2022年9月30日金曜日

安倍元首相は 犠牲者たちを悼む気持ちのない 冷淡な政治家(LITERA)

 国葬反対の世論の盛り上がりの中で、有本香氏「国葬反対派は極左暴力集団」は問題外にしても、安倍応援団は「亡くなった人を悼む気持ちがないのか」などと攻撃しました。
 LITERAが、それは的外れな攻撃であって、安倍元首相こそ自らの政治の犠牲になった国民に寄り添うことも悼むこともしない冷淡な政治家だったということを具体例を挙げて反撃しました。
 何故そんなに冷淡であったのかに関して、臨床心理学・犯罪心理学を専門とする原田隆之・筑波大教授が、かつて、麻生大臣には2つの力:「認知的共感性」と「情緒的共感性」が圧倒的に欠如しているとする興味深い記事を出したことが思い出されます。
    ⇒(18.5.19) 問題発言の麻生大臣に圧倒的に欠如している2つの力
 「認知的共感性」は相手の気持ちを頭で理解することのできる能力、「情緒的共感性」は相手の心情を頭で理解するだけではなくそれを追体験し同じように感じ取る能力のことで、幼児の時期に親が放任していた場合や、無神経な発言をしてもそれが許される環境で育ったような場合「認知的共感性」は育たないだろうと述べています。
 「情緒的共感性」については何故か言及がありませんでしたが、「共感性」もトレーニングに依存する部分があるので同様なのではないかと思われます。
 麻生氏の欠点はそのまま、養育係に育てられ実父から「言い訳の天才」と言われたという安倍氏にも共通しているように思われます。
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国葬で安倍応援団「悼む気持ちないのか」に騙されるな 安倍元首相こそ災害や政治の犠牲者を「悼む気持ち」のない冷淡政治家だった
                            LITERA 2022.09.27
 本日27日、ついに安倍晋三・元首相の「国葬」がおこなわれる。すでに指摘されてきたように、今回の国葬には法的根拠がなく、岸田文雄首相は国権の最高機関である国会での審議もおこなわないまま閣議決定だけで強行しようとしている。つまり、行政権の濫用によって巨額の税金を投入してまで故人の神格化を図ろうとしているのだ。
 さらに、各社世論調査で過半数以上の人々が反対の意思を示している理由は言うまでもなく、次々に明らかになっている安倍元首相と統一教会とのかかわりについて調査もせず、蓋をしたまま国葬を実施しようとしている点にあるだろう。
 ところが、国葬賛成派の安倍応援団たちは、こうした国葬反対の理由をまるで無視。有本香氏にいたっては「国葬反対派は極左暴力集団」(飛鳥新社「月刊Hanada」11月号)などとわめいている。
 まったく何を言っているのだろう。世論調査で半数以上が反対しているというのに「反対派は極左暴力集団」って、それならばこの国ではとっくに暴力革命が起こっているはずで、噴飯モノのレッテル貼りとしか言いようがない。
 しかし、こうしたおバカ妄想発言よりもっと悪質なのが、「葬儀のことをあれこれ言うのはおかしい」「亡くなった人を悼む気持ちがないのか」という論理で反対派を封じ込めようとする連中だ。
 三浦瑠麗氏などはその典型で、9月24日にも〈殺された人と遺族の思いには寄り添わず、殺した人の思いにばかり寄り添ってきたのが、この夏の日本でした〉とツイートしていた。
 三浦氏の場合は、森友公文書改ざん問題で近畿財務局の赤木俊夫さんが自殺した際、「この問題っていうのは人が死ぬほどの問題じゃない」などと、「寄り添う気持ち」どころか故人と遺族を傷つけるようなコメントをしておいて、何を言っているのか、という話だが、ほかにもテレビでは同様のコメントが飛び出している。
 25日放送の『サンデーLIVE!!』(テレビ朝日)では、東山紀之が安倍元首相を悼むことの大切さを語り、和田アキ子も同日放送『アッコにおまかせ!』(TBS)で「お亡くなりになった方の葬儀にどうのこうの言うのは、それはちょっとね。お亡くなりになった方やご家族に失礼だと思う」などと述べた。こうしたコメントは本日の国葬特番でもコメンテーターたちから飛び出すだろう。
 しかし、これ、問題のスリカエ以外の何物でもない。そもそも安倍元首相の葬儀・告別式はすでに7月に執り行われており、それについては誰も批判していない。反対する人々が問題にしているのは、繰り返しになるが、税金を使った公的行事として「国葬」を国会での審議も統一教会との関係についての調査も一切おこなっていないまま強行することなのだ。
 デュープロセス⇒法的手続きを無視した国葬の実施を認めることは民主主義に反する重大な問題があり、「悼む気持ち」などという感情論で片付けることはむしろ、けっしてあってはならないだろう
 しかも、こうした「安倍元首相を悼む気持ちはないのか」「亡くなった人や遺族に寄り添わないのはおかしい」いう主張に対して言っておきたいのは、安倍元首相こそ、自らの政治の犠牲になった国民に寄り添うことも、悼むこともしない政治家だったという事実だ。
 安倍政権下では、さまざまな災害や事件が起こり、多くの国民が被害にあったが、安倍元首相は総理大臣という立場にありながら、国民の生命を守る責務を放棄し、犠牲者の死を悼むことなく冷淡で無責任な態度をとってきた。この機会に、あらためて安倍元首相の言動を振り返ろう。

高橋まつりさんの過労自殺を悪用して「高プロ」導入、過労死遺族の面会要請を無視して財界人と乾杯
 安倍首相は2017年2月、過労自殺した電通の高橋まつりさんの母親と面会し、まつりさんとの思い出話を「首相は涙ぐみながら聞いた」と報じられ、長時間労働の是正を「なんとしてでもやります」と述べたと伝えられていた。だが、翌2018年になると、安倍政権は長時間労働や過労死を助長する「高度プロフェッショナル制度の創設」を盛り込んだ働き方改革一括法案を野党の反対を押し切って強行採決、成立させた。まつりさんの母親も「全国過労死を考える家族の会」も過労死防止に逆行するとして高プロ創設に反対を表明しているなかで、である。
 しかも、「家族の会」が安倍首相との面談を希望すると、安倍首相はこれを拒否。2018年5月23日の衆院厚労委員会では、過労死遺族が傍聴するなか、当時国民民主党所属の柚木道義衆院議員が「直接、安倍総理とお会いしたいとおっしゃっているんです。加計理事長と同じ15分でも、せめて15分でも会えないんですか」と安倍首相に訴えたのだが、安倍首相は質問されているのに答弁に立たず、加藤勝信厚労相が面会の話とは違う答弁をはじめる始末。その上、安倍首相は事も無げに「柚木議員の話は、まるで高プロを導入すると、過労死が増えるかのごときのお話」などと言い放ったのだ。
 そればかりか、同年6月26日の参院厚労委員会では、過労死遺族が傍聴しているのに、野党からの質問に対し、加藤厚労相と一緒になって安倍首相は口を開けて大笑いする場面さえあった。
 しかし、もっとも安倍首相の冷酷さを露わにしたのは、過労死遺族からの面会を拒否した日の過ごし方だった。前述した5月23日、安倍首相が遺族の面会を拒否して向かった先は、銀座の料亭「東京吉兆」。安倍首相はここで、経団連の今井敬、御手洗冨士夫・両名誉会長らと会食をおこなったのだ。
 高橋まつりさんの過労自殺を「働き方改革」の宣伝として使い倒し、時間外労働の上限規制と高プロ創設をセットにすることで本質をはぐらかし、過重労働で死に追い込まれたまつりさんの事件を過労死を合法化するために利用した上、そのことに批判が高まると面会を拒絶して経済界の大物たちと乾杯する──。あまりに非道と言わざるを得ないが、過労死遺族が指摘してきた不安は的中。東京新聞は今年7月、〈高度プロフェッショナル制度で、会社にいる時間と社外で働く時間が「過労死ライン」を大幅超過する労働者が続出していることが判明〉と伝えている。

原爆被害者の要望を拒否しながら、SNSでは被爆者幹部とのツーショットを悪用して“印象操作”
 首相在任中、広島と長崎の原爆被害者の思いを踏みにじってきた安倍首相。慰霊の式典では毎年のように“ほぼコピペ”の文章をただ読み上げてきたが、それだけではなく、それまで慣例として広島・長崎でおこなわれてきた被爆した人たちの暮らす原爆養護ホームの訪問を2018年を除いてサボりつづけ、2014年には訪問をドタキャンした挙げ句、戻った東京では歯の治療と美容室で散髪をするという信じがたい行動に出た。2018年に訪問したのも、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が長崎の式典出席や被爆者との面会を予定しているため、自分が被爆者との面会をしないわけにはいかなくなってのことだと見られている。
 だが、この年、安倍首相は絶句するような酷い言動に出た。
 2018年の広島での式典後におこなわれた被爆者7団体との「被爆者から要望を聞く会」では核兵器禁止条約への署名・批准を求める声があがったが、安倍首相は「参加しない考えに変わりない」と拒否。しかし、このあと安倍首相は、TwittertとFacebookの公式アカウントに、広島県原爆被害者団体協議会の坪井直理事長(2021年に死去)とにこやかに握手する写真とともに、こう投稿したのだ。
〈「ネバーギブアップで頑張っていく」20歳の時、広島で被爆した坪井さんの言葉です。唯一の戦争被爆国として、我が国は、核兵器国と非核兵器国双方の橋渡しに粘り強く努めながら、「核兵器のない世界」の実現に向けて、一層の努力を積み重ねてまいります〉
 坪井理事長はこの日の「要望を聞く会」で、「原爆は人間の悪知恵が作ったもの。われわれが核兵器をなくすような力を発揮しなきゃいけない」と主張し、核兵器禁止条約を批准するよう求めた。それを無下に拒否しておきながら、自分があたたかく手を差し伸べる写真を投稿して、あたかも被爆者の要望に応えているかのような“印象操作”をSNSで発信したのである。被爆者を裏切る行為であり、冷酷にも程があるだろう。
 しかも、広島につづいて長崎でも安倍首相は被爆者の思いを無視。長崎での式典のあと、安倍首相は長崎の被爆者5団体と面会したが、団体側から安倍首相に手渡した要望書には急遽、手書きで「総理大臣は、あいさつの中で核兵器禁止条約に一言もふれていませんが、その真意をまとめの発言で述べていただけないでしょうか」と書き加えられた。しかし、安倍首相はそれでも、最後まで核禁止条約に触れない理由を一切答えなかった。被爆者団体側の最低限の要望さえ、安倍首相は踏みにじったのだ。

死者230人以上の西日本豪雨のさなかに「赤坂自民亭」参加、翌日にも極秘で総裁選の選挙運動を優先
 2018年7月の西日本豪雨での死者は230人以上(令和元年版 防災白書)にもおよび、1982年の長崎大水害に次ぐ被害が出るという平成で最悪の事態となったが、対策をとるべきタイミングで「赤坂自民亭」なる内輪の宴会に安倍首相が人気の日本酒・獺祭を持参し参加していたことは大きな批判を浴びた。
 それは人命軽視と言わざるを得ないものだった。「赤坂自民亭」がおこなわれた7月5日の14時には気象庁が「厳重な警戒が必要」と異例の緊急会見を開き、実際に同日には避難勧告が数十万人におよんでいた。にもかかわらず、自民党は左藤章衆院議員(当時)いわく「酒飲んで、ワァーっというだけ」の宴会を開催し、安倍首相も総裁選対策として参加。宴が終わると、安倍首相は記者に「(赤坂自民亭は)和気あいあいでよかった」などとノーテンキな感想を口にしたのだ。
 しかも、翌6日には被害はどんどんと拡大していったが、安倍首相は7日の午前中に関係閣僚会議を15分間開いただけで、その後は私邸に帰宅。非常災害対策本部を立ち上げたのは8日午前8時。あきらかに初動が遅れに遅れたというのに「救命救助、避難は時間との戦い」と言い出し、その後も初動対応の遅さを指摘されると「政府として一丸となって、発災以来、全力で取り組んでまいりました」などとうそぶいたのである。
 だが、問題は初動が遅れた原因だ。「赤坂自民亭」に参加した翌日6日の首相動静では、公邸で18時49分から規制改革推進会議の大田弘子議長や議長代理のフューチャー会長・金丸恭文氏、梶山弘志規制改革担当相らと会食し、20時4分に終了し、安倍首相は公邸泊となっていた。だが、日本テレビの報道によれば、じつはこの日の夜、自民党の無派閥議員が乗った車が公邸に入っていく様子を確認。その上、そこには菅義偉官房長官の車もあり、公邸では「菅長官が自らとりもった、安倍首相と無派閥議員の極秘会合」がおこなわれたというのだ。無論、この極秘会合の目的は、総裁選3選に向けた、無派閥議員の囲い込みだった。
 この問題の7月6日といえば、午後から広島県内では土砂崩れがさまざまな場所で発生し、夕方には福岡県と佐賀県、長崎県に大雨特別警報が発令。気象庁は「これまでに経験したことのないような大雨」「重大な危険が差し迫った異常事態」「土砂崩れや浸水による重大な災害がすでに発生していてもおかしくない状況」と呼びかけていた。安倍首相はこうした情報を知らなかったわけではなく、事実、この6日の午後、安倍首相は7・8日に総裁選のための地方行脚として予定していた鹿児島・宮崎県への訪問を〈現地での捜索活動などに悪影響を与えてはいけないと判断〉(時事通信より)して取り止めたことを公表していた。ようするに、「捜索活動」がおこなわれる深刻な事態であることを理解していながら、自分は公邸で総裁選のための極秘の選挙運動に勤しんでいたのである。
 災害対応よりも総裁選の選挙運動を優先させる。西日本豪雨は、私利私欲で行動する安倍首相の無責任さがもたらした“人災”だと言うべきだろう。

森友問題で赤木さん自殺の原因を作りながら、「手記には書かれていない」とフェイク主張で赤木夫妻を冒涜
 安倍元首相がいかに「悼む気持ち」に欠いていたのか。そのことを象徴するのは、やはり森友学園問題で公文書改ざんを強要されて自殺に追い込まれた赤木俊夫さんと妻・雅子さんへの態度だ。
 森友公文書の改ざんがはじまったきっかけは、言わずもがな、安倍首相が2017年2月17日に国会で言い放った「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」という発言であり、その点は財務省の調査報告書でも事実上認定している。だが、問題の元凶である安倍元首相は、最後まで俊夫さんと雅子さんを冒涜するような言動を繰り返した。
 そもそも、2020年3月に赤木俊夫さんの遺書と手記が公開された際には、安倍首相は「胸が痛む」などと言いながら、「麻生大臣のもとで徹底的に調査し明らかにした」として再調査を拒否。その上、同年3月19日の参院総務委員会では、改ざんのきっかけが安倍首相の「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」発言だったと指摘されると、「改ざんのターニングポイントとなったのは2月17日の発言だったとは手記のなかには(書かれて)ない」と言い出した。
 この安倍首相の卑劣な態度に対し、雅子さんは直筆の文書を公表。そこにはこう書かれていた。
〈安倍首相は、2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました。麻生大臣は墓参に来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げました。この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います。〉
 しかし、信じがたいことに、安倍首相は「安倍首相の国会発言が改ざんが始まる原因をつくった」とする雅子さんの反論がおこなわれたあとも、国会で「手記には書かれていない。(手記を)読まれたんですか?」などと連発。こうして赤木さん夫妻を冒涜しつづけたのだ。
 いや、そればかりか、国賠訴訟で雅子さんが求めていた「赤木ファイル」の開示についても、安倍氏は首相在任中、その要求を完全無視。結果として、安倍氏が首相を辞めたあとの2021年6月に開示されるにいたったが、その際、安倍元首相のTwitterアカウントは、安倍元首相と昵懇の産経のネトウヨ記者・阿比留瑠比氏が“野党の追及がしつこいから改ざんがおこなわれた”などと主張するコラム記事を貼った上で、このように投稿したのだ。
〈赤木氏は明確に記している。「現場として(森友学園を)厚遇した事実はない」この証言が所謂「報道しない自由」によって握り潰されています。《秘書アップ》〉
 本サイトでは当時、この主張がいかにフェイクと責任転嫁を目的とした投稿であるかを詳しく指摘したが(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2021/06/post-5931.html)、安倍元首相はこのように、再調査される側だという自身の立場を無視し、改ざんの責任をまったく認めようとはせず、「報道しない自由」だの「野党の追及がしつこいから改ざんがおこなわれた」などというネトウヨを煽るようなフェイクの主張を繰り返したのだ。
 安倍元首相の銃撃事件を受けて、赤木雅子さんは「安倍晋三さんの口から直接、謝罪の言葉を聞けなくなったのは、本当に残念です」とコメント。じつは銃撃される前日の7月7日、雅子さんは参院選の応援演説のために神戸・三宮に駆けつけていた安倍元首相に直接会い、名前を明かさないまま「再調査をしてください」と書いた手紙を手渡したという。そのとき、安倍元首相は「ファンレターかと思われたのか「えぇ、手紙」と喜ばれていました」と雅子さんは語っている(「AERA」9月26日号/朝日新聞出版)。雅子さんは国葬について「私は賛成でも反対でもありません。ただ、疑惑を残したまま国葬されることは安倍さん本人も望んでいないと思います」と述べている

技能実習生の死にヘラヘラ笑いながら「答えようがない」、相模原・障害者殺傷事件も無視
 ようするに、安倍元首相こそが改ざんにいたる原因をつくり、にもかかわらず最期の最期までその事実を認めずに俊夫さんと雅子さんを貶めつづけた。いや、これだけではない。安倍元首相はここに挙げてきた言動だけではなく、死亡した技能実習生の実態を国会で追及された際、ヘラヘラと笑いながら「私はいまここで初めてお伺いをしたわけでありまして、ですから私は答えようがない」と答弁したり、2016年に起きた神奈川県相模原市の障がい者福祉施設「津久井やまゆり園」での入所者19人が殺害された事件でもお見舞いのツイートをせず、ヘイトクライムを厳しく批判することもしなかった。このような人命を軽んじる安倍元首相の態度は、排外主義や差別を助長させ、いまにつながっている
 このように、「悼む気持ち」どころか、国民の生命を守るという責務さえ果たさず、その態度でさまざまな被害者・遺族を傷つけ、さらなる被害者を出す政策を主導してきたのが、安倍晋三という政治家なのだ。
 そんな人物に弔意を事実上強要しようとする「国葬」を実施することには、真正面から反対と言わなければならないだろう。(編集部)

世紀の愚行でわかったこと 安倍政治を否定できない自民党政権の絶望

 岸田政権は、国葬問題ですっかりミソをつけました。しかしそれはキッカケであって岸田政権の無為無策の数々がクローズアップされ、世論がすっかり不支持に向かったのでした。
 折しもアベノミクスの大破綻が明らかになりました。それは何と言っても安倍氏の責任なのですが、同時にそれを擁護してきた自民党の責任でもあります。
 10月3日に始まる臨時国会では国葬、旧統一教会、物価高、東京五輪汚職等々、追及される材料に事欠きません。
 特に統一教会問題では、茂木幹事長の言葉とはウラハラに、やはり安倍氏を軸にして自民党とべったりの関係にあったことが明瞭になりました。ところがこれだけ国民の大批判を浴びても、自民党が教会と決別するのかがいまだに見通せません。その辺りにまさに自民党の「限界」があるのでしょう。
 日刊ゲンダイが「 ~ 安倍政治を否定できない自民党政権の絶望」とする記事を出しました。
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世紀の愚行でわかったこと 安倍政治を否定できない自民党政権の絶望
                         日刊ゲンダイ 2022/09/29
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 いやはや、予想通りと言えばいいのか。
 27日、東京・千代田区の日本武道館で強行された安倍晋三元首相の国葬のテレビ中継を見ていて、正直、日本人であることを恥ずかしいと感じた国民も少なからずいただろう。
 国全体が悲しみに包まれ、厳粛な雰囲気の中で行われた故エリザベス女王の国葬と比べて、あまりにもグダグダで、ショボかったからだ。
 エリザベス女王の国葬では、参列者はもちろん、棺を乗せた車を沿道で見送る人々も静かに弔意を表していた。ところが、安倍の国葬の参列者の中には、祭壇に掲げられた安倍の遺影をバックにスマホで自撮りしてSNSに投稿したり、自席で居眠りしたり……。しまいには、献花を終えたとみられる人の怒声や、「儀仗動かして!」「(バスを)出して!」などと進行にテンヤワンヤになっているスタッフの金切り声がそのまま中継で流れる場面もあった。
 もはやドタバタ劇と言っても過言ではなかった国葬。日本政府の熱烈ラブコールに応じて参列した海外の要人たちも、「これがG7の国葬なのか」と呆れ、疑問を抱いたに違いない。

安倍国葬とは議会制民主主義の葬式
 もっとも、こういうみっともない事態になったのも当然の流れと言っていい。新聞、テレビは「賛否割れる国葬」などと報じているが、各メディアの世論調査では6~7割が反対。つまり、「割れる」なんてレベルじゃなかった。
 野球の試合に例えれば、どう見ても「コールドゲーム」なのに「拮抗したゲーム」などと報じられているようなもの。ついでに言えば、ルール無視の八百長試合で大惨敗しているチームのくせに、まるで勝っているかのごとく試合を続けているのだから、球場全体が怒りに包まれるのも当たり前。そんなパチモン国葬が厳粛な雰囲気になるはずがない。
 岸田首相は安倍の国葬について、「敬意と弔意を国全体として表す国の公式行事」と説明してきたが、「国の公式行事」であるならば、当然、国会の同意や主権者である国民の理解は不可欠だろう。「閣議決定で決めちゃったから」などと強行していいわけがない
 自民党の萩生田政調会長は27日の国葬後、「閣議決定の手続きに間違いはなかった」「国民に国葬に取り組む政府の思いが上手に伝わらなかった」と釈明していたが、そうじゃない。そもそも一内閣の閣議決定で何事も強行する強引な政治手法そのものが大間違いなのだ。
 国会を開かず、やっと開いたと思ったら、少数野党の意見には全く耳を傾けず、議論を軽視し、歴代内閣が築き上げてきた憲法や法律の解釈を「閣議決定」の名のもとにあっさりと変える。「世紀の愚行」とも言うべき今回の安倍国葬で分かったことは、醜悪な「安倍(アベ)政治」が、安倍亡き後の今もなお続いているということだ。
 衆院事務局に30年余り勤め、55年前の吉田茂元首相の「国葬」に関わった経験を持つ元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「反対世論を無視し、野党の意見も聞かない。法的な根拠もない。国会の同意もない。そんな状況で強行された葬儀のどこが国葬と言えるのか。安倍氏の国葬とは、日本の議会制民主主義の葬式。もっと踏み込むのであれば、自民党の生前葬と言っていいかもしれません」

臨時国会の追及材料は国葬、旧統一教会、物価高、東京五輪汚職
「石が流れて木の葉が沈む」「無理が通れば道理が引っ込む」──。
 第2次安倍政権以降、うんざりするほど見せつけられてきた民主主義破壊の「アベ政治」。黒を白という説明など、できっこないのに無理筋の屁理屈をこね上げ、自分たちに都合のいいように論点をずらし、「やる」と決めたら憲法や法解釈のねじ曲げもへっちゃらで、何が何でも突き進む独裁
 結局、安倍の国葬も同じで、岸田は最大派閥「安倍派」の保守系を取り込みたい、政権の基盤を安定させたいという私利私欲で突っ走った。
 もちろん最初から「やる」と勝手に決め、理由は後からどうとでもなると考えていたのだろう。
 国葬で安倍を美化礼賛し、神格化する声が高まれば、政府の姿勢に反対を示す世論を封じ込められる上、これまで以上に好き勝手にできる。おそらく、岸田の思惑はそんなところだったろう。
 だが、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着問題が浮上。算段が狂ったために慌てて、「民主主義を守り抜く」「弔問外交」といった詭弁でゴマカさざるを得なくなったのだ。
 現職の総理大臣でも、参院選候補者でもない男が、テロとは異なる「個人的な恨み」を買って銃殺される事態となった根本的な原因は何だったのか。
 今後、二度と同様の惨劇が起こらないようにするため、政権与党、公党として、どう取り組むべきなのか。岸田が本気で「民主主義を守る」と言うのであれば、今こそ与野党の垣根を越えて事件と向き合い、問題点をあぶりだし、改善策を打ち出すべきだろう。だが、政権にそんな姿勢はみじんも感じられない。

「アベ政治」を礼賛する「腐ったリンゴ」議員
 松野官房長官は28日、衆参両院の議院運営委理事会にそれぞれ出席し、臨時国会を10月3日に召集すると伝達。7月の参院選後、初の本格論戦を迎えることになるが、例によって国葬と同様、ダラダラと詭弁を弄して乗り切る考えではないか。国民生活を苦しめる最大の元凶となっているアベノミクスという亡国の金融緩和策も続けるに違いないだろう。
 絶望的な気分になるのは、そんな「アベ政治」を否定する声が自民党内からほとんど聞こえてこないということだ。
 国葬に対しても、意地を見せたのは、安倍を「国賊」と呼んで欠席した村上元行革担当相ぐらい。あとは「腐ったリンゴ」の言葉ではないが、「安倍レガシーをしっかり継承していきたい」(萩生田)、「安倍氏は、その場で理解は得られなくても、後で『よく決断した』と言える判断を次々された」(甘利前幹事長)などと、いまだに言い放っているからクラクラしてしまう。
 こんな調子じゃ、国葬や旧統一教会の問題で岸田が追い込まれ、総理・総裁の座を降りたとしても、次の総裁もこれまた「アベ政治」を引き継ぐお気に入りを後継に選ぶのだろう。まさに国民にとっては、これまでの暴政が永遠に続くことになるわけで、もはや政権交代以外に政治と経済をまともに戻す手だてはないのではないか。
 政治評論家の小林吉弥氏がこう言う。
「岸田政権は当初のもくろみが外れ、国葬強行によって世論から受ける逆風を強めることになりました。臨時国会では、国葬、旧統一教会、物価高、東京五輪汚職……など、野党が追及できる材料がこれまでにないほど、そろっている。まさに政権交代の絶好のチャンスと言っていいかもしれません。野党の本気度が問われています」
「検討する」と言うばかりで、霞が関官僚の間で「遣唐使」などと揶揄する声が出始めた岸田を首相の座から引きずり降ろし、今こそ「アベ政治」に終止符を打つべきだ。

30- パートナーシップ制度と統一協会(上)/富山市議会が統一教会との関係を絶つと宣言

 パートナーシップ制度とは「各自治体が同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度」で、現在、232の自治体(全県実施は9県。人口ベースでは全体の55%)で施行されています。いわゆる同性婚に対しては、統一協会が日本会議と共に反対していて地方議員に様々な働きかけをして来ました。それでも実施自治体は順調に増えています。
 しんぶん赤旗が、「パートナーシップ制度と統一協会」の全3回の連載記事を出しました。
 併せて、「富山市議会28統一協会や関係団体と今後一切の関係を断ち切ることを宣言する決議を全会一致で可決」したというNHKの記事を紹介します。
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パートナーシップ制度と統一協会(上)
    導入先送りされた丸亀市香川県) 自民党系市議との癒着
                       しんぶん赤旗 2022年9月29日
 性的少数者のカップルの関係を自治が公認する「パートナーシップ制度」の導入をめぐって、反社会的カルト集団・統一協会(世界平和統一家庭連合)と自民系地方議員との関係が注目されています。各地の実態を見ました。(3回連載)

 「旧統一協会の月刊誌を2年間購入しました。知り合いから紹介された『世界平和運』の方が私の家に2ヵ月に1度、来るようになり、その名目が月刊誌を持って来ることだったので、気の毒だし、僕も(家にはあまり)いないから、『購読します』といったんです」

月刊誌購読から
 21日夕方、本紙の電話での取材にこう切り出しだのは、香川県丸亀市の松永恭二市長です。月刊誌とは、統一協会が発刊した「世界日報」の『月刊ビューポイント』です。丸亀市議時代2016年度と17年度、「政務活動費」から4回に分けて計1万4400円を支出していたことが本紙の調べでわかりました。松永氏はその事実を認めました。16年度から17年度といえば、パートナーシッブ制度の導入をめぐり、全国的にも丸亀市でも大きな動きがありました。全国ではじめて東京都渋谷区で導入されたのが15年11月。導入のもとになる条例をめぐって、「家庭を守る渋谷の会」と名乗る団体が、「ご存知ですか?放っておくと・・・渋谷が大変なことになります!!」と反対の宣伝・署名活動を行いました。統一協会は、この活動について、「教会員の有志の方々が、ピラを配布したり、署名活動に関わっている」(統一協会公式サイト2015年3月20)と認めています。

「急すぎる」の声
 一方、丸亀市でも、17年度にパートナーシップ制度導入の要綱案を作成。要綱は行政の判断で進めることができるので、18年4月からの導入を予定していました。ところが、同年2月、市議らの「急すぎるとの声で導入が先送りされたのです。
 先の渋谷区での統一協会の動きの中、丸亀市でパートナーシップ制度導入が先送りされ、白系会に所属し、当時市議会議長だった松永氏が統一協会と関係をもっていた事実が明らかになったー。市議会などに、統一協会の立場が持ち込まれたのではないのか。本紙の責問に、松永氏は「関係はまったくない」と否定しました。『ビューポイント』には、パートナーシップ制度を否定する記事が繰り返されていましたが、松永氏は、記憶にあるのは世界情勢の記事だったと、本紙に答えました。
 「ぼくはもともとパートナーシップ制度の導入に賛成だったが、(議長という立場上)それはいわなかったが。21年4月に市長になった直後に担当の人権課に『要綱案はうなているか』と聞きにいった」と促進の立場を説明し、今年6月の議会でも答弁した「来年1月ごろの導入」を強調しました。
(14面につづく)

同性婚導入へたたかい続
 性的少数者のカップルの関係を自治体が公認する「パートナトシップ制度」について、香川県内では、2020年1月に三豊市が初めて導入したのをはじめ今年9月までに15市町が導入。残る直島町も来年4月を予定。2018年2月に、一部市議らの「急すぎる」の声で、準備されていた要綱案が棚上げされていた丸亀市は、包囲される中で来年1月導入の運びとなったのです。
 松永恭二市長は15日の市会答弁で、21年の市長選で統一協命(世界平和統一家庭連合)の関係者から応援を受けたことや、市議だった17年1月に知り合いの依頼で統一協会の関連行事に出席したことなどを明らかにしいます。今後は、統協会とその関連団体とは「いさいの関与を持ない」と答弁しました。しかし、その後に本紙が指摘したように、政務活動費を使っての、統一協会の月刊誌購読が明らかにされましたみずからすべてを明にした上で、「いさいの関与を持たない」と言っているわけではありません。
また統一協会との関係を仲立ちした「知り合い」については、個人名はいえない」として、15日の市議会でも明らかにしませんでした。
 県内すべての某礎自治体が制度を導入したからといって、これでよしというわけにはいきません。
 「転居したときに、改めてから手続きをしなくて済むように、香川県が県単位でパートナーシップ制度を導入してほしい」というのは、三豊市で制度を利用し、「結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟)」の原告でもある田中昭全(あきよし)さんです。
 「パートナーが丸亀市出身。18年にも制度を始めるという約束で行政側と意見交換を重ねていたのに、先送りにされたのは詐欺にあった気分だった。不服はあったが、パートナーと暮らすことになった三豊市でアクシンを起こして県内で最初の導入自治体になった」とこれまでのとりくみを語ります。
 香川県内の自治体によるパートナーシップ制度に関しては一段落つきましたが、香川県によるパートナーシップ髄度や国による同性婚の導入をめぐるたたかいはまだまだ続きます。水下での統協会の動きを明らかにしていくことが避けて通れません。 (つづく)


富山市議会 旧統一教会や関係団体との関係断ち切る宣言の決議
                   NHK NEWS WEB 2022年月9月28日
富山市議会は「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の問題をめぐって、政策立案の判断などに影響が及んでいないかそれぞれの会派がこれまでの関係を調査することや、旧統一教会や関係団体と今後一切の関係を断ち切ることを宣言する決議を全会一致で可決しました。

富山市議会は最終日の28日に本会議が開かれ、旧統一教会や関係団体と今後一切の関係を断ち切ることを宣言する決議を全会一致で可決しました。
決議ではそれぞれの会派が旧統一教会や関係団体とのこれまでの関係を調べ、政務調査活動や政策立案の判断に影響が及んでいないか調査するとしています。
調査結果は会派で取りまとめ議会として公表するとしています。
このほか、霊感商法などによる被害者への支援策を強化することなどを政府に求める意見書も全会一致で可決しました。
  (中 略)
決議が可決されたことを受けて富山市議会の鋪田博紀議長は「社会的に問題のある団体の行事に議員が参加しないことや、事前に団体との関係がわからない行事であっても内容を精査して、影響をしっかり排除していくという基本姿勢が大事だ。また、団体の活動に参加していた人が地域や社会から孤立することがないようしっかり取り組んでいく必要があると思う」と話しています。

2022年9月29日木曜日

「国葬」反対ドキュメント 会場周辺・国会前…各地の声

 安倍晋三元首相の「国葬」が行われた27日。街の人は何を感じ、どう行動したのでしょうか。しんぶん赤旗が全国の動きを追い 時系列で紹介しました。
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「国葬」反対ドキュメント 会場周辺・国会前…各地の声
民意無視の政治 終わらせよう 沖縄踏みつけてきた安倍さんに功績ない
                       しんぶん赤旗 2022年9月28日
 安倍晋三元首相の「国葬」が行われた27日。街の人は何を感じ、どう行動したのでしょうか。全国の動きを追いました。

午前7時半 長野駅前で市民6団体が呼びかけた「国葬」中止を求める緊急共同街頭宣伝が行われ、約80人が駆けつけた。県憲法会議の細尾俊彦代表委員は「安倍政治に敬意を示すことは決してできない」と訴え、日本共産党の武田良介前参院議員、立憲民主党の杉尾秀哉参院議員、社民党県連合代表の中川博司県議が連帯あいさつ。

午前9時半 会場の日本武道館(東京都千代田区)周辺道路は車両規制が行われ、靖国通りの通行止め区間は警察車両や「わ」ナンバーのマイクロバスが止まっている。地下鉄九段下駅は武道館に最も近い2番出口が閉鎖され警官の姿が。コインロッカーも使用不可。

午前11時半 武道館近くの区立小学校に子どもの姿はなく、静まり返っている。公園で子どもを遊ばせていた女性は「『安全のため』だからと今日はオンライン授業。幼稚園も登園自粛です。今日は遠足だったのに…。外は物々しいので子どもをあまり外出させないようにします」。

  諸宗教者が呼びかけた「国葬」閣議決定撤回を求める共同声明の賛同者が2596人に達する。

午後0時15 東京・日比谷公園中幸門前に「国葬」反対デモに出発する市民が集まる。都内の女性(32)は「災害が多発するなど困っている人がいる中で、多額の税金が1人の国葬のために使われるのはおかしい」。

午後0時15 那覇市の沖縄県庁前広場で、沖縄平和市民連絡会などが呼びかけた抗議集会。「沖縄に寄り添うといいながら沖縄を踏みつけてきたのが安倍元総理。許せない」「自民党政権の堕落の極みが国葬だ」とリレートークで批判した。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、渡久地修県議団長らが連帯あいさつ。

スタンディング
 午後0時半 京都市役所前で市民3団体がスタンディングアピール。「国葬反対!」「税金使うな!」などのプラカードを掲げた市民200人が列をつくり抗議の声をあげた。日本共産党の加藤あい市議団幹事長は、公費による市長の「国葬」参列や市庁舎の半旗掲揚、統一協会関連団体とのこれまでの関係を調査しないとする市当局の姿勢を批判。「市民のみなさんと民主主義を守る共闘を広げたい」と表明した。

午後1時半 札幌駅前で「戦争させない市民の風・北海道」が呼びかけた抗議行動に横断幕や手書きのボードを携えた市民ら200人余が集まり、次々にスピーチ。日本共産党から畠山和也元衆院議員、真下紀子道議、千葉尚子市議が参加。

午後1時35 東京・銀座数寄屋橋交差点。デモに参加した都内の女子高校生は自作のプラカードを持参。「安倍元首相と統一協会の関係が明らかになってから政治に疑問を持つようになった。きちんとした説明もなく税金が使われるのに反対」

午後2時 「国葬」が始まって武道館周辺に弔砲の爆音がとどろき、足をすくめる人も。会社が近くという男性(70)は「いい迷惑。こんなこと税金使って何でやるんだよ」と怒り心頭。「日本はこのままじゃ本当にヤバい。経済は低迷するし、沈むよ。若い人たちが心配。自民党のやりたい放題を止めるには野党が一つになって頑張るしかないよ」

反対の意思表す
午後2時 仙台市で「安倍元首相の『国葬』を考える市民のつどい実行委員会」が集会を開き、市内をデモ行進。共同代表の佐久間敬子弁護士は「盛り上がった世論を、安倍元首相の負の遺産である戦争法を発動させず、なくす運動の弾みとしよう」と呼びかけた。参加した女性(53)は「安倍さんは功績なんてないし、私たちの血税を使うなといいたい」。大学1年生の女性は「閣議決定で何でもやられると、改憲でも使われると困る。反対の意思を表すために来ました」と語る。

午後2時すぎ 東京駅八重洲口前。デモで東京に来たのは2015年の安保法制以来という福井県敦賀市の男性(42)は自民党と統一協会の関係の深さをあげ、「声をあげずにはいられない」。

午後2時すぎ 普段通り多くの若者でにぎわう渋谷駅前のスクランブル交差点付近。信号待ちの女性(21)は「国葬やってたんだ。いつもと何も変わらない」と無関心な様子で街に繰り出した。神戸市から来た女性(22)は、主要駅のコインロッカーが使えないので荷物を預けられず苦労したと話す。「羽田空港に12時に着いたのに、ホテルのある浅草まで荷物を置きに行ったので、ここまで2時間かかった」

統一協会本部には半旗が掲げられていた 周辺を警官やパトカーが巡回。近くで働く会社員の男性(52)は「区内で警備が張りめぐらされて気分が良くない」と不快感をあらわに。

死者を政治利用
午後2時半 日本共産党の志位和夫委員長が「国葬」反対の国会正門前行動で「死者を最悪の形で政治利用するもの。絶対に許すわけにはいかない」とあいさつ。

写真説明 上から順に
 「国葬」に反対し続々と国会正門前に詰めかける人たち
  連帯あいさつする武田氏(左端)ら 午前7時半、長野駅前
  一番町商店街をデモ行進する参加者 仙台市
 「国葬」反対デモ 日比谷公園中幸門前に集まる人々 午後0時15分