2024年3月18日月曜日

「選択的夫婦別姓」反対は自民党だけ 共産党 小池晃 書記局長

  16日のしんぶん赤旗2面に以下のコラム記事が載りました。

「総理タジタジ」 小池質問に反響続々

 15日の参院予算委員会での小池晃書記局長の質問に対し、党本部に多くの反響が寄せられました。
 大阪の男性は「裏金問題、介護保険の問題、選択的夫婦別姓の問題、すべてで小池さんが完全に勝っている。言葉の弾丸が岸田を追い詰めていると思った」と述べました。
 「小池さんの質問を見た。すばらしい。総理大臣がタジタジたった。自分も共産党に入りたくなった」(東京都内の男性)
 「小池さんの、選択的夫婦別姓問題の質問、テレビの前でも拍手を送りました。『経団連の十倉会長と日本共産党の小池晃が同じことをいう。皆既日食みたいなもの』は言い得て妙」(滋賀県の男性)などの声が相次ぎました。

「まるこ姫」も『皆既日食』発言を絶賛するブログを出しました。それを紹介した後にしんぶん赤旗の「論戦ハイライト」を紹介します。
 そもそも自民党がこれほどまで世界の非常識である「選択的夫婦別姓 反対」に拘るのは、統一協会と日本会議が強硬に反対しているからだと思われます。
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「選択的夫婦別姓」反対は自民党だけ(共産小池が真骨頂)
                         まるこ姫の独り言 2024.03.16

共産と経団連の「皆既日食」 夫婦別姓で小池氏、導入迫る
                        3/15(金) 20:15配信 時事通信
>15日の参院予算委員会で、共産党の小池晃書記局長は選択的夫婦別姓制度を巡り、経団連の十倉雅和会長も賛同していると指摘し、岸田文雄首相に導入を迫った。
>「労働者階級の党」を自任する共産党と、大手企業中心の経団連の主張が重なったことを、珍しい自然現象に例えて「経団連と共産党が同じことを言っている。『皆既日食』みたいなものだ」と訴えたが

皆既日食のくだりは動画で見たが大笑いしてしまった。
共産党と新自由主義の経団連とは回りまわって同じところにいたと・・・・

しかし、政府ベッタリのあの十倉が、夫婦別姓に賛成しているとは思ってもいなかった。
やっぱり、社会は「選択的夫婦別姓」を容認している。
島国日本でも、そういう時代になったという事だ。
それについていけないのが、時代遅れの自民党で。

    十倉発言の動画 https://youtu.be/DSqDEzc3kiA 
ちなみに選択的夫婦別姓について各政党の立ち位置。

自民党以外はどの党も賛成。
しかも世界を見ても、夫婦別姓に反対の国は日本だけのようだし。 それは言い過ぎだとしても先進国の中では日本だけが反対している。

自民党は本当に思考が古い政党だ。
ここまで頑なに「選択的夫婦別姓」を毛嫌いするのは、国民に嫌がらせをしているとしか思えない。
女性の自立した生き方が、そんなに嫌なのか。
全くどうかしている。狂っているとしか思えない。

以下、3月15日の予算委員会で、共産党小池と、岸田のやり取り。

岸田
>国民の考え方が分かれる中にあって、政治としてどう責任を果たすのか、自民党としてこの問題について議論を進めているところであります。

小池
>「分かれてる、分かれてる」って言っても、自民党以外はみんな賛成しているんですよ。

ここで盛大な拍手が起きる。

小池
>だいたいね、様々な意見があると。
それは誰か。それは、自民党の中にごく一部に、一部ですよ。
家族のきずなが壊れるみたいなね。
壊れませんよ!
だって今、事実婚で別姓やっている人だって、家族のきずなはむしろ強いですよ。
>大体ですね。
「様々な意見があるから慎重に」と言うけど、様々な意見があるから、選択できるようにしようと言っているんですよ。
別姓にしたくないと言っている人はね、したくないんだったら、同姓のままでいいんですよ。
そういう人まで別姓にしろと言う制度じゃないんです。
だから選択的な夫婦別姓をしようと言っているんですよ。
なんで反対するんですか?
>選びたい人が選べずに苦しんでいるんですよ
ならば苦しみを取り除くのが政治の責任ではありませんか
政治というのは、幸せになる人を一人でも多く増やすためにあるんじゃないですか?

正論中の正論で、自民党はぐうの音も出ないのではないかと思うが、それがどっこい、なんだかわからない理由を持ち出して反対する政権与党。

そもそもこの選択的夫婦別姓に反対しているのは自民党と、ヤフコメくらいのものだ。

ヤフコメではやたら、後ろ向きのコメントが多いが、別に結婚した人全部を別姓にしろと言っているわけでもなく選択できるという制度のどこが悪いのか、私には理解できない。

小姑的な人が多いのか、人の幸せが許せないのか、考えが屈折している。


参院予算委 裏金
安倍派幹部そろって喚問を 森元首相も調査対象 小池氏追及 岸田首相認める 
                       しんぶん赤旗 2024年3月16日
 「真実を明らかにする責任は自民党総裁である総理にある」―。日本共産党の小池晃書記局長は15日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の真相解明を進める姿勢を全く示さない岸田文雄首相を厳しく批判し、清和政策研究会(安倍派)幹部の証人喚問を求めました。岸田首相は森喜朗元首相が調査の対象に入ると認めました。(論戦ハイライト 下掲
 安倍派は、参院選の年に改選議員にパーティー券の販売ノルマを設けず集めた収入を全額キックバック(還流)し、裏金が選挙買収などに使われた疑惑があります。小池氏は、岸田首相が5日の参院予算委で日本共産党の田村智子委員長の追及に対し、「党としても実態把握に向けてさらなる取り組みを進めていきたい」と答弁していると指摘。「あれから10日がたった。何をしたのか」とただしました。
 岸田首相は「来週は衆議院の政倫審の弁明も予定される」と答弁。小池氏は「政倫審は別問題だ。党として調査をやると言ったのにやってない。国会での答弁は口から出まかせか」と批判しました。
 裏金づくりが始まった経緯の鍵を握るのは森元首相(清和会元会長)です。小池氏は、岸田首相が自民党の聞き取り調査(2月15日)で森氏の関与を指摘する証言がないことを理由に森氏への聞き取りを拒んでいると指摘。「一方で、総理は聞き取り調査だけでは万全ではないと言っている。ならば総理が自民党総裁として、森氏に国会への出席を促すべきではないか」と迫りました。
 岸田首相は「関係者のさらなる聴取を行うか判断する」と答弁。小池氏に「関係者の中に森氏も含まれるか」と迫られ、「森元総理も入る」と明言しました。

 小池氏は、世論調査では自民党派閥幹部が「説明責任を果たしていない」との回答が9割に上っていると指摘。「説明責任は果たされていないということだな」と迫ると、岸田首相は「おっしゃる通りだ」と認めました。
 小池氏は「真相の全面解明がされなければ、再発防止の対策も立てられない。徹底解明のための国会の役割を果たし、企業・団体献金の全面禁止を求める」と訴えました。


論戦ハイライト
裏金・介護・夫婦別姓 国民の声を聞け 参院予算委 小池書記局長の質問
                       しんぶん赤旗 2024年3月16日
 日本共産党の小池晃書記局長は15日の参院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件を巡る衆参両院の政治倫理審査会を通じて「疑惑が深まった」と指摘。森喜朗元首相ら幹部の証人喚問を求めました。さらに、訪問介護の基本報酬の引き下げは、在宅介護の崩壊を招くとして国庫負担の抜本的な引き上げを主張。選択的夫婦別姓の導入は経済界も要求しているとして、政治の責任で踏み切るべきだと迫りました。

小池 自民裏金 森元首相らの証人喚問求める
岸田首相 どの関係者に聴取するか判断する
 小池氏は、清和政策研究会(安倍派)の世耕弘成前参院幹事長が14日の参院政倫審で「何も知らない」「相談を受けたこともない」などと繰り返し、実態解明をする気が全くなかったと批判。自民党の石井準一参院国会対策委員長らも「疑惑の解明には至らなかった」と述べるなど、与党からもあきれる声が上がっているとして、首相の姿勢をただしました。
 小池 これで国民は納得すると思うか。
 首相 政倫審での説明責任で十分だというものではない。
 小池 十分でないどころか、疑惑はますます深まった

 小池氏は、2022年4月の安倍派の幹部会合で、安倍晋三元首相がキックバック(還流)をやめるよう指示を出したが、安倍氏の死去後に開かれた会合で、還流の復活が議論されたと指摘。会合に出席した幹部4人の「(還流)継続はしょうがないという話し合いがされた」(塩谷立元座長)、「合法的な形にする案があった」(下村博文元事務総長)などの発言を示し、「出席者で言うことが全然違う。真相を明らかにする方法はただ一つだ」と迫りました。
 小池 証人喚問に4人そろって出席させ、誰が還流復活の提案をして、どう議論し、どういう結論に至ったかを問いただすしかない。
 首相 下村議員についても衆院政倫審での開催に向けた手続きを進めている。
 小池 一人ずつやってもらちが明かないことは明白だ。うそをつけば偽証罪に問われる証人喚問で4人そろって聞くのが一番いい

 なおも「国会が判断することだ」と逃げ回る岸田首相に対して小池氏は「『火の玉になる』のではなかったのか。やるべきことを全然やってない」と厳しく批判しました。
 小池氏は「裏金づくりは自然現象ではない。誰かが始めたことは間違いない」と指摘。塩谷氏によると、安倍派で裏金づくりが始まったのは1997年から2000年ごろで、当時の安倍派会長は森元首相だと述べ、「自民党の政治刷新本部でも森元首相に話を聞くべきだとの声が上がっている」と迫りました。
 小池 安倍派の幹部には真相を明らかにする気はさらさらない。自民党総裁として、森元首相に国会出席を促すべきだ。
 首相 森元首相はじめ、どの関係者に聴取するかを判断する。

 小池氏は、幹部会に出席した安倍派幹部に加え、萩生田光一前政調会長、森元首相らの証人喚問を求めました。

小池 介護報酬引き下げ 国費投入で撤回せよ
首相、かつての公約を投げ捨て
 「在宅介護の灯を消していいのか」―。小池氏は、岸田首相が「医療や介護、福祉などの分野の賃上げは喫緊の重要な課題」と述べたにもかかわらず、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことを厳しく批判し、撤回を迫りました。
 訪問介護事業所の36・7%が「収支差率0%未満」の赤字で、「地域の家を一軒一軒回っている中小事業所は収入も人手も足りず、赤字に苦しんでいる」と指摘。日本医師会も訪問介護の基本報酬引き下げに懸念を示していると強調しました。
 小池 今でも赤字の介護事業所が、基本報酬の引き下げで地域から消えたら在宅生活の維持は困難になる。
 武見敬三厚生労働相 加算措置を幾重にも組み合わせている。

 小池氏は処遇改善などの加算をいずれも取得していない事業所は全国で1割もなく、「大幅に加算が増える事業所は少ないのが実態だ」と反論。厚労省にも加算を増やす目標はなく、「決まっているのは基本報酬を下げることだけだ」と批判。「高齢社会をよくする女性の会」「ケア社会をつくる会」「認知症の人と家族の会」などの反対の声を紹介し、「前例のないことだ」と指摘しました。

 小池氏は「介護報酬の引き下げ中止に膨大な財源が必要なわけではない」と強調。訪問介護の総報酬年間約1兆円に対し、国庫負担はその4分の1で、基本報酬の約2%引き下げによる財政効果は約50億円にすぎないことを示し、「1万円のうち50円という、わずかなやりくりで撤回できる」と主張。2010年の自民党の参院選公約が「公費負担の増加」「介護保険料の上昇を抑制」を掲げていることを紹介(表参照)し、14年に田村憲久厚労相が「公費60%のうち10%増加分は国費」と提案していたことも示しました。
 小池 今こそかつての公約を実現するときではないか。
 首相 2012年の3党合意にのっとった社会保障と税の一体改革で公費負担5割とする現状の制度を維持した。
 小池 3党合意で、財政構造は変わっていない。当時の自民党の提案は公費6割だ。

 小池氏は「介護報酬の引き上げが保険料に直ちに跳ね返る財政構造を変えなければ、介護保険に未来はない」と主張。介護報酬の引き下げ撤回と、国庫負担割合の引き上げなど介護保険制度の抜本的な改革を求めました。

小池 選択的夫婦別姓導入に反対は自民の一部だけ
議場 大きな拍手 反論できない首相
 「反対は自民党の中の一部だけだ」―。小池氏は圧倒的多数の世論が求めている選択的夫婦別姓の導入を求めました。
 岸田首相は2021年の内閣府調査を挙げ、「意見が分かれている」と強弁しました。小池氏は同調査について、質問項目が大幅に変更され、旧姓の「通称使用」について法制審で却下された質問を加えるなどした意図的なものだと指摘されていると厳しく批判しました。
 選択的夫婦別姓については法政大学と国立社会保障・人口問題研究所の調査で83・9%が賛成しているとして、法制審がまとめた法案要綱を国会に提出し議論すべきだと強調しました。
 「国民の考えが分かれている」と言い張る岸田首相。小池氏は「分かれていない。導入の方向に世の中は変わっている」と述べ、今年2月に日本経団連の十倉雅和会長が「一丁目一番地として制度の導入を検討してほしい」とし、3月8日には「ビジネスリーダー有志の会」が導入を申し入れていると強調しました
 小池 経済界からの要求をどう受けとめるのか。
 首相 国民の考え方が分かれている。
 小池 自民党以外はみんな賛成だ。分かれているのは自民党の中だけだ。別姓にしたくない人は同姓のままでいい。さまざまな意見があるから選択できるようにしよう。

 議場に大きな拍手が起こる中、反論できない首相。小池氏は「選択したいと言っている人の権利を奪う権利は政治家にはない。選びたい人が選べずに苦しんでいる。苦しみを取り除くのが政治の責任だ」と述べ、選択的夫婦別姓の導入を重ねて求めました。

書評:『戦争はどうすれば終わるか?:ウクライナ、ガザと非戦の安全保障論』(長周新聞) 

 14日付のTotal news worldに「岸田文雄氏がウクライナに支援した総額は『1兆8千億円』と判明/米ネット『従順な奴隷だ』」という記事が載りました。(⇒http://totalnewsjp.com/2024/03/14/kishida-905/)

 2月19日にウクライナのデニス・シュミハリ首相が首相官邸を訪れた際、岸田首相は2月までの日本のウクライナ支援額累計1兆2千億円に対して50%に当たる6千億円の増額を約束しました。この時点で支援金の総額は1兆8千億円になりました。
 欧米が総力を挙げて応援しているウクライナに、日本までが、物価高と莫大な軍事費の陰で苦しむ国民には目を向けずウクライナ支援に力を入れることは果たして正しいのでしょうか。
 
 8日付の長周新聞の書評欄に掲題の著書が登場しました。同書の共同著者は、柳澤協二、伊勢﨑賢治、加藤朗、林吉永の4名です。その中で伊勢﨑氏は
  ウクライナ戦争にいたって普段からの平和主義・護憲派が、日本共産党を中心に、アメリカが軍事協力する紛争の当事者の一方を賛美し、応援し始めたことつまりロシアの絶対悪魔化への、みごとな翼賛化を遂げたことを疑問視し、ウクライナ戦争は西側が言うようにいきなり平和を破壊したロシアに対するウクライナ側の専守防衛といったものではなく、2014年からのドンバス内戦から続くアメリカ・NATOの代理戦争である点を見るべきだ」と指摘しています。
 そして「それは今のガザでの事態を語るときに使われるハマスのテロも容認できないという自己保身的な枕詞が、ハマスを生み出した歴史的経緯を覆い隠し、民主的選挙で生まれた政体を否定する方向でイスラエルによる民族浄化を止める停戦に向かわせない役割を果たしている」のに似ていると指摘しています。
 それはまた憲法9条を持つ日本が、戦争当事者の一方に安易に肩入れして良いのかという指摘でもあります。
 日本が「金魚の糞」のようにただ米国につき従っていればそれでいいというのは大間違いです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 書評
『戦争はどうすれば終わるか?:ウクライナ、ガザと非戦の安全保障論』 
       ( 著・柳澤協二、伊勢﨑賢治、加藤朗、林吉永 
                            長周新聞 2024年3月8日
 本書は「ウクライナ、ガザと非戦の安全保障論」の副題にみるように、今世界に衝撃を走らせている二つの戦争に対して、「非戦」「避戦」「停戦」の立場から具体策を追究する専門家4氏の論考と討論を収めたものである。ウクライナ戦争の停戦をめぐる論議をまとめる予定だったが、その後ガザでの事態が起こったことで、論考を追加しての出版となった。

 論者は国連要員として紛争地の武装解除の指揮、自衛隊高級幹部や防衛官僚、大学教員などの経歴を持つ。それぞれの現状評価や問題意識はさまざまだが、「プーチンをやっつけろ」「ハマスのテロが今日の事態を引き起こした」といって停戦を妨げる言説とは一線を画し、現実に分け入って戦争終結の方策を探るという立場で一致している。

戦争長期化が招く大量虐殺
 論者たちが「一刻も早い停戦」をとなえるのは、戦争が長期化するほど大量破壊兵器使用の危機が迫り、大量虐殺を許すからであり、それを停止させなければならないという思いからだ。停戦に向けては、戦争をめぐる「正義」や「戦争犯罪」への感情的な主張を棚上げする必要がある。停戦とは戦闘の一時凍結であり、それを早く実現させなければ「正義」は宙に浮いたまま、「戦争犯罪」の証拠をも風化させることになるのだ。
 論者の一人、伊勢﨑賢治氏はウクライナへのロシア侵攻直後から「即時停戦」を訴えてきたが、それはこの戦争が単なる局地紛争ではなく日本に直結するからだと強調している。ウクライナでの戦争を奇貨とする勢力がロシアと中国との軍事的な緊張を煽り一気に軍備増強と動員準備を進めるなかで、「緩衝国家」としての日本と東アジア一帯の「ウクライナ化」が現実のものとなるという危機感からである。
 しかも、「日本のウクライナ化」は日本がコントロールできない構造で起きるという。朝鮮国連軍(在韓米軍)の必要から生まれた自衛隊の性格から、朝鮮有事には自衛隊は参戦しなくても日本は自動的に国際法上の正当な攻撃目標になるのだ。

 伊勢﨑氏はここで、ウクライナ戦争にいたって「普段からの平和主義・護憲派が、日本共産党を中心に、アメリカが軍事協力する紛争の当事者の一方を賛美し、応援し始めたこと」、つまりロシアの絶対悪魔化への、みごとな翼賛化」を遂げたことに注意を向けている。改憲派と護憲派が一体となって「“即時停戦”派を攻撃する」という構図が生まれているという指摘である。
 本書の論議から、ウクライナ戦争が「強行派」「リベラル派」を問わず吹聴するような、「いきなり平和を破壊したロシア」に対するウクライナ側の「専守防衛」といったものではなく、2014年からのドンバス内戦から続くアメリカ・NATOの代理戦争であることが浮かび上がってくる。
 それは今のガザでの事態を語るときに使われる「ハマスのテロも容認できない」という自己保身的な枕詞が、ハマスを生み出した歴史的経緯を覆い隠し、民主的選挙で生まれた政体(=交渉相手)を否定する方向で、「イスラエルによる民族浄化を止める停戦に向かわせない役割」を果たしているという指摘にもつながっている。

 このように現実の戦争を歴史的論理的に見ようとせず、一局面の現象に悲憤慷慨して「敵を倒すまで戦う」という主張が、戦禍にさらされた罪のない人々にさらなる犠牲を強いることは明らかだ。麻生太郎元首相が台湾を訪れ、「台湾も日本もアメリカも戦うことを覚悟すべきだ」といった。その前に、北方領土をめぐって「ロシアとの戦争」を煽る国会議員もいた。さらに、そのような言動を非難し「武力行使による国際紛争の解決」を禁止した憲法九条の擁護を叫ぶ者が「ロシアの侵略と戦うウクライナと連帯する」と戦闘を煽るという転倒が起こっている。

無法軍事国家・日本の現実
 その「戦争」や「覚悟」「連帯」が現実にどのような結果をもたらすのかについて深く考え想像したことのない、つまり戦争について彼我のありのままの現実を知らない政治家に委ねる「シビリアンコントロール」の危うさも論議になっている。さらに、憲法論議が実態から遊離して空洞化し、日本が法整備のうえからも戦争できない国になっているという現状についての論議も、現場の自衛隊員の苦悩など現場での実感をともなって説得力を持つ。
 憲法上、武力紛争地に派遣できないため、PKO部隊の「駆けつけ警護」として南スーダンに派遣された陸上自衛隊が、宿営地周辺で迫撃砲を使った「激しい戦闘」に直面した。そのとき、ルールが異なる他国の軍隊と同じ対応がとれず厳しい状況に置かれた。その日報で「戦闘」と記していたにもかかわらず、政府は「法的には衝突」(当時・稲田防衛相)といって恥じなかった。自衛隊はそのような政治家のコントロール下にあるのが現実だ。

 また、あまりつまびらかにされない重要なこととして、「戦争犯罪」という概念が刑法にも自衛隊法にもないことが論議に上っている。この問題は、自衛隊は軍隊ではなく、戦争犯罪を犯すことを考えなくていい(考えてはならない)というスタンスに起因するものだった。にもかかわらず軍備は拡張の一途をたどり、自衛隊の海外派遣、米艦の防護や米軍指揮下の海兵隊化が進み、さらには「敵基地攻撃」まで叫ばれるまでになった。そのもとで、日本は今や「無法軍事国家」となっていることが暴露されている。

 日本はジュネーブ条約(交戦法規)に加入しているが、それにもとづく国内法(交戦中の違反行為=戦争犯罪)の整備がなされていないことから、武器使用を命令した「上官責任」は問われない。指揮官と隊員はまさに「ヤクザの親分と鉄砲玉の子分」のような関係に置かれている。また「国外犯規定」もないことから、海外で犯す業務上過失も法的な処罰ができない状態にある。
 こうした状況は、アメリカの戦略に合わせた成り行きまかせの戦後の防衛政策の帰結であること、だからこそ、中国やロシア、北朝鮮との対話をそれ以上に重視し平和を確保することの意義も浮き彫りにされている。そのうえで、柳澤協二氏(元防衛官僚)の「日本の官僚は、アメリカとの関係でしか世界を見ていないし、アジアのことを知らないと言われれば、その通りだ」という言葉が印象に残った。
     (自衛隊を活かす会編、集英社新書、250、960円+税)

統一協会 有田芳生氏スラップ訴訟で敗訴(東京地裁)

 旧統一教会(以下 当記事では原記事の「統一教会」に合わせます)は、自身への批判の言論を嫌って、これまで下記の5人(と関係メディア)を名誉毀損で提訴しています。
 これらはいずれも批判者に対して高額な損害賠償を請求することで、批判を封じることを目的としたいわゆる「スラップ訴訟」といわれるものです。
  被告 紀藤正樹・讀賣テレビ (請求額2200万円)23年9月29日提訴
  被告 本村健太郎・讀賣テレビ(請求額2200万円)23年9月29日提訴
  被告 八代英輝・TBSテレビ(請求額2200万円)23年9月29日提訴
  被告 紀藤正樹・TBSラジオ(請求額1100万円)2310月27日提訴
  被告 有田芳生・日本テレビ (請求額2200万円)23年10月27日提訴

 この5件のうち、八代英輝氏の件はすでに地裁と高裁で、また本村健太郎氏の件は地裁でそれぞれ統一教会が敗訴しています。
 12日、有田芳生と日本テレビの両者を被告とした東京地裁のスラップ訴訟において、統一教会の全面敗訴の判決言い渡されました。当然のことながら教会側の連戦連敗です。
 17日付のブログ:「澤藤統一郎の憲法日記」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「統一教会スラップ・有田訴訟」で敗訴の統一教会 ―― 反省も謝罪もなき判決批判
                     澤藤統一郎の憲法日記 2024年3月17日
 3月12日、統一教会は、有田芳生と日本テレビの両者を被告として仕掛けた東京地裁のスラップ訴訟において、全面敗訴の判決を言い渡された。単なる敗訴というだけではなく、これ以上はない徹底した負けっぷりと言ってよい。
 この訴訟は、当初から本来提訴すべきではない違法なスラップであることが明らかではあったが、そのことが統一教会にも分かるような東京地裁判決となっている。原告(統一教会)には、本来提訴すべきではない提訴をしてしまったことについての反省や、被告両名に対する誠実な謝罪があってしかるべきである。なお、控訴期限は3月26日(火)であるが、控訴などとんでもない。
 にもかかわらず、一昨日(3月15日)統一教会は、この判決を不当と非難するプレスリリースを公表し、その旨を教団のホームページにも掲載した。この一文を見る限り、この教団に敗訴判決を真摯に受けとめて反省する姿勢は見受けられない。有田や日テレに多大な迷惑をかけたこと、さらには報道の自由や国民の知る権利を侵害したことなどについての自覚も皆無のようである。あるいは、この提訴の違法性を重々自覚しながら、敗訴確定まで時間を稼いで、被告両名や言論界全体を威嚇し続けようとしているのかも知れない。
 このプレスリリースにおいて、統一教会は「当法人は控訴して判決の不当性を争う予定です」と述べている。しかし、この訴訟の提起自体が既に違法である。一審判決でこのことが明白となっている。にもかかわらず、敢えて控訴することは、違法に違法を重ねることであり、スラップの故意を推認させることにもなる。控訴は両被告にとって面倒極まりないだけでなく、統一教会にとっても決して賢明な選択ではない。

 あらためて確認しておきたい。この訴訟で角逐しているのは、被告両名の「言論の自由」と、原告統一教会の「法人の名誉」である。どちらが優越するのかという価値判断が求められている。
 言論の自由とは、誰の権利も侵害せず誰にも迷惑をかけない言論について論じることは無意味である。必ず、その言論によって権利を侵害され、その言論を不都合とする誰かが存在する場合にのみ、その言論の自由や権利性が問題となる。端的にいえば、有田と日テレの当該言論は、「言論の自由」の名の下に「統一教会の名誉」を侵害しても良いのか、が問われている。
 名誉毀損訴訟においては、まず原告が被告の名誉毀損文言を特定する。普通、特定された名誉毀損文言は、原告の社会的な評価を貶めるものとして違法が推定される。しかし、社会に有用な言論を違法としてはならない。それでは言論の自由を保障した憲法の規定が無意味になってしまう。そこで、法と訴訟実務は、被告・言論者側に、当該言論の公共性・公益性・真実性(あるいは真実相当性)の立証を求め、その立証が成功した場合に当該の原告の名誉を侵害する言論を、「言論の自由」の名において保護することとしている。

 だから、名誉毀損訴訟では、主張・立証は大きく下記の二段階に整理される。
(1) 原告が特定した被告による名誉毀損文言が、原告の社会的な評価を貶めるものであるか。
(2) 当該文言が原告の社会的な評価を貶めるものであることを前提に、当該言論の公共性・公益性・真実性(あるいは当該言論における論評の根拠たる事実の真実性)が認められるか。
 通例、(1)は当然に肯定されて問題になることは稀である。(2)だけが勝負となるのが普通の名誉毀損訴訟で、公共性・公益性のハードルは低く、主として真実性(あるいは真実相当性)が争われることになる。

 本件有田訴訟でも、原告(統一教会)は有田発言の一部を名誉毀損文言として特定した。しかし、有田弁護団はこれを、統一教会の社会的評価を貶める文言にはあたらないと、本気で否定した。俗な言葉で表現すれば、統一教会のこの点の言い分を「アラ探し」による「言いがかり」に過ぎない、と反論したのだ。
 それでも、裁判所が「有田発言を名誉毀損文言と認めた場合」に備えて、真実性の立証を積み上げた。有田発言は、(統一教会が)「霊感商法をやってきた」「反社会的集団」であり、「(このことは)警察庁ももう認めている」というものだったから、この各点についての真実性の立証は、統一教会に対する解散命令請求事件と主要な部分で主張挙証が重なるものとなった。したがって、有田事件判決は、「解散命令先取り判決」となることを期待していたが、幸か不幸か、そうはならなかった。
 異例のことだが、前述(1)の段階で勝負がついて、次の(2)の判断に進む必要はないという判断となった。これを「単なる敗訴というだけではなく、これ以上はない徹底した負けっぷり」と言ったのだ。裁判所の目からも、そもそも提訴自体が非常識で無理な代物に見えたということなのだ。
 統一教会のなすべきことは、控訴ではなく、真摯な反省と被告両名に対する誠意ある謝罪である

 なお、統一教会のプレスリリース全文は以下のとおりである。
           ━━━━━━━━━━━━━━━━ 
日本テレビ・有田芳生氏「反社会的集団」発言に関する 名誉棄損裁判の判決について
                  2024.03.15   世界平和統一家庭連合 広報局
 2022年8月19日,日本テレビが制作放送する「スッキリ」にジャーナリストの有田芳生氏がテレビ出演し,当法人に関して「霊感商法をやってきた反社会的集団だって言うのは警察庁ももう認めている」などと発言しました。このことを巡って、名誉毀損を理由に当法人が同社及び有田氏を提訴した裁判の判決が2024年3月12日に下され、当法人の請求が全面棄却されました。当法人の見解をお伝えします。
 まず、本件発言に関して、当法人が「反社会的集団」であると警察庁が認めたという事実はなく、当該判決でも認めていません。
 また、判決は、以下の5つの理由から、有田氏の発言は当法人の社会的評価を低下させるものではない(名誉毀損にもあたらない)と判断しました。
①国会議員が家庭連合と関係を持たないと断言すべきだという発言の一部分であった
②わずか8秒間の発言であった
③有田氏は本件発言を強調していない
④本件発言に関する字幕は表示されていない
⑤その後、本件発言がこの放送で取り上げられていない 

 しかし実際には、字幕なしの8秒間程度の発言であっても、名誉毀損は十分に可能であり、様々な口実を列挙して名誉毀損に当たらないと判断されたことは不当であると言わざるを得ません。したがって、当法人は控訴して判決の不当性を争う予定です。
 なお、有田氏の弁護団は判決後に発表した声明で、「本判決が、このような判断に至ったのは、有田発言に真実相当性があると判断したから故と、弁護団は考えている」と主張していますが、思い込みに過ぎません。裁判所は有田氏の発言の真実性あるいは真実相当性について何らの判断も行っていません。

18- 新潟県9条の会 会報No128のPDF版を掲示します

 本号のタイトルは
憲法ポスター運動″(賛同申込み締め切り3月末)を大きく成功させ
 「戦争する国」づくりの大軍拡・大増税・いのち・暮らし破壊の政治怒りを示し、
  一日も早く岸田政権を退陣させよう!!
です。

 (「前文」の要旨)
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、衆院の政治倫理審査会が岸田首相も出席という異例の内容で開催されましたが、長期にわたる自民党の組織的犯罪に関わらず何一つ解明されませんでした。こんなことで暮引きが許されないとは、これまで自民党を支特してきた人たち共通の思いか思います。自ら決めた法律を守らない政治家が、組織的犯罪を継続して、国民の指摘を受けて反盲しないそんな政党・政治家に政権を担当する資格があるのか、国の安全保障など任せられるの? ましてや憲法政正など議論する資格がないことは明らかです。来るべき総選挙で自民党に厳しい審判を下すことが、憲法問題にとどまらず、国民のいのち・暮らし、子供たちの未来にとっても切実に求められています。

 中見出しは
岸田政権は、安倍政権に勝るとも劣らない
「戦争する国」づくりを強行する危険な政権

憲法ポスターは、大軍拡で戦争する道ではなく
 憲法9条を活かし平和をつくる道を呼びかけます

大軍拡の推進.は憲法違反
  長距離ミサイル配備は「戦争宣言」
  (以下は2面)
9条を世界に広げる平和の外交
軍事費を滅らし国民の暮らし、被災者支援に

2024年度予算案は軍事最優先
 「米軍思いやり予算」は中小企業対策費の5倍

実体経済を反映していない「株価の上昇
  実体経済を立て直し、格差是が求められる
です。

 各地9条の会の活動報告は
村上9条の会
  憲法ポスター運動と合わせ
   9条の会の新たな仲間を迎える活動を
です。

 講演会のお知らせ
県弁護士会・憲法講演会
 「日本の安全保障のいま
   ~どのように平和を守るべきか
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(新潟県9条の会 会報No128
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