日刊ゲンダイの掲題の記事を紹介します。
高市首相が唱えてきた「戦略投資」の内容が出そろいましたが、同紙は、「数字を膨らませただけで中身なし、実現性の判断もつかないシロモノだ。GDPの成長率も我田引水で債務比を下げるための机上の空論」、「ここでも高市空っぽ内閣の正体露呈」と酷評します。
高市政権が発足して半年が経ちました。経済界が高市政権を評価しているとは全く聞きません。逆に注文をつけたい事柄が山もりなのでしょうが、そうしたことを受け入れる人間ではないので諦めているのでしょう。
経済学者の金子勝氏は、「アベノミクスの成長戦略は結局、国家戦略特区と官民ファンドの2つしかなかった。国家戦略特区は新しい産業を生み出すことはなく、官民ファンドはことごとく失敗している。ところが高市首相は、アベノミクスは成功しているんだと思い続け、そう言い続けたい。自己正当化だけで生きてきた人ですから」と、これまた酷評します。
経済は経済的合理性に基いて動くので、ド素人が思い込みだけで采配を振るうのは極めて危険なことです。6月25日の日経新聞は、<過去15年の年平均の実質成長率は0.7%にとどまる。この間、アベノミクスで財政支出を拡大し、金融緩和を続けてきたにもかかわらず> と書きました
金子勝氏は「結局、高市首相がやっていることはアベノミクスの繰り返し。この路線では、この国はアウトですよ」と述べます。
日刊ゲンダイは「もはや落ちるところまで落ちるしかないのか」と結びます。
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「責任ある積極財政」という欺瞞…高市肝いり「370兆円」成長戦略投資の子供だまし
日刊ゲンダイ 2026/06/26
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
高市首相が唱えてきた「戦略投資」の内容が出揃ったが、数字を膨らませただけで中身なし、実現性の判断もつかないシロモノだ。GDPの成長率も我田引水で債務比を下げるための机上の空論。ここでも高市空っぽ内閣の正体露呈。
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くしくも同日の発表になったことが暗示的だ。
官民ファンド「クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)」が24日に2026年3月期決算を発表。累積赤字が拡大して540億円に膨らんだことが明らかになり、所管の経産省は今後、他のファンドとの統合や廃止を検討するという。
クールジャパン機構は2013年、第2次安倍政権の初期に安倍首相の肝いりで設立された、成長戦略の柱の官民ファンドだ。日本の食やアニメなどの文化を海外に売り込む企業・団体を支援する目的で83件、計約2040億円が投じられたが、最近も140億円を投資したベンチャー起業が私的整理に至り破綻。出資金の9割を政府が出しているから、国民の血税がドブに捨てられたようなものである。
そんなクールジャパンと、24日に高市首相が発表した「日本成長戦略」の官民投資370兆円は、どうにも同じにおいがするのだ。
1社あたりの金額は分散、見劣り
「行き過ぎた緊縮志向と未来への投資不足の流れを断ち切る」
「日本でも国が一歩前に出て国内投資を強力に後押しする」
日本成長戦略会議と経済財政諮問会議の合同会議の場で、高市は“演説調”でこう訴えたという。
21年の自民党総裁選初出馬時から高市が唱えている肝いり政策「危機管理投資・成長投資」の具体化に向けた工程表と官民投資額の見通しは、来年度から2040年度までに総額370兆円超。「戦略17分野、62の製品・技術」が対象で、通常の歳出に加え、年10兆円の追加支出を想定している。
17分野のうち最も投資額が多いのは「AI・半導体」で101.6兆円。「デジタル・サイバーセキュリティー」55.4兆円、「創薬・先端医療」64.1兆円、「ゲームやアニメなどのコンテンツ」33.7兆円などとなっている。
兆円単位の大きな数字が躍り、頭がクラクラしてしまうが、投資額の官民の内訳は示されていない。「政府による支援で民間投資を呼び込む」らしいが、そんなうまくいくのかどうか。
「米国ではAIの先端企業は1社で1回6000億ドル(約97兆円)という巨額投資をしている。つまり、AI・半導体投資には金がかかるんです。米国ではそれが大幅な収益期待につながっているので、日本も2040年まで370兆円かけてやるということですが、17分野.62の製品・技術と多岐にわたっているため、1年間、1社あたりにすると金額はかなり分散し、見劣りする。それに米国ではあくまで民間が 投資する。民間投資を政府が側面支援するならいいが、政府が前面に出て、国民の税金を使って特定分野に投資するのは、果たして自由主義経済と言えるのかどうか。違和感があります」(経済評論家・斎藤満氏)
クールジャパンと同じ轍を踏む
それでも投資効果だけはバラ色シナリオだ。
最も高い成長を見込むケースでは、40年度にかけ実質GDP(国内総生産)成長率が1%台後半、名目GDPは3%台半ばで推移する。技術や市場の不確実性を織り込んだケースでも、実質が1%台半ば、名目が3%程度で推移。民間投資が伸びない現状投影ケースでは、実質0%台前半、名目2%程度にとどまるとしている。
政府はこの手のケース別の未来予想をよくやるが、バラ色を目指しても、最近はだいたいが最悪ケースになってしまっている。
慶大名誉教授の金子勝氏(財政学)はこう言う。
「高市首相は『強い経済』を掲げる中で成長戦略として『17分野と62の製品・技術』とこれまでも言ってきた。そういう意味では、24日の発表もその繰り返しで中身が空っぽ。きちっとした筋書きも分析もないから、AIだ、防衛産業だ、コンテンツだとズラズラ並べて、やってるように見せかけているだけなのです。370兆円の官民投資は2040年までだから15年後。何の保証もないただの目標にすぎない。クールジャパン機構と同じで損をすることになりますよ。どうしてこんな中身のないことをするのかといえば、これ以上の為替介入は難しく、円安を止められない。ならば円安インフレに突っ込むしかないと高市首相は開き直ったんだと思います。円安にした方が財源が出る。外国為替特別会計の利益剰余金がそうですし、庶民へのインフレ課税も典型的。それにインフレで名目GDPを水膨れさせれば、財政赤字の対GDP比が表面上減っていくんです。そうやって『強い経済』とうそぶくのでしょう」
アベノミクス路線ではこの国はアウトだ
財政赤字の対GDP比が表面上減っていく──というのは、分子となる借金の額は変わらず、分母となる名目GDPが物価高によって増額となれば、表面的には借金の比率が下がったように見える、ということだ。
高市政権発足来、金融市場では「放漫財政」を警戒して日本国債が売られ、長期金利が上昇している。それで高市は「責任ある積極財政」という欺瞞の看板を掲げているわけだが、大盤振る舞いの成長投資の一方で、マーケットの信認を得るための財政健全化の“指標”の変更も欺瞞に満ちている。
これまで政府が重視してきたのは、新たな借金なしで政策経費をまかなえるかを示すプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化だった。ところが高市政権では、単年度の収支改善は眼中になく、今回も「財政運営の目標としては、債務残高対GDP比を安定的に低下させていくということを中核と位置づけます」とうたっている。
この比率ならば、バラ色シナリオのようにGDP成長率が拡大すれば、「借金は減った」と言い張れるわけだ。
前出の斎藤満氏はこう言った。
「アベノミクスの時も『名目GDP600兆円』を目標に掲げ、そのためにインチキをやった。従来は統計にカウントしていなかった研究開発費をGDPに算入して金額を増やしたんです。今回の高市首相の成長戦略投資もそれに近いうさんくささがある。マーケットも『370兆円の投資』と聞いて最初は喜んだけれど、うさんくささが漂い、株価はあまり上がっていません。しかも、官民ファンドと同じで国が巨額の資金を拠出せざるを得なくなるのではないかと想定される。インフレ促進と財政の需給悪化が重なって国債の売りを呼び、長期金利は上がるでしょう」
繰り返す「絵に描いた餅」
アベノミクスでも、成長戦略という言葉だけが躍り、果実がほとんど得られなかったことを思い出す。
25日の日経新聞がこう書いていた。
<過去15年の年平均の実質成長率は0.7%にとどまる。この間、アベノミクスで財政支出を拡大し、金融緩和を続けてきたにもかかわらずだ>
「絵に描いた餅」を何度繰り返すのか。アベノミクスのトリクルダウン理論のように、机上の空論で、国民生活をこれ以上貧しくするのはやめてもらいたい。
「アベノミクスの成長戦略は結局、国家戦略特区と官民ファンドの2つしかなかった。国家戦略特区は新しい産業を生み出すことはなく、官民ファンドはことごとく失敗している。ところが高市首相は、アベノミクスは成功しているんだと思い続け、そう言い続けたい。自己正当化だけで生きてきた人ですから。結局、高市首相がやっていることはアベノミクスの繰り返し。この路線では、この国はアウトですよ」(金子勝氏=前出)
もはや落ちるところまで落ちるしかないのか。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。