2017年6月30日金曜日

1人区は全滅危機 都議選自民は「39議席」大惨敗が濃厚に

 各紙が都議選の1週間前に都民を対象に行った世論調査では、朝日が、都民25%:自民25%、毎日が、都民27%:自民26%、読売が、都民26%:自民23%、日経(共同)が、都民26%:自民25で、どれも同じでした(「世に倦む日々」 27日)
 この段階では都民ファーストが外に伸びず自民と接戦を演じているといえますが、自民党支持者の硬い部分はもともと一定数あるわけなので、問題はいわゆる浮動票(無党派層)の動向がどうなるのかということです。
 今回の選挙では浮動票が自民党に流れる余地はほとんどないので、投票率が高まれば高まるほど自民は惨敗することになります。都議選の結果は次の国政選挙に反映されると言われているので、その点でも都議選は大いに注目されます。
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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1人区は全滅危機 都議選自民は「39議席」大惨敗が濃厚に
日刊ゲンダイ  2017年6月29日
 自民党に衝撃が走っている。7月2日(日)投票の都議選は、歴史的な惨敗に終わる可能性が濃厚になってきたからだ。“惨敗ライン”である40議席を割り込みそうなのだ。09年に記録した38議席に並ぶ可能性が出ている。もし、40議席を割ったら、安倍政権は一気にレームダックになっておかしくない。

 大手メディアが24、25日の土日に実施した「出口調査」の結果に自民党は真っ青になっている。「期日前投票」を終えた有権者に投票先をアンケートした。
 結果は、都民ファースト48、自民39だったという。自民党は09年の都議選の時、48→38議席という大敗を経験している。自民党が実施した世論調査も、都民ファースト45、自民41だったという。
 都議会の定数は127。自民党の現有議席は57。いずれにしろ、大量落選である。自民党関係者がこう言う。
「不気味なのは、それほど強い逆風が吹いているとは思えないのに、世論調査や出口調査の結果が異常に悪いことです。38議席に落ち込んだ09年の時は、もっと強い逆風が吹いていた。もしかしたら、有権者は自民党に対して静かな怒りを募らせているのかもしれない。本当に不気味です」

 自民党の苦戦を象徴するのが、勝敗を決する7つある1人区である。最悪、全敗する可能性がある。
 都議会のドンだった内田茂の地盤である千代田区も、築地市場がある中央区も、都民ファーストの候補にリードされている。自民党の牙城である島部も、小池百合子が最終日までに現地入りすれば逆転する可能性があるという。昨年の知事選では、小池票が自民候補の票を上回っている。

■都議選のネックは安倍首相
 自民党が焦っているのは、安倍首相が街頭演説に立っても、立たなくても、どちらもマイナスになることだ。
「自民党が苦戦している理由は、もちろん加計問題をはじめとする安倍首相の対応です。自民党支持者からも『安倍首相はヒド過ぎる』『反省してもらいたい』と批判の声が上がっている。安倍首相が表に出ることはマイナスになる。でも、街頭演説をやらないために『逃げている』と批判されてる。過去4回の国政選挙、自民党は安倍人気で勝利してきたが、この都議選は安倍首相がネックになっている。安倍首相本人もいら立ちを強めています」(政界関係者)

 出口調査の結果通り、自民党は大敗するのか。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「自民党が38議席と大敗した09年都議選の投票率は54%。逆に自民党が59議席と大勝した13年都議選の投票率は43%でした。勝敗のカギは、無党派層が動いて投票率が上がるかどうかです。もし、投票率が55%を超えれば、自民党は過去最低の38議席を下回る可能性もあると思います」
 投票日まであと4日。“反安倍”の空気はどんどん強まる一方ではないか。

国の税収が7年ぶり減 異次元緩和の破綻 一刻も早く脱却すべし

 2016年度の国の一般会計税収(確定)が前年度実績(56・3兆円)に比べ約1兆円減少し、55兆円台にとどまったことが分かりました。16年度前半の円高進行により法人税収が低迷したことが響きました。
 税収が前年度実績を割り込むのは、リーマン・ショックがあった09年度以来、7年ぶりのことです。企業業績を回復させて税収を増やすというアベノミクスが完全に破綻したことの反映です(日刊ゲンダイ)。

 経済学者の野口悠紀雄名誉教授が現代ビジネス(6月28日)に、日銀がいま行っている金融緩和政策から脱却した場合のケーススタディーを載せました。かねてからいわれていた異次元緩和からの脱却時に起きる衝撃に関するものです。

 同氏によれば、仮に日銀の目標どおりに消費者物価上昇率が2%になった場合には、短期金利も2%以上になり、長期金利はそれより高く3%程度になる可能性があるので、仮に3%だとすれば、日銀保有国債の市場価格下落幅は69兆円になるということです。
 日銀に泣いてもらえばいいという論理は勿論通じません。そうなれば日銀から政府への納付金(税金)がゼロになるので、直ちに国民の懐に打撃が来ます。
 野口氏はそまでで論考を終わっていますが、3%に上がった国債の利払いの問題や、国民年金の資金を投じて釣り上げてきた株価がどうなるのかも極めて深刻な問題です。

 記事は、「2%のインフレ目標が達成できるとは考えにくい」ので、「このままズルズルと緩和政策が続けば想定される損失はさらに膨れ上がり、金融緩和からの脱却はさらに難しくなる。いま必要なのは、できるだけ早く脱却の準備を開始することだ」と結ばれています。
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アベノミクス破綻「税収1兆円減」…7年ぶりに前年度割れ
日刊ゲンダイ  2017年6月29日
 アベノミクスの限界がまたも露呈だ。2016年度の国の一般会計税収が前年度実績(56・3兆円)に比べ約1兆円減少し、55兆円台にとどまったことが分かった。16年度前半の円高進行により法人税収が低迷したことが響いた。税収が前年度実績を割り込むのは、リーマン・ショックの影響があった09年度以来、7年ぶり。

 政府は16年度の当初予算で、税収見通しを57.6兆円としていたが、今年1月に成立した第3次補正予算では55.9兆円に下方修正。しかし、近く公表される16年度決算では、さらに0・4兆円前後下回る見込みだ。当初予算比では2兆円超も下回る上、税収が見込み額を下回るのは15年度に続き2年連続となる。
 これは、企業業績を回復させて税収を増やすというアベノミクスが完全に破綻していることを示している。
 それでも、安倍内閣はアベノミクスにしがみつき、17年度予算では16年度当初見込みより1000億円以上多い57・7兆円超もの税収を見込んでいる。大甘な税収見通しにより国の財政を膨らませる安倍内閣の罪は大きい。


異次元緩和の先に、日銀が「巨額債務超過」に陥る可能性
一刻も早く脱却を図るべし
野口 悠紀雄 現代ビジネス 2017年6月28日
一橋大学名誉教授                  
日本銀行が現在行っている金融緩和政策からの脱却が議論されるようになった。では、国債の購入を縮小(あるいは停止)し、マイナス金利の付加をやめ、そして長期金利のコントロールを行なわないこととすれば、緩和政策から脱却したことになるのか? 実はそうでなく、さまざまな障害が発生すると予想されるのである。以下では、この問題について検討しよう。

金融緩和終了時の日銀巨額損失
緩和政策からの脱却に当たっては、損失が発生することが予想され、これが障害になるという指摘がなされている。
なぜ損失が発生するのか? 現在、金利は日銀によって抑制されているが、金融緩和政策が終了すれば上昇する。金利と国債市場価格は逆比例の関係があるので、金利上昇は、国債市場価格の下落を意味する。
アメリカをはじめとして諸外国の金利が上昇しているので、日本も金利が上昇する可能性は高い。また、物価との関係でもそうだ。仮に日銀の目標どおりに消費者物価上昇率が2%になったとしよう。その場合、名目金利が上昇しなければ、実質金利(名目金利から物価上昇率を差し引いた指標)がマイナスになってしまい、さまざまの問題が生じる

物価上昇に合わせて金利が上昇するとしたら、具体的にどの程度の損失が発生するか? これは、国債保有額、償還までの残存期間、そして、金利上昇幅によって大きく異なる値となる。
日銀の黒田東彦総裁は、5月10日の衆議院財務金融委員会で、民進党の前原誠司氏の質問に答えて、「長期金利が1%上昇した場合、日銀が保有する国債の評価損が23兆円程度に達する」とした。金利上昇幅が2%であれば、46兆円ということになる。
仮に日銀の目標どおりに消費者物価上昇率が2%になった場合には、短期金利も2%以上になるだろう。長期金利はそれより高くなるので、3%程度になる可能性が十分ある。仮に3%だとすれば、日銀保有国債の市場価格下落幅は69兆円になる
ただし、以上で述べたのは、保有国債の価格下落だ。実際に売却すれば現実の損失となるが、国債を保有し続ければ含み損に留まる。なお、保有国債を売却すれば、市場に売り圧力が加わり、国債市場価格はさらに下落する可能性が高い。したがって、損失がこの値よりも拡大する可能性もある。

国債を保有し続けても、ほぼ同額の損失
そこで、日銀は「満期落ち」、つまり償還されるまで国債を保有し続けることになる可能性が高い。
ただし、そうであっても、損失を免れるわけではない。
第一に、日銀当座預金(金融機関が日銀に預ける当座預金)に金利をつける必要がある。この当座預金の超過準備に対して日銀がつける金利を「付利」と呼ぶ。先に、金利が上昇しないと、実質金利がマイナスになると述べた。物価が上昇している局面で実質金利がマイナスになると、土地などに対する投機を引き起こしてしまう。だから、短期金利も最低2%程度に引き上げる必要がある。
短期金利を2%にするためには、現在のマイナス金利を解除するだけでなく、超過準備に対して最低2%の金利をつける、つまり付利を2%にする必要がある。なぜなら、金利が低いままだと、当座預金が取り崩されて貸し出しに回されてしまい、投機資金を供給することになるからだ。

そこで、当座預金への付利を2%にしたとしよう。他方で、保有国債の利回りは不変だ。日銀の16年度決算によれば、保有長期国債の運用利回りは、0・38%だ。だから、1・62 %だけ逆ザヤになってしまう。これに当座預金残高約340兆円をかけると、年間約5・5兆円の赤字となる。
この場合、時間が経つにつれて 償還が進み、国債残高が減り、当座預金残高も減少する(政府が国債償還の財源調達のため、市場で借換債を発行し、借換債を購入した民間銀行は、日銀当座預金口座を介して政府と代金決済を行うため、当座預金が減少する)。この過程で先に述べた当座預金金利と保有国債利回りの逆ザヤが発生する。
現在の日銀保有国債がすべて償還されるのに要する期間は、
    値下がり額=保有国債額×平均残存期間×金利上昇幅
という公式と、先に示した「金利1%上昇で23兆円の損失」という日銀総裁の言明から逆算すると、7年程度ということになる。
いま簡単化のため、国債は平均である7年で一挙に償還されるとしよう。すると、逆ザヤの総額は5・5兆円×7年=38兆円となる。

国債の高値購入による損失
しかし、損失はこれでとどまらない。なぜなら、国債の償還期限まで保有しても、購入時の価格が額面より高い国債があり、その差額が損失として発生するからだ。
「日本銀行が保有する国債の銘柄別残高」という統計には、額面ベースの数字がある。この額は、380兆円(6月2日)だ。それに対して、「営業毎旬報告」には、簿価が記載されている。この額は、390兆円だ(5月31日)。両者の差は10兆円だ。
だから、償還まで保有すると10兆円の損失が発生する。これは、確実に発生する損失だ。

実は、この差は2013末では2・7兆円に過ぎなかった。追加緩和が実施された後の15年末でも5・9兆円だった。マイナス金利の導入後に、額面を上回る購入が増えて急拡大したのだ。
この額を先に計算した付利総額38兆円に加えれば、合計は約48兆円となる。これは、上で述べた現時点で一挙に売却する場合の損失と同程度の額だ。

当座預金への付利で通貨発行益もなくなる
このように、日銀に巨額の損失が発生すると予想されるが、「日銀は通貨発行益を得ることができるので問題ない」との意見がある。
以下では、この意見について検討しよう。まず、通貨発行益について説明しよう。
中央銀行は、銀行券を発行して国債や社債、手形などを購入することができ、国債、社債などからは運用収入を得られる。他方、銀行券の利子はゼロだ。だから、国債等の利子分だけの利益が発生する。これが通貨発行益(シニョリッジ)である。日銀決算によれば、2016年度の国債利子収入は約1兆円だ。
このように、中央銀行は、民間の企業のように営業活動を行って利益を上げる必要はない。マネーの発行によって利益を得られるのである。「いかに損失が発生しても大丈夫だ」という議論の論拠は、ここにある。
以上で述べたのは、日銀券の発行によって国債を購入した場合のことである。しかし、日銀は、実際には、当座預金を増やすことによって国債を購入している。そして、超過準備に対しては、これまで金利がつけられてきた(日銀当座預金の残高は、17年4月末現在で約356兆円だが、法定準備預金は約19兆円だ。残りの337兆円が超過準備だ)。
したがって、国債利子収入をうるためのコストはゼロではない。このコストを差し引いたものをシニョリッジと考えるべきだろう。
ただし、これまでは付利するといっても0・1%であったので、国債の利回りよりも低かった。しかも、当座預金残高もさほど大きくなかった。このため、利払い費の総額はわずかだった。12年度においては、315億円だった。
しかし、異次元緩和によって当座預金残高が増えたので、それに伴い、利払いも、13年度836億円、14年度1513億円、15年度2216億円と増えた。マイナス金利政策で減ったが、16年度で1873億円と、まだ大きい。
ところが、金融緩和政策から脱却すると、先に述べたように、プラスの付利を復活させる必要がある。2%という日銀のインフレ目標が達成されたとすると、付利と国債利回りは逆ザヤになり、シニョリッジはマイナスになってしまうのだ。

日銀に資本注入の必要?
予想される損失は、日銀の自己資本(=引当金勘定+資本金+準備金)約7・6兆円をはるかに上回っている。したがって、日銀は、数十兆円の規模の債務超過に陥る
そうなると、日銀は政府への納付金を停止する。日銀納付金は税と同じようなものだから、これがゼロになるというのは、国民負担の増大だ。
それにとどまらず、資本注入が必要になるかもしれない。しかし、これには強い反対があるだろう。また、中央銀行が債務超過になった事例はないので、どうしたらよいのかの目安もない。
ところで、これまでに述べたことから分かるように、これらの問題は金利が上昇することによって生じる。ここでは、金利が2%になる場合を想定した。もし1%であれば、損失はその半分程度で済む。
いますぐに金融緩和から脱却すれば、インフレ率は低いままだから、金利もそれほど上がらない。当座預金の金利負担も少なくて済むだろう。
日銀は、6月16日の金融政策決定会合で、当面の金融政策を「現状維持」とすることを決めた。長期金利の操作目標は「ゼロ%程度」で変えず、当座預金付利もマイナス0・1%で据え置いた。国債購入のペースも従来通りの「年約80兆円をめど」とした。
そして2%のインフレ目標を変更していない。その目標が達成できるとは考えにくいので、このままズルズルと緩和政策が続き、当座預金残高が増えていくだろう。そして、国債の高値購入により、日銀保有国債の簿価と償還額(額面値)との差も拡大していくだろう。
そうなれば、想定される損失はさらに膨れ上がり、金融緩和からの脱却はさらに難しくなる。いま必要なのは、できるだけ早く脱却の準備を開始することだ。

30- 立憲デモクラシーの会 声明(全文)

 立憲デモクラシーの会のホームページに、「安倍政権による強権的な国会運営と説明責任の放棄に対する声明(全文)」が掲載されましたので紹介します。

  (関係記事)
6月28日 立憲デモクラシーの会が声明 強権的国会運営は国民無視の暴挙と
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安倍政権による強権的な国会運営と説明責任の放棄に対する声明

2017年6月18日、数多くの深刻な問題や疑念を残したまま、通常国会が閉じられた。立憲デモクラシーの会は、「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)の審議入りに先立つ3月15日に同法案への反対を表明し、「立法の合理性・必要性に深い疑念の残る法案を十分な説明もないまま、数の力で無理やり押し通せば、日本の議会制民主主義に対する国民の信頼をますます損なう」と警鐘を鳴らしたが、この懸念が現実のものとなってしまった

形式的に審議時間を消化すれば足りるという態度で、法務省刑事局長を政府参考人として常時出席させて金田勝年法務大臣の代わりに答弁をさせ、最後は参議院法務委員会の審議を一方的に打ち切り、委員会採決を省略し、数の力に任せて本会議で可決させる暴挙に至ったことは、共謀罪法が、政府さえその合理性や必要性をまともに説明することができない悪法であることを明らかにした。立憲デモクラシーの会はひきつづき、このように正当性を欠いた共謀罪法が悪用されないよう注視し、その廃止を求めていく。

政府与党が、両院における圧倒的な議席数を恃みに説明や説得への努力を放棄したことがもたらした議会政治の劣化は、今般の通常国会でついに「国会崩壊」と言わざるを得ないレベルまで進んだ。資質や能力において不適格というほかないのは、共謀罪法案審議に際しての金田法務大臣だけではない。稲田朋美防衛大臣松野博一文科大臣山本幸三内閣府特命担当大臣らも、南スーダンPKO活動「日報」問題や森友学園・加計学園問題などに関して、何の論理も誠意も見受けられない答弁、さらには明白な虚偽答弁を繰り返してきた。そして、これら適格性を欠いた大臣の任命責任と内閣全体の説明責任の放棄は、いずれも安倍晋三首相が直接その責めを負うべきものである。

さらに今国会、目に余ったのは、不都合な事実の説明を免れようと、公文書、公的意味を持つ文書の隠蔽や廃棄が横行したことである。このことは安倍政権の下、議会制民主主義のみならず、法の支配や行政の透明性・公平性の原則が大きく歪められていることを示しており、まさに森友学園・加計学園問題において、首相とその側近や夫人による公権力や国有財産の私物化が疑われていることにも通底する、安倍政権の体質そのものに関わる問題である。

国会、ひいては国民に対して説明責任を果たそうとしない安倍政権のふるまいは、公権力が私的な人間関係により簒奪されているとの疑惑を深めている。新たな文書の存在が明らかとなったにもかかわらず、閉会中審査や関係者の証人喚問を拒絶しとおして「疑惑隠し」をもくろむなど、国民主権を無視した暴挙である。すでに野党議員が憲法53条の定めに従って臨時国会の召集を求めた以上、内閣は速やかに臨時国会を開き、説明責任を果たさなければならない
2017年6月26日
立憲デモクラシーの会

2017年6月29日木曜日

野党4党は稲田防衛相の罷免を要求 安倍首相の異常な寵愛の破綻

 稲田防衛相は27日夕方、都議選・自民党候補の応援演説で、「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としても(支持を)お願いをしたい」と呼びかけましたが、自衛隊員は法律で政治的行為を制限されているので、あってはならない発言でした。
 稲田大臣は、同日夜遅く記者団に対し「誤解を招きかねない発言」に関して撤回したいとし、「防衛省・自衛隊に限らず政府の機関は政治的にも中立であって、特定の候補者を応援することはあり得ない」と述べました。
 しかし稲田氏は演説直後にはなぜ記者たちが大勢集まっているのかを理解できずにいたといいますから、これは白々しい発言というしかありません。

 民進、共産、自由、社民の野党4党の国会対策委員長らは28日夕方、国会内で会談し、稲田大臣の発言は、公職選挙法や自衛隊法に違反しており、見過ごすことはできないとし、稲田大臣の罷免を求めていくことを確認しました。
 実際稲田氏のお粗末さは金田法相と双璧をなすもので、その無様な発言の数々は枚挙にいとまがありません。
 今回の発言も撤回で済むようなものではなく 本来であれば即刻罷免されるべきものですが、そうすると直ちに安倍首相の任命責任が問われるのでそれもできないというわけです。八方ふさがりとはこのことで、この点でも安倍政権は躓きを深めました。
 何よりも稲田防衛相については自衛隊員たちからも不適格者だとして怨嗟の声が上がっているということですから、人選を誤った安倍首相の任命責任は免れません。
 
 そもそも稲田氏を買い被り将来の総理候補だとして次々と枢要な地位につけてきたのは安倍首相でした。それがこんなにお粗末な人間であったのかと日々国民の前に明らかにされているわけで、まさに安倍首相の無能力を証明するものです。まことに自業自得というべきです。
 NHKニュースとLiteraの記事を紹介します。
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野党4党の国対委員長 稲田防衛相の罷免要求を確認
NHK NEWS WEB 2017年6月28日
民進党や共産党など野党4党の国会対策委員長らが会談し、稲田防衛大臣が東京都議会議員選挙の自民党候補の応援演説で「防衛省・自衛隊としてもお願いしたい」と述べたことについて、自衛隊を政治利用するかのごとき発言を行うような人物を防衛大臣の要職にとどめることは許されないとして、安倍総理大臣に対して、稲田大臣の罷免を求めていくことを確認しました。
稲田防衛大臣は、27日、東京都議会議員選挙の自民党候補の応援演説で、「防衛省・自衛隊としてもお願いしたい」と述べて投票を呼びかけ、その後、発言を撤回しましたが、野党側からは批判が相次いでいます。

民進党、共産党、自由党、社民党の野党4党の国会対策委員長らは28日夕方、国会内で会談し、稲田大臣の発言は、公職選挙法や自衛隊員の政治的行為を制限している自衛隊法に違反しており、見過ごすことはできないという認識で一致しました。
そのうえで、野党4党は「自衛隊を私物化し、政治利用するかのごとき発言を軽々に行うような人物を防衛大臣の要職にとどめることは断じて許されない」として、安倍総理大臣に対して、稲田大臣の罷免を求めていくことを確認しました。

また、安倍総理大臣の任命責任を問う必要があるとして、速やかに予算委員会の閉会中審査や臨時国会の召集に応じるよう、改めて求めていくことを申し合わせました。

民進 山井氏「首相がかばうのは問題」
民進党の山井国会対策委員長は会談のあと記者団に対し、「稲田大臣の発言は、懸命に職務にあたっている自衛隊員に対し、大変失礼だ。これ以上、自衛隊員や国民に迷惑をかけないよう、安倍総理大臣は稲田大臣を更迭すべきだ。安倍総理大臣がこの期に及んでかばい続けるのは問題だ」と述べました。

共産 穀田氏「辞めてもらうしかない」
共産党の穀田国会対策委員長は会談のあと記者団に対し、「稲田大臣自身が問題の性格をまったく理解していないのではないか。稲田大臣は辞めてもらうしかなく、安倍政権を打倒するという本格的な戦いが、いよいよ求められている」と述べました。


こんな稲田朋美を「弁舌に一目惚れ」「次の総理」と
安倍首相の異常な“ともちんラブ”を改めて振り返る
Litera 2017.06.28
「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」──。昨日、都議選の自民党候補者の応援演説でとんでもない発言を行った稲田朋美防衛相。言わずもがな、自衛隊員は政治的行為が制限され、自衛隊法でも《特定の政党など支持する目的で職権を行使できない》と定められており、同時に公務員の選挙運動を禁じた公職選挙法違反発言だ。いや、それ以前に、防衛相が自衛隊を政治利用することなどもってのほかで、失言では済まされない大問題だ。
 だが、驚くべきことに、弁護士であるはずの稲田防衛相は発言後も問題と認識していなかったようで、演説直後は集まった報道陣に「どうしてこんなにたくさんいらっしゃるんですか?」と反応。夜中になってようやく事態の大きさに気づいて、しどろもどろになりながら発言を撤回したが、「これからもしっかりと職務をまっとうしたい」と辞任は否定した。
 稲田防衛相といえば、南スーダン派遣部隊の日報隠蔽に白紙領収書、森友学園疑惑に絡んだ国会における虚偽答弁など問題に問題を重ね、そのたびに大臣としての資質が問われてきた。本来なら「自衛隊としてもお願いしたい」発言など、「即刻、辞任」どころか「罷免」もの。今回ばかりは新聞だけでなくテレビも「問題あり」として大々的に報じている。
 にもかかわらず、信じがたいことにこの期に及んで安倍首相は稲田防衛相の「続投」を指示。稲田防衛相を辞任させれば、さらに政権にダメージが加わるのはもちろん、必ず総理の任命責任が問われ、自分にはね返ってくるからだ。

 たしかに、それも当然だろう。なにせ、稲田氏が当選4回で分不相応な大臣ポストまで登り詰めたのは、安倍首相の異様な寵愛と引き立てがあったからだ。いや、それだけではなく、安倍首相がいなければ稲田氏は政治家になることなどなかったのだから。稲田氏自身もこう語っている。
安倍さんがいなかったら私は政治家になっていません。思想信条はほとんど一緒。総理は話しやすいし、相談しやすい人です」(「週刊文春」2015年10月15日号/文藝春秋)

稲田氏の弁舌に一目惚れした安倍首相、政界入り後の異常なひいきぶり
 極右運動家を父親にもつ稲田氏だが、本人が言うには、「まったく政治に興味のない人間だった。新聞もろくに読まないし、政治についての意見などまったくなかった」(「The SEIRON WOMAN」産経新聞社)。彼女が保守に目覚めたのは、子育て中のこと。夫が講読していた産経新聞や「正論」(産経新聞社)を読みはじめ、藤岡信勝が主宰する自由主義史観研究会にも入会。「正論」などの読者欄投稿者となり、そこで生まれた縁から弁護士として百人斬り訴訟などに参加するようになっていったことだ。
 そんな極右道を爆走するなかで、運命の出会いが待っていた。当時、自民党幹事長代理だった安倍氏が、稲田氏に声をかけて自民党若手議連の勉強会に講師して招いたのだ。前出「週刊文春」では、安倍氏の側近議員が当時のことをこのように証言している。
「安倍さんは稲田さんの弁舌に一目ぼれした。女性の保守という点も珍しいと評価していた」

 そして安倍氏は、2005年の郵政選挙の刺客候補として稲田氏に出馬を自ら要請。初当選を果たした稲田氏は政治家の道を歩むようになったが、とくに安倍氏が稲田氏を重宝しはじめたのは下野時代だ。稲田氏は“ハガキ職人”として腕を鳴らした極右雑誌に登場しては安倍氏と同じように歴史修正主義発言を連発し、2009年に安倍氏が『創生「日本」』の会長に就くと稲田氏は事務局長代理を務めた。
 また、その一方で稲田氏は安倍派の“ヤジ将軍”として活躍。当時の民主党・菅直人首相にも「官僚の原稿を読まないで自分の言葉で答弁しろ」(いまならそっくりそのまま稲田氏に返したい一言だ)と迫るなど、ネット保守からの人気も高まっていった。
 そうして、安倍氏が2012年12月に政権を奪取すると、副大臣や政務官経験もない稲田氏をさっそく行政改革担当相に抜擢。つづけて公務員制度改革担当相に任命し、稲田氏は現在、加計学園問題の真相究明の大きな弊害となっている内閣人事局を発足させた。ちなみに稲田氏自らが「内閣人事局」と筆で書いた看板はあまりの字の下手さに「毎日見るのはしんどい」と職員からも苦情があがる代物だったが、それも安倍首相は「みずみずしい筆遣い」と評価。さらに、安倍首相は稲田氏を「次のスター」にするべく、2014年9月に自民党政調会長という党3役のポストに就かせたのだ。
「稲田は安倍首相の後継者」「日本初の女性宰相か」と騒がれはじめたのはこのころからだが、実際、安倍首相も稲田氏を「ポスト安倍」として育てようと財界人との会食にも同席させ、2015年1月には「財政再建に関する特命委員会」委員長に任命するなど、経験を積ませていた。

 一方、稲田氏は同年のアメリカ訪問時に「真のチャンピオンとは決して倒れない人ではなく、倒れても立ち上がる人」「安倍総理はその生きる証しだ」などと猛勉強した英語で安倍首相のアピールに回るなど、“愛情返し”に必死になってきた(「週刊現代」15年10月24日/講談社)。しかし、肝心の財政再建特命委では財務官僚の言いなりとなり、稲田氏の「能力不足」が党内から指摘されるように「総理の意向」を振りかざすことからも評判は悪く、経産相のポストを考えていた安倍首相も折れざるを得なくなり、同年10月の第三次安倍改造内閣では政調会長に留まった。
 だが、それでも稲田氏が総理を目指していることを公言してきたように、安倍首相の下では自分は次期首相候補なのだと信じてきたのだろう。稲田氏は総理になるための地盤固めだと言われたが、安倍首相もこの計画に賛成していたといい、稲田氏からの要望を受けて安倍首相直々に福井駅の視察までおこなっている。

ポンコツぶりを次々露呈も揺るがないともちんラブ
 そして昨年、安倍首相は悪夢のような人事を決行する。“命を捨てて国を守れ”と繰り返し口にしてきた稲田氏を、よりにもよって防衛相に任命したのである。この人事には、中国や韓国のみならずアメリカのワシントン・ポストほか多くの海外メディアが「極右」として稲田防衛相を紹介、警戒感を示した。しかし、そんな批判は安倍首相にとって想定内だったはずで、それよりも自分と同じ思想をもつ稲田氏に自衛隊トップを張らせたかったのだ。

 それでも、安倍首相が計算外だったのは、一目ぼれした稲田氏の「弁舌」が、まったくの役立たずだったことだろう。
 それが如実に表れたのが、南スーダンへの自衛隊派遣問題だ。稲田防衛相はそれまでも過去の極右発言を追及されて涙目になるなど狼狽えっぱなしだったが、昨年9月30日に自衛隊宿営地周辺で戦闘行為が起こったのかと国会で追及を受けても、まともに答えられないという失態を演じた。
 当時の「週刊現代」によると、同日夜、安倍首相は今井敬・経団連名誉会長と会食したが、なぜか意気消沈していたといい、自民党幹部議員はその理由を「昼間、ともちんがいじめられたからじゃないか」と分析している。
「ともちんをいじめから守らなくては」と安倍首相は考えたのだろうか。その数日後の同年10月3日には、野党から「米軍が日本に駐留する理由は米国の利益であり、日本を守るためではない」という過去の発言について追及された稲田防衛相に対し、安倍首相は「打撃力だね、打撃力」と助け船を出している場面が見られた。それを受けて稲田防衛相は「たとえば打撃力、そういった点においてもアメリカとの同盟は重要」と答弁したのだが、安倍首相に助けてもらわなければ答えられないとは、どれだけ稲田防衛相が低レベルなのかという話だ。

 しかも、今年に入り、前述したスーダンPKO日報隠蔽や森友学園問題の虚偽答弁などで、稲田防衛相が火だるまになった後も、安倍首相はそのまま守り続けるつもりだったのではないか、との見方もある。
8月の内閣改造で更迭するという見方の一方で、永田町では、首相周辺から稲田氏を批判する声が全く聞こえてこないことから、留任させるつもりなんじゃないかという見方が流れていました」
 そして、今回の「自衛隊として」発言で自民党内からも「稲田氏はアウト」という声が上がっても、前述のように、安倍首相は稲田防衛相を辞任させるつもりはさらさらない。
「加計学園問題で支持率が急落して、都議選の大苦戦が伝えられているところに、このタイミングで稲田防衛相を辞任させたら、さらに報道が大きくなり、選挙はもっとひどい結果になる。そうなると、自身の任命責任論に発展し、政権が大きく揺るぎかねない。そこで、国会が開いていないのをいいことに、8月でなんとかごまかし、内閣改造でこっそり稲田防衛相や金田勝年法相を更迭してしまおうという作戦にしたようです」(大手紙記者)

 内閣改造でガラガラポンにすればいいと高をくくる安倍首相。だが、何度でも言うが、稲田防衛相に政治家としての資質などかけらもない。ただの極右雑誌ハガキ職人のネトウヨ弁護士を防衛相にまで引っ張り上げたのは、安倍首相なのだ。稲田防衛相の罷免はもちろん、自らの任命責任もしっかり取ってもらわなくてはならないだろう。(編集部)