2016年4月30日土曜日

北海道補選 野党共闘の上積み効果は4万票 と

 北海道衆院補選では、前回の衆院選の自・公票と民主+共産の合計票の差と、今回の自民候補票と野党統一候補票の差を比べて、野党共闘の効果が見られなかったと評価する向きがありますが、日刊ゲンダイは上積み効果は4万票超だと評価しました。
 今回の補選では自民は幹部や国会議員280人を投入するなど総力戦を展開し、たまたま起きた熊本大地震も大いに補選に活用し、投票日の前日には首相が熊本に行き激甚災害指定を確約しました。
 また暮れには鈴木宗男氏を官邸に招き自民党候補支持に転向させて新党大地の基礎票2万5千票をもぎ取るなどしました。
 こうした背景を考えあわせれば、共闘の効果を単に前回選挙での得票差と比較して分析するのでは不十分だという訳です。
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      W選断念へ 北海道補選を徹底検証  <第1回>
“野党共闘”上積み効果は4万票超…無党派7割が投票
日刊ゲンダイ 2016年4月28日
「弔い合戦に加え、大多数の企業・団体の推薦をもらっていれば、自公推薦候補の和田義明氏は圧勝して当然。ところが、池田真紀氏が猛追し、投開票1週間前には逆転を許した。熊本地震で政府の災害対応の映像が連日流れ、関心が若干薄れなければ、野党統一候補の奇跡の逆転勝利となっていたことでしょう」
 こう話すのは補選を取材してきた地元記者だ。たまたま熊本地震が起きて安倍政権は敗北を免れたが、次期衆院選で同じ顔触れで戦った場合、池田氏が勝つ可能性が高いといえよう。池田氏の善戦は「1強多弱」状況の激変を物語る。
「しかも今回の補選で自民は国会議員280人を投入するなど総力戦を展開したのに土俵際まで追い込まれた。安倍首相は熊本地震の対応を理由に同日選見送りを口にしたとされますが、実際は想定以上に効果を発揮した野党共闘に、『とてもダブル選を仕掛ける状況にない』と恐れをなしたのでしょう」(永田町ウオッチャー)
 
 この安倍首相の狼狽ぶりを歪曲報道で覆い隠したのが、大マスコミだ。25日付の読売新聞は「(和田氏は)地域政党『新党大地』の支持層も着実に取り込んだ」と指摘したが、明らかな事実誤認だ。
 2014年12月の前回総選挙は故・町村信孝前衆院議長の約13万1000票。民主・共産候補の合計は約12万6000票で、このうち基礎票が約2万5000票とされる大地は今回は与党に鞍替え。本来「15万6000票VS10万票」と5万票以上の大差がついてもおかしくなかった。
 実際は約1万2000票差に過ぎず、「与党は大地の支持層を取り込めず、野党共闘の上積み効果は4万票以上」というのが実態である。
 
 同日付の他の新聞も、大地の鞍替え効果を相殺した野党共闘による上乗せ効果を無視。得票数を並べただけのズサンな分析に終始していた。
 無党派層の約7割が池田候補に投票したことも政権に衝撃を与えた。池田陣営は「共産党が望んだ党首揃い踏みを見送り。『市民が前面に出て、政党は一歩引く』というスタイルを貫いたのが奏功した」と分析する。
 世論調査の政党支持率は自公40%強、共闘した4野党を足しても20%足らず。参院選比例代表の投票先もダブルスコアの大差だ。惨敗必至だったのに、新たな「野党共闘の市民型選挙」で互角の勝負ができた――。今回の戦闘スタイルが参院選や次の衆院選のモデルケースとなるのは確実だ。 

安倍政権が米国製の高額武器を“爆買い”

  井上哲士参院議員共産党の調べによると、安倍政権が米国政府から武器を購入する有償武器援助(FMS)の金額は、政権発足時2012年度1332億円から、15年度(見込み)には4657億円へと3・5倍に急増しました。
 それとは別に、外国企業から武器を購入する一般輸入とあわせると、15年度の海外からの武器購入額は5100億円を超えます。
 15年度にFMSで購入した武器のなかには、戦闘機F35Aや垂直離着陸機オスプレイのように「専守防衛」の建前から大きく逸脱した攻撃兵器が含まれほか、新早期警戒機E2D、滞空型無人機グローバルホーク、イージスシステムなどが並びます。
 こういうものを次々と購入すれば軍事費は際限なく増大してしまいます。なお、武器購入予算は、最大10年年賦のローンの支払い費を計上しているので、実際の各年度の購入額は予算額を上回っているのが通常です。留まるところを知らない軍備拡張志向です。
    (関係記事)
2015年9月2日 防衛省 防衛装備代のローン残高は4兆9千億円に
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米製武器購入4657億円 15年度FMS 安倍政権で35倍
 井上議員調べ
しんぶん赤旗 2016年4月29日
 安倍晋三政権が米国製の高額武器を“爆買い”しています。日本共産党の井上哲士参院議員の調べによると、米国政府から武器を購入する有償武器援助(FMS)の金額は、安倍政権発足時2012年度の1332億円から、15年度(見込み)には4657億円へと3・5倍に急増しました。FMSとは別に、外国企業から武器を購入する一般輸入とあわせると、15年度の海外からの武器購入額は5100億円を超えます。
 
 15年度にFMSで購入した武器のなかには、高い敵基地攻撃能力を持つ戦闘機F35Aのように「専守防衛」の建前から大きく逸脱した攻撃兵器が含まれています。ほかに垂直離着陸機オスプレイ、新早期警戒機E2D、滞空型無人機グローバルホーク、イージスシステムが並びます。一般輸入にも水陸両用車AAV7をはじめ米国製武器が多く入っています。いずれも16年度予算にも計上されています。
 
 16年度は新たに新空中給油・輸送機KC46AをFMSで購入します。国会での議論で、16年度のFMSは4858億円を見込んでいることも明らかとなっています。
 
 FMSの増加について防衛省は、安倍政権が13年12月に閣議決定した「中期防衛力整備計画」に基づき必要な武器を積み上げたものだといいます。
 日本の軍事費は16年度に当初予算として初めて5兆円を突破しました。海外で戦争する国づくりを進める安倍政権のもと、高額な米国製武器の大量購入が日本の軍事費を膨張させ、くらしの予算を圧迫しています。(佐久間亮)
 
 有償武器援助(FMS) 日本と米国との間の「相互防衛援助協定」に基づき、日本政府が米国政府から武器を購入する制度。防衛省が直接、または商社を介して外国企業から武器を購入する一般輸入と比べ、機密性が高い武器に適用されます。
 

30- 道民世論調査で、憲法「評価」88% 「改正必要ない」58%

 北海道新聞が行った道民世論調査で、憲法が戦後の日本で果たした役割を「大いに、またはある程度評価する」が計88%に上りました。
 憲法改正については「改正する必要はない」が58%を占め、「改正すべきだ」は39%にとどまりました
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憲法「評価」88% 「改正必要ない」58% 公布70年で道民世論調査
北海道新聞 2016年4月29日
 5月3日の憲法記念日を前に、北海道新聞社は憲法に関する道民世論調査を行った。今年で公布から70年を迎える憲法が戦後の日本で果たした役割を「大いに評価する」と「ある程度評価する」が計88%に上り、「あまり評価しない」「全く評価しない」の計11%を大きく上回った。憲法改正については「改正する必要はない」が58%を占め、「改正すべきだ」は39%にとどまった。
 
 憲法を「評価する」とした人の理由は「平和主義に基づき、日本が戦後70年間、戦争に巻き込まれなかったから」が50%で最多。「基本的人権を尊重し、民主主義社会を築いたから」が31%で続いた。
 一方、「評価しない」と回答した人の理由は「権利の主張が多く、国民の義務がおろそかになっているから」が46%、「憲法改正手続きの要件が厳しすぎて、時代に見合った改革ができなかったから」が45%だった。
 
 憲法改正の「必要はない」と答えた人の理由は「世界に誇る平和憲法だから」が33%でトップ。「変えたい部分はあるが、いま変えれば9条改正につながるから」が26%で続いた。改憲派の理由は「時代の変化に合わせて改めた方がよいから」が74%を占めた。
 
 安倍内閣支持層では53%、自民党支持層では56%が改憲を支持。公明党支持層は50%ずつで、賛否が割れた。昨年までの調査は回答の選択肢が「全面的に改正すべきだ」「一部を改正すべきだ」「改正する必要はない」の三つだったが、今回から「改正すべきだ」「改正する必要はない」の二つにした。昨年夏の前回調査は「全面改正」が10%、「一部改正」が44%、「改正する必要はない」が44%だった。
 憲法9条が規定する「戦力の不保持」については「変更しなくてよい」が56%で、「変更して、自衛隊を持つことを明記すべきだ」の36%、「変更して、軍隊を持つことを明記すべきだ」の6%を上回った。

2016年4月29日金曜日

参院新潟区で野党統一候補に森ゆう子氏 

にしざわ氏(共)は比例代表に
 
 参院選新潟区で、元参院議員(生活の党)の森ゆう子氏を野党統一の無所属の予定候補として擁立することに決まりました。
 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求めるためには、来る参院選において自公候補の当選者数を減らすことが重要で、そのためには何よりもまず1人区において野党が統一候補一人に絞ることが必要です。民進党とその支持母体である連合の態度がなかなかはっきりしなかったために遅れましたが、ようやくまとまることが出来ました。参院選では森候補の当選を目指して野党6党が共同して戦うことになります。
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参院選挙区 新潟で野党統一候補 森氏、「団結して全力」
 にしざわ氏は比例代表に
しんぶん赤旗 2016年4月28日
 参院選新潟選挙区(改選数1)で、森裕子氏(60)=元参院議員、生活の党=を野党統一の無所属予定候補として擁立することが27日発表されました。
 
 記者会見には、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める新潟市民連合と、民進党、日本共産党、社民党、生活の党、新社会党、緑の党の6党と、連合新潟の代表が参加しました。
 冒頭、市民連合の佐々木寛共同代表(新潟国際情報大学教授)が、▽戦争法廃止▽立憲主義の回復▽個人の尊厳を守ること―の3点を公約とすることで市民連合と6党が一致し、野党統一で参院選をたたかうことになったと紹介しました。
 これを受け、共産党の樋渡士自夫県委員長は、にしざわ博選挙区予定候補を取り下げて比例代表にまわし、「森氏を自分の党の予定候補のつもりで全力でたたかう」と述べました。
 他の共同代表も「待ち望んだ日が来た。子どもの未来のため、心一つに頑張りたい」(ママの会・磯貝潤子氏)、「明日から“野合”との批判が出ると思うが、立憲主義を取り戻すためにたたかう」(金子修弁護士)、「野党の決断に結果を出して応えたい」(水内基成弁護士)と訴えました。
 
 森予定候補は「市民と野党の思いを受けとめ、団結して子どもの未来のために全力を尽くす」と述べました。
 6党代表も決意を述べ、民進党県連の大渕健幹事長は「思いは同じ。三つの公約実現のため、何としても勝ち抜く」と強調しました。
 にしざわ予定候補は「市民連合の力が野党を動かした。自分の選挙のように頑張る」と述べました。

復興予算は真に熊本の復興のために使われるべき

 熊本大地震に対して、23日にやっと現地入りした安倍首相が予告した通り、25日になってようやく激甚災害に指定されました。首相が現地入りした時点で被災者たちは「衆院補選を意識したパフォーマンスでしょう」と冷ややかな見方をしていました。
 さらに予算の使い方に詳しい人たちは、激甚災害指定に伴って動かされる復興資金を役人たちが如何にして自分たちのポケットに収めるか、その仕組み作りに腐心したために指定に時間がかかったという見方をしています。
 復興予算という名の国民の税金は、真に熊本の復興に使われて欲しいものです。
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被災者冷ややか 安倍政権“復興予算バラまき”熊本でも画策
日刊ゲンダイ / 2016年4月28日
 「どうせパフォーマンスでしょ……」
  政府が熊本地震対策として3000億円規模の補正予算案を組むことに対し、現地の被災者が冷ややかに見ている。安倍首相は「総力を結集し、復旧・復興に取り組みたい」と力説しているが、東日本大震災の時のように、我田引水の事業に官僚が流用したり、ゼネコンにバラまかれるのではないかと疑っているのだ。
  河野防災相は26日、早速、仮設住宅約3000戸分の建設が可能になったことを国会で説明した。全半壊した3200棟分の住宅をカバーできるそうだが、現地に歓迎ムードはない。
 「確かに車内や体育館より、仮設住宅の方が安全だし衛生的でしょうね。しかし、熊本県にはすぐに入居できる公営住宅が420戸もある。九州・山口も合わせると、8県で約3100戸あると聞きました。この地方は6月中旬に梅雨を迎えます。いつ完成するか分からない仮設住宅ではなく、公営住宅に入居したいです」(熊本県益城町の被災者)
 
■魂胆見抜き呆れる被災者
  公営住宅の入居は熊本県住宅課の担当だ。県は被災者の住まい確保を急いでいるが、医療支援、インフラ復旧など対策が山積みで圧倒的に職員の人手が足りない。早急に人的支援をしなければならないのに、政府がドヤ顔で補正編成をブチ上げたのは、カネとモノさえ用意すれば事足りると思っているからではないか。“おにぎり本部長”こと松本文明内閣府防災担当副大臣が「救援物資は足りているのだから文句は言わせない」と熊本県職員にすごんでみせたのがいい例だ。
 
  ジャーナリストの志葉玲氏が言う。
 「安倍政権は補正予算を組むことで、被災地支援に向ける姿勢を示したいのでしょう。ただ、被災地が何を求めているのか理解していないと思います。私は東日本大震災の被災地を取材しましたが、仮設住宅はあくまで一時的な避難場所。夏は非常に暑く冬はとても寒い。なのに一度入居してしまったがために、経済的問題などで出るに出られなくなり、苦労している人がたくさんいます。3000億円という補正予算についても、ある程度、使途を決めるべきです。5年前から国が計上した復興予算30兆円のうち、2兆円を霞が関の官僚が流用し、9兆円が未使用となっています。きっと同じ道をたどるのでしょう」
 
  安倍首相は23日に熊本入りしたが、ある被災者は「どうせ補選向けのパフォーマンスでしょ」と言っていた。すべて魂胆は見抜かれている。

29- 中高生1万人憲法アンケート 投票に行くは60%以上

 高校教育研究委員会と子ども全国センターが実施した2015年度高校生・中学生1万人憲法アンケートで、高校生の62%、中学生の67%が「18歳になったら投票に行く」と答えました。
 また高校生の73%、中学生の76%が「憲法9条は戦後の日本の平和のために役立ったと思う」と回答しました
 高校生の60%、中学生の68「憲法を変えない方がいい」と答えました
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中高生1万人憲法アンケート
「18歳選挙 行く」7割近く 「9条役立つ」7割超
高校授業料「無償化復活を」5割
しんぶん赤旗 2016年4月28日
 高校教育研究委員会と子ども全国センターが実施した2015年度高校生・中学生1万人憲法アンケートで、高校生の61・9%、中学生の66・7%が「18歳になったら投票に行く」と答えたことがわかりました。(グラフ1)
 
 高校生の72・8%、中学生の76・2%が「憲法9条は戦後の日本の平和のために役立ったと思う」と回答。7年前に比べて「役立ったと思う」が増えました(グラフ2)。「憲法を変えない方がいい」は高校生の60・3%、中学生の68・1%でした。
 戦後、日本の自衛隊が海外で一人も殺さず、殺されていない理由(複数回答)では、「憲法があるから」が最多で45・2%。続いて「世界の国々と平和・信頼の関係が築かれているから」(29・3%)、「日米安全保障条約があるから」(25・3%)、「平和を求める運動があるから」(18・2%)の順でした。
 
 自由記述欄では、これからの日本・世界をどのような社会にしたいかを質問。平和にかんするものが51%と前回より増えています。
 格差と貧困が広がるなか、経済的支援にかんする質問も実施。高校授業料無償化への所得制限導入では「無償化を復活すべき」が5割でした。
 働く権利では、4割が保障されていないと回答。その理由の内訳では、景気の問題だとする回答が減り、企業の果たす責任の問題だとする高校生の割合が増えました。
 
 
 同委員会の坂本次男事務局次長は「18歳選挙権を前に『自分たちのことは自分で決めたい』『若い世代の意見を反映してほしい』などの願いが見えてきた。今は学校で議論ができるチャンスだと思う」と強調。子ども全国センターの浅田明日香事務局長は「高校生になってからではなく、小さな段階から主権者教育を積み重ねていくことが大事。多くの市民や学校で活用してほしい」と呼びかけました。
 
 同調査は1977年度から4、5年おきに実施され、10回目の今回調査(15年10~11月実施)は初めて中学3年生も対象に。28都道府県の134校、計1万969人の中高生から寄せられました。
 
図

2016年4月28日木曜日

大震災に緊急事態条項が必要? 誰も納得しない

 ジャーナリストの櫻井よしこ氏早期の憲法改正を求めるグループが26日、記者会見を開いて熊本地震挙げながら緊急事態条項の制定を主張しました。
 特に櫻井氏は、仮に緊急事態条項があれば、熊本地震は「最初から国が前面に出て」「事態に対処することができたであろうと思われる」と主張しました。しかし熊本地震への対応をTVで見ている国民にとって、それは余りにも観念的であって、妄想に近いもので何の説得力もありませんでした。
 
 現実に記者から「具体的に緊急事態条項があった場合、熊本地震で、どんな新たな対応が可能だったのか」と問われると、単に国の対応の方が早い「筈」だという「思い込み」を語るだけで、県より国の方が迅速に対応できる根拠などは示すことはできませんでした。
 また別の記者が、「緊急事態条項の何によってどんな混乱が防げたのか」と問うとそれには答えることが出来ずに、同席した百地章・日大教授からも、熊本地震はすべて現行の法律内で対応できたと、否定される始末でした。
 そうした記者たちの思いは当然国民の思いでもあります。
 
 今回の熊本地震は極めて激甚な地震ですが、地域的には東日本大震災に比べれば限定されているのに、政府の対応を見ているとあの時からほとんど進歩の跡が見られません。5日間で更迭された松本現地対策本部長の体たらくを見ても、明敏な頭脳を持ち周到な知的訓練を経て来た人でないと、仮に大きな権限を持っていたにしても何の役にも立たず、むしろ有害であって一利もないということになります。
 
 大災害時に緊急事態条項が有効という説明は、櫻井グループの思いがけない暴走で逆に説得力を失いました。尤も彼らの言い分は識者によって最初から否定されていたことなので、今回、はしなくもそのことが証明されたということです。 (^^)
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櫻井よしこ氏、憲法改正して「緊急事態条項」を
熊本地震」に触れつつ「国がパッと対処できる」
J-CASTニュース 2016年4月26日
 櫻井よしこ氏は熊本地震の例も挙げながら緊急事態条項の制定を主張した 
 ジャーナリストの櫻井よしこ氏ら早期の憲法改正を求めるグループが2016年4月26日、都内で記者会見し、「緊急事態条項」の制定に向けた憲法論議を改めて求めた。特に櫻井氏は、仮に緊急事態条項があれば、熊本地震は「最初から国が前面に出て」「事態に対処することができたであろうと思われる」と主張。現行憲法が災害対応の妨げになっているとの持論を改めて主張した。
 だが、会見に同席していた百地章・日大教授は、熊本地震は現行の法律内で対応できたとの立場を表明。登壇者間の温度差も浮き彫りになった。
 
■自民党が野党時代にまとめた憲法草案で明記
 「緊急事態条項」は、自民党が野党時代の12年にまとめた憲法草案で新設を明記。首相が大災害や武力攻撃時に閣議で緊急事態を宣言すれば、法律と同じ効果を持つ政令を定められることをうたっている。政府の対応が迅速化する可能性がある一方で、行政がフリーハンド化することで基本的人権が制限されるという懸念も根強い。
 櫻井氏は冒頭、
 「熊本の地震を例に見るまでもなく、様々な自然災害に対応するために、どうしても憲法を改正して、そこに緊急事態条項という、これが正式な名称になるかは分からないが、起こりうる緊急事態に対処するための条項を新たに設ける必要があるだろうということで、私たちは意見を一致させている」
などとして緊急事態条項の制定を訴えた。当然、記者からは
 「具体的に緊急事態条項があった場合、熊本地震で、どんな新たな対応が可能だったのか
などと具体的な効果を問う声があがった。
 櫻井氏は、
 「注意をして私も話すが、(記者の側も)注意をして書いていただきたい。決して地方自治体を責めるということではない、という大前提に立っていただきたい」
と前置きしながら、緊急事態条項があれば災害発生直後から政府が関与して迅速な対応が可能だったはずだと主張した。
 櫻井氏によると、4月14日夜の地震の段階では、「県で何とか対応できると思ったと思う」が、16日未明の「本震」で、
 「すさまじい破壊が起きてしまって、『これはとてもできない』ということで、そこから家屋の倒壊も増えたし、避難する方も桁違いに増えた」
として、県だけでは対応が困難になった可能性を指摘した。
 
百地氏「東日本大震災では憲法上の根拠なく運用上問題になった」
 その上で、
「この時に、もし緊急事態条項があったと仮定するならば、最初から国が前面に出て、必要な自衛隊、警察、消防隊を含めて、事態に対処することができたであろうと思われる。物資も、物資が届いても現場で色々なところに滞っていて、本当に必要なところに届けられないという状況があって、かなり混乱した。それが今、じょじょに解消されつつある。熊本県は本当に一生懸命やったが、やっぱり全体の状況が把握できなかったのが事実。そういうことも含めて、緊急事態条項というものがあれば、最初から国がそこにパッと行って対処できるということが、おそらく大きな違いなんだろうと思う」
と話したが、県より国の方が迅速に対応できる根拠などは示されなかった。別の記者は
 緊急事態条項の何によってどんな混乱が防げたのか
と質問し、百地氏が回答。百地氏によると、緊急事態条項をめぐる問題には(1)憲法で定めなければ動けない問題(2)法律は現在あるが、憲法上の根拠が明確でないために、色々と運用上支障があった問題(3)法律で対応出来るケース、の3つがあるとした上で、
 「今回は法制度の問題として言えば、(熊本地震は)非常災害で(東日本大震災のような)緊急災害ではない。いずれも法律の範囲内で対応する事柄。ただ、対応の仕方に色々問題があったか、そういった問題は別として、(熊本地震は)一応法律の範囲内で行動できるものと位置づけられた」
などとして、熊本地震は(3)にあたると指摘。東日本大震災は(2)にあたると説明し、緊急事態条項を新設することで憲法上の根拠を整備しておくべきだとの考えを示した。
 「それに対して東日本(大震災)の時は、例えば災害対策基本法に基づいて、がれきを処理することは、一応条文上は可能だった。可能だったが、憲法上の財産権の不可侵との関係で、なかなか自治体としても判断がつきかねる。政府自体も、官房長官あたりも、財産権の問題として緊急立法が必要だと言っている。現在、緊急事態法制はあるが、やはり憲法上の根拠が明確でないために、なかなか動かない場合がある」
 
百地氏は「私は今回は法律で対応できると思っていますし...」
 この回答に記者が「櫻井さんの話とは若干違うような気がする」と突っ込むと、百地氏は
 「例えば緊急事態を発動、宣言するような事態であれば、そういうことをすることによって国民の意識を喚起する、といった効果はあると思う。正直、私は今回は法律で対応できることだと思っていますし、櫻井先生、ご専門ではありませんので...」
と答えに窮しながらも、考え方の違いを否定しなかった。
 
 会見は、憲法記念日の5月3日に予定されている「憲法フォーラム」のPRを目的に開かれた。
 自民党以外にも、日本青年会議所(JC)が12年度に独自の憲法草案を作成しており、憲法改正の前提となる国民投票を念頭に置いた「国民投票シミュレーション」を7月10日まで行っている。「憲法フォーラム」前日の5月2日には投票結果の中間発表も行われる。会見に同席していたJCの松原輝和・憲法意思確立委員会委員長は、
 「賛成・反対の立場を乗り越えて、この国の未来について国民の皆さんが真剣に考え、憲法をもっと身近なものとしてとらえていただければ」
と話していた。

28- 安保法制違憲訴訟 原告の声 志田陽子教授

 26日、安保法は憲法違反だとして市民約500人が東京地裁に集団訴訟を起こしたことを27日に紹介しましたが、同じ日に、福島県いわき市の市民ら204人も、安保法制が憲法違反だとして国に1人あたり1万円の慰謝料を求める集団訴訟を、福島地裁いわき支部に起こしていました。
 夏ごろまでにさらに約1500人が、全国の約15地裁で同様の訴訟を起こすということです。
 
 ところで「法律が違憲だ」とする訴訟には高いハードルがあり、司法の側は、具体的な権利侵害がなければ憲法判断はできないと言う立場を貫いて、安全保障関連法の成立後も、東京地裁などで、「具体的な権利侵害の主張がなく不適法」だとして訴訟が門前払いされました。
 そのため東京地裁に26日に提訴した原告は、「平和的生存権」が侵害されたと主張し、戦争体験者が「戦争の悪夢を呼び起こされる」と訴えるなど、個別に具体的な損害を挙げています。
 
 「安保法制違憲訴訟の会」のホームページ(HP)に、憲法研究者および教員としてと題した 私立大で憲法を教えるの志田陽子教授の文章が載りました。
 そこで原告の一人として、安全保障法制に関する国政の動き、憲法研究者・憲法教育者に多くの精神的・人格的損害と、職業遂行にかかわる損害を与えていると訴えています。
 同教授は、26日の記者会見の場でも同様な発言をしています。
 
 以下に「安保法制違憲訴訟の会」HPに載った原告の声(その1)を転載します。
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原告の声(その1)安保法制違憲訴訟の会HPより)
原告憲法研究者および教員として
志田陽子(私立大学教授・専門:憲法学および言論法)
私は私立大学に勤務し、教職科目「日本国憲法」を担当する教員です。憲法研究者としても論文発表、講演などの活動を行っています。
 
2014年の閣議決定による第9条の解釈変更以来、現在に至る安全保障法制に関する国政の動きは、憲法研究者・憲法教育者に多くの精神的・人格的損害と、職業遂行にかかわる損害を与えています。私はその救済を求めるために提訴に踏み切りました。
 
憲法研究者・教員としての職責への支障
憲法一般の根幹となる考え方(立憲主義・国民主権など)や、自国の憲法の規範内容を学生に教えること、そして各種の情報をもとに学生自身に考えさせることは、憲法教育者の職業上の責務です。
 
残念ながら現在、高校までの教育者の多くは、「政治的偏向」との指弾を受けることを怖れて、本来の主権者教育に踏み出しにくい状況に置かれています。そのようなときには、「学問の自由」を保障された大学教員が、授業や講演会などを通じて上記の要請にかなう知見を提供する責務を負うことになります。
 
しかし2014年7月の閣議決定以来、この職業的責務を果たせなくなる事態が、私も含め、多くの大学教育関係者の身に生じています。
 
2014年の閣議決定で「集団的自衛権の行使が憲法上容認される」との解釈が示されて以降、教員たちは、それ以前の政府解釈とあまりに異なる新たな政府見解を、教育の場でどのように位置付けて語ったら良いのか、非常に困惑しました。
 
2015年9月の議決についても、その様子が一般国民の目にはとても「議決」と呼ぶべきものには見えず、多くの法律実務専門家を含む識者が「議決不存在」の主張を行いました。そうなりますと、「この安保法制関連法が合憲なのかどうか」とともに「これがいったい有効に成立したのか」ということも、私たち教育者にはわからないのです。
 
その状況で、政府見解と2015年7月・9月に採決にかけられた法制の内容のみをただ教え込む姿勢をとることは、まさに政治的偏向教育となるおそれがあります。したがって、多くの教員が、憲法教育および主権者教育のあり方として、学生に対してこの問題について賛否両論の材料提供を行うべきだと考えました。私もその一人です。
 
しかし、そうした考えを持つ教員・研究者の多くが、本来の教育活動や社会活動に支障をきたすこととなりました。多くの自治体や大学が、「政治的論争を招く恐れがある」との理由で、「憲法」や「安全保障問題」を論題とした講演会や集会に場所を提供することを自粛した結果、多くの研究者や教員が講演会企画の中止などを余儀なくさせられました。私自身も、この流れの中で、研究者および教育者としての通常の活動が妨げられたと考えています。
 
この状況は、まず(1)今回の安保法制が従来の国民的合意や、多くの憲法学専門家による黙認または態度留保としての沈黙の許容限度を大きく超える内容となっていた事実があり、さらに、(2)この内容への国民的合意を一方的かつ拙速に作り出そうとした政府関係者や国会議員・地方議員の発言が、一般社会に深い心理的影響(萎縮効果)を与えたために生じたものであると考えています。
 
市民と識者とのコミュニケーションの阻害状態
上記のような社会状況の中で、今、多くの市民が、知りたい情報を信頼できる学識者から聞きたいと望んでいるにも変わらず、公民館などの会場が借りにくくなっているため、その機会を狭められています。
 
そのため、多くの市民と識者が国会前や街道など屋外の場所に集まりました。しかしこうした場所では、警察の過剰な警戒姿勢に市民が身の縮む思いをすることがしばしばあります。実際に私自身も、2015年7月、国会前でスピーチを行った後、帰りの移動の途中に複数の警察官から通行を止められ、自分たちの通行目的の説明に一時間近くもの時間を費やしたという不利益を被っています。
 
法的安定性の損傷と、教員の精神的負担
このように、2014年7月以来、教育現場や自治体の集会所管理責任者が困惑と精神的委縮状態に陥った結果、その影響下にある多数の研究者・教員が、職責遂行上の不利益と、人格的損害を被っています。
 
2015年6月の衆議院憲法審査会では、著名な憲法学者が、閣議決定による解釈変更の内容は「法的安定性を損なう」と発言しました。大学研究者がその教育場面や社会活動において被っている困惑状況と実害は、まさにその「法的安定性」が損なわれた現実場面なのだ、ということを、司法に重く受け止めてほしいと願っています。
 
とくに憲法教育者は、学生たちに「自国の憲法規範を教えるとともに、世界的普遍的な共通事項としての立憲規範を教える」という職責と、上記のような現状とを整合させることができず、重大な困難に直面しています。
 
それでも多くの研究者・教育者が自己の学問的良心に従って業務を続けていますが、ここには、従来にはなかった重大な精神的負荷が生じています。
 
たとえば、政府から精神的独立性を保った学問機関という意味での「大学の自治」の知識・理解を欠く文部科学大臣の発言(特定の政府要請を受け入れない自主判断をした大学の名を挙げて「恥ずかしい」と批判するなどの発言)を報道で知るにつけ、私たち大学教員は、「次はわが身が指弾の対象になるのでは」との深刻な不安感を感じながら、この心理的負荷を押して、通常の職責内容を引き受けているのです。
 
通常ならば、そのような混乱は民主過程の中で起きる一時的動揺ととらえられるでしょう。しかし今回の安全保障法制をめぐる混乱については、この困惑状況が民主過程で治癒される見込みがないため、裁判所に救済を求めるべきだと考えています。
 
「これは国民自身の決断による制度選択だ」という前提が成り立っておらず、関連法の施行・実施によって、国民の不安感や、憲法理解をめぐる学識者と政府の間の乖離がさらに進行拡大しつつあるからです。
 
平和教育、主権者教育、そしてそれらの根拠であり規範的集約点である憲法の教育を職務とする者は、人類の反省と叡智の結晶である憲法の規範内容を責任をもって教え、次世代に手渡していく責任があると考えています。上に述べた現状は、この職責を果たそうとする者を深刻に圧迫しています。この状況の原因は、2015年9月に議決されたとされている安全保障法制の一方的な進行によって、教育現場と市民社会に重大な矛盾・萎縮が生じたことにあると考えています。
 
多くの教員が通常の職責に現実的支障を被っている現状、あるいは通常の職責を果たすにあたって通常ならざる心理的負荷を被っている現状があります。そこから解放されるためには、裁判所に、自国の憲法の根幹と矛盾する国政内容を「違憲」と判断するよう求める以外にはないと考え、厳正なる判断を求める次第です。
 以上

2016年4月27日水曜日

29日 平和キャンペーンを行います

 今年も、29日の「花まつり・ゆざわ」(湯沢中央公園)に合わせて、「湯沢平和の輪」は恒例の平和キャンペーンを行います。
 シールアンケート、平和リーフの配布、風ぐるまの手渡しなどです。
 
 どうぞこのキャンペーンにご参加ください。
 今年は昨年よりさらに30早くスタートしますので、参加される方は9時30分に笛木さん宅前にお集まりください。

南相馬市は憲法小冊子を全戸配布/安保法違憲集団訴訟東京地裁へ/毒ガス・化学・生物兵器も持てると政府

 福島県南相馬市は5月1日に、避難住民を含む全世帯約25000世帯に憲法の小冊子を配布します。原発事故で今も約1万人が市外に避難しているなかで憲法が保障する国民の権利を見つめ直してもらうのが狙いで、昨年2月、旧原町市が1971年に全戸配布した小冊子の復刻を南相馬市議会に陳情し全会一致で趣旨採択されていたものです。
 
 それとは別に、安全保障関連法は憲法違反だとして、市民500人余りが26日、安保法に基づく自衛隊の出動差し止めと、1人当たり10万円の損害賠償を国に求める二つの訴えを東京地裁に起こしました。全国各地で起こす安全保障関連法違憲の集団訴訟の第1陣です
 
 安倍内閣は26白真勲参院議員(民進党)の質問主意書に対して、毒ガスを含む化学兵器や生物兵器の一切の使用を憲法9条が禁止するものではないとする答弁書を閣議決定しました。日本は生物兵器禁止条約や化学兵器禁止条約を締結しているとして「それらを使用することはあり得ない」とも強調しました
 政府は4月1日には、9条が一切の核兵器保有と使用を禁じるものではないとしたうえで、「非核三原則により、政策上の方針として一切の核兵器を保有しないという原則を堅持している」との見解も併せて示しました。
 留まるところを知らない政府の好戦性・軍事志向です。
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南相馬市 全戸に憲法冊子 原発事故で軽視された人権守る
毎日新聞2016年4月26日
 福島第1原発事故の被害を受けた福島県南相馬市は、県内外の避難住民を含む全世帯約2万5000世帯に、憲法の小冊子を配布することを決めた。原発事故で今も約1万人が市外に避難しており、憲法が保障する国民の権利を見つめ直してもらう狙い。5月1日発行の市広報紙とともに全戸配布する。憲法は5月3日、施行から69年を迎える。 
 
 南相馬市では、旧原町市が憲法公布25年を記念し、1971年に小冊子を全戸配布したのに続く試み。市内に四つある市民団体「九条の会」が昨年2月、原発事故で軽んじられた基本的人権や生存権を取り戻そうと、南相馬市議会に復刻を陳情した。同6月には、自民党に近い保守系会派の市議を含む全会一致で、陳情を趣旨採択していた。 
 
 小冊子はA6判で約60ページ。前文と全103条が記され、「震災と原発事故で憲法が保障する健康で文化的な生活がかなえられない市民がいる。憲法とは何かを考えていただきたい」という桜井勝延市長のあいさつが入る。約70万円かけて3万部を作成し、残部が出た場合も来年以降の成人式で配り、市外の避難者には郵送する。 
 南相馬市は福島第1原発の北に位置し、東日本大震災の発生当初は半径20キロ圏内が原則的に立ち入り禁止となった。市南部の小高区は現在も夜間に入ることができず、陳情した「はらまち九条の会」の山崎健一事務局長は「原発に踏みにじられたこの南相馬から、憲法を生活に生かす取り組みを進めたい」と話している。【平川哲也】 
 
 
安保法違憲、市民500人が提訴 東京地裁に第1陣
東京新聞 2016年4月26日
 安全保障関連法は憲法違反だとして、市民500人余りが26日、安保法に基づく自衛隊の出動差し止めと、1人当たり10万円の損害賠償を国に求める二つの訴えを東京地裁に起こした。弁護士らでつくる「安保法制違憲訴訟の会」が呼び掛け、全国各地で起こす集団訴訟の第1陣
 
 訴状では、集団的自衛権の行使は憲法9条に違反し、取り返しのつかない損害が生じる恐れがあると指摘し、自衛隊の出動差し止めを請求。自衛隊の出動が現実化すると戦争やテロに巻き込まれる恐怖を日常的に感じるとして、平和に生きる権利を侵害されたことへの賠償を求める。(共同)
 
 
政府、化学や生物兵器否定せず 憲法9条で答弁書決定
東京新聞 2016年4月26日
 政府は26日の閣議で、毒ガスを含む化学兵器や生物兵器の一切の使用を憲法9条が禁止するものではないとする答弁書を決定した。日本は生物兵器禁止条約や化学兵器禁止条約を締結しているとして「それらを使用することはあり得ない」とも強調した。
 
 これまでに政府は9条が一切の核兵器保有と使用を禁じるものではないとの内容を決定。その論理を引用する形で「先の答弁書で答えたところと同様だ」とした。白真勲参院議員(民進党)の質問主意書に答えた。(共同)

27- 世界平和アピール七人委が緊急事態条項の危険性をアピール

 世界平和アピール七人委員会25日、「大規模災害対策に名を借りる緊急事態条項追加の憲法改正の危険性」と題するアピールを出しました。
 その中で、改憲案98条(緊急事態の宣言)第99条(緊急事態の宣言の効果)において、
○発令にあたり「閣議にかけ、基本的人権を最大限に尊重するように見せているが、実際には緊急事態宣言の範囲は、「等」、「その他」と書くことによって、何らの制限なく決めることが可能になっている日本国憲法が国民に保証している基本的人権と、主権者である国民が政府に負わせている制約のいかなる項目も、例外なく否定できる
外部からの攻撃など緊急事態が起こり得ることを言い立てるのは、国の軍事化を促進するために使われてきた常套手段である
などとしています。
 七人委員会のホームページよりアピールを転載します。
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大規模災害対策に名を借りる緊急事態条項追加の憲法「改正」の危険性
2016年4月25日
世界平和アピール七人委員会                 
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野       
小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫
 安倍晋三首相は、今年7月に行われる参議院選挙を前にして、自民党および改憲に同調する政党に3分の2以上の議席を確保させ、憲法「改正」を実現させる狙いを公言している。その中で、国外からの武力攻撃や国内社会秩序の混乱、大規模自然災害等に対応するための「緊急事態」条項を新設する「改正」からやるべきだという議論が有力だと述べている。日本国憲法第99条によって憲法を尊重し擁護する義務を負っている首相は、この義務と国民主権を完全に無視し、三権分立の立法機関である国会を軽視する言動を重ね、戦後70年を超えて積み重ねてきた国の形を強引に変更し続けている。
 
 自民党憲法改正草案第九章「緊急事態」を見れば、第98条(緊急事態の宣言)第1項で、「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる」と規定し、緊急事態の宣言が発せられたときには、第99条(緊急事態の宣言の効果)第1項で、「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」とあり、同条第3項で、「何人も、・・・国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても・・・基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。」とし、同条第4項で、「宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期・・・の特例を設けることができる」としている。
 「法律の定めるところにより」と7回書き、「閣議にかけ」、基本的人権を「最大限に尊重」するように見せているが、実際には緊急事態宣言の範囲は、「等」、「その他」と書くことによって、何らの制限なく決めることが可能になっている。そして宣言を発したあとでは、政府は立法機関を無視して「法律と同一の効果を有する政令を制定でき」、自由な財政支出が可能になる。基本的人権は、どこまでも制限でき、緊急事態の期限の延長も意のままになり、国の指示に対する批判や異論は許されなくなる。これでは、日本国憲法が国民に保証している基本的人権と、主権者である国民が政府に負わせている制約のいかなる項目も、例外なく否定できることになる。これこそナチスのヒトラー政権が、ワイマール憲法のもとで合法的に権力を獲得し、第2次世界大戦の敗戦まで独裁を続けた方式であって、自民党憲法改正草案はその踏襲を可能にするものである。
 
 大規模自然災害はこれまで繰り返し起きてきたし、これからも必ず起こる。これらに対しては、経験に基づいて災害対策基本法(1961年、2013年改正)はじめ、個々の法律を整備して対応してきた。これを憲法改正によって首相のもとに権限を一元化し、地方自治体の長に指示する方式に変えるのは、有害である。5年前の東日本大震災を見ても、事態がつかめていない中央からの指示には、不適切・有害なものがあったことが明らかになっている。必要な権限は現場が分かる現地に任せてそれぞれの状況に合わせた速やかな対応を可能にし、政府は支援に徹する地方自治の強化こそが向かうべき方向である。
 
 これに比べて、「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱」は、人為的・社会的行為なのだから、起こさせない政治が求められる。外部からの攻撃など緊急事態が起こり得ることを言い立てるのは、国の軍事化を促進するために使われてきた常套手段である。相手の挑発的行動に対する自衛のための防衛力強化というのは、双方が使う言葉であって、結果において軍拡競争が続き、緊張を高め、偶発的衝突の可能性を増大させてきたことは歴史が示している。報復の連鎖が解決につながる道でないことは明らかなのだから、世界に敵を作らないことを国是としてきた日本が取るべきでなく、支持すべきでもない政策である。
 外務省は2015年10月4日に、「9月には、ISIL機関誌において、インドネシア、マレーシア、ボスニア・ヘルツェゴビナの日本の外交使節(大使館等)を攻撃の対象候補として、言及したことがあります」と渡航者に「注意喚起」した。これは歴史的にイスラム諸国と敵対関係になかった日本の首相が、イスラム諸国を敵に回しかねない演説を行ない、「テロと戦う」有志連合に加わり、イスラエルとの軍事協力を進めていることと無関係ではない。5月に予定されている伊勢志摩サミットや7月の参議院選挙を前にして、不測の事態が起こる可能性があるという懸念を誰も否定できない。しかしそのために憲法改正が必要であるという議論にも根拠がない。万一の場合に必要ならば、法律改正を提案すればよいのである。
 
 少子高齢化、財政赤字が慢性化している日本が軍事大国を目指すことは不可能であり、世界に敵を作らない戦争放棄を憲法の基礎としていることから見ても誤りなのである。特定国との絶対的つながりを続けることをやめて、意見と立場の違いはすべて話し合いで解決することに徹すれば、国際紛争の調停を行うことが可能になり、防衛力を強化せず、平和と安定と繁栄への道が開けることになる。これこそが、憲法を受動的に守るのでなく、その理念を積極的に広げ、発展させる道である。
 世界平和アピール七人委員会は、緊急事態条項の追加は最悪の憲法「改正」であるとみなし、日本国憲法が依拠する平和主義・国民主権・基本的人権の尊重のために全力を尽くすことを改めて誓う。

2016年4月26日火曜日

「コメント」 : 受付情報

 
4月に入り下記の記事にコメントをいただきました。
 
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掲 載 日
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16/04/16
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国連・表現の自由査察官デイビッド・ケイ氏が来日  
16/04/13
04/22
国連・表現の自由査察官デイビッド・ケイ氏が来日  
16/04/13
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安倍政権はこの2年8ヶ月、国民に何をしたのか・・  
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