2017年4月30日日曜日

憲法改正「必要」43% NHKが憲法について世論調査

 NHKが憲法について個人面接法による世論調査を行い、2643人から回答を得ました(前回は2002年に行っています)。
 
 「改正する必要があると思う」が43%、「改正する必要はないと思う」が34改正が必要とする主な理由は「日本を取りまく安全保障環境の変化に対応するため必要だから」54改正は不要とする主な理由は「戦争の放棄を定めた憲法9条を守りたいから」51)でした。
 「改正する必要がある」は前回から15ポイント減り、「改正する必要はない」は前回より11ポイント増えました。
 
 「戦争の放棄」を定めた憲法9条については、
 「改正する必要があると思う」が25%、「改正する必要はないと思う」が57改正が必要とする主な理由は「自衛力を持てることを憲法にはっきりと書くべきだから」57改正は不要とする主な理由は「平和憲法としての最も大事な条文だから」58)でした。
 「改正する必要がある」は前回から5ポイント減り、「改正する必要はない」は5ポイント増えました。
 
 憲法9条が日本の平和と安全にどの程度役に立っていると思うか聞いたところ、
 「非常に役に立っている」が29%、「ある程度役に立っている」が53%で、初めて8割(82%)を超えました。
 自衛隊は憲法で認められるものだと思うか聞いたところ、
 「認められると思う」が62%、「認められないと思う」が11前々回1992年の結果と比べると、、「認められる」が14ポイント増え、「認められない7ポイント減りました。
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NHK世論調査 憲法改正「必要」43% 「必要ない」34%
NHK NEWS WEB 2017年4月29日
日本国憲法は来月5月3日で施行から70年を迎えます。NHKの世論調査で、今の憲法を改正する必要があると思うか聞いたところ、「改正する必要があると思う」が43%、「改正する必要はないと思う」が34%でした。「戦争の放棄」を定めた憲法9条について聞いたところ、「改正する必要があると思う」が25%、「改正する必要はないと思う」が57%でした。
 
調査概要
NHKは、3月、全国の18歳以上の4800人を対象に、憲法についての世論調査をおこないました。今回は電話による調査ではなく、直接会って聞く個人面接法で実施し、551%にあたる2643人から回答を得ました。
 
憲法改正「必要」43% 「必要ない」34% 
この中で、今の憲法を改正する必要があると思うか聞いたところ、
「どちらともいえない」が17%でした。
 
同じ方法で行った憲法に関する過去の調査と比較すると、「改正する必要があると思う」と答えた人は、1974年、1992年、2002年の調査では増加を続け、アメリカの同時多発テロ事件の翌年の前回2002年は58%に上りましたが、今回の調査では前回を15ポイント下回りました。「改正する必要はないと思う」と答えた人は、前回より11ポイント増えました。
 
改憲賛否の理由は
「改正する必要があると思う」と答えた人にその理由を聞いたところ、
「日本を取りまく安全保障環境の変化に対応するため必要だから」が54%、
「プライバシーの権利や環境権など新たな権利を盛り込むべきだから」が16%、
「国の自衛権や自衛隊の存在を明確にすべきだから」が15%、
「アメリカに押しつけられた憲法だから」が12%などとなっています。
 
「改正する必要はないと思う」と答えた人にその理由を聞いたところ、
「戦争の放棄を定めた憲法9条を守りたいから」が51%、
「すでに国民の中に定着しているから」が23%、
「基本的人権が守られているから」が21%、
「アジア各国などとの国際関係を損なうから」が3%などとなっています。
 
9条改正「必要」25% 「必要ない」57%
また、「戦争の放棄」を定めた憲法9条を改正する必要があると思うか聞きました。
「改正する必要があると思う」が25%、
「改正する必要はないと思う」が57%、
「どちらともいえない」が11%でした。
 
前回の2002年の調査と比較すると、「改正する必要があると思う」は5ポイント減り、「改正する必要はないと思う」は5ポイント増えました。
「改正する必要があると思う」と答えた人にその理由を聞いたところ、
「自衛力を持てることを憲法にはっきりと書くべきだから」が57%、
「国連の平和維持活動などにより積極的に貢献すべきだから」が24%、
「自衛隊も含めた軍事力を放棄することを明確にすべきだから」が8%、
「海外で武力行使ができるようにすべきだから」が7%などとなっています。
 
「改正する必要はないと思う」と答えた人にその理由を聞いたところ、
「平和憲法としての最も大事な条文だから」が58%、
「海外での武力行使の歯止めがなくなるから」が22%、
「改正しなくても、憲法解釈の変更で対応できるから」が11%、
「アジア各国などとの国際関係を損なうから」が5%などとなっています。
 
憲法9条が日本の平和と安全にどの程度役に立っていると思うか聞いたところ、
「非常に役に立っている」が29%、
「ある程度役に立っている」が53%で、
これまでの調査の中で「役に立っている」と答えた人が初めて8割(82%)を超えました
 
自衛隊について
自衛隊は憲法で認められるものだと思うか聞いたところ、
「認められると思う」が62%、
「認められないと思う」が11%、
「どちらともいえない」が22%でした。
同じ方法で調査した25年前、1992年の結果と比べますと、「認められると思う」が14ポイント増え、「認められないと思う」が7ポイント減りました。
 
また、自衛隊が、今後どのような面に力を入れていったらよいと思うか複数回答で聞いたところ、
「人命救助や災害復旧」が90%、
「テロの防止、対策」が63%、
「他国からの侵略や攻撃に対する防衛」が62%、
「国連の平和維持活動への参加」が47%、
「同盟国と共同で行動すること」が33%でした。
 
国連の平和維持活動に参加する自衛隊について、活動の範囲が拡大され、国連の関係者などが武装グループなどに襲われた場合武器を使って助けられるようになったことについて聞いたところ、
「賛成」が23%、
「どちらかといえば、賛成」が39%、
「どちらかといえば、反対」が25%、
「反対」が8%でした。
 
安全保障への意識
日本が戦争や紛争に巻き込まれたり、他国から侵略を受けたりする危険性がどの程度あると思うか聞いたところ、
「非常にある」が24%、
「ある程度ある」が63%でした。
一方、
「あまりない」が10%、
「まったくない」が1%でした。
 
また、これらの人が憲法9条の改正についてどう考えているかをみると、「危険がある」と答えた人では、27%が「改正する必要があると思う」と答え、56%が「改正する必要はないと思う」と答えています。「危険はない」と答えた人では、13%が「改正する必要があると思う」と答え、72%が「改正する必要はないと思う」と答えています。
 
5つの事柄について、安全保障の面でどの程度脅威を感じるか聞いたところ、「北朝鮮による核開発や弾道ミサイル実験などの挑発的な行動」について、「大いに脅威を感じる」(60%)と「ある程度脅威を感じる」(33%)をあわせた、「脅威を感じる」と答えた人は93%でした。
このほか、「中国の軍事力増強や、海洋における活動の拡大・活発化」は88%、「国際テロ組織の活動が活発になっていること」は85%、「韓国との間で竹島の領有権をめぐる問題があること」は66%、「ロシアの極東における軍の施設や装備増強の動き」は59%の人が「脅威を感じる」と答えました。
 
日米安保条約に基づくアメリカとの同盟関係を今後どうしていくべきだと思うか聞いたところ、
「同盟関係をより強化していくべきだ」が27%、
「現状のまま維持していくべきだ」が56%、
「協力の度合いを今より減らしていくべきだ」が9%、
「日米安保の解消をめざしていくべきだ」が3%でした。
 
九州大学 井上武史准教授
憲法を「改正する必要がある」と答えた人の割合と「改正する必要はない」と答えた人の割合の差が前回の調査よりも縮まったことについて、改正に向けた議論を進めるべきだという立場の九州大学の井上武史准教授は、「意外な結果だ。日常生活や国の政治で特段の不都合はないという考え方が広まっているのではないか」と分析したうえで、「安全保障法制の論議をへて法律ができたことで喫緊の憲法改正の必要がなくなり、憲法を変えなくてもいいという観念が広まった可能性はある」と述べました。
 
また、憲法9条を「改正する必要はない」という回答が「必要がある」を上回り、前回の調査より差が広がったことについては、「日本の平和が保たれているという評価と、安全保障環境が厳しいと指摘されている中で、9条がなければ歯止めなしに突き進んだのではないかという評価が入り交じっている」としたうえで、「9条の中身は時代とともに変わってきているにもかかわらず変える必要がないというのは中身よりも吸引力や文言を抱きしめておきたいという感覚に近いのではないか」と指摘しました。
 
さらに、施行から70年となる憲法が果たしてきた役割について、「立憲主義に基づき民主主義や基本的人権という普遍的な価値が日本社会の基本原理であり続けてきたことは誇りに思ってよいことだ。ただ、憲法を変えることで今よりもっとよくなる可能性もある。単に憲法を守る、変えるという0か1かの議論ではなく立憲主義や民主主義をよりよくしていくという観点で憲法をみることが必要だ」と述べました。
 
東京大学 石川健治教授
憲法を「改正する必要がある」と答えた人の割合と「改正する必要はない」と答えた人の割合の差が前回の調査よりも縮まったことについて、今は憲法を変えるべきでないという立場の東京大学の石川健治教授は、「2002年は小泉総理大臣の時代で、改革がよいことだという気分と同時多発テロ事件に対する危機感とが相乗効果になって、改正が必要だという回答が多くなった」と分析したうえで、「立憲主義に対する理解が一定程度深まり、憲法は常に時代に合わせて更新しなければならないものではないという考えが広がったことがこの結果につながっているのではないか」と指摘しました。
 
また、憲法9条を「改正する必要はない」という回答が「必要がある」を上回り、前回の調査より差が広がったことについては、「東アジアの安全保障の環境に加え、中東の情勢も絡んで状況が複雑になる中で、9条の平和ブランドを掲げていることの意味に関心を持つ人が増えることは自然だ」としたうえで、「危機にあおられて改正するのはいちばん危険で、そうではなくて冷静に、じっくり考えたいという人が多かったのは、大事なことだと思う」と述べました。
 
さらに、施行から70年となる憲法が果たしてきた役割について、「戦時中と比べれば、どれだけ風通しのよい、息苦しくない社会を生きているかがわかる。日本国憲法が制定されたことで明らかによい社会になったことは否定のしようがない。調査結果からは憲法に対する問題への関心の深まりを読み取ることができ、施行70年を迎えて憲法が定着したと感じる」と述べました。

29日「平和キャンペーン」をおこないました

 「花まつりゆざわ」が開かれた会場:中央公園の入り口道路で「湯沢平和の輪」平和キャンペーンをおこないました。
 「平和リーフレット(憲法生かして平和の花を)」(700部)と「かざぐるま」(200個)を手渡しし、恒例のシールアンケートもおこないました。
 またカンパをいただいた人にはお礼に手作りの「平和グッズ」を進呈しました
 
 「リーフレット」と「かざぐるま」の手渡しは入口道路3カ所で、カンパの募金は2カ所でおこない、恒例の「シールアンケート」はメイン道路の1カ所でおこないました。
 今年のテーマは、「テロ等準備罪法案について」で、「廃案にする」、「慎重に審議する」、「成立させる」の3択としました。
 結果は、
     「廃案にする」       37人(51%)
     「慎重に審議する」    33人(45%)
     「成立させる」        3人( 4%)
 で、町の皆さんが法案の成立に対して強い警戒感を持っていることが分かりました。
 
( 「テロ等準備罪」はメディアでも既に「共謀罪」と呼んでいますが、出来るだけ誘導的な設問にならないようにと敢えて「テロ等準備罪」としました )

 「平和リーフレット」のPDF版を掲示します。
 リーフレットはA4判を二つ折りしたA5判4ページ建てになっています。
 ご覧になる場合は、下のタイトルをクリックしてください。まず画面の下側に選択肢:「ファイルを開く」・「保存」が表示されるので、「ファイルを開く」を選択すると表示されます。
 横長の文書なので画面を右クリックして、プルダウンされたメニューから「右回転」を選択してください。
 
 Google Chrome の場合は左下にタイトル(「○○.pdf」)が表示されるので、それをクリックすると開きます。
  文字が小さい場合にはPDF画面右上の最大化マーク(□)をクリックするか、上段の中央付近にある倍率(%表示)を調整するか、または大きくする場合は( + )マーク、小さくする場合は( ー )マークをクリックして下さい。

平和リーフレット表紙・裏表紙 
平和リーフレット2・3面

2017年4月29日土曜日

「共謀罪は一般市民も対象になる」専門家が断言

 25日に衆院法務委で行われた共謀罪法案参考人質疑について、LITERAが法案反対者の意見を紹介しています。
 反対者たちは、同法案は国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准するためには不要であること、共謀罪は一般市民対象であること、テロ対策にも不要であること、安倍政権が共謀罪にこだわる理由は、「もの言う市民を逮捕すること」「もの言わぬ市民を萎縮させること」であるなどと述べました。
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「共謀罪は一般市民も対象になる」国会に招致された専門家が断言!
 小林よしのりも猛然と共謀罪に反対
LITERA 2017年4月27日
 25日、衆院法務委員会で共謀罪法案参考人質疑が行われ、マンガ家の小林よしのりをはじめ、法律や刑法の専門家などが意見を述べた。そして、共謀罪がいかに不必要かつ危険な法案であるかが露わになった。
 
 最初に言及しなければならないのは、複数の参考人から「共謀罪は一般市民も対象」だという見解が示されたことだろう。
 まず、共産党推薦参考人の、東京五輪誘致のために必要な法律を検討する文科省のワーキンググループでは座長を務めた経験をもつ刑事法が専門の高山佳奈子・京都大学大学院教授は、はっきりと「(一般市民が対象に)なると思います」と断言。「団体の性格が一変した場合には適用対象になるというのは当然の法律の解釈ですので、捜査権限が濫用されなくても一般人が対象に入ってくると理解しています」と述べた。
 さらに、日本維新の会推薦で、過去に自民党衆院議員として共謀罪審議を行ってきた早川忠孝弁護士は、「一般市民は捜査対象にならない」と答弁してきた金田勝年法相と、捜査対象になりうる可能性を認めた盛山正仁法務副大臣の答弁について、「副大臣のほうが法律家に近い感覚でお答えになったのではないか」とコメント。つまり、法律家からしてみれば、今回の共謀罪法案は一般市民が捜査対象になることは十分想定できる、ということだ。
 
 それだけではない。公明党推薦で、共謀罪に賛成する立場である井田良・中央大学大学院法務研究科教授は、「この法案は一般市民・団体を対象にしたものではない」とする一方で、民進党・山尾志桜里議員の「捜査開始が前倒しされるのでは」という質問には「組織的犯罪集団の行為には早めに対応しないと起こってからでは取り返しがつかなくなる。その意味で捜査が早めになるのは当然では」と回答。さらに「誤った人を捜査の対象にしてしまう恐れというのはすべての刑罰法規につきもの」と話した。
 なんとか取り繕うと必死だが、ようするに井田教授は「捜査開始は早まるし、誤認捜査も起こる」と証言したようなものだ。井田教授は「今回の法案がとりわけその危険が高いということはない」と言ったが、共謀罪はその名の通り、犯罪を犯す以前の「共謀」した段階で逮捕できるため、いくらでも捜査対象は広げられる。「誤った人を捜査の対象にしてしまう」法案であることを認めたわけだ。そこには当然、一般市民も含まれるだろう。
 
 このように、与党推薦の専門家からも一般市民が対象となることが逆説的に示された参考人質疑だが、ほかにもさまざまな重要な問題点があぶり出された。
 そもそも安倍政権は、共謀罪が必要な理由として「五輪開催にあたってのテロ対策」と言うが、髙山教授は「そういう内容になっていない」と指摘。単独犯によるテロ計画や単発的なテロが法案から除外されているためテロ対策とは言い難い上、改定された「テロ資金提供処罰法」や、最高裁判決では詐欺罪や建造物侵入罪の適用が広くなっていることを挙げ、「テロの対策としては、諸外国と比べても日本はかなり広い処罰範囲をすでに有している」と述べた。
 
 また、同様に安倍政権は「五輪開催にあたって国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を早く締結しなければならない」と説明するが、これについても髙山教授は「国連による立法ガイドでは組織犯罪対策として国内法の基本原則に適合するように対処することを求めており、憲法の範囲で対処してくださいと言っている」と説明。「TOC条約を締結する方法はいろいろある」「先に条約を締結してしまってから国内法の内容を慎重に考えるということもありうる」とし、共謀罪を成立させなくても日本はすでにTOC条約を締結できる状態にあることを指摘した。
 
 さらに、髙山教授は「対象犯罪が選別されているやり方が理解できない」と言い、こんな疑義を呈した。
「公権力を私物化するような行為が含まれるべきであると思われるんですが、それが除かれている。公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法違反はすべて除外されています。警察などによる特別公務員職権濫用罪、暴行陵虐罪は重い犯罪ですけれども除外されています」
 公権力の私物化行為は対象外──。一般市民をいくらでも捜査対象にできる一方で、自分たちがしょっちゅう繰り返している犯罪は対象にしていない。こんな卑怯な話が果たしてあるだろうか。
 
 しかも、金田法相は、ただの花見なのか犯罪の下見なのかをいかに判断するのかと問われ、「目的をしっかり調べる」と答弁したが、これについても髙山教授はこのように意見を述べた。
「ある人がある場所に赴く。その目的が花見のときは処罰対象にならないが、犯罪行為の下見のときは処罰対象に入ってくる。これはまさに外見上はまったく違いはなく、違いは内心そのものです。そして片方は処罰され、片方が処罰されないということは、その内心の違いだけを根拠として処罰されているのと同じことになります」
 
 また、つづけて髙山教授は、「我が国の憲法では、そのような考え方は基本的に認められていません」と批判。「内心の自由や思想・良心の自由、表現の自由などを含む精神的自由というのは、経済的自由と比べても一段上の価値を有する。それを刑事罰でもって制限しようというからには相当の理由がないといけない」「(刑事罰として)認められる基準について、最高裁は『保護される利益に対する危険がたんに観念的なものに留まらず現実的なものとして、実質的に認められる場合でなければ処罰してはならない。これに反する処罰は憲法違反である』という考え方を示している」とし、共謀罪について「憲法上の疑義がある」と述べたのだ
 
 憲法にも反する、人びとの内心までをも捜査対象にする恐ろしさ。もうひとつ恐ろしいのは、「一旦、強制権力が使われてしまうと、正しい扱いを受けられるようになるまでには相当な時間がかかってしまう」「正当な扱いに回復するまでには相当な時間と労力がかかる」(髙山教授)ということだろう。
 このように、参考人質疑では「五輪のためだ」「テロ対策だ」という安倍政権による説明がいかに嘘ばかりであり、一般市民がターゲットとなる危険な法案であることが専門家によって暴かれた。そして、共謀罪を考える上で基本的かつ重要な問題を指し示したのが、小林よしのりの意見だった。
 
 小林といえば、オウム真理教のVXガスによる暗殺計画のターゲットにされた経験をもつが、小林は「共謀罪はいらない」という。その理由は、こうだ。
「ワシはものを言う市民です。ほとんどの人はもの言わぬ市民です。だから普段、自分たちはまさかね、切羽詰まった状況に追いやられてね、何かやらなきゃいけないようなぐらいの感覚になるとは誰も思ってませんよ。ほとんどの人間はたとえ監視されていたって自分たちが安全なほうがいいと思っているでしょう。
  けれどもね、もの言わぬ市民はね、あるときもの言う市民に変わってしまうときがあるんです。子どもが被害に遭うとかね、いろんな切羽詰まった状況になれば、ものを言わざるを得なくなるんですよ。そういうもの言う市民をどう守るかっていうのはね、これは民主主義の要諦ですよ。これがなかったら民主主義は成立しませんよ」
 「共謀罪の非常に危険なところっていうのは、もの言う市民が萎縮してしまって民主主義が健全に成り立たなくなるんじゃないかっていうことなわけです」
権力と闘う、もの言う市民を守ること自体が民主主義」。小林の歴史修正主義的主張については本サイトは批判的だが、共謀罪は民主主義を殺すものだという意見は、まさしくその通りだろう。そして、安倍政権が共謀罪にこだわる理由は、まさに「もの言う市民を逮捕すること」「もの言わぬ市民を萎縮させること」にあるのだ。
 
 参考人質疑によって露呈した、安倍政権の欺瞞と狂気。安倍政権は共謀罪をゴールデンウィーク明けに衆院を通過させるつもりだというが、こんな国民を欺く嘘っぱち法案を押し通させるようなことがあっては、絶対にいけない。(編集部)

29- 「強権統治阻止は世界への責任」九条の会がアピール

 九条の会は27日記者会見を開き、憲法9条を守る今日的意義を明らかにするアピール「日本国憲法施行70周年にあたって」を発表しました。
 会のアピール発表は20046月結成時以来2回目です。
 しんぶん赤旗の記事と声明文を紹介します。
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九条の会がアピール「強権統治阻止は世界への責任」
しんぶん赤旗 2017年4月28日
 九条の会は27日、東京都内で記者会見を開き、憲法9条を守る今日的意義を明らかにするアピール「日本国憲法施行70周年にあたって」を発表しました。会のアピール発表は2004年6月結成時以来2回目です。
 
 アピールは、改憲阻止、戦争法の廃止、南スーダンからの自衛隊の即時撤退、沖縄県名護市辺野古、東村高江の米軍基地建設阻止、「共謀罪」法案の廃案によって「日本国民を強権で統治して物言わぬ存在にしてしまおうとする安倍政権の企(たくら)みを打破」することになるとして、9条をもつ日本に課せられた世界の人々への責任だと主張しています。
 小森陽一事務局長はアピール発表の目的について、安倍政権による戦争法制定など歴史逆行の暴走と、アメリカの軍事的挑発とそれに追随する安倍政権の政治によって戦争の危機が拡大するなど、「憲法の方向性を世界に生かしていく上で、極めて緊迫した局面です。憲法がはっきりと指針を示すはずだと考えた」と述べました。
 
 会見では、同会呼びかけ人で作家の澤地久枝さん、愛敬浩二名古屋大教授、伊藤千尋元「朝日」記者、清水雅彦日本体育大教授、山内敏弘一橋大名誉教授の各世話人が発言しました。
 
 
「日本国憲法施行70周年にあたって」
2017年4月27日
九 条 の 会  
 日本国憲法は今年、施行70年を迎えました。この70年、この憲法を「改正」しようとする攻撃が絶え間なく行われてきたにもかかわらず、「再び戦争をしない」と決意した私たちは「9条守れ」の運動をねばり強く展開し、これえをはねかえしてきました。
 しかしいま安倍政権は、アメリカに付き従った軍事同盟を背景に、「国益」、「安全」の口実のもと、集団的自衛権容認の閣議決定をおこなうとともに、秘密保護法制定、武器輸出三原則の撤廃、国家安全保障会議の設置、日米ガイドラインの締結、そして戦争法制定などを強行してきました。さらに通常国会冒頭の施政方針演説では「次なる70年に向かって」憲法「改正」を提案すると明言するなど、歴史逆行の暴走をエスカレートさせています。
 いま、アメリカではトランプ政権が誕生し、アジアでも大国主義的行動や軍事的挑発が繰り返され、20世紀以来の世界がめざしてきた戦争違法化の流れに逆行する軽視できない動きが強まっています。
 安倍政権の暴走は、こうした世界の逆流に便乗し、軍事力や恫喝が幅を利かす世界の中で、強国の一員としての座を占めたいという野望に基づいています。4月7日のトランプ政権によるシリア攻撃に対しても安倍首相はいち早く「米国政府の決意を支持する」ことを表明しています。こうした安倍政権の政治がアジアの緊張を高め、戦争と武力衝突の危険を拡大するものであることは明白です。
 こうした流れに対して、世界でも、武力や恫喝による解決に反対する市民の声が、当のアメリカも含めて噴出しています。9条を掲げる私たちの運動は、平和な世界の構築に向けて、その先頭に立って積極的な役割を果たすべき立場にあります。
 同時に、戦争法を廃止すること、南スーダンから自衛隊を即時撤退させること、沖縄辺野古、高江の基地建設を阻むこと、共謀罪法案の成立を許さないこと、何もより明文改憲に「NO」をつきつけことは、日本国民を強権で統治して物言わぬ存在にしてしまおうとする安倍政権の企みを打破し、現状に危惧をもつ世界とりわけアジアの人々、国々に対して、9条をもつ日本の私たちに課せられた責任です。
 戦争法廃止の運動のなかでは、立憲主義擁護の一致点にもとづいてかつてない共同が実現しました。南スーダンからの自衛隊施設部隊の撤退決定もその運動の成果です。安倍政権の暴走にストップをかけるのはこの共同をさらに大きく、強固なものにしていく以外にありません。そして安倍政権を退陣においこむことです。
 13年前、九条の会の出発に際して発表した「アピール」の言葉を、いま、あらためて、掲げます。「日本と世界の平和な未来のために、日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、『改憲』のくわだてを阻むため、一人ひとりができる。あらゆる努力を、いますぐ始めることを訴えます。」

2017年4月28日金曜日

教育勅語 授業使用の政府方針 専門家らが反対声明

 教育勅語は、絶対主義的天皇制を支える「忠良なる臣民」「国家のためには命を投げ出す国民」を養成するために、明治政府の指導者たちが1890年(明治23年)に発布したものです。
 それは新憲法に全く整合しないものであるため、1948年、「教育勅語等排除に関する決議」衆院)と「教育勅語等の失効確認に関する決議」参院)によって排除・失効されました。
 それを、勅語の中の徳目の個所はいまも通用するからというような理由で、取り入れるべきだというような主張を稲田防衛相などが行っていますが、まことに木を見て森を見ないもので、何故いわば常識的な徳目を教育勅語のなかに求めようとするのか不可解です。
 そもそも「父母ニ孝ニ、兄弟ニ友ニ、夫婦相和シ、朋友相信シ」といっても、それは封建的な家父長制度、長幼の序、男尊女卑、目上・目下などをベースにしたもので、そのままでは現代に取り入れようのないものです。
 
 稲田氏は、教育勅語を賛美するに当たり「道義国家」という言葉を使いましたが、それは教育勅語には含まれておらず、教育勅語の復活を訴えている明治神宮のHPに掲載されている現代語訳に出てくるものです。まさに語るに落ちています。
 こうした「教育勅語を現代に・・・」の動きを解明した論文に、エンジョウトオル氏による「教育勅語の正体」(LITERA 3月13~14日)があります。これを読むと教育勅語を巡る一連の動きがすべて理解できます。
※    3月15日  教育勅語の正体(前編・後編)
 
 民進党議員からの「衆参の決議を徹底するために、教育勅語本文を学校教育で使用することを禁止すべきだと考えますが、政府の見解を伺います。」という質問(書)に対して、政府が
学校において、教育に関する勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であると考えているが、憲法や教育基本法(平成十八年法律第百二十号)等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではないと考えている」と閣議決定したことを含めて、こうした「時代錯誤」が大手を振ってまかり通っているところにいまの安倍政権の異常さがあります。
 
 教育勅語について、政府が「憲法や教育基本法に反しない形で授業で使用することは否定しない」と閣議決定したことに対して、教育分野の専門家らおよそ120人が反対する声明を出しました。
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教育勅語 授業使用の政府方針 専門家らが反対声明
NHK NEWS WEB 2017年4月27日
教育勅語について、政府が「憲法や教育基本法に反しない形で授業で使用することは否定しない」と閣議決定したことに対して、教育分野の専門家らおよそ120人が反対する声明を出しました。
 
声明を出したのは、東京大学大学院の本田由紀教授や、オックスフォード大学の苅谷剛彦教授など、教育分野の専門家など合わせて120人です。
政府は今月、教育勅語について、「憲法や教育基本法に反しない形で授業で使用することは否定しない」と閣議決定しましたが、声明では、過去の国会決議や答弁と比べて、今回の政府方針は教育勅語を容認する姿勢を強めていると批判しています。
そのうえで、民主主義と対立する思想や価値観であり、授業では批判的に取り上げる以外使用すべきでないと主張しています。
教育勅語は、戦前、国民が守るべき道徳とされていましたが、戦後は「国家主義や軍国主義に拍車をかけた」として、衆参両院で排除や失効を確認する決議がされています。
 
本田教授は「現在の方針では、子どもたちの教育勅語への批判的な認識が醸成できないおそれがある。歴史的な過ちを繰り返さないためにも、政府は認識を改めるべきだ」と話していました。

29日に恒例の平和キャンペーンを行います

恒例の平和キャンペーンを行います
 
 今年も、29日の「花まつり・ゆざわ」(湯沢中央公園)に合わせて、「湯沢平和の輪」は平和キャンペーンを行います。
 シールアンケート、平和リーフの配布、風ぐるまの手渡しなどです。
 どうぞこのキャンペーンにご参加ください。
 参加される方は9時30分に笛木さん宅前にお集まりください。

28- 日本72位で変わらず 報道の自由度調査

 国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」は26日、各国の報道の自由度に関する2017年の調査結果を発表しました。
 それによると日本は180国のうち72前年と同じでしたが、イタリア52位に上昇したので主要国7カ国(G7)では最下位になりました
 
 因みに上位10傑は、1ノルウェー 2スウェーデン 3フィンランド 4デンマーク 5オランダ 6コスタリカ 7スイス 8ジャマイカ 9ベルギー 10アイスランドで、その他の主要国は、16ドイツ 19オーストラリア 22カナダ 39フランス 40イギリス 43アメリカ 63韓国などです。
 
 日本は小泉内閣・第一次安倍内閣の頃に51位に転落しましたが、その後は福田内閣、麻生内閣で順次上昇し鳩山内閣時代には11位まで昇りましたが、第二次安倍内閣になってからは53位、59位、61位、72位、72位と最低記録を更新中です。 
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日本72位で変わらず=「フリー記者冷遇」-報道自由度調査
時事通信 2017年04月26日
 【パリ時事】国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(本部パリ)は26日、各国の報道の自由度に関する2017年の調査結果を発表した。日本は180国のうち72位と前年から順位が変わらなかった。調査は日本について「記者クラブ制度により、フリーや外国のメディアが冷遇されている」と分析している。
 日本は10位台に位置していたこともあったが、11年の東京電力福島第1原発事故をめぐる情報開示が問題視されて以降は下落傾向にある。調査は、安倍政権下で成立した特定秘密保護法などを機に報道に対する抑圧がさらに強まったと批判。大手メディアが政権の意向に配慮して「自主規制」を続けていると指摘した。
 韓国は、朴槿恵前大統領の疑惑をめぐる報道で「メディアが政権監視能力を発揮した」と評価され、前年の70位から63位に浮上。中国は176位と変わらず、北朝鮮は179位から最下位の180位に転落した。首位は前年3位のノルウェー。 

2017年4月27日木曜日

「共謀罪」法案 衆院法務委で参考人意見陳述 

 25日の衆院法務委員会で「共謀罪」法案に関する参考人の意見陳述が行われました。
 しんぶん赤旗が、高山佳奈子京大教授、漫画家小林よしのり氏、早川忠孝弁護士の発言要旨を伝えました。
 参考人には他に小沢俊朗元大使、井田良中大教授がいて、賛成の立場から陳述しました。
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「共謀罪」法案参考人質疑(要旨)衆院法務委
しんぶん赤旗 2017年4月26日
高山佳奈子 京都大学大学院教授の陳述
 25日の衆院法務委員会での「共謀罪」法案の参考人質疑で、京都大学大学院の高山佳奈子教授(刑事法)が行った意見陳述の要旨は次の通りです。
 
 TOC(国際組織犯罪防止)条約の早期締結に賛成ですが、「テロ等準備罪」を設ける本法案には反対です。
 第1に法案は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催のための「テロ対策」を内容とするものではないと考えます。
 本法案は、一人の単独犯によるテロ計画、単発的な集団のテロが射程に入っておらず、重要な部分が対象から外れています。
 テロ対策はすでに立法的手当てがなされています。14年改正のテロ資金提供処罰法により、テロ目的の資金、土地、建物、物品役務、その他の利益の提供が包括的に処罰対象になりました。これでほとんどのテロ目的の行為はカバーでき、テロの観点で五輪対策は事実上完了しています。さらに、テロに限らず違法な目的で物品を入手する行為やある場所に入っていく行為は、かなり広い範囲で詐欺罪や建造物侵入罪の処罰対象になっています。テロ対策として、日本は諸外国に比べてもかなり広い処罰範囲をすでに有しています。
 2点目は、条約への参加の仕方です。
 条約5条では参加罪、結集罪や共謀罪による組織犯罪への対処を求めています。しかし国連が各国への参考資料として04年に公表した「立法ガイド」の51項では、参加罪や結集罪、共謀罪の制度化のうち一つを欠いている国が、必ずしもそれを導入する必要はないという趣旨を述べています。条約全体を見ると、各国が組織犯罪対策を国内法の基本原則に適合させ、憲法の範囲で対処することを求めています。しゃくし定規的な国内法化は求められていません。それを示す一例が米国です。いくつかの州の刑法が共謀罪の一般的な処罰規定をもっていないため、条約に留保を付した上で参加しています。
 第3は、今般の法案の対象が限定されているかどうかです。
 ある団体の構成員の一部が性格を犯罪的なものに「一変」させた場合を対象に含めるとなれば、一般人の通常の団体として結成された場合も除外できないことになります。
 犯罪の「実行準備行為」は、特段の危険性がなくても外形的な(犯罪の準備)行為であれば、特に限定なく(資金、物品の手配、関係場所の下見以外の)「その他」の中に全部含まれるとの読み方ができると思います。
 第4は、対象犯罪の選別の問題です。とくにTOC条約との関係で、経済犯罪を除外している問題があります。
 一般に商業賄賂罪と呼ばれ諸外国で規制が強化されてきている会社法や金融商品取引法、商品先物取引法などの収賄罪が対象犯罪から外れています。主に組織による遂行が想定される酒税法違反や石油税法違反なども除外されています。その一方で、「違法なキノコ狩り」など、五輪とも暴力団とも関係ないものが多数含まれています。
 内容が不可解な法案には賛成できません。
 
戦前に戻らないとは言えない 漫画家 小林よしのり氏
 「民主主義を守るために物を言う市民は必要。言論を萎縮させるようなことがあると困る」
 衆院法務委員会で25日に行われた参考人質疑。「保守」を自任する漫画家の小林よしのり氏が、国民の思想・内心を処罰する「共謀罪」法案への反対を表明しました。
 日本共産党の畑野君枝議員が「立場の違いを超え、国家に介入されて内心・思想・信条・表現の自由を奪われることは許さないという趣旨ですか」と尋ねました。
 小林氏は、共産党への“警戒心”を示しつつも、「でも共産党は現在の国家権力に対する批判では非常に鋭い。頼りになる。言論・表現の自由を守るというところでぜひとも活躍してほしい」と答えました。
 同日の質疑で、「政権の不始末が次から次に起こっても、北朝鮮やテロが危ないと言ったらどんどん右に傾いていく」と世相を憂えた小林氏。テロの脅威をあおる日本維新の会の松浪健太議員に対しては、「左翼の人が“戦前に戻るぞ”と言ったら、“昔と今は違う”と簡単に保守の側は言うけれど、治安維持法があった戦前は国民が右に傾いていった。過去に戻らないとも言えない」とたしなめました。
 
捜査“暴走”懸念 元自民党衆院議員 早川忠孝弁護士
 元自民党衆院議員の早川忠孝弁護士は25日の衆院法務委員会の参考人質疑で、政府が「共謀罪」法案を「テロ等組織犯罪処罰法」と呼んでいることについて、「TOC(国際組織犯罪防止条約)では『共謀罪』と訳している」と指摘しました。
 早川氏は「テロ等組織犯罪だったら必要な制度だと国民の半分ぐらいの方はそう思うだろう」と政府与党のごまかしの意図を説明。「しかし、法案の中身はちょっと違う」と指摘し、「正しい議論を共有したうえで、対象犯罪を減らすべきだ」と述べました。
 さらに、早川氏は捜査機関による冤罪(えんざい)事件を取り上げ、「(捜査機関は)テロ犯罪を防止するということで、さまざまな情報収集の過程で、予断、偏見、見込み、誤った捜査をしてしまう。成績主義があるから、なんらかの仕組みをつくると結果を出さないといけない」と述べ、「共謀罪」法案の成立に伴う捜査機関の“暴走”に懸念を表明しました。