2012年5月31日木曜日

自民党の憲法改正草案は非常に反動的

 自民党の日本国憲法改正草案(以下では「改憲案」と略称します)が発表されましたので、現行の日本国憲法と比較できるように並べて掲示しました。どちらも長文なため別枠の記事にして、「自民党 日本国憲法改正草案」と「日本国憲法」のタイトルを表示しておきました。それをクリックすればそれぞれの文書が開きます。
自民党の改憲案は非常に反動的な内容です。まだ国会に上程されたわけではありませんが、先週から具体的に動き出した憲法審査会の中で、彼らが憲法改正の機運が盛り上がることを期待しているのは事実でしょう。
そこでインターネットなどで指摘されている自民党の改憲案の問題点について、ご紹介します。
(記事中に引用した憲法の条文は、多くが原文の一部を省略したものになっていますので、詳細は原文を参照して確認してください。) 

平板な前文
 
現行憲法の前文が理想主義にあふれた格調高い文章であるのに比べると、改憲案の前文は何とも平板な文章です。
ここでは、日本国を「長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家」と規定し、「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」と自助・互助の精神を強調し、「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」と結んでいます。 
 
天皇は元首に、国旗と国歌の尊重義務を明記
 
 「第1章 天皇」では、改憲案は、1条で天皇を「元首」にし、3条で国旗(日章旗)・国歌(君が代)を制定し、その(国旗と国歌)尊重義務を課しています。これはまさに橋下大阪市長の主張と一致していますが、果たして個人の思想信条の自由と両立するものなのでしょうか。そして、そもそもこんな風に天下り的に憲法にうたうべき事柄なのでしょうか。
現行の憲法では、国民の義務の記述に関しては極めて抑制的であって、労働・教育・納税の三つをうたっているのみです。そしてそれら三大義務の正当性は万人に無条件に認められているものです。
それに対して改憲案では、国旗と国歌の尊重義務の他にも、「家族は助け合わなくてはならない」(24条)とか、緊急事態時には「国その他公の機関の指示に従わなければならない」(99条3)とか、「憲法を尊重しなければならない」(102条)とかと、やたらに国民に対して義務を課しています。

しかしながらそれは「憲法は権力を制限し、国民の権利・自由を擁護することを目的とする」という「立憲主義」にそぐわないものです。実際に、自民党の起草者たちには「立憲主義」についての認識がなかったようなので、今後議論を呼ぶものと思われます。(末尾を参照ください)
改憲案は、天皇の行為について、現行の憲法4条の「憲法が定める国事に関する行為のみを行う」から「のみ」を削除し、代わりに「式典への出席その他の公的な行為を行う」と「その他」を入れることで、天皇の「公務」を拡大し、これまで議論のあった国会での天皇の「お言葉」などの問題を解消しています。
関連して改憲案の102条 2では、現行の憲法が「天皇又は摂政及び国務大臣、・・・その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う」となっているものから、「天皇又は摂政」を削除しています。 
 
国防軍を作り 機密法を制定し 軍事裁判所を設置
 
 改憲案は、9条では、「戦争放棄」を維持しながらも2項で自衛権を明文化しました。そして9条の二で「国防軍」の保持を、同3項では海外への派兵を、同4項では軍の統制と機密を、同5項では軍事審判所(裁判所)の設立をうたいました。
また9条の三では「国民と協力して」、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならないとしました。なぜここに「国民と協力して」が入るのか、如何にも唐突で違和感がありますが、これはいずれ国民に「動員」(徴兵制)を掛けることを意識して挿入された文言だといわれています。まことに驚くべき周到さです。
 かくして現行憲法の「二度と軍備は持たない、二度と戦争はしない」という決意は跡形もなく拭い去られました。それにしても579文字を費やして書かれた改憲案の9条全体は、第1項の「戦争放棄」の堅持と整合性があるものなのでしょうか。
国防軍という名称に何らかの抑制的な属性を期待するというのは無意味です。古来全ての戦争は自衛/国防を口実として進められてきたという事実がある(「平和運動原論」 福山秀夫 学習の友社1997)からです。 
 
国民の権利・表現の自由が制限され、財産も・・・
 
「第3章 国民の権利及び義務」でも問題は大ありです。まず12条では、現行の憲法が、国民に保障する自由と権利は「濫用しないで、公共の福祉のために利用する責任を負う」となっているのを、改憲案では「公益及び公の秩序に反してはならない」に変えました。
同様に13条では 現行の憲法では生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は、「公共の福祉に反しない限り」最大限に尊重されるとなっているのを、改憲案では「公益及び公の秩序に反しない限り」云々に変更しました。
29条の財産権も、現行の憲法では「公共の福祉」に適合するように法律で定める、となっているのを、改憲案では「公益及び公の秩序」に適合するように、と変えました。
そして改憲案では21条 「集会・結社・言論・出版その他一切の表現の自由」で、新たに第2項を起こし、「前項の規定にかかわらず、『公益及び公の秩序』を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」として、その自由を法令で制限できるようにしました。 
こうした「公共の福祉」から「公益及び公の秩序」への言い変えは、非常に重大な変更であり決して看過することはできません。個人の自由と権利を最大限に認めようとすれば、当然他人の自由や権利との干渉が生じます。その時にそれを調整するための判断基準が「公共の福祉」の概念であって、その正当性は万人が認めるところです。(法理学で「衡平の原理」と呼ばれます)。

これを「公益及び公の秩序」に変えてしまうと、最早「公共の福祉」の持つ抽象性・深淵性とはまったく無関係になって、国民の自由と権利は、法律や政令によって簡単に制限できることになります。29条で言えば、「公益及び公の秩序」によって財産が没収されることもあり得るということになります。 (>_<)
これまで個人の自由と権利が国や地方公共団体等によって侵害されているという理由で、原発訴訟などの住民訴訟が提起されてきましたが、もしもこの改憲案が成立すればそうした訴訟の根拠そのものが失われることになります。 
 
個人の尊厳もなくなります
 
なお13条では、現行の憲法では「全て国民は、個人として尊重される」となっているのを、改憲案では「人として尊重される」に変えました。「個人として」であれば、個性を持った全人格が尊重されることになりますが、「人として」であれば、せいぜい「牛馬並みにではなく・・・」という程度になって、「個人の尊厳」という言葉の持つ輝きは失われます。
改憲案の15条 3では国の公職選挙で、また94条 2では地方自治体の選挙で、それぞれ「日本国籍を有する」者による選挙に変えられるので、地方政治のレベルでも外国人の参政権が制限されることになります。

20条では、現行の憲法は、宗教団体が「政治上の権力を行使すること」を禁止していますが、改憲案はそれを削除しています。20条 3では、現行の憲法は、国及び地方公共団体等の宗教的活動を禁止していますが、改憲案では「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」としてその制限を緩和しています。 
 
家族の助け合いを義務化?
 
改憲案では24条で「家族は、互いに助け合わなければならない」という条項をつけ加えました。家族が助け合うことに異存のある人はいませんが、それを憲法の条文に盛り込むということはまた別の問題です。いわゆる「思いつき的な追加」に当たるものでないとすれば、その意味は何なのでしょうか。
家族が分解(崩壊)して助け合えなくなる社会的要因(貧困・差別など)を取り除くための努力を国家に課すというのであれば、それは非常に画期的なことですが。^^ 
 
注意すべき事項は山盛り
 
改憲案では生存権に関する25条に、(環境保全の責務),三(在外国民の保護)、(犯罪被害者等への配慮)をつけ加えましたが、三の「在外国民の保護」は、これまで外務省の事案として扱われてきたので、それをわざわざ憲法にうたう必要があるかは疑問とされています。軍隊の出動を意識しているのでしょうか。
28条では、いわゆる労働権(団結権、団体交渉権、争議権)を保障していますが、改憲案では、第2項を新たに起こして、「公務員については、全部又は一部を制限することができる」としています。
29条 で財産権が「公益及び公の秩序」に適合 云々と書き変えることの危険性は既に述べましたが、改憲案では、その他に「知的財産権」が新たにつけ加えられました。これはいわゆる「思いつき的な追加」と呼ばれるもので、他の同位の事項との整合性(それらを差し置いて特にうたう必要があるのか)が問われます。
36条(拷問等の禁止)の改憲案では、現行の憲法が「絶対にこれを禁止する」となっているのを、単に「禁止する」にしました。もはや強調することは不要ということなのでしょうか。
 
国会は現状肯定的に、そして退役軍人が総理になれるように・・・
 
「第4章 国会」の47条で、改憲案は「この場合においては、各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」を追加しました。これにはいわゆる「1票の格差」論を緩和する目的があるようです。
56条では、現行の憲法では「総議員の3分の1以上の出席がなければ、『議事を開き』、議決することができない」となっているのを、改憲案では「総議員の3分の1以上の出席がなければ、議決することができない」とし、3分の1以下でも議事を開けるようにしました。議員の怠慢を容認し現状を肯定する態度です。
「第5章 内閣」の66条第2項では、現行の憲法が、「内閣総理大臣及び全ての国務大臣は、文民でなければならない」となっているのを、改憲案は「現役の軍人であってはならない」に変えました。いずれ軍部が台頭してくることを予想してのことであれば、かつて日本が辿った道についての反省はどうなったのでしょうか。 
 
非常時大権が創設されます
 
改憲案では「第9章 緊急事態」を追加し、緊急事態の際には内閣は法律と同等の政令を制定でき(99条)て、国民は国その他公の機関の指示に従わなければならない(99条 3)、といわゆる「非常大権」の付与をうたっています。
これが先般の大震災の教訓であるとすれば的外れなことで、先の大震災で明らかになったのは日本国民の我慢強さと規律正しさであって、それは世界中から称賛されました。それに対して政府の対応の不十分さ・まずさは際立っていて、彼らが如何に不作為であったか、如何に情報を隠蔽したか、そして今なお不作為であり続け隠蔽し続けているか、こそが大問題であるのです 
 
憲法改正は議員の過半数の賛成で発議
 
「第10章 改正」の100条では、現行の憲法が「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」で国会が発議できるとしているのを、改憲案では、「総議員の過半数の賛成」で発議できるとしました。
もともと議会が民意を正確に反映していない(小選挙区制では4割の得票率で7割の議席が得られるなど)状況の中で、ぎりぎり過半数の賛成でも発議できるようにするのは、憲法の重要性に照らして危険なことであって、現行の憲法が、軽々しく改廃ができないように「3分の2以上の賛成」を要件としている方に、理があります。
現行の憲法では「第10章 最高法規」 の97条で、あらためて「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」であると宣言していますが、改憲案ではそれを完全に削除しました。 
 
立憲主義にもとるもの
 
改憲案では最後の102条で、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と堂々とうたっていますが、これは、前述したとおり「立憲主義」にそぐわないものです。
その点は、先の99条3(緊急事態)における「何人も・・・国その他公の機関の指示に従わなければならない」という記述等々も同様で、自民党の改憲案の起草者はそのことを理解していなかったのではないかという指摘が出ました。
それに対して起草委員会事務局長の I 氏は528日のツイートで、「立憲主義は大学(*東大)で習わなかったし、教科書にも載っていなかった」と反論?していますが、ともかくもそれによって起草者(たち)に「立憲主義」についての認識がなかったことが明らかになりました。それでは生徒会の規則を決めるような感覚で改憲の作業を進めたのでしょうか。そうだとすればそれ自体が大きな問題です。
 
※この記事は下記のインターネット記事を参考にさせていただきました。
 
「憲法施行65周年と自民党『憲法改正草案』」(水島朝穂氏)
       「公民の先生が呆れかえる自民党改憲案の凄まじさ」(村中和之氏)

「自民党 日本国憲法改正草案」及び「日本国憲法」を掲示しました



(クリックするとまず画面の下側に選択肢:「ファイルを開く」・「保存」が表示されるので、どちらかを選択してください。)

日本国憲法
自民党 日本国憲法改正草案

2012年5月26日土曜日

衆院憲法審査会で各章の検証作業を開始しました


 衆院憲法審査会は5月24日、現行憲法を各章ごとに検証する作業を開始しました。審査会は原則として毎週開かれ、憲法の全11章と前文を、日本の実情に照らして審査することになっています。

この日は「第1章 天皇」(※)についてで、7党の代表者が意見を表明しました。
      ※第1条~8条 : 天皇の地位や皇位継承、国事行為などを定めている
 
 この作業は加憲(憲法の理念は変えずに付け加える余地がある)を主張する公明党が発案し、護憲を掲げて審査会の議論そのものに反対していた共産党と社民党は、改正を前提としないことを条件に審議入りに同意しました。 

 
 ところが会議の中で自民党は同党の改憲草案を配布し、「天皇を元首に」「明文改憲が必要」などと述べたので、「憲法審査会の役割は各党の改憲案を提案して議論することではなく、現行憲法をめぐる状況を、日本の社会のありように照らして検討することだ」(民主党の辻恵議員)など、民主・公明・共産などの各党の議員から批判が相次ぎました。

 
会長の大畠章宏元経済産業相は、作業の開始に先立って「改憲を前提としていない」と説明しました。憲法の条文と精神が国の中で活かされているかを検証することはとても大切ですが、その一方で憲法審査会が改憲の主張の場として利用されることには、十分に警戒しなければなりません。

「第一章 天皇」についての各党の見解は次のとおりです。
(毎日新聞のまとめによる)
【民 主】 女性天皇を認めるなど皇位継承順位が変わる場合は国民投票が必要
▽首相公選制で天皇の任命手続きがどうなるのか議論がない

【自 民】 天皇を元首と明記、国旗・国家規定を新設▽皇位継承は変更の必要なし▽(憲法上明文のない)公的行為を銘記すべきだ

【公 明】 改正を必要とする条文はない▽現在も元首と同様な扱いで改正の必要なし▽女性天皇は認める方向だが皇室典範の議論だ

【共 産】 前文を含め全条項を守るべきだ▽公的行為の明記に反対▽世襲天皇は人間の平等の原則に合わず将来は民主共和制を目指す

【きづな】 元首が天皇であるとの意識は国民にあり明文化の必要はない

【社 民】 元首の明記に反対▽女性天皇は皇室典範の改正で実現を▽公的行為の明記は政教分離の観点から重大な問題

【みんな】 首相公選制導入のため天皇を元首と明記▽国旗・国家を規定

           (国民新党 : 欠席、たちあがれ日本 : 自民とほぼ同じ)

  

コメント(ご意見・ご感想)をお寄せください


先日の例会で、ホームページの読者(訪問者)からコメントを寄せてもらえるようにしよう、という意見が出されましたので、コメントが投稿できるようにしました。 

コメントに不慣れな方のために以下にコメント投稿の要領を説明します。
各記事の最下段に茶色の文字で「□コメント」と示されているのでそれをクリックする。
  (□の中は0~ の数字で公開済みのコメント数を表します)
②するとコメントがある場合にはそれが表示され、その下にコメントを記入するためのウィンドウ(枠)が表示される。
③その枠の中にコメントを記入する。(字数の制限はありません。一旦ワードで文章を作成してそれをここにコピーすることもできます)
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⑤コメントは一旦公開すると訂正ができないので、「プレビュー」をクリックするなどして記載ミスがないことを確認してから「公開※」をクリックする。
(※正確には「投稿」という意味で、この操作で直ちにホームページ上に掲載されるということではありません) 

投稿されたコメントはホームページ事務局に届くので、内容が公序良俗に反するものでないことや、会の主旨と無関係な商品の宣伝でないことなどを確認の上、ホームページ上に公開(掲載)します。掲載は出来るだけ直ちに行うようにしますが、所用等で不在にすることもありますので半日程度遅れることもあります。この点はご了承ください。

言うまでもないことですが事務局のチェックは検閲ではないので、コメントの内容が会に批判的であるなどの理由から公開をしないというようなことはありません。 

記事に対するコメントにとどまらずに「意見表明の場」としてとらえていただいて、ご提案や忌憚のない批判・ご感想など、建設的なコメントをどうぞお寄せください。
お待ちしています。 

(追記 「5月例会が開かれました」の記事の下端に「1 コメント」と書かれていて、これをクリックすると「このコメントは投稿者によって削除されました」と表示されますが、これは事務局で523日にコメント欄の機能を確認する際に、一旦仮のコメントを掲示してから削除したものです。別にどなたかのかれたコメントをこちらで削除したものではありませんので、念のため。 (^^) )

2012年5月22日火曜日

5月例会が開かれました


快晴に恵まれた520日(日)、13:30から湯沢公民館で5月例会が開かれました。いつもは定刻の15:30にほぼ終わっていますが、今回は熱心に討議が行われて20分近くもオーバーしました。

【連続学習―「『18人の発言』に学ぶ」(9回目)】

テーマ:「憲法を変えるときの国民投票って何?」(P3435

初めに、3年間の凍結期間を経て20105月に国民投票法が施行されると、半年ほどのうちに衆参両院で憲法審査会委員が選出されるなど急ピッチで改憲の準備が進められ、各派からの改憲案も出揃っている状況であることが、世話人(会)から報告されました。

引き続き、改憲案が国民投票に掛けられたとき、どんなに投票率が低くても改憲賛成が過半数であれば実施してよいのか、国民投票運動中には各人各派の意見表明の自由が保障されるのか、政府側の意向に反する意見の表明が抑制される恐れはないのか、などの問題点があることが議論になりました。

また憲法96条(国会議員の2/3以上の賛成で憲法改正を発議できる)を過半数の賛成で発議できるように変えるべきだ、という主張も一部にあることが話題になりました。いずれにしても今後国民投票法の細目がどのように決定されていくのか、注意深く監視する必要があります。

【花まつり平和キャンペーンの総括】

会場入口での湯沢平和の輪の行動では、「いつもやっていますね」と声を掛けられるなど町の皆さんから広く認知されるようになりました。今年は特に風ぐるまやビラが良く捌けて、準備した分が短時間のうちになくなりました。その他の平和グッズも皆さんに喜ばれていました。

原発の再稼働の賛否を問うシールアンケートでも、例年に倍する以上の人たちから意見を表明していただきました。特に若いお母さんたちは熱心で、子供たちを健康な環境で育てる上で、原発問題に高い関心を持っていることが窺われました。

【町の非核平和都市への取り組みへの提案】

世話人会から ①湯沢中学校で開催される平和講演会には、父兄や町民も参加できるようにして欲しい ②町長から1月に行われた「平和市長会議」の報告をしてもらう ③成人式では「ポケット版日本国憲法」を贈る などが提案され、特に③については良い案だと皆さんに評価されました。

また、パネル版原爆写真30枚セット(3万円弱)が販売されているので、それを先ず町で購入してもらい今後折に触れて活用して行く、という提案も出されました。

近く世話人会の方で町長に対してこれらのことについて提案・要請・折衝を行うことになりました。面談の日時は未定ですが、決定次第連絡しますので、折衝の場に出席を希望される方はどうぞご参加ください。

2012年5月13日日曜日

5月例会のお知らせ





 
  通信「平和の輪」76号でお知らせしたとおり、下記により5月の例会を行いますので、皆様どうぞお出でください。

と き  520日(日) 13:3015:30
ところ  湯沢公民館 3階 「会議室2

 1 連続学習 「『18人の発言』に学ぶ」(9回目)
    (テキスト:「憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言」(岩波ブックレットNo.657 2005.8.2
    今回は「憲法を変えるときの国民投票って何?」(テキスト3435頁)を読んで、話し合います。

 2 検討・意見交換
  (1) 春の平和キャンペーンに取り組んで
  (2) 町の非核平和取り組に関する提案・要請について
  (3) その他
 

原発は違憲!! 心穏やかに生きる権利守れ (伊藤真)

 原発の再稼働には国民の多数が反対し、湯沢町では7割の人たちが反対であることが、先日の「花まつり」の会場でのシールアンケートによって確認されました。

 ただ、「一致点で団結する(意見の割れる課題は持ち込まない)」というのが平和運動の原則だけど、「憲法9条」と「原発問題」は直接関係はなさそうだし・・・というのが普通の人たちの感覚ではないでしょうか。

 そんなところに、憲法記念日の東京新聞に「原発は違憲 心穏やかに生きる権利守れ」と中見出しのついた記事が掲載されました。それは私たちが2009年度から丁度2年間にわたって学習した「憲法の力(集英社新書 20077.22)」の著者で、憲法問題に詳しい伊藤真弁護士の談話をベースにしたものでした。

 彼は「憲法前文では、国民は平和のうちに生存する権利を有するとうたわれているが、この“平和”は、災害を含め、生活を脅かす脅威から免れて心穏やかに生きることができるということなので、その観点からみると原発は憲法違反だと考える。憲法は、放射能の危険にさらされないで生きたいという人権を保障している。テロの標的になり得て、攻撃されれば原爆と同じようになるものを持つべきではない(要旨)」と述べています。

 以下にその記事(抜粋)を紹介します。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

被災地 幸福追求・生存権どこへ 今こそ憲法の出番
東京新聞201253 朝刊

  一人一人が尊重され、人間らしく平和で安全な社会に生きる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以降、だれもがその願いを切実にしていることだろう。65年前のきょう、日本国憲法が施行された。13条と25条が保障する権利の実現に国は努力しているのか。大震災の後、1,618人が関連死で亡くなっている。もうこれ以上、悲しみと苦しみを広げてはいけない。
 

(中 略 ・・・約100世帯の被災者たちが入居している宮城県石巻市の仮設住宅における悲惨な実態が記述されている) 

◆原発は違憲 心穏やかに生きる権利守れ

 憲法は、少数の人権を守るため、多数に基づく民主的政治に時として縛りをかけるものです。今回の震災では2万人近い人が亡くなり、帰宅できない人は34万人を超える。大変な被害ですが全人口からすれば少数です。厳しい言い方をすれば、ほとんどの国民にとっては「人ごと」。この事実を、まず直視しなければいけない。

 被害者が多数なら、多数で物事を決める民主主義のルートで支援策を決めればいいのですが、今こそ少数者の権利を守る憲法が必要です。

 幸福追求に対する権利を保障する13条、健康で文化的な最低限度の生活を保障する25条の訴えは切実です。被災して人間らしい生活と程遠い生活を強いられている人たちは「すばらしい憲法があるのになぜ私たちは…」と歯がゆく思っているでしょう。

 憲法は、一人一人が自分の権利を主張するのを認めている。被災者がそれぞれ違う権利を主張するのは、わがままではない。みんなと違うことを言うと申し訳ないと感じるのは、間違いです。

 憲法前文では「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあります。「平和」とは単に戦争のない状態ではなく病気や飢餓、貧困や人権侵害、災害を含め、生活を脅かす脅威から免れて心穏やかに生きることができる、ということ。13条はさらに生命の脅威を排除することも人権として保障しています。

 その観点からみると原発は憲法違反だと考えます。放射能の危険にさらされないで生きたいという人権を、憲法は保障しています。憲法の平和主義の根幹は攻撃されない国をつくること。テロの標的になり得て、攻撃されれば原爆と同じようになるものを持つべきではない。核と原子力。英語ではどちらも「nuclear」なのに日本では使い分けてきたのです。

 震災では、憲法が国民の血肉になっていないことが分かりました。「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」。前文の理想を具体化しなければなりません。憲法は、政治家に守らせる法。守らせるためには、国民も憲法の内容を知らなければなりません。 

 <伊藤真 いとう・まこと> 1958年生まれ、東京都出身。東大法学部卒、資格試験の受験指導校「伊藤塾」を主宰。憲法の理念を広げる活動にも取り組む。近著「憲法が教えてくれたこと」は女子高校生が主人公の小説仕立てで、中高生向けに憲法の価値を説いている。
   

2012年5月10日木曜日

会報 平和の輪 第76号

     
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会報 平和の輪 第76号
戦争体験32

2012年5月8日火曜日

春の平和キャンペーンが終わりました

 429日の「花まつり」は晴天に恵まれて会場は大いに賑わいました。今年は雪が多くて果たして間に合うだろうかと心配された桜も、まつりの数日前から俄かに気温が上がったことが幸いして、ソメイヨシノ、しだれ桜、紅山桜が丁度咲き揃ったので、いつもにも増して豪華な花まつりの風情となりました。
   

 そんな中、毎年会場の入口付近で行われてきた当会の平和キャンペーンでは、11名の会員が参加して恒例のシールアンケート、「祝・花まつりゆざわ」のビラ(500枚)配り、「かざぐるま」(200個)配り、そして平和運動募金などを行いました。今年は、ビラ配りも「かざぐるま」配りも共に捗りましたが、特にシールアンケートには沢山の人たちが積極的に回答されました。
   

シールアンケートは原発の再稼働に対して「賛成」、「反対」、「分からない」の三択を問うものでしたが、回答総数は290名余りで「賛成」が約30名、「反対」が200名余りそして「分からない」が約60名でした。
   

 ビラの第一面には今年のトピックスも反映させて、下記の「非核平和の世界へ-湯沢町の歩み」を載せました。
   


非核平和の世界へ -湯沢町の歩み-

 2010年(平成22年)6
 「湯沢町非核平和都市宣言」を行う
 2011年(平成23年)4
 平和市長会議(非核平和をめざす国際NGO)に加盟
 2011年(平成23年)12
      「非核平和宣言のまち」の看板を“ふるさと納税”の活用で設置
 2012年(平成24年)3
      「柏崎・刈羽原発の再稼働を認めない為の決議」を議会で採択

2012年度 総会

 31513301530 公民館3階で行われた2012年度総会には、会員とその友人たち併せて20人が出席して和やかな雰囲気の中で行われました。そして2011年度の活動報告、会計報告が了承され、今後の活動方針と総会アピールが採択されました。
  
 総会後の記念企画(アトラクション)では、会員によるハーモニカ演奏、リコーダー演奏、詩朗読そして新会員の岡崎さんによる本格的な獅子舞が行われ、新しい年度の出発を祝うとともに活動への意欲を新たにしました。
  
 活動方針と総会アピールの概要は以下のとおりです。
  

2012年度“平和の輪”活動方針(要旨)

1 憲法9条こそ現実的な平和の力であり、平和の保障であることを広く共通の認識にしていく。そして平和を脅かす軍事同盟強化、9条改憲の危険な動きを広く知らせ、それを阻む平和の世論を強めていく。
2 “平和の輪”をもう一まわり大きくし、「非核平和宣言のまち」の太い心棒となる。
3 「湯沢町非核平和都市宣言」が具体的に平和の力を発揮するように努力する。
  今年度行われる湯沢中学校での平和講演会が、父母や一般湯沢町民にも開かれたかたちで開催されるよう提案・要請を行う。
4 月例会、春・秋の平和キャンペーン、8月と1月の特別企画、「通信平和の輪」の定期発行など、これまで定着させてきた活動の継続と発展をめざす。
5 引き続き学習に力を入れ、前年度の取り組みを引き継ぎ、「『憲法を変えて戦争に行こう』という世の中にしないための18人の発言」(岩波ブックレットNo.657)を手掛りに“平和”と平和憲法について話し合い、勉強する。
6 戦争体験とそれに根ざした平和への想いを伝えていく活動として、「私の戦争体験-平和への想いを込めて-」の記事の蒐集に力を注ぐ。
7 若い世代との結びつきを広げるために、ホームページ、ツィッターなどの活用について研究・検討を進める。
8 近隣「9条の会」との情報交換に努め、無理のないかたちでの相互協力を行う。
  

2012年度“平和の輪”総会アピール(要旨)

 世界は、戦争の違法化、軍事同盟の解消、核兵器の廃絶、集団安全保障体制の確立など平和への流れを強め、また「専制と隷従、圧迫と偏狭」を除去しようとする動きが大きな前進を見せており、まさに「平和憲法」と呼ばれる日本国憲法の指し示す不戦、非職、反戦と人権・民主主義擁護の方向こそが、現実的で未来のある流れであることを示している。
  
 ところがわが国では「防衛力強化」「日米同盟深化」「国際貢献」などの名のもとに、自衛隊海外派兵の恒久化、集団的自衛権行使の容認、非核3原則や武器輸出3原則の見直しなどの歴史や世界の潮流に逆行する動きが強められている。そして憲法審査会が始動し憲法「改正」の動きが具体的、本格的なものになってきている。
  
発足7年目を迎えた私たちの会の努力が実を結んで、湯沢町でも「非核平和都市宣言」が行われ,平和市長会」への加盟も実現するなどの前進をしたが、こうした憲法「改正」の動きが強まりを見せてきた状況のなかで、更に平和への取り組みを強めていかなければならない。

次回の例会

5月の例会は下記のとおり行います(毎月第3日曜)
と き 520日(日) 13:3015:30
ところ 湯沢町公民館 3階「会議室」

【会員外の皆様へ】

私たちは「憲法9条を守り、生かして平和な日本を、平和な世界を!」と願う人たちの集まりです。詳しいことは「平和の輪について」の頁に掲載した「湯沢平和の輪 申し合わせ事項」のとおりですので、会の目的に賛同し、入会金500円を納入して頂けばどなたでも会員になることができます。
入会は例会当日でも構いませんので興味がありましたらどうぞ気軽にお出で下さい。

お知らせ

既刊会報の全てを「通信『平和の輪』バックナンバー第1集~第5集」及び「戦争体験バックナンバー第1集~第2集」にまとめました。
2012年度“平和の輪”活動方針」及び「2012年度“平和の輪”総会アピール」の全文は「平和の輪について」の頁に掲載しました。