2015年12月30日水曜日

慰安婦問題 日韓合意 首相の豹変と韓国政府の懸念

 28日の慰安婦問題に関する日韓外相会談での合意で、日本政府が「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」、「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」としたのは、多くの人々を驚愕させました。
 
 何しろ安倍首相は、20年前の若手自民党議員の勉強会で、「韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけで・・・かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかと・・・」と述べ、2006年に第一次安倍政権が発足すると、早速「狭義の強制性はなかった」「強制性を証明する証言や裏付けるものはなかった」などと主張して河野談話の見直しを宣言しました。
 そして12年9月に党総裁選への出馬を表明した際にも、「新たな談話を出す必要がある。子や孫の代に不名誉を背負わせるわけにはいかない」と宣言し、第二次安倍政権になってからも、安倍氏自身はアメリカなどの圧力によって最終的には河野談話を引き継ぐとしたものの、実際には慰安婦の存在そのものを否定するような動きを放置してきました。いわばそういう彼が、という驚愕です。
 
 ブログ〝日本はアブナイ!”は、「これまで日本の政府や軍は、慰安婦の強制連行に関与したことはないと断固として否定し、河野談話を批判し撤回や見直しを要求すると共に、国としての謝罪は不要、政府として金銭を出すのはダメ」と、さんざんアチコチで主張しまくっていたため、日韓の協議がなかなかスムーズに進められなかったのに、いったいどのツラ下げて軍の関与を認めた上で、反省や謝罪を口にし10億円もの大金を国が出したりするというのか。あまりの節操のなさに開いたクチがふさがらない(要旨)」、と述べています。
 また慰安婦問題に関する日韓外相会談を様々に批判している元外交官の天木直人氏も、ブログで、安倍首相が「日本政府は責任を痛感し、日本国の首相として改めて・・・心からおわびと反省の気持ちを表明する」としたのは、首相とその子分たちが繰り返してきた従来の主張の全面的撤回であり豹変だ。これまでの方針の全面否定であり、完全な転換である。・・・ 私の最大の関心事は、慰安婦強制などなかったと強弁して来た安倍支持者の右翼たちがどう反応するかだ。・・・ それほど大きな意味を持つ、安倍首相の方針転換の衝撃である」、と述べています。
 
 ところでこの日韓外相会談の合意事項の文書化は、韓国側の意向で行われなかったということです。
 共同記者会見もお互いがその立場を述べあうという形で終わり、質問は一切受けつけられませんでした。(米国を交えた内容確認の文書の作成を日本側は提案したようですが、米国が難色を示し歓迎声明を出すということに落ち着きました)
 韓国はまず日韓合意の内容を国内に流して世論の動向を見てから進めるという意向のようです。
 きっと韓国政府としてはこの合意内容で事態を収めたいものの、国民がそれで納得するという自信がないのでしょう。問題は何が韓国政府の最大の懸念事項なのかということですが、やはり合意事項の中に日本の「法的責任」が欠落していることではないかと思われます。
 
 外相会談に先立つ27日に、「日本軍『慰安婦』研究会設立準備会」が「日本軍『慰安婦』問題、早まった『談合』を警戒する」という声明を出しました。
 そのなかで「慰安婦問題で重要なのは、『事実の認定、謝罪、賠償、真相究明、歴史教育、追慕事業、責任者処罰』であり、それが四半世紀をかけて確立された『法的常識』である。それを実行することではじめて日本の『法的責任』が終わることになるのであり、韓国政府の公式な立場も『日本政府に法的責任が残っている』というものである」と述べています。
 そして、韓国政府は2005年8月26日の「韓日会談文書公開後続対策関連民官共同委員会」の決定を通じて、「日本軍慰安婦問題など、日本政府・軍等の国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定によって解決されたものと考えることはできず、日本政府の法的責任が残っている」という立場をはっきりと表明したと述べています。
 
 今回の外相会談では韓国側からそこまでの表明はなかったようですが、成り行きによってはその問題と向き合わされる可能性は残っていると言えます。もともと加虐という犯罪行為がその場しのぎの言い回しで無かったことにされると考えること自体が被害者への冒涜です。
 
 「アジア女性資料センター」HPに掲示された同声明を紹介します。
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日本軍「慰安婦」問題、早まった「談合」を警戒する
日韓国交正常化50周年である2015年の暮れに、日本軍「慰安婦」問題をめぐる日韓両国政府の慌ただしい動きがメディアの報道を埋め尽くしています。
 
日本の安倍晋三総理が岸田文雄外相に訪韓を指示し、日韓両国は12月28日に外相会談を開催し協議することにしたと伝えられています。また、この背後には李丙琪青瓦台秘書室長と谷内正太郎国家安全保障局長による水面下の交渉があったといいます。
すでに高齢である被害者たちが存命中に問題を解決することが最善であるという点については異議を差し挟む余地はありません。しかし時間を理由として早まった「談合」をするのならば、それは「最悪」になるでしょう。
 
1990年代初めに日本軍「慰安婦」問題が本格的に提起されてからすでに四半世紀が過ぎました。この長い月日に渡って、被害者たちと、彼女たちの切なる訴えに共感する全世界の市民たちが問題解決のための方法を共に悩み、それによって明確な方向が定まってきました。「事実の認定、謝罪、賠償、真相究明、歴史教育、追慕事業、責任者処罰」がそれです。このことこそが、これまで四半世紀をかけて国際社会が議論を重ねてきた末に確立された「法的常識」です。
日本軍「慰安婦」問題の「正義の解決」のために、日本政府は「日本の犯罪」であったという事実を認めなければなりません。この犯罪に対し国家的次元で謝罪し賠償しなければなりません。関連資料を余すところなく公開し、現在と未来の世代に歴史の教育をし、被害者たちのための追慕事業をしなければなりません。そして責任者を探し出し処罰しなければなりません。そうすることではじめて、日本の「法的責任」が終わることになるのです。
 
私たちは日本軍「慰安婦」問題に対する韓国政府の公式的な立場が「日本政府に法的責任が残っている」というものであることを再び確認します。韓国政府は2005年8月26日「韓日会談文書公開後続対策関連民官共同委員会」の決定を通じ「日本軍慰安婦問題など、日本政府・軍等の国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定によって解決されたものと考えることはできず、日本政府の法的責任が残っている」という立場をはっきりと表明しました。また、これは2011年8月30日の憲法裁判所の決定と、2012年5月24日の大法院判決でも韓国政府の公式的な立場として重ねて確認されました。
 
私たちは1995年に始まった日本の「女性のためのアジア平和国民基金」が失敗したことは「日本の責任」を曖昧な形でごまかそうとしたためであることをもう一度確認します。国民基金は日本国民から集めた募金で「償い金」を支給し、日本政府の資金で医療・福祉支援を行い、内閣総理大臣名義の「お詫びの手紙」を渡す事業でした。しかし日本政府が「道義的責任は負うが、法的責任は決して負えない」と何度も強調し、まさにその曖昧さのせいで多くの被害者たちから拒否されたのです。
 
今、日韓両国政府がどのような議論をしているのかは明らかではありませんが、メディアによって報道されている内容は上述のような国際社会の法的常識と日本軍「慰安婦」問題の歴史はもちろん、韓国政府の公式的な立場とも明らかに相容れないものです。1995年の国民基金の水準さえも2015年の解決策とはなりえません。それ以下であるのならば、さらに言うまでもありません。何よりもそれはこれまでの四半世紀の間、「正義の解決」を訴えてきた被害者たち
の願いをないがしろにするものです。
 
今から50年前、日韓両国政府は「経済」と「安保」という現実の論理を打ち立て、過去清算問題に蓋をすることを「談合」しました。まさにそのために今も被害者たちは冷たい街頭で「正義の解決」を訴えざるをえなくなりました。50年前と同じ「談合」をまたしても繰り返すのであれば、これは日韓関係の歴史に大きな誤りをまたひとつ追加する不幸な事態になってしまうでしょう。
2015.12.27.
日本軍「慰安婦」研究会設立準備会

30- 政府のTPP効果試算は偽り

 日本を標的にしたといわれるTPP交渉において、何一つ国益を守るための主張をしなかった日本政府が、TPP協定の発効によって国益が増す、あるいは国益に適うというような試算を捏造するのは笑止です。
 このことについては27日にも共産党の小池政策委員長の指摘を取り上げました※が、29日の南日本新聞が「TPPの影響ー甘い試算は不信を買う」とする社説を掲げました。
 
 同紙も、「政府は交渉参加前の2013年3月、GDP押し上げ効果を3兆2000億円、農業減少額を3兆円程度とはじいたのに、今回の試算ではGDPが4倍超へ膨れ上がり、逆に農業へのダメージは10分の1以下に激減している。驚くばかりだ」と、小池氏と同じような指摘をしています。
 国民の懸念にまともにこたえないで欺瞞の試算を公表するなどは「恥の上塗り」というべきです。
 
 薬価基準制度が壊されて、薬価が暴騰することから招来される国民皆保険制度の崩壊、保険診療制度の崩壊からも明瞭なように、TPPの害悪は計り知れません。たとえ協定が調印されたとしても批准することは絶対に避ける必要があります。
 ※  12月27日 TPPの経済効果 政府試算は全く信用できない
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社説: [TPPの影響] 甘い試算は不信を買う
南日本新聞 2015年12月29日 
 甘い試算では不安の解消どころか、不信を買うだけではないか。野党は年明けの国会で試算の根拠を厳しくただしてもらいたい。
 
 政府は環太平洋連携協定(TPP)の影響を試算し、先週の経済財政諮問会議で示した。
 実質国内総生産(GDP)は3%近く増え、金額換算で13兆6000億円ほど押し上げられる。一方、懸念される農林水産物の生産減少額は最大でも2100億円にとどまる。
 率直に言って、甘すぎるのではないか。
 
 政府は交渉参加前の2013年3月、GDP押し上げ効果を3兆2000億円、農業減少額を3兆円程度とはじいた。
 今回の試算ではGDPが4倍超へ膨れ上がり、逆に農業へのダメージは10分の1以下に激減する。あまりの差に驚くばかりだ。
 
 政府は2年前の試算は、すべての物品関税が発効後すぐに撤廃される前提だったとする。
 しかし、前提条件の違いだけで説明がつくとは思えない。農家から「うのみにできない」と、不信の声が上がったのは当然だ。
 象徴的な品目がコメである。米国産などの輸入枠が新たに設けられても、輸入増に相当する国産米を政府が備蓄用として買い増すので、生産減少額を「0円」と見積もった。
 関税が大幅に削減される牛・豚肉などの影響は大きいとしたが、国内対策や差別化などで、おおむね当面輸入の急増は見込みがたいとする。
 影響はないとした食料自給率にしろ、TPP発効後しばらくはそうかもしれない。だが、安価な農産物が海外から入ってくるのに、中長期の影響もないとするのは不自然だ。
 農水分野の試算対象は関税率10%以上、国内生産10億円以上の品目に限っている。これも丁寧さに欠ける。
 10月の大筋合意後、政府は詳しい中身を明らかにしないまま、翌月には対策大綱を取りまとめた。利点のみ強調した今回の試算も同じ流れにあるのだろう。
 
 共同通信社の先月の全国首長アンケートによると、TPP反対が賛成を大きく上回った。特に深刻な影響を受ける九州や北海道、東北での反発が目立つ。
 来年の国会審議や夏の参院選をにらんで、お手盛りの試算で反発をかわそうとの思惑であるなら、その場しのぎも度が過ぎよう。
 政府は重要5項目を関税撤廃の例外と位置付け、交渉に臨んだ。「聖域」は守られたのか。まずはその検証からである。

2015年12月29日火曜日

29- 日韓外相会談 慰安婦問題で事実上の決着! 慰安婦基金の拡大などで

 28日、日韓の外相会談がソウルで行われ、慰安婦問題について、日本政府は責任を痛感し、安倍総理大臣が、心からおわびと反省の気持ちを表明するとしたうえで、韓国政府が設置する財団に日本政府の予算からおよそ10億円の資金を拠出し、元慰安婦への支援事業を行うことで合意し、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを相互に確認しました。
 慰安婦問題の責任については、岸田外務大臣は、「当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」と述べ、「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました。
 この合意について韓国政府の関係者は、「日本政府は責任を痛感している」という表現について「かつての『佐々江案』は道義的責任を前提としたものだが、今回は政府の責任と念を押した。これまで日本がこうした表現を使ったことはない」、「今回は謝罪と反省の主体を内閣総理大臣と明記し、外務大臣の口を通してこれを伝えた。安倍首相が政権を取って以来、こうした発言をしたことはない」、と評価しました。
 韓国の与党は歓迎の意を示しましたが、最大野党「共に民主党」の代表は、「非常に不十分だ。慰安婦問題解決の核心は日本政府の法的責任の認定、また法的責任に基づいた公式謝罪と賠償だが、今回の合意はこの三つが回避された」と批判しました。
 慰安婦被害者を支援する市民団体:韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)は、「被害者と国民の望みを裏切った外交的談合、慰安婦犯罪が日本政府と軍によって組織的に行われた犯罪であることを今回の合意では見つけがたい」と非難し、慰安婦を象徴する少女像の移転については、「歴史の象徴であり、公共の財産」であるとして、移転を認めないとしました。
 村山富市元首相は大分市で記者会見し、日韓合意について「良かった。日本政府が公式に責任を認めたことは評価できる。一歩も二歩も前進した」と歓迎しました。
 今回の日韓合意に向けてはアメリカから強い圧力があったと言われますが、安倍政権のこれまでの態度に比べれば大幅に前進しました。
 日本会議などの極右の側のメンバーは何も聞いていないと驚いているということです。
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日韓外相会談 慰安婦問題で最終的解決を確認
 NHK NEWS WEB 2015年12月28日
日本と韓国の外相会談がソウルで行われ、慰安婦問題を巡って、日本政府は責任を痛感し、安倍総理大臣が、心からおわびと反省の気持ちを表明するとしたうえで、日韓両政府は韓国政府が設置する財団に日本政府の予算からおよそ10億円の資金を拠出し、元慰安婦への支援事業を行うことで合意しました。また、両政府は、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを確認しました。
日本と韓国両政府は、両国の関係改善の大きな障害となってきた慰安婦問題の最終的な妥結を目指し、28日、韓国のソウルで、岸田外務大臣とユン・ビョンセ(尹炳世)外相による日韓外相会談を行いました。
会談のあと、両外相はそろって記者発表を行い、合意事項について発表しました。この中で、岸田外務大臣は「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」と述べました。そのうえで、岸田大臣は「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました。
さらに、岸田大臣は「日本政府の予算により、すべての元慰安婦の方々の心の傷をいやす措置を講じる」としたうえで、韓国政府が設置する財団に日本政府の予算でおよそ10億円の資金を一括して拠出し、「日韓両政府が協力し、元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業を行う」ことで合意したことを明らかにしました。
そして、岸田大臣は、両政府間でこうした事業を着実に実施するという前提で、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたと確認したことを明らかにしました。また、日本政府として、韓国政府とともに、国連など国際社会で慰安婦問題を巡って互いに非難・批判することを控える考えを示し、今回の合意について、「日韓首脳の指示に基づいて行った協議の結果であり、これをもって、日韓関係が新時代に入ることを確信している」と述べました。
一方、ユン外相は、元慰安婦への支援事業が着実に実施されることを前提に、日本政府とともに、「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と述べたうえで、日本政府の実施する措置に協力する考えを示しました。
また、ユン外相は、ソウルの日本大使館の前に設置された、慰安婦を象徴する少女像に関して、「日本政府が、大使館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行うなどして、適切に解決されるよう努力する」と述べました。そして、ユン外相も、岸田外務大臣と同様に、韓国政府として日本政府とともに、今後、国連など国際社会において、この問題について互いに非難・批判することを控える考えを示しました。 (後 略)

安倍首相の謝罪など慰安婦問題交渉が妥結
朝鮮日報 2015年12月28日
 韓日両国は28日、従軍慰安婦問題をめぐる交渉のため外相会談を開き「慰安婦問題について日本政府が責任を痛感」「安倍晋三首相によるおわび・反省の表明」「日本政府が予算10億を拠出」の3点で合意に達した。
 韓国外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官と日本の岸田文雄外相は、28日午後2時からソウルの外交部庁舎で外相会談を行った後、共同記者会見を開き、このような内容を発表した。
 日本政府は28日、岸田外相を通して「慰安婦問題は当時、軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳に深い傷を負わせた問題であって、こうした観点から日本政府は責任を痛感している」「安倍晋三首相は、日本国内閣総理大臣としてあらためて、慰安婦として多くの苦痛を味わい、心身に癒し難い傷を負った多くの方々に対し、心からおわびと反省の意を表明する」と発表した。
 一方、韓国政府は28日、尹炳世長官を通して「韓国政府は、元慰安婦の方々への支援を目的とする財団を設立し、ここに日本政府の予算で資金を一括拠出し、韓日両国政府が協力して全ての元慰安婦の名誉と尊厳の回復および心の傷を癒すための事業を行うこととした」と表明した。
 韓国政府の関係者は、合意事項のうち「日本政府は責任を痛感している」という表現について「かつての『佐々江案』は道義的責任を前提としたものだが、今回は政府の責任と念を押した。日本がこうした表現を使ったことはない」「今回は謝罪と反省の主体を内閣総理大臣と明記し、外務大臣の口を通してこれを伝えた。安倍首相が政権を取って以来、こうした発言をしたことはない」と語った。
 さらにこの関係者は「軍の関与の下で」という表現について「当然、日本軍を想定したもの」と語った。
 続けてこの関係者は、慰安婦支援のための財団設立について「日本政府が10億円出すことを目標にしている」「韓国政府が資金を出す計画はない。行政的支援はあり得る」と語った。韓国政府が財団を作る理由について、この関係者は「日本政府が予算を出すというのが重要な要素であって、この予算で事業を進めようとする場合、韓国に設立された財団がやる方が効率的という判断」と語った。 
  琴元燮(クム・ウォンソプ)記者 

慰安婦問題妥結に与党歓迎 野党は批判=韓国
朝鮮日報 2015年12月28日
【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦問題をめぐる交渉が28日に妥結したことについて、韓国の与党は歓迎の意を示したが、野党は法的な責任を認めなかったなどとして批判した。
 与党セヌリ党の李荘雨(イ・ジャンウ)報道官は記者会見を開き、「日本政府の責任を明示した点で相当進展した合意案と判断される」として、「こじれた韓日関係をわずかながら和らげたことを幸いに思う」と評価した。
 一方、最大野党の「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)代表は記者団に対し、「非常に不十分だ」として、「慰安婦問題解決の核心は日本政府の法的責任の認定、また法的責任に基づいた公式謝罪と賠償だが、今回の合意はこの三つが回避された」と指摘した。その上で、「最終的かつ不可逆的に解決された」という発表に同意しにくい。また、(慰安婦被害者を象徴する日本大使館前の)少女像撤去の余地を残したのは非常に残念」と述べた。

韓日首脳が電話会談 慰安婦問題の妥結受け 

 聯合ニュース 2015年12月28日

【ソウル】旧日本軍の慰安婦問題が妥結したことを受け、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は28日、安倍晋三首相との電話会談で、「今回の合意を基に信頼を築いていき、新しい関係を開いていけるよう、緊密に協議していくことを願う」と述べた。
 安倍首相はこれに対し、「日本国内閣総理大臣として、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と応えた。

慰安婦合意を評価  「安倍氏はよく決断」 村山元首相
時事通信2015年12月28日
 村山富市元首相は28日、大分市で記者会見し、従軍慰安婦問題に関する日韓合意について、「良かった。(日本)政府が公式に責任を認めたことは評価できる。一歩も二歩も前進した」と歓迎した。
 また、「安倍晋三首相はよく決断したと思う」とも語った。
 村山氏は、政権担当時に設立した「アジア女性基金」について、「中途半端に終わり、解散せざるを得なかったのは残念に思う」と指摘。その上で「その経過があって今の状況がある。一つの役割を果たした」との認識を示した。

2015年12月28日月曜日

安倍首相「今年のトンデモ発言」ランキング

 LITERAが年末特別企画と銘打って、「安倍首相『今年のトンデモ発言』ランキング」(1位~10位)を載せました。
 
 その頭には「嘘、ごまかし、逆ギレ、開き直り…」という形容詞(的な語群)がついています。
 安倍首相はよく「息を吐くように嘘をいう」と言われるように、日常的に真実でないことを口にし、窮すると話題をすり替え、すぐに逆切れし開き直ります。
 
 この記事はどんなに圧縮しようとしても長編になってしまうので、前編(10位~6位)と後編(5位~1位)に分けられています。
 考えてみればトンデモ発言の塊のような人なので10個に絞る作業は大変だったと思いますが、一体1位にはどれが選ばれたのか興味がわきます。
 それはまあ読んでのお楽しみですが、選ばれたのをみると確かに歴史に残る「名言」です。もっとも歴史に残るという点ではいずれも甲乙がつけがたいのですが・・・
 
 余計な青字強調などは止めてそのまま紹介します。
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嘘、ごまかし、逆ギレ、開き直り…
安倍首相「今年のトンデモ発言」ランキング(前編) 10位〜6位
LITERA 2015年12月27日
 ISによる邦人人質殺害事件にはじまり、憲法や民主的手続きを一切無視して行われた安保法制の強行採決、メディアへの圧力、新国立競技場をめぐるドタバタ劇……2015年はまさに憎悪と対立、でたらめ、そして強権政治が日本を支配した1年だった。その中心にいたのは、もちろん安倍晋三首相である。
 2015年、この人はじつにさまざまな耳を疑う発言を繰り返してきた。平気で嘘をつき、話題をすり替え、すぐに逆ギレし、いけしゃあしゃあと話をごまかす……。彼の言葉ほど、日本の危機的状況を示す格好の材料はないだろう。
 そこで今回は、安倍首相はこの1年の発言をトンデモ順にランキング形式でお伝えしよう。ぜひ“反知性主義”の真髄を、とくと味わいいただきたい。
 
★10位
「第三の矢は的に届いていないとの批判を受けるが、私は大学時代、アーチェリー部だった。私の矢は必ず当たる」(5月2日、ロサンゼルスでの日米交流関係者との昼食会で)
 
「デフレからの脱却」と「富の拡大」を実現するというアベノミクスが掲げた「3本の矢」。その3本の矢とやらは国民の生活を悪化させ、格差を拡大させるだけで、恩恵にあずかったのは大企業と富裕層だった。
 だが、経済失策という批判も当人はどこ吹く風。「アーチェリー部だったから必ず当たる」と説得力ゼロの発言を自信満々にひけらかしてしまう。さらに、安保法制の強行採決によるイメージダウンを払拭するために、「これからも経済最優先で『1億総活躍社会』を目指す」などと言って、またしてもまやかしの「新・3本の矢」をぶちあげたのだ。
 
 ちなみに、ここまで言うからにはさぞや輝かしいアーチェリーの記録を保持しているのだろうと思いきや、成蹊大時代はなんとただの準レギュラー。自慢できそうなのは、テレビ番組の企画で明石家さんまに勝ったことくらいだ。それでも恥ずかしげもなく「私の矢は必ず当たる」なんてドヤ顔で思いあがってしまう自己過信ぶり……さすがの安定感と言うほかない。
★9位
「難民受け入れは人口問題として申し上げれば、我々は移民を受け入れる前にやるべきことがある。それは女性や高齢者の活躍であり、出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手がある」(9月30日、国連総会の一般討論演説後の記者会見で)
 
 シリア難民の受け入れが国際問題となっていた9月、海外の記者から「日本がシリア難民を受け入れる可能性は?」と尋ねられた際の安倍首相の返答が、これ。記者は「は?」と思ったことだろう。難民を受け入れるのかと訊いているのに、その回答が「女性と高齢者の活躍と出生率を上げるのが先」とは、まったく会話が噛み合っていない。
 
 だいたい、安保法制の議論で繰り返し「積極的平和主義に基づく国際貢献ガー」と言っていたのは当の安倍首相だ。難民を受け入れることこそ国際貢献の最たるものだと普通は思うが、この男は他国民なんてただの労働力=奴隷としか考えてないらしい。というか、それ以前にそもそも「難民」と「移民」の違いさえわかっていない頭の悪さ。
 さらに、パリの同時多発テロの発生後は「テロと戦う」と宣言。11月に開かれた国会の閉会中審査では「緊急事態条項」の新設を「極めて重く大切な課題」と言い出した。つまりテロを利用して改憲を進めようというのだ。
 広がる不安にかこつけて改憲にもち込み、「テロの脅威」を煽って難民への排斥感情を増幅させる……。自分の悲願達成のためには人命さえ軽んじる安倍首相の「積極的平和主義」とは、一体何なのだろうか。
★8位
「戦争法案などといった無責任なレッテル貼りはまったくの誤りだ」(5月14日、安保法案閣議決定後の記者会見で)
 
 安倍首相おなじみの常套句といえば、この「レッテル貼り」。4月1日の参院予算委員会で社民党・福島瑞穂議員が安保法制を「戦争法案」と表現するや否や、「レッテルを貼って議論を矮小化していくことは、断じて甘受できない」と反論した。
 しかし、多くの国民は「これってレッテルじゃなく、戦争法案そのものなのでは?」と感じた。その結果、「戦争法案」という言葉は広く使われるようになったし、大規模なデモが数多く起こり、世論調査でも反対する声が多数を占めたのだ。
 
 当然、安倍首相には戦争法案ではないとする理由を説明する責任がある。にもかかわらず、口から出てくるのは「レッテル貼りだ!」の決まり文句だけ。紹介した記者会見の発言のみならず、7月に生出演したネット番組でも「いつかは徴兵制があるのではないかと、野党はずっとキャンペーンを張っている。でも、これは無責任なレッテル貼りだと思います」と、見事なワンパターンで押し通した。これで国民に納得しろというほうがどうかしている。
 しかも、じつは誰よりもレッテル貼りが好きなのは、安倍首相本人だ。代表的なのは、2月の衆院予算委員会で西川公也・農林水産相への献金問題を追及していた民主党議員に対し、安倍首相がニヤニヤしながら飛ばした「日教組!」「日教組どうするの日教組!」というヤジだろう。安倍首相は“民主党は日教組から献金をもらってるだろ?”と主張したわけだが、しかしこれは完全なデマ。後に事実誤認であることを認め、発言を訂正するにいたった。
「レッテル貼りだ!」と相手を攻撃する安倍首相こそが、レッテル貼りの張本人だった……。この茶番芸、全然笑えないんですけど。
★7位
「早く質問しろよ!」(5月28日、衆院特別委員会で辻元清美議員に向かって)
 
 というわけで、レッテル貼りの名(迷)手である安倍首相なのだが、もうひとつ得意技とするのが、安倍首相謹製のヤジ。前述した「日教組!」ヤジでは猛批判を喰らったのに、舌の根も乾かぬうちに今度は、機雷掃海のリスクについて指摘する辻元清美議員に「早く質問しろよ!」とイライラした調子で声を張り上げた。
 相手が喋っているのに、話も聞かずに文句を言う……。こんなことをやったら、幼稚園児でも親や先生に叱られる。ましてや一国の総理大臣が、国会でやるような振る舞いでは決してない。そもそも、首相がヤジを飛ばす行為自体が前代未聞。あの口の悪い麻生太郎や「イラ菅」と呼ばれた菅直人でさえ、首相在任時にヤジを飛ばしたことはないのだ。
 
 しかも唖然とさせられるのは、「早く質問しろよ!」とヤジを飛ばした前日に安倍首相は、「与党側はこんなに静かに礼儀正しく聞いてるじゃないですか。みなさんも少しは見習ったらどうですか」「議論の妨害はやめていただきたい。学校で習いませんでしたか」などとヤジを批判していたという事実だろう。人には文句をつけるくせに、自分はオッケー。どんだけ自己中マイルールだよ?とヤジりたいのはこっちだ。
 そして、ご存じの通り、この「早く質問しろよ!」発言から約3カ月後にも、安倍首相はまたも「まあいいじゃん、それで」とヤジ。もちろん大きな批判が巻き起こった。この人の場合、懲りないというより「反省する」という行為そのものをしたことがないのだろう。
★6位
「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」(1月17日、日エジプト経済合同委員会でのスピーチで)
 
 すべては安倍首相の中東訪問、エジプトでのこの発言がきっかけだった。安倍首相はこのとき「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです」と、はっきり“難民支援ではなくIS打倒のため”と宣言。当然、この発言はISの逆鱗にふれ、湯川遥菜さんと後藤健二さんの殺害予告がなされてしまったのだ。
 しかも悪質なのは、このときすでに後藤さんがISに拘束されているという事実を官邸は掴んでいた、という点だ。
 
 外務省は昨年11月の時点で後藤さんがシリアで音信不通になっていることを把握、現地ガイドに聞き取りを行っていたが、12月2日、妻のもとにISから身代金要求が届いてしばらく後に、外務省は妻と現地ガイドに対して厳重な“口止め”を行っている。この12月2日とは衆院選の公示日だった。つまり、後藤さんのIS拘束が表沙汰になれば選挙戦に影響するため、口封じを行ったのだ。
 それだけではない。こうした背景から外務省は安倍首相の中東訪問の見直しを迫っていたが、官邸は進言を聞かず中東行きを決行。そして、現地で飛び出した打倒IS発言……。このスピーチも「総理官邸が主導して作成した」と外務省関係者は証言している。
 
 このようにISを逆撫でする行為を重ねた上、人質解放の交渉もほとんど後藤さんの妻に任せきりにして責任を放り投げた結果、あの悲しい結末を迎えてしまった。それでも安倍首相は、「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために、国際社会と連携してまいります」と声明を発表するなど、相変わらず対テロ戦争を“演出”することに余念がない。それは前述したように、テロを利用して改憲を進める腹づもりがあるからだ。
 
 この無責任を、決して忘れてはいけない。
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 一気に10位から6位までをお伝えしたが、つづく後半では、安倍首相のさらなる唖然・騒然発言をお伝えする予定だ。「もうお腹いっぱい!」という人も多いと思うが、ぜひ後編もお付き合いいただきたい。  (編集部)
 
 
え、総理がこんなこといっていいの? 
安倍首相「今年のトンデモ発言」ランキング(後編)5位〜1位
LITERA 2015年12月27日
 嘘にごまかし、話のすり替え、開き直りに逆ギレ……今年2015年の安倍首相のトンデモ発言を振り返るこの企画。前編につづき、後編として5位から1位を発表していこう。
 総理大臣がこんなこと言っていていいの?と目を覆いたくなるような発言の連続だが、これが現実。この1年の“事件”を忘れないためにも、ぜひ胸に刻みつけてほしい。
 
★5位
「『安倍は生意気なヤツだから今度殴ってやる』と言う不良が来て、いきなり前を歩くアソウさんに殴りかかった。私もアソウさんを守る。これは今度の法制でできる」(7月7日、ニコニコ生放送『安倍さんがわかりやすくお答えします!平和安全法制のナゼ?ナニ?ドウシテ?』で)
 
 もう何を言っているのか、何を言いたいのかさっぱりわからない。安倍首相は安保法制を「ていねいに説明する」と何度も繰り返したものの、口から出てきたのはこの通り、無茶苦茶なたとえ話ばかりだった。
 なかでも国民が呆れかえったのは、フジテレビのニュース番組生出演時に披露した「アメリカの火事」というたとえ話だった。安倍首相は得意満面で“総理肝入り”の模型までスタジオに持ち込んだが、それを使って展開したのは、こんな話だった。
 
「アメリカの家が燃えて、横にある離れにも火が燃え移っても、日本は何もしない。でも、離れの火がぎゅーときて、日本の家が燃えたら日本の消防士がはじめて出てくるけど、これからは風向きでアメリカの離れの火が日本の家まで来そうなら、日本の消防士は道の上から離れの消火活動ができる。でも、アメリカの家までは行かない」
 アメリカの家の離れ? 家までは行かず道の上? 言っている意味がわからないだけでなく炎の模型がグロテスクな生肉にしか見えなかったことから、結局、ネット上では「生肉総理」と揶揄されてしまった。
 国民がなぜ安保法制に不安を感じていたかといえば、アメリカの戦争に巻きこまれるのでは?という心配があったからだ。しかし、安倍首相は「そんなことはない」の一点張り。そして戦争の危険を、ケンカや火事などにたとえて矮小化しようとした。よくこれで「国民にていねいに説明する」などと言ってのけたものだ。
 
 だが、本人は国民の不安の声などまるっきり無視。「私もていねいに説明して(国民の)理解が進んできたと思う」(7月13日、自民党役員会)と自画自賛さえしてみせた。はっきり言って、国民をバカにしているとしか思えない。
★4位
「私の考え方をそこで述べることは言論の自由だ」(3月3日、衆院予算委員会で) 
 
 昨年末の衆院解散の当日に『NEWS23』(TBS)に生出演し、VTRの街頭インタビューに対して「これ、問題だ」と文句をつけた安倍首相。その後、自民党は在京キー局各社に「報道圧力」文書を送りつけたが、この『NEWS23』での発言を国会で問われた際、安倍首相はなんと「私の言論の自由」と言いつのったのだ。
 しかも信じられないのは、再度、国会で民主党・細野豪志議員から“為政者が番組への圧力を言論の自由と主張するのは人権の侵害だ”と反発を受けたときの返答だ。安倍首相はニヤニヤと笑いながら、ひと言「圧力と考える人なんて、私、世の中にいないと思いますよ」。さらに得意げにこう畳みかけた。
「番組の人たちは、それぐらいで萎縮してしまう。そんな人たちなんですか? 情けないですね、それは。極めて情けない」
 
 圧力をかけている張本人が何を言うか、と思うが、さらに安倍首相はこうも言った。
「その後も私はテレビに出たときに、あのときのことを例として挙げられ、私は当該テレビのアナウンサーから非難された。それは当然非難してもいいですよ。当然、報道の自由ですし、言論の自由」
 この「当該アナウンサー」とは、現在、降板の危機にさらされている膳場貴子キャスターのことだ。本サイトでは何度も伝えているように、膳場キャスターの降板の裏には安倍政権からの強い圧力の存在があるといわれている。「報道の自由、言論の自由」と言いながらやっていることは真逆、報道の自由を踏みにじるあるまじき行為なのだ。つまり安倍首相は、「オレの言論の自由こそが最優先で守られるべき」と考えているのだろう。
 悪寒が走る話だが、現実はこの安倍思考のまま着実に動いている。現に先日、安倍首相に目の敵にされてきた古舘伊知郎が『報道ステーション』(テレビ朝日)から降板することを発表した。いよいよ「言論の自由」は、この男に独り占めされてしまうのかもしれない。
★3位
「政治家は歴史に対して、謙虚でなければならない、というのが、私の信念であります」(9月11日、ネット番組『櫻LIVE』生出演時に)
 
 北関東への記録的洪水が起こり多数の不明者の安否が気遣われていた夜、なんと安倍首相は自身の応援団である櫻井よしこと日本会議会長・田久保忠衛が出演するネット番組に生出演。そのなかで飛び出したのが、この発言だ。
 この非常事態に、呑気に信念を語っている場合か、とツッコまずにいられなかったが、いや、そのまえに「歴史に謙虚」って、それあなたが言う?と大きな疑問が湧いた。歴史を蹂躙しつづけているあなたが?と。
 
 たとえば、今年3月に掲載されたワシントン・ポストのインタビューで、従軍慰安婦を「人身売買(Human Trafficking)の犠牲者」と表現。英語ではHuman Traffickingと強制連行を想起させておきながら、国内向けの説明では軍の関与や強制性の意味はないと二枚舌ですり抜けようとしている。現在、安倍首相は「慰安婦問題の早期妥結を」などと言っているが、このような歴史を直視しない態度では、被害を受けた女性たちも納得できるはずもない。
 
 さらに醜いのは、今年70年目を迎えた広島の平和式典で、ついに安倍首相は「非核三原則」にふれなかった。これには批判が起こり長崎ではスピーチに盛り込んだが、広島で言葉にしなかったことも「私が判断をした」と言っている。これは過去の反省から生まれた教訓を無碍にする行為であり、核武装への布石と見られてもおかしくはない。
 極めつきは、戦後70年談話だろう。「植民地支配」「侵略」「お詫び」という文言は入れたものの過去の談話を紹介しただけで、結局、安倍首相本人は何も「お詫び」しない文章だった。そして、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」といい、子どもを主語にしながらも“オレ、戦争かかわってないし”と開き直るかのような姿勢を見せた。はたして、これが「歴史に謙虚」と言えるものなのだろうか。
 こうした安倍思想は、いまや自民党の安倍チルドレンたちも継承。世界記憶遺産の騒動でも如実になったように、アジアへの侵略や戦時性暴力、虐殺といった事実をことごとく否定しにかかるという散々たる現状だ。これを「謙虚」なんて言ったら、国際社会から失笑を買うことは必至である。
★2位
「我が軍の透明性を上げていくことにおいては、大きな成果を上げている」(3月20日、参院予算委員会で)
 
 その「歴史に謙虚」であることを自負する安倍首相の口からこぼれ出た言葉が、この思わず血の気が引く「我が軍」発言だ。言わずもがな自衛隊は軍隊とは認められていないし、軍の保持は憲法に反する。だが、どうやらこの人の頭のなかでは、すでに自衛隊は「我が軍」であるらしい。しかも「我が国の軍」ですらなく「我が軍」って。
 こうしたトンデモな発想は、どこから生まれてくるのか。そのヒントとなるのが、今年2月に行った施政方針演説だ。このなかで安倍首相は「経済再生」や「復興」「女性の活躍」などの改革断行を述べていたが、突然、明治時代の欧米列強について語りはじめ、勇ましくこう宣言しはじめたのだ。
「明治の日本人にできて、いまの日本人にできないわけはありません。いまこそ、国民とともにこの道を前に向かって再び歩みだすときです。みなさん! 『戦後以来の大改革』に力強く踏み出そうではありませんか!」
 
 ……改革のたとえ話をするのなら戦後復興でもいいはずなのに、なぜか大幅にタイムスリップして明治。だが、司馬史観に染まった安倍首相のなかでは、侵略戦争を繰り返し多大な犠牲を生んだ明治の「大日本帝国」こそが目指すべき国のかたちなのだろう。だからこそ、あれだけ「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録をゴリ押しし(詳しくは過去記事)、「我が軍」などという現行憲法を無視した発言が出てくるのだ。
 しかも背筋が凍るのは、ついに先日、安倍首相自らが旗振り役となり「日本の近現代史を検証する」という勉強会「歴史を学び未来を考える本部」をスタートさせたことだ。当初は、安倍首相以上にファナティックな戦前回帰思想の持ち主である稲田朋美・自民党政調会長が〈極東国際軍事裁判(東京裁判)の評価を含めて歴史を検証する党機関の設立〉(毎日新聞より)を目指していたというが、これは安倍首相の意向を十二分に汲み取ったものだろう。
 それにしても、この勉強会は一体、安倍政権でどんな役割を担っていくというのか。考えるだけで戦慄が走るが、本サイトでは会の動きを来年も注視していくつもりだ。
★1位
「我々が提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」(7月15日、衆院特別委員会で)
 
 堂々の1位は、やはりこれしかないだろう。権力を握った人間の強烈すぎる思い上がりが、ここまで見事に表現されている言葉は歴史を見わたしてもそうそうないはずだ。この「私は総理大臣なんですから」という一言で、わたしたちはこの国がどのような状態にあるのかを知ることができる。そう、総理大臣の意のままに法律がつくられ、疑義が呈されても聞く耳をもつつもりはない、とはっきり国民は突きつけられているのだ。これは安倍首相による明確な「独裁者」宣言である。
 
 明治への憧れと戦前回帰思想が裏付けるように、この人には日本の戦後民主主義に則るという考えはさらさらない。この発言といい、安保法制の強行採決にいたる過程を見ていると、「選挙によって信任したのはアンタたち国民なんだから、オレのやることには黙ってろよ」と言わんばかりだった。
 しかも、今年の世相を象徴する漢字1文字に「安」が選ばれると、「『安』を倍増すると安倍になる」などとウキウキ気分丸出しで言い出す始末。今年、あれだけ国民から批判の声があがったことを、ほんとうにこの人は忘れようとしている、いや、もうなかったことにしているのだ。来年の参院選も、もはや心中では大勝利、思考はすでに憲法改正に移っているのだろう。
 ちなみに本人は、「なんとか頑張って2018年までいけば」などと“あと3年は総理大臣でいたい発言”までぶっている。……もう、勘弁してよ!
 
 年の瀬にはイヤなことは全部忘れて新年を迎えたいもの。だが、この総理大臣こそがそうはさせてくれない。来年こそはこの暴走を食い止め、「安倍首相退陣祝いランキング」をお届けできたらと願うばかりだ。(編集部)