2023年5月31日水曜日

「九条の会」全国交流集会を開催 平和主義捨てる改憲・大軍拡許さぬ

「九条の会」は28日、東京都内で「大軍拡反対、憲法改悪を止めよう!『九条の会』全国交流集会―大江健三郎さんの志を受けついで―」を開き全国32都道府県、29の分野別の九条の会から292人が参加しました
 小森陽一事務局長は、「核抑止力」論を全面的に正当化する「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が出されたことは断じて許せないと厳しく批判し、「大軍拡の中身が、『専守防衛』を捨てて、憲法の平和主義を踏みにじり、国民の暮らしや経済を無視して軍拡大増税を進めるものであるということを多くの国民に明らかにしていくために、『九条の会』の運動を大きく広げていこう」と呼びかけました
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「九条の会」運動 今こそ大きく 全国交流集会を開催
     平和主義捨てる改憲・大軍拡許さぬ
                       しんぶん赤旗 2023年5月29日
「九条の会」は28日、東京都内で「大軍拡反対、憲法改悪を止めよう!『九条の会』全国交流集会―大江健三郎さんの志を受けついで―」を開きました全国32都道府県、29の分野別の九条の会から292人が参加。岸田政権が安保3文書に基づき「敵基地攻撃能力」の保有、5年間で43兆円の大軍拡を進める緊迫した状況のなかで憲法9条を守ろうといきいきと活動する草の根の運動の経験を交流しました。



(写真)大江健三郎さんの志を受けつぎ、大軍拡に反対し憲法改悪を止めようと開かれた九条の会全国交流集会=28日、東京都千代田区


 3月3日に死去した呼びかけ人の大江健三郎さん(作家)の思いを受け継ぎ運動を進めていく決意が表明されました。
 小森陽一事務局長は、主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)について、被爆地・広島で開催しながら、G7から「核抑止力」論を全面的に正当化する「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が出されたことは断じて許せないと厳しく批判。「これが9条改憲を明言する岸田政権の本質だ」と述べました。
 その上で、「岸田政権の大軍拡政策に対する反対の声を大きくあげ、運動を進めていくことが求められている」と訴え。「大軍拡の中身が、『専守防衛』を捨てて、憲法の平和主義を踏みにじり、国民の暮らしや経済を無視して軍拡大増税を進めるものであるということを多くの国民に明らかにしていくために、『九条の会』の運動を大きく広げていこう」と呼びかけました。
 世話人の愛敬浩二早稲田大学教授、浅倉むつ子早稲田大学名誉教授、池内了(さとる)名古屋大学名誉教授、翻訳家の池田香代子さん、弁護士の伊藤真さん、清水雅彦日本体育大学教授があいさつし、改憲・大軍拡に歯止めをかける「九条の会」の重要な役割を語りました。
 最後に、事務局の高田健さんが、「文字通り『九条の会』にとって正念場だ。改憲派の企てを阻止するために世論を高め、運動を強め、たたかいを大きく進めよう。今日を『九条の会』の再出発点にしよう」と呼びかけ、会場から大きな拍手が湧き起こりました。

審査の実態不透明 難民問題で野党 参与員を聴取

 入管法改悪案に関する国対ヒアリングが29行われ、難民認定に不服を申し立てた外国人の審査を行う難民審査参与員から、処理件数や内容など審査実態について聞き取りを行いました。
 21年に参与員に就任した女性2人は、これまでの処理件数は1人が対面2件、書面1件の計3件。もう1人は対面1件、書面3件の計4件のみで、両参与員は、郵送される資料の読み込みや、それだけでは足りない国ごとの情報などは自身で調べるので、「真剣に審査するとなればかなりな時間がかかる」「書面審査だけでも月2件やるのが限界ではないか」と語りました。
 2年間で2000件超を処理したという柳瀬房子難民審査参与員在籍する大量の案件を迅速に処理するための「臨時班」の存在について、両参与員とも「知らなかった」と説明しましたしんぶん赤旗が報じました。
 改悪法案における柳瀬房子氏に関する立法事実の信憑性が失われた以上この法案は撤回されるべきです。そもそもこれほどまでに非常識な事実を担当部門が知らなかった筈はないのに、敢えてそれを立法事実(立法の根拠)にするとは入管庁が如何にいい加減でデタラメな部署であるかを示すものです。
 併せて田中龍作ジャーナルの記事「入管法改悪大詰め 難民申請者『ここで自殺する』」を紹介します。
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審査の実態不透明 難民問題で野党 参与員を聴取
                       しんぶん赤旗 2023年5月30日
 入管法改悪案をめぐり難民問題に関する国対ヒアリングが29日、国会内で開かれ、難民認定に不服を申し立てた外国人の審査を行う難民審査参与員から、処理件数や内容など審査実態について聞き取りを行いました。
 ヒアリングでは、2021年に参与員に就任した女性2人が発言。これまでの処理件数は1人が対面2件、書面1件の計3件。もう1人は対面1件、書面3件の計4件のみだといいます。就任前の研修は「内容が通り一遍でとても不安があった」と話しました。
 両参与員は、郵送される資料の読み込みや、それだけでは足りない国ごとの情報などは自身で調べ「真剣に審査するとなればかなりな時間をかけてやることになる」「書面だけでも月2件やるのが限界ではないか」と語りました。
 一方、「申請者の中に難民はほとんどいない」と発言した難民審査参与員の柳瀬房子氏の処理件数は、2年間で2000件超に上ります。柳瀬氏が在籍する大量の案件を迅速に処理するための「臨時班」の存在について、両参与員とも「知らなかった」と説明。野党議員は「ブラックボックスになっている」と指摘しました。


入管法改悪大詰め 難民申請者「ここで自殺する」
                    田中龍作ジャーナル 2023年5月30日



【写真説明】難民申請を3度却下されたミューチョウチョウさん(左端)と支援者。=30日、参院会館前 撮影:田中龍作=



 この国の政府は人の命を何だと思っているのだろうか。
 3回目以降の難民申請者を本国に強制送還できるようにする入管難民法の改悪法案が、あさって1日にも参院法務委員会で採決される可能性が高い。
 危機感を募らせた当事者や支援者約200人が国会周辺に集まり「入管難民法改悪反対」の声をあげた。
 軍事政権のミャンマーから17年前(2006年)、命からがら日本に逃れてきたミューチョウチョウさん(37歳)の姿があった。
 高校1年生の時から民主化運動に携わっていたミューさんは軍事政権に7回も逮捕された。
 2005年に出獄。翌年、ブローカーの手引きでミャンマーを出国し日本に辿り着いた。
 ミューさんは3回目の難民申請を却下され、現在は不服申し立て中だ。改悪法案が可決成立し実施されたら、強制送還となる。
 ミューさんは民主活動家であると同時にミャンマー軍事政権が目の敵にするロヒンギャである。強制送還されれば処刑は免れない。
 田中はバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプを取材したことがある―
 軍事政権は2017~18年にかけてロヒンギャ掃討を本格化し、村ごと焼いたり、赤ん坊を生きたまま火の中に投げ込んだりする蛮行を繰り広げた。このためロヒンギャ80万人がミャンマーから脱出した。
 極端に低い日本政府の難民認定率。不認定の結論を出す審査員にケースが集中する。それも極度に。難民認定させないように入管が仕向けているとしか考えようがない。
 日本政府は難民を受け入れませんよ、と言っているに等しいのだ。
 「強制送還されるくらいだったら、ここで自殺する」。前出のミューチョウチョウさんは淡々と語った。
                 ~終わり~

マイナ混乱 背景に強引普及 「保険証」運用中止せよ(しんぶん赤旗)

 共産党の山下芳生議員は29日の参院特別委でマイナンバーカードに関するトラブルが多発している背景にはメリットばかりを強調し、急激な普及と用途拡大を押し付けてきた政府の姿勢があり、政府が、健康保険証の廃止というムチと2万円分のポイント付与というアメでカードの普及と用途拡大を急激に推進してきた結果、現場の対応が追い付かなくなり、業務が民間に委託され、十分な研修も受けられないアルバイトによって処理されたことなどが、今回の事態につながっていると批判した上で、原因の究明と再発防止が図られるまで運用を停止するべきだと述べました
 国は自治体や健康保険組合などに「被保険者の情報を再確認するよう指導したようですが、現場にはそれができるだけの体力がないのが実情です。上滑りの指導ではなく実態に即した対応をするべきです。
 しんぶん赤旗の記事(2つ)と田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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マイナ混乱 背景に強引普及 「保険証」運用中止せよ 山下氏、政府の姿勢追及
                        しんぶん赤旗 2023年5月30日
参院特別委
 日本共産党の山下芳生議員は29日の参院地方創生デジタル特別委員会で、マイナンバーカードに関するトラブルが多発している背景には、メリットばかりを強調し、急激な普及と用途拡大を押し付けてきた政府の姿勢があると追及し、命がかかわる問題となっている以上、「マイナ保険証」の運用は一時中止すべきだと求めました。(医療現場のトラブル 下掲
「マイナ保険証」への別人の医療情報のひも付けや口座の誤登録など一連のトラブルについて、「憲法が保障する国民の生存権などを脅かす深刻な問題だという認識はあるのか」と山下氏がただすと、河野太郎デジタル相は「間違ったデータをもとに医療が行われ健康に被害が及べば深刻なトラブルだ。個人情報が保護されないことは個人の尊厳にもかかわる重大な事案だ」「口座登録の誤りは財産権にも関係する」と認めました。山下氏は、それならば原因の究明と再発防止が図られるまで運用を停止するのは当たり前だと主張しました。
 その上で、山下氏は、政府が、健康保険証の廃止というムチと2万円分のポイント付与というアメでカードの普及と用途拡大を急激に推進してきた結果、自治体や健康保険組合など現場の対応が追い付かなくなったことが各種のトラブルが多発する大きな原因となっていると指摘。自治体の現場からは、申請が殺到するなかで業務が民間に委託され、アルバイトによって、十分な研修も受けられずに担われたことなどが、今回の事態につながっているとの声があがっていると告発しました。
 河野氏は「マニュアル通りにすれば誤登録は防げた」などと答弁。山下氏は、リスクを説明せずメリットしか語らない大臣の発信のもとでトラブルが多発していると批判しました。


マイナ保険証トラブル 他人の医療情報37件 窓口で10割負担206
 保団連調査
                       しんぶん赤旗 2023年5月30日
 全国保険医団体連合会(保団連)は29日、マイナンバーカード保険証(マイナ保険証)による医療現場のトラブル調査から、「他人の医療情報がひもづけられていた」ケースが少なくとも37件あると公表しました。20保険医協会・保険医会の会員医療機関から回答を得ました。保団連は重大な医療事故につながりかねないとして「一件たりともあってはならない」と批判。マイナ保険証システムの運用を「中止すべきだ」と訴えました。
 この日、保団連は都内で会見し、同日時点でオンライン資格確認を導入した19都府県1432医療機関のうちの約6割(893医療機関)で、トラブルがあったと明らかにしました。
 そのうち、一番多いトラブルが「無効・該当なしと表示され被保険者の資格情報が正しく反映されない」(約67%)でした。
 オンライン資格確認ができず、「無保険」扱いで窓口負担を10割請求された患者は、同調査の推計で206人いました。保団連によると、新型コロナウイルス感染症疑いで受診した場合、陽性となれば公費負担がある今年9月末までは10割負担で、約1万2千円、10月以降は約6万4千円かかるといいます。
 保団連の住江憲勇会長は、マイナ保険証の誤情報問題について、「誤情報の可能性を心配する医療現場に余計なストレスがかかる」などと批判。問題の全容解明・抜本的解消を求めました。また、国会で審議中のマイナンバー制度関連法案の廃案を訴えました。


命綱の保険証なくすな 法案阻止訴え 「反対連絡会」国会前で抗議
                                                しんぶん赤旗 2023年5月30日


(写真)保険証廃止は撤回をと訴える集会参加者=29日、参院議員会館前


 労働組合などでつくる「マイナンバー制度反対連絡会」は29日、参院議員会館前で、健康保険証の廃止が盛り込まれたマイナンバー法等改定案の参院での採決を止めようと、抗議の座り込みを行いました
 マイナンバーカード保険証(マイナ保険証)で他人の情報がひも付けされたことに関し、健康保険組合の関係者は、国から被保険者の情報を再確認するよう指導を受けたと述べました。「組合にそれができるだけの体力はない」と強調し、国の対応を批判しました。
 国会見学に訪れた児童・生徒を乗せたバスが行きかう中、中央社会保障推進協議会の林信悟事務局長は「修学旅行の時、保険証はコピーで対応できるが、マイナ保険証では、先生は管理できない」と訴えました。
 「保険証廃止反対! 機能している命綱を切るな」と大書したプラカードを持参した男性(53)=千葉県松戸市=は「(現行の)システムは機能しているのになぜ廃止するのか」と語りました。
 「子どものころに保険証が止まり、医療費を全額払ったことがある」という千葉県鎌ケ谷市の男性(57)は「国民皆保険をなくすかのような動きをなぜやろうとしているのか」と述べました。
 参加者らは、スピーチの合間に国会議事堂に向かってコール。「命を守る保険証残せ」「国民皆保険制度残せ」「保険証廃止勝手に決めるな」と訴えました。

31- こんなマイナカードを強制する国民愚弄の横暴政治(日刊ゲンダイ)

 別掲の記事で、マイナンバーカードに関するトラブルが多発している背景には急激な普及と用途拡大を押し付けてきた政府の姿勢があり、そのため地方自治体など現場の対応が追い付かなくなり、その業務を委託された民間企業もアルバイトによって処理するしかなかったことから生じたもので、政府が現場に対して「健康保険被保険者の情報を再確認するよう指導したところで、現場にはそれができるだけの体力がないので解決できないことを紹介しました。
 日刊ゲンダイが「  こんなマイナカードを強制する国民愚弄の横暴政治」とする記事を出し、別の角度から追及しています。
 事の起こりは20年4月7日、当時の安倍政権が初めて緊急事態宣言を発令した際に、〈今回の危機をチャンスに転換し(中略)デジタル・ニューディールを重点的に進め、社会変革を一気に加速する契機としなければならない〉と記し、同年7月に閣議決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言」では〈危機に迅速に対応できる強靱な社会経済構造の一環として、マイナンバーを基盤としたデジタル社会の構築を進める〉とし、22年度末までに〈ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有している〉ことを目標に掲げたことにあります
 しかし米国の社会保障番号制度はなりすまし被害が多すぎてカードに『絶対に持ち歩くな』と注意喚起が印刷されているほどで、ドイツはナチス時代の教訓から人に共通の番号をつけるのは憲法違反としたほか、他にも漏洩防止が徹底できず制度を廃止する国も少なくないというのが、マイナンバーカード先進国での実態ということで、健康保険証を廃止してカード取得を強制する国はなく、そもそもこれだけ多岐にわたる個人情報を1枚にまとめるのは世界の非常識ということです(五野井郁夫高千穂大教授)。
 また立正大名誉教授の金子勝氏は「マイナンバー制度はカード交付の『任意』が開始の条件。根拠法にも住民の申請により交付する旨を定めてあり、作る、作らないは国民の自由が大前提。保険証廃止で選択肢を奪う『強制』は違法マイナ保険証の強制は白紙に戻すべき」と述べています。
 以下に紹介します。
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岸田一族も河野太郎も有権者を舐めている こんなマイナカードを強制する国民愚弄の横暴政治
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                        (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 コンビニで住民票を交付しようとしたら他人の証明書が出てきたり、別人の保険証や銀行口座と紐づいていたり。トラブル続きで、岸田政権が一斉点検に追い込まれたマイナンバーカード。

▼公金受取口座が別人の口座に紐づけられた事例は25日時点で14自治体、20件▼「マイナ保険証」では情報の誤登録が少なくとも7312件▼カード普及の「餌」として、ぶら下げた「マイナポイント」が他人に付与される被害が113件──とヒド過ぎるが、旗振り役の河野デジタル相は「デジタル庁としての感度が低かったことは、おわび申し上げないといけない」と平謝り。欠陥だらけのカード普及を見直すつもりは、さらさらない。
 次々と欠陥が露呈しているのは、普及の遅れに焦った政府が新型コロナウイルス禍に便乗、挙げ句に健康保険証との一体化を国民に強制し、普及ありきの拙速対応をゴリ押ししたためだ。

 証拠は残っている。2020年4月7日。当時の安倍政権が初めて緊急事態宣言を発令した当日、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を閣議決定した。計43ページに及ぶ文書には〈今回の危機をチャンスに転換し(中略)デジタル・ニューディールを重点的に進め、社会変革を一気に加速する契機としなければならない〉と記されている。
 さらに同年7月に閣議決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言」では〈危機に迅速に対応できる強靱な社会経済構造の一環として、マイナンバーカード・マイナンバーを基盤としたデジタル社会の構築を進める〉とし、22年度末までに〈ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有している〉を目標に掲げた。議論の中間整理にはデジタル社会への移行4原則の1つに〈漸進主義ではなくショックセラピー型で抜本的に移行する〉との文言まで出てくる。
 政府は「ピンチをチャンスに」を合言葉に人々の不安と混乱に乗じて、一気にカード普及を推し進めようとしたのだ。

マイナ保険証の強制は違法行為
 そもそも16年1月にスタートしたマイナンバー制度は国民から総スカン。当時の世論調査に78%の国民が「不安を感じる」と答え、コロナ禍の20年6月末時点でも、マイナカード普及率は17.4%に過ぎなかった。
 ところが、政府のコロナ便乗が奏功したのか、翌年6月末に普及率は34.2%に上昇。さらに22年9月末には49%と国民の半数近くがマイナカードを手にしたが、「ほぼ全国民に行き渡る」には程遠い。「22年度末」という目標時期が近づき、焦った政府は「禁断の手段」に打って出た。
 昨年10月に河野が突然、「24年秋までに現在使われている健康保険証を原則廃止し、マイナカードと一体化する」と発表。今の保険証が使えなくなれば、マイナカードを作る以外に選択肢はない。事実上の強制だ。
 政府は申請者に最大2万円分のマイナポイントを付与するという「アメ」も用意。このキャンペーンに投じた税金は実に1兆8000億円で、大学授業料の無償化を実現できる額だ。岸田首相肝いりの「次元の異なる少子化対策」の財源問題がバカらしくなる。

 そのかいあってカード普及率は66.9%、申請率は77%(5月21日時点)に跳ね上がった。「ほぼ全国民」に行き渡り、河野は誇らしげだが、今年2月末のポイント付与の期限間際には駆け込み申請が殺到。混雑続きで役所の窓口が混乱した結果、誤登録というミスにつながった。
 テレビ出演時に「そうだ! マイナンバーカード取得しよう」と書かれたTシャツまで着て、河野がカード普及をあおり、現場に負担を押し付けたせいで、トラブル続出を招いたわけである。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「政府が国民の個人情報を一元管理するマイナンバー制度は、カード交付の『任意』が開始の条件でした。根拠法にも住民の申請により交付する旨を定めてあり、作る、作らないは国民の自由が大前提。保険証廃止で選択肢を奪う『強制』は違法です。しかも、岸田政権は今年4月から従来の保険証とマイナ保険証の自己負担額を差別化。初診料はマイナが6円、従来は18円と3倍もの差をつけましたが、『法の下の平等』に反する違憲行為でしょう。これだけ欠陥が露呈した以上、少なくともマイナ保険証の強制は白紙に戻すべきです」

あらゆる個人情報を1枚にまとめる世界の非常識
 国民の不安は増すばかりだが、河野は自身の公式サイトでマイナカードの安全面を強調。例えば「オンラインで利用する時にも、ICチップに入っている電子証明書を利用するので、マイナンバーは使われません」と主張するが、20年7月には他人になりすまして特別定額給付金をオンライン申請し、不正に受け取った詐欺事件が発生している。
 首相公邸で、親族一同で忘年会を催し、赤じゅうたんが敷かれた階段で組閣ごっこに興じた翔太郎秘書官以下、岸田一族は有権者を舐めているが、ウソも方便とばかりにカード普及をあおる河野も、国民を愚弄している。
 ここまでして政府がマイナカード普及にガムシャラになるのには、いくつもの理由がある。「GDP比2%の大軍拡路線にカジを切った手前、将来の大増税に備え、全国民の金融資産を把握し、徴税を強化するため」(金子勝氏=前出)というのが、そのひとつ。もうひとつは巨大利権だ。
 マイナンバー事業の市場規模は1兆円。甘い蜜に群がるのは、制度設計に深く関与した大企業だ。13~15年にはNTTデータ、NEC、日立製作所、富士通、大和総研、野村総研、沖電気工業と内閣官房の検討会議「情報連携基盤技術ワーキンググループ」のメンバー企業7社だけで発注額の8割を独占。各企業には所管官庁の総務省など関係省庁の幹部官僚が再就職していた。
 国民にはデメリットだらけなのに、ホンの一握りの政府のお友達企業と天下り官僚だけがウハウハ。薄汚い癒着構造に加え、マイナンバー制度は財界の強い要請で導入された経緯がある。それだけ国民の個人情報パッケージは、喉から手が出るほど欲しいのだろう。

今すぐカードは返納すべき
 おかげで本来は税金、社会保障、災害対策の3分野に限られていたマイナンバーの利用範囲はなし崩し的に拡大。昨年3月4日には24年度末までに運転免許証と一体化させる道路交通法改正案が閣議決定された。
 さらに、個人情報を何に使うかについては、国会を通さずに範囲を拡大できるようになり、「規定された事務に準ずる事務」であれば、法律を変えなくても省令だけで扱う個人情報の種類が追加可能になった。
 既往歴や服用する薬の種類、介護レベル、年金額、納税状況、銀行口座、保険証、免許証、母子手帳……情報管理はザルのまま、ありとあらゆる個人情報を1枚のカードに次々と紐づけようとしているのだ。

「政府は『マイナンバー制度は外国では常識、日本は遅れている』と説明しますが、健康保険証を廃止してカード取得を強制する国はありません米国の社会保障番号制度は、なりすまし被害が多すぎてカードに『絶対に持ち歩くな』と注意喚起が印刷されています。ドイツはナチス時代の教訓から人に共通の番号をつけるのは憲法違反。他にも漏洩防止が徹底できず、制度を廃止する国も少なくない。これだけ多岐にわたる個人情報を1枚にまとめるのは世界の非常識。ズサンな情報管理で、まず普及ありきの異常さに国民も気付くべきです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 こんな危険なカードを「持ち歩きましょう」と奨励する河野は、やはり有権者をバカにしている。悪辣なカード普及に国民はいつまで唯々諾々と従うのか。カードを作ってしまった人は今からでも遅くない。役所に行って返納すべきだ。 

2023年5月29日月曜日

企業に莫大な利益保証 軍需産業支援法案 参院審議入り

 軍需産業支援法案が26日、参院本会議で審議入りしました。同法案は、国が採算のとれない軍事企業の製造施設を買い取り、設備投資や維持管理の経費を負担せずに経営することを可能にするものです。また販路拡大のため武器輸出への助成も進めるとしています
 共産党の山添拓議員は法案は「軍事企業に莫大な利益を保証するもの」であるとして、与党間で殺傷能力のある兵器の輸出を可能にするため「防衛装備移転三原則」の運用指針見直しを協議していることを挙げ、「軍需産業を守るために、『平和国家』の立場も武器輸出禁止もないがしろにするのは本末転倒」と強調し07「公共調達の適正化」に関する財務相通達に照らしても「本法案は競争入札どころか、兵器製造企業を政府が直接支援するもので、汚職や腐敗を繰り返す危険は従来以上に高まる」と批判しました。
 そして暮らしの予算を削り軍事費に充てるのは言語道断で政治が行うべきは戦争を起こさせないために平和外交を尽くすことであり、軍事に軍事で対抗し経済と産業をゆがめるなど許されないと述べました。
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企業に莫大な利益保証 軍需産業支援法案 審議入り 参院本会議で山添議員指摘
                        しんぶん赤旗 2023年5月27日
 国内軍需産業の基盤を強化する財政支援措置を盛り込んだ軍需産業支援法案が26日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党の山添拓議員は「軍需産業を『防衛力そのもの』と位置づけ、生産・技術基盤を強化する大軍拡実施法だ。空前の大軍拡で軍事企業に莫大(ばくだい)な利益を保証するものだ」と述べ、廃案を主張しました。(要旨下掲

 同法案は、国が採算のとれない軍事企業の製造施設を買い取り、設備投資や維持管理の経費を負担せずに経営することを可能にします。販路拡大のため武器輸出への助成も進めるとしています。
 山添氏は、与党間で殺傷能力のある兵器の輸出を可能にするため「防衛装備移転三原則」の運用指針見直しを協議していることを挙げ、「三原則の運用が変われば、法案で支援する武器輸出の内容も変わるのではないか。答弁を拒んで採決後に拡大するのは、国会審議への愚弄(ぐろう)だ」と追及。浜田靖一防衛相は「具体的な内容を答えるのは困難だ」と述べるのみでした。
 山添氏は「平和国家」の立場から紛争を回避するために武器輸出について慎重に対応するのが政府の認識だったと指摘。「軍需産業を守るために、『平和国家』の立場も武器輸出禁止もないがしろにするのは本末転倒だ」と強調しました。
 さらに、防衛省と軍需産業による天下りや談合などの多発を受け、2007年に「公共調達の適正化」に関する財務相通達が出されたと指摘。「本法案は競争入札どころか、兵器製造企業を政府が直接支援するもので、汚職や腐敗を繰り返す危険は従来以上に高まる」と批判しました。


軍需産業支援法案 山添議員の質問(要旨) 参院本会議
                        しんぶん赤旗 2023年5月27日
 日本共産党の山添拓議員が26日の参院本会議で行った軍需産業支援法案に関する質問の要旨は次の通りです。
                   
 本法案は、軍需産業を「防衛力そのもの」と位置づけ、生産・技術基盤を強化する、大軍拡実施法の一つに他なりません。
 政府の有識者会議の報告書は、軍需産業について「国内企業が成長産業としての防衛部門に積極的に投資する環境が必要」と唱え、防衛力整備計画は武器輸出が「防衛産業の成長性確保にも効果的」だとしています。政府は軍需産業を成長産業にしたいのですか
 2016年の参院本会議で当時の安倍首相は「武器輸出を国家戦略として推進することは考えていない」と答弁しましたが、国家安全保障戦略は「我が国にとって望ましい安全保障環境の創出」などと武器輸出を国家戦略としています。安倍氏の答弁を百八十度転換するのではないか。海外で兵器を売り歩くことが、なぜ「望ましい安全保障環境の創出」に結びつくのですか
 本法案は、自衛隊の任務遂行に不可欠な兵器を製造する企業が製造ラインの強化や事業譲渡を行う場合、政府が費用を直接負担します。自衛隊のあらゆる装備が「任務遂行に不可欠」となりかねないのではないですか。支援しても手段がない場合、国が製造ライン等を買い取る「国有化」まで盛り込まれています。戦前・戦中の工廠(国営軍需工場)の復活につながるとの批判をどう受け止めますか。
 背任、天下り、談合など防衛省と軍需産業の不正は枚挙にいとまがありません。本法案は、特定の兵器製造企業を政府が直接支援し、場合によっては施設を国有化した上で特定の企業に管理・運営を委ねるものです。汚職や腐敗を繰り返す危険は、従来以上に高まるのではありませんか。
 本法案は、防衛省と契約する企業やその下請け企業の従業員に秘密保全義務を課し、漏えいした場合は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科す規定を設けます。契約上の義務では足りず、刑事罰の対象となる法律上の義務とするのはなぜですか。また、防衛相が指定する秘密を取り扱う従業員の氏名、役職その他の防衛相が定める事項を防衛相に報告する義務を定めています。病歴や信用状態、思想や交友関係を経営者にチェックさせ報告を求めるなら、プライバシーの侵害ではありませんか。
 安保3文書と本法案は、企業と従業員に軍需産業への一層の適応を求め、空前の大軍拡で莫大(ばくだい)な利益を保証するものです。一方、今年度予算では中小企業、農業予算が連続して削減されました。

 暮らしの予算を削り軍事費に充てるのは言語道断です。政治が行うべきは戦争を起こさせないために平和外交を尽くすことです。軍事に軍事で対抗し、経済と産業をゆがめるなど許されません 

入管が〝送還ノルマ″ 送還忌避者〝縮減の月間目標″

 共産党の仁比聡平議員は26の参院予算委で、入管が「送還忌避者」について「月間縮減計画」を定め本国送還を強制してきたことを厳しく批判しました。
 事情により帰国できない人達について月間に何人送還するかのノルマを決めるとは余りにも非人道的で、「ひとくくりに送還忌避者呼ばわりするのは、難民条約、自由権規約、子どもの権利条約が求めるわが国の義務を損なう」と糺しましたが、斎藤健法相は「行政上の義務だ」などと開き直りました。恐ろしい発想です。

 難民問題に関する国対ヒアリングが26開かれ、「仮放免者」のスリランカ国籍で夫のナヴィーンさんと日本人配偶者のなおみさんから聞き取りを行いました。
 ナヴィーンさんは、当時内戦が続くスリランカから迫害を逃れるために04留学生として来日しましたが、日本語学校が突然閉鎖されたことで非正規滞在となりました。
 なおみさんとナヴィーンさんは16年に結婚したのですが、担当の入管職員は配偶者ビザ」を認めませんでした。しかし別の職員からは「偽装結婚と疑っていない」正反対の言われ方をするなど、全て入管(担当者)の判断で決められるブラックボックスだ」と批判しました。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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“送還ノルマ”で人権侵害 入管法改悪やめよ 仁比議員が実態示し批判
                        しんぶん赤旗 2023年5月27日
参院予算委
 日本共産党の仁比聡平議員は26日の参院予算委員会で、入管施設での死亡事件の根源には「“送還ありき”というわが国の入管収容あるいは行政の人権侵害の構造がある」と主張し、入管がノルマを定め、事情により帰国できない人の送還を強制してきたことを厳しく批判し、政府案の撤回を求めました。(関連記事下掲

 仁比氏は、2年前に名古屋入管で亡くなったスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさんの妹ワヨミさん、ポールニマさんが岸田文雄首相宛てに書いた手紙を紹介。手紙は、飢餓状態にあったウィシュマさんが病院での点滴を懇願しても聞き入れられずに死亡したとして、「姉は入管に殺された」「姉の死の真相を明らかにして、入管の責任をはっきりさせて」と訴えています。
 岸田首相は「このような事案、二度と起こさないために、法務省においてしっかりと改善策に取り組んでもらいたい」と答えました。
 名古屋入管はウィシュマさんが亡くなる前月、ウィシュマさんが求めた収容施設からの一時的な解放(仮放免)を却下し、その理由に「仮放免を不許可にして立場を理解させる」ことを挙げていました。
 仁比氏は、さまざまな事情で帰国できない人がひとくくりに「送還忌避者」とされ、入管の判断だけで帰国意思を示すまで自由を奪われ続けてきた「拷問のような人権侵害」を批判しました。
 法務省は2018年以降(19年から入管庁)「送還忌避者」の縮減目標を定め、各入管に毎月目標を設定させ達成状況を報告させるという“送還ありきのノルマ”を課してきました
 仁比氏が22、23年には縮減目標に関する通知文書が出されてないと指摘すると、入管庁の西山卓爾次長は「各地方官署から本庁への報告等は行わせている」「引き続き重要な課題だ」と答弁し、今もなお縮減目標を立てて取り組んでいることを明らかにしました。
 仁比氏は、22年以降、通知文書が出ていないのは、21年にウィシュマさんが亡くなり、今回と同じ骨格の入管法改悪案が廃案に追い込まれたことで「ノルマを課す取り組みが明るみに出るのを恐れたのではないか」と追及。斎藤健法相は、こうした入管の取り組みは「行政上の義務だ」などと開き直りました。


入管法改悪 外国人の実態みて政府案は棚上げに 仁比議員が主張
                       しんぶん赤旗 2023年5月27日
 日本共産党の仁比聡平議員は26日の参院予算委員会で、さまざまな事情で帰国できない外国人を政府が「送還忌避者」とひとくくりにしている問題を追及しました。入管法改悪案で強制送還の恐怖にさらされている人々の実態を訴え、徹底した審議の継続と政府案の棚上げを求めました
 仁比氏は、2021年末に送還忌避者とした3224人のうち、1年間で「在留特別許可」「難民認定」「人道配慮」で在留資格を得た人がいるとし、「直ちに送還どころか保護された人が120人も含まれている」と指摘しました。
 また、22年末の送還忌避者4233人のうち、退去強制令書の発布後も4割が5年以上滞在、うち半数は10年以上だとし、「早くに難民認定されていれば永住資格につながるような定着性の高い人たちがいる」「ひとくくりに送還忌避者呼ばわりするのは、難民条約、自由権規約、子どもの権利条約が求めるわが国の義務を損なう」とただしました。
 そのうち295人が18歳未満の子どもで、今回の入管法改悪で、強制送還されるのではないか、家族がばらばらにされるのではないかと恐怖にさらされています。「わが国で家族とともに、安心して働き暮らせるようにすることこそ、国の責務ではないか」と迫る仁比氏に斎藤健法相は、「送還忌避者をひとくくりに犯罪予備群のようには言っていない。いろんな(事情の)人がいるのはその通り」と認めながら「子どもの扱いについては真剣、前向きに検討する」と述べるにとどまりました。
 仁比氏は、政府案が通れば3回以上の難民申請で強制送還の法的な対象になってしまうと指摘。「実態を踏まえた徹底審議、政府案は棚上げが当然」と迫りました。岸田文雄首相は「法案の取り扱いについては、法務委員会で決めるべき」と述べるだけでした。


配偶者 在留認めて 入管法 国対ヒアリングで当事者訴え
                        しんぶん赤旗 2023年5月27日


第5回難民問題国対ヒアリングで発言する当事者の(左から)ナヴィーンさんと、なおみさん=26日、国会内


 難民問題に関する国対ヒアリングが26日、国会内で開かれ、一時的に入管施設への収容を解かれた「仮放免者」のスリランカ国籍で夫のナヴィーンさんと日本人配偶者のなおみさん(仮放免者等の在留資格を求める日本人配偶者の会)から聞き取りを行いました。
 ナヴィーンさんは、当時内戦が続くスリランカで父親と政治活動を行ったことを理由に襲われ、迫害から逃れるため2004年に留学生として来日。日本語学校が突然閉鎖し、在留資格を継続できず非正規滞在となりました
 なおみさんとナヴィーンさんは16年に結婚。入管に日本人の配偶者として在留特別許可を求めましたが、入管職員は「結婚しているだけでは配偶者ビザは認められない」と言われ、別の職員からは「あなたたちの結婚は偽装結婚と疑っていない」と言われるなど、正反対の対応を受けたと証言。なおみさんは「同じ事例でも、タイミングによって認められない。全て入管の判断で決められるブラックボックスだ」と批判し、「入管の権限を拡大するもので、(政府の)法案に断固反対だ」と述べました。
 ナヴィーンさんは、3回の収容と長期にわたる仮放免からストレスで重度のうつ病になったと証言。「先の見えない状態で生きている。一日でも早くビザを出してほしい。家族のために働き、税金を納め、ちゃんとした生活をしたい」と訴えました。