2024年7月27日土曜日

ガザ侵攻 改めて正当化 米議会 イスラエル首相が演説

 イスラエルのネタニヤフは24日、米連邦議会の上下両院合同会議で演説し、パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍の大規模軍事侵攻を改めて全面的に正当化しました。民主党の主要幹部ら30人以上が欠席しました。敢えて米議会で演説したのはそれによって「イスラエル国内での彼の政治的地位を高め、戦争に対する国際的反対を鎮めるためだ」とある共和党員が述べました。
 米議会の周辺では全米各地から集まった数千人が抗議のデモを行いました。
 しんぶん赤旗が、ガザでの大虐殺を中心に6つの記事を出しました。その概要は下記の通りです。

・ガザ侵攻 改めて正当化 米議会 イスラエル首相が演説
 イスラエルのネタニヤフは24日、米連邦議会の上下両院合同会議で演説し、パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍の大規模軍事侵攻を改めて全面的に正当化しました。民主党の主要幹部ら30人以上が欠席しました。
 欠席した共和党の下院議員は、ネタニヤの目的は「イスラエル国内での彼の政治的地位を高め、戦争に対する国際的反対を鎮めるためだ」と述べました。またガザの住人は、「米国はイスラエルの主な相棒。私たちは米国のせいで殺されている」と話しました。
集団虐殺を支持しない 米議会周辺 数千人デモ
 ネタニヤフが米連邦議会で演説した24日、米各地から数千人の市民が議会周辺に集まり、ガザヘの軍事攻撃に抗議する集会を開きました。
 「ネタニヤフをジェノサイド(集団殺害)の罪で逮捕しろ」「戦争犯罪人はお呼ぴでない」などと害かれた横断幕を掲げてデモ行進し、同氏を招待した議会も批判しました。
ガザ南部で70人殺害 医師「最低限の薬もない…」
 22日にもイスラエル軍はガザ南部ハンユニスを攻撃し、少なくとも70人を殺害、200人以上を負傷させました。母の遺体の横で頭部に包帯をした少年が泣きながら、「どうして僕たちを残して死んじゃったの。僕たちを助けてくれるのはお母さんしかいないのに…。大好きなお母さん、僕がかわりに死ねばよかった。神さま、お母さんを殺したイスラエルに罰を与えてください」と訴えました。
ガザの死者が3万9000人超す
 ガザ保健当局は22日、声明を出し、10月7日以降のイスラエル軍の攻撃で、パレスチナ人少なくとも3万9006人が殺され、8万9818人が負傷したと述べました。
 保健当局の公表数は極めて控えめで実際の数はその数倍であるといわれています。
・米の対エスラエル軍事支援 7労組「即時中止せよ」 バイデン氏へ書簡
 米主要7労組が23日、バイデン大統領に共同書簡を送り、ガザに攻撃を続けるイスラエルヘの軍事支援をただちにやめるよう求めました。「国の軍事支援の即時中止がこの紛争を平和的に解決するうえで必要だ」と強調しました。
行き場失う子と高齢者 イスラェル ガザ83%に避難命令
 国パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の報道官は23日、イスラエル軍が22日の時点でパレスチナ・ガザ地区の約83%について避難命令を出すか、立ち入り禁止区域に指定しており、子どもや女性、お年寄りを含む多数のパレスチナ人が行き場を失っていると指摘しました。イスラエル軍が直近で避難命令を出したガザ南部ハンユニスでは、22日以降に推定で15万人のパレスチナ人が移動を余儀なくされました。
 報道官は「ロバの引く荷馬車にお年寄りが乗り、車いすに乗った障害者は膝にものを積み上えて、砂地のなかを押されて移動している」と強調。「住民は銃声を耳にしながら走り、生き延びようと走っている。彼らは行くあてもない」と述べました。
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ガザ侵攻 改めて正当化 米議会 イスラエル首相が演説
                        しんぶん赤旗 2024年7月26日
【ワシントン=澗□昇幸」イスラエルのネタニヤフ首相は24日、米連邦議会の上下両院合同会議で演説し、パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍の大規模軍事侵攻を改めて全面的に正当化しました。出席議員の多くは拍手で迎えたものの、民主党の主要幹部の欠席が目立ち、議会周辺では市民らが抗議行動を繰り広げました

議員30人以上欠席
 昨年10月7日以降からガザ住民3万9千人以上が同に殺害されていますが、ネタニヤフ氏は民間人保護を徹底していると述べ、ジェノサイド(集団殺害)を否定しました。
 同氏は、イスラム組織ハマスの軍事・統治能力を破壊し、ハマスが拘束する人質が解放されるまで軍事侵攻を継続すると、強硬姿勢を示しました
 ネタニヤフ氏は、国際的非難が高まる中でも、イスラエル擁護の米政府に武器恢給の強化など支援を要求。「米軍事援助を急ピッチで進めれば、ガザでの戦争終結を劇的に早めることができ、中東のより広範な戦争を防ぐことができる」と持論を展開しました。

 報道によると、同会議では民主党のペロシ元下院議長など30人以上の議員が次席しました。パレスチナ系米国人のラシダ・タリーブ下院議員(民主党)は出席し、演説中に「戦争犯罪人」「ジェノサイドの罪」と書かれた小さなプラカードを掲げました
 民主党のクリス・マーフィー上院議員はX(旧ツイッター)で、ネタニヤフ氏の演説は「米国とイスラエルの関係を後退させるものだったI「(ガザでの)人道的危機を軽視する発言には驚かされた」と批判しました。
 共和党のトーマス・マッシー下院議員はXの投稿で、ネタニヤツ氏の今回の演説目的は「イスラエル国内での彼の政治的地位を高め、戦争に対する国際的反対を鎮めるためだ。小道具になる気はないので、私は出席しない」と述べました。

ガザの住民  米国を非難
 パレスチナ・ガザ地区の住民は24日、イスラエルのネタニヤフ首相を歓迎する米国を批判しました。ガザ地区ラファからハンユニスに避難したカゼム・アブ・タハ氏は米国は(イスラエルの)主な相棒。私たちは米国のせいで殺されている。米国の戦闘機で殺されている」と話しました。
 イスラエル軍は首相演説の数時間前、新たな攻撃をガザ地区各地で実施。ガザ保健当局は同日、この24時間に少なくとも55人が殺されたと述べました。
 戦争中、家族とともに6回避難しているガーダ氏はハンユニスで「どこに行くべきか?海に入ろうか」と言い、「私たちは疲れ果て飢えている。数時間後でなく今すぐ戦争を終わりにしたい」と述べました。   (ロイター)


集団虐殺を支持しない 米議会周辺 数千人デモ
                        しんぶん赤旗 2024年7月26日
【ワシントン=柴田菜央」イスラエルのネタニヤフ首相が米連邦議会で演説した24日、米各地から数千人の市民が議会周辺に集まり、ガザヘの軍事攻撃に抗議する集会を開きました
 ネタニヤフ氏をジェノサイド(集団殺害)の罪で逮捕しろ」「戦争犯罪人はお呼ぴでない」などと害かれた横断幕を掲げてデモ行進し、同氏を招待した議会も批判しました。
 ユダヤ人や芸術家、政府職員、労働者、平和活動家など、信仰や立場の違いを超えて市民が参加。「パレスチナを解放しろ」の唱和がやみませんでした
 ノースカロライナ州から参加した教員のシェル・エベラッテさん(27)は、「私が生まれたこの国は、戦争犯罪人を文字通り歓迎している」と批判。「いますぐ停戦を」と力を込め、「レスチナの人々、赤ちゃんを殺しているイスラエルに(武器支援などで)税金を送るのをやめろ」と訴えました。
 双子の娘(11)と息子(15)と参加したスグーカウンセラーのエリフ・アーギナーさん(54)は、ネタニヤフ氏の訪米は「恥ずべきことだ」と主張。同氏は戦争犯罪だけでなく人道に反する罪も犯していると指摘し、「私たちはジェノサイドを支持していない」と強調しました。
 市民が求めているのはすべての人の自由と安全だと述べ、議会は「国民の声を聞くべきだ」と語りました。


ガザ南部で70人殺害 医師「最低限の薬もない
                        しんぶん赤旗 2024年7月24日
【カイロ=秋山豊】パレスチナ自治区ガザの保健当局は22日、イスラエル軍がガザ南部ハンユニスを攻撃し、少なく70人を殺害、200人以上を負傷させたと発表しました。子どもや女性も死傷しています。
 本紙が入手した動画には、イスラエル軍の空爆で殺害され、床に横たわる女性の遺体が映っていました。女性の傍らで頭部に包帯をした少年が泣いています22日にハンユニスのナセル病院で撮影されました。
 少年は「どうして僕たちを残して死んじゃったの。僕たちを助けてくれるのはお母さんしかいないのに。大好きなお母さん、僕がかわりに死ねばよかった。神さま、お母さんを殺したイスラエルに罰を与えてください」と訴えています。
 ナセル病院の医師は22日、本紙の取材に応じ、「私たちは最低限の医療器具や医薬品も持っていない。病院が十分機能せず、負傷者の命が失われている。輸血用の血液も足りず、患者に深刻な脅威をもたらしている」と語りました。両院はこの日、住民に緊急の献血を訴えました。
 イスラエル軍はハンユニス東部の住民に退避を命じ空軍と砲兵部隊がハンユニスを攻撃しました。ロイター通信は、パレスチナ当局者の話として、標的にされた地域に約40万人が暮らしていたと伝えました。
 ハンユニスにいるジャーナリストのタイシール・コデイハさんは「戦車と地上部隊がハンユニス東部を襲撃した。イスラエルの激しい攻撃から逃れるため、徒歩で、あるいはロバがひく荷車に東って退避する住民もいた。住民の表情には極度の疲れと恐怖がみられる。住民はイスラエル軍が幾度も爆撃しながら『安全で人道的』と主張する地域に向かっていった」と本紙に話しました。
 アブライエンさん(43)は「イスラエル軍は、私たちが退避している最中に攻撃してきた。ミサイルが飛んできて、銃撃さた住民もいる。通りには遺体がある。安全な場所などない。どこに暮らせと言うのか」と話しました。

ガザの死者が3万9000人超す
 ガザ保健当局は22日、声明を出し、10月7日以降イスラエル軍の攻撃で、パレスチナ人少なくとも3万9006人が殺され、8万9818人が負傷したと述べました。


米の対エスラエル軍事支援 7労組「即時中止せよ」 バイデン氏へ書簡
                        しんぶん赤旗 2024年7月25日
【ワシントン=柴田菜央】米主要7労組が23日、バイデン大統領に共同書簡を送り、パレスチナ自治区ガザに攻撃を続けるイスラエルヘの軍事支援をただちにやめるよう求めました。「国の軍事支援の即時中止がこの紛争を平和的に解決するうえで必要だ」と強調しました。

 書簡には、全米自動車労組(UAW)、サービス業国際労組(SEIU)、客乗務員協会(AFA)など合計で約600万人を代表する幅広い業種の労組が名を連ねています。書簡は、訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相が24日に米議会で演説し、25日にはバイデン氏と会談するのに先立って公開されました。
 書簡は、最近のガザからの報道は「私たちの要求が切迫したものであることを明白にしている」と主張。「子どもを含む多くのパレスチナの民間人が、報じられているところでは米国製の爆弾で殺され続けている」と批判しました。ガザで緊張が高まれば、さらに多くの罪のない市民をより広範な戦争に陥れる危険があると指摘しました。
 また学校や病院の破壊、飢餓など「ガザでは人道危危機が日に日に深刻になっている」と懸念を表明しました。
 書簡は、イスラエル側が軍事攻撃を継続する姿勢を示すなかで「この戦争を終わらせる最も速くかつ確かな方法は米国からイスラ工ルヘの軍事支援を止めることだ」と指摘。バイデン氏に対し「決定的な行動をとる時はいまだ」と迫りました。


行き場失う子と高齢者 イスラェル ガザ83%に避難命令
                        しんぶん赤旗 2024年7月25日
 国パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のルイーズ・ウォーターリッジ報道官は23日、イスラエル軍が22日の時点でパレスチナ・ガザ地区の約83について避難命令を出すか、立ち入り禁止区域に指定しており、子どもや女性、お年寄りを含む多数のパレスチナ人が行き場を失っていると指摘しました。国連ニュースの取材に応じました。
 ウォーターリッジ氏によると、イスラエル軍が直近で避難命令を出したガザ南部ハンユニスでは、22日以降に推定で15万人のパレスチナ人が移動を余儀なくされました。
 ウォーターリッジ氏は「ロバの引く荷馬車にお年寄りが乗り、車いすに乗った障害者は膝にものを積み上て、砂地のなかを押されて移動している」と強調。「住民は銃声を耳にしながら走り、生き延びよう走っている。彼らは行くあてもない」と述べました。
 国連によると、イスラ工ル隼はハンユニス西方のマワシ地区についても避難命令を出しており、同地区内で使える場所は約15縮小しました。マワシ地区はもともとイスラエル軍が「人道地域」と指定していた場所です。
 ロイター通信によると、イスラエル軍は23もハンユニスなどで攻撃を続けました。ハンユニスで同通信の取材に応じた女性は「イスラエル軍に突然、今からここを立ち去れと言われた。事前に警告もなく、突然ロケット弾が上から落ち始めた。移動するつもりはなかったがそうせざるをえなかった」と語りました。

「民営化」という名の「私物化」(植草一秀氏)

 日本の経済が停滞を極めている大元は2000年初頭に登場した「小泉―竹中」政権によって敷かれた「新自由主義」であり、公共事業の「民営化」志向でした。
 小泉氏が断行した「郵政民営化」は、民営化しさえすれば「全てがばら色になる」と大宣伝されたものですが、逆であったことはすぐに明らかにされました。
 安倍晋三氏による「アベノミクス」はいまや「破綻の惨状」の渦中にあります。
「市場原理」を謳う一方で、民間企業の半導体工場を作るのに「兆円」単位の庶民の血税が注がれています。また国鉄民営化の到達点とも言える、総工費9・6兆円の「リニア新幹線」には3兆円もの低金利の国費が投入されています(現在は地下水の問題や地表部分の部分的沈下、地震帯通過の問題等で頓挫中)。
 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
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「民営化」という名の「私物化」
                植草一秀の「知られざる真実」 2024年7月25日
CIAが日本で人為的に創作している「政治第三極」が提唱する政策根幹は
「新自由主義と民営化」。これを「改革」という言葉でくるみ、メディアが大宣伝する。
端緒は2001年の小泉内閣。
「改革なくして成長なし」のフレーズが用いられた。
「民できることは民に」と表現するともっともらしく聞こえる。
新自由主義も「頑張った人が報われる社会」と表現するともっともらしく聞こえる。

しかし、実態はまったく違う。
民営化は「民でできることは民で」ではなく「公がやるべきことも民に」であり、
「民営化」の実態は「私物化」=「営利化」だった。
「市場原理で競争を行い、優勝劣敗が生じるのは仕方がない」として、社会保障を否定し、弱肉強食化が推進されてきた。
「頑張ったのに低所得なのに何もしないで生活保護をもらうのはけしからん」
を強調して社会保障を切り崩すことに力が注がれた。
新自由主義で労働の非正規化が推進され、圧倒的多数の労働者が下流に押し流されてきた。

「頑張った人が報われた」のではなく、制度の歪みを活用し、政府と癒着した者が法外な不労所得を手にしただけである。
狡猾な者が制度の歪みを利用して不労所得を得ることを守るために「頑張った人が報われる社会」の言葉が用いられてきた。
CIAが創作してきた「人為的第三極」の流れは
2008年の「みんなの党」に始まり、「維新」、「希望の党」などに引き継がれてきた。
CIAは渡辺喜美氏、橋下徹氏、小池百合子氏、吉村洋文氏などをメディア大宣伝によって伸長させてきた。
その延長上でメディア大宣伝によって伸長されたのが石丸伸二氏であると考えられる。

世界の巨大資本は飽くなき利益追求に走る。利益拡大の道が狭まり断末魔の叫びをあげる。
断末魔の叫びをあげるグローバル資本が編み出したビジネスモデルがDBM(断末魔ビジネスモデル)。
その中核がWPFである。
W=War=戦争
P=Public=公共・財政
F=Fake=国際特殊詐欺
『資本主義の断末魔』(ビジネス社)https://x.gd/aILOt 



戦争は巨大資本の利益拡大のために人為的に創作されている。
ウクライナ戦争はその典型であり、極東での戦争創作も目論まれている。
Fake=国際特殊詐欺ビジネスモデルの代表がパンデミックビジネスとSDGsビジネスである。
Public=公共・財政のターゲットは財政資金からの巨大補助金収奪と公的事業の簒奪

2020年度以降、法外な補正予算が編成されて、その大半が利権補助金としてバラまかれた。
民間企業の半導体工場を作るのにどうして兆円単位で庶民の血税を注ぐ必要があるのか。
市場原理を基軸に据えるなら民間の事業は民間の自前資金で実行するのが当然のこと。
「市場原理」を叫びながら巨大な財政補助金を民間事業に投下する巨大矛盾を誰も指摘しない。

巨大補助金収奪と並ぶのが公的事業簒奪(さんだつ)。
「民営化」と表現してきれいに見せかけるが、実態は「私物化」=「営利化」である。
生活必需品で独占事業は公的に管理しなければ社会の厚生が低下する。
だから公的管理下に置いて事業として執行している。
しかし、必需品で独占形態の事業を民間が請け負えば旨味が大きい。
価格設定の自由を得ると「独占利潤」を獲得できる。
必需品だから倒産リスクはゼロに近い。
独占利潤が発生することは、裏を返すと利用者の負担が増大するということ。
日本経済は「民営化」という名の「私物化」によって蝕(むしば)まれている。

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が販売開始になった。
『沈む日本 4つの大罪 経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!』
(ビジネス社)https://x.gd/3proI  ぜひご高覧賜りたい。
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のご購読もよろしくお願いいたします。
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広島平和公園で「原爆と戦争展」 「米国の原爆投下正当化は間違い」

 長周新聞に掲題の記事が載りました。
 同紙が後援している「原爆展全国キャラバン隊」は、4月27、28日に続き13広島市の平和公園で街頭「原爆と戦争展」を開きました。
 第二次世界大戦で戦地へかり出された兵士の体験や、全国空襲、沖縄戦、広島・長崎の原爆投下によって被害を受けた市民の体験、そしてアメリカによる単独占領後の日本社会について、多くの人々の証言をもとに写真付の記事が時系列で展示されています
 広島を訪れる外国人観光客の多くが展示に足を止め、海外では語られることのない凄惨な被爆体験や日本の市民の視点から見た第二次大戦の真実に衝撃を受けています。
 現場で渡されたアンケート用紙には、今回もびっしりと数十行に渡って感想が記されてい感動します。是非ご一読ください。

関連記事
 5月15日)平和希求し広島訪れる世界の若者たち 「西側の正義は偽善だった」 平和公園で原爆と戦争展
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「米国の原爆投下正当化は間違い」 広島平和公園で「原爆と戦争展」を参観する外国人 剥がれる第二次世界大戦評価の欺瞞

                          長周新聞 2024年7月25日

街頭に展示された「原爆と大戦の真実」パネルを見入る外国人(13日、広島市中区・平和公園)

 原爆展全国キャラバン隊は13日、広島市中区の平和記念公園で、街頭「原爆と戦争展」をおこなった。展示は、第二次世界大戦で戦地へかり出された兵士の体験や、全国空襲、沖縄戦、広島・長崎の原爆投下によって被害を受けた市民の体験、そしてアメリカによる単独占領後の日本社会について、多くの人々の証言をもとに時系列で描いている。広島を訪れる外国人観光客の多くが展示に足を止め、海外では語られることのない凄惨な被爆体験や日本の市民の視点から見た第二次大戦の真実に衝撃を受け、意見や感想をアンケートに記した
 外国人参観者の多くが、原爆投下直後の広島・長崎の被害を伝える写真や体験者の証言、詩を見て「言葉がない」「衝撃的で描写的」「興味深い」との反応を示している。海外では歴史の授業等を通じて原爆による具体的な被害の実情について学ぶ機会はほとんどないと語られる。とくに欧米から訪れた参観者が関心を寄せているのが、「原爆は戦争終結には必要なかった」というパネルと、終戦後に単独占領したアメリカの占領政策やその下での日本国民の体験だ。

 スウェーデンから来たという男性(28歳)は、長時間かけて展示を見たあと、「戦後アメリカによる占領下で、市民への厳しい弾圧があったことは本当なのか? こうした第二次世界大戦後の出来事は、ヨーロッパではまったく語られない」と話していた。
 展示パネルには、戦後の日本を占領統治したGHQがおこなった言論統制や検閲について、次のような体験者の証言が記されている。
 「どんな田舎でもGHQの事務所があり、会合をするたびに時間や場所、出席者や内容まで報告しなければいけなかった。私は事務所に呼ばれ“マニラから帰ったらしいが、反米思想をふりまくな”と釘を刺された」(長崎市)
 「戦争直後、治安の悪いことは特攻崩れ、予科練崩れのせいにされたり、悪用されて汚名を着せられた。元特攻隊員を脅し文句にするチンピラが出回った。私自身、“予科練崩れ”を悪用した強盗事件のおかげで、警察に連行され追及されるといった体験もした」(下関市)

 スウェーデンの男性はアンケートに、「かつての戦争で起こった出来事や体験を総合的に伝える展示であり、私の考え方も変わった。私は元々、原爆は戦争を早く終わらせ、人々の流血を減らすために必要なものだと信じていた。しかし、今になってそれは日本に対する攻撃というよりも、ロシアを牽制するための戦術だったと理解した。アメリカにとっては勝てるとわかって始めた戦争だった。そして、アメリカは戦利品を他国と共有することなく独占し、日本を支配下に置いたうえで、その後の自国の戦争の基地にするのが目的だったのだ。原子爆弾は日本との戦争を終わらせるためには必要なく、それはただ米国にとってその先々の他の戦争を有利に進めるために過ぎなかった」(28歳・心理学者)と記していた。
 日本国内各地からも親子連れなど多くの参観があった。神奈川県から来たという40代の男性は、アンケートに「戦争の惨禍が起こる機序がわかりやすく解説されていて、これからを生きる人々が何に注意し、何を防いでいかなければならないのか、社会がどのようになると危険が近づいてくるのかの参考になった。時間があまりない人にも立ち寄りやすく、場所も良い。イデオロギーや宗教をこえて、人類共通の利益となるはずの平和を創り続けるために、このような運動は永遠に続いていくべきだ」と記した。
 他にも参観者のアンケートには「原子爆弾は決して使用してはならないし、アメリカの正当性は間違っている。このことを世界にわかってもらうためにこの戦争を語っていかなければならない」「アメリカのいう“正義の原爆”はないと思う。いまだにアメリカの属国となっている日本をとても悲しく思う。日本の自主独立ができる日を望む」などの意見が記されていた。  

パネル参観後にアンケートを記す外国人観光客(13日、広島市)

人々の証言から見える真実――外国人アンケートより
 ▼私の知らなかった情報がたくさんあり衝撃的な展示だった。「ショッキング」という言葉はこの展示会のことをあらわす言葉であることは間違いない。戦争はとても悲しく、野蛮だ。ウクライナ戦争やガザ戦争は今すぐにやめるべきだ。しかし、世界の人類の一部には、自分たちのための権力を好む者がいる。それはアメリカ、日本、ロシア、北朝鮮なども同じで、彼らは助けではなく権力を望んでいる。アメリカは自身の権力のためにウクライナを助けているのであって、決して善行のためではない。戦争は悪だ。戦争とは、人間の悪い部分の象徴だ。(メキシコ・16歳男性・学生)

 ▼本当に胸が張り裂けそうだ。私と息子はメキシコ出身で、地理的に米国にも近いので彼らの戦争犯罪についても知っている。また、私の祖父は日本人だ。彼は第二次世界大戦以前にアメリカに到着していたが、そのときからすでに日本人コミュニティはアメリカ政府による圧力を受けており、強制収容所に入れられていたそうだ。アメリカは権力欲のあるナルシストな国だ。また、日本も中国や韓国に対してひどいことをおこなったことも事実だ。すべての戦争は野蛮で不必要でありすぐに止めるべきだ。このような残虐行為はいかなる理由があっても正当化されるべきではないし、どこの国の国民も軍事費を負担すべきではない。今世界で戦争を起こしている野心的で自己中心的なリーダーたちは過去から何も学んでいない。また同時にこの問題の主役は、世界中の人々の「無知」でもある。すべての戦争が早く終わることを願う。私たちが過去から学ばなければ、必ず負の歴史をくり返すことになるだろう。(メキシコ・43歳・女性・専業主婦)

 ▼私は信じられないほど感動した。また、日本における第二次大戦の経過とその余波についての自分の無知さ加減に愕然とした。私は、ニューギニアで日本兵と戦ったオーストラリア人志願兵の娘だ。彼は日本の一般の兵士の勇気を尊重するとともに、彼らのことを「私たちと同じ“哀れな人たち”だ」と話していた。オーストラリアに対する残虐行為は、ティモール、ビルマ、日本(占領下)の炭鉱でおこなわれた。だが、多くの日本兵はヒロヒト(昭和天皇)と支配層たちに利用された無力感に苛まれていたに違いない。彼らの背後には、この戦争における邪悪で巨大な米国の支配構造が秘密裏に存在していた。日本は、観光主義やビジネスに重きを置くのではなく、たとえ米国にどれほどの犠牲を払おうとも報道の自由と抵抗に重きを置くべきだ。日本はアメリカと同盟国だが、そのことで利益を得ているのは誰か、よく考えるべきだ。(オーストラリア・73歳・女性・退職者)

 ▼とても有益だ。私が今まで聞いたことのなかった出来事についてたくさんのことを知ることができた。これらはすべて、人々が学ぶべき非常に重要な情報だ。今も世界で戦争が起きていることは、とても悲しい。戦争は非人道的で破壊的であり、不必要だ。世界に戦争が好きな人がいるということが許せない。そして、私たち自身も戦争が起こることを許可していることになる。私たちは過去に十分な恐怖を見てきたはずだが、最終的な教訓にするのはいつになるのだろうか。いつか私たちが戦争のことを考えずに生きていける社会が実現することを願う。(アメリカ・20歳・女性・学生)

 ▼この展示は全体的に第二次世界大戦の歴史に対して描写的で比較的中立な立場を保っていると感じた。民間人の視点をとり入れている。そのなかでもとくに、当時日本国民の多くが、日本の軍国主義にもとづく侵略や主張に違和感を抱いていたということを知り衝撃的だった。また、この展示は731部隊や南京大虐殺をはじめとする日本が中国でおこなった残虐事件についてもはっきり伝えている。(中国・18歳・男性・学生)

 ▼このような虐殺を今日まで隠蔽しようとしてきた人々の意図を理解するためにも、歴史を遡って知ることはとても重要だ。人々の証言や詩を通して原爆がどれほど彼らの人生全体に大きなダメージを与えたかを知り、苦痛だった。彼らの証言を、この恐怖をまだ知らない人々とともに分かちあう必要がある。そして、世界中が痛みを共有している今こそ、二度と最悪の事態を引き起こさないために心にとどめておかなければならない。(フランス・29歳・女性・フリーター)

 ▼実際に広島という地で、いざここで過去に起こった恐ろしい出来事と対面することはとてもつらいことだ。オランダでの教育においては、ただ単に第二次世界大戦のことを教えるだけで、この展示のような歴史真実が教えられていないことは痛恨の極みだ。そして、災害は今日でも起きているのだということを、私たち全員に思い起こさせるためにもこの展示を読む必要がある。ウクライナ戦争やガザ戦争が今も続いていて、何の罪もない一般市民が政治対立によって犠牲になっていることにひどく心が痛む。(オランダ・24歳・女性・土木技術者)

パネルや縮刷版冊子を読む参観者(13日、広島市)

27- 〔週刊 本の発見〕『国より先に、やりましたー「5%改革」で暮しがよくなる』 保坂展人著

 レイバーネット日本の書評のコーナーに掲題の本が取り上げられました。
 著者は世田谷区長4期目に入っている保坂展人氏です。
 同氏は「1年目で5%を変える、翌年、残りの変わっていない95%のうちの5%をまた変える。これを繰り返していくと、8年で3割以上、12年なら半分近くが変わる計算になる」と考えてそれを実行して来ました。
 2015年に渋谷区と同時に早々に「同性パートナーシップ制度」導入しました。
 区民のための善政です。いま集中砲火を浴びて泥沼に漬かっているどこやらのパワハラ県知事とは大違いです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自前の民主主義をたがやす  評者:佐々木有美
『国より先に、やりましたー「5%改革」で暮しがよくなる』(保坂展人著、東京新聞、2024年4月、1540円)   
                      レイバーネット日本  2024-07-25 




 権力のとめどない腐敗と、格差の拡大、軍拡、気候危機‥、いまの日本に希望を見出すことは難しい。どこに何を求め、どこから始めたらいいのか。本書はそんな思いに一つの答えを与えてくれる。著者の保坂展人さんは、衆議院議員を3期務めたあと、2011年の東日本大震災で「地方政治の大切さを思い知らされ」、世田谷区の区長選に立候補した。以後4期目の現在まで13年がたつ。サブタイトルの“「5%改革」で暮しはよくなる”の意味は、「1年目で5%を変える、翌年、残りの変わっていない95%のうちの5%をまた変える。これを繰り返していくと、8年で3割以上、12年なら半分近くが変わる計算になる」ということ。改革は、一気にではなく、徐々に着実に成し遂げていくもの、だからこそ可能だという、かれの経験と思いがこめられている。

 保坂区政で、最初にわたしが注目したのは、2015年に渋谷区と同時に導入された「同性パートナーシップ制度だった。自由な発想に驚いた。この制度は全国に広がり、いま日本の約8割の自治体が採用している。2020年から始まったコロナ禍では、国のPCR検査の遅滞を突破して、素早く区独自のPCRセンターを立ち上げた。「プール方式」検査の導入など、専門家のアドバイスの下に、たえず国の施策をリードした。自治体の首長に自由な発想とやる気があれば、これだけのことができるのだと当時のわたしは感心した覚えがある。

 保坂さんの仕事の軌跡はこの本を読めば明瞭だ。まず大震災であらわになったエネルギー問題の解決。「脱原発」で地元の太陽光発電を始めると当時に、福島県や長野県などとエネルギー協定を結び、自然エネルギーの電源連携を実現した。下北沢の再開発問題では、賛成・反対を超えて地元住民とのラウンドテーブルを作り、住民参加の街づくりをすすめてきた。教育問題や認知症問題でも、独自の施策を推進。画期的だと評価されたのは、認知症の当事者を委員に交え、作成した「認知症とともに生きる希望条例」だ。さらには豪雨対策としてのグリーンインフラ整備など、上げればきりがない。

 様々な施策で共通しているのは、保坂さんがどの課題にも、区民を巻き込み、区民と一緒にくらしを変えようとしていること。たとえば、区民の声を聞くための「車座集会」。一か所20~40人の規模で一人3分の意見を聞く。これを区内の全地区で実行する。さまざまな苦情から区民自身が解決策を提案し動き出すこともある。さらにスゴイと思ったのが、「くじ引きワークショップ」だ。住民名簿から無作為抽出のくじ引きで選んだ人たちに「区の将来について話しませんか」と招待状を出す。すると様々なアイディアが参加者から上ってくる。住民が積極的に参加できる仕組みを作り、「トップダウンではなくボトムアップ」の街づくりを、文字通り実現しているのだ。それは、自前の民主主義をたがやす過程ともいえる。

 「何をやっても変わらないよう見えた社会が変わっていくのを面白がる市民、区民がたくさんいる」と保坂さん。世田谷の動きが、さらに多くの仲間を得て広がっていくのを期待したい。