2018年4月30日月曜日

花まつり・ゆざわ 会場脇の路上で 3000万人署名38筆

「湯沢平和の輪」は29日、「花まつり・ゆざわ」の会場脇の路上で恒例の「春の平和キャンペーン」を行いました。
 
 手作りの「風ぐるま」や「ティッシュペーパー(外装に『ノーベル平和賞3年連続ノミネート』と『何も足さない・何も引かない』が印刷してある)」を配布しながら、「カンパ」と「300万人署名」を訴えました。
 
 100円以上を「カンパ」してくださった人には、いつもの通りお礼に「手作りの平和グッツ」を渡しました。中にはそれを目当てにカンパしてくれたお子さんもいました。
 
「風ぐるま」はいつも小さなお子さんに好評で、会場のあちこちで風を受けてクルクル回っていました。
 
 ティッシュペーパーの運用は今回が初めてでしたが、900個余りを手渡ししました。多くの人が外装に印刷された『何も足さない・何も引かない』の言葉に、不思議そうに見入っていたのが印象的でした。
 
 署名では、遠く市川市から来られた人たちを含めて38筆をいただきました。
 
 キャンペーンは12時で終了としました。
 夕刻には前々日に署名用紙を預けておいた約30戸を回り、合計で35筆余りが記入された署名用紙を回収しました。
 キャンペーンと合わせてこの日の署名数は70筆余りとなりました。

拉致問題から敵前逃亡していた安倍首相(天木直人氏)

 27日、南北首脳会談で歴史が動いた瞬快を目にしたときに、感動で泣けてきたとブログで述べた天木直人氏は、今度は安倍首相の重なる背信に対し怒りのぶちまけました。
 
 2月以降、日本がいくら日朝首脳会談を北朝鮮に申し込んでも門前払いされ「頓挫」していたのを、文在寅大統領この度の南北会談で、「北は日本といつでも直接対話の用意がある」ことを確認し、それを安倍首相に伝えました。
 
 それこそは日本にとって最大の慶事だった筈ですが、それを安倍首相が「喜んだ顔をせず、この吉報を国民に隠して中東外遊に出掛けた」ことに対して、天木直人氏は「こんな馬鹿な事があるだろうか」と激怒しました
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拉致問題から敵前逃亡していた安倍首相。内閣総辞職ものだ
天木直人のブログ 2018年4月30日
 これには驚いた。何と金正恩委員長は、日本といつでも直接対話の用意があると文在寅大統領に伝えていたというのだ。そして文在寅大統領は、日朝の橋渡しを喜んで引き受ける、と安倍首相に伝えていたというのだ。
 この事を、安倍首相は、文在寅大統領から報告を受けたトランプ大統領から電話連絡で知らされていた。
 そして、その後に、文在寅大統領からも直接安倍首相は電話連絡で知らされていたのだ。
 これは、安倍首相がトランプ大統領や文在寅大統領に頼み込んでいた要望に対する満額回答である。
 
 それにもかかわらず、安倍首相は喜んだ顔をせず、この「吉報」を国民に隠して中東外遊に出掛けていたのだ。こんな馬鹿な事があるだろうか。
 たまりかねた文在寅大統領は、そっちが発表しないならこっちが発表するしかない、そう怒って、公表したのだ。
 それが、メディアがこの事を大きく取り上げた真相である。
 
 なぜ安倍首相は中東訪問を取りやめて、打てば響くように、いますぐ訪朝の準備を始めようと動かなかったのか
 どうせ無意味な中東外遊だ。もともとイランやサウジに行く予定の中東外遊を、都合が悪くて変更したぐらいだから行かなくてもいいぐらいの今回の中東外遊だ。
 そんな中東外遊よりも、拉致問題解決のために金正恩委員長との直談判のほうがはるかに重要であり、訪問先の国も、日本の世論も、皆が納得するはずだ。
 それよりも何よりも、安倍首相自身が一番望んでいた事ではなかったのか
 それにもかかわらず、浮かぬ顔をして、国民に隠して、中東に外遊した。
 
 なぜか。それは、ついにウソがばれるからだ。
 拉致被害者全員を自分の手で取り戻して見せると繰り返してきた安倍首相であるが、実は全員の解放は困難である事を、これまでの北朝鮮との交渉で知っていたのだ。
 北朝鮮はあのストックホルム合意ですべての情報を日本側に伝えていた。
 しかし安倍首相はそれを受け取らなかった。それを受け取ったら全員帰国の公約が実現できないからだ。
 
 この北朝鮮と日本の押し問答こそ、拉致問題が一歩も進展しない理由だったのだ。
 それがいよいよ日朝首脳会談という直談判で明らかにされる。それが安倍首相には怖いのだ。
 ここまで来たのだから、安倍首相は金正恩委員長と本物の首脳会談を行い、すべてを受け入れる覚悟を決めて、拉致問題の最終合意に向けて今すぐ訪朝すべきだ。
 そして、それは安倍首相がそう判断すれば出来る。
 
 金正恩委員長も文在寅大統領もトランプ大統領も協力すると言っているではないか。
 今からでも遅くない。中東外遊を切り上げて日朝交渉の一日も早い実現に全力をあげるべきだ。
 それをしないようでは今度こそ敵前逃亡だ。今度こそ内閣総辞職ものである。
 外交の安倍が、その外交の最も重要な拉致問題で敵前逃亡して総辞職せざるを得なくなる。安倍首相にとってもっともふさわしい終わり方に違いない(了)

安倍改憲案を野党5党が総批判 ニコ動で

 28日、動画サイト自民、公明、立憲民主、民進、共産、希望、社民、維新の各党代表による憲法について議論が行われ、維新を除く野党から、自民党の改憲案は「集団的自衛権を無限定に拡大する」と批判が続出しました。
 しんぶん赤旗が、小池晃書記局長の主張を中心に報じました。
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ニコニコ超会議で各党代表が討論
小池書記局長、安倍改憲案を批判 「憲法がめざす政治の実現を」
しんぶん赤旗 2018年4月29日
 日本共産党の小池晃書記局長は28日、動画サイト「ニコニコ動画」などによる「ニコニコ超会議」(千葉市の幕張メッセで開催)で、自民、公明、立憲民主、民進、希望、社民、維新の各党代表と憲法について議論しました。維新を除く野党から、自民党の改憲案は「集団的自衛権を無限定に拡大する」と批判が続出。小池氏は戦力不保持と交戦権否認を定めた9条2項を空文化する安倍改憲の本質を明らかにし、憲法を生かす政治に転換する展望を語りました。
 
 小池氏は、安倍首相が「何も変わらない」と国民を欺いて憲法に明記しようとしている自衛隊は、安保法制のもとで集団的自衛権を行使し、「専守防衛」の建前すら投げ出して空母や長距離巡航ミサイルを保有する自衛隊であり、イラク派兵の「日報」を隠ぺいするなど、政府の統制がきかない危険な自衛隊だと強調しました。
 さらに、自民党案が自衛隊を「必要な自衛の措置をとる実力組織」と位置づけたことで、「自衛権の範囲に制限がなくなり、文字通り海外での無制限の武力行使に道を開くことになる」と指摘。「安倍政権による9条改憲発議を許さない一点で市民と野党の共同を広げたい」と表明しました。
 
 小池氏は、南北首脳が核のない朝鮮半島の実現を合意した「板門店宣言」に言及し、「いま必要なのは、憲法9条を持つ国にふさわしい主体的な外交戦略を持つことだ」と力説。恒久平和主義や、豊かで先駆的な人権規定を持つ憲法がめざす政治の実現に全力を尽くす決意を表明しました。
 野党から自民党案に、「話しあう余地はない。地球の裏側で戦争ができるという解釈になる」(立憲民主党・枝野幸男代表)、「『自衛のための措置』となると(集団的自衛権など)自衛権の範囲は拡大する」(希望の党・玉木雄一郎代表)など厳しい批判が相次ぎました。
 
 自民党憲法改正推進本部の船田元・本部長代行は、「集団的自衛権をフルにやるということではない」と根拠も示さず反論。小池氏は、自民党案は「必要な自衛の措置をとる」と書いているだけだと指摘し、「何の限定もない。この『必要な自衛の措置』には個別的自衛権のみならず集団的自衛権も含まれている」と批判しました。
 
 討論では、徴兵制復活も議論に上りました。
 小池氏は、憲法に自衛隊を書き込んでも徴兵制が自動的に復活することはないが、自衛隊が憲法上の公共性を持てば法律を制定して実施することが可能になると指摘。海外での無限定の武力行使が可能となれば、自衛隊の志願者が減って徴兵制復活の動機も生まれてくる可能性があると強調しました。
 
 首相の衆院解散権が議論に上ると、野党側から、森友や加計をはじめ疑惑を隠すための恣意(しい)的な解散を制限する必要があるとの主張が相次ぎました。
 小池氏は、憲法7条は「内閣の助言と承認」と定めていて「そもそも首相の専権事項ではない」と指摘。憲法を変えずに法律で解散権を制約することは可能だとして、「『疑惑隠し解散』をやめさせるためなら、議会制民主主義をまともに理解する総理に代えるだけで解決できる」と強調しました。
 
 
改憲案 問題点浮き彫り 小池書記局長が感想語る
 しんぶん赤旗 2018年4月29日
 日本共産党の小池晃書記局長は28日の「ニコニコ超会議」の憲法討論後、記者団に感想を問われ、「自民党の9条改憲案の問題点が浮き彫りになった。その9条改憲案に対し日本維新の会を除く野党が反対したことも議論ではっきりしてきた。これからのたたかいに手ごたえを感じた」と述べました。
 
 小池氏は、自衛隊を明記する自民9条改憲案について「『必要な自衛の措置をとる』と規定している。これでは個別的自衛権だけでなく、集団的自衛権も制約なく行使できるようになる」と指摘。討論ではこの無制限な武力行使の問題について立憲民主党、社民党だけでなく、希望の党、民進党も批判したことを強調し、「自民党改憲に反対していく足場がはっきりしてきた」と語りました。

30- 南北首脳会談開催でも 水を差し続ける日本マスコミの異常!

 対米従属を旨とした安倍外交が、国際社会の中で孤立していることは言われてから久しくなりました。その非は挙げて安倍首相の誤った考え方にありますが、LITERAはそれに無原則に従った日本のメディアにも非があり、それが安倍外交の誤りや拉致問題での無作為を助長したとしています。
 
 LITERAはメディアの偏向ぶりを取り上げたこの記事で、南北会談の様子を実況するなかで、安倍政権に近いメディアやコメンテーターを中心に、対話に“冷や水”を浴びせかけるような報道、コメントが続出したとしています
 長文な記事(6300語)なので、安倍シンパとして知られている、立川志らく八代英輝弁護士)、宮根誠司、松本人志、百田尚樹などの各氏の発言は全て省略しました(これで約1000語弱が減りました)。詳細は原記事にアクセスしてお読みください。
      ⇒ URL http://lite-ra.com/2018/04/post-3982.html 
 
 NHKの岩田明子解説委員「日米韓が連携して圧力をかけてきたから北朝鮮が対話を求めてきた」「南北関係だけが進展すると包囲網が崩れかねない」という言葉を敢えてカットしなかったのは、知識人と呼ばれる人たちでも安倍シンパを続けているとここまで「壊れてしまう」ことを示す好例と思われたからです。
 
 記事は後半で、拉致問題への政府の不作為とメディアの関係における「日本のメディアを縛り続けている拉致タブー」を取り上げてます。
 北朝鮮への「圧力の強化」だけで拉致問題が解決せず、ある程度の妥協や北との対話が必要であることは、最初からわかっていましたが、安倍首相と安倍シンパで固められている「救う会」は、「家族会」を洗脳して彼らに北朝鮮への圧力強化を叫ばせそれをやらせませんでした。安倍氏と「救う会」は、最初から拉致問題解決よりも自分たちの右翼思想や憲法改正に拉致問題を利用することを目的としていました。
 そしてメディアも、「強硬路線以外ありえない」というタブーに抗しきれず、こうした問題や対話の必要性をきちんと国民に知らせようとしませんでした。
 いまとなってはあまりにも遅きに失していますが、改めて認識しておくべきことです。
 
 平壌から「安倍政権には一切取り合うな」との指示が出ていることが伝えられたばかりですが、南北会談において、金委員長から「北はいつでも日朝会談に応じる」と文在寅大統領に伝えられたことが明らかにされました。
 完全に暗礁に乗り上げていた状況が文大統領によって解決されたということです。これこそは日本側にとっては何よりの成果であると言えるので、メディアはこの点も正しく評価すべきでしょう。
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南北首脳会談開催でも「騙されるな」と水を差し続ける日本マスコミの異常! 
安倍政権の失政ごまかしに協力
LITERA 2018年4月29日
 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が板門店で行った南北首脳会談は、朝鮮半島の平和や非核化はもちろん、朝鮮戦争終戦に向けても大きな可能性を感じさせる歴史的な会談となった。
 もちろんこれはスタートであり、今後も交渉に紆余曲折はあるだろうが、つい数カ月前まで、米朝開戦の危機が目前に迫っていたことを考えれば、この会談がいかに画期的だったかは誰でもわかる。
 実際、各国の政府も、「朝鮮戦争が終わろうとしている! 米国とその偉大な全国民は、いま朝鮮半島で起きていることを誇りに思うべきだ」とツイートしたトランプ大統領はじめ、一斉に歓迎の意を示している。あれだけ会談を妨害してきた安倍首相もトランプ大統領との電話会談で「歴史的な一歩」と言わざるをえなかった。 
 
 ところが、そんなかで首を捻りたくなる反応を見せているのが、日本のテレビ、新聞だ。南北会談が決まって以降も「韓国の暴走」「北朝鮮に騙されている」「対話より圧力」と会談そのものの開催を批判してきた日本のマスコミだが、文在寅大統領と金正恩委員長が固い握手をかわし、手をつないで38度線を超える映像が流されたあともあいかわらず、安倍政権に近いメディアやコメンテーターを中心に、対話に“冷や水”を浴びせかけるような報道、コメントが続出したのだ。
 
 代表的なのが、会談当日の『ひるおび!』(TBS)だろう。ゲストとして登場した政治学者の中林美恵子・早稲田大学教授が「これが本当に平和につながるのか」と牽制。両首脳が軍事境界線を越えて平和をアピールしたことを「おそらく世界中の人がほとんど騙されかけようとしてるんじゃないか」などと“フェイク”扱いする始末だった。さらに「世界がどう報じるかがいまこそ大事ですよね。これを間違って伝えると、間違ったワンステップになってしまう可能性がありますから」と、メディア報道に対してもプレッシャーをかけた。
 また、立川志らくは(中 略)八代英輝弁護士も・・・(中 略)
 他にも、読売テレビの『情報ライブ!ミヤネ屋』では、・・・(中 略)
 
NHK岩田記者は「南北関係だけが進展すると包囲網が崩れる」と会談批判
 さらに、夕方になって南北の共同宣言が出されると、各局のニュース番組はそろってキャスターや政治部記者らが「核放棄は具体的に宣言されていない」「今後、北朝鮮がどう動くかわからない」というふうに解説。“金正恩を信じるな!”の大合唱となってしまった。
 なかでも露骨だったのがNHK。たとえば『ニュース シブ5時』では、“安倍首相にもっとも近い記者”と言われる岩田明子解説委員が、「日米韓が連携して圧力をかけてきたから北朝鮮が対話を求めてきた」「南北関係だけが進展すると包囲網が崩れかねない」などと言い出し、まさに圧力一辺倒の安倍首相が乗り移ったかのような調子で、今回の南北会談が裏目に出るとの珍説まで展開したのだ。
 
 他にも、夜の『ニュース7』では国際政治学者の平岩俊司・南山大学教授が南北共同宣言について「朝鮮半島の非核化に具体的な道筋についての言及がなかった」「この共同宣言では高く評価することはできない」などと否定的に解説していた。
 また、FNN(フジテレビ)は、南北首脳会談が始まった直後に、「米『米朝会談決裂すれば“北”攻撃』と日本に説明」と題する奇妙なニュースを出した。(中 略)
 
 こうした態度はテレビだけではない。一夜開けた28日の新聞各社朝刊も、まるで申し合わせたかのように南北共同会談の評価に留保をつけている
 とりわけ否定的だったのが政権寄りの読売新聞と産経新聞。たとえば読売は〈段階的な廃棄で、制裁緩和や体制保証などの見返りを得ることも狙っているのではないか。国際社会は警戒を続けねばなるまい〉〈拙速な(平和協定の)締結は、日米韓の離間を招き、北東アジアの安定を崩すことになりかねない〉などと書き、圧力維持が必要との見解をはっきりと示した。
 産経に至っては、〈融和の演出は十二分に行われたが、これで実質的にも大きな前進があったようにとらえるのは、大きな間違い〉と意義を強く否定し、〈「融和」に騙されるな〉との小見出しのもと、「北朝鮮が具体的な行動を取ることを強く期待する」と述べた安倍首相を〈当然である〉とヨイショし、〈「最大限の圧力」をかけ続けなくてはならない〉と追従。社説を韓国政府に対するこんな逆ギレで締めくくった。
〈文氏が安倍首相に対して取り上げることを約束した拉致問題は、共同宣言でも共同会見でも触れられなかった。どうなっているのか。日米韓の連携という基本を文氏は忘れてはならない。〉
 
安倍応援団が南北会談をエクストリーム攻撃、百田尚樹は“替え玉”説主張
 日本のマスコミの国際政治に対するセンスはどうなっているのか。冒頭でも指摘したが、この会談は朝鮮半島の平和や非核化はもちろん、日本の平和にとっても非常に大きな一歩だ。実際、29日には北朝鮮が6月中の核実験場閉鎖、外国メディアへの公開を発表するなど、南北会談を実現させたことで、情勢は確実に良い方向に向かっている。安倍政権ががなりたてていた「圧力一辺倒」では絶対にこんな状況にたどりつくことはできなかっただろう。
 つまり、理想主義的な意味合いでなく、マキャベリスティック実利主義的に考えても、米韓が主導している対話路線が唯一最良の策であることはもはや疑う余地がないのである。にもかかわらず、なぜこの期におよんでなお、日本のマスコミだけが、「不十分だ」「圧力を続けるべきだ」「北朝鮮に騙されるな」など攻撃し続けているのか。
 その理由の一つはもちろん、安倍政権への忖度だ。本サイトで何度も指摘しているように、南北会談を必死で妨害してきた安倍首相だが、会談の開催が決定して以降、その情報を全く知らされず、蚊帳の外にいることを隠すために必死で「トランプ大統領と圧力で一致した」「私が司令塔」などと、自分がコミットしていることを強調してきた。
 しかし、南北会談が実現し、米朝首脳会談の実現もほぼ確実になったが、客観的に見て安倍首相の貢献度はゼロに等しい。なにしろ、安倍首相はいまや、トランプ大統領からもほとんど無視されている状態なのだ。トランプは南北会談後、Twitterで「私の友人である習近平国家主席が、とりわけ北朝鮮との国境において、米国に素晴らしい手助けをしてくれたことを忘れないでほしい。習氏の存在抜きでは、もっと長くタフなプロセスになっていただろう」と中国の尽力に感謝したが、それとは対照的に、日本と安倍首相については28日夕方まで一言も触れなかった。
 28日夜になってようやく安倍・トランプの電話会談にこぎつけたが、文在寅・トランプの同日の電話会談が1時間15分だったのに対して、安倍首相の会談時間は30分。しかも、この30分というのも官邸がかなり盛っている数字で、実際は10分ちょっとに過ぎなかったのではないかといわれている。
 しかも、この状態はたんに安倍首相が恥ずかしい思いをしたというだけではない。南北、米朝の対話のなかで、拉致問題のプライオリティが低くなったのも、安倍首相が南北会談を妨害するような動きをして、交渉から外されたことによるものだ。
 
 いずれにしても、この南北会談実現で、安倍首相と政権の対北政策の失敗と“蚊帳の外”状態は隠しようがないところまできてしまった。そのため、安倍政権を忖度し続けてきたメディアやコメンテーターたちは、もはや大元の南北首脳会談が無意味なものであるかのように攻撃するしかなくなったのだ。
 実際、安倍応援団のコメンテーター連中にいたっては、「南北合意は不十分」「北朝鮮に騙される」ということを無理やり強弁するために、アクロバティックとしか思えないようなロジックまで持ち出してきている。
 その典型が「共同声明は『朝鮮半島の非核化』となっているが、『北朝鮮の非核化』でないと意味がない」なる主張だ。無条件で北朝鮮だけ一方的に非核化させろ、という主旨らしいが、だったら、彼らは韓国が核武装するのは認めるということなのだろうか。もはや錯乱しているとしか思えないが、さらに笑ったのが、作家の百田尚樹・・・(中 略)
 
北朝鮮拉致タブーに縛られ「対話」を言い出すことができないマスコミ
 こうした御用メディアや安倍応援団の支離滅裂な言動は、森友・加計問題で彼らが見せた態度とまったく同じものだ。モリカケでは、小学生でも言わないレベルの無茶苦茶な安倍擁護を繰り返す彼らに対して“エクストリーム擁護”なるツッコミの言葉が登場したが、今回もまさに、安倍首相をなにがなんでも擁護するための“エクストリーム南北会談批判”と言ってもいいかもしれない。
 
 しかし、今回の南北会談を批判しているのは、安倍御用メディアや応援団だけではない。前述したように、むしろ、南北会談を前向きに評価しているメディアでさえ、最後には必ず「北朝鮮は信用できない」「圧力を続けていくべき」「慎重に対応しないと」などの意見を紹介して、留保することを忘れない
 これはやはり、この15年間、日本のメディアを縛り続けている“拉致タブー”のせいだろう。2002年、小泉訪朝によって北朝鮮による拉致が明らかになると、国民の間には拉致被害者やその「家族会」への同情と、反北感情が巻き起こった。
 しかも、当時、官房副長官だった安倍晋三や、拉致問題に取り組んでいた極右団体「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(「救う会」)が中心になって、日本国民の反北感情を煽り、ある種の“愛国ヒステリー”のような状況をつくりだした。
 その結果、「圧力を強めて北朝鮮の体制を崩壊させる」ことが拉致解決の唯一の方法だという主張が日本社会を支配。少しでも北朝鮮との対話の必要性を口にしたり、妥協の道を探ることを提案したら、袋叩きにあうという状況が生まれてしまった。
 
 実際、日朝会談の仕掛け人である田中均・外務省アジア大洋州局長(当時)などは、拉致被害者帰国を実現させた功労者であるにもかかわらず、圧力強化に抵抗したことで、安倍氏らから「売国官僚」との徹底糾弾を受け、自宅に爆発物を仕掛けられるというテロ未遂被害にまであった。
 こうした攻撃にメディアは震え上がり、以来、北朝鮮問題を報じるときには必ず「北朝鮮の言い分を鵜呑みにしてはならない」「圧力を強化せよ」という一言を入れるようになってしまった。そして、北朝鮮との対話を模索すべき、という議論を一切封印してしまった。
 おそらく、今回、御用メディア以外のテレビ、新聞までが、南北首脳会談を前向きに評価できないのも、この記憶があるからだ。「北朝鮮への歩み寄りを少しでも評価したら、“売国”と総攻撃を受ける」という恐怖がメディアを縛り、無理やり「まだ具体的な成果はなにもない」「圧力を緩めてはならない」というエクスキューズを入れさせているのだ。
 
強硬路線一辺倒の安倍政権とマスコミが拉致問題の解決を遅らせた
 しかし、メディアは自分たちのこうした姿勢こそが、拉致問題の解決を遅らせてきた最大の原因だということをもっと自覚すべきだろう、
「圧力の強化」だけで拉致問題が解決できないこと、ある程度の妥協や対話が必要であることは、最初からわかっていた。ところが、安倍首相や「救う会」は、「家族会」を洗脳して彼らに北朝鮮への圧力強化を叫ばせ、それをやらせなかった。安倍首相や救う会が拉致問題解決でなく、自分たちの右翼思想や憲法改正に拉致問題を利用することを目的としていたからだ。その結果、拉致問題は解決の糸口さえ見えない状態になって、完全に放置されてしまった。
 そのことは、元家族会の蓮池薫氏がはっきり指摘しているし、「家族会の顔」として活動してきた横田早紀江さんも、最近、「圧力一辺倒でよかったのか」と安倍首相らのやり方に懐疑的な姿勢を示している。
 しかし、マスコミは「強硬路線以外ありえない」というタブーに抗えず、こうした問題や対話の必要性をきちんと国民に知らせようとしなかった
 そして今回、南北、米朝の対話の流れがでてきてからも、マスコミはまったく同じ轍を踏もうとしている。南北会談の開催が決まったときも、安倍首相の圧力政策が失敗であることは完全に明らかになったのに、そのことを一切報道しようとせず、国内の右翼勢力のことしか見ていない安倍首相の対北朝鮮強硬路線に乗っかり、「北朝鮮に騙されるな」と叫び続けたのだ。
 そのあいだに米中韓北の4カ国によって和平の枠組みが決まり、日本は蚊帳の外に追いやられ、拉致問題は後回しになってしまった。
 
 何度でも言うが、南北首脳会談から米朝首脳会談へと続くいまの対話路線は、プラグマティック実際的な視点から見ても、唯一にして最善の選択なのだ。それを「北朝鮮に騙されるな」「圧力を続けろ」などと攻撃して水をさそうとするのは、安倍政権の“ネトウヨ脳”に侵され、戦中レベルの思考停止状態になっているとしか思えない
 メディアもいい加減、目をさますべきではないのか。すでに流れは変わっているのだ。このまま愛国右翼趣味の無能宰相に引きずられていては、拉致問題が永遠に解決しないどころか、日本だけが“平和の蚊帳の外”に置かれてしまうことになるだろう。(編集部)

2018年4月29日日曜日

「国民の敵」発言で明らかにされた 自衛隊で進む“安倍私兵化”

 自衛隊統合幕僚監部三等空佐が路上ランニング中に、国会近くで帰宅途中の小西洋之参院議員出会い、長時間にわたり「国民のために働け」「日本の国益を損なう」「気持ち悪い」「国民の敵だ」などと罵倒した事件は国民に衝撃を与えました。
 防衛省が24日に発表した中間報告によれば、この自衛官は小西氏に向かって様々に罵倒したことは認め一方で、「国民の敵だ」発言したことは否定したということです特別職国家公務員の幹部が、国民の選良に対してそう発言したのはさすがに問題だと考えたようです。
 しかし小西議員は現場でもその発言を問題視し、現場から防衛省の豊田硬事務次官に電話し、「自衛隊員から『国民の敵』などと暴言を受けている」と伝えいます。その事実は豊田事務次官や人事教育庁も認めているので、その発言があったのは確実でしょう。
 
 現時点までの調査では何故か小西議員や事務次官へのヒアリングは行われていないということです。ここでもまた「あったことをなかったことにする組織ぐるみの隠蔽」が行われるのであれば大問題です。
 
 LITERAはこの問題の根源について、「5.15事件や2.26事件などのクーデターを想起させる」行動ではないとしています。
 クーデターではまがりなりにも「政治腐敗から民衆を救う」というような大義名分を掲げるものの当該の自衛隊三佐には「民衆」や「国民」という視点はないとして、「安倍政権の敵」だから罵倒するという「極めて短絡的」なものだとしています。
 そしてそのこと自体が実は重大なことで、そこには「安倍首相の私兵」「安倍政権のための軍隊」という意識が既に自衛隊組織全体に浸透している危険性が感じられるとして、昨年3月の防衛大学校卒業式の訓示で、安倍首相が「警戒監視や情報収集に当たる部隊は、私の目であり耳であります。つまり、最前線の現場にあって指揮をとる諸君と、最高指揮官である私との意思疎通の円滑さ、紐帯の強さが、我が国の安全に直結する。日本の国益につながっています」などと、あたかも安倍首相の私兵であるかのように述べていることを紹介しています。
 
 実際、幹部官僚の不祥事の始末を見ていると、安倍政権にさえ逆わなければ、どんな不正を働いても厳しい処分はされず(実質的に救済されていて)、「国民を敵と味方に分断する安倍政治」が徹底されているのが確認出来るとしています。
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「国民の敵」罵倒の自衛隊三佐の弁明で明らかになった
 “クーデター”より恐ろしい事態! 自衛隊で進む“安倍私兵化”
LITERA 2018年4月28日
 やっぱりと言うか、なんと言うか。自衛隊統合幕僚監部に所属する三等空佐の“「国民の敵」罵倒問題”で、ネット右翼が民進党の小西洋之参院議員を「捏造」「嘘つき」「国賊」と炎上させている。
 周知の通り、防衛省が24日に発表した調査の中間報告によれば、この幹部自衛官は小西氏に向かって「日本の国益を損なう」「気持ち悪い」などと罵倒したことは認めた一方、「お前は国民の敵だ」との発言については否定したという。これを受けていま、ネトウヨたちがこんなふうに騒ぎ立てているというわけだ。
 〈自衛官は国民の敵とは言ってないみたいで小西の捏造嘘でした。〉
 〈「国民の敵」発言は小西の捏造らしい 正確には「国益を損なう」〉
 〈息を吐くように嘘をつく小西某の言葉の信用度は「ゼロ」%です〉
 〈ほんまクズ、嘘吐き小西洋之〉
 〈小西氏はその場で和解したと安心させ翌日政争の具に供した。小西よ、あなたは国賊だ〉
 
 ネトウヨ連中のいつものやり口ではあるが、それにしてもこいつら、ことの重大性がまったく分かっていないらしい。
 だいたい、実力組織である自衛隊の幹部自衛官が、国会議員に対し敵意をむき出しに口撃したことは事実で、そのこと自体が極めて異常なのだ。人々を殺傷、制圧可能な部隊を指導する立場の者が、選挙で選ばれた政治家を誹謗中傷する。この意味は、暴言の銃口を小西議員だけでなく有権者たる国民に向けているのと同義だ。
 そこをネグって小西がどうのこうのとほざくのは、まあ、ノーテンキというか、それこそ連中の大好きな言葉を借りれば「平和ボケのお花畑」ってやつだろう。
 そのうえで言うが、今回、防衛省が三佐本人から聞き取ったという供述の内容には、客観的に見て不自然な点がいくつもあった。さらに、その不自然さを差し引いても、この幹部自衛官の話ぶりからは、むしろ「国民の敵だ」発言よりも何倍もヤバいとしか言いようがない、“劣化した自衛隊”の現実がダダ漏れになっていたのである。
 
罵倒問題の自衛隊三佐「国民の敵と言ってない」という弁明の明らかな矛盾
 どういうことか。まず、供述内容によると、幹部自衛官は国会議事堂近くをランニング中、偶然いた小西氏を追い抜く際に顔が見え本人と確信。交差点で赤信号を待っているときに目が合って、会釈した小西議員に対し「国のために働け」と大声で言ったという。
 小西議員は反論した。三佐の供述では、この小西発言が「国のために働いています。安倍政権は、国会で憲法を危険な方向に変えてしまおうとしているし、日本国民を戦争に行かせるわけにいかないし、戦死させるわけにもいかないから、そこを食い止めようと思って、私は頑張ってやっているんです」と極めて詳細に語られている。
 
 対する三佐は、「俺は自衛官だ」と名乗ったうえで、「あなたがやっていることは、日本の国益を損なうことじゃないか」「東大まで出て、こんな活動しかできないなんてばかなのか」などと発言したという。
 他方、小西議員が「週刊朝日」(21日オンライン版)で語るところによれば、三佐は「俺は自衛官なんだよ。おまえは国民の敵だ!」と言い放ったという。両者の証言は食い違っているが、そもそも自ら「自衛官だ」と言いながら国会議員を罵倒した時点でアウトであることに変わりはない。
 
 しかも、自衛官の供述はこの後、どんどん不自然になっていく。
 たとえば供述によれば、三佐は小西氏から「あなたは現役の自衛官なのか。現役の自衛官が、そんな発言をするのは法令に反する」と言われたというが、これに対する三佐自身の発言はかなり曖昧にされているのだ。
〈はっきりとは覚えていませんが「私の発言は、自衛官の政治的行動に当たりません」というようなことを言ったと思います〉(三佐の供述)
 それだけではない。三佐が小西議員から名前と所属を聞かれたやりとりの供述にも、いかにも歯切れの悪い留保がついていた。
〈その後、小西議員は「撤回しなさい。現職の自衛官がそんなことを言うのは問題だ。防衛省の人事局に今から通報する」といって携帯電話を出しました。このやりとりの際に、はっきりとは覚えていませんが、「何が悪いんでしょうか?」と類似するような言葉を使ったかもしれません〉(三佐の供述)
 
 つまりこの幹部自衛官は、食ってかかった相手が発したセリフははっきりと諳んじてみせるのに、自分の発言は「はっきりとは覚えていない」というわけである。
 なんとも不自然だが、他方の小西議員によると、このとき「お前は国民の敵だ」という発言の撤回を求めたが三佐が撤回を拒否したため、防衛省の豊田硬事務次官に電話し、「自衛隊員を名乗る者から国民の敵などと暴言を受けている」と伝えた。その内容は、豊田事務次官も認めているという。
 また、この後、折り返しで同省の武田博史人事教育局長とも通話しており、武田局長は小西氏から「国民の敵」と言われたとの内容をメモしているとされる。すなわち、少なくとも小西氏は、三佐のそばで防衛省幹部に「『国民の敵』との暴言を受けた」というふうに電話していたのは間違いない
 ところが、である。やっぱり三佐の供述では、この場面がかなりうやむやなのだ。
〈小西議員は、電話先で「私は参議院の小西ですが、今、現職の自衛官と名乗る男性から私のことを罵倒したり、冒涜するような発言をしている者がいます。これは大問題ですから…」と通話しており、この後の語尾の方は、明確には聞こえませんでした。〉(三佐の供述)
 
自衛隊を“私兵”として扱い始めた安倍首相、それに呼応する自衛隊
 見ての通り、電話口での「国民の敵との暴言を受けた」という小西氏の発言が、なぜか、三佐の供述からはすっぽりと抜け落ちている。繰り返すが、そこにいたる小西氏の他の発言については、こと細やかに供述しているにもかかわらずである。
 なお、防衛省は今回の調査のなかで小西氏に事情を一切聴いていないという。また、小西議員によれば、同省の調査担当者は豊田次官と武田人事教育局長に文書による報告を求めただけで、直接のヒアリングをせず、さらに〈「本日の調査報告書の発表の段階でも、両者による正式の文書報告が調査担当者に提出されていない」とのこと〉(小西氏のブログより)だという。
 
 まるで「お前は国民の敵だ」発言の存在を否定するため、その後に出てくる小西氏の「国民の敵だと暴言を受けた」という発言を“聞き取れなかったことにした”としか思えないではないか。これでは「あったことをなかったことにする組織ぐるみの隠蔽ではないか」(小西氏)との疑いが生じて当然だろう。
 しかし、この幹部自衛官の“記憶力”の都合のよさ以上に、唖然とさせられたのは、なんと言っても小西氏を罵倒した“動機”にある。三佐はこう供述している。
〈私はもともと、小西議員に対しては、総合的に政府・自衛隊が進めようとしている方向とは違う方向での対応が多いという全体的なイメージで小西議員をとらえていました。小西議員から会釈された際、私はあいさつを返すのもどうかと思ったし、最初に見たとき、一言思いを述べたいという気持ちが高まりました。そして、交差点で一緒になり、会釈された際に、私は小西議員へのイメージもある中、あいさつを返したくない気持ちもあり、無視をするのもどうかと思って、思わず「国のために働け」と聞こえるように、大きい声で言ってしまいました〉
 
 つまり、「政府・自衛隊が進めようとしている方向とは違う」という理由で小西議員に暴言をはいたといっているのだ。これは、この幹部自衛官が「政府」に反するとみなした者は、自国民であっても攻撃すべし、という思想をもっていることの証明だろう。そこには自衛隊が「国民を守るための組織」だという自覚は微塵もなく、むしろ「政府=安倍政権のための実力部隊」といわんばかりの姿勢が伝わってくる。
 しかも、こうした“安倍政権への忠誠”は、ほかでもない自衛隊の最高指揮官である安倍首相が求めてきたものだ。安倍首相は3年前、国会で自衛隊を「我が軍」と呼んだ。さらに、昨年3月の防衛大学校卒業式の訓示では、これから自衛官に任官しようという学生たちに向けてこう述べた。
「警戒監視や情報収集に当たる部隊は、私の目であり耳であります」
つまり、最前線の現場にあって指揮をとる諸君と、最高指揮官である私との意思疎通の円滑さ、紐帯の強さが、我が国の安全に直結する。日本の国益につながっています
「そして将来、諸君の中から最高指揮官たる内閣総理大臣の片腕となって、その重要な意思決定を支える人材が出てきてくれる日を楽しみにしています」
 まるで自衛隊が安倍首相の“私兵”であるかのような言い草だが、今回の自衛官の行動をみると、こうした安倍首相の自衛隊への姿勢に呼応したものとしか思えないのだ。
 
クーデター計画よりも深刻、自衛隊をおおう“安倍の私兵”意識
 そう考えると、今回の三佐の罵倒はよく言われるような「5.15事件や2.26事件などのクーデターを想起させる」行動ではない。もっとレベルの低い、グロテスクなものだ。
 そもそも、軍事クーデターあるいはその未遂事案は、軍事力を背景にした暴力や圧力、テロルによってときの政府を打倒し、自分たち軍隊の意に沿う変革を企図するものである。
 5.15事件や2.26事件など、戦中の青年将校らによるクーデターはもちろん、戦後の自衛隊でもこうした「クーデター」は何度か計画された。たとえば元警察官僚の亀井静香衆院議員は、雑誌「月刊日本」2017年12月号のインタビューで、〈いまだから言ってもいいと思うが、私が警視庁にいたとき、現職の自衛官によるクーデター計画があったんだよ〉と告白している。亀井氏によれば、その計画を事前にキャッチして動きを止めるために防衛省へ連絡、理由を言わずに首謀者3名を即座に配置転換するよう要請したという。
 
 また1992年には、現役自衛官が「クーデター」に関する論文を「週刊文春」に寄稿し、大問題になったこともあった。陸上自衛隊高射学校の戦史教官だった柳内伸作氏という幹部自衛官だが、〈もはや合法的に民主主義の根幹である選挙で不正を是正することは不可能です。それを断ち切るにはどのような手段があるか。革命かクーデターしかありません〉〈軍隊も手段ならば、クーデターも単なる手段に過ぎず、穏健な民主的方法のみが民衆を救うための手段ではないというときがあります〉などと書いて、結果、懲戒免職の処分がくだされた(処分撤回を求める裁判を起こしたが敗訴)。ちなみに、柳内氏はこのクーデター論文を執筆した当時、自衛隊の三等陸佐。くしくも、今回の小西罵倒事件を起こした幹部自衛官と所属は違えども同じ階級だ。
 
 しかし、こうしたクーデター発言と今回の自衛隊三佐の暴言とは根本的な思想がまったく違う。柳内氏の「クーデター論文」はまがりなりにも政治腐敗から「民衆を救う」という大義名分を掲げていたが、小西議員を罵倒した自衛隊三佐には「民衆」や「国民」という視点すらない。前述したように“安倍政権の敵”だから罵倒しているだけなのだ。
 だが、それは危険がないということではない。むしろ、一部の跳ね上がりにすぎないクーデター発言よりも、今回のほうがもっと事態が深刻かもしれない。それは、前述した“安倍首相の私兵”“安倍政権のための軍隊”という意識が自衛隊という組織全体に浸透している危険性を感じるからだ。
 実際、防衛省の日報隠蔽問題での防衛省・自衛隊幹部の行動を見ても、安倍政権を庇うためなら、平気で国民を欺き、不正を働くようになっている。そして、日報問題で引責辞任したはずの黒江哲郎・前事務次官がNSCの新設ポストに抜擢されたように、安倍政権にさえ逆わなければ、どんな不正を働いても厳しい処分はされない
 
 そういうことがどんどん積み重なった結果、自衛隊には「我々は安倍さまの軍隊」であり「安倍さまに逆らうものは国会議員であろうと、一般市民であろうとすべて敵だ」という意識が根付いてしまったのではないか。
 本サイトは、今回の事件が示しているのは「シビリアンコントロールの欠如」だけでなく「国民を敵と味方に分断する安倍政治の反映」だと指摘してきたが、三佐が供述している“動機”は、まさにこれを裏付けるものだろう。
 今回は暴言だけで済んだが、安倍政権がこのまま続けば、まさに自衛隊が“政権の弾圧装置”と化して、国民に銃口を向けるという事態も起こりなりかねないのだ。(編集部)