2026年5月11日月曜日

浅薄な高市皇位継承論/抗告容認する自民党の猿芝居(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の2つの記事を紹介します。
1番目の記事)
 記事は「高市首相は歴史をもう少し勉強した方が良い」と結ばれています。高市氏は「Y染色体説」に「真理や正義がある」と本当に考えていてそれを国民に説明できるとは到底思えません。メルマガ版では「高市氏は右翼の主張に取り入ることしか考えていないのだろう。極めて言動が浅薄である」と指摘しています。
 そして「高市首相は2月27日の衆院予算委員会で安定的な皇位継承の在り方に関して2021年の有識者会議報告書に触れて、『男系男子に限ることが適切とされている。私としても尊重している』と述べたが、報告書は皇位継承資格ではなく皇族数確保策として養子となり皇族となる対象を〝男系男子に限る″としたもので、高市首相発言は事実に反する」もので「女性天皇・女系天皇が誕生することに何の問題もない」と述べます。

(2番目の記事)
 記事は再審制度見直しに関する自民党の協議の焦点は「検察の抗告禁止と証拠開示」の2つで、裁判所が再審開始を決定したときに上級審に異議を唱える検察の抗告について、「原則禁止」としたのでは、実際には例外とされる抗告がほとんどのケースで行われることになるので、例えその文言を本則に入れようとも改善されないと断定します。
 また 証拠開示に「目的外使用を禁ずる」が盛り込まれると、開示証拠を広く流布できないので、弁護上の制約が大きいと指摘します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
浅薄な高市皇位継承論
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年5月11日
高市首相は「国論を二分するような国の根幹に関わる重要な政策の大転換」を示唆している。
そのなかに皇位継承問題がある。高市首相は皇位継承策を巡り「皇位継承は男系の男子に限るのが望ましい」との認識を示している。「円安ほくほく」同様、深い知識なく感覚的に発言している感が強い

日本円暴落は日本の危機をもたらしている。日本全体が外国資本によって乗っ取られる危機を招いている。日本政府が保有する外貨準備の円換算金額が拡大しているのは事実だが、ドル高=円安の局面で保有米国国債を売却して日本円に換金しない限りドル暴騰=日本円暴落の恩恵を確保することはできない。ドル高で円換算金額が拡大したと「ほくほく」しても何の意味もない。そもそも日本円暴落の弊害に対する認識が皆無であることが致命的である。

皇位継承問題についても十分な知識なく感覚的に述べているのではないかと推察される。
高市首相は男系継承が天皇の絶対原理であるとして女性・女系天皇を否定する立場を踏襲している。安倍晋三内閣以来、この考え方が前面に押し立てられてきた。
しかしながら、少し遡れば、平成になって皇位継承者の数が減少するなかで、愛子氏が誕生して小泉内閣時代に。

しかし、その後に悠仁氏が誕生して女性天皇や女系天皇の議論が棚上げされてきた。
こうしたなかで、
  1「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」
  2「旧宮家の男系男子を養子に迎える案」
が浮上している。
中道改革連合が「旧宮家の男系男子を養子に迎える案」に賛同する方向性を示して党内で異論が噴出している。中道改革連合の自民党化がすさまじい。この政党は早晩消滅することになるだろう。

自民党は1について、「女性皇族の配偶者と子を皇族としない」ことを唱えている。
問題は自民党右派が主張する「男系男子」の根拠が極めてもろいことである。
自民党は「歴史上例外なく続いてきた」ことを「男系原理」の根拠としている。2024年4月の自民党の「安定的な皇位継承の在り方に関する所見」でもそう主張されている。

しかし、日本の歴史を辿ると男系男子が「歴史上例外なく続いてきた」という「説」が極めて疑わしいことが判明する。
天皇の系譜をたどると「万世一系の男系男子」という単一原理が一貫した原則として存在した形跡がない。
性別・父系母系に囚われず、時の権力の中心にいた皇族が皇位を継承してきたというのが実態である。それが、1889年の明治皇室典範で突然「男系男子のみ」という原理がすべてとの取り決めが置かれたと見るのが適正であると思われる。

「万世一系」という表記は古事記や日本書紀になく、1889年の大日本帝国憲法の「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」で初めて表記されたものだと見られる。
後述するように、歴代天皇の系譜には「万世一系」とかけ離れた大きな謎が存在する。
高市首相は歴史をもう少し勉強した方が良い。

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抗告容認する自民党の猿芝居
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年5月 7日
再審制度見直しに関する自民党の協議は完全な茶番。低質な学芸会でしかない。
焦点は二つ。検察の抗告禁止と証拠開示裁判所が再審開始を決定したときに上級審に異議を唱える検察の抗告を禁止するのかどうかが最大の焦点。
「原則禁止」は「禁止」ではない例外として抗告を認めるからほとんどのケースで抗告が行われることになる。霞ヶ関用語に騙されてはならない。
「原則禁止」は霞ヶ関用語辞典での意味は「容認」。

三審制度で確定した判決をたった一度の開始決定で再審を認めてよいのかとの主張が示される。
「法的安定性」が損なうとの主張が示される。「恥知らず」の極致。「冤罪」ほど卑劣な犯罪はない。国家にしかできない犯罪。それは戦争と冤罪。
冤罪は魂の殺人。冤罪で死刑が執行されるなら正真正銘の国家による殺人だ。

刑事司法の根幹は冤罪の排除。冤罪がどれほど深刻な犯罪であるのかを知らないのか。
冤罪を生み出す側はお気楽だが、冤罪の被害者は「魂の殺人」被害者だ。
初代司法卿の江藤新平は冤罪の防止を根幹に据えた。フランスの人権意識を強く有した人物だった。明治維新最大の偉人である。
江藤を殲滅したのが大久保利通。大久保は人権よりも国権を優先した

たとえ10人の冤罪被害者を生み出そうとも、1人の真犯人を逃すなとの考え。
冤罪排除の基本はたとえ10人の真犯人を逃しても1人の冤罪被害者を生んではならない
というもの。明治6年政変ののち、大久保は不当に国家権力を掌握して江藤新平を殺戮した。江戸刑法を用いて江藤を晒し首にした。

「江藤の日本になるか」、「大久保の日本になるか」の分岐点だった。
大久保が江藤を抹殺して「大久保の日本」になった。その大久保が生み出したのが内務省。
ここに特高警察が置かれた。大久保のDNAが日本の警察・検察・裁判所制度に流れている。
冤罪に何の罪の意識を感じない。冤罪を生み、人権を木っ端みじんに破壊しておきながら「法的安定性」とはよく言えたものだ。

証拠開示に「目的外使用を禁ずる」が盛り込まれると開示証拠を広く流布できない。
自民の会合で紛糾したが学芸会よりも低質の茶番。「原則禁止=容認」を本則に入れても付則に入れても何も変わらない。自民は「原則禁止=容認」を本則に入れたから検察の主張を抑えたとアピールするだろう。完全な茶番。プロレスだ。

大声を上げて正義の演技をする稲田朋美氏は検察の台本通りに芝居を演じているだけ。
「原則禁止=容認」を確保すれば、いままでと何も変わらない。この茶番劇に全面協力しているのがNHK。「原則禁止」は「容認」。
「抗告禁止」を決定しなければ何の意味もない。

続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4412号
「防犯カメラがない日本最悪の場所」 でご高読下さい。
                 (後 略)

これ以上何が目的なのか 憲法破壊の政権が今さら「改憲」と力む裏側(日刊ゲンダイ)

 日刊ゲンダイに掲題の記事が載りました。
 いつになったら重油(やナフサ)が従来通り入手(や分留が)できる様になるのか見当がつきませんが、高市政権は「騒ぐ必要はない」の一点張りで、物価対策などの民生には目もくれず、ひたすら軍備の拡大や国民を弾圧するための立法に力を注いでいます。
 憲法記念日の3日、高市地首相は日本会議主宰の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」に向け、何と「憲法は定期更新すべき」というメッセージを送りました。きっと憲法をよく読んでいないのでしょう。
 例の「台湾有事は存立危機事態」発言から半年が経ちましたが、「対中の門戸は常に開かれている」と述べるのみで、釈明や謝罪は一切ないままです。その方が軍事費大幅アップの理由付けになると考えているのでしょうが、それによってレアアースの件をはじめ日本が受けている被害は甚大です。防衛ジャーナリストの半田滋氏は「高市政権は嫌中感情に支配されて、後先を考えられなくなっているとしか思えない」と述べます。
 また長谷部恭男(早大教授・憲法)は朝日新聞のインタビューに、「9条を変えても、自衛隊の名を国防軍に変えても、国連憲章違反である戦争や、武力による威嚇はできません。いま以上に何をやりたくて9条改正を言っているのでしょうか」「現在の日本の国力で、米国や中国に匹敵する軍事力を持つのは到底不可能。そうであれば、9条によってあらかじめ権限も制限しておくのは合理的かつ実利的で、その分エネルギーを外交に集中させ、各国間の利害調整に汗をかけます」と述べていますが、「戦争狂の境地」にある高市氏には通じそうもありません。
 一刻も早く退場の時期を迎えて欲しいものです。

 併せて日刊ゲンダイの記事:「予備費は枯渇、夏の値上げラッシュも確実なのに…それでも高市首相が補正予算編成をゴネる理由」と「高市ドン引き外交またも炸裂! 豪首相をファーストネーム呼び、“絵文字”付きサイン…識者『デリカシーなし』とバッサリ」
を紹介します。高市氏の「判断力」「知性」は大丈夫か?という問題です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これ以上何が目的なのか 憲法破壊の政権が今さら「改憲」と力む裏側
                         日刊ゲンダイ 2026/05/07
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 相変わらず、改憲に力む高市政権だが、これまで解釈改憲で憲法を骨抜きにしてきたのが自民党だ。すでに殺傷武器を輸出し、自衛隊はホルムズ海峡にまで派兵できるのに、これ以上、この政権は何を企んでいるのか。歴史に名を残したいのか、それとも、軍事国家を目指すのか
  ◇  ◇  ◇
 世間では平穏なゴールデンウイークだったが、きな臭さをまき散らしていたのが高市政権の外遊だ。
 政府はつい先日、「防衛装備移転三原則および運用指針」を見直し、殺傷能力のある武器輸出を可能にした。その途端に高市首相や小泉防衛相が「武器セールス」外交に走り出したのである。
 オーストラリアを訪問した高市は首脳声明で、「もがみ」型護衛艦の能力向上に向けて、日豪共同開発・生産を推進することを確認。フィリピンを訪問した小泉は、退役させる海上自衛隊の「あぶくま」型護衛艦を輸出すべく協議入りを決めてきた。
 言うまでもなく、こうした武器輸出は日本が築き上げてきた「平和国家」の理念を自らかなぐり捨てるものだ。その理由として政府は同志国の軍事力強化による抑止力の向上や防衛産業の基盤強化、継戦能力向上、軍民両用の産業発展、経済成長などを唱えるが、50年前、三木内閣の外相だった宮沢喜一は「わが国は兵器を輸出してお金を稼ぐほど落ちぶれていない」と答弁、平和国家としての矜持を示したものだ。
 高市は「もう時代が変わった。産業につなげお金を稼ぐことは落ちぶれたことだとは思わない」などと居直ったが、中国はさっそく、「地域の安定を脅かす新型軍国主義だ」と反発。それを無視するように、閣僚が対中包囲網のような武器輸出セールスに乗り出した。もはや、対中関係の改善は絶望的になってしまった。

殺傷武器輸出の代償はあまりにも大きい
高市政権には中国との関係を改善する気がないのでしょう。今回の武器セールスはそれを宣言したようなものです。しかし、中国にレアアースを止められたら軍事産業も大打撃です。どうやって成長させるつもりなのか。大体、三原則を見直す前から、日本の武器は値段が高く、実戦での実績がないため、売れなかった。今回、退役するあぶくま型護衛艦をフィリピンが買ってくれるのは、中古だから安いのと、その間、欠陥がなかったから、まあ、信用できるということでしょう。新品を注文すれば、高い上に完成までに数年を要する。そんな時間はない、という事情もあったのでしょうが、二束三文の値段になるのは間違いない。これが、平和国家の理念を捨て去り、中国からレアアースを遮断されてまで急ぐビジネスなのか。高市政権は嫌中感情に支配されて、後先を考えられなくなっているとしか思えません」(防衛ジャーナリスト・半田滋氏)
 しかし、大メディアは例によって、高市、小泉の外遊成果をタレ流し。ポンコツ護衛艦のセールスで「対中牽制」などと騒いでいる。「オメデタイ」と言ったらありゃしない。

「憲法は定期更新すべき」という首相の暴論
「きな臭さ」といえば、憲法記念日での高市メッセージにも驚いた。日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」という集会にビデオメッセージを寄せた高市は憲法について「時代の要請にあわせて本来定期的な更新が図られるべきだ」言い放ち、産経新聞のインタビューでも「国際情勢や社会の変化に適応した改正、アップデートが必要」と発言、その時期については再来年夏の参院選での合区解消を念頭に「一刻も早くという思い」と言い切ったのである。
 高市は4月の自民党大会でも「時は来た。改正の発議について、なんとかめどが立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」と宣言しているから、本気で来年の国民投票を目指しているのだろう。
 そうしたら、読売新聞が3日付で<憲法改正「賛成」57%>と1面デカデカ報道。<憲法改正に向けた首相への期待感>などとあおった。世の中、にわかに改憲ムードなのだが、その是非はともかくとして、運転免許じゃあるまいし、「定期的更新があるべき姿」なんて、首相の言葉の軽さにはのけぞる思いだ。憲法学者の小林節氏にも聞いてみた。
「憲法というのは大木のような存在で、不磨の大典ではないけれど、数年ごとにモデルチェンジするものではありません。むしろ、判例や時代に応じた運用を積み重ね、大木に育てていくものです。世界史を見ても憲法が変わるのは革命や戦争、独立などのタイミングです。なぜかというと、そもそも憲法には三権分立や基本的人権など、骨が書かれているからです。そこに法律で肉付けをしていくのです。定期的更新などという言葉は高市首相らしいノリで、真剣に憲法を勉強しているとは思えません
 改憲が絶対にダメだとは言わないが、首相がいい加減な情報を発信し、大メディアはそれをタレ流しだから、油断もスキもありゃしない。「時代の要請」とかいうのも、何を指しているのかわからない。自民党が安倍政権時代にまとめた改憲4項目は自衛隊明記、緊急事態条項、合区解消、教育の充実だが、改憲のために取ってつけたようなものばかりだ。これまでも改憲項目はコロコロ変わってきたし、「時代の要請」をでっちあげてきたのが自民党なのである。

これ以上何をやりたくて改正するのか
 しかも、この間、自民党政権は解釈改憲を重ね、憲法の「骨」までも骨抜きにしてきた“前科”がある。集団的自衛権の行使を可能にし、米国の戦争にも「存立危機事態」となれば、参戦できる仕組みにした。高市は台湾有事がそれに当たると明言しているくらいだ。無理して改憲しなくても、「裏口入学」で何でもできる。そうじゃありませんか、自民党さん。
 自衛隊の明記にしたって、2015年、安倍首相(当時)は自衛隊を「わが軍」と表現、国会で追及されると「(自衛隊は)国際法上、一般的には軍隊として取り扱われる」「自衛の措置としての『武力の行使』を行う組織」との答弁書を閣議決定している。名実ともに、もはや、立派な軍隊なのである。
 それなのになぜ、いま高市政権は「改憲」「改憲」と力むのか。ここが一番怪しいのである。
 長谷部恭男早大教授(憲法)は朝日新聞のインタビューでこんなことを言っていた。
<一部の政治家は9条を目の敵にしているようですが、9条を変えても、自衛隊の名を国防軍に変えても、国連憲章違反である戦争や、武力による威嚇はできませんいま以上に何をやりたくて9条改正を言っているのでしょうか
<現在の日本の国力で、米国や中国に匹敵する軍事力を持てますか? 到底不可能です。能力がないのだから、9条によってあらかじめ権限も制限しておくのは合理的かつ実利的です。それにより、米国からの無理難題に応えずにすむ。そのぶん、エネルギーを外交に集中させ、各国間の利害調整に汗をかけます>
 まったく、その通りではないか。それなのに、高市政権は外交に汗をかくどころか、武器商人セールスだから、どうにもならない。それによって、ますます、東アジアの緊張を高めている。それを「時代の要請」などと強弁し、改憲の理由にしようとしている。マッチポンプもいいところだ。

米国からの圧力が親の代からのトラウマ?
 前出の小林節氏にはこんな経験があるという。
「ずいぶん前になりますが、改憲派の学者と見られていた私は米国大使館などで『日本はいつ9条を改正して米国と一緒に戦争をしてくれるのだ?』と聞かれました。イラク戦争の真相がわかるまで、英国は米国にとって『いつも一緒に戦争をしてくれる国』でした。アジアでは日本にその役割を求めていたのです。そのたびに私は『それは無理だ。なぜなら、主権者たる日本国民が9条を愛しているからだ』と答えましたが、自民党議員にはそうした米国からの圧力がトラウマになっている。当時と議員は入れ替わっていますが、2世3世議員ばかりの自民党議員には、そのトラウマが遺伝しているのでしょう」
 1955年の結党時に自主憲法制定を党是とした自民党。この時は国家として独立し、駐留米軍を撤退させることがセットだったが、いつのまにか、米国の圧力に屈し、米軍との一体化が改憲の目的となっている。そうした真相を国民に知らせず、改憲をもくろむ高市政権の危うさは今や、覆い隠しようもない。それがあらわになった大型連休だったのではないか。


予備費は枯渇、夏の値上げラッシュも確実なのに…それでも高市首相が補正予算編成をゴネる理由
                          日刊ゲンダイ 2026/05/08
「きょうの時点で補正予算案の編成がすぐさま必要な状況とは考えていない」──。米国とイスラエルが引き起こした中東情勢の混乱が長引く中、高市首相は4日、訪問先のオーストラリアで補正編成の必要性を改めて否定した。「今は必要ない」との留保付きだが、編成に追い込まれるのも時間の問題だ。
 市場調査会社インテージによれば、今年のゴールデンウイーク(GW)は「予定なし」が前年比4.7ポイント増の41.2%に上り、円安・物価高を背景に予算が前年比5%減少。余暇の過ごし方の変化ひとつとっても、国民生活は貧しくなっているのに、なぜ高市首相はかたくなに補正編成を拒むのか。
「政治的メンツでしょう。今年度予算が1カ月前に成立したばかり、かつ、野党から補正編成を要求されているタイミングで『組みます』とは言いにくい。加えて、高市さん自身が掲げる『予算編成の抜本改革』が足かせになっている。『補正ありきではなく、必要なものは当初予算に積む』と繰り返している以上、補正は組みづらい。ゆえに今年度予算に積んだ予備費1兆円を根拠に『今は必要はない』と言っているわけですが、政府はガソリンに加えて7~9月の電気・ガス代の補助再開も検討している。補正編成は避けられないでしょう」(永田町関係者)

円安基調を止めるために利上げが先決
 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏の試算によれば、ガソリン補助金が最新の1リットルあたり39.7円で続く「標準シナリオ」の場合、すでに積んである財源は6月25日に枯渇する見通し。新たなガソリン補助の財源が必要になるうえ、電気・ガス代補助の予算規模は最大5000億円に上る可能性があり、早くも1兆円の予備費はカツカツだ。
 さらに食料品の値上げラッシュも押し寄せる。帝国データバンクは先月30日公表の「『食品主要195社』価格改定動向調査」で、〈飲食料品では早ければ今夏中、遅くとも秋ごろにかけて広範囲な値上げラッシュ再燃の可能性が高い〉と指摘した。
 予備費の枯渇に、値上げラッシュの再来──。補正編成は待ったなしだ。
「ただ、財政支援の拡大は、さらなる円安・物価高につながり、金利上昇を招きかねない。税収はインフレ増税で潤うでしょうが、庶民生活は苦しくなる。まずは円安基調を止めるために利上げが先決です。バラマキや為替介入は一時しのぎにしかなりません」(経済評論家・斎藤満氏)
 補助金政策の一本足では、いくらカネがあっても足りない。高市政権の失政に血税が垂れ流されていく。


高市ドン引き外交またも炸裂! 豪首相をファーストネーム呼び、“絵文字”付きサイン…識者「デリカシーなし」とバッサリ
                          日刊ゲンダイ 2026/05/07
 正直、ドン引きだ。
 このゴールデンウイーク期間中、高市首相は2日からベトナムとオーストラリアを訪問し、5日夜に帰国した。ベトナムではラム国家主席やフン首相と、オーストラリアではアルバニージー首相と会談。両国とは、エネルギーや重要鉱物の供給網強化など、経済安全保障分野での協力強化を確認した。
 しかし、そこでの振る舞いが物議を醸している。高市首相は4日、自身のXでアルバニージー首相との夕食会の様子を報告したが、〈音楽を愛するアンソニーに…〉〈アンソニーからは…〉などと、ファーストネームの呼び捨てで投稿。確かに、アルバニージー首相も高市首相との共同会見で「サナエ」と呼んではいるが、Xでは高市首相を「Prime Minister(首相)」と敬称付きで記している。
 高市首相は3月末に来日したフランスのマクロン大統領も「エマニュエル」と呼び捨てにした。外交では何かとファーストネーム呼びにこだわっている。
 さらに、アルバニージー首相に招待された夕食会で、高市首相が記したサイン(写真)も、ネット上で酷評されている。「Sanae TAKAICHI」とブロック体で書かれているが、最初の「S」のみ筆記体となっており、ニコニコマークのような絵文字が描かれている。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう指摘する。
「ファーストネームで呼ぶということは、外交では本来デリケートなもの。ましてや日本はまだまだ、オーストラリアとの関係を十分に築けていません。高市さんはデリカシーがないように見えますし、日豪双方の国民にも『親密さをアピールしようとして無理をしている』と見透かされているでしょう。サインについても、今回の夕食会は公的な場ですし、オーストラリアとの関係を考えたら、ふつうこんなくだけたものを書かないでしょう」

 高市首相は今回の外遊で、経済的威圧を強める中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想を進化させると表明。対中国の姿勢を強調したわけだが、かえって逆効果になりかねない。
「そもそもベトナムのラム国家主席らは、すでに中国寄りの姿勢を明確にしています。今更、日豪側に付くことは考えづらい。今回の外交は結局、中国側の反発を生むだけの結果になりかねません」(孫崎享氏)
 やっぱり“外交オンチ”だ。

中国はシリコンバレーのAI業界全体を詐欺のように見せてしまった

 中国が新に公開したパソコン起動時アプリDeepSeek「V4」は、史上初めて中国製チップで作られもので、OpenAIやAnthropicの最先端モデルに匹敵する性能を持ちながら価格はわずかその7分の1です。
 2022年以来、米国は中国の進展を遅らせるため高度なAIチップの輸出を禁止していますが結果として中国の進展を遅らせることにはならず、逆に中国の自立を加速させることにつながりました。
 中国の開発者たちは限られた「資源」でモデルを訓練せざるを得なかったため、AIの効率を飛躍的に高める方法を模索せざるを得なかったのですが、その制約こそが彼らに優位性を獲得させることになりました。
 米国企業のOpenAIのGPT-5.5 Proは、出力トークン100万個あたり180ドルかかるので、DeepSeek V4の51倍のコストに相当します。いまやDeepSeekに比べるとシリコンバレーの価格モデルは詐欺のように見えるということです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中国はシリコンバレーのAI業界全体を詐欺のように見せてしまった
                   耕助のブログNo. 2893 2026年5月7日
   China just made Silicon Valley’s entire AI industry look like a scam
                          by Ricardo @Ric_RTP
米国政府は3年間、中国が競争力のあるAIを開発するのを阻止しようと試みてきた。
しかしこれがとんでもない逆効果になった。
経緯はこうだ:
昨日、中国のスタートアップDeepSeekがV4」とい新しいAIモデルを公開した。
その性能はOpenAIやAnthropicの最先端モデルに匹敵する。価格はわずか7分の1だ。
そしてそれは史上初めて中国製チップで作られた。米国製ではない。
この最後の点が、西側を恐怖に陥れている。

背景説明:
2022年以来、米国は中国への高度なAIチップの輸出を禁止している。この戦略全体は、「中国がNvidiaの最高性能ハードウェアにアクセスできなければ、最先端のAIを構築できない」という前提に基づいていた。
しかし、DeepSeekはこの前提が間違っていたことを証明した。
V4モデルはファーウェイのAscendチップ上でトレーニングされ、動作している。ファーウェイは数ヶ月にわたりDeepSeekと直接連携し、V4が自社のAIプロセッサ全ラインナップで動くことを確実にした。
NvidiaのCEOジェンセン・フアンは最近のポッドキャストで、こう予言していた。
DeepSeekがファーウェイのプラットフォームで最初にリリースされる日が来れば、それは米国にとって最悪の結末だ」その日が昨日だった。

そしてその数字は驚くべきものだ:
DeepSeek V4のコストは、出力トークン100万個あたり3.48ドルだ。OpenAIの最新モデルGPT-5.5は30ドル、AnthropicのClaudeは25ドル。性能は同レベル。コストは7分の1だ
UberのCTOはAnthropicのツールを使用することで、2026年のAI予算をわずか4ヶ月で使い果たしたことを認めたばかりだ。
もしUberがその代わりDeepSeekを使っていたら、同じ予算で7年持ちこたえられたはずだ。
4ヶ月対7年。同じ作業がこなせる。
しかしここで価格は重要ではない。
本当の注目点は、DeepSeekが技術報告書で何をしたかだ:
彼らはDeepSeekが「負ける」ベンチマークを公開した。
どのAI企業も、自社モデルが勝つテストだけを厳選して公表する。DeepSeekはGPT-5.4やGoogleのGeminiとの全面的な比較を行い、最先端モデルより3~6ヶ月遅れていることを確認したにもかかわらずそれを公表したのだ。
彼らは文字通りどうでもいいのだ。なぜなら、価格差がある以上、ユースケースの90%において性能差は問題にならない。
つまり米国の輸出規制は中国の進展を遅らせなかった。むしろ、中国の自立を加速させた
中国の開発者たちは限られたリソースでモデルを訓練せざるを得なかったため、AIの効率を飛躍的に高める方法を模索せざるを得なかったその制約こそが彼らの競争優位性となった。
DeepSeekの各世代はトレーニングコストが劇的に安くなっている。V4もその傾向を引き継いだ。

その一方で米国企業は正反対の方向に進んでいる:
OpenAIのGPT-5.5 Proは、出力トークン100万個あたり180ドルかかる。これは、同等の作業においてDeepSeek V4の51倍のコストだ。
商務長官は今週、1月に承認されたにもかかわらず、Nvidiaの先進チップの出荷が実際には中国へ一切行われていないことを確認した。
中国はいずれにせよ最先端のAIを構築したのだ。米国のチップなしに。ごくわずかなコストで

そして市場の反応がすべてを物語っている:
中国の半導体メーカーSMICの株価は10%急騰した。華虹半導体(Huahong Semiconductor)は15%上がった。一方、DeepSeekの中国国内のAI競合企業である智普(Zhipu AI)とMiniMaxは9%下落した。V4は彼らも圧倒しているからだ。
DeepSeekに比べるとシリコンバレーの価格モデルは詐欺のように見える。
米国のテクノロジー企業は今年、AIインフラに6,500億ドル費やした。DeepSeekはわずかな費用で彼らと同等の出力を実現できることを世界に示した。
輸出規制は本来、米国の切り札となるはずだった。しかし実際には、中国に「アメリカのチップを使わずに、誰も太刀打ちできないほどのアメリカの価格設定で勝つ方法」を教えてしまった。
ジェンセン・フアンの言う通りだった。これは最悪の結果だ。
しかしこれが米国が自ら招いた結末なのである。

https://x.com/ric_rtp/status/2048026064228638964

11- イラン戦争は新たなエネルギー供給競争の幕を開ける

 海外記事を紹介する耕助のブログに掲題の記事が載りました。
 ペルシャ湾の封鎖は米国の石油・ガス産業にとって追い風となり、米国の化石燃料の輸出量は過去最高を記録しています。米国はその部分で限定的に勝利したとも言えますが、その米国でもエネルギーを自給自足できてはいません。
 世界各国の政府にとってこの危機に対する長期的な解決策はできるだけ早く化石燃料からの脱却を図ることで、いまや世界中の政府は、どの国からであっても化石燃料輸入への依存は国家および経済の安全保障にとって重大なリスクであると結論づけるに至りました。
 国の長期的な解決策は、クリーンテクノロジー、再生可能エネルギーを通じて経済を電化させ、化石燃料からの脱却を図ることです。しかし太陽光や風力発電の技術、材料、専門知識においては中国が独占的な地位を占めているので、今度はそれへの依存関係に移ることを意味します。
 重要な技術を迅速かつ大規模に構築・輸出できるのは中国だけで、それに対する代替案ほとんどないため、米国と緊密な同盟関係にある国々でさえ今や中国に依存するしかありません現実にNATO加盟国のドイツ、スペイン、英国、フィンランド、アイルランドでさえ北京へ行きました。いまや中国の「過剰生産能力」こそが彼らを救う唯一の手段だと思っているということです。

 注.文中の太字強調個所は原文に拠っています。スペースの関係で文中の5つのグラフは省略しました。ご覧になりたい方は、下記のタイトルをクリックすると原文にジャンプします。
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イラン戦争は新たなエネルギー供給競争の幕を開ける
                   耕助のブログNo. 2895 2026年5月9日
     Iran War kicks off new energy supply race
石油超大型タンカーを満載する米国 対 クリーンテックを輸出する中国
  Inside China Business
ペルシャ湾の封鎖は米国の石油・ガス産業にとって追い風となり、米国の化石燃料の輸出量は過去最高を記録している。世界中の政府は、それがどの国からであっても化石燃料輸入への依存は国家および経済の安全保障にとって重大なリスクであると結論づけている。国の長期的な解決策は、クリーンテクノロジー、再生可能エネルギー、原子力を通じて経済を電化させ、化石燃料からの脱却を図ることだ。しかしそれはある依存関係が別の依存関係に移ることを意味する。なぜなら、太陽光や風力発電の技術、材料、専門知識においては、中国が独占的な地位を占めているからだ。代替案がほとんどないため、米国と緊密な同盟関係にある国々でさえ今や中国に目を向けている。重要な技術を迅速かつ大規模に構築・輸出できるのは中国だけなのだ。

電化と化石燃料との間で新たなエネルギー競争が進行中である。中国は再生可能エネルギーによる発電技術およびハードウェアの世界的な主要生産国・輸出国であり、一方でペルシャ湾岸諸国と北米は原油やその他の化石燃料の主要な供給国・輸出国となっている。

イランとの戦争が始まる前、中国からのクリーンエネルギー技術の輸出は徐々に市場を席巻しつつあった。昨年8月、その輸出額は200億ドル⇒約3兆1000億円)に達し、過去最高を記録した。2025年のデータは7月までのものだが、年初から7ヶ月間で、中国のクリーンエネルギー技術の輸出額は1,200億ドル⇒約18兆6000億円)に達し、さらに8月分として200億ドルが加わった。一方米国は7月までの時点で800億ドル⇒約12兆4000億円)相当の石油・ガスを輸出した。さらに、中国からの輸出は急増していた一方で、太陽光発電の単価は低下していた。太陽光発電設備やパネルの価格は下落しているのである。

わずか10ヶ月後の今日、状況は一変した。ホルムズ海峡の封鎖により原油価格は急騰した。そのため、通常ならペルシャ湾で給油するはずの石油タンカーが、米国から供給を受けるために地球の反対側まで航行している。今月、70隻以上の超大型タンカーがルイジアナ州やテキサス州の港へ向かっている。このため米国の原油輸出量は過去最高を更新する見込みだ。トランプは、ホルムズ海峡を封鎖するイランに対し、米海軍が封鎖を敷いている状況は米国の石油・ガス産業にとって絶好の機会であると述べている。さらに、米国の一般家庭も燃料費の負担が大幅に増えているため、その重要性は一層高まっている。

タンカー迂回によって理論上イランから中国への日量200万バレルの輸出が遮断されることになり、それだけでも世界的な価格上昇を招くだろう。さらに、世界の石油・LNGの日量需要の20%がイランの封鎖によって足止めされているため、これらすべての需要を他の場所から賄わなければならない。
昨年、平均して月27隻の超大型タンカーが米国の港から原油を購入していた。現在、70隻の超大型原油タンカーが航行中である。これは4月の輸出量が1日あたり500万バレルに達し、5月にも過去最高を更新することを意味する。昨年の米国の輸出量は1日あたり400万バレルだったので数量ベースで25%の増加だ。また、これらの輸出は現在、1バレルあたりの価格がはるかに高くなっている。精製製品の輸出も、ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル燃料合わせて300万バレルから増加する見込みだ。
世界でエネルギー自給自足できている国はごくわずかで、米国はその中には含まれていないことを改めて認識しておくべきだろう。昨年、米国は1日あたり620万バレルの原油を輸入した。主にメキシコとカナダからの輸入である。これは北米の製油業界の甘質原油や重質原油を処理する仕組みによる。

ここでの2つの重要な点は、輸出が急増して1日あたり500万バレルという記録を更新しているにもかかわらず、その量は依然として米国の原油輸入量を下回っており、価格も上昇しているということだ。ジェット燃料やディーゼル燃料の市場も、米国国内でさえ供給不足に陥っており、トラック運送会社は、走行速度を落として配送時間を延ばすか、あるいは車両を完全に停車させることで対応している。航空会社は運賃を引き上げ、運航を停止しており、トランプ政権はすでにジェット燃料の不足を理由にスピリット航空への救済措置を約束している。
米国の原油生産量は1日あたり約1,300万バレルだが、その大半はすでに契約済みである。また、油田での増産分も、すでにフル稼働状態でこれ以上積み込みも加速もできない港湾でボトルネックに直面している。そのため、米国やその他の産油国を含め、あらゆる場所で価格が上昇している。これは世界市場であり、世界全体として供給が不足しているのだ。

世界各国の政府にとってこの危機に対する長期的な解決策は、できるだけ早く化石燃料からの脱却を図ることである。しかし、そこにある明白な問題は、単に一つの依存関係を別の依存関係に置き換えているに過ぎないという点だ。欧州連合(EU)では、政策立案者たちがエネルギーの供給網をロシアからペルシャ湾岸諸国へとシフトさせたが、今では全く入手できなくなった。
彼らは今、自国の産業経済や現代的な生活様式が、他国からの化石燃料に依存しているため、完全に他者の手に委ねられていることに気がついた。アジア諸国も同様の問題に直面している。ウクライナ戦争には全く関与していなかったが、エネルギーショックは実質的に世界的なものであり、インフレ率を押し上げた:

イラン戦争の余波はさらに深刻である。しかし、ウクライナ戦争後の高騰した価格に対し、パキスタンとバングラデシュの2カ国がどのように対応したかを振り返ってみよう。パキスタンは「ソーラー革命」を起こした一方、バングラデシュはカタールから液化天然ガス(LNG)を輸入する契約を結んだ。しかし現在、カタールからの輸送は滞っている。カタールは戦争を理由に契約を無効と宣言し、バングラデシュはスポット市場でLNGを購入せざるを得なくなり、価格は2ヶ月前の2倍になった。彼らは「エネルギー情勢を安定させる」ために労働時間と公共支出を削減している。バングラデシュのサプライチェーンは米国とイスラエルによるイランへの戦争によって崩壊してしまったからだ。
パキスタンのほうはこれとくらべて良好である。同国での「ソーラー革命」は開始から3年にも満たないが、パキスタンは輸入化石燃料への依存度を3分の1から4分の1に削減した。パキスタンはスポット市場で天然ガスを購入する必要がなく、燃料価格の変動や供給途絶から経済をいかにして守るかという点において模範的な事例となっている。これはわずか4年間での変化である。輸入・国内の化石燃料が大幅に減少する一方で、再生可能エネルギーはエネルギー構成の約17%に増え、水力・原子力と合わせるとパキスタンのエネルギー需要の半分以上を賄っている
これらはすべて、パキスタンと中国の緊密なパートナーシップによって可能となった。2024年、パキスタンは中国から16ギガワット(GW)の太陽光パネルを購入した。これは2023年の5GW未満から大幅に増加した数値である。昨年半ばまでに、太陽光パネルの累計輸入量は36GWに達し、これはパキスタンの総発電量の4分の3に相当する。その大部分は屋根設置型および小規模太陽光発電によるものである。石炭もエネルギーミックスに加わり、中国製リチウム電池の大量輸入により蓄電が可能となった。パキスタンの多くの家庭にとって、これは途切れることのない電力を享受できるようになった初めての経験である。国家レベルでは、大規模な風力・太陽光発電プロジェクトが建設された。
これらすべては、ロシアからエネルギーを購入できず、イランや米国の海軍を突破して物資を輸送できず、ヒューストンから超大型タンカーが戻ってくるのを待っている他の政府にとって、非常に魅力的な事例となっている。クリーンで自国産のエネルギー源は、長期的には明らかな解決策だ。しかし、中国への依存という問題は避けられない。技術と資材を大規模かつ迅速に供給できるのは、中国だけだからだ。

太陽光発電設備における中国の世界シェアは、世界の他の国々をすべて合わせたものよりもはるかに大きい。青い棒グラフは2024年、緑の棒グラフは国際エネルギー機関(IEA)による2030年の予測である。モジュール、太陽電池、ウェハー、ポリシリコン――現在も将来も、これら全体の4分の3以上を中国が供給することになる。総生産量では90%を超える
風力発電や、タービンに使用されるレアアース磁石に関しても中国から逃れる術はない。このグラフは2024年時点の磁石生産量を示しており、オレンジ色が中国、青色が中国以外の国々である:
パキスタンと中国はクリーンエネルギー分野で提携しており、その結果、アジアにおいて新たな海外供給元を慌てて探し回らずに済んでいる数少ない国々の2つとなっている。中国はスペインにも多額の投資を行っており、スペインはEU内の他国と比較して、エネルギー危機の影響を受けにくい状況にある。スペインの太陽光発電産業は欧州で2番目の規模を誇るが、3月単月だけで、中国の太陽光発電設備の輸出量はスペインの太陽光発電の総設置容量に匹敵した。

EU全体では、わずか6週間でエネルギー輸入コストが220億ユーロ⇒約4兆500億円)も急増した。イラン情勢は、誰もが制御不能なリスクにさらされていることを改めて思い知らしめた。だからNATO加盟国でさえ北京へ行ったのだ。ドイツ、スペイン、英国、フィンランド、アイルランドだ

これも大きな変化だ。つい最近まで、EUの当局者が中国を訪れ、中国は生産能力が過剰だと言っていたではないか。今や彼らは自国に戻り、中国の「過剰生産能力」こそが彼らを救う唯一の手段だと思っている

参考資料とリンク:(大変な分量なので省略します)