2021年2月28日日曜日

下町の食料配布 缶詰2カンで「今晩の食事はこれだけ」(田中龍作ジャーナル)

 山田・内閣広報官の月給は140万円と目もくらむような高額です。その陰で消費税アップとコロナ禍のなかで、その日の食事にも満足にありつけない人たちは無数にいます。

 そうしたたちへの食料配布がいま全国津々浦々で展開されていて、法律相談がセットになっているのが特徴だということです。
 国は生活保護を申請しても、「水際作戦」と称して簡単には受け取らないようにしています。「公助」の適用に違法で高いハードルを設け、生活保護が簡単に受けられない仕掛けになっているのです。従って生活保護を申請するにも、サポーターの援助があるかないかはとても重要です。

 田中龍作ジャーナルが「下町の食料配布」をレポートしました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
下町の食料配布 缶詰2カンで「今晩の食事はこれだけ」
                     田中龍作ジャーナル 2021年2月27日
 生活保護は水際で追い返される。かりに受給できるようになったとしても、現金を手にするまでは日数がかかる。
 食えなくなっている人に今すぐリーチできる食料配布が、全国津々浦々で展開されている。法律相談がセットになっているのが特徴だ。スガ総理の言う公助の適用を受けられるように、民がアドバイスするのである。
 民青同盟、NPO、地元有志・・・主催者はさまざまだ。
 きょう田中は、東京下町の食料配布と法律相談を取材した。
 錦糸町(江東区)の駅前では民青同盟の若者たちがテーブルの上にコメ、さつまいも、カップヌードル、缶詰などを並べた。食料はカンパで仕入れた。さつまいもは千葉の農家からの寄付だ。
 カップヌードルを受け取り、ショルダーバッグに入れる男性(67歳)がいた。「年金はもらっていない」と話す。詳しいことは聞けなかったが、無年金者だろうか。
 勤めていた飲食店が、緊急事態宣言を受けて休業しているため、生活が苦しいという。
   【写真説明】男性は最初、ひと缶しか持って行こうとしなかった。周りの勧めもあっ
      てやっと2缶目を手にした。=27日、葛飾区・新小岩駅前 撮影:田中龍作
 映画「男はつらいよ」でおなじみの柴又がある葛飾区。日本を代表する下町でも食料配布と法律相談があった。主催者は「貧困なくそう葛飾・江戸川」だ。
 こちらは冬物衣料も並んだ。スタッフの一人が、自分の住んでいるマンションの一戸一戸を訪ねて寄付してもらったという。
 年金生活者という男性(70代)は缶詰2カンだけを受け取り、主催者が用意した紙袋に入れた。
 「今晩の食事はこれだけ」と言い残して去って行った。
 下町は地付きの人が比較的多い。「困った時はお互いさま」の精神がまだまだあるのだろうか。
 学生の街高田馬場や新しい住民が多い高円寺などと比べると、足を止める人が少なかった。
 近所の目があると食料を貰いづらいのか。下町の食料配布ではためらいが感じられた。
 食べて行けないのは自己責任ではない。自己責任であるかのように刷り込んだ政治に責任がある。
                   ~終わり~

普通に話せない菅首相 イラつき激高する菅首相

 政府は26日、10都府県に出している緊急事態宣言のうち、関東地方の4都県を除く6府県で月末に先行解除することを決めました。首相名で発出した宣言なので当然首相の記者会見があるべきでしたがそれはやらず、ぶら下がり会見で済ませました。首相の記者会見を仕切る山田広報官の続投に対する批判を意識してのことと思われます。

 ところで事前に行われた諮問委(脇田座長)での議論について尾身・分科会会長は「リバウンドへの懸念があるので、強い懸念が示された。『ホントにいま、やっていいんですか?』、『1週間延ばした方がいい』、『変異株もある』、『休みが控えていてリバウンドするなど、解除の前倒しに慎重な意見が出た、記者団に語りました
    コロナ感染症対策有識者会議 菅政権になってから分科会は劣位に置かれました。
 ぶら下がり会見で記者から「早期解除について専門家から相当懸念の声が出ているが」と聞かれると、菅首相はかなり強い口調で両手を振り上げながら、「ですから!(国が)基準を決めているわけですから!基準はクリアーしているわけですから!」と述べ、宣言の早期解除は問題ないと強調しました(「情報速報ドットコム」は「激怒」と伝えました)

 「国が決めた解除の基準をクリアーしたのだから」問題ないということですが、それは怒気を込めて語るような事柄ではありません。
 国の基準は最も深刻な「ステージ4」からの脱却が主な柱ですが、これについて尾身・分科会会長は、西村担当相とともに出演した1月22日夜の動画サイト「ニコニコ生放送」で3つの条件を挙げ、「1つ目は感染状況が『ステージ3』まで下がること。2つ目は『ステージ3』になったからすぐに解除というのではなく、感染状況と医療のひっ迫状況の改善が継続しているという動きがあること。3つ目には解除後も『ステージ2』まで下げられるという見通しがある程度つくこと」を挙げています。菅首相のニュアンスとは異なります。
 素人考えでも「ステージ3になればOK」というのは余りにも安直で、すぐにリバウンドするのは明らかです。

 菅首相は記者から「今度の会見では質問を打ち切ることなく最後までお答えいただけるのか」と聞かれると「私も時間があります。でも、だいたい出尽くしているんじゃないでしょうか。先ほどから同じような質問ばかりじゃないでしょうか」とキレ気味に返答しました。
 立民党の小沢一郎議員27日、ツイッターでこのぶら下がり取材に言及し、菅氏が「同じような質問ばかり」と発言したことについて、自分は国会で同じような事ばかリ答弁しておいて、よくぞ言えたもの」「中身のない答えを問い詰めるのは当たり前。怒りをあらわにする彼には、カメラの後ろにいる、いま苦境にある国民の姿が全く見えていない」と批判しました。

 それにしても菅氏は何故あんなにイラついた話し方しかできないのか、何故普通の話し方が出来ないのか不思議なことです。菅首相が官邸で激怒したとか激高したというような話が時々伝わります。苦労が足りないというよりも、何の苦労もして来なかったせいと思われます。あれでは周囲はとても意見など出せないことでしょう。

 報速報ドットコムは、「菅義偉首相が記者会見で激高! 」と伝えました。
 まるこ姫は菅氏の「〇〇じゃないでしょうか」という話し方に、強い違和感を持つと書きました。
 くろねこの短語は「  切れ気味に捨てゼリフ残して立ち去るカス総理 ~ 」というタイトルをつけました(会見の動画も紹介しています)。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
菅義偉首相が記者会見で激高! 記者「早期解除に専門家が懸念」菅首相「ですから!基準はクリアーしている!」
                    情報速報ドットコム 2021年2月27日 
菅義偉首相が2月2日の記者会見で激怒する場面がありました。
菅首相は緊急事態宣言の早期解除について記者から「専門家から相当な懸念の声が出ている」と質問を受けたところ、かなり強い口調で両手を振り上げながら、「ですから!(国が)基準を決めているわけですから!基準はクリアーしているわけですから!」と述べ、緊急事態宣言の早期解除は問題ないと強調。
今まで見せたことが無いような大きなアクションと口調で記者に反論していました。
緊急事態宣言を巡っては政府の専門家会議でも感染拡大やリバウンドを指摘する声が相次ぎ、議論は紛糾していたと報じられています。
菅首相もその点を意識していたようで、図星を付かれた質問に激怒したのだと思われるところです。


山田を切れず窮余の一策で画したぶら下がりでヘッポコ記者から集中砲火
                     まるこ姫の独り言 2021.02.27
       (本ブログの太字・青字強調は原文に拠っています 事務局註)
どうして山田を切れないんだろう。
スパッと切って見せれば、少しはダメージを回復したのに。
昨日のぶら下がり会見、見ていなかったが、いつもコメントをして下さる方から「どうも菅がキレている」らしいという情報が入る。
早速動画で見てみたが、やっぱり山田が仕切らないと菅1人ではヘッポコ記者にも太刀打ちできない模様。
山田が命綱だと言うのを自覚しているのか。
打ち切るタイミングを逸したのが分かるしどろもどろの立ち往生。
そして内心でイライラしているのがよくわかる。

>山田広報官のことはまったく関係ありません。昨日、国会で答弁されてきたことも事実じゃないでしょうか
>同じような質問ばっかりじゃないでしょうか
>ぶら下がり会見を行っているんじゃないでしょうか
>必要なことには答えているんじゃないでしょうか
これどう見ても、自分のことを語っていると言うより、他人が語って、それを自分はあの人はこう言ってると思うみたいな話しぶりだ。
何度聞いても違和感がある。
そして「〇〇じゃないでしょうか。」という時は、相当キレている時、内心では記者の質問を理不尽だと思っている時。
しかし、変な日本語だ。
自分のことを語っているのに、なんで誰かが語っているように「じゃないでしょうか」が出てくるのだろう。
断定(言い切る)と記者に反論されることを恐れているのか、なぜか他人事のような話し方。
最後は「私も時間がありますか」らと、無理やり振り切ってぶら下がりを終了したが、経産大臣と3分間喋った後は、議員宿舎に直行とのこと。
 何の時間かと思いきや、帰宅する時間だった(笑)
いまとなっては山田真貴子は鬼門だったな。。。
答えに窮すると「〇〇じゃないでしょうか」と感情をあらわにして怒り出し相手を黙らせようしていたが、あれだけ大騒ぎになった接待問題は、当分、尾を引きそうだ。
山田を続投させると言った時点で、流れを誤った感がある。
国民がどこを見ているのか、何を考えているの全く知らない人だ。
本来の総理会見をせず、ぶら下がりの山田隠しで乗り切れると思ったのだろうが裏目に出てしまった。
山田を出したら出したで接待問題で集中砲火だし、隠しても集中砲火だし。
どうしたもんだろう。。。(笑)
やっぱり原因は、山田を切れなかった決断力のなさだ。


しどろもどろのぶら下がり会見で、最後には「わたしも時間がありますから。先ほどから同じような質問ばっかりじゃないでしょうか」と切れ気味に捨てゼリフ残して立ち去るカス総理・・・ちいせえなあ!!
                       くろねこの短語 2021年2月27日
 1週間後の3月7日を待たずに、一部とはいえ前倒しの緊急事態宣言解除だというのに記者会見もやらんのかと思いつつ夕方の民放ニュースを観ていたら、放送終わる寸前に特高顔のカス総理のぶら下がり会見がスタート。ところが冒頭発言のところで放送が切れちゃったので、ひょっとしてNHKの7時のニースでやってるんじゃないかと思ったらやってましたねえ。
 記者会見しないことについてどんな言い訳するかと興味津々で耳そばだててたら、なんとまあ、
「記者会見のタイミングについては、最後までの状況を見極めた上で判断をおこなったのちに緊急事態宣言の全体について、きちんと会見をおこなべきだと。そういうふうに考えています。現に昨年の関西圏を解除したときはおこなっておりませんで、このようなかたちで、ぶら下がりで対応している。このことも事実であります」
 だとさ。で、当然のように飲み会を断らない女・山田内閣広報官についての質問が飛ぶと、ああでもないこうでないと言い訳が始まり、徐々にキレ気味になったところで、「会見をやらずとも国民の協力を得られると思うのか」と痛烈な言葉を投げかけられると、
「きょう、こうしてぶら下がり会見をやっているんじゃないでしょうか。先程は、まさに、日本全体の見通しを明確に申し上げることができるような状況のなかで、ここは会見をおこなうべきだというふうに思っています」
 と同じ言い訳の繰り返し。そして、最後には、「今度の会見では最後まで質問等の打ち切りなく、お答えいただけるのか?」と追い打ちかけられると、とうとう、
「わたしも時間がありますから。でも大体皆さん、出尽くしてるのではないでしょうか?先ほどから同じような質問ばっかりじゃないでしょうか?」
 と捨てゼリフ残して立ち去りましたとさ。聖火リレーに異議ありと立ち上がった島根県の丸山知事は、自らの発言にイチャモンつけたDAIGOの大叔父・竹下君との会談後に、90分間の記者会見をペーパーなしでこなしてるんだよね。語るべき言葉を持った政治家の、これこそがあるべき姿だろう。
 菅首相が“コロナ会見中止は山田内閣広報官隠し”と追及されて正気を失い逆ギレ! 国民の命より保身を優先する棄民政権の正体が…
 島根・丸山知事は東京でも堂々90分超 これぞザ・記者会見
 東北新社の社長が辞任して、カス総理のロン毛の息子も更迭されて、早いところ幕引きしようってんだろうが、ぶら下がり会見ひとつ満足に対応できない器の小ささでは、とてもじゃないけど乗り切れないんじゃないのかねえ。なんてったって、やることなすこと底が見えちゃってますから。

 ぶら下がり会見動画  https://youtu.be/MrfYAY5e_Ik (17:58)


28- 「N高政治部」 志位委員長の特別講義(7)

 志位委員長による「N高政治部」特別講義 紙上再現シリーズの7回目です
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「N高政治部」 志位委員長の特別講義(7)
道州制・地方行革 コロナ危機ふまえ見直しを
しんぶん赤旗 2021年2月27日
 続いてDグループの生徒からの質問に志位委員長が答えました。

 生徒 共産党は道州制を「国の姿を壊す仕掛けづくり」だとして反対していますが、そこには道州制をはじめとする地方行政改革による影響力の乱れ(地方の議員定数削減など)を危惧しているなどの政治的理由などがあるのではないでしょうか。

「道州制」――自治体が遠くなり、福祉を良くする仕事ができなくなる
 志位 「道州制」とは何かというと、いまある47の都道府県をなくして、10程度の「道州」という「広域自治体」をつくるというものです。そして市町村を大合併させて300程度の「基礎自治体」に再編するというものです。
 そんなことやったらどうなるか。自治体がいよいよ住民から遠くなってしまいます。地方自治法にもあるように、自治体の一番の仕事は、「住民の福祉の増進」にあるのですが、「道州制」ではその仕事ができなくなってしまうことになると思います。

「平成の大合併」――地方の衰退、過疎化がすすむ
 志位 「地方行革」についてのご質問ですが、この動きはいま始まったことではなくて、1980年代からやられてきたことです。それによって何が起こったかということをよく見ていただきたいのです。四つほど大事な数字を紹介します。
 一つは、市町村の数です。これは「平成の大合併」で3200から1700に減らされました。ほぼ半分になってしまいました。その結果、中心自治体にいろいろな機能が集中し、周辺の旧自治体地域では衰退が進みました。その地域から町役場、村役場がなくなり、住民サービスと地域振興の拠点がなくなり、過疎化がいっそう進みました。
 たとえば、昨年、九州で豪雨災害があり、私も現地にうかがったのですが、合併によって、以前は災害対策本部が置かれていた役場がなくなり、災害時に住民の命を救うという点でも困難が生じていました。
 「平成の大合併」の押し付けによって、住民サービスが大幅に後退し、災害にも弱い体制になってしまったことは、否定できないと思うのです。地方議員数も「大合併」に伴って減少しましたが、住民の願いを議会にとどけ、行政をチェックするという点で、地方議員の減少は、地方自治の力を弱めるものとなりました。

保健所、国立・公立・公的病院の減少――コロナで間違いが明らかに
 志位 二つ目は、保健所の数です。保健所の数は、1992年には852カ所あったものが、2020年には469カ所へと、半分になってしまいました。ほとんどの政令指定都市には、保健所は一つしかありません。横浜市、川崎市、名古屋市、大阪市などの巨大都市に、一つしか保健所がありません。そのために、コロナの対応でも、保健所が疲弊してたいへんな状況になっています。コロナを体験して、保健所を減らしたのは大失敗だと、みんなが思っているのではないでしょうか。
 三つ目は、国立・公立・公的病院の数です。これが1822から1524に、300も減らされました。そのうえ政府は「地域医療構想」といって、440もの公立・公的病院の統廃合をやろうとしています。
 しかし、このコロナ危機のもとで、コロナ患者さんを一番受け入れているのは国立・公立・公的病院ではありませんか。もちろん民間病院もコロナ患者さんを受け入れて頑張っているところがたくさんありますが、国立・公立・公的病院が中心になって受け入れているのが現状です。そういう危機のさいに頼りになる医療機関をこんなに削ってきたことは、これも間違いだったということが、コロナを体験して、はっきりしたのではないでしょうか。

公務員の削減――国際的にも日本の公務員数は少ない
 志位 最後にもう一つ、都道府県と市町村の公務員の数です。320万人から270万人へと50万人も減りました。コロナのもとで公務員のみなさんは、ほんとうに大奮闘しています。ところがマンパワーが足らない。役所もたいへん、保健所もたいへんというのが現状です。余裕がない。疲弊しています。公務員をどんどん減らしていく、削減路線を続けていていいのかということが問われていると思います。
 国際的に見てみますと、人口比での日本の公務員数は、フランスやイギリスの半分です。アメリカやドイツの6割です。決して日本の公務員数は多いわけではなく、むしろ少ないのです。それをどんどん削っていくやり方がいいのか。これも真剣に考えなければなりません。

「地方行革」のツケがコロナ危機でまわってきた――切り替えが必要
 志位 この間、「地方行革」の名で、市町村を無理やり合併させ、保健所を減らし、国立・公立・公的病院を減らし、公務員を減らしてきた。そのツケが、コロナ危機でまわってきたのではないでしょうか。こういうやり方はもう切り替えることが必要だということが、コロナのもとではっきりしたのではないかと、私は思います。

これ以上の市町村合併の押し付けをやめ、住民福祉向上に力をそそぐ
 続けて、三浦氏と生徒から基礎自治体についての質問が出され、志位委員長が答えました。
 三浦 住民に対するきめ細かなサービスを行うためには、基礎自治体の規模はもっと小さくした方がいいのでしょうか。規模はそのままで効率化した方がいいのでしょうか。

 志位 自治体の規模を、前のような規模へと小さくするというのは、なかなか現状では難しい面があると思います。
 これ以上の市町村合併の押し付けはやめ、住民福祉、住民サービスをいかに良くしていくかに力をそそぐことが大切だと思います。
 若い方への支援も、自治体によっては、さまざまな形でやられています。たとえば、農業後継者などへの支援を独自にやっている自治体とか、地域おこしへの支援を行っている自治体など、地域の実情にそくした支援をやっている自治体がたくさんあります。地元に密着した自治体の機能を強めていくということが大事なのではないでしょうか。

何人規模の自治体がベストか――住民合意で自治体が自主的に
 生徒 基礎自治体で住民サービスを向上させるためには何万人規模の人口がベストだとお考えでしょうか。

 志位 何万人規模がベストと答えるのは、なかなか難しいですね。地方の実情に応じて、住民合意で自治体が自主的に決めていくことが何よりも大切だと思います。
 私たちは、もともと「平成の大合併」のときにも、合併に頭から反対したわけではないのです。住民の合意で自主的に合併を選ぶ自治体については、一律に反対という態度をとりませんでした。国が上から合併を押し付けることは良くないといって反対したのです。上からの合併の押し付けを拒否して、住民のなかでの議論をつくして、合併の道を選ばずに、しっかりと地域に根づいた自治体を残したところも多くあります。
 いま私たちが強く主張しているのは、「道州制」やこれ以上の市町村合併の押し付けは良くない、いまある自治体の機能をいかに強めていくのか、とくに住民サービスの機能をどうやって強めていくのかというところに心を砕くべきだということです。
 これは、全国町村会のみなさんが一致して求めていることでもあります。“これ以上の市町村合併の押し付け反対”、“道州制には断固反対”、これが全国町村会の声です。その声を大事にしていくべきだと考えます。(つづく)

2021年2月27日土曜日

山田・内閣広報官の続投は「あり得ない」/政治史の中でも悪質 「東北新社疑惑」

 総務省は、東北新社が国家公務員倫理法に基づく倫理規程で接待を禁じる利害関係者にあたると判断し、接待を受けた谷脇康彦・総務審議官ら9人に減給や戒告の懲戒処分を出しました。

 東北新社は26日、二宮清隆社長が引責辞任し後任には、中島信也副社長が就き、メディア事業部の統括部長を務めていた菅正剛氏は懲戒処分を受け人事部付としたと発表しました。
 山田真貴子・内閣報道官は総務省を退職しているため処分は受けず、自ら報酬の10分の2を3ヵ月間 自主返納することを申し出ました。菅首相は山田氏に広報官を続投させる意向です。

 元総務官僚だった立憲民主党の小西洋之参議院議員は、山田氏続投については「あり得ない」と次のように批判しています
「内閣広報官は、国民に対する政府の窓口です。その役職にある方が、国家公務員倫理法に違反する行為をしていた事実がある限り、職責を担うことはできません。内閣広報官にとどまろうとすること自体、国民の信用を失う行為ですAERA dot.
 接待発覚したとき山田氏は周囲に「辞めたい」と口にたそうですが、官邸側が引き留めたと言われています。菅首相が引きめたのは分かりますが、それ以外の人たちがそう考えたとはとても思えません。やはり菅首相への忖度からでしょう。
 菅氏は「国民から選ばれた議員の方が官僚よりも上位」だとして官僚を押さえつけたと言われます。なるほど一理はありそうですが、それも「高潔な議員であれば」という注釈が要るものです。山田氏の広報官残留を選挙民(国民)が支持するとは到底思われません。
 菅氏が自分の発言に忠実であるならば潔く山田氏を罷免するべきなのですが、多分そうはしないでしょう。日本学術会議の5人のメンバーの任命拒否問題で、野党からどんなに論理破綻を指摘されても取り消しませんでした。今度もその「没論理」を再現することでしょう。
 今回の騒ぎで、広報官の給与報酬月額117万5000円地域手当などを含めると給与は月額約140万円ほどになることが明らかになりました当然国民の血税で支払われるものです。月に1、2回程度の首相会見を仕切る以外にどんな仕事をしているのかは分かりませんが、目もくらむような高給なので、やはり選挙民が許すとは思われません。

 日刊ゲンダイの記事「 ~ 渦中の山田広報官に怨嗟の声」とブログ「くろねこの短語」の記事「飲み会を断らない女の『蛙の面に小便』答弁の厚顔無恥!!」を紹介します。
 併せて孫崎享氏の記事「政治史の中でも悪質 菅首相長男をめぐる『東北新社疑惑』」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
血税の官房機密費で返納か? 渦中の山田広報官に怨嗟の声
                          日刊ゲンダイ 2021/02/26
<いやはや、首相会見を仕切るだけで、そんなにもらえるのか><これじゃあ、どれほど批判の声が出たって辞めないわけだよ>
 ネット上では怨嗟の声が広がっている。放送関連会社「東北新社」に務める菅義偉首相の長男らによる総務省幹部接待問題で、同社から総務審議官時代の2019年11月に約7万4000円に上る高額な接待を受けていた山田真貴子・内閣広報官(60)。山田広報官は25日の衆院予算委に参考人として出席。「公務員の信用を損なったことを深く反省している。本当に申し訳なかった」と陳謝したものの、「今後、職務を続ける中で、できる限り自らを改善したい」と述べ、引き続き内閣広報官を務める意向を示した。
 90年代前半のテレビCM「反省だけなら、サルでもできる」のセリフではないが、反省して謝ったからオシマイではないだろう。内閣広報官とは文字通り、内閣の広報マンという重責を担う「顔」だ。今後、首相会見に登場する度、記者や国民からは疑惑の目で見られることになる。「本当に申し訳ない」と思うのであれば、きちんとけじめをつけるために広報官を辞するべきではないのか。
 国民が不信感を募らせているのは、山田広報官が何ら“お咎めなし”という理由だけではない。その破格というも言える高額な給料に対しても憤りの声が上がっている
 加藤勝信官房長官は25日の会見で、接待問題を受けて給与報酬月額の10分の6を自主返納することになった山田広報官の返納額が70万5000円に上ると明らかにした。つまり、広報官の給与報酬は月額で117万5000円。地域手当などを含めると給与は月額で約140万円ほどになるだろう。
 国税庁の調査によると、サラリーマン全体の平均月収は約35万円(推定)だが、このコロナ禍では残業代も減り、給与はさらに下がっているだろう。わが身を削る思いで必死に納めた税金が、疑惑の広報マンに対して自分たちの月収の約5倍も支払われ、さらに業者からも賄賂性の高い飲食代を負担してもらっていたのだから驚天動地だ。
<10分の6じゃなく全額返納しろ><俺たちの税金を何だと思っているんだ>
 ネット上で怒りの連鎖が広がっているのも無理はない。
 野党国会議員がため息交じりにこう言う。
「国民には自助を求めながら、家族や取り巻きには公助するのが菅首相。山田さんは菅首相のお気に入りのため、自主返納すると説明されているお金の原資も実は官房機密費ではないか、などとささやかれています」
 不祥事で返納するお金も税金でなんて冗談ではない。


飲み会を断らない女の「蛙の面に小便」答弁の厚顔無恥!!
                      くろねこの短語 2021年2月26日
 「木で鼻を括る」「糠に釘」「暖簾に腕押し」「馬耳東風」・・・いやいやそれより「蛙の面に小便」って言うのが最もふさわしい。何がって、昨日の衆議院予算委員会における飲み会を断らない女・山田真貴子君の答弁だ。
 言葉の端々から覗くのは、「全体の奉仕者」なんてことは考えたこともないだろう権力志向に陥った官僚のおぞましさなんだね。「反省」を口にはするけど、腹の中では「知ったことか」って居直っているのに違いない。
 たとえば、NHKに抗議の電話をかけたかって質問に「携帯の履歴を調べないとわからない」ときたもんだ。カス総理のロン毛の息子についても「(カス総理が総務大臣時代に)秘書官だったことはこの騒動で初めて知った」とさ。会食の際に「名刺交換はしていない」なんてことものたまってくれたようだが、ここまでくるとその面の皮の厚さに拍手したくなるほどだ。
 厚顔無恥って言葉があるけど、まさにこうした答弁をなんの屈託も感じずにできちゃうことを言うんだね。
山田広報官、高額接待を陳謝も「一般的な懇談」と説明 首相の意向受け辞任は否定

 何はともあ、百聞は一見に如かず。「蛙の面に小便」をとくと御覧じろ。

 衆院予算委動画  https://youtu.be/Lj43efUN8do (2:46:56)

 
日本外交と政治の正体
政治史の中でも悪質 菅首相長男をめぐる「東北新社疑惑」
                      孫崎享 日刊ゲンダイ 2021/02/26
 安倍政権下では、森友学園や加計学園の問題で、公的資産の不当廉売や、恣意的に基準を歪め、悪用された事例が相次いだ。当然、世論は怒ったが、一連の経過で安倍前首相側に資金が流れていたという話は聞かない。
 しかし現在、明らかになっている菅首相の長男をめぐる「東北新社疑惑」は、菅氏側が金銭的利益を得ている。その意味では日本の政治史の中でも悪質な事件だろう。
 つまり、総務省から東北新社が得た認可は、通常の基準では認可されない類いの性格を持っていたのである。別の報道によれば、<東北新社はグループの650億円の売り上げの内、衛星放送事業の売り上げは150億円、総務省の認定を受ける事業である>とある。だからこそ、社長自らが接待に出向き、対総務省工作を行ったのである。

 こうした事業認可が特段の配慮によって実施されることは、これまでもあろう。しかし、菅首相は東北新社から特別の金銭的利益を得ている。長男の正剛氏の入社後、東北新社の植村伴次郎氏らは6年間で、菅氏が代表を務める自民党神奈川県第2支部に計500万円の寄付をしていると報じられている。
 認可を与えたのは総務省である。しかし菅首相はここにも「クモの網」を張っている。昨年9月13日のフジテレビ系番組でも、政権の決めた政策の方向性に反対する幹部は「異動してもらう」と強調していた。

 今回の問題で、総務省官僚の判断としては、①菅首相の意向を忖度して規制を曲げる ②閑職に異動し退職する――のいずれかだったろう。
 日本の官僚機構は今、こういう選択を突き付けられているのである。
 総務省の高級幹部が東北新社側から複数回に上る接待を受け、この席にはほぼ常に菅首相の長男がいた。
 この事件の本質については、毎日新聞社説がこう報じている。
<見過ごせないのは、昨年12月の会食時期だ。東北新社の別の子会社が手がける衛星放送の認定を、同省が更新する直前だった。また、長男が役員を務める子会社の「囲碁・将棋チャンネル」は約3年前にCS放送業務の認定を受けている。この時認定された12社16番組のうち、ハイビジョンでない放送はほかになかった。審査基準はハイビジョン化を進めるために改正されたばかりだった。しかし、ハイビジョンであるにもかかわらず認められなかった番組もあった>

孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。

コロナ会見中止は山田広報官隠し 追及されて首相が逆ギレ

 26日夜、菅首相が大阪、兵庫、京都の関西3府県と愛知、岐阜の中部2県、福岡県の計6府県の緊急事態宣言を先行して月内解除することを正式に表明しましたが、いつもの記者会見をおこなわずぶら下がり取材で済ませました。

 緊急事態宣言の発出および解除の責任を負っているのは首相であり、都市部で宣言解除をするのに記者会見を開かないというのはあり得ないことです。
 その背景に、会見を仕切る山田真貴子内閣広報官が菅首相の長男ら利害関係者から高額接待を受けていたことが判明したにもかかわらず「続投」させた問題があるのは明らかで、渦中の人物が司会進行をするなかで、菅首相に対して追及がおこなわれるだけではなく、司会進行役の山田氏にも質問が飛ぶというような事態を避けるために会見を取りやめたのでした。
 そもそも山田氏は菅氏が総務相時代からのお気に入りで、最終的には総務省事務次官に次ぐ総務審議官にまで昇進しました。山田氏が総務省を退官した後に内閣広報官に取り立てたのも菅首相でした。
 それが結果的に今回の事態に繋がりました。政治の在り方が歪んでいることにはいささか慣れっこになってはいるのですが ・・・ 
 LITERAが取り上げました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
菅首相が“コロナ会見中止は山田内閣広報官隠し”と! 国民の命より保身を優先する棄民政権の正体が…
                      水井多賀子 LITERA 2021.02.26
 菅義偉首相が国民の命と安全を守ることを放り出し、我が身を守ることを優先させた。本日26日夜、菅義偉首相が大阪、兵庫、京都の関西3府県と愛知、岐阜の中部2県、福岡県の計6府県の緊急事態宣言を先行して月内解除することを正式に表明したが、いつもの記者会見をおこなわず、ぶら下がり取材で済ませてしまったのだ。
 緊急事態宣言の発出および解除の責任を負っているのは総理大臣だ。なのに、都市部で宣言解除をおこなうというのに、記者会見を開かない──。この異常事態の背景にあるのは、言うまでもなく、会見の司会進行役を務めている山田真貴子内閣広報官が菅首相の長男ら利害関係者から高額接待を受けていたことが判明したにもかかわらず何ら処分を下すことなく「続投」させた問題だ。
 もし会見が開かれれば、渦中の人物が司会進行をおこなうという前代未聞の光景が繰り広げられたわけだが、菅首相に対して追及がおこなわれるだけではなく、司会進行役の山田内閣広報官にも質問が飛ぶ可能性も十分にあった。そうした事態を避けるために会見を取りやめたのだ。
 実際、会見を主催する内閣記者会は本日26日、首相官邸に対して正式な記者会見を開くことを要請したが、「宣言の解除に当たっても、常に総理会見が行われていたわけではない」などとしてこれを拒否したのである。
 さらに、ひどかったのは菅首相のぶら下がり取材だ。記者からの「なぜ会見をおこなわなかったのか。山田内閣広報官のことが影響したのではないのか」という質問に対し、菅首相は腹立たしそうな態度を隠しきれない様子で、まずこう語った。
「山田広報官のことはまったく関係ありません。現に昨日、国会で答弁されてきたことも事実ではないでしょうか」
「記者会見のタイミングについては、最後までの状況を見極めた上で判断をおこなったのちに緊急事態宣言の全体について、きちんと会見をおこなべきだと。そういうふうに考えています。現に昨年の関西圏を解除したときはおこなっておりませんで、このようなかたちで、ぶら下がりで対応している。このことも事実であります」

菅首相が「私も時間がある」「同じような質問ばかり」と逆ギレしぶら下がり終了
 まったくふてぶてしいにも程があるが、これには記者からも質問が集中。「会見をやらずとも国民の協力を得られると思うのか」などと質問したのだが、すると菅首相は逆ギレしたように、こう言い張ったのだ。
「きょう、こうしてぶら下がり会見をやっているんじゃないでしょうか。先程は、まさに、日本全体の見通しを明確に申し上げることができるような状況のなかで、ここは会見をおこなうべきだというふうに思っています」
「必要なことには答えているんじゃないでしょうか」
「東京を中心とする首都3県、1都3県、ここがまだ、極めて厳しい状況のなかで、解除の会見をすることによって、まさにこの首都3県……首都4……1都3県についてはですね、3月7日の期日までに解除できるように徹底して、いま対策をおこなうことが必要だというふうに思ってますんで、そういうなかで、全体を見た上で、会見をすべきだと判断しました。いずれにしろ、近々そういうときが来るわけですから」
 しかも、その後ものの数問に短く答えただけ、さらには朝日新聞の記者が声をあげているのに、菅首相はそれを無視して「よろしいですか?」とその場を立ち去ろうとした。記者から声があがったために菅首相は仕方なく「最後にしましょう」と言って追加の質問を受け付けたが、「正式な会見とぶら下がりの違いは何だと考えているか」という質問に対して「それはみなさんが考えることじゃないですか」と言い放ち、こうつづけたのだ。
「まだ首都圏で解除の方向性が出ていないわけでありますから、そういうなかで内閣総理大臣として、全体のなかでですね、発言はやはり控えるべきだと思いますよ?」
 人口も多い都市部を含む6府県の宣言を解除するのだから、6府県の住民に向けて今後の対策を説明すること、まだ解除されていない首都圏で今回の解除によって緩みが出ないようメッセージを発信することが必要かつ重要なのは当然のことだ。なのに、首都圏が解除されていないことを強調し、“正式な会見での発言を控えることは当然だ”などと言い募ったのである。
 そして、「今度の会見では質問を打ち切ることなく最後まで答えてもらえるか」という質問に対しては、こう述べた。
「いや、私も時間がありますから。でもだいたいみなさん出尽くしてるんじゃないですか。先程から同じような質問ばかりじゃないでしょうか」

黒川検事長問題の追及を嫌がって会見を放り出した安倍前首相のケースを言い訳に持ち出した菅首相
 国民への説明責任を果たす場を放り出しておいて、この態度──。舐めきっているとしか言いようがない。最悪なのが、菅首相が会見を開かなかった言い訳にあげた「昨年の関西圏を解除したときは(会見を)おこなっていない」という発言だろう。
 たしかに、昨年4月7日に安倍晋三・前首相が全国一斉で緊急事態宣言を発出した後、5月21日に関西3府県の宣言を解除する際に会見をおこなわず、ぶら下がり取材で済ませている。このときはちょうど黒川弘務・東京高検検事長が賭けマージャン問題で辞表提出するタイミングと重なっており、安倍前首相も全国に生放送される会見でその問題の追及を受けるのを避けるために我が身可愛さで会見を放り出したのである。
 ようするに、その「前例」を利用して、菅首相も国民への説明よりも保身に走っただけなのだ。「悪しき前例主義を打破する」という掛け声は一体何だったのか
 しかも、今回の菅首相の会見を放り出しは昨年のケースよりもっと罪が重い。というのも、今回の宣言解除は昨年の解除時以上に疑問の声があがっており、菅首相の説明が求められる問題が山積み状態だからだ。
 まず、今回宣言が解除されるなかでも不安視されているのが福岡県だ。福岡県は他の府県とくらべてもいまだ病床使用率が高く、専門家などから先行解除に対して慎重な意見が出ていた。そうした慎重論を無視し、菅首相は昨日、福岡県も解除する方針を固めたのだ。この病床使用率の高さを、菅首相はどう考えているのか。
 さらに大きな懸念を生んでいるのが、変異株の問題だろう。昨日25日の時点で国内で確認された変異株の感染者は200人を超えた。変異株の種類も増えている上、変異株は感染力が高いとされており、実際、昨日発表された神奈川県在住の変異株に感染した男性は〈県内での市中感染の可能性が高い〉という(神奈川新聞25日付)。変異株の市中感染が広がっている可能性が濃厚ななか、都市部での宣言解除をおこなうのだから、変異株の調査と封じ込め策について、菅首相にはしっかり説明する必要がある。

早すぎる宣言解除、変異株…コロナ課題山積なのに、国民の命より保身を優先した菅首相
 また、不安を呼んでいるのが、解除のタイミングの問題だ。「たった1週間前倒しして意味があるのか」という声もあがっているが、重要なのは、これから行楽や歓送迎会のシーズンに入るということ。昨年の3〜4月には歓送迎会などでクラスターが発生して感染者が急増しているからだ。実際、宣言解除によって感染対策がおろそかになる可能性を政府分科会も指摘し、「リバウンド防止策」を提言。卒業旅行や謝恩会、歓送迎会を控えることや、花見は宴会なしでと呼びかけている。今回、都市部で宣言解除をおこなうにあたって、生中継される記者会見で、菅首相自ら国民に対し、こうした呼びかけをおこなうことが重要なのは言うまでもない。
 このほかにも、縮小されてきた積極的疫学調査の今後やワクチン接種の時期や見通し、第4波に備えるための病床確保、迫っている中小企業に対する融資の返済期限、さらなる支援策など、菅首相が国民に向けて説明すべき問題は挙げだせばキリがないほどにあるのだ。
 にもかかわらず、国民への説明、情報発信というもっとも重要な機会と、高級接待問題が判明したのに続投させた山田内閣広報官の問題を天秤にかけて、菅首相は後者を優先させたのである。
 会見を中止しなくてはならない問題を引き起こした人物こそ辞めさせるべきなのに、逆に国民への説明責任の場である会見のほうをやめてしまう──。ようするに、菅首相は国民の命の安全を守るということよりも、長男への便宜供与の疑いがある山田内閣広報官、そして自分自身を守ったのだ。
 そもそも、あの安倍前首相でさえ、緊急事態宣言発出中には、宣言解除のときを除いて2回、会見をおこなっていた。しかし、菅首相は宣言の追加や解除のときを除くと1度も会見をおこなっていない。この事実をとっても国民軽視の姿勢ははっきりとしているが、今回の国民を捨てた自己保身は、あまりに露骨すぎる。コケにされたメディア側も、もっと大きく批判すべきだ。 (水井多賀子)