2012年6月8日金曜日

7日、衆院憲法審査会が開かれました (第3章国民の義務と権利)


衆院憲法審査会は7日、憲法第3章「国民の権利及び義務」について審査しました。

3章は国民の幸福追求権、公共の福祉、勤労や納税の義務などを規定したもので、基本的人権、個人の尊重、思想・良心・信教・学問の自由、集会・結社・表現の自由、生存権、教育を受ける権利と義務、勤労の権利と義務などがうたわれています。 

この中で民主党の大谷信盛氏が「国民や国が環境を良好に維持するため、その責務を共同で果たす社会の実現をめざすべきだ」と「環境権」の明記を主張し、自民党の近藤三津枝氏も「環境権を国家と国民の責務のかたちで規定すべきだ」と同調しました。
また公明党の赤松正雄氏も「国家による環境保全の義務を明確にするのは大きな意義がある」と述べました。 

 それに対して社会党の服部良一氏は、「自由競争主義、弱肉強食の社会でいいのか。憲法に規定された権利が侵害されていることこそが問題だ」と指摘し、共産党の笠井亮氏も「非正規労働者の大量解雇など、現行憲法の下ではあってはならない重大な事態がある」と訴え、護憲の立場から改正の必要はないと強調しました。
みんなの党も改正は不要と主張しました。 

 新党きづなの渡辺浩一郎氏は憲法に「投票と国を守る義務」を明記することを求めましたが、みんなの党の柿沢未途氏は「国民の義務規定は最小限度に留めるべきだ」と主張しました。 

 憲法審査会は引き続き、第4章「国会」や第5章「内閣」などをテーマとして取り上げる予定です。 

産経新聞その他の報道によると、各党の代表者から表明された意見は概略下記のとおりです。(敬称略) 

民主党(大谷信盛)
 人間の尊厳に基づき、人権や環境を守るための連帯やコミュニティーの実現が重要。環境権については、環境を良好に維持する責務を共同で果たす社会を目指すべきだ。政教分離原則は維持し、人権保障のための第三者機関の設置を明記すべきだ。国民の知る権利やプライバシー権なども明記すべきだ。 

自民党(近藤三津枝)
 基本的人権は、公益が優先され制約されることもある。環境権は国家と国民の責務の形で規定すべきだ。選挙権は国籍条項を設け、外国人の地方参政権は憲法上認めないと明確にすべきだ。 

公明党(赤松正雄)
環境権を、幸福追求権などの条文から導き出すことには無理があり、明記が必要だ。今日的な生命軽視の風潮の中で、個人の尊重を超えた生命の尊厳という概念を明記することも重要。それ以外の条文については改憲の必要性はない。 

共産党(笠井 亮)
 第3章の中心的な意義は基本的人権の尊重だ。この内容は世界の最先端をいくと国際的に高く評価されており、今はこの基本的人権の全面的な実践こそ求められている。 

新党きづな(渡辺浩一郎)
 公共の福祉や国民の義務は広く定着し、これまでに国民が疑問視したものはない。投票の義務、国防の義務を何らかの形で明記する必要がある。 

社民党(服部良一)
 明文改憲の必要はない。現行憲法の権利や自由に関する規定は先駆的だ。権利が十分に保護、保障されずに侵害されていることが問題。 

みんなの党(柿沢未途)
 国家権力が国民に課す義務の規定は必要最小限にとどめることが重要。党として3章について特に改正すべき点はない。