2026年4月23日木曜日

武器輸出を全面解禁 閣議決定 「平和国家」投げ捨て

 政府は21日、「防衛装備移転(⇒武器輸出)三原則」とその運用指針の改定を閣議決定し、国産武器の輸出対象を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の「5類型」に限定するとした制約を撤廃しました。
 これにより、戦闘機や潜水艦など殺傷力のあるすべての武器を加えた上、他国と共同開発・生産する武器の第三国への輸出が可能となり、さらに「特段の事情がある場合」は例外的に可能とすることで交戦国への輸出も可能としました。
 武器輸出の可否の判断について国家安全保障会議(NSC)が行い国会に「決定後通知する」としました。
 要するに全面的な武器輸出に道を開くものです。

 同日、高市内閣が上述の武器輸出の閣議決定をしたことに抗議する緊急行動が21日、首相官邸前で取り組まれました。武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、日本平和委員会などの呼びかけで、プラカードを手に90人が鳴り物にあわせて「勝手に決めるな」「国会にはかれ」などとコールしました。
 日本平和委の西村美幸常任理事は、「日本の武器輸出が米国を補完し支えることに怒りを感じる」と訴え、NAJATの杉原浩司代表は、「今回の決定は政府の一存で殺傷武器の輸出を可能にした。国会を蹂躙し、独裁政権のような決定だ」と批判しました。

 日本共産党の田村智子委員長は同日、政府が防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷武器輸出の制限撤廃を閣議決定したことに対し、「武器輸出全面解禁に強く抗議し、撤回を求める」と題する談話を発表しました。
 談話は、今回の閣議決定は、国際紛争を助長する武器輸出は禁止するという憲法9条に基づく国是を捨て去り、殺傷武器の輸出を全面的に解禁するものだと批判し、日本を「国際紛争助長国家」「死の商人国家」へと大きく変質させる暴挙に断固抗議し、武器輸出全面解禁の撤回を求めています。

 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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武器輸出を全面解禁 閣議決定 「平和国家」投げ捨て
                       しんぶん赤旗 2026年4月22日
 政府は21日、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」と、その運用指針の改定を閣議決定し、国産武器の輸出対象を制限する「5類型」の制約を撤廃しました。これにより、戦闘機や潜水艦など殺傷力のあるすべての武器に加え、他国と共同開発・生産する武器の第三国への輸出が可能となり、「平和国家」を投げ捨てる全面的な武器輸出に道を開きました。
 高市早苗政権は「平和国家」の理念に基づいて定めていた武器輸出禁止の原則を跡形もなく消し去り、「死の商人国家」への道を突き進もうとしています
 政府はこれまで完成品の武器輸出を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の「5類型」に限定していましたが、昨年10月の自民・維新連立合意に基づき、これを撤廃。殺傷力などを基準に「武器」と防弾チョッキなどの「非武器」に分類し、「非武器」は無制限に輸出。「武器」の輸出先は、日本と「防衛装備品・技術移転協定」を結ぶ米国、英国、オーストラリア、フィリピンなど17カ国を対象としていますが、新たに締約を結べば輸出対象国は拡大します。
 また、紛争当時国への武器輸出は「原則不可」としつつも、「特段の事情がある場合」は例外的に可能などと規定しました。小泉進次郎防衛相は4日の衆院予算委員会で、同盟国の米国が戦闘中の紛争当事国である場合「インド太平洋で米軍の態勢を維持するため、装備品が必要になるケース」が想定されると答弁し、米国支援の狙いを明言しました。イランを先制攻撃した米国は迎撃ミサイルの枯渇に直面しています。同様の無法な戦争を引き起こした米軍に日本が武器を提供し、多くの人命を奪う危険があります。
 他国と共同開発・生産する武器の第三国への輸出は、従来は英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機に限定していましたが、今後は豪州と共同開発する「もがみ」型護衛艦などを第三国に輸出することも可能となります。
 武器輸出の可否の判断について、国家安全保障会議(NSC)が行うと限定し、欧州諸国などを例に輸出の際の国会承認を不要とし、国会には決定後に通知するなどとして、国会の関与を形骸化させています。


武器輸出全面解禁 独裁的決定に抗議 官邸前で緊急行動
                       しんぶん赤旗 2026年4月22日







 武器輸出を全面解禁する閣議決定に抗議する人たち=21日、首相官邸前


 高市早苗内閣が武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」を改定し、非戦闘目的に限定する「5類型」を撤廃し、殺傷能力のある武器輸出を可能とする閣議決定をしたことに抗議する緊急行動が21日、首相官邸前で取り組まれました。武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、日本平和委員会などの呼びかけ。プラカードを手に90人(主催者発表)が鳴り物にあわせて「勝手に決めるな」「国会にはかれ」などとコールしました。
 日本平和委の西村美幸常任理事は、オーストラリア国防相と小泉進次郎防衛相がイラン攻撃で激減した米国のミサイル在庫を補うために武器製造で協力することを確認したと指摘。「日本の武器輸出が米国を補完し支えることに怒りを感じる」と訴え、武器輸出反対の署名を広げ、再び禁止を政府に迫ろうと呼びかけました。
 NAJATの杉原浩司代表は、今回の決定は政府の一存で殺傷武器の輸出を可能にしたと述べ、「国会を蹂躙(じゅうりん)し、手続きもない。“独裁政権”のような決定だ」と批判しました。
 「富士にミサイル止めて!の会」のメンバーは、殺傷武器輸出や日本各地で広がる長射程ミサイル配備・弾薬庫建設など「戦争国家づくり」を押しとどめようと呼びかけました。



武器輸出全面解禁に抗議 撤回要求 田村委員長が談話
                       しんぶん赤旗 2026年4月22日
 日本共産党の田村智子委員長は21日、政府が防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷武器輸出の制限撤廃を閣議決定したことに対し、「武器輸出全面解禁に強く抗議し、撤回を求める」と題する談話を発表しました。(談話全文は下掲
 談話は、今回の閣議決定は、国際紛争を助長する武器輸出は禁止するという憲法9条に基づく国是を捨て去り、殺傷武器の輸出を全面的に解禁するものだと批判。日本を「国際紛争助長国家」「死の商人国家」へと大変質させる暴挙に断固抗議し、武器輸出全面解禁の撤回を求めています。
 その上で、米・イスラエルによるイラン攻撃をはじめ無法な戦争が相次いでいる今こそ、日本は国際紛争を助長するのではなく、日本国憲法に基づく「平和国家」としての行動を示すべきだと指摘。日本共産党は、憲法9条を守り生かし、国際紛争の平和的解決を求める連帯を国内外に広げる決意だと表明しています。


武器輸出全面解禁に強く抗議し、撤回を求める
                2026年4月21日 日本共産党委員長 田村智子
 日本共産党の田村智子委員長が21日、高市内閣が防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷武器の輸出を全面的に解禁したことについて発表した談話は次のとおりです。

 一、高市政権は21日、「防衛装備移転三原則」とその運用指針の改定を強行した。これは、国際紛争を助長する武器輸出は禁止するという、憲法9条に基づく国是を捨て去り、殺傷武器の輸出を全面的に解禁するものである。輸出した殺傷武器により無辜(むこ)の人々の命が奪われるような事態は絶対に許されない。日本を「国際紛争助長国家」「死の商人国家」へと大変質させる暴挙に断固抗議し、武器輸出全面解禁の撤回を求める。
 一、今回、武器輸出を救難・輸送・警戒・監視・掃海としてきた「5類型」の撤廃により、戦闘機や艦艇、長射程ミサイルなどの輸出が可能となる。輸出先についても、国家安全保障会議(NSC)が個別の案件ごとに輸出を認め、紛争当事国であっても「特段の事情」があると判断すれば輸出可能となる。政府の一存で殺傷武器の輸出をすすめるなど断じて許されない。
 一、そもそも武器輸出禁止は、1976年、三木内閣が「平和国家としての立場」「国際紛争の助長回避」を理由に宣言し、1981年の衆参本会議で武器輸出全面禁止を全会一致で決議し、国是としてきた。2014年に安倍政権が、武器輸出「原則禁止」を「原則可能」とする「防衛装備移転三原則」へと変質させたが、それでも殺傷武器輸出については「5類型」を設けざるを得なかった。今回の政府の決定は、この最後の「制約」さえも取り払うものである。国会決議によって国是としてきた原則を、国会での議論もなく、時の政権の一方的決定で投げ捨てることは議会制民主主義の蹂躙(じゅうりん)である。
 一、高市首相は、武器輸出について「日本経済の成長にもつながる」などと国会答弁で主張している。これは、“軍需産業のもうけのためには国際紛争を助長してもかまわない”“紛争を助長すればさらにもうかる”と言うに等しく、「死の商人国家」への堕落に他ならない。
 一、米・イスラエルによるイラン攻撃、ロシアによるウクライナ侵略、イスラエルによるガザ攻撃など、無法な戦争が相次いでいる今こそ、日本は国際紛争を助長するのではなく、日本国憲法に基づく「平和国家」としての行動を示すべきである。
 日本共産党は、憲法9条を守り生かし、国際紛争の平和的解決を求める連帯を国内外に広げる決意である。

そんな「時」ではない 首相の改憲 前のめり姿勢に道理なし

 高市政権が発足して21日で半年になりました。
 12日の自民党大会で高市首相は憲法改定の発議について、「時は来た」「発議に何とかめどが立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」「議論のための議論であってはならない。行うべきは決断のための議論だ」と述べ、「1年以内」にめどをつけるという期限付きの目標を打ち出し、体制面でも「改憲シフト」を鮮明にしました。高市氏は、期限を区切り人事で体制を固めるなど、あらゆる手段を通じてトップダウンで改憲を押し通そうとしています。
「立憲主義」の何たるかを知らない高市氏が、改憲にこれほどの執念を持つのは恐ろしいという他はありません。改憲の実現には当然多くのハードルがあります。条文の起草、国会提出、憲法審査会での審議を経て、発議には衆参両院で3分の2の賛成が必要となり、その後も国民投票で過半数の承認を得なければなりません。
 高市発言に対しては、自民党内からも「勇ましい発言だが1年では時間が足りない」といった否定的な見方があり、鈴木俊一幹事長も「憲法は国の基本法であり、スケジュールありきで進めることにはならない」と述べました。高市首相の姿勢は独断専行との批判を免れません。
 高市首相が9条改憲に前のめりになればなるほど、国民との矛盾は深まります。米国からホルムズ海峡への自衛隊派遣を要請され、国民の間では米国の無法な戦争に巻き込まれるとの懸念が高まり、軍事偏重で暮らしを守る有効な対策を打たない政治への不満も強まっています。
 共同通信の世論調査によると、自衛隊派遣のための改憲は「必要ない」が64%(対して原油供給不足に対する首相対応は「不十分」が49%)でした。
 国民は改憲を優先課題とせず、イラン戦争や首相の改憲策動を受け「戦争反対」「9条守れ」と訴えるデモや署名が広がっているのが実態です。
 9日の衆院憲法審査会で、自民は9条への自衛隊明記を主張し、「具体的な条文案の作成に入りたい」と提案しましたが、立憲民主党は「9条改憲および自衛隊明記改憲と、その条文起草委員会の設置に明確に反対する」と表明し、中道改革連合は、自衛隊の憲法上の位置づけを民主的統制の観点から深めるべきだと述べました
 衆院の2回目の審査会では、自民の9条改憲の主張もトーンダウン。次回からは緊急事態条項に関する集中討議を行いたいと提案しました。与党内でさえ合意形成が難しく、国民の反対の強い9条改憲を議論の焦点から外した格好です。
 このように、憲法審は早々に条文起草に着手できる状況になく、国民の間では改憲反対の世論が強まっています。自民党の運動方針のいう「車の両輪」は、思惑通りには進んでおらず、決して「時が来た」と言える状況ではありません。

 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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そんな「時」ではない 首相の改憲 前のめり姿勢に道理なし 高市政権発足半年
                        しんぶん赤旗 2026年4月21日
 高市政権が発足して21日で半年が経過しました。衆院で圧倒的多数を占める巨大与党を形成。その数の力を背景に、強権的な政権運営が際立っています。なかでも憲法改悪を自らの最大の政治目標と位置づけ、改憲へとアクセルを踏み込んでいますが、思惑通りに進む見通しは立っていません。

自民内からも疑問視 発議の条件整わず野党も批判
「時は来た」「発議に何とかめどが立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」-。12日の自民党大会で高市首相(党総裁)はこう述べ、憲法改定の国会発議について「1年以内」にめどをつけるという期限付きの目標を打ち出しました。昨年秋の所信表明演説での「在任中に」という表現から、さらに踏み込みました。
 自民党が掲げる改憲4項目は「自衛隊の明記」「緊急事態条項の創設」「合区解消」「教育の充実」。これらは、安倍晋三元首相が2017年に打ち出した「2020年に新憲法の施行を目指す」とする改憲宣言を背景に、18年に「たたき台素案」として取りまとめたものです。
 今回の高市首相の手法は、期限を区切って議論を一気に前に進めようとする点で、安倍政権のやり方を踏襲したものといえます。「議論のための議論であってはならない。行うべきは決断のための議論だ」と、結論ありきで検討の加速を呼び掛けています。
 さらに、高市首相は総選挙後の人事で、衆院憲法審査会長に古屋圭司前自民党選対委員長、与党筆頭理事に新藤義孝元総務相ら保守派のベテランを配置するなど、体制面でも「改憲シフト」を鮮明にしています。期限を区切り、人事で体制を固めるなど、あらゆる手段を通じてトップダウンで改憲を押し通そうとしています。

 しかし、改憲の実現には多くのハードルがあります。条文の起草、国会提出、憲法審査会での審議を経て、発議には衆参両院で3分の2の賛成が必要となり、その後も国民投票で過半数の承認を得なければなりません。いずれの段階も高い壁です。
 とりわけ現実的な制約となるのが国会情勢です。参院では依然として与党が少数で、発議に必要な3分の2を確保する見通しは立っていません。野党からは「改憲ありきで議論が進むことに危機感を持つ」(立憲民主党の水岡俊一代表、13日の会見)と強い批判が示されています。
 高市首相の来年の党大会まで″と期限を区切った発言には、自民党内からも「勇ましい発言だが1年では時間が足りない」「保守派をつなぎ留めるために、強気の発言をしただけだ」といった否定的な見方が出ています。鈴木俊一幹事長も13日の会見で「憲法は国の基本法であり、スケジュールありきで進めることにはならない」と発言。高市首相の姿勢は独断専行との批判を免れません。
 そもそも、憲法は国家権力を制約する最高法規で、その改定には幅広い国民的合意が不可欠。憲法尊重擁護義務を負う首相自らが期限を区切り、結論ありきで議論を急ぐ手法は、立憲主義の根幹を揺るがすものだと言わざるを得ません。

9条守れの世洽拡大 反対世論の影響受ける憲法審
 高市首相の改憲の本丸は9条です。2月の衆院選では、自衛隊を「実力組織として位置づけるためにも、当たり前の憲法改正をやらせて」と呼び掛けました。
 自民党結党70年の「新ビジョン」は、厳しい安全保障環境のもとで改憲が「死活的に求められている」と強調。9条改憲を念頭に改憲実現へ党の総力を結集する方針を打ち出しました。
党の2026年運動方針も、衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を設置し、改憲原案の国会提出を目指すと明記。「国会での具体的な憲法論議」と「国民の理解の深化」を〝車の両輪″と位置づけ、強力に推進していくとしています。
 しかし、高市首相が9条改憲に前のめりになればなるほど、国民との矛盾は深まります。米国からホルムズ海峡への自衛隊派遣を要請され、国民の間では米国の無法な戦争に巻き込まれるとの懸念が高まり、軍事偏重で暮らしを守る有効な対策を打たない政治への不満も強まっています
 共同通信が公表した世論調査(4、5日実施)結果によると、自衛隊派遣のための改憲は「必要ない」が64%原油供給不足に対する首相対応は「不十分」が49%でした。国民は改憲を喫緊の優先課題とせず、むしろ、イラン戦争や首相の改憲策動を受け、「戦争反対」「9条守れ」と訴えるデモや署名が広がっています。
 改憲原案の発議の場となる憲法審査会の議論の状況も、9条改憲が一筋縄ではいかないことを示しています。
 自民党が衆院選で3分の2以上の議席を獲得して以来初となる9日の衆院憲法審査会で、自民は9条への自衛隊明記を主張し、「具体的な条文案の作成に入りたい」と提案。日本維新の会は、9条2項の削除と国防軍の明記を訴えて速やかな条文起草委の設置を求め、国民民主党も起草委設置が必要だと強調しました。
 一方、引き続き少数与党の参院の憲法審(15日)では、自民は条文起草に言及しませんでした。9条改憲の議論を前に進めたいと述べるものの、参院で特に深めたいテーマは合区解消だと説明。改憲を巡る衆参の温度差が顕在化しました。
 立憲民主党は「9条改憲および自衛隊明記改憲と、その条文起草委員会の設置に明確に反対する」と表明。衆院の審査会(9日)で中道改革連合は、自衛隊の憲法上の位置づけを民主的統制の観点から深めるべきだと述べていましたが、立民は中道と異なる9条護憲の姿勢を打ち出しました。
 参院審査会の翌日に開かれた衆院の2回目の審査会では、自民の9条改憲の主張もトーンダウン。次回からは緊急事態条項に関する集中討議を行いたいと提案しました。与党内でさえ合意形成が難しく、国民の反対の強い9条改憲を議論の焦点から外した格好です。
 国民民主も、首相が言うように来春までに発議のめをつけるには「9条改正に安易に手をつけない方がいい」と主張。期限を考慮すれば、発議に結びつく「最有力候補」は緊急事態条項だとして、その集中討議を求めました。
 このように、憲法審は早々に条文起草に着手できる状況になく、国民の間では改憲反対の世論が強まっています。自民党の運動方針のいう「車の両輪」は、思惑通りには進んでおらず、「決して「時が来た」と言える状況ではありません


            高市首相の改憲策動~半年の歩み~
2025
   10月21日 高市政権発足
     24日 臨時国会の所信表明演説で「在任中」の憲法改定に向けた国会発議を訴え
2026
   1月5日 年頭記者会見で、憲法改定を重要課題の一つに位置づけ、「立ち止まっ
       ている暇はない。政治のリーダーシップを発揮する年に」と表明
    19日 記者会見で衆院解散の意向を表明。「国論を二分するような大胆な政策」
       に挑戦するとし、憲法改定など長年の課題に取り組む考えを強調
    23日 通常国会冒頭に衆院を解散
    27日 総選挙公示。第一大声で、憲法審査会委員長ポストを野党が握る現状に不
       満を示し、「奪還」へ与党過半数確保を訴え
   2月2日 総選挙期間中の演説で、「憲法になぜ自衛隊を書いてはいけないのか」
       「実力組織として位置づけるためにも、当たり前の憲法改正もやらせて」と
        9条改憲を呼び掛け
    18日 第2次高市政権発足。記者会見で、国会発議の早期実現と国民投票に向け
       た環境整備に取り組むと表明
    20日 特別国会の施政方針演説で、「国の理想の姿を物語るものが憲法」と持論
       を展開。国会発議の早期実現に期待を表明
       衆院憲法審査会長に古屋圭司前自民党選対委員長、与党筆頭理事に新藤義孝
       元総務相を起用。「改憲シフト」が鮮明に
    4月12日 自民党大会での演説で、「時は来た」「改正の発議について何とかめどが
       立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」と発言

あまりにも的を射ているのでシェアせずにはいられない

 このところトランプはことあるごとにNATO諸国への不満を口にしますが、そもそもNATOは「ソ連」の対外進出を抑止するために1949年に米国が「対ソ連 対抗組織」として設立した「軍事同盟」でした。その意味では本来、ソ連が崩壊した1991年にはその「存立意義」を失った組織です。
 トランプがNATO諸国に不満を持つのと同様に、NATO各国も米国のぶざまな現状には大いなる批判を持っていて当然です。尤も著者の国籍はオーストラリアなのでNATO加盟国ではありませんが。
 高市氏をはじめとする米国信奉者はこの記事を読んでその実情を知るべきです。
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あまりにも的を射ているのでシェアせずにはいられない
              耕助のブログNo. 2878  2026年4月22日
 Too on point not to share, “Aussie reply to Trump rant about NATO not being there for us.           James Tate@JamesTate121

NATOは我々のために存在していない」というトランプの暴言に対するオーストラリア人の返答。
あなたは今夜60万人のホームレスが路上で寝ている国を運営している。借金をしなければ400ドルの緊急出費さえ賄えない大人が40%もいる国。インスリンの値段が車のローンより高く、生き延びるために使用量を制限している国。医療費の借金が破産の最大の原因となっている国。医師たちが中絶法を恐れて流産を治療できず、女性が病院の駐車場で死んでいる国。
あなたの国は地球上のどの国よりも多くの自国民を投獄している。中国よりも多い。ロシアよりも多い。北朝鮮よりも多い。「自由の国」には200万人が刑務所の中にいるが、その4分の1は有罪判決さえ受けていない。単に保釈金を払うお金がないだけだ。
あなたの国の平均寿命は低下している。こうした事態が起きている先進国は、あなたの国だけだ。乳児死亡率はキューバよりも悪い。子供たちは算数と英語の授業の合間に銃乱射事件への避難訓練をしている一方で、あなたは仲間に銃メーカーの株を売っている。
あなたの国の最低賃金は15年間据え置かれたままだ。教師は2つの仕事を掛け持ちし、退役軍人は橋の下で寝ている。それなのに、あなたは自分たちを攻撃していない国を壊滅させるために1兆ドルも費やした。
そしてあなたは強姦罪で有罪判決を受け、小児性愛者を擁護し、ポルノ女優と寝ている反逆者で、タリバンが「また負けてくれてありがとう」と感謝して以来の史上最悪の惨事となっている戦争作戦を指揮している。

それでもってグリーンランドの運営が悪いと言うのか?
グリーンランドには国民皆保険がある。教育は無償だ。収監率は世界でも最低レベルだ。病気になったからといって破産する者はいない。保険が認めなかったからといって待合室で死ぬ者もいない。
「必要な時にNATOは来てくれなかった」。一体いつのことだ? 9月11日のことか?NATOは歴史上初めて、そして唯一、あなたの国のために第5条を発動した。数十カ国の兵士たちが、あなたの国のためにアフガニスタンに派遣され、戦い、血を流し、命を落とした。オーストラリアはNATO加盟国でさえなかったが、それでも我々は駆けつけた。20年間も
それなのに、あなたの国は誰にも告げずに午前2時に撤退し、混乱を彼らに押し付けた。
だから、他の国の「運営がずさんだ」と非難する前に、まずは自分の家の裏庭を見てみろ、スプレー塗装されたアルミニウム外壁材のセールスマンめ。この状況で唯一ずさんなのは、お前のクソみたいな口だけだ。

https://pbs.twimg.com/media/HFtBGQ0XIAIW3oa?format=png&name=small
Credit (borrowed from) Jim Scroggins – original author  unknown”
https://x.com/JamesTate121/status/2043298450003898665?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E2043298450003898665%7Ctwgr%5Eee19b1a0e355f23c4799392bb3589a201f0da8e4%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fbilltotten.wpcomstaging.com%2F2026%2F04%2F14%2Ftoo-on-point-not-to-share%2F

23- このような征服があと数回続けば帝国は滅びる!

 カレン・クフャトコフスキの記事を紹介します。
 別掲の記事と同様にトランプの異常さを語る内容になっていますが、彼一人によって米国がここまで堕落したとは言い切れないので、やはりアメリカ帝国(主義)の害悪ととらえるべきでしょうか。
 著者は凶悪さでは引けを取らないイスラエルについても、いまや米国の「最良」の同盟国であり米国と同様の「ファッシスト帝国」であると呼びその共通点を示しています。
 ところでトランプとネタニヤフは「ハルマゲドン」の信奉者だそうで、それはキリストによって行われるものと聞きます。彼らは本当にキリストによって救われるのでしょうか。
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このような征服があと数回続けば帝国は滅びる!
              マスコミに載らない海外記事 2026年4月21日
                 カレン・クフャトコフスキ 2026年4月18日
                     Strategic Culture Foundation
 ところで、我らが偉大なる軍隊は戦力を整え休息をとっている。そして、実は次の征服を心待ちにしている。アメリカは復活した!
                 ドナルド・J・トランプ 2026年4月8日。
 大統領のTruthSocialアカウントは、誤解を招く情報と、あからさまな嘘と、非道徳的な帝国主義が混ざり合った不快なごった煮だ。昨年の「ドンロー主義」は1800年代のモンロー主義を安っぽく揶揄したもので、モンロー主義の真の狙いは微塵も感じられない。
 今年、トランプは二つの新たな侵略戦争と政権転覆に加え、狂気じみた「精神的」指導者ポーラ・ホワイトに唆されて、本物の信仰に対する軽蔑から、自らをキリストに見立てる画像を投稿した。現在削除されているこの投稿について問われると、彼は「よくやっていることだ」、人々を癒やす医者としての自分の写真だと嘘をついた。注目を集めるようになった米軍の能力同様、トランプの嘘は空虚で中身がない。
 アメリカ大統領は確実に、世界の資源を奪い、課税し、支配したいと考えている。彼は支払いをしたくないのだ。相互に合意できる取り引きをする自由市場は愚かのためのものだと考えているためだ。その代わり、彼は、脅迫や軍事的、経済的、評判への損害を利用して、自分が望むものを手に入れようとする。これは、台頭する帝国では通用するかもしれない戦術だが、急速に衰退する帝国では滑稽でばかげたものだ。
 アメリカ人は帝国主義についてあまり考えないが、ワシントンDCやニューヨークの銀行家はそうではない。我々一般人にとって、トランプの帝国主義は漠然とした一般的批判と莫大な代償を伴う。数兆ドルに及ぶ新たな連邦債務、膨れ上がる軍事予算と、過去の借入金に対する利払い(多くは以前に支出された偽りの「国防」のためだった)に加え、止めようのないインフレ、生活の質の低下、健康状態の悪化と国家が我々のあらゆるものを益々貪欲に要求する中、自由が着実に失われていく苦境にアメリカ国民は陥っている。

 21世紀のアメリカ大統領で合衆国憲法を尊重した者は一人もいない。行政権の制限は、とうの昔に亡くなり、我々が選んだ指導者連中にとって無関係な人々に定められたものだ。文字通り読書をしないトランプは、今や「イディオクラシー」さながらに、爆発場面の映像コラージュと、全て順調に進んでいることを示すカラフルな図表を通して、日々の情報と国防に関するブリーフィングを受けている。「イディオクラシー」というキャッチフレーズには笑ったが、ホワイトハウスの全員が「植物が欲しがるのは電解質だ」ということを自信を持って知っている。
 トランプの3回の大統領選選挙運動は、いずれも世界最強の国アメリカが、なぜ良いものを手に入れられないのかという大多数のアメリカ人の感情的かつ正当な懸念を訴えるものだった。アメリカは世界最高で、必ず良いものを手に入れられるとトランプは約束した。彼は軍隊を帰郷させ、戦争を終結させて、国と経済と国民を最優先にすると断言した。
 なぜ我々はもっと尊敬され、健康で、より良い道路や橋や、もっとお金に余裕を持てないのだろう? 私たちは、不当な勢力に抑圧され、後退させられている偉大な国民ではないのろうか? こうした疑問と、それに対する政府の解決策は、第一次世界大戦後にドイツとイタリアのファシズムを生み出した。社会のあらゆる側面にナショナリズムを浸透させ、行政権力に更なる権限を与えることは、予測可能な反応で、アメリカ政府は長年にわたり、それを魅力的に感じており、犯罪、負債、軍国主義という現状を維持するために益々必要だと考えている
 ムッソリーニにとって、イタリアにおけるファシズムの実践とは、社会と経済のあらゆる側面への国家の徹底的介入を意味し、自給自足と反貿易の義務付けも含まれていた。科学的なイタリア・ファシスト国家は、年齢、性別、雇用状況に基づいて人々のカロリー摂取量を制限するなど、あらゆるものを規制した。世紀後、同じファシズム的衝動は、国家の手にあるハイテク、データ・ネットワーク、AIによって煽られ実行されている。政府が望むあらゆる物語を作り出し、管理し、確認する能力は高度で強力で、国家による国内外の監視は、時間、空間、国境を越えて統合されている。当然ながら、ファシスト帝国稀な反対者には直接対処しなければならず、国家による反対者の殺害と反対意見の破壊は、娯楽と警告両方の役割を果たす現代の民間伝承になっている。

 トランプのせいでファシズムがアメリカにやってきたのか、それともファシスト帝国がそのような公的指導者を必要とするからこそ、トランプが道化師のような姿でホワイトハウスにやってきたのか? そもそもファシスト帝国主義などというものは存在するのか? レッテルを貼らずに考えれば、衰退しつつある超大国アメリカが、なぜ軍事力と殲滅の脅迫を用いて領土拡大と「征服」を企むのか? なぜトランプ政権下の国防総省は、宣戦布告も議会への通知もなしに、わずか数ヶ月で8カ国を爆撃したのか? もし連邦政府が、国内でこのような残忍な生命、財産、自由の略奪を行ったとしたら、我々は憲法修正第5条に基づく怒りと団結をもってそれに反対するはずだ。だが行政府が海外で同じように露骨な略奪を行い、適正な法的手続きを経ずに、アメリカ政府の利用のために、補償もなしに、世界中で生命、自由、財産を破壊している時には、我々は沈黙を守り、次の征服が我々に利益をもたらすのを期待しているのだ。
 軍国主義的陰謀団や縁故資本家や政府が育成する産業部門を抱えるファシスト帝国にとって、憲法修正第5条はもちろん、権利章典の他の条項もほとんど意味をなさない。オバマ大統領は憲法を「古風」と表現したが、トランプなら「バカげている」と大文字で言うだろう

 今日我々の「最良」同盟国はイスラエルで、その残忍な政府は恐怖と嫉妬に駆られた国民に選出されている。イスラエルもファシスト帝国だ。30年以上もの間、我々は共に、必要のない戦争を公然と引き起こしてきた。望まない戦争を、何度も何度も、あからさまな嘘と捏造によって正当化してきたのだ。我々の「最良の」同盟国と同様、兵士たちは命令に従って嘘をつき、騙し、盗み、殺人を犯しているにもかかわらず、我々は兵士の行為に何ら問題はないと主張する。両帝国で、軍人の自殺率は高い。両帝国で、政治家連中は自分の子どもを戦場から遠ざけ、自国の軍隊を恐れている
 アメリカに訪れる変化は、心地よいものでも短期間のものでもないかもしれないが、活力を与えるものになるだろう。借金と戦争の国としてのアメリカはもはや賞賛されず、更に重要なことに、もはや恐れられることもなくなった。アメリカ国民は、依然ワシントンから数々の犯罪と隠蔽工作に関する透明性を得られないが、世界の他の国々は、ワシントンは衰退し、経済力は幻想で、第二次世界大戦後の軍事的優位性は傲慢と嘘によって崩壊したことをはっきり認識している

 朗報は、ここ数十年、帝国主義を我々が拒絶してきたことだ。選挙では効果を発揮できなかったが、精神的進化を通して、静かに、力強く拒絶を続けてきた。我々は国民として、政府支持を静かに撤回し、その権力構造にしがみつく政党に嫌悪感を抱き「エプスタイン階級」を普遍的に軽蔑し、非難している
 もしかしたら、イエス・キリストの狂気じみた物真似をする大統領が、もう一度軍事「征服」を成し遂げて、我々全員が基本に立ち返るのを助けるのに、まさに今こそ絶好の頃合いなのかもしれない。

元記事:www.lewrockwell.com
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2026/04/18/a-few-more-conquests-like-this-and-the-empire-will-be-done-for/

2026年4月20日月曜日

南丹市の男児遺体遺棄事件 - 警察はもっと早く逮捕できていたのではないか

 世に倦む日々氏の掲題の記事を紹介します。
 南丹市で11歳の男児が行方不明となった事件は、16日に大方の予想どおり継父が逮捕されまし。このところのイラン戦争をめぐるマスコミの親米プロパガンダの洪水に辟易とし、その「情報戦」への抵抗や反論を続けて疲れた同氏にとって「この事件は語弊があるが気分転換の一助になった」という趣旨のことを述べています。
 そして容疑者である37歳の継父の犯行の杜撰さ稚拙さ粗放さ、人格の不全、知性と想像力のレベルの低さを指摘し、犯行の手口があまりに杜撰で短慮で軽率であるにもかかわらず「容疑者は自分の中では完全犯罪を遂行したという意識にあり、失踪事件で迷宮入りさせられると想定していたと推測します。
 思いもしなかった指摘ですが、そう考えないことには「理解できない事件」でした。
 そして容疑者男児を殺害した動機は、男児の存在が新たな新婚生活にとって邪魔で将来の人生にとって障害だったということで、その身勝手さも犯行そのものの幼稚さにマッチしています。
 さらに、容疑者勤務する企業で工場の品質管理課長に抜擢されていることについて、その職位は会社に貢献するマネジメントの役職であり、資質能力の選考と審査を経て「抜擢」された筈なので、そうであれば「日本の若い世代一般の知性劣化という問題であり、マンガやアニメやゲームで育ってしまった大脳の機能不全ということが懸念され、こうした知性と想像力だから、高市自民や維新や国民民主や参政やみらいに投票し右翼リバタリの思想に共鳴し支持してしまうのではないか、と想像を広げます。
 そこには、単に知性が弱い・思考が浅いというだけでなく、リバタリアン的な害意と凶悪さが宿り、自己にとって邪魔な弱者は抹殺すればいいという発想の体質がある・・・とも。
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南丹市の男児遺体遺棄事件 - 警察はもっと早く逮捕できていたのではないか
                       世に倦む日日 2026年4月19日
3/23、南丹市園部町で11歳の男児が行方不明となった事件は、4/13 に遺体発見となり、4/16 に大方の予想どおり継父が逮捕された。この3週間ほど、イラン戦争に替わってこの事件がテレビ報道の主役に座り、SNSでも関心が盛り上がった状態が続いている。この事件に人々の注目が集まるのは、素人目にも犯人が最初から分かっていて、犯人による偽装工作が呆れるほど見え透いており、テレビの刑事ドラマを見る如き単純系の物語が進行したからだ。誰も迷宮入りになるとは思わなかったし、警察は早く犯人を捕まえろという空気感で刻々が過ぎていた。さらに言えば、親族に共犯者がいるのではないかという疑念も自然に惹起される構図になっていて、暫くは警察の捜査に熱い視線が集まるのは間違いない。失踪6日目の 3/29 に男児のランリュックが発見された時点から、誰が犯人かは明確になり、警察がいつ詰めの捜査に踏み込むか、証拠をどう押さえるかが焦点となった

テレビがこの事件にばかり無暗に報道時間を割き、Xタイムラインがこの問題にばかり熱中する状況に対して、不満や批判の声が上がっている。尤もな反応だ。が、私の意見は異なり、この過熱現象を無意味とは思わない。一つは、事件が継父による児童の殺人で、虐待やDVや性被害を含めて、今の日本で頻繁に目にする不幸な社会問題が典型的に形になった問題である点だ。現代日本の社会的病理が凝縮され反映された深刻な事件で、心が傷まされ、目を背けようとしてもできない。個人の自由を至上視するリベラリズムの猛威のため、そのイデオロギーの氾濫と支配と放縦のため、あまりにも弱者である子どもが犠牲になるケースが増え、人権が蔑ろにされ、不幸を背負わされる仕組みになっている。と、私は認識し、中野信子とは逆の思想的立場でこの事件を凝視している。リベラリズムの奔流と風潮に乗って自由を享受する大人たちの行動が生む矛盾が、弱者の子どもに皺寄せされている

もう一つは、イラン戦争をめぐるマスコミの親米プロパガンダの洪水辟易とし、その「情報戦」への抵抗や反論を続けて疲れた自分があり、そこにこの事件が登場し、語弊がある表現かもしれないが、いわば箸休め” のような気分で視線を移動させている自分に気づく。この事件への観察を止まり木”にして心の一時的休息を得ている。晩春から初夏へ移ろう園部町の里山の風景が、日本のゆかしい四季を感じさせ、心を落ち着かせ和ませてくれる。3月からずっと、乾いた砂漠の大地が海を囲む、荒涼とし茫漠とした地表と海面のホルムズ海峡の絵ばかり見せられ、その地で行われている非道きわまる殺戮と破壊に立ち会わされ、アメリカの狂気を正当化する小谷哲男と報道キャスターの「情報戦」に漬け込まれ、精神はすっかり荒んでいた。園部町の静かな田園地帯がテレビ中継で撮られる度、自分は日本人なんだと思い、観光地でもない普通の郷邑なのに、風格があり価値のある景観に思えてしまう

三つ目に思うのは、容疑者である37歳の継父の犯行の杜撰さ稚拙さ粗放さと、その人格の不全であり、知性と想像力のレベルの低さであの容疑者は自分の中では「完全犯罪」を遂行したという意識にあり、失踪事件で迷宮入りさせられると想定していた。この事件は、決して 3/23 に突発的に起きた凶行ではなく、容疑者が計画的に狙って決行した殺人事件だ。あの大河内の自宅から小学校への登校は、男児は普段はスクールバスを使っていて、祖母が朝の見送りをしていたと報告されている。昨年12月に母親と結婚(再婚)して以降、母親の実家である大きな屋敷に住むようになり、そこから京丹波町の会社工場へ通勤する生活となったが、容疑者が毎日男児を学校に送り届けていたわけではない。そのことは、通勤経路の途中で自動販売機に立ち寄る容疑者を日常目撃していた者の証言からも窺える。黒のカローラに男児が同乗していたという様子はなく、容疑者一人が乱暴な運転をしていたという説明だ

容疑者には男児を殺害する動機があった。それは男児の存在が新たな新婚生活にとって邪魔で、将来の人生にとって障害だったという点だ。容疑者は、男児が失踪した(誰かに誘拐されて姿を消した)ように見せかけて殺そうと考え、実行するタイミングを狙い、アリバイ工作を練って計画を立てた。最もベストな計画が、朝、車で学校に送り届けたことにして、男児を殺害し人目につかない場所に遺棄することだ。死体が発見されない限り、世間が何と言おうと警察に捕まって有罪になる事態はない。他の時間と空間は実行には使えない。「完全犯罪」が可能な条件がない。だからこのタイミングを選んだのであり、要するに犯行は計画的なものだ。マスコミ論者は容疑者の犯行について、突発的で衝動的という言葉を言いまくり、行為に殺人の動機が無かったように言い上げているが、それは誤りでありミスリードである。犯行が突発的で衝動的な印象になるのは、手口があまりに杜撰で墓穴だらけで、短慮で軽率だからだ、。

客観的には杜撰で粗放で、すぐに犯行が露呈する手口なのだけれど、本人の主観の回路では、「完全犯罪」が complete done⇒完了)なのである。それがこの事件が世間の注目と興味を惹くポイントに他ならない。私は、今の日本の若い世代の特徴が示されているように悲観され、教育で涵養されるべき知性と想像力の欠如を看取してしまう。知性と想像力の低さが、容疑者をしてこの犯行を「完全犯罪」として楽観させ、安易かつ軽薄に妄想させてしまっている。実際は何もかも破綻していて、「ランリュックの発見」などは逆効果となる自滅行為そのものだろう。けれども、容疑者にはそれが理解できてない。すなわち、計画的殺人なのだけれど、知能犯としての知的水準が不足しすぎて、客観的に疑惑ばかり深める墓穴行動に終始している。偽装工作のアリバイはすぐに瓦解するものだった。きわめて未熟で幼稚な犯行だ。だが、文春の記事によると、容疑者は、勤務する京丹後市の企業で工場の品質管理課長に抜擢されている

この事実をどう考えるべきだろう。勤続年数からして中間管理職に昇進してもおかしくない立場だが、それなりの数の部下を動かして会社に貢献するマネジメントの役職である。この電気機器メーカーは日本の普通の企業に違いない。「抜擢」と言う以上、ある程度の競争もあり、資質能力の選考と審査もあったのだろうと想像する。これらの情報に接して否が応にも逢着するのは、日本の若い世代一般の知性劣化という問題であり、マンガやアニメやゲームで育ってしまった大脳の機能不全という懸念だ。結論を飛躍させて恐縮だし、偏見だと謗られるかもしれないが、敢えて苦言を呈させてもらうと、こうした知性と想像力だから、高市自民や維新や国民民主や参政やみらいに投票し、右翼リバタリの思想に共鳴し支持してしまうのではないか。そういう政治の判断力になるのではないか。単に知性が弱い・思考が浅いというだけでなく、リバタリアン的な害意と凶悪さが宿り、自己にとって邪魔な弱者は抹殺すればいいという発想の体質がある

容疑者は、男児が邪魔だから暴力で排除した。簡単に殺害した。だが、警察の尋問を受けるや否や、あっさり何もかも白状し、一日で落城する(自己を崩壊させる)顛末となった。権威や権力には弱いのだ。自分の思うようにならない強い相手には歯向かわず、従順にその意向や要求どおりにする。弱い相手には私的な暴力を駆使して排除し、自分が欲望する快適で満足な環境を手に入れる。若い世代に顕著と思われる知性と想像力の無さ、思考力の弱さは、結局そういう性格とパターンの本質なのだろう。例えば、知能犯の要素がある者なら、携帯電話の位置情報の履歴で刻々の車の移動と停車場所が特定されているぞと刑事に証拠を示され、スニーカーと遺体の置き場所と一致するぞと詰められても、次のように釈明したかもしれない。私は深夜に山林に入って子どもを捜索していたのであり、位置情報の履歴は偶然の一致ですと。みえみえの嘘の弁解だが、この反論で否認の論拠を立てることはできる。警察の尋問を想定して、そういう理論武装を構えることもできた

マスコミ報道によれば、遺体は3週間の間にかなり傷んでいて、死因を特定するための解剖と検証で時間がかかると言う。洛北医大の風丘先生が不眠不休で活躍しているに違いない。現時点で死因は不明で、絞殺だと断定する証拠は明らかになってない。遺体発見時に死因不詳と公表された事実は、当日 4/13 にマスコミ報道で伝えられており、容疑者もテレビで知ったはずだ。遺体を地中に埋めた状態なら、風雨の影響による傷みが少なく、即日に絞殺を特定できていた可能性がある。容疑者が遺体を地中に埋めず、表面に放置し、何度も運搬し移動させたため、遺体は風雨に曝されて傷み、即日の検視では死因を確定できない状態に至った。もし容疑者が否認を貫徹し、無実を主張し続け、そして法医検案と科捜研の鑑定が不首尾に終わった場合は、警察はこれを殺人事件と断定し立証する根拠を得られない可能性があったのだ。容疑者が素直に自供したのは、府警にとって偶然の幸運だったと言えよう

こうした状況から考えると、結果論としての総括だが、警察はもっと早い時点で容疑者(重要参考人)の事情聴取に踏み出し、自供を取るべきだったと思われる。4/7 に大規模な捜索が行われ、京都府警はこの日に捜査が大きく動くとマスコミに告知し、現場にカメラを動員して生中継のテレビ報道をさせていた。4/6 までにスマホの位置情報履歴が業者から開示され、取得して解析結果が判明し、自信を持って遺体発見場所のピンポイントを押さえた気になっていたのだろう。が、遺体が移動させられていたため、この日の捜索は空振りに終わった。推測するに、3/24 頃から 4/6 まで2週間、業者からのアカウントの履歴開示に時間がかかったと考えられ、開示と同時に科捜研が精査して場所を割り出したはずだ。令状等の法的手続きがどうだったかは今はよく分からない。警察側は、スマホの履歴情報が決め手になると当初から考え、時間をかけて捜査を計画したのだろう。だが、意外なことに、容疑者は遺体を山中の地面に直置きし、掘って埋めるという(常識的な)隠蔽工作をしなかった

京都府警は慎重な捜査に徹し、客観的で科学的な証拠を挙げることを第一とし、全てが揃ってから取調室で自供を取る作戦に出たが、時間をかけたことで遺体の傷みという思わぬリスクとハードルを得た。冤罪を防ぐため、自供に頼った捜査で過失を避けるため、客観的証拠を何より優先した捜査手法は評価できる。だが、今回については、犯人の推定があまりに容易で、動機の要件もほぼ十分で、何より犯行手口が杜撰で稚拙で粗放である点を着目し重視して、もっと早く自供を取る捜査工程を組む判断に出てもよかったのではないか。犯行は矛盾だらけであり、プリミティブ⇒幼稚)に破綻しており、取調べで否認する図はあり得なかったのではないか。つまり、簡単に落ち、遺体遺棄の最終場所もすぐに供述しただろうと思われる