2020年12月31日木曜日

羽田雄一郎参院議員の死が示すコロナ検査の現実 検査抑制の実態

 立民党の羽田雄一郎参院議員は体調に異変を感じ27日にクリニックに向かう途中で容体が急変し、亡くなりました。死後、新型コロナ感染していたことが分かりました。
 羽田氏は23日に日帰りで立民党長野県連常任幹事会に参加し、異変を感じたため24日の11時30分ごろ秘書が参議院内の診療所に連絡を取ったところ、「症状がない場合は民間のPCR検査しかうけられない」と断られました。それで別のクリニックにネットで27日の検査で予約を入れ25日と26日は自宅で静養していました。

 24日に参議院内の診療所で受診できていれば助かった可能性がありましたが、政府が決めた基準ではそれが出来ないようになっていました。コロナの死者は30日現在で約3450人に達しました。その中にはその基準のために命を失った人が多数に及び、コロナ感染自体が認識されないまま亡くなった人たちも多数いることでしょう。

 日本のPCR検査実績は第1波のときから世界で150位ほどで、その実態は現在も変わっていません。厚労省医系技官グループが一貫してPCR検査抑制論を唱えているためといわれています。医系技官だけでなく同じ見解を持つ学者や一部の国民も絶えず同じことを主張しますが、それは世界の常識に反するものです。
 もしもそれが政府や一部の知事などが長年に渡り保健所や医療機関の削減を続けてきたことの悪弊を隠すためであれば、本末転倒も甚だしく論外というしかありません。
 LITERAが、「羽田雄一郎参院議員の死が示すコロナ検査の現実 ~ いまだ検査抑制論を」とする記事を出しました。
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羽田雄一郎参院議員の死が示すコロナ検査の現実 玉川徹は「検査まで時間がかかりすぎ」と指摘も橋下徹らはいまだ検査抑制論を
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 27日に急逝した立憲民主党の羽田雄一郎参院議員の死因が新型コロナの感染によるものだったと、28日、同党の福山哲郎幹事長が発表した。
 ショッキングだったのは、羽田氏が死に至るまでの経過だ。
 会見をおこなった福山幹事長によると、羽田氏は23日に日帰りで長野県に赴き、党県連常任幹事会に参加していたが、24日の11時30分ごろ、羽田氏の秘書が参議院内の診療所に連絡をし、「症状はないが羽田議員の近場の人に陽性が出た、PCR検査がどこで受けられるか」と問い合わせした。これに対し、同診療所は「症状がない場合は民間のPCR検査しかできない」と返答、PCR検査ができる民間病院のリストがFAXで送られたという。そのリストのなかに羽田氏の主治医がいるクリニックがあったため連絡したが、ここでも検査はできないと言われたという。
 しかし、羽田氏は24日の深夜に発熱(38.6度)。翌25日、朝には36.5度まで下がったが、別のクリニックにネットで27日の検査で予約を入れた(福山幹事長は「25日にネットで予約をしたらそこしか空いていなかったのではないかというふうに思う」と語っている)。この25日と26日は自宅で静養し、この間、36.5度の平熱まで下がったかと思えば夜に38.3度まで上がるなどの変動があり、予約していた検査当日の27日朝も36.1度まで下がっていたという。
 だが、クリニックに向かう車に乗り込んだあと、体調が急変。呼吸も荒くなり、車を運転する秘書に「俺、肺炎かな」と口にすると、羽田議員との会話は途切れてしまった。秘書はその場で救急車を呼んだが、緊急搬送された東京大学附属病院で死亡が確認された。羽田氏はクリニックに向かっていた車中か救急車のなかで亡くなったとされているという。
 羽田氏の死去が報じられた当初、スポニチが“数日前から体調を崩し、PCR検査を受ける予定があったが、都内で行われた会合に出席、会場を後にし車に乗り込む際に足元がふらつき、体調不良を訴えてその場で倒れた”と報じ、ネット上では「体調が悪いのに会合に出席するな」「ステーキ会食より酷い」などとバッシングを受けていたが(なかにはいまもそう攻撃しているネトウヨもいる)、それは事実と異なる誤報だったということだ。
 むしろ、羽田氏は無症状の段階でPCR検査を受けようとしていたが、参院の診療所で、
公的検査ができない、民間のPCR検査しかできない、といわれていた

玉川徹の「なぜこれだけ検査まで時間がかかったのか」に対し検査抑制論を主張し続ける橋下徹
 実際、これは羽田議員だけの問題ではない。韓国の首都圏では無症状で感染者との接触がなくとも無料で誰でもPCR検査が受けられる態勢を拡大させているが、かたや来年には五輪をやろうという首都・東京では、濃厚接触者や有症者でなければ、保健所に申し入れても検査を受けられない。
 感染の不安があれば、羽田氏のように自費で民間の検査を受けるしかないのだが、その民間検査も多くは現在予約がいっぱいで誰でもすぐに受けられる状況ではない。また、民間検査は自費のため1〜3万円前後もかかり、一般市民が受けるには経済的なハードルも立ちはだかっている。
 そういった点を考えても、やはり公的検査の対象範囲を広げるべきなのだ。陽性者と接触のあった人や基礎疾患などリスクのある人などは、本人の希望があればすぐに公的検査を受けられる体制にする必要がある。
 実は、羽田氏が所属する立憲民主党をはじめとする野党4党は、3月の段階で「PCR検査拡充法案」を提出するなど国に検査体制の整備強化を訴えてきたが、政府は例の「4日間ルール」を見直したくらいで、検査体制をほとんど強化しようとしなかった。羽田氏のコロナ死が検査の遅れと直接的に関係があるかどうかは検証する必要があるが、少なくとも、その死が検査体制の整備の必要性を再認識させたことは間違いないだろう。
 だが、そんな羽田氏の死を受けても、むしろ「検査抑制論」を唱える人物がいる。たとえば、橋下徹氏などもそのひとりだ。
 橋下氏は、玉川徹氏が28日放送の『モーニングショー』で「なぜ、これだけ検査まで時間がかかったのか」「アメリカなんかは(来年)3月末までで1週間で2億回、検査ができる形になるんですよ。ワクチン接種も始まっているのに、まだまだ検査を増やそうとしている」とコメントしたことを受け、スポーツ報知の記事を引用リツイートするかたちでこう主張したのだ。
〈回数を増やす問題ではない。有症状者や濃厚接触可能者、震源地やハイリスク地の無症状者に迅速的確に検査をやることが重要。〉
〈検査の回数ばかり増やしても、アメリカは、感染者数も死者も抑制できていない。必要な対象者に迅速的確に検査をする必要がある。回数の問題ではない。〉
 この反論が自己矛盾を起こしていることに、橋下氏は気づかないのだろうか。というのも、橋下氏は「回数を増やす問題ではない」と言うが、いまより「有症状者や濃厚接触可能者、震源地やハイリスク地の無症状者に迅速的確に検査をやる」には、検査および検査回数を増やすしかないからだ。
 しかも、このツイートは死亡に至った経緯が福山幹事長から発表される前のものだとはいえ、羽田氏は東京=ハイリスク地在住者であり、濃厚接触者ではないものの感染者との接触もあった。さらに容態が急変する危険性を考えても、検査の拡充によって陽性者をいち早く捕捉することが重要なのは言うまでもない。

保健所を増強する議論を封じ、パンクさせたのは、検査抑制論者だ
 橋下氏といえば、何かあると『モーニングショー』と玉川氏を名指しして攻撃し、「PCRを無症状者まで全国一律で広げていったら、保健所から行政からパンクしていってしまう」などと主張。多くの人は「検査が必要な人が受けられていない」「感染拡大地は検査体制の拡充を」と求めていたのに「全国一律」などと話を盛り、さらには大阪の保健医療提供体制を脆弱にした張本人なのに「保健所から行政からパンクする」からと検査抑制論を唱えてきた。
 しかし、橋下氏自身が、軽度の発熱と喉の痛みでPCR検査を受けたように、発熱するなど異変が起こったら誰でもすぐに検査が受けられる態勢が本来は整えられるべきだし、橋下氏も経験からそう訴えるべきなのに、いまだに「回数を増やす問題ではない」などと言いつづけているのである。
 しかも、橋下氏のような検査抑制論が罪深いのは、現時点の行政の不備のエクスキューズになっているだけでなく、「現時点では無理でも将来的には検査を増やしていかなければならない」という議論すら封じ込めてきたことだろう。
 第1波で検査抑制によって多くの命が失われたにもかかわらず、検査抑制論を唱えていた者の多くは、その後も誤りを認めることなく、「必要な検査」はするべきなどと論点をずらし、検査に制限が必要であるとの前提をあらためなかった。その結果、第1波から半年以上経ったいまも、検査やその後の接触者追跡調査体制の構築、病床や隔離療養施設の増強が放置されてきた。
 医師や看護師を短期間に育成するのは難しくとも、アメリカ・ニューヨークや韓国のように接触者の追跡調査をするトレーサーを新たに育成・増強することや、野放しになっている民間検査を行政とうまく結びつけるシステム作りなど、可能なことはいくらでもあっただろう。
 ところが、検査抑制論のせいで、行政はそういった努力をスポイルしてしまったのだ。その結果、起きているのがいまの状況なのである。
 そういう意味では、検査抑制論者に「保健所がパンクしているのに検査を増やせなどというのはおかしい」などという資格はない。なぜなら、保健所を増強する議論を封じパンクさせたのは、検査抑制論者自身だからだ。

 いまからでも遅くはない。収束したら無駄になるとかワクチンができたからもう大丈夫などと楽観するのではなく、検査体制を拡充すべきだろう。 (編集部) 

病床逼迫・大寒波・変異種…新型コロナが日本の正月を直撃

 GoogleのA Iによる最新予測(12/29~1/25)によると、死者数の予測値は12/29で54人/日(実際は43人/日)に対し1/25には84人/日に 、感染者数の予測値は同じく12/29で3082人/日(実際は3595人/日)に対し1/25には4138人/日になるとなっています(12/29の時点で実数と一致しないのは、予測値は7日間移動平均値を取っているからです)。

 要するに死者、感染者がこの先減少する要因は何もないということです。
 小池都知事もそうですが、菅首相からは何の危機感も伝わってきません。非難の高まりの中でさすがに会食は自粛したようですが、何故か28日には、村井嘉浩宮城県知事、湯崎英彦広島県知事、鈴木康友浜松市長の3氏と都内のホテルで会食し、「Go Toトラベル」事業の再開について意見交換したということです。
 芥川賞作家の平野啓一郎氏がツイッターで「ほっとけば、そのうち感染が収まると思ってるのだろうか? 何故、何もせずにGo Toのことばかり考えてるのか? 話し合うことがあるならzoomでやれ」と批判したのは当然のことです。
 コロナ第3波が勢いを増しつつある中で、為政者は何の対策も打たず、メッセージの発信もありません。日本はまことに陰鬱な正月を迎えます。
 日刊ゲンダイの記事「 ~ 新型コロナが日本の正月を直撃」を紹介します。
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病床逼迫・大寒波・変異種…新型コロナが日本の正月を直撃
                          日刊ゲンダイ 2020/12/29
 新型コロナウイルス第3波の勢いが止まらない。27日までの1週間平均の新規感染者数は3000人超と過去最多水準が続く。28日から「Go To トラベル」が全国で一時停止されたが、時すでに遅し。好転の兆しが全く見えない中、迎える年末年始。新型コロナの3つの悪材料が横たわる。

【病床逼迫】
 医療提供体制は深刻な状態だ。25日の厚労省の発表によると、コロナ感染者用の病床使用率は、23日時点で大阪67%、兵庫62%、群馬62%、高知60%、東京54%など8都道府県で、病床逼迫が最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)の指標50%を上回ったステージ3(感染急増)の指標25%超は、先月4日時点で5都府県だったが、23日時点では26都道府県と5倍超に膨れ上がっている
 病床が逼迫する中、コロナ患者が増えるとの予測もある。26日時点の東京都の患者(入院、宿泊、自宅療養、調整中の合計)は約7000人。27日時点のグーグルの予測は、12月24日から1月20日の28日間で都の患者数は、1日当たり最大1万2000人超と見込んでいる。
 医療提供体制が手薄になる年末年始に患者急増とは踏んだり蹴ったりである。

低温で18%感染者増も
【大寒波】
 今年は30日ごろから日本上空に強い寒気が流れ込み、大寒波が列島を襲う見通しだ。寒波は年明けまで居座るとみられている。気象庁によると、正月三が日の東京の平年の最低気温は1・4~1・6度だが、今年はマイナス1~0度の予報だ。27日の最低気温は5度程度で、正月は今より5~6度程度低い。北京大のグループは、気温が1度下がると感染者が約3%増えると解析している。単純計算すると、気温要因で現在より15~18%も感染者が増えかねない

【変異種】
 英国で確認された感染力1・7倍の変異種ウイルスは世界各国に感染が広がっている。日本でも、とうとう空港検疫以外で2人の感染が確認された。さらには27日、英国滞在歴のある50代女性が、帰国時の検疫では陰性だったものの、その後、陽性だと分かった。検疫をすり抜けての確認で、「水際対策」の限界が明らかになった。ウイルスが市中に広がっている可能性も出てきたわけだ
 加えて、日本で変異種ウイルスが発生する懸念もある。

「1日数万人の感染者が出ている欧米やアフリカに比べて、日本の感染者数はケタが少ないので、可能性は低いですが、日本国内で感染力が高い変異種が発生することも考えられます。水際対策に加えて、日本で起きる変異にも警戒すべきでしょう。英国はウイルスの遺伝子配列をしっかり調査していたので、変異種を早期に発見できました。ところが、日本の感染研などはウイルスの遺伝子調査や情報公開に後ろ向きです。タイムリーにウイルスの変異情報をつかんで対応できるのか疑問です」(医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏)
 よりによって、年末年始にトリプルパンチが直撃。正月明けの日本列島はどうなっているのか。

学術会議介入に抗議 1349学会の声明 過半数突破

 菅首相が日本学術会議の一部の会員候補の任命を拒否し、さらに学術会議を「国の特別の機関」から切り離し権限を弱めようとしたり、今の分科会を廃止して時の政府の「政策」を推進するための「シンクタンク」へと変質させる策動は絶対に許されません。

  ⇒12月30日)学術会議への攻撃 異論を排除する強権政治は許されない

 菅内閣による日本学術会議の会員任命拒否問題に対して、抗議や懸念を表明した団体が、29日までに1349にのぼることが、「安全保障関連法に反対する学者の会」調べで分かりました。「学問の自由」への侵害を批判すると同時に、ひいては大学のあり方、民主主義の危機だととらえているのが特徴です。
 国際学術会議も、菅内閣の決定が「日本における学問の自由に与える影響をきわめて深刻に捉えている」との書簡を日本学術会議に発出しました。国際的な批判も高まっています。
 菅内閣の策動に対する内外の危機感はかつてないものとなっています。
 年を超えても、決してこの問題が等閑に付されてはならないのは言うまでもありません。
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学術会議介入に抗議 1349学会の声明 過半数突破 民主主義の危機・思想統制に懸念
                       しんぶん赤旗 2020年12月30日
 菅内閣による日本学術会議の会員任命拒否問題にたいして、抗議や懸念を表明した団体が、29日までに1349にのぼることが、「安全保障関連法に反対する学者の会」調べで分かりました。「学問の自由」への侵害を批判すると同時に、ひいては大学のあり方、民主主義の危機だととらえているのが特徴で、国際的な批判も高まっています。
 「学者の会」調べの内訳は、学者・研究者の団体である学協会(学会)が1062、大学・大学人関係が78、法曹関係が62、労組・諸団体が147。問題発覚から3カ月で学会全体(2065)の過半数に達するなど、危機感はかつてないものとなっています。人文・社会科学系の310学会は共同声明を英語でも発表。「かつてのような言論統制の時代に一気に転げ落ちるのか。日本社会は重大な岐路にいる」(日本近代文学会運営委員長の佐藤泉・青山学院大教授、2日の記者会見で)と警鐘を鳴らしました。
 140以上の国や地域を代表する学術団体が加盟する国際学術会議も、菅内閣の決定が「日本における学問の自由に与える影響をきわめて深刻に捉えている」との書簡を日本学術会議に発出(11月17日付)しました。
 法曹関係の抗議声明も増えています。日本弁護士連合会はじめ各地の弁護士会・連合会49が決定の違法性を検証したうえで反対を声明。28日に声明をあげた長崎県弁護士会は、学問への弾圧の歴史を振り返り、「被爆地長崎において法に携わる団体として、再び、学問の自由の弾圧につながりかねない政府の行為を看過できない」としています。また、「思想統制的なメッセージとなる」(東北弁護士連合会会長声明)「我が国の民主主義に対する重大な危険性をもたらす」(長野県弁護士会会長声明)などの批判もあがっています。

 また、図書館問題研究会は「本件任命拒否が、図書館が支えるこれらの自由や権利(教育を受ける権利や学問の自由、表現の自由など)を脅かす結果につながることを危惧」。関西学院大教員有志は「税金が投入されている以上は政治が介入して当然であるという論理が通用するならば…国立大学の学長任命はもとより、教員人事や研究費の配分などにも介入が可能とな(る)」として、大学のあり方そのものが問われると警告しています。

31- 桜問題の"年内幕引き"に見事に失敗した安倍前首相の政治生命

 安倍前首相は「桜」前夜祭問題に年内決着を図るべく、「国会での虚偽答弁を訂正したい」として、24日には記者会見をし、25日には衆院と参院の議院運営委員会で各党議員からの質問に応じました。
 答弁はいつも通りの要領を得ないものの繰り返しでしたが、安倍氏自身は決定的なボロを出すこともなく逃げ切ったと思っているようで、運営委終了後記者団の質問に「説明責任を果たすことができたと思っている来年の衆院選には出馬をし、国民の信を問いたいと思う」と答えました
 説明責任を果たしたというのは大甘な認識で、野党側は“安倍氏の国会での説明でも真実が明らかにならなかった”として、安倍氏に公開質問状を出し来月5日までに回答するよう求めました。
 質問状では、前夜祭の明細書や領収書の提出を求めたほか、国会で謝罪した「事実と異なる」答弁はどれなのか、具体的に明示するよう求め、安倍氏側が23日付けで修正した政治資金収支報告書も参加費の補てん分など「つじつまが合わない」としています。

永田町コンフィデンシャル」がこの問題を取り上げ、「桜問題の“年内幕引き”に見事に失敗した安倍前首相の政治生命 『3度目の首相』の線は確実に消えた」とする記事を出しました。
3度目の首相」など絶対にあってはならないことですが、どうも本人はそれを視野に入れていたようで、宴席では近しい人物に「来年の衆院選が終われば細田派に戻る。会長として戻るつもりだ」と度々明言していたそうです。最大派閥の会長になるということは、即キングメーカーになることを意味し、その先に「3度目の首相」も見えてくるという訳です。
 それが“年内幕引き”失敗したことでなぜ「確実に消えた」のか、そこには永田町特有の仕組みがあるようですが、永田町の事情に通じた著者の述べるところを読んでも分かるようで分からないというのが実感です因みにコンフィデンシャルとは「機密の、内密の」というような意味で、差し詰め「永田町秘聞」というようなニュアンスです。
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桜問題の"年内幕引き"に見事に失敗した安倍前首相の政治生命 「3度目の首相」の線は確実に消えた
         永田町コンフィデンシャル PRESIDENT Online 2020/12/28
「桜を見る会」の会費補填問題が動いた。安倍晋三前首相の公設第1秘書が、補填分を含む前夜祭の収支の未記載だった責任をとって政治資金規正法違反罪で略式起訴。安倍氏はそれを受けて12月24日に記者会見、25日に衆参両院の議院運営委員会に出席した。「年内幕引き」を狙った形だが、この戦略の「損得」はどうだったのか――。

「他の大ニュースにぶつける」という首相時代の手段を踏襲
「露骨な日程設定だなぁ」
安倍氏が12月24日午後6時から衆院議員会館で記者会見を行うことを知った新聞、テレビの記者たちは失笑を禁じ得なかった。
前日の23日、小池百合子都知事は、同日の新型コロナウイルス感染者数を発表する際、翌24日の発表分はさらに多くなる可能性が高いと「予告」していた。従って、同日のニュースは「コロナ拡大止まらず」が大きく報じられることは確定していた。安倍氏は、そこに併せて記者会見を設定した
7年8カ月に及ぶ安倍政権下では、不都合な真実が発生した時、他の大ニュースを発表して報道を分散させ、ダメージを少なくするのが常套手段だった。退任してからも、同じ手法を使ったのか。
「同じ」と言えば、会見時間が午後6時に設定されたのも、首相の時と同じだった。

「年内に幕引きを図ろう」と考えたが…
首相の時は、自分が言いたいことを冒頭で長々と発言し、記者からの質問にいくつか答えると、その後に公務があるとの理由で会見を打ち切り、しばしば問題視された。24日行われた会見は部屋の使用許可が午後7時までであるという理由で質問は打ち切られた
ちなみに、会見の司会を行ったのは、安倍氏が首相時代に会見を仕切ってきた長谷川栄一・前内閣広報官。一貫して首相時代のルーティンで、ものごとが進んだ印象だ。
秘書の略式起訴と、自身の不起訴が決まった日に会見を開き、さらには翌25日に国会で与野党の質疑を受ける決断をしたのは、年内に幕引きを図ろうと考えたからだ。東京地検が刑事処分を24日に行うことにしたのも、安倍氏側の意向を「忖度」し、年内に政治決着を図ることが可能な日程とした、との報道もある。

「来年の衆院選には出馬をし、国民の信を問いたい」
24日の記者会見で安倍氏は、結果としてウソの国会答弁を繰り返したことに「道義的責任を痛感している」と語り「深く深く」反省すると頭を下げた。
また25日の国会では「秘書を問い詰めて修正していれば問題がなかった。忸怩たる思いがある」と言って唇をかんだ
一連のやりとりも、閣僚の不祥事などが発覚した時、「任命責任は首相である私にある」と言いながら、自らの政治責任は取らなかった首相時代の安倍氏とかぶる。
2日間のマスコミ、野党の追及は、決定的なボロを出すこともなく終わった。安倍氏は逃げ切った、という感触をつかんでいるのかもしれない。国会終了後、記者団の質問に答え、「弁明の機会を与えていただき、感謝している。説明責任を果たすことができたと思っている」と自己評価。さらに「来年の衆院選には出馬をし、国民の信を問いたいと思う」と断言した。
当然ながら野党側は「『秘書がやりました。私は知らない』だけ。到底納得できない」(立憲民主党の福山哲郎幹事長)などと、2021年も追求の矛先を緩めない考えだ。ただ、新たな攻め手があるわけではない。対野党対策という意味では、年内に一定の説明責任を果たした実績をつくったことで、安倍氏はポイントを稼いだといっていい。

自民党内で「No More Abe」の空気が充満しつつある
しかし、足元の自民党はそういうわけにいかない。党内では「No more Abe」の空気が充満しつつある
安倍氏は、ことし8月末、持病の潰瘍性大腸炎の悪化を理由に首相を辞任することを表明。当時は「潔い」という評価もあり、政権末期に支持率が大幅に回復。その後、バトンを受け継いだ菅義偉首相も高支持率でロケットスタートを切ることができた。ということで、9、10月ごろ、党内における安倍氏の評価は、党の窮地を救った英雄に近かった。
そんな状況に安倍氏も気をよくし、いち早く夜会合への出席を「解禁」。宴席では近しい人物に「来年の衆院選が終われば派閥(細田派)に戻る。会長として戻るつもりだ」と明言することも少なくなかった。
この経緯は11月6日に配信した「「『10年後も闇将軍として君臨か』首相を辞めてから活発に動く安倍氏の今後」に詳しいのでご参照されたい。

内閣低迷の主因として、内部から批判の対象に
最大派閥の会長になるということは、即、党総裁選などで強大な発言力を持つキングメーカーになることを意味する。そして、その先に「3度目の首相」も見えてくる。安倍氏は「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」の会長に就任した。普通に考えれば、「ポストコロナ時代」にもう一度日本のかじ取りをする、という意欲があるということだ。少なくとも、そういう観測が出ることを楽しんでいたのは間違いない。
だが、その空気は今回の件で一変した。
党内には「首相を辞めてもまだ党に迷惑をかけるつもりか」「コロナ対策に政府・与党が一体として取り組む時に、ダメージは大きい」という批判の声がにわかに高まっている。「3度目の首相」の線は確実に消えた。次の衆院選で議席を失う可能性は低いだろうが、そこで当選しても「みそぎが終わった」ということで細田派を安倍派に衣替えできる環境ではないだろう。

安倍氏の説明に「納得できない」と応えた人は76%に
読売新聞社が26、27日に行った世論調査で菅内閣の支持率は45%だった。前月の61%から16ポイントの大幅下落だ。同紙によると、発足直後の調査から3カ月の支持率低下は29ポイントに及び、1978年3月以降の歴代内閣で、2008年の麻生内閣と並んで最大の下落となった。
各社の調査も似た数字が並ぶ。自民党の支持も落ちている。支持急落の原因は、菅内閣の新型コロナウイルス対策が後手に回っていることへの不満が主要因とみられるが、首相官邸や自民党幹部たちは、そうは考えない。この時期の「桜を見る会」問題が傷口を広げたという声が圧倒的に多いのだ。
これは「自分たちは一生懸命取り組んでいるのだが、後から弾が飛んできている」と自己弁護する考えがあるからなのだろう。実際、読売新聞の調査では安倍氏の説明に「納得できない」と応えた人は76%に達している。
政府・自民党に対する風当たりが強くなればなるほど、自民党内の不満は安倍氏に向けられる。出口が見えない新型コロナ対策では、菅内閣も当面苦戦が続く。支持の回復も簡単ではないだろう。そういう局面が続く間は、安倍氏に対する身内の視線は冷たい

早期決着を目指した安倍氏の思惑とはうらはらに、21年は安倍氏にとって厳しい年となる。 

2020年12月30日水曜日

学術会議への攻撃 異論を排除する強権政治は許されない

 日本学術会議会員の任命拒否問題は、国会の論戦でも、そして千数百もの学術団体からの抗議声明によっても菅首相の論拠は総崩れになりましたが、国会が閉会したことによって逃げ切ったとでも考えたのか撤回する動きは全くありません。

 そもそもこの問題は菅首相が杉田官房副長官と図って「政府からの独立を維持してきた学術界を官僚と同様に支配しようと踏み込んできたもの(前川喜平氏)」であり、国家権力が公然と日本学術会議の聖域に踏み込むものです、
 しんぶん赤旗は、自民党が15日に発表した学術会議を政府から独立した法人に変えるする提言は、学術会議を「国の特別の機関」から切り離し、その地位を低め権限を弱めようとするものであり、今の専門別の分科会を廃止して、テーマ別のプロジェクトにもとづく委員会の設置まで提起したのは、時の政府の「政策」を推進するための「シンクタンク」へと変質させるものであると批判する「主張」を出しました。
 史上最悪だった安倍前政権は一連の反動立法を強行し遂には戦争法まで制定しました。それを引き継いだ菅政権が今度は憲法上の規定である(と同時にそれ以前の原理である)「学問の自由」を踏みにじろうとしています。絶対に許せません。

 併せて小林節・教授による「ここがおかしい 小林節が斬る」の二つの記事を紹介します。
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主張 学術会議への攻撃 異論排除する強権政治許すな
                       しんぶん赤旗 2020年12月27日
 日本学術会議への人事介入は、菅義偉政権の素顔―強権政治をあらわにした大問題です。これに対し千数百もの団体が抗議声明を上げ、国会論戦を通じ任命拒否の論拠は総崩れになりました。異論を強権で排斥するのは安倍晋三前政権からの特徴ですが、その矛先がついに科学者に向けられた重大事態をこのままにできません。

自民の危険な見直し提言
 学術会議法は、科学者を代表する機関である学術会議が「優れた研究又は業績」を審査して選考した会員候補を推薦するとしています。その任命を首相が拒否することは、同法が定める学術会議の独立性の破壊であり、憲法23条の「学問の自由」の侵害です。
 菅首相は、公務員の選定・罷免が主権者である国民固有の権利であることを定めた憲法第15条1項を、首相が公務員を恣意(しい)的に任命できるかのようにねじ曲げ、任命拒否を合理化する根拠にしています。首相による独裁国家への道を開く暴論です。
 理由を示さず権力が異論を排除することは、社会を萎縮させ、分断をもたらしかねません。
 「学問の自由」だけでなく、表現や言論、思想・良心という国民の精神的自由の侵害にもつながる国民的な大問題です。学会から映画人、自然保護団体、宗教者まで幅広い人々から抗議の声が出されています。かつてない動きです。
 政府・自民党は、任命を拒否する一方で、「学術会議のあり方の見直し」を求めています。問題をすりかえるばかりか、学術会議を変質させ、独立性を奪う狙いがあることは明らかです。
 自民党が15日に発表した提言は、学術会議を「国の特別の機関」から「政府から独立した法人」に変えるとしています。国から切り離し、学術会議の地位を低め、権限を弱めようとするものです
 提言は、学術会議に「政策のための科学」の機能強化を求め、今の専門別の分科会を廃止して、テーマ別のプロジェクトにもとづく委員会の設置まで提起しています。時の政府の「政策」を推進するための「シンクタンク」へと変質させるものです。

 人文・社会科学系の会員の比率を下げることも求めています。現在の人間と社会のあり方を相対化し、批判的に省察するという人文・社会科学の独自の役割を弱体化させることになります。
 科学が発展し、その成果を国民が享受するには、「学問の自由」と学術会議の独立性が不可欠です。それは、権力による学問への弾圧がくりかえされ、科学者が軍事研究に総動員された戦前・戦中の歴史の教訓です。

独立性を奪ってはならぬ
 学術会議の提言・報告は、今年だけで83件にのぼります。これまで新型コロナ等の感染症対策やジェンダー平等、東日本大震災の被災者救援と復興、気候変動、環境対策、原発、エネルギーなど社会が直面するさまざまな課題に科学的よりどころを与え、国民生活や権利の向上に貢献してきました。
 学術会議が独立性を失うなら、こうした役割を担えなくなります。学術会議への人事介入は、一部の科学者の問題ではなく、すべての国民にかかわる深刻な問題です。日本共産党は、党の存在意義をかけて、違憲・違法の任命拒否の撤回までたたかいぬく決意です。


ここがおかしい 小林節が斬る!
学術会議任命拒否問題 問われて答えられないなら首相失格
                         日刊ゲンダイ 2020/12/17
  小林節 慶応大名誉教授
 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバ
ード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生
テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制
の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その
後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著
書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)

 臨時国会で所信表明演説を行った日の夜、菅首相はNHKのニュース番組に出演した。そこで日本学術会議の任命拒否問題を問われて、「説明できることとできないことがある」などと目に怒りをみなぎらせて答えを拒否した。
 その直後に、内閣広報官がNHKに電話して「首相は怒っていた」旨を伝えたとのことである。
 さらに、最近、官房副長官が、取材に対して、「首相への出演依頼は『所信表明』についてだったのに、番組では、所信表明で触れていなかった『学術会議』問題への質問が多かった。これは『約束違反』である」旨の認識を示したとのことである。
 今年は米国で大統領選挙があったので、日本でも米国の政治家たちの演説や記者会見をテレビで見る機会が多かった。そこでは、責任ある政治家たちが、当然、原稿なしでその場に合わせて自分の意見を語り、突然の質問にも逃げずに臨機応変に答えていた。これが、言葉によって立つオピニオン・リーダーたる政治家の在り方であろう。

 今回、菅首相は、憲法23条(学問の自由)を根拠に、特別法により、一般職公務員とは違った自律機関とされている日本学術会議の人事に介入した。これは明白に違憲・違法な異常行動であるが、首相はあえて介入した。
 だから、それには政治家として確たる理由があったはずである。もしそうでなかったら、そもそも介入すべきではなかった。
 にもかかわらず、それほど重大な決定を首相として公然と行っておきながら、主権者国民の知る権利を代行しているNHKの番組内で、その「時の話題」を問われて「答えられない」と凄み、後に側近から「約束違反だ」と言わせて放置する。全く論外な話である。

 公人中の公人である首相が、現行の憲法と法律に明らかに矛盾する政治的決定を行った事実は動かしようがない。そして、その点を公然と問われて、答える内容を持ち合わせていないのなら、政治家失格である。また、きまりが悪くて答えられないのなら、それは悪事の自白のようなもので、これまた政治家失格である。
 この人は本当に首相の器なのであろうか?


ここがおかしい 小林節が斬る!
学術会議任命拒否問題 今度は準備してから嘘をつくのか?
                          日刊ゲンダイ 2020/12/18
 10月のNHK報道番組では、「問われない」約束だと思っていたせいか、学術会議会員の任命拒否について問われたら、怒って回答を拒否した菅首相であるが、12月4日の記者会見では、むしろ笑顔で明解に自説を開陳した。
 いわく、 ①内閣法制局の了解を得た政府の一貫した考え方は、必ずしも(同会議からの)推薦通り任命しなければならないわけではない。 ②日本に研究者は90万人いるが、学術会議に入れるのは会員210人と連携会員2000人だけで、彼らの推薦がなければ新しい人が入れない現実がある。既得権益、悪しき前例主義を打破したい。 ③そういう観点から自ら判断した。
 しかし、①かつての「戦争法」(平和安全法制?)騒動の際に、「憲法9条の下では海外派兵は禁じられている。つまり、改憲せずに海外派兵はできない」という歴代自民党政権の「一貫した」見解を守っていた法制局の長官を更迭して強引に解釈変更を行わせた安倍政権の官房長官が、今、法制局の「了解を得た」とは、驚かせないでほしい。しかも、学術会議の推薦を拒否できるという立場が「政府の一貫した考え方」だとは、真っ赤な嘘である。憲法23条(学問の自由)の下で、学術会議は、一般職の公務員とは別建ての特別法で人事の自律性が保障されている……というのが、政府の一貫した立場である。 ②既得権益と悪しき先例主義を言うならば、世襲議員、政党助成金、記者クラブ等、目の前に真性の悪しき既得権益があるではないか。しかも、以上は、問われているあの6人を拒否した理由を何も語っていない ③こんな判断しかできないのなら、政治家としての資質が問われて当然である。
 どんなに良い制度でも、長い歴史の中で、正しくない運用が行われて悪しき慣行ができ上がってしまうことはある。しかし、学術会議については、必要な改革はその自治に委ねるべきだというのが、人類の歴史的体験に学んだ憲法23条の趣旨である。
 そして、一番行ってはいけないことだとされているのが、政治権力による学術組織に対する人事介入である。この点だけは譲りようのない世界の常識である。

高須院長が村上春樹氏に差別丸出し攻撃 大村知事リコール運動では不正が続々

 村上春樹27日配信ダイヤモンド・オンラインインタビュー記事で、菅政権のコロナ対応や学術会議問題について言及し、特にコロナ対応について「各国の政治家がどのように処理したかを見比べたら、日本の政治家が最悪だった」かなり直接的な表現で批判していたことに、高須院長が「村上春樹先生は日本人ですか? 日本人が選んだ代表を最悪と言うのは日本人が最悪だと言っているのと同じだと思います」とリツイートしました。政権を批判しただけで「日本人ですか」と攻撃するのは、それこそ戦中の「非国民」攻撃と同じです。
 菅政権は直近の世論調査(読売・日経)でも内閣支持率は42%~45%と落ち込み、コロナ対応を「支持しない」は59%~62%に達しています。この点から見てもむしろ村上氏の発言は国民の総意に沿ったものです。当然ネット上では高須氏に対して「自分は愛知県の大村知事のリコール運動をしたではないか」などを中心に批判の声が広がっています。
 そもそも高須氏は過去に〈日本を狙っているチョンコロにへいこらするな!〉〈誰が何と言おうが ヒトラーは私心のない 本物の愛国者だ〉〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉といった発言で猛批判を浴びたことがあります。
 因みに高須氏が音頭をとった「大村知事リコール運動」は署名が規定数の半分しか集まらずに不成立に終わりました。署名活動を担ったボランティアの男性らが12月4日記者会見を開き「不正な署名が多数あった」「同一筆跡の署名が多数あった」と告発し事務局への不信感を訴えたほか、現職の愛知県議や、市議、市長らが、無断で署名に名前を書かれていたと実名で証言しました。
 21日には愛知県選挙管理委員会も提出された署名に不正な署名が多数含まれている疑いがあるとして、全署名を調査することを決め不正が確認された場合、県警への刑事告発も検討していると発表しました。28日には、県選管64選管のうち14選管の署名を調べたところ、署名の8割超が選挙人名簿に登録されていない人物や同一人物の筆跡と疑われる署名などの不正があったことを明らかにしました
 かつてこれほど不正に満ちたリコール運動があったでしょうか。正にリコール運動史上の汚点です。
 LITERAが取り上げました。
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高須院長が村上春樹の政権批判に「日本人ですか」と差別丸出し攻撃を仕掛け批判殺到!  大村知事リコール運動も不正発覚で…
                             LITERA 2020.12.28
 高須クリニックの高須克弥院長がレイシスト・ファシスト丸出しのとんでもない発言をして、物議を醸している。
 周知のように、それは、作家の村上春樹氏への攻撃というかたちで飛び出した。村上氏は27日午前に配信されたダイヤモンド・オンラインによるインタビュー記事で、日本政府のコロナ対応や学術会議問題について言及。とくにコロナ対応について「各国の政治家がどのように処理したかを見比べたら、日本の政治家が最悪だった」「今の総理大臣だって、紙に書いたことを読んでいるだけではないでしょうか」などと、いわゆるハルキ節とは違う、かなり直接的な表現で批判していた。
 すると、高須院長はこの村上春樹インタビューの抜粋とネット上のネガティブな反応をまとめたネトウヨサイト「Share News Japan」の記事をリツイートし、こうコメントしたのだ。
〈村上春樹先生は日本人ですか?
日本人が選んだ代表を最悪と言うのは日本人が最悪だと言っているのと同じだと思います。
残念な発言です。〉(12月27日)

 呆れて言葉も出ない。改めて説明するまでもないが、日本人全員がいまの政権に投票したわけでもないし、投票したからといって白紙委任したわけでもない。選挙後も、厳しく監視し批判の声をあげるのは、民主主義国家において市民の当然の権利だ。
 それを政権批判しただけで「日本人ですか?」「日本人じゃない」と攻撃するのは、それこそ戦中の「非国民」攻撃や北朝鮮や中国における言論弾圧と同じではないか。ふだん中国や北朝鮮の悪口を言いまくっている高須院長だが、実は独裁国家に憧れているとしか思えない。
 もっとも、本サイトが批判するまでもなく、今回の高須発言にはネット上で大きな批判の声が広がっている。

〈高須は今の総理大臣を日本国民全員が満場一致で選んだとでも思ってんのかな〉
〈「日本人が選んだ代表を最悪と言うのは日本人が最悪だと言っているのと同じだと思います。残念な発言です」もしかして高須氏は日本を北朝鮮やロシア、中国みたいな国民全員同じ人や党に票を入れる国だと思ってます?〉
〈この人、民主党政権時には日本人ではなかったのだろうか?〉
〈高須氏は民主党政権の批判とかしたことないんやろか?〉
高須氏は、愛知県民が選んだ愛知県知事を批判しているのだが。
高須氏に聞いてみたいんですが。愛知県民が選んだ知事をリコール運動することは,高須氏は,愛知県民じゃぁないんですか?
日本人、しかも愛知県民が選んだ大村知事をリコールした高須は何人なの?

ヤフコメも「愛知県民が選んだ知事は批判しまくるのに」と高須批判が殺到
 普段はネトウヨの巣窟で高須氏に同調する意見の多いYahoo!ニュースのコメント欄(ヤフコメ)でも、今回のツイートには批判や疑問があふれている。

〈「高須先生は愛知県人ですか?」と問いかけた上で「愛知県人が選んだ代表(大村知事)を最悪と言うのは愛知県人が最悪だと言っているのと同じだと思います。残念な発言です」って言われても反論できないよ。〉
〈これを言う高須先生も、「中国などの入国拒否を解除」っていう総理の判断には文句言ってましたよね?
自分もそうやって批判しているのに、他の人が批判すると日本人への侮辱あつかいは、都合がよすぎませんかね?〉
〈愛知県民が選んだ知事は批判しまくるのに、
総理批判は許されないのか?言うてることめちゃくちゃ。〉
〈ただの揚げ足取りにしか思えないけど。その代表と違う人に投票してる人も大勢いるわけで、投票した人もその議員がどう言う行動を取るかは100%読むことなど出来ない。〉
〈少なくとも村上氏が言ってる事は間違ってないでしょ?。日本人だから憂いてるのでは?。確かに最悪の政治家を選んだのは国民(日本人)ですが、別に国民(日本人)が最悪とは言ってないでしょ?。〉
 
 指摘の通りだろう。高須院長の言動は矛盾だらけ、ようするに自分が支持する政権を批判する人間を「日本人ではない」と排除しているだけなのだ。しかも、この発言には、個人の発言内容や思想の背景を、短絡的に国籍や人種に結びつけるというグロテスクなヘイト思想が横たわっている。
 過去に〈日本を狙っているチョンコロにへいこらするな!〉といった露骨な朝鮮半島出身者への差別や〈誰が何と言おうが ヒトラーは私心のない 本物の愛国者だ〉〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉といった歴史修正発言で猛批判を浴びたことがある高須院長だが、今回もそれに匹敵する暴言と言っていい。高須院長は即刻、発言を撤回し、謝罪すべきだろう。

大村知事リコール運動に不正が発覚!現職の愛知県議らが、無断で名前を書かれていたと告発
 ついでにいえば、高須院長にはもうひとつ、詳しく調査したうえで説明すべき問題がある。
 言うまでもない、愛知県の大村秀章知事リコール運動をめぐる不正疑惑についてだ。
 周知のように、2019年の「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」をめぐる問題以降、高須院長ら極右安倍応援団はネット右翼と一緒になって“大村知事バッシング”を展開。今年6月には高須院長が中心になって「お辞め下さい大村秀章愛知県知事 愛知100万人リコールの会」なる団体を設立、実際に署名を募った。
 期限までに集まった署名は、必要な法定数約86万人に対して半分程度の約43万人分で、11月7日に高須院長が終結を宣言していたのだが、いま、その43万人の署名のなかに、不正があった可能性が指摘されているのだ。
 12月4日には、署名活動を担ったボランティアの男性らが記者会見を開き「不正な署名が多数あった」「同一筆跡の署名が多数あった」と告発したうえで、事務局への不信感を訴えた。さらに、現職の愛知県議や、市議、市長らが、無断で署名に名前を書かれていたと実名で証言した。
 22日の中日新聞は県議らの告発をこう報じている。

〈愛知県議の神谷和利氏(自民、豊田市)は、不正な署名が含まれている疑いをインターネットで知り「解職を求めていないのに名前があったら困る」と市選管に個人情報の開示を請求。名前があると連絡を受け、「刑事告訴も頭にある」と憤った。同様に名前があった杉江繁樹県議(同、常滑市)も「真相を究明してほしい」と警察に被害を伝えたという。
 碧南市議では自民系の十三人全員が開示請求し、小林晃三、新美交陽、磯貝忠通の三氏が無断で名前を書かれていた。小林氏は署名集めをする「受任者」の欄に名前が使われ「ひどい。誰がやったか想像もつかない」と語った。
 田原市の山下政良市長も開示請求で、署名簿に名前があることが発覚。住所と生年月日も書かれており、「誰が書いたか分からないが大変遺憾」と話した。〉

不正告発も「リコール潰しの策謀」であるかのように反論する高須院長
 他にも同種の情報提供が相次いでおり、21日には愛知県選挙管理委員会も提出された署名に不正な署名が多数含まれている疑いがあるとして、全署名を調査することを決めた。不正が確認された場合、県警への刑事告発も検討されているという。
 さらに本日28日、県選管は64選管のうち14選管の署名を調べたところ、署名の8割超が選挙人名簿に登録されていない人物や同一人物の筆跡と疑われる署名などの不正があったことを明らかにしている。
 ところが、この署名運動を中心になっておこなってきた高須院長は、〈僕は不正が大嫌いです。正々堂々と王道を歩いています。僕に対する出鱈目な攻撃には命懸けで立ち向かいます。償わせます〉などと抽象的な反論をしたうえ、〈素人でもわかる見え見えの無効署名を沢山作って公開する意図は?僕は43万人の署名に驚き、再リコール運動の芽を摘む行動だと推察します〉と、リコール潰しの策謀であるかのような指摘をしている。
 この不正発覚がリコール潰しの策謀だというなら、それこそ証拠をきちんと出すべきだろう。というか、そんな自分に都合のいい推論を述べる前にまず運動の責任者として徹底した調査をすべきではないか。
 過去の差別発言や歴史修正発言でも撤回も謝罪もなく開き直ってきた高須院長だが、住民運動を率いて現実の政治にコミットするようになったのだから、もう言いっ放しは許されない。「王道を歩いています」と言うなら、今度こそ自分の言動に責任をもつべきだ。(編集部)


大村知事リコール、署名の8割超が不正か 高須院長らが提出  愛知
                        東京新聞 2020年12月28日
 美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが主導した愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動で、県選挙管理委員会は28日、署名の提出があった県内64選管のうち、14の選管の署名を調べたところ、署名の8割超が選挙人名簿に登録されていない人物や、同一人物の筆跡と疑われる署名があったと明らかにした。
 25日までに県選管に報告のあった分。年明け以降も調査を継続し、悪質と判断した場合は県警への刑事告発も視野に入れるという。選管の担当者は「現行の直接請求制度の問題点や課題を示すものが非常に多く見られる」としている。リコール運動の事務局は取材に「現段階ではコメントできない」と答えた。

 高須氏らは11月、43万5231人分の署名を県内各市区町村の64選管に提出。その後、不正な署名が多数あるとの情報が寄せられ、県選管は21日、調査を決定した。自治体の選管に自己情報開示請求をした複数の愛知県議や県内の自治体の市議らも、取材に「無断で自分の名前を書かれた」と証言している。(共同)