2020年10月31日土曜日

首相の学術会議介入 違憲・違法の核心つく 志位委員長

  所信表明演説に対する衆・参院での各党の代表質問が終わりました。

 そこで感じられたことは、最重要問題である日本学術会議会員の任命拒否問題を見ても、野党側がいくら理を尽くしてそれが憲法違反・法律違反の行為であることを詳細に説明しても一切受け入れることがなく、しかも提起された論理に沿って反論するのではなく、ひたすらそれとは無関係な、当初考え付いた言い訳を繰り返すだけで、問答無用に「違憲・違法な行為ではない」、「結論は変えない」と強弁するというものでした。
 「何を言おうとも、全く何も伝わらない」というのは『既視感』などという生易しいものではなく、安倍政権時代に我々が嫌というほどTV中継で毎回繰り返されてきたものですが、同じことが菅政権でも再現されることになりそうです。

 菅氏は前政権では官房長官として7年半余り、記者たちから何を糺されても「批判は当たらない」、「問題ない」の一言で全ての問題案件を「議論停止=思考停止」させることでしのいできました。
 それは多分彼一流の周到な思考からそうした門前払いの手法を選んだのだろうと理解されてきましたが、実はどうもそうではなくもともと論理的思考・議論が苦手というのが真相でないのかと思うしかなくなりました。そうでなければ人間はあれほどまでに「没論理的」になれるものではありません。また没論理的であれば結果的に遵法精神に欠けることになるのは自明のことです。
 29日、共産党の志位和夫委員長は衆院の代表質問で、菅首相による日本学術会議への人事介入、緊急の課題となっている新型コロナ対策について真正面から糾しましたが、菅首相は日本学術会議への人事介入について聞かれたことにまともに答えず、開き直りの答弁を連発しました。コロナ対策の問題、暮らしと営業を支える3つの緊急提起でも全く同様でした。
 それはどんなに理を尽くして緻密に説いても、それを理解する「能力」がないのではないかと思わせるものでした。ツイッター界では、志位委員長による代表質問が評価され逆に菅首相の答弁に批判が集中し、関東地方で一時「トレンド」入りしたということです。
 遵法精神に欠け、論理的思考が苦手ということであれば国のトップは務まりません。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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首相の学術会議介入 違憲・違法の核心つく コロナ対策 焦眉の課題は
志位委員長の代表質問 衆院本会議
                       しんぶん赤旗 2020年10月30日
 日本共産党の志位和夫委員長は29日の衆院本会議の代表質問で、菅義偉首相による日本学術会議への人事介入、緊急の課題となっている新型コロナ対策について真正面からただしました。菅首相は日本学術会議への人事介入について、聞かれたことにまともに答えず、開き直りの答弁を連発。コロナ対策でも従来通りの答弁を繰り返すだけで、国民の苦難に寄り添う姿勢は示しませんでした。

■学術会議法に真っ向違反 独立性・自主性を侵害
 志位氏は、任命拒否が日本学術会議法に真っ向から違反していることを、各条文を引いて批判しました
 日本学術会議法は、学術会議の政府からの独立性を幾重にも保障しています。同法では▽学術会議は、政府から「独立して…職務を行う」(第3条)▽政府に対してさまざまな「勧告」を行う権限が与えられている(第5条)▽会員は、学術会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」(第7条)▽病気等で辞職する場合には、「学術会議の同意」が必要(第25条)―とされています。
 さらに第26条では、「会員として不適当な行為」があった場合ですら、退職には「学術会議の申出」が必要とされるなど、実質的な人事権は全面的に学術会議に与えられています。
 志位氏はこれらを踏まえ、1949年の日本学術会議の創設時、当時の吉田茂首相が明言したように「高度の自主性が与えられている」ことを認めるかと迫り、「6人の任命拒否は、学術会議の独立性・自主性への侵害であり、日本学術会議法違反であることは明瞭だ」とただしました。
 菅首相は、今回の任命が「学術会議法に沿って打ち出したもの」とするだけでまともに答えることができませんでした。
 志位氏は、学術会議の独立性が損なわれないかが大問題になった1983年の会員の公選制を推薦制に変えた同法改定時、政府が首相の任命は「全くの形式的任命」「実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右することはしない」「推薦していただいた者は拒否しない」と繰り返し答弁していたことを示し、6人の任命拒否が政府答弁のすべてを覆すものだと強調。「法律はそれを制定する国会審議によって解釈が確定するのであり、政府の一存で勝手に解釈を変更すれば、国会審議は意味をなさなくなる」と追及しました。
 菅首相は「解釈変更ではない」と強弁し、「推薦の通りに任命しなければならないわけではない」などと言い逃れに終始しました。

■憲法15条による任命拒否合理化は天につばするもの
 菅首相は、任命しないことはありうると強弁する際、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」とする憲法15条1項を持ち出しています
 志位氏は、憲法15条1項は、公務員の最終的な選定・罷免権が主権者である国民にあることを規定したものであり、それをいかに具体化するかは国民を代表する国会で個別の法律で定められるべきものだと指摘。日本学術会議の会員の選定・罷免権を定めた日本学術会議法に反した任命拒否こそ憲法15条違反だとし、「憲法15条を持ち出してそれを合理化するなど、天につばするものではないか」とただしました。
 菅首相はこの指摘に一切答えず、憲法15条を6度も持ち出して同じ説明を繰り返すだけでした。
 志位氏は、かつて政府が憲法15条の解釈で「明確に客観的に」「非常に不適当である場合」に限って任命しない場合もありうると答弁してきたと紹介。首相が任命拒否した6人が「不適当」かどうか、理由も明らかにせず任命拒否することは「6人に対する重大な名誉毀損(きそん)になる」と強調しました。
 菅首相は、「人事」に関することだとして理由の説明を拒否したにもかかわらず、「名誉毀損にあたると考えていない」などと断言しました。
 さらに志位氏は、菅首相が学術会議の推薦名簿は「一部の大学に偏っている」「民間、若手が極端に少ない」「多様性が大事」などと非難し始めたことについて、「それならば、なぜ50代前半の研究者、その大学からただ一人だけという研究者、比重の増加が求められている女性研究者の任命を拒否したのか」と追及。菅首相は「任命権者として判断した」などと居直りました。
 志位氏は、首相が勝手に「選考・推薦はこうあるべき」という基準をつくって任命拒否をはじめれば、「学術会議にのみ与えられた選考・推薦権は奪われ、学術会議の独立性は根底から破壊されてしまう」と批判しました。

■学問の自由を二重に侵害する
 任命拒否は、憲法23条が保障した「学問の自由」を侵害するものです。
 志位氏は、菅首相が任命拒否は「学問の自由と関係ない」と述べていることに触れて「憲法が定めた学問の自由の保障をどう理解しているのか」と追及。学問の自由は、大学、学会など科学者の自律的集団に保障される必要があり、科学者集団の独立性・自主性の保障なくして科学者の自由な研究もありえないと強調しました。
 その上で、「理由を明らかにしないままの任命拒否は個々の科学者に萎縮をもたらし、自由な研究を阻害する」と指摘。日本の科学者を代表する日本学術会議の独立性への乱暴な侵犯であり、「総理の任命拒否は学問の自由を二重に侵害するものだ」と批判しました。
 菅首相は「学問の自由は広く国民に保護されたもの」と述べつつ、憲法15条を持ち出して「任命権の行使が、会員等が個人として有している学問の自由に影響を与え、これを侵害することや会議の職務の独立性を侵害することになるとは考えていない」と強弁しました。
 さらに志位氏は「日本国憲法が思想・良心の自由や表現の自由と別に、学問の自由の保障を独立した条項として明記した理由がどこにあると認識しているのか」とただしました。
 1930年代、滝川事件や天皇機関説事件など政権の意に沿わない学問への弾圧が、すべての国民の言論・表現の自由への圧殺につながっていったと指摘。「科学者が戦争に総動員され、侵略戦争の破滅へと国を導いた。憲法に明記された学問の自由の保障が、歴史の反省の上に刻まれたものだ」と訴え、「この問題は日本学術会議だけの問題ではなく、全国民にとっての大問題です。強権で異論を排斥する政治に決して未来はありません。日本共産党は違憲・違法の任命拒否の撤回を強く求める」と迫りました。
 菅首相は、学問の自由が旧憲法下で圧迫されたことを踏まえ、明文で保障したものだと答えましたが、任命の変更は考えていないと改めて主張しました。

■PCR検査と医療の拡充が最大のカギ
 再拡大が危惧されている新型コロナウイルス感染症の対策をめぐって、志位氏は「PCR検査と医療の抜本的拡充が、感染防止と経済活動を両立させる最大のカギだ」と述べ、政府対応の二つの問題点をただしました。
 一つはPCR検査の立ち遅れです。日本での同検査の実施数は、人口比で世界152位にとどまっています。
 志位氏は、無症状感染者の把握・保護を含めた積極的検査への戦略的転換を行うべきだと強調。国の責任で、感染が急増しそうな地域への網羅的検査や、病院・介護施設などでの社会的検査、感染追跡を行う専門員の増員など保健所の体制強化、全額国庫負担による検査の仕組みづくりを行うよう求めました。
 菅首相は、「他国とは感染状況が異なる」「全体として検査体制は向上している」としてPCR検査の遅れを認めませんでしたが、検査体制強化の必要性は認めざるをえませんでした。
 志位氏は次に、感染拡大に伴う経営悪化などで医療機関が疲弊しきっている問題を告発。日本病院会など3団体の調査報告書は、国からの十分な支援がなくては「地域医療が崩壊する危険性すらある」と訴えています。
 志位氏は「総理は『医療従事者への感謝』と言うが、それなら医療機関への減収補てんに踏み切るべきだ」と主張。新型コロナとインフルエンザの同時流行への体制づくりを進めるためにも不可欠だと迫りました。
 菅首相は1次・2次補正予算での支援を述べるだけで、患者の受診控えで経営が悪化する多数の医療機関への減収補てんにはまったく触れませんでした。

■暮らしと営業を支える三つの緊急提起
 志位氏は「新型コロナの長期化で、事業と雇用の危機は深刻だ」と指摘しました。31万社を超える中小企業が廃業を検討し、8月の雇用者数はコロナ前より117万人減ったままだとして、「放置すればコロナ恐慌を引き起こしかねない」と強調し、次の3点を緊急に実行するよう提起しました。
 第1は、休業支援金は予算の5%、家賃支援給付金は2割しか支給が決まっていない実態を踏まえ、ただちに是正し、実効ある措置をとることです。第2は、事業者の「年を越せない」「事業継続をあきらめざるをえない」という声を紹介し、雇用調整助成金のコロナ特例の延長、持続化給付金の第2弾の実施、家賃支援給付金の延長と生活困窮者のための貸付金の延長、返済免除の拡充、国が数千億円規模を出資しての「文化芸術復興基金」の創設です。第3に、消費税の5%減税と経営困難な中小業者に対する2019年、20年の消費税免税です。
 菅首相は「雇調金の延長は適切に判断する」と回答。その他の支援策については「雇用情勢や経済動向などを踏まえる」と述べ、踏み込んで回答しませんでした。
 志位氏は、菅首相が自己責任を繰り返すもとで「国民は十分すぎるほど自助努力をしている。政治の仕事は『公助』。暮らしを守るために公の責任を果たすことに尽きる」と主張しました。しかし、菅首相は「国民の創意工夫を大切にしたい」というだけで、国民の窮状を理解しない姿勢を示しました。

志位氏質問「トレンド」入り 「首相たじたじ、勝負あり」
 インターネットの短文投稿サイト・ツイッターでは、日本共産党の志位和夫委員長による29日の衆院本会議での代表質問への反響や今後の追及への期待の声が相次ぎ、関東地方では一時、話題に上る頻度が上位を占めたことを示す「トレンド」に入りました
 志位氏が、「多様性が大事」だと言う菅義偉首相が50歳代の若手や女性の研究者の日本学術会議会員任命を拒否した矛盾を追及した部分の動画には「流石(さすが)」との投稿が。「この後すっきりした回答が得られない事が非常に残念。総理には早急に退場してもらいたい」と続けています。
 学術会議推薦の名簿を「見ていない」のに会員に「偏り」があるなどと任命拒否を正当化する菅氏の矛盾を追及したことにも、「『名簿を見ていない』なら、『メンバーに偏りがあった』こともわからないはず。もし、『メンバーに偏りがあったので外した』という報告を受けたなら、それもまた問題(権限のない人間が勝手に行ったことになる)」と指摘し、「正直、志位首相で十分です」との投稿も。
 また、コロナ禍のもとでも「自助」などと自己責任論を強調する首相に対し、志位氏が「コロナのもとで多くの国民は十分過ぎるほどの自助努力をやっていますよ。政治の仕事は公助だ」と主張したことにも、「あくまで自己責任論を基本とする菅氏に対する質問の締め括(くく)りが本当に素晴らしかった」との感想も上がりました。
 党本部にも、「学術会議問題での志位さんの鋭い追及に菅首相はたじたじで、憲法15条を繰り返すだけだった。勝負ありです。予算委員会では徹底的に追及してほしい」などの声が寄せられました。

NHKにあの 百地章氏 出演 「国営放送」に堕したか(J-CASTニュース)

  タイトルに 「あの百地章氏」とあるのは、15年の安保法案をめぐり、当時の菅官房長官が「集団的自衛権(の使用)をまったく違憲じゃないという、著名な学者200人以上いる」と言ったものの、その名前を問われると3人しか挙げることができず、そのうちの1人が百地氏だったからでした。百地氏は安倍前首相のブレーンの1人で、右翼組織・日本会議(「日本学術会議」ではアリマセン)の政策委員を歴任した人です。

 日本学術会議会員の任命拒否が合法であるかについての見解を法学者に聞けば、合法であるとする人の比率は多分安保法案の際の比率と同じようなものになると思われます。それなのに29日放送のNHK「ニュースウォッチ9」が、日本学術会議前会長・山極氏のインタビューを報じた際に、前会長のインタビューのあとに百地章氏の任命拒否賛成の発言を紹介しました。
  ⇒ (NHK 29日)【学術会議】山極前会長「2年前も難色 理由示さず恐ろしい」
    (NHK 29日)【学術会議】憲法専門の百地氏「首相の任命権 自由裁量ある」
 百地氏の言い分は要するに「総理大臣の任命権は、学術会議の推薦に拘束されるものではなく、ある程度の自由裁量はある」、「法律の解釈は変わていない」として、「学術会議そのものにも問題があると考える人たちも増えている」、「学問の自由を侵し萎縮を招くといった批判はナンセンス。学術会議の会員になれなかったからと言って、学問の自由は侵害されない」という、菅首相の言い分を100%肯定するものでした。ネトウヨの主張そのものといった方が良いかも知れません。
 NHKが山極前会長のインタビューに対置してわざわざそんなカウンター意見を報じたことに、ツイッター界では批判が沸騰しました。法学者間で「数千人(数万人?)対 数人」もの差がついている意見を等値化したかの様に扱ったのですから当然の批判です。
 J-CASTニュースが報じました。

 かつて安倍政権は、政治問題で反対意見等を報じる場合には必ず併せて賛成意見も報じるようにとメディアに通達しました。その辺のバランスは当然メディアはケースバイケースで考えているので、それを一律に強制するというのは報道に対する違法な介入です。その大元は当時の菅官房長官なので今度もNHKは敢えて忠実に実行したものと思われますが、ここまでくると笑い話です。

 菅氏は学問の自由への介入だけでなく、報道への介入も様々にやってきました。
 安倍政権亜流の菅政権には一刻も早く去ってもらい、国のあらゆるゆがみをリセットしたいものです。
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NHK、あの「百地章」氏出演の波紋 「国営忖度放送」に堕したか、巧みな「方便」か
                     J-CASTニュース 2020年10月30日
菅義偉首相が日本学術会議が推薦した法律・歴史学者6人を任命しなかった問題で、NHKのニュース番組に登場した「識者」の人選をめぐり、波紋が広がっている。番組でコメントしたのは、百地章・国士舘大学特任教授。2015年に可決・成立した安全保障関連法について、違憲ではないとの見解を表明していた数少ない憲法学者だ。
多数の学者が学術会議の問題についてコメントする中、百地氏は、今回の問題ではほとんどメディアに登場していない。番組で強引に両論併記の体裁をつくろうとするための登場だとして批判的な見方がある一方で、あえて「バランサー」を仕込むことの意義を指摘する声もある。

3人しか挙がらなかった「安保法制を違憲じゃないと発言している憲法学者」
百地氏の知名度が比較的上がったのが15年の安保法案をめぐる攻防だ。当時は官房長官だった菅義偉首相が記者会見で、集団的自衛権について「『まったく違憲じゃない』という、著名な学者もたくさんいらっしゃる」と述べたことを受け、辻元清美衆院議員が衆院安保法制特別委員会で、
「200名以上の方が、この法案は憲法違反だという声明を上げている」
「違憲じゃないと発言している憲法学者の名前を、いっぱい挙げてください」
と質問。菅氏が名前を挙げられたのは3人だけだったが、その1人が百地氏だった。
議論を呼んだのは、20年10月29日放送の「ニュースウォッチ9」と「NHK クローズアップ現代+」。このうち「ニュースウォッチ9」では、20年9月まで日本学術会議の会長を務めた山極壽一氏がインタビューで登場し、18年に定年で会員の補充が必要になった際、学術会議側が検討していた候補について官邸側が難色を示したことを明かした。当時の経緯を
「杉田(和博)官房副長官が、様々なことを決定していたのだと思う。私は面会(の依頼)を何回も申し上げた。ところが『来る必要はない』ということだ」
などと説明し、
「今度の任命拒否が、これをきっかけにして様々なところに広がる。つまり、任命権者が、これを認めないと言ったら、理由もつけずにそれが通るんだ、という広がりはしないか人事まで国が介入してくるとなると、これはやっぱりアカデミア、特に大学の自立性というものが大きく阻害されると思う」
などと今後の懸念を表明した。

大手紙・主要地方紙にコメントしたのは産経新聞「正論」欄のみ
番組では続いて、坂井学・官房副長官による
「ご指摘の報道は承知している。お尋ねは人事にからむということもあり、お答えは差し控えさせていただきたい」
という記者会見での政府答弁を紹介し、直後に
「憲法が専門の百地章・国士舘大学特任教授は、6人が任命されたなかったことについて、『任命拒否はありうる』として、次のように指摘しました」
というナレーションとともに百地氏が登場した。前出の安保関連法案をめぐる経緯は説明されなかった。
百地氏は
「首相の任命権は、学術会議の推薦に拘束されるものではないから、ある程度の自由裁量はある。裁量権を行使して、全体の構成、バランス、政治的中立性等を配慮して、あのような拒否をしたということで、私は妥当だと思っている
などと持論を展開。
「学問の自由を侵し萎縮を招く」という批判に対しては、
「まったく、私から言わせるとナンセンスであって、学術会議の会員になれなかったからといって学問の自由が侵害されますか 自由に何でもできるわけでしょ? それはちょっと、考えすぎではないか」
と主張した。百地氏がコメントしたのは1分20秒ほど。この日本学術会議に関する項目で、識者として登場したのは百地氏だけだった。
 NHKはこの日、「ニュースウォッチ9」直後の「NHK クローズアップ現代+」でも日本学術会議の問題を特集。「ニュースウォッチ9」とほぼ同じ内容の百地氏らのインタビューが流された。
なお、大手紙や通信社、主要地方紙、NHKニュースの記事が収録されているデータベース「日経テレコン」で調べる限りでは、百地氏がこの問題についてコメントしたのは、10月28日付の産経新聞「正論」欄のみ。「内閣には会員任命の拒否権あり」の見出しがついている。さらに、同じく「日経テレコン」で分かる限りでは、百地氏がNHKの全国ニュースに登場するのは、16年12月9日の天皇陛下の退位などを検討する有識者会議のニュース以来、約4年ぶりだ。つまり、NHKは、日本学術会議の問題については1回しか見解を出しておらず、4年近くにわたって自社のニュースに登場してこなかった人物のコメントを、あえて紹介したことになる。

小西議員「政治的公平等の放送法違反」VS山口二郎氏「世渡りも必要ということ」
百地氏のインタビュー部分はNHKのウェブサイトにも記事として掲載され、その記事を紹介したNHKニュースのツイートには、250回以上「引用リツイート」された。その大半がNHKの人選に批判的なものだ。例えば元AKB48の内山奈月さんとの共著でベストセラーになった「憲法主義 ―条文には書かれていない本質―」(PHP研究所、2014年)などで知られる、九州大の南野森(みなみの・しげる)教授は、NHKのツイートを引用しながら、
「詳しくは知らんが、異論極論珍論を言って注目浴びて両論併記枠で出演確保する学界的にはぽかん? な法学者は時々どの世代にもいる。NHK御用達」
と指摘した。
立憲民主党の小西洋之参院議員は、番組で流れたインタビューの画像とともに、
安保法制を合憲と主張する全国で数人しかいない憲法研究者の百地章氏が登場。『任命拒否は妥当、学問の自由侵害はナンセンス』など言いたい放題の垂れ流し
などとNHK批判をツイート。
「政治的公平等の放送法違反。国営忖度放送に受信料を求める法的資格はない」
と主張した。
一方で政権に批判的なことで知られる山口二郎・法政大教授は、
「NHKのクローズアップ現代を見て、現場の制作者の良心を感じた。百地を出すのはけしからんではない。この程度のバランサーを入れておかなければ、後でつぶされる。目的を実現するためには、世渡りも必要ということ」
とツイート。日本学術会議の問題を指摘するための戦術としては、百地氏の見解を紹介することも妥当だとの見方を示した。
                      (J-CASTニュース編集部 工藤博司)

31- 立命館大学 学術会議の会員任命について声明

  立命館大松宮孝明教授法務研究科)が学術会議の会員への任命を拒否されたことについて、立命館大学長が、推薦した会員候補者が任命されない理由の説明と、任命されていない方について速やかに任命を求めるとする声明を出しました。

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日本学術会議の会員任命について

 日本学術会議が推薦された新規会員候補者のうち、6名が任命されないという事態が生じ、そのうちの一人は本学の法務研究科の松宮孝明教授でした。これまでの任命方法とは異なる運用が行われたにも関わらず、現在に至るまで適切な説明がなされず、今日に至るまで定員が充足されていない状況は正常とは言えず、憂慮しています。
 立命館大学の学長として、日本学術会議が内閣総理大臣に提出された「第25期新規会員任命に関する要望書」にある通り、推薦した会員候補者が任命されない理由の説明と、任命されていない方について速やかに任命を求める要望を支持します。
 コロナ禍において、私たちは社会、生活、教育、大学をめぐる環境が一変していくという急激な変化の時代を迎えています。このような時代には、学術や大学が重要な役割を果たしていかなければなりません。私は立命館憲章に示す「学問研究の自由に基づき普遍的な価値の創造と人類的諸課題の解明に邁進する」との立場にたち、一日も早く、人類に共通する課題に、国、社会、学術の力が結集することを願っています。
                              2020年10月28日
                              立命館大学長 仲谷善雄

2020年10月30日金曜日

任命拒否正当化 菅首相発言はすべて虚偽(しんぶん赤旗 ほか)

 菅首相は26日夜のNHKのニュースウオッチ9に出演し、日本学術会議会員候補の任命拒否について、「現在の会員が後任を推薦することもできる可能性がある。結果的に一部の大学に偏っていることも客観的に見たら事実だ。『総合的、俯瞰的』と申し上げてきたが、幅広く客観的という意味合いもある。民間出身者や若手研究者、地方の会員も選任される多様性が大事だ」と理由らしきものを口にしました。
 さすがに「総合的、俯瞰的」では何の説明にもなっていないことを自覚したようですが、ここで新たに述べ立てことも勿論拒否の理由になりません。
 もともと会員推薦の基準は日本学術会議法17条で「優れた研究又は業績がある科学者」と定められていて、それ以外のものではありません。そこに個人の趣味のようなものを付け加えてみてもどうなるものでもありません。
 それでも「総合的、俯瞰的」よりはマシに思ったようで、その後の衆院とさらに参院でも繰り返しこのことに言及しているのは、現在の学術会議の実態がそうでないということを国民に暗示しようという意図に違いありません。しかし実は16日に梶田新会長が菅首相に面会した際に、現在の会員選考方式について説明し、この方式であるからこそ女性会員比率を約35%まで上昇させ、関東圏以外の研究者の割合を50%程度にまで高めたほか、ジェンダーや地域のバランスを考慮し、多様な意見をくみ上げることができる会員構成となっていること伝えてあったのでした(詳細は記事参照)。

 しんぶん赤旗は、菅首相はこうした事実を知ったうえで、意図的に事実と異なる欺瞞的な批判をしたもので、憲法23条に反し学問の自由、精神活動の自由を脅かす任命拒否について、論点をすりかえたうえ“うそ”の攻撃をしたという重大な問題であるとしています
 「学術会議会員が後任を指名することもできる」との批判も同じで、実際には後任を指名することが出来ない仕組みになっています。
 菅首相が任命拒否の理由を一向に説明しないままで、学術会議に勝手に無根拠な誹謗をするのは許されません。
 しんぶん赤旗と毎日新聞の記事それに梶田新会長のメールの全文を紹介します。
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任命拒否正当化 菅首相発言すべて虚偽 大西元学術会議会長の資料で判明
                       しんぶん赤旗 2020年10月29日
「地方の大学が少ない」「一部の大学に偏っている」などとして日本学術会議会員の多様性に問題があるかのように言い立てた菅義偉首相のNHK番組(26日夜)での発言が、事実に反することが、大西隆元日本学術会議会長が野党に提供した資料で28日、明らかになりました。首相は同日の衆院本会議でも同じ趣旨の答弁を繰り返しました。
 大西氏が提供した資料は、男女比、会員の地域分布、特定大学への集中是正の「成果」を年次ごとに示したもので、女性比率や関東以外の大学の構成比が大きく前進していることを示しています。
 菅首相は日本学術会議法が定める「優れた研究又は業績がある科学者」との推薦基準を無視し、「一部の大学に偏っている」など法律にない基準を勝手に持ち出して自らの任命拒否を正当化するという法治主義破壊の姿勢を示していましたが、持ち出した“基準”をめぐる主張そのものが事実に反することが明らかになりました。
 しかも菅首相と梶田隆章会長が16日に面談した際に、梶田氏から、会員構成の多様性を確保する取り組みの成果を報告したとする会員宛てメール(28日既報)が明らかになっています。菅首相はこうした事実を知ったうえで、意図的に事実と異なる虚偽の攻撃を行った疑いが強まりました。憲法23条に反し学問の自由、精神活動の自由を脅かす任命拒否について、論点をすりかえたうえ“うそ”の攻撃をしたという重大な問題です。
 大西氏が提出した資料によると、男女比で1997年7月が男性99%、女性1%だったものが、2020年10月はそれぞれ62・2%、37・7%と女性の比率が上昇しています。
 会員の地域分布では、97年7月に関東地方の会員の比率が68・1%、その他の地域が31・9%でしたが、20年10月では、それぞれ49・5%、50・5%になっています。
 特定の大学への集中の是正では、東京大学在職者の比率が11年10月28・1%が、20年10月に16・7%に減少しています。

 

「後任指名はできない仕組み」と反論 学術会議の梶田会長ら初の記者会見
                           毎日新聞2020年10月29日
 日本学術会議の梶田隆章会長が29日、新会員候補6人が菅義偉首相に任命拒否された問題について記者会見を開いた。6人の任命を改めて求めた上で、学術会議に関する誤った情報が広まっているとして「私どもの活動が国民の皆様に伝わっていない。正確なデータに基づいた議論をしてもらいたい」と訴えた。
 学術会議を巡っては会員の選考方法や年間約10億円の予算の使い道などについて自民党が問題視し、SNSなどでも批判の声が上がっている。任命拒否の発覚以降、菅首相や自民党の指摘に対し、学術会議が公の場で反論するのは初めて。
 会見では、同席した副会長らが会員選考の流れや活動状況を説明。新会員候補者は、会員らが推薦した約1300人の中から選考委員会など多くの過程を経て、半年かけて首相に推薦する105人を決定しているが、「後任の指名」はできない仕組だと強調した。同様の選考方式は海外の多くのアカデミー(学術機関)でも採用されているという。
 会員が一部の大学や地域に偏っているとの指摘についても、2000年に69・5%だった関東地方の会員が20年に51%に、東京大の会員も05年の50人から34人(名誉教授は含まず)に減少したと反論。女性や産業界の会員を増やすよう努力しているとした。
 会員には委員会の出席に応じた手当と旅費が支払われるだけで、手当は1人当たり年間約34万円、旅費は約6万円。一方で、直近の3年間で開いた委員会は2234回に上ったという。菱田公一副会長は「予算がなくなる時もあり、ボランティアワークが存在しているのも事実」と訴えた。
 学術会議を巡っては自民党のプロジェクトチームが組織の設置形態などを議論し、年末までに取りまとめる予定。井上信治・科学技術担当相も学術会議に対し年末までに課題を検証、報告するよう要請しているが、梶田会長は「それが最終報告になるとは思えない」とし、年明け以降も提言機能の強化などに向けて検証を続ける意向を示した。15年に有識者会議が学術会議のあり方についてまとめた報告書を基に、改善できる点などを洗い出すという。【池田知広、柳楽未来、岩崎歩】


日本学術会議の梶田隆章会長の菅義偉首相との面談についての報告メール(全文)
                       しんぶん赤旗 2020年10月28日
 日本学術会議の梶田隆章会長が20日、菅義偉首相との会談(16日)について同会議会員に報告したメールの全文は以下の通り。

 

 内閣総理大臣との面談に関するご報告

                            (2020年10月20日)

                                    日本学術会議

                            25期会長 梶田 隆章

 、10月16日(金)午後に、菅義偉内閣総理大臣に会長就任のご挨拶にうかがい、面談をいたしました。

 本来、期の初めの任命式の機会などに、総理に会長就任のご挨拶をするのが通例ですが、今期はコロナ禍のため、それがかないませんでした。

 、まず会長就任のご挨拶をし、その後、10月2日に総会が決定した、105名の会員候補者のうち6名が任命されないことの理由を説明することと、任命されていない会員候補者を速やかに任命することを要望する内閣総理大臣宛の要望書をその場で総理に手渡しし、要望を直接伝えました。その場では要望について特段の回答はいただけませんでした。

 、また加えて、今期の抱負として、科学技術が発展した現代においては、科学技術が社会に与える影響も極めて大きくなり、日本の科学者の代表機関として、各国のアカデミーや国際学術団体等と連携して、諸科学の一層の向上発達を図り、こうした社会が直面する諸課題の解決に応えていく日本学術会議の役割が一層重要になっており、その役割をよりよく果していくようにしたいと伝えました。日本学術会議において作成した提言を社会や国に広く伝えるなど、今後さらに発信力を高めていくことも伝えました。そして、現在の会員選考方式についてもご説明し、この方式であるからこそ女性会員比率を約35%まで上昇させ、関東圏以外の研究者の割合を50%程度にまで高め、ジェンダーや地域のバランスを考慮し、多様な意見をくみ上げることができる会員構成となっていることも伝えました。総理からはしっかりその役割を務めてほしいとご発言がありました。また、政府側の窓口となる井上信治科学技術政策担当大臣とも連携してほしいとのことでした。

 、日本学術会議としては、要望書に掲げた2点が実現されるよう引き続き求めてまいります。


【学術会議】山極前会長「2年前も人事に難色 理由示さず 恐ろしい」

  日本学術会議会員候補6人が任命されなかったことを巡って、山極壽一前会長が初めて取材に応じました。

 山極氏によれば18年にも、定年によって会員の補充が必要になった時に、学術会議側が検討していた候補の名前を伝えたところ、官邸から難色が示されました。この時も理由が示されなかったので、山極前会長「理由を教えて欲しい、官邸に伺うからと事務局を通じて杉田官房副長官に何度も伝えたものの回答は来る必要はない。理由も言うつもりはないとそれ一辺倒」だったので、最終的には欠員とせざるを得なかったということです。
 今回の任命拒否についても直前の9月28日の晩に内示があり大変驚いた。すぐに菅首相に宛てて理由を尋ねたものの、まったく回答が得られなかった」とのことです理由が示されなければ議論も出来ないわけで 恐ろしい対応というしかありません。
 また18年に官邸が作った「内閣総理大臣に、会議の推薦通りに任命すべき義務があるとまでは言えない 見解書も「これまで説明は受けておらず、文書の存在すら知らされていなかった」ということです。
 山極前会長は「国が人事にまで介入してくると、大学をはじめとする学術界全体の自立性が大きく損なわれかねない」と強い危機感を示しました。
 立法時(あるいは改定時)に立法府で十分に詰めた法律の解釈を、後の政府が勝手に変えていい筈がありません。野党から総批判されると今度は「解釈変更ではない」と開き直るわけです。これでは論理的な議論は出来ません。安倍内閣から菅内閣に変わって少しはマシになるかと思われたのですが、デタラメさと横暴さは全く変わっていません。

 29日参議院本会議で立民党立憲民主党の福山幹事長が、任命拒否について、かつて中曽根首相が「政府が行うのは形式的任命にすぎない」と答弁したことなどを踏まえ、「それを否定できる明確な根拠を聞かせてほしい」と糾したのに対して、菅首相は「憲法第15条第1項『公務員の選定は、国民固有の権利』が根拠だ(要旨)」と答弁しました。
 そんなデタラメ答弁で納得する人は誰もいません。一体どういう論理でそうなるのでしょうか。満足に論理的思考が出来ない人間が権勢欲だけで横暴を極めるのでは、もはや何の光明もありません。NHKの2つの記事を紹介します。
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【学術会議】山極前会長「2年前も難色 理由示さず恐ろしい」
                     NHK NEWS WEB 2020年10月29日
日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかったことを巡って、推薦の責任者だった山極壽一前会長が初めて取材に応じました。今回の件の2年前にも人事をめぐって官邸から難色が示され、理由について「言うつもりはない」といった回答しかなかったことを明らかにするなどし、「理由を示さないことが恐ろしく、学術界の自立性が大きく損なわれかねない」と強い危機感を示しました。
日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかったことを受けて、推薦の責任者で、先月まで日本学術会議の会長を務めた山極壽一さんが初めてこの件についてインタビュー取材に応じました。
この中では、今回の件よりも2年前、定年によって会員の補充が必要になった時に、学術会議側が検討していた候補の名前を伝えたところ、官邸から難色が示され、この時も理由が示されなかったということで、当時の経緯を詳細に語りました。

山極前会長は、「学術会議で議論をし直す場合は理由が必要なので、『理由を教えて下さい、そのために官邸に出向きます』と、杉田官房副長官に事務局を通じて何度も申し上げたが、来る必要はない。理由も言うつもりはない』とそれ一辺倒なので非常に困りました」と語り、最終的には欠員とせざるを得なかった状況を語りました。
そして、今回の6人が任命されなかったことについては、任期がはじまる今月1日の直前に知らされたということで、「9月28日の晩に内閣府から内示があり、6人が任命されないことを知り大変驚いた。推薦したなかに官邸が渋っている人たちがいるとうわさはあったが、文書や電話での正式な連絡は一度もなかったすぐに菅総理大臣に宛てて理由を尋ねたものの、まったく回答が得られなかった。理由があれば議論できるが、理由を示さないことが恐ろしいところだ。まずは理由を説明していただきたい」と話しました。

また、会員の任命をめぐって、今月開かれた野党の会合で、政府はおととしまとめた文書を提出し、その中で「内閣総理大臣に、会議の推薦通りに任命すべき義務があるとまでは言えないと考えられる」などとする見解を示していて、この文書について山極前会長は「これまで説明は受けておらず、文書の存在すら知らされていなかった」と話しています。
その上で山極前会長は「さまざまなところで任命権者が理由なく人事を認めないことがまかり通るようにならないか心配している。国が人事にまで介入してくると、大学をはじめとする学術界全体の自立性が大きく損なわれかねない」と強い危機感を示していました。

坂井官房副長官「答えは差し控える」
日本学術会議の山極壽一前会長が、NHKの取材に対し、2年前の会員候補の人事で官邸から難色が示され、理由が示されなかったなどと話していることについて、坂井官房副長官は、記者会見で、「人事に関することなので、お答えは差し控えさせていただきたい」と述べました。


学術会議任命「法に沿って行ったもの」菅首相 参院本会議
                     NHK NEWS WEB 2020年10月29日
国会では、参議院でも菅総理大臣の所信表明演説に対する代表質問が始まり、菅総理大臣は、「日本学術会議」の会員候補6人が任命されなかったことについて、法律に沿って行ったものであり、解釈を変更したものではないという考えを重ねて示しました。
29日は、参議院本会議で、立憲民主党と自民党が質問しました。
立憲民主党の福山幹事長は、「日本学術会議」の会員候補6人が任命されなかったことについて、かつて中曽根元総理大臣が、国会で「政府が行うのは形式的任命にすぎない」と答弁したことなどを踏まえ、「元総理大臣のことばを凌駕(りょうがする明確な根拠を聞かせてほしい。解釈を変更したのか」とただしました。
菅総理大臣は「元総理大臣の発言、答弁との関係だが、憲法第15条第1項は、『公務員の選定は、国民固有の権利』と規定しており、この規定に基づき、日本学術会議法では、会員を総理大臣が任命することとされている。今回の任命も、日本学術会議法に沿って行ったもので、法の解釈変更ではない旨は、国会において内閣法制局からも答弁しているとおりだ」と述べました。 (後 略)

立民 福山幹事長「説明にならない答弁」
立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「日本学術会議の答弁は、いよいよ迷走し始めたという感じだ。全く説明にならない答弁を繰り返している。また、新型コロナウイルスに関する、いろいろな支援策の延長についても具体的に聞いたが、明確な答えは全くなく、現場の悲鳴にも似た声が、官邸には全く届いていないのではないか。非常に残念に思った」と述べました。