ケイトリン・ジョンストンが掲題の記事を載せました。
イスラエルは、ガザでのUNRWAによる400カ所の食料配給所を全廃した上に、新に米国系の食料配給所を3つ設けましたがそれは文字通り「死のわな」でした。
それでも「我が子の飢えを見かねた」親たちが、死をも厭わずに数十キロを歩いて配給所に行くしかないのですが、配給所にはイスラエル兵士が配置され、非武装のガザ住民に対し発砲することをを命じられています。銃撃すべき「脅威が存在しない」にもかかわらずにです。
そうした兵士の証言を報じたハアレツ紙に対して、ネタニヤフとカッツ(国防相)は公然と糾弾し「血の誹謗中傷」だと非難したということです。
何と「世界で最も道徳的な軍隊であるイスラエル国防軍の名誉を傷つけるためにでっち上げられた」と主張しているということです。確かにこの精神を持たないことには、史上稀に見る残虐な戦争は遂行できないのでしょう、
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自らの残虐行為をイスラエル軍兵士が述べるのは反ユダヤ的だとネタニヤフ首相
マスコミに載らない海外記事 2025年6月30日
イスラエルの犯罪行為が明るみに出れば出るほど、イスラエルを弁護する議論は
益々不合理なものになりつつある。
ケイトリン・ジョンストン 2025年6月28日
私は一見奇妙に見える見出しを書くこともあるが、その後、事実と論拠を並べて、記事の最後には主張の妥当性を読者が理解できるようにしている。今回はそうではない。
この見出しは、実際起きた出来事を私が表現したにすぎない。イスラエル軍内で命令された残虐行為について兵士の証言を引用したイスラエル新聞報道をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とイスラエル・カッツ国防大臣が公然と糾弾し「血の誹謗中傷」だと非難したのだ。
「『ここは戦場だ』:イスラエル国防軍兵士、人道支援を待つ非武装ガザ地区住民への意図的発砲を命じられる」と題した記事をイスラエル新聞ハアレツが掲載した。副題は「脅威が存在しないにもかかわらず、ガザ地区の食糧配給所付近の非武装群衆への発砲を命じられたとイスラエル国防軍将校と兵士がハアレツに語った。数百人のパレスチナ人が殺害され、軍検察は戦争犯罪の可能性に関する調査を求めている」となっている。
援助を求める民間人が「敵対勢力のように扱われる。群衆を制圧する手段もなく、催涙ガスもなく、重機関銃、擲弾発射器、迫撃砲など考えられるあらゆるもので実弾攻撃を受ける」と、あるイスラエル兵士は証言している。
「早朝、誰かが列を作ろうとしたら、数百メートル離れたところから発砲する。時には至近距離から攻撃することもある。だが部隊には何も危険はない」と兵士は言い「反撃があったことは一度もない。敵はおらず武器もないのだから」と付け加えた。
ガザは「独自の規則を持つ場所」になり、民間人との交流は「発砲以外に手段がない」状態になっているとイスラエル国防軍情報筋がハアレツ紙に語った。あるべき場所に飢えた民衆を誘導するため、致命的兵器が群衆統制に使用され、必死の援助を求める人々が頻繁に殺害されている。
群衆を遠ざけるため砲弾を発射するよう指示された時のことを語り「砲弾を発射するたびに死傷者が出る。なぜ砲弾が必要か聞いても適切な答えは決して返ってこない。時に、その質問をするだけで指揮官を苛立たせてしまうこともある」と別の兵士は語った。
自分たちも間違っていると知りながら、命令で実行させられた残虐行為をイスラエル兵が次々引用するのが目に浮かぶ。ガザでホロコーストを遂行するために送り込んだ兵士の中には真の良心を持つ者がいるのをイスラエル広報機関は考えていなかったのだろう。
ネタニヤフ首相とカッツは共同声明でこの記事を非難し、ハアレツ紙が「血の誹謗中傷」を掲載したと非難した。
「ハアレツ紙に掲載された『イスラエル国防軍兵士、人道支援を待つ非武装ガザ地区住民への故意の発砲を命じられた』という卑劣な血の誹謗中傷をイスラエルは断固拒否する。これは世界で最も道徳的軍隊であるイスラエル国防軍の名誉を傷つけるために企てられた悪意ある虚偽だ」と声明は述べている。
「血の誹謗中傷」とは、キリスト教徒の子どもをユダヤ人が血の犠牲にして殺害したと中世ヨーロッパ人が虚偽の告発をした手法を指す。これはユダヤ人迫害を正当化するために使われた初期の残虐行為プロパガンダだ。
改めて、はっきり申し上げるが、自らの残虐行為をイスラエル軍兵士が証言するイスラエル新聞を、反ユダヤ主義的だとイスラエル政府指導者が主張しているのだ。そしてイスラエル国防軍内部の膨大な証言は「世界で最も道徳的な軍隊であるイスラエル国防軍の名誉を傷つけるためにでっち上げられた」と主張している。
これについて私は一体何と言えば良いのだろう? それ自体が全てを物語っている。私は何も付け加えることはない。
イスラエルの犯罪行為が明るみに出れば出るほど、イスラエルを弁護する議論は益々ばかげたものになりつつある。
(後 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2025/06/28/netanyahu-says-its-antisemitic-for-israeli-soldiers-to-describe-their-own-atrocities/
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。