2020年1月29日水曜日

首相の動機は政敵を潰す異常な執念(日刊ゲンダイ)

 安倍首相が候補者一人当たり1500万円とされている選挙資金の10倍の1億5000万円もの資金を河井案里氏に投じたのは、かつて安倍首相を「過去の人」などと批判した溝手顕正前参院議員を落選させるためであったのはいまやあまねく知られるところとなりました。
 首相が公金を使って政敵? を排除しようとしたのはそれに限らず、18年の総裁選では石破茂衆院議員に勝つために、あるいは同じ山口県出身の林芳正参院議員系の下関市長を蹴落とすのに働いた人たちをもてなすために、「桜を見る会」を活用したことが明らかになりました。

 安倍首相は選挙地盤(山口4区)が下関市などで重なる林芳正氏に相当の敵愾心(劣等感?)を持っているようで、17年の下関市長選では林系の市長を追い落とすために随分えげつない振る舞いをしました。それを見ると、自分を少しでも批判する人は決して許さないのに、敵と考える人を排除するためには何でもありの人間であることを改めて知ることができます。
 彼にとっては、東大卒業後ハーバード大学院で学位を取得し、地元の後援者たちからはいずれ首相になるべき人と嘱望されている林氏がねたましいようです。

 毎日新聞が1月23日と24日に【首相の地元を歩く】の前・後編を掲載しました。
 原記事は有料記事のため冒頭のごく一部しか読めませんが、記事集約サイトの「阿修羅」に全文が転載されているので読めます。以下の通りです。

【首相の地元を歩く】「安倍か林か選べ」下関で苛烈な自民の政争 「桜」前夜祭の参加者倍増を招いた市長選/前編  ⇒ http://www.asyura2.com/20/senkyo269/msg/190.html 

【首相の地元を歩く】「これはすごい戦いになる」 ライバル林元農相は党を割って出るのか/後編          ⇒ http://www.asyura2.com/20/senkyo269/msg/211.html 

 日刊ゲンダイが「桜と河井夫妻の共通項 首相の動機は政敵を潰す異常な執念」とする記事を出しました。
 それはまさに「異常な執念」であって、臨床心理士の矢幡洋氏が語った「自己愛性パーソナリティー障害」の特性が改めて思い起こされます。曰く

自己評価が非常に高く、自分をおとしめるような事実を受け入れようとしないのが特徴です。不都合な事実を突きつけられると、自分以外の外部のせいにして責任転嫁することが多い。自分のプライドを守ることが主目的で、言い合いに負けたくない心理が先に立つ。ですから、事実に基づく議論は成立しません。自己愛型の人は政治家として危うい。折れるべきところで折れないので、周りにイエスマンしか残らなくなります」・・・ です。
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桜と河井夫妻の共通項 首相の動機は政敵を潰す異常な執念
日刊ゲンダイ 2020/01/27
 通常国会は衆院予算委員会が始まる27日から本格論戦がスタート。安倍首相と全閣僚が出席して、令和元年度補正予算案の質疑が行われるが、「桜を見る会」の疑惑追及は大きなテーマだ。年が替わっても桜疑惑はとどまるところを知らない。税金を使った公的行事を安倍が私物化していた“証拠”が次から次へと出てきている。
 21日に内閣府が出してきた新資料によると、2019年の招待者数は1万5420人で、15年から約1700人も増えた。そのうち「各界功績者(総理大臣等)」に区分された招待者は8894人に上る。
 また、桜を見る会の開門・受け付け開始は午前8時半だが、内閣府が23日に出した新資料では、19年は開門前に8043人が入場していたことが分かった。安倍の地元支援者は開門前に手荷物検査なしで会場に入り、安倍夫妻と写真撮影していたことなどが関係者の証言で判明している。前日の「前夜祭」の参加者も、この5年間で倍増した。

各界における功績者を招いて慰労するという会の趣旨を逸脱し、自身の支援者を特別扱いしているのは明らかで、私物化のそしりは免れません。問題は、首相の個人的な支援者接待に税金が使われていることです。マトモな神経であれば、これ見よがしに権力を振りかざし、税金で票を買うような真似はしない。公私混同以前に、この首相には常識が通用しないのです」(政治評論家・野上忠興氏)
 安倍は父・晋太郎から引き継いだ選挙区の山口4区で70%以上の得票率を誇り、総選挙では常に2位の比例復活も許さない圧勝である。それほど選挙に強い現職首相が、なぜ後援会を公金接待しなければならなかったのか。不気味なのは、その動機だ。

林潰し、石破潰しで増えた招待者
 26日の毎日新聞が大きく紙面を割いて、安倍が桜を見る会に招待する地元支援者を増やしてきた裏事情を解説していた。地元・下関での林芳正元農相との対立が背景にあるという。安倍と林は父親の代から続くライバル関係にあるが、17年の下関市長選は「安倍・林の代理戦争」と呼ばれる熾烈なものだった。
 この選挙で安倍派を支援した人々が、18年の桜を見る会に呼ばれた。「各界功績者(総理大臣等)」が前年より約2000人も増えたのは、市長選の功労者を大量に招いたからだというのだ。「踏み絵を踏まされた」という地元市議や、「下関で安倍派に逆らうと生きていけない。ファシズムですよ」という自民党関係者の声も伝えている。
「親の代からの対立が根深いのは事実ですが、林氏は頭脳明晰と評判で、地元で“林待望論”が根強いことも面白くないのでしょう。安倍首相は、自分の存在を脅かそうとする政敵は徹底的に潰しにかかる。現職首相なのだから、正々堂々と横綱相撲を取ればいいのに、それができないのです。その異様なまでの政敵潰しの執念は、幼児性の表れだという声もある。気に食わないヤツを潰すために手段を選ばないのは独裁者の発想であり、民主主義国家の感覚では、ちょっと理解しがたいものがあります」(野上忠興氏=前出)

「各界功績者(総理大臣等)」の招待人数は、18年が9494人と突出して多い。前年から約2000人も増えている。この年の9月、石破茂元幹事長と一騎打ちになった総裁選があったことも、招待者が増えた原因とされる。総裁選に向け、地方議員や党員の“支持固め”に桜を見る会を使った疑惑だ。

コケにされても黙っているからますますツケ上がる
 18年5月4日付の読売新聞は、桜を見る会について〈今年は、地方議員の姿が目立った〉と書き、「県連幹事長ら幹部に加えて、今年は一般の県議まで首相から招待状が届いた」「これは党総裁選を意識した地方の『党員票』対策の一環なんだな」という自民党関係者の声を報じていた。
 同じ党の仲間であっても、自分に歯向かう者は全力で潰す。しかも、それを公金を使ってやるエゲツなさ。つくづく品性下劣で、こういう手合いに権力を持たせてはいけないのだ。
 夫の河井克行前法相とともに、ウグイス嬢に法定上限の2倍の報酬を払った公職選挙法違反容疑で家宅捜索などを受けた自民党の河井案里参院議員に1億5000万円もの選挙資金を投入した異常な肩入れも、構図は同じだ。

 昨年の参院選で、党本部が候補者に提供した資金は1500万円が基本だった。案里と同じ広島選挙区で公認された溝手顕正元防災担当相も1500万円だったという。
 溝手は安倍との確執を抱えている。かつて溝手に「過去の人」呼ばわりされ、恨み骨髄の安倍は、相場の10倍というケタ違いの資金で案里を優遇。結果、ベテラン現職だった溝手は落選し、バッジを手にした案里は、夫の克行と2人で意気揚々と官邸を訪れていた。まるで溝手を落とした論功行賞のように、その後の内閣改造で克行は法相に任命されたのだ。
 案里は1億5000万円の入金に「違法性はない」と居直り、「公認をもらったのが遅く、わずか2カ月半の間で活動していかなくてはいけないので、短い期間に資金が集中した」「陣営がどう運営されていたか私自身もなかなか分からない」とトボケていたが、普通は2カ月半の選挙戦で1億5000万円も使い切れるものではない

組織が成り立つ前提は公平公正
 昨年の参院選で、広島選挙区の法定選挙費用は約4700万円だった。その3倍ものカネを党本部は渡したのだ。不正選挙を容認するようなものではないのか。政党交付金の原資は税金だ。それが特定の候補者に集中投入され、違法選挙に使われたとしたら、納税者としてやりきれない気分になる。なぜ、新人の案里だけ特別扱いだったのか。安倍は自民党総裁として説明する責任があるだろう。党内からも疑問の声が噴出している。

 自民党の中谷元元防衛相も、26日のフジテレビの番組でこう話していた。
1億5000万円は破格を通り越している。案里さん自身も『私も知りません』ということは良くない」「党内の規律としても公平公正というのが必要で、組織が動かなくなってしまう」 
 安倍に目の敵にされた林と溝手は岸田派の所属議員だ。ここまでコケにされても、岸田派は安倍政権を支え続けるのか。派閥会長の岸田文雄政調会長は、お膝元の広島県に手を突っ込まれ、派閥の重鎮を落選させられて、よく黙っていられるものだ。この期に及んで、禅譲なんて生ぬるい夢を見て、屈辱に甘んじているとしたら情けない。そういう自民党議員の物言わぬ態度が安倍をツケ上がらせ、カネと権力にモノをいわせて敵を潰す薄汚い手法を助長してきたのではないか。

「これも1強長期政権の弊害と言えるでしょう。野党や北朝鮮、韓国などを敵視するのはまだ分かりますが、党内にも牙をむく。それも公金を使って相手を蹴落とすなんて、常軌を逸しています。自民党議員も、おかしいと思っているなら、声を上げるべきです。党内でもこの調子だから、安倍首相が国民を選別し、一部のオトモダチだけ優遇するのも当然という気がしてくる。残り任期が少なくなる中、自民党内からの異議申し立てが大きくなれば、官僚組織も忖度をやめて、重要資料を出してくる可能性があります」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏) 

 公平公正は行政の基本だが、安倍政権にそれを求めてもムダだとハッキリしたのが「桜」と「河井夫妻」の問題だ。これでもまだ安倍を支持する有権者がいることが信じられない。札束で仲間を潰す異常性。そんな首相で日本国民は恥ずかしくないのか。

左翼から消えた「アメリカ帝国主義」の語

 いわゆる60年安保闘争時代には「アメリカ帝国主義」はいわば常識語であって、学生も社会人もマスコミもほとんど違和感などは持ちませんでした。勿論当時も米国に従属する「体制側」は否定しましたが、それは事実を偽る米国への気兼ねと多くの人の目には映りました。
 「日米安保条約」は一方が廃棄を通告すれば1年後には協定は廃止されるにもかかわらず、その後は何故かそれを提起しようという動きそのものがなくなりました。それどころか憲法に抵触する筈の「日米軍事同盟」という略称が公然と語られるようになりました。

 2004に出版された「拒否できない日本」(関岡英之 文春新書)は、米国の日本に対する「年次改革要求書」の実態を暴露したもので、ブームになりました。しかし新たな動きにつながるものとはなりませんでした。
 米国からの毎年の要求項目は実に膨大で、極めて執拗にその実行を迫りました。それは米国の利益を追求するためでしたが、結果としてそれは日本の経済と社会の姿を様々に破壊しました。
 米国から干渉を受けるまでは日本は健全財政国家でしたが、「年次改革要求」に屈した結果 急速に赤字財政国家に転落したのでした。

 近くは資源国家ウクライナでのクーデターやリチウムの最大埋蔵量を有するベネズエラでの政変、さらにはイラク、アフガニスタンなどへの侵略など、米国の横暴は留まるところを知りません。
 それなのになぜか日本では「アメリカ帝国主義」は全く聞かれなくなっただけでなく、「CIA」云々を口にするだけで「陰謀論」などとの批判が、左翼を名乗る一部から出るということです。驚くべき偏向です。
 ブログ「世に倦む日々」の記事を紹介します。
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左翼から消えた「アメリカ帝国主義」の語 
            - 関岡英之の『拒否できない日本』 
世に倦む日々 2020-01-27
中東や世界の各地で何か謀略事件が起きたとき、あるいは、反米勢力の側が不利になる怪しい情報工作が行われたとき、これはCIAの仕業ではないかと疑って声を上げると、途端に「陰謀論だあ」という拒絶と反論が返ってくる。特に左翼方面から、待ってましたとばかり反陰謀論ヒステリーが始まり、「陰謀論者」のレッテルを貼られて袋叩きの目に遭う。日本の政治空間ではそれが常態になった。反陰謀論キャンペーンを煽る主力はしばき隊左翼であり、きわめて凶暴に、有無を言わさず「陰謀論者」の決めつけを乱発、連呼と絶叫でTLを埋めて固めてしまう。しばき隊にとって、CIAの工作という言説は条件反射的に陰謀論という記号と結びついていて、その武器の放射で撃退しなければならない天敵のようだ。左翼を名乗るしばき隊が、何故にここまでCIAの暗躍と罪科を擁護し、米国を正当化するのか不思議で、その政治現象に注目していたが、解明の糸口になると思われる関連事実を発見した。 

アメリカ帝国主義という言葉が消えている。批判語である「アメリカ帝国主義」が消え、その言説がこの国の政治思想環境から蒸発していて、しばき隊左翼の脳内に概念の痕跡がないのである。これは、ある意味で世代の問題でもあり、日本の左翼全体の転向と変節の問題でもある。われわれが学生の頃は、今から45年程前だが、大学構内の立て看には独特の書体で「米帝」の文字が踊っていて、それは主として新左翼(極左)の文化様式だったが、「米帝」を糾弾する標語や檄文が書かれていた。例えば、京都の百万遍交差点を歩くと、南東角に必ずその単語と政治主張のオブジェを目撃することができた。そうした情景が消え、言葉も消滅し、言葉と共に言説が死に絶え、批判対象としての実体が左翼の意識から消えている。CIAはまさにアメリカ帝国主義の活動実体であり、謀略装置そのものだから、アメリカ帝国主義という概念がなくなれば、CIAに対する警戒や嫌忌がなくなり、監視の意識が途絶えるのも当然だ。

CIAが何をしてきたのか、今さらしばき隊に説教するつもりはないので、オリバー・ストーンとピーター・カズニックの『もうひとつのアメリカ史』全3冊を再読することを勧めたい。湾岸戦争時のナイラ証言の嘘やイラク戦争での大量破壊兵器の嘘は、われわれにとって現代史というより昨日の出来事である。CIAは嘘ばかり。ナイラ証言の陰謀工作を知りながら、シリアでのホワイトヘルメットの策動を無条件に正義だと信じ込み、一方的に擁護し加担するのはあまりにナイーブで不見識と言えるだろう。同じことはベネズエラ情勢の判断でも言える。米国が敵として認定し排除を決めた者が、例えば、イラクのフセインやパレスチナのアラファトやリビアのカダフィが、いかに狡猾に悪魔表象化され、テロリストにされ、国際社会の敵とされ、強引に殺処分されたか。それは、冷戦時代の米国とCIAが中南米・アジア・アフリカで行ってきた手口と同じであり、ベトナムやチリやニカラグアの延長線が続いているのであって、本質と実体は何も変わらない。

話を別方向に変えよう。今から16年前の2004年、関岡英之の『拒否できない日本』という新書が出版されてブームになった。2006年の『奪われる日本』も話題となった。米国の日本に対する「年次改革要求書」について暴露し、保守反米の立場から批判した本であり、当時、大きな反響を呼んで脚光を浴びた。2008年に小沢一郎率いる民主党が参院選で圧勝し、翌2009年の衆院選で政権交代を実現するが、その積極的な原動力となった一つが、関岡英之の著書だったのではないかと私は考える。これによって、保守世論でも竹中改革の売国政策に対する反発が広がった。書名を聞けば、誰もが何らかの感慨を持つはずだ。米国による徹底した日本改造。1997年の持株会社解禁は「年次改革要望書」によるものだった。1998年の大店法制定も「年次改革要望書」によるものだった。1999年の労働者派遣法改正による人材派遣業の自由化もそうだった。2002年の健康保険制度における3割負担導入もそうなのだ。2003年の郵政民営化もそうだ

そして、2004年の製造業への派遣解禁。2005年の道路公団民営化。これらはすべて米国からの年次改革要望書の政策を国内で法制化したもので、その後の2010年のTPP協定交渉、2012年の第3次アーミテージレポートと続き、現在は日米FTA交渉で属国化の総仕上げの段階に入っている。年次改革要望書は、1993年の宮沢・クリントン会談が最初と言われているが、そこからとめどない従属化と植民地化の過程が始まり、怒濤の勢いとなって推進され、歯止めがかからないまま現在も続いている。関岡英之の頃は、それに対する反発や反感の意識が国内にあった。私はその点を指摘したいのだ。今では、属米化することが日本人の幸福のように言われ、左翼までが競って米国従属の動きを先導している。2012年からのしばき隊の活動がそうであり、ANTIFAのコピーやヘイトスピーチ法の移植がそうだ。LGBTを始めとする多様性主義のムーブメントもそうだろう。環境問題も、本来、日本発の提起だったのに、今では欧州の粗製偶像を崇める疎外と倒錯の劇となった。

日本の左翼からアメリカ帝国主義の概念が消え、自分たちがアメリカ帝国主義に支配されているとか、収奪と洗脳が強められているという意識が欠落してしまった日本共産党の綱領には、今でも反アメリカ帝国主義の規定があり、二段階革命論の路線が保持されているのだけれど、その規定と認識が徐々に後退し、アメリカ帝国主義と対決する姿勢が弱くなっている。私見では、この問題はレーニン評価と直結していて、レーニン否定の空気がこの20年ほど左翼全般を覆うようになったため、帝国主義論の概念や理論の説得力が薄れ、こうした思想的結果を招いたのだと察しをつけている。レーニンが全面否定され、帝国主義論もゴミ箱行きの処理がされたため、アメリカ帝国主義に対する批判的視座が崩れてしまい、米国の対外政策を無条件に肯定する帰結に至ったのだろう。関岡英之の持論だった反米憂国の視角は、日本の左翼からは微塵もなくなってしまっている。その変化と傾向と並行して、左翼の中で反中国・反ロシアの気分が旺盛になり、しばき隊が反中反ロの言説を宣伝する前衛になって敵愾心を煽っている

恰も、しばき隊がCIAの手先となり、左におけるプロパガンダ機関となったかの如き奇怪な印象だ。基本的には、彼らの無知と流行追っかけの浮薄な態度が誤謬を媒介していると言える。関岡英之は昨年病死していた。関岡英之は『マネー敗戦』の吉川元忠の影響を受けている。二人とも死んだ。おそらく、その系譜と脈絡の上に、バリエーションを伴いつつ、三橋貴明や中野剛志がいるのだろう。

29- 日米地位協定 米軍の特権を見直すべきだ

 トランプに追随するだけの安倍政権は一向に日米地位協定の改定に取り組もうとしません。
 今から約70年も前に結ばれた旧安保条約下で、「米軍の占領下にあった状況を成文化した」といわれる日米地位協定がそのまま現在まで持続されているというのに、それに全く手を付けようとしないのは余りにも不自然です。その不当性は多言を要するまでのありません。

 京都新聞の社説「日米地位協定 米軍の特権見直すべきだ
 徳島新聞の社説日米安保60年 行き過ぎた追従危うい
を紹介します。
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社説:日米地位協定 米軍の特権見直すべきだ
京都新聞 2020年1月27日
 なんともいえない違和感が募る。首都・東京のど真ん中に米軍基地があり、米軍機が自由自在に飛び交う光景に、だ。
 東京都港区南青山。六本木ヒルズなど、多くの高層ビルに囲まれた青山霊園の前に2時間ほど立っていると、ブルブルという音とともに、軍用ヘリコプターが近づいてきた。
 灰色の機体には「U・S・AIRFORCE」とある。爆音を響かせながら霊園に隣接するヘリポートに着陸していった。
 「こんな騒ぎが毎日ある。低空飛行もするし、早朝も、夜でもお構いなしだ」。近くに住むという男性(71)は嘆く。

 着陸したのは「赤坂プレスセンター」。米軍の事実上の機関紙「星条旗新聞」の極東支社があるためにそう呼ばれるが、米軍基地である。
 旧陸軍駐屯地の約2万7000平方メートルの敷地には、将校の宿舎などもある。フェンス沿いに歩くと、日本人らしい警備員が銃を携えている。
 近くには米国大使館や別の米軍関係施設がある。ヘリは横田(東京都)や厚木(神奈川県)など、首都圏の米軍基地から米大使館などに向かう米政府要人や軍人らを運ぶ。
 トランプ米大統領も2017年の初来日でこのルートを使い横田基地から都心に入った。

 都心になぜ、米軍基地があり、昼夜問わず低空で騒音を響かせることができるのか。警備員が銃を携帯できるのはなぜか。
 日米安全保障条約の運用を定めた日米地位協定がその根拠になっている。
 日米安保条約により、米軍は日本国内に自由に基地を置くことができる。地位協定は米軍に日本の国内法が適用されず、日本の行政権が基地内部や軍人に及ばないことを規定する。米軍を特別扱いする取り決めだ。

 そのための特例法もある。人口密集地での低空飛行を禁じた航空法を米軍には適用しない航空法特例法はその一つだ。米軍機は日本の法律に縛られず、思うように飛ぶことがほぼ可能になっている。
 昨年12月に高島市の陸自演習場であった日米共同訓練では、地元に輸送機オスプレイの飛行ルートが伝えられなかった。
 米軍基地がある沖縄県などでは米軍機による騒音被害が日常的に起きている。だが日本政府は米軍の責任を問えない。極めて不平等ではないか

 ところが日本政府に問題を改善する気はまったく見えない。
 東京都港区は毎年、国や東京都、米政府に基地撤去を求めている。しかし安倍晋三政権は「現時点では返還は困難」などの説明をくり返す。日米安保体制が重要としても腰が引け過ぎではないか
 沖縄県の独自調査では、ドイツやイタリアの駐留米軍には国内法が原則適用されている。
 60年前の地位協定締結交渉で、外務省が米軍の特権を見直すよう米側に求めていたことが、公開された外交文書で明らかになっている。
 当時の政府は協定の不平等な実態を直視し、行動していた。安倍政権も見習うべきだろう。


社説日米安保60年 行き過ぎた追従危うい
徳島新聞 2020年 1月28日
 日本と米国が、現在の安全保障条約に署名してから60年の節目を迎えた。
 安保体制の下、日本は「軽武装・経済重視」の路線を推し進め、高度経済成長を成し遂げた。ただ、行き過ぎた対米追従が目に付くようにもなっている日米関係の在り方を見直す機会にしたい。

 日米安保の旧条約は1951年に締結された。日本は米国の同盟国になり、米軍の駐留を認めた。60年に改定された現条約は双務性を目指し、米国に日本防衛を義務付け、日本に基地提供を課した。
 日本が再び戦禍を被らなかったのは、日米同盟が大きな役割を果たしたと言える。
 安保体制が変容していくのは冷戦が終わってからだ。
 91年の湾岸戦争で米国は日本に人的貢献を求めたが、当時の海部俊樹政権は平和憲法を盾に、130億ドルの資金拠出で応えた。だが結局、初の自衛隊の海外派遣に踏み切り、戦後にペルシャ湾で機雷掃海に当たらせた。
 それ以降、インド洋での給油活動、イラク南部サマワ駐屯へと、米国の要請によって海外派遣が拡大していく。
 憲法よりも日米同盟が優位にあると言われるのも無理はない。

 その原点は、安保条約改定1年前の砂川事件の裁判にある。1審で「駐留米軍は憲法違反」と断じたものの、最高裁はこれを破棄。安保条約など高度に政治的な問題は裁判所の違憲立法審査権の範囲外とする「統治行為論」を採用した。
 この砂川判決に関しては、米国の介入をうかがわせる資料が約10年前に見つかり、正当性を疑問視する声がある。
 ただ、判決の後、日米安保を巡る住民の訴えは、統治行為論を基に退けられてきた。騒音公害など米軍基地問題に苦しむ人たちの救済が進まない要因とされる。
 また、「必要な自衛のための措置を取り得る」との判決での指摘は、違憲性の高い集団的自衛権行使を現政権が解禁する際の論拠とされた。

 日本には憲法と安保法の二つの法体系があり、後者が前者を凌駕する構造があると唱えた、憲法学者の故長谷川正安氏の説を裏付けている。
 対米追従の姿勢は、駐留米軍の特権を認めた日米地位協定が一度も見直されていないことにも表れている。
 それはますます顕著になっている。現政権は兵器を大量購入し、自衛隊の中東海域への派遣も決めた。地元の意向を無視して普天間飛行場の辺野古移設を進めてもいる。
 さらにトランプ米大統領は、思いやり予算(本年度1974億円)の5倍増を求めているという。これが応分の負担と言えるのか。

 安倍晋三首相は「安保条約の双務性は確保していると、トランプ氏に最初に会った時に伝えている」と述べた。それならば、主張すべきは主張しなければならない。自国第一主義の強硬外交を続ける米国の言いなりでは危うい

2020年1月28日火曜日

自衛隊の憲法明記は国防の根幹 と安倍首相 

 安倍首相27日の衆院予算委2019年度補正予算案の審議で、自民党小野寺五典氏の質問に答える形で「自衛隊を憲法に明記し、その正当性を確定することこそ安全保障・国防の根幹だ」と述べ、改憲に改めて意欲を示しました。
 自民党(というよりも安倍首相)の当初の考えは9条2項「戦力の不保持」を削除することだった筈ですが、それが現行の「1項、2項を据え置いたまま3項で自衛隊を明記することに方針転換したのは、日本会議の理論家:伊藤哲夫氏の作戦に従ったのでした。
 伊藤氏16年夏の参院選後、「三分の二獲得後の改憲戦略」として、この「9条3項を加える『自衛隊の戦略的加憲」を提唱しました(「明日への選択」16年9月号
 9条2項を残したままでも3項に(集団的自衛権の行使が出来る)自衛隊が明記されれば、2項は自動的に空文化されるのですが、形式上2項を残すことで護憲派の分断が図れるという狙いからでした。
 それにしてもわざわざ身内の元防衛相に質問をさせて「自衛隊明記の改憲論」を国会で口にするとはセコイ話です。

 一方、自民党の古賀元幹事長は27日、大阪市で講演し憲法9条世界遺産のようなものであり、絶対に守り抜かないといけない」とし、「自衛隊は、国際法上、すでに普遍のものとして認められており、憲法に書く必要はない。書くほうが大きな禍根を残すおそれがある」と述べました。
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自衛隊の憲法明記 首相「国防の根幹」
東京新聞 2020年1月27日
 衆院予算委員会は二十七日午前、安倍晋三首相と全閣僚が出席して二〇一九年度補正予算案の基本的質疑を行った。首相は「自衛隊を憲法に明記し、その正当性を確定することこそ安全保障・国防の根幹だ」と述べ、改憲に改めて意欲を示した。
 首相は「政治の場において、彼ら(自衛隊)の正当性を明らかにしていく責任が政治家にある」とも語り、憲法審査会で憲法論議を進めることに期待を示した。
 海上自衛隊の中東派遣に関し、近藤正春内閣法制局長官は、自衛隊が収集した情報の米軍への提供は集団的自衛権の行使に当たらないとの見解を示した。「一般論として、任務遂行のために得られた情報を他国に提供することは実力の行使に当たらない」と語った。
 中東派遣を巡る米軍への情報提供については、野党などから自衛隊が軍事衝突に巻き込まれる恐れがあるとの懸念が示されていた。
 いずれも自民党の小野寺五典元防衛相への答弁。

 首相は、自らの政権運営について「国民の厳しい声や批判に真摯(しんし)に耳を傾けながら、身を引き締めなければならない」と述べた。
 公明党の国重徹氏が「桜を見る会」を巡る問題やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を巡る汚職事件を念頭に「さまざまな政治不信を招く事態が、とりわけ与党内から起きている」と指摘したことへの答弁。 (上野実輝彦)


「自衛隊 憲法に書く必要ない」自民 古賀元幹事長が指摘 
NHK NEWS WEB 2020年1月27日
憲法改正をめぐって、自民党の古賀元幹事長は、安倍総理大臣が意欲を示す「自衛隊の明記」は必要ないと指摘しました。
自民党の古賀元幹事長は、大阪市で講演し、憲法9条について「世界遺産のようなものであり、絶対に守り抜かないといけない。『自衛隊は違憲だ』という憲法学者のために、自衛隊を明記する必要があるという安倍総理大臣の説明は納得できない」と述べました。

そのうえで「自衛隊は、国際法上、すでに普遍のものとして認められており、憲法に書く必要はない。書くほうが大きな禍根を残すおそれがある」と指摘しました。
また、古賀氏は、ポスト安倍をめぐって「菅官房長官に大きな期待を持っていることは間違いない」とする一方、「岸田政権を早く実現することも私の大きな使命だ。自民党の岸田政務調査会長には平和に対する不動の姿勢を持ってもらいたい」と述べました。

京都市長選 自公・立憲陣営が排他的な全面広告(田中龍作ジャーナル)

 2月2日に投開票される京都市長選は、現職の角川大作氏(自公・立憲・国民他推薦)と福山和人氏共産・れいわ推薦)の事実上の一騎打ちです。
 国会では対立している筈の立憲民主党と国民民主党が与党側についているのは、旧民主の福山哲郎参院議員前原誠司衆院議員の地元であるため、この二人選挙で生き残るために反共産戦術を採用しているからです。この構図は従来からとられているもので18年4月の京都府知事選でもそうでした。
 そのときには約8万5000票差で共産党の候補(福山氏)が敗れているので、約4万3000票が動けば逆転できる計算になるのに対して、今回は「れいわ新選組」の山本太郎氏が福山候補の応援についたのでその可能性は極めて大きくなりました。

 危機感を抱いた相手候補側は26日、京都新聞に「大切な京都に共産党の市長はNO」とする全面広告を出しました。まさに「赤狩り」を思い出させるような共産党を「ヘイト」する記事です。そこには当然のように立憲民主党や国民民主党の名が連なっていました。何とも情けない話です。
 京都市長選をフォローしている田中龍作ジャーナルの25日、26日付の記事を紹介します。
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【京都市長選挙】
自公・立憲相乗りの現職候補に黄信号 山本太郎を都知事候補に祭りあげる
ご都合主義     https://tanakaryusaku.jp/2020/01/00022260 
田中龍作ジャーナル 2020年1月25日
  【写真説明】「市民生活の底上げを本気で考えている」。山本太郎代表は福山和人候補を評価する。=25日、四条烏丸 撮影:田中龍作=
 山本太郎を都知事選候補に祭り上げようというプランは、昨年の秋頃から野党界隈にあった。今になってプランが急浮上した事情とは・・・
 立憲民主党の長妻昭・選対委員長が23日、BS日テレで7月5日投票の都知事選挙に「野党統一候補として山本太郎れいわ代表を擁立する可能性がある」と発言し、波紋が広がっている。
 山本は25日、京都市長選挙に立っている福山和人候補(共産、れいわ推薦)の応援に入った。
 演説が終わると山本は記者団の質問攻めに遭った。「都知事選挙には出るんですか?」と。山本は「京都市長選挙で手一杯」とかわした。
 昨年秋ごろからあった「山本太郎擁立プラン」が、この時期に来て突如浮上したのは、京都市長選挙で立憲が自公と共に推す現職候補に黄色信号が灯り始めているからだ。
 2018年の京都府知事選挙で立憲は自公と共に、官僚出身の候補を担ぎ上げた。
 地元紙の出口調査によると、立憲支持者の6割が共産党系の候補に流れた。理由は相乗り批判だった。
  【写真説明】自民重鎮の伊吹文明・元衆院議長(右)と立憲の福山哲郎幹事長(左)。開発中心の現職を共に推す。=19日、堀川蛸薬師 撮影:田中龍作=
 府知事選挙の共産系候補とは、今回、京都市長選挙に立っている福山和人候補だ。今回は れいわ が加わった。
 れいわのボランティアが福山和人陣営に入り、電話かけ、ポスター貼り、街宣などを手伝ってきた。
 れいわは古き良き自民党のような緻密な選挙をする。手堅いので上滑りせずに票が出る。
 今回の市長選挙は2008年の選挙とよく似ているといわれる。この選挙で、共産党系の候補は、951票差で門川に敗れた。
 だが、今回はれいわ票が乗る。昨夏の参院選で れいわ が京都市で獲得した票は2万9,656票。単純計算(現実はそうはいかないが)すれば、福山和人候補は2万8,705票差で勝つことになる。
 現職の門川候補は多選に加えて、世界遺産である仁和寺の前の大型ホテル建設などで批判を浴びる。しかも相乗りはまったく解消されていない。

  【写真説明】志位委員長と山本代表。選挙結果しだいでは「れいわ、共産」が野党共闘の核となる可能性が濃厚になってくる。 =25日、四条烏丸 撮影:田中龍作=
 マスコミ各社は票読み取材を重ねており、この時期になると、ある程度煮詰まった数字が出てくる。情報は政治部を通じて与野党幹部に流れる。
 告示前にあった門川候補の楽勝は消え、追い上げいかんでは福山候補に勝利の目も出てきたようだ。
 昨年夏の参院選で立憲民主は、前回の衆院選挙と比べると比例票を約300万票減らした。明らかに れいわ に食われたのである。山本太郎街宣の際、田中は聴衆に片っ端から聞いた。
 かつては民主党、民進党、立憲に投票していたという有権者が、「今度はれいわに入れる」と答えた
 れいわに野党共闘の主導権は取られたくない。山本太郎を国政から外したいという思惑が、山本を都知事選挙の候補に祭りあげたのである。立憲のご都合主義には呆れる他ない。
 
 ただし、山本は師匠の小沢一郎をも凌ぐ策士だ。一手も二手も先を読んで大戦(いくさ)を仕掛ける。祭り上げたつもりが、自らの壊滅を招くこともありうる  立憲は覚悟を決めて山本を利用した方がいいだろう。
~終わり~


【京都市長選挙】
「ヘイト」「赤狩り」の指摘も 自公・立憲陣営が排他的な全面広告
田中龍作ジャーナル 2020年1月26日
  【写真説明】「ヘイトの指摘もあるが?」。田中は門川市長に質問をぶつけたが、市長は無言を貫いた。=26日午後、京都タワー前 撮影:田中龍作=
 「大切な京都に共産党の市長はNO」-きょう26日朝の京都新聞第6ページに、排他的なフレーズで始まる全面広告が掲載された。
 広告主は現職市長の門川大作候補を支える『未来の京都をつくる会』。
 SNS上は朝からこの広告をめぐって批判が噴出し炎上気味になった。「デマ」「ヘイトではないのか」「良識を疑う」「現代の赤狩りに通じる」・・・
 確かに現職市長の陣営にしては品位を欠く。田中の電話取材に対して『未来の京都をつくる会』事務局は「これは政策広告。私たちの政治的主張をここで出させて頂いている」と答えた。

 きょう午後、街頭演説のため公の場に現れた門川市長本人に田中は質問をぶつけた。「広告が波紋を呼んでいる。ヘイトとの指摘もあるが?」と。
 門川市長は無言を貫いた。田中が門川市長に迫るようすは、ツイキャスで配信されているのでご確認頂きたい。(https://twitcasting.tv/yasu_3333)
(動画の13分30秒~14分30秒ごろに門川市長に突撃する田中の姿)
 広告には自公に加えて立憲民主党京都府連、国民民主党京都府連が名を連ねる。排除の論理には呆れる他ない。彼らの言う野党共闘とは何なのだろうか?
  【写真説明】京都新聞(26日朝刊)の全面広告。門川市長の顔写真(右下)の下に立憲民主党や国民民主党の名が連なる。
~終わり~

28- 全米各地で反戦デモ/米大使館にロケット弾直撃/イラクで超々大規模デモ

 今月9日に全米370カ所でイランとの戦争反対のデモが行われました。
 米国では25日に再び各地で対イラン戦争反対のデモが行われました。米国内だけで100カ所以上、カナダやドイツなど米国以外の同時行動をあわせると200カ所以上にのぼりました
 トランプはイランとの戦争に向け中東に3000人の兵士を送り込んだと伝えられていますが、イランを制圧するためには200万人以上の地上軍が必要といわれているので、そこにどんな意味があるのか不明です。そうまでして有志連合を頼みに、イランとの部分的な戦争を続けたいというのでしょうか。

 史上空前の戦争国家であるアメリカは、「建国以来合計222年間=93%の年間 戦争をしてきた(2015年現在)」といわれています。
 かつてクリントン大統領は、自身の不倫騒動で窮地に立たされる度に、イラクを空爆することで劇的に支持率を回復することを繰り返しました。要するに米国民は空爆に熱狂し、快哉を叫んだということです。
 米国が戦争を続けるのは、対テロ戦争であれそれを続けないことには国が維持できないからといわれています。当然産軍複合体が戦争をしたがるわけですが、国民の一人ひとりには関係のないことなのでで、ようやく国民の間に厭戦気分が蔓延してきたようです。

 それとは別に26日、イラク首都の米大使館がロケット弾3発の直撃を受けました。1発は夕食時の食堂を直撃したというので人的被害も大きかったと思われます。
 米政府は、イラク国内の「親イラン派」の武装勢力による犯行だと繰り返し非難していますが、米国がイランと事を構えればこうなることは当初から予想されたことでした。
 しかもそれに重なる様にしてイラク国会は米軍の退去を決議したのですが、米軍はどこ吹く風とイラクの主権を無視して強盗のように居座っています。それは石油利権のためといわれています。
  ⇒アメリカ合州国が自発的にイラクから撤退すると期待するのは夢想(マスコミに載らない海外記事19日

 イラクではいま数十万人とも数百万人ともいわれる抗議デモが行われています。プライドが高いといわれるイラク国民の当然の行為です。

 イラン、イラクに関する3つの記事を紹介します。(末尾のデモの写真からはイラク国民の怒りが伝わります)
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全米各地で反戦デモ「イランで惨劇繰り返すな」
国外あわせ200カ所が同時行動
しんぶん赤旗2020年1月27日
 【ワシントン=池田晋】全米各地で25日、再び反戦デモが行われました。米国とイランの当面の軍事衝突は避けられたものの、戦争につながる危険な対立が続いていると訴えました。主催者発表によると、米国内だけで100カ所以上、カナダやドイツなど米国以外の同時行動をあわせると200カ所以上にのぼりました。

 米首都ワシントンでは、数百人がホワイトハウス前で集会を開いた後、「正義がなければ平和もない! 米軍は中東から撤退を!」と唱和しながら、市内を行進しました。
 女性反戦団体コード・ピンクのメディア・ベンジャミンさんは、イランを訪問した経験から、米国の独自制裁がいかにイラン市民を苦しめているかが分かったと語り、「制裁も経済戦争の一つの形態だ」と指摘。当面の衝突を免れたこの間に、戦争・制裁反対の運動をさらに広げようと呼び掛けました。
 「全米イラン系アメリカ人評議会(NIAC)」のドンナ・ファバードさん(27)は、米イラン間の緊張激化以来、査証(ビザ)をもつイラン人留学生が入国拒否や強制送還されたり、イラン系米国人が「潜在的脅威」として当局からの監視対象になったりしていると訴えました。
 高校生のアンナ・キャンベルレイドヘッドさん(17)は、「イラク戦争のような惨劇を、イランでまた繰り返すべきでない」と話しました。


イラク首都の米大使館にロケット弾3発直撃、1発は夕食時の食堂に
AFP通信 2020年1月27日
【1月27日 AFP】イラクの首都バグダッドにある米大使館に26日、ロケット弾が撃ち込まれ、3発が直撃した。数か月にわたって同大使館の閉鎖を求める抗議デモが行われているが、ロケット弾の直撃は今回が初めて。
 この攻撃によって、ここ数か月相次いでいる米大使館や米軍が駐留するイラクの軍事基地を標的としたロケット弾攻撃が、危険なほどに激化していることが浮き彫りになった。

 これまでの攻撃に対する犯行声明は出ていないが、米政府はイラク国内の親イラン派武装勢力の犯行と繰り返し非難してきた。
 治安筋がAFPに語ったところによると、ロケット弾1発は夕食時の食堂を直撃し、2発は近くに着弾した。
 イラク高官によると、少なくとも1人が負傷したが、負傷の程度や、負傷者が米国人なのか、大使館で働くイラク人職員なのかは明らかになっていない。
 AFPは米大使館にコメントを求めたが、これまでのところ回答は得られていない。
 攻撃はいつもより早い時間帯に発生。AFP記者は午後7時30分(日本時間27日午前4時30分)ちょうどに、チグリス( Tigris)川西岸からに爆音が聞こえたと語った。

 イラクのアデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)首相とムハンマド・ハルブシ(Mohammed Halbusi)国会議長はロケット弾攻撃について、イラクを戦争に引きずり込みかねないものと非難した
 イラクは既に先月から、米国とイランの憂慮すべき報復合戦に巻き込まれている。


イラク国民の主権を無視して米軍は占領を続けようとする
櫻井ジャーナル 2020.01.25
 イラクの首都バグダッドではアメリカ軍の撤退を求める人びとの抗議活動が続いている。その参加者はAPによると数百名、CNNによると数十万名、主催者によると250万名、400万名以上という報道もある

 アメリカの親イスラエル派のひとつであるネオコンは1980年代からイラクを制圧しようとしてきた。CIAと関係の深いサダム・フセイン政権を倒し、イスラエルの影響下にある体制を樹立してシリアとイランを分断、その上でシリアとイランを壊滅させるという戦略だ。イスラエルでは1996年にベンヤミン・ネタニヤフが首相になるが、このネタニヤフに対し、ネオコンはこの戦略を売り込む。
 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、そのネオコンの中心グループの属すポール・ウォルフォウィッツは国防次官だった1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。
 ネオコンの戦略で動いていたジョージ・W・ブッシュ政権は統合参謀本部内の反対を押し切り、2003年にイラクを先制攻撃してフセイン政権を倒した。そして親イスラエル派の体制を樹立しようとするのだが、これは失敗してイランとの関係が強まっていく。
 イランとイラクとの関係が深まった要因のひとつは両国ともイスラム教シーア派が多数派だからである。イラク人の5割強がシーア派。スンニ派系のフセインの体制ができたのはイギリスが支配グループとしてスンニ派を選んだからだと言われている。

 そこでブッシュ政権はイラクで使う手先をスンニ派に戻す。これは​2007年に3月5日号のニューヨーカー誌で調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが指摘している。スンニ派の過激派と手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを叩き潰すことにしたというのだ。スンニ派の過激派とはアル・カイダ系武装集団で、その主力はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)である。

 これも本ブログで繰り返し書いてきたが、1960年代からイスラエルはイラクを揺さぶるためにクルドのバルザニ家を使ってきた。現在、アメリカはクルド自治政府のネチルバン・バルザニ首相を軸にする勢力を動かしているが、その祖父にあたるムスタファ・バルザニは1960年代後半からイスラエルの情報機関モサドのオフィサーだったと言われている人物。その息子でネチルバンの叔父にあたるマスード・バルザニがムスタファの後継者だが、やはりイスラエルの影響下にあった。
 バラク・オバマ大統領はムスリム同胞団使うことに決め、2010年にPSD-11を出す。そして始まったのが「アラブの春」だ。オバマ政権もスンニ派を手先として使っている。
 今ではフセイン体制の残党と手を組んでいるネオコンだが、フセインを倒した理由は親イスラエル派の体制を築き、シリアとイランを壊滅、イスラエルに中東を支配させるつもりだったはずだ。
 欧米の親イスラエル派にしろ、イスラエルにしろ、イラクは中東支配の要石だと考えている。イラク国民がどのように言おうと、アメリカ軍はイラク占領を続けようとするだろう。それが中東に反米感情をさらに広めることになる。