植草一秀氏の掲題の2つのブログ記事を紹介します。
「『風説の流布』への注意喚起」の記事では、「消費税減税の財源が不明確なのは無責任である」との論説が流布されているが、「財源が不明確」(=国債依存)な政策はこれまでも無数にあるとして、「糸を引いているのは財務省で消費税減税は死ぬほど嫌う。目指すのは大企業と富裕層の減税と庶民課税である消費税の増税で、大企業と富裕層の減税は同省の天下り拡大につながるから実施するが、減税の財源を消費税に求めるため」と明言します。
また「円安是正に向けて日米政府の意向が一致し、日米が協調介入した」も間違った論説であると述べ、その根拠について公開した範囲では示していませんが、メルマガでは「(強欲の)米国は日本に米国債を売らせたくないからでは」と示唆しています。
「消費税美化する者を信用するな」の記事では、「消費税を減税して社会保障制度が崩壊していいのか」という「美談」に騙されてはいけないとして、消費税が社会保障制度の財源という極めつけは無根拠であり、消費税が取り入れられた1990年~2020年の30年間に所得税が7兆円減り、法人税が7兆円減り 合計14兆円減っのに対して、消費税が16兆円増えたことを示し、消費税が所得・法人の「2税の軽減分の穴埋めに使われた」ことを明らかにしました。
要するに消費税が社会保障費の財源になっているというのはマヤカシで、社会保障費の財源は所得税であろうが法人税であろうが全く構わないと述べます。
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「風説の流布」への注意喚起
植草一秀の「知られざる真実」 2026年8月 4日
二つの重要な経済問題について、偏った論説が流布されているので注意喚起したい。
二つの重要な経済問題とは 消費税減税問題 と 協調介入問題 である。
偏った論説とは 「消費税減税は無責任である」 との主張。
介入については 「円安是正に向けて日米政府の意向が一致した」 というもの。
いずれも間違った論説だ。
消費税減税は悪徳高市内閣における唯一の正しい方向の施策である。
「正しい方向の」としたのは、本来は 「消費税率の5%への引き下げ」が取られるべき政策であるからだ。それでもやらないよりはまし。
また、食品税率を実質的にゼロに引き下げれば29年4月に元の水準に戻すのは極めて困難になると考えられる。恒久措置が望ましく、再増税が困難であることは望ましい。
食品税率をゼロにする場合、2年間の減税で必要になる金額は10兆円。
このことについて「財源論」がかまびすしいが、10兆円の財政支出について、常に財源が論じられてきたのかをまったく踏まえていない。
代表事例として20年度から23年度までの4年間の補正予算の事例を提示してきた。
4年間に補正予算で154兆円の財政支出追加が計上された。そのすべてが国債の発行で賄われた。
コロナの2020年度だけで73兆円の財政支出追加が補正予算に計上された。その全額が国債発行で賄われた。
このなかにはGO TO TRAVELに3兆円、デジタル・グリーンに3兆円、防災国土強靭化に3兆円、構造改革・イノベーションに2兆円など、コロナとはおよそ関係の薄い対象に巨額がばらまかれた。予備費だけで10兆円の予算が計上された。
極め付きは財務省天下り先の公的金融機関に19兆円が投下されたこと。
73兆円のばらまき予算の財源は100%赤字国債発行だった。
利権バラマキ予算では150兆円のバラマキでも財源論がまったく浮上しない。
ところが、消費税になると目くじらを立てて財源論が叫ばれる。このことに素朴な疑問を持つべきだ。
糸を引いているのは財務省。財務省は利権バラマキ財政を実は歓迎している。しかし、消費税減税は死ぬほど嫌う。
財務省が目指すのは大企業と富裕層の減税と庶民課税である消費税の増税なのだ。
大企業と富裕層の減税は財務省の天下り拡大につながる。富裕層が大企業の経営者であり、彼らを優遇することで天下りという見返りが生じるのである。
減税するにはその財源をどこかに求めなければならない。その向かう先が消費税である。
庶民に負担をかぶせるのだ。
したがって消費税減税だけは絶対に阻止しなければならない対象なのである。
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消費税美化する者を信用するな
植草一秀の「知られざる真実」 2026年8月5日
消費税を美化する者を信用してはいけない。
「政治は支持率のためにあるのではない。
不人気な政策であっても国の未来のためにやらねばならないことがある。
社会保障制度を維持するには消費税が必要不可欠。
消費税を減税して社会保障制度が崩壊していいのか。」
こんな「美談」に騙されてはいけない。
2024年10月の衆院総選挙、2025年7月の参院選で自民大敗をもたらした石破茂元首相が消費税減税批判を展開している。
「消費税減税を実行すれば財政不安が広がり為替は円安に進む。
円安になれば金利は上がり、物価も上がり、消費税減税の効果は打ち消される。」
こんな話がまことしやかに流布されている。しかし、この主張は「一つの説」でしかない。確定していないことについて「一つの主張」が提示されているに過ぎない。
上記の説明には多くの「ウソ」、あるいは「真偽不明の判断」が含まれている。
三つの誤りを指摘しておこう。
第一は社会保障の財源が消費税でなければならないという大ウソ。
第二は消費税減税を実行するときに円安になると限らないこと。
通常のマクロ経済理論の枠組みでは財政拡張は通貨上昇要因。
財政赤字拡大は円高をもたらすというのが標準的な経済理論の結論。
真逆の「風説」が流布されている。
第三は消費税減税の財源がないと騒がれるが財源があること。
巨大な自然増収がある。その自然増収を減税で国民に返還しないと「税の取り過ぎ」になる。
2001年に小泉政権が超緊縮財政を強行した。
私は超緊縮財政が日本経済を危機に陥れると警告した。実際に警告したとおりの惨状が現実化した。
私は積極財政を主張したのではない。行き過ぎた緊縮を批判した。
行き過ぎた緊縮が経済を悪化させ、資産価格を再暴落させ、その結果、日本は第二次金融危機に突入した。
このときの政策論議は次のものだった。
財政拡張を行うと金利が上がり、その金利上昇が円高をもたらす。
その円高が財政拡張の景気支持効果を消す。
「マンデル・フレミング効果」という言葉が使われて、財政拡張は「円高」をもたらすと喧伝された。
つまり、消費税減税が円安をもたらすとはまったく言えない。
過去の経済政策論議では財政拡張は円高をもたらすとされていた。それが、今回は財政拡張が円安をもたらすとされている。いい加減なものなのだ。
食品の消費税率を2年限りで1%に引き下げたところで、財政破綻が生じる可能性はゼロだ。したがって、この政策を実施して日本円が暴落することはあり得ない。
また、社会保障の財源が消費税でなければならないということはない。そんな規定は日本のどこにも存在しない。
社会保障の財源は所得税でも法人税でも構わない。国債発行でも問題はまったくない。
社会保障の財源として消費税と所得税・法人税のいずれが適切かとの設問があれば、答えは明白だ。所得税・法人税の方が適切である。
日本の税制は1990年度と2020年度で大逆転した。
1990年度 2020年度
所得税 26兆円 19兆円
法人税 18兆円 11兆円
消費税 5兆円 21兆円
税収合計 60兆円 61兆円
税収規模は約60兆円で同水準。しかし、構成が真逆。格差拡大の時代に、どちらの税収構造が望ましいか。消費税が小さく、所得税と法人税が大きいことが望ましい。消費税減税が正しい政策対応である。
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(後 略)