2020年4月30日木曜日

「文化芸術の自粛補償」も「学生支援」も拒否し“Go Toに1・7兆円”

「5月6日まで」として始められた緊急事態宣言に基づく外出自粛や休業の要請については、全国知事会が、異論は出たものの最終的に延長の必要性を決めました。国会でそれを問われた安倍首相は、6日で終了できるかは専門会議に相談して決める必要があると述べる一方で、なんと1か月間の延長もあり得ると述べました。
 しかし非正規労働者を始め、自営業者、中小企業者、文化芸術家たちなどは既に極めて深刻な窮状に陥っているので、安易に延長できるような問題ではありません。増して「休業要請に対しては休業補償を」の鉄則を守らない政権下では尚更です。

 3月24日までコロナ禍を放置し、感染者が市中に蔓延する事態が生じた以上、休業や外出自粛はやむをえないのかも知れませんが、それにはそれ相応の政治的対応を必要です。
「世に倦む日々」氏は29日付のブログで
延長に伴う次の給付金と新たな休業補償が必要で、救済のための本格的な予算措置を始めなくてはいけない。5月も営業再開できないとなると、中小企業の資金繰りは崖っぷちに追い詰められ、全国で倒産廃業が相次ぎ、失業者の群れが溢れる事態になる。一か月先の日本は全く予想が困難な状態だ
と述べています共産党の志位委員長も同様な主張をしています。
 正しく指摘の通りで、先頃ようやく決定した1人当たり10万円の給付で済まされるなどとは夢にも思うべきではありません。

 LITERAが直近の国会で安倍首相が示した認識を明らかにしました。
 国民各階層の困窮が如何に深刻であるのかを分からないリーダーではどうにもならないことを示すものです。
お知らせ
都合により5月~7月の間、記事の更新が14:00前後になります。ご了承ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安倍首相が共産党・志位の「文化芸術の自粛補償」も立憲・枝野の「学生支援」も全部拒否、“Go Toに1兆7千億円”補正予算ゴリ押し!
LITERA 2020.04.29
 本気で国民を見殺しにする気なのか──。全品回収騒ぎとなっている「アベノマスク」費用466億円のうち233億円を計上した2020年度補正予算案が、本日、衆院で可決・通過。野党が先送りを要求していた、新型コロナ収束後に実施するという「Go Toキャンペーン」に1兆6794億円を費やすという正気の沙汰とは思えない予算案を通したのである。

 事態の収束など世界中の誰も見通せない状態であるというのに、収束後の観光や外食などへの消費喚起キャンペーンに約1兆7000万円も計上する──。当然、このトチ狂った予算案に野党は猛反発。だが、安倍首相は、どう考えても「いまやること」ではないこの予算案を、この期に及んで正当なものだと主張したのだ。
 たとえば、きょうの衆院予算委員会では、日本共産党の志位和夫委員長が、医療現場へのさらなる財政措置や、「文化・芸術・スポーツは人間として生きていくために必要不可欠な酸素のような貴重なもの」だとしてイベント自粛にともなう補償を訴えたが、安倍首相はそれらをことごとく拒否。志位委員長は「Go Toキャンペーン」について「この非常事態のもとで収束後の事業に呑気にお金を付けている場合かと怒りが広がっている」と指摘。「収束後の事業につぎ込む予算が1.7兆円もあるのなら、まずは目の前の感染爆発、医療崩壊を止め、一刻も早い収束のために使うべき」と追及をおこなった。

 だが、このごく当然の要求に、安倍首相はこんな反論をおこなったのだ。
「文化・芸術振興のための予算もですね、この『Go Toキャンペーン』のなかには入っているわけでありまして、こういう、まさに文化・芸術に触れようというキャンペーンもおこなっていくわけでございます。で、ありますから、いままさに厳しい状況ではございますが、この収束後について、いつ収束するのかってことについてはまだ確たることは残念ながらお答えできませんが、その後にですね、しっかりと、いま大変苦しい思いをしているみなさんにとって、将来の灯火となるような政策もしっかり示していく必要がある、こう考えているところでございます」
「将来の灯火」の前に自粛要請にともなう補償がなければ火が消えるだろ、と言うほかないが、ここまでバックアップをおろそかにしながら「Go To キャンペーン」の正当性のために文化・芸術を持ち出すとは、どこまでバカにする気なのか。

 この人を食った答弁には、志位委員長もすかさず「収束ができたらね、そんなプレミア付けなくたって、みんな行きますよ!」とツッコミ。一時はTwitterのトレンドに「志位さん」というワードがランクインするほど注目を集めたが、じつは「Go To キャンペーン」に約1兆7000億円もの予算をつける一方で、安倍首相が拒絶した財政措置は医療・イベント分野だけではない。野党は早急に手立てが必要な問題への予算組み替えを提案したが、それをことごとく拒否。冷血な“他人事”答弁を連発しつづけたのだ。

 安倍首相が「Go Toキャンペーン」を優先させる一方で、一体どんな支援策を拒絶したのか。そのひとつが、学生をめぐる支援策だ。
 本日、一律学費半額などを求める要請書を野党議員らに提出した学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」によると、大学生・短大生ら1200人におこなったネット調査では、新型コロナの影響でなんと学生の5人に1人が大学を辞める検討を始めているという。そうしたなか、昨日の衆院予算委員会で立憲民主党の枝野幸男代表は、親から自立し学費と生活費をバイトで賄う学生や、家族を頼れない・協力を得られない学生が現状の制度では救えないこと、「雇用調整助成金」を受けられず解雇されている学生も数多いことを指摘。対策案として、「通常時では筋が悪いことはよくわかっている」と前置きした上で、バイトがなくなった学生が生活と学業を持続できるよう、例外的に「新型コロナで売り上げが半減以上した中小企業に200万円、個人事業主に100万円」を給付する「持続化給付金」を使えないか、と具体的に提案した。
 だが、安倍首相の回答は、あまりにひどいものだった。

■立憲・枝野代表の「学生への給付金」提案に安倍首相は雇用調整助成金をもちだし“雇用者が学生バイトに払え”
 まず、安倍首相は「本年4月から開始した高等教育の修学支援新制度で学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金の支給をおこなうこととしている」「感染拡大などの影響を受けて家計が急変した場合には、それを加味した所得見込みで支援の判定をおこなう」と、枝野代表が“いまの制度では救えない”と指摘した現行の制度を説明しただけ。その上、こうつづけたのだ。
「雇用調整助成金についてはですね、学生アルバイトを含む不正規雇用もその対象としたところでございまして、ぜひ雇用者には、これを活用していただいて、えー、お願いしたいと、こう思っております」
「今般、創設した緊急小口資金の特例等ではですね、収入減少などにより返済が困難となった場合には、それを免除する仕組みを導入しておりまして、こうした特例等も活用していただくことが可能となっております」

 枝野代表は“雇用調整助成金を適用してもらえずバイト先を解雇された学生がたくさんいる”と訴えていたのに、その話をまるっきりスルーして、「雇用者には活用してもらいたい」って……。だいたい、安倍首相も「雇用者には」と言っているように、勤め先から休業手当を受けるには、雇用者が助成金に申請しなくてはならない。その申請は煩雑でハードルがあまりに高いと批判されているのに、申請方法の抜本的な見直しもせず、安倍首相は「雇用者は活用して」と言うだけ。しかも、特例で免除されるかどうかもわからない「緊急小口資金」という“借金”を勧めたのだ。だいたいこれも世帯基準の制度であり、ここでも安倍首相は「親に協力を得られない学生を救えない」という訴えを無視したのである。

 窮状に追い込まれた学生の事情を、欠片も想像しようとしない安倍首相──。実際、枝野代表の質疑後、「アベノマスク」問題を取り上げた同党の大串博志議員も、布マスク配布に充てられた466億円をやめて学生の生活援助など困っている人たちの支援に回すと舵を切ることこそが「総理としてのあるべき姿」と迫ったが、このとき安倍首相は、こう口を開いた。
「あの、学生のみなさん、アルバイトで学費を稼いでいるみなさんについてどう対応していくかってことは、もう午前中も議論させていただきました」
 こうした冷酷さをあらわにしたのは、学生に対してだけではない。医療現場に対しても同じだった。

■医療現場の生の声を紹介し補償を求める共産党・志位委員長の質問に安倍首相の答えは…
 きょうの衆院予算委員会では志位委員長が、新型コロナ患者受け入れによる病院の減収が、杉並区の試算では月平均2億円にものぼることを指摘。医療崩壊を防ぐためにも、自治体任せではなく全額国が補償すべきと迫ったが、これに対して加藤勝信厚労相は、医療提供体制整備などに取り組む都道府県への交付金である「緊急包括支援交付金」(予算1490億円)があると持ち出した。
 だが、これではあきらかに不十分だ。現在、新型コロナ患者の受け入れをおこなっている医療機関は全国で1200病院。月平均2億円の減収という杉並区の試算を考えると、減収分の補償には1カ月だけで2400億円かかるからだ。
 そして、志位委員長は、この交付金だけでは「桁違いに足らない」とし、そもそも政府の医療費削減政策によって多くの病院が日常からギリギリの経営を迫られるなか、新型コロナ患者受け入れによる減収で倒産は必至だという悲鳴が全国から寄せられていると指摘。安倍首相に向かって、ある民間病院の院長から寄せられたメッセージを、こう読み上げた。
「日本という国は『高度な医療と素晴らしい健康水準を達成している』と言われてきましたが、こういった問題が起こると、ほとんどの病院が経営的にも人材的にもギリギリのところでやっていて、たちまちに崩壊モードになってしまうことがよくわかりました。それでも医療従事者は強い使命感をもって、命がけでがんばっています。そのときに政府が『お金のことは心配するな。国が責任を持つ。だから医療従事者は結束してがんばってください』と、強いメッセージを出してほしい。それがないと乗り切れない

「お金のことは心配するな。国が責任を持つ」、そう安倍首相に言ってほしい──。この切実な訴えに対し、しかし安倍首相は、実感が微塵も感じられない覇気のない声で「最前線で感染と背中合わせのなか大変な努力をしていただいていることにあらためて感謝申し上げたい」「各病院の経営を圧迫しているのは我々も承知している」と言いながら、「そこで先程、加藤厚労大臣から答弁させていただいたように、緊急包括支援交付金として1490億円を計上している」などと、加藤厚労相がおこなった主張を同じように繰り返したのだ。
 学生の窮状や医療現場から寄せられた悲鳴を、まるで「存在しない」かのように受け付けず、予算の組み替えを拒絶する。そして、いつになるのかもわからない収束後の「Go Toキャンペーン」の予算は「将来の灯火」などと必要性を主張して予算を通そうとする──。ようするに、安倍首相はいまだに国民が直面している苦難を何ひとつ見ようとせず、寄り添おうとする素振りさえ見せないのだ。

■「野党は対案がない」は嘘! 党利党略で野党の現実的な提案もすべて拒否する安倍
 今回の補正予算案には、野党が要求しつづけ、国民からの批判に耐えかねた安倍首相が一転して方針転換した一律10万円の現金給付の予算も含まれている。そのため、与党が野党からの予算組み替えの動議を拒否しても、早急な現金給付を求める野党は反発せず予算案の賛成に回り、衆院を通過するにいたった。だが、今回野党が要求した「持続化給付金」の倍増や、中小・小規模事業者等の賃料の支払猶予、「雇用調整助成金」の日額上限の引き上げ、医療機関などへの支援給付金の創設、そして「Go Toキャンペーン」事業の先送りによる歳出削減といった「対案」は、いずれも必要なものばかりだ。

 普段、「野党は対案を出せ」などと言っている安倍首相だが、野党はこの間「対案」を出しつづけ、そのひとつが一律現金給付だった。そこからもわかるように、国民は「野党は対案がない」だのと事実を無視してバッシングしている場合ではない。「Go Toキャンペーン」に約1兆7000億円もの予算をあてようという国民をバカにしきった安倍首相の横暴に、国民は声をあげ、野党に代弁させ、安倍首相を動かさなければ、新型コロナではなくこの国の政治によって命が奪われかねない事態にあるのだ。明日にも補正予算案は成立する見通しだが、国民の怒りをしっかり突きつけなければならない。 (編集部)

小池都知事を褒めそやす論調 愚かなメディア(金子勝・立大教授)

 29日、東京都のコロナ感染の1日の死者は過去最高の9名になりました。
 累積人数ベースの陽性率は40%という異常な数値を示し、致死率は15日の20%から2週間で30%(29日)と1%アップしこの先どこまで上がるのか見通せません。
 慶大が入院予定者(首都圏と想定)を検査したところ感染率は6%でした。これは都民の60万人以上が感染している可能性を示していますが、実際に確認されている都内の感染者は4059名(29日)に過ぎません。公表されている数字は明らかに実態とかけ離れています。

 目下の小池都知事はコロナ禍の鎮静に向けて派手な動きを見せていますが、考えてみると小池氏は安倍首相と共に、3月24日にIOC会長との間で東京五輪の延長が決まるまでは「コロナ禍」はどこ吹く風かとばかりに無視し続け、ついに首都圏にコロナの感染者を蔓延させた元凶でした。

 金子勝・立大教授が「戦犯・小池知事を褒めそやす論調 愚かなメディアの大本営」とする手厳しい記事を出しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
金子勝の天下の逆襲
戦犯・小池知事を褒めそやす論調 愚かなメディアの大本営
 日刊ゲンダイ 2020/04/29
 コロナ禍をめぐる大手メディアの報道は、先の大戦中の大本営発表のようになっている。東京都の小池知事を褒めそやすような論調さえある。

 小池は東京の医療崩壊の戦犯だ。先週はがん研有明病院や練馬光が丘病院でも院内感染が発生した。小池のブレーンである国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師は、PCR検査の拡大は医療崩壊を招くと主張し、検査を制限してきた。ところが、結果は全く逆だ。検査不足が医療崩壊を引き起こした。厚労省のデータでは1月15日から4月21日までの検査数は8435件、そのうち陽性者数は3320件。陽性率は約4割に上る。全国平均10・3%の実に4倍である。最近は民間検査が増えていると言い訳するが、とても足りていない。慶応病院の入院予定者を検査したら6%の陽性者がいた。隠れ感染が院内感染を招いているのだ。

 にもかかわらず、小池は検査数制限の実態も医療崩壊の現実も説明せず、対策も講じない。それどころか、永寿総合病院や中野江古田病院の事例では隠蔽が疑われる。中野のコールセンターの集団感染をめぐっては、発生から2週間も事実を隠し、消毒後に公表。それで感染者を追跡できなくなり、周辺の中野江古田病院や総合東京病院でも院内感染が発生した。

 そもそも、「ステイホーム」の外出自粛でコロナ禍を収束させられるのか。一貫して失策を重ねている専門家会議は、「接触機会8割削減」を1カ月続ければ感染者が減ると喧伝しているが、具体的な根拠を示せない。むしろ欧米諸国のロックダウンでは感染が増加している。しかし、大手メディアは数々の失敗の検証をすることもなく、小池の責任逃れをただ垂れ流している。

 米国や英国のように、初期段階で検査を怠り、感染拡大後に外出自粛に転じる戦略は間違いだ。それに対して、韓国、台湾、香港などの東アジア地域では感染をほぼ抑え込んでいる。膨大な検査の積み上げとGPSを利用した個別追跡。専用病棟建設などによって、感染者を隔離する政策を追求したからだ。

 ところが、小池は夜の街に責任を押し付け、買い出し自粛を求める。自らの失敗を都民の努力不足にすり替える。布マスク配布の安倍首相にいたっては、まるで竹槍を配って防空壕に逃げ込め。かつての敗戦と同じパターンだ。安倍、小池、専門家会議は即刻退陣し、清新なリーダーと専門家の下で態勢を組み直す必要がある。

 金子勝 立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。

30- パチンコ店への「休業強制」に乗じた「特措法に罰則規定」の動きは危険

 西村経済再生はコロナ特措法に基づく休業指示に従わないケースに関して、多数の自治体から問い合わせが来ているとして、「指示に従わない施設等が多数発生する場合には、より強制力を伴う仕組みの導入といった法整備について検討を行わざるを得なくなと述べました。
 形式的に「要請」の形をとっている現状でも市民の空気は「強制」に近いものになっていて、法曹界からは「明らかに制裁や威圧を目的としており、本来の趣旨から逸脱している」との指摘が出されています。

 休業に伴って収入の途が絶たれる人たちがいる以上休業の補償は必須です。生命の保障は何よりも最優先されなければなりません。そこのところを曖昧にしたままで休業・外出自粛の必要性のみを言うのは大いに片手落ちで、あってはなりません。罰則を設けるのは論外です。
 そもそも外出自粛や休業の影響を全く受けない階層である政治家や官僚たちが、それを取り決めること自体が間違いです。
「くろねこの短語」氏がそうした方向に走り出す空気に対して注意を喚起する記事を出しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
くろねこの短語 2020年4月29日
 休業要請に従ったということで、東京都がパチンコ店の名前公表を見送ったってね。確かに、コロナ特措法では、「施設の管理者や催し物の主催者に対し、知事は使用や開催の制限・停止を要請できる」と明記されてはいる。でも、あくまでも「要請」なんだよね。ここが肝心なところなんだが、実際は「要請」ではなくて「強制」になってるのに、どうして新聞・TVは指摘しないのか。
 こういう動きに対して、「明らかに制裁や威圧を目的としており、本来の趣旨から逸脱している」という意見が法曹界からも上がっているんだが、当たり前だと思う。そもそも、パチンコ店は危険だってことはハナっから言われていたことで、なぜか一時は休業要請の対象からはずされてたんだよね。自民党や維新の議員がパチンコ業界に深く関わっているからというのがおそらくその理由だったんだろうが、それが突如の強権発動って裏には何があったんだろう、と勘ぐりたくなろうというものだ。
 そんな中、コロナ担当相の女体盛り・西村君は、「新型コロナウイルスの特措法に基づく休業指示に従わない例が多発した場合、『罰則を伴う仕組みの導入を検討せざるを得ない』」なんてことを口にし始めている。全国知事会も「特措法に罰則規定」を要求したそうだ。ようするに、「罰則を伴う仕組み」こそが、こやつらの狙いってことだ。
 そのためにはパチンコ店は格好のターゲットなんだね。なんてったって、ギャンブル依存症の温床として社会問題にもなっているし、反社会勢力との関係もありそうだなんてイメージもありますからね。悪者にするには、もってこいってわけだ。
 でも、よく考えてみれば、パチンコ店に働くひとにだって生活がある。聞くところによれば、パチンコ店を経営するには、パチンコ台のリース料や従業員の給料、家賃、光熱費などを合わせると、1000万円くらいかかるんだとか。1ケ月も休業したら、潰れますね。
 これは、何もパチンコ店に限ったことではなくて、多くの飲食関係の店が同じような状況に陥るんだね。だからこそ、「休業と補償はセット」でなくてはいけない。なぜ、パチンコ店への「休業強制」が当たり前のように報じられて、「補償」が置き去りにされるのか。休業を余儀なくされている他業種の方々も、自分のこととして考えるべきなのじゃなかろうか。
 名前公表の恫喝が成功体験となって、コロナ・パニックを利用した強権的な動きは、「緊急事態条項」を含めた改憲へと繋がっていくかもしれません

2020年4月29日水曜日

“資金繰り倒産”加速 中小企業6割が近く破綻の恐れ

 エヌエヌ生命保険が32731に、全国の中小企業経営者7228「新型コロナの感染拡大がいつまでに終息すれば経営的に乗り切れるか」をきいたところ回答は、

 3月末ー7・1%、  4月末ー20・3%、  5月末166、  6月末15・5

で、6月末までとした回答が合計して59・5%にのぼりました。

 このアンケートはまだ緊急事態宣言が出される以前の3月末に行われたものです。「緊急事態宣言」後には人の動きが急激に縮小し一気に消費が冷え込んでいるので、当時予想された状況をはるかに超える深刻な事態となっています。たとえ10%が倒産してもその影響は甚大ですが、5月末・6月末にはどうなっているか計り知れません。

 中小企業の倒産防止に何の実効性のある政策を打ち出せないでいる政権は、この事態をどう認識しているのでしょうか。中小企業が軒並み倒産してしまえば、いずれ新型コロナが収束しても日本経済は立ち直れません。
 政府は、いっときも早く実効性のある政策を打ち出すべきで、それが出来ないのであれば即刻退場すべきです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
“資金繰り倒産”加速 中小企業6割が6月末までに破綻の恐れ
 日刊ゲンダイ 2020/04/27
 凄まじい倒産ラッシュになりそうだ。中小企業の6割が「6月末」までに資金繰りに行き詰まり、破綻する恐れが強いことが分かった。
新型コロナウイルスの感染拡大がいつまでに終息すれば経営的に乗り切れるか」――。中小企業に法人向け生命保険を販売しているエヌエヌ生命保険が、全国の経営者7228人にインターネットで調査した結果は衝撃的だ。「3月末」(7・1%)、「4月末」(20・3%)、「5月末」(16・6%)、「6月末」(15・5%)と、「6月末」までとした回答が59・5%にのぼった。
 要注意なのは、この調査は、まだ政府が「緊急事態宣言」を発令する前の、3月27~31日に行われていることだ。安倍首相が「人との接触8割減」を訴えていることもあって、緊急事態宣言の発令後、人の動きが縮小し、一気に消費が冷え込んでいる。それだけに、調査時点より、さらに逼迫している可能性が高い。

 経済評論家の斎藤満氏が言う。
「大企業と違って、中小企業はほとんど内部留保がない。売り上げがゼロになった場合、手持ち資金でしのげるのは、せいぜい2カ月程度でしょう。ほとんどの経営者は、緊急事態宣言が発令される前、これほど消費が落ち込むとは想像していなかったはずです。なにしろ、新幹線の乗車率がゼロになるほど、経済活動がストップしている。大変なのは、売り上げがゼロでも、家賃や人件費などの固定費は支払わなければならないことです。政府も、中小企業対策を打ち出していますが、スピードがない。たとえば、東京・港区の業者が、資金援助を区に頼もうと思っても、面談できるのは6月だといいます。これでは、面談前に手持ち資金が尽きてしまう。このコロナ禍は、簡単に終息しそうにない。このままでは、6月末に6割破綻より、もっとヒドイ状況になっておかしくありません」
 失策続きの安倍政権は、大急ぎで支援策を打ち出さないとダメだ。

コロナ軽症者はPCR「陰性」を確認せずに療養を解除してよいと

 新型コロナウイルス感染が陽性でも軽症ホテルなどで療養となった場合、「14日間の療養」が終わったら、PCR検査を受けずそのまま“療養解除外出OK”となるケースが相次いでいるということです。
 それは厚労省が4月2日付で以下のように「確認免除を通しているためです。
<宿泊療養中又は自宅療養中の軽症者等にPCR検査を実施する体制をとることにより、重症者に対する医療提供に支障が生じるおそれがある場合には、宿泊療養又は自宅療養を開始した日から14日間経過したときに、解除することができることとする>
 要するに重症患者のPCR検査を優先させ軽症者の検査はしなくていいというものです。

 それに対して山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)は次のように述べています。
PCR検査での確認は絶対にやるべきです。厚労省は重症者の検査を優先しているようですが、安倍首相は1日に2万件、検査できると断言しているのだから、軽症者も、十分検査は可能なはずです」
 政府はそれに対してキチンと回答できるのでしょうか。「疑似陰性者」が市中感染を拡大させているとしたら、経済活動を大幅に規制している国民各層の努力も水の泡です。そんなリスクを冒してまで、何故PCR検査を拡大しようとしないのか本当に不思議です。
 日刊ゲンダイが取り上げました。

 併せて日刊ゲンダイの記事「PCR検査費1日1500件のア然…“1日2万件”は予算案から消えた」を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
コロナ軽症者はPCR「陰性」確認せず…療養解除の仰天事実
 日刊ゲンダイ 2020/04/28
「陰性」確認しないまま、感染者を外出させて大丈夫なのか――。新型コロナウイルスに感染し、入院した場合、感染者が「退院」できる条件は、PCR検査で2回連続「陰性」となった時に限られている。
 ところが、陽性でも軽症と判断され、ホテルや自宅での療養となった場合、「14日間の療養」が終わったら、PCR検査を受けず、そのまま“療養解除”“外出OK”となるケースが相次いでいることが分かった

「陰性」確認されないまま、感染者が“療養解除”されているのは、厚労省が各自治体に“確認免除”を通達しているからだ。4月2日付の通知には、こう書かれている。
<宿泊療養中又は自宅療養中の軽症者等にPCR検査を実施する体制をとることにより、重症者に対する医療提供に支障が生じるおそれがある場合には、宿泊療養又は自宅療養を開始した日から14日間経過したときに、解除することができることとする>
 要するに、重症患者のPCR検査を優先させ、軽症者の検査はしなくていい、ということだ。
 しかし、いくら軽症者で、14日間療養したとしても、ウイルスが残っている恐れもあるのではないか。実際、熊本県では、検査を16回受けたが、いずれも「陽性」だったため、無症状のまま2カ月間も入院したケースがあった。また、福井県の調査では、退院した患者の平均入院日数は「15.7日間」と長く、担当者は「陰性確認まで2週間程度、軽症の人でもなかなか陰性にならないことがデータからうかがえる」と説明している。

 新型コロナの怖さは、「無症状」でも感染させてしまうことだ。なのに、「陰性」確認せず、外出OKとは、乱暴なのではないか。山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)はこう言う。
「陰性確認せずに療養解除しているとは驚きです。PCR検査での確認は絶対にやるべきです。インフルエンザのように、データの揃っている感染症は、症状が収まってから何日たてば、他人に感染させないと判断できます。でも、新型コロナは未知のウイルスですよ。厚労省は重症者の検査を優先しているようですが、安倍首相は1日に2万件、検査できると断言しているのだから、軽症者も、十分検査は可能なはずです」
「疑似陰性者」が市中感染を拡大させているとしたら、恐ろしいことだ。


PCR検査費1日1500件のア然…“1日2万件”は予算案から消えた
 日刊ゲンダイ 2020/04/28
 新型コロナの緊急経済対策実施に向け、27日、今年度補正予算案の国会審議が始まった。いったん閣議決定した補正案を組み替える前代未聞の事態を招いた一律10万円給付に焦点が当たっているが、見過ごせないのはPCR検査費用だ。ア然とするほどの少なさなのである。

 コロナ対策の最前線に立つ厚労省の補正予算案は総額1兆6371億円。大まかな内訳は
▼感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発=6695億円
▼雇用の維持と事業の継続=9627億円
▼強靱な経済構造の構築=54億円
――だ。この中身について、NHK「日曜討論」(26日放送)で国民民主党の泉健太政調会長がこう発言していた。
「PCR関係には49億円の費用がついている。厚労省にどういう算定なんだと聞いたら、55万件分のPCR検査のお金だと。1日あたりに直すと1500件なんですよ」

 絶句である。この期に及んで検査体制の拡充を棚上げするつもりなのか。確かに、厚労省の補正予算案には〈検査体制の確保49億円〉とあり、〈PCR検査等に係る地方衛生研究所における検査費及び保険適用された検査の自己負担分、新型コロナウイルス感染症の発生動向調査等に要する経費を支援する〉と書かれている。過少検査を批判された安倍首相は6日、「PCR検査体制の1日2万件への倍増」を表明したものの、いまだ数千人しか検査せず、累計検査人数は15万692件(27日正午現在)にとどまる。厚労省に問い合わせると、泉への説明を認め、こう答えた。

「国民の健康と生命を守る」はやはり嘘
「49億円は実績ベースで算出したもので、国内で実施される全てのPCR検査費用に充当します。足りなくなった場合は、追加の補正予算や予備費の活用などでの対応を検討します。予備費も足りなくなれば、財務省と協議することになると思います」(結核感染症課)
 感染拡大にお手上げの安倍は、失点にしかならない実態把握にはヤル気ゼロ。必死こいて守っているのは「国民の健康と生命」ではなく、自分の政治生命なのだ。

29- アベノマスク 漏れ率100% ユースピオ社は疑惑まみれ(LITERA)

 厚生省が妊婦などに向けてまず50万枚配布したマスクは、髪の毛の混入や汚れ黄ばみがあるとして、27日昼時点で約400の市町村から箱ごとの返品を含めて、3万枚が厚生省に返品されたということです。現在は配布を中止しています。
 首相が全戸に2枚ずつ配布すると謳ったアベノマスクにもやはり虫や髪の毛の混入、黒色・緑色のカビの付着などが確認されています。到底使えるモノとは思えませんが、厚労省は包装後に目視検査を行って配布を進めようとしました。しかしマスクを納入した3社のうち、大手メーカーの興和と伊藤忠商事23日、未配布のマスクを全量回収し海外や国内で品の検査を徹底すると発表しました。
 さて肝心のマスクの性能についてですが、聖路加国際大の大西一成准教授が「アベノマスク」の微粒子漏れ率を計測したところ5回とも漏れ率が100%でした。マスクが小さくて顔に密着しないためマスクの周りを顔にしつけて測っても漏れ率は97%で大西準教授は「感染を防ぐ効果は期待できない」としました。WHOのトップも述べたように、ガーゼ・マスクの阻止率が低いことは衆知の事実で、洗濯して繰り返し使えるからという理由で採用した結果がこの有様です。
 本質的なことではないにしても、洗えば縮むマスクなのに最初から小さめの寸法に決めるというのも論外です。これでは466億円をドブ捨てるも同然ということになります。

 ところで政府が頑なに公表しなかった布マスクの受注業者の1社が「株式会社ユースビオ」という会社であることが27日ようやく公表されまし。しかしそれは得体のしれない会社で、何故か会社の戸籍簿に当たる登録書類の閲覧が禁止になっているということです。
 他の3社は公表したのにこの分だけ頑なに公表を拒んでいたことと言い、まことに胡散臭い話です。

 28日の衆院予算委で立憲民主党の大串博志衆院議員がこの問題を取り上げました。
 質問に逆ギレした安倍首相は、いつもの調子で延々と関係のない答弁を続けるなどして紛糾させました。「答弁を邪魔された」、「私が時間稼ぎする必要なんかない」などと何とも異常な態度でした。LITERAの記事を紹介します。
(関連記事)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アベノマスク“隠されていた1社”にさらなる疑惑  安倍首相は逆ギレ、
自分のマスクの有効性強弁も「漏れ率100%」の悲惨な実験結果
LITERA 2020.04.28
 「アベノマスク」をめぐり、政府が頑なに公表しなかった妊婦向け布マスクの受注業者の1社が「株式会社ユースビオ」という会社であることが昨日ようやく公表されたが、それがさらなる疑念を生んでいる。
 このユースビオの社長に取材をおこなったメディアは「癒着は一切ない」「癒着の噂全否定」などと報じているが、疑念は深まるばかりだ。
 そもそも、他の受注業者は興和や伊藤忠商事、縫製大手であるマツオカコーポレーションといった名の知られた企業である一方、ユースビオはホームページさえも見つからない会社。さらに、法人登記簿に記載する定款の「目的」を4月1日に変更、10日に登記されているのだが、変更前は「再生可能エネルギー生産」や「バイオガス発酵システム」の研究開発と販売や、「ユーグレナ等の微細藻類」「オリゴ糖等の糖質」の生産・加工と販売などといったものが並び、マスクに結びつきそうな事業目的がなかった。しかも、同社社長が2018年には消費税約3100万円を免れたとして消費税法違反などの容疑で懲役1年6月、執行猶予3年の判決が出ていたことも判明。こうした情報から、ネット上では「どうして政府はこの会社に受注したの?」と訝しむ声が次々にあがった。
 一方、同社の社長は契約の経緯について、「もともとは、福島県や山形県につてがあって、そこにベトナム製のマスクを用意してほしいと頼まれた。その準備をしていたら、『国が一括で集めることになった』と言われたので、そちらにシフトしてスペック表やサンプルを提出し、受注する流れになった」(デイリースポーツ27日付)と語り、自身が公明党員であるとし、安倍首相や政府との癒着についても「ないですよ。安倍さんとも自民党とも、何の付き合いもない」と否定。執行猶予中であることも認めている。
 しかし、国内外にマスク製造や輸入が可能な企業は数多くあるはずなのに、どうしてこの会社が選ばれたのかという疑問は残ったまま。いや、大前提として、ここまで同社との契約に「何かあるのでは」と疑いの目が集まるのは、政府が必死で企業名を隠してきたためだ。

 そして、実際に本日の衆院予算委員会でもユースビオが受注企業に選ばれた問題について追及がおこなわれたが、安倍政権は何ら納得のいく説明をおこなわず、正当性だけを主張したのだ。
 まず、この問題を取り上げた立憲民主党の大串博志衆院議員が「この会社はどういう会社か」と質問すると、加藤勝信厚労相は「福島県福島市に本社を持って、輸出入業務をおこなっている企業」と答弁。さらに「3月16日に予備費で契約した。緊急随契(随意契約)」「木質ペレットの関係の輸出入業をやっていた」と述べた。
 だが、前述したように、法人登記簿には最近まで事業目的にマスク製造や輸出入に関連した事業はなく、4月1日におこなった変更によって「貿易及び輸出入代行業並びにそれらの仲介及びコンサルティング」が追加されたばかりだ。つまり、政府との契約後に「輸出入代行業務・仲介」が足されていたのである。
 そこで、大串議員は「3月中は会社の目的として輸出入をおこなう定款になっていなかった。そういう会社だと知らないで契約したのか」と問いただしたのだが、ここで加藤厚労相は“輸出入については別の会社が担っている”と言い出し、それは「シマトレーディング」という会社であり、ユースビオは「マスクの布の調達、納品時期等の調整」、シマトレーディングは「生産・輸出入の担当」だったと説明。ユースビオとシマトレーディングの2社が一緒になった契約額が52億円だと述べたのだ。

国会で追及受け安倍首相が逆ギレ「答弁を邪魔された」「私が時間稼ぎする必要なんかない」
 3月の時点でユースビオには「マスク布の調達」のような業務が含まれる定款もなかった上に、唐突に公表された新たな会社名……。問題は、どうしてこのユースビオやシマトレーディングと緊急の随意契約を結ぶにいたったのかだが、加藤厚労相はこう主張した。
「このユースビオは、他の布製マスクの供給をされている方含めてですね、政府によって広く声がけをしていただきました。これは私どもというよりも経産省主体になってやって、これはほかでもこういうことやってます。それに応えてもらった事業者の1社」
「マスクの品質および価格、企業の供給能力および迅速な対応が可能であるかという観点から選定をおこない、速やかにマスクを配布する必要があるということで随意契約をおこなった」
「経産省が広く声がけして応えてもらった1社」というが、それこそ日本には布製品の製造や輸入を手掛ける会社は山ほどある。経産省はほんとうに「広く声がけ」などおこなったのか。実際、大串議員も「私の地元には縫製工場がたくさんあり、マスクもつくっているが、経産省からの声がけなんて話は一度も聞いたことがない」と疑問を投げかけていたが、加藤厚労相はなぜユースビオと契約したのか、納得できるような説明をしなかった。

 このように、いまだ疑問が尽きない「アベノマスク」ならぬ「ナゾノマスク」──。だが、呆れたのは、「アベノマスク」の発案者たる安倍首相の対応だ。
 じつはこの布マスク問題の追及中、大串議員は最初、事務所と宿舎の2カ所に届いたという「アベノマスク」を着用していたのだが、途中で「総理に配っていただいたこのマスク、空気を吸うことがなかなか難しいので代えさせていただきましたけれども」と断って、地元の縫製工場がつくったというマスクに付け替えたのだが、これに安倍首相がキレて、こう非難したのだ。
「私、(アベノマスクを)ずっとしているんですが、あの、全然、息苦しくはございません。意図的にですね、そうやって貶めるような発言はやめていただきたい」
「『息苦しい』とかそういう苦情は、いまのところ聞いてはいない」
「全然、息苦しくない!」と主張した安倍首相だが、しかし、じつはこの質疑がおこなわれる前、午前の質疑が終わったとき、安倍首相は委員長に一礼するやいなや、素早く「アベノマスク」を取り、背広の内ポケットにしまい込んでいた。
 みんなマスクを着用したままなのに(普通、自宅に戻るまでは着用するものだろう)、委員会が休憩に入った途端、布マスクを外した安倍首相……。それは「息苦しかった」からではないのか?とツッコまずにはいられないだろう。
 しかも、大串議員からどうして布マスクの全戸配布を決めたのかとその経緯を説明してほしいと質問された際には、「布マスクはですね、咳などによる飛沫の飛散……」などと訊かれてもいない布マスクの「有効性」について話し始め、「経緯だけでいいですから」と大串議員から言われても「これ大切なところですから」「これも経緯のひとつですから」と強弁し、安倍首相の無駄な答弁を止めてくれと委員長席に駆け寄るなか、「感染拡大に一定の効果がある」「米国のCDCも使用推奨を発表」「シンガポール、パリ、バンコクなどで市民に配布する動きが広がっている」など、長々と主張を繰り広げたのだ。
 これはあきらかに質疑時間を削るための時間の浪費だが、挙げ句、「質問者の方が立たれて答弁を遮られては、これはやりとりにならない」「答弁を邪魔された」「私が時間稼ぎする必要なんかない」などと主張。いつも時間稼ぎのダラダラ答弁ばかり繰り返してきたくせによく言うよという感じだが、当然、「私が時間稼ぎする必要なんかない」という主張に野党席がざわつくと、「(布マスクが)どういう評価を得ているかと話をすると、ヤジで遮られたり邪魔される、直ちに妨害されるのは遺憾」と言い出す始末だった。

マスク研究者がアベノマスクを実験も、5回計測して5回とも「100%の粒子漏れ率」
 しかし、ここで安倍首相が必死になって繰り広げた「アベノマスクの有効性」は、まったくのデタラメだ。
 というのも、本日、AERA.dotに掲載された記事によると、『マスクの品格』(幻冬舎)という著書もある聖路加国際大大学院の大西一成准教授が「アベノマスク」の〈外側と内側の粒子の数を計測して、どれくらい内側に入り込んでいるか〉という「漏れ率」を計測。その「漏れ率」は、5回計測して5回とも〈100%の漏れ率〉だったとし、こうコメントしているのだ。
「ウイルスの取り込みを防ぐという観点から言うと、ほとんど効果がない。布ではフィルターの役割を果たしていないことに加えて、サイズが小さいので隙間ができやすい。一生懸命マスクの周りを押さえて測ってみても、漏れ率は97%でした。人からの感染を防ぐ効果は期待できませんね」
 つまり、専門家の計測では「アベノマスク」は「人からの感染を防ぐ効果は期待できない」ものだと判断されているのに、安倍首相は「感染拡大に一定の効果がある!」などと国会で大嘘の主張をおこなった、というわけだ。
 だいたい、「アベノマスク」の生産を請けた会社に送られたという仕様書によると、「アベノマスク」は〈1枚のガーゼを折りたたんで15重にし、左右の端の1列ずつを縦に縫って、ゴムをかけて完成〉させただけのものであるらしい(前出・AERA.dot)。それで「感染拡大に一定の効果がある」などと国民に喧伝することは、詐欺としか言いようがない。
 だが、「アベノマスク」を揶揄されて色をなしてキレまくったのも、躍起になって嘘っぱちの「アベノマスク」の有効性を主張したのも、それだけ安倍首相が「アベノマスク」の問題に過敏になっている何よりの証拠だ。さらに、受注業者をめぐる問題の追及がおこなわれたことでキレはじめたことを考えれば、そこに突かれたくない理由が何かあるのかもしれない。となると、今後もこの「ナゾノマスク」の追及が必要だ。 (編集部)