2012年8月31日金曜日

大飯原発 運転差し止め訴訟へ 玄海原発訴訟は追加提訴へ


 関西電力大飯原発1~4号機の運転差し止め訴訟の方針が固まり、今秋にも提訴する見通しとなりました。
 また既に起こされている九州電力玄海原発1~4号機の運転差し止め訴訟では、31日、俳優の山本太郎さんを含めた671人が新たに加わることになり、原告数としては41都道府県で計4,923人となり、過去最多を更新しました。

 原告弁護団は1万人以上の原告数を目指しており、12月中旬に第5陣が追加提訴する予定ということです。

 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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大飯原発の運転差し止め提訴へ 京都や滋賀の弁護士ら
東京新聞 2012831  

 関西電力大飯原発(福井県おおい町)で事故が起きれば重大な被害が出るとして、京都や滋賀、大阪の弁護士が、関電に1~4号機の運転差し止めを求める訴訟を京都地裁に起こす方針を固めたことが31日、分かった。地元住民を原告として募り、今秋にも提訴する。
 訴訟に参加する井戸謙一弁護士によると、訴訟では、東京電力福島第1原発の事故を挙げ「想定を超える事故が実際に起こりうる」と主張。
 大飯原発の敷地内には軟弱な断層があり、地震で周辺の活断層と連動して地形が変わる可能性があるとして、国の安全設計審査指針が改定されていない現状で、原発を稼働するのは違法だと訴える。    (共同) 

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玄海原発訴訟で追加提訴 原告4923人、最多更新
東京新聞 2012831 

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)全4基の運転停止などを、周辺住民らが国や九電に求めている訴訟で、さらに671人が31日、佐賀地裁に追加提訴した。脱原発活動を続けている俳優の山本太郎さん(37)も新たに加わり、原告は41都道府県で計4923人となった。弁護団によると、原発訴訟としての過去最多を更新した。
 提訴後の報告集会で、山本さんは「福島の原発事故で原発が存在する理由はなくなった。原発を止めるためにも多くの人がこの訴訟に目を向けて参加してほしい」と訴えた。12月にも追加提訴する方針。     (共同)
 
 
 

原発訴訟の審理が改善される可能性が

 

 これまでの原発訴訟では、裁判所が、一貫して国側が立てる証人の「安全だ」という主張を鵜呑みにした判決を下して来た、という批判があります。
ところが今年開かれた裁判官の研究会で、「これまでは国の手続きの適否を中心に審理して来たが、今後は安全性をより本格的に審理すべきだ」、という改革論が相次いだということです。
 国民が平和のうちに生存する権利は、司法の場でこそ明確にされなくてはなりません。
 そのためにも、是非とも審理の改善がなされて欲しいものです。
 
 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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原発訴訟、安全性本格審査を 最高裁研究会で改革論
東京新聞 2012年8月31日
 最高裁が今年1月に開いた原発訴訟をめぐる裁判官の研究会で、国の手続きの適否を中心としてきた従来の審理にとどまらず、安全性をより本格的に審査しようという改革論が相次いでいたことが30日、共同通信が情報公開請求で入手した最高裁の内部資料などで分かった。
 裁判所はこれまで原発訴訟のほとんどで「手続き上適法」などとして訴えを退けてきた。改革論が浮上した背景には、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、このままでは司法の信頼が揺らぎかねないとの危機感があるとみられる。原発訴訟の審理の在り方に変化が起きる可能性がある。   (共同)
 

2012年8月30日木曜日

大飯原発の再稼働は不要でした

 

 東京新聞の調査によれば、今夏の関西電力管内の電力需給実績から、大飯原発の再稼働は不要であったことが分かり、同電力の広報課担当者も、「節電効果があり、現時点では原発がなくても供給力は維持できた」、と認めたということです。
関西電力は、大飯原発3号機が7月9日にフル稼働したときに、電力が過剰になったために火力発電所12基のうちの8基を停止させました(京都民報713日号)。また当初は期待できないとしていた他電力からの融通も、実際には中部電力との契約が成立していたことが明らかになりました。
大飯原発を再稼働しなければ電力が不足して、計画停電を実施せざるを得ないというのは、再稼働のための口実であったようです。 

そういえば昨年も、3月(後半)東電が、「計画停電などは不要の筈だ」という多くの批判の声を押し切って計画停電を実施したものの、4月に入ると「停電は不要になった」として突然中止したということがありました。これは計画停電の不便さに、それが不要であればこそ、東電の首脳部自身が耐えられなくなったからではないでしょうか。


しかも電力が足りない筈の東電が、実際には東北電力に電気を融通していたことも、のちに明らかになりました。

そのうえ中止声明に先だっては火力発電所の発電容量だけで電力が間に合うことを検証できないようにと、東電のホームページから「原子力・火力発電実績」を削除したのでした。
こうした電力会社の、国民を原発必要論でなりふり構わずに洗脳しようとする執念には、ただただ驚くばかりです。

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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節電8週間 関電「原発なしでも余力」
東京新聞 2012829

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 政府の節電要請から今月二十六日まで八週間の関西電力管内の電力需給実績がまとまった。最大需要は大阪市の日中最高気温が三六・七度に達した三日午後二時台の二千六百八十一万キロワット。記録的猛暑だった二〇一〇年夏並みの暑さを想定した八月の需要予測(二千九百八十七万キロワット)を10%下回った。
 関電は七月、夏場の電力不足を理由に大飯原発3、4号機(福井県おおい町、いずれも出力百十八万キロワット)を再稼働させたが、広報室の担当者は本紙の取材に「節電効果があり、現時点では原発がなくても供給力は維持できた」と話している。 

 本紙は節電要請が始まった七月二日以降、二週間ごとに関電管内の電力需給を調べ、大飯原発再稼働の妥当性を検証してきた。今回は八月十三日以降の二週間を新たに加えた。
 それによると、お盆から八月中下旬にかけての十三~二十六日、最大需要の更新はなかった。二十七、二十八の両日も二千五百万キロワット台で推移している。
 関電は原発を除く発電能力を公表していないが本紙の独自調査で少なくとも二千八万キロワットあることが分かっている。これに、中部電力の融通電力など七百四十二万キロワットを加えると、供給力は計二千七百五十万キロワットで、大飯原発3、4号機の再稼働がなくても今月三日のピーク需要時でもぎりぎりカバーできた計算になる。

 関電によると三日の供給態勢は大飯二基をフル稼働する一方、需給調整を理由に相生火力1号機(兵庫県相生市、出力三十八万キロワット)を休止していたという。
 大飯原発3、4号機のフル稼働とそれに伴う揚水発電の増加を加えた潜在的供給力は少なくとも三千百八十二万キロワット。ピーク需要時ですら原発四基分に相当する五百万キロワットの余力があったことになる。 

◆再稼働根拠崩れる 関電供給力維持
 世論の反対を押し切り、政府や関西電力が進めた大飯原発3、4号機の再稼働の根拠が揺らいできた。関電は、今夏のこれまでの電力需給実績を基に「原発がなくても供給力は維持できた」と認めた。専門家は昨年三月の福島第一原発事故で広がった「節電の社会的な動きを見誤った」と指摘、過大な需要見通しを批判している。

 関電は五月、原発ゼロで今夏を迎えた場合、15%の電力不足に陥ると試算、「計画停電は避けられない」とした。これを受け、野田佳彦首相は「国民生活を守るため」として、大飯3、4号機の再稼働を容認した。
 ところが電力需要のピークは、猛暑だった二〇一〇年夏のピークに比べ10%も低下。計算上、原発なしでも供給力の方が上回った。 

 関電は九月以降について「残暑で電力需要が高まり、大飯を足しても供給力不足になる可能性が残っている」と説明。しかし、大阪管区気象台の予報によると、関西地方の九月の気温は平年よりやや高くなる見込みだが「その年の最高気温を更新することはめったにない」と話す。関電管内で過去十年間、九月に最大需要を記録したのは〇三年の一度だけしかない。
 関電の試算では、今月十七日時点で管内の節電効果は一〇年夏比で11%に達し、目標の10%を上回る。 

 大阪府と大阪市でつくるエネルギー戦略会議座長の植田和弘京都大大学院教授(環境経済学)は「大飯の再稼働がなければ、市民の危機意識が高まり、節電効果はもっと上がったはず。他社からの電力融通を含めれば、原発なしでこの夏を乗り切れた可能性はかなり高い」と指摘。「政府は夏場の電力不足を理由に再稼働させたのなら、夏が終わったらすぐに原発を停止させるべきだ」と話す。
 
 
 

2012年8月28日火曜日

原発が活断層の真上にあっても運転可能に!!?


 
 活断層の真上に原発施設を設置してはいけない(=設置された原発は廃炉に)という規制は、余りにも当然のことであって、むしろ「では、活断層線から少しでも外れていれば良いのか」という疑問に答えて欲しいくらいです。
それがこともあろうに、活断層の真上にあっても変動量が少ないと評価されれば運転が出来るようにしよう、という動きが始まっています。
変動地学・構造地質学の専門家が一目で活断層と分かる地層データを、これまでいくつも見落として、活断層の上に複数の原発を設置して来た保安院が、今度はその規制自体を緩和することを検討しているということです。
 
活断層が原発の直下にあっても、断層のずれの量が小さいと評価されれば原発の運転継続を可能にするというのですが、そもそもずれの量どれほど正確に予測できるというのでしょうか。



原発の建設と運営に関して、保安院が必要な規制を行う上で大いに欠けるところがあった、という厳しい指摘を受けてからまだあまり日も経っていないのに、まことに驚きあきれる構想をするものです。
   

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原発、断層ずれても運転可能に 保安院が新基準導入へ
東京新聞 2012/08/28 

 原発直下に地盤をずらす「断層」があっても原発の運転を一律に禁止せず、継続の可能性を残す新たな安全評価基準の導入を、経済産業省原子力安全・保安院が検討していることが28日、分かった。 

 保安院は従来「活断層の真上に原子炉を建ててはならない」との見解を示していた。新基準では、これまでは活断層と判断される可能性があった一部の断層について原発の直下にあっても、ずれの量が小さく原子炉建屋などに影響が生じないと評価されれば原発の運転継続も可能になるとみられる。
 だが「ずれの量の正確な評価手法はまだ完全ではない」(保安院)など課題も多い。  (共同)


 

浜岡原発再稼働の是非を問う静岡県民投票条例案が提出されます

 

 原発の再稼働の是非を問う県民投票条例制定の署名運動において、新潟県柏崎刈羽原発に先行していた静岡県浜松原発の「条例制定を求める署名の有効性」が認定されました。
 27日、市民団体「原発県民投票静岡」からの直接請求を受けて、静岡県は、919日からの定例県議会に賛成の意見を付して条例案を提出するということです。
先行して行われた大阪市、東京都では、提出された住民投票条例案が議会で否決されましたので、静岡県議会での成り行きが注目されます。 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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浜岡原発、再稼働県民投票求める 条例制定へ署名16万5千
東京新聞2012827 

 政府要請で全面停止している中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働の是非を問う県民投票条例制定を求め、市民団体「原発県民投票静岡」は27日、静岡県に165127人分の有効署名を提出、直接請求した。
 東京電力福島第1原発事故後、再稼働をめぐる直接請求は立地県で初。大阪市や東京都では市長や知事が条例案に反対意見を付け、議会で否決されている。
 川勝平太知事は記者会見で「住民投票がなされる方向で議論を進めたい」と言明。916日までに県議会の招集を告示、19日からの定例県議会に賛成の意見を付けて条例案を提出する意向で、可決されれば住民投票が実施される。  (共同)

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浜岡再稼働 知事 住民投票に賛成
 東京新聞 2012828 

 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働の是非を住民投票で問おうと県民十六万人余の署名を集めた市民団体「原発県民投票静岡」は二十七日、住民投票条例制定を県に直接請求した。川勝平太知事は同日の記者会見で、条例制定に賛成する意見を付けて県議会に条例案を提出する意向を明らかにした。原発に関して、住民投票が実現すれば、都道府県レベルでは初めて。 

 市民団体の鈴木望共同代表らが県庁を訪れ、知事あての条例制定請求書と十六万五千百二十七人分の有効署名簿を県に提出した。
 知事は直接請求を受理してから二十日以内に県議会を招集、意見を付けて条例案を九月十九日開会の九月定例会に提出する。条例案は採決で賛成が過半数に達すれば成立し、六カ月以内に住民投票が実施される。 

 川勝知事は会見で「住民投票がなされるよう議論を進める。県議会で条例が通るよう、条例案の内容を洗練して提案したい」と条例制定に強い意欲を示した。
 川勝知事はこれまで、「直接民主主義はまだ地に着いていない」と住民投票の実施に慎重だった。姿勢を変えた理由を「十六万人以上の有効署名は非常に大きく、尊重したい。原発問題は関心が高いテーマであり、県民が住民投票条例を求めているなら、それを尊重するのが民主主義だ」と説明した。
 東京電力福島第一原発の事故後、東京都と大阪市で同様の住民直接請求があったが、いずれも首長が反対意見を付けて提案し、議会でも否決された。
 
 
 

2012年8月27日月曜日

「18年後には原発はゼロに!」が87%


政府が行った、2030年時点での原発のあるべき比率を訊いた、「意見公募」の集計がまとまりました。
それによると、有効意見数約88,000件中、「依存度ゼロ%」とする意見が87%と大勢を占め、「依存度15%」は1%、「依存度2025%」は8%でした。
 この重い民意を、政府がどのように受け止めるのか注目されます。 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
  (註.記事中「コピペ」とあるのは、意見欄に、ある見本的な意見をコピーして貼り付ける行為のことを指しますが、今回の応募にはそれが殆ど見られなかったということです。)
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原発「ゼロ」7万6800件 意見公募 集計結果
東京新聞2012827 

 二〇三〇年時点の原発依存度をめぐる国民的議論の結果を検証する政府の第二回専門家会合が二十七日開かれ、パブリックコメント(意見公募)の集計結果が報告された。無効票を除いた八万八千二百八十件のうち、約七万六千八百件(87%)が原発ゼロシナリオ(案)を支持した。同一人物・団体が一つの案に誘導するために複数回にわたって意見を出したような形跡もほとんどないといい、15%案を模索していたとされる政府に大きな影響を与えそうだ。 (山口哲人) 

 意見公募は七月二日から八月十二日まで、メールや郵送、ファクスで受け付けた。二十二日の初回会合では約七千件の集計経過が発表され、89・6%が原発ゼロ案を選択しており、全集計結果とほぼ同様となった。
 原子力の安全や健康被害に不安を抱く声も四万七千件超あった。政府が提示した原発依存度の選択肢のうち、15%案支持は1%、20~25%案は8%にとどまり、原発を維持する両案を足し合わせても全体の一割に満たなかった。
 意見公募は、行政機関が政令や省令などを制定する際、事前に案を公表して広く国民から意見や情報を募る手続き。公平性や透明性を確保するために行われ、案件によって寄せられる意見の集まり方に大きく差が出る。
 十~百件程度と少ない意見公募がある一方、「動物取扱業の適正化について」という意見公募には十二万件以上の意見が寄せられた。ただ、このケースでは同一人物か団体により文章の内容が複製された「コピペ」と疑われるものが八万件ほど含まれていたという。

 これに対し、今回の意見公募では「コピペ」とみられる文章はほとんどなかったといい「思いがそれぞれの言葉で書かれていた」(内閣府事務局)。「やらせ」ではない「原発ゼロ」の重い民意をどこまで政府が受け止めるかが、今後の大きな焦点となっている。
 
 
 

2012年8月26日日曜日

日本はもはや「平和国家」ではないと中国紙が・・・

 

日本はいまや平和国家ではないと中国紙に指摘されました。
 政府が、アメリカの要求をのむ形をとりながら、軍事的な歯止めを緩める方針を出すたびに、日本でも勿論批判の声が上がり、国会で論戦が行われてきました。しかし同紙が指摘している様に、結果的には日本の平和的原則は蚕食され、形骸化されてきた面があります。 

以下に掲示する光明日報の記事は、ホームページ下端の「平和に関するニュース」のコーナーにピックアップされたものです。
短い記事だけに、一読すると戦後における日本の右傾化の流れを概観する思いがします。
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憲法も原則も骨抜き、日本はもはや「平和国家」ではない=中国紙
サーチナ・トピックス 中国・光明日報 2012/08/24 

 中国メディア・光明日報は24日付の紙面に「日本は果たして『平和憲法』をまだ守っているのか」とする評論記事を掲載した。  (日中関係 - サーチナ・トピックス) 

 記事はまず、戦争放棄を盛り込んだ平和憲法を持っていることから日本が「平和国家」を自称し続け、「専守防衛」「非核三原則」「武器輸出三原則」「国連平和維持活動(PKO)五原則」など自身の軍事力発展を制限する原則を提起してきたと紹介した。
 そのうえで、近年の日本の所作は事実上すでに「平和憲法」から乖離(かいり)し始めており、「『平和国家』でもなんでもない」と論じたうえで、日本に各原則の「違反ぶり」を列挙した。 

 「専守防衛」については、朝鮮戦争中や湾岸戦争後の掃海艇派遣、アフガン戦争中の補給艦派遣のほか、しばしば実施する米国、豪州、韓国などとの軍事演習、「周辺事態法」の制定を挙げた。
「非核三原則」については、1969年に佐藤栄作首相がニクソン米大統領(いずれも当時)と交わしたとされる、有事の際の沖縄への核持ち込みを認める密約文書の存在を指摘した。
 「武器輸出三原則」では、中曽根内閣時代や小泉内閣時代の「米国向け生産技術の例外化」「米国とのミサイル防御システム共同開発の例外化」や、昨年野田内閣が発表した「人道目的による武器提供の例外化」を挙げ、「三原則は完全に架空のものになった」とした。
 そして、「PKO五原則」についても「日本は違反する準備をしている」と指摘。日本の関連当局がすでに「国連平和維持活動等に対する協力に関する法律」について、他国の人員が襲撃を受けた際、日本の人員が援護に駆け付けられるように武器使用の制限を緩和する修正案をまとめたと伝え、「反対の声が小さく、修正案は早晩可決されるだろう。そうすれば、日本は軍国主義の道を再びたどる可能性がある」と論じた。 (編集担当:柳川俊之)
 
 
 

2012年8月25日土曜日

原発敷地内の「断層再調査」は6原発、柏崎刈羽原発は「再検討」

 

 24日、原子力安全・保安院は、6つの原発で敷地内の断層の再調査をすることを決めました。また断層再調査の要否に関して、全ての原発を3つのグループに分けました(23日付「全国の原発敷地内に存在する活断層の状況」の記事では4つのグループ)。

新しいグループ分けでは、柏崎刈羽原発は「追加資料をもとに再検討が必要」に分類されました。このグループは「現時点では追加の地質調査は必要ないが、さらにデータを集めて検討する必要がある」と説明されているので、集められたデータの内容によっては、断層を再調査する必要性が出てくる可能性があります。 

以下に、朝日新聞の記事を紹介します。
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美浜・もんじゅも断層再調査 保安院決定 計6原発に 

 全国の原発敷地内の断層が活断層かどうかを調べている、経済産業省原子力安全・保安院は24日、6カ所で掘削などの再調査が必要とする評価結果をまとめた。電力会社にすでに調査を指示した4カ所に加え、新たに関西電力美浜原発(福井県)と日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(同)の再調査を決めた。結果次第では廃炉につながる可能性もある。  

 原発の耐震審査をする際の国の手引では、活断層の上に原子炉を設置できない。しかし、日本原電敦賀原発(福井県)で4月、原子炉建屋直下の断層が活断層である可能性を保安院の専門家会合が指摘。これを受け、保安院は全国18カ所の原発敷地内の断層の再点検を進めていた。
 断層が活断層の可能性がある、あるいは可能性が否定できないとして追加の地質調査が必要と判断したのは、美浜原発、もんじゅのほか、敦賀原発、北陸電力志賀原発(石川県)、関西電力大飯原発(福井県)、東北電力東通原発(青森県)の計6カ所。
 
 このうち、美浜、もんじゅ、敦賀、志賀の4カ所は、原子炉建屋直下に断層が走る。特に敦賀と志賀については、複数の専門家が活断層の可能性があると指摘。美浜、もんじゅ、大飯、東通については、電力会社の活断層ではないとの説明の妥当性を判断するには「データが不十分」として追加の掘削調査が必要と判断した。  

◆保安院による原発敷地内の断層評価

◎追加の地質調査が必要
   東北電力 東通原発(青森県)、北陸電力 志賀原発(石川県)
関西電力 大飯原発(福井県)、関西電力 美浜原発(福井県)
日本原電 敦賀原発(福井県)、原研機構 もんじゅ(福井県)

◎追加資料をもとに再検討が必要
中部電力 浜岡原発(静岡県)、関西電力 高浜原発(福井県)
東京電力 柏崎刈羽原発(新潟県)

 ◎現時点では問題なし
   北海道電力 泊原発(北海道)、東北電力 女川原発(宮城県)
   東京電力 福島第1原発(福島県)、東京電力 福島第2原発(福島県)
   日本原電 東海第2原発(茨城県)、中国電力 島根原発(島根県)
四国電力 伊方原発(愛媛県)、九州電力 玄海原発(佐賀県)
九州電力 川内原発(鹿児島県)
 
 
 

従軍慰安婦問題で橋下大阪市長に対して抗議文が出されました

 

 韓国が問題提起した従軍慰安婦問題で、橋下大阪市長が「強制連行があったかどうかの確たる証拠はなかったというのが日本の考え方」などと発言したことに対して、24日、関西にある「『慰安婦』問題の解決に向けた意見書可決をすすめる会」が抗議文を出しました。
 橋下市長は24日にも記者団に対して、「07年の(安倍政権での)閣議決定は、強制連行の証拠はなかったと結論づけている」と発言し、「河野談話は日韓関係がこじれた一番の問題。単に(慰安婦だった人の)証言があればいいというわけではない。その証言に信頼性があるかをあいまいにしたまま出した河野談話は最悪だ」とする主張を繰り返しました。 

これとは別に、市民団体「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」も同日、橋下市長に対して、発言の撤回と謝罪を求める公開質問状を提出しました。  

 以下に、「意見書可決をすすめる会」の抗議文を掲載します。
抗議文には、いわゆる河野談話が出された根拠や、日本軍『慰安婦』問題に対する諸外国の見解などが簡潔に記されていて、問題のポイントを理解するための恰好の文書となっています。
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2012824
大阪市長
橋下 徹 様
           「慰安婦」問題の解決に向けた意見書可決をすすめる会     

               (共同代表) 安達克郎(茨木診療所所長)


                     石川康宏(神戸女学院大学教授)
                     西 欣也(甲南大学教授)

     
    橋下市長の「慰安婦」問題での発言(821日)に対する抗議文 

 日本軍による性的暴行の被害者である元「慰安婦」を侮辱し、この国の進路を危うくするものであるとの理由から、821日の記者会見で橋下市長が行った「慰安婦」問題での発言に強く抗議し、あわせて発言の撤回と謝罪を求めます。 

 新聞報道によると、市長は「(慰安婦の)強制連行の事実があったのか、確たる証拠はないというのが日本の考え方で、僕はその見解に立っている」「慰安所はあったのかもわからないけど、慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない。あるなら韓国にも出してもらいたい」と述べられました。
 しかし、ここで市長がいう「日本の考え方」とは一体誰の考え方のことでしょう。
 外務省が、世界に公開しているホームページには「加藤官房長官談話(927月)」「河野官房長官談話(938月)」が掲載されており、それは「慰安婦の募集について」「甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」(河野談話)と、強制連行の事実をはっきり認めるものになっています。

 河野談話は、日本政府自身が、警察庁・防衛庁・法務省等々の政府機関の他、国立公文書館や国会図書館、米国国立公文書館などを調査し、さらに元軍人、元朝鮮総督府関係者等をふくむ広範な当事者への聞き取りも行ってまとめられたものです。
 日本政府のこの判断が「日本の考え方」と異なる誤りだとするのであれば、その「証拠」を日本政府に向けて提出する責務を負うべきは、市長ご自身ではないでしょうか。市長はどのような「証拠」をお持ちでしょう。ぜひ、お示し下さい。 

 あわせて市長は「慰安婦制度はいまから考えると非常に倫理的に問題のある制度なのかもしれないが当時の時代背景において、どういうものだったのかということを真正面から議論しなければいけない」ともいわれています。
 しかし、これも長く調査、研究が重ねられてきた事柄です。
 当時の国際法のもと、日本政府も遵守すべきであった奴隷的な強制労働や非戦闘員への虐待の禁止など「当時の時代背景」に照らしても、「慰安婦」制度が許されるものでないことはすでに明らかです。これについて、市長はどのような反証の根拠をもって、今回のような発言をされたのでしょう。 

 市長もご承知ではありましょうが、「慰安婦」問題をめぐり、「河野談話」にとどまらない誠実な謝罪や事実の究明と公開、賠償などを日本政府と社会に求めているのは、「韓国」政府だけではありません。
 2007年にはアメリカ下院、オランダ下院、カナダ下院、欧州議会(加盟27ケ国)、08年にはフィリピン国会、韓国国会、台湾立法院などで、それぞれ日本政府に問題の解決を求める正式の決議が成されています。
 さらに今年アメリカのクリントン国務長官が、「慰安婦」ではなく「強制的な性奴隷」と呼ぶべきだと発言した(79日報道)ことも、多くの国際的な注目をあびました。
 こうした動きの背後にあるのは、現代における戦時性暴力の廃止に向けて、これまでの「不処罰の連鎖」を断ち切ることの必要が、国際社会の広い合意となっている事実です。 

 「慰安婦」問題を検討の埒外においた日韓基本条約をもって、「請求権問題は解決済」とする一部の議論も、国際社会ではまったく通用するものではありません。
 橋下市長が就任される前の201010月に、多くの大阪市民からの要請を受け、大阪市会は「日本軍『慰安婦』問題の早期解決に関する意見書」を可決しました。それは今も大阪市会のホームページに掲載されています。
 その最後の一文は次のようになっています。
 「国におかれては、河野談話に矛盾しないよう慰安婦問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復とともに、今日なお存在する女性への暴力・人権侵害の解決に向け、誠実に対応されるよう強く要望する」。

 これこそが大阪市民の良識の声であり、市会議員のみなさんの見識の表れではないでしょうか。市長はこの意見書をどのように考えておられるのでしょう。 

 以上、何ら新たな「証拠」も根拠も示すことなく、「慰安婦」被害者を侮辱し、国際社会における日本の進路を危うくさせる今回の市長の発言に、強く抗議し、ただちにこれを撤回し、謝罪していただくことを求めます。
 くわえて日本の政治家の責務として、橋下市長には「慰安婦」問題の歴史と関連する戦後政治史の事実、さらには戦時性暴力の克服をめざす現代国際社会の努力を、広く、しっかり学んでいただくことを要望するものです。

 
 
 

2012年8月24日金曜日

国の放射線量基準はチェルノブイリの4倍

 居住制限区域等を決める放射線量基準値が、チェルノブイリ原発事故時の4倍にもなっているのでは町民の健康が守れないとして、福島県双葉町は、町内を「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難区域」に再編する国との協議を拒否しています。
 
国際放射線防護委員会は年間被曝限度を1ミリシーベルトと定め、わが国の「放射線障害防止法」もそれに準拠して、3ヶ月間の被曝量が1.3ミリシーベルトを超えるところを「放射線管理区域」に指定して、そこには有資格者以外の立ち入りを禁止し、18歳以下の就労や区域内での飲食などを禁止しています。

それを100ミリシーベルト以下なら健康に影響がないし、20ミリシーベルト以下なら帰宅しても大丈夫だと主張したのが、今度、原子力規制委員長になろうとしている田中俊一氏らでした(民主党は人事案を変更しないことに決めました)。 

チェルノブイリ事故では放射線によって膨大な数の死者を出し、いまも後遺症に苦しんでいる人たちが多数います。それなのに四半世紀も前に緊急的に定めた基準よりも、さらに大幅に後退させた基準で国は対処しようとしているのです。 

以下に福島民報の記事を紹介します。
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国の線量基準に不満 双葉町が再編協議拒否の理由示す
 福島民報 2012.8.24 
 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の再編で、福島県双葉町は23日、新潟県柏崎市で開いた住民説明会で区域の再編に現段階で応じていない理由を明らかにした。チェルノブイリ原発事故で立ち入り禁止とされた区域の放射線量と国の「居住制限区域」の線量を比較し、日本側が4倍も高いと指摘。国の基準で区域を再編した場合、町民の安全は守れないなどとしている。

 町によると、チェルノブイリ原発事故では、年間積算線量が5ミリシーベルト超の地域の住民に他地域への移住を義務付け、現地は原則立ち入り禁止とされた。これに対し、国は50ミリシーベルト超を「帰還困難区域」とする一方、20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下は住民の帰宅や通過交通を認める「居住制限区域」、20ミリシーベルト以下は除染やインフラの整備を進め住民の早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」に再編する方針。町内については、この線量基準などに基づき3区域に再編する案を示しているが、町側は住民の安全確保などの観点から町内全てを帰還困難区域にするよう求めている。
 

2012年8月23日木曜日

柏崎刈羽原発再稼働問題で県民投票も選択肢の一つと泉田知事

 

泉田知事は23日の記者会見で、柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う住民投票について、選択肢の一つだとして肯定的な見解を示しました。 

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再稼働「県民投票も選択肢」 柏崎刈羽原発で新潟知事
東京新聞2012823 

 新潟県の泉田裕彦知事は23日の記者会見で、東京電力柏崎刈羽原発(同県)再稼働の賛否を問う県民投票について「選択肢の一つ。重要事項の決定に直接民主主義的な手法を取り入れることは社会の安定につながる」と前向きな姿勢を示した。
 県民投票条例の制定を目指す市民団体は直接請求に必要な県内有権者の50分の1を超える署名を集めたとしている。各市町村の選挙管理委員会が署名の有効性を認めれば、市民団体は12月中旬にも条例案の県議会への提出を知事に直接請求する方針。
 
 
 
 

全国の原発敷地内に存在する活断層の状況

 

 

 全国の原発敷地内の活断層に関して、大雑把にまとめた記事が掲載されました。それによると「活断層が通っていない」と判断される原発はわずか5カ所に過ぎず、柏崎刈羽原発は「活断層の有無を検討中」の部類に入っています。
柏崎・刈羽原発敷地内に活断層が通っている可能性が正式に疑われるようになったのは、10日に行われた原子力安全・保安院の専門家会議においてであり、11日付の記事「柏崎・刈羽原発敷地内に活断層の可能性が」でも紹介しました。
 

 以下に産経新聞の記事を紹介します。
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原発再稼働に新たな壁 敷地内の断層「破砕帯」
産経新聞2012.8.23 

 全国の原発で再稼働に向けた手続きが進む中、原発敷地内の断層の一種「破砕帯」などが活断層ではないかとの指摘が相次ぎ、再稼働の新たな壁になってきている。経済産業省原子力安全・保安院はすでに4原発で、活断層かどうかを調べる現地調査を指示。現地調査を行う原発は今後も増える可能性がある。調査には数カ月が必要で、難航している各原発の再稼働が、さらに遅れることになりかねない。

■全原発で検証
 発端は日本原子力発電の敦賀原発(福井県)だった。専門家が、原子炉の真下を走る破砕帯が、近くの活断層が動いた場合に、連動して動く可能性を指摘。現場を視察した保安院も「活動性が否定できない」と今年4月、日本原電に現地調査を指示する事態に発展した。
 国の耐震設計審査指針では、原発を活断層の上に建設することを禁じている。断層が動けば地表面でもズレが生じ、頑丈に造られた原発施設でも破損する可能性が高いからだ。
 そのため、事業者は原発の建設前に、敷地に活断層がないことを確認している。
 しかし、東日本大震災では、活断層ではないとされていた断層が、別の断層と連動するなどして動いていたことが判明。敦賀以外の原発でも断層の危険性を指摘する声が高まり、保安院も全原発の断層を検証し直すことを決めた。

■ずさん審査?
 検証は建設時に撮影された断層面の写真や当時のスケッチ、図面などをもとに、専門家が議論する形式が取られている。
 中には建設時のずさんな審査を問題視する指摘も出ている。7月17日の専門家会議では、北陸電力志賀原発(石川県)にある断層について、専門家からは「典型的な活断層に見える」「(当時の審査は)よく通したなあ」とあきれたような発言が相次いだ。
 志賀原発のように、当時の資料では判断が付かない場合、穴やトンネルを掘って断層が動くかどうかを調べる現地調査が行われることになる。
 作業が終わる数カ月先まで再稼働することは事実上、不可能となる。
 現在も検証は続いているが、保安院は敦賀、志賀のほか、東北電力東通原発(青森県)、関西電力大飯原発(福井県)の4原発については現地調査を決定。関電美浜原発(福井県)、同高浜原発(同)、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(同)も、専門家から現地調査の必要性を指摘する意見が出ており、保安院が近く判断することになる。

■「動く」と廃炉
 現地調査の結果、破砕帯などの断層が「動く」と判断されれば、事態はさらに深刻だ。地表面のズレに耐えられるように建築物を補強する技術はなく、その原発は廃炉になる可能性が高いからだ。
 9月に発足予定の原子力規制委員会の委員長候補、田中俊一氏も稼働中の大飯原発について「(敷地内の断層が)活断層なら当然止めてもらう」と明言。規制委発足後も厳しい姿勢で、断層の評価を行う意向を示している。(原子力取材班)
  破砕帯 活断層が動くと断層面の岩石が摩擦や圧力で破壊される。こうした細かく砕かれた岩石などが帯状に分布している場所を指す。破砕帯があれば活断層の可能性があるが、古い時代のものは固まっており、活動性がない場合も多い。岩石の間には多くの隙間があって地下水の通り道になりやすく、トンネル工事などでは大量の水が噴出して問題となる。 

◆各原発の活断層をめぐる状況

◎保安院が現地調査を指示
   日本原発 敦賀原発(福井県)、東北電力 東通原発(青森県)
北陸電力 志賀原発(石川県)、関西電力 大飯原発(福井県)
関西電力 美浜原発(福井県)、日本原研 もんじゅ(福井県)

◎現地調査の必要性を専門家が指摘
関西電力 高浜原発(福井県)

 ◎検討中のもの
   北海道電力 泊原発(北海道)、東京電力 柏崎刈羽原発(新潟県)
   東京電力 福島第1原発(福島県)、東京電力 福島第2原発(福島県)
   中部電力 浜岡原発(静岡県)、中国電力 島根原発(島根県)

 ◎活断層はないと判断
   東北電力 女川原発(宮城県)、日本原発 東海第2原発(茨城県)
四国電力 伊方原発(愛媛県)、九州電力 玄海原発(佐賀県)
九州電力 川内原発(鹿児島県) 

※以下の東京新聞の記事により、元記事の「◎現地調査の必要性を専門家が指摘」枠から移動
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2原発の断層追加調査を要求 保安院、もんじゅと美浜
東京新聞 2012824 

 経済産業省原子力安全・保安院は24日、全国の原発敷地内にある断層(破砕帯)への対応方針を専門家会議に示し、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県)と関西電力美浜原発(同)に関し、新たに追加の現地調査を求めた。
 両原発の近くにある活断層の「白木―丹生断層」が活動すると、敷地内の破砕帯が連鎖的に動く可能性を完全に否定できないとして、試掘溝の掘削調査などを実施するべきだとしている。
 東北電力東通(青森県)、北陸電力志賀(石川県)、日本原子力発電敦賀(福井県)、関電大飯(同)は、各社が追加調査を実施中。   (共同)

 
 
 

柏崎刈羽原発 再稼働 住民投票条例の制定を請求へ

 

 市民団体「みんなで決める会」が6月から取り組んでいた、「柏崎刈羽原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例制定」の署名が、直接請求に必要な数を超えました。選挙管理委員会で署名の有効性が認められれば、年内にも泉田知事に対して直接請求をする予定です。
 その後、知事から「同 県民投票条例案」が県議会に提出され、それが可決されれば県民投票が行われることになります。
 条例が制定され県民投票の結果稼働反対が多数となっても、直ちに東京電力の意思決定を拘束するわけではありませんが、憲法95条で認められている地方自治における直接民主制で表明された住民の意思は、大きな制動力となります。
註. 地方自治法 第74条 要旨
    選挙権を有する者の総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、地方公共団体の長に対し、条例の制定又は改廃の請求をすることができる。
    前項の請求があつたときは、当該地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表し、請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を請求の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。 

これまで直接請求に基づいて、大阪市議会と東京都議会に反原発の住民投票条例案が提出されましたが、そこではいずれも否決されました。橋下市長と石原都知事は、共に条例の制定に対して否定的な意見を添えて、議会に提案したということです。
 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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再稼働住民投票条例を直接請求へ 新潟・柏崎刈羽原発
東京新聞 2012822 

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定を目指し、署名活動をしていた市民団体は22日、直接請求に必要な約4万(県内有権者の50分の1)を超える署名数を集めたと明らかにした。
 各市町村の選挙管理委員会が署名の有効性を認めれば、12月中旬にも直接請求する予定。その後、泉田裕彦知事が意見を付け、条例案を県議会に提出する。出席議員の過半数が賛成すれば、可決される。
 同様の住民投票条例案は、大阪市と東京都の両議会が否決。静岡県では別の市民団体が必要な署名数を集め、27日に知事に直接請求する予定。

 

2012年8月22日水曜日

テニアン島を巡り二つの動きがありました



テニアン島はグアム島近くにある島で、沖縄から約2000キロ離れていますが、21日付でこの島に関連する二つの重要なニュース=動きがありました。 

 一つは、テニアン島で米軍海兵隊と共に上陸訓練を行うために、自衛隊員が沖縄から(強襲)揚陸艦に乗り込んだというニュースで、海兵隊の敵前上陸は相手国との戦闘を想定したもので、これに自衛隊が参加するのは勿論初めてのことです。5月の日米首脳会談で野田首相が約束した「動的防衛力」構想が、今後具体的に展開されて行くことの一環と思われます。 

 もう一つは、米軍普天間飛行場(海兵隊基地)を国外移設する場合に、テニアン市が基地を受け入れることを表明したというニュースです。テニアン市のラモン市長は、米軍の海兵隊基地を受け入れることで、周辺の生活のインフラが整備されるし、市民の雇用も期待できるためで、同時に沖縄の負担も減るからと説明しています。
 実はこの意向については2年半前にも宜野湾市の伊波市長(当時)が、普天間基地を視察に来た衆院の安保委員会に紹介したのですが、当時それを聞きつけた国内のいわゆる『安保で喰う人たち』が大反対(※)して、政権も米国に対して何の対応もとらないままに沙汰やみになったのでした。
(※)海兵隊は敵地に侵攻する部隊なので日本の防衛とは関係のない軍隊です。そのときも米軍が何も言わない中で、彼らが必死になって「地政学上沖縄に海兵隊が必要だから」という、意味不明な言辞をもって海兵隊を沖縄に存続させようとしたのでした。 

米軍の基準では、軍事飛行場隣接地に対して建物などが制限される「クリアゾーン」の規定があり、海外における米軍飛行場においても「クリアゾーン」の確保が義務づけられています。しかし普天間基地では、この「クリアゾーン」内に約3600人の沖縄県民が暮らしており、住宅約800戸、公共施設・保育所・病院が18カ所も存在しています。米軍自身が世界一危険な飛行場と呼ぶ所以です。米国の法律で許されない危険な基地が、日本ならば許されるという道理はどこにもありません。 

 そんな中オスプレイの安全性については、沖縄ではより厳しい見方が出ています。

操縦性の不安定さに加え、ヘリモードでエンジンが停止した場合、次の操作に移るまでに12秒が掛りその間に490mも落下する問題も明らかになりました。
さらに沖縄県は17日に、当初のオスプレイ配備に伴う米軍の環境審査報告書について、安全性や騒音、動植物への影響など、具体的には着陸地帯6カ所の騒音予測図の提出や普天間飛行場での夜間運用が増える理由、またオスプレイの下降気流が台風並みの風速約21メートルであっても「鳥類の巣やねぐらに被害を与えない」とした根拠などを詳細に尋ねる、44項目の質問状を防衛省に提出しました。 

 どの問題をとっても、曖昧な答えで済ませられるものでも、「日本がとやかく言える問題でない」などの逃げ口上で済ませられるものでもありません。
 今度こそテニアン市の提案に対して、真剣に向き合う必要があります。 

 以下に二つの記事を紹介します。
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テニアン島で日米が上陸訓練へ
NHK NEWSweb  2012821 

陸上自衛隊は、沖縄のアメリカ海兵隊と、離島が攻撃された場合を想定した上陸訓練を、西太平洋のテニアン島などで初めて行うことになり、現地に向かうため、21日、沖縄県の基地で、アメリカ海軍の艦艇に乗り込みました。
訓練には、陸上自衛隊で九州・沖縄を担当する西部方面隊のおよそ40人が参加します。
 隊員たちは、沖縄の海兵隊員と共に、21日昼ごろ、沖縄県うるま市のアメリカ軍基地「ホワイト・ビーチ」で、アメリカ海軍の強襲揚陸艦、「ボノム・リシャール」(4万500トン)と、揚陸艦「トーテュガ」(およそ1万6000トン)の2隻に乗り込みました。
 基地では、甲板に、車両やコンテナが積み込まれたり、強襲揚陸艦が、エアクッション揚陸艇を収容したりするなど出港の準備が行われていました。
2隻は数日後に出港し、陸上自衛隊の部隊は、およそ2000キロ離れた西太平洋のテニアン島やグアム島で、海兵隊と共同で、ボートやヘリコプターを使った上陸訓練を行うことにしています。
陸上自衛隊が、沖縄の海兵隊とテニアン島などで上陸訓練を行うのは初めてで、中国が活動を活発化させているアジア太平洋地域で、日米の連携を示そうというねらいもあるとみられます。

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普天間:テニアン市長が受け入れ表明
沖縄タイムス  2012821 

 【東京】米自治領・北マリアナ諸島テニアンのラモン・デラクルーズ市長は20日、東京都内で沖縄タイムスの取材に応じ、日米両政府が将来的に米軍普天間飛行場の日本国外移設を検討した場合、テニアンへの移設に応じる考えを表明した。日米両政府が在日米軍見直しで合意した同地域での米軍と自衛隊の共同訓練についても歓迎する姿勢を示している。(銘苅一哲)

 デラクルーズ氏は2009年の政権交代後、当時の鳩山政権が県外移設を検討する中で、10年2月にも「テニアンは移設先になりうる」との考えを示していた。
 両政府は名護市辺野古への移設案を維持しているが、12年4月の米軍再編見直しで在沖海兵隊9千人のグアム移転、米軍と自衛隊の共同訓練を前提としたテニアン・パガン両島への米軍施設整備で合意。デラクルーズ氏はこれらの動きを受け、沖縄の米軍基地視察のため来日した。 

 普天間受け入れの意向を示す理由について、島の3分の2を米政府が賃借していることに触れた上で「賃料は約100年前に支払われ、現在はゼロ。これまで米軍は土地をほとんど使ってなかったので市の収入にならず、基地建設をするか返還を米政府に求めていた」と説明。普天間代替建設による周辺の生活インフラ整備、雇用効果が期待できるとし「何より沖縄の負担も減る。ウィンウィンの案だ」との考えを説明した。

 また、太平洋戦争時、沖縄からの移住者が多く居住していたことにも触れ「今でも日本や沖縄の姓を持つ家族がいる。これまで遺骨収集に協力してきた。今後も連携したい」と述べ、南洋群島帰還者会が当時の捕虜収容所や学校跡地に記念碑を建てるため取り組んでいる調査に協力する考えも示した。
 (ウィンウィン=双方が満足できる ※事務局



2012年8月19日日曜日

新藤兼人監督映画「一枚のハガキ」の観賞会が開かれました



8月19日(日)には、暑い中でしたが30人近い人にお集まり頂いて、「一枚のハガキ」の観賞会が行われました。十日町の9条の会からも一名の方が参加されました。
はじめに世話人の笛木さんから、「6日、9日の広島・長崎原爆忌から15日の終戦の日へと続く、非核平和について考えるに相応しいこの時期に毎年特別企画を組んで来ましたが、今年は100歳で亡くなられた新藤監督の実体験の基づくこの映画の観賞会を行うことにしました」旨の簡単な挨拶があったのちに、直ぐに映写に入りました。
映画は深刻な内容であるのですが、結構コミカルなタッチで描かれていて、明るいエンディングになっていました。この物語の救いになっている結末の明るさは、新藤監督によれば「新生の日本を表した」ということです。 

映写後には15人余りの有志の方たちが残られて、簡単な感想会となりました。
そこでは、戦争のない平和な世の中にしなくてはならないという願いの籠った作品であったこと、クジが運命を峻別したことに対する監督の思いのこと、麦が黄金色に見事に実ったエンディングの明るさのこと、主人公たちに似た悲劇は当時身近にも色々とあったこと、映画が、戦時中に二人の夫に死別する友子や、復員後に思いもよらない悲劇に見舞われる主人公など、いわゆる銃後の世界の悲劇に視点を合わせたものであること、戦後の食糧難は悲惨であったこと、などなどが交々話されました。
また会員で児童文学者の岡崎さんからは、かつて中国に戦争の惨禍について聞き取りに行ったときに、惨禍を与えた側の人間としてはひたすら謙虚に相手の話を聞くことが、唯一相手の心を和ませる所以であると分かったという体験談が披露されました。岡崎さんはその時の聞き取りの内容を、子供を語り手とした長編小説にまとめるために、いま苦心しておられ、もうすぐ完成するということです。

感想会は大いに盛り上がり、予定時刻を大幅にオーバーして、1620分に閉会しました。