イスラエルはガザへの攻撃をやめようとしません。戦争が終われば汚職の罪で収監されるネタニヤフには、そもそも停戦する意志はありません。そんな人間が行っている非道な戦争を、米英をはじめとする西側諸国の政治家たちは支持し援助し乃至は黙認しています。
それこそが21世紀の4半世紀が過ぎようとしている今日、非人道で国際法違反の「大虐殺」・「戦争」が公然と行われている所以です。
ロンドンで7日、反戦団体・反核団体、一般市民ら数万人がイスラエルに対しガザでのジェノサイドをやめるよう求めるデモ行進が行われました。英政府にイスラエルへの武器の全面禁輸も迫りました。複数の団体による大規模デモは、昨年10月以来、18回目となりました。参加者のヒバさんは「パレスチナの人々のために私たちの姿を見せ続けなければ。抗議を続ければ続けるほど、圧力をかけることができる」と語りました。
シリアの中部ハマ県西部で8日夜、イスラエルによる空爆があり少なくとも14人が死亡しました。今年に入りイスラエルはシリアに60回以上攻撃を加えました。イラン外務省報道官は、「シオニスト政権(イスラエル)によるシリア領土への犯罪的攻撃を強く非難する」と述べました。
イスラエルで7日夜、人質解放のためハマスと停戦合意を結ぶようネタニヤフ政権に求める大規模なデモや集会が行われ、商都テルアビブで約50万人が参加しました。他の諸都市でも約25万人のデモが行われ、あわせて約75万人となりました。これはイスラエル史上最大の規模です。ネタニヤフは停戦交渉で、ガザ南部の対エジプト境界へのイスラエル軍駐留を主張していますが、国民の約6割は駐留より人質解放を優先すべきとしています。
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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ガザ攻撃 大規模抗議デモ ロンドン 英政府に武器禁輸迫る
しんぶん赤旗 2024年9月10日
ロンドンで7日、複数の反戦団体や反核団体、市民ら数万人がパレスチナ自治区ガザヘの攻撃を続けるイスラエルに対しジェノサイド(集団殺害)をやめるよう求めるデモ行進をしました。英政府がイスラエルに輸出する武器が国際法違反のジェノサイドに使われているとして、武器の全面禁輸も迫りました。夏の休暇期間明け初の大規模行動です。
昨年10月に戦闘が始まって以降、ガザでの死者数は4万人を超えています。参加者は「ガザヘの攻撃を今すぐやめろ」「スターマー(首相)の手は血で汚れている」と書いたプラカードやパレスチナの旗を掲げ、イスラエル大使館まで行進しました。
英政府が2日、イスラ工ルヘの武器輸出の一部を停止すると表明したことに関し、「対応が不十分だ」との声があがりました。英国の中東ニュース専門サイト「ミドル・イースト・アイ」によると、無所属のイクバル・モハメッド下院議員は、輸出された武器が罪のない市民の殺害に使われる可能性があると政府も認識しているはずだとして、すべての武器輸出をやめるよう求めていくと表明。
「私の仕事は国際法の順守を確かなものにすることだ」と強調しました。
複数の団体による大規模デモは、昨年10月以来、18回目となりました。国営トルコ・ラジオ・テレビ放送の英語版ニュースサイト「TRTワールド」によると、参加者のヒバさんは「パレスチナの人々のために私たちの姿を見せ続けなければ。(抗議を)続ければ続けるほど、圧力をかけることができる」と語りました。
シリアで空爆14人死亡
しんぶん赤旗 2024年9月10日
【カイロ=時事」シリアの国営メディアは9日、中部ハマ県西部で8日夜、イスラエルによる空爆があり、少なくとも14人が死亡したと報じました。ロイター通信によると、化学兵器製造に関する軍事研究所が標的となりました。研究所にはイランの軍事専門家もいたとみられるといいます。
イスラエルは空爆を行ったかどうかについてコメントしていませんが、在英のシリア人権監視団は今年に入りイスラエルがシリアに60回以上攻撃を加えたとしています。
AFP通信によれば、イラン外務省報道官は記者会見で、「シオニスト政権(イスラエル)によるシリア領土への犯罪的攻撃を強く非難する」と述べました。
「人質解放、停戦を」50万人 テルアビブでデモ イスラエル最大か
【 しんぶん赤旗 2024年9月10日
【カイロ=秋山豊】イスラエルで7日夜、人質解放のため、イスラム組織ハマスと停戦合意を結ぶようネタニヤフ政権に求める大規模なデモや集会が行われました。
主催者によると、商都テルアビブで約50万人が参加しました。地元メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」は「これが事実ならイスラエル史上最大のデモだ」と伝えました。
さらに他の諸都市で約25万人がデモを行い、テルアビブとあわせて約75万人となりました。
ハマスに拉致された人質のうち6人の死亡が1日に確認され、ネタニヤフ政権が停戦合意を結ぼうとしないことに対し、大規模なデモやゼネストが行われてきました。
ガザで死亡した人質カルメル・ガトさんのいとこのシャイ・ディックマンさんは、テルアピブでの集会でスピーチし、7月に行われた交渉のなかではガトさんはもう少しで解放されるところだったとして「しかしネタニヤフがノーと言った」と述べました。
ディックマンさんは「テロリストは彼女の頭にカラシニコフをあてて、(イスラエルによる)軍事圧力を感じたときに引き金をひいた。軍事圧力が彼女の死につながった」と語り、ネタニヤフ政権を批判しました。
イスラエルのテレビ局が6日に伝えた世論調査によると、首相が停戦交渉で主張するガザ南部の対エジプト境界へのイスラエル軍駐留について、約6割の人が駐留より人質解放を優先す
べきとしています。
湯沢平和の輪
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2024年9月11日水曜日
ガザ攻撃 大規模抗議デモ ロンドン 英政府に武器禁輸迫る
米国の影と危うい新自由主義 進次郎出馬 ~ /高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! ~
自民総裁選の有力候補とされている小泉進次郎氏は「さわやかさ」を売りにしていますが、規制改革では解雇規制の見直しを強調し、唐突に憲法の改悪を叫び出し、一方米国の気に入らないことは一切避けるという、その実態は大企業との癒着と米国のジャパンハンドラー仕込みの米国隷属です。いわばひたすら「強き(者)につく」を地で行くものです。
日刊ゲンダイが取り上げました。
LITERAは、ネトウヨが「令和の卑弥呼」「現代の神功皇后」などと持ち上げ?ている、極右の高市早苗氏について取り上げました。
高市氏は1994年に「説得できない有権者は抹殺」などという記述のあるナチス礼賛本『HITLER ヒトラー選挙戦略』に推薦文を寄せたり、2014年に安倍改造内閣に入閣した際にはネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたことが発覚するなど、度を越した極右政治家で、「先の戦争は侵略戦争ではなかった」「国会デモを取り締まれ」「福島原発事故で誰も死んでいない」などという暴論を吐いてきました。
そして高市氏の特徴といえば平気で「嘘」をつくことだと書いています。
放送法の解釈変更をめぐる総務省の行政文書問題について、高市氏は当初「怪文書」「捏造だ」と全面否定し、“捏造でなければ議員辞職する”と啖呵を切りました。
ところが後に総務省が行政文書だと認めると、「内容が不正確」などと表現を変更し、以後は言を左右にして辞職しませんでした。それなら啖呵などを切るべきではありませんでした。彼女の「ウソ」については余りにも事例が多過ぎて要約が出来ないほどです。
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米国の影と危うい新自由主義 進次郎出馬会見の舞台裏と下馬評
日刊ゲンダイ 2024/9/9
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「政治改革」「聖域なき規制改革」などを挙げたが、マトモな識者はどう見たか。親父と菅譲りの新自由主義の加速と、その裏に見え隠れする大企業との癒着と米国の影。庶民の暮らしには何も響かないボンボン2世の薄っぺらさと付け焼き刃。
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予定より1週間ずらし、念入りに“予行演習”したのだろう。6日開かれた小泉進次郎元環境相(43)の自民党総裁選(12日告示、27日投開票)への出馬表明会見。世論人気から石破茂元幹事長(67)との決選投票になるといわれている。真打ち登場とばかりに、メディアも自民党内も固唾をのむ注目度だった。
「永田町近くにオフィスを借りて、選挙事務所にしている。会見はそこで行われ、記者の人数を絞り込んで、座席指定までする警戒ぶりでした。番記者ばかりが質問にあたって文句が出たので、フリーもあてたようです」(会見に出席した記者)
プロンプターを駆使し、用意された原稿に何度も目をやる。質疑応答では「環境省時代の発言が軽い」「知的レベルの低さで(首脳会議で)恥をかくのではないか」などの厳しい質問もあったが、へりくだる様子でかわし、自民党内からは安堵の声も聞かれた。
「とりあえず、ボロは出なかった。落ち着いて安定していた。第一関門は突破した。これで評判が上がるんじゃないか」(自民党中堅議員)
各論だけの菅前首相タイプ
会見場の進次郎の背中のボードには「決着」の文字。「長年議論ばかりを続け、答えを出していない課題に決着をつけたい」と意気込んだ。
1年以内に実行する政策として掲げたのは「政治改革」と「聖域なき規制改革」だ。しかし、政治改革では、派閥裏金事件に関与した議員の非公認にまで踏み込むのではないか、などと囁かれたが、「説明責任や再発防止に取り組む姿勢、地元の意見を踏まえ厳正に判断」にとどまる弱腰。政策活動費の廃止や旧文通費(調査研究広報滞在費)の公開は既に他候補も打ち出していて目新しくもない。
一方、規制改革では、労働市場改革として解雇規制の見直しをしきりに強調した。自民党内で賛否が割れる夫婦別姓については、法案を出し、採決で党議拘束を外すとした。
そして、「最優先課題」と位置づけ、ことのほか力を込めたのは「憲法改正」だ。「立党以来の国民との約束」だと仰々しく、自衛隊明記などで国民投票を実施すると訴えた。岩盤保守層対策なのだろうが、「今まで進次郎氏から、改憲なんて聞いたことがない」(ベテラン議員)と党内でもいぶかしむ声しきりである。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「記者からの嫌な質問も爽やかに切り返し、自民党を変えるという印象は出していました。けれども、肝心の『政治とカネ』で裏金事件の総括や再調査を口にすることはなく、それでは真の『改革』にならないでしょう。政策の中身も総花的でした。外交や経済で新しいことを言うわけでもない。菅前首相のような『各論』に着目して変えようというタイプですね。日本をどういう国にするのか、どういう国にしたいのか、総合的な国家観が見えず、物足りなさを感じました」
父・純一郎の「聖域なき構造改革」を彷彿
弁舌爽やかな中で、国民だましの言い回しがあったことは見過ごせない。
裏金議員について「選挙で信任を受けるまで要職に起用しない」と言い切ったが、これは“改革やってる感”の演出にすぎない。進次郎は、その前段で「早期に衆院を解散し、国民の信を問う」と発言しているのである。
すぐに選挙に突入するのだから、裏金議員が要職に就く場面など、そもそもないはずだ。国民をペテンにかけてはいけない。
そして、進次郎の主張の根底に見え隠れしたのが、父・純一郎元首相と、後見人である菅前首相譲りの危うい新自由主義思考だ。「聖域なき規制改革」の文言は、かつて純一郎が竹中平蔵氏とともに推し進めた「聖域なき構造改革」を彷彿させる。
進次郎の政策を実際にまとめたのは、菅が首相時代に重用した官僚たちだとされる。菅の短命政権ではやれなかった新自由主義的な政策を、進次郎政権で加速させるということだ。
労働者が求めるのはクビ切り自由化ではなく賃金上昇
それがクッキリ現れたのは、自民党にとって長年の懸案事項となっている「解雇規制の見直し」への言及である。1時間の記者会見で、進次郎が最も時間を割いて説明した。安倍政権時代に「働き方改革」の一環として打ち出された生産性向上のための労働市場改革であり、別名「クビ切り自由化」と呼ばれた金銭解決による解雇のことである。
進次郎は、既に岸田政権でも導入されているリスキリング(学び直し)と再就職支援を大企業に義務付けることで、「働く人が前向きに成長分野へ移ることのできる制度を構想したい」と言ったが、ちょっと待って欲しい。
元経産官僚の古賀茂明氏はこう言う。
「『リスキリングを企業に義務付ける』と言うと、企業にとって厳しい政策に聞こえますが、実態はこれまでの自民党政権が進めてきた仕組みと何ら変わらず、労働者個人のための政策にはなり得ません。企業のご用聞きをして、金銭解決とセットで解雇規制を緩和し、企業に補助金を出すことになる。労働市場改革で生産性を向上──これを自民党は長年、投資家から要求され続けてきている。従業員をどんどん解雇すれば、企業収益が上がり、株価も上がる。つまり、大企業やマーケットに応えるための政策なのです。お金をくれる人にお金を戻すのが自民党政治。だから企業・団体献金を残している。労働者が求めているのは賃金上昇ですよ。現状、全国平均で1054円の最低賃金を2000円に大幅アップさせるとでも言ったらどうですか」
「地位協定見直し」を否定
労働市場改革で生産性を向上させようというのが株式市場の要求であれば、まさにそれは、富める者はますます富み、持たざる者はますます苦しくなるという「弱肉強食」を是とする米国の論理だ。
進次郎は純一郎同様、知る人ぞ知る親米政治家。当時、現職首相だった父のコネを利用して米名門・コロンビア大大学院に留学したと報じられているし、政治学修士号を取得した後は、ワシントンの「戦略国際問題研究所」(CSIS)の非常勤研究員を務めた。CSISは日本外交に絶大な影響力を持つジャパンハンドラーの巣窟だ。
そういえば会見で、米軍関係者の犯罪などへの対応として「日米地位協定の見直し」について問われたが、即座に「考えていません」と否定していた。米国の属国のままでいいということなのだろう。
「エネルギー政策は脱原発から原発の活用へと変わった。改憲への熱心さにも驚きました。結局、進次郎氏も『自民党の総理』になるという覚悟を決めたということ。『古い自民党と決別する』と力説し、新しい自民党政治の象徴のように振る舞っていますが、現実には、自民党の多数派が望む方向性を打ち出し、普通の自民党議員にならなければ総理になれないわけです。だから、進次郎氏が総理になったら、これまでの自民党とは違う政策を掲げるのではないかと“豹変”を期待するのは甘い。他の総裁候補も同様ですが、みな自民党の政治家ですから、『改革』と言ったって何も変わりませんよ」(古賀茂明氏=前出)
進次郎はこの週末、7日は東京・銀座、8日は横浜で街頭演説する。「自民党をぶっ壊す」で自民党員でもない世論を巻き込んで沸かせた「小泉劇場」の再来を狙っているのは間違いない。
とはいえ、「出馬表明の第一関門はクリアしたが、この先はもっと厳しく突っ込まれるだろう。総裁選は告示から15日間もある。最後までボロを出さずに行けるのかどうか」(前出の自民党中堅議員)。
会見で透けて見えたのは、大企業との癒着と米国の影。庶民の暮らしには何も響かないボンボン2世の薄っぺらさと付け焼き刃だ。断言しよう。進次郎で自民党が変わることも、日本が良くなることもない。
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
LITERA 2024.09.09
「私は日本をもう一度、世界のてっぺんに押し上げたい。できるに決まっています」──本日9日、高市早苗氏が自民党総裁選の出馬会見を開いた。「サナエあれば、憂いなし」「日本列島を、強く豊かに」をキャッチコピーに、防衛力の強化や「内閣情報局」の創設をはじめ、自衛隊を実力組織として揺るぎない位置付けをするための憲法改正、「皇統をお守り申し上げるための皇室典範の改正」、などの政策を掲げた。
また、首相就任後の靖国参拝を示唆したほか、選択的夫婦別姓制度の導入については「旧姓使用の法整備で対応」と従来の考えを堅持。さらに、裏金議員の処遇については「総裁が代わったからと言って、ちゃぶ台返しをするようなことをしたら独裁だ」などと言い出し、裏金議員の党処分を見直さない考えを示した。
極右政策を全面に押し出し、裏金事件を終わったことにする──。こうした高市氏の態度は、「高市推し」の顔ぶれを見れば納得がいくものだ。
実際、2021年の前回総裁選では安倍晋三・元首相が「高市早苗さんこそ保守派のスター」などと語り、ネトウヨも「令和の卑弥呼」「現代の神功皇后」などと言い出す始末だったが、今回も「日本を護れるのは高市総理しかいない!」と大盛りあがり。ネトウヨジャーリストやネトウヨ文化人が高市氏を応援しているほか、総裁選に合わせて「Will」や「月刊Hanada」が高市本を出版するなど極右メディアも高市氏を激推ししている。
さらに、高市氏を支持する国会議員には、前回総裁選で高市氏の「最側近」として活動した杉田水脈氏をはじめ、衛藤晟一氏や山田宏氏、中曽根弘文氏といった日本会議系の極右議員がズラリ。とりわけ杉田氏といえば、自身の発言が法務局から2度も「人権侵犯」認定を受けているにもかかわらず、先日6日にも那覇市内の講演で差別根絶に取り組む沖縄、アイヌ民族、在日コリアン、被差別部落などの人々を「反日の左翼」と総称し「どれだけ力を持っていて、どれだけ面倒くさいか」と発言したことが問題になったばかりだ。
また、こうしたネトウヨ議員はほとんどが安倍派裏金議員。高市氏が「処分を見直すことは独裁」などと言い出したのはさもありなんという話だ。
道徳を語りながら裏金づくりに勤しみ、差別で支持拡大を図るような輩を背後につけている時点で高市氏の見識を疑わざるを得ないが、しかし、もっともヤバイのは当の高市氏本人の言動だ。
そもそも、高市氏は1994年に「説得できない有権者は抹殺」などという記述のあるナチス礼賛本『HITLER ヒトラー選挙戦略』(小粥義雄/永田書房)に推薦文を寄せたり、2014年に安倍改造内閣に入閣した際にはネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたことも発覚するなどウルトラタカ派として知られてきた政治家。自身も「先の戦争は侵略戦争ではなかった」「国会デモを取り締まれ」「福島原発事故で誰も死んでいない」などという暴論を吐いてきた。
高市早苗は嘘ばかり!統一教会との関係でも、放送法解釈変更めぐる総務省文書めぐっても…
そのうえ、高市氏の特徴といえば、平気で「嘘」をつくことだ。
実際、昨年持ち上がった放送法の解釈変更をめぐる総務省の行政文書問題にかんする答弁では、高市氏は当初、「怪文書」「捏造だ」と全面否定、“捏造でなければ議員辞職する”と啖呵を切っていたのに、総務省が行政文書だと認めると、しれっと「内容が不正確」などと表現を変更。それを指摘されると、今度は「捏造と言うと言葉がきつすぎるので、あえて繰り返しは使わない」と、理屈にならない理屈を強弁した。挙げ句、参院予算委員会では、問題の追及をおこなった立憲民主党の杉尾秀哉・参院議員に「私が信用できないのであればもう質問しないでほしい」と、大臣としてあるまじき国会を冒涜する暴言を吐いた。
また、安倍元首相の国葬が実施された2022年、会合で高市氏が「(安倍晋三・元首相の)国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだった」と発言したと三重県議が投稿。これに対して高市氏は「そのような発言をすることはない」「そもそも大陸という言葉は使わない」などと否定したが、「AERA.dot」の取材に対し、会合に出席したある市議は、高市氏からその旨の発言があったことを証言している。
だが、高市氏の嘘はこれだけではない。あの統一教会との関係についても、高市氏は大嘘をついていた。
安倍元首相の銃撃をきっかけに、統一教会と自民党議員との癒着が次々と浮上した2022年夏。高市氏は毎日新聞から、統一教会系メディアである世界日報社が発行する月刊誌「ビューポイント」に登場していることを指摘され、8月10日の閣僚就任会見において、2001年に「ビューポイント」に登場したことがあると認めた。しかし、高市氏は「当時私が大変親しくしておりました細川隆一郎先生からのお誘いだった」「『ビューポイント』という本が旧統一教会と何らかの関わりのある本だということも知りませんでした」と弁明していた。
ところがその後、2001年に登場した「ビューポイント」の対談記事が、じつは「世界日報」の同年1月5、6日付に掲載されたものだったことが判明。しかも、高市氏は1994年から2001年にかけて少なくとも5回も「世界日報」に登場し、「夫婦別姓。私は大反対」「私は家長制度が復活してもいいと思う」「いくら選択的別姓といっても、家族の絆に影響を与えると思う」などと統一教会の思想と共通するような発言を繰り返していたことも発掘された。
言っておくが、高市氏が「世界日報」に登場していた時期というのは、統一教会が霊感商法や合同結婚式によって大きな話題を集め、社会問題化していた時期だ。ましてや政治家が、「世界日報」が統一教会系メディアであることを知らなかったわけがないだろう。
しかも、高市大臣は「政治とカネ」問題でも重大なインチキ発言を繰り返してきた。
それは、本サイトでもお伝えしてきた高市氏の事務所が政治資金規正法違反を隠すために、領収書を偽造していた問題だ。
高市早苗は政治資金規正法違反を隠蔽するため領収書を偽造した疑惑も…
きっかけは2022年、上脇博之・神戸学院大学教授が、高市氏と、高市氏が代表を務める自民党奈良県第2選挙区支部の会計責任者で高市氏の公設第一秘書である木下剛志氏を政治資金規正法違反の疑いで奈良地検に刑事告発したことだった。
告発状などによると、第2選挙区支部は、2019年3月17日に大阪市で、2021年7月24日に奈良市で、それぞれ政治資金パーティを開催。対して、高市氏の選挙区である奈良県山添村の「自民党山添村支部」は、第2選挙区支部に「パーティチケット購入」費として各22万円を支出したことを政治資金収支報告書に記載していた。ところが、各22万円を受け取っているはずの第2選挙区支部の政治資金収支報告書には、山添村支部からの収入が記載されていなかったのだ。
改正前の政治資金規正法では、1回の政治資金パーティで同一の者から20万1円以上のパーティ券の収入があった場合、金額や相手の名前などを記載することを義務付けており(2027年1月1日からは5万円超に引き下げ)、不記載には5年以下の禁錮または100万円以下の罰金という罰則が設けられていた。つまり、この高市氏が代表を務める第2選挙区支部には政治資金規制法違反にあたる不記載の疑いがあるとして、上脇教授は奈良地検に告発をおこなったのだ。
だが、この問題を「しんぶん赤旗 日曜版」が取材に動くと、高市氏が代表を務める第2選挙区支部の会計責任者は「山添村支部に販売したパーティー券は、19年は20万円分、21年は12万円分だ。先方が勘違いして22万円と記載した」と主張。「赤旗日曜版」の取材から3日後には、山添村支部が高市大臣側の主張どおりに2021年分の政治資金収支報告書を訂正したのだが、「赤旗日曜版」によると、〈違法の疑いの“証拠”である22万円の領収書を、編集部の取材後に第2選挙区支部が再発行した12万円分の領収書に差し替え、奈良県選挙管理委員会に提出〉したという。
「赤旗日曜版」は、この「領収書差し替え」について、昨年1月15日号で〈違法の疑いの“証拠”を“亡きモノ”とした〉と指摘。上脇教授も「山添村支部の支出が22万円だった場合、高市氏側の不記載となる。その訂正を免れるため高市氏側が虚偽の領収書を再発行し、山添村支部側に虚偽の報告をさせた疑いが出てくる」「領収書は支出側と受領側が取り交わした証明書だ。告発後に違法の“証拠”となる領収書を差し替えるなど聞いたことがない。違法性を否定するために虚偽の領収書を発行したとすればこれ自体が重大問題だ」とコメントした。
しかし、この問題を「赤旗日曜版」が報道すると、高市大臣は強気の姿勢に出た。昨年1月13日におこなわれた閣議後会見で、日本テレビの記者がこの問題について質問すると、高市大臣は「まったく事実ではない」「『(領収書を)差し替えた』という件に強く抗議したい」「強く憤っている」と報道を否定。さらに、高市大臣は同年1月16日にこうツイートした。
〈共産党の「赤旗」の報道で大迷惑をしていますが、私が支部長を務める自民党奈良県第二選挙区支部は、正しい領収書を発行し、正確な収支報告をしています。事務的ミスをした他の地域支部が収支報告を修正したまでの話です。〉
つまり、高市大臣は「領収書差し替え疑惑」を全面否定したうえ、報道に対し「強く憤っている」「大迷惑をしている」と、まるで誤報の被害者であるかのような態度を示したのだ。
高市早苗側の偽装工作をうかがわせる実名証言が次々 筆跡鑑定の結果も…
ところが、このあと関係者からは疑惑隠蔽のための偽装工作をうかがわせる証言が次々と飛び出した。なんと、山添村支部の現代表者は「訂正のことは全然知らなかった。事前も事後も報告はなかった」と証言し、会計責任者も「私は訂正に関与していないので聞かれてもわからない。誰が訂正したのかもわからない」と語ったのだ。奈良県選管に提出された「訂正願」には、山添村支部の代表者の名前も会計責任者の名前も記されている。にもかかわらず、当の山添村支部の代表者も会計責任者も「訂正のことは知らなかった」「誰が訂正したのかもわからない」と語る。いったい、誰が山添村支部の「訂正願」を提出したのか──。
そこで、「赤旗日曜版」は、奈良県選管に提出された山添村支部の「訂正願」の筆跡と、第2選挙区支部が再発行した領収書や過去の政治資金収支報告書に書き込まれていた直筆の文字を筆跡鑑定。なんと、その結果、山添村支部の「訂正願」の筆跡は、第2選挙区支部の会計責任者で高市大臣の公設第一秘書である木下氏の筆跡と同一人物のものだと判定されたのである。ようするに、上脇教授に告発されたことを受けて証拠の領収書を差し替えたばかりか、山添村支部による政治資金収支報告書の訂正を、権限などない高市大臣の秘書がおこなっていた可能性が高いというのだ。
この新たな証拠をもとに、2023年3月、上脇教授は高市大臣と木下秘書を有印私文書変造・同行使罪や政治資金収支報告書の虚偽記入罪で奈良地検に告発。上脇教授は「高市大臣側が保身のために、他の政党支部の収支報告書を勝手に訂正したとすれば極めて悪質で傲慢です。高市氏は大臣として失格ですが、議員としても失格です。検察は捜査を尽くして厳重に処罰すべきです」(「アジアプレス・インターナショナル」2023年3月14日付)と述べていた。
今年8月16日に上脇教授は〈高市早苗らの刑事告発ですが、まだ地検の処分は出ていないですね〉と投稿しており、この高市氏の問題はいまだ決着がついていない。そもそも、高市氏は2011年までは安倍派に所属。裏金キックバックについて高市氏は「恥ずかしながらノルマを上回ったことはなく、むしろ未達成分を自腹で買って派閥に入金していました」などと語っているが、裏金事件とはけっして無関係ではないのだ。
高市氏は2012年、安倍元首相が会長を務めた極右議員連盟「創生「日本」」の研修会において、当時の生活保護バッシングに乗じて「さもしい顔して貰えるものは貰おう。弱者のフリをして少しでも得しよう。そんな国民ばかりでは日本国は滅びてしまいます」と発言していた。かたや、自身の政治資金問題では告発後に領収書を差し替えたり、裏金事件をなかったことのようにしようとは、「さもしい顔」をしているのは一体誰なのか。
万が一、高市氏が次期首相になれば、安倍政権よろしくネトウヨや歴史修正主義者が幅を利かせ、政権の有力議員から女性や性的マイノリティに対する差別を肯定・助長する発言が出ても野放しとなるのは目に見えている。安倍元首相の後ろ盾がないなかで保守票を高市氏がまとめきれるのかは不透明だが、「高市総理の誕生」という最悪の悪夢が訪れないことを祈るばかりだ。(編集部)
米国は中国に対する先制攻撃の準備を日本でも着々と進めている
櫻井ジャーナルが掲題の記事を出しました。
かつて「ジャパン アズ NO.1」(1979年刊)と称された時期がありました。しかしそんなことを許せない米国は日本に対し、強圧的な定期の「日米包括経済協議」や「日米構造協議」を持ち掛け、最終的に日本をNO.1の地位から転落させることに成功しました。
それまでは日本は国家財政的にも優等生でしたが、それ以後 赤字国家に転落しました。
米国には、何故か他国が自国を上回ることを絶対に許さないというケチなプライドがあるようで、いまはそうした「敵意」は挙げて中国に向かっています。具体的には「台湾有事」であり、それこそは「日本を中国の矢面に立たせる」ための絶好の口実になるので、自らは殆ど被害を受けることなく「中国叩き」が実現できる道程で、そこに何のためらいもなく侵入したのが岸田首相でした。
「台湾有事」は岸田氏などが宣伝してきたので周知はされていますが。余りにも子供じみていて大方の日本人はまさかそれが実現するなどとは思っていません。
世に倦む日々氏は最近下記の記事を出してその甘さを指摘しています。
「台湾有事など起きない」と言う田岡俊次と内田樹 - 9条左派を眠らす権威の安心理論
(世に倦む日々 8月24日)(⇒https://note.com/yoniumuhibi/n/n5e00892c48d3)
要するに米国はその構想を簡単に諦めるような国ではないということです。
併せて「耕助のブログ」の記事「新しい多極化時代に平和を実現する」を紹介します。
いわば中国は侵略戦争国家の米国とは、基本的に対極の位置にいるという内容です。
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米国は中国に対する先制攻撃の準備を日本でも着々と進めている
櫻井ジャーナル 2024.09.11
昨年11月、アメリカは23億5000万ドルでブロックIVタイプ200発とブロックVタイプ200発、2種類のトマホークを売却することを承認、今年1月にトマホーク購入の契約が成立した。
ここにきて注目されているのはタイフォン・ミサイル・ランチャー。陸上配備の多目的SM-6ミサイルと巡航ミサイルのトマホークを発射できる。今年4月にタイフォンがフィリピンに作戦配備され、9月4日にはアメリカが日本側へ「タイフォン」ミサイルシステムの配備を通知したとクリスティーン・ウォーマス米陸軍長官は述べた。
アメリカでは1992年2月、ネオコンが国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。その時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。このウォルフォウィッツが中心になってDPG草案は書き上げられたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。
その中でドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、新たなライバルの出現を防ぐと謳われている。日本がアメリカの戦争マシーンに組み込まれたのは1995年だ。
明治維新以降、第2次世界大戦も前も後も、日本はイギリスやアメリカの傭兵として活動してきた。アル・カイダやネオ・ナチと似たような役回りだ。そうしたことを口にした総理大臣もいた。
イスラエルは米英が中東に作り上げた「不沈空母」だとするならば、日本は彼らが東アジアに作り上げた「不沈空母」であり、米英にとってウクライナがロシアを制圧する拠点だとするならば、日本は中国やロシアを破壊する拠点だ。
1982年11月に内閣総理大臣となった中曽根康弘は翌年の1月にアメリカを訪問、ワシントン・ポスト紙の編集者や記者たちと朝食をとるが、その際に彼はソ連のバックファイア爆撃機の侵入を防ぐため、日本は「不沈空母」になるべきだと言ったと報道された。
中曽根はそれをすぐに否定するが、発言が録音されていたことが判明すると、「不沈空母」ではなく、ロシア機を阻止する「大きな空母」だと主張を変える。このふたつの表現に本質的な差はなく、日本列島がアメリカ軍がロシア軍を攻撃するための軍事拠点だと中曽根は認めたのである。
ニューヨーク・タイムズ紙は今年2月25日、CIAが2022年までの10年間にウクライナのロシアとの国境沿いに12の秘密「前方作戦基地」を設置したと書いているが、中国で共産党政権が成立する直前、OPC(後にCIAの破壊工作部門の中核になる)の拠点が日本に設置されている。1950年代には沖縄全域を軍事基地化し、中国やソ連に対する先制核攻撃の準備を整えている。
現在、ロシアと中国は共同で極東地域の開発を進めている。ロシアの極東開発と中国東北部の活性化だが、そこへ朝鮮、モンゴル、ASEAN(東南アジア諸国連合)を巻き込もうとしている。現政権はアメリカに従属しているものの、韓国、台湾、フィリピンの国民はこの経済圏へ加わることに魅力を感じているようだ。そうした中、日本は自らが破滅することを厭わずアメリカへ従属しようとしている。
日本の「エリート」はアメリカ信仰の持ち主で、アメリカに従っていれば自分たちも傍若無人な振る舞いが許されると思っているようだが、所詮は手先にすぎいない。「日米同盟」などは戯言。そうした「エリート」は日本の国土と国民を米英の私的権力へ叩き売ることで自分たちの富と地位を手にし、維持しているのだ。
しかし、日本の「エリート」が信奉しているアメリカの私的権力、つまり支配者は衰退している。軍事力だけでなく知的水準も低下、プロパガンダ機関によって描く幻影で人びとをコントロールしているが、その手法も限界がきている。言論統制を強化しているのはそのためだが、そうした行為は支配システムをさらに揺るがすことになる。
こうした状況にあるにもかかわらず、アメリカの支配層は世界を自分たちの所有物だと今でも信じている。彼らの暴力装置である国防総省は準中距離、あるいは中距離弾道ミサイルをロシア、中国、朝鮮の周辺に配備、先制攻撃能力を高め、そうした国々を追い込もうとしている。アメリカがヨーロッパで行っていることと同じだ。
国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」は2022年4月、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を発表した。専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたというが、その後、そうした日本の憲法に対する配慮はなくなった。
RANDが計画を発表する前から準備は進んでいた。2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成している。今後、南西諸島周辺へアメリカ軍とその装備を移動させる可能性があるという。
その間、韓国へも2017年4月にTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が強引に持ち込まれている。2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していたが、朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていた時期に搬入された。その後、朴槿恵は失脚している。
2022年10月に「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。
トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点への先制攻撃が可能。「専守防衛」は日本の国内に向けた宣伝文句にすぎず、アメリカは先制攻撃を想定している。
そして2023年2月、浜田靖一防衛大臣は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。
そしてトマホーク購入の契約成立。アメリカは2010年代に作成した中露に対する攻撃計画を状況が大きく変化した現在も変えずに実行しようとしている。
新しい多極化時代に平和を実現する
耕助のブログNo. 2264 2024年9月9日
Achieving peace in the new multipolar age by Jeffrey D Sachs
1991年のソビエト連邦の崩壊により、米国は無敵の覇権国として世界を支配すると思い込んだ。しかし米国の「一極」時代は短命に終わった。米国の地政学的な優位性は、中国の台頭、ソビエト崩壊後のロシアの回復、そしてインドの急速な発展によって終焉を迎えた。私たちは新たな多極化時代に突入したのである。
米国は依然として世界の覇権を維持しようと戦っているが、それは妄想であり、失敗に終わるだろう。たとえ世界が望んでいたとしても、それはありえないことだが、米国は世界を導く立場にはない。世界の生産高に占める米国の割合(国際価格)は16%で減少傾向にある。1950年には約27%、1980年には21%であった。中国の割合は19%である。中国の製造業生産高は米国のおよそ2倍であり、最先端技術においても米国に肩を並べている。
米国は軍事的にも拡大しすぎており、80カ国に750もの海外軍事基地を持っている。米国はイエメン、イスラエル・パレスチナ、ウクライナ、シリア、リビアなどにおいて長期にわたる戦争を続けている。米国の戦争と覇権追求は、中国などのライバル国への負債を含む借金によって賄われている。
さらに米国の予算編成は麻痺している。政治運動に資金提供している富裕層は減税を望み、貧困層は社会支出の増額を望む。その結果、慢性の財政赤字(現在GDPの5%以上)という膠着状態に陥っている。公的債務は2000年のGDPの約35%から、現在ではGDPの100%に膨れ上がっている。
米国は人工知能やマイクロチップ設計などの分野で技術的なダイナミズムを維持しているが、米国のブレークスルーは、中国得意のノウハウの普及や進歩によりすぐに中国に追いつかれる。先進的なソーラーモジュール、風力タービン、原子力発電所、バッテリー、チップ、電気自動車、5Gシステム、長距離送電網など、世界のグリーンおよびデジタルハードウェアのほとんどはアジアで製造されており、その大半は中国または中国が主導するサプライチェーンが占めている。
財政赤字を理由に米国はグローバルなリーダーシップの財政的負担を回避している。米国はNATO同盟国に対して自国の軍事防衛費を負担するよう要求しているが、一方で気候変動や開発資金のための国連システムへの貢献はますます出し惜しみしている。
つまり、米国が自国を世界の覇権国であると錯覚している一方で、私たちはすでに多極化された世界に生きているのだ。では、この新たな多極化が何を意味するのかという疑問が生じる。
可能性は3つある。
1つ目は、現在の趨勢は、米国と中国、ロシア、その他の国々との間で、主要国間の優位性を巡る争いが続くというものである。米国の外交政策研究の第一人者であるジョン・ミアシャイマー教授は、「攻撃的リアリズム」理論を提唱している。それによれば、大国は必然的に優位性を巡って争うことになるが、その結果は悲惨な戦争という形で現れる可能性がある。私たちの課題は、このような悲劇的な結末を避けることであってそれを宿命として受け入れることではない。
2つ目の可能性は、大国間の勢力均衡による不安定な平和で、「防御的リアリズム」と呼ばれるものである。米国は中国やロシアを打ち負かすことはできないし、その逆もまた然りであるため、大国は直接的な衝突を回避することで平和を維持すべきである。米国は、ロシアの強い反対を押し切ってNATOをウクライナに介入させようとしたり、中国の強い反対を押し切って台湾に武器を供与したりすべきではない。
つまり、大国は互いのレッドラインを避け、慎重に行動するべきである。これは確かに良い助言ではあるが、十分ではない。パワーバランスは不均衡へと転じ、平和を脅かす。19世紀のヨーロッパにおける主要国間のパワーバランス、すなわちヨーロッパ協調体制は最終的には19世紀末のパワーバランスの変化に屈して第一次世界大戦へとつながった。
過去30年間、米国の指導者たちにはばかにされてきたが、私たちの最大の希望である3つ目の可能性は、大国間の真の平和である。この平和は世界的な覇権国は存在し得ないという認識を共有し、共通善のために大国間の積極的な協力が必要だという認識に基づく。このアプローチには、理想主義(倫理に基づく世界)や制度主義(国際法や多国間機構に基づく世界)など、いくつかの基盤がある。
持続的な平和は可能である。19世紀に西洋列強が到来する以前の東アジアに長く続いた平和から、私たちは多くを学ぶことができる。哲学者Shuchen Xiangは著書『中国のコスモポリタニズム』(2023年)の中で、歴史学者David Kangの言葉を引用している。Kangは「明王朝の建国からアヘン戦争までの期間、つまり1368年から1841年までの間、中国、韓国、ベトナム、日本間の戦争はわずか2回だけだった。それは中国のベトナム侵攻(1407年~1428年)と日本の朝鮮侵攻(1592年~1598年)である」。東アジアの長きにわたる平和は1839年~1842年のアヘン戦争における英国の中国攻撃と、それに続く東西(およびのちの日中)の対立によって崩壊した。
Xiang教授はヨーロッパの政治の特徴であった覇権争いとは対照的に、中国、韓国、日本、ベトナムの政治を支えていた儒教の調和の規範が、東アジアの半世紀にわたる平和をもたらしたと主張している。この長い期間、中国は地域における紛れもない覇権国であったが、その圧倒的な力を用いて韓国、ベトナム、日本を脅したり傷つけたりすることはなかった。
中国の外交政策立案の専門家であるJean Dong博士も、著書『変化する世界における中国の外交政策:永続する伝統とダイナミックな制約の解明』{1}の中で、中国とヨーロッパの外交政策の違いについて同様の指摘をしている。
私は最近、「21世紀における恒久平和のための10原則」{2}を提案した。これは中国の平和的共存の5原則に、5つの実践的な追加ステップを加えた、儒教の倫理と制度主義の混合である。私の考えは、協力の倫理と国際法および国連憲章の実質的利益の活用にある。
9月に国連サミットが開催されるが、そこでの重要なメッセージはこれだ。覇権国は必要ない。パワーバランスは容易にパワーの不均衡へと転じる。私たちが必要としているのは、倫理観、共通の利益、国際法と国際機関に基づく永続的な平和である。
Links:
{1}https://www.amazon.com/Chinese-Statecraft-Changing-World-Demystifying-ebook/dp/B0CGTT6J46/ref=sr_1_1?
{2} https://www.commondreams.org/opinion/10-principles-peace-21st-century
https://mailchi.mp/ad6083ccceba/jeffrey-sachs-achieving-peace-in-the-new-multipolar-age
11- 「路上のラジオ」資料の紹介(ファンクラブニュース第22号)
「路上のラジオ」(主宰者・西谷文和さん)から送られてきた資料を預かりましたので紹介します。
1.主宰者・西谷文和さんの挨拶状
路上のラジオに募金していただいたみなさん |
2. 路上のラジオ ファンクラブニュース 24.8.15 第22号(全4ページ)PDF版
ファンクラブニュース第22号の主なテーマは
・大阪危険万博!15万人が帰宅困難者に
・小出先生に聞く その16 クレージーな政府 原発新設を認可
・「編集長より」/「編集後記」
です。
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3.【公開対談案内】第17回 松元ヒロ&西谷文和
日時 9月21日(土) 午後1時半 開演
場所 吹田メイシアター 中ホール (吹田市)
リーフレット PDF版
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4.新刊紹介 『イスラエル、ウクライナ、アフガン戦地ルポ』
京都かもがわ出版 西谷文和 著
リーフレット PDF版
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5.新刊紹介 『お笑い維新劇場 ー大阪万博を利用する半グレ政党』
平凡社新書 佐高信&西谷文和 著
リーフレット PDF版
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