世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
高市首相は、何一つ首相らしい仕事をしない中で、真っ先に国家情報局に設置に向けた法案を成立させようとしています。世に倦む日々氏は、国家情報局法は戦前の「治安維持法」に当たる「スパイ防止法」とセットの治安法制で、スパイ防止法を運用する組織の立ち上げ立法であると明言します。
それは高市氏が極右政治家であると知るほどの人にとってはすぐに納得できるし、それが極右的発想に基づいた国民弾圧法であることが理解できますが、メディアは全くそうした観点からの報道をしないので多くの人たちにとっては格別有害なものではないのだろうという認識のように思われます。
しかし戦前の治安維持法(と治安警察法)こそは国民を弾圧するための中核をなす法制であり、そんな法制が実現すれば戦前の暗黒時代が再来するのは目に見えています。
世に倦む日々氏はその辺のことを丁寧に説明したのち、末尾で「国家情報局」をテーマにした4/26のNHK日曜討論に出演した日弁連元副会長の斎藤裕が、上原アナウンサーに「インテリジェンス(諜報活動)の強化は必要か」と問われたのに対して、「当然それは必要だと思っています」「政府が必要な政策を打つためにはインテリジェンス(諜報活動)の強化が必要です」と即答したことに大憤慨し「眩暈がする。ショックで言葉もない」と嘆いています。
メディアも日弁連も一体どうしたのでしょうか。
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国民監視と〝認知戦″対処の諜報機関「国家情報局」 - 中道も日弁連も賛成して設置法案が衆院通過
世に倦む日日 2026年4月30日
4/23、衆院本会議で「国家情報局」と「国家情報会議」を新設する法案がで与野党の賛成多数によって可決、衆院を通過した。日本のマスコミは全社揃って、「政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能の司令塔を担う」とか「政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能の強化」という文言で法案の目的と意義を説明している。中央日報は、この件の報道に「インテリジェンス」の語を積極的に使っておらず、その点が注意を惹いた。「国家情報局」がどのようなものか、自国の現代史で嫌と言うほどよく知っている韓国の記者は、記事での説明に「インテリジェンス」の語を躊躇うのではないか。「インテリジェンス」の英語を前面に出すことが、言葉の詐術の機能と効果を導き、事態の本質を隠蔽して粉飾する欺瞞行為になると本能的に察知するからかもしれない。日本政府が設置する「国家情報局」は、韓国の「国情院」であり、嘗て「泣く子も黙るKCIA」と国民に恐怖された弾圧と拷問の暴力装置に他ならない。
一般の日本人は、英語の intelligence を「知能」や「知性」の意味で理解していて、そこには悪性表象の要素はない。だが、英語の intelligence には「知能」や「知性」とは別に「機密情報」とか「諜報活動」とか「諜報機関」の意味があり、今回の「インテリジェンス」はそれだ。朝日もそう解説している。であれば、横文字(片仮名英語)の「インテリジェンス」の語を用いず、日本語の「諜報」を用い、「諜報機能の強化」と言い、「諜報機能の司令塔」の組織を設置するのだと正直に言うべきだろう。「諜報」の語を使わず、それを避け、「インテリジェンス」の片仮名で目眩ましするのは、世論にマイナスイメージとなる影響を忌避したからであり、姑息な情報工作であり、新設する「国家情報局」の毒悪な正体を隠すためだ。「諜報」の語を「インテリジェンス」に変え、日本版CIAを作ろうとする佞悪な政治策動は、もう10年以上前から始まっていて、BSフジの政治番組などで地均ししてきたが、いよいよ本番となった。
一般の日本人は、英語の intelligence を「知能」や「知性」の意味で理解していて、そこには悪性表象の要素はない。だが、英語の intelligence には「知能」や「知性」とは別に「機密情報」とか「諜報活動」とか「諜報機関」の意味があり、今回の「インテリジェンス」はそれだ。朝日もそう解説している。であれば、横文字(片仮名英語)の「インテリジェンス」の語を用いず、日本語の「諜報」を用い、「諜報機能の強化」と言い、「諜報機能の司令塔」の組織を設置するのだと正直に言うべきだろう。「諜報」の語を使わず、それを避け、「インテリジェンス」の片仮名で目眩ましするのは、世論にマイナスイメージとなる影響を忌避したからであり、姑息な情報工作であり、新設する「国家情報局」の毒悪な正体を隠すためだ。「諜報」の語を「インテリジェンス」に変え、日本版CIAを作ろうとする佞悪な政治策動は、もう10年以上前から始まっていて、BSフジの政治番組などで地均ししてきたが、いよいよ本番となった。
法案(国家情報会議設置法案)の原文が衆議院のHPに掲載されている。第2条に法の目的が書かれていて、①「重要情報活動(安全保障の確保、テロリズムの発生の防止、緊急の事態への対処)に資する情報の収集調査活動」と、②「外国情報活動への対処(外国の利益を図る目的で行われるものへの対処)」の二つが示されている。この第2条の条文は抽象的で複雑な表現のため意味が分かりにくいが、①の中に国民を監視する中身があり、②の中に、「認知戦」対策の中身があることが読み取れる。「安全保障の確保」という抽象的な目的で、「国家情報局」が国民の個人情報を管理・監視・追跡することが合法化され、さらに、外国の諜報活動をしていると嫌疑をかけた者に対する「国家情報局」の「対処」が合法化されている。その含意がある。①も②も、来年以降に国会提出されるスパイ防止法案で内実が明らかにされるだろう。国家情報局法は、スパイ防止法とセットの治安法制で、スパイ防止法を運用する組織の立ち上げ立法だ。
いわば、スパイ防止法の制定と施行を前に、先に実行部隊である諜報治安組織を準備しようとする法律であり、外側の体制を構築する方法から入ったと言える。法文の中には「インテリジェンス」の語がない。「諜報」という語も控えられている。インテリジェンスの組織を設立する法律だと全マスコミが説明し、その意味はスパイ対策の機構だと誰もが講釈しているのに、不思議なことに「インテリジェンス」も「諜報」も条文の中に語の記載がない。法文に書かれているのは、「重要情報活動」だとか「外国情報活動」という、意味が定義しにくい曖昧模糊とした概念であり、要するに、この法律を根拠に行う国家の活動に無限のフリーハンドを持たせ、制約なしに当局の行う「対処」に法的正当性を与えようという危険な意図が透けて見える。こんな(憲法違反の)法律が、4/2 に提出され、まともな審議も議論もなく 4/22 に衆院通過となった。日本国の中に、韓国の国情院のような、謀略と弾圧のスパイ機関を正式に設立する法律が成立しようとしている。
日経の記事が政権側の本音をよく説明しており、この法律の意味と本質を権力側から隠さず書いている。「国家情報局」の設置法は第一歩であり、やろうとする目的は、スパイ防止法の制定と対外諜報機関の設立という三段階で実現されると言っている。スパイ防止法は、中国の「情報戦」「認知戦」に対処し抑止することが大義名分の趣旨であり、要するに戦前の治安維持法と同じで、その中身は国内の市民を監視し摘発して言論統制と思想弾圧をすることだ。戦前の治安維持法が共産主義者狩りを名目として反戦を訴える者を検挙したように、スパイ防止法では「中国のスパイ」狩りを名目として反戦派や左翼を排除する。4/27 に安保3文書改定の有識者会議が開かれたが、報道記事を見ると、やはりと言うべきか「認知戦の激化」に対応する「新しい戦い方」というコンセプトが示され、「対処力強化」が謳われていた。有識者会議の中に、東野篤子と細谷雄一が入っている事実は、「認知戦」への対応が3文書改定の目玉の一つとなることの証左と看て取れるだろう。
今秋を予定していたスパイ防止法の国会提出が見送られ、来年の通常国会に変更になったのは、安保3文書の作業の中で「認知戦」への「対処」の詰めをやり、思想犯を取り締まる刑事法制化の理論構築と技術措置を万全にするためではないかと思われる。スパイ防止法では、戦争に反対する意見をネットで発信した者を「中国のスパイ」だと認定し摘発し断罪するのであり、そうした発信と拡散を「中国の認知戦に加担し幇助した」犯罪行為として類型化し、構成要件を設定し、国家の安全に脅威を与えた犯罪者として処罰する。そして、小林多喜二のように、法の執行と運用の過程で見せしめにする必要がある。現在の法制度では人権侵害となる、乱暴で凶悪な思想弾圧(国家の市民へのテロ)をやらないといけないのであり、その治安法制を敷く上では、テクニカルな法令構造の設計と共に、それを正当化する理論武装とプロパガンダが必要なのだろう。東野篤子と細谷雄一はそのための要員だと思われる。3文書改定の中で「認知戦」とスパイ防止法がキーになるのだ。
驚いたのは、中道が法案に賛成投票したことで、棄権の選択もしなかったことだ。3/28 の報道では「国家情報法案に小川氏慎重姿勢」という見出しがあり、長妻昭が牽制する場面もテレビで見たので、まさか賛成はないだろうと楽観視していた。付帯決議のお茶濁しで賛成票を投じるなど、まさに裏切りそのもので、大政翼賛会の卑劣な配信行為そのものではないか。長妻昭は「政府の政策に反対するデモや集会に参加しただけの人に、顔写真の撮影や本名・職業を調査することはしないか」と質問していたが、国家情報局やスパイ防止法が監視し探索する対象は、デモや集会の参加者だけではない。最も重要で懸念される問題は、ネットの言論に対する「国家情報局」の監視と諜報であり、個人情報を密偵し検閲する工作活動である。言論と思想信条の自由を奪い、権利を侵害して威圧し恐怖させる、国家権力による市民の統制弾圧である。反戦や反政府の声の封殺と排除だ。この点について長妻昭は追及しなかった。来年国会のスパイ防止法の審議の際は追及するのだろうか。
4/26 のNHK日曜討論で「国家情報局」を特集していたが、出演した日弁連元副会長の斎藤裕は、「インテリジェンス(諜報活動)の強化は必要か」と上原光紀が尋ねたのに対して、「はい。当然それは必要だと思っています」と応じ、「政府が必要な政策を打つためにはインテリジェンス(諜報活動)の強化が必要です」と即答した。中道の対応と同じだが、この発言にはテレビの前で驚かされた。まさしくファシズムの時代そのもの。斎藤裕は日弁連で「秘密保護法・共謀罪法対策本部本部長代行」も務めていて、この問題のエキスパートである。日弁連は13年前の秘密保護法には強く反対し、反対運動をリードする理論的支柱の存在だった。その日弁連が「国家情報局」法案には堂々と賛成表明し、テレビで「国家情報局」の必要性と正当性を説いている。しかも、共謀罪と秘密保護法の反対運動を法曹の立場から主導した当人が。斎藤裕は2019年に新潟県弁護士会の会長も務めているから、先輩で同会の副会長を務めていた高島章とも昵懇で周知の間柄だったに違いない。
斎藤裕と日弁連は、「国家情報局」とスパイ防止法とがセットの関係であり、「国家情報局」がスパイ防止法を主管し、その執行と運用を担う機関だということを当然知っているだろう。スパイ防止法の制定と施行を前提として、先行して1年前に国家情報局を立ち上げ、その組織陣容を政府内に整備するのである。つまり、「国家情報局」とスパイ防止法とは、戦前の特高警察と治安維持法と同じ関係と構図なのだ。日弁連と斎藤裕にその基礎認識がないはずがない。にもかかわらず、NHKで、斎藤裕は「インテリジェンス(諜報機関)の強化は必要だ」と言い、「国家情報局」の設置を正当化した。現在の高市政権の思惑と情勢から考えたとき、マスコミを使って周知させ”教育”している「インテリジェンス」とは、まさに「外国勢力による認知戦・情報戦」への対処の意味であり、「中国のスパイ」を発見し暴露し処罰する治安対策という意味だ。それをキャリーする(⇒推進する)ために右翼政権が創設するのが「国家情報局」である。それ以外の情報収集・分析なら各省庁が行っているわけで、強化に新組織は必要ない。
眩暈がする。ショックで言葉もない。国論二分にもなってない。が、ネット検索すると、日弁連が院内集会を開いて、幹部の面々が「国家情報局」設置に反対するプラカードを掲げている。海渡雄一と斎藤裕と平岡秀夫が立っている姿がある。どういうことなんだろう。あれほど生放送の上原光起の前では、NHKと一緒に作成した台詞原稿を読み合うように「国家情報局」の意義必要性を肯定しながら(25:40’)。二枚舌とエクスキューズのパフォーマンスか。TBSでさえ「日本版CIA」と呼んでいるのに。中道も日弁連もプロレスをやっている。脱力と憤慨で鬱病になりそうだ。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。