2026年2月7日土曜日

高市支持の多数派右翼 - イスラエルと同じ価値観と人格へ変質している日本人

「世に倦む日々」氏が掲題の記事を出しました。
 折角、彼が待ち望んでいた「中道勢力」が結成されたのに、すぐに選挙に突入したこともあってその初動が極めて不十分であったためその効果が現れず、マスコミは国民の7割が高市政権の賛成者であり、高市自民が単独で300議席以上の圧勝となると予測しています。
 同氏も可なりの確率でそうなると見ているようです。
 野党がほぼ一致して「食料品消費税率をゼロにする」政策を掲げたことに対しても、マスコミはその財源案に難癖をつけ、頭から不当視して排斥しました。
 そしていまや財務省が消費税収減の救済策として出してきた、「2年後に全体の消費税率を12%にアップさせる案」が現実化する勢いになっています。
 同氏は、マスコミの予想通り自民党が単独で過半数を大きく超えれば、高市氏は国民から「白紙委任状」を得たとばかりに自分が「国家の経営者」だと自認して、予定していた「日本の極右化(改憲、スパイ防止法、国家情報局設置、徴兵制度実施など)に進む」と見ています。
 その悲劇は「かつてのドイツのヒトラーを思い起こさせる」とも述べています。
 そうした選挙結果を口実にして高市氏が強行する日本の軍国主義化は、日本の「最大の悲劇」であることは論を俟ちません。

 ところで経済活動の本態は自己責任(論)であり、弱肉強食性は資本主義のもつ必然性です。同氏は「若年層を中心に7割の日本人はそうした価値観の所有者になっていて、前述の倫理不全が異常だとする考えは持っていない」と見ていて、その点は「パレスチナ人を平然と虐殺しまくり、子供も女性も容赦なく殺戮しまくっているネタニヤフを支持するイスラエル人の多数派に同じ」だと述べます。
 そして「7割の日本人は実は統一教会のシンパであり、テレビなどで口先では統一教会批判をする者も、心中はそうではなく統一教会が高市と自分たちの政治勢力を支えている核心だと知っている。この時期にマスコミが統一教会批判をしないのはその所為だし、また、中立を標榜しつつ無党派右翼に寄り添い、無党派右翼を積極的に持ち上げ、巧妙に高市を評価し擁護する世論工作に勤しんでいる政治学者たちが、テレビ番組で統一教会批判をしないのもその所為だ。彼らは反共主義の統一教会のシンパなのだ」と、絶望しています。
 同氏のショックの大きさを思わせます。

 8日の投票で、マスコミの予想が大間違いであったことが証明されることを切に願っています。
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高市支持の多数派右翼 - イスラエルと同じ価値観と人格へ変質している日本人
                        世に倦む日日 2026年2月5日
短い選挙戦はあっと言う間に終盤戦に入り、投票まであと残り数日となった。マスコミの観測記事によると、高市自民が単独で300議席以上の圧勝となり、立憲(中道)の野田佳彦や安住淳や小沢一郎や逢坂誠二など大物幹部も落選の危機にあるという。1/27 に公示された直後、各社からすぐに情勢調査結果と称した議席予測があり、選挙の関心はそちらに引っ張られ、各党の政策や公約についての議論はなくなった。消費税問題はマスコミが設定した争点だったが、党首討論会の幕の一瞬のネタにされただけで、この争点で何か議論が深まったということはない。ほんの一週間程度の命だった。結局のところマスコミに巧く操縦され、刷り込みの絨毯爆撃が続き、財政危機の現状で消費税減税などとんでもないという結論に誘導された。政党は選挙で国民にバラマキばかり言うという批判が正論化され、消費税減税策は悪だという一般認識の定着に持ち込まれた

食料品消費税率をゼロにすると5兆円が税収不足になる。その減少分の埋め合わせを「財源」と言い、神聖化し、中道など野党の唱える財源案に難癖をつけ、頭から不当視して排斥して行ったのが、序盤戦のマスコミの選挙報道だった。昨年度、補正予算を含めた防衛費は11兆円となり、GDP比2%にする目標を達成している。防衛費は長い間5兆円台の水準を維持し、GDP比1%の枠で推移してきたが、一気に倍増となっていて、その皺寄せは他の歳出に響き、財政健全化を犠牲にする形で行われている。だが、その財政事実についての言及や批判はない。そしてさらに、GDP比3.5%の21兆円にする構想が持ち上がり、高市内閣が秋の防衛3文書改定で踏み込むものと予想されている。現在よりも+10兆円上積みされる。食料品消費税率ゼロの5兆円の2倍相当の巨額だが、こんな膨大な財源を一体どうやって捻出するのか。そういう議論は党首討論会では全くなされなかった

高市が選挙圧勝後に開く「国民会議」では、おそらく消費税増税の方向性が打ち出される進行になるだろう。マスコミと財務省はそこへ向けて目の色を変えている。ネット上では、早くも税率12%という具体情報が上がり、一部では税率20%という説も出ている。衆院で絶対安定多数を獲得した高市には、あと2年間国政選挙がない。だけでなく、野党第一党で対抗勢力であった立憲の議員が衆院から消えている。選挙を気にすることなく「令和の一体改革」が遂行できる条件を得るわけで、維新に国民を加え、公明も巻き込み、社会保障の削減と消費税の増税を断行するだろう。来年4月には税率12%になり、3年後には15%に引き上げる措置が確定されると想像する。消費税率を5%上げると、国の税収(地方分を除く)は10兆円増える計算になるが、これにより防衛費を10兆円増額する分がファイナンスされる。防衛費をGDP比5%にする上では、消費税率を20%にすると釣り合う

選挙の争点は、高市政権を信任するか否かという、高市が解散を宣告したときの設定に帰着した。政策論議はすっ飛び、高市への白紙委任を認めるか否かを問う選挙の構図となり、マスコミの情勢調査では高市圧勝、すなわち有権者国民は高市への白紙委任を喜んで選択して投票所に足を運ぶという分析と予想になっている。まさに、ヒトラーのナチス党が選挙勝利で全権掌握した歴史が念頭に浮かび、恐怖で心が凍りつく。高市が口癖にする「私は国家の経営者」という自己定義に注意を促したいが、この「国家経営者」のイメージは、アメリカのトランプであり、麻生太郎が指南する戦前ドイツのヒトラーである。日本国憲法に規定された、抑制的な内閣総理大臣の範疇と権限を越えたところの、最高の国家権力者という想定であり、何より軍事の最高指揮官(統帥権者)という含意が強く示唆されている。国家情報局を作り、自衛隊を日本軍に変え、軍と治安機関を使って存分に放縦に権力を揮うぞという意思表示だ

その高市を多くの国民が支持している。一方、Xのタイムラインでは悲鳴が上がっていて、もう二度と選挙の機会はないという絶望と悲嘆の声が散見されるようになった。徴兵制が施行される悪夢をリアルに懸念する声も多くなった。この二つともずっと私が(言わば前衛的に)指摘していた論点で、同時に、左翼からも「陰謀論」だと謗られ、オオカミ少年の妄想だと切り捨てられていた警告である。高市政権が発足する前、総裁選の時期にこれを金切り声で叫んでいたら、大袈裟で過敏すぎる恐怖症だと冷笑されただろう。が、実際、おそらくもう二度と普通の国政選挙はない。次に来るのは憲法改正の国民投票だろうし、戦時下の情勢に移行し、憲法の人権保障が制限もしくは停止された緊急事態(あるいは半緊急事態)の国家体制に包まれた世界だろう。国政選挙が行われたとしても、従来の立憲民主のような鋭く政権批判する野党はなく、そうした選択肢は消え、事実上の大政翼賛会の中の候補を選ぶ中国方式の選挙に変わる

Xのタイムラインを見ると、老壮青の3人の女性論者の活躍が顕著で、危機感を震わせた渾身の投稿が影響力を発揮し、左派の言論小世界をリードしている。まさに extremely な言霊の絶唱が並び、次々と agitation が繰り出され、効果的な説得力で波動エネルギーを増幅させている。Xタイムラインは恰も左派リベラルの集会の壇上の如き景観であり、アルゴリズムの編集で選別され表示される諸アカウントの諸ポストは、集会に登壇する著名文化人が発するスピーチの列のようだ。反原発運動が盛り上がった十数年前、何度か大きな集会に参加して頭数の一つになったが、居並ぶ論者を押しのけて瀬戸内寂聴の演説が抜群で、圧巻の迫力だったことを思い出す。会場の聴衆を共鳴させ高揚させて一つの団結力を作り、まさしくウェーバー的な政治家の理念型の姿を見せていた。カリスマの啓示力に感服させられた。今、タイムラインのそうした言霊群と比較すると、一瞥して、男たちの危機感があまりに薄く弱いのに気づき唖然とする。なぜなのか。

私のタイムラインには、高市支持の70%の右翼とは真逆の次元の、反高市の政治世界が反映されていて、それを眺めていると70%の多数派の世界が嘘か幻のように思える。統計的には全体の20%以下の左派の言説がそこに流れている。この社会で70%の多数を構成する右翼の存在。それは現実だ。マスコミも左翼も、その現実を正しく認識せず、真相と正体を正しく表現せず、右翼を保守と呼び、あるいは無党派として毒を抜いて中性表象化し、その存在を実質的に正当化してやっている。右翼を右翼として悪性表象化しない。欺瞞をやっている。そして、左派でありながら「私も保守だ」などと自己欺瞞を言い、対立軸の真実をゴマカしている。保守の語に普遍性と標準色を与えてしまうことで、保守の中心に位置する高市が普遍的正義のシンボル価値を得るイデオロギーのマジックを容認している。政治的陣地を与えて譲歩してしまっている。考えるべきは、その日本の保守の人格だ。


金がない、財政危機だ、消費減税したら通貨危機だと言いながら、簡単に850億円の無駄遣いをして大雪の季節に選挙をしている。自治体職員に無理をさせ、不要な過重労働を負わせ、無駄な選挙をやっている。雪国に住む高齢者が投票の行き帰りの雪道で転倒したら大変なのに、意に介せず短期の選挙を強行している。高市が勝つためであり、白紙委任の権力を得るためであり、統一教会や裏金議員の問題から高市が逃げるためだ。そして、9条改憲を果たし、スパイ防止法(治安維持法)を制定して、中国との戦争に勝利するためだ。日本の有権者の7割は、それを支持し、その政治を正義と認め、高市にその政策を遂行させようとしている。それが日本にとって必要だと思っている。「厳しさを増す安全保障環境」の言説と論理を肯定し、「自由と民主主義の価値観」にコミットし、中国は絶対悪だと断じ、社会主義は排除すべき政治的害毒で、それを殲滅することが人類史的理想の達成だと信じている。

だから、経済思想は自己責任論のネオリベラルなのであり、非正規や格差は問題ではなく、資本主義に必然の自業自得なのだと了解し、その体制に不満を言い批判をする者が愚悪だという認識になるのだ。弱肉強食が善で、いじめを受ける弱者に原因と責任があるという見方になる。アメリカと同じシステムが善で、NISAで稼げばよく、稼いで威張って贅沢した方が勝ちとなるのだ。若年層を中心に7割の日本人はその価値観の人格になっている。その事実を認めないといけないし、かかる倫理不全が異常だと臆せず否定しないといけないだろう。屈折して変質した病的な人格現象だと直言すべきなのだ。引き合いに出したいのは、パレスチナ人を平然と虐殺しまくり、子供も女性も容赦なく殺戮しまくっているネタニヤフを支持するイスラエル人の多数派である。ガザの人々をテロリスト視し、地上から抹殺すべき悪魔だから殺害してよいと正当化している者たちだ。われわれから見て、イスラエル人は異常で狂気で、同じ人間だとは思えない。

だが、顧みたとき、7割の高市支持の日本人は、そのイスラエル人と同じ精神構造の人間類型なのではないか実際、高市や維新や参政党はイスラエルを支持している。イスラエルのガザ虐殺に何の精神的痛痒も感じていない。そしてよく考えれば、アメリカ政府も同じであり、ヨーロッパの指導者も同じで、イスラエルの非道な蛮行を阻止しようとせず、むしろ虐殺を支援している。そこには、そうさせる判断の根拠があり、正当化する邪悪な理屈があり、イデオロギーを内面化した人格がある。こうして、静かに省察すれば、同じ人間とは思えない冷酷で歪んだ人間が、イスラエルだけでなく世界中にいて、この日本にも7割ほどいる病んだ実情に気づく。大学教授の肩書きの者たちもほとんどがそうだという実態を知る。それに抵抗する自分が(筑紫哲也的な)少数異端だという事実に気づく。7割の高市支持の多数派は、おそらく内心では統一教会を支持している。だから、萩生田光一が出て来ても何も言わない。不興に感じることがないどころか歓迎している

日本の政治は、30年かけてどんどん右翼化して行った。右翼青年を漫画で育て、大人にし、次の右翼の世代を拡大再生産して行った。右翼は雪国の積雪のように固く締まって重たく厚い巨大積層に化けた。マスコミの空間も、学校教育も教科書も、右翼の価値観に準じた内容に変えた。日本の子供たちは右翼思想とネオリベ思想ですくすく育った。選挙権を得て、高市や維新や玉木を支持するのは当然だ。右翼の思想的立場の者には、勝利が続き、正常な方向に日本が流れた30年である。その時間と空間しか知らぬ者には、安倍的高市的な右翼思想以外の価値観はなく、憲法9条など羞恥と厭悪の化石的遺物に他ならない。護憲派など罵倒し唾棄すべき対象だろう。流れはグラデーション的で、デジタルなスイッチの画期ではないが、おおよそ30ー35年前に大きな転換期があり①ソ連崩壊、②バブル崩壊、③政治改革、④インターネット の四つの激動が同時に重なり、それ以前の戦後民主主義体制の価値観が崩され、右翼思想とネオリベ思想が勝利の地平に進撃する趨勢となった。

大雑把にそのように総括し、日本人の価値観と人格性の変化を、すなわち倫理不全の深刻な病理に陥った変質を仮説化できるはずだ。今、恐ろしいことに、7割の日本人は実は統一教会のシンパなのである。テレビで口先では統一教会批判をする者も、心中はそうではなく、それは表向きの口上と演技で、統一教会が高市と自分たちの政治勢力を支えている核心だと知っているこの時期にマスコミが統一教会批判をしないのはその所為だし、また、中立を標榜しつつ無党派右翼に寄り添い、無党派右翼を積極的に持ち上げ、その論理回路を通じて、巧妙に高市を評価し擁護する世論工作に勤しんでいる政治学者たちが、テレビ番組で統一教会批判をしないのもその所為だ。反共主義の統一教会のシンパなのだ