2021年10月31日日曜日

岸田首相が極右雑誌「Hanada」「WiLL」に登場し改憲宣言 黒幕は安倍氏

 12年以降 岸田派と呼ばれている宏池会は、1957年に池田勇人を中心に結成された自民党の最も古い派閥で、政策面ではハト派的傾向の「リベラル」と位置づけられ、憲法改正には慎重でした。その領袖である岸田氏が、15年秋の宏池会の研修会で「当面、憲法9条を変えることは考えない」と発言したのは当然のことですが、それに安倍元首相が激怒すると岸田氏は震い上がって、以後改憲反対を口にしなくなりました。
 改憲するかどうかは、優れて政治家の生命である信念に関わる問題であって、誰かの不興を買ったからといって簡単に変えられるものではないし、変えていいものでもありません。それをいとも簡単に変えてしまうというのは 唯々「信念のなさ」に他なりません。
 ところで岸田首相は、何と極右雑誌の「月刊Hanada」「WiLL」に登場して、「九条への自衛隊の明記は当然」「緊急事態条項の創設も必須」と、憲法改正宣言を行ったということです。
 同誌にはしばしば安倍晋三氏が登場し、最近では高市氏も登場しています。今回の件も、多分 直接的乃至間接的に安倍氏の働きかけがあったのではないかと思いますが、一国の首相が普通の人なら眉を顰めるようなネトウヨ雑誌に平然と登場するのは異常なことです。
 岸田氏は総裁選中に打ち出した「所得倍増」を早々に撤回しただけではなく、逆に「GDP比2%以上も念頭」に防衛費を増額すると述べました。
 日本の教育への公的支出のGDPに対する割合は16年以降OECD35か国中、最下位です(15年以前も、09年以降OECD32か国中 最下位でした)。それを米国に言われたからといって、役に立たない米国の兵器を買うために軍事費を5兆円から10兆円に上げるとは正気の沙汰ではありません。世界中から嗤われる話です。
 岸田氏は一体どこまで堕落するつもりなのかでしょうか。政治的信念が皆無であるなら、菅前首相と同様に一刻も早く退場すべきです。
 LITERAの記事を紹介します。
 日刊ゲンダイの記事「自民急失速!大物議員27人落選の現実味、現職3大臣&党役員3人も崖っぷち」を併せて紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
岸田首相が極右雑誌「Hanada」「WiLL」に登場し“改憲宣言”! 
  黒幕・安倍も「岸田さんはリベラルな印象だから反発受けない」
                             LITERA 2021.10.30
 ついに明日31日、衆院選の投開票日を迎える。読売新聞の終盤情勢では「自民党の単独過半数維持は微妙」と報じられたほか、甘利明幹事長や複数の現役閣僚の劣勢が伝えられており、自民党にとって厳しい戦いになっていることは間違いない。
 だが、そんなことで安心はまったくできない。重要なのは、改憲勢力をいかに削り取るか、ということだからだ。
憲法改正の国会発議には衆参両院それぞれで定数の3分の2が必要だが、自民だけで単独過半数の維持ができずとも、公明党とあわせた与党で過半数を確保するのは確実な情勢になっており、さらに改憲勢力である日本維新の会の躍進も伝えられている。
 しかも、岸田文雄首相はこの選挙期間中も、安倍晋三・元首相や高市早苗政調会長と並んで極右雑誌に登場し、憲法改正を果たすと堂々宣言している。
 たとえば「月刊Hanada」(飛鳥新社)は、表紙に「岸田文雄総理 憲法改正宣言!」と銘打ち、岸田首相のインタビューを掲載。そのインタビュー記事のタイトルは、「岸田文雄内閣総理大臣 憲法改正は必ずやる!」。
 そして、インタビューで岸田首相は「総裁任期中の憲法改正の実現を目指します。これは当然のことです」と述べると、自民党の改憲4項目について、こう語っている。
九条への自衛隊の明記は、当然です」
緊急事態条項の創設も、災害の時代といわれ新たな緊急事態が予想されるなか、必須です」
 さらに、岸田首相は同じく極右雑誌の「WiLL」(ワック)にも登場し、同様の主張を展開。岸田政権下での改憲に「手応えを感じています」と答えている。
 そもそも、一国の首相がヘイトスピーチを連発しつづけるネトウヨ雑誌に平然と登場するというだけで一発アウトなのだが、この改憲をめぐる発言をひとつとっても、岸田首相がいかに安倍元首相にハンドリングされ、自分の意思のない危険な人物となっているかがはっきりとした。

「Hanada」では高市早苗が人権制約の改憲を、「WiLL」では安倍晋三が敵基地攻撃能力保有を主張
 そもそも、岸田首相は安保法制が成立した直後の2015年秋におこなわれた宏池会の研修会で「当面、憲法9条を変えることは考えない。これが私たちの立場」と発言したが、この発言が報じられると、安倍元首相は激怒。そこからは一転して安倍元首相の顔色を伺ったような発言を繰り返すようになっていた。そして、ついに安倍元首相を後ろ盾にして総理に成り上がったいま、安倍元首相の意向を蹴ることはけっしてできない。
 実際、「安倍元首相の代理人」として岸田政権の政策を動かしている高市早苗政調会長は、岸田首相のインタビュー記事が掲載されたのと同じ「月刊Hanada」に登場し、櫻井よしこ氏と対談。櫻井氏が「いまの日本国憲法は、どこを読んでも「ああ、日本人だな」と思うところがありません」と振ると、高市氏は「ありませんし、もう時代に追いついていません」と同意を示すと、高市氏は憲法12条に定められた「公共の福祉」や22条の「移動の自由」、14条の「法の下の平等」などを挙げて疑問視。岸田首相が改憲4項目を語るにとどめていたのに対し、人権の制約に直結するような条文にまで改正の必要性を匂わせている。
 しかも、安倍元首相にいたっては、岸田首相が自分の傀儡であることを隠そうともせず、むしろ誇示している。
 こちらも岸田首相が登場した「WiLL」に同じく安倍元首相も登場し、櫻井氏と対談。そのなかで、安倍元首相が退陣前にぶち上げ、岸田首相が選挙公約に盛り込んだ「敵基地攻撃能力の保有」について話題が及ぶと、安倍元首相はこう語っているのだ。
「私が防衛・安全保障について少しでも発言すると、なぜか野党やメディアは興奮してしまい、冷静に議論できなくなる(笑)。リベラルな印象の岸田さんが同じことを言っても、私ほどは反発を受けないはずです」
 大前提として、敵のミサイル発射拠点を破壊する「敵基地攻撃」は、国際法にも憲法にも反する先制攻撃にほかならず、第二次世界大戦の反省から日本が原則としてきた専守防衛から逸脱するものであり、到底容認できるものではない。現に、ほかならぬ岸田首相自身が外相時代の2015年に「他国から武力攻撃を受けていない段階で自ら武力の行使を行えば、これは国際法上は先制攻撃に当たる」と国会で答弁していた。それを、総理の座を欲するあまりに岸田首相は総裁選時から「敵基地攻撃能力の保有」に前向きな姿勢を見せたのだ。
 この岸田首相の露骨なご機嫌取りは信念のなさを如実に示しているが、その芯のなさ に付け込まれ、安倍元首相も「岸田さんはリベラルな印象だから反発を受けない」などと、岸田首相が自分の意志のままに操られるだけの存在であることを平然と語っているのだ。

所得「倍増」は撤回し、防衛費「倍増」は安倍・高市の言うがまま強行する岸田首相
 無論、これは「敵基地攻撃能力の保有」だけにとどまる問題ではなく、すべてにおいて当てはまる話だろう。つまり、憲法改正にしても同様に、安倍元首相は「自分が言うと反発を食らうが、リベラルの印象がある岸田なら反発を受けない」と踏んでいるはずだ。
 岸田首相は総裁選で大々的に打ち出した「令和版所得倍増」の文言を自民党の選挙公約に盛り込まず、ついには「平均所得や所得総額の単なる倍増を企図したものではない」と閣議決定。その一方、これまではほぼGDPの1%以内に抑えられてきた防衛費については「GDP比2%以上も念頭に増額を目指す」とし、安倍元首相や高市政調会長が目指す防衛費増額に弾みをつけた。つまり、「倍増」を謳った所得の話は撤回し、安倍・高市が主張する防衛費にかんしては「倍以上」を確約したのだ。この一件からしても、岸田首相がどこを見て政治をおこなっているかは一目瞭然だが、改憲も同じように、そもそも国民の関心が低いことや国民投票法のCM規制問題などすっ飛ばし、安倍・高市の言いなりとなって強行的に推し進めていくことは間違いない。

 本サイトでは繰り返し指摘してきたが、今回の選挙は「安倍・菅政権の延長」を求めるか否かの選挙であり、同時に強引な改憲議論に歯止めをかける選挙にしなければならない。自民・公明、さらには維新の議席を1つでも削り取ること。明日は、安倍元首相が地団駄を踏むような日にしなくてはならないのだ。 (編集部) 

トドメを刺すのは有権者 接戦区を次々落とせば自民党は瓦解する

 31日は衆院選の投票日です。
 少なくともこの25年間、国民の実質賃金が下がった国は世界広しと言えども北朝鮮と日本だけで、他の国々は軒並み1・5~3倍にアップしています。
 2000年代初頭の小泉・竹中政権以降、日本の政治・経済は全く何の取り柄のないものに変わりました。彼らは新自由主義のもと、労働の成果を全て経営者や株主あるいは投機筋に吸い取らせて実質経済を痩せ細らせました。そうした政権を実に20年以上も「唯唯諾諾」として支持し続けてきた国民の側にも基本的な責任があると言えるでしょう。
 そんな政治はもう変えたいものです。財界ベース、投資家ベースそして米国ベースの政治はもういい加減終わりにしたいものです。
 日刊ゲンダイの「トドメを刺すのは有権者 接戦区を次々落とせば自民党の瓦解が始まる」と「自民急失速!大物議員27人落選の現実味、現職3大臣&党役員3人も崖っぷち」の2本の記事を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
トドメを刺すのは有権者 接戦区を次々落とせば自民党の瓦解が始まる
                          日刊ゲンダ  2021/10/30
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「大詰めを迎え、北海道から沖縄まで大激戦が展開されている。何としても押し上げていただきたい」
 投開票日(31日)まで残り2日となった29日、岸田首相は鹿児島市の街頭で声を張り上げた。接戦となっている選挙区をできるだけたくさん回りたい、ということで、岸田は最終盤の遊説の移動にチャーターした航空機を利用。おとといは青森、秋田、新潟、石川、香川。29日は鹿児島、宮崎、千葉を回った。
 過去、首相がチャーター機を使ったのは政権交代選挙となった2009年衆院選時の麻生太郎と、民主党政権に代わった翌10年参院選時の菅直人の2人。いずれも政権与党が敗北した選挙だった。つまり今回も、チャーター機を手配しなければならないほど、岸田自民党は厳しい状況に追い込まれているということである。
 実際、29日の読売新聞の1面見出しは「自民単独過半数は微妙」。自民について、<劣勢は序盤の46人から60人に増えた。当落線上で104人がしのぎを削る>と分析していた。定数465の衆院選で過半数は233。自民の公示前勢力は276だから、43議席以上減らす可能性があるということ。あと2日という段階で100人超もが接戦とは、岸田の尻に火が付くわけである。

「国民の声は聞いたけど、無視します」
 だが、“ご祝儀相場”がほとんどなかった不人気首相が激戦区で街頭に立ったからって、どれほどの効果があるのか。むしろ裏目に出るんじゃないのか。
 岸田の演説については、自民候補の陣営からですら「インパクトがなくてねえ」と落胆の声が上がる。「人の話をしっかり聞くのが特技」という岸田が、どの演説でも“小道具”として出して見せるあの小さなノートも怪しさ満載。「国民の声を書きためてきた」と熱心に訴えるものの、その中身について一度たりとも触れたことはない。演説の後半の毎度同じタイミングで片手に掲げてみせるが、ノートはやけに新しい。「国民の声」をそんなに聞いてきたのなら、演説の場で明らかにして、その解決策を聴衆にアピールした方がよほど票が増えるのに、絶対にやらない。
 話の中身もカラッポ。あれほど力説していた「新自由主義からの脱却」も「格差是正」も総裁選に勝つための口先公約に過ぎなかった
「金融所得課税の強化」をあっさり撤回したように、自民党の従来の金持ち優遇策を維持し続けている。街頭で配っている「政策パンフレット」には、「危機管理投資」「成長投資」の言葉が並び、「分配」は後回しだ。
 一方、立憲民主党は公約で「1億総中流社会の復活を目指し、国民の可処分所得を増やす政策に転換する」と訴える。富裕層や巨大企業への優遇税制の是正で所得再分配も強化するという。共産党は「家計応援の政治でボトムアップ」が公約だ。
 岸田は、世論の7割が望む「安倍・菅政権からの転換」を求める声には耳を塞ぎ、「モリカケ桜」はおろか、自分の地元・広島の選挙買収事件に絡む1・5億円問題すら検証せず、反省ゼロ。それで批判されると、党を挙げて「共産の力を借りて立憲が政権を取れば日米同盟は終わりを迎える」と悪質なデマを飛ばし、イチャモンでしかない野党連合批判に血道を上げるのだから始末に負えない。
 庶民に寄り添い、耳を傾けているのは与党なのか、野党なのか。一目瞭然である。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「あの『岸田ノート』は逆効果ですよ。『国民の声を聞く』と言いながら、具体的な新しい政策を打ち出すことなく、安倍菅路線を踏襲している。『国民の声は聞いたけど、無視します』と言っているようなものです。岸田首相の言う『分配』は成長が前提で、アベノミクス頼みにどんどん戻ってしまっている。一方の野党連合は、消費税を5%に戻すことで4党が一致したことが大きい。いまや、大企業への課税強化は国際的なトレンドです。米国ですら舵を切っている。与野党どちらの政策がいいのかは明確です」

単独過半数割れで不満噴出、政権は求心力低下
 最終盤でチャーター機を出さなきゃならなくなるほどの自民党の苦戦は、全289小選挙区の7割強にあたる217選挙区で野党候補が一本化されたことが最大の要因ではあるが、もう一つ、党執行部による候補者選定のマズさも透けて見える。
 例えば、長崎4区や福岡5区は、自民党の地方県連が世代交代を求めたのに、身内かわいさで本部が押し切ったケース。長崎4区の北村元地方創生相は岸田派、福岡5区の原田元環境相は麻生派だ。ロートルを優遇した結果、野党の新人に負けそうなのだから“自爆”としか言いようがない。
 岸田が狙ったのは、超短期決戦で逃げ切る戦略だった。自治体の準備期間を考慮して選挙日程の前倒しに難色を示した総務省を押し切り、「俺は政局が得意だ」と自負していたらしいが、勘違いも甚だしい。安倍・菅ファッショ政治で国民を愚弄し、あぐらをかいてきた自民党は、すっかり足腰が弱まり、常識すらなくなり、アチコチで組織内紛の醜態を晒している。
 トンチンカンの極みは東京15区だ。カジノ汚職で起訴され、自民党を離党した前職の秋元司が1審で実刑判決を受け、出馬を断念した。そうしたら党執行部は、1人しか当選しない小選挙区で2人を推薦。地元支部が担ぐ元職の公認要請を蹴って推薦に格下げしたうえ、あろうことか、つい半月前まで野党会派に所属していた前職にも推薦を出したのだ。
 これには東京都連がカンカンで、都連の総務会長でもある萩生田経産相が、「東京のことは東京の我々が決めるんですよ! 山形県の政治家(遠藤利明選対委員長)に東京の何がわかるんですか!」と、街頭演説で執行部批判したことが報じられた。内輪モメの泥仕合になっているのである。

「勝てる顔」のはずが自爆の愚
 政治ジャーナリストの角谷浩一氏が言う。
「激戦に追い込まれているからでしょう。全国各地で自民党はモメています。九州なんて保守王国とされてきたのに、今回は落選危機の人がズラリ。比例単独に回された人は、大丈夫なのかと危機感を強めています。党内に禍根が残るのは必至。新執行部になってすぐ選挙で慌てたとはいえ、なんとかなるだろう、と甘くみて、岸田首相は自分の首を絞めている。でもまあ、『内輪モメして岸田降ろしでも何でも、どうぞやってください』ですよ。自民党は『菅前首相じゃ勝てない』とシャッポを代えた。『勝てる顔』として岸田首相を選んだわけですから、自業自得です」
 岸田は「自公の与党で過半数」を勝敗ラインに置くが、それがクリアできたとしても、問題は自民単独で過半数が取れるのかどうかだ。西銘復興相や若宮万博相ら、現職大臣どころか、甘利幹事長までが落選危機にある。
 接戦区を次々落とせば、不満がマグマのようにたまった地方組織から執行部批判や責任論が噴出するだろう。岸田の求心力は低下し、政権の足元は揺らぎ、大混乱となって自民党の瓦解が始まる
「与党が絶対安定多数の261議席を下回り、自民が単独過半数の233を割り込む。そうして自民党が混乱するのは、国民にとっては良いことです。新しい政治への転換の生みの苦しみだと思えばいいのです。国民の声を無視して、1強が力ずくで全てを推し進めるような政治が、これ以上続いていいわけがない。安倍菅政権で行われてきた政治や行政の歪み、立憲主義、平和主義、民主主義の破壊。これらをどうやって是正するのかが問われる選挙にならなければなりません。国民がきっちり審判を下し、『今までのやり方を転換します』と自民党に言わせないといけない」(五十嵐仁氏=前出)
 そうだ。トドメを刺すのは有権者なのである。


自民急失速!大物議員27人落選の現実味、現職3大臣&党役員3人も崖っぷち
                           日刊ゲンダイ 2021/10/30
 投開票が31日に迫った総選挙は、まったく結果が読めない展開になってきた。289ある小選挙区のうち4割が接戦となっている。野党共闘が奏功し、小選挙区で一騎打ちの戦いになっているのが大きい。落選が現実味を帯びる与党の大物議員も少なくない。
                ◇  ◇  ◇
 読売新聞の最新世論調査(26~28日)によると、自民は終盤に入り、野党に追い上げられている。自民候補の劣勢は序盤の46人から60人に増え、104人が当落線上だという。
 現職閣僚や党役員、大臣経験者ら自民の大物議員の最新情勢を探ると、27人もが、「劣勢」か「互角」の戦いを繰り広げている〈別表〉。現職大臣3人(若宮健嗣氏、山際大志郎氏、西銘恒三郎氏)と、自民党の執行部3人(甘利明氏、遠藤利明氏、高木毅氏)も大接戦となっている。
「党の顔」であるはずの幹事長の甘利氏は当選に黄信号がともり、全国遊説どころではなくなった。他人の応援をやめ、自分の選挙区に張り付いているありさまだ。野党候補に猛追されている。



■初入閣組の3大臣も苦戦
 岸田内閣で初入閣し、“箔”が付いたはずの自民の3大臣も苦戦。山際氏、西銘氏の2人は野党候補に迫られ、若宮氏はややリードされている。
 序盤は「盤石」とされた細田博之氏や高木氏もここへきて野党統一候補の猛追を受け、わからなくなってきている。選挙に強い2人が、ここまで苦しむのは異例のことだ。
 73歳定年制により、比例との重複立候補ができない林幹雄氏、原田義昭氏、山本幸三氏、北村誠吾氏、衛藤征士郎氏は野党候補にリードを許す崖っぷちの戦い。無所属の松本純氏と公明の斉藤鉄夫氏(広島3区)も比例復活はない。松本氏はかなり厳しい戦いだ。

■日に日に情勢悪化の石原伸晃氏
 情勢が日に日に悪化しているのが石原伸晃氏だ。幹事長や閣僚を歴任した石原派の領袖。東京8区で、連続10回当選している。れいわの山本太郎氏が同区からの出馬を取りやめ、野党統一候補となった吉田晴美氏(立憲)が勢いを増している。自民党が行ったとされる調査では先々週は石原氏が吉田氏をわずかにリードしていたが、先週は逆に9ポイント近く引き離されている。27日には岸田首相が東京8区入り。派閥領袖が総裁の応援を受けるのは前代未聞のことだ。
 27人のうち、何人が生き残るか。

31- 「強制送還違憲」の判決が射ぬく入管難民行政の欠陥 人権侵害が露わ

 全国新聞ネットに、「『強制送還違憲』の判決が射ぬく入管難民行政の欠陥 人権侵害・司法軽視露わに」とする記事が載りました。
 入管の非人道的な対応は、スリランカ人女性、ウイシュマ・サンダマリさんの悲劇で、一躍クローズアップされました。ここで取り上げられた案件は、偶然同じスリランカ国の男性二人が7年前、帰国すれば生命にかかわる危険があったにもかかわらず、入管が難民不認定を通知した翌朝強制送還したことが、「裁判を受ける権利を侵害した憲法違反」であるとして訴えを起こしたもので、一審判決では、司法が入管に忖度したとも取れる内容で敗訴しましたが審の東京高裁判決では「裁判を受ける権利を侵害した憲法違反」と断定され、国は上告を断念しました。神田和則氏がその概要を報告しています。
 ここでも明らかにされたのは、難民認定や収容、仮放免、退去強制や強制送還の権限を一手に握っている入管庁が、難民申請者たちをどんな風に扱っても良いという意識を持って極めて非人道的に扱っていることで、司法機関でもない部署に万能の権限を与えている現行の仕組みの是非が厳しく問われています
 もう一つ、今回も強制送還されてから東京高裁判決が出るまでに実に7年を費やしました。いくら何でも想像を絶する遅さで、一体司法に人権意識があるのかという疑問を禁じ得ません。
 判事が超多忙ということは漏れ聞いているし検察もそうなのかも知れません。そうであればそれは増員等で解決すべきです。一方弁護士の側も、多数の案件を転がしながらそれなりの余裕を見てスケジュールを設定しているのであれば、自分の生活のために原告や被告の人権を侵害していることになり、決して放置することは出来ません。
 原発関連の裁判を見ても判事の国乃至最高裁事務総局への忖度は明瞭であり、決して司法が聖域などではないことを実感します。人権擁護の見地から早急に改善されるべきです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「強制送還違憲」の判決が射ぬく入管難民行政の欠陥
         人権侵害・司法軽視露わに
              神田和則 全国新聞ネット 共同通信 2021/10/29
     これほど完璧に敗れた裁判で、いったい国側はどんな主張をしたのだろうか。
    スリランカ人の男性2人に難民不認定を通知した翌朝、強制送還したのは「裁判
    を受ける権利を侵害した憲法違反」と言い切った9月22日の東京高裁判決。
     国は上告を断念したが、法廷で展開された出入国在留管理庁の論理を追ってみ
    ると、あらためて人権意識の低さや司法軽視の体質が浮き彫りになった。判決は
    日本の入管難民行政に強く警鐘を鳴らしている。
              (ジャーナリスト、元TBSテレビ社会部長=神田和則)
▽限りなく高く、冷たい“裁判所の壁”
 原告が敗訴した一審判決は、憲法が規定した「裁判を受ける権利」よりも、入管難民法の「速やかな強制送還」を重視した。弱い立場にある人を救済するどころか、司法が入管に忖度(そんたく)したとも取れる内容で、もし控訴審もこの判断を維持してしまったらという懸念は拭い切れなかった。それだけに、原告側の逆転勝訴の一報に正直ほっとした。
 入管を相手にした訴訟を取材していると、“裁判所の壁”は原告にとって限りなく高く、冷たく立ちはだかっていると感じる。今回も強制送還されてから東京高裁判決が出るまでに7年を費やした。当たり前の主張が認められるまで、これほど時間がかかったことを、最初に強調して話を進めたい。

▽意図的に遅らせた異議棄却の告知を
 経過を振り返る。
 スリランカ人のAさんとBさんは不法残留で逮捕され、入管施設に収容された。退去強制令書が出されたが、仮放免が認められ、一時的に収容を解かれた。
 この間に難民認定を申請、不認定となったため、2011年~12年に異議を申し立てた。
 異議申し立てが棄却されたのは、Aさんが14年11月7日、Bさんはそれより1週間前の10月31日だった。入管はこの決定をすぐには伝えず、12月17日、2人が仮放免の延長のため東京入管を訪れた際に告知した。2人とも不認定取り消しの裁判を起こしたいとの意向を示したが、翌18日午前6時前、飛行機で強制送還された。
 判決文から3点に絞り、入管の主張と高裁の判断を要約、対比する。
 第1の争点は「入管は告知を意図的に遅らせたのか」。
 入管はこう主張した。
 「入管難民法上、決定を本人に通知すべき時期は定められていない」「記録は本省から各地方入管局に郵送、事務処理で1カ月程度かかるのは一般的」「通知は通訳を確保して本人に対面で決定書を渡すので、確実な出頭が期待できる日を指定する必要がある。仮放免中の出頭日ならば、出頭しないと許可が取り消されることがあるので、確実な出頭が見込まれる」「ことさら通常より遅らせたものではない」
 高裁判決は次のように述べた。
 「難民異議申立事務取扱要領には(地方入管局は、当時の)法務省入国管理局長から結果の通知を受けた時は、速やかに出頭通知書を送るか、電話で出頭通知をすることが定められている」
 「事務手続きに一定の時間を要するとしても、相当な時間(注・Aさんは40日、Bさんは47日)が経過しているにもかかわらず、あえて仮放免許可の更新手続きのため入管に出頭する時まで告知を差し控えるべき理由は見いだし難い
 「2人は12月17日以前にも仮放免許可の更新手続きで東京入管に出頭していた。また遅くとも10月23日時点でチャーター機で送還される対象者とされていた。これらを前提にすると、2人を集団送還の対象として、予定どおり実施するために、あえて告知を送還直前まで遅らせたと解さざるを得ない」

▽司法審査受ける機会奪う
 第2の争点は「裁判を受ける権利は奪われたのか」という点だ。
 入管は「弁護士から送還予定時期の通知希望申し出書が提出された場合、おおむね2カ月前に通知している。それを受けていれば送還の予定時期までに退去強制令書発付処分の取り消し訴訟を起こすことができた」「裁判を受ける権利には十分配慮している」と主張した。
 これに対し高裁は次のように判断した。
 「2人は告知後、直ちに収容され、外部との連絡を取ることができないまま翌日、送還された」「Aさんは弁護士を特定して、連絡を取りたい、訴訟を提起したいと何度も訴えたが、約30分間に5回電話する機会を与えられただけで、連絡が取れないまま送還された」「Bさんも、提訴したいと述べたのにそのまま送還された」「いずれも取り消し訴訟を起こす意向があったにもかかわらず事実上不可能だったと認められる」
 「入管職員は事実上、第三者と連絡することを認めずに強制送還した。難民該当性に対する司法審査を受ける機会を実質的に奪ったと評価すべきで、憲法で保障する裁判を受ける権利を侵害した」
 第3の争点は、2人が「在留を続けるために難民認定申請を乱用したのか」という点だ。まず入管側の主張から。
 「Aさんは、合理的な理由なく12年以上も難民認定申請せず、不法滞在で逮捕後に初めて申請した。これらの経緯からすれば、真実難民として保護を求めて来日したのではなく、不法就労を目的として入国し、在留し続けるための方便として難民認定申請をしたことが強く疑われる」
 「Bさんが迫害を受ける理由は、叔父との間の土地の相続トラブルであり、帰国すると叔父側から殺害されるというもので、迫害主体はスリランカ政府ではないし、難民条約の迫害理由に該当しない。入国後、7年3カ月も難民認定申請をせず、不法就労を続け、逮捕後に初めて申請した。乱用的に行われた」
 これに対して判決は「難民に該当するかどうかと、司法審査を受ける機会の保障は別問題だ。難民申請が乱用的かどうかも含めて司法審査の対象とされるべきで、機会を実質的に奪うことが許容されるものではない」と断じた。

▽「殺される」「怖い」「弁護士さん呼んで」
 入管側の主張を全体として見ると、人権意識の低さと組織的欠陥、そして司法軽視が浮かび上がる。
 原告弁護団の高橋済(わたる)弁護士は「在留資格のない外国人には、何をしてもいいんだという姿勢が表れている」と憤る。
 異議申し立て棄却の告知時期について言えば、国は「法は時期を定めていない」「確実な出頭のために仮放免手続きの日にした」などと釈明した。しかし、裁判所は「告知に40日もかける必要はない」と突き放した。
 理由にならない理由をはぎとってしまえば、残るのは無理やり送り返した事実だけだ。法律上、難民認定の手続き中は送還できない。だから、異議申し立ての棄却で法の効力が途切れた瞬間を突いた。仮放免手続きだと思って出頭した人を、外部と連絡も取らせずに、恐れている祖国に強制送還した。
 入管が撮影した映像には、告知後、Aさんが「殺される」「怖い」と繰り返し「弁護士さん呼んで」「裁判、裁判」と必死に求める場面が記録されている。名古屋入管で収容中に亡くなったスリランカ人女性、ウイシュマ・サンダマリさんの悲劇が重なって見える映像だ。ウイシュマさんの命の灯が日々弱まっていっても、支援者が何度も入院や点滴を求めても、職員は何もせず、侮辱的な言葉すら吐いた。人権感覚の鈍さ、人権意識の低さに目を覆う。
 判決は異議申し立ての棄却決定が出る前の10月23日時点で、すでに2人が送還対象リストに載せられていたと指摘している。審査は途中なのに、なぜか強制送還が決まっていた。出入国管理と難民保護という目的の異なる仕事を同じ入管庁が担当しているため、二つの部門が連動して、在留資格のない人を閉め出すことを可能にしている。組織的な欠陥といえよう。
 高橋弁護士は「難民保護に特化した独立行政委員会などをつくるべきだ」と語る。

▽SDGsの時代に逆行
 そして司法軽視。難民認定制度を2人が乱用していると主張する入管に対して、東京高裁は「それは裁判所が判断することだ」と明確にくぎを刺した。
 先に政府が国会に提出した入管難民法改正案では、3回以上の難民申請者を送還対象とし、裁判を受ける機会を奪おうとした。成立断念に追い込まれたが、難民保護に取り組む弁護士や関係者は、入管当局が諦めたとは考えてはいない。小手先の修正で新たな改正案を提出してくる可能性は十分にある。
 だが「だれ一人取り残さない」というSDGsへの対応が叫ばれるこの時代に、保護を求める人をだまし討ちのようなやり方で強制送還するような組織を、そのままの形で存続させていいのだろうか。入管庁は、難民認定や収容、仮放免、退去強制や強制送還の権限を一手に握っているのだ。

 このたびの東京高裁判決は、わが国の入管と難民保護のあり方を根本から問うている。そう受け止めるべきだ。 

2021年10月30日土曜日

安倍政権の最悪コロナ対応を思い出せ! 岸田政権も病床20万削減を引き継ぎ

 あの不評を極めたアベノマスクが、結局8300万枚も倉庫に保管されたままになっていて、保管量として7500万円/月も掛かっていることが会計検査で明らかにされました。

 アベノマスクは小さ過ぎるだけでなくで「不衛生」という致命的な欠陥品なので、今後も使用されることはないし、その「不衛生」品を後進国に贈るというのも人道上許されません。
 無用なものを高い経費を掛けて保存するのは馬鹿げているので、焼却廃棄処分するしかありません。これこそ安倍政権の最低最悪のコロナ対策を象徴するものです。
 折しも安倍氏の自宅マンションへの道路の両側にバリケードを張り、10人の警官が常駐しながら警護するのに年間2億円の経費が掛かっていると報じられたばかりのことでした。
 LITERAが、「 ~ 安倍政権の最悪コロナ対応を思い出せ! ~ 」とする記事を出しました。
 その最悪最低の対応の中には、それ以前に始められた無謀な「病床削減政策」がありますが、それはそのまま岸田政権に引き継がれました。選挙を経てもその姿勢は変わらないのか注目されます。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アベノマスク8300万枚が倉庫に、保管料月7500万円…安倍政権の最悪コロナ対応を思い出せ! 岸田政権も病床20万削減を引き継ぎ
                             LITERA 2021.10.29
 投開票日まで残り2日となった衆院選挙。今回、各社の情勢調査にはなぜか「自民党の単独過半数獲得は微妙」から「自民党が260議席以上獲得」まで大きな幅があるが、いずれにしても、自民・公明の与党で安定多数は獲得しそうな情勢だ。
 岸田政権誕生は思ったほどの追い風にはなっていないものの、菅政権時代には周知のように「自民党70議席減」「与党過半数割れの可能性」が予想されるほどの状況だった。このままいけば、自民党の首の挿げ替えによるロンダリング作戦がまんまと成功することになる。
 だが、ほんとうにそれでいいのか。岸田文雄首相は明らかに安倍晋三・元首相や麻生太郎・自民党副総裁の傀儡であり、今回、自民党・公明党に過半数をとらせるということは、安倍政権・菅政権の政治を認め、それを繰り返替させることになるのだ。

 投票日を前にして、私たちはあのデタラメ政治、とくにあのコロナ禍でおこなった無能無策ぶりをもう一度、思い出すべきだろう。いや、思い出すまでもない。ここにきて、昨年、安倍晋三(山口4区)が配布した「アベノマスク」をめぐるとんでもない事実が判明した。
 全世帯に2枚配布した「アベノマスク」と福祉施設や妊婦向け布マスクが、今年3月末時点で合わせて約8300万枚(115億円相当)も倉庫に保管された状態になっており、昨年8月から今年3月までのあいだの保管費用になんと約6億円もかかっていたことが、会計検査院の調査でわかった。
 115億円もの血税を注ぎ込んで無駄にしただけでなく、保管費用に月7500万円もかさんでいっている……。自民党政権のコロナ対策の失策により生活に困窮する人が増加しているというのに、これほどの税金の無駄遣いがあるだろうか。
 にもかかわらず、磯崎仁彦官房副長官は27日の記者会見で「施設向けについては配布方法を見直したということなので、調達に問題があったとは考えていない」などと言い張り、ワイドショーやネット上では「あのころはマスク不足で配布は妥当な判断だった」などという意見が飛び出している。
 バカも休み休み言え、という話だろう。倉庫に眠っている布マスク約8300万枚のうち約7900万枚が福祉施設や妊婦向けで、報道によると、昨年7月に約8000万枚を配布予定だったのが、マスクの流通量が増加したために一律配布ではなく希望する施設への配布に切り替え、その結果、約7900万枚が配布されずじまいになった。だが、昨年6月下旬の時点ですでにマスクの品薄状況が解消されていたにもかかわらず、政府は約5800万枚もの布マスクを新たに発注していたのだ。
 使い捨ての不織布マスクが価格も下がって市中に出回っていたのに、よりにもよって異物混入の不良品が相次いだ非難轟々の布マスクを新たに発注し、結果、いまでは月7500万円もの保管費用までかかっている。「妥当」どころか「アホなのか?」「ふざけるな」と言うほかない。

余ったアベノマスク「保管料月7500万円」にも…コロナ対策の中抜き疑惑を思い出せ 
 しかも、このとんだ金食い虫になっている「アベノマスク」の保管料をめぐっては、その金額を疑問視する意見も出ている。どの地域の倉庫に、また、どんな大きさの箱に布マスクが収められているのか知らないが、月7500万円もかかるものなのか──。こうした疑問から「またしても中抜きがおこなわれているのではないか」という声がネット上ではあがっているのだ。
 こうした疑義が生じるのは当然だろう。周知のとおり、コロナ支援策として実施された「持続化給付金」事業では、経産省は電通のダミー法人と思われる「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に769億円で業務委託し、同協議会は749億円で電通に再委託、そこから電通は電通ライブや電通テックといった子会社5社へ645億円で外注していたことが発覚。さらに、東京五輪・パラリンピックでも、やはり電通やパソナのあくどい中抜きが浮き彫りとなったからだ。
 コロナ禍でも繰り広げられた政権に近い大企業による中抜き。だが、安倍・菅政権によるコロナ対策の問題は、もちろん税金の無駄遣いだけではなかった。いまこそ思い出すべきは、安倍・菅政権によるコロナ対応は「棄民」政策にほかならないものだった、ということだ。
 それは、この間、安倍・菅政権の閣僚たちが吐いてきた暴言を見ても一目瞭然だ。たとえば、厚労省が昨年2月に示した「37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合」という「相談・受診の目安」によって多くの犠牲者が出たが、厚労相だった加藤勝信(岡山5区)は、“目安なのに基準のように扱われた”として「我々から見れば誤解」などと責任を国民になすりつけてみせた。
 また、コロナ担当で経済再生相だった西村康稔(兵庫9区)は今年7月、酒類提供の停止に応じない飲食店に対して融資をおこなう金融機関から「働きかけ」を求めると宣言。この発言には反発が巻き起こり翌日には撤回に追い込まれたが、資金繰りが厳しい飲食店に対して融資する銀行などの金融機関を使って恫喝をかけさせようとは、完全にヤクザの発想だ。
 さらに、最近も「温暖化のおかげで北海道の米がうまくなった」と暴言を吐いたばかりの麻生太郎(福岡8区)にいたっては、10万円の特別定額給付金について昨年10月に「お金に困っている方の数は少ない」「個人の貯金に回っただけ」などと言い、厳しい生活を強いられている国民を無視した上に、今年3月には「(マスクについて)いつまでやるの? これ」「あんたら新聞記者だから、それくらい知ってんだろ」と報道陣に詰め寄ったり、今年9月にもコロナについて「まがりなりにも収束」と発言するなど、数々の辞任級の暴言を飛ばしつづけてきた。

安倍元首相の無能なコロナ対応で、日本は東アジアワースト1の死者数に
 だが、そんななかでも国民感情を逆撫でしてきたのが、安倍元首相だ。
 思えば、国内におけるコロナの最初期の「ダイヤモンド・プリンセス号」で死者が出たその夜に、信じがたいことに安倍元首相は自民党の城内実(静岡7区)、池田佳隆(愛知3区)、石川昭政(茨城5区)、長尾敬(大阪14区)、簗和生(栃木3区)、山田賢司(兵庫7区)といった粒ぞろいの極右議員や評論家の金美齢氏と高級鉄板焼き会食をおこなっていたことからも安倍元首相のコロナ軽視ははっきりとしていたが、保護者のフォロー体制も打ち出すことなく唐突に一斉休校を決めたり、ドヤ顔で「アベノマスク」配布を宣言したりと、その無能ぶりを遺憾なく発揮。その上、無神経ぶりを露呈させたのが、国民が苦しい生活を強いられているなか、自宅で優雅にくつろぐ様子を公開した星野源の「うちで踊ろう」便乗コラボ動画問題だろう。
 そして、この安倍政権において、とにかく国民の命と健康を守る気がさらさらないという棄民姿勢が鮮明になったのが、前述した「相談・受診の目安」だ。これにより、多くの人が早期に検査・治療を受けられず重症化して死亡するケースを引き起こしたばかりか、先進国ではほとんど類を見ない「PCR検査の抑制」という方針が打ち出され、いまだに「無症状でも、無料でいつでも検査が受けられる」体制はほぼ整備されないままになっている。挙げ句、検査も受けられない上に医療資源も脆弱ななかで、感染拡大を招くことが明白な「Go Toキャンペーン」に巨額を注ぎ込んだのだ。
 こうした安倍・菅政権のトチ狂ったコロナ対応によって、日本は膨大な犠牲者を出してしまった。欧米と比較して「日本はコロナをかなり抑え込んだ」などと主張する声があるが、同じ東アジア地域の韓国・中国・台湾・香港で比較すると、人口100万人あたりの累計感染者数でも累計死者数でも、日本はワースト1の最悪の状態。コロナ被害と経済被害を数値化して各国のコロナ対応を総合評価したニッセイ基礎研究所による「コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?-50か国ランキング」(2021年5月更新版)でも、中国が1位、香港が9位、韓国が10位と並ぶなか、日本のランキングはぐっと下がって29位となっている。安倍も菅も感染拡大の防止や医療提供体制の拡充もそっちのけで経済を最優先させてきたというのに、近隣地域で比較すると、経済面でも最悪の結果になっているのだ。
 他方、ワクチン2回接種率が70%を超えたことを菅政権の成果として評価する声もあるが、接種開始が遅れたことと7月からの国のワクチン供給不足によって接種がペースダウンしたことにより第5波では現役世代の重症化や死亡を招いてしまった責任を忘れてはいけない。つまり、安倍・菅政権のコロナ対応は、あらゆる意味で大失敗だったのだ。

岸田首相も公的病院でコロナ対応と言いつつ、安倍・菅政権時代の「20万床病床削減」引き継ぎ 
 無論、こうした対コロナの無能ぶり、危機感のなさは、岸田文雄首相(広島1区)にもすでに引き継がれている。その最たる例が、医療費を削減するために公立・公的病院の統廃合を進めて急性期の病床数を20万床減らすという「地域医療構想」なる制度の継続だ。安倍政権ではコロナによって病床不足が叫ばれている最中にも病床を削減した病院に補助金を付け、菅政権ではその補助金の財源を全額消費税で賄うための法改正まで強行した。
 今回の選挙では立憲民主党が選挙公約で「地域医療構想」の抜本的な見直しを、日本共産党は切り捨てられつづけてきた医療と公衆衛生を再生させるために予算を2倍にすることを打ち出しているが、一方、岸田首相はこの「地域医療構想」なる病床削減政策を撤回していない。ようするに、あれほど病床不足が叫ばれてきたというのに、安倍・菅路線を引き継ぐ、というのである。
 救うことができたかもしれない多くの命が失われ、生活困窮者の支援や医療提供・検査体制の拡充に使われるべき税金が電通などの大企業によって中抜きされ、首相をはじめとする閣僚が国民をバカにしたような言動を繰り返し、いまだに誰でも無料ですぐに検査が受けられないばかりか、今後も病床を削ろうとする。これが安倍・菅政権のコロナ対応、そして岸田政権に引き継がれるものなのだ。
 現在は国内の感染者数が減少したために関心が薄れているが、第6波が来たとき、自民党政権がつづくかぎりは国民の命と健康、生活はまたも捨て置かれることになる。事実上の「安倍・菅政権の延長」を望むのか、31日に審判を下さなくてはならない。(編集部)

自民、当落線上に党幹部・閣僚含む104人…「野党一本化」響く

 選挙戦の終盤になって、自民党は単独過半数を大きく上回るとの予想が出される一方で、それを否定する予想も出ています。

 読売新聞は、自民党の単独過半数が微妙な情勢になっているとして、「当落線上に党幹部・閣僚含む104 ~ 」との記事を出しました。
 実際に元閣僚の大勢や石原伸晃氏あるいは甘利幹事長などの党幹部連中も相当危ういということで、必死の選挙運動を展開しているようです。
 日刊ゲンダイも、「自民長老候補21人が“討ち死に”危機! ~ 」という記事や「焦る甘利幹事長“ナルシスト選挙ポスター”全面張り替え ~異例の地元ベタ張り」という記事を出しました。併せて紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[スキャナー]
自民、当落線上に党幹部・閣僚含む104人…「野党一本化」響く
                            読売新聞 2021/10/29
立民5割近く横一線
 読売新聞社の衆院選終盤情勢調査で、自民党は単独過半数(233)が微妙な情勢となっている。当落線上で党幹部や閣僚も含めて104人が競り合っており、予断を許さない状況だ。立憲民主党も5割近くが横一線の争いで、接戦区の勝敗がカギを握りそうだ。(政治部 工藤淳、森山雄太)

危機感
 「北海道から沖縄まで、どの選挙区も大接戦が続いている。皆さんの力で押し上げていただき、勝利を与えていただきたい」
 岸田首相(自民党総裁)は28日、秋田県大館市で演説し、危機感をあらわにした。首相はこの日、青森や秋田、石川各県の接戦区を中心に回った。
 首相は今回、就任から10日で衆院解散に踏み切り、超短期決戦に臨んだ。自民内には新内閣発足の「ご祝儀相場」を当て込む向きもあったが、24日の参院静岡、山口両選挙区の補欠選挙は自民の1勝1敗に終わり、「早くも相場が崩れ始めた」(党幹部)との声が漏れる。期待した追い風は吹かず、地力を問われる選挙となっている。
 立憲民主党が共産、国民民主、れいわ新選組、社民の4党と213選挙区で候補者を一本化した影響も大きい。前回2017年衆院選では野党候補が乱立して自民に有利に働いたが、今回は132選挙区で事実上の与野党一騎打ちの構図に持ち込まれた。自民の小選挙区候補277人のうち、当落線上にいる104人の中には党幹部や閣僚も含まれ、その多くは野党統一候補と争っている

甘利氏も
 象徴的なのが神奈川13区だ。自民の甘利幹事長は立民の 太ふとり 栄志氏と横並びのまま、終盤にもつれ込んだ。全国を応援で回っていた甘利氏も28日は地元の神奈川県大和市に入り、「自民党改革をして、必ずこの日本を再興してみせます」と声を張り上げた。
 福島2区でリードしていた根本匠・元厚生労働相は立民の馬場雄基氏の猛追を受け、互角の戦いに持ち込まれた。東京5区では立民の手塚仁雄氏と自民の若宮万博相、静岡8区では立民の源馬謙太郎氏と塩谷立・元文部科学相がデッドヒートを繰り広げている。
 東京8区で苦戦を強いられている自民の石原伸晃・元経済再生相のもとには27日、首相が応援に入り、テコ入れを図ったが、共産の支援を受ける立民の吉田晴美氏がやや抜け出した。

「風」吹かず
 ただ、立民にも「風」は吹いていない。小選挙区に立つ214人の立民候補のうち、優位に戦いを進めているのは序盤から微増の37人にとどまり、94人は引き続き接戦となっている。大物候補が激戦を強いられているのも自民と同様だ。
 岩手3区では、当選17回を誇る小沢一郎氏が自民の藤原崇氏に接戦に持ち込まれた。小沢氏は公示日の19日、全国遊説ではなく、地元で第一声に臨んだ。後援会も「初日の地元入りは初当選以来」と驚くほどだ。福島3区では、小選挙区で7回連続当選の玄葉光一郎・元外相が自民の上杉謙太郎氏と接戦を演じている。
 立民の枝野代表は28日、長野県や埼玉県、東京都の接戦区を回って追い込みを図った。長野県小諸市でマイクを握った枝野氏は、「私たちには具体的なプランがある。ぜひ実行させてほしい。政治を変えるしかない」と政権交代の必要性を訴えた。
        (以下は非公開 残り:661文字/全文:2251文字


自民長老候補21人が“討ち死に”危機! 大臣経験者3人は負ければ「無職」に転落確定
                         日刊ゲンダイ 2021/10/29
 衆院選投開票まで29日を含め残すところ3日。選挙戦はいよいよ最終盤だ。「自民が単独過半数確保の勢い」などと報じられているが、党の長老議員の多くが“討ち死に”危機に瀕している
                ◇  ◇  ◇
 日刊ゲンダイは、投開票日時点で70歳以上の38候補をピックアップ。政党やメディアの世論調査をもとに情勢を分析すると、半数を超える21人が大激戦を展開している(別表)。大臣経験者も多く、落とせば、岸田自民に大打撃は必至だ。
 “討ち死に”候補の筆頭は、五輪相時代に珍答弁を繰り返し、辞任に追い込まれた千葉8区の桜田義孝氏だ。野党一本化の「桜田包囲網」により、約20ポイントもリードされている。
 次いで危ないのは、地方創生相の就任会見で政策について「これから勉強させていただきたい」とポンコツを自認していた長崎4区の北村誠吾氏。自民県連も不満を爆発させ、党本部に前県議会議長の公認を申請していたが、北村氏とは同じ派閥の岸田首相の“ご意向”が働き、解散翌日の土壇場で北村氏に公認が下りた。地元自民がバラバラで野党候補に水をあけられている。


地元自民の足並みが揃わない選挙区も
 福岡5区の原田義昭元環境相も公認争いで揉め、地元自民の足並みが揃わない。野党候補と横一線の戦いだ。千葉10区から出馬している林幹雄元経産相は、二階前幹事長の通訳兼付き添い役だ。地盤を譲る気でいた県議の長男に女性スキャンダルが炸裂。野党候補に引き離されつつあり、世話係を失う二階氏にも大打撃だ。
 北村氏、原田氏、林氏は党の定める「73歳定年」制度にひっかかり、比例重複立候補が許されなかった。負ければ比例復活できず「無職」に転落確定だ。
 “維新王国” の大阪では2918区の3長老が厳しい。いずれも維新候補に大幅にリードされている」(府政関係者)
 危機感が相当あるのだろう。29日は岸田氏自ら、鹿児島2区の金子万寿夫氏、千葉10区の林氏の応援に入る。28日は秋田2区で元法相の金田勝年氏の応援に駆けつけた。自慢の “岸田ノート” には長老21人の “延命” 策が書いてあるのかもしれないが、果たして、巻き返しなるか。


焦る甘利幹事長“ナルシスト選挙ポスター”全面張り替え 応援そっちのけで異例の地元ベタ張り
                          日刊ゲンダイ 2021/10/29
 甘利幹事長が消えた。自民党は公式サイトに岸田首相をはじめ、幹部クラスの全国遊説日程を連日掲載しているが、28日分から甘利氏の名前が抜け落ちた
 その姿は地元・神奈川13区(大和市など)にあった。東急・小田急両線が乗り入れる「中央林間」駅。選挙区内の主要駅前で甘利氏はナント、朝6時半から道行く人々に頭を下げていたのだ。
「選挙活動で拡声器を使えるのは、公選法の規定で午前8時から。その1時間半前からマイクも握らず“朝立ち”とは驚きました」(地元住民)
 その後も数カ所で街頭演説をこなすなど精力的に動いたが、甘利氏は「党の顔」である幹事長。同僚の応援に全国を駆けずり回る立場だ。本人も地元決起大会を開いた21日には、自身のツイッターにこう投稿していた。
〈選挙期間中地元に入れるのは今日の2時間だけ。よってタスキをかけるのもこの2時間だけ。コスパの悪い選挙備品だね。でもその分、同志の応援に全国を走り抜けます〉
 その1週間後に余裕の“つぶやき”を撤回し、異例中の異例の地元入り。何があったのか。
「甘利さんは『隣の選挙区の自民候補が危ないから』と言い訳しているようですが、間違いなく自分の選挙のためです。あるメディアの情勢調査で立憲新人で一騎打ちの太栄志候補に猛追されていることに相当ショックを受けたらしい。他人の応援をしている場合ではないと、選挙戦最終日の30日まで地元に張り付く予定です」(自民党関係者)

■「デス応援」消滅に同僚は安堵感
 選挙終盤に2時間どころか、3日間も地元ベタ張りとは甘利氏の焦りが手に取るように分かる。モノトーンで渋く決めた選挙掲示板の“ナルシスポスター”(写真上)も評判が悪いのか、全面張り替え。オーソドックスな選挙ポスターに直した。
 甘利氏が応援に入っても常に口利きワイロ疑惑がつきまとい、逆効果。「応援を受け入れれば無党派層が離れる」と“デス応援”に戦々恐々だった自民候補は、ホッとしているに違いない。