2019年12月31日火曜日

2019年 安倍首相がついた真っ赤な嘘とインチキ総まくり(LITERA)

 LITERAは今年も年末恒例の記事「安倍首相がついた真っ赤な嘘とインチキ総まくり」を出しました。因みに昨年も下記の記事を出しています。
 いずれも あまたある中から8~15を厳選し、それぞれ発言時のTPOなども明らかにした労作です。

 今年の原題には「今年はサイコパスぶりがさらにエスカレート! ~」が冠されています。ここでいう「サイコパス」とは反社会的人格を持つ精神病質者のことで、その特徴は“ウィキペディア”によると
   良心が異常に欠如している   他者に冷淡で共感しない
   慢性的に平然と嘘をつく    行動に対する責任が全く取れない
   罪悪感が皆無         ・自尊心が過大で自己中心的
   口が達者で表面は魅力的
となっています。
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年末特別企画 リテラの2019振り返り
今年はサイコパスぶりがさらにエスカレート! 2019年・安倍首相がついた真っ赤な嘘とインチキ総まくり
LITERA 2019.12.30
 今年もまた、リテラ年末恒例・安倍首相による「大嘘」振り返り企画をお届けする季節がやってきた。毎年、恥も反省もなく虚言を吐きつづける安倍首相だが、今年2019年も政策・外交の失敗、あるいは私物化疑惑をごまかすために山のような嘘を平然とついてきた。
 今回は、その嘘の山から厳選の8つの嘘を振り返ろう。まず最初は、新年早々、多くの国民の度肝を抜いた、この嘘からはじめたい。

◎大嘘その1 
「いま、土砂が投入されている映像がございましたが、土砂を投入していくにあたってですね、あそこのサンゴについては、移しております」
1月6日放送『日曜討論』(NHK)で
 今年がスタートしてたった6日目に飛ばした最初の嘘がこれ。安倍政権は前年12月14日に新基地建設のために辺野古の海への土砂投入をはじめたが、それを正当化した上、「サンゴは移した」と言い張った。しかし、映像のなかで土砂が投入されていた「埋立区域②−1」ではサンゴの移植はおこなわれていなかったのだ。
 しかも、通常国会でこの発言が問題視されると、安倍首相は「南側の海域に生息している保護対象のサンゴは移植したと(防衛省の幹部から)聞いている」と答弁。土砂が投入されている映像を指して「あそこのサンゴ」と言っていたのに、土砂が投入されているエリアの隣の区域を含む「南側海域のサンゴ」だとごまかしたのである。
 総理大臣が新年早々フェイク発言をテレビで垂れ流すという唖然とするような幕開けとなった今年。その後も安倍首相は嘘に嘘を重ねつづけたのだ。

◎大嘘その2
「いわば『100年安心』ということはですね、確保された」
6月10日、参院決算委員会
 今年5月に金融庁の審議会が「年金に頼るな、自分で2000万円貯めておけ」という報告書案をまとめていたことで一気に国民に不安が広がった「年金2000万円」問題。国会では「100年安心は嘘だったのか」と追及を受けた安倍首相だったが、「反論させていただきたい」と大見得を切り、「マクロ経済スライドによって『100年安心』という、そういう年金制度ができたということなんです」「マクロ経済スライドも発動されましたから、いわば『100年安心』ということはですね、確保された」などと主張。しかし、安倍首相はその「100年安心」の具体的な根拠を何ひとつ示さず、だらだらと「マクロ経済スライド」の説明をつづけ、「今年度の年金額は0.1%プラス改定になった」と強調しただけだった。
 だが、このプラス改定というのは年金を満額で受け取っている人の場合でたったの月67円の増額でしかない。しかも、安倍首相がその正当性を説きつづけている「マクロ経済スライド」によって、年金は「増えた」どころか実質的には「減って」いる。
 そもそも、年金は物価や賃金の上昇に合わせて上昇率分増えるが、マクロ経済スライドの実施は物価の上昇による年金支給額の上昇を抑制するもの。そして、年金の0.1%の増額改定に対し、今年1月に総務省が発表した消費者物価指数によると、物価上昇率は1%。つまり、安倍首相が誇る「年金額を増やした」という話は、実質的には0.9%のマイナスであって、年金が月10万円だったら月900円が減らされたというのが実態なのだ。
 その上、姑息にも参院選後まで公表をずらした財政検証の結果では、現実に近いケース5では39年後には所得代替率は44.5%となり、現実の経済状況とも一部重なるケース6では2052年には国民年金の積立金は枯渇。つまり、いまのような経済状況だと「100年安心」どころか、公的年金制度は約30年程度で破綻するという結果が出た。
 しかし、安倍首相はこうした現実を直視せず、さらにはこんな嘘まで国会で吐いたのだ。

◎大嘘その3
「たいへん残念なのは、先程の党首の議論でですね、年金の、いわば積立金が枯渇すると言ったとき、拍手が起こったことであります」
6月19日、党首討論
 年金問題がクローズアップされた党首討論では、当然、野党党首から厳しい追及がおこなわれ、国民民主党党の玉木雄一郎代表は2017年の全要素生産性では政府のシミュレーションでも「36年後に積立金が枯渇する」と指摘し、共産党の志位和夫委員長もマクロ経済スライドをやめて富裕層の保険料増額で「減らない年金」にすることを提案。だが、安倍首相は志位委員長の質問に答える番になったとき、前の質問者だった玉木代表の話を持ち出して「拍手が起こった」などと言い出した。ようするに、“年金積立金が枯渇することを喜ぶなんて、政府を批判したいだけだ、なんと卑しい”と印象付けようとしたのだ。
 しかし、これはとんだ「でっちあげ」だった。
 国会中継を確認すると、玉木代表が「いま総理がやるべきなのは、国民に、どういう年金の姿になっているのかを、正直に語る政治を実現することじゃないですか」などと語ったときに拍手が起きていたが、「積立金の枯渇」について言及したときは小さなどよめきが起きただけで、拍手の音は聞こえてこないのだ。
 起きてもない拍手をでっちあげて、野党に対して印象操作をおこない、年金制度追及をごまかす……。卑劣というか、これではデマで野党を攻撃しているネトウヨサイト以下と言ってもいいだろう。もし安倍首相が「嘘」という自覚がないとしたら、自分の都合のいいように事実をねじ曲げるサイコパスと言うほかない。

◎大嘘その4
「まるで私たちがですね、統計をいじってアベノミクスをよくしようとしている、そんなことできるはずないじゃないですか。そんなことできるはずがないんですよ」
2月4日、衆院予算委員会
 昨年末、「毎月勤労統計」の不正調査問題が発覚したことで、2018年の統計調査手法の変更によって賃金伸び率を上振れさせた“アベノミクス偽装”疑惑が浮上。しかも、調査変更をめぐっては、中江元哉首相秘書官(現・財務省関税局長)や菅義偉官房長官が厚労省に圧力をかけるなど暗躍していたことまで判明したが、安倍首相は統計調査変更による“アベノミクス偽装”を否定し、こう逆ギレしてみせたのだ。
 しかし、「できるはずがない」と言うものの、実際に2018年の実質賃金伸び率は1〜11月で5カ月がプラスとなっていたものが、実態に近づけた野党側の試算ではプラスになったのは1カ月だけ。厚労省もこの結果を「(厚労省が試算した場合も)同じような数字が出ると予想される」と認めている。いや、そもそも安倍政権は2016年12月にGDPの計算方法を変更し、それによって名目GDPを大幅にかさ上げするという“前科”まである。そして、安倍首相はその恣意的な数字を強調し、「名目GDP過去最高」などとアピールに使ってきたのだ。
 統計をいじってアベノミクスの効果を演出する。これは国民を欺く詐欺的行為だが、安倍首相は「そんなこと」までしてしまっているということの重大性を、いま一度考えるべきだろう。
 
◎大嘘その5
「(トウモロコシを)買うのは民間、政府ではない」
8月25日、日米首脳会談後の記者発表で
「中国がやると言ったことをやらなかったから、国中でトウモロコシが余っている。代わりに日本の安倍総理が、すべてのトウモロコシを買うことになった」。首脳会談後にわざわざ予定になかった記者発表を開くと、トランプ大統領がごきげんな様子で切り出したこの話題。しかも、トランプ大統領は安倍首相にも「トウモロコシについても発言を」と催促し、対する安倍首相は、まずいと思ったのか「買うのは民間、政府ではない」とやんわり訂正したのだった。
 まるで民間企業が買うのであって政府は関係ないと言わんばかりだが、実際は違う。農水省は飼料用トウモロコシの前倒し購入を決めた企業に対して保管料や購入代金の金利分の補助をおこない、この補助には最大32億円の税金が投入されるのだ。
 しかも、ひどかったのは、この“トウモロコシ爆買い”を正当化するために安倍政権が「害虫被害のため」などとさらなる嘘をついたこと。これには農家からも「それほど被害は出ていない」「影響はあまりない」という声があがっていたが、それを裏付けるように、米国産トウモロコシ購入の補助制度は9月に募集を開始したのに、3カ月ものあいだ申請はゼロ。今月中旬にようやく初めての申請があったという。
 最終合意した日米貿易交渉も安倍首相は「両国にとってウィンウィンの合意」などと言ったが、それも大嘘で、日本がアメリカに売り渡す農産物市場はなんと約72億ドル(約7800億円)。トランプのために際限なく国益を差し出す“ケツ舐め外交”を、恥もなく安倍首相は来年もつづけるのだろう

◎大嘘その6
「『令和』というのは、いままで中国の漢籍を典拠としたものと違ってですね、自然のひとつの情景が目に浮かびますね」
4月1日、『ニュースウオッチ9』出演時に
 新元号の発表を政治利用し、平成のときになかった会見まで開いて、勝手な解釈で自分の政策との関連をアピール。テレビ番組に出演して、まるで自分が元号を決めたかのような発言を繰り返した安倍首相だったが、なかでも失笑を買ったのはこの“日本スゴイ”アピールだ。
 そもそも日本の古典文学は基本的に中国や朝鮮の影響下でつくられているものであり、いくら「国書典拠」を強調したところで、日本固有の文化、中国排除などできるはずがない。現に、「令和」の典拠は『万葉集』の梅花の歌の序文だが、それも中国由来の漢文調で書かれたものだ。しかも、「令和」の大元には張衡(78〜139)という後漢の役人・学者が残した「帰田賦」があると専門家らが指摘。安倍首相は「自然のひとつの情景が目に浮かびますね」などと言うが、じつは「帰田賦」そのものが自然の情景を描いているのである。
 漢文の教養なんて何もないくせに知ったかぶりをして恥をさらすとは、この総理大臣は救い難いものだが、ネット上ではこの「帰田賦」の作者である張衡が“権力の腐敗に嫌気がさして田舎に引っ込んだ役人”であったことが話題に。本サイトが調べたところ、張衡は〈法を遵守する者が災難に遭うご時世〉(明治書院『新釈漢文体系』81巻 通釈より)などと憂い、腐敗と忖度にまみれた政治を批判していた(詳しくは既報参照)。
 ようするに、「おれは国書を典拠とする元号をつけた初めての総理だ」と悦に入るものの、実際は自らの政権とそっくりな不正と忖度官僚の跋扈を嘆いた中国の役人の言葉を元ネタとする元号をつけてしまっていた、という大オチがついたのだった。

◎大嘘その7
「私が言っていること、嘘だって言っているんでしょう? それは非常に無礼な話ですよ。嘘だって言っているんでしょ、あなたは。本当だったら、どうするんです、これ。あなた、嘘だって言ってるんだから!」 
「私が嘘を言うわけないじゃないですか!」 
2月13日、衆院予算委員会 「お父さんは違憲なの?」
という話は本当かと問われて
 安倍首相が9条に自衛隊明記する改憲の理由としてしきりに持ち出していた、「自衛官が息子に『お父さんは違憲なの?』と目に涙を浮かべながら言われた」というエピソード。国会では、小中学校と自衛隊駐屯地のそばで育ったという立憲民主党の本多平直議員が「こんな話が出たことがない」と質疑のなかで述べると、安倍首相は血相を変えてこうまくし立て、「資料を出せと言うんであれば出させていただく」と大見得を切ったのだった。
 これまでさんざん国民に嘘をついてきた安倍首相が「私が嘘を言うわけないじゃないですか!」と言っても何の説得力もないが、じつはこの話題でも安倍首相は嘘をついていたことがわかった。というのも、その後の衆院予算委で、出すと言っていた資料も出さず、「防衛省担当の総理秘書官を通じて、航空自衛隊の幹部自衛官から伺った話」と答弁したからだ。
 「自衛隊の幹部から聞いた」「ある自衛官から聞いた」と語ってきたのに、実際には又聞きだった……。しかも、本サイトが調べたところ、「お父さん違憲なの?」のネタ元だと思われる元自衛官の話が「正論」(産経新聞社)に掲載された2017年6月と同時期に、同じような話が極右界隈で語られはじめていた。ちなみに安倍首相が9条に自衛隊を明記する改憲案をぶちあげたのは同年5月。つまり、改憲案を正当化するために改憲勢力や自衛隊出身の右派論客などが古いエピソードを持ち出した疑いがあるのだ(過去記事参照)。
 安倍首相は同じように「自治体の6割以上が自衛官募集の協力を拒否している」という話を喧伝していたが、これも本当は9割が協力していたことがわかっている(https://lite-ra.com/2019/02/post-4546.html)。来年、安倍首相が改憲に向けて猛突進することは間違いないが、こうした嘘に騙されてはいけない。

◎大嘘その8
「私は招待者のとりまとめ等には関与していない」
11月9日、参院予算委員会
 やはり今年の安倍首相がついた嘘の大トリを飾るのは、「桜を見る会」問題しかあるまい。問題に一気に火がついた11月8日の参院予算委では、「後援会や支援者の招待枠を自民党内で割り振っているのでは」という共産党・田村智子議員の追及に対し、「私は主催者として挨拶や招待者の接遇はおこなうのでありますが、招待者のとりまとめ等には関与していないわけであります」と答弁した安倍首相だったが、次々と証拠や証言が出てくると、約1週間後の16日に不意打ちでおこなった記者団のぶら下がり取材で「私、そして官房長官、官房副長官からの推薦を長年の慣行で受けていた」と発言。同月20日の参院本会議では「私の事務所が内閣官房からの推薦依頼を受け、幅広く参加希望者を募ってきたと承知している。私自身も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」などと、しれっと推薦に関与していたことを認めたのだ。
 どうしてこうも簡単にバレるような嘘をついてごまかそうとするのか──。しかも、ここにきて招待区分「60」が総理枠であることを示す公文書が公開され、悪徳マルチ商法のジャパンライフ山口隆祥会長(当時)を招待したのが安倍首相であることは確定的となった。安倍首相は「山口氏と1対1のようなかたちで会ったことはなく、個人的な関係は一切ない」と答弁しているが、なぜ個人的関係が一切ない人物を安倍首相は招待したのか。またも虚偽答弁の可能性が出てきたのである。
 「桜を見る会」問題はこれにとどまらず、「前夜祭」や招待者名簿破棄問題をめぐってもあきらかに嘘としか思えない説明をおこなってきた安倍首相。来年の通常国会では、安倍首相がついた嘘をすべて徹底的に暴くほかない。
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 安倍首相の嘘を振り返ったこの企画、いかがだったろうか。しかし、安倍首相の発言で問題なのは、嘘だけではない。詭弁に驕り、そしてアホ丸出しのバカ発言については、あらためてまとめて紹介するので、そちらもご期待いただきたい。(編集部)

31- 中東海域への自衛隊派遣に反対する声明 日弁連/真宗大谷派

 27日、政府日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動を目的として、護衛艦1隻哨戒機1機を、中東アデン湾等へ派遣することを閣議決定したことに対して、日弁連と真宗大谷派が27日、それぞれ自衛隊派遣に反対する声明を出しました。 
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中東海域への自衛隊派遣に反対する会長声明

2019年12月27日、日本政府は日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動を目的として、護衛艦1隻及び海賊対策のためにソマリア沖に派遣中の固定翼哨戒機P-3C1機を、中東アデン湾等へ派遣することを閣議決定した。 

2018年5月に米国がイラン核合意を離脱後、ホルムズ海峡を通過するタンカーへの攻撃等が発生していることから、米国はホルムズ海峡の航行安全のため、日本を含む同盟国に対して有志連合方式による艦隊派遣を求めてきた。 

これに対し日本は、イランとの伝統的な友好関係に配慮し、米国の有志連合には参加せずに上記派遣を決定するに至った。 

今般の自衛隊の中東海域への派遣は、防衛省設置法第4条第1項第18号の「調査及び研究」を根拠としている。しかし、同条は防衛省のつかさどる事務として定めている。 

そもそも、自衛隊の任務、行動及び権限等は「自衛隊法の定めるところによる」とされている(防衛省設置法第5条)。自衛隊の調査研究に関しても、自衛隊法は個別規定により対象となる分野を限定的に定めている(第25条、第26条、第27条及び第27条の2など)。ところが、今般の自衛隊の中東海域への派遣は、自衛隊法に基づかずに実施されるものであり、防衛省設置法第5条に違反する疑いがある。 

日本国憲法は、平和的生存権保障(前文)、戦争放棄(第9条第1項)、戦力不保持・交戦権否認(第9条第2項)という徹底した恒久平和主義の下、自衛隊に認められる任務・権限を自衛隊法で定められているものに限定し、自衛隊法に定められていない任務・権限は認めないとすることで、自衛隊の活動を規制している。自衛隊法ではなく、防衛省設置法第4条第1項第18号の「調査及び研究」を自衛隊の活動の法的根拠とすることが許されるならば、自衛隊の活動に対する歯止めがなくなり、憲法で国家機関を縛るという立憲主義の趣旨に反する危険性がある。 

しかも、今般の自衛隊の中東海域への派遣に関しては、「諸外国等と必要な意思疎通や連携を行う」としていることから米国等有志連合諸国の軍隊との間で情報共有が行われる可能性は否定できず、武力行使を許容されている有志連合諸国の軍隊に対して自衛隊が情報提供を行った場合には、日本国憲法第9条が禁じている「武力の行使」と一体化するおそれがある。また、今般の閣議決定では、日本関係船舶の安全確保に必要な情報の収集について、中東海域で不測の事態の発生など状況が変化する場合における日本関係船舶防護のための海上警備行動(自衛隊法第82条及び第93条)に関し、その要否に係る判断や発令時の円滑な実施に必要であるとしているが、海上警備行動や武器等防護(自衛隊法第95条及び第95条の2)での武器使用が国又は国に準ずる組織に対して行われた場合には、日本国憲法第9条の「武力の行使」の禁止に抵触し、更に戦闘行為に発展するおそれもある。このようなおそれのある活動を自衛隊法に基づかずに自衛隊員に行わせることには、重大な問題があると言わざるを得ない。 

政府は、今回の措置について、活動期間を1年間とし、延長時には再び閣議決定を行い、閣議決定と活動終了時には国会報告を行うこととしている。しかし、今般の自衛隊の中東海域への派遣には憲法上重大な問題が含まれており、国会への事後報告等によりその問題が解消されるわけではない。中東海域における日本関係船舶の安全確保が日本政府として対処すべき課題であると認識するのであれば、政府は国会においてその対処の必要性や法的根拠について説明責任を果たし、十分に審議を行った上で、憲法上許容される対処措置が決められるべきである。 

よって、当連合会は、今般の自衛隊の中東海域への派遣について、防衛省設置法第5条や、恒久平和主義、立憲主義の趣旨に反するおそれがあるにもかかわらず、国会における審議すら十分になされずに閣議決定のみで自衛隊の海外派遣が決められたことに対して反対する。 
 2019年(令和元年)12月27日
日本弁護士連合会  
会長 菊地 裕太郎


海上自衛隊の中東派遣の閣議決定に対する宗派声明
 
 このたび、安倍晋三内閣が中東海域での航行の「安全確保」を目的とした海上自衛隊の派遣を閣議決定したことに、深い悲しみを覚えます。
 真宗大谷派は、先の大戦において国家体制に追従し、仏法を人間の都合で解釈して戦争への積極的な加担をしました。その過ちを繰り返してはならないとの決意から、これまでに集団的自衛権の行使容認や安全保障関連法の成立にあたり、反対の意を表明してまいりました。その背景には、人間が思い定める「正義」に絶対はないということを明らかにしてきた仏の教えがあるにもかかわらず、そのことに背いてきた当派の歴史があるためです。

 このたびの閣議決定に際しては、防衛省設置法に基づく「調査・研究」が目的であることが強調されるとともに、「不測の事態」への対応として武器使用も伴う海上警備行動の発令がなされることが定められています。それは、いのちに関わる重大な事柄であるにもかかわらず、十分な国民的議論のないままに進められた拙速な方途であるといわざるを得ません。そして「安全確保」という大義名分のもと、国民の不安を煽りつつ武器使用の可能性を認めることによって、自他に怨みや敵意を生じさせ、報復の連鎖へと転じていくのではないかと危惧いたします。

 人間とは、自らの立場をどこまでも正当化して、その危うさを問い直すことのできない愚かな存在です。だからこそ、それぞれが自身の愚かさに目覚め、人種、民族、文化、宗教、国家などの差異を超えて、他者と水平に出あう道に立たなければなりません。
 私たちは、仏の教えに基づく教団として、このたびの閣議決定の見直しを求めるとともに、今後も引き続き、戦争に繋がるあらゆる行為を未然に防ぐ努力を惜しみません。そして、武力に頼るのではなく、積極的な「対話」によって「真の平和」を希求することをここに表明いたします。
2019年12月27日  
真宗大谷派(東本願寺)宗務総長  但馬 弘

2019年12月30日月曜日

政府の理屈は総崩れ 狂気の域に入ってきた辺野古埋め立て(日刊ゲンダイ)

 日刊ゲンダイが改めて、政府が米軍普天間飛行場移設するためとしている「辺野古沖埋め立て」問題を取り上げました。
 政府はこれまで普天間を「22年度またはその後に返還」するためには、辺野古を埋め立て基地を作るのが唯一の現実的な方法だと強調してきました。
 それがついに辺野古新基地の完成が2030年代半ばへと大幅にずれ込むことを明らかにせざるを得なくなりました。要するに普天間基地の使用が更に10数年延びるということで、激しい騒音と墜落・落下物の不安に苦しむ人々に今後10数年かそれ以上我慢を強いるというのは(もはや)人の道に反」(日刊ゲンダイ)します

 政府は1416年の調査で軟弱地盤の存在を把握したのですが、国民には隠蔽し逆に後戻りできないように既成事実を作ろうと着工を急ぎました。しかし埋め立て工事の進捗状況は1年間で僅か1%に過ぎませんでした。岸辺の浅瀬での実績がこれですから、最深部が海面から90mもあるという深場に7万本の砂杭を打つにはどれ程の工期を要するのか計り知れません。
 前泊博盛・沖縄国際大教授は、「難工事の軟弱地盤を埋め立てるには、それこそ100年以上かかる恐れすらある」と述べています。
 そもそも国内にある、海底に砂杭を打つ作業船の能力は海面下70mまでなので、90mの深度の海底に砂杭は打つことは不可能です。要するに政府は永久に完成するめどのない工事を強行しようとしている訳です。

 政府は総工費を最大約9300億円と発表しましたがそれもとても根拠を持ったものとは思えません。沖縄県がはじいた2兆5500億円の方が遥かに信憑性があります。
 政府の滅茶苦茶な計画を強行すれば、「税金が湯水のごとく辺野古の海に垂れ流され、なおかつ杭打ちは永遠に終わらない」(日刊ゲンダイ)ことになりかねません。
 日刊ゲンダイの「~ 狂気の域に入ってきた辺野古埋め立て」は至言というべきです。
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政府の理屈は総崩れ 狂気の域に入ってきた辺野古埋め立て
 日刊ゲンダイ 2019/12/28
 民意を無視した土砂投入から1年余り。安倍政権がゴリ押しする沖縄・辺野古沖の埋め立てが、いよいよ狂気の領域に入ってきた。
 米軍普天間飛行場の移設先とされる辺野古新基地の完成が、2030年代半ばへと大幅にずれ込むことになった。これまで政権側の説明は普天間を「22年度またはその後に返還」だった。民意無視の埋め立て強行に続き、今回の「さらに十数年」の表明である
 既に政権側は「19年2月までに運用停止」とした県との約束をほごにし、新たな期限の設定に応じようとしない。普天間所属の航空機の相次ぐ事故にも、米軍にうわべだけの申し入れをするのみ。その上、激しい騒音と墜落・落下物の不安に苦しむ人々に今後十数年かそれ以上、我慢を強いるというのは人の道に反する。まさに反社政権の正体見たりだ。

 再試算の結果、当初は5年の工期が9年3カ月と約2倍に延びた要因は、埋め立て海域で見つかった「軟弱地盤」の改良工事のせいだ。マヨネーズ並みのグニャグニャ地盤を固める難工事は総工費も押し上げ、従来想定の約2・7倍、最大約9300億円に上る。
 防衛省は地盤改良のため、7万本もの「砂杭」を海面から90メートルの深さに打ち込むというが、現在、日本にある作業船で改良工事を実施できる深さは70メートルまで。それでも、後に引けない安倍政権が遮二無二、杭打ちを強行すれば、税金が湯水のごとく辺野古の海に垂れ流され、なおかつ杭打ちは永遠に終わらない。そんな最悪の結果しか見えてこないのだ。
 沖縄県は昨年「運用まで13年以上、予算は最大2兆5500億円」との試算を示した。しかし狂気の政権の下では、いくら時間と金があっても足りなくなるのは必然なのである。

一切が無に帰した「一日も早い危険除去」
 加えて沖縄県の玉城デニー知事は、政権側が軟弱地盤対策に伴う設計変更を申し立てても応じない方針だ。国と県との裁判闘争に移る可能性も高い。そうなれば辺野古基地完成の時期はさらに遅れ、普天間の危険性は放置されたままになる。
 安倍首相は今年1月の施政方針演説で「世界で最も危険と言われる普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現する」と強調した。ところが、実際に進んでいるのは被害の固定化と長期化だ。
 いまや「一日も早い危険除去」なる常套句は、実態の伴わない誇大広告となり、政府の理屈は総崩れ。大義を失った自然破壊と民意愚弄を招いたのは他ならぬ政府自身である。
 13年の日米合意後、十分に確認しないまま埋め立て申請を急ぎ、14~16年の調査で軟弱地盤の存在を把握しながら隠蔽した。情報公開請求で真相を知った県の指摘に耳を貸さず、土砂投入に踏み切り、ひたすら既成事実づくりに邁進してきたのだ。
 昨年9月の知事選、今年2月の県民投票、4月の衆院補選、7月の参院選と、県民が繰り返し「辺野古ノー」の民意を突きつけても、ガン無視の姿勢を崩さない。
 背信と思考停止――。こうした政権の態度に県民が不信を募らせるのは当然だ。焼失した首里城の復元に前向きな発言も、県に辺野古の譲歩を引き出すための方便にしか聞こえないのだ。

盾突く者は全て敵と切り捨てる“放置国家”
「安倍政権は原点を見失っています」と言うのは、沖縄国際大大学院教授の前泊博盛氏(日米安保論)だ。こう続ける。
「普天間飛行場の移設の出発点は、沖縄の基地負担の軽減。ところが、現政権は辺野古の埋め立てだけが自己目的化し、普天間が現に直面する危険性はほったらかし。日米安保に関わると、費用対効果も不透明なまま、公共事業を強行する悪行に歯止めがかからなくなってしまう。土砂投入から1年で、まだ計画の1%しか進んでおらず、それも浅瀬部分しか埋まっていない。難工事の軟弱地盤を埋め立てるには、それこそ100年以上かかる恐れすらあります。どこまで戦局が拡大するか見通せない戦争予算じゃあるまいし、こんな無謀な計画を認めたら、国が破綻します。はたして法治国家ならぬ“放置国家”でいいのか、日本の民度が問われています」

 こうして沖縄の声に耳を塞ぎ、新基地建設を強引に進めても、無用の長物になる可能性は極めて高い。
 そもそも辺野古新基地計画が浮上したのは、日米両政府が普天間返還で合意した直後の1996年のこと。それから四半世紀近く。既に沖縄に駐留する米海兵隊は2020年代前半から約9000人が米本土やグアムに移り、約半分の規模に縮小されることが決まった。この間、兵器や技術も変革し、海兵隊の運用も大きく変化している。軍事評論家の前田哲男氏もこう指摘した。
「この先さらに十数年もかかると、日米の安保政策すら見通しが立ちません。よしんば完成させても、中国など外部から格好の攻撃目標になる。軍事合理性の観点からも沖縄への基地集中はデメリットが大きい。20年以上前に構想された辺野古に固執する理由はありません。しかも2800メートルある普天間の滑走路に比べ、辺野古は1800メートルしかない上、V字形なので使いづらい。米軍に運用面でケチをつけられるのは確実です。今からでも遅くはありません。計画の破綻を認め、一から出直すべきです」

「米尊沖卑」に自浄を求めるだけムダ
 どれだけ沖縄県民に犠牲を押しつけようが、安倍政権は平気の平左。それこそ“アメリカさま”を重んじ、沖縄を見下す「米尊沖卑」の発想が染み付いている。
 唖然としたのは、沖縄タイムスがスッパ抜いた電源開発(Jパワー)の内部メモだ。そこには、菅官房長官の懐刀として悪名高い和泉洋人首相補佐官の「米尊沖卑」に基づく横暴が、克明に記されている。
 沖縄県北部・東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設が難航していた16年9月。和泉氏は当時、現場付近で海水揚水発電所を運営していたJパワーの北村雅良会長を官邸に呼びつけ、助力を求めた。その見返りに「海外案件は何でも協力する」と持ちかけたというのだ。
 和泉氏は「何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい」「あと3カ月で完成させるには、JP(Jパワー)から建屋、水、燃料タンク等の協力を得たい」と要請。「あと3カ月」後の16年12月には米軍北部訓練場返還式と祝賀会があった。前年の一部基地返還合意に尽力したケネディ元駐日米大使が出席。彼女の退任前に「目に見える形でのお返し」が必要だったわけだ。
 さらに和泉氏は「米国政府は、日本政府は沖縄関連で何もしていないと見ている」「本件は、日本政府も汗を流している証拠として、20年間、放置されていた件を動かした」と説明。だが、「反対派の活動もかなりのもの」だとしてJパワーに協力を要請し、「反対は活動家だけ」と勝手に決めつけていた。

 米国を恐れ、おもねり、点数稼ぎのためなら、何でもアリの一方で、盾突く者は政権の敵と断定して切り捨てる。メモはそんな政権中枢の姿を、ハッキリと映し出す。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「当事者の意見を聞かず、異論は権力で抑えつける。不都合な情報は隠し、嘘とゴマカシと強弁を重ね、ひたすら“敵”が疲弊するのを待つ。沖縄問題には安倍政権の体質が、にじみ出ています。もはや辺野古と切り離して普天間の早期返還を求めるべきですが、埋め立てが自己目的化した政権に自浄能力を求めるのは不可能。この問題に限らず、カジノや入試改革、桜を見る会も同様です。政策を変えるには、もう政権を代えるしかありません」 来年こそ「アベよ、あばよ!」を実現しなくてはいけない。

バブル崩壊から30年でも浮上できぬ日本経済(植草一秀氏)

 安倍首相は何を勘違いしたのか首相になってから4年間に海外に40兆円をばら撒きました。在任7年に及ぶ現在では60兆円を超えたと言われています。日本を金満国家と思っているようですが度し難い錯覚です。何を考えているのでしょうか。

 この半世紀で米英の名目GDP2・5~3倍に、独仏は2倍に増大していますが、日本だけほとんど浮上できずにあえいでいます。半世紀前に日本のGDPの7分の1だった中国には2014年に追い抜かれ、その翌年には逆に中国のGDPの半分以下になりました。
 1人当たりGDPは2000年に世界第2位でしたが、2018年には26位に転落しました。因みに韓国2018年には31と着実に上昇しています。
 安倍内閣の唯一の取り柄は発足時8000円であった株価を24000円にまで上げたこととされていますが、それは菅~野田佳彦内閣が超緊縮財政運営を展開していたのを改め、大企業優先の政策を行った(その結果、日本の法人企業(全規模)の純利益は2017年度までの5年間で23倍に激増)だけでなく、国費を使った前代未聞の株価のつり上げ・買い支えを恒常的に行った結果でした。当然海外の投機筋も参入しました。

 経済・政治学者の植草一秀氏は、企業利益の急増は労働者の処遇を劣悪化することによって得られたもので、株価上昇は経済好調の反映ではなく、労働者の苦しみの反映なのだとしています
 そして四半期毎実質GDP成長率(年率換算)の単純平均値は、第2次安倍内閣発足以降は+13%民主党政権時代の+17%を大幅に下回り、戦後最悪の経済状況が続いているしています。
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バブル崩壊から30年でも浮上できぬ日本経済
植草一秀の「知られざる真実」 2019年12月29日
30年前の今日、1989年12月29日、日経平均株価は38915円で引けた。これが日本の株価史上最高値である。
30年が経過した2019年12月27日の日経平均株価終値は23837円。30年前の株価より4割も低い。
これが日本経済30年間の総決算だ。

1994年の名目GDPを100として、その後の推移を検証すると、米英の名目GDPは250から300の水準に拡大した。独仏では200の水準に到達している。
ただ日本だけが1994年の水準からほとんど浮上できずにあえいでいる
日本の名目GDPは2009年に中国に抜かれた。日本は世界第2位の経済大国から転落した。
中国のGDPは1995年には日本の7分の1の水準だった。それが14年で追い抜かれ、さらに6年後の2015年に日本の名目GDPが中国の半分以下になるまで水を空けられた。
1人当たりGDPの水準で日本は2000年に世界第2位の地位にあった。そのランキングが2018年には世界第26位に凋落した。
韓国のランキングは2000年が35位、2018年が31位である。

安倍内閣は韓国敵視政策を推進する。米国に対するひれ伏す姿勢の裏返しとして韓国に対して居丈高に振る舞う姿は哀れでもある。
2000年時点では日本と韓国の一人当たりGDPの水準に大きな開きがあったが、いまやほぼ同列に転じている。
次世代通信技術5Gの特許出願件数では中国が34%を占めて独走し、次いで韓国が25%のシェアを確保している。次いでフィンランドと米国が15%を確保、スウェーデンが8%と続き、日本は5%の6位に低迷している。
しかも、特許を出願している日本企業の資本の過半が外国資本に握られている

第2次安倍内閣が発足したのが、いまから7年前。日経平均株価は8000円の水準に低迷していた。その株価が24000円にまで上昇したから、第2次安倍内閣が発足してから株価は3倍の水準に上昇したことになる。これが、安倍内閣がアピールする唯一の成果と言ってもよい。
株価が上昇した背景に企業利益の増加がある。法人企業統計に基づくと、日本の法人企業(全産業・全規模)の当期純利益は2012年度から2017年度までの5年間で23倍の水準に激増した。企業収益が激増し、これを反映して株価が3倍水準に上昇したのである。

これだけを見ると安倍内閣の経済政策が成功したとの錯覚を生み出してしまう。
しかし、そうではない。2012年に株価が超低迷していたのは、菅直人内閣と野田佳彦内閣の責任だ。この二つの内閣が主権者との約束を踏みにじって消費税増税を強行制定した。財務省の言いなりになって超緊縮財政運営を展開した
安倍内閣が発足当初に超緊縮財政を修正したことは正しかったが、その後は消費税大増税路線に転換してしまった。
安倍内閣の下で企業収益が激増し、株価が大幅上昇したのは事実だが、肝心の日本経済全体を見ると悲惨な現実が浮かび上がる。
四半期毎に発表される日本の実質GDP成長率(年率換算)の単純平均値では、第2次安倍内閣発足以降は+13%になる。これは民主党政権時代の+17%を大幅に下回る
菅内閣、野田内閣の下での日本経済は、文字通り真っ暗闇だった。超低迷だったが、安倍内閣下の日本経済の超低迷はこれを上回る戦後日本で最悪の経済状況が続いていると言って間違いない。

その経済低迷下で企業利益が倍増し、株価が3倍水準に上昇した。国民が素直に喜ぶことの出来る株価上昇ではない。安倍内閣は主権者国民の大多数の身上である労働者の処遇を劣悪化することによって大企業利益を激増させた
株価上昇は経済好調の反映ではなく、労働者の苦しみの反映なのだ。
それでもその株価がバブルのピークよりも4割も低い水準にとどまっているのだ。
(以下は有料ブログのため非公開)