植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
日本は世界一の災害国家ですが、「国の災害対策は後進国」と長きにわたって言われてきました(その点で石破前首相は防災に精通し独自の構想を持っていました)。
文中に「スフィア基準」という文言が出てきます。
これは「人道憲章と人道支援における最低基準」(最新は2018年版)のことで、災害や紛争の被災者が尊厳ある生活を送るための人道支援の国際的な最低基準です。膨大な内容なのでハンドブック形式でまとめられています。
(内容の一例 ↓)
・給水・衛生・衛生促進:災害直後は50人に1基のトイレを確保し、段階的に20
人に1基を目標とする。男女比は3:1が推奨される。
・食料と栄養:必要なカロリーと栄養を確保するための基準。
・シェルター・居留地・非食糧物資:避難所の一人あたりの最小面積や安全性の確保。
など。
併せて下記の3つの記事を紹介します。
・被災地・熊本を襲う連続猛暑日、避難者いまだに雑魚寝…高まる「災害関連死」リスクへの対策が急務(日刊ゲンダイ)
・床に雑魚寝 感染不安 熊本地震 仁比議員らに被災者切々(しんぶん赤旗)
・困りごと聞かせて 共産党県委アンケート(しんぶん赤旗)
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後進国レベルの政府災害対応
植草一秀の「知られざる真実」 2026年8月 1日
災害大国の日本。
7月28日16時27分。熊本県熊本地方で最大震度7の大地震が発生した。
震源の深さは16キロメートル。地震の規模を示すマグニチュードは7.1。
熊本県では2016年4月14日と16日にも震度7の揺れを観測する地震が発生している。このときのマグニチュードは6.5と7.3だった。
日本最大の活断層である中央構造線。その南西の端に位置するのが日奈久断層帯および
布田川断層帯。
2016年の地震は布田川断層帯および日奈久断層帯で発生した。
この断層帯の南西部分で断層が動かなかった部分がある。その動かなかった、いわゆる「割れ残り」が動いて大地震が発生することが警戒されてきた。
今回の地震は「割れ残り」が動いたことによる地震であると見られている。
今後は日奈久断層帯のさらに南西部分の「割れ残り」が動く可能性がある。
日奈久断層帯は八代海の海底にまで伸びている。その延長線上に近い地点に川内原子力発電所が位置している。
また、愛媛県の伊方原子力発電所3号機については、2017年12月と20年1月に広島地裁が運転差し止めを命じる仮処分決定を出したが、いずれも広島高裁が異議審で取り消した。
仮処分決定で広島高裁の森一岳(かずたけ)裁判長は、原発付近に活断層がないとした四国電力の調査は不十分で、原発周辺の断層帯が活断層である可能性が否定できないとした。
その後、仮処分は取り消され、住民の訴えは退けられた。
日本の裁判所は「法の番人」ではなく「権力の番人」である。裁判官の人事権を政治権力が握っているため、多くの裁判官は政治権力の顔色を見て判断を示す。
したがって、まれに正当な判決が示されても、上級審がこれを覆すことが常態化している。
伊方原発も川内原発も石川県の志賀原発もすべて、活断層の上に立地している疑いを排除できない。
災害大国の日本。毎年のように大規模災害が発生する。災害そのものは「天変地異」に帰属するもので防ぎようがないが、問題は災害が発生した場合の政府に取り組みである。
最重要の課題は被災者の命と健康を守ること。これこそが、政府の役割の第一である。
被災者の命と健康を守るには避難所の居住環境を引き上げることが必要不可欠。
近年の日本は酷暑と厳冬に見舞われる。真夏と真冬の期間が長期化し、快適な気候の春と秋が短縮化している。
真夏には熱中症の恐れが高まる。真冬は体温の低下を防がなければならない。
命と健康を守るには、一定のスペース、プライバシーの保護、トイレと入浴施設の整備、必要十分な水と食料が必要不可欠だ。
被災者の居住空間のレベルを一定水準以上に保つための国際基準として「スフィア基準」がある。
巨大な財政支出をバラまく日本政府。100兆円単位のバラまき財政を実行する財政力があるのだから、まずは、被災者が身を寄せる避難所の水準を引き上げるべきだ。
大災害が生じるたびに議論が提起されるが、まったく実行されない。
熊本では連日35度を超える猛暑、地点によっては40度を超える酷暑が予想されている。
エアコンが整備されていない体育館に被災者を収容するなどあり得ない行政である。
各種宿泊施設を活用して被災者の命と健康を守ることが先決だ。
被災者が厳しい状況に直面しているときに、涼しい場所で真珠のネックレスとイヤリングを身にまとい会見している場合ではない。
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被災地・熊本を襲う連続猛暑日、避難者いまだに雑魚寝…高まる「災害関連死」リスクへの対策が急務
日刊ゲンダイ 2026/07/31
避難所となっている熊本県八代市の体育館で過ごす人たち(C)共同通信社
熊本県内は30日も気温35度以上となり、12日連続の猛暑日だった。高市首相は3回目となる非常災害対策本部会合で、改めて避難環境の改善を指示。赤沢経産相に「車中でのクーラーを躊躇なく利用できるよう、ガソリン等の燃料油の供給に万全を期してください」と呼びかけた。
前回2016年の熊本地震は4月に発生したが、今回は真夏の発災とあって避難環境は過酷を極める。被災者の暑さ対策が急務だが、文科省の調査によると、避難所に指定されている全国の公立小中学校の体育館(武道場など含む)の冷房設置率は33.1%。熊本県内は20.9%と、全国平均を大きく下回っている状況だ。
発災翌日の29日から被災現場を回っている共産党の田村貴昭前衆院議員が言う。
「避難所になっている八代市立鏡小学校の体育館はエアコンがなく、ポータブル電源で扇風機が稼働しているだけでした。未就学児を連れたご家族が避難されていたのですが、あまりの暑さにお子さんはぐったりして寝ていました。エアコンがあっても肝心の電気が寸断されているので使えません。移動式の発電車を持ってきてスポットクーラーをガンガン動かせればいいのですが、整備されていないのが実情です。水も止まっており、わざわざプールから水をくんでトイレを流さないといけないので、特に高齢の方には厳しい環境です」
震災関連死は行政の怠慢
前回の熊本地震では死者275人のうち、震災関連死が約8割の225人に上った。熊本県の調査によれば、震災関連死の原因は「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」(約4割)と「避難所等生活の肉体的・精神的負担」(約3割)が大半を占める。数百人が避難しているという八代市総合体育館も快適とは程遠い。
「ここはエアコンがついているので、一応暑さはしのげますが、大問題は寝床です。市にマットやダンボールベッドの備蓄がなく、避難者は自ら持ち寄ったゴザや薄い敷物で雑魚寝の状態。高齢の方は地べたに寝てしまうと、ベッドと違って起き上がるのが難しい。地べたで寝るとホコリを吸い込んでしまうため、体調悪化にもつながります。冷暖房やベッド、間仕切りといった最低限の避難環境すら日本では整っておらず、阪神・淡路大震災の頃から変わっていないのです。エコノミークラス症候群などの災害関連死を防ぐために、環境整備はもちろん、国や自治体が借り上げたホテルや旅館への誘導、電源車やコンテナハウスの用意などに国も自治体も本気で取り組むべきです」(田村前衆院議員)
避難環境は何十年と変わっていないが、夏場の気温は異常な高温に達している。震災関連死は行政の怠慢に他ならない。
◇ ◇ ◇
「政治とカネ」が大問題になっている自民党の福岡県議団が、 熊本震度7地震の1時間後に「政治資金パーティー」開催していた。
床に雑魚寝 感染不安 熊本地震 仁比議員らに被災者切々
しんぶん赤旗 2026年8月2日
熊本県で最大震度7を観測した地震発生後初の週末を迎えた1日、被災地では連日の猛暑が追い打ちをかけています。このなかで日本共産党は議員、党員が被災者の要望を聞いたり、各地で募金を呼びかけるなど救援活動に全力をあげています。
日本共産党の仁比聡平参院議員、熊本県委員会の東なつこ副委員長・県議予定候補は1日、県内各地で地震により被災した家屋や農業施設を確認し、被災者らから要望を聞きました。甲佐町と宇城市で佐野安春、井芹しま子両甲佐町議、八代市と氷川町では橋本徳一郎八代市議が同行しました。
甲佐町の男性(71)は10年前の熊本地震で自宅が壊れリフォームしましたが、今回2度目の被災。自宅の再建について「小さい規模で建て直すしかない」と語りました。持病があり、公民館に身を寄せているという男性(61)は、感染症の不安から「大勢の人がいる避難所に入れない」と窮状を訴えました。
仁比氏は「病気を気にして避難できない状況はあってはならない」と述べ、持病のある人などの二次避難を急ぐよう国や自治体に声を届けると答えました。
宇城市豊野町の女性(79)の自宅は柱が折れるなどの被害を受け、地震被害判定の調査で申告するよう仁比氏からアドバイスを受けていました。
農業被害も深刻です。仁比氏は地震で破損した八代市鏡、千丁両地域の用水路を確認。穂をつけ始めた稲に水を供給できない事態が起きており、早期の復旧が求められています。
農業者の男性(77)が「国の事業で復旧させてほしい」と要望したのに対し、仁比氏は「生産者に負担のない方法で早期に復旧できるよう農水省に働きかけたい」と応じました。
困りごと聞かせて 共産党県委アンケート
しんぶん赤旗 2026年8月2日
(写真)床に敷いた段ボールの上で体を休める被災者(右)から要望を聞く党員ら=1日、熊本県八代市
熊本地震で被災した人たちの苦境や要望を聞き取り、課題解決につなげようと、日本共産党熊本県委員会は1日、南部・宇城両地区で被災者アンケート活動に取り組みました。八代市では橋本徳一郎市議、高岡あけみ水俣市議と党員らが「困りごとを聞かせてください。行政に伝えます」と語りかけました。
約800人が身を寄せる市体育館の避難所では、避難者自らが持ち込んだマットなどを敷いて寝泊まりしていました。ロビーの床に段ボールを敷いて寝ていた男性(65)は「体が痛い。毛布はもらえたが全員に行き渡っていない。どうにか4時間寝たが、寝たうちに入らない」と語りました。
余震の不安で避難している夫婦は「夜遅くまで話す人や朝早く動く人もいて寝られない」「食事は出たり出なかったり。朝はもらえなかったので、昨日配られたお菓子を食べている」と打ち明けました。
避難所のプライバシー確保や感染症防止などに不可欠な仕切りが体育館に届いておらず、目隠し代わりに腰の高さの卓球用フェンスがあるだけ。36歳の女性は「寝顔を見られないよう新聞紙を顔にかぶって寝た。家族がいるのでいいようなものの、フェンスが高い方が安心する」と話しました。
アンケート中、着の身着のままで避難してきた高齢の女性が床にへたり込んでしまい党員らが職員に訴えてマットを用意しました。
橋本市議は「入浴場所の情報や災害ゴミ収集の改善、片付けのボランティアなどの要望が次々と寄せられた。床に避難者が寝ている状況はあってはならない。ただちに段ボールベッドを用意するよう国、県、市に求めたい」と語りました。