2012年9月30日日曜日

九条の会の講演会に全国各地から1800人が参加


 憲法改悪と集団的自衛権の行使を公言する安倍晋三元首相が自民党の総裁に返り咲き、これまた改憲を掲げる「日本維新の会」との連携が懸念される中、29日、東京の日比谷公会堂で、講演会「三木睦子さんの志を受け継いで―今、民主主義が試されるとき」が開かれ、全国各地から1800人が参加しました。

 相次いで行われた民主党、自民党の2大政党の党首選で、右傾化を強める結果になったことには、外国メディアも注目しています。 

 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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立ち上がり時の魂再び 三木睦子さんの志受け継いで 
九条の会が講演会
しんぶん赤旗 2012930 

 「九条の会」は29日、東京の日比谷公会堂で、講演会「三木睦子さんの志を受け継いで―今、民主主義が試されるとき」を開きました。全国各地から1800人が参加。自民党が憲法改悪と集団的自衛権の行使を公言する安倍晋三元首相を総裁に再選し、改憲を公然と掲げる「日本維新の会」との連携の動きを示す中、参加者からは「危機感をもってやってきた」という声が相次ぎました。 

 呼びかけ人で作家の大江健三郎さんは、「この国は民主主義の国だろうか?」と問いかけ、原発再稼働ゼロを「承服しかねる」とした日本経団連会長の発言に左右される政府を批判。「沖縄のオスプレイについて考える人たち、原発再稼働反対の大きい運動は、二つとも憲法にかかわっている。憲法9条を世界に向かって守りぬく、アメリカに向かって守りぬくことが、今現在の日本の民主主義にとってもっとも重要なことだ」と述べました。 

 憲法研究者の奥平康弘さんは、自民党や「日本維新の会」が改憲手続きを定めた憲法96条の改定を正面に掲げ9条の改定を狙っている現状を指摘。「9条の会が立ち上がったときの魂が問われている」と強調。「9条の会の活動を進めて、9条の魂を再び、選び取ろう」と呼びかけました。 

 作家の澤地久枝さんは、「戦争はダメ」と言い続けた三木睦子さんの生き方をエピソードを交えて紹介。民主、自民両党の党首選にふれ、原発再稼働や集団的自衛権の問題を批判し、「私たちは未来がどうなるか選択する場所に立っている」と呼びかけました。 

 仙台市から参加した女性は「去年原発事故が起こるまでは『原発反対』を言う人を色眼鏡で見ていたが、戦争も起こってからでは遅い。政治や国際情勢、9条をめぐる理論的な問題など、若い人たちに合う形態を工夫して、学習運動を進めていくことが大事」と語りました。
 
 

甲状腺ガンに関する関係者たちの犯罪を告発するブログが・・


「沖縄・球美の里」代表で、「DAYS JAPAN」編集長の広河隆一氏の、福島の児童の甲状腺異常に関する見解が、同氏のブログ「DAYSから視る日々」に掲載されました。

そこには、甲状腺ガンの発症を心配する福島の子供たちと家族の苦悩への思いと、そういう事態に至らしめた関係者たちへの怒りがみなぎっています。
 折しもイタリアでは、地震の予知に失敗した学者7人に対して、禁錮4年の求刑が行われました。それは必ずしも日本人の感覚にはなじみませんが、将来明らかになるであろう深刻で大変な惨禍に対して、責任が問われないで終わることなどはあってはなりません。
それなのに既に新聞紙上では、被爆直後の詳細な行動記録がないとガンになっても補償されない、などという全く「方向違い」の理屈も見受けられます。 

 以下に同ブログの要旨(事務局で要約)を紹介します。
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最初の小児甲状腺がんの症例の報に接して
20120928
福島のこども支援プロジェクト「沖縄・球美の里」代表
 DAYS JAPAN 編集長
 広河隆一
【要 旨】

▽福島の子どもたちの甲状腺の検査結果について、本人もご家族もどんな思いで医師の宣告を受けたのだろうか、どれほどの不安と恐怖にさいなまれているのだろうか。
チェルノブイリでは、検査の結果は親に伝えられた。しかし多くの親は検査結果を子どもに告げることができなかった。「がん」という言葉は大人でさえ耐えられないほどなのに子どもには重すぎる。泣き明かす母親を慰める子どももいた。父親が耐えられず、アル中になったり、離婚するケースも相次いだ。 

▽権威を振りかざす医師や医師会や自治体や政府は、「安全」を説くのが自分の役割だと考え、子どもが放射性ヨウ素で被曝するのを予防する仕事を放棄した。
原発事故が起きたらすぐにすべきことは、安定ヨウ素剤を飲むことと、妊婦、子どもの避難である。それを権威者たちは、“自分たちがそれまで安全だと言ってきた立場を守るために”、それをやらなかっただけでなく、むしろ妨害したケースさえある。
医学者たちが今回行ったことは、判断の間違いというより、犯罪である。これら学界の犯罪には、メディアの犯罪調査とともにまだ手が付けられていない。 

▽発表された子どもの甲状腺がん発症は、「チェルノブイリでは事故から4年後になって病気が急増したから放射能のせいではない」と医学の権威者は言う。しかし実際にチェルノブイリの事故の4年後に小児甲状腺がんが多発したときに、日本の医学者たちは、「広島や長崎では小児甲状腺ガンは10年以上たってから現れたから」、とそれが放射能に起因したことを認めなかった。 

▽医学者たちは、今回の小児甲状腺がんの発症は、時期が早すぎるし、8万人に1人という数字は、ふつうでもあり得る数字だと言う。しかしこれまで彼らは、小児甲状腺がんは100万人に1人しか現れないと繰り返し発言していたのではなかったか。
8万人に1人発症するのが普通だというなら、福島県の子どもの人口30万人余に対して、これまで毎年平均して34人の小児甲状腺がんが現れていたとでもいうのか。 

▽子どもたちを守るために、被害者がこれ以上増えないようにすることに、すべての力を結集すべきである。
 

同ブログの全文は下記のURLにアクセスしてご覧ください。
 
 

「コメント」 : 受付情報



 「コメント リスト 1」(2012.9.10掲載)以後現在まで、下記の記事にコメントをいただいています。
  青字の部分が今回新規にいただいたものです。
コメントは、各記事の最下段の「2件のコメント」などと書かれているところをクリックすると、ご覧になれます。 

(記事の日付の降順に掲載)
記 事 の タ イ ト ル
掲載日
日 付
「原発ゼロ」は早くも風前の灯に・・・
2012.9.22
1
9/23
憲法時評 「日米同盟と慰安婦問題」 ・・
2012.9.21
1
9/29
独首相が原発ゼロ目指す日本の決断・・
2012.9.18
2
9/18,9
またしても集団的自衛権の行使論が・・
2012.9.14
1
9/15
衝撃!福島市18歳以下の甲状腺の・・
2012.9.13
2
9/13,19



2012年9月29日土曜日

韓国が国連演説で初めて慰安婦問題に言及し賠償と裁きを求めました


 28日、韓国外相が国連総会の一般討論演説で、「戦時の性的暴力は根本的な人権侵害だ」と述べて、実質的に旧日本軍の従軍慰安婦問題に初めて言及し、被害者への賠償と加害者への法の裁きを求めました。
日本は慰安婦問題については、日韓請求権協定により決着済みとしていますが、この演説に対する答弁権は行使しませんでした。 

 時事通信の記事を紹介します。
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韓国外相、慰安婦問題に言及=賠償と裁き求める-国連演説
 時事通信 2012/09/29

   【ニューヨーク時事】韓国の金星煥外交通商相は28日、国連総会で一般討論演説を行い、「戦時の性的暴力は根本的な人権侵害だ」と述べて実質的に旧日本軍の従軍慰安婦問題に言及し、被害者への賠償と加害者への法の裁きを求めると強調した。韓国が一般討論演説で慰安婦問題に言及するのは初めて。
 日本は慰安婦問題について、日韓請求権協定により決着済みとしているが、韓国側は首脳級が集まる国連総会で改めて「責任ある措置」を要求し、日本への圧力を強めた形だ。

 金外相は「いかなる国も他国の領土的一体性や主権の侵害を目的に国際法手続きを乱用すべきではない」とも述べた。領有権をめぐって日本と対立する竹島問題を念頭に置いた発言で、「法の支配」の原則の下、国際司法裁判所(ICJ)を通じた問題解決を求める日本側に反論した。
 金外相はまた、「安定した国家関係を築くには健全な歴史認識と、過去の過ちに対する心からの反省が求められる」と指摘した。

 日本政府はこの演説に対する答弁権を行使しなかった。 
 日韓外相は27日ニューヨークで、今年8月の李明博大統領による竹島上陸後初めて会談し、「安定的で未来志向」の日韓関係の構築に努めることで一致したものの、慰安婦や竹島の問題で双方の主張は平行線のままだ。
 
 

生活保護費総額の抑制が進められています +


生活保護支給水準の見直しを進めていた厚労省が、28日に見直し素案を公表しました。それによると若干の「アメ」を添える一方で、「審査の厳格化」を目指しているということです。
 
そもそも日本における貧困化の実態はどうなのでしょうか。厚労省が3年ごとに行っている「国民生活基礎調査」の最新データによれば、相対的貧困率は2003年以降、また実質値貧困線は1997年以降悪化する一方であり、日本において「絶対的な貧困化」が進んでいることは疑いありません。(下表参照)
一方、所得分配の不平等さを測る指標ジニ係数も、日本は急速に悪くなっていて、いずれアメリカを抜く勢いとも言われています。 

貧困率の状況(厚労省:平成22年=2010年調査)

 

1997

2000

2003

2006

2009

相対的貧困率

14.6%

15.3%

149%

157%

16.0%

実質値貧困線

130万円

120万円

117万円

114万円

112万円

注) 相対的貧困率とは、国民一人ひとりを所得額順に並べ、そのちょうど中央値となる所得額の半分(貧困線)に満たない人の割合を表すもので、OECDの基準により算出されています。 

貧困率・貧困線が悪化した背景には、派遣やパートなど非正規労働者の増加や少子高齢化、景気低迷による失業や所得の減少があることは明らかです。そういう問題を放置しておいて、結果として生じる貧困者に対して、生活保護の支給対象から外そうとしたり、支給額を削ろうとすることは許されません。 

 毎日新聞、東京新聞の記事を紹介します。
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生活保護 :「アメとムチ」 厚労省案、安全網後退の懸念も
毎日新聞 20120928 

 厚生労働省が28日公表した生活保護制度の見直し素案は、就労意欲を促すための加算金創設など「アメ」の部分と、審査の厳格化という「ムチ」の両面で従来より踏み込んだ。ただ、就労促進の実を上げるにはきめ細かい支援が不可欠だ。この前提が崩れれば厳格化だけが強調され、「最後のセーフティーネット」としての機能が後退しかねない。

 働く意欲がある人への加算、賃金を得れば保護費が減額される仕組みの緩和−−。受給者に働くことを強く促す素案に対し、実務を担う自治体側の委員は28日の社会保障審議会の部会で方向性に賛意を示した。ただ、実効性には疑問も残る。

 例えば今回の目玉、加算金創設も、何をもって「働く意欲がある」と評価するかは示していない。厚労省は採用面接を受けた回数などを想定しているが、あるケースワーカーは「外形的なアリバイはいくらでも作れる」と打ち明ける。


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9/29下記の記事を追加)
生活保護の不正厳罰化 厚労省が見直し案
東京新聞 2012928 

 厚生労働省は28日、生活保護の不正受給に対する罰則引き上げや「制裁金」導入を盛り込んだ「生活支援戦略」の素案を社会保障審議会特別部会に示した。生活困窮者への就労支援を含めた最終案を年内にまとめ、来年の通常国会への関連法案提出を目指す。

 過去最多が続く生活保護費は12年度当初予算ベースで3兆7千億円。不正受給額は10年度129億円まで膨らみ批判が高まっているため改善に乗り出す。
 生活保護法で「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」と定めた罰則の引き上げを検討する。
 現在は不正受給が発覚しても返還すればよく抑止効果がないため、制裁金の上乗せ案を提起した。   (共同)


 

2012年9月28日金曜日

浜岡原発再稼働を巡る静岡県民投票が厳しい状況に +


浜岡原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案に関し、静岡県議会の民主党系会派及び最大会派の自民改革会議は、投票実施のために必要とされる修正案を、会派としては提出しないことを決めました。
条例案を提出した市民団体「原発県民投票静岡」の鈴木望代表は、自民改革会議に招かれて意見交換を行った際に、成立のためには条例案を修正することもやむを得ないと述べましたが、同会議は「署名した人に対し説明がつかないし、趣旨も変わってしまう。会派として修正案を出すことはできない」との考えを示した(毎日新聞)ということです。 

静岡県は831日、「(同)県民投票条例案の法制度上の主な問題点」とする文書を発表し、「投票資格者18歳以上は、現行の選挙制度と整合せず、県においては投票資格者を把握することはできない」、「県民投票を条例の施行日から6月を超えない範囲内とするのは、県と市町との間で行う協議などの手続に要する期間を考慮すると非現実的」など、9項目を問題点として指摘しました。同市民団体はその指摘を考慮して修正案をまとめましたが、同団体からは出せないので県会議員会派からの提出を期待していました。

同条例案は来月45日に集中審議し、11日に採決の予定ですが、どうなるのか気にかかります。
詳細は「原発県民投票静岡」のホームページに詳しく載っていますのでご覧ください。
 http://kenmintohyo.com/hanron.php  (県の文書も載っています)  


 (9/29 中日新聞の続報を追加)

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県民投票、厳しい情勢 修正案出ず、浜岡再稼働
東京新聞 2012927 

 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働の是非を問う県民投票条例案に関し、静岡県議会の民主党系会派は27日の役員会で、投票実施のために必要とされる修正案を、会派としては提出しない方針を決めた。
 民主系は条例案に賛成意見を付した川勝平太知事の「知事与党」。最大会派の自民党系会派も案を出さないことを決めており、投票の実現は厳しい情勢となった。
 市民団体がまとめた条例案は、投票資格や実施時期などに問題点があり、原案のまま可決されても実際には投票を実施できないと県が指摘。修正案を提出できる県議の動向が焦点となっていた。  (共同)  
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 (9/29続報記事を追加)
浜岡投票条例 異論噴出で結論出ず
中日新聞 2012929 

◆民主県議団 2日に再び議員総会
 中部電力浜岡原発(御前崎市)の再稼働の是非を問う住民投票条例案をめぐり、静岡県議会第二会派の民主党・ふじのくに県議団は二十八日、県庁で議員総会を開いた。会派として修正案を提出しないと決めた二十七日の役員会の方針を各議員に諮ったが、異論が噴出して意見集約に至らなかった。結論を出すため十月二日に再び議員総会を開く。

 非公開の議員総会終了後、野沢義雄会長は「修正案を検討してきた経緯を大事にしたいとの意見もあった」と役員会の決定に異論が出たことを説明。「会派分裂は避けるべきだ。会派としてどういう方向が一番いいのか、県民の要望に応えられるか、難しいが答えを見つけたい」と語った。
 有志で修正案を出す可能性も残されているが、会派の中には「修正案が出たら、確実に会派が割れる。その覚悟があるかどうかだ」との声もあり、条例案成立に向けての情勢は厳しい。

 一方、約十六万五千人の署名を集めて県に条例制定を請求した市民団体「原発県民投票静岡」は二十八日、各会派に要望書を提出。各議員に条例案の修正と条例成立を強く求めた。

 

2012年9月27日木曜日

原子力規制委 調査団の編成方針は正当なのですが・・・ +


原子力規制委員会は大飯原発の活断層の調査を、日本活断層学会などから推薦を受けた専門家らによる「現地調査団」を結成して、十月下旬に行うことを決めました。
これまではそうした「専門家」は、電力会社の親戚筋に当たる電力中央研究所や経産省と関係が深い産業技術総合研究所から選出されるのが慣例であったということなので、それでは活断層についての不可解な「判定」や、地層データーの「紛失」(?)が起きても仕方がなく、新組織で過去のそうした不正が改められるのは当然のことです。

しかしその一方で同委員会が毎週開く記者会見について、その実務を担当する原子力規制庁の広報担当者が、「しんぶん赤旗」の記者や一部のフリーランスの記者に対して、「特定の主義主張を持って書かれている方はご遠慮いただく」として、記者会見への参加を拒否しました。
これは明らかに「公開性」を規定した原子力基本法の精神に反するものであり、自分たちの困ることを指摘されたり、質問されたりすることを防ごうとする不明朗性を、自ら表明したことに他なりません。 

 東京新聞としんぶん赤旗の記事を紹介します。9/28 記事を追加)
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学会推薦の調査団結成 大飯原発断層で規制委
東京新聞 2012926 

 関西電力大飯原発(福井県)の敷地内に活断層が存在する可能性が指摘された問題で、原子力規制委員会(田中俊一委員長)は二十六日、関係学会から推薦を受けた専門家らによる「現地調査団」を結成し、十月下旬に現地調査することを決めた。調査団には過去に原発の安全審査に携わった専門家は入れない方針で、規制委からは島崎邦彦委員長代理(東京大名誉教授、地震学)が加わる。

 従来の規制組織は、外部に調査を依頼する際、限られたごく一部の専門家を登用することが多かったが、規制委は学会から推薦された専門家で調査団を組織し、透明性を高める。
 規制委は日本活断層学会、日本地質学会、日本第四紀学会、日本地震学会などに推薦を求める。

 大飯原発3、4号機は七月に再稼働した。1、2号機と3、4号機の間をほぼ南北方向に走る「F-6断層(破砕帯)」に対し、専門家から活断層の疑いがあると指摘されていた。規制委は現地調査の結果を踏まえ、年内に活断層かどうかの結論をまとめる方針。
 安全審査などへの外部の専門家の登用をめぐっては、島崎委員長代理が十九日の就任記者会見で「一般の方には(安全審査に)非常な不信感がある」と指摘。過去の審査では地質や地盤、活断層関係の専門家は、電力会社や経済産業省と関係が深い電力中央研究所や産業技術総合研究所から選出されるのが慣例化しており、専門家の入れ替えや選出過程の透明化を訴えていた。
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「特定の主義主張 ご遠慮いただく」 原子力規制委が取材規制
しんぶん赤旗 2012926 

 原子力規制委員会が毎週1回開く委員会終了後の記者会見について、同委員会の実務を担当する原子力規制庁の広報担当者は「特定の主義主張を持つ機関の機関紙はご遠慮いただく」などとして、「しんぶん赤旗」を排除する方針を25日、明らかにしました。さらにフリーランスの記者についても「どういった雑誌に、どういった記事を書いているかを見て、特定の主義主張を持って書かれている方はご遠慮いただいています」と、憲法が禁止する検閲まがいの対応をしていることも明言しました。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は19日の第1回委員会で、「地に落ちた原子力安全行政に対する信頼を回復する」ため「透明性を確保する」と述べ、「報道機関への発表を積極的に行うことで、委員会としてのメッセージを分かりやすく伝える」とする方針も決めていました。委員会で決めた「報道の体制について」では「報道機関を既存官庁よりも広く捉え、報道を事業として行う団体や個人を対象にする」とまで明記していました。
 これまで、内閣府原子力安全委員会後の委員長らの記者会見で、こうした対応はされていませんでした。
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(9/28以下の記事を追加)
 “初仕事は報道規制” おかしいぞ!! 原子力規制委 「赤旗」排除に批判広がる
しんぶん赤旗2012928 

 「信頼回復」「透明性」を掲げながら「特定の主義主張」を理由に「しんぶん赤旗」を排除する―。原子力規制委員会の不当な取材規制に怒りの声が広がっています。本紙26日付の第一報「原子力規制委員会が取材規制」には、インターネットアクセスが2万1000件、「原子力規制委員会の最初の仕事は報道“規制”だった」などといったツイッターのリツイートは2200件(27日午前)に達しました。怒りの矛先は「規制の相手が違うだろう」などと、規制委員会の姿勢そのものに向けられています。 

 同委員会の田中俊一委員長が「政治からの独立性」を理由に排除を正当化しようとしたことに、大阪大学コミュニケーションデザイン・センターの平川秀幸准教授はツイッターで反論。「政治的独立性というのは、何よりも、その審議過程に政治が不当に介入し、審議内容が歪曲(わいきょく)される可能性を排することを意味するはず。記者会見での質疑が審議過程に介入し影響力を行使する行為に当たるとは考えられない」と指摘しています。「しんぶん赤旗」は「機関紙ではあろうが、新聞の機能も果たしていて、共産党員や支持者じゃなくても有益な情報を報道しているではないか。それを『政党機関紙』と矮小化するのは、まず排除ありきで、取ってつけた屁理屈ではないか」といいます。 

 「驚きをもって受けとめています」とするのは、立命館大学国際関係学部の大島堅一教授。「都合の悪いことは隠ぺいしてきた(経済産業省原子力安全)保安院の体質をまた継承するようだ」「国民の不信もまた引き継がれてしまうだろう」

 音楽評論家の湯川れい子さんは「原子力規制委員会が、赤旗…をしめ出したって…。自ら公平公正な判断は出来ません、致しませんとアナウンスしているようなもの」。
 フリーランス編集者の渡部真さんは本紙に「政党の機関紙だからと排除されるのはおかしい。合理性がない。ヨーロッパの多くの国では、政党機関紙が排除されることはない。民主主義国家なら当然だ。原子力規制委員会の対応は、情報公開に逆行しトンチンカンだ」とコメントしまし 
 
 
 

2012年9月26日水曜日

生活保護が2ヶ月連続で過去最多を更新しました


 日本の生活保護受給者の人口比率は1.6%で、諸外国よりも格段に低いのですが、それは受給資格者の1520%にしか生活保護費を支給していないからだということです。
   そういう中でも、生活保護受給者は5月、6月と2ヶ月連続で過去最多を示しました。これは日本における貧困者層がますます増大していることの現れです。
 



   それにもかかわらず政府は、来年度予算の概算要求基準で生活保護費の削減方針を明かにし、厚労省の審議会などで支給水準が妥当か否かを検証して、年末までに結論を出すことにしています。


 東京新聞の記事を紹介します。
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生活保護、過去最多を更新 6月、2115千人
東京新聞 2012926 

 厚生労働省は26日、全国で生活保護を受けている人が6月時点で2115477人となり、2カ月連続で過去最多を更新したと発表した。受給世帯数は1542784世帯で、こちらも過去最多を更新した。

 5月の受給者は211816人、受給世帯数は1538096世帯だった。
 政府は来年度予算の概算要求基準で生活保護費の削減方針を打ち出している。105日に再開する社会保障審議会生活保護基準部会で支給水準の妥当性を検証し、年末までに結論を出す方針だ。

 自民党も総裁選で石原伸晃幹事長ら各候補者が生活保護見直しに言及している。(共同)

 

世界各国で開く原爆展が100回を達成しました


 今年は湯沢町でも8月に「原爆パネル展」が開かれましたが、国際協力機構のボランティアが55カ国で開いてきた原爆展が100回目を迎えました。
広島や長崎の原爆被害や街の復興をパネルやDVDで伝え、平和を願う心を世界に広げているということです

 中国新聞の記事を紹介します。
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JICAの原爆展100回達成
中国新聞 2012926 

 国際協力機構(JICA)のボランティアが世界各国で開いている原爆展が100回を迎えた。広島県出身者が中心になり、広島や長崎の原爆被害や街の復興をパネルやDVDで伝え、平和を願う心を広げている。

 100回目は8月、廿日市市出身の原まみほさん(27)たちが中南米エルサルバドルの教会で開いた。原爆投下直後の様子などのパネル30枚を展示し、約100人にスペイン語で内容を説明した。
 原さんは「広島の出身と言うと『爆弾の街か』と言われ、語り継がなければという意識が芽生えた」。JICA現地事務所を通じ、先輩ボランティアからノウハウや資料を引き継いだ。

 これまでアジアやアフリカ、ヨーロッパなど55カ国で開いた。初回は2004年の中南米ニカラグア。広島市安佐南区の小坂法美さん(35)たちが、同国に広島出身者が偶然4人集まり、「自分たちだからできることを」と発案したという。
 28日~10月9日には広島市留学生会館(南区)で、原爆展の様子を伝えるパネル展「ヒロシマをもっと世界に伝えたい!」がある。無料。午前9時~午後9時(日曜は午後5時まで)。月曜休館。
 
 

2012年9月25日火曜日

"非拘束名簿方式 は違憲でない”とする最高裁判決がありました


 25日、最高裁判所で、「非拘束名簿方式」は「憲法に違反しない」という判決が言い渡されました。 

 それとは別に、選挙区により1票の格差が5倍も違うのは違憲ではないか、という訴訟の最高裁判決が来月17日にあります。現政権は高裁の判決を政権延命の口実に利用して、憲法違反の状態では解散は出来ないと言っていますが、まさに本末転倒の論理というべきです。

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最高裁“非拘束名簿方式 違憲でない”
NHK NEWS web 2012925 

参議院選挙の比例代表で候補者名でも政党名でも投票できる「非拘束名簿方式」が憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、最高裁判所は「憲法に違反しない」という判決を言い渡しました。 

訴えを起こしたのは、首都圏の弁護士グループで、おととし7月の参議院選挙を巡って、候補者名でも政党名でも投票できる比例代表の「非拘束名簿方式」は憲法に違反すると訴えていました。
訴えの中で、原告側は「候補者に投票しても、政党への票にカウントされて別の当選者を選ぶことにつながる可能性があり、投票者の意思を無視している」と主張していましたが、東京高等裁判所が訴えを退けていました。
25日の判決で、最高裁判所第3小法廷の大谷剛彦裁判長は「比例代表の非拘束名簿方式は、憲法に違反していない」という判断を示して、原告側の上告を退けました。

おととしの参議院選挙を巡っては、1票の価値に最大で5倍の格差があった選挙区の選挙について憲法に違反するかどうか、来月17日に最高裁大法廷で判決が言い渡されます。
 
 

橋下市長が韓国人元慰安婦と面会すると回答 +


 韓国人「従軍慰安婦問題」で、多くの国民や市民団体・人権団体から批判されている橋下市長が、25日、「慰安婦だった韓国人の方が僕に言いたいことがあれば直接聞く。日程が合えばお会いしたい」と述べました。
これは韓国から来日した元慰安婦の金福童さんが前日(24日)、市民団体とともに市役所を訪問しものの、面会が実現しなかったことについて、記者団から質問があったことに答えたものです。本当に実現するのか、またその時に橋下氏がどう対応するのかが、大いに注目されます。 
 
加えてこの際、既に出されているいくつかの抗議文・公開質問にも答えていただいて、自分の発言やその根拠となった認識が、厳正な識者の評価に耐え得るものであるのか否かを、自ら検証する機会を持つべきであると思われます。 
 
以下に東京新聞の記事を紹介します。
926以下を追記)
橋下氏は24日、休日を理由に元従軍慰安婦の女性と面会しなかったのですが、それについて朝日新聞の記者が、「86歳がわざわざ韓国から来たのに、橋下市長は同時刻に自宅でツイッター三昧。(私は)記者を外れるけど、人間としての怒りが抑えられません。ふざけんな。出て来い!」とツィッターしたのが、彼が翌日に「日程が合えば面会する」と述べた背景になったようです。

J-CASTニュースを紹介します。
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橋下市長、元慰安婦と面会の意向 「直接聞く」
東京新聞 2012925 
 
 新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は25日、戦時中の従軍慰安婦問題について「慰安婦だった方が僕に言いたいことがあれば直接聞く。日程が合えばお会いしたい」と述べ、面会する意向を明らかにした。市役所で記者団に答えた。
 
 橋下氏はこれまで「慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」と発言し、軍による強制連行を否定する見解を示している。
 
 市民団体「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」のメンバーと韓国から来日した元慰安婦の金福童さんが24日、市役所を訪問。橋下氏の発言の撤回と謝罪を申し入れたが、面会は実現していなかった。  (共同)
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橋下大阪市長ウォッチ
「記者ってそんなに偉いんですか」
「ふざけんな。出て来い!」朝日女性記者に猛反撃
J-CASTニュース2012/9/25 20:35 

大阪市の橋下徹市長が休日を理由に元従軍慰安婦の女性と面会しなかったことを、朝日新聞の記者が「ふざけんな。出て来い!」などとツイッターで批判した。
これに対して、橋下市長も2012925日夜、「それは偉そうすぎるだろ」などと猛反撃した。記者は、記者会見で論戦を挑む構えだ。
「僕がこれまで接した朝日新聞の記者の中では最悪に質が悪い」。
 橋下市長は「偉そうすぎるだろ」などとツイートで朝日新聞記者を批判した。 

 橋下市長が批判しているのは、朝日新聞大阪本社の阿久沢悦子記者。阿久沢記者は、橋下市長が元慰安婦の女性と面会しなかったことについて、ツイッターで、
 「86歳がわざわざ韓国から来たのに、橋下市長は同時刻に自宅でツイッター三昧。記者を外れるけど、人間としての怒りが抑えられません。ふざけんな。出て来い!」
と批判していた。この発言をJ-CASTニュースが報じたところ、橋下氏がツイッターで記事を紹介した上で、同記者について、
 「僕がこれまで接した朝日新聞の記者の中では最悪に質が悪い」
と批判。「出て来い!」発言についても、
 「記者ってそんなに偉いんですか?以前、読売新聞の記者が、記者会見で常識はずれの態度をとって叩かれた。阿久沢記者は、完全にその路線です」

 「阿久沢記者にとっては、元慰安婦の金さんは僕が絶対に会うべき人物なのだろうが、この人に会うべきだという提案は、たくさん頂いている。阿久沢記者が会えという人に僕が絶対に会わないといけないということか。それは偉そうすぎるだろ」
と噛みついた。また、
 「朝日にしてはほんと質が悪い。例のMBSの記者と同じ感じ」。
とも書いており、総じて朝日新聞の記者は質が高いと評価しているようだ。 

   阿久沢記者も、ツイートに返信。「出て来い!」には「この部分は口が過ぎました」 と陳謝しながらも、
「近々、論戦をしにうかがいたいと思います。聞きたいことは山のようにありますので。スチュワーデスっぽい格好をして行ったらいいですか?」
と「週刊文春」が報じた女性スキャンダルを皮肉りながら、記者会見で論戦を挑むことを宣言した。
 
 

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2012年9月24日月曜日

市民団体が福島医大に甲状腺検査の改善を求める


 OurPlanet-TVのホームページによると、13日、福島県の市民団体が、福島医大に対し甲状腺検査などの改善を求める要望書を提出しました。
遅まきですが紹介します。
要望書の提出は7月23日に続く2回目のもので、健康管理調査の責任者である山下俊一副学長の出席を求めましたが、それは実現せずに、市民たちには同大の放射線県民健康管理センター松井史郎特命教授(日経BP社員から転職)が対応しました。 

主な話し合いの内容は以下のとおりです。
①検査結果の本人開示については、簡易な情報開示の方法を県と協議中で、通知の内容は改善すると約束しました。
②甲状腺の異常者には検査の間隔を縮めることについては、明確な回答はありませんでした。しかし初めて「早期発見、早期治療」の立場であることを口にしました。
③甲状腺がん以外の健康被害についての検査は、県からの委託事業なので対応は難しいという回答でした。
④セカンドオピニオンについては、福島医大学は一貫して妨げるものではないので、誤解を解くための文章をウエブサイトに掲載することを検討していると回答しました。(こんな即座に行えることが、なぜいまだに出来ていないのでしょうか。)
⑤児童1名が甲状腺がんを発症したのを、放射線とは無関係であると説明したことに対して、チェルノブイリでは、事故の翌年から数人ずつ発症していることを挙げて追及すると、「無関係と断言しなかった」と釈明しました。(原記事の動画を参照) 

なお最後に触れている同意書の件は、「データは福島医大が保管することに同意する。これを理解した上で甲状腺検査を受ける」という同意書に保護者が署名しなければ検査が受けられないという現状を問題にしたものです。 

市民たちとの交渉の様子は、13日付「田中龍作ジャーナル」 にも載っています。
 以下にOurPlanet-TVの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
甲状腺の検査改善求め~市民が県立医大に要望
 ourplanet 2012.9.15
 

 東京電力福島第一原発事故を受けて実施されている福島県県民健康管理調査に関し、子どもの健康問題に取り組む市民らが13日、甲状腺検査などの改善を求めて申し入れを行った。
 

 要請を行ったのは、8つの市民団体で構成されている「子どもと放射能対策の会」のメンバーら。放射線県民健康管理センターの松井史郎特命教授に対し、甲状腺検査の結果データを本人に開示するよう求める要望書を手渡した。要望書を提出するのは7月23日に続いて2回目。健康管理調査の責任者である山下俊一副学長の出席を求めていたが実現しなかった。
検査結果の本人開示について
 チェルノブイリ原発事故では、子どもたちの間で甲状腺がんが増えたことから、福島県内でも18歳以下の子どもを対象に、去年暮れから超音波による甲状腺検査が実施されている。しかし、A~Dという独自の判定結果のみが通知され、のう胞や結節が発見されても、超音波画像データやしこりなどの大きさなどは、本人がわざわざ個人情報の開示請求をしないと入手できない状況が続いている。これに対し、市民らは、通常の病院同様、超音波診断を受けたらすぐに画像を手渡して欲しいと要望。松井教授は、簡易な情報開示の方法を県と協議中であると回答した。また、通知の内容を改善すると約束。今後、住民説明会を開催し、検査結果についての説明を行っていくことを明らかにした。
甲状腺検査の内容や方法の見直しについて
 現在、避難区域内の子どもと福島市の子ども、約8万人の検査が終了している。しかし、初期に大量のヨウ素が飛散したとみられるいわき市などが来年に先送りされており、県外の医療機関で個別に検診を受けている家庭も少なくない。市民からは、2年間ごとの検査では不安だとの声があがった。これに対し、松井教授は「長期にわたってずっと見てゆくことが大事だと考えている。」と強調。郡山在住の黒田節子さんが「県外でお医者さんに見せると2ヶ月ごとに経過観察をしましょうと言われる。山下教授は2年ごとで良いとしているが、この違いは何か。」と追及すると、松井教授は「健康被害がないということを前提にして調査しているわけでなない」としたうえで、「放射線に関係あるかないかにかかわらず、『早期発見早期治療』を我々はやるべき立場だ。」と明言。福島医大の担当者として、初めて「早期発見早期治療」という言葉を口にした。
 福島県民健康管理調査については、調査の目的が「健康不安の解消」とされているため、「健康被害がないことを前提にしている」との疑念を持つ県民も多く、インターネット上では「人体実験だ」「福島県民がモルモットにされる」との声も強い。事故後子どもたちの健康問題に取り組んできた青木一政さん(福島老朽原発を考える会)は初めて耳にする言葉に驚きの表情で「『早期発見早期治療』が健康管理調査の立場であるならそれをしっかり表明して確実にやってほしい。」と注文をつけた。
甲状腺がん以外の健康被害について
 一方、放射能から子どもたちを守る福島ネットワークの代表佐藤幸子さんは、保護者の多くが、甲状腺がんだけでなく、免疫力の低下などその他の病気について心配していると説明。超音波だけでなく、血液検査を含む多様な検診してほしいと求めた。しかし松井教授は、福島県からの委託事業なので対応は難しいと回答。避難区域内の住民は「健康診査」という形で様々な検診を実施しているが、区域外については、県の健康管理課に要望すべき内容であるとした。
セカンドオピニオンについて
 山下俊一副学長と甲状腺調査を担当している鈴木真一教授は、今年1月25日、甲状腺学会会員に対して、セカンドオピニオンや追加検診を見合わせるように求める文書を送っている。この通知について、松井教授は「この点は、保護者やメディアからも多数問い合わせが届いている」とした上で、「福島県立医科大学としては、一貫してセカンドオピニオンを妨げるものではない。誤解を解くための文章を、近日ウエブサイトに掲載する」と回答した。これに対し、市民からは、医療従事者にも浸透するよう、1月に通知を送った相手には、鈴木氏、山下氏の署名入りで郵送で通知してほしいと要請した。
甲状腺がんの子どもが見つかった件について
 また、先日、甲状腺がんの子どもが見つかったことに関連して、被ばく線量など、個人情報が特定されない方法で、もう少し情報を開示して欲しいとの声があがったが、松井教授は現時点で、情報の公開は難しいと返答。福島集団疎開裁判の原告団長をつとめる井上利夫さんが「チェルノブイリ事故後、翌年から甲状腺がんが微増しており「放射能とは関係ない」と言い切れないのではないか」との指摘したことに対して、松井教授は、「鈴木医師は「現段階では、放射能が関係するとはいいにくい」と言ったまでで、断定的に報道したマスコミの問題が大きい」と回答。市民側からは「これまでの積み重ねで、信頼関係を損ねている中、回復は簡単ではない」との声があがった。また青木さんが、8月末に日本疫学会で発表した山下氏の論文を紹介。健康管理調査の目的として、「(1)長期にわたり健康状態の監視、(2)将来の県民の幸福の推進、(3)長期にわたる低線量被ばくの健康への影響調査」となっているとして、山下教授がこの健康管理調査を進めていることに対して不信感がぬぐえない背景を説明した。
同意書
 郵送で事前に送付する同意書も不信を募らせる背景となっている。保護者の一人は、山下教授がドイツの講演で、県民のことを「被験者」と呼んでいるとして、健康管理調査がデータをとるためのものなら、そのことを山下氏は県民の前で説明すべきたと指摘。「データをとるから『同意書』が必要になる。『同意書』は止めてほしい。」と語気を強めた。