2026年4月2日木曜日

対イラン戦争:莫大な軍需品消耗+成果の欠如=イランの勝利

「アラバマの月」(Moon of Alabama)が掲題の記事を載せました。
 米国はイランに向けてこれまで推定総保有数3,000発から4,000発のトマホーク巡航ミサイルを約850発発射しました。ペルシャ湾内の米艦船内の在庫は既に尽きているのですが、イランのミサイル攻撃に対抗するための防空能力の必要上まだ現場を離れられずに補給ができていないということです。その防空ミサイル自体も既に不足しているということです。
 そもそも米軍は1発のミサイルに対して10基または11基の迎撃ミサイルを使用したり、1機のドローンに対して8基のパトリオットミサイルを使用しています。そのコスト比は「1対 数10」かそれ以上で、その部分でも正に「非対称の戦闘」になっています。
 トランプは既に戦費として数十兆円を投じていると口にしますがそれは真実で、某国の女性首相に数十兆円の供出を要求したといわれる所以です。トランプが「あと2~3週間でこの戦争を終える」と宣言するのは、この違法で無謀なイラン攻撃が「財政的にも」不可能であるからと思われます。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
対イラン戦争:莫大な軍需品消耗+成果の欠如=イランの勝利
                マスコミに載らない海外記事 2026年3月29日
                    Moon of Alabama 2026年3月27日
紛争の両陣営における弾薬の供給状況に関する新たな数値がいくつか発表された。
 ワシントン・ポスト によると、(アーカイブ)アメリカはイランに向けて850発のトマホーク巡航ミサイルを発射した。トマホークの総保有数は3,000発から4,000発の間と推定されている。
 だが、これら長距離兵器使用には別の制約がある。ミサイルは通常、米海軍の艦艇から発射される。各艦艇の搭載量は最大72発のトマホークに制限されている。搭載数が尽きると、艦艇は再装填のため、友軍の港へ向かう必要がある。(大型ミサイルの洋上での再装填は試験的に実施されているものの、まだ初期段階にある。)
 アメリカが湾岸地域に配備している約16隻の駆逐艦と潜水艦は現在ほとんどが「ウィンチェスター」状態、つまりトマホーク・ミサイルを撃ち尽くしている。だが、イランのミサイル攻撃に対抗するためには防空能力が依然必要なため、これら艦艇は、まだ現場を離れられない。
 防空ミサイルも不足している。イギリス王立統合軍事研究所(RUSI)が三日前にこう報じた  
12種類以上の弾薬を持続不可能と思われるペースで連合軍は消費している。3月19日、世界の備蓄は「空か、ほぼ空」で、戦争が更に一か月続けば「ミサイルはほとんど使えなくなる」とラインメタル社CEO、アーミン・パッパーガーは、指摘した。

 イランが少なくとも12のアメリカおよび同盟諸国のレーダーと衛星端末を損傷したことを考えれば、迎撃効率は低下する。1発のミサイルに対して10基または11基の迎撃ミサイルを使用したり、1機のドローンに対して8基のパトリオットミサイルを使用したりするのは継続不可能になる

 米軍は、ATACMS/PrSM地上攻撃ミサイルとTHAAD迎撃ミサイルが枯渇するまであと1か月以内、あるいはそれ以下だ。イスラエルは更に危険な状況にあり、アロー迎撃ミサイルは3月末までに完全に使い果たされる可能性が高い他の兵器を用いて戦争を進めることも可能だが、そのためには航空機に対するリスクが増大し、ミサイルやドローンによる「漏洩」により部隊やインフラが損害を受ける可能性が高まることを認めなければならない。
 RUSIは、備蓄補充における業界の困難に関する表や背景情報を提供している。
 一方、この方程式のもう一方の側面は、アメリカ・イスラエルの作戦がイランに与えた損害だ。1万以上の「標的」が攻撃されたが、トランプ大統領の主張にもかかわらず、イランの弾道ミサイル能力を無力化する主目標は達成には依然程遠い  
アメリカ情報機関に詳しい5人の関係者によると、アメリカとイスラエルによるイランへの戦争が一カ月近くになる中、アメリカが確実に判断できるのは、イランの膨大なミサイル兵器庫の3分の1を破壊したことだけだという。

 残りの約3分の1の状況は不明瞭だが、爆撃によって地下トンネルや掩蔽壕に埋もれたミサイルが損傷、破壊された可能性が高いと情報筋4人が述べた。情報の機密性を考慮し、匿名を条件に情報筋は語った。
 情報筋の一人は、イランのドローン能力についても同様情報があり、 3分の1が破壊されたのはほぼ確実だと述べた。

 この情報は、木曜日にイランに「残っているロケット弾はごくわずかだ」とドナルド・トランプ大統領が公言したこととは対照的だ。
 1日あたりの攻撃回数を比較すると、アメリカ・イスラエルが圧倒的に優位に立っている。現在アメリカ・イスラエルは、1日あたり約300回の作戦飛行を行い、イランの標的に爆弾やミサイルを投下している。一方、イランは1日あたり約30~40発のミサイルを発射している。だが問題はこうした攻撃の質だ。アメリカ・イスラエルは初日から学校や診療所といった民間インフラを標的にしてきたのに対し、イランは軍事施設や軍事産業施設を攻撃してきた。
 本日、アメリカ・イスラエル軍はイランのフーゼスターン州とイスファハン近郊のモバラケにある製鉄所を攻撃した。イスラエルとアラブ湾岸諸国の同様施設に対して報復攻撃を行うとイランは発表した。イランを最も壊滅的攻撃から守っているのは、まさにこの報復能力だ。
 事態のエスカレーションにおいて、イランは有利な立場にある。
 この戦争に勝つ方法はないことを受け入れるようアメリカに促す際、(アーカイブ参照)イラン嫌いのエコノミスト誌編集者連中は、このことを認めている。
 要するに、アメリカとイスラエルの軍事攻撃がどれほど強力で巧妙であろうと、トランプに対して優位に立っているとイランは感じているのだ。イランは、アメリカより攻撃力と防御力に優れていることを示した。戦略的根拠を示さずに、許しがたいことにトランプは戦争を開始した。作戦上の成功や、テヘラン政権を既に変えたという彼の馬鹿げた主張にもかかわらず、戦闘から実質的な成果を彼は何も得ていない。政治的代償が増大するにつれ、トランプは益々圧力にさらされる
…  トランプは完全停戦に同意し、イスラエルにそれを遵守させなければならない。海峡再開と核開発計画からのイラン撤退に関する協議は極めて困難だろう。そして最終的に合意に至るとしても、戦争開始前に締結できただろう合意より悪いものになるだろう。トランプは意図せずに強硬派の立場を強化し、彼らが海峡に対して持つ影響力を明確にしてしまったためだ。結果的に、少なくとも今のところ、イランが優位に立っている

 トランプは、もちろん、別の選択肢として戦争をエスカレートさせる可能性もある。だが、たとえ、そうしても、現状より良い状況とは言えないだろう。
 一方、アメリカが始めた戦争によって、アメリカ同盟諸国は苦しんでいる。オーストラリアは特に深刻な状況にある。原油を生産・輸出しているものの、アジアからの石油製品輸入に依存している。これら輸入が途絶えたため、オーストラリアはディーゼル燃料やガスを他の供給源から購入せざるを得ないが、価格は極めて高額だ。  
アメリカのメキシコ湾岸からオーストラリアへの輸送時間は55~60日に及び、運賃は1バレルあたり約20ドルだ。これは危機以前のアジア太平洋航路の運賃が1バレルあたり5~6ドルだったのと比較すると高い。地域産品の価格変動により、この不利な点は一時的に解消された。3月18日には、シンガポールとヒューストンからのガソリンとディーゼルの納入価格は1バレルあたり約161ドルで収束した。3月25日現在、シンガポールからの貨物は再び魅力的に見え、1バレルあたり約153ドルに対し、ヒューストンからの貨物は1バレルあたり164ドルとなっている。だが価格はもはや決定的要因ではない。問題は現物供給に移った。アジアで売れ残った貨物が益々少なくなるにつれ、アメリカは輸送距離が長く運賃も高いにもかかわらず、キャンベラにとって、輸入の行き詰まりを打開する唯一の確実な手段となるかもしれない。
 世界の原油供給量は依然減少傾向にある。アメリカのガソリンとディーゼル燃料の価格は上昇を続けている。トランプ大統領とアメリカが石油製品の輸出を全面的に禁止するまで、どれくらい時間がかかるのだろう。その時こそ、オーストラリアがアメリカとの同盟の本当の価値に気づく瞬間になるだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2026/03/war-on-iran-exorbitant-munition-spending-lack-of-success-iran-is-winning.html