2025年11月6日木曜日

高市自維連立 戦後最悪の反動政権 高支持率も もろい基盤

 しんぶん赤旗の掲題の記事が載りました。
 共産党の田村委員長は高市政権は「最悪の政権となる危険をもつ」と表現しました。
 高市氏は安倍元首相の路線への回帰を謳い、安保3文書の改定を前倒しし、軍事費のGDP比2%=11兆円への引き上げを今年度中に達成するとトランプに媚びる一方で、国益を毀損し民生を劣化させ「スパイ防止法」を制定し「国家情報局」を創設するだけでなく、さらに「憲法9条の改悪」もいずれ時期を見て取り掛かることでしょう。
 幸いなことに、高市政権は成立の経過から見ても決して強固な基盤とはいえないので、脆く崩れる可能性も大ありです。早くそうなって欲しいものです。

 併せて同紙の記事「税金還流疑惑の維新・藤田氏 赤旗記者の名刺 ネット公表」を紹介します。
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どうみる高市自維連立 戦後最悪の反動政権 高支持率も もろい基盤
                       しんぶん赤旗 2025年11月4日
戦後の自民党政権の歴史のなかでも、国民にとって最悪の政権となる危険もつ政権」-。日本共産党の田村智子委員長は10月21日の党国会議員団総会でこう指摘しました。自民党最右派とみられる高市早苗首相の下、同党以上に大軍拡・社会保障切り捨てを主張する日本維新の会が連立入りした高市自維政権。臨時国会の本格論戦が4日から始まるのを前に考えます。

「アベ政治」 復活宣言
 高市首相が就任後に強烈に打ち出したのが、・安倍晋三元首相の路線への回帰です。その端的な表れがトランプ米大統領への異常なすり寄りです。
 10月28日の首脳会談を前にした24日の所信表明演説で、①安保3文書を前倒しで改定する 軍事費の国内総生産(GDP)比2%=11兆円への引き上げを今年度中に達成する-と表明。トランプ氏との会談で「防衛費の増額に取り組んでいく」と誓約し、「日米は世界で最も偉大な同盟だ」「日米同盟の新たな黄金時代をつくる」などと、異常な同盟賛美を繰り返しました。その先にあるのは、軍事費のさらなる膨張です。
 経済政策では、所信表明演説で「経済あっての財政」だと述べ、大企業支援のバラマキや減税、金融戦略などの「アベノミクス」継承を表明。円安に拍車をかけ、さらなる物価高騰が国民生活を直撃するおそれがあります。
 高市首相が閣僚への指示書で、大企業の「働かせ放題」につながる労働時間の規制緩和を盛り込んだことも波紋を広げました。

国民切り捨て 連立政権合意
 高市政権の危険性をより高めているのが、悪政メニューが並んだ自民・維新の連立政権合意です。
 まず、掲げているのが社会保障制度の大改悪です。自民、公明、維新で合意している、OTC類似薬の保険適用除外11万床の病床削減をはじめとする医療費4兆円削減について「迅速に」進める方針。設置する「税と社会保障の一体改革」を議論する国民会議では、国民民主など他党を巻き込んで、さらなる給付減と負担増を狙う構えです。
 経済界も含め、多くの国民が望んでいる選択的夫婦別姓を否定し、「旧姓の通称使用」法制化も表明 。大軍拡では「次世代の動力」を活用する長射程ミサイル搭載潜水艦の導入を主張し、原子力潜水艦保有をにじませています。
 極めつきは、衆院定数割削減を今国会で実現すると明記したことです。念頭にあるのは、民意を最も正確に反映する比例代表です。国民の声を締め出し、悪政を推進する-ファシズムの危険さえ感じられます。

反動ブロック 形成する恐れ
 悪政推進のアクセル役は維新だけではありません。政策によっては国民民主党や参政党なども加わる危険もあります。
「スパイ防止法」制定と並び、国民監視・統制強化となるインテリジェンス(情報活動)の司令塔機能強化に向けた「国家情報局」創設について、国民民主の玉木雄一郎代表は「大きな方向性として賛同する」と表明。参政党の神谷宗幣代表も「わが党もスパイ防止法について法案をある程度まとめつつある。そのときに国家情報局みたいなものを作る方がべ夕だと考えているので、ここは評価できる」と同調しています。
 高市政権は外国人政策に関する関係閣僚会議を近く開催し、外国人対応の厳格化を加速させる予定で、自民党も「外国人政策本部」を立ち上げました。参政党は党内に「外国人問題対策」プロジェクトチームを設置しており、排外主義でも共鳴しています。

衆参少数与党 安全装置失う
 同時に、高市政権はこれまでにないもろさもはらんでいます自民の悪政を支えつつ、「ブレーキ役」を自任してきた公明とで「補完勢力」として政権批判のニセの受け皿となってきた維新は、自民党政権を延命・維持する安全装置の役割を果たしてきました。しかし公明が連立を離脱。これと入れ替わっての維新の連立入りは、この安全装置の崩壊を意味します。
 何より、高市政権は自民・維新党だけでは衆参ともに過半数に到達せず、少数与党である事実は変わりません。メディアの世論調査で高い支持率を記録しましたが、物価対策として多くの国民が望む消費税減税を否定し、有効な対策が打ち出せなければ、あっという間に下落し、瓦解する可能性は大いにあります。

「政治とカネ」に向き合えぬ弱点
 とりわけ、高市政権が「政治とカネ」の問題に真摯(しんし)に向き合っていないことは大きな弱点です。政権発足後の「朝日」の世論調査で、自民党は「政治とカネ」の問題を繰り返しきた体質を「変えられない」との回答が69%で、「変えられる」の23%を大きく上回りました。
 自民党内からも高市氏の姿勢に懸念の声が上がっています。裏金事件に関与した佐藤啓官房副長官による政府提出法案の説明を野党が拒否したことに関し、自民党の石井準一参院幹事長は「われわれも(高市首相の)任命を多少疑問視し、こうしたことが起きないよう強く申し出ていた」(10月28日)と明かしました。
「政治とカネ」に対する根強い不信から国民の目をそらすため、維新は衆院議員定数の1割削減を持ち出して連立合意。議員定数の問題に論点をすりかえようとしています。これに対しては、野党だけでなく自民党内からも「自民・維新でいきなり定数削減は論外」(逢沢一郎選挙制度調査会長)などの批判が相次いでいます。
 加えて、「しんぶん赤旗」日曜版のスクープで、維新の藤田文武共同代表に重大疑惑が浮上。藤田氏側が、自身の公設第1秘書が代表の会社に約2000万円の公金を支出し、その会社が公設第1秘書に年720万円の報酬を支払っていたという、身内への税金還流の疑惑です。今後、大きな火種となるのは確実です。


税金還流疑惑の維新・藤田氏 赤旗記者の名刺 ネット公表
                       しんぶん赤旗 2025年11月4日
「しんぶん赤旗」日曜版(11月2日号)の報道を受け、日本維新の会の藤田文武共同代表が10月30日未明、インターネット上に、取材を担当した日曜版記者の名刺画像を公表したことについて「与党幹部による記者への圧力」「言論弾圧」などの批判の声が上がっています。
「赤旗」日曜版は、藤田氏側が、自身の公設第1秘書の会社に政党助成金など約2千万円の公金を支出し、その会社が公設秘書に年720万円の報酬を出していた、という税金還流疑惑をスクープ。藤田氏は2日、自身のユーチューブで、「適法だ」としながらも、「そもそも秘書が代表を務める会社に発注している構図自体が、誤解や疑念を招くという指摘も多かった。真摯(しんし)に受け止めたい。今後は秘書が代表を務める会社への発注は一切行わない」とのべました。

与党幹部による言論への圧力
 日曜版電子版が10月29日に記事を配信した直後の同30日未明、藤田氏は自身のX(旧ツイッター)に、日曜版編集部への回答とともに、日曜版記者の名刺画像を掲載しました。
 与党・維新の共同代表という権力を持つ立場の藤田氏が、自身に批判的な取材記者の名刺をネット上に公表することは、権力監視の報道を威嚇するものです。
 名刺には社名、所属部署、氏名、電話番号、住所、メールアドレスなど特定の個人を識別できる情報が含まれています。
 しかし藤田氏は、記者名や所属部署、公表されていない直通電話番号、ファクス番号などをそのまま掲載。記者のメールアドレスもごく一部を消して載せています

嫌がらせ電話・業務妨害メールも
 名刺は、日曜版記者が衆院議員会館の藤田事務所を訪れ、政策秘書に質問状を渡した際に、身分を明かすために渡したもの。それを本人の了解もなく勝手にネット上に公表することは明確な目的外使用。プライバシーの侵害や、悪意のある第三者による悪用(嫌がらせなど)にもつながる重大問題です。
 藤田氏が記者の名刺を公表して以降、日曜版編集部の直通番号に「●●記者を出せ」という電話が複数かかっています。
 近畿地方の事業者の相談受付フォームから、藤田氏が一部を消して公表した記者のメールアカウントに1800件超(1日午後9時現在)の自動返信が送信され、正常な業務が妨害される事態も起きています。
 3日午後5時現在、藤田氏のXには記者の名刺画像がそのまま掲載されており、日曜版編集部は、名刺画像の削除と掲載への謝罪を求めるものです。

記者への脅し効果を意識か
   元共同通信記者の澤康臣・早稲田大学教授(ジャーナリズム論)の話
 記者は名刺などで名前や連絡先を明らかにすることで、相手から情報を得られます。もし記事に異論があれば記者名をあげて「記事は間違っている」と反論するなら名刺の正当な使い方といえます。しかし、名刺本来の役割を逆手にとってインターネットに公開するということは、記者へのプレッシャーやブラフ(脅し)になる効果を意識しているのではないかという疑いを禁じ得ません。
 記者の個人的な情報を嫌がらせの目的で主にインターネツトヘ公表することを「ドクシング」といいます。名刺公開がもし圧力や嫌がらせ目的であるならば、政治活動や言論活動のアンフェアな妨害になりかねません。
 また市民に情報を伝えることが記者の役割です。記者が圧迫されることは、何より市民にとってもマイナスになるといえます。