2014年9月30日火曜日

国民安保法制懇が声明 国会前では2千人が「暴走をやめろ」の抗議デモ

 臨時国会初日の29日学者や弁護士、元官僚らでつくる「国民安保法制懇」は、閣議決定の撤回を求める声明を発表し、政府に提出しました。
 
 解釈変更の閣議決定は「政府の憲法解釈を不安定化させる」とし、米軍の対テロ戦争に協力した場合、日本がテロ組織に報復される懸念にも言及しました。
 
 元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「集団的自衛権の本質は、米国の戦略のために自衛隊を使うことだと指摘し小林節慶応大名誉教授は、新三要件について「他国が攻撃された結果として、日本人の人権が全否定されるような事態があり得るのか。考え付かない」と述べました。
 
 また国会周辺では臨時国会の召集に合わせ、秘密保護法集団的自衛権行使容認に反対する人たちが集会を開き、2000人以上が参加しました。
 
 集会は「安倍政権の暴走を止めよう! 国会包囲共同行動」実行委員会によるもので、12:00~13:30の「国会包囲」と、18:30~20:00の「首相官邸前集会」の2回にわたって行われました。
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集団的自衛権で国民安保懇 閣議決定撤回を要求
東京新聞 2014年9月30日
 集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈見直しの閣議決定に反対する学者や弁護士、元官僚らでつくる「国民安保法制懇」は二十九日、閣議決定の撤回を求める声明を発表し、政府に提出した。
 声明は安倍政権が閣議決定した武力行使の新三要件で「他国に対する攻撃により、国民の生命や権利が覆される明白な危険がある場合」に、行使が容認されるとしたことについて「この要件は『日本に対する急迫不正の侵害』という従来の要件とは異なり、客観的な歯止めではない」と批判した。
 解釈変更の閣議決定は「特定の政権の判断で憲法解釈を自由に変更する前例となり、政府の憲法解釈を不安定化させる」とし、憲法によって権力を縛る立憲主義を覆す行為だとして、撤回を求めた。
 自衛隊が集団的自衛権を行使して米軍の対テロ戦争に協力した場合、日本がテロ組織に報復される懸念にも言及した。
 
 声明の提出に合わせ、法制懇の委員九人は衆院議員会館で記者会見した。元外務省国際情報局長の孫崎享(まごさきうける)氏は「集団的自衛権の本質は、米国の戦略のために自衛隊を使うことだ。あたかも日本の防衛のために集団的自衛権を使うように説明するので、訳が分からなくなる」と指摘した。
 小林節慶応大名誉教授は、新三要件について「他国が攻撃された結果として、日本人の人権が全否定されるような事態があり得るのか。考え付かない」と述べた。
 
 
「暴走をやめろ」政権へ抗議デモ 国会前、複数団体集結
東京新聞 2014年9月29日 
 臨時国会が始まった二十九日、国会周辺で安倍政権の政策に反対する市民団体などの抗議行動が行われた。秘密保護法の施行や集団的自衛権の行使容認、原発再稼働、労働規制の緩和などさまざまなテーマに抗議する団体や個人が集まり、「暴走をやめろ」と声を上げた。
 
 
 主催した実行委員会の高田健さん(69)は「国会初日にさまざまなテーマに取り組む人たちが一堂に集まるのは珍しい。政権への怒りの表れだ」と話した。
 
 東京都板橋区の岩佐博之さん(70)は「秘密保護法も集団的自衛権も国民から反対意見が上がっているのに、すくい上げられず無視された。国会もまともな議論をしていない」と批判。横浜市磯子区の大学一年、下村果南さん(18)は「安倍首相は若い人に頑張ってもらいたいと言っているが、『残業代ゼロ』制度などが議論されており、何を考えているのか不安に思う」と話した。
 

「アベノミクス有害」の批判に首相が激怒

 「藻谷?アイツだけは許さない。あの馬鹿っ!俺に喧嘩売っているのか」
 安倍首相が酒の席でそう藻谷氏を罵倒したと週刊文春(10月2日号)が書いています。 
 藻谷浩介氏とは「デフレの正体」や「里山資本主義」の著者であり、アベノミクスは間違いだと一貫して言い続けているエコノミストのことです。
 
 9月中旬の毎日新聞に載った、「無謀な金融緩和」とする同氏の記事が余ほど気に食わなかったようですが、それにしても首相の態度は尋常ではありません。週刊誌などでは安倍氏は、「国会の質疑で、野党議員に論理的に追い込まれると、ほぼ決まって口元を震わせ、手をわなわなさせる」などと報じられています。
 
 天木直人氏のブログと、藻谷浩介氏を直撃した日刊ゲンダイの記事を紹介します。
 前者は首相の小心者ぶりについて、後者はアベノミクスの根本的な誤りについて、明に語っています。それが余ほど痛かったのでしょう。

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批判する者を許さない臆病者を首相に持つ日本の悲劇
天木 直人  2014年9月28日
週刊文春10月2日号「ワイド特集 ナイショの話」に次のような事が書かれていた。 
ベテランジャーナリストとの内輪の会で、安倍首相がグラス片手にこう暴言を吐いたという。 
「モタニ?アイツだけは許さない。あの馬鹿っ!俺に喧嘩売っているのか」と。 
モタニとは、「デフレの正体」や「里山資本主義」の著者であり、アベノミクスは間違いだと一貫して言い続けているエコノミスト(日本総合研究所主席研究員)藻谷浩介氏のことである。 
安倍首相が自分を批判する者に腹を立ることは知っている。 
しかしこの国の最高権力者が、国民のひとりである一介のエコノミストをここまで罵倒するなどということはあってはならないことだ。 
臆病者こそ批判されれば怒る。 
そして臆病者こそ何をしでかすかわからない。 
どうやら日本国民は、腹痛で政権を投げ出した臆病な政治家を再び首相にさせてしまった事を悔やむ時が来たようだ。 
これにしても、こんな暴言を聞いておきながら誰一人それを咎めず、週刊誌しかこの暴言事件を報じないとは。 
みなが安倍を甘やかしているからつけあがるのだ。 
このままでは日本は危うい(了)
 
 
日本総研・藻谷浩介氏 「安倍政権は経済的な“反日”の極み」 
日刊ゲンダイ 2014年9月29日
 アベノミクスを批判する専門家は多いが、「(無謀な金融緩和を止められない自分の無力を)懺悔しなければならない」(9月14日毎日新聞)とまで語った人は珍しい。「金融緩和の頓挫した後の世界を生きていく時間の長い若者よ、集団幻想を抜け、事実を語ろう」とも。痛いところを突かれたせいか、安倍首相は「アイツだけは許さない」と怒っている。さっそく、講演会場で直撃した。
 
■相手をケガさせて「クスリを買え」という手法
――「安倍氏と直接の面識はなく、好き嫌いで批判しているわけではない」と語る藻谷氏。氏が指摘するのは、「アベノミクスの成果」に実体がなく、円安の副作用ばかりが大きくなっているという事実だ。
 
 「原発が止まったから、火力発電所用の石油輸入量が増えて貿易赤字国になった」「国富を流出させないためには再稼働が必要だ」という話を、多くの人が信じ込んでいる。とんでもない話で、真犯人は政権が自分で誘導している「円安」です。
 確かに日本の輸入は野田政権の時に66兆円、そして安倍政権の時に77兆円と、1年間で11兆円も増えました。石油・ガス・石炭はそのうちの3兆3000億円、つまり3割で、7割は食品や雑貨やスマホなど、燃料以外の商品の輸入額が円安で膨れ上がってしまったものです。
 燃料代3兆3000億円の増加も円安が原因で、原発停止が理由ではありません。原発は野田政権当時から全部止まっていたのですから。日本の石油や天然ガスの輸入量は国民や企業の省エネ努力のおかげで、原発事故前の2010年も、安倍内閣の昨年も、2億5000万キロリットルと横ばいのままなのです。
 経産省は原発を全部再稼働すれば、化石燃料の輸入額を1兆6000億円程度減らせると言っていますが、昨年の貿易赤字は8兆5000億円ですから焼け石に水。自分で円安にして日本を大赤字にしておいて「原発再稼働」というのは、相手を転ばせてケガさせておいて「さあ、クスリを買え」というような話です。
 
■いつの間にか中東に貢ぐ国に
――その結果、日本はどれだけ国富が流出しているか。円安に株価上昇で浮かれるのはあまりにも能天気だ。
 
  国全体で「赤字がかさんでいる」のは、企業や個人の損の合計が、それだけ増えているということ。特にガソリンや電気を使っている企業や個人の儲けがどんどん減っている。株価の上昇で儲けて喜んでいるのはごく一部の人たちで、多くの人はひたすら、中東諸国に貢ぐために働く、というようなはめになっています。
  株が上がったと浮かれている人は、「国全体が赤字になっても、自分だけは儲けることができた」と喜んでいるわけですが、それを「政権の成果」と囃していていいのでしょうか。
 今年上半期の数字から試算すると、今年の貿易赤字は十数兆円に膨らみます。野田政権のときが4兆円台の赤字、鳩山政権の2010年には10兆円の黒字でしたので、日本はものすごい勢いで貿易赤字国に転落しているのです。
 ちなみに輸出も増えています。日本のものづくりの国際競争力が落ちているというのはとんでもない誤解で、今よりも輸出が多かったのは、リーマン・ショック前の世界超同時好景気の3年間だけです。ハイテク部品や高機能素材が売れ続けているからです。しかし、日本全体の収支構造が逆ザヤになってしまっているので、輸出が増えるほど輸入も増えて赤字が拡大するのです。 
 
円安政策が対中貿易赤字を招いている
 
――安倍首相は中国に対して、高飛車に出ている。しかし、その一方で、対中貿易が極端に悪化しているのは皮肉なことだ。
 
 日本は中国(香港を含む)に対して、一昨年までの12年間、貿易黒字を続けてきました。鳩山政権当時は史上最高の4兆円近い黒字を稼いだのです。それが安倍政権下の昨年、1兆円の赤字に転落してしまった。日本は雑貨でも食品でも部品でも安いものを何でも、コストダウンのために中国から買いまくっていて、そういう構造が円安で裏目に出たのです。
 「中国と毅然と対決する」という姿勢の安倍政権の円安政策が、こうした結果を招いている。対中貿易赤字を招くような政策を経済的な「反日」政策だとすると、「安倍政権は反日の極み」で、「鳩山政権が最も親日」という皮肉なことになる。
 
――里山資本主義を提唱する藻谷氏は、GDPばかり計算していないで、お金に換算できない価値を見直すべきだと訴えている。そうした発想の転換によって、日本は幸せな国になれると提言している。
 
 日本は20年前から、1人当たりのGDPは世界20位以内の水準です。失業率も先進国で最低水準なのに、「もっと稼いでGDPを増やさなければならない」と政治家は叫び、そう言えば、支持率が上がる。そのために刹那的な「マネー資本主義」に走っています。その結果、未来のために残さないといけないものまで使い尽くし、今稼ぐために残してはいけないものを残している。具体的には借金と汚染物質です。
 ようやく表に出始めた原発の廃炉費用を上乗せするだけでも、電気料金はさらに上がっていく。でも廃炉費用の負担が本格的に発生するのは少なくとも2、3年後。使用済み核燃料の負担が出てくるのはその先。それまでに任期が来るメーカーのサラリーマン社長は、「取りあえずは原発再稼働で目先の電気料金が下がってくれればいい」と考える。これが「マネー資本主義」の刹那的な発想です。
 
 マネー資本主義に走る大企業は、人員を減らすことで給料の総額を減らし、原材料を安くするために中国からの輸入量を増やして、配当を確保する。1部上場の大企業は配当を減らすとソニーのように株主総会で叩かれるので減らしません。その分、貿易赤字が増えて、内需は縮んでしまいます。
 アベノミクス以降、日経平均株価は9割も上がったのに、国内の小売販売額は1%しか伸びていない。13年の小売販売額は139兆円で、12年の138兆円とほとんど変わっていないのです。国民や中小零細企業の大多数は、円安で輸入原材料費が上がって経費がかさむばかりで恩恵の実感はありません。
 株が上がって儲けた人がどんどん使えばいいのですが、彼らは金融商品を買うばかりで、国内でモノを買わない。海外にビルが建つだけです。「飢えている人の横で、食べ物を冷蔵庫にしまい込んで腐らせている金持ち」というような行動です。
 
■仏・伊方式に活路がある
――マネー資本主義に毒されているのは、米国も同様に見える。日本が参考にすべき国はあるのだろうか。
 
 資源もないのに日本に対して貿易黒字のフランスやイタリアに注目しています。両国とも日本人ほど働いているという話は聞いたことがないのに、日本の方が赤字です。彼らが売り込んでいるのは、ブランド衣料宝飾品に加えて、田舎の産品であるワイン、チーズ、パスタにオリーブオイルなどです。ハイテクではなく、デザインと食文化を売っている。日本だって、里山の恵みをもっと生かして、同じような路線を追求できるはずです。
 
▽もたに・こうすけ 1964年生まれ、山口県出身。東大法卒。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)を経て、日本総研調査部主席研究員、日本政策投資銀行地域企画部特別顧問。「デフレの正体」など著書多数。 
 

2014年9月29日月曜日

「憲法9条守れ」 甲州街道をパレード 八王子

東京新聞 2014年9月28日
 憲法九条を守るために活動する市民団体がつくる「9条の会・八王子市内連絡会」は二十七日、集団的自衛権の行使容認に反対する「甲州街道パレード」を行った。JR八王子駅前から甲州街道(国道20号)に入り、西八王子駅までの行進に約九十人が参加し、道行く人たちに「主権者として戦争反対の意思を示そう」などと呼び掛けた。
 連絡会は、市内で活動する十七の「9条の会」が昨年結成。「南大沢憲法9条の会」事務局の浜津良輔さん(72)はパレードについて、「これまでビラ配りや街頭宣伝などの活動をしてきた。今回は街を歩き、市民に直接訴える」と説明した。
 参加者らは、「9条をこわすな」や「戦争反対」などと書いたプラカードや風船を持って行進し、「集団的自衛権の行使容認反対」や「九条を守れ」などと声を合わせた。
 参加した棟方(むなかた)俊枝さん(60)は「憲法解釈で集団的自衛権の行使を容認した安倍政権には危機感を感じる。米国などによるイスラム国への空爆は長引きそう。自衛隊が戦争にかり出されないよう、九条を守らなくてはいけない」と話した。 (村松権主麿)
 
写真
 集団的自衛権の行使容認に反対を訴えたパレード=八王子市で

九条俳句掲載拒否 さいたま市民ら集会

 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ市民の俳句を、さいたま市の三橋公民館が月報への掲載を拒否した問題で、市民有志らが27日、回目の市民集会を開きました。
 
 さいたま市公民館運営審議会委員長の安藤聡彦埼玉大教授がパネリストとして発言し、「掲載拒否が認められてしまえば、物事が言いづらい世の中になる」と指摘しました。
 会には県内外から160人が集まり、そのうちの約20人が発言しました。
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民主主義の礎守れ 九条俳句掲載拒否 さいたま市民ら集会
東京新聞 2014年9月28日
 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ市民の俳句を、さいたま市大宮区の三橋(みはし)公民館が月報への掲載を拒否した問題で、市民有志らが二十七日、さいたま市の市民会館おおみや小ホールで二回目の市民集会を開いた。会場には約百六十人が集まり、「言論封殺だ」などと批判の声が相次いだ。
 
 有識者らでつくる、さいたま市公民館運営審議会委員長の安藤聡彦(としひこ)・埼玉大教授(社会教育学)がパネリストとして発言し、「掲載拒否には納得できる根拠がない。拒否が認められてしまえば、物事が言いづらい世の中になる」と指摘した。
 
 参加者約二十人が発言したが、ほとんどが公民館や、管轄する市教育委員会への批判。「梅雨空-」の作者と同じ俳句会の女性は「月報の掲載作品を選ぶ句会は毎月、和気あいあいとやっていた。公民館の方から中身がだめと言われるなんて筋違いで、納得できない」と憤った。「公民館で、政治的な内容を話しちゃいけないのか。民主主義の根本が問われている」と反発する男性もいた。
 市民集会は、約百人を集めた七月二十五日以来、二回目。主催者側が出席を求めていた市教委の担当者は今回も参加しなかった。 (岡本太)
 
 
9条俳句拒否根拠示せ さいたま 市民有志が考える集い
しんぶん赤旗 2014年9月28日
 さいたま市大宮区の三橋公民館が、俳句サークルが選んだ「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の句を公民館だよりに掲載拒否した問題についてさまざまな角度から議論しようと、市民有志の呼びかけによる集いが27日、同区の市民会館おおみやで開かれ、160人が参加しました。
 
 市の公民館運営審議会委員長の安藤聡彦(としひこ)埼玉大学教授が発言し「自主的な学びや活動、表現に対し公的レベルでの規制が起きており、生きづらい社会をつくり出している。市の公民館で起きたことは、まことに残念」と語りました。掲載拒否について「市は正当な根拠を示せていない」と指摘。審議会での議論も不十分だとし、今後、句会の当事者の意見も聞きながら議論を深めたいと語りました。
 
 県内外から多くの市民が参加し「公民館の改修問題で署名を集める箱を置いたら『政治問題に当たる』と撤去を強要された」などの事例が報告され、「意見を言うことをためらう空気になるのが怖い」などの声が上がりました。安藤氏は「公民館は一人ひとりの市民と地域の民主主義の力で支えられている。この問題を議論し、伝える取り組みが問題解決にとって決定的に大事」と話しました。
 集いでは、教育学者の大田堯(たかし)東京大学名誉教授のインタビュービデオが紹介されました。
 

「消費増税は国際公約」は嘘 

 28日のNHKの日曜討論で自民党の谷垣幹事長は例によって、消費税率を10%に上げたときのリスクは手の打ちようがあるが、上げなかったときのリスクは非常に不安がある」という意味不明の理由を挙げて税率アップの必要性を強調し、公明党の井上幹事長税率アップを先送りした場合のリスクを考えるべきだ」とそれに基本的に同調しました
 それに対して全野党は、少なくとも来年段階での税率アップには反対であることを表明しました。
 
 そもそも「消費税率を10%に上げたときのリスクは手の打ちようがある」という言い方こそ何の実体もないもので、1997年に橋本内閣が消費税率を3%⇒5%にあげてから以降ずっと景気が低迷し続けてきたという現実がそのことを証明しています。
 
 安倍内閣はまた盛んに、「消費税増税は既に国際公約になっており、もし見送りになれば、日本の信用が失われる。即ち日本が財政再建をやる気がないと看做され、長期金利が上昇する」などと強調しますが、それもまた根拠のないことです。
 安倍内閣が消費税増税に熱心であることは諸外国も承知していますが、それを国際公約と受け止めて、増税しなければ公約違反だと指摘するような国はありません。
 
 元内閣参事官高橋洋一氏は、この21日に発表されたG20の共同声明を読んでも、別にそんなことを窺わせるものはなく、増税が国際公約だから避けられないというのは本末転倒の話だと述べています。
 
 28日の夕刊フジの記事を紹介します。
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「消費増税は公約」の嘘 国際常識から外れ本末転倒
高橋洋一 夕刊フジ 2014年9月28日  
(元内閣参事官・嘉悦大教授)      
 G20(20カ国財務相・中央銀行総裁会議)は、20、21日にオーストラリア北東部のケアンズで開催された。ルー財務長官は消費増税後の日本経済について「期待外れ」と話し、円安を事実上容認するなど日本経済に懸念を持っている様子だ。
 麻生太郎財務相は、財政再建の約束をする一方、消費税の再増税は年内に判断すると記者会見で述べた。これを受けて、一部では相変わらず「消費増税は国際公約」とする向きもある。果たして世界ではそう考えているのだろうか。
 
 国際公約の英訳である「international commitment」と、「tax(税金)」という言葉でグーグルを使って検索すると、5万800件がヒットする。ただ、その中身は、税の回避行動について各国で協力して対処しようという内容が多い。情報交換など各国で協力する責任・義務を求めているのだ。
 次に「tax」を「consumption tax(消費税)」に代えて再び検索すると、わずか1920件のヒットに減少する。しかも、その内容のほとんどは日本の新聞記事の英訳だ。そこには「日本の消費増税が国際公約になっている」と書かれている。
 これをみる限り、世界では、日本の消費増税が国際公約になっているという意識はまずないといえるだろう。税に関する国際公約といえば、消費税ではなく一般の税に関する租税回避・脱税での国際協力関係である。
 この観点から今回のG20の共同声明を見直してみると、10のパラグラフ文節のうち8番目で、国境を越える租税回避と脱税にグローバルな対応をすることを強く「commit(公約する)」と書かれている。日本の消費増税など書かれていない
 
 内国税である消費税の増税について、国際公約でないと考えるのは、国際社会では当たり前である。というのは、内国税を増税するかどうかは、他国が干渉できない国内問題だからだ。他国が増税しようが減税しようが、何か意見しようものなら、内政干渉になってしまうので言うことはない。この意味で、他国が予定通り増税しなくても、それが公約違反だと指摘する国はないだろう
 G20のような国際会議は、その場で新たな約束をするのでなく、既に各国で決められている内容を披露する場である。先進国では、政府の権能は国会の議決の範囲内であるので、国際会議で国会の意向を無視して勝手に国として約束することはできないというのが基本である。
 こうした国際常識からみれば、マスコミが「国際公約」というのは、国内で決まったことを一方的に国際会議の場で宣言するという意味でしかない。
 だから、増税が国際公約だから避けられないというのは、本末転倒の話で、増税勢力によって作られた増税キャンペーンの一環だろう。それを無批判に垂れ流してきたマスコミもどうかしている。国民の多くはそんなマスコミ報道を見透かしており、信じていないはずだ。
 

2014年9月28日日曜日

演劇やスピーチで平和の尊さ訴え 明石・人丸小で集会

神戸新聞 2014年9月27日
 児童が演劇やスピーチを通じて平和の尊さを訴える「平和集会」が26日、明石市立人丸小学校(兵庫県明石市東人丸町)であった。6年生143人が出演し、父母ら約100人が耳を傾けた。
 
 同校の6年生は今年、修学旅行で訪れた広島で原爆被災者の話を聞いたほか、明石空襲を経験した西村寛さん(81)=同市朝霧山手町=らからも平和について学んできた。
 集会は、平和を守ることの大切さを伝えるために企画。同日の参観日に合わせて準備を重ねてきた。
 
 演劇は、2歳で被爆し、10年後に白血病で亡くなった佐々木禎子さんの生涯を描くオリジナル作品。小学校の運動会で活躍する場面や入院する場面、亡くなった後で広島平和記念公園に「原爆の子の像」が建立される場面などを盛り込んだ。
 また児童代表の8人は平和をテーマとするスピーチを発表。「自分も他人も大切にすることが平和への第一歩」「世界中の子どもが平和を思う心になれば戦争はなくなる」などと述べた。
 
 実行委員の瀧小夜子さん(12)は「練習の成果を出し切って平和大切さを伝えられた」。禎子役を務めた長野蒼生さん(12)は「つらい目に遭っても人々を明るい気持ちにさせた禎子をすごいと思った」と話した。(井原尚基)
 
 平和についてのスピーチを発表する児童=明石市東人丸町
 平和についてのスピーチを発表する児童=明石市東人丸町

戦争の恐ろしさ知ろう 高校の考古学部が資料展示

 熊本県山鹿市の鹿本高校 考古学部は27日からの文化祭で、4回目の「鹿高博物館」を開きました
 今年は、新たに入手した「硫黄島からの手紙」など約300点の資料をそろえました
 その手紙は、戦時中は軍の機密のため国内の自分の居場所を、家族にも知らせることが出来なかったことを示しています。
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戦争の恐ろしさ知ろう 鹿本高考古学部が資料展示
熊本日日新聞  2014年09月27日   
  「戦争と熊本」をテーマに調査・研究をしている山鹿市の鹿本高考古学部は27日の文化祭で、恒例の「鹿高博物館」を開く。4回目の今年は、新たに入手した「硫黄島からの手紙」など約300点の資料をそろえた。
 
  初出の一つは、日米約3万人が戦死した硫黄島(東京都小笠原村)で、1945年に35歳で亡くなった田中武来さん=熊本市出身=の手紙とハガキ20通。遺族から提供を受けた。
  田中さんが家族に宛てた手紙は居場所を明かせない中、何度も居場所を尋ねる妻に「あの2つ(父島、母島)ではない直ぐ下の○○島だ。すべては軍の機密だから書けない」と記す。その後、軍に発覚しないよう内地に帰る同僚に託した手紙で「この島は硫黄島だ」と告白している。
 
  シベリア抑留体験があり、戦争をテーマにした作品で知られる画家宮崎静夫さん(86)=熊本市=からは、14歳の時に伯父に頼まれて描いた「あ々、満州」など未発表の紙芝居3作品(計20枚)を初めて借り受けた。国民学校生時代に想像で描いた作品は当時の軍事教育の一端がうかがえる。
 
  ほかに、外套[がいとう]や飯ごうといった軍用品、写真や手記も並べる。部長の堀啓太君(2年)は「家族への思いなど日常の平和を踏みにじってしまう戦争の恐ろしさを実感してほしい」と話している。
 
  27日は正午~午後5時。10月1、3日は午後2~5時。同校0968(44)5101。(岩下勉) 

戦争の恐ろしさ知ろう 鹿本高考古学部が資料展示の写真、図解
戦争の恐ろしさ知ろう 鹿本高考古学部が資料展示の写真、図解 
新たな戦争資料などを展示した鹿本高考古学部「鹿高博物館」の
会場と部員ら。右端は顧問の高木康博教諭 
 

沖縄の当真さん発言機会を逃す 国連先住民族会議

 「先住民族世界会議」2日目23日に、第3分科会で発言予定だったものの議事進行が遅れたため発言の機会を逸した「琉球弧の先住民族会」の当真嗣清さんの発言要旨(予定)を、琉球新報が報じました。
 
 以下に紹介します。
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当真さん、発言機会逃すも「参加は意義」 国連先住民族会議
琉球新報 2014年9月25日  
 先住民族の権利保護、拡大について話し合う初の「先住民族世界会議」2日目が23日、国連本部で開かれた。「住民族の土地、領土と資源」をテーマとする第3分科会で発言予定だった国連NGO(非政府団体)「琉球弧の先住民族会」の当真嗣清さんは議事進行が遅れたため発言の機会を逸した。会議は同日、閉幕した。
 土地などをめぐる琉球人の権利について主張する予定だった当真さんは「発言できなかったことは残念だが、国連や先住民族の仲間が受け入れてくれたことは意義が大きい」と話した。
 
 当真さんは、琉球の土地が奪われた経緯について「琉球王国は独立国家で、1854年には米国との間に修好条約を結んでいた。79年、日本政府は琉球を強制的に併合し、私たちの土地を植民地化した。日本政府は同化政策を強制し、琉球の言語や土着の風習、宗教、生活様式を禁止、規制した」などと説明した上で、琉球人を先住民として認識することを日本政府に求め、米軍基地の撤去を日米両政府に要求する予定だった。
 先住民族世界会議の分科会には、日本から「北海道アイヌ協会」の阿部一司副理事長も参加した。
 

人民日報が日本の常任理事国入り批判論文

 26日の人民日報が、日本の国連常任理事国への立候補を批判する王義桅中国人民大学教授の論文を掲載しました。
 
 王氏はまず安倍首相の「積極的平和主義」はガルトゥング氏の「積極平和学」に似て非なるもので、「好戦主義」であって日本国憲法に反するものとしています
 その一方で、それは米国の必要に応じるかたちで日本が武力的手段を講じて目標を達成する面が大きく、国連憲章の精神に違反するものだとしています
 
 そして日本が常任理事国入りするのには3つのアキレス腱があるとして、①侵略の歴史を直視できていない ②米国の同盟国である ③世界のどの部分を代表するのかが明らかでない ことを挙げています。
 そして安保理常任理事国入りにあれこれ知恵を絞るよりも、まず国際社会から信頼される一員になることを目指すべきではないかとしています。
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安倍氏の「積極的平和主義」は二重の違憲
王義桅 人民網日本語版 2014年09月26日
中国人民大学国際問題研究所所長 国際関係学部教授
人民日報海外版コラム「望海楼」掲載
 金銭外交が効を奏しなかった日本は、「積極的平和主義」に切り替えて国連安保理常任理事国の扉を再び叩いている。以前の金銭外交は「安保理は取締役会ではない」と叱責された。今回の「積極的平和主義」は効を奏すのだろうか?
 
 筆者は今年初めに平和学の父であるノルウェーの学者、ガルトゥング氏と話を交わした。ガルトゥング氏は日本語が話せ、妻は日本人という正真正銘の「日本通」だ。ガルトゥング氏は私に、日本の安倍晋三首相は自身の「積極平和学」概念を盗用したと話した。日本の学者がガルトゥング氏の積極的平和学から派生させた「積極的平和主義」は安倍氏に気に入られたが、これはガルトゥング氏の考えに反するものだ。
 表面的には、安倍氏のいわゆる「積極的平和主義」は人々を大変惑わすものだが、詳しく調べてみると二重の意味で違憲だ。第1に日本国憲法に違反し、第2に国連憲章に違反する
 
 戦後、日本国憲法第9条は日本が交戦権を放棄し、軍隊を保持しない平和主義国家となることを定めた。このため憲法そのものが「平和憲法」と呼ばれた。後に自衛隊が創設されたとはいえ、その機能は長年「専守防衛」に限定されており、集団的自衛権も行使できなかったしかし「積極的平和主義」は平和の名の下に軍事力を表に出す企てであり、平和主義ではなく、好戦主義だ。
 国連憲章は、世界の平和と安全を守るうえでの安保理の権威を強調し、軍事的手段を含むあらゆる必要な措置を用いて世界の平和と安全を守る権限は安保理のみにあると定めている。また、全ての非軍事的手段が無効であると証明された時に初めて武力に訴えることができると強調している。国連憲章第5章、第6章、第7章には、これらの原則について詳しい記述がある。
 一方、「積極的平和主義」は米国の必要に応じて日本が自ら判断し、武力的手段を含む選択を講じて自らの目標を達成する面が大きく、これは国連憲章の精神に明らかに違反する
 
 国際社会の目に曇りはない。金銭外交であれ、「積極的平和主義」であれ、一時的には惑わせても、ずっと惑わすことはできない。日本が常任理事国入りするには、大きなアキレス腱が3つある。
 第1に、誤った歴史観。日本は侵略の歴史を直視できないだけでなく、侵略の歴史の確定評価と戦後国際秩序を覆すことを企てている。国連の適任な加盟国にすらなれないのに、安保理常任理事国入りなど問題外だ。
 第2に、米国の同盟国であること。周知のように、日本の外交と安全保障は米国に束縛されており、決して独立したものではない。安保理常任理事国入りは米国と西側の発言力を強化するだけだ。いわゆる「積極的平和主義」は、米国の要求に応じる積極姿勢の面が大きく、世界の平和と発展に真に積極的に貢献するものでは決してない。
 第3に、やっかいな位置づけ。安保理常任理事国は自国を代表するだけでなく、世界のある面を代表するものだ。例えば中国は安保理で発展途上国の権益を代弁している。日本は誰を代表するのか?先進国を代表するのか?先進国は議席の5分の3を占めている。アジアを代表するのか?世界の主要経済国を代表するのか?それとも他のものを代表するのか?地域のバランスから言っても、人口から言っても、日本に十分な代表性はなく、安保理常任理事国入りを目指すことで自らの狭隘な動機を覆い隠すことはできない。
 
 日本はこの3大アキレス腱を直視できない。従って、どのような旗印を掲げようとも、安保理常任理事国入りは行き詰まる。日本は安保理常任理事国入りにあれこれ知恵を絞るよりも、徹底的に反省し、まず国際社会の信頼される適任な一員になった方がよい。(編集NA)
 

2014年9月27日土曜日

沖縄 - 基地・知事選


 民主党の枝野幹事長は、喜納昌吉同党沖縄県連代表の知事選出馬に向けての支援要請を拒否しました。
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 沖縄県内の有識者やジャーナリストら25人が25日、辺野古への新基地建設について中止を求める緊急声明を発表しました。声明は、辺野古の新基地建設沖縄の恒久基地化につながるとし、軍事基地が沖縄に集中していることは日本国憲法や米国独立宣言、国際連合憲章に反すると訴えています
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沖縄知事選 民主党幹事長 喜納昌吉氏の支援要請を拒否
毎日新聞 2014年09月26日
 沖縄県知事選(11月16日投開票)に出馬表明した民主党の喜納昌吉(きな・しょうきち)県連代表は26日、党本部で枝野幸男幹事長、馬淵澄夫選対委員長と会談し、支援を要請した。枝野氏は、喜納氏が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設に反対していることを理由に拒否した。
 
 会談後、喜納氏は記者団に「(出馬は)当然だ」と述べ、除名などの処分を受けても出馬の意思は変わらない考えを強調した。【仙石恭】
 
 
建設中止求め声明 県内識者「問題意識広がりを」
琉球新報 2014年9月26日  
 (沖縄)県内の有識者やジャーナリストら25人が25日、普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設について中止を求める緊急声明を発表した。
 声明文を安倍晋三首相とオバマ米大統領に送った。普天間飛行場の県内移設の条件なしで即時閉鎖することも求めた。
 同日、我部政明琉球大教授と宮里政玄沖縄対外問題研究会顧問、新崎盛暉沖縄大名誉教授、ジャーナリストの由井晶子氏が県庁で会見を開き、声明文を読み上げた。辺野古の新基地建設が「沖縄の恒久基地化につながる」と批判し、軍事基地が沖縄に集中していることは日本国憲法や米国独立宣言、国際連合憲章に反すると指摘した。
 我部氏は「声明をきっかけとして多くの人が基地建設問題について考えてほしい」と話した。
 声明発表の中心となった沖縄対外問題研究会は10月18日午後2時、沖縄国際大5号館でシンポジウム「沖縄の今-世界が問うていること」を開催する。
 新崎氏は「若い世代にも辺野古の基地建設について知ってもらいたい」と述べ、基礎知識を学べる教材作りを始めていることも発表した。