世に倦む日々氏による掲題の記事を紹介します。
やや分かりにくいタイトルなので簡単に説明します。
同氏は、高市圧勝を社会学的なアプローチで肯定するのは間違っているとして、「ウソをつきまくって他責で開き直る高市の性格の悪さは尋常ではなく、人物の面で高市がプラス評価を受ける資質的理由は微塵もない」と痛烈に酷評し、「高市圧勝の政治を有意味な社会現象として捉える見方に反対する」と述べます。
そして「では、今回の有権者の投票行動と結果の真相は何だったのか」というと、「その答えは簡単で、中国に対する反発と逆襲である。中国から攻撃されている高市を守って助けようという行動であり、中国への敵意に動機づけられた対抗反撃行動に他ならない」と明言します。
因みに同氏は「日本は反共のイデオロギー・バイアスが著しい国であり、それへの容赦がなく酌量の余地がない社会である。~ これほど反中・反共が同調圧力のコードとして強力に前提化され、言論上の拘束力と禁忌性の高い国は他にないだろう」と評します。
以上がタイトル①の内容です。
そしてもう一つの要因は、「高市の経済政策には安倍のような吸引力はなく、コンセプトの内容もなく、電通的な標語レベルとしても説得力がないので、ひたすら円安を招く」ことを前提にして、岸田政権のときに新NISAを制度化して『貯蓄から投資へ』の流れを作って2年経ったことで、「米国株での資産運用で(帳簿上の)資産増を得ていて、株依存症の経済人生を送っている人口が増えている。彼らにとっては、円の価値が下落し株が騰がれば騰がるほど儲かり小金持ちになる」という関係になっているので、「円安を推進する高市経済政策」を大歓迎しているというものです。
世に倦む日々氏は「これが高市圧勝の第二の真実であり、マスコミが言う『高市人気』の裏側の秘密だろう。無産で物価高に喘いでいるはずの日本の労働者が、共産党やれいわに投票せず、高市自民を支持しているカラクリの一端はこの『投資』ブームの問題にあると言える」と述べます。
どちらも他のコメンテータなどが着眼しなかった点であり、卓見です。
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高市圧勝の ー ①中国という敵から高市を守り、②株価を上げるため高市を推し
世に倦む日日 2026年2月24日
衆院選の結果が出て2週間が経った。その間、マスコミから今回の民意を分析し総括する記事が大量に溢れている。その多くに共通しているのは、高市の勝利を奉祝し高市人気を合理化する言葉の数々だ。高市圧勝を肯定的な社会現象として受け止め、この投票行動をした有権者の心理を内在的な視角から評価し、この政治的事実を有意義化する学者たちの言説が乱発されている。「推し活」をキーワードにした中北浩爾の浮薄な評論がその典型だし、大澤真幸によるところの、高市が「見捨てられているとの不満を抱く人々に『癒やし』を与えて支持を得た」と憶測する奇論もそうだろう。大澤真幸は社会学者だから当然こうした論理と見解になるのだが、彼らの特徴は、社会学的なアプローチで高市圧勝を整理し表現する論法だ。社会で起きている現実を肯定し、批判的に接しない。それがどれほどファシズムと同質で類似の危険な現象でも、有意味な言葉を与えて意味づけする。
そうした学者たちの言説が撒かれることで、高市圧勝という政治は社会的に肯定的な事象に化け、マスコミによって正当化され、国民全体が前向きな判断で正しい結論を出したように総括される。その物語を国民全体が納得して共有する(させられる)進行になる。選挙に投票に行った有権者は全体の56%だ。44%は棄権した傍観者である。マスコミと学者たちの言説は、約半数の棄権者も含んだ全体の民意として物語化され、日本国民の政治的選択として妥当な図に描かれて確定される。恐ろしいことだ。私は、高市圧勝の政治を有意味な社会現象として捉える見方に反対する。「推し活」などの空疎な語で大衆的ムーブメントとして表象化し、この投票結果に内在的な根拠を与え受容する認識は根本的に間違っていると思う。特に政治学者なら、政治学が研究してきたファシズムの概念とモデルを用いて批判的に分析し、危機感を示すのが当然だろう。それが常識的な議論というものだ。
それでは、今回の有権者の投票行動と結果の真相は何だったのか。有権者はどういう判断をしたのか。「推し活」などの擬態語で欺瞞的に説明された政治の裏側に何があったのか。その答えは簡単だ。中国に対する反発と逆襲である。高市に対する「推し」なる行動は、実は中国から攻撃されている高市を守って助けようという行動であり、中国への敵意に動機づけられた対抗反撃行動に他ならない。高市そのものに何か韓流アイドルのスターのようなカリスマ性があって、その価値と魅力に大衆が惹き寄せられているわけではない。高市の磁力は、中国への憎悪のエネルギーが吸収され反射された実体であり、今回の高市祭りは反中国の民意を結集させ燃焼させたフェスだったのだ。昨年 11/7 に高市が台湾有事への干渉を国会答弁して以降、マスコミはずっと高市を擁護し、国論を高市擁護で固め、中国による経済制裁を批判してきたが、今回の選挙はまさにその国論が民意となった政治だった。
実際のところ、年末から正月にかけての時期、高市は中国問題で追い詰められていた。レアアース禁輸の深刻な懸念が浮上し、日経までが高市に対して辛辣な論調に転じ、通常国会で高市が糾弾されて立往生する幕が見えていた。台湾有事に自衛隊を派遣するとコミットして突っ張り続けた発言は、自身の口から撤回せざるを得ない崖っぷちの状況になっていた。それを避けるためには、国民に選挙で自分を勝たせてもらうしかなく、現実に世論調査を重ねた情勢データでは勝利確実の予測だったので、不意打ち解散の賭けに出たのである。他にも統一教会の醜聞禍が口を開けて待っていて、解散せずに国会に突入したら火達磨の炎上となり、支持率激落の目は確実だった。選挙後の言説での表層のイメージでは、国民が高市を積極的に支持した物語になっていて、高市の「積極財政」に国民が期待を寄せた図に仕立てられている。だが、内実はそうではなく、「積極財政」など何も争点ではなかった。
党首討論会でも高市の「積極財政」が議論になった場面はない。高市の政策が野党勢の批判を抑えて評価を受けたという観察はあり得ない。高市の「個人人気」なるものも、保守系マスコミでは頻繁に喋々され、高支持率を背景に神話化されてきたけれど、左派系が多くフローする私のXタイムラインでは真逆の評価であり、特に女性から激越に嫌悪され唾棄されている実情がある。具体的に一瞥したとき、高市に特に visual value (⇒視覚的価値)の具備が認められるわけではない。無論、野田と比較して競争となれば、顕著な優位性があったのは事実で、女性という属性も利点として効果があっただろう。だからこそ、中道は吉田をぶつけるべきだった。外見の点はその程度としても、ウソをつきまくって他責で開き直る高市の性格の悪さは尋常ではなく、人物の面で高市がプラス評価を受ける資質的理由は微塵もない。過去の経緯含めてキャラクターを客観視したとき、嫌われる要素ばかりであり、人気者になれる条件はどこにもない。
なので、高市を人気者のキャラクター扱いし、期待感が躍動するブームを巻き起こしたカリスマに擬して称揚するマスコミの説明は、明らかに創作であり、政治的なトリックである。悪質な虚構の公論化に他ならない。実際には、有権者は中国を敵として騒めき立ったのであり、選挙を中国と戦う政治の場としたのであり、中国と喧嘩する高市を応援して一票を入れたのだ。暴支膺懲の感情を選挙の民意にしたのである。あのとき、11/18、もし習近平指導部が外交部の局長に北京でポケットに手を突っ込ませず、横柄で傲慢で無礼な態度で金井正彰をあしらう挑発の絵を見せていなければ、このような最悪の選挙結果には至らなかっただろう。11/18 の事件を機に、保守マスコミが攻勢をかけて 11/7 の高市の失態と暴走は意味が逆転し、日本の世論は右翼方向に、高市支持へと固まって行った。中国に対する保守派日本人の憤懣と鬱屈は、短期間の生成物ではなく、数十年間の”教育”の所産であり、幾層にも堆積されセメント化されたものだ。
その反中の精神性は、反共の思想性でもあり、社会主義・共産主義へのネガティブネスは、おそらく日本は世界一の先鋭度と支配度を持った国だろう。デフォルト(⇒基本)で中国は悪であり、脊髄反射的に社会主義・共産主義は悪だと断定される。そこに近ければ近いほど政治的に悪のフラグを立てられる。日本は反共のイデオロギー・バイアスが著しい国であり、それへの容赦がなく酌量の余地がない社会である。そのため、アメリカのようにマムダニ的契機が発生しない。私は数年前から日本は右翼大国だと言っているが、これほど反中・反共が同調圧力のコードとして強力に前提化され、言論上の拘束力と禁忌性の高い国は他にないだろう。その思想性もまた数十年かけて構築された建造物であり、昨日今日出来上がったものではない。そして、若年層になればなるほど固い信念と化していて、世代交代が進むほど日本社会の反中・反共の傾向と性格は強くなる。選挙をやればやるほど、日本は戦後民主主義から離れ、対極にある右翼的地平へ移行する。
今回の衆院選は、高市を守って中国を叩く政治的な機会と祭典だった。それが第一の真実である。マスコミは社会学的な装いを凝らした空説で物語を加工しているが、それは本質を隠すカムフラージュであり、選挙はあくまで政治的選択が行われた場であった。勝利した有権者の最大の争点は、中国から非難されている高市を擁護することであり、高市(とその仲間の右翼政党)に一票を投じて高市の”正義”を証明することだった。反中反共のシンボルである高市に勝利の凱歌を上げさせ、対中の右翼路線で結束した日本政治を実現することだった。高市が圧勝する結果を得たことで、台湾有事を存立危機事態認定して自衛隊を出すとした発言は〝正義″となり、国民が認めてお墨付きを与える〝正しい”方向性となった。安倍晋三が主導し扇動した「台湾有事=日本有事」の命題は、高市圧勝によって国策の位置に定礎された。今後の日本の安保政策は「台湾有事=日本有事」の基本方針に沿って立案され策定される。すなわち、中国との戦争を睨んだ国策の遂行となる。
高市にカリスマがありプラスの磁力があったから票を集めたのではなく、中国という敵を拒否し排撃しようとするエネルギーが票を高市に向かわせたのだ。マスコミがその政治的真実を語らず、捻じ曲げた社会学的な言説で上塗りするのは、反中反共の右翼日本というイデオロギー的事実を客観的に認めたくなく、そこに生臭さと疚しさを感じるからで、お茶濁しで逃げて自己欺瞞したい衝動からだろう。誰もが自分自身の醜い姿は見たくない。本当の言葉を当てたくない。なぜなら、自我の断裂と混乱を招来し、平和憲法否定の右翼思想が普遍的で絶対正義の立場だと自信を持てないからだ。そもそも、高市が取った票は2000万票で、小泉や安倍と比べて大差なく、カリスマ性を美化するほどの数には当たらない。経済政策での大衆の吸引力と操縦力は、小泉や安倍の方がずっと大きかった。高市が得た議席数が突出しているのは、中道の選挙戦略が極端に失敗だったからであり、敵失によって法外な議席数に恵まれた点を看過できない。「高市人気」は中身のない空論だ。
第二の真実の仮説を試みよう。中国敵対とは別の次元で高市支持の大衆的真因が発見できそうだ。それは何かというと、円安株高の高市トレードである。上の段で、私は高市の経済政策には小泉や安倍のような吸引力はないと述べた。その指摘に同意していただける読者は多いだろう。高市の「積極財政」には安倍の「アベノミクス」のような魔術的な訴求力はない。コンセプトの内容もなく、電通的な政策コピーの標語レベルとしても説得力がない。だが、そう考えるのは、私や読者の多くが株式投資(投機)とは縁のない経済的存在だからである。岸田政権のときに新NISAを制度化して「貯蓄から投資へ」の流れを作って2年経った。それが始まった頃、円資産がドル資産に流出する問題がエコノミストに指摘され、円安が加速して国益を損なう一方だという警告が発せられていた。要するに、日本人がNISAを媒介に円資金をオルカンやS&Pに移し、米国株での資産運用で(帳簿上の)資産増を得ていて、株依存症の経済人生を送っている現実がある。その人口が増えている。
彼らにとっては、円の価値が下落すればするほど得で、株が騰がれば騰がるほど儲かるのだ。豊かな小金持ちになるのだ。高市トレードは円安を推進する経済政策である。金融市場のプレイヤーである資本家に対して、円の金融緩和継続を保障し、「積極財政」による財政毀損(円の信認低下)を意識づけ、円安トレンドの心性を導引させ続ける政策だ。アベノミクスと同じ。俄か投資家の彼らにおいては、円安によって物価は上がっても、それを上回る円換算の資産増が(現在進行形で)口座に計上され達成されているため、円安は大歓迎なのであり、高市トレードを永続して欲しいのである。つまり、彼らのマインドが資本家になっていて、金融資産を保有運用していない多数の日本国民がどれほど輸入インフレの物価高禍に喘いでも、他人の不幸は自分の幸福で、意に介することがなくなっている。高市自民に投票した2000万人の中には、そうした、本来は無産の労働者であり、所得的には賃金労働者なのに、NISAで素人投資家に化けた俄か資本家が多くいる。彼らにとっては高市は稼ぎの神なのだ。
これが高市圧勝の第二の真実であり、マスコミが言う「高市人気」の裏側の秘密だろう。無産で物価高に喘いでいるはずの日本の労働者が、共産党やれいわに投票せず、高市自民を支持しているカラクリの一端はこの「投資」ブームの問題にあると言える。若い世代になればなるほど、日本の労働者はNISAに依拠し信奉する者が多くなり、資本主義(新自由主義)を正面から肯定する態度になる。高市自民や維新や玉木国民や安野みらいを支持する政治的主体になる。すなわち、小ブルジョワ(Petite bourgeoisie)。マルクスは「存在が意識を規定する」と言った。まさしく、彼らが生きる土台の論理と運動が彼らの志向と選択を決定づけている。経済的生き方が政治的価値観を決めている。日本人の存在と意識の誤った変容が、政治を誤った方向に導いている。以上、①中国への敵対反発の民意 と ②高市トレードへの支持と、高市圧勝の真実を2点指摘した。
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2026年2月26日木曜日
高市圧勝の ー ①中国という敵から高市を守り、②株価を上げるため高市を推し
CIAと自民・勝共連合・MRA/民意反映する自民議席数は171(植草一秀氏)
植草一秀氏の掲題の2つの記事を紹介します。
1つ目の記事は戦後における米国による日本の植民地的支配の概要を述べています。
戦後日本はGHQ・GS(民政局)の管理下で1947年まで急速に民主化が進められましたが、その後GHQの主導権がGSからG2(諜報2部)に移行すると日本の民主化政策は中止され、戦前の主要勢力の再登用を推進し旧軍人、旧財閥関係者を復権させるなど急激に非民主化政策に変わりました。
CIAは自民党創設資金を拠出したほか、革新野党を制御するために民社党を創設しました。CIAの対日政治工作の中核は自民党、勝共連合(統一協会)、MRA(後にI Cに変更)で、高市氏、野田佳彦氏、前原誠司氏らが学んだ松下政経塾はMRA系列の代表機関です。
このように日本政治は二重、三重の工作によって米国によって完全支配されていて、いまやトランプへの激烈な追従を憚らない高市氏によって、米国が創作する戦争に巻き込まれる重大な岐路に立たされていると警告しています。
2つ目の記事では、小選挙区制が当初から「4割の得票率で7割の議席を占有できる」などと批判されていた通り、先の衆院選では著しく不当な結果となったことを、同じく当初から最も望ましいとされた「完全比例配分」との比較で明らかにしました。
詳細は記事中の「試算表」を参照ください。
植草氏は「選挙制度改革こそ本当の意味の国民会議創設を必要とするテーマである」と述べます。
追記)高市首相は「食品の消費税ゼロに」を検討する国民会議のメンバーを「ゼロ化反対」の勢力だけの構成にしようとしているようです。
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CIAと自民・勝共連合・MRA
植草一秀の「知られざる真実」 2026年2月24日
日本は岐路に立っている。
このまま、米国の植民地として米国に支配され、滅亡に向かうのか。米国の植民地から脱却するのか。敗戦後最重要の岐路に位置している。
敗戦から1947年までの2年間に巨大な遺産が築かれた。この遺産がなければ日本はすでに滅びていると思われる。戦後民主化という遺産。戦後民主化を主導したのはGHQ・GS(民政局)だった。
フランクリン・ルーズベルト大統領の「ニューディール政策」の系譜で日本民主化が遂行された。
その集大成が日本国憲法。憲法制定を主導したのはGHQ・GSだが、土着化のための論議は日本国民によって精力的に行われた。そして、1947年5月に日本国憲法が施行された。
憲法制定のプロセスが半年遅れていたなら日本国憲法は誕生していない可能性が高い。
ルーズベルト大統領は1945年4月に急死。
後継大統領にハリー・トルーマンが就任した。1947年3月にトルーマンは米外交の基本路線を転換。反共を外交基軸に据えた。
これに連動してGHQの日本占領政策が激変した。日本民主化は中止され、日本反共化、日本非民主化に転じた。「逆コース」である。GHQの主導権はGSからG2(諜報2部)に移行した。GHQは日本民主化政策を中止。日本における戦前の主要勢力の再登用を推進した。
旧軍人、旧財閥関係者を復権させた。
戦犯容疑者の一部を米国のエージェントとして釈放。免責された戦犯容疑者が米国のエージェントとして活動し、米国が支配する日本政治構造が構築された。
エージェントとして活動した中心が岸信介、笹川良一、児玉誉士夫、正力松太郎の各氏らである。
CIAは自民党創設資金を拠出。他方で、革新野党を制御するために「元祖ゆ党」を創設。
これが1960年創設の民社党である。民社党の支援母体として創設されたのが同盟。
同盟系組合が現在の連合の実権を握っている。
同盟の研修機関が富士政治大学校であり、現在の連合会長である芳野友子氏は富士政治大学校で反共教育を受けたと見られる。同盟の特徴は統一協会の国際勝共連合と極めて近い関係を有したこと。
CIAの対日政治工作の中核は自民党、勝共連合、MRAである。
勝共連合は統一協会の政治団体。戦犯釈放組の岸信介、笹川良一、児玉誉士夫の三氏が日本における国際勝共連合創設に深くかかわっている。
MRAは道徳再武装。ナチスを肯定したことで戦後に影響力を低下させたが、反共政策が米国外交の基軸に据えられるなかで、勝共連合と類似して「反共産主義」を基軸に据えて勢力を拡大した。
日本の革新勢力を資本主義体制の中に組み込む工作活動が展開されてきた。
日本での活動拠点は日本国際交流センターであり、同センターはロックフェラー利権を代表する日米欧三極委員会事務局を兼ねている。
MRAは2001年に名称をイニシアティブス・オブ・チェンジ(IC)に変更。
松下政経塾は日本におけるMRA系列の代表機関であると見られる。
日本政治は二重、三重の工作によって米国によって完全支配されている。
その日本がいま、米国が創作する戦争に巻き込まれる重大な岐路に立たされている。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4347号
「敗戦後最大岐路に立つ日本」 でご高読下さい。
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(後 略)
民意反映する自民議席数は171
植草一秀の「知られざる真実」2026年2月25日
国民会議を創設して国民的議論を行うべきは選挙制度改革。高市首相は「政治とカネ」を「議員定数」にすり替えた。
自民党の金権腐敗体質が最大の問題だった。抜本対応なら「企業団体献金全面禁止」。これ一択だった。
政治資金は国民が負担している。政党助成金制度を導入した際、企業団体献金は全面禁止することになっていた。当時の自民党総裁・河野洋平氏が明言している。
「解党的出直し」を迫られた自民党は企業献金禁止の方針を明示すべきだった。
ところが、高市首相の取った行動は違う。「政治とカネ」問題を放り出した。「政治とカネ」への対応を放り出して、維新が提示した議員定数削減に乗った。完全なすり替え、ごまかしである。
人口当たりの国会議員定数で日本はOECD38か国中の36位。
議員定数は圧倒的に少ない。議員定数を削減する必要性は極めて低い。是正が必要なのは議員報酬の高さ。日本の国会議員の年収は歳費、期末手当、調査研究広報滞在費、立法調査費を税引前収入で表示すると約5500万円。
5000万人を超える給与所得者の所得中央値は年収約400万円。
日本の議員報酬は世界のなかでも突出して高い。
「身を切る改革」と掲げるなら、やるべきことは議員定数削減でなく議員報酬削減だ。
ところが、高市首相は企業献金規制強化を放り出して、議員定数削減をあたかも重要課題であるかのように持ち出した。「ごまかし、すり替え、居直り」が高市三原則。
高市氏は三原則通りの対応を示してきた。「政治とカネ」の浄化に取り組む考えはない。
高市氏は居直っている。
必要性のない議員定数削減につき、維新は「比例定数の削減」を掲げた、ふざけた提言だ。
選挙制度の最大の問題は議席配分が民意を正確に反映していないこと。
民意を正確に議席配分に反映させるには「比例代表選挙」が最適だ。
今回の衆院選結果を示す。
(今回*)と表示しているのは自民が候補者不足を生じさせず、配分議席をすべて確保した場合の計数。
現実には自民が獲得した議席のうち14が他党に流れた。
内訳は旧立民が6、維新、国民、みらいが各2、参政とれいわが各1。
数表では併せて、比例代表の得票率で案分した議席数を「仮定計算」欄に記入した。
すべての議席を比例代表の得票率で案分して配分した場合の議席数である。
これを見ると現実の選挙結果と仮定計算との間に大きな乖離が生じる
自民は 330 が 171 に
中道は 43 が 85 に
共産は 4 が 20 になる。
衆議院定数は465で過半数は233。自民の171は233に遠く及ばない。
比例代表での議席配分が有権者の投票結果を正確に反映するものである。
民意を正確に議席配分に反映するには全議席を比例代表選挙で決定することが最善である。
14議席を他党に譲っても自民は今回316議席を確保したが、この議席数は民意を正確に反映するものでない。
選挙制度改革こそ本当の意味の国民会議創設を必要とするテーマである。
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第4348号
「選挙制度刷新国民会議創設へ」 でご高読下さい。
(後 略)
26- 本丸は「積極財政」より「憲法改正」 美辞麗句が散らばった高市施政方針演説の裏を読む
日刊ゲンダイの掲題の記事を紹介します。
先般 高市首相は美辞麗句をちりばめた施政方針演説を行い、その後半では数々のタカ派政策を分かりにくい名称に変えた上で盛り込みました。狡猾な手法です。
「国民から力強く背中を押していただけた」と殊勝な言い方をしていますが、その実は自信たっぷりというのが本音で、「国論二分」の政策実現に突き進む姿勢を全開にしました。
日本は戦前、戦艦大和の莫大な建造費を捻出するため「複数年度予算制」にした結果、戦後 無惨な財政破綻を招きました。その反省に立って現憲法は86条で予算の単年度主義を原則に定めていますが、衆院選の歴史的大勝で全能感に包まれている高市首相は、何とかその原則を破ろうとしているようです。
そもそも不要な軍事費を毎年20兆円~30兆円も支出することが日本に取って致命的な不幸をもたらすことは子どもでも分かることなのに、何故高市氏が分からないのか、あるいは分かろうとしないのか本当に不思議です。
高市氏が虚言壁の持ち主であることは多くの識者が指摘しています。
虚言は誰よりも本人に自覚があるし、その罪は当人が軽蔑されることで贖われますが、基本認識を誤ることで国の政治を誤るならば、国民全体と不幸に陥れることになりで取り返しがつきません。
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本丸は「積極財政」より「憲法改正」 美辞麗句が散らばった高市施政方針演説の裏を読む
日刊ゲンダイ 2026/02/21
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
成長のスイッチを押して押して、と強調していたが、積極財政によるインフレ政策で庶民生活はどうなるのか。後半に押し込められたタカ派政策こそ、高市政治の本質ではないのか。皇室典範に急いで踏み込む野望の政治家が高市早苗。
◇ ◇ ◇
「とにかく成長のスイッチを押して! 押して! 押して! 押して! 押しまくってまいります!!」──。高市首相が作り笑いを一転させ、“どや顔”で力説を畳みかけると、自民党が戦後最多316議席を占める衆院本会議場は割れんばかりの拍手に包まれた。
高市は20日の施政方針演説で砕けた表現を多用し、「旋風」の一因となった「飾らない姿勢」を改めてアピール。「国民から力強く背中を押していただけた」と、歴史的大勝で得た強固な政権基盤を背景に、自信たっぷりで「国論二分」の政策実現に突き進む姿勢を全開にした。
約50分、文字数にして約1万2900字と平成以降3番目に長い今回の演説で強調したのが「強い経済」の実現だ。本人が「かなり赤ペンを入れた」(首相周辺)という原稿には「強い経済」が計5回も登場した。その実現に向け、高市は「政策の在り方を根本的に転換してまいります」と宣言。国内投資促進の「本丸」に掲げたのが、毎度おなじみの「責任ある積極財政」である。
「責任」「積極」という言葉は力強く響くかもしれないが、その内実は極めて危うい。
そもそも高市が今回も示した「長年続いてきた過度な緊縮志向、未来への投資不足の流れを断ち切る」という認識さえ怪しいものだ。
「未来への投資」は絵に描いた餅
第2次安倍内閣以降、自民党政権の当初予算額は毎年のように過去最大の更新を重ね、巨額の経済対策を編成してきた。高市政権も同様に今年度補正予算でも、すでに「危機管理投資」や「成長投資」に6・4兆円を計上。その財源の多くは国債で賄っている。
今年度末には、国債残高が1129兆円に達する見込み。日本の財政状況は先進国でも最悪の水準だ。「長年続いてきた過度な緊縮志向」とは程遠い現状ではないか。
高市の主張は、まるで財務省を諸悪の根源とする陰謀論者に毒されているかのようだ。経済評論家の斎藤満氏が言う。
「まず『危機管理投資』も『成長投資』も出資をどこから募るのか。これまでも政府主体で数多くの『官民ファンド』を設立してきましたが、ことごとく投資に失敗。巨額の赤字を積み上げただけです。それだけ中長期の成長産業を見極めるのは難しい。高市政権なら成功する保証はどこにもないのです。日本から5500億ドル(約84兆円)もの出資金を強引に巻き上げたトランプ米大統領なら、いざ知らず。『高市ファンド』などと称して国内企業から直接出資を呼びかけるにしても、高市首相は投資の素人。巨額のカネを託すわけにはいきません。『未来への投資』に向けた『積極財政』は、絵に描いた餅にすぎません」
マーケットは正直だ。高市の施政方針演説の直後、為替市場は「ビジョンなき投資」と「無責任な放漫財政」をあざ笑うかのように、円売りが加速。午前中の1ドル=154円台後半から一時は155円台半ばまで円安に振れた。長期金利もジワジワと再上昇している。
「住宅ローン金利も引き上げられ、円安放置で物価上昇も止まらない。積極財政によるインフレ政策は、庶民生活を苦しめるだけです。高市首相は今回の演説で『強い経済』を『税率を上げずとも税収が自然増に向かう』と定義づけましたが、物価上昇とともに庶民の税負担が増える『インフレ増税』を意味します。それこそが彼女の望みなのでしょう」(斎藤満氏=前出)
危険な正体を醸し出す“ほほ笑みの独裁者”
「責任ある積極財政」は庶民にとって百害あって一利なし。力強い“魔法の言葉”にダマされてはいけないのだが、高市はこの手の詭弁が大の得意だから厄介なのだ。
施政方針演説にも衆院選スローガンの「日本列島を、強く豊かに。」をはじめ、「日本と日本人の底力を生かす」「稼ぐ力を抜本的に強化」「攻めの予防医療」「投資と賃上げの好循環」「平和と繁栄を創る『責任ある日本外交』」「日本人の誰もが、日本国の主役」などなど、フワッとした美辞麗句をちりばめた。
最後は「今年初めて投票して下さった18歳の若者も、生まれたばかりの赤ちゃんも、その多くが、22世紀を迎えることができるでしょう」と壮大な話を持ち出し、「その時に、日本が安全で豊かであるように」と情感たっぷりに締めくくった。
発する言葉の意味はよく分からずとも、ハッキリした物言いと、スパッと言い切る勇ましさに、コロッとダマされてしまう人も多いのだろう。
一方で高市は遠慮なく「熟議の国会」をかなぐり捨てる。与党が衆参両院で過半数割れしていた昨年10月の所信表明演説では「各党からの政策提案をお受けする」と低姿勢で野党に呼びかけたものだが、衆院選圧勝でどこ吹く風。今回は「力を合わせたい」とか言いながら、「しかし、大胆に、政権運営に当たっていく」と居直った。
その口ぶりに迷いは見えず、2026年度予算案の「年度内成立」に向けた超スピード審議も視野に入れる。そのため、前面に打ち出したのが、いわゆる「教育無償化」の4月実施だ。無償化を待ち望む子育て世帯を〝人質″に取り、野党に審議なき成立をのませようとするのだ。シャ乱Qじゃないが、「ズルい女」としか言いようがない。
複数年度予算は戦前の二の舞いに
ここまでコケにされても、衆院選で壊滅的敗北を喫した中道改革連合を筆頭に、もはや野党に抵抗する力はないのか。衆院本会議場の野党席からは国会名物のヤジは聞こえず、お通夜のような静けさ。今後の国会審議が不安になるほどで、ますます高市は図に乗り、国民軽視の欺瞞も見逃されかねない。
今回の演説で高市は、3月から提示する「官民ロードマップ」に盛り込む戦略17分野の1つに「防衛」が含まれることを伏せた。多くの専門家が「令和の治安維持法」と警鐘を鳴らす「スパイ防止法」制定も、「外国からの不当な干渉を防止するための制度設計を進める」と言い換えた。国民を欺くペテンのような言説は“ほほ笑みの独裁者”の危険な正体見たりである。
さらなる防衛費拡大に道を開く「安保関連3文書の前倒し改定」、殺傷能力のある武器輸出解禁に向けた「防衛装備移転三原則の5類型見直し」「国家インテリジェンス機能の抜本的強化」──。演説の後半にギュッと押し込んだタカ派政策こそ、高市政治の本質だ。それでも「高市1強」の翼賛国会では、美辞麗句の裏の危険な本性はカキ消されてしまうのか。
「恐ろしいのは高市首相が『責任ある積極財政』の一環で、複数年度予算の導入を大胆に進めると言い出したことです」と言うのは、立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)だ。こう続けた。
「対象は戦略17分野から選ぶ見込みで『防衛』がその対象となれば、戦前の二の舞いです。明治憲法下の政府は、戦争遂行の予算を一般会計から切り離し、開戦から終結までを1会計年度とみなす複数年度予算を認めてきました。戦艦大和の莫大な建造費も複数年度予算で賄われ、無軌道な軍事費が戦後の財政破綻を招いたのです。その反省に立ち、現憲法は86条で予算の単年度主義を原則に定めています。複数年度予算は憲法違反で、財政民主主義にも背く禁じ手です。しかし高市首相は衆院選の歴史的大勝で全能感に包まれ、完全にタガが外れています。今回の演説でも歴史に名を残す政治家気取りで、改憲発議や皇室典範の改定に急いで踏み込み、誰もが成し遂げられなかった野望を隠そうともしないのが何よりの証拠です」
高市の本丸は「積極財政」より「憲法改正」。もっと言えば「戦争できる国」づくりだ。それこそ「22世紀を迎える若者の未来」を考えれば、野党に意気消沈の暇はない。
2026年2月23日月曜日
ガザ・西岸地区 民族浄化の懸念高まる 国連人権報告書イスラエルを非難
しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
国連人権高等弁務官事務所は19日、報告書を発表し、イスラエルの攻撃の増加などにより、ガザ地区に加えヨルダン川西岸地区でも「民族浄化の懸念が高まっている」と述べました。
報告書の対象期間は2024年11月から25年10月の1年間で、少なくとも2万5594人が殺され、少なくとも子ども157人を含む463人が餓死しました。報告書は、餓死や栄養失調について、「人道支援物資の搬入阻止などイスラエルの行動の直接的な結果だ」と述べ、「戦争の手段として民間人の飢餓を利用することは戦争犯罪だ」と指摘しました。
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ガザ・西岸地区 民族浄化の懸念高まる 国連人権報告書イスラエルを非難
しんぶん赤旗 2026年2月22日
OHCHRが検証
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は19日、報告書を発表し、イスラエルの攻撃の増加などにより、パレスチナのガザ地区とヨルダン川西岸地区で「民族浄化の懸念が高まっている」と述べました。
報告書の対象期間は2024年11月から25年10月。ガザ地区について、イスラエル軍による前例のない数の民間人の殺害や負傷、病院、学校、住宅など民間インフラの破壊、飢餓のまん延について詳述し、「集団としてガザに存在し続けることとますます両立しない境遇をパレスチナ人に課している」と指摘しました。
期間中、ガザ保健当局によれば、少なくとも2万5594人が殺されました。OHCHRはこれを検証し、確認しました。
少なくとも子ども157人を含む463人が餓死しました。報告書は、餓死や栄養失調について、「人道支援物資の搬入阻止などイスラエルの行動の直接的な結果だ」と述べ、「戦争の手段として民間人の飢餓を利用することは戦争犯罪だ」と指摘しました。
報告書はヨルダン川西岸地区について、イスラエル部隊による組織的で逮法な武力行使、恣意(しい)的逮捕、拘束中の拷問やその他の虐待、財産の破壊を詳述し、「パレスチナ人を組織的に差別し、抑圧し、統制し、支配するためだ」と指摘しました。
報告書は違反行為を助長する「武器、弾薬、その他の軍事装備のイスラエルヘの売却、移転を停止する」ようすべての国に強く求めました。
報告書は他方、ハマスがイスラエル人などを交渉の道具として引き続き拘束し続けたと指摘。「動画や証言によって性的暴力や拷問、虐待行為が明らかになった」と述べ、これらが「国際人道法に違反し、戦争犯罪に相当する」と指摘しました。
国論二分する改憲 なぜ許されないか 政治部長 中祖 寅一(しんぶん赤旗)
中祖 寅一・しんぶん赤旗政治部長が掲題の記事を出しました。
NHK「日曜討論」で「国論を二分する政策」について問われると、高市政権の井上信治幹事長代理は「憲法改正などがその典型」と述べたということです。
中祖氏はそれは「憲法の根本を全く理解しない傲慢な権力者の姿勢を示すものです。憲法の改正を『国論を二分する』形で行えば、国民と社会が分断され重大な社会的政治的混乱をひき起こすことは明らか」と述べます。
日本国憲法は硬性憲法(他には米・独など)に分類され、憲法の安定性を保つために憲法改正の手続きが通常の法律よりも厳格で、改正手続きに特別な要件を設けています。
高市政権はしゃにむに憲法改正とスパイ防止法の制定の必要性を強調し、ひたすら戦前の軍国主義復活を目指していますが、それは国民の思いとは著しく乖離したものです。14~15日に実施の「朝日の調査」で、高市政権に「力を入れてほしい政策」は何かを尋ねたところ、最も多かったのは「物価高対策」51%で、「憲法改正」は5%でした。また「賛成、反対の意見が分かれている政策」について「積極的に進める方が良いか」「慎重に進める方が良いか」については「慎重に」が63%、「積極的に」が30%でした。
いうまでもなく9条改憲は戦前の軍事国家に回帰するためであり、「スパイ防止法(戦前の治安維持法)」は「軍事国家化」を進める上で不可欠となる「平和勢力弾圧のための法整備」です。
中祖氏は高市氏の思い込みが如何に日本国憲法の理念に反したものであるかを丁寧に説明しています。
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<解説ワイド> 国論二分する改憲 なぜ許されないか 政治部長 中祖 寅一
しんぶん赤旗 2026年2月22日
自民党の井上信治幹事長代理が15日のNHK「日曜討論」で「国論を二分する政策」について「憲法改正などがその典型だ」と発言し、批判を集めています。
発言は、憲法の根本を全く理解しない傲慢な権力者の姿勢を示すものです。国の基本秩序を定める憲法の改正を「国論を二分する」形で行えば、国民と社会が分断され重大な社会的政治的混乱をひき起こすことは明らかです。
憲法改正は国民主権の表れとして行われるもので、国民の間での十分な合意の成熟が必要であることはあまりにも当然です。権力者が「多数」をたのみに憲法改正を持ち出すこと自体が立憲主義にも国民主権にも反するものだと、まず厳しく指摘しておきます。
■国民は求めていない
日本国憲法96条は改憲手続きについて、衆参各院で総議員の3分の2以上の特別多数決で改憲の発議を行い、国民投票における過半数の賛成を必要とすると定めます。
このように憲法改正は国会の発議と国民投票からなりますが、改正に国民投票を必要とするとしているのはなぜか。憲法は国の在り方の根本を定める法であり、その改定には主権者である国民の直接の関与が必要だからです。改憲の国民投票は「国民主権」の直接の表れとされています。
また、国会による改憲発議は憲法改正の内容について決定し国民に提案するもの。国民投票は発議に対しイエスかノーかだけを決めるもので、発議は非常に重要な位置にあります。憲法は、改憲発議のイニシアチブを国会に与える一方で、発議が憲法改正案の内容の決定であるからこそ、通常の法律と異なる単純多数決以上の3分の2という重い要件を課しています。そこには国民の意見をよく反映するようにという国民主権が表れています。
こうして改憲発議にあたっては、主権者である国民の世論動向をよく見て、改憲の論点やその内容について、国民的な議論と合意の形成・成熟を前提に行われることが当然に予定されています。「国論を二分する改憲発議」など本来あり得ないことです。
では「国論を二分する改憲」などという逆立ちした議論がなぜ出てくるのか。それは改憲を「党是」とする自民党はじめ改憲勢力が狙う改憲、とりわけ9条改憲が、国民の中から出てきているものではなく、権力者の側から持ち出された改憲論だからです。
総選挙後の世論調査(「朝日」14、15日実施)でも総選挙で圧勝した高市政権に「力を入れてほしい政策」は何かを尋ねたところ、最も多かったのは「物価局対策」51%で、「憲法改正」は5%にすぎません。また「賛成、反対の意見が分かれている政策」について「積極的に進める方が良いか」「慎重に進める方が良いか」については「慎重に」が63%、「積極的に」が30%でした。そもそも自民党が獲得した316議席も36%の得票で7割の議席を得たもので、小選挙区制のゆがみによる虚構の多数です。
■権力を縛るからこそ
この問題を考えるもう一つの基本的視点は、憲法が多数決によっても奪えない価値-国民の自由を守り、権力を制限する法だということです。
憲法改正に3分の2の特別多数による改憲発議と国民投票が要求されるのは、通常の法律と同じ要件で憲法が変えられるとしたら、憲法の拘束力が弱くなってしまうからです。国民の自由や少数者の人権が時の多数者の意思で侵害されないようにする立憲主義の思想です。
そうだとすれば「国論を二分する」ような問題を国民投票にかけ、たとえわずかな差でも賛成多数であれば憲法を変えて良いとすることには大きな問題があります。たまたま国会で多数議席を得て発議の形式的要件を充たすというだけで「国論を二分する改憲」もできるなら、少数者の人権を否定し、外国人の排除を可能とするような改憲発議も可能となります。そんな改憲は許されません。
憲法前文は、国民主権と民主主義、自由主義、平和主義の理想を示し「人類普遍の原理」としたうえで「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」と規定。「これに反する憲法」を排除するというのは憲法改正にも限界があることを示したものです。
■9条は憲法の〝中軸″
高市自民党が目指す改憲の焦点は9条です。9条改憲が「国論を二分する」議論となってきたのは、権力者による9条改憲の企てが続いてきたからです。その最大の原動力は米国の圧力を背景にした日米同盟強化の動きです。その対極には9条改憲と破壊を許さない市民の連綿とした運動があります。現在の9条改憲は、同2項を削除もしくは空洞化して無制限の集団的自衛権、海外での武力行使を目指すものです。
米国や日本の権力者にとって、9条は軍事政策の障害でしかありません。
しかし憲法9条は、日本国憲法のなかで中核的な位置づけを持つ重要な価値です。それは
戦前の日本の侵略戦争への反省の証しとして一切の戦力と軍事的価値を放棄する/
戦争は人権の最大の敵と位置づけ軍事を否定することで国民の自由の確保の基礎とする/
軍事を否定し軍事費の負担をなくすことは25条と一体で国民の生存権保障を充実する/
地方自治制度による中央集権の排除と一体に平和を確保するー
9条は、平和を根本的基調として全体が有機的に結びつく日本国憲法の中軸という位置づけをもっています。近代立憲主義が「国家の自衛権」を前提にしてきたのに対し、一切の軍事的価値を否定し、国家の主権を制限した9条2項には立憲主義の現代的発展があります。「国論を二分する」ような状況で、9条を変えるというのはあまりにも乱暴な議論です。
重大なことは、9条改憲を推進する勢力が、戦前の侵略戦争への反省を投げ捨てこれを「正義の戦争」と正当化していることです。9条改憲論が「国論を二分する」のは重大な歴史の逆行だからです。歴史の検証に耐え得ない無謀かつ乱暴な改憲論を許すわけにはいきません。