2026年10月5日月曜日

日本財政の恐るべき実態(植草一秀氏)

 植草一秀氏の掲題の記事を紹介します。
 高市首相は2月の総選挙で簗和生氏の応援に入り「私の知恵袋のやなちゃん」と紹介したということです。総選挙では無所属議員に敗れたものの比例で復活し、自民筆頭副幹事長に就き9月の組閣で農水相に就きました。
 簗議員は5月の内輪の集まりで、総選挙で自分を支持しなかった首長に報復するため、「令和8年度の道路予算への『社会資本整備総合交付金』において、那須烏山市については前年比で64%減に、那珂川町のについては54%減に大幅にカットをした」と明らかにしました。「週刊新潮」などがその際の音声データを入手して公表しました。
 こんな恣意的・報復的な配分が許される筈はなく 大問題になっています。

 不祥事が取り沙汰されているのはこの簗農相の他に、藤井比早之総務相、維新の中司宏規制改革担当相がいます。併せて日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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日本財政の恐るべき実態
               植草一秀の「知られざる真実」 2026年10月1日
週明けの10月5日に臨時国会が召集される。会期は69日で会期末は12月12日。
国会論戦を前に週刊誌が高市内閣追及材料を提供している。
高市首相は2月総選挙で自民党が多数議席を獲得したことを背景に天下を獲った気分でいるようだが、そもそも自民党衆議院多数議席の正統性が低い。
国会の議席配分は民意を正確に反映するものでなければならない。

ところが、現実の議席配分は民意とかけ離れている。
比例代表選挙で示された得票率が民意の表出と言える。
2月総選挙における自民比例代表得票率は37%。これに対して獲得議席は316で占有率は68%。比例代表選得票率37%で議席を配分するなら自民議席数は171。
衆院過半数は233。民意を反映する議席配分なら自民議席は単独過半数に遠く及ばない。

国会は抜本的な選挙制度改革を断行すべきだ。最重要の視点は「民意を正確に議席配分に反映させること」。
多党乱立・一強多弱の政党存立状況下での小選挙区選挙制度は弊害が大きすぎる。小選挙区制を廃止して、全議席を比例代表選挙で選出する制度改革を速やかに実現すべきだ。

「週刊新潮」は9月の内閣改造で農林水産大臣に起用された簗(やな)和生氏が、本年5月に開かれた非公開会合で、総選挙で自身を支援しなかった地元自治体を“恫喝”する発言を行っていたと報じた。「週刊新潮」は入手した音声データを公開している。
同誌によると、5月24日に非公開で催された自民党大田原支部の総会後の懇親会で数十名の自民党員らを前に簗氏は次のように述べたという。
「(栃木県)那須烏山市と那珂川町の令和8年度の道路予算については、大幅にカットをしました」「自民党の議員に頼っていくらの予算が必要だというところに、多く回すのが当たり前の話ですから」「那須烏山市については前年比で64%減、3分の1にしました。そして那珂川町は54%減にしています」

同誌は、実際に両自治体への「社会資本整備総合交付金」が大幅に減っていることを示す。
「令和8年度の要望額は7208万円で、(国交省からの)内示額は2262万4000円です」(那珂川町建設課)
前年度は「要望額6585万3900円・内示額は4934万2000円」で、令和8年度内示額は「前年比約54%減」となり、簗氏が述べた数字と一致するとのこと。

簗氏の懇親会での発言の3ヵ月前に実施された2月衆院総選挙で、簗氏が出馬した栃木3区は保守分裂となり、簗氏は無所属の渡邊真太朗氏に敗れて比例復活。
同区に属する那須烏山市や那珂川町などの首長が渡邊氏を支援していたという。
「週刊新潮」は「「簗氏の発言は、自分に投票しなければどうなるかを知らしめる“恫喝”と言われても仕方がない」(自民党関係者)」の声を紹介する。

高市首相は2月の総選挙で簗氏の応援に入り、簗氏を「私の知恵袋のやなちゃん」と紹介したという。
問題は国民の血税が政治利用されていること。沖縄県知事選では、自民党などが推薦した古謝玄太氏が初当選したことを受けて、政府は2027年度の沖縄振興予算を当初の概算要求2897億円)から3000億円超に増額する方向で調整に入ったと報じられている。

日本財政最大の問題は財政資金が政治利用=私物化されていること。
首相が誕生すると出身自治体の道路や公共施設の整備状況が格段に上がる。
「簗氏の恫喝」通りに政府予算の配分が変化したというのが事実なら、「政治の裁量」で予算配分は自由自在に改変されることになる。およそ民主主義国家の所業でない。

日本政治は単なる利権収奪戦の場に堕している。
利権まみれの金権腐敗政治が日本政治の根幹。
その金権腐敗政治の先頭に立っているのが高市早苗氏である。

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簗和生農相は即刻辞任が当たり前 この内閣はすぐに火ダルマになりそうだ
                        日刊ゲンダイ 2026/10/02
                     (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 1カ月もかけて、アンケートを読み込み、能力主義を貫いたとかいう改造人事。すでに醜聞のオンパレードだから大笑いだ。とりわけ絶句ものは高市の知恵袋の下劣発言。逮捕歴の怪しい大臣。小物も含めて、こりゃ持たないから国会を開かせないのか。
  ◇  ◇  ◇
 週明けの10月5日に臨時国会が召集される。会期は12月12日までの69日間。高市首相が「ワタクシの悲願」と言う消費税減税法案など、政府は21本の法案提出を予定している。無責任な放漫財政はマーケットに見透かされ、円安物価高に歯止めがかからない。政権浮揚を狙った内閣改造・自民党役員人事も失敗。通常国会に続き、荒れそうな雲行きである。
 何かと疑惑を抱える高市の国会嫌い、記者会見嫌いは周知の通り。政界入りのテコにした「米連邦議会立法調査官」という経歴に始まり、1年前の自民党総裁選をめぐるライバル潰しの動画拡散、暗号資産「サナエトークン」に関与した疑いなど、疑惑が噴出した通常国会は散々だった。それで、満を持して実施したのが人事だ。首相の国会出席時間短縮が持論の村井英樹元官房副長官(46=衆院埼玉1区)を国対委員長に抜擢。慣例を無視し、閣僚経験ナシの衆院6期目を登用した。政権発足をアシストした日本維新の会を閣内協力に転じさせもした。しかし、唯我独尊を極めるもくろみはパー。新任閣僚の醜聞オンパレードだから大笑いだ。
 不祥事が取り沙汰されているのは、自民の簗和生農相(47=衆院比例北関東ブロック)と藤井比早之総務相(55=衆院兵庫4区)、維新の中司宏規制改革担当相(70=衆院大阪11区)。いずれも初入閣だ。地元ドーカツ、運動員買収、裏金をため込んだ疑惑をそれぞれ報じられた。
 とりわけ絶句モノは、高市が「私の知恵袋のやなちゃん」と呼ぶ農相の下劣発言。世論の反発に耳を貸さずに起用した旧安倍派の裏金議員で、政治資金収支報告書への不記載が1746万円に上ったカドで党から役職停止6カ月の処分を下された札付きだ。

アンチ自治体の予算カット
 週刊文春電子版やデイリー新潮の配信記事によると、簗は地元の衆院栃木3区に含まれる自民大田原支部が5月24日に非公式で催した総会に出席。その後の懇親会で、数十人の党員らを前にこう言い放ったという。
「那須烏山市と那珂川町の令和8年度の道路予算については、大幅にカットしました」
「私は今ですね、筆頭副幹事長(当時)という立場になってですね。“幹事長室にちょっと来てくれ”と言えば、こんなことができるんですね」
 ハァ? 裏金事件が火を噴いた当時、簗は当選4回。若手にもかかわらず、巨額の裏金をつくり、地元は呆れ果てていた。人を食ったような簗の日頃の振る舞いもアダとなったのだろう。今年2月の総選挙では那須烏山市や那珂川町の首長や、一部の自民県議がライバル候補を支援。選挙区で敗れ、比例復活した簗は恨みを募らせ、地元自治体の予算を削減させたと豪語したのである。トンデモないヤカラだ。国会議員は当選した瞬間から、全国民の代表。憲法が定めている。
 簗は「那須烏山市については前年比で64%減、3分の1にしました。そして那珂川町は54%減にしています」とも言っていて、国交省所管の「社会資本整備総合交付金」はその通りにカットされたというのである。今年は例年にも増して各地で水害が多発している。地震列島のどこで被災しても不思議ではない。万が一のことがあれば、どう責任を取るのか。
 木原稔官房長官は30日の会見で「ご指摘の道路予算に関する点は、事実の有無も含めて関係省庁において調査中だ」と時間稼ぎ。1日、農水省でメディアに問われた簗は「一議員としての活動に関わる事柄は回答を控えたい」と意味不明な理由で説明を避けた。
 文春も新潮も音声データに基づいて報じており、言い逃れは通用しない。私憤で国民の生命を危険にさらす大臣は即刻辞任が当たり前だ。

「政治とカネ」炸裂 運動員買収、談合に裏金
 藤井は週刊文春(10月8日号)に「政治とカネ」を報じられた。2024年の総選挙で、陣営を支援した複数の地元議員に「労務者報酬」を支払っていたことが判明。公選法が禁じる運動員買収に抵触した疑いが濃厚なのだ。
 前科持ちの中司の「政治とカネ」はさらに悪質だ。さかのぼること13年前。大阪府枚方市長時代の談合事件をめぐり、大阪地検特捜部に逮捕・起訴された中司の有罪判決(懲役1年6月、執行猶予3年)が最高裁で確定した。この黒歴史は知られているが、初入閣によって埋もれた真実が掘り起こされた。問題の談合事件で服役した元側近が自費出版した著書「理不尽」で、握った企業などからカネを受け取って分け合っていたと明かし、〈十年にもなる二人だけの秘密協定だ〉〈世に言う裏金そのものだ〉などと書いていた。

 自民が当選2回以上の衆院議員に「役職希望アンケート」を配布したのは8月20日、締め切りは25日だった。それからおよそ1カ月、高市は改造後の会見で「つぶさに目を通させていただいた上で」「『アンケートで提案された政策』や『積極性と情熱』を見極め、『実行力重視』の人選といたしました」と情感たっぷりに語っていた。維新も含んだ身体検査の手間暇をあわせ、火ダルマ内閣を仕上げたわけだ。
 法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)はこう指摘する。
「任命責任を問われるのは、ほかでもない高市首相です。大好きな人事によって出足から政権の体力を失い、国会内外で賛否が割れる消費減税や衆院定数削減をめぐる法案審議はより厳しくなるでしょう。更迭に踏み切れば辞任ドミノにつながりかねません」

必要なのは党首討論拡充
 村井は自身のXで、首相の国会での委員会出席は原則不要だとする民間シンクタンクの記事を紹介。「国会改革」に前のめりで、審議形骸化を警戒する野党からは「国会軽視」と反発の声が上がっている。
 ジャーナリストの山田厚俊氏はこう言う。
「政治家のスキャンダルは枚挙にいとまがない。首相が不問に付すというのであれば、政治家の矜持として首相も本人も逃げずに説明をするべきです。一方、野党は国会審議を通じて今までのように追及するのか。独自調査によらず、報道ベースで問い詰めたところで、時間の浪費になるのは目に見えている。首相の国会出席時間短縮は国会改革とは到底言えず、1強多弱の政治状況からいって必要なのは党首討論の拡充でしょう。出席できる野党会派は6しかない。1会派あたり30分~1時間を割り当て、事前通告なしで天下国家を論ずる場面を増やした方がよほど野党にもプラスに働きます。団結して求めた方がいい」

 どんな因果なのか、女性初首相を輩出した与党は数におごるばかりで、野党は非力の上にゆ党が混在している。政治不信が深まるのは道理だ。しかし、関心を失ったら連中の思うツボ。高市政権を信用しないことと、政治を監視するのは別物だということを肝に銘じたい。