2026年8月3日月曜日

後進国レベルの政府災害対応(植草一秀氏)ほか

 植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
 日本は世界一の災害国家ですが、「国の災害対策は後進国」と長きにわたって言われてきました(その点で石破前首相は防災に精通し独自の構想を持っていました)。
 文中に「スフィア基準」という文言が出てきます。
 これは「人道憲章と人道支援における最低基準」最新2018年版)のことで、災害や紛争の被災者が尊厳ある生活を送るための人道支援の国際的な最低基準です。膨大な内容なのでハンドブック形式でまとめられています。
 (内容の一例 ↓)
 ・給水・衛生・衛生促進:災害直後は50人に1基のトイレを確保し、段階的に20
  人に1基を目標とする。男女比は3:1が推奨される。
 ・食料と栄養:必要なカロリーと栄養を確保するための基準。
 ・シェルター・居留地・非食糧物資:避難所の一人あたりの最小面積や安全性の確保。
 など。

 併せて下記の3つの記事を紹介します。
・被災地・熊本を襲う連続猛暑日、避難者いまだに雑魚寝…高まる「災害関連死」リスクへの対策が急務(日刊ゲンダイ)
・床に雑魚寝 感染不安 熊本地震 仁比議員らに被災者切々(しんぶん赤旗)
・困りごと聞かせて 共産党県委アンケート(しんぶん赤旗)
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後進国レベルの政府災害対応
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年8月 1日
災害大国の日本。
7月28日16時27分。熊本県熊本地方で最大震度7の大地震が発生した。
震源の深さは16キロメートル。地震の規模を示すマグニチュードは7.1。

熊本県では2016年4月14日と16日にも震度7の揺れを観測する地震が発生している。このときのマグニチュードは6.5と7.3だった。
日本最大の活断層である中央構造線。その南西の端に位置するのが日奈久断層帯および
布田川断層帯。

2016年の地震は布田川断層帯および日奈久断層帯で発生した。
この断層帯の南西部分で断層が動かなかった部分がある。その動かなかった、いわゆる「割れ残り」が動いて大地震が発生することが警戒されてきた。
今回の地震は「割れ残り」が動いたことによる地震であると見られている。
今後は日奈久断層帯のさらに南西部分の「割れ残り」が動く可能性がある。
日奈久断層帯は八代海の海底にまで伸びている。その延長線上に近い地点に川内原子力発電所が位置している。

また、愛媛県の伊方原子力発電所3号機については、2017年12月と20年1月に広島裁が運転差し止めを命じる仮処分決定を出したが、いずれも広島高裁が異議審で取り消した
仮処分決定で広島高裁の森一岳(かずたけ)裁判長は、原発付近に活断層がないとした四国電力の調査は不十分で、原発周辺の断層帯が活断層である可能性が否定できないとした。
その後、仮処分は取り消され、住民の訴えは退けられた。

日本の裁判所は「法の番人」ではなく「権力の番人」である。裁判官の人事権を政治権力が握っているため、多くの裁判官は政治権力の顔色を見て判断を示す。
したがって、まれに正当な判決が示されても、上級審がこれを覆すことが常態化している。

伊方原発も川内原発も石川県の志賀原発もすべて、活断層の上に立地している疑いを排除できない。
災害大国の日本。毎年のように大規模災害が発生する。災害そのものは「天変地異」に帰属するもので防ぎようがないが、問題は災害が発生した場合の政府に取り組みである。
最重要の課題は被災者の命と健康を守ること。これこそが、政府の役割の第一である

被災者の命と健康を守るには避難所の居住環境を引き上げることが必要不可欠。
近年の日本は酷暑と厳冬に見舞われる。真夏と真冬の期間が長期化し、快適な気候の春と秋が短縮化している。
真夏には熱中症の恐れが高まる。真冬は体温の低下を防がなければならない。

命と健康を守るには、一定のスペース、プライバシーの保護、トイレと入浴施設の整備、必要十分な水と食料が必要不可欠だ。
被災者の居住空間のレベルを一定水準以上に保つための国際基準として「スフィア基準」がある。
巨大な財政支出をバラまく日本政府。100兆円単位のバラまき財政を実行する財政力があるのだから、まずは、被災者が身を寄せる避難所の水準を引き上げるべきだ。
大災害が生じるたびに議論が提起されるが、まったく実行されない。

熊本では連日35度を超える猛暑、地点によっては40度を超える酷暑が予想されている。
エアコンが整備されていない体育館に被災者を収容するなどあり得ない行政である。
各種宿泊施設を活用して被災者の命と健康を守ることが先決だ。
被災者が厳しい状況に直面しているときに、涼しい場所で真珠のネックレスとイヤリングを身にまとい会見している場合ではない。
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被災地・熊本を襲う連続猛暑日、避難者いまだに雑魚寝…高まる「災害関連死」リスクへの対策が急務
                         日刊ゲンダイ 2026/07/31 


避難所となっている熊本県八代市の体育館で過ごす人たち(C)共同通信社










 最大震度7の揺れを記録した熊本地震の発生から、31日で4日目を迎えた。熊本県によると、人的被害は120件(30日午後3時時点)。うち死者は、災害との関連調査中を含め34人となった。県内全域で1万人近くが避難を余儀なくされている中、これから最も懸念されるのが「災害関連死」のリスクだ。

 熊本県内は30日も気温35度以上となり、12日連続の猛暑日だった。高市首相は3回目となる非常災害対策本部会合で、改めて避難環境の改善を指示。赤沢経産相に「車中でのクーラーを躊躇なく利用できるよう、ガソリン等の燃料油の供給に万全を期してください」と呼びかけた。
 前回2016年の熊本地震は4月に発生したが、今回は真夏の発災とあって避難環境は過酷を極める。被災者の暑さ対策が急務だが、文科省の調査によると、避難所に指定されている全国の公立小中学校の体育館(武道場など含む)の冷房設置率は33.1%。熊本県内は20.9%と、全国平均を大きく下回っている状況だ。
 発災翌日の29日から被災現場を回っている共産党の田村貴昭前衆院議員が言う。
「避難所になっている八代市立鏡小学校の体育館はエアコンがなく、ポータブル電源で扇風機が稼働しているだけでした。未就学児を連れたご家族が避難されていたのですが、あまりの暑さにお子さんはぐったりして寝ていました。エアコンがあっても肝心の電気が寸断されているので使えません。移動式の発電車を持ってきてスポットクーラーをガンガン動かせればいいのですが、整備されていないのが実情です。水も止まっており、わざわざプールから水をくんでトイレを流さないといけないので、特に高齢の方には厳しい環境です」

震災関連死は行政の怠慢
 前回の熊本地震では死者275人のうち、震災関連死が約8割の225人に上った。熊本県の調査によれば、震災関連死の原因は「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」(約4割)と「避難所等生活の肉体的・精神的負担」(約3割)が大半を占める。数百人が避難しているという八代市総合体育館も快適とは程遠い。
「ここはエアコンがついているので、一応暑さはしのげますが、大問題は寝床です。市にマットやダンボールベッドの備蓄がなく、避難者は自ら持ち寄ったゴザや薄い敷物で雑魚寝の状態。高齢の方は地べたに寝てしまうと、ベッドと違って起き上がるのが難しい。地べたで寝るとホコリを吸い込んでしまうため、体調悪化にもつながります。冷暖房やベッド、間仕切りといった最低限の避難環境すら日本では整っておらず、阪神・淡路大震災の頃から変わっていないのです。エコノミークラス症候群などの災害関連死を防ぐために、環境整備はもちろん、国や自治体が借り上げたホテルや旅館への誘導、電源車やコンテナハウスの用意などに国も自治体も本気で取り組むべきです」(田村前衆院議員)
 避難環境は何十年と変わっていないが、夏場の気温は異常な高温に達している。震災関連死は行政の怠慢に他ならない
  ◇  ◇  ◇
「政治とカネ」が大問題になっている自民党の福岡県議団が、 熊本震度7地震の1時間後に「政治資金パーティー」開催していた。


床に雑魚寝 感染不安 熊本地震 仁比議員らに被災者切々
                       しんぶん赤旗 2026年8月2日
 熊本県で最大震度7を観測した地震発生後初の週末を迎えた1日、被災地では連日の猛暑が追い打ちをかけています。このなかで日本共産党は議員、党員が被災者の要望を聞いたり、各地で募金を呼びかけるなど救援活動に全力をあげています
 日本共産党の仁比聡平参院議員、熊本県委員会の東なつこ副委員長・県議予定候補は1日、県内各地で地震により被災した家屋や農業施設を確認し、被災者らから要望を聞きました。甲佐町と宇城市で佐野安春、井芹しま子両甲佐町議、八代市と氷川町では橋本徳一郎八代市議が同行しました。
 甲佐町の男性(71)は10年前の熊本地震で自宅が壊れリフォームしましたが、今回2度目の被災。自宅の再建について「小さい規模で建て直すしかない」と語りました。持病があり、公民館に身を寄せているという男性(61)は、感染症の不安から「大勢の人がいる避難所に入れない」と窮状を訴えました。
 仁比氏は「病気を気にして避難できない状況はあってはならない」と述べ、持病のある人などの二次避難を急ぐよう国や自治体に声を届けると答えました。
 宇城市豊野町の女性(79)の自宅は柱が折れるなどの被害を受け、地震被害判定の調査で申告するよう仁比氏からアドバイスを受けていました。
 農業被害も深刻です。仁比氏は地震で破損した八代市鏡、千丁両地域の用水路を確認。穂をつけ始めた稲に水を供給できない事態が起きており、早期の復旧が求められています。
 農業者の男性(77)が「国の事業で復旧させてほしい」と要望したのに対し、仁比氏は「生産者に負担のない方法で早期に復旧できるよう農水省に働きかけたい」と応じました。


困りごと聞かせて 共産党県委アンケート
                       しんぶん赤旗 2026年8月2日

(写真)床に敷いた段ボールの上で体を休める被災者(右)から要望を聞く党員ら=1日、熊本県八代市

 熊本地震で被災した人たちの苦境や要望を聞き取り、課題解決につなげようと、日本共産党熊本県委員会は1日、南部・宇城両地区で被災者アンケート活動に取り組みました八代市では橋本徳一郎市議、高岡あけみ水俣市議と党員らが「困りごとを聞かせてください。行政に伝えます」と語りかけました
 約800人が身を寄せる市体育館の避難所では、避難者自らが持ち込んだマットなどを敷いて寝泊まりしていました。ロビーの床に段ボールを敷いて寝ていた男性(65)は「体が痛い。毛布はもらえたが全員に行き渡っていない。どうにか4時間寝たが、寝たうちに入らない」と語りました。
 余震の不安で避難している夫婦は「夜遅くまで話す人や朝早く動く人もいて寝られない」「食事は出たり出なかったり。朝はもらえなかったので、昨日配られたお菓子を食べている」と打ち明けました。
 避難所のプライバシー確保や感染症防止などに不可欠な仕切りが体育館に届いておらず、目隠し代わりに腰の高さの卓球用フェンスがあるだけ。36歳の女性は「寝顔を見られないよう新聞紙を顔にかぶって寝た。家族がいるのでいいようなものの、フェンスが高い方が安心する」と話しました。
 アンケート中、着の身着のままで避難してきた高齢の女性が床にへたり込んでしまい党員らが職員に訴えてマットを用意しました
 橋本市議は「入浴場所の情報や災害ゴミ収集の改善、片付けのボランティアなどの要望が次々と寄せられた。床に避難者が寝ている状況はあってはならない。ただちに段ボールベッドを用意するよう国、県、市に求めたい」と語りました。

問われる「0~3時間睡眠」首相の危機対応能力(日刊ゲンダイ)

 日刊ゲンダイの掲題の記事を紹介します。
 熊本県で28日に発生した最大震度7の地震による被害が拡大の一途をたどっています。
 現在400カ所超に避難所が開設されており、1万人以上が避難し、駐車場などで車中泊をしている人も多数います県内で2万戸近くが停電し、約7万5000戸が断水していて、断水は医療機関や高齢者施設、児童福祉施設に及んでいます。
 別掲の記事で指摘されているように日本は災害大国であるにもかかわらず、避難所の環境が極めて劣悪なことで知られています。国は一刻も早く改善を図るべきです。
 注目されるのは高市首相の危機管理能力ですが、そもそも高市首相には防災政策に関する知識もなければ、災害大国にはどういう体制が必要なのかの問題意識もありません。
 それなのに高市氏は発災1週間後を目処に現地視察に行く意向のようです。
 それはお得意のパフォーマンスにはなるものの、現地に行けば知事以下の職員や警察にそれなりの対応が要求されるので、多大な負担を強いることになります。
 10年前の熊本地震では各府省の幹部職員9人を現地入りさせる『K9体制』で災害対応に臨んだという『成功体験』があるので、高市氏は先ずはそれに学ぶ必要があります。
 その点で石破前首相は防災に精通し 独自の構想を持っていたので、高市氏は帰京したらまずは石破氏に話を聞くべきでしょう。仮に睡眠時間を削って独学して見たところでとても間拍子に合いません。
 今回の地震では70m高の煙突が折れたり、橋梁の半幅が川に脱落するなどの被害が確認されています。これは国の建築基準法や橋梁設置基準における耐震設計基準(基準地震動)が震度7に対応していなかったためなので、今後も大地震時には繰り返される恐れがあります。
 高市氏は何よりも軍事費の増額が必要と考えているようですが、真の「国土強靭化」はそんなことではなく、公共施設や大型の工場設備の耐震補強の筈です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
平時でも手いっぱいだとすると…問われる「0~3時間睡眠」首相の危機対応能力
                         日刊ゲンダイ 2026/07/31
                      (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 熊本地震の被害は拡大の一途。半導体企業へのダメージも想像以上だ。余震も続き、1万人もの避難者の健康が心配になるが、もうひとつ、気になるのが平時の国会対応すら手いっぱいの高市首相だ。「強いニッポン」を連呼するが、問われる危機管理能力とその限界
  ◇  ◇  ◇
 熊本県で28日に発生した最大震度7の地震による被害が拡大の一途をたどっている。県によると、30日午後3時時点で県内の人的被害は120人。死者は34人、うち25人については、市町村が災害が原因によるものだと確認している。
 煙突の崩落といった被害が出ている八代市の日本製紙八代工場では、11人が閉じ込められ10人が救助されたが、8人が死亡。爆発事故が起きた嘉島町のイオンモール熊本では、救助された12人のうち7人の死亡が確認され、5人が軽症だった。
 警察、消防、自衛隊による懸命な救出活動が続いているが、被災者の生存率が急激に下がるとされる発災から72時間を31日の夕方に迎える。安否が不明な人たちの一刻も早い救助が肝要である。
 安否不明者のみならず、避難者の健康も心配だ。県のまとめによれば、30日午前時点で400カ所超に避難所が開設されており、1万人以上が避難。駐車場などで車中泊をしている人も多数いる。
 ライフラインへの影響も深刻で、県内で2万戸近くが停電。約7万5000戸が断水している。断水の影響は医療機関や高齢者施設、児童福祉施設に及んでいる。
 29日夜には、天草・芦北地方を震源とする最大震度5弱を観測する強い地震が発生するなど、余震も頻発。今後も大きな揺れへの警戒が必要だが、同時に留意しなければならないのが酷暑だ。30日は熊本市と八代市で35度を超える猛暑日になったほか、宇城市で34度超となり、各地で厳しい暑さになった。31日は県内でさらなる気温の上昇が予想されており、熱中症対策は必須。2次被害を食い止めるためにも、水や食料のみならず、クーラーや電源車など、救援物資の供給が急務だ。
 半導体企業へのダメージも想像以上だ。ソニーグループなどが半導体生産を停止。トヨタ自動車とホンダも月内の生産を止める

手元のペーパーを読み上げ
 気になるのは、この非常事態に政府トップの高市首相が対応できるのか、という点だ。高市は30日、官邸で開かれた非常災害対策本部会議の冒頭で「お亡くなりになられた方々に哀悼の誠を捧げますと共に、謹んでご遺族の皆さんにお悔やみを申し上げます。そして被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます」と話し、被害状況を報告。
 各大臣に災害対応するよう指示を出し「できることは全てやる」と話したが、声はどこか弱々しく、手元のペーパーに目を落としていた。冷静な対応を心がけていたのかもしれないが、どうも“1人でも多くの被災者を救う”という気迫は見えてこなかった。
 こうした「有事」にこそ、政権の真価が問われるものだが、やはり高市への不安は拭いきれない。閉幕した特別国会の最終盤で、高市は自らのX(旧ツイッター)に、〈総理就任以来、0時間~3時間睡眠が常態化〉と投稿し、7月以降の土日は公邸で〈分厚い資料を早朝から深夜まで読み続け〉〈書類の山と格闘して過ごしていました〉と打ち明けていた。さらに、平日は家事に追われるため〈プライベートな時間は精一杯〉と、“忙しさアピール”を展開。
 まあ、国会審議にロクに出てこず「土日は公邸に引きこもっている」と揶揄されたから、あえてこんな投稿をしたのだろうが、「平時」の国会対応すら手いっぱいの高市だ。果たして、これだけの有事に対応できるのか。短時間睡眠による体力面のみならず、公邸にこもって会合を持つ機会も少ないため人的パイプも細い。特別国会では「審議に出たくない」とブチまけ、“身内”の自民党国対を疲弊させていた。人の使い方や判断力、組織の動かし方まで含め、高市の政権運営は不安だらけだ。

発災1週間足らずで早速「現地入り」の狙い
 そもそも、高市自身、防災政策に精通しているとは思えない。既に「全消し」した高市のブログを見ると、「防災」に関する記述はいくつかあるが、専門的な内容は見られない。
 先の特別国会では、政府全体の防災・災害対応の司令塔となる「防災庁」の設置法が成立したが、これは石破前首相の肝いり政策だ。高市と違って、石破は防災政策に並々ならぬこだわりを持っていた。例えば、石破が勝利した2024年秋の総裁選直前にアップした、石破の公式「note」にはこう書いてある。
〈東日本大震災発災後の4月、野党自民党の政務調査会長であった私は無理をお願いして宮城県女川町で避難所にあてられた体育館に泊めて頂いたのですが、その時に被災者の方々が「なぜ各省庁をたらい回しにされなければならないのか。一つの役所ですべてが片付く体制がなぜできないのか。陳情するのが我々の仕事ではない」と口々に言っておられたことが忘れられません〉
 さらに、当時の内閣府防災担当の人員が100人程度で、予算が74億円と、あまりにも手薄な実態を指摘。〈職員がどんなに懸命に働いても、災害発生後の事態対処はパンク寸前で、事前防災の取り組みも度重なる災害発生で中断してしまうのが現状〉と問題視していた。この発想が「防災庁」設置法につながったわけだ。
 こうした防災政策に関する知識のカケラも見えない高市だが、8月3日にも被災状況把握のため熊本県入りする調整に入った。自治体関係者らと意見交換し、今後の対策に生かしたいそうだが、現場からしたら「余計なお世話」だろう。首相が来るとなれば、現場はセキュリティー体制の構築に人員を割かざるを得ない。下手をすれば、現地で陣頭指揮をとる知事の他、県職員らは高市の“お出迎え”をさせられかねない。どう見ても、迷惑なだけだろう。
現地入りすれば各メディアが大きく報じますから、総理としては“やってる感”の演出になるでしょう。下がり始めた支持率回復に利用したい思惑もあるのではないか」(官邸事情通)

初動対応に早速疑問
「シン・防災論」の著者で、ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「今回の政府の対応には違和感を覚えます。発災当日に内閣府の調査チームを、翌29日には防災担当の津島内閣府副大臣をそれぞれ現地に派遣しています。しかし、10年前の熊本地震での『成功体験』を生かしている様子が見えない。当時は、各府省の幹部職員9人を現地入りさせる『K9(ケー・ナイン)』体制で災害対応に臨んでいた。これは、知事をトップとした小さな政府を被災地に設置するようなイメージ。被災地のニーズの素早い把握や迅速な意思決定を実現することができた。初期対応の円滑化に成功したモデルケースとなり、24年元日に発生した能登半島地震の復興でも生かされました。ところが、今回、高市政権はK9には触れていない。忘れてしまったのか、あえて目を向けていないのか不明ですが、初期対応には不安を感じます
 政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「災害対策本部で資料に目を落としながら話した高市首相の様子を見ていて、彼女は本気で被災地に寄り添う気があるのかと疑問に思いました。先の特別国会では多くの国民が求める物価高対策よりも、国旗損壊罪の創設や皇室典範改正、副首都創設法など、自らの政治的野心をかなえることに腐心していた。つまり、国民の思いは二の次ということ。まさか、被災地に対しても同じような態度を取るのではないか。杞憂に終わればいいのですが、彼女のことですから分かりません」

 高市は常々、「強いニッポン」なんて言っているが大丈夫なのか。0~3時間睡眠の“寝不足首相”の危機対応能力には、不安しかない。

高市自維政権 異常な強権・暴走 暮らし対策はそっちのけ(しんぶん赤旗)

 特別国会が7月25日閉会しました。衆院選で与党自民維新 4分の3超の議席を占めまし高市首相は自分に都合の悪いことへの追及から逃れるために国会から逃げ回る一方で、軍備拡張や反動法制を進める立法には拘る反面、国民生活を守る為の立法や政策は何も行わず、国会終盤に駆け込み的に強引に成立させたのは、改定皇室典範、国旗損壊処罰法、「副首都」法の悪法でした。
 皇室典範改定に至っては衆参それぞれ審議はわずか3時間で強行成立させました「毎日」26日付 は「立法府の危機的状況である。巨大与党を率いる高市早苗首相は独善的な振る舞いに終始し、審議の形骸化が進んだ」と断じました。
 改定皇室典範女系・女性天皇を認めないもので、皇族の養子制度に至っては荒唐無稽と呼ぶべきものでした。何よりも今上天皇・皇后が象徴天皇の座を去れば、直系長子の愛子様のお立場がどうなるのかが不明で、本来あり得ないことです。

 これに対して国民が強い反対を示し「読売」調査は、女性天皇に賛成が85%にのぼり、圧倒的多数が「皇室典範再改正」を訴えました。内閣支持率が急速に下落したのは当然でした。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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高市自維政権 異常な強権・暴走 国民の願いとの矛盾くっきり 支持率下落
                    しんぶん赤旗日曜版 2026年8月2日号
 2月の総選挙を受けて開かれた特別国会が閉会しました(7月25日)。衆院選で与党(自民、維新)が4分の3超の議席を占めた高市早苗政権は、法案をごり押しする強権姿勢をあらわにし、国民の願い・要求との矛盾をいっそう深めています。
 メディアは「立法府の危機的状況である。巨大与党を率いる高市早苗首相は独善的な振る舞いに終始し、審議の形骸化が進んだ」(「毎日」26日付)と断じました
 各社の世論調査では、7月の内閣支持率は軒並み急落。「読売」(児T26日実施)調査では、前回6月から12回下落し57%となり、無党派層では初めて不支持が上回りました。共同通信も53・7%で政権発足後最低となりました。
 高市政権が国会終盤に駆け込み的に強引に成立させたのは、改定皇室典範、国旗損壊処罰法、「副首都」法でした。
 内閣支持率下落の要因のつとなっているのが、改定皇室典範の強行。衆参それぞれ審議はわずか3時間。女系・女性天皇を認めない政府への批判が広がりました。「読売」調査は、女性天皇に賛成が85%にのぼっています。

「なぜ(天皇は)女性ではだめなのか」。日本共産党の塩川鉄也衆院議員の質問に木原稔官房長官は1分近くも笞弁にたてなかったことが話題になりました。「憲法で天皇は日本国民統合の象徴とされている。多様な性で構成される国民の統合の象徴を男性に限定する合理的理由はどこにもない」と、厳格に憲法の条項にのっとった論をたでて質問したからです。天皇の制度忙対する日本共産党綱領の立場が国会論戦でも力を発揮し、多くの人々の共感を広げました。
 国民の期待を裏切っているのが高市政権の物価高対策です。世論調査で「評価せず」は71%で6月調査から15回も上昇。「評価する」(21%)の3倍以上に達しました(「読売」調査)。国民は長引く物価高に全く無策の高市政権に不満を暮らせています。
 共産党国会議員団は、物価高から暮らし・営業を守る緊急要求を発表。論戦で無責任な放漫財政をやめ、富める者への課税で財源を確保し、大軍拡と大企業へのバラマキをやめ、社会保障と教育の予算を増やせと求めました。


高市自維政権 異常な強権・暴走
国旗損壊処罰皇室典範改定・・・暮らし対策はそっちのけ
                    しんぶん赤旗日曜版 2026年8月2日号
国会議員団総会田村委員長あいさつ
 第221特別国会は7月24日に事実上閉幕しました。同日の日本共産党の党国会議員団総会であいさつした田村智子委員長は、国会終盤の高市早苗政権と自民・維新の異常な強権・暴走政治に強く抗議しました

市民の運動と共産党の奮闘が希望
 24日夜に自民・維新などが強引に成立させた「副首都」法は、住民投票で2度否決された維新による「大阪都構想」を「副首都」の指定で実現しようとするものです。田村氏は「維新の党利党略のためにむりやりな国会運営で成立させるやり方は、断じて許せない」と批判しました。
 高市政権は、国旗損壊処罰法や皇室典範改定といった憲法上の疑義がある法案の採決を次々と強行。衆院比例定数削減法案は、全野党が一致結束して今国会成立を断念させました。田村氏は、民意を切り捨て「戦争国家づくり」を進めるための定数削絞法案は廃案にすべきだと訴えました。
 
共感広げた論戦
 高市首相は、くり返し国会への出席を拒み、自らの責任や疑惑への説明責任を果たさないなど、国会軽視の姿勢があらわです。「議会制民主主義のイロハもわきまえない高市政権」への国民の批判が急速に高まり、道理をつくし、憲法の立場に立って、法案の問題点をただす日本共産党に新たな信頼と共感が広がっています。とくに、女性天皇を認めず、男系男子に固執する高市政権に対して、憲法の条文と精神に立ち、問題点を明らかにした共産党の論戦は大きな共感を広げました。
 
行き詰まり明白
 田村氏は「政治の表層ではやりたい放題にみえる高市政権の行き詰まりがあらわになっている」として3点のべましたり
 第一は、アメリカの無法な戦争に対して、日本共産党が国連憲章・国際法の立場での論戦を貫き、このもとで、トランプ政権言いなりの高市政権の行き詰まりが際立っていることです。
 今、NATO(北大西洋条約機構)加盟国からもイラン戦争への批判の声が上がり、トランプ政権は世界での孤立が深まっています。日本はまだ付き従うのかが鋭く問われるもと、田村氏は「日米安保条約を廃棄し、対等・平等・友好の新しい日米関係を求める日本共産党の役割がいよいよ求められている」と強調しました。
 第二に、「戦争する国づくり」に断固として立ち向かう日本共産党が、市民の運動を励まし、国民多数派を結集する可能性を広げる力となっていることです。
「戦争反対」「憲法守れ」のデモ行動は全国に広がり、「高市政権にブレずに立ち向かう日本共産党が絶望せずにたたかう希望となっている」と田村氏。改憲策動に国民の中から「9条守れ」の声が大きくわき起こり、「わが党のがんばりと市民の運動の力が現れていることに確信をもとう」と訴えました。
 第三に、物価騰に無策の高市政権の行き詰まりが白日のもとにさらされ、暮らしと営業を守れという党の論戦が、暮らしと日本経済への希望となっています。
 高市政権は、国民の暮らしはそっちのけで、「強い経済」のスローガンのもと空前の規模の大企業へのバラマキと、経済の軍事化という「無謀で危険な道」を推進。兵器をたくさんつくって経済成長をめざす「戦争待望国家」になっていいのかが問われています。

連帯の輪さらに
 田村氏は、高齢者と現役世代を分断し、外国人差別を助長する潮流と一体となって社会保障改悪が進められるもとで、「タックス・ザ・リッチ(大企業と超富裕層の公正な税負担)」「大軍拡ではなく暮らしへ」と旗を掲げ、切実な要求実現へ国民の連帯を大きく広げようとよびかけました。
 田村氏は最後に、高市政権が行き詰まっている一方で、政治を変えるには、日本共産党が小さく議席も少ないと指摘。次の国政選挙での勝利と来年1月の第30回党大会に向けて党勢を必ず前進に転じようと訴えました。(あいさつ全文は「赤旗」日刊紙7月26日付、党ウェブサイト


宣伝に加担 首相の責任は重大 サナ工トークン「秘書陳述書」
                   しんぶん赤旗日曜版 2026年8月2日号
 高市早苗首相の名前を冠した暗号資産(仮想通貨)「SANAE TOKEN(サナ工トークン)」の宣伝に首相の後援会が加担した問題で、高市首相は7月22日、公設第1秘書・木下剛志氏の「陳述書」を衆院予算委員長に提出しました。適法な販売が疑われ、多数の被害者が出ているサナエトークン。木下氏は陳述書で宣伝に加担したことを認めており、高市首相の政治的・道義的責任は重大。木下氏本人による国会での説明が必要です。

 サナエトークンはユーチューブ番組「ノーボーダムの事業の一環として2月25日に発行されました。発行団体は、暗号資産の発行や販売に必要な「暗号資産交換業」に登録しておらず、資金決済法違反(無登録営業)の疑いが浮上しています。
 高市事務所公認の(旧ツイッタ古の後援会アカウント「チームサナエが日本を変える」はトークン発行日の2月25日、発行元の投稿を引用して「『SANAE TOKEN』という新たなインセンティブ設計も注目されています」と紹介。「チームサナエはこの取り組みに共感し」と投稿しました。問題が指摘されると高市首相は3月2日、私も事務所側もトークンがどのようなものかまったく知らされていないと投稿し、価格が急落しました。

【公認】チームサナエが日本を変える
     @TakaichiKoennkai

「日本列島を、強く豊かに。」
いま、民開から力強いブロジェクトが立ち上がっています。
その名も.「JAPAN is Back」。.
民主主義をアップデートし、最先端テクノロジーで国民の声を政治へ届ける挑戦です。
コミノュニティ提案により実現した「SANAE:「OKEN」という新たなインセンティブ設計も注目されています。
政治は、一部の人のものではない。、
未来は、参加する人のものである。
ひとりの声が、日本を変える力になります。チームサナエはこの取り組みに共感し、我々のVeanas号での活動と連携をして、共に日本の明るい未来を紡いでいきたいと思います。

 陳述書で木下氏は、サナエトーークンが暗号資産という説明はー切なかった、と強調しました。
 後援会アカウントによる投稿については、ノーボーダー側から「チームサナエ(奈良県の自民党青年局有志が運営)のアカウントでも応援するメッセージを出して欲しい」との依頼を受けた、と説明。ノーボーダー側から文案の提示を受け、「深く考えることもなく、いわれるがままにリポスト(再投稿)に応じた」としました。

広告塔の役割
 日本共産党の小池晃書記局長は記者会見(7月22日)で「現職首相の後援組織がサナエトークンの宣伝、広告塔としての役割を果たした」と厳しく批判しました。「後援組織が宣伝したのは紛れもない事実であり(首相の)政治的・道義的責任は免れようがない」と指摘。木下氏本人が「国会の場に出て、一問一答で疑惑に答えてもらうことがどうしても必要だ」と強調しました。

秘書は3月の取材に接点認めた〝面識ない″はウソ 国会で説明を
 当初からサナエトークンの問題を追及してきたジャーナリストの河野嘉誠(かわの・よしのぶ)さんに寄稿してもらいました。
ジャ-ナリスト 河野嘉誠さん
 高市早苗総理の名を冠した暗号資産・サナエトークンは今年2月末にリリース。人気ユーチューブ番組で宣伝され、時価総額は一時数十億円規模まで膨らんだ。
 ただ、発行元の合同会社・ノーボーダーが暗号資産交換業者の登録をしていないことが発覚し、金融庁が実態把握に乗り出す事態に発展。3月2日に高市総理は自身ので関係性を否定した。
 ところが、の高市後援会アカウント「【公認】チームサナエが日本を変える」がサナエトークンの宣伝に関与。総理の公設第1秘書・木下剛志氏がノーボーダー側とやりとり
を重ねていたことも明らかになった。

 木下氏が接触したノーボーダー幹部の松井健氏は、過去にさまざまな投資トラブルを引き起こしてきた人物。高市事務所との関係をアピールしながら独自に投資を募り、投資被害を訴えている人もいる。
 現職総理の事務所が違法性の疑われる暗号資産の宣伝に加担していた前代未聞の騒動。国会で追及されると、高市総理は「秘書の陳述書をもって答弁に代えさせてほしい」と言いだし、「議会軽視」との批判が高まった。
 陳述書は7月22日に衆院予算委員長に提出されたが、木下氏は「松井氏の顔と名前を憶えていなかった」と説明。高市総理も今年5月に国会で「(松井氏は)私も秘書も面識のない方」と答弁した。木下氏はその後の報道で、松井氏とやりとりをしていたことに思い至ったという。
 だが、実は木下氏は3月時点で、筆者と『週刊現代』の取材に対し、松井氏が自民党総裁選で勝手連として高市陣営を支援していたことや、メッセージアプリ「LINE」のグループ機能でのやりとりを明確に認めていた。昨年12月17日に松井氏らノーボーダー幹部とオンライン会議をし、その席で「暗号資産」についての話もあったと回答した。
 つまり、木下氏が陳述書で描いていた「顔も名前もわからない」というストーリーはでたらめの疑いがある。
 総理秘書が、松井氏となぜ接点を持ち続けたのか? 違法性が疑われる暗号資産の宣伝に関わった責任をどう考えるのか? 矛盾ばかりの陳述書は、疑惑の根幹を何ら明らかにしていない。国会で木下氏を参考人招致し、真相解明をすべきだろう。