2020年1月31日金曜日

武漢からの帰国者にチャーター機代8万円請求 それが安倍首相の流儀

 政府は新型肺炎で武漢市からの帰国者にチャーター機を出しましたが、何とチャーター機金として1人8万円を請求するということで、国民から批判の声が上がっています。
 それに対して茂木外相は「当事者本人の航空費等についてはこれまでも本人に負担してもらっている」とし菅義偉官房長官も「従来から、内戦など本人の意思にかかわらず待避をお願いせざるを得ない場合を除き、負担をお願いしている」と述べました。
 そうであれば今回のケースはまさに本人の意思にかかわらず待避をお願いする」ケースなのではないでしょうか。厳密にいえば異なるということなのでしょうが、これまで海外に60兆円をばら撒き、使い物にならないF35爆撃戦闘機の購入に(維持費を加えれば)数兆円を注ぎ込んでいる政府が、なぜそんな細かいことに拘ってチャーター代金を払わせようとするのでしょうか。

 LITERAが「新型肺炎で帰国者にチャーター機代8万円請求はまさに安倍首相の真骨頂! イラク人質事件でも「被害者に救出費用請求を」とする記事を出しました。
「安倍首相の真骨頂」と述べている所以は以下の通りです。
 かつて小泉政権時代の2004年にイラクでボランティア活動などをしていた高遠菜穂子邦人3名が武装勢力の人質になり、その後解放されたときに政府は帰国用の飛行機代を3人に請求しました。当時国内では俄然「自己責任論」がまき起こったのですが、その時に率先して「自己責任論」を主張したのが当時の自民党幹事長だった安倍晋三氏でした。

 因みに高遠菜穂子氏はその1年前からボランティアとして個人の立場でイラク国内で「人道支援」活動を行っていたもので、単に旅行者として無責任に入国したのとはわけが違っていました(同氏は現在も同様な支援活動に従事しています)。それに対して冷酷にも高額な飛行機代を請求したことこそ彼の酷薄な人間性を示すものでした。

 2015年ISによる後藤健二・湯川遥菜氏の拘束とその後の殺害事件が起きましたが、それは直前に安倍首相が中東を訪問し、エジプトで「『ISの脅威を食い止めるために2億ドルを支援する」と不用意に宣言したことが原因であったといわれています。
 それに対してISなどが日本人へのテロを宣言したときに、安倍首相は格好良く「日本人に指一本触れさせない」と大見えを切りました。しかし当然何一つ出来るわけではないので、16年7月にバングラデシュ・ダッカレストラン 日本人7人が殺害されたことを筆頭に、海外では多くの日本人がテロで殺傷されました。安倍政権はその間、「日本人に指一本触れさせない」どころか指1本動かすこともしなかったのでした。
 安倍首相の言うこと為すことは何もかもが話になりません。
(追記 31日のTVモーニングショーによると、世論に押されて政府は費用請求を止める方向に舵を切ったようです)
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新型肺炎で帰国者にチャーター機代8万円請求はまさに安倍首相の真骨頂! イラク人質事件でも「被害者に救出費用請求を」と主張
LITERA 2020.01.30
 今月29日と30日、新型コロナウイルスの感染が広がる中国・武漢市から日本人400名余りが日本政府のチャーターに乗って帰国した。
 これに対して、ネットでは〈全員強制的に隔離しろ〉〈そのまま中国に置いておけばいい〉〈検査拒否したやつは武漢に送り返せ〉といった暴言が吹き上がっている。帰国者をバッシングする人たちには、「もし、自分が中国にいる側だったら」という想像力が完全に欠如しているのだろう。無論、入院した人や検査で陰性が出て帰宅した人たちに対して、排除や攻撃を仕掛けるということは決してあってはならない。いま求められるのは、パニックやデマを防ぐ冷静さだ。

 批判すべきはむしろ、この状況においても国民に自己責任を強いている政府の対応だ。チャーター機に搭乗した人ひとりにつき、エコノミークラスの片道料金と同額程度として約8万円(税抜き)を請求するというのである。29日の参院予算委員会では、立憲民主党の杉尾秀哉参院議員が「チャーター機の利用で片道8万円の請求するそうなんですけど、これぐらいは政府で出していいんじゃないですか、どうですか」と質問したが、茂木敏充外相は「当事者本人の航空費等についてはこれまでも本人に負担してもらっている」として8万円を請求する構えを見せた。
 菅義偉官房長官も本日の定例会見で「従来から、内戦など本人の意思にかかわらず待避をお願いせざるを得ない場合を除き、負担をお願いしている」と述べ、自己負担の方針を変えないことを表明した。
 だが、常識的に考えて、国が帰国のための費用を負担するべきだろう。8万円という航空費は高いか安いかという問題以前に、そもそも、海外の邦人保護は政府として当然なさねばならないことだ。「自己負担費用が高いから、帰国したいのにチャーター機に乗れない」という人がいないとも限らず、そうしたケースを避けるためには、国が全員分の費用を持つ以外にないのだ。
 国費のスケールで考えれば、数百名から千名程度の航空費など大した額ではない。だいたい、税金を私物化した「桜を見る会」で支援者らに無料飲食させる余裕があるなら、邦人救助のための費用に回すべきだ。しかも、「桜を見る会」は例年、決められた予算を何倍も超えて支出してきた。チャーター機費用について「柔軟な対応」ができることはとっくに証明されているではないか。
 さらに言えば、海外で保護された邦人たちは、普段の税金以外にも、あらかじめ「保護費」と呼べるものをおさめている。パスポートの取得費用だ。10年有効の旅券発行には1万6000円がかかるが、その収入証紙をのぞく国の手数料1万4000円には「間接行政経費(邦人保護関連経費)」なるものが含まれている。外務省はこれを〈海外における邦人保護に係る経費〉と説明しており、2016年度は実に351億円以上にのぼる。実際には、外務省職員らの人件費やその他諸経費にあてられるという(外務省領事局旅券課「旅券手数料収入と発給コストの比較について」令和元年 7月 8 日)が、この分を今回のケースのチャーター機代に充てるのは決して無理な話ではないだろう。

 前述したように、政府は自己負担の予定を変えておらず、Twitter上では「8万円の搭乗代」に疑問の声が相次いでいるが、他方で「仕方ない」と政府を擁護する意見も出ている。「武漢が封鎖される事態になるまでそこに留まっていたのだから、旅行なら自己責任」だというのだ。
 他にも「税金で帰ってきたら『自己責任だ』って批判されるから、自己負担のほうがいい」という萎縮の声も散見された。毎日新聞によれば、外務省幹部も「無償にした場合、国民から『税金のみで帰国させるのはいかがか』と批判が帰国者にも向きかねない」と説明したという。
 今回のようなケースで、帰国者が「自己責任」と批判される要素など一切ない。にもかかわらず、人々や官僚の頭のなかに「自己責任」という言葉が浮かぶのは、いかに安倍政権下の日本でグロテスクな“自己責任論”が蔓延っているかの証明だろう。

自己責任バッシングの生みの親は安倍首相だった!イラク人質事件で被害者に費用請求を主張
 海外で邦人人質事件が起こるたび、この国では「危険地帯に行った人の自己責任だ」「自分で海外に行っているのだから公金で保護するのはおかしい」なるバッシングが吹き荒れる。繰り返すが本来、自国民の生命保護は国家の責務である。どういった事情があったとしても、政府は人命のために最大限の努力をする義務があり、国民は国家にそれを要求する権利がある。にもかかわらず、日本社会ではなんでもかんでも「自己責任」という言葉が投げかけられるのだ。この状況は、欧米など海外メディアからも「日本特有の異常な考え方」と見なされ、繰り返し問題視されてきた。
 まったくグロテスクとしか言いようがないが、この状況をつくり出した元凶こそ安倍晋三だ。安倍首相は普段「いかなる事態になっても、国民の命を守る責任がある」などと偉そうに吹いているが、実は、国家の責務を放棄し国民個人に押し付ける「自己責任バッシング」の生みの親とでも呼ぶべき政治家なのだ。
 現在に連なる自己責任論の嚆矢は、2004年に発生したイラクでボランティア活動などをしていた邦人3名の人質事件といわれる。政治家の扇動で自己責任論が沸き起こり、すさまじいまでの人質バッシングが起きたが、その急先鋒だったのが、当時、自民党幹事長だった安倍晋三だ。
 このイラク人質事件では拘束が発覚した直後から、自民党では右派議員を中心に「(人質の)家族はまず『迷惑をかけて申し訳なかった』といえ」「遊泳禁止区域で勝手に泳いでおぼれたのと同じ」「好んで危険地帯に入った人間を助ける必要があるのか」といった自己責任論があがっていた。また、人質が解放された後も無事を喜ぶどころか、外務省政務次官経験のある議員が「救出費用は20億円くらいかかった」などという情報を流したことで、「税金の無駄遣いだ」「チャーター機など出すべきでない」「被害者に費用を請求すべきだ」との声が続出した。
 実際、救出にかかった費用は1000万円程度で、人質になった3人は航空機の費用なども支払っており、これらの主張はデマに基づいたヒステリーとしか言いようのないものだったが、幹事長の安倍は各種の会合でこうした自己責任論と被害者費用負担論に全面的に同調。そして、人質が解放された翌日の会見では、自らこう言い放ったのだ。
「山の遭難では救出費用を遭難者に請求することもある」
 この冷酷発言だけでも唖然とさせられるが、安倍は自民党の総務会でも人質への費用請求を求める声を受け、「しっかり考える」「かかった費用は精査する」と答弁。実際に政府に請求を検討させる姿勢を見せたのだ。
 この安倍をはじめとする政治家たちの新自由主義的な自己責任の大合唱が国民に浸透し、いまではすっかり根付いてしまったのである。

第二次安倍政権で加速する自己責任論 弱者バッシングで覆い隠される政権の失政
 そして、第二次安倍政権ではこの自己責任論が行くところまで行き着いた感すらある。2015年のISによる後藤健二さん・湯川遥菜さん拘束殺害事件や、シリアで行方不明になったジャーナリスト・安田純平氏が2018年に帰国した際にも、自己責任論によるバッシングが吹き荒れた。それだけでなく、非正規雇用のワーキングプアや生活保護受給者、シングルマザーなどの社会的弱者に対しても「自己責任だ」というのが正論であるかのように語られてきた。そして、今回の新型コロナウイルスをめぐる「8万円のチャーター機代」をめぐっても、やはり自己責任論が飛び出し、あげく官僚が“自己責任論バッシング”に萎縮し、保護される邦人の本人負担にしてしまっている。
 はっきり言って異常だろう。自己責任論はもともと、支配層にとって都合のよいロジックだ。本来、社会的・公共的に解決せねばならない問題を「個人の責任」に押し付けることで、不都合なことを隠蔽したり、対応をめぐる政府批判の隠れ蓑にできるからだ。事実、IS人質事件の際も、その直前に安倍首相がエジプトでの演説で「ISILの脅威を食い止めるために2億ドルを支援する」と宣言したことが事件につながったのではないかとの指摘が出ていたが、これも高まる自己責任論によってうやむやにされてしまった。
 自己責任論は、これを唱える人々自身にも降りかかってくる。今回の新型コロナウイルスでまたぞろ自己責任論が浮上していることによって、安倍政権の対応や対策を十分に検証できないような状況に陥る可能性があるだろう。そうなれば政府の思う壺だ。
「帰国したいのに帰国できない」という人が出ないよう、政府は8万円のチャーター機代請求をやめて、全額公金から支出すべきだし、わたしたちも、それが当たり前であるという認識をしっかりと持たねばならない。それこそが、百害あって一理なしの自己責任論を克服する第一歩になるのである。 (編集部)

日本は「物価も賃金も安い国」 中国人観光客が日本に大挙する理由

 OECDのデータによれば、1997年をベースにして先進各国の時間当たりの賃金の増加率は韓国の+160%超を筆頭に、軒並み+60%超(いまやグローバル企業における初任給は40~50万円が相場となっているのに対して、日本のみは―8%超の減少を示しています。
 同じくOECDの購買力平価でドル換算したデータでも、日本の平均賃金は約4万ドルであるのに対し米国は6万3000ドル、フランスは4万4000ドル、オーストラリアは5万3000ドルとなっています
 日本は先進諸外国のなかでは圧倒的に賃金が安い(うえに格差が増大している)ので、日本の消費者の購買力は低く、結果として物価は低くならざるを得ません。
 そしてそれこそがこのところ中国人観光客が大挙して日本を訪れる理由なのです。決して安倍政権の積極策が功を奏したというようなものではありません。
 昨年、安倍政権が賃金を見掛け上アップさせようとこれまでの集計方法を変更したことが国会で明らかにされましたが、そんな「偽造・捏造」で誤魔化せるような問題ではありません。
 Business Journalに載った記事:「中国人観光客が日本に大挙する理由 …日本は『物価も賃金も安い国』になったという現実」を紹介します。
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中国人観光客が日本に大挙する理由
     …日本は「物価も賃金も安い国」になったという現実
   加谷珪一 Business Journal 2020.01.30
経済評論家
 日本の相対的な経済力の低下によって、日本が世界から見て「安い国」になっているという話は、国内でも徐々に認知されるようになってきた。モノやサービスの値段が安いことは、外国人観光客を呼び寄せる材料となるが、それはウラを返せば、国内の賃金が低く推移していることを意味している。人口減少によって国内経済の縮小が予想されるなか、私たちはもっと内外価格差について敏感になっておく必要があるだろう。

■同じダイソーの商品が、外国では150円から200円で売られている
 政府が積極的に受け入れ拡大策を進めたこともあり、日本には年間3000万人もの外国人観光客がやってくるようになった。彼らは日本文化楽しむためや、日本料理を食べに日本に来ているのだろうか。もちろん、人によって来日目的はさまざまなので一概には言えないが、訪日客の7割を占める中国、韓国、台湾、香港からの観光客に限っていえば、最大の目的は買い物である。
 観光庁の調査によると、中国人は日本を訪問するにあたって、1人あたり約20万円の消費を行っているが、このうち買い物代が約半分を占めており宿泊費や飲食代を大きく上回る。韓国人は買い物の比率が低いという特長があるが、中華圏の人たちはとにかく買い物である。
 彼らがこぞって日本で買い物をするのは、日本の物価が極めて安いからである。特に中国は近年、物価上昇が著しく、なかでも沿岸部の大都市では何もかもが高いという状況だ。
 日本では多くの人が100円均一のお店を利用しているが、業界大手のダイソーは積極的に海外進出しており、中国などアジア地域にも多くの店舗を構えている。店舗によって事情は異なるが、ダイソーの場合、中国の店舗ではたいてい10元均一で商品を販売している。1元=15円とすると150円均一ということになる。
 ダイソーは米国にも多数、店舗を出しているが、米国のなかでも物価が高いニューヨークは1.9ドル均一、他の都市では1.5ドル均一になっていることが多い。1ドル=110円と仮定すると、165円から209円の範囲で商品を販売していることになる。ダイソーの海外店舗はどの地域でも概ね、日本の1.5倍から2倍の価格になっているのが実状だ。
 もちろん各国で商品構成は異なっているが、日本国内で販売しているのと同じ商品もあり、基本的には同一、もしくはそれに近い商品を売っていると思ってよい。そうなると、100円という低価格で販売しているのは日本だけという話になってしまう。
 海外では同じモノが1.5倍から2倍の値段になっているということは、日本にやってきた外国人が日本国内の店舗で買い物をすると、何もかもが安いという感覚になる。実際、中国人観光客の多くは、日本の商品の安さに歓声を上げており、この安さが買い物への支出を支えている。

■日本のディズニーランドは激安
 こうした内外価格差はサービスにもあてはまる。ディズニーランドは世界各国にあるが、実は国によって入場料には大きな差がある。日本では1日入場券は7500円だが、上海では同様の入場券は399元から575元(ピーク時には665元)で販売されている。1元=16円とすると6384円から9200円である。香港では639香港ドルで、1香港ドル=14円とすると8946円になる。
 カリフォルニアにある本場のディズニーランドは、104ドルから149ドルの範囲になっている。1ドル=110とすると、1万1440円から1万6390円の価格設定であり、パリのディズニーランドも米国とほぼ同じ水準である。日本のディズニーランドは世界でもっとも入場料が安いと考えてよいだろう。
 海外旅行のついでに現地のディズニーランドに行くという人は多いが、外国から来た観光客は日本の入場料が安いので大喜びしているはずだ。日本のディズニーランドがここまで安い理由は、日本の消費者の購買力が他国と比較して弱く、このくらいの価格設定にしないと他のテーマパークとの競争に負けてしまうからである。
 ディズニーランドは、圧倒的なブランド力があり、どんなに高くても来場するように思えるが、そうではない。価格が高いとリピーターの頻度が減り、全体の来場者数は減ってしまう。顧客を囲い込み、高いブランド力を維持するためにも、適切な価格設定が必要であり、日本の価格設定はまさに日本経済の現状を反映した水準となっているのだ。
 マクドナルドも全世界に展開しているので、価格比較にはよく使われる店舗といってよい。国際的な価格比較サイト「Numbeo」によると、日本のマクドナルドにおけるセット販売の平均価格は695円である。これに対してニューヨークは986円、シドニーは853円、パリは1055円なので、先進各国は総じて日本よりもかなり高い。アジアに目を移すと、香港が493円、上海が556円 バンコク(タイ)617円、シンガポールは651円となっており、日本と同レベルか日本より少し安い程度である。
 カフェはどうだろうか。日本ではカプチーノの平均価格は388円だが、上海では466円、香港では506円、パリは416円、バンコク253円、シドニーでは302円、ニューヨークでは515円、シンガポールでは444円だった。バンコクとシドニーの価格は安いが、それ以外の都市では基本的に日本よりも高いと考えてよいだろう。

■日本人の賃金が低いことが最大の原因
 日本は諸外国と比べて、なぜここまで物価が安くなっているのだろうか。基本的にモノやサービスの価格は、消費者の購買力に比例するので、端的に言ってしまうと日本の賃金が安くなったことが最大の原因である。
 OECDの調査によると、購買力平価でドル換算した日本の平均賃金は約4万ドルだが、米国は6万3000ドル、フランスは4万4000ドル、オーストラリアは5万3000ドルとなっている。日本は先進諸外国のなかでは圧倒的に賃金が安いので、日本の消費者の購買力も低くなり、結果として国内物価も安く推移している。
 当然のことながら、中国やタイの平均賃金は日本よりも低いが、平均値が低いからといって、購買力が小さいとは限らない。近年、企業活動のグローバル化が進んでおり、一定水準以上のグローバル企業の場合、どの地域の社員にもほぼ同じ賃金を支払うのが当たり前となっているからだ。
 こうしたグローバル企業の初任給は40~50万円が相場といわれており、日本の平均的な初任給と比較するとかなり高い。アジア地域の労働者でも、相応の大学を出てグローバル企業、もしくはそれに類する企業に就職した人の場合、数百万円の年収を稼ぐのはザラである。そうなると、全体の一部とはいえ、日本と同レベルの物価であっても、モノやサービスをバンバン購入する人が一定数存在してもおかしくない。
 特に中国の場合、14億人もの人口があるため、仮にそうした所得層が5%しかいなくても、7000万人の市場規模になる。上海や香港に行くと物価が高いと感じるのはそのためであり、こうした階層の人たちであれば、逆に日本にやってきた時には、物価が安いと感じるはずだ。

■デフレで自動車価格が決して下がらない理由
 現代社会は以前と比較して、全世界的に価格平準化が進みやすい環境にある。自動車の価格は国内事情とは一切関係なくグローバル市場の需要やコスト構造で決まってしまう。日本ではデフレが進んでいるとされてきたが、過去20年、自動車価格が安くなったことは一度もない。クルマは次々モデルチェンジするので、同一車種と装備のクルマで比較することはできないが、基本的にクルマの価格は一貫して上昇していると考えてよい。
 スマホも同様である。スマホはどこでつくってもコストはほぼ同じであり、最終的な販売価格も似たような水準となる。スマホを使って行うネット通信や通話についても同じことがいえる。通信会社というのは典型的な設備産業であり、コストの多くは、交換機、基地局などの通信機器類である。
 どの国の通信会社であっても、ほぼ同一の通信機器を使って回線を構築しているので、コスト構造もほぼ同じになる。政府が通信料金に対して規制をかけない限り、同じような料金になることが多い。飲食についても、人件費こそ違うだろうが、原材料はほぼすべてが輸入なので、やはりグローバル価格の影響を受けてしまう。
 社会のIT化の進展はこうした傾向をさらに顕著にする効果をもたらすので、相対的に賃金の安い国は不利になる。日本は物価が安いので住みやすいという考え方もあるが、それは賃金が安いことの裏返しであり、グローバルに価格が決まる製品やサービスを購入する負担が大きいことを意味している。
 価格が安いことは、インバウンド・ビジネスには効果があるが、消費者の生活にはマイナス面が多い。日本は安い国のままでよいのか、もう一度、真剣に考え直す必要があるだろう。 (文=加谷珪一/経済評論家)

31- いよいよ政権末期に来ているのではないか(金子勝氏)

「幅広く募っているが、募集ではない」という小学生レベル(以下)の仰天発言に民は心を凍らせたばかりですが、お粗末さは決してそれに留まるものではありません。

 首相の国会答弁を最後まで聞き続けるのは、それが仕事であるジャーナリストを別にすれば、普通の人にとっては「超人的な」忍耐力を要し、とても出来るものではありません。
 しかしほんのチョット聞いただけで分かることは、事前に通告された質問については官僚の答弁用メモを読み上げることで、内容の適切さは兎も角としてスタイルだけは整えられるのですが、野党議員からその回答についてほんの少し掘り下げた質問が出されると、もはや対応できずに、ただひたすら最初の文書を繰り返し読み上げることの連続であることが分かります。それを醜態と思わずに続けられる神経は一体何なのでしょうか。

 29日の参院予算委蓮舫議員が、選挙区内の有権者にカニやメロンを贈ったり、秘書が香典を渡したりした公選法違反疑惑が指摘されている菅原前経産相が、その実態を問われたときに『事務所で調べて国会で答弁している』例をあげて、招待者の名簿を破棄したというのであれば、その復元は「安倍事務所が後援会の1人ひとりに確認すればよいのであり、なぜそうしないのか」と訊いたときに、安倍首相は何と「私の事務所にかかわることですから、担当(総務)大臣から答弁させていただきたい」と答えたということです。

 まさに理解不能の答弁であり、高市総務相が答えに窮したのは当然のことです。
 立正大名誉教授の金子勝氏は、「自分で考えて答弁しなければならなくなり、四苦八苦しているように見えます。答弁内容がどんどん支離滅裂になっている状況を見ていると、いよいよ政権末期に来ているのではないかと思います」と述べました。

 正しく末期的症状というしかないのですが、一体いつまでそれを続けようとしているのでしょうか。
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安倍首相また仰天答弁 事務所の説明要求に「総務大臣が」
 日刊ゲンダイ  2020/01/29
「幅広く募っているが、募集ではない」という仰天の国会答弁で国民から嘲笑されている安倍首相だが、29日の参院予算委でも議場をザワつかせる答弁が飛び出した。立憲民主党の蓮舫議員が「桜を見る会」の総理枠をめぐる疑惑について質問した時だ。
「(招待客の)名簿を復元する方法はたったひとつ。安倍事務所に(対して)後援会の1人ひとりに(桜を見る会に出席したのか)確認してください。調査せよと(事務所に)命じていただけませんか」
 蓮舫議員はこう声を張り上げ、さらに、選挙区内の有権者にカニやメロンを贈ったり、秘書が香典を渡したりした公選法違反疑惑が指摘されている菅原一秀前経産相の例を挙げて「菅原前大臣は一応事務所で調べて国会で答弁している。安倍首相はなぜ、しないのか」と畳みかけた。
 すると、安倍首相は「私の事務所にかかわることですから、担当(総務)大臣から答弁させていただきたい」などと答えたからビックリ。
 安倍事務所に関することなのに、なぜ、総務大臣が答えるのか。安倍政権では総務大臣が安倍事務所も担当するのか。
 突然、安倍首相に答弁を振られた高市総務相は、金子委員長の顔を見ながらアタフタし、「公選法の解釈ということであれば私が答弁するのですが……。(招待客について)説明するのか、しないのかと言えば、私じゃないのと思うのですが……。あの、よろしいですか」と動揺を隠せなかった。
 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「これまでは“軍師”がいて、きちんと問題を整理し、答弁のポイントなどをレクしてきたのでしょう。しかし、そういうレクや助言をする人が安倍首相の周りからいなくなっているのではないか。そのために自分で考えて答弁しなければならなくなり、四苦八苦しているように見えます。答弁内容がどんどん支離滅裂になっている状況を見ていると、いよいよ政権末期に来ているのではないかと思います」
 理解不能の答弁はまだまだ出てきそうだ。


国会で大恥を晒し続けても、平気で居座る安倍氏:コネと裏口で人生を送ってきたツケが回っていることにすら気付けないとは・・・
新ベンチャー革命 No.2582 2020年1月29日
1.「募る」と「募集する」を別の意味として理解していたことがばれた安倍氏:一事が万事、人間としての基礎学力が疑われる
 あの安倍氏はまたまた、国会で大恥を晒しました。それは、「募る」と「募集する」を別の意味として理解していたことが端無くも、ばれてしまったのです(注1)。
 その安倍氏は、国会にて、自分は日本国首相に不適格な人間ですと、自ら、告白したも同然ですが、本人にはその自覚すらない厚かましさです。
 これまでも、安倍氏は、普通の漢字が読めないことや、日本語が一般常識人なみにできないことが国民に知れ渡っていますが、今回の事例はもう、救いがたいものです。

2.なぜ、このような人物が日本国首相にまで昇りつめたのか
 国民にとって、国語は、日常生活に不可欠ですから、義務教育で、しっかり教えられます。
 普通に義務教育を終え、受験で普通の大学に入れるレベルの日本国民だったら、上記、安倍氏のような恥ずかしい人間になることはありません。
 にもかかわらず、普通の日本国民以下の人物が、今の日本では首相をやっているということです。
 なぜ、こんなことが起きるのか、それは、安倍氏が大人になるまで、コネと裏口で人生を送ってきたからです。
 その結果、国語の基礎ができていないにもかかわらず、コネと裏口で大学に入り、不正で卒業したことが、今の安倍氏が大恥を晒している原因です。
ちなみに、本件、本ブログではすでに、取り上げています(注2)。
3.安倍氏は自分が日本国首相として不適格であることにすら、気付けないレベルの厚かましい人間
 普通に教育を受けて、それなりの資格を得た人間には、常識というものが備わっています。
 このようなレベルの普通の人間は、自己を客観的に分析する能力を有しています。
 しかしながら、安倍氏の場合、その自己分析力が普通の人よりさらに劣っているのです。
 その結果、安倍氏は自分が日本国首相に相応しい知性と能力がないことにすら気付けないのです。ほんとうに、救いがたい人間です。
 その結果、ヌケヌケと首相を続けて、大恥を晒しても、恥じ入る感情が欠如していて、結果的に国民に大迷惑を掛けているということです。
 この責任は、いまだに、安倍氏を首相にして恥じない自民党の議員全員にあります、大いに反省して欲しい。

注1:阿修羅“<これが日本の首相、情けなくなる!>桜で首相「募集でなく“募っている”認識」 宮本議員「募集の募は募るっていう字なんですよ」“2020年1月28日
注2:本ブログNo.2579『日本を闇支配する米国戦争屋CIAジャパンハンドラーは、高学歴の河野氏や茂木氏や林氏と比べて、安倍氏がコネと裏口で人生を歩んできたエセモノであることに気付いた』2020年1月26日

2020年1月30日木曜日

予算委で 逃げ・はぐらかしの首相答弁が再々・・・演

 27日から予算委員会での質疑応答が始まりましたが、今回もまた見飽きたというか見るに堪えない情景が繰り広げられています。

 毎日新聞29日の社説(以下同じ)で
首相の無理な説明に合わせようとするから政府の公文書管理がゆがんでいく。管理すべき招待者名簿を廃棄するのも問題だが、コンピューターに残る作業履歴の確認すら拒むのは異常だ。誰を招待したのか、名簿を本当に捨てたのかの議論の繰り返しにはうんざりするが、(官邸は)泥仕合に持ち込んで、政権の不祥事をうやむやにしようとしているのではないか。自ら真相を説明しようとしない首相の姿勢が混乱を広げている」と述べています。 ⇒ 安倍首相の予算委答弁 本人が混乱を広げている (毎日新聞

 東京新聞は、
安倍首相は野党の質問に正面から答えようとはせず、自らを正当化したり、要求を突っぱねたりした。不誠実な答弁をいつまで続けるのか。首相は「堂々と政策論争を行いたい」と語り、疑惑追及に注力する野党を批判するが、政権がうそをついたり、隠しごとをせず、正しい情報を国民の代表である国会に示すことが前提になる」と述べています。
   ⇒ 予算委員会 不誠実な答弁いつまで (東京新聞

 北海道新聞は、
質問の論点をそらし、同じ答弁を繰り返す。資料提供や事実関係の調査の要求は拒否する。安倍首相はまた逃げ一辺倒の答弁に終始している。首相は先週国民に不祥事続発を陳謝した。ならば信頼回復のために率先して疑念を晴らすべきなのに、その姿勢が全く見えない。世論調査で多くの国民が首相の説明に納得できないと答えているのに、ゼロ回答の連発では疑念が深まるばかりである」と述べています。
   ⇒ 予算委首相答弁 逃げ一辺倒 疑念晴れぬ (北海道新聞

 またブログでは、「募っている」と「募集する」が同じであることを知らなかった首相の知的レベルの低さについて「まるこ姫」が、「Twitterで大喜利状態にある」と揶揄しています。まことに『森羅万象』を担当しているとはとても思えない話です。

 日刊ゲンダイが 「はぐらかしの安倍首相 反省なしの“常習犯”は必ずまたやる」という記事を出しました。我々が見せつけられるのはまさに「反省なしの“常習犯”」による「三文芝居」なのですが、それはまた恥を知らない人間の演じる「悲劇」でもあります。
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はぐらかしの安倍首相 反省なしの“常習犯”は必ずまたやる
日刊ゲンダイ 2020/01/28 
 国民はこの不毛なやりとりを一体、いつまで見続けさせられるのか。衆院予算委は27日、安倍首相と全閣僚が出席して2019年度補正予算案に関する基本的質疑を行い、実質審議入りした。

「国民の厳しい声や批判を受け止め、一層身を引き締めていかなければならない」
 与党・公明党の国重議員が、不祥事が相次ぐ政権の姿勢をただすと、安倍はこう声を張り上げていたが、その後の野党議員の質問に対しては、これまでの国会答弁と同様に相変わらずノラリクラリ。国民の厳しい声や批判を受け止めている様子もなければ、真摯に反省しているそぶりは一切なかった。例えば、野党共同会派の江田議員が取り上げた総理主催の「桜を見る会」の問題。安倍がこの問題で予算委の答弁に立ったのは昨年11月8日以来で、江田議員は、過去の橋本政権や小泉政権は「桜を見る会」に後援会関係者などは招待していなかった、と指摘した上で、800人に上る後援会関係者を招待していた安倍の認識について質問。すると、安倍は「招待基準が曖昧だった」などとごまかしつつ、「歴代内閣でも地元の方々の出席はあった。他の(首相の)時にひとりも呼んでいなくて、私の時に増えたということではない」などと反論していたからアングリだ。

 多額の税金を使った公の催しを安倍が私物化していたのではないか、と疑われているのだから、否定するのであれば具体的な論拠を示して理路整然と説明して理解を得るのが筋だ。それなのに「悪いのは俺だけじゃないよ」と言わんばかり。散々繰り返してきた「国会から求められれば、出て行って説明するのは当然」との発言は何だったのか。

議会制民主主義を総理自らが破壊している
 昨年の参院選で自民党の河井克行前法相夫妻の政党支部に計1億5000万円が党本部から振り込まれたことについても、安倍は「私は今、総理大臣としてここに立っていますので、自民党総裁として答弁しなければならないかというと、そうではない」「自民党の政治活動について首相の立場で答えるのは控えたい」と“答弁拒否”だ。

 総理大臣という行政府の長が憲法改正の必要性を訴えているくせに、ご都合主義もいいところだ。自分が言いたいことであれば総理の立場であっても発言し、都合が悪い内容は、「総理だから」と逃げる。便利な使い分けである。
 27日の予算委では「答弁を差し控えたい」という言葉も度々、見られたが、「桜を見る会」の問題では、共同通信の世論調査で国民の9割近くが「十分説明していると思わない」と回答している。つまり、安倍には答弁を差し控える理屈はないのに、こんな態度だからふざけている。

 閣僚席に座る他の大臣の姿もまた酷いもの。寝たり、質問に立つ野党議員をニタニタ眺めたり。官僚は答弁をはぐらかし、与党議員の席からは平気で下劣なヤジが飛ぶ。国権の最高機関である国会は一体、いつからこんな学級崩壊状態に陥ったのか。衆院事務局に30年間勤め、議会政治に精通している元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
政府には答弁義務があるのに全く答えない。不誠実どころではなく、議会制民主主義を総理大臣自らが破壊しようとしているとしか思えません

安倍の頭には政治理念に不可欠な「公平中立」という言葉はない
<政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない>

<全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない>

<政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない>


 前出の平野氏が原案を作り、85年に衆参両院で議決された「政治倫理綱領」にはこう書いてあるが、おそらく安倍は綱領自体を知らないに違いない。今の安倍政権がやっていることは綱領と真逆のことばかりだからだ。
「国会を冒涜し、国民を愚弄している安倍政権を追及するには今の野党議員がやっているような検察官のマネ事では逃げられてしまう。安倍政権が問われている根本の問題は政治姿勢であり、まずは政治倫理綱領を唱えさせ、どう思うのかを聞き、綱領に反している、と畳みかけるべき。相手は犯罪まがいの不正の限りを尽くしている悪辣政権なのです。真正面からぶつかっても暖簾に腕押しになるだけです」(平野貞夫氏=前出)

アベ政治は裏切りと報復が渦巻くマフィア社会
「同じ質問だから同じ答弁」
 説明責任を全く果たそうとしない安倍発言の中でも、とりわけ酷かったのがこの言葉だった。
 これでは、いつまで経っても質問と答弁はかみ合わないだろう。議論をする必要はないと断言しているようなものだ。高千穂大の五野井郁夫教授(国際政治学)がこう言う。
「これほど常識外れの答弁はなく、野党も国民もなめ切った、まさに慢心を象徴する言葉だったと思います。安倍政権はモリカケ問題で逃げ切れた、という“成功体験”があるのでしょう。国会中継を見る限り、このままだと、どんな悪事をはたらいても構わないと開き直り、悪政がどんどん酷くなる可能性があります」

 安倍の政治姿勢は「今だけ」「自分だけ」「カネだけ」の自分ファースト。森友疑惑や加計学園の獣医学部新設問題でも“お友達”優遇が国会で問題視されたが、その最中に行われた「桜を見る会」でも地元後援者ばかりを招待していた。
 要するに何ら反省していなかったことが分かったワケだが、“お友達”を優遇する一方で、歯向かう者は徹底的に潰すのも悪辣政権の特徴。27日の答弁で安倍が明確に答える場面は数えるほどしかなかったが、そのひとつが河井案里参院議員の選挙をめぐる問題で、党総裁としての関与を問われ、「私の秘書が私の指示によって広島に応援に入った」と認めたことだった。
 参院選で案里議員とともに自民党候補として出馬したのは、落選した溝手顕正元防災担当相。溝手は第1次安倍政権が07年の参院選で大敗した際、安倍の責任を厳しく追及。
 さらに野党に下野した際は、安倍を「過去の人」と切り捨てた人物だ。つまり、案里優遇は溝手憎しの裏返しだったワケで、まるで裏切りと報復が渦巻くマフィア社会のようだ。
 安倍の頭には政治理念に不可欠な「公平中立」なんて言葉はないのは明々白々。仮に「他にないから」という諦めの消極的理由であったとしても、内閣支持率がこのまま横ばいであれば今の政治情勢は“公金ドロボーの常習者”にとっては犯罪天国だろう。確信犯をこれ以上、のさばらせたらダメだ。