むことによって再び自民・維新の議員定数削減策動を動かそうとしています。
その狙いは何か―。維新の吉村洋文代表は「政治改革のセンターピン(突破口)は議員定数の削減」と強調し、「突破しない限り、後ろにある社会保障改革など日本を前に進めていくことの改革なんてできない」と繰り返し発言しています。自民・維新の「合意書」には、社会保障の切り捨てや大軍拡、憲法9条改定など、国民の命に関わる予算の大幅削減や「戦争する国づくり」に向けたメニューがずらりと並んでいます。その突破口として定数削減が位置づけられているのです。
定数削減を許せば、高市政権による事実上の独裁政治に道を開くことになります。民主主義を守るために、定数削減阻止のたたかいをいま全国各地で起こすことが必要です。
定数削減に道理も根拠もなし 与党の占有率増 強権加速の危険
しんぶん赤旗 2026年10月25日
自民党が新たに示した衆院議員定数(465)を比例代表のみ31削減する案は、民意を切り捨て、国会の行政監視を弱めるだけで、削減には道理も根拠もありません。
人口減少理由に 国際的・歴史的に最低・最少
自民党は、衆院議員定数31削減の理由に人口減少を挙げています。2015年の人口と30年の推計人口を比べ、6・7%減少するとの数字をもとに削減数31を算出したとしています。
しかし、15年を起点として人口動態にあわせて議員数を決める道理はありません。1925年の男子普通選挙時に衆院議員定数は466でした。現在の人口は当時の2倍になっています。人口動態にあわせて議員数を決めるというなら、定数は900を超えていてもおかしくありません。
衆院議員定数は、1986年に512となりましたが、その後は人口が増えても定数は減り続け、現在の定数465は過去100年で最も少ない状態です。15年と30年の人口を比較して定数を削減するなど理屈にあいません。
国際的にみても日本の国会議員数は少ないのが実態です。主要国では人口11万~15万人に下院議員1人なのに対し、日本は人口27万人に衆院議員1人です。
日本の衆院議員定数は人口100万人あたり3・7で、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中36番目という最低水準です。(グラフ)
現行定数になった2016年当時、衆院議長のもとに置かれた有識者調査会は「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出(みいだ)し難い」と答申しました。法案審議では自民党議員も「国民の声を代弁する貴重な議席は国会議員のものではなく国民のものだ」と発言。「定数削減に合理的根拠は存在しない」ことを与野党が共有しています。定数削減は、この国会議論の到達点を根底から覆すものです。
比例だけを削る 民意をゆがめ虚構の多数
現行の小選挙区289、比例代表176の衆院議員定数のうち、比例のみ31削減する道理もありません。
自民党の鈴木馨祐議員は削減案を示した22日の政党間協議後、記者団に「地方の人口減少を考えると、小選挙区で削減すると地方の声が政治、国会に届かなくなることになりかねないので、比例で削減をせざるを得ない」などと述べました。
「地方の声が届かなくなる」というのであれば、定数を削減しなければいいだけです。比例のみを削減する説明にはなりません。衆院選挙制度協議会(5月)に出席した地方団体からも「定数削減は地方の切り捨てになる」など、定数削減自体に反対や懸念を示す声が相次ぎました。議員定数を減らせば、地方の議席は減り、若者や女性、マイノリティーの政治進出も妨げられます。
現行の小選挙区比例代表並立制は1996年の衆院選から導入されました。小選挙区は、選挙区内で最大得票を得た1人しか当選できず、議席に反映されない多くの「死票」を生み出します。民意を切り捨て、ゆがめる深刻な弊害があるため、政党の得票数に応じて議席を反映する比例代表と組み合わせた制度となりました。
自民・鈴木氏は、小選挙区制で「民意を集約」し、比例代表で「民意を反映」してきたなどとして「組み合わせのバランスが著しく変わってしまうことは望ましくない」と主張。そのため定数削減とあわせて、比例の議席配分方式を現行のドント式から、中小政党に議席が反映されやすい修正サンラグ式への変更を提案したと述べました。
しかし、自民党が協議の場に示した、修正サンラグ式にした場合の各党議席配分の試算によると、与党の比例議席は減りますが、総議席占有率は現行よりも高まっています。2月の衆院選の得票にあてはめると自民の総議席占有率は現行で70・97%ですが、修正サンラグ式で比例定数を31削減した場合は71・43%になります。同じく維新は同7・10%から7・37%でした。
現行制度導入時に小選挙区300、比例200だった定数は、この間の定数削減により小選挙区で11議席、比例では24議席も減らされてきました。2月の衆院選で自民は小選挙区で49・2%の得票で86・2%の議席を得ており、民意をゆがめる弊害は深刻さを増しています。
政党間協議で日本共産党の塩川鉄也議員は、民意反映のためとされた比例の議席をさらに31も削減すれば、ますます小選挙区中心の選挙制度となると指摘。「民意をゆがめ、虚構の多数をつくりだし、強権政治を加速させる」として、定数削減に断固反対を表明しました。
ドント式とサンラグ式
現行のドント式は、各政党の比例総得票数を1、2、3、4…と順に自然数で割り、算出された数値を大きい順に並べ、議席を配分する方式です。
サンラグ式は、各党の総得票数を1、3、5、7…の奇数で割るという違いがあります。ドント式よりも二つ目以降の計算で算出される数値が小さくなるため、中小政党に有利だとされます。今回提案された修正サンラグ式では、最初の奇数(1)を1.4に置き換えます。




