2015年8月31日月曜日

「コメント」 : 受付情報

 
月に入り下記の記事にコメントをいただきました。
 
コメントは、記事の最下段の「2件のコメント」などと書かれているところをクリックすると、ご覧になれます。
記載のURLをクリックすれば記事にアクセスできます。
 
受付日付順に掲載)
 
記  事  の  タ  イ  ト  ル
掲 載 日
受付日
戦争法案に終止符をと「音楽家有志の会」が発足 
15/08/30
08/31
安保関連法案:シールズの国会前集会に1万5000人以上
15/07/11
08/25
中高年グループ「オールズ」も参戦 反対デモ拡大に自民焦る
15/08/12
08/25
沖縄戦の「ひめゆり」出張講話 高齢化で終了  
13/09/30
08/21
中居正広が松本人志の「安保法制反対は平和ボケ」に敢・・・ 
15/08/11
08/17
創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会が安保法案・・・
15/08/12
08/13
タウン誌連載の「憲法をお茶の間に」が受賞(長野)
14/12/22
08/13
 
 

政権の暴走を見かねた主権者がその姿を現した (澤藤統一郎氏)

  30日に行われた安保法案廃案国民総行動についての、弁護士 澤藤統一郎氏のブログを紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
政権の暴走を見かねた主権者がその姿を現した
澤藤統一郎の憲法日記 2015年8月30日
本日、午後2時。首都で全国で、国民が主権者として、政権の前に立ち現れた。そして、主権者の意思を明確にし、議会や政府を掣肘した。まさしく、今日こそは、国民主権原理が、真っ当に正しく機能した記念すべき日となった。
 
何度でも繰り返そう。私たち国民が主権者だ。安倍でも、山口でも、中谷でも、谷垣でもない。日本国憲法が制定されて以来、一日24時間・年間365日、切れ目なく主権者であり続けているのだ。
 
正確に言えば憲法を制定したのも主権者国民だ。憲法は国民が主権者の地位にあることを確認したにすぎず、主権者の地位は憲法によって与えられたものではない。だから、実は日本国憲法制定以前から私たち国民が主権者なのだ。
 
切れ目なく主権者であるとは、選挙期間中だけの主権者ではないということだ。投票箱の蓋が開いていても閉まっても、投票箱の用意が無いときも、私たち国民が主権者なのだ。
 
私たち主権者国民の多くは、切れ目なく政治のことばかりを考えてはおられない。資本主義経済の中で忙しく立ち働かなくてはならないし、一人ひとりの生身の人間には、文化的活動もエンタテイメントも必要だ。家族生活も友人との付き合いもコミュニティの中での活動も、非政治的な社会生活の分野は限りなく広い。非政治の多くの時間が必要なのだ。
 
だから、代議政治の合理性は認めざるをえない。国民が候補者の中から議員を選び、衆議院議員の中から内閣総理大臣が選任されて、行政府の長となる。こうして、憲法の定めた手続きに従って、立法府と行政府が作られ、これに政治を任せることにしたのだ。
 
さはさりながら、主権者は国会や内閣に、すべてを丸投げしてお任せしたのではない。選挙期間だけの主権者ではなく、投票日一日だけの主権者ではない以上は当然のことだ。常に、主権者の意思にそって立法や行政が行われているかを監視続けていなければならない。そして、内閣や国会が、明らかに主権者の意に背くとき、そして次の選挙による意思表示では遅すぎる場合には、主権者の直接の出番となる。国民が主権者として起ち上がらざるを得ない事態なのだ。主権者は代議制の枠を超えて、直接にその意思を表明しなければならない。今日が、その日となった。
 
主権者が直接の意思を表明するためのもっとも基本的な手段が集会でありデモである。多くの人が集まって、声を揃えて国会と内閣の不当を叫ぶのだ。立法や行政に携わる者は、謙虚にその声に耳を傾けなくてはならない。
 
今日の午後、国会周辺は小雨をついて集まった大群衆に包囲された。これが、観念としての主権者ではない、具体的な形と意思を伴った主権者なのだ。主権者は、安倍政権に「国民をなめてはいけない」とたしなめた。いや、違憲の法案をゴリ押しする政権に「今すぐ退陣」と怒りを露わにした。
 
まだ、大群衆のコールが耳に残る。
  「戦争法案今すぐ廃案!」
  「安倍内閣は今すぐ退陣!」
 
 安倍よ、山口よ、中谷よ、谷垣よ。この主権者の声を生で聞いたか。この主権者の声をなんと聞くのか。
 
憲法21条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定める。新聞でもラジオでもテレビでもなく、「集会」を条文のトップに置いた憲法の真意を今日あらためて知った思いがする。「集会」は、政治を変えうるのだ。そのような手段として「集会の自由」がこの上なく重要なのだ。
 
メインのステージでは、岡田(民主)、志位(共産)、吉田(社民)、小澤(生活)の各党首が手を組んで戦争法案の廃案を誓った。日比谷エリアのステージでは、管(民主)、小池(共産)、福島(社民)の各議員が力のこもった演説をした。主権者が、野党各党の結束を指示している構図となった。
 
戦争法案の廃案を求める主権者の意思が明確になった今日以後も、安倍政権は敢えて主権者の意思に逆らおうというのか。
 
夏の陣が終わると、切れ目なく、いよいよ決戦の「秋の陣」が始まる。さあ、正念場だ。自信をもって、今日のコールを追求しよう。
  「戦争反対!」「9条守れ!」
  「憲法破壊絶対反対!」
  「安倍内閣の暴走止めよう!」
  「強行採決絶対反対!」
(2015年8月30日)

安保法案反対 国会前に12万人の波 全国300カ所でデモ

 30日、安保法案に反対する市民らの抗議集会が国会議事堂前で行われ、雨の中、学生や子供連れの親、戦争を体験した高齢者などさまざまな世代や立場の人々12万人が正午過ぎから国会一帯を埋め尽くしました。
 
 市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」主催の「国会10万人・全国100万人大行動」は、29、30両日、抗議の集会やデモが全国47都道府県の計300カ所以上で行われました
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安保法案:反対の波 全国300カ所でデモ
毎日新聞 2015年08月30日
 参院で審議中の安全保障関連法案に反対する市民らの抗議集会が30日、東京・永田町の国会議事堂前であった。雨の中、学生や子供連れの親、戦争を体験した高齢者などさまざまな世代や立場の人々が正午過ぎから国会一帯を埋め尽くし、法案を廃案にすべきだと訴えた。参加者は警察当局によると3万人、主催者発表では12万人で、同法案に対する抗議活動としては最大規模とみられる。
 
 市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」主催の「国会10万人・全国100万人大行動」の一環。同団体の呼び掛けで29、30両日、抗議の集会やデモが全国47都道府県の計300カ所以上で開かれた。
 
 国会前で午後2時に始まった集会には野党4党のトップも駆けつけ、成立阻止に意欲を見せた。民主の岡田克也代表は「参議院での議論で法案の問題点がますます明らかになった。こんな憲法違反の法案を通すわけにはいかない。これから3週間、さらに力を貸してほしい」と呼びかけた。
 
 生活の小沢一郎共同代表は「今までこういう集会に顔を出したことはほとんどない。今回は何としても、いいかげんでバカげた、そして危険な法律案を阻止するためにみんなで力を合わせないといけない」と声を張り上げた。共産の志位和夫委員長は「ここまでボロボロになった『戦争法案』は廃案にするしかない」、社民の吉田忠智党首は「政党の立場を超え廃案に全力を挙げる」と訴えた。
 
 また、壇上でマイクを握った音楽家の坂本龍一さんは「憲法の精神、9条の精神がここまで根付いていることをみなさんが示し、勇気づけられている。憲法や民主主義を取り戻すための大事な時期で、僕も一緒に行動していく」と語った。学生団体「シールズ」のメンバーで明治学院大4年の奥田愛基さんは「憲法を守った方がいいって、変なことですかね。おかしな主張ですかね。利己的ですかね」と訴えた。
 
 政府・与党は来月11日までに法案を参院で採決し、数の力で成立させることを目指してきた。だが、審議は中断続きで採決は困難との見方も広がり、与野党の水面下での攻防は激化している。【樋岡徹也】
 
 ◇大阪でも「戦争アカン!」
 大阪市北区の扇町公園であった集会にも約2万5000人(主催者発表)が集まった。集会の呼びかけ人となった大学教授らが安保法案の廃案を求めるスピーチをした後、参加者らは「戦争アカン!」と書かれたプラカードを掲げ、市内を三つのコースに分かれてデモ行進した。大阪府箕面市の大学教員の女性(56)は「米国に追随して戦争ができる態勢をつくる法案。近隣諸国との亀裂を生むような政権の動きに危機感を覚える」と話した。【遠藤孝康】

 国会正門前で開かれた安保法案に反対する集会で、道路を埋め尽くす大勢の人たち=30日午後、東京都千代田区(共同通信社ヘリから)
 
安保関連法案反対集会 参加者に思いを聞きました。
FNNニュース 2015年8月30日
国会で審議中の安全保障関連法案に反対する市民団体が30日、国会周辺で10万人、全国で100万人の参加者を目標に、最大規模の反対集会を行いました。安保関連法案に反対し、集会に参加した人たちは、どのような思いで集まったのでしょうか、話を聞きました。
 
午後1時50分ごろ、国会議事堂前では、午後2時のシュプレヒコールを前に、多くの人たちが、すでにヒートアップしていた。
「戦争反対」と訴える人たちは、プラカードなどを掲げて、かなり盛り上がっているようだった。
今回のデモには、若い年代から年配まで、幅広い年齢層が参加。
さまざまな意見を聞くことができた。
中学生の母親は、「何のためにっていうことのアピール活動をした方がいいよねっていうことは、親子で、話をよくしていて。自分たちが学校で歌っている平和を求める歌を、ここで歌おうと。デモ活動の前の時間帯で」と話した。
中学生は「わたしたちは、歌を歌って、平和を求めていこうという趣旨だったんですけど。平和は必要だなっていうふうには思いますし、わたしは、まだまだ未来が先長いので、わたしの未来を守ってほしいなというふうには思います」と話した。
参加者の中には、SNSをきっかけに来た人もいた。
 
30代の男性は、「学生団体の『SEALDs』がやってるツイッターで知りました。車道まで人が埋め尽くされていて、こんなに、やっぱり、これだけの人が反対しているんだっていうのを、あらためて実感しました」と語った。
そして、年配の男性からは、「戦前のね、動きの部分で、ちょっとしたことが、戦争へつながったでしょ。だから、やっぱり、そういうことも含めて、今回のことがね、戦争につながっていくというふうに考えるんですね。子どもや孫たちに、そういうことを、思いをさせたくないというのが」との意見が聞かれた。
デモの途中で雨が降ってきた国会前。
その中でも、大きなシュプレヒコールの声は、途絶えることはなかった
 
全国で安保法案に反対デモ、国会周辺には“12万人” 
TBSニュース 2015年8月30日
 今国会の会期末まで1か月を切る中、国会周辺では野党の党首らも参加して、安保法案への反対を訴えるデモが行われました。主催者側は一斉行動を呼びかけていて、デモは全国300か所以上で行われたとしています。
  「戦争法案、今すぐ廃案」
 国会周辺のデモには主催者側の発表で12万人が集まり、雨が降る中、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案への反対を訴えました。
 「皆さんこれから3週間、さらに力を貸してください。一緒になって法案を廃案にしようじゃありませんか」(民主 岡田克也代表)
 「今回だけはなんとしても、いいかげんでばかげた危険な法律を阻止するために、何としても力を合わせなければならない」(生活 小沢一郎共同代表)
 主催者側によりますと、30日は少なくとも全国300か所以上でデモや集会が行われたということです。
 
 大阪でも反対集会が行われ、法案に反対する学者や弁護士、野党の国会議員らが参加しました。
 「アメリカの戦争の下請け法案だということが、はっきりしたんじゃないでしょうか」(民主党 辻元清美衆院議員)
 集会には、ほかにも学生団体「SEALDs KANSAI」のメンバーや自民党と連立を組む公明党の支持母体でもある創価学会の会員も参加し、法案反対を訴えました。
 被爆地の広島でも安保関連法案に反対するデモが行われました。母親のグループは、誰の子どもも殺させないと書かれた幕を掲げ、繁華街を練り歩きました。
 
 「戦争法案、いけんじゃろ」
 取材者によると、デモの参加者は広島県内のおよそ30か所で2600人以上に上っています。(30日17:15)

戦争法案に反対する大学有志の声明

 
 29日、名古屋大学と東京電機大学有志の会が、安保法案に対する反対の声明を出しました。
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自由・平和・民主主義を愛し戦争法案に反対する名古屋大学人の会
戦争法案に反対する声明
2015年8月29日
 大学はかつて兵器を作った。
 大学はかつて兵士を送った。
 大学はかつて知識を供出した。
 大学は、かくして戦争に加担した。
 
 それは国家が要請したものであったと同時に、かつての大学人たちが進んで行ったことでもあった。勇気なく、あるいは気づかぬうちに戦争を支え、知性と良心の声を窒息させた。戦渦は、内からも来る。その過去を、私たちは忘れない。
 
 先の大戦後70年の「平和」は、曲折や翳りを含んでいる。平和の理念も、過去の反省も、個人の人権も、言論の自由も、学問の自律性も、つねに挑戦を受け、ときに自ら傷つけてさえきた。「戦後」は、平坦ではなかった。
 であればこそ、現在進行している危機に、私たちは黙してはいられない。
 
 いま集う「私たち」は多様である。
 世代を異にし、性別を異にし、国籍を異にし、立場や宗教や思想を異にする「私たち」は、しかし自由を尊び、平和を愛し、民主主義を尊重するという点において結集する。自立した個人として、対話を重んじる理性的市民として、知の自律性に価値をおく学徒として、手を取りあう。戦争を否定し、平和を求めるすべての人たちとの連帯を求める。
 大学が自由と平和と知の拠点でありつづけることは、私たちの理想であり、誇りである。「名古屋大学平和憲章」で不戦を誓った知性は、学びの日々が戦火につながることを許さない。私たちは、この灯を決して消さない。
 
 私たちは、日本と世界の人々の前で、日本国政府に次の約束を守ることを求める。
〈日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。〉(日本国憲法第九条)
 この言葉の意味と価値を、私たちの同意なしに変えることを認めない。私たちは戦争法案に強く反対する。
 
 
安全保障関連法案の廃案を求める東京電機大学関係者有志の会
声明文
2015年8月29日
   みなさん、国際平和の維持、安全保障を目的として1945年に設立された国際連合の憲章第2条4項に、次の条文が記されています。「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土又は政治的独立に対するものも、又、国際連合の目的と両立しないいかなる方法によるものも慎まなければならない」。ところで、最近この条文に異論を唱える人びとが現れております。従来、国連に対する過度の期待から第2条4項は基準とみなされてきたが、いまや国連の地位や権威は低下しており、自衛権の行使は例外でなくなりつつある、という見解が目立つようになっているのです。とても賛成できない見解であります。国連の地位が相対的に低くなったのであれば、その地位を回復することこそ国際平和に貢献することになるのです。この問題については、地位低下の原因なのか結果なのか、いずれにせよアメリカの責任は重大であります。その一例としてイラク戦争が挙げられましょう。この戦争を主導したアメリカは、当時、国連決議を経ないまま「大量破壊兵器」を口実にイラクを武力攻撃しました。国連(安全保障)を無視した集団的自衛の戦争は国際法に抵触するのです。国連軍介入が間に合わない緊急の事態でのみ一時的に集団的自衛は許されるだけなのです。しかしアメリカは国連憲章 第2条4項を無視して戦端を切ったのです。第2条4項には例外の一つとして自衛権の行使(51条)が関係するものの、それは国連憲章を無視してよい根拠には、けっしてなりません。
 
   みなさん、さらに思い出しましょう。安倍晋三首相は、2013年(平成25年)4月23日の参議院予算委員会で次の発言をしました。「侵略という定義については、これは学界的にも国際的にも定まっていないと言ってもいいんだろうと思うわけでございますし、それは国と国との関係において、どちら側から見るかということにおいて違う」と。しかし「侵略の定義」(Definition of Aggression)はすでに1974年12月の国連第29回総会で議決されており、また近年では2010年06月に国際刑事裁判所の加盟国が「侵略犯罪」(Crime of Aggression)の規程に合意しています。日本もまた国連総会の一員であり、国際刑事裁判所の加盟国の一員であるという事実は、こうした定義を軽視するのにふさわしい理由といえるでしょうか? 国際法がなるほど不完全・発展途上だとしても、国際法が日本一国の都合で軽視できる程度の存在ならば、どうして無法国家を非難できるでしょうか? たとえば安倍首相のロジックを現在の日本の領土問題にあてはめてみましょう。いわゆる「北方領土」問題、あるいは竹島や尖閣諸島をめぐる外交において、もし相手国から安倍首相の言説を根拠にして領土問題の侵略性は「学界的にも国際的にも定まっていない」と主張されたなら、日本の法的立場はどうなってしまうでしょうか?
 
  振りかえれば過去の戦争、たとえば第二次世界大戦のドイツやソビエト連邦、あるいはイラクへの武力攻撃にせよ、侵略者は国際法を都合よく歪曲し、脅威論を煽りたてて自国の非人道行為を正当化しました。安倍政権のロジックは歴代の侵略国が行なってきた一連の欺瞞にあまりにも似すぎています。それはかって私たち日本国民が決別したはずの戦争・敗北への一歩に再びなりかねないばかりか、いずれ未来の世界史に現れるかもしれない戦争犯罪者に対して言い逃れの材料を与えたという点で人類全体の福祉を損なっているのです。
  過去から未来への連鎖としての戦争を世界史的に断ち切るには、脅威論や抑止論の立場から再武装する道を、ぜったいに選んではなりません。自衛のための武装は国際社会の現実からして必要悪だと譲歩しても、同盟国間の集団的自衛権と国連による集団安全保障は厳に区別せねばなりません。近隣諸国から攻撃されても太刀打ちできるくらいの武装は必要だ、との立場から軍備増強を平和維持の必須条件とみたり、アメリカ(米軍基地)を日本の平和・安全の抑止力とみたりしている人びとは多いです。でも、その考えは、世界史的にはビスマルクの時代から戦後の冷戦時代まで流布した戦略思想で、戦争状態の永続を意味するだけです。日本国憲法第9条があればこそ、集団的自衛権に関する先頃の安倍内閣の閣議決定を違憲と判断できるのです。
 
  安倍晋三首相は、2015年7月20日、フジテレビ系の「みんなのニュース」に生出演し、徴兵制との関連で戦争のハイテク化に言及しました。ところで、戦争のハイテク化は、由々しき倫理問題を含んでいます。戦場からの人間性の排除の問題です。科学技術の発展は、戦場のあり方を変え、武力紛争法のルールにも大きな影響を与えてきました。そのことは、20世紀の戦争に顕著であります。たとえば、飛行機の発明による空爆問題、化学兵器の問題、核兵器の問題など、技術と戦争をめぐる問題を挙げていけば、枚挙に暇がありません。21世紀に入ってアフガニスタンやイラクへ侵攻し、自国の兵士に多数の殉職者を出したアメリカでは、戦場へのロボットの投入が加速しています。例えば、無人偵察機プレデターは、米国本土の基地から操縦し、遠く離れたアフガニスタンなどで空爆を行うことができるのです。その他にも様々なロボット兵器が用いられています。民主主義国家であるアメリカでは、戦闘による国民の犠牲は、政権の支持率に如実に反映します。そのため、自国兵士の犠牲を減らすために、無人のロボット兵器が好んで用いられるのです。そのようにして、戦争のハイテク化=戦争の拡大に歯止めはなくなっていきます。
 
  同盟国アメリカとの友好関係はもちろん望むべきことではありますが、安倍政権が安保法制をもって今後も強力な同盟関係を築いていきたいと考える相手国アメリカ(米軍基地)を日本の平和・安全の抑止力とみるのは国際平和の理念に反します。軍拡競争による〔脅威・抑止〕対策でなく、日本国憲法と人道に基づく国際法とを基盤とし弛まぬ〔外交・合意〕を通じた平和維持という発想こそ、人類の英知なのです。よって私たちは、安倍政権が現在進めている安全保障関連法案という名の戦争法案に反対し、その即時撤回を求めます。

2015年8月30日日曜日

安部政権がこれまで行ってきた戦争体制の構築 (五十嵐仁氏)

 30日の「安保法案反対10万人国会包囲と100万人大行動」を前にして、五十嵐仁氏が29日のブログで、これまで安部政権が進めてきた既成事実の数々をリストアップしました。
 
 例えば防衛庁の防衛省への昇格国家安全保障会議(日本版NSC)と国家安全保障局の新設武器輸出の解禁、防衛省内の「文官統制」規定廃止日本版海兵隊の新設、辺野古での巨大新基地建設の計画、オスプレイの購入、イージス艦の建造、新型空中給油機の取得そして首相官邸によるマスコミへの懐柔と干渉、さらには特定秘密保護法の制定「教育改革」による「戦争する心」作り等々というわけです。
 
 そしてそのような道を拒むためにも戦争法案を廃案にする必要があるとして、30日に全国で行われる一斉行動に参加することを訴えています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
戦争法案の準備とともに進められてきた既成事実化の数々
五十嵐仁の転成仁語 2015年8月29日 
 安倍首相ど「軍事大好き総理」は、今までいなかったと言って良いでしょう。確かに、岸首相や鳩山一郎首相なども憲法改正と再軍備を主張しました。
 また、中曽根首相も「日本列島不沈空母論」や「三海峡封鎖論」を唱えました。安倍首相もその「伝統」を受け継いでいます。
 しかし、安倍首相の場合は、発言だけではありません。実際の政策変更によってその具体化を急速に進めてきており、この点に大きな特徴があります。
 
 安倍首相は、これまでのどの首相よりも自衛隊への親近感を示しています。今まで、ヘルメットに迷彩服姿で戦車に乗るというようなパフォーマンスを見せた首相がいたでしょうか。
 航空自衛隊松島基地を訪問した際、細菌兵器の人体実験を行ったとされる旧陸軍の731部隊と同じ機体番号の戦闘機に搭乗して顰蹙を買いました。過去において、このような首相がいたでしょうか。
 このような「軍事大好き総理」で自衛隊への親近感を抱いているからこそ、軍事力の活用を中核にした「積極的平和主義」を打ち出し、「専守防衛」を踏みにじって「海外で戦争する国」に、この国を変えようとしているわけです。
 
 そのために提案されているのが、今国会で審議されている戦争法案です。しかし、それはほんの一部にすぎません。
 「海外で戦争する国」になるために、それ以外にも着々と既成事実化が図られてきたことを見逃してはなりません。その推進主体は、安倍首相です。
 そもそも、「海外で戦争する」ためには、システム、ハード、ソフトという3つの面での具体化が必要になります。これらのうちのどれが欠けても「海外で戦争する」ことは困難になりますから、その整備・具体化が進められてきたのも当然です。
 
 第1に、法・制度の改変による「システム」面の整備です。その中核をなすのは、現在審議されている憲法違反の戦争法制の整備です。
 すでに、第一次安倍内閣の時には防衛庁の防衛省への昇格がなされています。第二次安倍内閣になってからは、国家安全保障会議(日本版NSC)と国家安全保障局の新設による戦争指導体制の整備が行われました。
 これに、武器輸出三原則から防衛装備移転三原則への変更によって禁輸から輸出へという180度の転換がなされ、政府開発援助(ODA)大綱の「開発協力大綱」への変更による非軍事目的の他国軍への支援が容認され、背広組優位を転換して「文官統制」規定を廃止した防衛省設置法12条が改正され、日豪・日露・日英間での外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)の設置などが行われています。いずれも、戦争するために必要なシステムの改変でした。
 
 第2に、自衛隊の「戦力」化と在日米軍基地の強化などの「ハード」面の整備です。2013年12月には国家安全保障戦略が閣議決定されましたが、このとき同時に、新防衛計画の大綱や新中期防衛力整備計画(5年間で25兆円)も閣議決定されています。
 自衛隊の「戦力」化という点では、5機のヘリが同時に発着できる海自最大の「空母型」護衛艦「いずも」(今年3月に就役)と同型のヘリコプター搭載護衛艦の進水式が27日に行われ、旧日本海軍の空母「加賀」と同じ「かが」と命名されました。このほか、「島しょ防衛」を口実にした陸上総隊の新設や「水陸機動団」編成による日本版海兵隊の新設、軍需産業と一体での武器技術の開発・調達・輸出を推進する防衛装備庁の新設、武器に応用できる大学での研究についての防衛省による公募開始などがあります。
 在日米軍基地の強化という点では、沖縄・普天間基地問題の解決を名目とした辺野古での巨大新基地建設や高江でのヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設、普天間基地への垂直離着陸機オスプレイの追加配備、京都府京丹後市の経ケ岬通信所への弾道ミサイル探知・追尾用レーダー(Xバンドレーダー)の配備、横須賀基地での原子力空母の新鋭艦への交代やイージス艦2隻の追加配備、三沢基地への無人偵察機の初展開などがあります。
 
 また、2016年度予算に対する防衛省の概算要求も4年連続の増加となっています。5兆911億円(15年度当初予算比2.2%増)という概算要求は過去最大のものとなりました。
 この中には、垂直離着陸輸送機オスプレイの購入イージス艦の建造新型空中給油機の取得なども計上されています。航続距離が長く、大量の物資を遠くまで運べる装備の充実がめざされていることは明らかです。
 いずれも、海外展開を視野に入れた要求に見えます。「海外で戦争する」ための部隊の編成と装備の充実が図られようとしており、戦争法案が成立すれば国家予算の使い方も大きく変容するにちがいありません。
 
 第3に、世論対策と教育への介入などの「ソフト」面の整備です。この点では、首相官邸によるマスコミへの懐柔と干渉が際立っていると言って良いでしょう。
 ご存知のように、NHK会長や経営委員に安倍首相の「お友達」が選任され、アベチャンネルとなってニュースの報道が政府寄りに歪められてしまいました。このほか、特定秘密保護法の制定による軍事機密の秘匿、情報の隠蔽と取材規制、改正通信傍受法案(盗聴法案)や司法取引を導入する刑訴法改定法案の提出なども相次いでいます。
 また、教育への介入という点では、教育再生実行会議による「教育改革」が進められ、愛国心の涵養や道徳の教科化などによる「戦争する心」作りが着手されています。自民党などによる教科書内容への干渉も強まり、育鵬社版教科書の採用への圧力も大きくなっています。
 
 このように、「海外で戦争する国」に向けての準備は、戦争法案に限られません。以上に見たような形で総合的全面的な政策展開がなされ、既成事実化している点に注目し、警戒する必要があります。
 これらの事実を垣間見ただけでも、戦争準備が着々と進められていることが分かります。日本は、すでに「戦後」ではなく「戦前」になろうとしているのかもしれません。
 そのような道を拒むためにも、戦争準備のためのシステム整備の中核となっている戦争法案を廃案にする必要があります。日本はいま容易ならざる段階にさしかかりつつあるということを直視し、行動に立ち上がろうではありませんか。
 
 なお、明日の国会前行動では、憲法共同センターの運営する宣伝カーステージでスピーチすることになりました。場所は国会図書館の裏です。
 渾身の力を込めて話をさせていただきます。多くの方に聞いていただければ幸いです。

戦争法案に終止符をと 「音楽家有志の会」が発足

 安保法案に反対する音楽家有志の会、「戦争法案に終止符を!音楽人・団体の会」が28日発足しました
 呼び掛け人に作曲家の池辺晋一郎さん、同じく三枝成彰さん音楽評論家の湯川れい子さんら九人の著名な音楽家が名を連ね、200の個人・団体が賛同しています。
 当面 910、戦争の悲しみや平和をテーマとした「音楽の夕べ」と題したコンサートを新宿区内で開きます
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安保法案反対 結集 奏でよう 平和の音
東京新聞 2015年8月29日 
 安全保障関連法案に音楽家の有志で反対しようと、作曲家の池辺晋一郎さんらが呼び掛けた「戦争法案に終止符を!音楽人・団体の会」が二十八日、発足した。九月十日には合唱団など百五十人が出演するコンサートを開き、音楽の力で平和への願いを訴える。
 会の呼び掛け文では「自衛隊を『殺し、殺される』事態に巻き込ませようとしている」と法案を推し進める政権を批判。「音楽で大きな壁を突き動かそうとしている人々を励ますことはできる。心に警鐘を鳴らす音楽を高らかに鳴り響かせましょう」としている。
 九人の呼び掛け人には池辺さんのほか、作曲家の三枝成彰さんや音楽評論家の湯川れい子さんら著名な音楽家が名を連ね、約二百の個人・団体も賛同した。
 東京都内で記者会見した事務局の田中嘉治さんは「歌声は生きる力、平和の力だ。音楽で人の心を豊かに、命を大切にしていく。戦争法案に反対の声を上げる」と語った。
 九月十日、新宿区内で戦争の悲しみや平和をテーマとした「音楽の夕べ」と題したコンサートを開く。入場料二千円。問い合わせは同会=電03(3200)0106=へ。