2026年8月5日水曜日

05- 復興税「防衛費への流用ヤメロ!」の声が再拡大 熊本地震で/高市首相の早過ぎた「熊本訪問」の背景 ほか(日刊ゲンダイ)

 7月28日、最大震度7の巨大地震が熊本県を襲いました。住民は水も出ない、クーラーもない、仮設トイレもない、間仕切りもないという体育館の床にごろ寝の状態で、酷暑の中を過ごしています。それを避けて車の中で過ごしていた住民の中には、熱中症で命を失った人も出ました。
 熊本県は10年前の2016年4月14日にも巨大地震が襲いました。
 日本は世界有数の地震災害国家であるにもかかわらず、避難所施設が劣悪であることが当時もクローズアップされましたが、その後10年が経ったのに何一つ改善されていないことが、今回明らかにされました(因みに熊本市の大西市長は当時も市長の座にありました)。政府や自治体は何故本気で取り組もうとしないのでしょうか。
 (関連記事)
  8月3日 後進国レベルの政府災害対応(植草一秀氏)ほか

 日刊ゲンダイの下記の3つの記事を紹介します。
・復興税「防衛費への流用ヤメロ!」の声が再拡大 熊本地震で高市首相「できること全てやる」断言の本気度(2026/07/30)
NHKは酷暑報道ばかり これまた怪しい大メディアの高市批判2026/08/03
・高市首相の早過ぎた「熊本訪問」の背景…震災から1週間たたず“視察強行”に批判殺到の案の定(2026/08/04)
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復興税「防衛費への流用ヤメロ!」の声が再拡大 熊本地震で高市首相「できること全てやる」断言の本気度
                         日刊ゲンダイ 2026/07/30
高市内閣ではできることは全てやります──。熊本県を最大震度7の巨大地震が襲った28日、高市首相は、非常災害対策本部会議で、そう断言した。
 29日の午後2時時点で、人的被害は90件弱、停電・断水は合わせて10万戸超。人命救助と被災者支援が急がれる中、高市政権の“防衛増税”に改めて疑問の声が続出している。
 税制改正関連法が今年3月に成立。政府は、防衛力強化の財源確保のため「防衛特別所得税」を創設し、来年1月から所得税額の1%相当を上乗せする。
 そもそも、この1%分は政府・与党が増税批判をかわすために、東日本大震災の復興財源である「復興特別所得税」からひねり出したものだ。防衛費のための1%を上乗せする代わりに、復興税の税率を現行の2.1%から1.1%に引き下げ。時限措置の復興税の「総額」を確保するとして、課税期間を2037年から2047年へと10年延長した。
 徴収する復興税の総額は変わらないとしても、本来なら復興に使える分を防衛費に回す「流用」である。

かつては反対派
 防衛費増に前のめりの高市首相は「防衛特別所得税」を予定通り実施する方針だが、高市内閣が「できること」のひとつが、まさに来年1月からの防衛増税の中止だ。
 今回の熊本地震を受け、SNS上は〈防衛特別所得税をやめて復興税にもどせ〉〈軍拡してないで災害対策や医療にこそ税金使え〉の大合唱。「防衛費への流用ヤメロ!」の声が再び湧き起こっているのだ。
「岸田政権が防衛増税をブチ上げた当初、 経済安保担当相として内閣の一員だった高市さんは反対の立場でした。特に所得増税にご立腹で、自身のXに『賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された首相の真意が理解出来ません』と投稿。わざわざ記者会見で『罷免されるなら仕方ない』と口にするほどでした。西村康稔経産相(当時)をはじめ、旧安倍派のメンメンも増税に異論を唱えました。もっとも、高市さんは首相就任後にあっさり『増税やむなし』に転じましたが」(自民党関係者)
 自民党も「被災地の復旧に向け、必要な対策を後押ししたい」(鈴木幹事長)と協力体制を敷く。高市首相の“鶴の一声”で、本来の復興予算を戻すことは可能だ。「できることは全てやる」と宣言した高市首相の本気度やいかに。


NHKは酷暑報道ばかり これまた怪しい大メディアの高市批判
                        日刊ゲンダイ 2026/08/03
                     (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 終盤の国会運営や皇室典範改正、消費税減税を巡って、珍しく大メディアがボロクソに高市政権を批判しているが、どこまで本気なのか。裏金集団の自民党政権、どうにもならない日本経済、常に犠牲の庶民、目くらましの高市という構造腐敗に切り込まないのは批判のふりだ。
  ◇  ◇  ◇
 とにかく、暑い。2日は高知県四万十市・江川崎で40.8度、和歌山県田辺市で40.6度を観測するなど、3地点で最高気温40度を超える酷暑日となった。
 全国914観測地点のうち、35度以上の猛暑日は300地点以上。最大震度7の地震に襲われた熊本県でも、2日の熊本市の最高気温は38.9度と観測史上1位の暑さを記録した。
 こうも暑いと、テレビが酷暑と地震関連報道に終始するのも当然だが、政治の話題はすっかり脇に追いやられてしまっている。
 7月25日に特別国会が閉会してから1週間で、テレビニュースの話題は一変。もちろん災害報道が最優先だが、地震関連ニュースのほかは、NHKも連日、酷暑報道ばかりだ。
 ドタバタで終わった終盤国会は、高市首相の資質に疑問符が突きつけられ、大メディアもボロクソに言っていたものだ。与党内の調整もロクにできないお粗末な国会運営には呆れる声が続出し、熟議に耐えられず数の力で強引に押し切る姿勢には、珍しく大メディアも真っ向から批判の論を張った
 とりわけ「男系男子」にこだわる皇室典範改正をだまし討ちのように成立させたことには、ほぼすべてのメディアが「禍根を残す」「再考を」と問題視している。
 民意を無視した皇室典範改正などについてメディアが頻繁に取り上げたこともあり、高市内閣の支持率は急落。世論調査では、1カ月で10ポイント以上も下落する事態になった。
 その理由として、「皇室典範改正など重要な法案や政策についての高市首相の説明不足や、長引く物価高への不満が影響」(読売新聞)と解説するなど大メディアもなかなか厳しい。

消費税減税の批判もポーズ
 さらに、高市が7月30日、飲食料品の消費税率を来年4月から2年間に限って1%に引き下げる方針を表明したことについては、大新聞もほぼすべてが反対の論を張っている。
 高市応援団の産経新聞でさえ、社説で「減税判断の妥当性どこに 財源確保の具体策が必要だ」と書くなど厳しめの論調だ。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「高市首相は支持率下落に焦って、財源問題を先送りした見切り発車に踏み切ったのでしょうが、食料品のみ2年間限定の消費税減税にどれだけの効果があるのか。国民はいま物価高に困っているのに、来年4月からというのは、統一地方選に合わせたバラマキなのが見え透いています。それまで生活支援がないまま、どうやって食いつなげばいいのか。高市首相が国民生活に向き合わず、支持率のことしか考えていないことがよく分かる。そもそも『2年後に責任を持って税率を戻す』と言いますが、2年後も高市氏が首相をやっている保証はない。無責任もいいところです」
 これまで消費税を下げたことは一度もないし、上げる時は2~3%ずつ段階を踏んできた。それでも、時には政権を揺るがすような国民の反発があったわけで、第2次安倍政権は10%への引き上げを2度も延期した。
 期間限定で食料品の消費税減税を行い、2年後に一気に7%も引き上げれば、その痛税感は計り知れない。税率を戻せないことは十分に考えられるし、つじつま合わせに食料品以外の税率を上げる可能性もある。
 そうなると、社説で消費税減税の批判をしている大新聞にしても、別の思惑があるように感じてしまう。現状、大新聞は軽減税率の恩恵を受けている。産経までもが足並みそろえて批判側に回っているのは、新聞も食料品と同様に税率1%にすれば“撃ち方やめ”というアピールではないのか。大メディアの批判は、どこまで本気なのか疑わしい。ちなみに本紙は軽減税率の適用は受けていない。

防衛費をケタ違いに増やして防災費を削り続ける
 高市は食料品の消費税を“実質ゼロ”にすることで家計を支援すると言うが、その一方で国民負担増の政策を着々と進める。
 高額療養費制度は見直され、1日から所得に応じた自己負担の月額上限が7%程度引き上げられた。住民税非課税世帯も4~5%程度引き上げる。月ごとの上限額は来年8月にもう一段階引き上げられる予定で、これまでと比べて最大38%高くなるという。
 厚労省が7月29日に公表したパブリックコメントは、「経済的な理由で治療を諦める患者が増える」「物価が上昇し、家計負担が増えている状況で引き上げるべきではない」などの反対意見が多数だった。通常のパブコメと比べて寄せられた意見は異例の多さだったというが、この政権はガン無視
 来年1月からは、防衛費増額の財源として、復興特別所得税の一部を防衛目的に充てることも決まっている。しかも、課税期間を当初予定から10年間延長して2047年までとする増税策だ。
 そうやって国民に負担増を強いておきながら、来年4月から期間限定で食料品の消費税を減税することを家計支援だとことさらアピールするのは目くらましもいいところなのだ。
国民に寄り添う気持ちがない
 今般の熊本地震でも気になったのが、体育館などに雑魚寝する避難所の環境だ。この風景は数十年間変わっていない。猛暑のさなか、クーラーがない施設も多く、およそ先進国とは思えない光景に言葉がつまる。
 米国に言われるまま、防衛費をケタ違いに増やす一方で、防災費がどんどん減らされているのがこの国の実情だ。
 2026年度の防衛関係予算は約9兆円。対して防災予算の国費は約1.9兆円に過ぎない。そのうえ、復興予算の一部を防衛費に転用するというのだ。
「日本は災害大国ですから、まずは災害に対する備えが必要なのに、高市政権は、いざ戦争になったらどう戦うかということに重心を置いている。どう考えても、必要なのは護衛艦より電源車やトイレカー、避難所のエアコン完備でしょう。国民の命より、戦争準備を進める政府でいいのかということが問われているのです」(五十嵐仁=前出)
 大メディアは皇室典範の拙速な改正に反対、食料品消費税の無責任な引き下げに反対と場当たり的に批判するのではなく、もっと複合的、構造的な政権の問題点をあぶり出すべきではないのか。個別の政策批判は「一応、批判してました」のアリバイづくりでしかない。

「大メディアがこんな調子だから、自民党の裏金問題も旧統一教会との癒着もウヤムヤになり、高市首相はイメージ戦略だけで乗り切れるとタカをくくっている。地震と酷暑でこの政権のデタラメが忘れ去られ、急落した支持率が回復していけば、高市首相はホクホクでしょう。メディアが本気で批判しなければ、権力は腐敗する一方です。そして、そのツケを被るのは庶民なのです」(政治評論家・本澤二郎氏)
 高市が地震後初めて被災地を視察するため熊本入りするきょう(3日)は、熊本県内で予想最高気温40度以上のところが複数あるから心配だ。災害対策に政府は本腰を入れて欲しい。
 熊本地震を受けた非常災害対策本部会議で、高市がトレードマークのパールのアクセサリーを身に着けていたことがSNSで話題になっていた。
 もちろん、「服装なんてどうでもいい」という声もあるが、これまで災害対策本部会議は全閣僚が防災服を着用して臨んでいた。誰よりも見せ方・見え方を重視しファッションにこだわってきた高市が、なぜ防災服を着なかったのか。“映えない”とでも思っているのかもしれないが、被災者や国民に寄り添う気持ちが欠如しているように見えてしまう。
 女性初の首相が、国民生活よりも自分の見栄えを重視するような薄っぺらい人物ではないはずで、さすがにミニスカ・ハイヒールの勝負服で被災地視察ということはないだろう。首相動静によれば、2日も高市は「終日、公邸で過ごす」だった。視察用の防災服のアイロンかけでもしていたのだろうか……。


高市首相の早過ぎた「熊本訪問」の背景…震災から1週間たたず“視察強行”に批判殺到の案の定
                        日刊ゲンダイ 2026/08/04
 行く前から「邪魔になる」と批判の声があがっていた高市首相の熊本県訪問。3日、高市首相は、予定通り熊本地震の被災地を視察した。
 現地は交通混乱がつづき、マンパワーも不足している。震災から1週間もたたないなかでの“視察強行”に対し、案の定、SNSでは批判が殺到している
《総理が現地に行くのはもっと後で良いと思う。総理の警備に人を割かなければならないし》
《「現地の混乱が落ちつくまで、視察は控えます」「要望は地元自治体から伺いますので」それで十分に事足りるのでは》
《現地に行かなければ的確な指示が出来ないというのであれば、本人の能力の問題でしょう》
《政府が震度7の注意喚起をしている最中に政権トップが訪問するリスク管理は出来ているのか》
 批判の多くは「もっとも」という内容がほとんどである。

「高市さん周辺も、いま現地に行ったら批判されると想定はしていたはずですが、批判は想像以上だったのではないか。でも、政治日程を考えたら視察日は3日しかなかったのだと思う。5日には消費税減税を閣議決定し、6日は広島、9日は長崎とスケジュールが詰まっているからです。いずれにしろ被災地の都合ではなく、高市さんの都合で3日になったのは間違いないでしょう。高市首相は熊本地震を『特定非常災害』に指定すると宣言し、200億円規模の予備費の使用を閣議決定すると記者団に明らかにしています。この2つを表明するために、熊本に行ったようなものです」(政界関係者)

補正予算は見送りか?
 現地に入った高市首相は、「予備費から200億円を使う」と宣言したが、200億円では足りないのは明らかだ。2016年の熊本地震の時は、復旧・復興のために7780億円の補正予算を組んでいる。
10年前、当時の安倍政権は、熊本地震の約1カ月後(5月17日)、補正予算を成立させています。高市内閣も急いで補正予算を組む必要があるでしょう。ところが、『とりあえず予備費だ』『予備費は1兆円あるから当面足りる』という空気です。補正予算を成立させるには国会を開かなければいけない。国会嫌いの高市さんは、国会を開きたくないのでは、という見方が出ていますでも、被災者からすると『被災地のために補正予算を編成します』と、『予備費で十分』とでは、受け止め方は変わってくるでしょう」(自民党事情通)
 どこまで高市首相が本気で熊本のことを考えているのか、いずれわかるはずだ。